説明

改質装置および電気分解装置

【課題】少ないエネルギーで溶液中に溶解している媒質を改質することのできる改質装置を提供する。
【解決手段】光起電力を用いて溶液を電気分解し、溶液中に気泡を発生させる気泡生成部10と、気泡内にプラズマを生成するプラズマ生成部20とを備え、プラズマ生成後の上記気泡内の構成粒子によって媒質を改質させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶液中に溶解している媒質を改質する改質装置、および光起電力を用いて溶液を電気分解する電気分解装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体中でプラズマを生成することによって液体中に溶解している媒質を改質する技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、液体中で発生させたプラズマによって液体中に含まれる有機物などの汚染物質を分解処理することが記載されている。また、特許文献1には、液体中で電気分解を生じさせて気泡を生成し、気泡内の気体による気体放電を開始させてから液体中の物質による放電に移行させることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、液体中に電気分解によって気泡を発生させ、気泡内でプラズマを発生させることにより、液体の殺菌や改質を行うことが記載されている。
【0005】
また、非特許文献1には、プラズマを用いて媒質を改質する技術では異なるが、太陽光エネルギーにより液体内に溶解する二酸化炭素の改質を行った例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−130343号公報(平成20年6月5日公開)
【特許文献2】特表2005−529455号公報(平成15年11月20日公開)
【非特許文献1】M.HALMANN, M.ULMAN and B.AURIAN−BLAJENI,“Solar Energy”,Vol.31,No.4,pp.429−431,1983
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記各特許文献の技術では、プラズマを発生させるための電力とは別に液体を電気分解して気泡を発生させるための電力が必要なので、消費電力が大きいという問題がある。
【0008】
また、上記非特許文献1では、液体内に内包する半導体等のチップが吸収できる太陽光波長のエネルギーしか利用できないので、二酸化炭素の改質にかかる処理効率が低いという問題がある。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、少ないエネルギーで溶液中に溶解している媒質を改質することのできる改質装置、および光起電力を用いて溶液を電気分解する電気分解装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の改質装置は、上記の課題を解決するために、溶液中に溶解している媒質を改質させる改質装置であって、光起電力を用いて生成された電力を用いて上記溶液を電気分解することで上記溶液中に気泡を発生させる気泡生成部と、上記気泡内にプラズマを生成するプラズマ生成部とを備え、プラズマ生成後の上記気泡内の構成粒子によって上記媒質を改質させることを特徴としている。なお、上記の構成粒子は、例えば、ラジカル、未結合種などの活性種であってもよく、電子およびイオンの集合体であってもよい。また、上記構成粒子と上記媒質とが直接的に反応する構成であってもよく、上記構成粒子と上記媒質とが間接的に反応する構成、すなわち上記構成粒子と他の物質との反応によって生じた生成物と上記媒質とが反応する構成、あるいは上記媒質と他の物質との反応によって生じた生成物と上記構成粒子とが反応する構成であってもよい。また、上記構成粒子が気泡内から溶液内に拡散現象等で輸送されて溶液内の媒質と反応する構成であってもよい。また、上記電気分解は、HOを2HおよびOに分解するだけでなく、溶液中に溶解している物質を改質する作用を有するものであってもよい。例えば、溶液中のイオンを酸化あるいは還元させたり、溶液中に溶解している分子を分解したりする作用を有していてもよい。
【0011】
上記の構成によれば、光起電力を用いて溶液を電気分解することで溶液中に気泡を発生させる気泡生成部を備えているので、自然エネルギーである太陽光を用いて溶液を電気分解することができる。したがって、電気分解のための電気エネルギーを供給する必要がなく、気泡内にプラズマを生成するための電気エネルギーを供給するだけで媒質を改質できるので、媒質を改質するために必要な電気エネルギーを低減できる。
【0012】
また、上記プラズマ生成部は、複数のプラズマ生成用電極を備えており、これら各プラズマ生成用電極のうちの少なくとも一部が上記溶液中に配置されている構成であってもよい。
【0013】
上記の構成によれば、各プラズマ生成用電極における溶液中に配置されている部分に気泡を供給することにより、プラズマを気泡内に容易に生成することができる。
【0014】
また、上記気泡生成部は、光起電力によって電力を生成する光起電力生成部を備えており、上記光起電力生成部は、上記溶液中に備えられている構成としてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、光起電力生成部が溶液中に備えられているので、光起電力を溶液の外部から溶液内に伝達するための配線等を設ける必要がなく、装置構成を簡略化することができる。
【0016】
また、上記光起電力生成部は、太陽電池であってもよい。
【0017】
上記の構成によれば、太陽エネルギーを用いて溶液を電気分解することができるので、電気分解のための電気エネルギーを供給する必要がなく、気泡内にプラズマを生成するための電気エネルギーを供給するだけで媒質を改質できるので、媒質を改質するために投入する必要のある電気エネルギーを低減できる。
【0018】
また、上記光起電力生成部は、上記溶液中に配置された、p型半導体とn型半導体とを接合させたpn接合を有する半導体部材からなり、上記半導体部材には光起電力によって生成された電流を取り出すための配線が接続されておらず、光起電力によって生成された電流が上記pn接合の接合面に対して略垂直な方向に流れるとともに、上記p型半導体から上記溶液を電流経路として上記n型半導体に流れる構成としてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、光起電力によって生成された電流がpn接合の接合面に対して略垂直な方向に流れるので、半導体部材にpn接合の接合面に対して平行な方向に電流が流れることを妨げるような欠陥が生じた場合であっても、半導体部材における上記欠陥が生じている領域以外の領域を有効に利用することができる。また、光起電力によって生成された電流はp型半導体から溶液を電流経路としてn型半導体に流れるので、光起電力によって生成された電流を取り出すための配線を設ける必要がない。したがって、配線によって光起電力生成部に入射する光が遮蔽されることがないので、光利用効率を向上させることができる。また、配線を設ける必要がないので、光起電力生成部の製造コストを低減させることができる。
【0020】
また、上記光起電力生成部は、互いに分離した多数の上記半導体部材を上記溶液中に分散させたものであってもよい。
【0021】
上記の構成によれば、pn接合を有する半導体部材が溶液中に分散しているので、半導体部材に入射した光のうちこの半導体部材に吸収されずに(電気エネルギーへの変換に寄与せずに)反射した光の一部が他の半導体部材に入射して吸収される(電気エネルギーに変換される)。したがって、光の利用効率を向上させ、溶液の電気分解をより効率よく行うことができる。
【0022】
また、上記電気分解によって水素、塩素、または酸素の気泡を発生させる構成としてもよい。
【0023】
上記の構成によれば、電気分解によって水素、塩素、または酸素の気泡を発生させ、発生させた気泡内にプラズマを生成することにより、プラズマ生成後の気泡内の構成粒子によって媒質を改質させることができる。
【0024】
また、上記媒質は二酸化炭素であり、上記電気分解によって水素の気泡を発生させ、上記気泡内に発生させた水素のプラズマによって上記二酸化炭素を還元させる構成としてもよい。
【0025】
上記構成によれば、溶液中に溶解した二酸化炭素を還元することができる。
【0026】
また、上記電気分解によって上記媒質の一部を酸化または還元させる構成としてもよい。例えば、上記媒質は二酸化炭素であり、上記電気分解によって水素の気泡を発生させるとともに上記二酸化炭素の一部を還元させ、上記気泡内に発生させた水素のプラズマによって上記二酸化炭素をさらに還元させる構成としてもよい。
【0027】
上記の構成によれば、電気分解による媒質の改質効果とプラズマによる媒質の改質効果とを得ることができるので、より効果的に媒質を改質させることができる。
【0028】
また、プラズマによる媒質の改質に先立って媒質の一部を電気分解により改質させることにより、電気分解のみによる改質効果とプラズマのみによる改質効果とを加算した効果よりも媒質の改質効果をさらに向上させる相乗効果を得ることができる。
【0029】
本発明の電気分解装置は、液体を電気分解する電気分解装置であって、上記液体中に配置された、光起電力によって電力を生成する光起電力生成部を備え、上記光起電力生成部によって生成された電力によって上記液体を電気分解することを特徴としている。
【0030】
上記の構成によれば、光起電力生成部が液体中に備えられているので、電気分解のための電気エネルギーを液体の外部から液体内に伝達するための配線等を設ける必要がなく、装置構成を簡略化することができる。
【0031】
また、上記光起電力生成部は、太陽電池であってもよい。
【0032】
上記の構成によれば、太陽エネルギーを用いて液体を電気分解することができるので、電気分解のための電気エネルギーを供給することなく、液体を電気分解することができる。
【0033】
また、上記光起電力生成部は、上記液体中に配置された、p型半導体とn型半導体とを接合させたpn接合を有する半導体部材からなり、光起電力によって生成された電流が上記pn接合の接合面に対して略垂直な方向に流れるとともに、上記p型半導体から上記液体を電流経路として上記n型半導体に流れる構成としてもよい。
【0034】
上記の構成によれば、光起電力によって生成された電流がpn接合の接合面に対して略垂直な方向に流れるので、半導体部材にpn接合の接合面に対して平行な方向に電流が流れることを妨げるような欠陥が生じた場合であっても、半導体部材における上記欠陥が生じている領域以外の領域を有効に利用することができる。また、光起電力によって生成された電流はp型半導体から上記液体を電流経路としてn型半導体に流れるので、光起電力によって生成された電流を取り出すための配線を設ける必要がない。したがって、配線によって光起電力生成部に入射する光が遮蔽されることがないので、光利用効率を向上させることができる。また、配線を設ける必要がないので、光起電力生成部の製造コストを低減させることができる。
【0035】
また、上記光起電力生成部は、互いに分離した多数の上記半導体部材を上記液体中に分散させたものであってもよい。
【0036】
上記の構成によれば、pn接合を有する半導体部材が液体中に分散しているので、半導体部材に入射した光のうちこの半導体部材に吸収されずに反射した光の一部が他の半導体部材に入射して吸収される。したがって、光の利用効率を向上させ、液体の電気分解をより効率よく行うことができる。
【0037】
また、本発明の改質装置は、上記したいずれかの電気分解装置を備え、上記電気分解によって上記液体中に溶解している媒質の一部を酸化または還元させて当該媒質を改質する構成としてもよい。
【0038】
上記の構成によれば、液体中に配置された光起電力生成部が光起電力によって生成した電力を用いて当該液体中に溶解している媒質を改質させることができる。
【発明の効果】
【0039】
以上のように、本発明の改質装置は、光起電力を用いて生成された電力を用いて上記溶液を電気分解することで上記溶液中に気泡を発生させる気泡生成部と、上記気泡内にプラズマを生成するプラズマ生成部とを備え、プラズマ生成後の上記気泡内の構成粒子によって上記媒質を改質させる。
【0040】
それゆえ、電気分解のための電気エネルギーを供給する必要がなく、気泡内にプラズマを生成するための電気エネルギーのみを供給すればいいので、媒質を改質するために投入する必要のある電気エネルギーを低減できる。
【0041】
また、本発明の電気分解装置は、上記液体中に配置された、光起電力によって電力を生成する光起電力生成部を備え、上記光起電力生成部によって生成された電力によって上記液体を電気分解する。
【0042】
それゆえ、光起電力生成部が液体中に備えられているので、電気分解のための電気エネルギーを液体の外部から液体内に伝達するための配線等を設ける必要がなく、装置構成を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態にかかる改質装置および電気分解装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】図1に示した改質装置において生じる現象を模式的に示した説明図である。
【図3】(a)は図1に示した改質装置に備えられるプラズマ生成部の構成を示す説明図である。(b)は(a)に示したプラズマ生成部に水素気泡を供給した状態を示す写真であり、(c)は(a)に示したプラズマ生成部によって水素気泡中に水素プラズマを発生させた状態を示す写真である。
【図4】(a)は水素原子ラジカルと溶液中のHCOとの反応を示す説明図であり、(b)は水素原子ラジカルとCO2との反応を示す説明図である。
【図5】図1に示した改質装置において水素気泡およびその周囲において生じる現象を模式的に示した説明図である。
【図6】H、O、CO、およびCOの水に対する溶解度を示す図である。
【図7】プラズマによるCOの改質を確認するために行った実験で用いた実験装置の概略図である。
【図8】図7に示した実験装置によって気泡中に生成されたプラズマの発光分光測定結果を示すグラフである。
【図9】(a)は図7に示した実験装置によって電気分解のみを生じさせた場合の気泡を水上置換によって捕集した気体の分析結果を示すグラフであり、(b)は図7に示した実験装置によって電気分解とプラズマ生成とを行った場合の気泡を水上置換によって捕集した気体の分析結果を示すグラフである。
【図10】植物の光合成と図1に示した改質装置において生じる反応との対比結果を示す図である。
【図11】太陽光を用いて水の電気分解を行う従来のシステムの構成を示す図である。
【図12】図1に示した改質装置における光閉じ込め効果を示す図である。
【図13】従来の太陽電池セルの構成を示す説明図である。
【図14】図1に示した改質装置の変形例を示す模式図である。
【図15】図1に示した改質装置の変形例を示す模式図である。
【図16】図1に示した改質装置の変形例における、電気分解のみを生じさせた場合の気泡を水上置換によって捕集した気体の分析結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の一実施形態について説明する。
【0045】
図1は本実施形態にかかる改質装置1の概略構成を示す模式図であり、図2は改質装置1において生じる現象を模式的に示した説明図である。改質装置1は、COを溶解させた溶液中に含まれるCOを還元させるものであり、図1および図2に示したように、気泡生成部(電気分解装置)10と、プラズマ生成部20とを備えている。なお、改質装置1は、管路等を流れる溶液中に配置されるものであってもよく、タンクや水槽等の閉鎖された系に入れられた溶液中に配置されるものであってもよい。
【0046】
気泡生成部10は、光起電力を用いて溶液を電気分解し、溶液中に気泡を発生させるためのものである。本実施形態では、太陽エネルギー(光エネルギー)を電気エネルギーに変換する多数の太陽電池チップ(太陽電池セル)11を溶液中に投入し、これら多数の太陽電池チップ11を気泡生成部10として用いた。
【0047】
図2に示したように、太陽電池チップ11はn型半導体11nとp型半導体11pとを接合させたpn接合を有する半導体チップであり、n型半導体11nに太陽光が入射すると光起電力によってn型半導体11nとp型半導体11pとの間に電位差が生じ、それによってpn接合の接合面に対して略垂直な方向に電流が流れ、溶液が電気分解されてn型半導体11nの表面に水素気泡Hが生成され、p型半導体11pの表面に酸素気泡Oが生成される。また、本実施形態では、電気分解によって溶液中に溶解しているCOの一部が分解されて溶液中にCOが生成される。このように、本明細書における電気分解は、単にHOを電気分解してHとOとを発生させる作用だけでなく、溶液中に溶解している物質(例えば、イオン、分子等)を酸化、還元、あるいは改質する作用を含む。
【0048】
本実施形態では、GaInPおよびGaAsからなるn型半導体11nとGaInPおよびGaAsからなるp型半導体11pとを有し、pn接合の接合面に平行な面のサイズが2mm×2mmであり、pn接合の接合面に垂直な方向の厚さが325μmである太陽電池チップ11を用いた。
【0049】
なお、太陽電池チップ11は、溶液の分解電圧以上の光起電力を有するものであればよく、上記の構成に限るものではない。例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン等の結晶系の半導体を用いたものや、GaAs、CuInGaSeなどの化合物半導体を用いたものなどを用いることができる。なお、溶液の電気分解を効率よく行うとともに、太陽電池チップ11を小型化して溶液中で分散しやすくするために、変換効率の高いGaAs等の単結晶化合物あるいは単結晶シリコンを用いることが好ましい。
【0050】
また、単一の太陽電池チップ11のみでは溶液の分解電圧が得られない場合には、複数の太陽電池チップ11を直列に接続してもよい。また、n型半導体11nあるいはp型半導体11pの表面に保護膜、バッファ層、あるいは電極層などを設けてもよい。
【0051】
また、n型半導体11nあるいはp型半導体11pの表面に光増感膜を設けてもよい。光増感膜としては、例えば、太陽電池チップ11では吸収できない波長域の光(紫外線等)を吸収して光電解酸化還元作用を生じさせる物質からなる膜を用いることができる。このような物質としては、例えば、酸化チタン(TiO)、酸化タングステン(Wo)、酸化亜鉛(ZnO)などが挙げられる。なお、光増感膜としては、溶液に対する溶解性や耐久性に優れたものを選択することが好ましく、本実施形態のようにCO溶液中で用いる場合には酸化チタンが特に適している。
【0052】
また、上記光増感膜は、太陽電池チップ11が吸収可能な波長域の光を透過する性質を有していることが好ましい。これにより、光増感膜によって太陽電池チップ11では吸収できない波長域の光を吸収するとともに、太陽電池チップ11によって光増感膜を透過した光を吸収することができるので、光利用効率を高めることができる。
【0053】
また、後述するように、n型半導体11nあるいはp型半導体11pの表面に、電気分解によって溶液に溶解している物質(例えばCO)を還元させる性質を有する物質(例えばAg)を取り付けてもよい。
【0054】
プラズマ生成部20は、気泡生成部10によって生成された気泡の一部をプラズマ化するものであり、プラズマ生成用電源21、およびプラズマ生成用電極22a,22bを備えている。なお、本実施形態では水素気泡中の水素をプラズマ化させて水素プラズマを生成する。
【0055】
図3(a)は、プラズマ生成部20の構成を示す説明図である。本実施形態では、プラズマ生成用電極22aとして直径200μmの銅線(Cu線)の周囲を厚さ250μmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなる被覆絶縁層で被覆したものを用い、プラズマ生成用電極22bとして直径200μmのステンレス線を用い、プラズマ生成用電極22aを経糸(縦糸)、プラズマ生成用電極22bを緯糸(横糸)として平織(経糸2本、緯糸2本を最小単位として、経糸と緯糸とを交互に上下に交差させる織り方)で織り合せた平織構造(ファブリック構造)からなるプラズマ生成部20を用いた。
【0056】
なお、プラズマ生成用電極22a,22bは、上記の構成に限るものではなく、溶液中の気泡の少なくとも一部をプラズマ化することができる構成であればよい。例えば、プラズマ生成用電極22a,22bからなる平織構造(ファブリック構造)を複数層重ね合わせた構成としてもよい。あるいは、一方の電極の周囲に絶縁層を介して他方の電極を巻き付けた構成としてもよい。また、一方の電極と他方の電極との間に介在させる絶縁層はPTFEに限らず、例えば、PFA、ETFEなどの他のフッ素樹脂、あるいはガラスなどを用いてもよい。また、プラズマ生成用電極22a,22bは、気泡中にプラズマを生成できるように、これら各電極の少なくとも一部を溶液中に配置すればよく、例えば、溶液中に配置してもよく、プラズマ生成用電極22a,22bの少なくとも一部が溶液に接するように溶液の液面に配置してもよい。さらに、プラズマ生成用電極22aとプラズマ生成用電極22bとは、絶縁層を介して接触していてもよく、あるいは離間していてもよい。すなわち、プラズマ生成用電極22aとプラズマ生成用電極22bは、少なくとも一方が絶縁層で被覆されており、これら両電極が気泡と接することが肝要である。
【0057】
図3(b)は図3(a)に示したプラズマ生成部20に気泡生成部10によって生成した水素気泡を供給した状態を示す写真であり、図3(c)は図3(b)に示したようにプラズマ生成部20に水素気泡を供給し、プラズマ生成用電極22aと22bとの間にプラズマ生成用電源21によって電圧を印加することにより、水素気泡中に水素プラズマを発生させた状態を示す写真である。
【0058】
図3(c)の実験結果からも明らかなように、気泡生成部10によって生成された水素気泡がプラズマ生成部20に到達すると、図2に示したように、水素気泡中に水素プラズマが生成され、この水素プラズマの構成粒子として水素原子ラジカルが生成される。そして、この水素原子ラジカルとの直接的または間接的な反応により、溶液中あるいは水素気泡中のCOが還元される。
【0059】
具体的には、図4(a)に示すようにCOとOHとが結合して生成された溶液中のHCOと水素原子ラジカルとによってCOOH(蟻酸)とHO(水)とが生成される反応(HCO+2H→COOH+HO)や、図4(b)に示したように溶液中あるいは気泡中のCOと水素原子ラジカルとによってCO(一酸化炭素)とHOとが生成される反応(CO+2H→CO+HO)が生じる。
【0060】
図5は、水素気泡およびこの水素気泡の周囲において生じる現象を模式的に示した説明図である。また、図6は、H、O、CO、およびCOの水に対する溶解度(1atmにおいて水1cm中に溶解する容積)を示す図である。
【0061】
図6に示したように、COは、H、O、およびCOに比べてはるかに水に溶解しやすい性質を有している。また、温度が高くなるほど水に対する溶解度が低くなる性質を有している。
【0062】
また、水素気泡中に水素プラズマが生成されることによって生じる熱などにより、図5に示したように、水素気泡の周囲の溶液は水素気泡に近いほど温度が高くなる。したがって、水素気泡の周囲の溶液は温度上昇によってCOの溶解度が低下するので、溶液中のCOが気体になってその大部分が水素気泡中に取り込まれ、COがプラズマ中に輸送されるので、水素原子ラジカルによる気泡中でのCOの還元反応が促進される。また、水素気泡中に生成された水素原子ラジカルの一部は溶液中に溶解し、溶液中のHCOやCOを還元する。
【0063】
図7は、プラズマによるCOの改質を確認するために行った実験で用いた実験装置の概略図である。この実験では、直径1.88mmの金属製の電極を厚さ0.15mmのガラスで被覆したプラズマ生成用電極22aの周囲に、Ni線からなるプラズマ生成用電極22bを巻き付け、これら両電極をプラズマ生成用電源21に接続した構成の電極対を4本設け、これら各電極対を0.1mm間隔で並べて配置したプラズマ生成部20を用いた。
【0064】
また、電気分解用の電源10aをプラズマ生成用電源21とは別に設け、この電気分解用の電源10aの一端を電気分解用の電極10bを接続し、他端をプラズマ生成用電極22bに接続した構成の気泡生成部10を用いた。つまり、プラズマ生成用電極22bに、プラズマ生成用電極としての機能と、電気分解用電極としての機能とを兼ねさせた。
【0065】
上記構成のプラズマ生成用電極22a、22b、および電極10bをCOが飽和状態で溶解した600mLの溶液中に配置し、電気分解用電源10aによって電極10bとプラズマ生成用電極22bとの間に電圧を印加して200mA〜300mAの電流を流し、プラズマ生成用電源21によってプラズマ生成用電極22aと22bとの間に4〜5kV、15Hzの交流電圧を印加したところ、電気分解による気泡の生成と、気泡中におけるプラズマの生成(プラズマの発光)を確認できた。
【0066】
また、電圧を印加した状態を1時間継続させたところ、溶液中のCOを約1%還元することができた。なお、COの還元効率については、プラズマ生成用電極22aおよび22bの設置数を増加させることにより、少なくとも60%程度に向上させることが可能であると推定される。また、プラズマ生成用電極22a,22bの構成を最適化することにより、COの還元効率をさらに向上させることが可能であると考えられる。
【0067】
図8は、上記実験によって気泡中に生成されたプラズマの発光分光測定結果を示すグラフである。この図に示したように、気泡中に、水素原子ラジカルHα、CO、CO、およびCが生成されていることが確認された。つまり、溶液中に溶解していたCOが気体化して水素気泡内に取り込まれること、および水素気泡中に取り込まれたCOあるいは溶液中のCOが水素ラジカルによって還元されてCOが生成されることが確認された。
【0068】
また、図9(a)はプラズマ生成用電源21による電圧印加(プラズマ生成)を行わずに電気分解のみを生じさせた場合に生じた気泡を水上置換によって捕集した気体の分析結果(ガスクロマトグラフィ−結果)を示すグラフであり、図9(b)は電気分解とプラズマ生成とを行った場合の気泡を水上置換によって捕集した気体の分析結果(ガスクロマトグラフィ−結果)を示すグラフである。これら両図の比較結果より、気泡中に生成したプラズマによって溶液中あるいは気泡中のCOが還元され、それによってCOが生成されることが確認された。
【0069】
また、n型半導体11nおよび/またはp型半導体11pの表面に、電気分解が生じるときに溶液に溶解している物質を酸化、還元、あるいは改質させる性質を有する物質を取り付けてもよい。
【0070】
図16は、電気分解によるCOの改質効果を調べるために行った実験の実験結果を示すグラフでる。この実験では、結晶シリコン太陽電池を12個直列接続し、これら12個の太陽電池全体をポリカーボネートで被覆するとともに、直列接続した太陽電池の両端の電極として、陰極にAg(銀)線、陽極はNi(ニッケル)線を取り付けた。そして、このAg線およびNi線を取り付けた太陽電池を溶液中に設置した。なお、溶液としては、NaCOaq.(0.1mol/L、120mL)+HPOaq.(0.1mol/L、150mL)+HO(330mL)の合計600mLを用いた。そして、上記溶液中の太陽電池にAM(エアマス)1.5スペクトルの擬似太陽光を100mW/cmで照射して電気分解を行わせ、電気分解によって生じた気体を上方置換法で収集し、収集した気体をガスクロマトグラフィー法(TCD検出器(熱伝導度検出器)、キャリアガスはHe)で分析した。
【0071】
上記条件で電気分解を3時間行った結果、全体で2.4mLの気体を捕集でき、捕集した気体をガスクロマトグラフィー法で分析した結果、図16に示したように、Hが2.08mL、COが4.93×10−3mLで、残りはほぼCOであった。なお、図16におけるAirは測定時に混入したものであり、電気分解によって生じたものではない。
【0072】
このように、太陽電池の陽極にAg電極を取り付けることにより、液中に設置した太陽電池単体によって、すなわち電気分解のみによって溶液中に溶解しているCOの一部を還元処理することができる。なお、Ag電極の電極形状が異なる複数種類の太陽電池を用いて同様の実験を行ったところ、電気分解によるCOの生成割合をHの生成量に対して約10%程度まで高めることができた。
【0073】
このように、太陽電池による電気分解によってCOを生成し、電気分解によって生成されるHとCOとを含む気泡内でプラズマ生成を行うことにより、CHその他の還元処理がより進行した生成物をより効率的に得ることができる。
【0074】
なお、このような物質を太陽電池チップ11に取り付ける場合、太陽電池チップ11への光の入射をできるだけ妨げないような形状、取付位置、取付角度で取り付けるか、あるいは太陽電池チップ11が吸収可能な波長域の光を透過する性質を有する材質を用いることが好ましい。
【0075】
以上のように、本実施形態にかかる改質装置1は、光起電力を用いてCO溶液を電気分解し、CO溶液中に水素気泡を発生させる気泡生成部10と、水素気泡内の水素を電離させて気泡中に水素プラズマを生成するプラズマ生成部20とを備えており、水素プラズマの構成粒子である水素原子ラジカルによって溶液中のCO(あるいは気体化して水素気泡内に取り込まれたCO)を還元させる。これにより、光起電力を用いて溶液を電気分解することで溶液中に気泡を発生させるので、自然エネルギーである太陽光を用いて溶液を電気分解することができる。したがって、電気分解のための電気エネルギーを供給する必要がなく、気泡内にプラズマを生成するための電気エネルギーを供給するだけで媒質を改質できるので、媒質を改質するために必要な電気エネルギーを低減できる。
【0076】
また、本実施形態にかかる改質装置1によれば、自然界における植物の光合成に似たCOの還元作用を実現することができる。図10は、植物の光合成と本実施形態にかかる改質装置1において生じる反応との対比結果を示す図である。この図に示すように、植物の光合成ではCOの還元反応は吸熱反応が支配的であるので還元反応のためのエネルギーを投入する必要があるが、本実施形態にかかる改質装置1では還元反応は発熱反応が支配的なので還元反応のためのエネルギーを投入する必要がない(ただし、プラズマを生成するためのエネルギーは必要である)。
【0077】
また、本実施形態では、n型半導体11nとp型半導体11pとを接合させたpn接合を有する太陽電池チップ11を気泡生成部10として用いている。このような太陽電池チップ11を用いることにより、太陽電池部分と電極部分とを一体化させるとともに、太陽電池部分と電極部分とを接続するための配線を省略することができる。つまり、太陽光を用いて水の電気分解を行う従来のシステムでは、図11に示すように、太陽電池部分が溶液の外部に設けられ、電極部分が溶液中に設けられており、太陽電池部分と電極部分とが配線によって接続されていた。これに対して、本実施形態のような太陽電池チップ11を用いることにより、太陽電池部分と電極部分とを一体化させて溶液中に配置することができるので、装置構成を簡略化することができる。
【0078】
また、太陽電池チップは、一般に、小面積であるほど光起電力の発生効率(光電変換効率)が高い。例えば、10cm×10cmのチップよりも1cm×1cmのチップの方が10%程度高く、1cm×1cmのチップよりも5mm×5mmのチップの方が数%高い。したがって、小面積の太陽電池チップ11を多数用いることにより、大面積の太陽電池セルを用いる場合よりも光利用効率を高めることができる。ただし、太陽電池チップにおけるpn接合に平行な表面の1方向の長さがpn接合部分の厚み(数μm)と同程度になると切断面での再結合によって太陽電池チップの特性が劣化する。このため、上記1方向の長さは100μm以上10mm以下であることが好ましく、100μm以上5mm以下であることが好ましい。
【0079】
また、多数の太陽電池チップ11を溶液中に混入させると、各太陽電池チップ11におけるn型半導体11nとp型半導体11pとに逆極性の電荷が蓄積されることによって隣接する太陽電池チップ11同士が反発し合うことなどにより、これら多数の太陽電池チップ11が溶液中で3次元方向に分散するように分布する。つまり、隣接する太陽電池チップ11における同極性の電荷を帯びた部材同士は反発し合い、逆極性の電荷を帯びた部材同士は引き合うが、プラズマ中においてプラスの電荷とマイナスの電荷とが反発し合ったり引き合ったりしながらこれら各電荷の集合体として安定して存在するのと同様、太陽電池チップ11が溶液中に分散するように分布する。このため、図12に示したように、太陽電池チップ11で吸収しきれずに(電気エネルギーに変換されずに)反射された光が他の太陽電池チップ11に入射して吸収される(電気エネルギーに変換される)ので、光閉じ込め効果によって光の利用効率を高め、光起電力による電気分解を効率よく行うことができる。
【0080】
また、従来の太陽電池セルでは、図13に示すように、光電変化によって生成される電気エネルギーを取り出すために、n型半導体の表層およびp型半導体の表層に金属等からなる導電部材をそれぞれ設け、これら各導電部材をそれぞれリード線で他の装置に接続していた。この場合、pn接合面に対して略平行な方向に電流が流れるので、n型半導体、p型半導体、あるいはn型半導体やp型半導体の表層に設けられた導電部材の一部にpn接合の接合面に平行な方向に電流が流れることを妨げるような欠陥があると、セル全体が動作しなくなり、電気エネルギーを取り出せなくなるという問題があった。
【0081】
これに対して、本実施形態にかかる太陽電池チップ11は、太陽電池チップ11の周囲に存在する溶液を電気分解するためのものなので、電気エネルギーを取り出す必要がないため、導電部材やリード線を設ける必要がなく、光起電力によって生じた電流はpn接合の接合面に対して略垂直な方向に流れる。すなわち、光起電力によって生じた電流はpn接合の接合面に対して略垂直な方向に流れるとともに、p型半導体から溶液を電流経路(電流パス)としてn型半導体に流れる。
【0082】
したがって、太陽電池チップ11の一部にpn接合の接合面に平行な方向に電流が流れることを妨げるような欠陥があった場合であったとしても、その欠陥が生じている領域以外の領域では光起電力によって生じる電流が流れるので、欠陥が生じている領域以外の領域を溶液の電気分解に有効に利用することができる。
【0083】
ただし、気泡生成部10の構成は太陽電池チップ11を用いる構成に限るものではなく、光起電力によって溶液中に気泡を発生させることができる構成であればよい。例えば、図11に示したような従来の太陽電池を用いた電気分解システムと同様の構成であってもよい。また、図14に示したように、n型半導体12nとp型半導体12pとを接合した平板状の太陽電池パネル12を溶液中に気泡生成部10として配置してもよい。また、図15に示すように、n型半導体13nとp型半導体13pとを接合した多数の短冊状の太陽電池パネル13を溶液中に波板状に配置した気泡生成部10を用いてもよい。このような波板状に配置した太陽電池パネル13を用いることにより、太陽電池パネル13に入射して吸収されずに反射された光の一部が他の太陽電池パネル13に入射するので、光閉じ込め効果により、光の利用効率を高めることができる。また、気泡生成部10は、太陽電池を用いる構成に限らず、例えば光触媒の光電変換作用によって溶液を電気分解する構成であってもよい。
【0084】
また、本実施形態では、溶液中に溶解したCOを改質(還元)する構成について説明したが、本発明の用途はこれに限るものではない。例えば、細菌等の有機物を含む溶液中に電気分解によって酸素気泡を発生させ、この酸素気泡中に酸素プラズマを生じさせて上記有機物を改質(酸化)させる構成としてもよい。
【0085】
なお、改質装置1を用いてメチレンブルー(3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジニウムクロリド)の改質処理を行ったところ、青色が脱色することが目視により確認された。すなわち、改質装置1によってメチレンブルーの改質処理を行えることを確認できた。
【0086】
また、改質装置1を複数設け、第1の改質装置によって有機物を改質(酸化)させた後、この有機物の改質によって生じたCOを第2の改質装置によって改質(還元)させる構成としてもよい。
【0087】
また、本実施形態において、プラズマ生成用電極22a、22bに供給する電気エネルギーを、太陽光、風力、地熱などの自然エネルギーを用いた発電によって生成してもよい。つまり、太陽光、風力、地熱などの自然エネルギーを電気エネルギーに変換する自然エネルギー発電部をプラズマ生成用電源21に接続し、自然エネルギー発電部によって生成した電気エネルギーを用いて気泡中にプラズマを生成するようにしてもよい。なお、自然エネルギー発電部の構成は特に限定されるものではなく、従来から公知の発電装置を用いることができる。
【0088】
上記の構成によれば、自然エネルギーのみを用いて溶液中に溶解している媒質を改質することができる。例えば、溶液中に溶解させたCOを自然エネルギーのみを用いて改質(還元)することができる。
【0089】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、溶液中に溶解している媒質を改質する改質装置に適用できる。
【符号の説明】
【0091】
1 改質装置
10 気泡生成部(電気分解装置)
11 太陽電池チップ
11n n型半導体
11p p型半導体
20 プラズマ生成部
21 プラズマ生成用電源
22a プラズマ生成用電極
22b プラズマ生成用電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液中に溶解している媒質を改質させる改質装置であって、
光起電力を用いて生成された電力を用いて上記溶液を電気分解することで上記溶液中に気泡を発生させる気泡生成部と、
上記気泡内にプラズマを生成するプラズマ生成部とを備え、
プラズマ生成後の上記気泡内の構成粒子によって上記媒質を改質させることを特徴とする改質装置。
【請求項2】
上記プラズマ生成部は、複数のプラズマ生成用電極を備えており、これら各プラズマ生成用電極のうちの少なくとも一部が上記溶液中に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の改質装置。
【請求項3】
上記気泡生成部は、光起電力によって電力を生成する光起電力生成部を備えており、
上記光起電力生成部は、上記溶液中に備えられていることを特徴とする請求項1または2に記載の改質装置。
【請求項4】
上記光起電力生成部は、太陽電池であることを特徴とする請求項3に記載の改質装置。
【請求項5】
上記光起電力生成部は、上記溶液中に配置された、p型半導体とn型半導体とを接合させたpn接合を有する半導体部材からなり、
上記半導体部材には光起電力によって生成された電流を取り出すための配線が接続されておらず、
光起電力によって生成された電流が上記pn接合の接合面に対して略垂直な方向に流れるとともに、上記p型半導体から上記溶液を電流経路として上記n型半導体に流れることを特徴とする請求項3または4に記載の改質装置。
【請求項6】
上記光起電力生成部は、互いに分離した多数の上記半導体部材を上記溶液中に分散させたものであることを特徴とする請求項5に記載の改質装置。
【請求項7】
上記電気分解によって水素、塩素、または酸素の気泡を発生させることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の改質装置。
【請求項8】
上記媒質は二酸化炭素であり、
上記電気分解によって水素の気泡を発生させ、上記気泡内に発生させた水素のプラズマによって上記二酸化炭素を還元させることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の改質装置。
【請求項9】
上記電気分解によって上記媒質の一部を酸化または還元させることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の改質装置。
【請求項10】
上記媒質は二酸化炭素であり、
上記電気分解によって水素の気泡を発生させるとともに上記二酸化炭素の一部を還元させ、
上記気泡内に発生させた水素のプラズマによって上記二酸化炭素をさらに還元させることを特徴とする請求項9に記載の改質装置。
【請求項11】
液体を電気分解する電気分解装置であって、
上記液体中に配置された、光起電力によって電力を生成する光起電力生成部を備え、
上記光起電力生成部によって生成された電力によって上記液体を電気分解することを特徴とする電気分解装置。
【請求項12】
上記光起電力生成部は、太陽電池であることを特徴とする請求項11に記載の電気分解装置。
【請求項13】
上記光起電力生成部は、上記液体中に配置された、p型半導体とn型半導体とを接合させたpn接合を有する半導体部材からなり、
光起電力によって生成された電流が上記pn接合の接合面に対して略垂直な方向に流れるとともに、上記p型半導体から上記液体を電流経路として上記n型半導体に流れることを特徴とする請求項11または12に記載の電気分解装置。
【請求項14】
上記光起電力生成部は、互いに分離した多数の上記半導体部材を上記液体中に分散させたものであることを特徴とする請求項13に記載の電気分解装置。
【請求項15】
請求項11から14のいずれか1項に記載の電気分解装置を備え、
上記電気分解によって上記液体中に溶解している媒質の一部を酸化または還元させて当該媒質を改質することを特徴とする改質装置。

【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−143401(P2011−143401A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279167(P2010−279167)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【Fターム(参考)】