説明

放出制御トラマドールの漸増投薬処方

放出制御トラマドール鎮痛薬の患者への投与のための漸増投薬処方。漸増投薬処方は、放出制御トラマドール投薬の導入による悪影響の発生の著しい低下を提供し、それゆえ患者の服薬率及び薬剤許容性を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願の相互参照
本出願は、参照により全てが本明細書に組み込まれている、2003年3月11日に提出された米国特許仮出願60/453,848号の利益を請求する。
【0002】
2.発明の分野
本発明は、トラマドールの放出制御製剤の患者への投与のための漸増(titration)投薬処方(dosage regimen)に関するものである。新規な漸増投薬処方は、十分な痛覚消失のために必要な平均レベルでの放出制御トラマドール投薬量の初期投与によってしばしば起きる悪影響の発生を低下させ、それによって導入投薬期間中に経験した悪影響によるトラマドールの投与を中止する患者の数を大幅に減少させる。結果として、この漸増投薬処方は、悪影響を最小限にすることによって、放出制御トラマドールの治療上の利益を増加させる。
【背景技術】
【0003】
3.発明の背景
トラマドールは、化学名(+/−)−トランス−2−[(ジメチルアミノ)メチル]−1−(3−メトキシフェニル)シクロヘキサノールを有し、中程度から激しい疼痛の管理に有効な中枢作用性合成オピオイド鎮痛薬である。経口投与後、トラマドールは迅速に吸収され、薬理活性代謝産物モノ−O−デスメチルトラマドールへ代謝される。トラマドールを含有するカプセル剤、滴剤及び坐薬の形の従来の放出製剤は、中程度から激しい疼痛の治療において使用するために、長年にわたって市販されてきた。
【0004】
従来技術は、即時放出トラマドールの漸増投薬処方を扱っている。例えば、米国特許第6,339,105号は、第1〜3日目に約25mg;第4〜6日目に50mg;第7〜9日目に75mg;第10〜12日目に100mg;第13〜15日目に150mg及び第16〜28日目に200mgを含む、即時放出トラマドールの投薬処方を開示する。また、第1〜3日目に25mg、q.d.(1日1回);第4〜6日目に25mg、b.i.d.(1日2回);第7〜9日目に25mg、t.i.d.(1日3回);第10〜12日目に25mg、q.i.d.(1日4回);及び第13〜28日目に50mg、t.i.d.(1日3回)を含む、即時放出トラマドールの投薬処方も開示されている。放出制御剤の投薬は、米国特許第6,339,105号では扱われていない。
【0005】
放出制御トラマドールは、吐き気、嘔吐、眠気、めまい、掻痒、鎮静、口渇、発汗及び便秘を含む悪影響を発現させることが既知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえ、トラマドールの放出制御製剤のための好適な投薬処方の開発への要求が存在する。さらに詳細には、トラマドールがもたらす有害な副作用の発生及びそれに付随する重症度を著しく低下させ、それゆえこれらの影響のための患者による潜在的な中止を減少させ、正しく治療される患者の数を増加させる、放出制御トラマドールの投薬処方への要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
4.定義
「放出制御」という用語は、本発明の目的上、約12時間又はそれ以上の期間、さらに好ましくは約24時間又はそれ以上の期間にわたる、インビトロでの薬物(すなわちトラマドール)の放出として定義される。「放出制御」という用語は、欧州医薬品委員会(Committee on Proprietary Medicinal Products,「CPMP」)によって使用される用語「長期放出」を含むと見なされる。
【0008】
反対に規定しない限り、本開示を通してなされる何れの薬学的化合物(例えばトラマドール)に対する言及も、その薬学的化合物、すなわちいわゆるその化合物の遊離形だけではなく、薬学的に許容される誘導体、その化合物の薬学的に許容される塩、その化合物の塩基形、その化合物の光学異性体、その化合物の立体異性体、及び上述のいずれかの混合物も含む。
【0009】
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」という表現は、酸と、活性剤又は有害剤の塩基性基とから形成される。一般にそのような塩の例は、これに限定されるわけではないが、サルフェート、シトレート、アセテート、オキサレート、クロライド、ブロマイド、ヨージド、ニトレート、ビサルフェート、ホスフェート、酸ホスフェート、イソニコチネート、ラクテート、サリチレート、酸シトレート、タートレート、オレエート、タンネート、パントテネート、ビタートレート、アスコルベート、スクシネート、マレエート、ゲンチシネート、フマレート、グルコネート、グルカロネート、サッカレート、ホルメート、ベンゾエート、グルタメート、メタンスルホネート、エタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、p−トルエンスルホネート、グルビオネート及びパモエート(すなわち1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート))塩を含む。また、「薬学的に許容される塩」という用語は、酸性官能基を有する活性剤又は有害剤、例えばカルボン酸又はスルホン酸官能基と、薬学的に許容される無機又は有機塩基とから調製された塩も指す。一般にそのような塩基の例は、これに限定されるわけではないが、アルカリ金属、例えばナトリウム、カリウム、及びリチウムの水酸化物;アルカリ土類金属、例えばカルシウム及びマグネシウムの水酸化物;他の金属、例えばアルミニウム及び亜鉛の水酸化物;アンモニア、及び有機アミン、例えば非置換又はヒドロキシ置換モノ−、ジ−又はトリ−アルキルアミン;ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;ピリジン;N−メチル,N−エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ−、ビス−、又はトリス−(2−ヒドロキシ−低級アルキルアミン)、例えばモノ−、ビス−、又はトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン,又はトリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N,N,−ジ−低級アルキル−N−(ヒドロキシ低級アルキル)−アミン、例えばN,N,−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン、又はトリ−(2−ヒドロキシエチル)アミン;N−メチル−D−グルカミン;及びアミノ酸、例えばアルギニン、リジンなどを含む。
【0010】
本明細書で使用される「塩基形」という用語は、例えばトラマドールでは、酸性官能基、例えばカルボン酸又はスルホン酸官能基を有するトラマドールと、薬学的に許容される無機又は有機塩基とから調製された塩を指す。好適な塩基は、これに限定されるわけではないが、アルカリ金属、例えばナトリウム、カリウム、及びリチウムの水酸化物;アルカリ土類金属、例えばカルシウム及びマグネシウムの水酸化物;他の金属、例えばアルミニウム及び亜鉛の水酸化物;アンモニア、及び有機アミン、例えば非置換又はヒドロキシ置換モノ−、ジ−又はトリ−アルキルアミン;ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;ピリジン;N−メチル,N−エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ−、ビス−、又はトリス−(2−ヒドロキシ−低級アルキルアミン)、例えばモノ−、ビス−、又はトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン,又はトリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N,N,−ジ−低級アルキル−N−(ヒドロキシ低級アルキル)−アミン、例えばN,N,−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン、又はトリ−(2−ヒドロキシエチル)アミン;N−メチル−D−グルカミン;及びアミノ酸、例えばアルギニン、リジンなどを含む。
【0011】
「トラマドール様副作用」という用語は、本発明の目的上、これに限定されるわけではないが、吐き気、嘔吐、眠気、めまい、掻痒、口渇、及び便秘を含むとして定義される。
【0012】
「妨害刺激副作用」は、本発明の目的上、これに限定されるわけではないが、歯痛、咳、腹痛、関節痛、視界不良、発熱、及び消化不良を含むとして定義される。
【0013】
「統計的に有意な」という用語は、本発明の目的上、P<0.04999として定義され、ここでP値は、FischerのLSDを使用した分散分析からの、治療グループ対プラセボのペアワイズ比較から誘導される。
【0014】
「THCR」という用語は、本発明の目的上、トラマドールヒドロクロライド放出制御経口製剤として定義される。
【0015】
本明細書で使用される「実質的に」という用語は、その後に続く形容詞又は形容詞句を修飾するときに、その形容詞又は形容詞句が修飾する名詞又は代名詞に関して、形容詞又は形容詞句が少なくとも約95%レベル、好ましくは少なくとも約98%レベル、さらに好ましくは少なくとも99%レベル、例えば少なくとも約99.9%レベルに当てはまることを意味すると理解すべきである。
【0016】
「硬化」という用語は、本発明の目的上、安定した最終経口薬学的放出制御製剤を得るための、投薬形(又は中間生成物)の熱処理として定義される。本発明の剤形が、疎水性遅延剤の一部又は全部としてポリマーを包含するときに、当業者は、熱処理が硬化を引き起こすことと、ポリマーがおそらくそれ自体と架橋してさらに安定な状態となることを認識するであろう。本発明の剤形がポリマーを包含せず、むしろ疎水性物質、例えば水素添加植物油又はステアリルアルコールを含むとき、当業者は、熱処理がポリマーの硬化よりも、剤形のアニーリングに類似していることを認識するであろう。しかしながら本発明の目的上、「硬化」という用語の使用は、硬化及び/又はアニーリングの両方を含むと見なされる。
【0017】
「安定な溶出挙動」及び「硬化終点」という用語は、本発明の目的上、硬化された固体製剤(例えば錠剤)が、不変である使用環境に置かれたときに、加速貯蔵条件に硬化剤形を暴露した後でも、活性剤(例えばトラマドール)の放出を再現的に提供することを意味すると定義される。当業者は、「不変である」とは、硬化剤形からの活性剤の放出における一切の変化が所望の効果に関して重要でないと見なされることを意味することを認識するであろう。薬学的剤形では、安定性は、剤形の有効期限に従って、例えば監督官庁、例えば米国の食品医薬品局(Food & Drug Administration,「FDA」)、又は欧州のCPMPによって決定される。
【0018】
「加速貯蔵条件」という表現は、例えば高温及び/又は高湿度の貯蔵条件を意味する。好ましくは「加速貯蔵条件」という表現は、規制認可(例えば米国のFDA認可)及び有効期限を得る目的で最終薬物剤形が置かれる貯蔵条件を指す。
【0019】
「有効期限」という用語は、本発明の目的上、製品(例えば硬化コーティング基材)のバッチが、定義された条件下で貯蔵した場合に仕様範囲内にとどまっていることが期待される期間を示し、それ以降に使用すべきではない日付として定義される。
【0020】
「バンド範囲」という用語は、本発明の目的上、コーティング製品の製造完了時(貯蔵前)に剤形によって得られた溶出挙動(曲線)と、コーティング製品を加速貯蔵条件に置いた後に得られた溶出挙動とを比較したときに、溶解曲線に沿った任意の溶解時点にてコーティング製品から放出された活性剤のパーセントの変化として表現される、放出制御剤形のインビトロ溶解測定値の差として定義される。
【0021】
「W 50」という用語は、トラマドールのインビボ血漿濃度(ng/ml)対投与後の経過時間(時)のグラフ表示の曲線の幅として定義される。
【0022】
5.発明の要約
1つの実施形態において、本発明は、約4〜約10日間、放出制御製剤でトラマドール約75mg〜約125mgを1日1回又はq.d.投与し;次に、約4〜約10日間、放出制御製剤でトラマドール約175mg〜約225mgを1日1回投与し;次に、少なくとも1日、及び場合によりそれ以降に、放出制御製剤でトラマドール約275mg〜約325mgを1日1回投与することを含む、トラマドールを患者に投与するための投薬処方を含む。
【0023】
別の実施形態において、本発明は、それを必要とする人に、放出制御トラマドール 100mgをq.d.又は1日1回、約7日連続で(第1日目から第7日目に)投与することを含み、放出制御トラマドール200mg q.d.を、次の約7日連続で(第8日目から第14日目に)投与し、そして次に、トラマドール300mg q.d.を、約第15日目、及び場合によりそれ以降に投与することが続く、漸増投薬処方を含む。
【0024】
本発明は、放出制御トラマドールを300mg q.d.の投薬量で第16日目及びその後の期間にわたって投与を続けるか、あるいは第15日目以降に患者への放出制御トラマドールの投与の増加、減少又は中止を行う、漸増投薬処方を含む。例えば本発明は、第16日目から第21日目まで放出制御トラマドール300mg q.d.を投与することを含む。
【0025】
本発明の1つの実施形態は、トラマドールの投薬処方の投与のためのキットであって:
以下の投薬処方に従って、トラマドールの以下の量を放出制御経口製剤で投与するための説明書と、
第1日目から第7日目、トラマドール100mg、1日1回;
第8日目から第14日目、トラマドール200mg、1日1回;
第15日目から第21日目及び場合によりそれ以降、トラマドール300mg、1日1回;
上記投薬処方に従ってトラマドールを投与するために十分な量のトラマドールの放出制御経口製剤と
を含むキットを含む。
【0026】
さらなる実施形態は、約4〜約10日間、放出制御製剤でトラマドール約175mg〜約225mgを1日1回投与し;次に、少なくとも1日、及び場合によりそれ以降に、放出制御製剤でトラマドール約275mg〜約325mgを1日1回投与することを含む、トラマドールを患者に投与するための投薬処方を含む。例えば本発明は、約6日目〜約14日目に、及び場合によりそれ以降に、約275mg〜約325mgを投与することをさらに含む。
【0027】
別の実施形態において、本発明の放出制御トラマドールの漸増投薬処方は、第1日目から第7日目に放出制御トラマドール200mg q.d.を投与し;第8日目、及び場合によりそれ以降の期間に、300mg q.d.を投与することを含む。例えば本発明は、放出制御トラマドールを300mg q.d.の投薬量で第8日目から第21日目に投与することを含む。本発明は、放出制御トラマドール300mg q.d.を第8日目以降のより長い又はより短い期間にわたって投与することと同様に、第8日目以降に放出制御トラマドールの投薬量の増加、減少及び/又は中止のいずれかを行うことも含む。
【0028】
本発明の別の実施形態は、トラマドールの投薬処方の投与のためのキットであって:
以下の投薬処方に従って、トラマドールの以下の量を放出制御経口製剤で投与するための説明書と、
第1日目から第7日目、トラマドール200mg、1日1回;
第8日目から第15日目及び場合によりそれ以降、トラマドール300mg、1日1回;
上記投薬処方に従ってトラマドールを投与するために十分な量のトラマドールの放出制御経口製剤と
を含むキットを含む。
【発明の効果】
【0029】
本発明による放出制御トラマドールの漸増投薬処方は、トラマドール300mgの最も一般的に処方された用量に達するが、有害な副作用の著しい軽減及び第1日目の300mg q.d.の開始用量よりも著しく優れた耐性を生じることが多いことが見出されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
6.本発明の詳細な説明
ある実施形態において、本発明は、約4〜約10日間、放出制御製剤でトラマドール約75mg〜約125mgを1日1回投与し;次に、約4〜約10日間、放出制御製剤でトラマドール約175mg〜約225mgを1日1回投与し;次に、少なくとも1日、及び場合によりそれ以降に、放出制御製剤でトラマドール約275mg〜約325mgを1日1回投与することを含む、トラマドールを患者に投与するための投薬処方を含む。
【0031】
1つの実施形態において、本発明の処方は、放出制御トラマドール100mg q.d.が第1日目から第7日目に投与される、21日間の漸増である。放出制御トラマドールの投薬量は、第8日目から第14日目には200mg q.d.に増加され、次に第15日目から第21日目の間には放出制御トラマドール300mg q.d.に再度増加される。
【0032】
本発明の代わりの実施形態は、それを必要とする患者に、第1日目から第7日目に放出制御トラマドール100mg q.d.を投与し;第8日目から第14日目に放出制御トラマドール200mg q.d.を投与し;第15日目に放出制御トラマドール300mg q.d.を投与することを含む、放出制御トラマドールの漸増投薬処方を含む。トラマドールの患者への投与は、300mgの投薬量レベルで継続するか、患者の必要性に応じて増加、減少、又は中止する。
【0033】
別の実施形態において、本発明は、トラマドールの投薬処方の投与のためのキットであって:
以下の投薬処方に従って、以下の量のトラマドールを放出制御経口製剤で投与するための説明書と、
第1日目から第7日目、トラマドール100mg、1日1回;
第8日目から第14日目、トラマドール200mg、1日1回;
第15日目から第21日目及び場合によりそれ以降、トラマドール300mg、1日1回;
上記投薬処方に従ってトラマドールを投与するために十分な量のトラマドールの放出制御経口製剤と
を含むキットを含む。
【0034】
キットは好ましくは、100mg、200mg及び300mgからなる群より選択される量のトラマドールを含有する複数の経口製剤よりなる。
【0035】
他の実施形態において、本発明は、約4〜約10日間、放出制御製剤でトラマドール約175mg〜約225mgを1日1回投与し;次に、少なくとも1日、及び場合によりそれ以降に、放出制御製剤でトラマドール約275mg〜約325mgを1日1回投与することを含む、トラマドールを患者に投与するための投薬処方を含む。
【0036】
別の実施形態において、本発明は、それを必要とする患者に、第1日目から第7日目に放出制御トラマドール 200mg q.d.を投与し、そして第8日目に放出制御トラマドール300mg q.d.を投与することを含む、放出制御トラマドールの初期漸増投薬処方を含む。その後、投薬量レベルは、放出制御トラマドール300mg q.d.で維持するか、あるいは患者の必要性に応じて増加、減少又は中止する。
【0037】
別の実施形態において、本発明は、トラマドールの投薬処方の投与のためのキットであって、
以下の投薬処方に従って、以下の量のトラマドールを放出制御経口製剤で投与するための説明書と、
第1日目から第7日目、トラマドール200mg、1日1回;
第8日目から第15日目及び場合によりそれ以降、トラマドール300mg、1日1回;
上記投薬処方に従ってトラマドールを投与するために十分な量のトラマドールの放出制御経口製剤と
を含むキットを含む。
【0038】
キットは好ましくは、100mg、200mg及び300mgからなる群より選択される量のトラマドールを含有する複数の経口製剤よりなる。
【0039】
本発明の投薬処方は、トラマドールを含有するいずれかの放出制御製剤を投与することによって実施する。しかしながら、ある実施形態において、放出制御製剤は経口製剤、例えば錠剤又はカプセル剤である。
【0040】
トラマドールは、いずれかの薬学的に許容される形の放出制御製剤で存在する。放出制御製剤は、少なくとも約12時間又はそれ以上、トラマドールのインビトロ放出を提供する。ある実施形態において、放出制御製剤は、約24時間又はそれ以上、トラマドールのインビトロ放出を提供する。

6.1 放出制御トラマドール製剤
【0041】
本発明は、トラマドールのいずれかの放出制御製剤を投与するための漸増投薬処方を含む。好適な放出制御トラマドール経口製剤の例は、米国特許第6,326,027号及び第6,306,438号に見出され、その開示は全体にわたって本明細書に明示的に組み込まれている。以下の詳細な説明は、剤形の例、及び本発明に従って投与される経口THCRの製造方法について述べる。
【0042】
例えば放出制御トラマドール経口製剤を得るために、トラマドールは、1又はそれ以上の疎水性(放出遅延)材料、例えばワックス又はワックス様材料(「ワックス様物質」)の十分な量と均質に組み合せることができる。
【0043】
そのような放出制御トラマドール剤形で使用される疎水性材料は例えば材料、例えばアクリル又はメタクリルポリマーあるいはコポリマー、アルキルセルロース、ゼイン、セラック、これに限定されるわけではないが水素添加脂、例えば水素添加植物油、水素添加ヒマシ油、微結晶性ワックス、ノーマルワックス、ビーワックス、カルナバワックス、パラフィン、又はグリセリンモノステアレートを含む天然又は合成ワックス又はオイルを含み、45〜140℃、好ましくは50〜110℃の融点を有する。例えばアンモニオメタクリレートコポリマーが適切である。
【0044】
疎水性材料は、いずれかの薬学的に許容されるアクリルポリマーであり、これに限定されるわけではないが、アクリル酸及びメタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸)(無水物)、メチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(メタクリル酸無水物)、及びグリシジルメタクリレートコポリマーのいずれかを含む。
【0045】
アクリルポリマーは、1又はそれ以上のアンモニオメタクリレートコポリマーを含むものでもある。アンモニオメタクリレートコポリマーは当技術分野で周知であり、アクリル酸及びメタクリル酸エステルと低含有量の第4級アンモニウム基との十分に重合したポリマーである。そのようなアクリルポリマーの例は、Rohm Pharmaから商標名Eudragit(商標)で市販されているアクリル樹脂ラッカーである。
【0046】
上の材料の代わりに、又はそれに加えて、本発明の剤形で使用されるワックス又はワックス様物質は、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド(モノ−、ジ−、及びトリ−グリセリド)、高級脂肪族系(例えばC10−C20)酸、高級脂肪族系(例えばC12−C36)アルコール、長鎖脂肪酸、及びそれらの混合物を含む。ある実施形態において、有用な非水溶性ワックス様物質は、約1:5,000(w/w)より低い水溶性を有するワックス様物質である。高級脂肪族系アルコールは例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール又はステアリルアルコールである。
【0047】
1つの特に好適な放出制御基材は、1又はそれ以上のアルキルセルロース及び1又はそれ以上のC12−C36脂肪族アルコールを含む。アルキルセルロースは好ましくはC−Cアルキルセルロース、特にエチルセルロースであり、高級脂肪族アルコールは好ましくはステアリルアルコールである。
【0048】
放出制御剤形からの活性剤の放出は、1又はそれ以上の放出調節剤の基材への添加によって、さらに影響を及ぼす、すなわち所望の速度に調整することができる。剤形の放出特性を調節するために、放出調節剤は1又はそれ以上の水溶性親水性ポリマーを含むことができる。好適な親水性ポリマーの例は、セルロースエーテル、例えばヒドロキシアルキルセルロース(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース)、及びカルボキシアルキルセルロース、アクリル樹脂及びタンパク質由来材料を含む。合成水溶性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシドなど、及び多糖類、例えばプルラン、デキストラン、スクロース、グルコース、フルクトース、マンニトール、ラクトース、マンノース、ガラクトース、ソルビトール及びそれらの混合物も使用できる。
【0049】
剤形の放出特性を変更するために、半透性ポリマーを基材に包含することもできる。そのような半透性ポリマーは、例えばセルロースアクリレート、アセテート、及び他の半透性ポリマー、例えば米国特許第4,285,987号に述べられている半透性ポリマーはもちろんのこと、米国特許第3,173,876号;第3,276,586号;第3,541,005号;第3,541,006号及び第3,546,142号に開示されているようなポリカチオンとポリアニオンとの共沈によって形成された選択透過性ポリマーも含む。
【0050】
ある疎水性ポリマーを使用するときには、可塑剤を添加することも望ましい。エチルセルロースの好適な可塑剤の例は、非水溶性可塑剤、例えばジブチルシトレート、ジブチルセバケート、ジエチルフタレート、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、及びトリアセチンを含むが、他の非水溶性可塑剤(例えばアセチル化モノグリセリド、フタレートエステル、ヒマシ油など)を使用することが可能である。アクリルポリマー用の好適な可塑剤は、クエン酸エステル、例えばトリエチルシトレート、トリブチルシトレート、ジブチルフタレート、及びおそらく1,2−プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチルフタレート、ヒマシ油、及びトリアセチンを含むが、他の非水溶性可塑剤(例えばアセチル化モノグリセリド、フタレートエステル、ヒマシ油など)を使用することが可能である。しかしながら放出制御トラマドール製剤は、可塑剤の存在なしに調製できる。
【0051】
上述に加えて、放出制御トラマドール剤形は、薬学的に許容される担体及び賦形剤を含んでいてもよい。経口製剤を処方するために使用する薬学的に許容される担体及び賦形剤の具体的な例は、参照として本明細書に組み込まれているHandbook of Pharmaceutical Excipients, American Pharmaceutical Association(1986)に述べられている。固体経口製剤を作成するための技法及び組成は、参照として本明細書に組み込まれている、Marcel Dekker, Inc.が出版したPharmaceutical Dosage Forms: Tablets(Lieberman, Lachman and Schwartz, editors)Second Editionに述べられている。錠剤(圧縮及び成形)、カプセル剤(硬及び軟ゼラチン)及び丸剤の技法及び組成も、参照として本明細書に組み込まれている、Remington's Pharmaceutical Sciences, (Arthur Osol, editor), 1553-1593(1980)に述べられている。製薬業界において普通である薬学的に許容される成分は、希釈剤、潤滑剤、バインダー、造粒助剤、着色料、着香料、界面活性剤、pH調整剤、固結防止剤及び流動促進剤、例えばジブチルセバケート、アンモニウムヒドロキシド、オレイン酸及びコロイド状シリカを含む。
【0052】
放出制御製剤中のトラマドールの総量は、これに限定されるわけではないが約20〜約80重量%、好ましくは約40〜約60重量%、及び最も好ましくは約45〜約55重量%を含む、幅広い範囲内で変化する。放出制御製剤中の疎水性材料の総量も、これに限定されるわけではないが、約80〜約20重量%を含めて幅広く変化する。
【0053】
1つの実施形態において、1日1回投薬に適した放出制御トラマドール製剤は、放出トラマドールの以下の%速度:約1時間後の放出トラマドール約0〜約50%;約2時間の放出トラマドール約0〜約75%;約4時間後の放出トラマドール約10〜約95%;約8時間後の放出トラマドール約35〜約100%;約12時間後の放出トラマドール約55〜約100%;約16時間後の放出トラマドール約70〜約100%;約24時間後の放出トラマドール約90%超;に相当するインビトロ放出速度を有する。
【0054】
別の実施形態において、1日1回投薬に適した放出制御トラマドール製剤は、放出トラマドールの以下の%速度:約1時間後の放出トラマドール約0〜約30%;約2時間後の放出トラマドール約0〜約40%;約4時間後の放出トラマドール約3〜約55%;約8時間後の放出トラマドール約10〜約65%;約12時間後の放出トラマドール約20〜約75%;約16時間後の放出トラマドール約30〜約88%;約24時間後の放出トラマドール約50〜約100%;約36時間後の放出トラマドール約80%超;に相当するインビトロ放出速度を有する。
【0055】
さらに好ましくは、1日1回投薬に特に適した放出制御トラマドール製剤は、以下のインビトロ放出速度:約1時間後の放出トラマドール約15〜約25%;約2時間後の放出トラマドール約25〜約35%;約4時間後の放出トラマドール約30〜約45%;約8時間後の放出トラマドール約40〜約60%;約12時間後の放出トラマドール約55〜約70%;約16時間後の放出トラマドール約60〜約75%;を有する。
【0056】
ある実施形態において、1日1回投薬に適した放出制御トラマドールは、約3〜約8時間、好ましくは約4〜約5時間の範囲のTmax、及び約10〜約33時間の範囲のW50値を有する。
【0057】
本明細書で示したインビトロ放出速度は、別途規定しない限り、pH6.5のリン酸緩衝液中で37℃にて、USP Apparatus 2(Paddle Method)を100rpmで使用して測定することにより得られた放出速度である。
【0058】
放出制御剤形は、鎮痛に有効な量のトラマドールを含有することが好ましく、投薬単位当たり、約50〜約300mgの範囲、特に100、200又は300mg(トラマドールヒドロクロライドとして計算)であることが好適である。
【0059】
放出制御剤形は、例えば摂取されて、胃液、そして腸液に暴露されたときに、トラマドールをゆっくりと放出する。剤形の放出制御挙動は、例えば、疎水性ポリマーの量を変更することによって、疎水性ポリマーに対する可塑剤の量を変更することによって、追加の成分又は賦形剤の包含によって、製造方法を変更することなどによって、変更できる。

6.2 放出制御トラマドール製剤の製造
【0060】
本発明は、特定の剤形又は製剤の製造に関わらず、放出制御トラマドールの投薬を含む。放出制御トラマドール製剤を製造する以下の方法例は適切である。加えて、放出制御トラマドール製剤を製造する好適な方法は、参照により本明細書に各開示が明示的に組み込まれている、米国特許第6,306,438号及び第6,326,027号に述べられている方法を含む。
【0061】
本発明で使用するための放出制御調製物を調製する1つの許容される工程は、例えば、
(a)トラマドール又はその薬学的に許容される塩及び1又はそれ以上のアルキルセルロースを含む混合物を造粒し、
(b)アルキルセルロース含有粒剤を1又はそれ以上のC12−C36脂肪族アルコールと混合し、場合により
(c)粒剤を成形及び圧縮し、所望によりフィルムコーティングする
ことにより、トラマドールを放出制御基材に包含させることを含む。
【0062】
放出制御製剤を製造するための別の好適な方法は、以下の通りである。
(a)トラマドール又はその薬学的に許容される塩、ラクトース及び1又はそれ以上のアルキルセルロースと、1又はそれ以上のC12−C36脂肪族アルコールと共に含む混合物を造粒し、場合により、
(b)粒剤を成形及び圧縮し、所望によりフィルムコーティングする。
また、放出制御製剤は、
(a)トラマドール又はその薬学的に許容される塩及び球状化剤を含む混合物を造粒し、
(b)押出物を与えるために粒状混合物を押出しし、
(c)回転楕円体が形成されるまで押出物を球状化し、
(d)回転楕円体をフィルムコートでコーティングする
ことによって、フィルムコーティング回転楕円体の形で調製することもできる。
【0063】
また、放出制御製剤は、乾燥活性成分及び可融性放出制御材料の混合物を形成し、続いて、可融性材料を溶融又は軟化するのに十分なエネルギー入力を用いて、高速ミキサーで混合物を機械加工することによっても調製され、それによって活性成分を含む粒子を形成できる。得られた粒子は冷却後に、適切にふるいにかけて、どの次元でも約0.1〜約3.0mmの範囲のサイズを有する粒子を得る。
【0064】
持続放出製剤は、活性成分、疎水性材料又は希釈剤及び場合により、親水性放出調節剤を含む放出制御粒子を充填したカプセル剤を含む。
【0065】
親水性放出調節剤は、水溶性可融性材料、例えばポリエチレングリコールでもよいし、粒子状材料、例えばジカルシウムホスフェート又はラクトースでもよい。
【0066】
放出制御トラマドール製剤の製造の別の許容される工程は、
(a)高速ミキサーにて、粒子形のトラマドールと、約35〜約140℃の融点を有する粒子状疎水性材料又は希釈剤と、場合により、水溶性可融性材料、又は粒子状溶解性又は不溶性有機又は無機材料を含む放出制御構成要素との混合物を、担体又は希釈剤を溶融又は軟化させる速度及びエネルギー入力にて機械加工し、
(b)放出制御核を与えるためにより大きな凝集体を破壊し、
(c)場合により低パーセンテージの担体又は希釈剤をさらに添加して、機械加工を継続し、
(d)場合によりステップ(c)及びおそらく(b)を1回又はそれ以上反復する
ことを含む。
【0067】
大きすぎる又は小さすぎる材料を除去するために、得られた粒子をふるいにかけて、次に、例えば活性物質の所望の用量を含有する硬ゼラチンカプセル剤へのカプセル化によって、又は錠剤への圧縮によって、所望の投薬単位に形成する。
【0068】
この方法では、すべてのトラマドールを、使用した疎水性材料の大部分と共に、ステップ(a)で添加できる。
【0069】
工程の段階(a)は、標準ステンレス鋼内部を備えた従来の高速ミキサー、例えばCollette Vactron 75又は同等のミキサーで実施できる。混合物は、約40℃又はそれ以上の床温が達成されるまで処理され、得られた混合物は凝集性粒状組織を備え、粒径は約1〜3mmから、非凝集性原材料の場合には微粉末までの範囲である。そのような材料は一般に、40℃以下への冷却時に構造完全性及び指の間での押し潰しに対する耐性を有する凝集体の外観を持つ。この段階で凝集体は、不規則なサイズ、形状及び外観である。
【0070】
凝集体は好ましくは放冷させる。凝集体が冷える温度は重要でなく、室温〜37℃の範囲の温度が好都合に使用される。
【0071】
凝集体は、大きすぎる凝集体を粉砕し、粉末及び好ましくは直径2mm以下の小粒の混合物を生成する、いずれかの好適な手段によって崩壊させる。粒子は、好適なサイズのメッシュを備えたJackson Crockatt造粒器、又は好適なサイズのふるいを備えたコーミルを使用してサイズによって分別する。メッシュサイズ12が十分であることが見出されている。
【0072】
分別した材料を高速ミキサーに戻し、処理を継続する。これがより細かい粒子の均一なサイズ範囲の粒子への凝集につながると考えられる。
【0073】
分別した材料の処理は、使用した疎水性材料が軟化又は溶融を開始するまで継続して、そして場合により追加の疎水性材料をそこで添加する。混合は、混合物が所望の規定サイズ範囲の粒子に変換されるまで継続する。
【0074】
高速ミキサー内での成分への均一なエネルギー入力を得るために、エネルギーの少なくとも一部はマイクロ波エネルギーによって供給される。またエネルギーは、他の手段、例えば加熱ジャケットによって、又はミキサーインペラ及びチョッパーブレードによっても送達できる。
【0075】
粒子が形成された後、粒子を冷却又は放冷して、次にふるいにかけて被覆材料又は小さすぎる材料を除去する。
【0076】
得られた粒子を使用して、例えば錠剤、カプセル剤、多粒子剤又は粒剤の形の投薬単位をそれ自体既知の方法で調製する。本発明による放出制御剤形は、製薬業界で一般的などのフィルムコーティング材料を使用しても好都合にフィルムコーティングできる。好ましくは水性フィルムコーティングが使用される。
【0077】
粒剤又は錠剤は、周知の方法によってフィルムコーティングされる。例えば粒剤は、フィルムコーティングされて、次にトラマドールの単位用量に分割されるか(例えば、ゼラチンカプセル剤に入れられる)、又は錠剤に圧縮されるかのどちらかである。フィルムコーティングは、硬化ステップの前又は後に完成される。
【0078】
他の実施形態において、フィルムコーティングは実質的に親水性ポリマーを含み、剤形からの薬物の放出速度に影響を及ぼさない。好ましく使用されるフィルムコーティングは、平滑及び簡潔であり、顔料及び他のコーティング添加剤を支持可能であり、非毒性、不活性及び非粘着性である強力な連続フィルムを生成することができるものである。
【0079】
ある実施形態において、フィルムコーティングは、製剤の放出特性に寄与する。そのような場合、製剤、例えば粒剤又は錠剤に疎水性材料の十分量でコーティングして、約1〜約30パーセントの増量レベルを得ることができる。疎水性材料に使用される溶媒は、水、メタノール、エタノール、メチレンクロライド及びそれらの混合物を含む、薬学的に許容されるどの溶媒でもよい。しかしながら、コーティングは疎水性材料の水性分散物をベースとすることが好ましい。そのようなフィルムコーティングで使用される疎水性ポリマーは、例えばこれに限定されるわけではないがアクリル酸及びメタクリル酸コポリマーを含む薬学的に許容されるアクリルポリマー、又はアルキルセルロース、例えばエチルセルロース、例えば市販のAquacoat(商標)(FMC Corp.,フィラデルフィア、ペンシルベニア州、米国)として既知のエチルセルロースの水性分散体を含む。ある例のアクリルポリマーは、Rohm Pharmaから商標名Eudragit(商標)で市販されている1又はそれ以上のアンモニオメタクリレートコポリマーでもよい。
【0080】
放出制御錠剤製剤を形成するために、上述のように調製した粒子は、所望の賦形剤、例えば標準賦形剤の1又はそれ以上、例えば希釈剤、潤滑剤、結合剤、流動助剤、崩壊剤、表面活性剤又は水溶性ポリマー材料が存在する場合、従来の手順を使用して、例えばY−cone又はビン型ブレンダーを使用して混合又は混和される。得られた混合物は、次に、従来の打錠手順に従って、好適なサイズの打錠型を使用して圧縮される。錠剤は従来の打錠機、例えば標準シングルパンチF3 Manesty機又はKilian RLE15回転打錠機を使用して作製できる。錠剤はいずれの好適な形状、例えば丸形、長円形、両凹形、半球形等でもよい。
【0081】
好適な希釈剤は、微結晶性セルロース、ラクトース及びジカルシウムホスフェートを含む。好適な潤滑剤は、例えばマグネシウムステアレート及びナトリウムステアリルフマレートである。好適な結合剤は、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビドン及びメチルセルロースである。
【0082】
好適な崩壊剤は、デンプン、ナトリウムデンプングリコレート、クロスポビドン及びクロスカルマロースナトリウムを含む。好適な表面活性剤は、Poloxamer 188(登録商標)、ポリソルベート80及びナトリウムラウリルサルフェートを含む。好適な流動助剤は、タルクコロイド状無水シリカを含む。好適な水溶性ポリマーは、1000〜6000の範囲の分子量を有するポリエチレングリコール(「PEG」)を含む。
【0083】
一般に、トラマドールのような高水溶性活性剤を用いても、標準方法に従って圧縮によって形成した錠剤は、例えば24時間を超える、そしてある実施形態では36時間を超える期間にわたる放出に相当する、活性成分の非常に低いインビトロ放出速度を与える。しかしながら、粒子の形成及び打錠に使用する材料ならびにそれらが使用される割合の好適な選択は、圧縮錠剤からのトラマドール又はその塩の最終溶解及び放出速度における著しい程度の制御を可能にする。例えば薬物のより高い装填は通例、放出速度上昇と関連付けられるであろう;粒子における水溶性可融性材料及び打錠剤形における表面活性剤のより大きな割合での使用も、活性成分のより高い放出速度と関連付けられるであろう。これらの成分の相対量を制御することによって、トラマドールの放出挙動を調整することができる。
【0084】
ある実施形態において、本発明で使用した放出制御トラマドール製剤は、安定性を提供する方法で調製される。製剤は、加速貯蔵条件への暴露後、又は室温での長期貯蔵後にさえ、製剤が再現性の安定な溶出挙動を与える終点まで硬化させる。製剤は、安定性を達成するために、長期にわたる高温への暴露によって硬化される。疎水性材料がワックス様物質のみを含む状況において、硬化は約35℃〜約65℃の温度にて、安定性が達成される十分な期間にわたって、例えば約4〜約72時間の期間にわたって達成される。他の実施形態において、硬化は、約40℃〜約60℃の温度にて、約5〜約48時間の期間にわたって、好ましくは少なくとも約24時間実施する。安定化製剤の意図した結果を達成する好適な硬化時間は、当業者に既知である。
【0085】
硬化終点は、硬化直後の硬化製剤の溶出挙動(以下、「初期溶出挙動」)を加速貯蔵条件又は室温での長期貯蔵への暴露後の製剤の溶出挙動と比較することによって決定した。一般に、硬化終点は、例えば37℃/80%RH又は40℃/75%RHの加速貯蔵条件への1ヶ月の期間にわたる暴露後の剤形の溶出挙動を、初期溶出挙動と比較することによって決定する。しかしながら、硬化終点は、硬化したコーティング剤形を加速貯蔵条件に更なる期間にわたって暴露することを継続し、例えば2ヶ月及び/又は3ヶ月のさらなる暴露後の剤形の溶出挙動を、得られた初期溶出挙動と比較することによって、さらに確認できる。
【0086】
ある実施形態において、硬化終点は、例えば1〜3ヶ月の加速条件への暴露後に得られた溶解曲線のグラフに沿ってプロットしたデータ点が、貯蔵前に実施したインビトロ溶解と比較して、どの時点においても放出された活性剤の全量の約20%を超えて変化しない活性剤(トラマドール)の放出を示すときに達成される。インビトロ溶解曲線におけるそのような差は、当技術分野で「バンド範囲」又は「バンド幅」と呼ばれる。ある実施形態において、バンド範囲は、放出された活性剤の総量の10%〜15%未満である。
【0087】
FDA指針によって採用された、一般に許容される加速試験は、80%相対湿度(RH)及び37℃での薬物製品の(例えばその容器又はパッケージ内での)貯蔵に関する(1985 FDA指針)。製品がこれらの条件下で例えば3ヶ月間持ちこたえた場合(化学安定性、溶解、及び物理特性)、薬物製品は例えば2年間の有効期限が認められるであろう。この加速試験は、75%RH及び40℃でも実施される。薬学的剤形に対して長期貯蔵試験を25℃±2℃、少なくとも60%RH±5%で最低12ヶ月の期間にわたって実施することが提案されている。薬学的剤形に対して、加速試験を40℃±2℃、75%RH±5%で最低6ヶ月の期間にわたって実施することがさらに提案されている。上述の加速試験の基準及びその他の全ては、安定性の判定及び硬化終点の判定に関して、本発明の目的上、同等と見なされる。

7.実施例
7.1
【実施例1】
【0088】
投薬の頻度を減少させるために、1日1回の投与により軽度から中程度の疼痛を緩和するための放出制御トラマドールヒドロクロライド剤形を開発した。以下に述べるような臨床実験を、以下の製品を使用して実施した。

I.放出制御トラマドール製剤
【0089】
A)200mgのトラマドールHClの放出制御錠剤
【表A】

錠剤は、水に分散させた4.5% Opadry Beigeでさらにコーティングする。
放出制御トラマドール経口錠剤は、以下の工程を使用して上の処方に従って作成した。
1.潤滑剤を除くすべての成分をVブレンダーで混和する。
2.複数の加熱ゾーンを有するLeistritz ZSE−27ツインスクリュー押出機に連結された粉末フィーダーに混合物を入れる。
3.押出機ゾーン2〜6の温度を70℃に、ゾーン7及び8を75℃に、ゾーン9及び10を85℃に、ダイを100℃に設定する。
4.押出スクリューの回転速度を200rpmに設定する。
5.フィーダーとコンベヤを始動させる。
6.賦形剤を溶融させ、薬物を溶融混合物に埋め込んだ後、粘性塊を直径約3mmの複数の紐状に押し出す。
7.コンベヤベルト上を運搬される間に、押出物を凝固及び硬化させる。
8.ペレタイザーを使用して、押出物を約1インチのロッドに切る。
9.フィッツミル(Fitzmill)を使用して押出物を粉砕する。
10.同じ大きさの押出物を、マグネシウムステアレート及びタルクの必要量とVブレンダーでブレンドすることによって潤滑する。
11.好適な工具を装備した錠剤プレス機を使用して、潤滑ブレンドを錠剤に圧縮した。この例では、作製したTHCR製剤は、各側面を2分する刻み線を有し、0.2320”×0.5720”のサイズを有する200mg錠剤であった。
12.錠剤をホットパックオーブン内で50℃にて24時間硬化させる。
13.48インチパンを装備したCompulab Coaterを用いて、錠剤を水に分散させたOpadryでコーティングする。
【0090】
トラマドールHCl放出制御錠剤のインビトロ測定を、以下の溶解方法(No.340−DS1−1AS)を用いて実施した:
1.装置− USP Type II(Paddle)、100RPM
2.溶媒− 55mM カリウムホスフェート緩衝液 900ml、pH6.5、37℃
3.サンプリング時間− 2、8、24時間
4.分析試験− Waters Symmetry C−18カラムを使用した高速液体クロマトグラフィー、及び270nmでのUV測定
【表B】

【0091】
B)100mgのトラマドールHClの放出制御投薬
製造工程
1.上述の処方及び方法に従って作製した200mgのトラマドールの放出制御錠剤を、刻み目において手で2つに割る。
2.半分の錠剤の一方をサイズ0のゼラチンカプセル剤に充填する。
3.カプセル剤にラクトースを詰め戻す。
【0092】
溶解方法
溶解試験方法は、200mgの錠剤に関して上述した方法と同じとした。
溶解結果
【表C】

【0093】
C)300mgのトラマドールの放出制御投薬
300mgのトラマドールの放出制御錠剤の投薬は、上で調製した200mgのトラマドールの放出制御錠剤1個、及び同様に上で調製した100mgのトラマドールの放出制御投薬1個の形で提供された。

II.臨床試験及び結果
【0094】
トラマドールヒドロクロライド放出制御錠剤の各種用量の漸増計画の効果を、複数回投与、無作為化、二重盲検、平行グループ、プラセボ対照、マルチセンター、外来患者試験で試験した。上記試験では合計205名の男性対象者を試験に登録し、4つの治療グループのうちの1つに無作為に割り当てた。評価可能対象の予定合計数は、200名であり、治療グループにつき対象者50名であった。治療グループは、21日連続の投与期間に、300mg/日の試験目標用量を達成するために3つの異なる速度で漸増を受けた:「THCR 100グループ」は、第1日目から第7日目は100mg q.d.、第8日目から第14日目は200mg q.d.、第15日目から第21日目は300mg q.d.という投薬処方に従い;「THCR 200グループ」は、第1日目から第7日目は200mg q.d.、第8日目から第14日目は300mg q.d.、第15日目から第21日目は300mg q.d.というの投薬処方に従い;「THCR300グループ」は、第1日目から第7日目は300mg q.d.、第8日目から第14日目は300mg q.d.、第15日目から第21日目は300mg q.d.という投薬処方に従った。第4のグループには試験の期間中にプラセボを投与した。試験薬剤又はプラセボは常に1日1回又はq.d.で投与した。対象者193名が試験を完了した。観察された有害事象を評価した。本明細書で使用するように、有害事象又は副作用は、薬物関連と見なされるかどうかを問わず、臨床試験のいずれかの相で発生する身体的徴候、症状、又は実験室での変化によって示されるような、解剖学的、生理的、又は代謝的な機能の有害な、病的な、又は意図せぬ変化を含む。
【0095】
すべての試験薬剤はボトルに詰めて、対象者に週1回分配した。すべての対象者に毎週ボトル2本を与えた:ボトルA、THCR 200mg錠剤又は適合するプラセボ錠剤を含有する;ボトルB、カプセルに詰めた、THCR 200mg錠剤の錠剤半分(100mg)又は適合するプラセボカプセル剤を含む。各参加者に、試験薬剤を摂取する方法に関する詳細な説明書を与えた。特に、各参加者は、ボトルAから錠剤1個及びボトルBからカプセル剤1個を午前8:00(±2時間)に経口摂取するよう指示された。参加者が属した治療グループにより、参加者のボトル内の錠剤及び/又はカプセル剤にTHCR又はプラセボが含まれるかどうか決定された。
【0096】
「トラマドール様副作用及び妨害刺激誘発副作用の平均重症度」というタイトルが付された表1に示すように、試験結果によれば、本発明による放出制御トラマドールの漸増投薬処方が、THCR 100グループ(第1日目から第7日目は100mg q.d.、第8日目から第14日目は200mg q.d.、第15日目から第21日目は300mg q.d.)及びTHCR 200グループ(第1日目から第7日目は200mg q.d.、第8日目から第14日目は300mg q.d.、第15日目から第21日目は300mg q.d.)の治療グループに見られるように、特に第1日目から第14日目のTHCR 100グループ及び第1日目から第7日目のTHCR 200グループでの、顕著な悪影響の平均重症度が統計的に有意な方法でプラセボグループを超えなかったときに、THCR 300グループ(第1日目から第7日目は300mg q.d.、第8日目から第14日目は300mg q.d.、第15日目から第21日目は300mg q.d.)よりも有害なトラマドール誘発副作用の統計的に有意に低い平均重症度を生じたことが示された。
【0097】
さらに詳細には、THCR 300mg q.d.を投与したとき(THCR 100グループでは第15日目から第21日目;THCR 200グループでは第8日目から第14日目、及び第15日目から第21日目;THCR 300グループでは3つの期間すべて)は必ず、誘発副作用の平均重症度の差(特に最も一般的な吐き気の副作用に関して)は、プラセボグループと比較して重大であった。それゆえTHCR 100mg q.d.又は200mg q.d.での開始は、プラセボと同様で十分許容された。しかしながらTHCR 300mg q.d.での開始は、他の週の1用量とは副作用の点で異なっており、許容もされなかった。実際に、「21日間全体にわたる許容性」というタイトルが付された表2に示すように、THCR 300グループでは、THCR 200グループ及びTHCR 100グループと比較して、吐き気、便秘、めまい及び掻痒のより高い罹患率が生じた。
【表1】

【表2】

【0098】
要約すれば、最も一般的に処方される有効1日用量300mg q.d.に到達するためのTHCR 100mg q.d.又は200mg q.d.それぞれの用量で開始する漸増処方は、300mg q.d.の用量で療法を開始するよりも著しく良好な対象者の許容性をもたらし、驚くべきことに一部の場合では、プラセボと同様に許容される。本発明による漸増投薬処方の使用は、第1日目及びそれ以降の300mg q.d.放出制御トラマドールの投薬処方と比較して、開始用量及び漸増計画に基づいて放出制御トラマドールの対象者の許容性に著しい改善を示した。最も一般的な副作用に関して、THCR 100グループ(第1日目から第7日目は100、第8日目から第14日目は200、第15日目から第21日目は300)投薬処方が許容性の点で、THCR 300グループ(第1日目から第7日目は200、第8日目から第14日目は300、第15日目から第21日目は300)投薬処方より優れていた THCR 200グループ (第1日目から第7日目は300、第8日目から第14日目は300、第15日目から第21日目は300)投薬処方より優れているという、明らかな統計的に有意な漸増計画反応があった。

7.2
【実施例2】
【0099】
100mgのトラマドールHClの放出制御錠剤を調合するより好ましい方法は、以下の処方に従う:
【表D】

錠剤は、水に分散させた2.5% Opadry Whiteでさらにコーティングする。
【0100】
製造工程は、THCR 200mg錠剤に関して実施例1で上述した工程と同様である。
【0101】
以下の表は、そのようなTHCR 100mg錠剤の溶解データを示す。溶解方法は、THCR 200mg錠剤に関して実施例1で上述した方法と同様である。
【表E】


7.3
【実施例3】
【0102】
300mgのトラマドールHClの放出制御錠剤を調合するより好ましい方法は、以下のように単一の300mg錠剤を作製することである:
【表F】

錠剤は、水に分散させた4.5% Opadry Beigeでさらにコーティングする。
【0103】
製造工程は、THCR 200mg錠剤に関して実施例1で上述した工程と同様である。
【0104】
以下の表は、そのようなTHCR 300mg錠剤の溶解データを示す。溶解方法は、THCR 200mg錠剤に関して実施例1で上述した方法と同様である。
【表G】

【0105】
上で引用したすべての特許、出願、公報、試験方法、文献及び他の資料は、参照として本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約4〜約10日間、約75mg〜約125mgのトラマドールを放出制御製剤で1日1回投与し;次に、約4〜約10日間、約175mg〜約225mgのトラマドールを放出制御製剤で1日1回投与し;次に、少なくとも1日、及び場合によりそれ以降に、約275mg〜約325mgのトラマドールを放出制御製剤で1日1回投与することを含む、トラマドールを患者に投与するための投薬処方。
【請求項2】
前記放出制御製剤がそれぞれ経口製剤である、請求項1に記載の投薬処方。
【請求項3】
前記トラマドールは、それぞれの経口製剤中、トラマドールの遊離形、トラマドールの薬学的に許容される塩、トラマドールの塩基形、トラマドールの光学活性異性体及びトラマドールの立体異性体からなる群より選択される形で存在する、請求項2に記載の投薬処方。
【請求項4】
前記トラマドールが、それぞれの経口製剤中、トラマドールヒドロクロライドの形で存在する、請求項3に記載の投薬処方。
【請求項5】
それぞれの経口製剤が、約24時間又はそれ以上、トラマドールヒドロクロライドのインビトロ放出を提供するものである、請求項4に記載の投薬処方。
【請求項6】
少なくとも7日間、及び場合によりそれ以降に、約275mg〜約325mgのトラマドールを放出制御製剤で1日1回投与することを含む、請求項1に記載の投薬処方。
【請求項7】
前記トラマドールが、それぞれの経口製剤中、トラマドールヒドロクロライドの形で存在する、請求項6に記載の投薬処方。
【請求項8】
それぞれの経口製剤が、約24時間又はそれ以上、トラマドールヒドロクロライドのインビトロ放出を提供するものである、請求項7に記載の投薬処方。
【請求項9】
第1日目から第7日目に、約100mgのトラマドールを放出制御製剤で1日1回投与し;次に、第8日目から第14日目に、約200mgのトラマドールを放出制御製剤で1日1回投与し;次に、第15日目、及び場合によりそれ以降に、約300mgのトラマドールを放出制御製剤で1日1回投与することを含む、トラマドールを患者に投与するための投薬処方。
【請求項10】
前記放出制御製剤がそれぞれ経口製剤である、請求項9に記載の投薬処方。
【請求項11】
前記トラマドールが、それぞれの経口製剤中、トラマドールヒドロクロライドの形で存在する、請求項10に記載の投薬処方。
【請求項12】
それぞれの経口製剤が、約24時間又はそれ以上、トラマドールヒドロクロライドのインビトロ放出を提供するものである、請求項11に記載の投薬処方。
【請求項13】
第15日目から第21日目、及び場合によりそれ以降に、約300mgのトラマドールを放出制御製剤で1日1回投与することを含む、請求項9に記載の投薬処方。
【請求項14】
第1日目から第7日目に、100mgのトラマドールが投与され;約第8日目から第14日目に、200mgのトラマドールが投与され;第15日目から第21日目、及び場合によりそれ以降に、300mgのトラマドールが投与される、請求項13に記載の投薬処方。
【請求項15】
前記トラマドールが、それぞれの経口製剤中、トラマドールヒドロクロライドの形で存在する、請求項14に記載の投薬処方。
【請求項16】
それぞれの経口製剤が、約24時間又はそれ以上、トラマドールヒドロクロライドのインビトロ放出を提供するものである、請求項15に記載の投薬処方。
【請求項17】
約4〜約10日間、約175mg〜約225mgのトラマドールを放出制御製剤で1日1回投与し;次に、少なくとも1日、及び場合によりそれ以降に、約275mg〜約325mgのトラマドールを放出制御製剤で1日1回投与することを含む、トラマドールを患者に投与するための投薬処方。
【請求項18】
前記放出制御製剤がそれぞれ経口製剤である、請求項17に記載の投薬処方。
【請求項19】
前記トラマドールが、それぞれの経口製剤中、トラマドールヒドロクロライドの形で存在する、請求項18に記載の投薬処方。
【請求項20】
それぞれの経口製剤が、約24時間又はそれ以上、トラマドールヒドロクロライドのインビトロ放出を提供するものである、請求項19に記載の投薬処方。
【請求項21】
少なくとも6日間、及び場合によりそれ以降に、約275mg〜約325mgのトラマドールを放出制御製剤で1日1回投与することを含む、請求項17に記載の投薬処方。
【請求項22】
第1日目から第7日目に、約200mgのトラマドールを放出制御製剤で1日1回投与し;次に、少なくとも1日、及び場合によりそれ以降に、約300mgのトラマドールを放出制御製剤で1日1回投与することを含む、トラマドールを患者に投与するための投薬処方。
【請求項23】
前記放出制御製剤がそれぞれ経口製剤である、請求項22に記載の投薬処方。
【請求項24】
前記トラマドールが、それぞれの経口製剤中、トラマドールヒドロクロライドの形で存在する、請求項23に記載の投薬処方。
【請求項25】
それぞれの経口製剤が、約24時間又はそれ以上、トラマドールヒドロクロライドのインビトロ放出を提供するものである、請求項24に記載の投薬処方。
【請求項26】
少なくとも7日間、及び場合によりそれ以降、約300mgのトラマドールを放出制御製剤で1日1回投与することを含む、請求項22に記載の投与処方。
【請求項27】
トラマドールの投薬処方における投与のためのキットであって、
以下の投薬処方に従って、以下の量のトラマドールを放出制御経口製剤で投与するための説明書と、
第1日目から第7日目に、100mgのトラマドールを、1日1回;
第8日目から第14日目に、200mgのトラマドールを、1日1回;
第15日目から第21日目、及び場合によりそれ以降に、300mgのトラマドールを、1日1回
前記投薬処方に従ってトラマドールを投与するために十分な量のトラマドールの放出制御経口製剤と
を含むキット。
【請求項28】
それぞれの経口製剤が、100mg、200mg及び300mgからなる群より選択される量のトラマドールを含有する、請求項27に記載のキット。
【請求項29】
トラマドールの投薬処方の投与のためのキットであって、
以下の投薬処方に従って、以下の量のトラマドールを放出制御経口製剤で投与するための説明書と、
第1日目から第7日目に、200mgのトラマドールを、1日1回;
第8日目から第15日目、及び場合によりそれ以降に、300mgのトラマドールを、1日1回
前記投薬処方に従ってトラマドールを投与するために十分な量のトラマドールの放出制御経口製剤と
を含むキット。
【請求項30】
それぞれの経口製剤が、100mg、200mg及び300mgからなる群より選択される量のトラマドールを含有する、請求項29に記載のキット。

【公表番号】特表2006−519849(P2006−519849A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507128(P2006−507128)
【出願日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【国際出願番号】PCT/US2004/007624
【国際公開番号】WO2004/080447
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(599108792)ユーロ−セルティーク エス.エイ. (134)
【Fターム(参考)】