説明

放出制御組成物

第1の放出制御基剤中に分散された薬物を含み、そこからの薬物の基剤放出が相対的に遅い中心錠、および前記中心錠を覆って形成され、かつ第2の放出制御基剤中に分散された前記薬物を含み、そこからの前記薬物の放出速度が相対的に速いコーティングを含む固形投与製剤。第1の放出制御基剤は架橋高アミロースデンプン、第2の放出制御基剤がポリ酢酸ビニル及びポリビニルピロリドンの混合物であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主成分が持続的な時間にわたって放出される固形投与製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤あるいは他の固形投与製剤として投与される主薬の吸収速度、およびこれによる製剤の有効性および安全性に影響する重要な因子は、ヒトあるいは動物の体液における剤型の溶解速度である。
【0003】
従って、主薬の放出速度に影響する製剤成分の能力は、数時間、数日間、数週間あるいは数ヶ月にわたって主薬の緩慢で均一な放出および吸収をもたらすよう設計されたいわゆる放出制御、長時間放出、持続放出、あるいは長時間作用型医薬製剤の基礎を構成する。放出制御製剤の長所には、薬物の必要投与頻度が速放型剤型と比較して減少するためにしばしば患者のコンプライアンスが改善されること、相対的に安定した体内血中濃度が維持されるため設定した時間に渡って治療効果が維持されること、および速放型剤型でしばしば発生する血漿濃度の上昇が低下することにより主薬の望ましくない副作用の発生率および強度が低下することが含まれる。
【0004】
主薬すなわち薬物、プロドラッグなどの放出制御を目的とした基剤として多くの材料が提案および開発されている。これらにはポリ塩化ビニル、ポリエチレンアミド類、エチルセルロース、シリコンおよびポリ(メタクリル酸ヒドロキシメチル)などのポリマー材料が含まれる。例えばEndicottらへの米国特許第3,087,860号 、Levesqueらへの米国特許第2,987,445号、SalomonらのPharm. Acta Helv.,55,174-182(1980)、Korsmeyerの Diffusion Controlled Systems: Hydrogels, Polymers for Controlled Drug Delivery,Ed Tarcha, CRC Press,Boca Raton,Fla.USA(1991)第2章15〜37ページ 、およびBuriらのPharm. Acta Helv. 55,189-197 (1980)などを参照されたい。
【0005】
高アミロースデンプンも放出制御を目的として使用され、また具体的には最近の進歩により架橋高アミラーゼデンプンが実用化されている。例えば、1995年10月10日に公表された米国特許第5,456,921号(Mateescuら)、1997年4月1日に公表された米国特許第5,616,343号(Cartilierら)、2001年9月4日に公表された米国特許第6,284,273号(Lenaertsら)、2002年7月16日に公表された米国特許第6,419,957(Lenaertsら)、および2003年8月19日に公表された米国特許第6,607,748(Lenaertsら)は、医薬品の乾燥粉末、および架橋高アミロースデンプンが重量で約10から60%のアミロペクチンと約40から90%のアミロースの混合物を含む架橋高アミロースデンプンの乾燥粉末を含む錠剤の形態の固形放出制御経口医薬品投与ユニットを記載している。
【0006】
放出制御材料のさらなる例は、BASF社(ドイツ)が販売するコリドン(登録商標)SRを含み、この材料はポリ酢酸ビニル(PVA)約80%およびポリビニルピロリドン(ポビドン)19%および安定剤としてのドデシル硫酸ナトリウム約0.8%およびシリカ0.2%から構成されるといわれる、PVAとポビドンの物理的混合物である。BASF Technical Information(2001年7月)は、錠剤、ペレット、および顆粒などの持続放出基質剤型の製剤においてコリドンTMSRを使用することができ、かつ医薬製剤の製造において直接圧縮、ローラー圧縮、湿式造粒および押し出しなどの多様な技術を用いることができることを開示する。さらに、2001年11月8日公開の米国特許広報第2001/0038852号(Kolterら)、2002年1月31日公開の米国特許広報第2002/0012701号(Kolterら)および2003年1月30日公開の米国特許公報2003/0021846号(Kolterら)と数多くの特許公報がPVA−ポビドン混合物に関する情報を提供する。
【0007】
トラマドールに関する長時間放出および放出制御製剤が提案されており、2003年1月31日公開の米国特許広報第2003/0143270号(Deboeckら)、2001年7月3日公開の米国特許広報第6,254,887号(Millerら)、2001年11月1日公開の米国特許広報第2001/0036477号(Millerら)、2001年12月4日公表の米国特許広報第6,326,027号(Millerら)、2003年10月2日公開の国際公開番号WO03/080031号(CILAG AGら)に例が記載されている。「1日1回」型トラマドール製剤と速放性トラマドール製剤の比較データが提示された論文:Adlerら"A
Comparison of Once-Daily Tramadol with Normal Release
Tramadol in the Treatment of Pain in Osteoarthritis,
" The Journal of Rheumatology (2002) 29 (10): 2195-2199;およびBodaliaらの"A Comparison of the
Pharmacokinetics, Clinical Efficacy, and Tolerability of Once-Daily Tramadol Tablets with Normal Release Tramadol
Capsules," Journal of Pain and Symptom Management (2003) 25 (2): 142-149が公開されている。
【0008】
本明細書における何らかの参照文献の引用または特定は、このような参照文献が本発明に対する先行技術として利用できることの承認として解釈されることを意図していない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は薬物の放出制御を提供する固形投与製剤に関する。実施態様の一つにおいては、製剤はそこからの薬物の基剤放出が相対的に緩慢である架橋高アミロースデンプンを含む第1の放出制御基剤中に薬物が分散された中心錠を含む。中心錠を覆って形成されたコーティングがあり、かつコーティングはそこからの薬物の放出速度が相対的に速い第2の放出制御基剤に分散された薬物を含む。
【0010】
本発明の状況においては、「相対的に速い」とは各基剤材料について同じ条件で薬物の初期放出速度を個別に測定するとき少なくとも2倍の速さであることを意味する。このような測定を行うためには、中心錠の薬物およびコーティングの薬物の標識が互いに異なる製剤を作成する。例えばトラマドールの場合、中心錠のトラマドールは15N標識することが可能であり、コーティング錠のトラマドールは13C標識することが可能である。このような化合物を識別的に標識することでその拡散速度に大きな影響を与えることなくその製剤からの拡散を追跡することができる多くの方法が当業者にとって周知である。速度が互いに充分に異なっている場合、当業者は、単一の製剤からの薬物の放出について認められる二相性挙動、例えば図2のt=0およびt=12における速度より、このような相対速度を妥当な近似値に見積もることができる。典型的には、測定は図2に関して述べられている条件の下で行われる。
【0011】
他の幅広い実施態様においては、本発明は第1の放出制御基剤中に薬物を有する中心錠を有する固形投与剤型である。第2の放出制御基剤中に薬物を有するコーティングが中心錠を覆う。第2の放出制御基剤はポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドンとの物理的混合物であり、また中心錠の基剤からの薬物の放出はコーティングの基剤からの薬物の放出に対して相対的に遅い。相対的に遅いとは、薬物の初期放出速度を各基剤について同じ条件で個別に測定した場合に1/2未満となり、測定が上述のように相対的に速い測定と共に行われることを意味する。
【0012】
中心錠およびコーティング中の薬物は同一のあるいは異なっているいずれの実施態様でもよく、好ましい実施態様においては、製剤はトラマドールである単一の薬物を含む。
【0013】
発明の好ましい態様の1つにおいては、中心錠およびコーティングは製剤からの薬物の放出が二相性となるような相対量の薬物を含む。
【0014】
好ましくは、薬物は水溶性であり、かつ第1の基剤は第2の基剤に関して相対的に親水性である。
【0015】
多くの薬物はイオン塩を形成する能力を有し、かつこれは本発明の製剤に含むために好ましい薬物の形態であることが多い。好ましい薬物は少なくとも1つのアミノ基を含み、かつこれらは例えば塩酸塩などの形態で簡便に組み入れられる。
【0016】
好ましくは、コーティングからの薬物の放出速度は少なくとも中心錠からの薬物の放出速度の2倍である。他の相対速度も可能であり、コーティングからの薬物の放出速度が中心錠からの放出速度の少なくとも3倍となることもあり;コーティングからの薬物の放出速度が中心錠からの放出速度の最大15倍となることもあり、コーティングからの薬物の放出速度が中心錠からの薬物の放出速度の最大12倍となることもあり;コーティングからの薬物の放出速度が中心錠からの薬物の放出速度の最大10倍となることもあり;コーティングからの薬物の放出速度が中心錠からの薬物の放出速度の最大8倍となることもあり;コーティングからの薬物の放出速度が中心錠からの薬物の放出速度の最大6倍となることもあり;あるいはコーティングからの薬物の放出速度が中心錠からの薬物の放出速度の約4倍となることもある。他の実施態様においては、二相性放出挙動が認められ、かつコーティングからの薬物の放出速度が中心錠からの薬物の放出速度の3から9倍、より好ましくはコーティングからの薬物の放出速度が中心錠からの薬物の放出速度の4から8倍、より好ましくはコーティングからの薬物の放出速度が中心錠からの薬物の放出速度の5から7倍である。
【0017】
ある実施態様においては、USP
I型装置を用い50mMリン酸pH6.8中で、かつ50から150rpmで撹拌しながらin
vitro試験すると、0から2時間の間に薬物が毎時10%から30%放出される。
【0018】
ある実施態様においては、約0から2時間の測定の間に10%から40%の薬物が放出され、2から約7時間の測定の間に約30から60%までの薬物が放出され、7から約12時間の測定の間に約50%から80%の薬物が放出され、かつ約20時間の測定後に薬物の約80%から100%が放出される。
【0019】
中心錠およびコーティングの好ましい主薬は鎮痛薬、具体的には主薬はトラマドールである。
【0020】
本発明の製剤の薬物は、少なくとも1g/L程度、あるいは10g/L以上、あるいは100g/L以上、あるいは500g/L以上、あるいは1000g/L以上、あるいは2000g/L以上水に可溶性であることが好ましい。
【0021】
ある実施態様においては、本発明の製剤は中心錠とコーティングの比率(w/w)が約1から約0.1,あるいは約0.9から約0.2,あるいは約0.8から約0.2,あるいは約0.7から約0.2,あるいは約0.5から約0.2,あるいは約0.4から約0.2,あるいは約0.35となるように生成される。この状況においては、重量比を算出する際に考慮されるのは中心錠の総重量とコーティングの総重量であろう。
【0022】
ある実施態様においては、中心錠中の薬物とコーティング中の薬物の比率(w/w)は約0.1から約10,あるいは約0.1から約8,あるいは約0.2から約7,あるいは約0.3から約6,あるいは約0.4から約5,あるいは約0.5から約4,あるいは約0.6から約3,あるいは約0.6から約2,あるいは約0.6から約1.5,あるいは約0.6から約1.3,あるいは約0.7から約1,あるいは約0.7から約0.9あるいは約0.8である。
【0023】
本発明の具体的な態様においては、製剤は中心錠が薬物重量にして約10%から約90%,あるいは薬物重量にして約20から約80%,あるいは薬物重量にして約30%から約70%,あるいは薬物重量にして約40%から約60%,あるいは薬物重量にして約50%となるものである。
【0024】
具体的な態様においては、本発明の製剤はコーティングが薬物重量にして約5%から約90%,あるいは薬物重量にして約5%から約80%,あるいは薬物重量にして約10%から約70%,あるいは薬物重量にして約10%から約60%,あるいは薬物重量にして約15%から約50%,あるいは薬物重量にして約15%から約45%,あるいは薬物重量にして約15%から約40%,あるいは薬物重量にして約20%から約35%,あるいは薬物重量にして約20%から約30%となるものである。
【0025】
本発明のある実施態様においては、製剤はコーティングの基剤とコーティングの薬物の比率(w/w)が約0.1から約10,あるいは約0.2から約9,あるいは約0.2から約8,あるいは約0.3から約7,あるいは約0.4から約6,あるいは約0.5から約5,あるいは約0.6から約4,あるいは約0.7から約4,あるいは約1から約4,あるいは約1から約3,あるいは約1.5から約2.5となるものである。
【0026】
ある実施態様においては、製剤は中心錠の基剤と中心錠の薬物の比率(w/w)が約0.1から約10,あるいは約0.2から約9,あるいは約0.3から約7,あるいは約0.4から約6,あるいは約0.5から約5,あるいは約0.5から約4,あるいは約0.5から約3,あるいは約0.6から約3,あるいは約0.7から約2あるいは約0.8から1.5,あるいは約0.9から約1.5,あるいは約0.9から約1.3,あるいは約1,あるいは約0.55となるものである。
【0027】
好ましくは、薬物は室温(約21℃)で水に少なくとも0.5g/mL程度可溶である単独の薬物である。
【0028】
ある態様においては、製剤の各薬物が酸官能基、塩基官能基あるいは酸官能基と塩基官能基の両者を含み、かつ各官能基がこのような官能基の塩の形態で存在する。好ましくは、薬物はイオン化可能な官能基を1つ含み、かつ前記官能基が胃酸(0.1M Cl)中で少なくとも90%イオン化される。
【0029】
本発明の製剤の薬物は、次に挙げるイソニコチン酸ヒドラジド、サリチル酸ナトリウム、塩酸プソイドエフェドリン、硫酸プソイドエフェドリン、アセトアミノフェンあるいはジクロフェナクナトリウム、ベラパミル、グリピジド、ニフェジピン、フェロジピン、ベタヒスチン、アルブテロール、アクリバスチン、オメプラゾール、ミソプロストール、トラマドール、オキシブチニン、トリメブチン、シプロフロキサシンおよびその塩のうちのいずれか1つまたはそれ以上とすることができる。さらに、薬物はケトコナゾールなどの抗真菌剤、あるいはアセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、パラセタモール、イブプロフェン、ケトプロフェン、インドメタシン、ジフルニサル、ナプロキセン、ケトロラク、ジクロフェナク、トルメチン、スリンダク、フェナセチン、ピロキシカム、メフェナム酸、デキストロメトルファンなどの鎮痛薬、サリチル酸塩などの他の非ステロイド性抗炎症薬、薬学的に許容できるその塩あるいはその混合物とすることができる。
【0030】
好ましくは、本発明の製剤は圧縮によって調製される。典型的には、中心錠は圧縮により形成され、かつその後あらかじめ形成された中心錠の上に圧縮されることによってコーティングが調製される。
【0031】
好ましい態様においては、コーティングはポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドンの混合物より形成される。コーティング中のポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの比率(w/w)は通常約6:4から9:1,あるいは7:3から9:2であるか、あるいは約8:2である。
【0032】
コーティングは結合剤を含むことが多く、好ましい結合剤はキサンタンガムである。
【0033】
製剤は錠剤とすることができ、かつ好ましい架橋高アミロースデンプンは(a)高アミロースデンプンを架橋し、その後(b)架橋高アミロースデンプンを化学的に修飾し、その後(c)ゼラチン化し、かつ(d)乾燥して放出制御賦形剤の粉末を得ることを含む方法で調製される、化学的に修飾された架橋高アミロースデンプンであって、前記架橋高アミロースデンプンが、80℃の90%DMSOにおける約3日間の可溶化およびゲル透過クロマトグラフィーを行うとき、前記架橋高アミロースデンプン中のアミロースに対応するピークの高さが(a)を実施する前の前記高アミロースデンプン中のアミロースに対応するピークの少なくとも90%であることを特徴とする架橋高アミロースデンプンである。
【0034】
本発明の製剤のための架橋高アミロースデンプンを得るためのもう1つのプロセスは、(a)高アミロースデンプンを架橋させることによって架橋高アミロースデンプンスラリーからなる反応生成物を含む反応媒質を形成し、(b)手順(a)に由来する前記架橋高アミロースデンプンスラリーに対して約10〜90℃の温度で約1から約72時間化学的修飾を行い、(c)手順(b)で得られた前記反応媒質を酸で中和し、形成されたスラリーを洗浄し、適宜脱水するかあるいはデンプンケークあるいは乾燥粉末を形成し、(d)前記スラリーを希釈するか、あるいは手順(c)に由来する前記デンプンケークあるいは前記乾燥粉末を再スラリー化してpHを約3から約12の間の好ましい値に調節しながら濃度約2%から約40%w/wのスラリーを形成し、さらに前記スラリーを温度約80℃から180℃で約1秒から約120分の間ゼラチン化し、かつ(e)手順(d)で得られた熱処理された生成物を乾燥して、主として化学的に修飾されかつ架橋された粉末の形態の高アミロースデンプンよりなる前記放出制御賦形剤を得ることを含む。
【0035】
主として架橋高アミロースデンプンからなる放出制御賦形剤を、水性培地中で製造するもう1つの方法は、(a)高アミロースデンプンに約10℃から約90℃の温度で約1から約72時間化学的に修飾を施すことによって化学的に修飾された高アミローススラリーを含む反応媒質を形成し、(b)手順(a)において得られた前記スラリー中の前記化学的に修飾された高アミロースデンプンを架橋し、(c)手順(b)において得られた前記スラリーを酸で中和し、形成されたスラリーを洗浄し、適宜脱水してデンプンケークを形成するかあるいは乾燥して乾燥粉末を形成し、(d)前記スラリーを希釈するか、あるいは手順(c)に由来する前記デンプンケークあるいは前記乾燥粉末を再スラリー化して、pHを約3から約12の間の好ましい値に調節しながら水で濃度約2%から約40%w/wのスラリーを形成し、さらに前記スラリーを温度約80℃から180℃で約1秒から約120分間ゼラチン化し、かつ(e)手順(d)において得られた熱処理した生成物を乾燥して、主として化学的に修飾されかつ架橋された粉末の形態の高アミロースデンプンよりなる前記放出制御賦形剤を得ることを含むものである。
【0036】
本発明のための架橋高アミロースデンプンを得るための他の方法は、(a)高アミロースデンプンを架橋し、その後(b)架橋された高アミロースデンプンを化学的に修飾し、その後(c)ゼラチン化し、かつ(d)乾燥して前記放出制御賦形剤の粉末を得ることを含み、前記架橋高アミロースデンプンが、80℃の90%DMSOにおいて約3日間可溶化しかつゲル透過クロマトグラフィーを行うとき、前記架橋高アミロースデンプン中のアミロースに対応するピークの高さが(a)を実施する前の前記高アミロースデンプンにおけるアミロースに対応するピークの少なくとも90%であることを特徴とする。
【0037】
本発明のための架橋高アミロースデンプンを得るための他の方法は、(a)高アミロースデンプンを架橋し、その後(b)架橋された高アミロースデンプンを化学的に修飾し、その後(c)ゼラチン化し、かつ(d)乾燥して前記放出制御賦形剤の粉末を得ることを含み、前記架橋高アミロースデンプンが、(a)を実施する前の前記高アミロースデンプン中に存在するアミロースの約20%未満がアミロペクチンと化学的に架橋することを特徴とする。
【0038】
本発明のための架橋高アミロースデンプンを得るための他の方法は、(a)高アミロースデンプンを架橋し、その後(b)架橋された高アミロースデンプンを化学的に修飾し、その後(c)ゼラチン化し、かつ(d)乾燥して前記放出制御賦形剤の粉末を得ることを含み、前記架橋高アミロースデンプンが、80℃の90%DMSOにおいて約3日間可溶化しかつゲル透過クロマトグラフィーを行うとき、(a)を実施する前に存在したアミロースの約20%未満がアミロペクチンと化学的に架橋してこれと共に溶離することを特徴とする。
【0039】
本発明のための架橋高アミロースデンプンを得るための他の方法は、(a)高アミロースデンプンを架橋し、その後(b)架橋された高アミロースデンプンを化学的に修飾し、その後(c)ゼラチン化し、かつ(d)乾燥して前記放出制御賦形剤の粉末を得ることを含み、前記の架橋高アミロースデンプンが、80℃の90%DMSOにおいて約3日間可溶化しかつゲル透過クロマトグラフィーを行うとき、アミロースに対応するピークの高さがアミロペクチンを含む実体に対応するピークよりも高いことを特徴とする。
【0040】
本発明のための架橋高アミロースデンプンを得るための他の方法は、(a)高アミロースデンプンを架橋し、その後(b)架橋された高アミロースデンプンを化学的に修飾し、その後(c)ゼラチン化し、かつ(d)乾燥して前記放出制御賦形剤の粉末を得ることを含み、前記架橋高アミロースデンプンが、(a)を実施する前の前記高アミロースデンプン中に存在するアミロースの約20%未満がアミロペクチンと化学的に架橋することを特徴とする。
【0041】
本発明のための架橋高アミロースデンプンを得るための他の方法は、(a)高アミロースデンプンを架橋し、その後(b)架橋された高アミロースデンプンを化学的に修飾し、その後(c)ゼラチン化し、かつ(d)乾燥して前記放出制御賦形剤の粉末を得ることを含み、前記架橋高アミロースデンプンが、80℃の90%DMSOにおいて約3日間可溶化しかつゲル透過クロマトグラフィーを行うとき、(a)を実施する前に存在したアミロースの約20%未満がアミロペクチンと化学的に架橋して共に溶離することを特徴とする。
【0042】
本発明のための架橋高アミロースデンプンを得るための他の方法は、(a)高アミロースデンプンを架橋し、かつその後(b)架橋された高アミロースデンプンを化学的に修飾し、かつその後(c)ゼラチン化し、かつ(d)乾燥して前記放出制御賦形剤の粉末を得ることを含み、前記の架橋高アミロースデンプンが、80℃の90%DMSOにおいて約3日間可溶化しかつゲル透過クロマトグラフィーを行うとき、アミロースに対応するピークの高さがアミロペクチンを含む実体に対応するピークよりも高いことを特徴とする。
【0043】
当然ながら、これらの方法のうちの1つによって得られた架橋高アミロースデンプンの構造を有する製品は、製造プロセスが同一でなくとも、これらのうち1つも本発明の範囲内である。
【0044】
本発明の製剤の中心錠は任意に硬化植物油である滑沢剤を含むことが多い。
【0045】
好ましい態様の1つにおいては、本発明の製剤は経口投与用に製剤化された錠剤である。
【0046】
具体的な態様の1つでは、本発明は薬物の放出速度が相対的に遅い第1の放出制御基剤中に分散された薬物を有する中心錠、および中心錠を覆って形成されかつ第2の放出制御基剤中に分散された前記薬物を含むコーティングを含む固形投与製剤であって、第2の放出制御基剤がポリ酢酸ビニルおよびポリビニルピロリドンの物理的混合物を含み、かつそこからの薬物の放出が相対的に速い固形投与製剤である。他の実施態様において本発明は、薬物の基剤放出速度が相対的に遅い架橋高アミロースデンプンを含む第1の放出制御基剤中に分散された薬物を含む中心錠、および中心錠を覆って形成されかつ第2の放出制御基剤中に分散された薬物を含むコーティングを含み、第2の放出制御基剤がポリ酢酸ビニルおよびポリビニルピロリドンの物理的混合物を含み、かつ中心錠基剤からの薬物の放出がコーティング基剤からの薬物の放出に対して相対的に遅い固形投与製剤を提供する。
【0047】
本発明の他の態様は、第1の放出制御基剤中に薬物を含む中心錠、および中心錠を覆って形成され、かつ第2の放出制御基剤中に薬物を含むコーティングを含む固形製剤であって、第2の放出制御基剤がポリ酢酸ビニルおよびポリビニルピロリドンの物理的混合物を含み、かつ中心錠基剤からの薬物の放出がコーティング基剤からの薬物の放出について相対的に遅い固形投与製剤である。
【0048】
他の実施態様においては、本発明はそこから長い時間にわたって放出するための薬物を含む固形投与製剤であって、製剤が第1の放出制御基剤中の薬物を含む中心錠であって放出制御基剤が架橋高アミロースデンプンを含む中心錠、および中心錠を覆って形成されかつ第2の放出制御基剤中の薬物を含むコーティングを含み、第2の放出制御基剤がポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの物理的混合物を含むコーティングを含み、かつ薬物が中心錠中に前記の時間の1/4以内に水性環境、例えば胃酸などに薬物の50%以下を放出するのに充分に存在する固形投与製剤を含む。
【0049】
このような製剤において前記時間は約12時間から約24時間としてもよく、かつ薬物の約30%から約70%が中心錠中にある。第1の基剤中の薬物および第2の基剤中の薬物は、少なくとも1g/L程度、あるいは10g/L以上、あるいは100g/L以上、あるいは500g/L以上、あるいは1000g/L以上、あるいは2000g/L以上水に可溶性であることが好ましい。薬物は鎮痛剤であってもよい。
【0050】
本発明の具体的な態様は4時間毎、6時間毎、8時間毎、12時間毎、あるいは24時間毎の時間使用するための固形投与製剤であって、製剤がアミノ基を含む薬物を含む圧縮された中心錠であって、薬物が薬学的に許容できる塩として存在し、かつ架橋高アミロースデンプンを含む第1の放出制御基剤中に分散されている中心錠、および中心錠を覆って圧縮により形成され、かつ第2の放出制御基剤中に薬物を含むコーティングであって、第2の放出制御基剤がポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの物理的混合物を含むコ―ティングを含み、かつ前記の時間に渡る製剤からの薬物の放出が、はじめの5%に渡っての平均放出速度が全時間の半ばでの薬物の放出速度の3から8倍である第1相を含む固形投与製剤を含む。
【0051】
この具体的な実施態様の具体的な態様の1つにおいては、中心錠中の薬物とコーティング中の薬物の比率(w/w)は0.2から約7であり、中心錠は薬物重量で20%から80%であり、コーティングは薬物重量で約15%から50%であり、コーティング基剤とコーティングの薬物の比率(w/w)は0.3から7である。さらに、好ましい薬物はトラマドールであり、好ましくはコーティングが結合剤を含む。
【0052】
その他の態様においては、本発明はトラマドールおよびその塩を有する架橋高アミロースデンプンを含み、内部に包埋された圧縮中心錠、および中心錠を覆って圧縮により形成され、かつポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、結合剤、トラマドールの物理的混合物を含むコーティングを含む放出制御錠であって、かつ中心錠/コーティングの比率(w/w)が約0.2から0.6,中心錠中のトラマドールとコーティング中のトラマドールの比率が約0.7から約1,ポリ酢酸ビニル/ポリビニルピロリドンの比率(w/w)が約6:4から約9:1,かつUSPI型装置でpH6.8の50mMリン酸を用い、50から150rpmとして測定するときコーティング基剤からのトラマドール放出速度が中心錠からの放出速度の少なくとも2倍となる放出制御錠である。
【0053】
本発明は、放出制御薬剤を製造する方法であって、前記方法は(i)薬物と架橋高アミロースデンプンを含む第1の基剤材料を混合し、(ii)手順(i)で生成した混合物を中心錠に形成し、(iii)薬物と、第1の基剤材料に対して相対的に放出の速い第2の基剤材料を混合し、(iv)手順(iii)で生成した混合物を中心錠の外面上にコーティングとして形成することを含む。
【0054】
本発明の放出制御薬剤を製造する方法は、(i)薬物と第1の基剤材料を混合し、(ii)手順(i)で生成した混合物を中心錠に形成し、(iii)薬物と、第2の基剤材料であって、第2の基剤材料がポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドンとの物理的混合物を含みかつ第1の基剤材料に対して相対的に放出速度が速い材料である第2の基剤材料を混合し、(iv)手順(iii)で生成した混合物を中心錠の外面上にコーティングとして形成することを含むことがある。
【0055】
手順(ii)は、好ましくは手順(i)で生成した混合物を圧縮することを含む。手順(iv)は手順(iii)で生成した混合物を中心錠の外面上に圧縮することを含む。中心錠およびコーティング中の薬物は、好ましくはトラマドールであり、薬剤中のトラマドールの総量は1日用量として有効であり、かつ薬剤は本明細書で定義されるように適切である製剤を適宜含む。
【0056】
本発明は、in vivoでの単回投与後に2から8時間のトラマドール最高血漿濃度到達時間(Tmax)の中央値、およびこのような組成物の単回投与より24時間後に得られる平均血漿濃度(C24h)の3倍未満である平均トラマドール最高血漿濃度(Cmax)をもたらす有効量のトラマドールまたは薬学的に許容できるその塩を含む1日1回投与に適した経口トラマドール医薬組成物を含む。
【0057】
このような組成物は、前記平均最高血漿濃度(Cmax)が、このような組成物の単回投与後24時間に得られる平均血漿濃度(C24h)の2倍未満となるものとすることができる。
【0058】
他の実施態様においては、本発明は1日1回連続投与に適した経口トラマドール医薬組成物であって、in vivoで所与の24時間の間平均最小血漿濃度(Cmin)の2から3倍のトラマドールの最大平均血漿濃度(Cmax)が得られる定常状態をもたらす有効量のトラマドールまたは薬学的に許容できるその塩を含む組成物である。具体的な態様によると、平均Cmaxは350ng/mLを上回らない。トラマドールの平均血漿濃度は、好ましくは24時間のうち少なくとも18時間はCmaxの90%未満である。
【0059】
本発明は、架橋高アミロースデンプンを含む第1の放出制御基剤中に分散された薬物を含む中心錠、および中心錠を覆って形成され、かつ製剤からの薬物の放出が二相性となるよう第1の基剤と異なっている第2の放出制御基剤中に分散されている前記薬物を含むコーティングを含む固形投与製剤を含む。
【0060】
他の実施態様によると、本発明は第1の放出制御基剤中に分散された薬物を含む中心錠、および中心錠を覆って形成され、かつ製剤からの薬物の放出が二相性となるようポリ酢酸ビニルおよびポリビニルピロリドンの物理的混合物を含む第2の放出制御基剤中に分散された前記薬物を含むコーティングを含む固形製剤を含む固形投与製剤である。
【0061】
さらに他の実施態様によると、本発明は、架橋高アミロースデンプンを含む放出制御基剤中に分散された薬物を含む中心錠、および中心錠を覆って形成され、ポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの物理的混合物を含む第2の放出制御基剤中の薬物を含むコーティングを含む固形投与製剤である。
【0062】
他の実施態様においては、本発明は架橋高アミロースデンプンを含む放出制御基剤中に分散された約50mg,あるいは約75mgあるいは約100mgあるいは約125mgあるいは約150mgあるいは約175mgあるいは約200mgあるいは約225mgあるいは約250mgあるいは約275mgあるいは約300mgあるいは約325mgあるいは約350mgあるいは約375mgあるいは約400mgのトラマドールを含む中心錠、および中心錠を覆って形成されかつポリ酢酸ビニルおよびポリビニルピロリドンの物理的混合物を含む第2の放出制御基剤中に薬物を含むコーティングを含む固形投与製剤である。
【0063】
本明細書で使用する「含む」という用語は、文脈が指示しない限りその非制限的な文に使用される。すなわち、例えば第1および第2の基剤を含む製剤は、従って滑沢剤などの他の成分も含むことが可能である。
【0064】
上述の製剤の製剤は、さらに後述するようにin
vivoで有利な特性を提供する。従って本発明の他の態様は、初回の1用量を投与する際に、組成物が2時間以内の鎮痛作用の開始をもたらし、この鎮痛作用が少なくとも投与後24時間持続するトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物である。
【0065】
本発明の他の実施態様は、トラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、組成物が、初回の1用量を投与する際に、投与より2時間以内に少なくとも100ng/mLの平均血漿濃度をもたらし、かつ投与後少なくとも22時間の間少なくとも100ng/mLの平均血漿濃度をもたらし続ける組成物である。
【0066】
本発明の他の実施態様は、トラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、組成物が、初回の1用量を投与する際に、投与より2時間以内に少なくとも100ng/mLの平均血漿濃度をもたらし、かつ投与後少なくとも23時間の間少なくとも100ng/mLの平均血漿濃度をもたらし続ける組成物である。
【0067】
本発明の他の態様においては、本発明はトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、組成物が、初回の1用量を投与する際に、投与より2時間以内に少なくとも100ng/mLの平均血漿濃度をもたらし、かつ投与後少なくとも24時間の間少なくとも100ng/mLの平均血漿濃度をもたらし続ける組成物である。
【0068】
本発明の1日1回型経口医薬組成物は、好ましい態様においてはトラマドールまたはその塩を約200mg含む。
【0069】
他の態様においては、本発明は100mgのトラマドールまたはその塩を含むトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、組成物が、初回の1用量を投与する際に、投与より2時間以内に少なくとも50ng/mLの平均血漿濃度をもたらし、かつ投与後少なくとも22時間の間少なくとも50ng/mLの平均血漿濃度をもたらし続ける組成物である。
【0070】
他の態様においては、本発明は100mgのトラマドールまたはその塩を含むトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、組成物が、初回の1用量を投与する際に、投与より2時間以内に少なくとも50ng/mLの平均血漿濃度をもたらし、かつ投与後少なくとも23時間の間少なくとも50ng/mLの平均血漿濃度をもたらし続ける組成物を提供する。
【0071】
本発明の他の態様は、300mgのトラマドールまたはその塩を含むトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、組成物が、初回の1用量を投与する際に、投与より2時間以内に少なくとも150ng/mLの平均血漿濃度をもたらし、かつ投与後少なくとも22時間の間少なくとも150ng/mLの平均血漿濃度をもたらし続ける組成物である。
【0072】
本発明の他の態様は、300mgのトラマドールまたはその塩を含むトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、組成物が、初回の1用量を投与する際に、投与より2時間以内に少なくとも150ng/mLの平均血漿濃度をもたらし、かつ投与後少なくとも23時間の間少なくとも150ng/mLの平均血漿濃度をもたらし続ける組成物である。
【0073】
本発明の他の態様は、300mgのトラマドールまたはその塩を含むトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、組成物が、初回の1用量を投与する際に、投与より2時間以内に少なくとも150ng/mLの平均血漿濃度をもたらし、かつ投与後少なくとも24時間の間少なくとも150ng/mLの平均血漿濃度をもたらし続ける組成物である。
【0074】
他の態様において200mgのトラマドールまたはその塩を含むトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、初回に400mgを投与するとき、組成物が投与後少なくとも22時間の間少なくとも200ng/mLの平均血漿濃度をもたらす組成物である。
【0075】
本発明の他の態様は、200mgのトラマドールまたはその塩を含むトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、初回に400mgを投与するとき、組成物が投与後少なくとも23時間の間少なくとも190ng/mLの平均血漿濃度をもたらす組成物である。
【0076】
本発明の他の態様は、200mgのトラマドールまたはその塩を含むトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、初回に400mgを投与するとき、組成物が投与後少なくとも24時間の間少なくとも180ng/mLの平均血漿濃度をもたらす組成物である。
【0077】
本発明は、平均最高血漿濃度(Cmax)が100ng/mL未満である1日1回型経口医薬組成物も提供する。
【0078】
さらに、本発明の1日1回経口医薬組成物は、平均最高血漿濃度(Cmax)が300ng/mL未満であるか、あるいは平均最高血漿濃度(Cmax)が200ng/mL未満であることができる。
【0079】
本発明の1日1回型医薬組成物は、平均最高血漿濃度(Cmax)が投与後24時間に得られる平均血漿濃度(C24h)の2.2倍未満になるものとすることができる。
【0080】
1日1回型経口医薬組成物は、平均最高血漿濃度(Cmax)が300ng/mL未満になるものとすることができる。
【0081】
平均最高血漿濃度(Cmax)は、投与後24時間に得られる平均血漿濃度(C24h)の2倍未満とすることができる。
【0082】
平均最高血漿濃度(Cmax)は、投与後24時間に得られる平均血漿濃度(C24h)の2.3倍未満とすることができる。
【0083】
本発明の1日1回型経口医薬組成物は、2から10時間、あるいは3から6時間、あるいは5から6時間の平均最高血中濃度到達時間(tmax)の中央値をもたらすことができる。
【0084】
また本発明は200mgのトラマドールまたはその塩を含むトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、組成物が、初回の1用量を投与する際に、投与より2時間以内に少なくとも24ng/mLのO−デスメチルトラマドール平均血漿濃度をもたらし、かつ投与後少なくとも24時間の間少なくとも25ng/mLのO−デスメチルトラマドール平均血漿濃度をもたらし続ける組成物も提供する。
【0085】
他の実施態様によると、本発明は100mgのトラマドールまたはその塩を含むトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、組成物が、初回の1用量を投与する際に、投与より2時間以内に少なくとも11ng/mLのO−デスメチルトラマドール平均血漿濃度をもたらし、かつ投与後少なくとも24時間の間少なくとも12ng/mLのO−デスメチルトラマドール平均血漿濃度をもたらし続ける組成物を提供する。
【0086】
他の実施態様によると、本発明は300mgのトラマドールまたはその塩を含むトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、組成物が、初回の1用量を投与する際に、投与より2時間以内に少なくとも32ng/mLのO−デスメチルトラマドール平均血漿濃度をもたらし、かつ投与後少なくとも24時間の間少なくとも32ng/mLのO−デスメチルトラマドール平均血漿濃度をもたらし続ける組成物を提供する。
【0087】
他の実施態様によると、本発明は200mgのトラマドールまたはその塩を含むトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、初回に用量400mgを投与する際に、組成物が投与より2時間以内に少なくとも50ng/mLのO−デスメチルトラマドール平均血漿濃度をもたらし、かつ投与後少なくとも24時間の間少なくとも50ng/mLのO−デスメチルトラマドール平均血漿濃度をもたらし続ける組成物である。
【0088】
本発明の目的の1つは、1日1回型製剤により多様な鎮痛要求を有する患者に対して柔軟な投与の選択肢を提供することである。
【0089】
本発明の実施態様の1つは、初回に用量100mgを摂取するとき望ましい早期の作用発現をもたらすが、2から24時間には少なくとも45ng/mLの平均トラマドール血漿濃度を達成する1日1回型製剤を提供することである。
【0090】
本発明のさらなる実施態様は、初回に用量200mgを摂取するとき望ましい早期の作用発現をもたらすが、2から24時間には少なくとも100ng/mLの平均トラマドール血漿濃度を達成する1日1回型製剤を提供することである。
【0091】
本発明のさらなる実施態様は、初回に用量300mgを摂取するとき望ましい早期の作用発現をもたらすが、2から24時間には少なくとも150ng/mLの平均トラマドール血漿濃度を達成する1日1回型製剤を提供することである。
【0092】
本発明のさらなる実施態様は、初回に用量400mgを摂取するとき望ましい早期の作用発現をもたらすが、2から24時間後に少なくとも180ng/mLの平均トラマドール血漿濃度を達成する1日1回型製剤を提供することである。
【0093】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に約0.90から約1.0のC’maxと用量の比率を提供すると思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0094】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に約4時間から約6時間のTmaxでトラマドール最高濃度を達成するまでに一定して上昇するトラマドール血漿濃度をもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。好ましくは、Tmaxは約5時間から約5.5時間に発生する。
【0095】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際にTmax後に緩やかではあるが一定した形で低下し、消失過程に加えて持続的吸収を反映するトラマドール血漿濃度をもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。好ましくは、Tmax後のトラマドール血漿濃度の低下は対数線形の形で起こり、見かけ上の最終消失半減期の平均は約5.5時間から約6.5時間である。
【0096】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際にTmax後に緩やかではあるが一定した形で低下し、消失過程に加えて持続的吸収を反映し、かつTmax後に吸収が少なくとも20時間持続するトラマドール血漿濃度をもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0097】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に、Tmax後に対数線形型に低下し、トラマドール血漿濃度に対する見かけ上の最終消失速度定数(λz)が約0.12h−1であるトラマドール血漿濃度をもたらす1日1回型製剤を提供することである。
【0098】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に約15時間から約18時間の範囲のトラマドール平均滞留時間(MRT)をもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0099】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に約22.5時間から約25.4時間のトラマドールの半減時間(HVD)をもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0100】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際にAUC0−∞に対するC’maxの比率を約0.04h−1〜約0.06h−1にすると思われる1日1回型製剤を提供することである。好ましくは、AUC0−∞に対するC’maxの比率は約0.04h−1から約0.05h−1である。C’max/AUC0−∞比率は薬物吸収速度の評価に用いられる。
【0101】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際にトラマドール血漿濃度についての平均AUC0−24が放出制御組成物の用量力価100mgから300mgの範囲に渡って用量と比例して増加すると思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0102】
本発明の他の実施態様は、初回に用量100mgを摂取する際に約610ng・h/mLから630ng・h/mLのAUC0−Tmaxをもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0103】
本発明の他の実施態様は、初回に用量200mgを摂取する際に約910ng・h/mLから920ng・h/mLのAUC0−Tmaxをもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0104】
本発明の他の実施態様は、初回に用量300mgを摂取する際に約1570ng・h/mLから1590ng・h/mLのAUC0−Tmaxをもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0105】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に約70%から約85%の範囲のトラマドール血漿濃度のAUC0−24/AUC0−∞の平均比率をもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。好ましくは、トラマドール血漿濃度のAUC0−24/AUC0−∞ は約74%から約80%の範囲内である。その結果、投与より24時間後の血漿中には投与された用量に応じて投与された用量の約15%から約30%が未だに循環している。
【0106】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に、最初の24時間に血漿中に放出された用量(すなわち、AUC0−24/AUC0−∞に用量をかけたもの)に対するC’maxの比率が約1.10から約1.35となると思われる1日1回型製剤を提供することである。好ましくは、比率は約1.15から1.31である。
【0107】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に用量に対するC’max/Tmaxの比率が約0.10から約0.20になると思われる1日1回型製剤を提供することである。好ましくは、比率は約0.12から0.19である。
【0108】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に、最高血漿レベル後のng/ml・hr単位の勾配が、mg単位の全用量の約0.035倍以下になると思われる1日1回型製剤を提供することである。好ましくは、係数は約0.03である。
【0109】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際にトラマドール用量に対する血漿O−デスメチルトラマドール血漿濃度について算出されたC’maxの比率が約0.19〜約0.22となると思われる1日1回型製剤を提供することである。好ましくは、比率は約0.20から0.21である。
【0110】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に約8から約16時間のTmaxでトラマドール最高濃度を達成するまでにO−デスメチルトラマドール血漿濃度が一定して上昇すると思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0111】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際にTmax後に、消失過程に加えて持続するトラマドール吸収およびこれに続く代謝物の形成を反映してO−デスメチルトラマドール血漿濃度が緩やかではあるが一定した形で低下すると思われる1日1回型製剤を提供することである。好ましくは、O−デスメチルトラマドール血漿濃度の低下は対数線形の形で起こり、見かけ上の最終消失半減期の平均は約6.7時間から約8.1時間である。
【0112】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に約Tmax後少なくとも18時間の間代謝物の形成をもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0113】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に、Tmax後にO−デスメチルトラマドール血漿濃度を対数線形型に低下させ、O−デスメチルトラマドールについての見かけ上の最終消失速度定数(λz)を約0.1h−1とすると思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0114】
本発明の他の目的は、初回に力価100mg,200mgおよび300mgを摂取する際にO−デスメチルトラマドール血漿濃度の半減時間(HVD)が25.6時間から28.1時間になる1日1回型製剤を提供することである。
【0115】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際にO−デスメチルトラマドールの半減時間(HVD)が約25.6時間から約28.1時間になると思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0116】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際にO−デスメチルトラマドール血漿濃度について算出されたAUC0−∞に対するC’maxの比率が約0.04h−1となると思われる1日1回型製剤を提供することである。C’max/AUC0−∞の比率は代謝物の形成速度の評価に用いられる。
【0117】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際にO−デスメチルトラマドール血漿濃度について算出された平均AUC0−24が、放出制御組成物の用量力価100mgから300mgの範囲に渡って用量と比例して増加すると思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0118】
本発明の他の実施態様は、初回用量の100mgを摂取する際にO−デスメチルトラマドールの血漿濃度についての平均AUC0−Tmaxが約175ng・h/mLから180ng・h/mLとなると思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0119】
本発明の他の実施態様は、初回用量の200mgを摂取する際にO−デスメチルトラマドールの血漿濃度についての平均AUC0−Tmaxが約530ng・h/mLから約550ng・h/mLとなると思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0120】
本発明の他の実施態様は、初回用量の300mgを摂取する際にO−デスメチルトラマドールの血漿濃度についての平均AUC0−Tmaxが約580ng・h/mLから約590ng・h/mLとなると思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0121】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際にO−デスメチルトラマドール血漿濃度のAUC0−24/AUC0−∞平均比率が約65%〜約80%となると思われる1日1回型製剤を提供することである。好ましくは、O−デスメチルトラマドール血漿濃度のAUC0−24/AUC0−∞の平均比率は約68%から約75%である。その結果、投与より24時間後の血漿中には投与された用量の約25%から約32%の活性代謝物が未だに循環している。
【0122】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際にトラマドールの用量に対する血漿O−デスメチルトラマドールの血漿濃度について算出されたC’maxの投与後24時間のO−デスメチルトラマドール血漿濃度(AUC0−24/AUC0−∞にトラマドール用量をかけたもの)に対する比率が約0.0025から約0.0035となると思われる1日1回型製剤を提供することである。好ましくは、比率は約0.0027から約0.0031である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0123】
(中心錠)
本発明の中心錠は、少なくとも1つの主成分および基剤を含み、これらの成分は基剤からの医薬成分の放出を制御するように関係している。具体的な態様においては、中心錠の基剤はコントラミドの名称で知られ、かつ2003年8月19日に公表された米国特許第6,607,748号(Lenaertsら)に最近記載された架橋高アミロースデンプンである。本発明の状況における好ましい製剤は、米国特許第6,607,748号の明細書において提供されている。
【0124】
好ましくは、中心錠は成分を(顆粒あるいは粉末の形態で)混合した後、混合物を圧縮して中心錠を形成し、その後その上層にコーティングを形成する。中心錠の重量は、組成物全体の重量の10%から80%のうちいずれの百分率としてもよい。好ましい百分率は、とりわけ薬物の総用量に依存する。以下にさらに記載する具体的な実施態様においては、錠剤が塩酸トラマドール100mgを含み、中心錠は錠剤の重量の約26%である。他の実施態様においては、錠剤が塩酸トラマドール200mgを含み、かつ中心錠は錠剤の総重量の約33%を構成する。他の実施態様においては、錠剤は塩酸トラマドール300mgを含み、中心錠は錠剤の総重量の約33%に寄与する。
【0125】
(中心錠中の主成分)
本発明の組成物の中心錠中には活性医薬成分が存在する。本発明の適当な医薬成分は持続放出製剤の形態で送達されることが望ましいあらゆる成分である。適当な薬物の包括的なリストは、The
Merck Index第12版で確認することができる。好ましくは、医薬成分はイソニコチン酸ヒドラジド、サリチル酸ナトリウム、塩酸プソイドエフェドリン、硫酸プソイドエフェドリン、アセトアミノフェンまたはジクロフェナクナトリウム、ベラパミル、グリピジド、ニフェジピン、フェロジピン、ベタヒスチン、アルブテロール、アクリバスチン、オメプラゾール、ミソプロストール、トラマドールオキシブチニン、トリメブチン、シプロフロキサシンおよびその塩であるが、これに限定されない。さらに、薬物はケトコナゾールなどの抗真菌剤、あるいはアセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、パラセタモール、イブプロフェン、ケトプロフェン、インドメタシン、ジフルニサル、ナプロキセン、ケトロラク、ジクロフェナク、トルメチン、スリンダク、フェナセチン、ピロシキカム、メフェナム酸、デキストロメトルファンなどの鎮痛薬、サリチル酸類などの他の非ステロイド性抗炎症薬、薬学的に許容できるその塩あるいはその混合物としてもよい。プロドラッグは本発明の一部である。
【0126】
水溶液中の薬物の溶解度は、幅広い値とすることができる。薬物の水に対する溶解度は10−3g/L未満、10−3g/L以上、10−2g/L以上、10−1g/L以上、1g/L以上、10g/L以上、100g/L以上、500g/L以上、1000g/L以上、あるいは2000g/L以上としてもよい。好ましくは、溶解度は100g/L以上である。より好ましくは、溶解度は500g/L以上である。最も好ましくは、溶解度は1000g/L以上である。
【0127】
薬物は多様な投与条件を満たすことができる。例えば、薬物の投与条件は1mg/投与単位未満、1mg/投与単位以上、10mg/投与単位以上、100mg/投与単位以上、200mg/投与単位以上、300mg/投与単位以上、400mg/投与単位以上、500mg/投与単位以上、あるいは1000mg/投与単位以上とすることができる。好ましくは、薬物は50mg/投与単位以上である。より好ましくは、薬物は100mg/投与単位、あるいはそれ以上、例えば150mg/投与単位、あるいは200mg/投与単位、あるいは250mg/投与単位、あるいは300mg/投与単位、あるいはそれ以上である。
【0128】
具体的な実施態様は、塩酸トラマドールを含有する中心錠であって、中心錠が錠剤中に存在する全トラマドールの約10%から90%、例えば100mg力価錠の約45mg(錠剤中全量の45%)、あるいは200mg力価錠の約90mg(錠剤中全量の45%)、あるいは300mg力価錠の約151mg(錠剤中全量の50%)を含有する中心錠を含む。
【0129】
(中心錠の基剤)
中心錠中に存在する活性医薬成分の製剤からの放出は、コーティング基剤中に存在する活性医薬成分の放出よりも遅い。中心錠の好ましい基剤は、コントラミドの名称で知られ、かつ米国特許第6,607,748号に記載されている架橋高アミロースデンプンである。具体的な実施態様においては、基剤は中心錠の重量の約10%から約90%を構成、すなわち中心錠の基剤と中心錠の主成分の比率(w/w)は約0.1から約10,あるいは約0.2から約9,あるいは約0.2から約8,あるいは約0.3から約7,あるいは約0.4から約6,あるいは約0.5から約5,あるいは約0.6から約4,あるいは約0.7から約4あるいは約1から約4,あるいは約1から約3および約1.5から2.5である。具体的な態様の1つにおいては、中心錠は全量約90mgであり、そのうち約44mgはコントラミド、かつ約45mgは塩酸トラマドールである。従ってこれらの例においては、コントラミドは中心錠の約49重量%を構成する。
【0130】
(任意の成分)
本発明の中心錠組成物は、薬学的に許容できる担体または媒質を任意に含んでもよい。このような単体または媒質は当業者に周知であり、例えばRemingtons's
Pharmaceutical Sciences,第14版(1970年)で確認される。このような担体または媒質の例は乳糖、デンプン、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、カオリン、マンニトールおよび粉糖を含む。さらに必要であれば適当な結合剤、滑沢剤、および崩壊剤を含めることができる。望ましい場合は色素と同様甘味料あるいは着香料を含めることができる。
【0131】
本発明の中心錠組成物は、微結晶性セルロース、デンプン、架橋デンプン、架橋ポリ(ビニルピロリドン)、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの分散剤、着香料、着色料、結合剤、防腐剤、界面活性剤などを含むがこれに限定されない副成分を任意に含有してもよい。
【0132】
また中心錠は、当業者に既知である1種類またはそれ以上の適当な結合剤も任意に含むことができる。
【0133】
微結晶性セルロースの適当な形態としては、例えばMCC−PH101,MCC−102,MCC−105などである。
【0134】
当業者に周知であるような適当な滑沢剤を含めることもできる。例えば、ステアリン酸マグネシウム、植物油、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸などである。
【0135】
当業者に周知である適当な流動化剤も含めることができる。このような流動化剤の例にはタルク、コロイド状二酸化ケイ素などがあるが、これに限定されない。
【0136】
(割合)
主薬は中心錠の総重量量の約1から約90重量%、好ましくは中心錠全組成物の約10から約70重量%、より好ましくは中心錠全組成物の約20から約60重量%、かつおそらく最も多くは中心の全組成物の約30〜約50重量%のレベルで存在する。
【0137】
当然ながら、全成分の総量は100重量%であり、当業者は有用な組成物を得るために記載された範囲内で量を変えることができる。
【0138】
(コーティング)
剤型のコーティングはポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの物理的混合物、およびコーティングの活性医薬成分を含む。コーティングは、例えばコントラミドなどの架橋高アミロースデンプンおよび他の任意の成分を含むことができる。好ましい実施態様においては、コーティングは乾燥圧縮法によって形成される。コーティングの重量は、組成物全体の重量の約10%から約90%のうちいずれの百分率とすることもできるが、好ましくはこの範囲内のより多い部分であることが望ましい。従って、コーティングは通常本発明の錠剤の約20%から約90%(w/w)、あるいは約25%から約90%,あるいは約30%から約85%,あるいは約35%から約85%,あるいは約40%から約85%,あるいは約45%から約85%,あるいは約45%から約90%,あるいは約50%から約90%あるいは約50%から約85%,あるいは約55%から約90%,あるいは約55%から約85%,あるいは約55%から約80%,あるいは約60%から約90%,あるいは約60%から約85%,あるいは約60%から約80%,あるいは約60%から約75%,あるいは約65%から約90%,あるいは約65%から約85%,あるいは約65%から約80%,あるいは約65%から約75%,あるいは約65%から約70%あるいは約75%を構成する。コーティングは任意の結合剤を含むことが多い。
【0139】
(コーティングのポリ酢酸ビニルおよびポリビニルピロリドン)
コーティング中のポリ酢酸ビニル/ポリビニルピロリドン混合物の重量百分率は、幅広い数値範囲のうちのいずれであってもよい。コーティング中の主成分の水への溶解度に応じて、ポリ酢酸ビニル/ポリビニルピロリドン混合物の量を調節することができる。米国特許公報第2001/0038852号は、このような調節ができる方法を記載している。例えば、水に可溶性〜極めて可溶性の主成分については、ポリ酢酸ビニル/ポリビニルピロリドン混合物はコーティングの約20から約80重量%、好ましくは約30から約65重量%、あるいは約40から約50重量%とすることができる。以下に示す具体的な実施態様においては、コリドンTMSRは、塩酸トラマドールが重量で約31%であり、キサンタンガムが約23%であるコーティングの重量の約45%を構成する。米国特許公報第2001/0038852号に記載されているように、水にやや溶けにくい〜溶けにくい主成分については、ポリ酢酸ビニル/ポリビニルピロリドン混合物の量はしばしばより少なくなる。
【0140】
ポリ酢酸ビニル/ポリビニルピロリドン混合物におけるポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの重量比率は、幅広い範囲の値とすることができる。好ましくは、このような比率は約6:4から9:1,より好ましくは約7:3から6:1,さらに好ましくは約8:2である。
【0141】
ポリ酢酸ビニル/ポリビニルピロリドン混合物におけるポリ酢酸ビニル成分の分子量は、幅広い範囲の値とすることができる。好ましくは、ポリ酢酸ビニルの平均分子量は約100から約10,000,000,あるいは約1,000から約1,000,000,あるいは約10,000から約1,000,000,あるいは約100,000から約1,000,000、あるいは約450,000である。
【0142】
ポリ酢酸ビニル/ポリビニルピロリドン混合物におけるポリビニルピロリドン成分の分子量は、幅広い範囲の値とすることができる。ポリビニルピロリドンの平均分子量は約100から約10,000,000,あるいは約1,000から約1,000,000,あるいは約5,000から約500,000,あるいは約10,000から約100,000、あるいは約50,000とすることができる。
【0143】
ポリ酢酸ビニルおよびポリビニルピロリドン混合物は、ポリビニルピロリドンとポリ酢酸ビニルの粉末を単純に混合することなどの多様な方法によって調製することができる。好ましい実施態様においては、このような混合物はポリ酢酸ビニルおよびポリビニルピロリドン溶液のコロイド分散を噴霧乾燥した粉末である。任意に、噴霧乾燥操作中の凝集を防止するためにラウリル硫酸ナトリウムを安定化剤として用い、かつ/あるいはポリ酢酸ビニル/ポリビニルピロリドン混合物の流動性を改善するためにコロイド状シリカを用いる。ポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドンは、任意にランダムあるいはブロック共重合体を形成することができる。
【0144】
(任意の成分)
本発明に適した結合剤は植物エキス、ゴム類、合成あるいは天然多糖類、ポリペプチド類、アルギン酸類、合成ポリマーあるいはその混合物を含むが、これに限定されない。
【0145】
ゲル化剤として用いられる適当な植物エキスは寒天、イスパキュラ、オオバコ、マルメロ、イナゴマメまたはその混合物を含むが、これに限定されない。
【0146】
ゲル化剤として用いられる適当なゴム類はキサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、インドゴム、カラヤゴム、トラガントゴムまたはその混合物を含むが、これに限定されない。
【0147】
ゲル化剤として用いられる適当な合成あるいは天然親水性多糖類はヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、デキストリン、寒天、カラゲナン、ペクチン、フルセララン、デンプンまたはデンプン誘導体、架橋高アミロースデンプン、あるいはその混合物を含むが、これに限定されない。
【0148】
ゲル化剤として用いられる適当なポリペプチドはゼラチン、コラーゲン、ポリゼリンまたはその混合物を含むが、これに限定されない。
【0149】
ゲル化剤として用いられる適当なアルギン酸類はアルギン酸、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウムまたはその混合物を含むが、これに限定されない。
【0150】
ゲル化剤として用いられる適当な合成ポリマーはカルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、およびその共重合体またはその混合物を含むが、これに限定されない。
【0151】
好ましい実施態様においては、ゲル化剤はキサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、インドゴム、カラヤゴム、トラガントガムまたはその混合物、PEO7,000,000およびHPMC
K100Mなどのゴム類である。
【0152】
最も好ましい実施態様においては、ゲル化剤はキサンタンガムである。
【0153】
(コーティング中の主薬)
本発明の適当な活性医薬成分は、持続放出製剤の形で送達されることが望ましいいずれかの活性成分である。適当な薬物の包括的なリストは、The Merck Index第12版で確認することができる。好ましくは、薬物はイソニコチン酸ヒドラジド、サリチル酸ナトリウム、塩酸プソイドエフェドリン、硫酸プソイドエフェドリン、アセトアミノフェンまたはジクロフェナクナトリウム、ベラパミル、グリピジド、ニフェジピン、フェロジピン、ベタヒスチン、アルブテロール、アクリバスチン、オメプラゾール、ミソプロストール、トラマドール(登録商標),オキシブチニン、トリメブチン、シプロフロキサシンおよびその塩であるが、これに限定されない。さらに、薬物はケトコナゾールなどの抗真菌剤、あるいはアセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、パラセタモール、イブプロフェン、ケトプロフェン、インドメタシン、ジフルニサル、ナプロキセン、ケトロラク、ジクロフェナク、トルメチン、スリンダク、フェナセチン、ピロキシカム、メフェナム酸、デキストロメトルファンなどの鎮痛薬、サリチル酸類などの他の非ステロイド性抗炎症薬、薬学的に許容できるその塩あるいはその混合物とすることができる。
【0154】
水溶液中の薬物の溶解度は、幅広い値をとることができる。薬物の水に対する溶解度は10−3g/L未満、10−3g/L以上、10−2g/L以上、10−1g/L以上、1g/L以上、10g/L以上、100g/L以上、500g/L以上、1000g/L以上、あるいは2000g/L以上であってもよい。好ましくは、溶解度は100g/L以上である。より好ましくは、溶解度は500g/Lあるいはさらに1000g/L以上である。
【0155】
薬物は多様な投与条件を満たすことができる。例えば、薬物の投与条件は1mg/投与単位未満、1mg/投与単位以上、10mg/投与単位以上、100mg/投与単位以上、200mg/投与単位以上、300mg/投与単位以上、400mg/投与単位以上、500mg/投与単位以上、あるいは1000mg/投与単位以上としてもよい。好ましくは、薬物は50mg/投与単位以上である。より好ましくは、薬物は100mg/投与単位以上である。最も好ましくは、薬物は200mg/投与単位以上である。
【0156】
コーティングは活性医薬成分(api)重量の約5%から約90%であるか、あるいはapi重量の約5%から約80%、あるいはapi重量の約10%から約70%、あるいはapi重量の約10%から約60%、api重量の約15%から約50%、あるいはapi重量の約15%から約45%、api重量の約15%から約40%、あるいはapi重量の約20%から約35%、あるいはapi重量の約20%から約30%とすることができる。
【0157】
以下に示す具体的な実施態様においては100mgトラマドール錠に由来するトラマドールの重量は、コーティングの重量の約21%である。200mg錠に由来するトラマドールの重量は、コーティングの重量の約31%である。300mg錠に由来するトラマドールの重量は、コーティングの重量の約30%である。
【0158】
(投与経路)
本発明の錠剤組成物は、経口、舌下および直腸など数多くの経路より投与できるが、これに限定されない。本発明の組成物の好ましい投与経路は経口である。
【0159】
経口投与に適した本発明の組成物は、錠剤または顆粒などの個別単位として提供することができる。好ましくは、本発明の組成物は錠剤の形態で提供される。このような錠剤は従来通り圧縮あるいは成形によって形成されてもよい。圧縮錠剤は、適当な機械において上記の成分の1つまたはそれ以上の混合物を圧縮することにより調製してもよい。成形錠剤は、上記の成分を適当な機械において型抜きして製造してもよく、これを不活性液体溶媒で適宜湿らせることができる。錠剤は適宜コーティングしかつ/あるいは消費者が見ることができる他の識別表示を付けてもよい。錠剤は、例えば裸錠、ドライコート錠、フィルムコート錠などの多様な形態とすることができる。また錠剤は、多様な形状(例:楕円形、球形など)およびサイズとすることができる。錠剤の包括的な議論は、The Theory and Practice of Industrial Pharmacy第3版,Lachmanら(Lea & Febiger, 1986)などの参照文献で確認することができる。
(持続放出組成物の溶解プロフィール)
【0160】
組成物の主薬は、USPI型装置で50mMリン酸pH6.8において、かつ50から150rpmで撹拌しながら測定するとき、以下のin vitro溶解プロフィールを示す。
【0161】
USP
I型装置を用い50mMリン酸pH6.8中で、かつ50から150rpmで撹拌しながらin
vitro試験すると、0から2時間の間に薬物が毎時10%から30%の速度で放出され、あるいは
【0162】
0から約2時間の測定時に製剤より10%から40%の薬物が放出され、2から約7時間の測定時に製剤より約30から60%の薬物が放出され、7から約12時間の測定時に製剤より約50%から80%の薬物が放出され、かつ約20時間の測定後に製剤より薬物の約80%から100%が放出され、またより好ましくは
【0163】
2時間の測定の間に製剤より15%から35%の薬物が放出され、7時間の測定の間に製剤より約40から60%の薬物が放出され、12時間の測定時に製剤より約60%から80%の薬物が放出され、かつ約20時間の測定後に薬物の約85%から100%が放出され、あるいは
【0164】
2時間の測定の間に製剤より20%から40%の薬物が放出され、7時間の測定の間に製剤より約40%から60%の薬物が放出され、12時間の測定時に製剤より約60%から80%の薬物が放出され、かつ約20時間後の測定時に薬物の約85%から100%が放出される
【0165】
本発明は、本発明の範囲を限定するためではなくこれを例示するための以下の実施例を参照することにより、より容易に理解することができるであろう。
【実施例】
【0166】
これらの実施例に用いられる架橋高アミロースデンプンは、架橋および化学的に修飾し、その後ゼラチン化して乾燥する手順を含む方法によって形成される。このような方法は、2003年8月19日に公表された米国特許公報第6,607,748(Lenaerts et al.)により詳細に記載され、市場ではコントラミド(登録商標)の名称で知られ、かつ実施例IおよびIIに記載されている。
【0167】
(実施例I)
(A.架橋)
約70%w/wのアミロースを含むアミロースデンプン(3.0kg)(Cl AmyloGel
03003)を反応装置に入れる。 この反応装置に水酸化ナトリウム(33.0g)および硫酸ナトリウム(2.40kg)を含んだ水(55.0L)を加える。生成したスラリーを温度30℃まで加熱する。反応混合物にオキシ塩化リン(22.5g)を加え、1時間反応させる。
【0168】
(B.化学的修飾、ヒドロキシプロピル化)
A節に由来する粗反応混合物をヒドロキシプロピル化反応装置に移す。反応混合物を40℃で30分間加熱し、さらに反応物を窒素パージする。完全にパージした後、プロピレンオキシド(1.80kg)を添加する。反応混合物を40℃で20時間保持する。反応混合物を、0.1N H2S04(1:2v/v)を用いてpH5.5に中和する。デンプンスラリーを、遠心速度1200rmpのバスケット遠心機で洗浄する。得られたデンプンケークを35Lの水で再スラリー化し、2回目の遠心分離を行う。生成したデンプンケークをフラッシュドライヤー中で入口温度160℃、かつ出口温度60℃で乾燥する。
【0169】
(C.ゼラチン化)
修飾した顆粒状デンプンケークを脱イオン水で希釈し、乾燥物質重量より算出して約8%の濃度のスラリーを形成する。生成したスラリーの水に対する比重は1.032kg/Lである。修飾デンプンスラリーのpHを6.0に調節する。次にスラリーを直接蒸気噴射(Schlick
Model 825)により160℃に加熱する。温度変動は1℃以下とする。スラリーを160℃、かつ圧力5.5barで保持カラム内に4分間保持する。次にフラッシュを通過させることにより圧力を大気圧まで下げる。次にスラリーを95℃で保持タンク内に保持する。
【0170】
(D.噴霧乾燥)
0.8mmノズルを装備しかつ10L/時間でフィードするNiroFSD4噴霧乾燥塔を用いてC節に由来するスラリーの乾燥を実施する。入口温度は300℃、かつ出口温度は120℃に固定する。得られる粉末は、以下の特性を有する放出制御賦形剤である。
【0171】
【表1】

【0172】
(実施例II)
(A.架橋)
約70%w/wのアミロース(Cl AmyloGel 03003)を含む高アミロースデンプン(30.0kg)を反応装置に入れる。 この反応装置に水酸化ナトリウム(33.0g)および硫酸ナトリウム(2.40kg)を含んだ水(55.0L)を加える。生成したスラリーを温度30℃まで加熱する。反応混合物にトリメタリン酸ナトリウム(45g)を加え、1時間反応させる。
【0173】
(B.化学的修飾、ヒドロキシプロピル化)
A節に由来する粗反応混合物をヒドロキシプロピル化反応装置に移す。反応混合物を40℃で30分間加熱し、さらに反応物を窒素パージする。完全にパージした後、プロピレンオキシド(1.80kg)を添加する。反応混合物を40℃で20時間保持する。0.1N H2S04を用いて(1:2v/v)反応混合物をpH5.5に中和する。デンプンスラリーを、遠心速度1200rmpのバスケット遠心機で洗浄する。得られたデンプンケークを35Lの水で再スラリー化し、2回目の遠心分離を行う。生成したデンプンケークをフラッシュドライヤー中で入口温度160℃、かつ出口温度60℃で乾燥する。
【0174】
(C.ゼラチン化)
修飾した顆粒状デンプンケークを脱イオン水で希釈し、乾燥物質について算出して約8%の濃度のスラリーを形成する。生成したスラリーの水に対する比重は1.032kg/Lである。修飾デンプンスラリーのpHを6.0に調節する。次にスラリーを直接蒸気噴射(Schlick
Model 825)により160℃に加熱する。温度変動は1℃を上回らない。スラリーを160℃、かつ圧力5.5barで保持カラム内に4分間保持する。次にフラッシュを通過させることにより圧力を大気圧まで下げる。次にスラリーを95℃で保持タンク内に保持する。
【0175】
(D.噴霧乾燥)
C節に由来するスラリーの乾燥は、0.8mmノズルを装備しかつ10L/時間でフィードするNiroFSD4噴霧乾燥塔を用いて実施する。入口温度は300℃、かつ出口温度は120℃に固定する。得られる粉末は、以下の特性を有する放出制御賦形剤である。
【0176】
【表2】

【0177】
ラブリタブOはペンウエスト製薬株式会社(米国アイオワ州シダーラピッズ)が販売する製品である。コリドンTMSRはBASF社(ドイツ)が製造する製品である。エンコンプレスは、マンデール社(ニューヨーク州パターソン)より購入することができるリン酸二カルシウム二水和物である。塩酸トラマドールはケマジス社(3
Hashlosha Street, P. O. Box 9091, 61090, Tel Aviv, Israel)より入手可能である。トラマドールの合成および精製方法は、例えば米国特許第3,652,589号、第5,414,129号、第5,672,755号、第5,874,620号、第5,877,351号および第6,169,205号に記載されている。
【0178】
(製造方法)
本発明の錠剤は、図1のフローチャートに一般的に記載され、以下により詳細に記載されている方法に従って製造することができる。
【0179】
秤量:原料は明確にラベル表示された容器に入れる。
【0180】
中心錠の予備混合:コントラミド(登録商標)とコロイド状二酸化ケイ素の一部を#30メッシュのふるいを篩過して適当な容器に入れる。
【0181】
中心錠の混合:コントラミド(登録商標)の一部を取って混合機に入れる。塩酸トラマドールを#30メッシュのふるいで篩過し、かつ混合機に加える。コントラミド(登録商標)の一部で容器をすすぎ、さらに混合機に加える。硬化植物油I型を#30メッシュのふるいで篩過し、かつ混合機に加える。中心錠予備混合物を混合機に加える。残りのコントラミド(登録商標)を混合機に入れ、かつ全ての成分を混合する。ステアリン酸マグネシウムを#30メッシュのふるいで篩過し、かつ他の成分との混合物を加える。混合物を適当な容器に入れ、中心錠混合物として識別する。
【0182】
ドライコーティングの予備混合:キサンタンガムの一部とコロイド状二酸化ケイ素の全量を混合し、#30メッシュのふるいで篩過する。
【0183】
ドライコーティングの混合:コリドン(登録商標)SRの一部を取って混合機に入れる。塩酸トラマドールを#30メッシュのふるいをつけたKason分離器で篩過して適当な容器に入れ、さらに混合器に加える。残りのキサンタンガムで容器をすすぎ、さらに混合機に入れる。硬化植物油1型を#30メッシュのふるいで篩過し、かつ混合機に加える。ドライコーティング予備混合物とコリドン(登録商標)SRの残りを混合機に入れ、全ての成分を混合する。ステアリン酸マグネシウムを#30メッシュのふるいで篩過し、かつ他の成分と混合する。顆粒を適当な容器に入れ、ドライコーティング混合物として識別する。
【0184】
圧縮:Manesty Dry−Cota pressを用いて圧縮コーティング錠を製造する。
【0185】
(実施例1)
表3に示すように、製剤A,BおよびCは上述の方法に従って製造した。
【0186】
【表3】

【0187】
製剤A,BおよびCの溶解プロフィールを図2に示す。
【0188】
(バイオアベイラビリティ 単回投与)
(実施例2)
200mg(製剤B)の単回投与後のトラマドールおよびその一次代謝物であるO−デスメチルトラマドールの血漿薬物動態プロフィールを、現在販売されている100mg製剤であるトパルジック(登録商標)1日2回投与と比較して算出し、かつ200mg(製剤B)の2倍用量の投与後に現在市販されている200mg製剤であるトパルジック(登録商標)の1日2回投与と比較して算出した。試験は各投与の間に少なくとも7日間のウォッシュアウト期間があるオープン単回投与無作為化3元クロスオーバーデザインである。図3(a)および図3(b)に結果を示す。
【0189】
(実施例3)
製剤A,BおよびCのそれぞれ100,200および300mgの単回経口投与後のトラマドールおよびその一次代謝物O−デメチルトラマドールの血漿薬物動態プロフィールを算出した。試験は各投与の間に少なくとも7日間のウォッシュアウト期間があるオープン単回投与無作為化3元クロスオーバーデザインである。図4(a)および4(b)に結果を示す。
【0190】
トラマドールの最高血漿濃度到達時間(Tmax)の中央値は2から8時間、トラマドールの最高血漿濃度(Cmax)は組成物の単回経口投与後24時間に得られる平均血漿濃度(C24h)の3倍未満が得られた。狭い意味では、各例について得られたトラマドールの最高血漿濃度(Cmax)は、本発明の組成物の単回投与後24時間に得られる血漿濃度(C24h)の2倍未満である。
【0191】
(実施例4)
(定常状態)
製剤B200mgを毎日投与した後のトラマドールおよびその一次代謝物O−デスメチルトラマドールの定常状態血漿薬物動態プロフィールを算出した。プロフィールはオープンラベル2試験対応クロスオーバー無作為化試験で得られた。得られた結果を表5に示す。
【0192】
本発明は1日1回連続投与に適した経口トラマドール医薬組成物であって、in vivoで所与の24時間の間、トラマドール最小血漿濃度(Cmin)の2から3倍のトラマドール最大血漿濃度(Cmax)が得られる定常状態において有効な量のトラマドールを含む組成物を提供する。より好ましくは、350ng/mL以下の平均Cmaxが得られる。さらに、平均的に24時間のうち少なくとも18時間はCmaxの90%未満であるトラマドール血漿濃度が達成できる。
【0193】
用語「λz」は、対数線形相での回帰の勾配より算出される見かけ上の最終消失速度定数である。
【0194】
用語「AUC0−Tmax」は、時間0からTmaxまでの血漿濃度−時間曲線下面積の平均であり、かつ薬物吸収あるいは代謝物形成速度の指標として用いられる。バイオアベイラビリティ試験の各参加者について算出された時間0からTmaxまでの血漿濃度−時間曲線下面積の算術平均として算出される。
【0195】
用語「AUC0−∞」は、無限大に外挿された血漿濃度−時間曲線下面積の平均である。バイオアベイラビリティ試験の各参加者について、時間0から無限大まで外挿された血漿濃度−時間曲線下面積の算術平均として算出される。
【0196】
用語「C’max」は、各最高血漿濃度の平均として算出される、最高実測血漿濃度である。
【0197】
用語「半減期」は、見かけ上の最終消失半減期である。
【0198】
用語「HVD」は半減時間、すなわちトラマドール濃度がC’maxの1/2以上となる時間である。このパラメータは血漿濃度時間曲線の形状の指標であり、すなわちHVDが大きいほど放出制御は良好である。
【0199】
用語「MRT」は平均滞留時間であり、トラマドール分子が経口投与後に体内に滞留する平均時間の概算値である。
【0200】
用語「tmax」はCmaxが達成される時間である。
【0201】
用語「Tmax」は、バイオアベイラビリティ試験の各参加者について最高血中濃度が確認された時間である。
【0202】
用語「Rstart」は、血漿濃度が対数線形型に低下し始める時間、すなわち薬物の吸収または代謝物の形成が完了する時間である。
【0203】
放出制御製剤のトラマドール薬物動態パラメータは表4に示し、また放出制御製剤のO−デメチルトラマドールの薬物動態パラメータを表5に示す。
【0204】
【表4】

【0205】
【表5】

【0206】
本発明は、本発明の最も好ましい実施態様による範囲を例示することを意図したこれらの実施例に開示された具体的な実施態様による範囲に限定されない。実際に、本明細書に示され、かつ記載されたものと機能的に同等である本発明の多様な変法あるいは他の実施態様は当業者に明らかになると思われ、かつ添付した請求項の対象となることを意図している。さらに、本発明の組み合わされた要素の多様な実例が記載されているものの、これらは包括的であることを意図せず、かつ1つの実施態様の特性が他のものと組み合わされてもよいことが理解されると思われ、かつこのような他の組み合わせが本明細書に開示された本発明の範囲内となることを意図している。
【0207】
数多くの参照文献が引用されており、その開示の全文が参照文献として本明細書に組み入れられている。
【図面の簡単な説明】
【0208】
本発明の多様な特性および利点は、添付した図面に関して与えられたより詳細な説明によってより明確になると思われる。
【図1】錠剤の製造プロセスを示すフローチャート。
【図2】製剤(Formulation)A,BおよびCの24時間溶解プロフィール(%放出(RELEASED)):USPI型条件の下での50mMリン酸緩衝液pH6.8,100rpmにおける製剤A,BおよびCのin vitro成績。各測定時(TIME)につき6錠を試験した。
【図3a】組成物(製剤B)2×200mg(▲)および12時間おき1日2回型トルパジック(登録商標)LP(△)投与後48時間の平均血漿トラマドール濃度(ng/ml)。血漿濃度はHPLC/UV分析を用いて測定した。
【図3b】組成物(製剤B)の用量1×200mg1回(●)、組成物の用量2×200mg(▲)、12時間おき1日2回型トルパジック(r)LPの1×100mg(○)、および12時間置き1日2回型トルパジック(r)LP1×200mg1回(△)投与後48時間の平均O−デスメチルトラマドール(O-Desmethyltramadol)血漿濃度(ng/mL)。
【図4】a:27名の被験者を対象とした力価100mg(◆)、200mg(○)、あるいは300mg(△)のトラマドール製剤(それぞれA,BおよびC)の単回投与後48時間の血漿(PLASMA)トラマドール濃度(ng/ml)。b:27名の被験者を対象とした力価100mg(◆)、200mg(○)、あるいは300mg(△)のトラマドール製剤(それぞれA,BおよびC)の単回投与後48時間の血漿O−デメチルトラマドール濃度(ng/ml)。
【図5】トラマドール製剤B200mgを投与した26名の被験者の平均定常状態血漿トラマドール(●)およびO−デメチルトラマドール(○)濃度(ng/mL)、および1日2回型トパルジックLP100mgを投与した26名の被験者の平均定常状態血漿トラマドール(▲)およびO−デメチルトラマドール(△)濃度(ng/mL)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋高アミロースデンプンを含む第1の放出制御基剤中に分散された薬物を含み、そこからの前記薬物の基剤放出が相対的に遅い中心錠、および前記中心錠を覆って形成され、かつ第2の放出制御基剤中に分散された前記薬物を含み、そこからの前記薬物の放出速度が相対的に速いコーティングを含む固形投与製剤。
【請求項2】
請求項1に記載された製剤であって、前記コーティングおよび中心錠が前記製剤からの前記薬物の放出が二相性となるような相対量の前記薬物を含む製剤。
【請求項3】
請求項1または2に記載された製剤であって、前記薬物が水溶性であり、かつ前記第1の基剤が前記第2の基剤に対して相対的に親水性である製剤。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載された製剤であって、前記薬物がイオン塩として前記製剤中に存在する製剤。
【請求項5】
請求項4に記載された製剤であって、前記薬物がアミノ基を含む製剤。
【請求項6】
請求項5に記載された製剤であって、前記薬物が塩酸塩として前記製剤中に存在する製剤。
【請求項7】
請求項2から6のいずれかに記載された製剤であって、前記コーティングからの前記薬物の放出速度が前記中心錠からの前記薬物の放出速度の少なくとも2倍であるか、あるいは前記コーティングからの前記薬物の放出速度が前記中心錠からの前記薬物の放出速度の少なくとも3倍であるか、かつ好ましくは、前記コーティングからの前記薬物の放出速度が前記中心錠からの前記薬物の放出速度の最高15倍であるか、あるいは前記コーティングからの前記薬物の放出速度が前記中心錠からの前記薬物の放出速度の最高12倍であるか、あるいは前記コーティングからの前記薬物の放出速度が前記中心錠からの前記薬物の放出速度の最高10倍であるか、あるいは前記コーティングからの前記薬物の放出速度が前記中心錠からの前記薬物の放出速度の最高8倍であるか、あるいは前記コーティングからの前記薬物の放出速度が前記中心錠からの前記薬物の放出速度の最高6倍であるか、あるいは前記コーティングからの前記薬物の放出速度が前記中心錠からの前記薬物の放出速度の約4倍である製剤。
【請求項8】
前述の請求項のいずれかに記載された製剤であって、USP
I型装置を用い50mMリン酸pH6.8中で、かつ50から150rpmで撹拌しながらin
vitro試験するとき0から2時間の間に1時間あたり前記薬物の10%から30%が放出される製剤。
【請求項9】
前述の請求項のいずれかに記載された製剤であって、0から約2時間の測定時に前記製剤より前記薬物の10%から40%が放出され、2から約7時間の測定時に前記製剤より前記薬物の約30から60%が放出され、7から約12時間の測定時に前記製剤より前記薬物の約50%から80%が放出され、かつ約20時間の測定後に前記製剤より前記薬物の約80%〜100%が放出される製剤。
【請求項10】
前述の請求項のいずれかに記載された製剤であって、前記主薬が鎮痛薬である製剤。
【請求項11】
請求項10に記載された製剤であって、前記主薬がトラマドールである製剤。
【請求項12】
前述の請求項のいずれかに記載された製剤であって、前記薬物のそれぞれが少なくとも1g/L程度、あるいは10g/L以上、あるいは100g/L以上、あるいは500g/L以上、あるいは1000g/L以上、あるいは2000g/L以上水に可溶である製剤。
【請求項13】
前述の請求項のいずれかに記載された製剤であって、前記コーティングに対する前記中心錠の比率(w/w)が約1から約0.1,あるいは約0.9から約0.2,あるいは約0.8から約0.2,あるいは約0.7から約0.2,あるいは約0.5から約0.2,あるいは約0.4から約0.2あるいは約0.4から約0.2,あるいは約0.35である製剤。
【請求項14】
前述の請求項のいずれかに記載の製剤であって、中心錠中の前記薬物とコーティング中の前記薬物の比率(w/w)が約0.1から約10,あるいは約0.1から約8,あるいは約0.2から約7,あるいは約0.3から約6,あるいは約0.4から約5,あるいは約0.5から約4,あるいは約0.6から約3,あるいは約0.6から約2,あるいは約0.6から約1.5,あるいは約0.6から約1.3,あるいは約0.7から約1,あるいは約0.7から約0.9あるいは約0.8である製剤。
【請求項15】
前述の請求項のいずれかに記載された製剤であって、前記中心錠が薬物重量にして約10%から約90%であるか、あるいは薬物重量にして約20から約80%であるか、あるいは薬物重量にして約30%から約70%であるか、あるいは薬物重量にして約40%から約60%であるか、あるいは薬物重量にして約50%である製剤。
【請求項16】
前述の請求項のいずれかに記載された製剤であって、前記コーティングが薬物重量にして約5%から約90%であるか、あるいは薬物重量にして約5から約80%であるか、あるいは薬物重量にして約10%から約70%であるか、あるいは薬物重量にして約10%から約60%であるか、あるいは薬物重量にして約15%から約50%であるか、あるいは薬物重量にして約15%から約45%であるか、あるいは薬物重量にして約15%から約40%であるか、あるいは薬物重量にして約20%から約35%であるか、あるいは薬物重量にして約20%から約30%である製剤。
【請求項17】
前述の請求項のいずれかに記載された製剤であって、前記コーティング中の前記薬物に対する前記コーティングの前記基剤の比率(w/w)が約0.1から約10,あるいは約0.2から約9,あるいは約0.2から約8,あるいは約0.3から約7,あるいは約0.4から約6,あるいは約0.5から約5,あるいは約0.6から約4,あるいは約0.7から約4,あるいは約1から約4,あるいは約1から約3,あるいは約1.5から約2.5である製剤。
【請求項18】
請求項1から13のいずれかに記載された製剤であって、前記中心錠の前記薬物に対する前記中心錠の前記基剤の比率(w/w)が約0.1から約10,あるいは約0.2から約9,あるいは約0.3から約7,あるいは約0.4から約6,あるいは約0.5から約5,あるいは約0.5から約4,あるいは約0.5から約3,あるいは約0.6から約3,あるいは約0.7から約2あるいは約0.8から1.5,あるいは約0.9から約1.5,あるいは約0.9から約1.3あるいは約1,あるいは約0.55である製剤。
【請求項19】
請求項1から3のいずれかに記載された製剤であって、前記薬物が室温(約21℃)で水に少なくとも0.5g/mL程度可溶である製剤。
【請求項20】
請求項1から4のいずれかに記載された製剤であって、前記薬物が酸官能基、塩基官能基あるいは酸官能基および塩基官能基を共に含み、かつ前記薬物がその塩の形態で存在する製剤。
【請求項21】
請求項21に記載の製剤であって、前記薬物が塩基性基を含む製剤。
【請求項22】
請求項1から4のいずれかに記載された製剤であって、前記薬物がイオン化可能な官能基を1つ含み、かつ前記官能基が胃酸(0.1M
HCl)中で少なくとも90%イオン化される製剤。
【請求項23】
請求項1から11および13から22のいずれかに記載の製剤であって、前記薬物がイソニコチン酸ヒドラジド、サリチル酸ナトリウム、塩酸プソイドエフェドリン、硫酸プソイドエフェドリン、アセトアミノフェンまたはジクロフェナクナトリウム、ベラパミル、グリピジド、ニフェジピン、フェロジピン、ベタヒスチン、アルブテロール、アクリバスチン、オメプラゾール、ミソプロストール、トラマドール、オキシブチニン、トリメブチン、シプロフロキサシンおよびその塩からなる群から選択されている製剤。さらに、前記薬物はケトコナゾールなどの抗真菌剤、あるいはアセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、パラセタモール、イブプロフェン、ケトプロフェン、インドメタシン、ジフルニサル、ナプロキセン、ケトロラク、ジクロフェナク、トルメチン、スリンダク、フェナセチン、ピロキシカム、メフェナム酸、デキストロメトルファンなどの鎮痛薬、サリチル酸類などの他の非ステロイド性抗炎症薬、薬学的に許容できるその塩あるいはその混合物とすることができる。
【請求項24】
前述の請求項のいずれかに記載された製剤であって、前記中心錠が圧縮により調製される製剤。
【請求項25】
前述の請求項のいずれかに記載された製剤であって、前記コーティングが圧縮により調製される製剤。
【請求項26】
請求項25に記載された製剤であって、コーティングが前記中心錠の上に別個に圧縮される製剤。
【請求項27】
前述の請求項のいずれかに記載された製剤であって、前記コーティングがポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドンの混合物を含む製剤。
【請求項28】
請求項27に記載された製剤であって、前記コーティング中のポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの比率(w/w)が約6:4から9:1,あるいは7:3から9:2、あるいは約8:2である製剤。
【請求項29】
請求項27または28に記載の製剤であって、前記コーティングがさらに結合剤を含む製剤。
【請求項30】
請求項29に記載された製剤であって、前記結合剤がキサンタンガムである製剤。
【請求項31】
請求項30に記載された製剤であって、前記製剤が錠剤であり、かつ前記架橋高アミロースデンプンが(a)高アミロースデンプンを架橋し、その後(b)前記架橋高アミロースデンプンを化学的に修飾し、その後(c)ゼラチン化し、かつ(d)乾燥して前記放出制御賦形剤の粉末を得ることを含む方法で調製される化学的に修飾された架橋高アミロースデンプンを含み、前記架橋高アミロースデンプンが80℃の90%DMSOにおける約3日間の可溶化およびゲル透過クロマトグラフィーを行うとき、前記架橋高アミロースデンプン中のアミロースに対応するピークの高さが(a)を実施する前の前記高アミロースデンプン中のアミロースに対応するピークの少なくとも90%であることを特徴とする製剤。
【請求項32】
前述の請求項のいずれかに記載された製剤であって、前記中心錠がさらに滑沢剤を含み、かつ前記滑沢剤が任意に硬化植物油である製剤。
【請求項33】
前述の請求項のいずれかに記載された製剤であって、前記コーティングがさらに滑沢剤を含み、かつ前記滑沢剤が任意に硬化植物油である製剤。
【請求項34】
前述の請求項のいずれかに記載された製剤であって、前記製剤が経口投与用に製剤化された錠剤である製剤。
【請求項35】
その薬物の放出が相対的に遅い第1の放出制御基剤中に分散された薬物を含む中心錠、および前記中心錠を覆って形成されかつ第2の放出制御基剤中に分散された前記薬物を含むコーティングを含む固形投与製剤であって、前記第2の放出制御基剤がポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの物理的混合物を含み、かつそこからの前記薬物の放出が相対的に速い固形投与製剤。
【請求項36】
その薬物の基剤放出が相対的に遅い架橋高アミロースデンプンを含む第1の放出制御基剤中に分散された薬物を含む中心錠、および前記中心錠を覆って形成されかつ第2の放出制御基剤中に前記薬物を含むコーティングを含む固形投与製剤であって、前記第2の放出制御基剤がポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの物理的混合物を含み、かつ前記中心錠の前記基剤からの前記薬物の放出が前記コーティングの前記基剤からの前記薬物の放出に対して相対的に遅い固形投与製剤。
【請求項37】
第1の放出制御基剤中に薬物を含む中心錠、および前記中心錠を覆って形成され、かつ第2の放出制御基剤中に薬物を含むコーティングを含む固形製剤であって、前記第2の放出制御基剤がポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの物理的混合物を含み、かつ前記中心錠の前記基剤からの前記薬物の放出が前記コーティングの前記基剤からの前記薬物の放出に対して相対的に遅い固形製剤。
【請求項38】
そこから長い時間にわたって放出するための薬物を含む固形投与製剤であって、前記製剤が第1の放出制御基剤中に薬物を含む中心錠であって前記放出制御基剤が架橋高アミロースデンプンを含む中心錠、および中心錠を覆って形成されかつ第2の放出制御基剤中に前記薬物を含むコーティングであって、前記第2の放出制御基剤がポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの物理的混合物を含むコーティングを含み、かつ前記中心錠に前記薬物が前記製剤から水性環境、例えば胃酸へ前記時間の1/4以内に前記薬物の50%以下の放出を得るのに充分に存在する製剤。
【請求項39】
請求項38に記載の製剤であって、前記時間が約12時間から約24時間の間であり、かつ前記薬物の約30%から約70%が前記中心錠中にある製剤。
【請求項40】
請求項36から39のいずれかに記載された製剤であって、前記第1の基剤中の前記薬物および前記第2の基剤中の前記薬物がそれぞれ少なくとも1g/L程度、あるいは10g/L以上、あるいは100g/L以上、あるいは500g/L以上、あるいは1000g/L以上、あるいは2000g/L以上水に可溶性である製剤。
【請求項41】
請求項36から40のいずれかに記載された製剤であって、前記薬物が鎮痛薬である製剤。
【請求項42】
トラマドールあるいはその塩を有する架橋高アミロースデンプンを含み、そこに包埋された圧縮された中心錠、および前記中心錠を覆って圧縮により形成され、かつポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、結合剤、トラマドールの物理的混合物を含むコーティングを含む放出制御錠であって、かつ中心錠/コーティングの比率(w/w)が約0.2から0.6,前記コーティング中の前記トラマドールに対する前記中心錠中の前記トラマドールの比率が約0.7から約1,ポリ酢酸ビニル/ポリビニルピロリドンの比率(w/w)が約6:4から約9:1,かつUSPI型装置により50mMリン酸pH6.8において、かつ50から150rpmで測定するとき前記コーティング基剤からのトラマドール放出速度が前記中心錠からの放出速度の少なくとも2倍である放出制御錠。
【請求項43】
放出制御製剤を製造する方法であって、前記方法が(i)薬物と架橋高アミロースデンプンを含む第1の基剤材料を混合し、(ii)手順(i)で生成した混合物を中心錠に形成し、(iii)薬物と第1の基剤材料に対して相対的に放出の速い材料を含む第2の基剤材料を混合し、(iv)手順(iii)で生成した混合物を中心錠の外側にコーティングとして形成することを含む方法。
【請求項44】
放出制御薬剤を製造する方法であって、前記方法が(i)薬物と第1の基剤材料を混合し、(ii)手順(i)で生成した混合物を中心錠に形成し、(iii)前記薬物と第2の基剤材料の混合であって、前記第2の基剤材料がポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドンとの物理的混合物でありかつ第1の基剤材料に対して放出が相対的に速い材料である混合を行い、(iv)手順(iii)で生成した混合物を中心錠の外側にコーティングとして形成することを含む方法。
【請求項45】
請求項43または44に記載された方法であって、手順(ii)が手順(i)で生成した混合物を圧縮することを含む方法。
【請求項46】
請求項43,44または45に記載された方法であって、手順(iv)が手順(iii)で生成した混合物を前記中心錠の外側に圧縮することを含む方法。
【請求項47】
請求項43から46に記載された方法であって、前記中心錠および前記コーティング中の前記薬物がトラマドールであり、前記薬剤中のトラマドールの総量は1日用量として有効であり、かつ前記薬剤が請求項1から42のいずれかにおいて定義されたものと同様に適切である製剤を含む方法。
【請求項48】
1日1回投与に適したトラマドール医薬組成物であって、in
vivoでの1回投与後にトラマドール最高血漿濃度到達時間(Tmax)の中央値を2から8時間、かつトラマドール平均最高血漿濃度(Cmax)をこのような組成物の1回投与後24時間に得られる平均血漿濃度(C24h)の3倍未満とする有効量のトラマドールまたは薬学的に許容できるその塩を含む組成物。
【請求項49】
請求項48に記載された組成物であって、前記平均最高血漿濃度(Cmax)が、このような組成物の1回投与24時間後に得られる平均血漿濃度(C24h)の2倍未満である組成物。
【請求項50】
1日1回連続投与に適した経口トラマドール医薬組成物であって、in vivoで所与の24時間に平均最小血漿濃度(Cmin)の2から3倍であるトラマドールの最高平均血漿濃度(Cmax)が得られる定常状態をもたらす有効量のトラマドールまたは薬学的に許容できるその塩を含む組成物。
【請求項51】
請求項50に記載された組成物であって、前記平均Cmaxが350ng/mLを上回らない組成物。
【請求項52】
請求項51に記載された組成物であって、前記トラマドールの平均血漿濃度が前記24時間のうち少なくとも18時間はCmaxの90%未満である組成物。
【請求項53】
請求項48から52のいずれかに記載された組成物であって、請求項1から42のいずれかの製剤を適宜含む組成物。
【請求項54】
架橋高アミロースデンプンを含む第1の放出制御基剤中に分散された薬物を含む中心錠、および前記中心錠を覆って形成されかつ前記第1の基剤と異なっているために前記製剤からの前記薬物の放出が二相性となる第2の放出制御基剤中に分散されている前記薬物を含むコーティングを含む固形投与製剤。
【請求項55】
第1の放出制御基剤中に分散された薬物を含む中心錠、および前記中心錠を覆って形成されかつ前記製剤からの前記薬物の放出が二相性となるようポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの物理的混合物を含む第2の放出制御基剤中に分散された前記薬物を含むコーティングを含む固形投与製剤。
【請求項56】
架橋高アミロースデンプンを含む放出制御基剤中に分散された薬物を含む中心錠、および前記中心錠を覆って形成されかつポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの物理的混合物を含む第2の放出制御基剤中に薬物を含むコーティングを含む固形投与製剤。
【請求項57】
架橋高アミロースデンプンを含む放出制御基剤中に分散された約50mg,あるいは約75mgあるいは約100mgあるいは約125mgあるいは約150mgあるいは約175mgあるいは約200mgあるいは約225mgあるいは約250mgあるいは約275mgあるいは約300mgあるいは約325mgあるいは約350mgあるいは約375mgあるいは約400mgのトラマドールを含む中心錠、および前記中心錠を覆って形成されかつポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの物理的混合物を含む第2の放出制御基剤中に薬物を含むコーティングを含む固形投与製剤。
【請求項58】
薬剤の調製における前述の請求項のいずれかに記載された組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−507276(P2006−507276A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−545654(P2004−545654)
【出願日】平成15年10月27日(2003.10.27)
【国際出願番号】PCT/CA2003/001637
【国際公開番号】WO2004/038428
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(504355273)ラボファーマ インコーポレイテッド (6)
【出願人】(504355284)ラボファーマ ヨーロッパ リミテッド (4)
【出願人】(504355295)ラボファーマ(バルバドス)リミテッド (4)
【Fターム(参考)】