説明

放出制御薬物を包含するためのセラミックマトリックス、錠剤、前記セラミックマトリックスを得るための方法および錠剤を製造するための方法

【課題】薬物を適用することが必要な生体欠陥を示すヒトおよび動物の治療において、制御された状態で薬剤を放出するために構成されたセラミックナノシステムを提供すること。
【解決手段】セラミックマトリックスの形態で前記ナノシステムを調製する方法および前記セラミックシステムに薬物を包含させて錠剤を形成する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物の適用を必要とする生体上の欠陥を示すヒトおよび動物の治療において、薬物を制御された状態で放出するために構築されたセラミックナノシステムに関する。本発明はさらに、セラミックマトリックスの形態で前記ナノシステムを調製するための方法およびまた前記セラミックマトリックスへ薬物を包含させて錠剤を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの疾患の治療において使用される薬物の多くは、それらが投与された後、いくつかの器官および組織に区別なく分布され、前記薬物の不活性化または病理学的過程に無関係な望ましくない効果を引き起こし得る。さらに、この広い分布の結果、生物のある一定の器官または一部分において必要とされる治療濃度を達成するためには、治療薬剤を大量に投与することが必要である。
【0003】
これらの欠陥を克服することを目指して、薬物療法を合理化して、用量および好ましくない副作用の低減をもたらし、加えて、患者を励まして治療を遵守させる、新たな薬物キャリアシステムが開発されてきた。
【0004】
活性分子を特定の作用部位へ運ぶ際の微粒子の能力に関するポールエーリッヒ(Paul Ehrlich)の理論に基づく薬物のベクター化(drug vectorization)は、ナノテクノロジーと名付けられた広範な領域に参画する、この数十年の主要な生物薬剤学的研究ラインの1つであると考えられてきており、ブラジルおよび世界において急速に台頭した。リポソーム、ナノエマルジョンおよびポリマーナノ粒子などの、ナノ構造のコロイド系を使用することは、さまざまな経路により薬物が投与された後、薬物の生体内分布を変更することを目指す代案であることが合意されている。ベクター主導の放出システムは、最大の治療活性を提供し、標的部位まで移動する間に分解または不活性化することを妨げ、不適切な分布による有害反応から身体を防護するために、薬物をその作用部位へ選択的に送達する(バンカー(BANKER)およびローデス(RHODES)、1996)。
【0005】
多くの病態は、例えば、細胞内膜系の細胞内寄生虫感染症、中枢神経系に影響する疾患、腫瘍などの、薬物のベクター化による治療の可能性を示している。特にがんについては、腫瘍組織の血管透過性が増大することにより、直径が10から700ナノメートルの間にある薬物キャリアの血管外遊出が可能となる。この毛細管透過性の増大は、腫瘍組織の新血管系の形成が不十分で、内皮細胞間のギャップを示すことから生じる。
【0006】
このようにして、ベクター化輸送システムを適用することは、例えば、新形成の化学療法を改善する可能性を有する。前記システムを効果的に使用することで、ある程度の治療応答を得るための化学療法薬剤用量が低減されるのみならず、通常、ある一定の薬物に耐性を有する一部の細胞に対する機会が改善される。さらに、これらのシステムによる化学療法の適用により、外科的処置の複雑さが低減され、がん拡大の重症度が最小化されることおよび/または残存容積が減少され得る。別法としては、外科療法および/または放射線療法により腫瘍が縮小された後、これらのシステムを使用することにより、残存するがん細胞を効果的に根絶する確率を高めることができる(GUPTA、1990)。前記技術の別の適用は、国際公開第WO2008/069561号において確認することができ、この文献は構造体中に吸着された薬物を運ぶことができる、金属酸化物の中空ナノカプセルに言及している。
【0007】
この従来技術の解決手段には、中空ナノカプセルにより画定された外殻の壁を通り抜けて、所定の有機媒体中で放出されるべき薬物を取り巻くナノカプセルを用意することが必要である。この場合、薬物は、金属酸化物自体に包含されるのではなく、その内部に封入される。
【0008】
中空ナノカプセルの構築には、洗練された装置を必要とし、高い製造原価をもたらす、特別の複雑な手順が要求される。上記の欠点の他に、前述の国際特許出願に記載の解決手段は、金属酸化物ナノカプセルが、シリカコーティングを除去し、薬物を含有するナノカプセルの周辺の壁を通って、制御された状態で徐々に放出されることが可能になる生物の領域に到達するまで、薬物をナノカプセルの内部に含有させておくために、金属酸化物ナノカプセルがシリカコーティングで囲われていることを必要とする。
【0009】
シリカコーティングを備えることは、ナノカプセルの壁への望ましくない凝集を防止するために必須であり、この凝集には、コーティングの備えがない場合は、静電安定剤、界面活性剤、立体安定剤およびポリマーモデラーなどのポリマーを含有する水分散液を使用することが必要である。
【0010】
これらの側面により、放出されるべき薬物を封入する金属酸化物ナノカプセルを使用することは、一層コストがかかり、複雑になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2008/069561号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記の欠点に応じて、本発明は、制御された多孔度を有する大きな比表面積を示し、比較的低減されたコストで製造することが簡単な、ナノセラミックマトリックスを提供することを目的とする。また簡単な、コスト効果の高い方法により、本マトリックスは、治療されるべきヒトまたは動物の体に対して、ナノセラミックマトリックスの構造体から制御された状態で放出される大量の医薬組成物を、その構造体に直接的に、いかなる外側のカプセルにも囲われることなく、包含し、保持することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、前記セラミックマトリックスは、250−300m/グラムの比表面積を示す、擬ベーマイト/γ−アルミナナノ粒子によって形成された構造を含む。
【0014】
さらに、本発明の第2の態様によれば、擬ベーマイト/γ−アルミナナノ粒子により形成される前記セラミックマトリックスは、全体の錠剤重量の50%から60%の量を、アシクロビルまたはアテノロールによって定められ、総計で全体の錠剤重量となり、さらにヒトまたは動物の体内で制御された状態で放出されることになる薬物を通常含む、医薬組成物と混合することにより、錠剤を製造するために使用される。
【0015】
本発明の第3の態様によればさらに:
−硝酸アルミニウム溶液または塩化アルミニウム溶液をポリ(ビニルアルコール)溶液と混合し、前駆体溶液を形成するステップ;
−前駆体溶液を水酸化アンモニウム溶液中に滴下し、ゲルを形成するステップ;
−ゲルを熟成し、それを濾過して約70℃で約24時間乾燥するステップ;および
−ゲルを約500℃で仮焼し、250−300m/グラムの比表面積を示す擬ベーマイト/γ−アルミナを得るステップ;
により、擬ベーマイト/γ−アルミナナノ粒子を製造することを含む、前記セラミックマトリックスを得るための方法が提供される。
【0016】
本発明は、また、第1段階において:
−硝酸アルミニウム水溶液または塩化アルミニウム水溶液(14%m)を、ポリ(ビニルアルコール)溶液(水中で8%m)と混合し、前駆体溶液を形成するステップ;
−この前駆体溶液を水酸化アンモニウム溶液(28%m)中に滴下し、ゲルを形成するステップ;
−ゲルを熟成し、濾過して約70℃で約24時間乾燥するステップ;および
−ゲルを約500℃で仮焼し、250−300m/グラムの比表面積を示す、擬ベーマイト/γ−アルミナのセラミックマトリックスを得るステップ;
により、擬ベーマイト/γ−アルミナナノ粒子のセラミックマトリックスを製造すること;および
第2段階において、全体の錠剤重量の50%から60%の量の、擬ベーマイト/γ−アルミナのセラミックマトリックスを、全体の錠剤重量を補完する量の、ヒトまたは動物の体内で制御された状態で放出される、医薬組成物と混合すること;
を含む、錠剤を製造するための方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上述のごとく、本発明は、250−300m/グラムの比表面積を示す擬ベーマイト/γ−アルミナナノ粒子により形成された構造を有するセラミックマトリックスを提供することを含む。
【0018】
擬ベーマイト/γ−アルミナナノ粒子のセラミックマトリックスの比表面積が大きいために、前記マトリックスは、ヒトまたは動物によって摂取される錠剤内に通常画定された小さな材料容積内に、薬学的に許容される充填剤と、少なくとも1つの流動調整成分と、錠剤を成形するために、セラミックマトリックスおよび医薬組成物によって定められる混合物の最終的な圧縮を促進する滑沢剤を包含する医薬組成物とを通常備えた、大量の1種または複数の薬物を包含することができる。
【0019】
したがって、本発明は、250−300m/gの比表面積を示し、全体の錠剤重量の50%から60%を定める擬ベーマイト/γ−アルミナナノ粒子によって形成されたセラミックマトリックス;および総計で全体の錠剤重量となる量で前記マトリックス内に包含され、錠剤の構造の崩壊および擬ベーマイト/γ−アルミナナノ粒子に対して徐々に進行する薬物の放出により、ヒトまたは動物の体内において制御された状態で放出される医薬組成物を含有する錠剤を得ることを可能にする。
【0020】
本発明を実施するための好ましい方法において、医薬組成物は、薬物、薬学的に許容される充填剤、流動調整成分および錠剤を成形する圧縮段階で使用される滑沢剤を含む。
【0021】
医薬組成物内で使用される薬物は、アシクロビル化合物およびアテノロール化合物のいずれかによって、好ましくは定められる。この特別な場合は、薬物は100mgの用量で提供される。
【0022】
薬学的に許容される充填剤は、デンプンによって定められ得るものであり、20%から30%の範囲の量で医薬組成物内に存在する。
【0023】
流動調整成分は、二酸化ケイ素によって一般に定められ、医薬組成物の全重量に対して1.5%から2%の範囲の量で存在する。
【0024】
滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムによって定められ得るものであり、1.5%から2%の範囲の量で、医薬組成物内に存在する。
【0025】
錠剤の調製において使用されるセラミックマトリックスを得るために:
−硝酸アルミニウム溶液または塩化アルミニウム溶液(14%m)をポリ(ビニルアルコール)溶液(水中で8%m)と混合し、前駆体溶液を形成するステップ;
−前駆体溶液を水酸化アンモニウム溶液(18%m)中に滴下し、ゲルを形成するステップ;
−ゲルを熟成し、それを濾過して約70℃で約24時間乾燥するステップ;および
−ゲルを約500℃で仮焼し、250−300m/グラムの比表面積を示す擬ベーマイト/γ−アルミナのセラミックマトリックスを得るステップ;
により、擬ベーマイト/γ−アルミナナノ粒子を製造することを含む方法が適用される。
【0026】
上述の方法によって得られたセラミックマトリックスを使用して錠剤を製造するために、前記セラミックマトリックスは、全体の錠剤重量の50%から60%の量で、ヒトまたは動物の体内で制御された状態で放出される、上記で定められた医薬組成物と混合される。
【0027】
錠剤の調製:
アシクロビル薬物を使用した錠剤の製造に関する手順を、以下に解説する。
【0028】
インプロセス溶出および対照試験を実施するための、擬ベーマイト/γ−アルミナに吸着されたアシクロビル錠剤のロットを製造した。別のロットを、所定の割合の薬物およびセラミック材料の、物理的混合物を使用して製作した。
【0029】
錠剤の調製は、以下に例示したような処方:
アシクロビル=100mgの用量を形成するのに十分な量;
デンプン=全体の錠剤処方の30%;
コロイド状の二酸化ケイ素(エーロシル(Aerosil) 200)=全体の錠剤処方の2%;および
ステアリン酸マグネシウム=全体の錠剤処方の2%;
擬ベーマイト/γ−アルミナ=全体の錠剤処方の50から60%;
に従って、回転式プレス(商品名Lemaq−型式Mini Express L.N.S.)を用いて直接圧縮することによって実施した。
【0030】
手順:
ステアリン酸マグネシウムを除いた処方成分(セラミックマトリックス/医薬組成物)を、V型混合機(商品名Lemaq−型式M“V”)内で、少なくとも15分間混合すること。
【0031】
ステアリン酸マグネシウムを添加し、少なくとも5分間混合すること。シャベルを利用して、混合物をプレス成形装置へ移すこと。混合物を10mmの打ち抜き機内でプレスすること。インプロセス対照試験(平均質量、摩損度および硬度)へ進むこと。
【0032】
本発明に従い、およびUniversidade Presbiteriana Mackenzie(Mackenzie Presbyterian University)の材料試験研究所(Material Chracterization Laboratory)(CARRIO、2007年;MUNHOZ JR、2006年)において以前に実施された、擬ベーマイト合成の研究を考慮して、擬ベーマイトを、2つの前駆体AlClおよびAl(NO・9HOから合成した。得られた試料を構造分析し、生物活性分子を含有するナノ微粒子システムの製造のための支持体として使用した。
【0033】
薬物キャリアとして製造されたシステムの評価は、紫外−可視分光測定、走査電子顕微鏡、X線回折および赤外領域の分光測光技法を使用して、相互作用試験により実施した。
【0034】
擬ベーマイトの調製
すでに以前に引用したとおり、使用した試薬は、硝酸アルミニウム水溶液(Al(NO・9HO)、塩化アルミニウム水溶液、水酸化アンモニウム水溶液(NHOH)(14%mおよび28%m)およびポリ(ビニルアルコール)水溶液(水中で8%m)である。
【0035】
ポリ(ビニルアルコール)溶液は、硝酸アルミニウム溶液または塩化アルミニウム溶液の粘度を高めるために使用した。
【0036】
硝酸アルミニウム溶液または塩化アルミニウム溶液は、ポリ(ビニルアルコール)溶液と混合して、前駆体溶液を形成し、前駆体溶液は次いで水酸化アンモニウム溶液中に滴下し、ゲルを形成する。ゲルを熟成した後、このゲルをブフナー漏斗内で濾過し、70℃で24時間乾燥する。
【0037】
γ−アルミナを得るために、擬ベーマイトは500℃で仮焼すべきである。γ−アルミナが得られたか否かを評価するために、X線回折を使用する。結果に応じて、仮焼温度は変更し得る。
【0038】
薬物をγ−アルミナ/擬ベーマイトへ包含させること
薬物をセラミックマトリックスへ包含させることは、適切な溶媒中での活性成分を可溶化し、次いで擬ベーマイトまたはγ−アルミナを添加することによって行う。混合物は、所定の時間の間、所定の温度で、一定の撹拌下で維持する。
【0039】
すべての実験条件は、試験のために、より短時間で、より低温での、分子とセラミック材料とのより大きな相互作用を探求することを目的として最適化する。活性成分を包含した後、混合物を遠心分離し、セラミック材料と相互作用した分子の量を測定するために、上澄みを紫外−可視分光測光法によって分析する。
【0040】
分散液を濾過し、得られた材料を洗浄し、乾燥して、後の分析工程において使用する。
【0041】
相互作用試験
走査電子顕微鏡、紫外−可視分光測光法、X線回折および赤外分光法は、2種類のセラミック材料との分子の相互作用を確認するために使用される技法である。
【0042】
走査電子顕微鏡:薬物/γ−アルミナまたは擬ベーマイト間の相互作用過程の直接的測定。
【0043】
走査電子顕微鏡(SEM)は、粒状物質の空間分布を視覚的に分析することを可能にし、したがって、薬物/γ−アルミナ相互作用の、薬物/擬ベーマイト相互作用過程を分析することに役立ち、分布の均一性の分析およびセラミック材料の無機結晶の均質性に貢献する技法である。SEMは、粒状材料の粒径に関する情報および合成条件の再現性に関する情報を提供し、したがって、これらの手順を調整し、改善することを可能にする。
紫外−可視分光測定法:薬物の擬ベーマイト/γ−アルミナへの吸着の測定。
【0044】
セラミック材料によって吸着される活性成分の定量は、吸着試験の適切な溶媒中で、それぞれの物質のより適切な波長における、物質のそれぞれの校正曲線により、紫外の紫外−可視分光測光法を用いて評価し得る。
【0045】
試験条件の最適化は、吸着にもっとも有利である条件を分析することによって得られ得る。最適化するパラメーターは:全体の試験時間、温度および活性成分と擬ベーマイトまたはγ−アルミナとの濃度の関係である。
【0046】
紫外−可視による分析により、マトリックスによって吸着されなかった活性成分の量を測定することができ、これらのデータを以前に得られた校正曲線と比較することによって、セラミックマトリックスによって吸着された生物活性分子の濃度を、間接的に知ることができる。
【0047】
したがって、例えば、擬ベーマイト/薬物相互作用を評価することおよびその吸着収量を知ることが可能である。
【0048】
X線回折:薬物および擬ベーマイト/γ−アルミナ間の相互作用過程の測定
X線回折装置は、得られた構造に関する、および薬物/擬ベーマイトまたはγ−アルミナナノ相互作用に関する、定性的なおよび定量的な情報を提供することが強調されるべきである。
【0049】
赤外領域における吸収分光法:薬物および擬ベーマイト/γ−アルミナ間の相互作用過程の測定
赤外領域における分光測光法による分析は、吸着された薬物と純粋な薬物との赤外スペクトルを比較して、吸着機構に関する情報を提供することができる。セラミック材料の影響による、吸着された薬物のいくつかの基の吸収変移を検証することが可能である(WHITE & HEM、1983)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
250−300m/グラムの比表面積を示す、擬ベーマイト/γ−アルミナナノ粒子によって形成された構造体を含むことを特徴とする、制御放出薬物を包含するためのセラミックマトリックス。
【請求項2】
250−300mの比表面積を示し、全体の錠剤重量の50%から60%を定める擬ベーマイト/γ−アルミナナノ粒子によって形成されたセラミックマトリックス;および総計で全体の錠剤重量となり、ヒトまたは動物の体内において制御された状態で放出される医薬組成物を含むことを特徴とする錠剤。
【請求項3】
前記医薬組成物が、薬物、薬学的に許容される充填剤、流動調整成分および滑沢剤を含むことを特徴とする、請求項2に記載の錠剤。
【請求項4】
薬物が、アシクロビルまたはアテノロール化合物のいずれかによって定められることを特徴とする、請求項3に記載の錠剤。
【請求項5】
薬物が、100mgの治療用量で存在することを特徴とする、請求項4に記載の錠剤。
【請求項6】
薬学的に許容される充填剤が、デンプンによって定められ、全体の錠剤重量に対して、20%から30%の範囲の量で存在することを特徴とする、請求項2に記載の錠剤。
【請求項7】
流動調整成分が、二酸化ケイ素によって定められ、全体の錠剤重量に対して1.5%から2%の範囲の量で存在することを特徴とする、請求項2に記載の錠剤。
【請求項8】
滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウムによって定められ、全体の錠剤重量に対して1.5%から2%の範囲の量で存在することを特徴とする、請求項2に記載の錠剤。
【請求項9】
−硝酸アルミニウムのまたは塩化アルミニウムの溶液をポリ(ビニルアルコール)溶液と混合し、前駆体溶液を形成するステップ;
−前駆体溶液を水酸化アンモニウム溶液中に滴下し、ゲルを形成するステップ;
−ゲルを熟成し、それを濾過して約70℃で約24時間乾燥するステップ;および
−このゲルを約500℃で仮焼し、250−300m/グラムの比表面積を示す擬ベーマイト/γ−アルミナを得るステップ;
により、擬ベーマイト/γ−アルミナナノ粒子を製造することを含むことを特徴とする、セラミックマトリックスを得るための方法。
【請求項10】
第1段階において:
−硝酸アルミニウム水溶液または塩化アルミニウム水溶液(14%m)を、ポリ(ビニルアルコール)溶液(水中で8%m)と混合して、前駆体溶液を形成するステップ;
−この前駆体溶液を水酸化アンモニウム溶液(28%m)中に滴下し、ゲルを形成するステップ;
−このゲルを熟成し、濾過して約70℃で約24時間乾燥するステップ;
−このゲルを約500℃で仮焼し、250−300m/グラムの比表面積を示す擬ベーマイト/γ−アルミナのセラミックマトリックスを得るステップ;
により、擬ベーマイト/γ−アルミナナノ粒子のセラミックマトリックスを製造すること;および
第2段階において、全体の錠剤重量の50%から60%の量の、擬ベーマイト/γ−アルミナのセラミックマトリックスを、全体の錠剤重量を補完する量の、ヒトまたは動物の体内で制御された状態で放出される、医薬組成物と混合すること;および
−錠剤を形成するのに十分な圧力下において、セラミックマトリックス/医薬組成物の混合物にある形態をとらせることを含むことを特徴とする、錠剤を製造するための方法。
【請求項11】
セラミックマトリックスを医薬組成物と混合するステップが:擬ベーマイト/γ−アルミナのセラミックマトリックスと、薬物、薬学的に許容される充填剤および流動調整成分とを少なくとも15分間混合すること;滑沢剤を添加すること;およびセラミックマトリックスおよび医薬組成物の混合物をプレス成形にかける前に、この混合物を少なくとも5分間混合することを含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
医薬組成物が、薬物、薬学的に許容される充填剤、流動調整成分および滑沢剤を含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
薬物が、アシクロビル化合物およびアテノロール化合物のいずれかによって定められることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
薬物が、100mgの治療用量で存在することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
薬学的に許容される充填剤が、全体の錠剤重量に対して、重量で20%から30%の範囲の量で存在する、デンプンによって定められることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
流動調整成分が、全体の錠剤重量に対して、1.5%から2%の範囲の量で存在する、二酸化ケイ素によって定められることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
滑沢剤が、全体の錠剤重量に対して、1.5%から2%の範囲の量で存在する、ステアリン酸マグネシウムによって定義されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。

【公開番号】特開2011−126877(P2011−126877A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−272266(P2010−272266)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(510322638)
【Fターム(参考)】