説明

放出制御製剤処方物、単位用量形態、乾燥顆粒、マルチ粒子、調製方法、共重合体の使用、および製剤処方物における耐改ざん性を付与する方法

【課題】中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体を、有効成分を含む医薬品製剤の製造において、担体として使用する。
【解決手段】中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体を、有効成分を含む医薬品製剤の製造において、担体として使用し、該製剤を溶融押出により作製するのが好ましく、ゴム状特性を有することができ、耐改ざん性を示すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子に関し、特に有効成分の制御された放出を提供する溶融押出多微粒子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
緩和された薬物放出特性を有する均一な寸法の多微粒子は、溶融押出技術により容易に製造できる。溶融押出は、無溶剤且つ一段階の多微粒子の製造方法であり、特に薬物放出の緩和に有用である。適した熱可塑性重合体及び添加剤の選択によって、溶融押出技術を、難水溶性薬物の溶解性と、その後の生物学的有効性とを高めたり、放出制御製品用の中程度乃至高水溶性薬物の薬物放出を遅らせるのに使用することができる。
【0003】
溶融押出技術の重要要素は、マトリクス内に溶液又は分散液の形態で埋め込まれた薬物に対し結合剤として作用する熱可塑性重合体の適用である。溶融押出による加工では、低いガラス転移温度(Tg)を有する熱可塑性重合体が好ましい。また、感熱性の薬物及び他の必須の賦形剤の安定性に関しては、低い加工温度が好ましい。更に、任意の可塑剤の添加で、重合体のガラス転移温度をより一層低減し、低温での加工を容易にすることができる。
【0004】
実例として、国際公開第96/14058号パンフレットには、治療上有効な成分と、アルキルセルロース、アクリル酸及びメタクリル酸のポリマー及びコポリマー、セラック、ゼイン、水素化ヒマシ油、水素化植物油並びにそれらの混合物からなる群から選択された一種以上の物質と、更なる遅延効果を付与し、天然又は合成ワックス、脂肪酸、脂肪アルコール及びそれらの混合物からなる群から選択された、30〜200℃の融点を有する一種以上の疎水性且つ可融性の担体との溶融押出配合物からなる持続放出医薬品製剤が提供されている。該溶融押出配合物は、上記治療上有効な成分を有効な量含有する単位用量に分けられ、望ましい治療効果を示し、約8〜約24時間の間で治療上有効な成分の持続放出を提供する。
【0005】
その上、国際公開第96/14058号パンフレットには、経口投与に適した持続放出医薬品製剤の調製方法が記載されている。該方法は、治療上有効な成分を(1)アルキルセルロース、アクリル酸及びメタクリル酸のモノマー及びコポリマー、セラック、ゼイン、水素化ヒマシ油、水素化植物油及びそれらの混合物からなる群から選択された物質と、(2)天然又は合成ワックス、脂肪酸、脂肪アルコール及びそれらの混合物からなる群から選択された可融性担体であって、30〜200℃の融点を有し、治療上有効な成分の放出を一層遅くするのに十分な量含まれる遅延剤物質と共にブレンドすること、混合物を十分に押出すため、混合物を軟化させるのに十分な温度まで配合物を加熱すること、加熱した混合物を0.1〜3mmの直径を有するストランドとして押出すこと、該ストランドを冷却すること、該ストランドを分割し、0.1〜5mmの長さを有する押出物の非球状多微粒子を形成すること、並びに該非球状多微粒子を、有効な量の治療上有効な成分を含む単位用量であって、約8〜約24時間の間で治療上有効な成分の持続放出を提供する単位用量に分けることを備える。
【0006】
国際公開第96/14058号パンフレットの一部の好適例においては、疎水性物質が、アクリル酸及びメタクリル酸の共重合体に限定されず、メチルメタクリレート、メチルメタクリレート共重合体、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、アミノアルキルメタクリレート共重合体、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミン共重合体、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸)(無水物)、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(メタクリル酸無水物)及びグリシジルメタクリレート共重合体を含む薬剤的に容認できるアクリルポリマーである。従って、多くの実施例において、疎水性物質は、任意にはオイドラギットL100(ポリ(メタクリル酸,メチルメタクリレート))の存在下で、オイドラギットRS PO(ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート,塩化メタクリル酸トリメチルアンモニウム))である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、薬剤的に容認できる担体として中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体を用いる製剤を提供する。かかる共重合体は、製剤に放出制御特性を付与することができる。その上、本発明の場合、溶融押出の使用によってゴム状製剤を提供することができる。
【0008】
中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体は、水性分散液の形態で市販されている。オイドラギットNE 30 D及びオイドラギットNE 40 Dといった二種の製品はそれぞれ30%及び40%の上記重合体を含む。特に、オイドラギットNE 30 Dは、水不溶性フィルムを形成し、あらゆる可塑剤の添加をしないマトリクス錠剤及び持続放出塗料の製造における顆粒化工程に適している。錠剤及び塗料を調製するためのオイドラギットNEの使用に関する情報は、下記のウェブサイト:http://www.roehm.de/en/pharmapolymers.html.から得ることができる。
【0009】
例えば、上記ウェブサイトは、結合剤及び拡散制御剤としてオイドラギットNE 30 Dを用いた湿式顆粒化によるイブプロフェン持続放出マトリクス錠剤の製法を説明する技術論文を有する。顆粒は、イブプロフェンをオイドラギット分散液と混合し、篩に通して粉砕し、乾燥することによって製造される。顆粒を粉砕し、崩壊剤及び他の配合剤と混合した後、錠剤に圧縮する。オイドラギットNEの量は、比較的低い。
【0010】
国際公開第03/004009号パンフレットにおいて、オイドラギットNEは、親水性の浸蝕され得る成分及び圧縮性の悪い医薬品と共に使用するために提案された疎水性成分の一覧にある。一見、その意図したところは、オイドラギットNEが湿式分散体であり、国際公開第03/004009号パンフレットの一の目的が、湿式顆粒化以外の方法により圧縮できる製剤を形成するものであるため、他のオイドラギットに言及するものであった。
【0011】
スードらは、Pharmaceutical Technology 2004 (4月):62〜85において、塩酸ジルチアゼム用の放出制御投与形態を発達させるために、押出球状化の利用を開示している。湿式顆粒化、湿式顆粒の押出、及び次に乾燥した湿式ペレットを形成するための球状化に関する工程において、一連の候補物質をペレットマトリクス成形剤として評価した。オイドラギットNE 30 Dを製剤D19及びD20において試験したが、薬物の放出を制御することについて改善されなかった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明において、製剤の担体として中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体を使用することができる。本発明の製剤は、典型的に中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体を使用し、有効成分を分散させるマトリクスを提供する。従って、例えば、本発明は、それぞれがかかるマトリクスを有する多微粒子を提供する。
【0013】
本発明の製剤は、担体として中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体を有する多微粒子を一服含むカプセル等の単位用量の形態をとることができる。該多微粒子は、中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体を含む乾燥混合物、特に乾燥顆粒の混合物の押出により成形した押出物とすることができる。
【0014】
特に押出の使用によって、本発明は、シリンダーの形態をとるか、又は通常の球状、楕円状もしくはディスク形である放出制御多微粒子を提供する。
【0015】
このため、本発明は、更に中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体及び有効成分を含む未仕上げの組成物として乾燥混合物を提供する。かかる組成物は、実質的に水がなく、本発明の製剤を提供するための方法の一環として押出に適している。該未仕上げの組成物は、典型的に乾燥顆粒であって、押出顆粒でもよい。
【0016】
特に、中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体のレベルが望ましい特性を付与するため比較的高い、中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体と有効成分との乾燥顆粒を提供する。典型的には、乾燥顆粒中に20〜66重量%の量の中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体を使用する。
【0017】
また、本発明によれば、押出用混合物に中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体が含まれる放出制御医薬品押出物の調製方法を提供する。
【0018】
本発明の他の観点は、中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体を薬剤的に許容できる担体として用い、有効成分を放出制御製剤として投与する有効成分の投与方法にある。
【0019】
本発明に関連した観点は、有効成分が悪用を受け易い場合に重要となる改ざんに対する耐性を提供する医薬品製剤の調製において、中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体の使用である。本発明は、有効成分と共に中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体の組み込みからなる医薬品製剤に対し、耐改ざん性を付与する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明者らは、放出制御医薬品押出物の調製において中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体を利用することにより、ゴム状特性を示す溶融押出多微粒子を得ることができることを見出す。かかるゴム状押出物は、改ざんに対する強化された耐性を示すことができる。特に、溶融押出の段階によってゴム状特性が付与されると思われる。
【0021】
一の観点において、本発明は、溶融押出により得られた又は得ることができる、中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体及び有効成分を含んだ放出制御医薬品製剤を提供する。
【0022】
一の関連した観点において、本発明は、ゴム状多微粒子を含む製剤を提供する。
【0023】
ゴム状特性は、一般に破断することなく伸縮及び圧縮し、好ましくは弾性である多微粒子を提供する。
【0024】
一の好適な形態において、ゴム状特性の証明としては、上記多微粒子が、二つの硬質表面、例えばコインとテーブル面との間又は二つのスプーンの間を破断せずに手で圧縮され得る。該多微粒子は、通常、破断又は破砕することなく変形させることができ、また、おおよそその初期の形状を理論上再びとることができる。
【0025】
ゴム状特性は、改ざんに対する耐性を付与するのを助けることができる。耐改ざん性は、オピオイド鎮痛剤又は悪用の対象となる他の有効成分を含む生産物に対し特に重要である。本発明の好適な多微粒子の耐改ざん性は、水及び/又はエタノール、例えば40%エタノール中で一投与量の多微粒子を振盪することにより証明できる。
【0026】
例えば、一投与量の多微粒子を、ガラスフラスコ中10mlの液体(水及び/又はエタノール)と混合した後、任意には5分間静置した後にスチュアートサイエンティフィック振盪機SF1型を用いて毎分500〜600の振動で15分間振盪にかけることができる。その後、抽出された有効成分の量をHPLC及び例えば波長210nmでのUVによる検出により決定することができる。
【0027】
この方法で試験した場合、本発明に従う好適な多微粒子は、下記に示す有効成分の放出特性のうち少なくとも一つを示した。
水中室温で15分間の振盪:10%未満の有効成分の放出、好ましくは7.5%未満の有効成分の放出、より好ましくは5%未満の有効成分の放出、例えば1.5〜4%の有効成分の放出。
水中50℃で5分間静置した後に同じ温度で15分間の振盪:20%未満の有効成分の放出、好ましくは15%未満の有効成分の放出、より好ましくは12%未満の有効成分の放出、例えば4〜12%の有効成分の放出。
75℃で5分間静置した後に同じ温度で15分間の振盪:25%未満の有効成分の放出、好ましくは20%未満の有効成分の放出、より好ましくは15%未満の有効成分の放出、例えば10〜15%の有効成分の放出。
100℃で5分間静置した後に同じ温度で15分間の振盪:30%未満の有効成分の放出、好ましくは25%未満の有効成分の放出、より好ましくは20%未満の有効成分の放出、例えば12〜20%の有効成分の放出。
40%エタノール中室温で15分間の振盪:35%未満の有効成分の放出、好ましくは30%未満の有効成分の放出、より好ましくは25%未満の有効成分の放出、例えば15〜25%の有効成分の放出。
【0028】
代わりに、本発明の好適な多微粒子の耐改ざん性は、一投与量の多微粒子を24回転の乳棒付き乳鉢と乳棒とで粉砕にかけ、生産物を水900ml中37℃で45分間放置することにより証明することができる。その後、抽出された有効成分の量をHPLC及び例えば波長210nmでのUVによる検出により決定することができる。
【0029】
この方法を用いて試験した場合、本発明に従う好適な多微粒子は、下記の有効成分の放出特性;12.5%未満の有効成分の放出、好ましくは10%未満の有効成分の放出、より好ましくは7.5%未満の有効成分の放出、例えば2〜7.5%の有効成分の放出を示した。
【0030】
更なる方法において、本発明の好適な多微粒子の耐改ざん性は、二つのスプーンの間で、又はアペックスヘルスケアプロダクツ社製のピル微粉砕機等のピル粉砕機を用いて一投与量の多微粒子を破砕した後、スプーン上で加熱して沸騰させた水2mlで抽出し、ろ取することにより証明することができる。その後、抽出された有効成分の量をHPLC及び例えば波長210nmでのUVによる検出により決定することができる。
【0031】
この方法を用いて試験した場合、本発明に従う好適な多微粒子は、下記の有効成分の放出特性;27.5%未満の有効成分の放出、好ましくは15%未満の有効成分の放出、より好ましくは5%未満の有効成分の放出、例えば1〜5%の有効成分の放出を示した。
【0032】
このような耐改ざん性を付与するために、本発明は、改ざん性に対する耐性を提供する医薬品製剤の調製において中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体の使用を提供する。中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体を製剤中に有効成分と共に組み込む。
【0033】
一の観点において、本発明は、有効成分及び中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体を混合し、該中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体と共に該有効成分を組み込んだ医薬品製剤を形成することを備えた、医薬品製剤における耐改ざん性を付与する方法を提供する。
【0034】
中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体は、適切には押出用混合物の66%以下、押出混合物のおよそ20〜66%、より典型的には押出混合物の20〜50%、例えば押出混合物の30〜40%の重量で用いる。また、これらの百分率は、本発明の乾燥顆粒における中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体の量にも適用する。
【0035】
上記中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体を、薬物又は他の有効成分を含む他の成分と共に用いることができる。読者諸氏には、本願に詳細に引用して援用する国際公開第96/14058号パンフレットを参照されたい。中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体は、その特許明細書の押出方法において使用される放出制御物質の全部、より好ましくは一部を形成することができる。
【0036】
この点において、本発明の好適な組成物には、少なくとも一種の放出を緩和するための他の重合体が含まれる。特に、エチルセルロース又は同種の重合体の使用が改ざんに対する耐性、とりわけアルコールによる抽出に対する耐性を付与する助けとなると思われる。エチルセルロース等のアルキルセルロースを、例えば、製剤の5〜60%w/w、好ましくは製剤の10〜50%w/w、最も好ましくは製剤の20〜45%w/wの量で用いることが好ましい。他の適した重合体には、水不溶性メタクリル酸アンモニウム共重合体が含まれる。該不溶性メタクリル酸アンモニウム共重合体は、アンモニオメタクリレート共重合体であるオイドラギットRS PO及びオイドラギットRL POでもよい。特に少なくとも一種の他の重合体は、一般に水透過性が乏しい熱可塑性重合体、又は放出を著しく緩和できるが、弾性又は可撓性を付与しない量で用いる必要がある水透過性が比較的高い熱可塑性重合体である。
【0037】
可塑剤及び/又は潤滑剤は、ライストリッツマイクロ18成形機等の比較的低いトルク能を有する押出機を使用する場合に好適である。ライストリッツマイクロ27等の大きい押出機の場合には、同様の製剤が、比較的低いレベルの可塑剤及び/又は潤滑剤を混ぜても混ぜなくても加工され得る。
【0038】
上記可塑剤は、通常、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びセトステアリルアルコール等の水不溶性固体;ソルビトール及びサッカロース並びに高分子量ポリエチレングリコール等の水溶性固体、セバシン酸ジブチル及びクエン酸トリブチル等の水不溶性液体、並びにクエン酸トリエチル、プロピレングリコール及び低分子量ポリエチレングリコール等の水溶性液体から選択される。クエン酸トリブチルは好適な可塑剤である。ステアリルアルコールもまた好適な可塑剤である。他の好適な可塑剤は、PEG6000等のMw1000〜20000の高分子量ポリエチレングリコールである。
【0039】
潤滑剤を含むことができる。潤滑剤は、通常、室温で固体であって、ステアリン酸、グリセロールジベへネート、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク及び二酸化ケイ素(フューズドシリカ)から適切に選択される。溶融押出製剤における潤滑剤の存在は、配合、混練及び運搬を改善し、凝集力及び付着力を低減する。低温ないし中程度の温度での平滑押出は、バッチ間再現性を改善し、生産物と装置間の歪を低減する。ステアリン酸は、おそらく塩の形態で、好適な潤滑剤である。他の好適な潤滑剤は、グリセロールジベヘネートである。
【0040】
薬物は、通常、本発明の製剤において有効成分として存在する。読者諸氏には、例えば国際公開第96/14058号パンフレットを参照されたい。オキシコドンは、本発明の生産物及び方法で使用する典型的な薬物である。他のオピオイドは、例えば、ヒドロモルフォン、ヒドロコドン、フェンタニル及びそれらの類似体、ブプレノルフィン、ジアモルフィン、メペリジン、プロポキシフェン並びにジフェノキシレートである。本発明に従い配合され得る他の有効成分としては、デキストロアンフェタミン、アンフェタミン、メタンフェタミン、シブトラミン、メチルフェニデート等の刺激剤;メトバルビトール及びペントバルビタール等のバルビーツ酸誘導体;ジアゼパム、ブロマゼパム、クロルジアゼポキシド、オキサゼパム、マルプラゾラム、トリアゾラム及びエタゾラム、フルニトラゼパム並びにメタカロン等の抗うつ剤;ケタミン等の解離麻酔薬;並びにそれらの塩、酸付加塩及びエステルが挙げられる。
【0041】
従って、本発明の好適な多微粒子は、中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体と;有効成分と;通常はアルキルセルロースである、少なくとも一種の放出を緩和するための他の重合体と;任意に可塑剤と;任意に潤滑剤とを含むことができる。
【0042】
好適な成分の適切な百分率は、規定した成分の総重量に基づき、下記表に掲げる。
【0043】
【表1】

【0044】
典型的な製剤には、例えば60%w/w以下の有効成分又はプラシーボ、15〜50%w/wの中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体のみならず;5〜60%w/w、適切には15〜50%w/w、例えば15〜25%又は25〜45%のアルキルセルロース、好ましくはエチルセルロース;並びに0〜25%、好ましくは7.5〜20%の一種以上の可塑剤、例えばステアリルアルコール及びクエン酸トリブチルが含まれ得る。例えば、50%以下のオキシコドンが有効成分として存在してもよい。これらの成分が唯一の構成成分でもよいし、又は必要に応じて、該製剤が5〜60%の不溶性メタクリル酸アンモニウム共重合体等の付加成分を含有してもよい。実例として、該製剤は、10〜60%、好ましくは35〜50%のオイドラギットRS PO等の低透過性で不溶性のメタクリル酸アンモニウム共重合体を含有でき、及び/又は5〜40%、例えば5〜30%、好ましくは例えば5〜25%のオイドラギットRL PO等の高透過性のメタクリル酸アンモニウム共重合体を含有できる。
【0045】
また、他の添加剤を用いて、一組の所定の仕様の範囲内で多微粒子を製造することができる。増量剤、例えばラクトース、微結晶性セルロース及びリン酸カルシウムは、広く用いられている医薬品賦形剤であって、本発明において使用することができ、放出速度及び/又は全体の放出を緩和する。また、他の放出緩和剤は、放出速度を調節し及び/又は全体の放出を向上させると考えることができる。
【0046】
多微粒子を、顆粒の溶融押出、特に上記成分の湿式顆粒化と、顆粒の乾燥と、顆粒の溶融押出とからなる方法により製造することが好ましい。
【0047】
顆粒化の段階を、通常の手順を用いて、例えばグラールミキサー等の高せん断ミキサー又は流動層粗砕機もしくはロータリーインサート付き流動層粗砕機を用いて行うことができる。
【0048】
高せん断ミキサーを用いる場合、上記の方法は、下記の段階からなり得る。
a)顆粒化、好ましくは湿式顆粒化;
b)任意に顆粒の押出;
c)好ましくは流動層乾燥機による顆粒又は押出顆粒の乾燥;
d)任意に段階c)からの乾燥顆粒又は乾燥押出顆粒のスクリーニング及び/又は微粉砕;並びに
e)段階c)又はd)からの生産物の溶融押出.
【0049】
ロータリーインサート付き又は無しの流動層粗砕機を用いる場合、上記の方法は、下記の段階からなり得る。
a)顆粒化;
b)任意に顆粒の押出;
c)好ましくは流動層乾燥機による顆粒又は押出顆粒の乾燥;
d)任意に段階c)からの生産物のスクリーニング及び/又は微粉砕;並びに
e)段階c)又はd)からの乾燥顆粒又はスクリーニングもしくは微粉砕した生産物の溶融押出.
【0050】
溶融押出機に押し込まれることになっている段階(c)又は(d)からの生産物、即ち、任意に微粉砕又は選別した乾燥顆粒は、それ自体が本発明の新規な生産物である。
【0051】
上記顆粒化の段階を、通常の手順を用いて、例えばグラール等の高せん断ミキサーを用いて行うことができる。典型的には、乾燥成分を添加して、まずそれらを高せん断ミキサーの操作によって混合し、次に重合体の分散液を吹き付け又は液滴によって添加し、継続して混合する。
【0052】
或いは、例えば、液状の可塑剤を乾燥成分に添加し、高せん断ミキサーの操作によって混合し、次に、重合体の分散液を吹き付け又は液滴によって添加し、継続して混合する。
【0053】
次に、顆粒を任意の段階(b)において、例えばアレクサンダーヴェルク押出機を用いて押出すことができる。その後、押出物を、好ましくは流動層乾燥機を用いて乾燥する。押出物を、小さいブレードがペレットを粉々にする上述のアレクサンダーヴェルク等の適切な押出機を用いて、流動層乾燥に適した大きさに直接製造することができ、又は適した大きさに破壊することができる。或いは、高せん断ミキサーにより製造された顆粒を、適した大きさとしてもよく、又は乾燥とそれに続く溶融押出に適した大きさに破壊してもよい。
【0054】
乾燥した物質は、典型的に5%w/w未満の水、例えば2〜3%w/wの水、又はより低い、例えば微量を含有する。
【0055】
溶融押出方法を、国際公開第96/14058号パンフレットに記載されているものと同様な方法で行うことができる。
【0056】
本発明では、二軸スクリュー押出機を使用するのが好ましい。本質的には、乾燥顆粒又は微粉砕した生産物をフィーダーにより押出機バレルの第一セグメントの中に、好ましくは比較的低い温度(例えば10〜20℃)で供給し、高温バレルへの物質の一定の流れを確保する。該フィーダーは、押出機への物質の均一の流れを提供する。不規則で変わり易い供給速度によっても密度及び空隙率等の種々の物理的特性を有する多微粒子を製造できるようなコンシステンシーが望ましい。
【0057】
運搬、配合及び配合物の圧縮、並びに機械エネルギーの供給のため、共回転又は対回転スクリューを有し得る二軸スクリューを備えた好適な押出機を設計する。該押出機には、要求に応じて加熱手段及び冷却手段が備わるものとする。この溶融押出方法の重要な部分を行うスクリューは、異なる小型の要素で作られている。混合及び混練方法は、スクリューの要素の型、長さ及び形状を変えることによって、有意に変更することができる。短い滞留時間や中程度ないし低いせん断力は、感熱性薬物の場合でさえ、安全な加工と安定した生産物に貢献する。
【0058】
スクリュー回転速度は、製造される多微粒子の品質に貢献することができる。供給速度の適切な補正の範囲を超えた高回転速度は、変わり易い薬物放出速度を有する高空隙率の多微粒子を製造する場合がある。これに対し、緩徐なスクリュー回転は、不必要な長い滞留時間を生じさせることになる。押出機バレルに連結したバキュームにより、可塑化物質の内部から閉じ込められた空気及び残留水分を除去し、このようにして理論上低空隙率で且つ高密度の多微粒子を製造することが望ましい。
【0059】
押出ヘッドは、一般に、固定された直径、例えば1.0mmのマルチストランドを製造するように設計される。オリフィスの数、形状及び直径を所定の仕様に合わせるように変更することができる。
【0060】
スクリュー速度に加えて、他の主要な影響力のあるパラメータは、スクリュートルク、単一バレル温度、並びに押出ヘッドの圧力及び温度である。
【0061】
本発明の一の切断手順によれば、押出ストランドをダイヘッドからコンベヤー上に運搬する。ストランドの直径は、出発原料供給速度、スクリュー速度、バレル温度、ダイヘッドオリフィスの直径、並びにコンベヤー速度及びニップロール速度によって影響される。コンベヤーでの運搬は、押出ストランドをレーザーゲージ又は他の測定装置に運ぶのに適している。このコンベヤー工程の間にストランドは次第に冷却されるが、本質的に柔軟なままである。軟質ストランドは、レーザーゲージ装置上で、ペレタイザー供給ニップロール間で、そしてペレタイザーへの流入時に保全性を維持する。製剤によっては、急速に冷却されたストランドが、その保全性を失い、ニップロールやペレタイザーの通過時に平らでない形状で不規則な大きさの多微粒子に破砕されることがある
【0062】
レーザーゲージは、ストランドの直径、例えば1.0mmの連続測定を提供するために使用され得る。
【0063】
測定されたストランドをニップロールによりペレタイザーに供給する。ペレタイザーは、供給されたストランドを、例えばロータリーナイフ切断機を用い、所定の長さ、例えば1.0mmに切断する。ストランドの供給速度及びペレタイザー切断速度は、多微粒子の長さを決定する。
【0064】
全体としては、フィーダー、押出機、コンベヤー及びペレタイザー間の調整/相互作用が最終多微粒子生産物の量、品質及び再現性に影響する重要なパラメータとなる。
【0065】
押出ストランドをダイヘッドから運搬する切断手順により製造された多微粒子は、典型的にシリンダーの形態をとる。該シリンダーは、約1mmの直径で約1mmの長さを有することが好ましい。
【0066】
他の好適な切断手順においては、切断機が、圧力を受け、更にダイプレートのオリフィスから溶融されて出てくる押出混合物を切断する。切断機は、ダイヘッドの表面を一掃し、オリフィスを通過する一つ以上の刃を有するロータリーカッターが適している。二つの正反対である刃が好ましい。理想的には、ダイヘッドの外表面は、焦げ付かない物質、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)でコーティングされている。切断した押出物の多微粒子を膨張及び冷却するにつれて、丸みをつけた表面を形成する傾向がある。押出速度の適切な調整及び切断機の刃の速度によって、一般的なシリンダー形の多微粒子のみならず、例えば、球状もしくは実質的に球状、楕円状、又はディスク形の多微粒子に整えて得ることができる。一の実施態様においては、空気の流れがダイヘッドの表面の領域に向けられ、その空気が低下した温度で押出物を冷却し、凝固を促進する。
【0067】
この方法で製造された球状の多微粒子は、多くの利点:バッチ間再現性、コーティングのし易さ及び低い所要コーティング重量、より良いカプセル充填及び高収率、高温での安定性、耐改ざん性、ストランドを運搬しペレット化する間に生じるいくつかの問題、例えば、ストランドが異なる長さのペレットに破断されることや、起こり得る静電荷の軽減及び解消を提供する。
【0068】
多微粒子は、個々の単位用量にそれぞれ哺乳類、好ましくはヒトの患者に投与するための一投与量の薬物が含まれるように、単位用量に分割することができる。好適な薬物、オキシコドン又はそれらの塩、好ましくは塩酸塩については、有効成分の適切な投与量が、5〜400mg、特に5mg、10mg、20mg、30mg、40mg、60mg、80mg、120mg又は160mgの単位投与量である。この点において、単位用量には、有効な量の治療上有効な成分が含まれ、患者に対し鎮痛及び/又は無痛をもたらす。患者に投与されるオキシコドンの投与量は、患者の体重、耐性、痛みの重症度、代謝の状態、及び投与されるあらゆる他の治療剤の性質を含めた、多数の要因によって変わることになる。
【0069】
得られた多微粒子を、カプセルの充填物として使用することができる。従って、本発明は、1日に1回又は2回の投与に適したカプセルを提供する。放出制御製剤の他の投与形態を提供してもよい。
【0070】
一の好適な実施態様においては、多微粒子をゼラチンカプセルに充填し、それぞれが単位用量を含有する。カプセル中の充填重量は、80〜500mgの範囲が好ましく、120〜500mgがより好ましい。本発明の一のバリエーションにおいては、多微粒子の単位用量を、例えば、圧縮を利用し、又は錠剤に付形もしくは成形し、或いは押出生産物を坐薬の形態に成形することによって他の個体医薬品投与製剤に組み込むことができる。
【0071】
本発明の好適なカプセル又は他の単位用量形態は、約12時間又は24時間の間隔での投与向けに設計される。
【0072】
多微粒子の包含用に好適な薬物は、オキシコドン又はその塩、好ましくは塩酸塩である。その上、12時間毎の投与に適した単位用量形態は、適切には、37℃で水性緩衝液(pH1.6〜7.2)900ml中、100rpmでUSPパドル法(米国薬局方XXII 1990参照)により測定した場合に、1時間後に放出されたオキシコドン12.5〜42.5(重量)%、2時間後に放出されたオキシコドン25〜56(重量)%、4時間後に放出されたオキシコドン45〜75(重量)%及び6時間後に放出されたオキシコドン55〜85(重量)%の生体外でのオキシコドン溶解率を有する。
【0073】
また、オキシコドン又はその塩、好ましくは塩酸塩を含有し、12時間毎の投薬に適した単位用量形態は、適切には、37℃でpH1.2の水性緩衝液(酵素なしで刺激された胃液)900ml中、100rpmでUSPバスケット法<<7 11>>装置1を用い、波長206nmでのUVとHPLCによる検出によって測定した場合に、1時間で0〜40%、好ましくは25〜35%、2時間で20〜70%、好ましくは40〜60%、3時間で40〜80%、好ましくは55〜75%、4時間で60〜95%、好ましくは65〜90%及び5時間で70%より大きい、生体外での溶解率を有する。
【0074】
その上、生体内で得られたオキシコドンの最高血漿中濃度が、投与形態の投与後2〜4.5時間で発現することが好ましい。
【0075】
かかるオキシコドン製剤のための望ましい特性に関する情報は、本願に詳細に引用して援用される国際公開第93/10765号パンフレットにおいて与えられる。
【0076】
一の代案として、本発明のオキシコドンカプセル又は他の単位用量形態は、24時間の間隔での投与向けに設計される。このため、該単位用量形態は、適切には、37℃でpH1.6〜7.2の水性緩衝液900ml中、100rpmでUSPバスケット法により測定した場合に、1時間で0%〜約40%、4時間で約8%〜約70%、8時間で約20%〜約80%、12時間で約30%〜約95%、18時間で約35%〜約95%及び24時間で50%より大きい、生体外でのオキシコドン溶解率を有する。
【0077】
その上、生体内で得られたオキシコドンの最高血漿中濃度は、投与形態の定常状態での投与後約2時間〜約17時間で達することが好ましい。
【0078】
また、オキシコドン又はその塩、好ましくは塩酸塩を含有し、24時間毎の投与に適した単位用量形態は、適切には、37℃でpH1.2の水性緩衝液(酵素なしで刺激された胃液)900ml中、100rpmでUSPバスケット法<<7 11>>装置1を用い、波長206nmでのUVとHPLCによる検出によって測定した場合に、1時間で10〜30%、好ましくは17〜23%、2時間で20〜35%、好ましくは24〜32%、8時間で35〜75%、好ましくは48〜66%、16時間で50%より大きく、好ましくは68〜92%の生体外での溶解率を有する。
【0079】
かかるオキシコドン製剤のための望ましい特性に関する情報は、本願に詳細に引用して援用される国際公開第02/087512号パンフレットにおいて与えられる。
【0080】
一のバリエーションにおいて、本発明は、オピオイドと、改ざんすることを防止するのに有効なオピオイドアンタゴニストとを含む単位用量を提供する。この点においては、本願に詳細に引用して援用される国際公開第03/13433号パンフレットを参照する。特に、単位用量は、オキシコドン及びナルトレキソンを含むことができる。
【0081】
このため、本発明は、オキシコドン等のオピオイドの溶融押出多微粒子、及びナルトレキソン等のオピオイドアンタゴニストの溶融押出多微粒子を提供する。一の好適な製剤において、アンタゴニスト多微粒子は、通常の投与でアンタゴニストを放出せず、例えば、非放出被膜を有する。オピオイド及びオピオイドアンタゴニストの両方の母集団は、視覚的に且つ物理的に同一であることが好ましい。
【0082】
本発明の重要な観点は、500mg未満の単位用量の充填量を有し、約350mg以下のオキシコドン多微粒子及び約200mg以下の耐改ざん性オキシコドンアンタゴニスト多微粒子を含むカプセルである。例えば、120〜300mgのオキシコドン多微粒子と、125〜175mgの耐改ざん性オキシコドンアンタゴニスト多微粒子とが存在し得る。
【図面の簡単な説明】
【0083】
下記の実験のセクションは、添付の図面を参照する。
【図1】実施例5において作製されたペレットからのオキシコドンの溶解を示す。
【図2】実施例10〜13において作製されたペレットからのオキシコドンの溶解を示す。
【図3】実施例11〜13の破砕したペレットからのオキシコドンの溶解を示す。
【図4】乳棒及び乳鉢を用いて微粉砕した後の実施例11〜13のペレットからのオキシコドンの溶解を示す。
【図5】実施例10〜13のペレットからのオキシコドンの溶媒中の溶解を示す。
【実施例】
【0084】
(実施例1,2及び3)
多微粒子の三つのバッチ(実施例)を同様な手順の後に作製した。
ステップ1.最初に、下記の品目を、40℃に予熱したグラール10高せん断ミキサー中に配置し、高速で2分間乾燥ブレンドした。
オキシコドン塩酸塩
オイドラギットRS PO
ステアリルアルコール
ステアリン酸
ステップ2.オイドラギットNE 40 D分散液を350ミクロンメッシュに通して選別し、凝集体を除去して、適当な大きさの容器に移した。
ステップ3.選別されたオイドラギットNE 40 D分散液を、混合ボウル中、混合/細断しながらステップ1の乾燥ブレンドした物質上に低噴霧圧で吹き付けた。
ステップ4.オイドラギットNE 40 Dの適用を顆粒生成が起こるまで続けた。
ステップ5.オイドラギットNE 40 Dの適用を定期的に中断し、混合ボウルの側面をこすった。
ステップ6.全てのオイドラギットNE 40 Dを適用した後に、顆粒を同一の温度条件下、低減した混合/細断速度で乾燥した。
ステップ7.その後、顆粒を、コンベヤーとペレタイザーとが備わっているライストリッツマイクロ18押出機に制御された速度で供給した。該押出機は、1.5mmのダイプレートと、下記の熱ステーション;90℃〜100℃のステーション3〜8、100℃のステーション9及び10とを有する。供給速度は2.0〜2.6kg/hrであって、スクリュー速度が100〜141rpmで、50〜60%/40〜50barのトルク/溶融圧力を有する。
【0085】
押出ストランドをダイヘッドからコンベヤー上に運搬し、シリンダー形の多微粒子に切断した。
【0086】
【表2】

【0087】
(実施例4)
この実施例では、代替の切断手順を使用した。押出物は、ライストリッツマイクロ18押出機のダイヘッドの12個のオリフィスから出てくる。二枚の刃を有するロータリーカッターを使用し、圧力を受け、更にダイプレートのオリフィスから溶融されて出てくる押出混合物を切断する。該刃は、ダイヘッドの表面を一掃し、オリフィスを通過する。切断された押出物の粒子を膨張及び冷却するにつれて、それらは丸みをつけた表面を形成する傾向がある。
【0088】
下記の配合処方を用いて、薬剤的非有効成分としてラクトースを含有するプラシーボ生産物を作製した。
【0089】
【表3】

【0090】
押出温度及び押出速度を含めた押出パラメータの適当な調整によって、球状又は実質的に球状の多微粒子を得ることができる。
【0091】
(実施例5及び6)
多微粒子の二つのバッチを、可塑剤としてクエン酸トリブチル(およそ43%w/wの薬物量)を用いて計画した。含有量の百分率、w/wは、下記のとおりである。
【0092】
【表4】

【0093】
ペレットの形態で実施例5の多微粒子を調製するための手順は、下記のとおりである。
ステップ1.クエン酸トリブチルをグラール10高せん断ミキサー中のエチルセルロースに緩徐に添加し、ブレンドした。
ステップ2.オキシコドンをグラール10高せん断ミキサー中のステップ1の配合物に添加し、5分間ブレンドした。
ステップ3.オイドラギットNE 40 D分散液を350ミクロンメッシュに通して選別し、凝集体を除去して、適当な大きさの容器に移した。次に、選別されたオイドラギットNE 40 D分散液を、38℃に予熱したグラール10混合ボウル中、混合/細断しながらステップ2のブレンドした物質上に蠕動ポンプで緩徐に添加した。
ステップ4.オイドラギットNE 40 Dの適用を、顆粒生成が起こり、全てのオイドラギットNE 40 Dを添加するまで続けた。
ステップ5.オイドラギットNE 40 Dの適用を定期的に中断し、混合ボウルの側面をこすることができた。
ステップ6.全てのオイドラギットNE 40 Dを添加した後に、湿式顆粒を通常の押出機に通して押出し、流動層乾燥機において約42℃で乾燥した。
ステップ7.乾燥顆粒を室温まで冷却し、収集した。
ステップ8.その後、顆粒を、実施例1と同じ条件下、1.0mmのダイプレートと、コンベヤー及びペレタイザーとが備わっているライストリッツマイクロ18押出機に制御された速度で供給した。押出ストランドをダイヘッドからコンベヤー上に運搬し、シリンダー形の多微粒子に切断した。
【0094】
実施例6の製剤の調製手順は、下記の点を除いて実施例5と同一のものである。
・ステップ1において可塑剤(クエン酸トリブチル)を添加しなかった。その代わりに、ステップ1を除外し、ステップ2がグラール10高せん断ミキサーによるオキシコドン塩酸塩とエチルセルロースとの混合からなった。
・顆粒を篩にかけ(1.5mmメッシュ)、大き過ぎる顆粒を微粉砕し(1.0mmメッシュ)、他の顆粒と再結合した。
・潤滑剤(グリセロールジベヘネート)を、ステップ7の終わりで押出機に供給する直前に、乾燥顆粒に添加した。
・押出機は、1.5mmのオリフィス付きのダイプレートを有した。
【0095】
一の代替の切断手順を検討することができる。押出物は、ライストリッツ押出機のダイヘッドのオリフィスから出てくる。2枚の刃を有するロータリーカッターを用いて、圧力を受け、更にダイプレートのオリフィスから溶融されて出てくる押出混合物を切断する。該刃は、ダイヘッドの表面を一掃し、オリフィスを通過する。切断された押出物の粒子を膨張及び冷却するにつれて、それらは丸みをつけた表面を形成する傾向がある。
【0096】
上記の実施例において、ライストリッツマイクロ18押出機を用いたが、大きな押出機、例えばライストリッツマイクロ27は、加工用に高いトルクを必要とする物質を扱うのに好適である。
【0097】
実施例5において得られた押出ペレットを、37℃でpH1.2の水性緩衝液(酵素なしで刺激された胃液)900ml中、100rpmでUSPバスケット法<<7 11>>装置1を用い、波長206nmでのUVとHPLCによる検出によって溶解試験し、下記の結果を与え、その結果を1日1回の製品用の好適なグラフと共に添付の図1においてプロットした。
【0098】
【表5】

【0099】
(実施例7,8及び9)
100〜120℃の範囲の温度、240rpm以下のスクリュー速度、並びに直径1.5mm(実施例7及び8)及び1.0mm(実施例9)のダイプレートの寸法以外は、これまでの実施例に関して同一の手順及び押出条件を使用し、下記の配合処方により加工し、多微粒子を作製した。
【0100】
【表6】

【0101】
(実施例10〜13)
これまでの実施例のものと同様な手順を用いて、多微粒子を下記の配合処方で作製した。
【0102】
【表7】

【0103】
実施例10〜13の多微粒子に、実施例5において上述したUSPバスケット法を用いて溶解による試験を受けさせた。結果を図2に示す。この結果から、実施例12及び13の多微粒子の放出グラフは、この試験において、生体内で試験した場合にオキシコンチン錠と実質的に生物学的に同等な調剤(公開番号WO2005/000310の同時係属出願の実施例5)の放出グラフに類似していることが実証される。
【0104】
実施例10及び11の多微粒子は、24時間の間隔で投与するための投与形態で用いるのに適していることを表し得る緩徐な放出グラフを示す。
【0105】
実施例10〜13の多微粒子を試験し、下記のとおり、耐改ざん性に対しての可能性を決定する。
【0106】
1)実施例10〜13の多微粒子400mgを、二つのスプーンの間で、又はアペックスヘルスケアプロダクツ社製のピル微粉砕機等のピル破砕機を用いて破砕した後に、スプーン上で加熱して沸騰させた水2mlで抽出し、ろ取した。その後、抽出されたオキシコドンの量をHPLC及び波長210nmでのUVによる検出により決定し、図3のグラフに示す。
【0107】
2)実施例10〜13の多微粒子400mgを24回転の乳棒付き乳鉢と乳棒とで粉砕にかけ、生産物を水900ml中37℃で45分間放置した。その後、溶解したオキシコドンの量を上記1)に記載の方法により決定し、結果を図4の棒グラフに表す。
【0108】
3)抽出a)〜e)のそれぞれにおいて、実施例10〜13のうち一の多微粒子400mgを、下記のとおり、それぞれ試験した。該多微粒子を、(加熱を指示すれば)後に水浴で加熱するガラスフラスコの指示溶媒中に放置した。次に、該フラスコを、毎分500〜600の振動に設定されたスチュアートサイエンティフィック振盪機SF1型を用いて、指示された時間振盪にかけた。抽出後に、溶解したオキシコドンの量を1)で用いた方法により決定した。
a)水10ml中、室温で15分間の振盪
b)水10ml中、50℃で5分間加熱した後、15分間の振盪
c)水10ml中、75℃で5分間加熱した後、15分間の振盪
d)水10ml中、100℃で5分間加熱した後、15分間の振盪
e)40%エタノール10ml中、室温で15分間の振盪
【0109】
試験の結果を添付した図5の棒グラフに示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体と、有効成分とを含むゴム状マトリクスからなる放出制御医薬品製剤。
【請求項2】
前記有効成分が、オピオイド、刺激剤、バルビツール酸誘導体、抗うつ剤又は解離麻酔薬である請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記有効成分が、オキシコドンである請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
水、エタノール又は水性エタノールの液体による抽出時に、前記有効成分の放出を低減することによって、改ざんに対する耐性を示す請求項1〜3のいずれかに記載の製剤。
【請求項5】
多微粒子からなる請求項1〜4のいずれかに記載の製剤。
【請求項6】
ガラスフラスコ中の前記液体10mlを用いて一投与量の多微粒子を混合し、スチュアートサイエンティフィック振盪機SF1型を用いて毎分500〜600の振動で15分間振盪することを備える試験方法により試験した場合に、下記の特徴(a)〜(e)の内の少なくとも一つを示す請求項1〜5のいずれかに記載の製剤。
(a)水中室温で15分間の振盪:7.5%未満の有効成分の放出
(b)水中50℃で5分間静置した後に同じ温度で15分間の振盪:15%未満の有効成分の放出
(c)75℃で5分間静置した後に同じ温度で15分間の振盪:20%未満の有効成分の放出
(d)100℃で5分間静置した後に同じ温度で15分間の振盪:25%未満の有効成分の放出
(e)40%エタノール中室温で15分間の振盪:好ましくは25%未満の有効成分の放出
【請求項7】
耐改ざん性が、製剤の粉砕及び抽出時に前記有効成分の放出を低減する請求項1〜6のいずれかに記載の製剤。
【請求項8】
一投与量の製剤を、24回転の乳棒付き乳鉢と乳棒とによる粉砕、及び水900ml中37℃で45分間の放置にかけることを備える試験方法により試験した場合に、10%未満の有効成分を放出する請求項7に記載の製剤。
【請求項9】
アペックスヘルスケアプロダクツ社製のピル微粉砕機で一投与量を破砕した後、スプーン上で加熱して沸騰させた水2mlで抽出し、ろ過することを備える試験方法により試験した場合に、15%未満の有効成分を放出する請求項7に記載の製剤。
【請求項10】
前記マトリクスが、少なくとも一種の放出を緩和するための他の重合体を含む請求項1〜9のいずれかに記載の製剤。
【請求項11】
前記他の重合体が、アルキルセルロース又は水不溶性メタクリル酸アンモニウム共重合体である請求項10に記載の製剤。
【請求項12】
前記他の重合体が、エチルセルロースである請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
前記エチルセルロースの量が、製剤の10〜50重量%である請求項12に記載の製剤。
【請求項14】
規定した成分の総重量に基づき、下記表に掲げる量の成分を含む請求項10〜13のいずれかに記載の製剤。
【表1】

【請求項15】
規定した成分の総重量に基づき、下記表に掲げる量の成分を含む請求項14に記載の製剤。
【表2】

【請求項16】
規定した成分の総重量に基づき、下記表に掲げる量の成分を含む請求項14に記載の製剤。
【表3】

【請求項17】
60%w/w以下の前記有効成分、15〜50%w/wの中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体、5〜60%w/wのエチルセルロース及び7.5〜20%の可塑剤を含む請求項1〜16のいずれかに記載の製剤。
【請求項18】
更に5〜60%の不溶性メタクリル酸アンモニウム共重合体を含む請求項17に記載の製剤。
【請求項19】
35〜50%の低透過性の不溶性メタクリル酸アンモニウム共重合体及び/又は5〜30%の高透過性メタクリル酸アンモニウム共重合体を含む請求項18に記載の製剤。
【請求項20】
増量剤を含む請求項1〜19のいずれかに記載の製剤。
【請求項21】
オピオイド及びオピオイドアンタゴニストを含む請求項1〜20のいずれかに記載の製剤。
【請求項22】
120〜300mgのオキシコドン多微粒子及び125〜175mgのオキシコドンアンタゴニスト多微粒子を含む請求項21に記載の製剤。
【請求項23】
オキシコドン及びナルトレキソンを含む請求項21又は22に記載の製剤。
【請求項24】
オピオイドの溶融押出多微粒子及びオピオイドアンタゴニストの溶融押出多微粒子を含む請求項21、22又は23に記載の製剤。
【請求項25】
ヒトへの投与に適した請求項1〜24のいずれかに記載の医薬品製剤の単位用量。
【請求項26】
5mg、10mg、20mg、30mg、40mg、60mg、80mg、120mg又は160mgのオキシコドンを含む請求項25に記載の単位用量。
【請求項27】
一日に一回の投与に適した請求項25又は26に記載の単位用量。
【請求項28】
37℃でpH1.6〜7.2の水性緩衝液900ml中、100rpmでUSPバスケット法により測定した場合に、1時間で0%〜約40%、4時間で約8%〜約70%、8時間で約20%〜約80%、12時間で約30%〜約95%、18時間で約35%〜約95%及び24時間で約50%より大きい、生体外でのオキシコドン溶解率を有する請求項27に記載の単位用量形態。
【請求項29】
生体内で得られたオキシコドンの最高血漿中濃度が、投与形態の投与後2時間〜17時間で発現する請求項28に記載の単位用量。
【請求項30】
37A単位用量形態でpH1.2の水性緩衝液(酵素なしで刺激された胃液)900ml中、100rpmでUSPバスケット法<<7 11>>装置1を用い、波長206nmでのUVとHPLCによる検出によって測定した場合に、1時間で10〜30%、2時間で20〜35%、8時間で35〜75%及び16時間で50%より大きい、生体外でのオキシコドン溶解率を有する請求項27に記載の単位用量形態。
【請求項31】
一日に二回の投与に適した請求項25又は26に記載の単位用量。
【請求項32】
37℃で水性緩衝液(pH1.6〜7.2)900ml中、100rpmでUSPパドル法(米国薬局方XXII 1990参照)により測定した場合に、1時間後に放出されたオキシコドン12.5〜42.5(重量)%、2時間後に放出されたオキシコドン25〜56(重量)%、4時間後に放出されたオキシコドン45〜75(重量)%及び6時間後に放出されたオキシコドン55〜85(重量)%の生体外でのオキシコドン溶解率を有する請求項31に記載の単位用量形態。
【請求項33】
37℃でpH1.2の水性緩衝液(酵素なしで刺激された胃液)900ml中、100rpmでUSPバスケット法<<7 11>>装置1を用い、波長206nmでのUVとHPLCによる検出よって測定した場合に、1時間で0〜40%、2時間で20〜70%、3時間で40〜80%、4時間で60〜95%及び5時間で70%より大きい、生体外でのオキシコドン溶解率を有する請求項31に記載の単位用量形態。
【請求項34】
生体内で得られたオキシコドンの最高血漿中濃度が、投与形態の投与後2〜4.5時間で発現する請求項33に記載の単位用量。
【請求項35】
溶融押出により得ることができ、中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体と有効成分とを含む放出制御医薬品製剤。
【請求項36】
ゴム状特性を示す請求項35に記載の製剤。
【請求項37】
水、アルコール又は水性エタノールを用いた抽出による改ざんに対し、強化された耐性を有する請求項35又は36に記載の製剤。
【請求項38】
前記有効成分が、オピオイド、刺激剤、バルビツール酸誘導体、抗うつ剤又は解離麻酔薬である請求項35、36又は37に記載の製剤。
【請求項39】
前記有効成分が、オキシコドンである請求項38に記載の製剤。
【請求項40】
多微粒子からなる請求項35〜39のいずれかに記載の製剤。
【請求項41】
前記マトリクスが、少なくとも一種の放出を緩和するための他の重合体を含む請求項35〜40のいずれかに記載の製剤。
【請求項42】
前記他の重合体が、アルキルセルロース又は水不溶性メタクリル酸アンモニウム共重合体である請求項41に記載の製剤。
【請求項43】
前記他の重合体が、エチルセルロースである請求項42に記載の製剤。
【請求項44】
前記エチルセルロースの量が、製剤の10〜50重量%である請求項43に記載の製剤。
【請求項45】
規定した成分の総重量に基づき、下記表に掲げる量の成分を含む請求項41〜44のいずれかに記載の製剤。
【表4】

【請求項46】
規定した成分の総重量に基づき、下記表に掲げる量の成分を含む請求項45に記載の製剤。
【表5】

【請求項47】
規定した成分の総重量に基づき、下記表に掲げる量の成分を含む請求項46に記載の製剤。
【表6】

【請求項48】
60%w/w以下の前記有効成分、15〜50%w/wの中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体、5〜60%w/wのエチルセルロース及び7.5〜20%の可塑剤を含む請求項35〜47のいずれかに記載の製剤。
【請求項49】
更に5〜60%の不溶性メタクリル酸アンモニウム共重合体を含む請求項48に記載の製剤。
【請求項50】
35〜50%の低透過性の不溶性メタクリル酸アンモニウム共重合体及び/又は5〜30%の高透過性メタクリル酸アンモニウム共重合体を含む請求項49に記載の製剤。
【請求項51】
増量剤を含む請求項35〜50のいずれかに記載の製剤。
【請求項52】
オピオイド及びオピオイドアンタゴニストを含む請求項35〜50のいずれかに記載の製剤。
【請求項53】
120〜300mgのオキシコドン多微粒子及び125〜175mgのオキシコドンアンタゴニスト多微粒子を含む請求項52に記載の製剤。
【請求項54】
オキシコドン及びナルトレキソンを含む請求項52又は53に記載の製剤。
【請求項55】
オピオイドの溶融押出多微粒子及びオピオイドアンタゴニストの溶融押出多微粒子を含む請求項52、53又は54に記載の製剤。
【請求項56】
ヒトへの投与に適した請求項35〜55のいずれかに記載の医薬品製剤の単位用量。
【請求項57】
5mg、10mg、20mg、30mg、40mg、60mg、80mg、120mg又は160mgのオキシコドンを含む請求項56に記載の単位用量。
【請求項58】
一日に一回の投与に適した請求項56又は57に記載の単位用量。
【請求項59】
37℃でpH1.6〜7.2の水性緩衝液900ml中、100rpmでUSPバスケット法により測定した場合に、1時間で0%〜約40%、4時間で約8%〜約70%、8時間で約20%〜約80%、12時間で約30%〜約95%、18時間で約35%〜約95%及び24時間で約50%より大きい、生体外でのオキシコドン溶解率を有する請求項58に記載の単位用量形態。
【請求項60】
生体内で得られたオキシコドンの最高血漿中濃度が、投与形態の投与後2時間〜17時間で発現する請求項58に記載の単位用量。
【請求項61】
37℃でpH1.2の水性緩衝液(酵素なしで刺激された胃液)900ml中、100rpmでUSPバスケット法<<7 11>>装置1を用い、波長206nmでのUVとHPLCによる検出よって測定した場合に、1時間で10〜30%、2時間で20〜35%、8時間で35〜75%及び16時間で50%より大きい、生体外でのオキシコドン溶解率を有する請求項58に記載の単位用量形態。
【請求項62】
一日に二回の投与に適した請求項56又は57に記載の単位用量。
【請求項63】
37℃で水性緩衝液(pH1.6〜7.2)900ml中、100rpmでUSPパドル法(米国薬局方XXII 1990参照)により測定した場合に、1時間後に放出されたオキシコドン12.5〜42.5(重量)%、2時間後に放出されたオキシコドン25〜56(重量)%、4時間後に放出されたオキシコドン45〜75(重量)%及び6時間後に放出されたオキシコドン55〜85(重量)%の生体外でのオキシコドン溶解率を有する請求項62に記載の単位用量形態。
【請求項64】
37℃でpH1.2の水性緩衝液(酵素なしで刺激された胃液)900ml中、100rpmでUSPバスケット法<<7 11>>装置1を用い、波長206nmでのUVとHPLCによる検出によって測定した場合に、1時間で0〜40%、2時間で20〜70%、3時間で40〜80%、4時間で60〜95%及び5時間で70%より大きい、生体外でのオキシコドン溶解率を有する請求項62に記載の単位用量形態。
【請求項65】
生体内で得られたオキシコドンの最高血漿中濃度が、投与形態の投与後2〜4.5時間で発現する請求項64に記載の単位用量。
【請求項66】
溶融押出により得られた、中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体と有効成分とを含む放出制御医薬品製剤。
【請求項67】
中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体及びオピオイド鎮痛剤を含む乾燥顆粒。
【請求項68】
20重量%〜66重量%の中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体及び薬剤的に有効な化合物を含む乾燥顆粒。
【請求項69】
前記薬剤的に有効な化合物がオピオイドである請求項68に記載の乾燥顆粒。
【請求項70】
前記オピオイドが、オキシコドン又はその塩である請求項69に記載の乾燥顆粒。
【請求項71】
オピオイド鎮痛剤を組み込む中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体のマトリクスからなる乾燥顆粒。
【請求項72】
押出顆粒である請求項71に記載の乾燥顆粒。
【請求項73】
66%以下の中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体を含む請求項71又は72に記載の乾燥顆粒。
【請求項74】
20〜50%の中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体を含む請求項71、72又は73に記載の乾燥顆粒。
【請求項75】
30〜40%の中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体を含む請求項74に記載の乾燥顆粒。
【請求項76】
それぞれが中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体及びオピオイド鎮痛剤を含む多微粒子。
【請求項77】
溶融押出により成形された請求項76に記載の多微粒子。
【請求項78】
シリンダーの形態をとるか、又は通常の球状、楕円状もしくはディスク形である請求項77に記載の多微粒子。
【請求項79】
それぞれが20重量%〜66重量%の中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体及び薬剤的に有効な化合物を含む多微粒子。
【請求項80】
前記薬剤的に有効な化合物が、オピオイド鎮痛剤である請求項79に記載の多微粒子。
【請求項81】
前記オピオイドが、オキシコドン又はその塩である請求項80に記載の多微粒子。
【請求項82】
中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体を含む乾燥混合物の溶融押出により成形された請求項80又は81に記載の多微粒子。
【請求項83】
シリンダーの形態をとるか、又は通常の球状、楕円状もしくはディスク形である請求項82に記載の多微粒子。
【請求項84】
中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体及びオピオイド鎮痛剤を含むマトリクスからなる放出制御医薬品製剤。
【請求項85】
20重量%〜66重量%の中性(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体及び薬剤的に有効な化合物を含むマトリクスからなる放出制御医薬品製剤。
【請求項86】
ゴム状特性を示す請求項85に記載の製剤。
【請求項87】
水又はアルコールもしくは水性エタノールを用いた抽出による改ざんに対し、強化された耐性を有する請求項85又は86に記載の製剤。
【請求項88】
前記オピオイド鎮痛剤がオキシコドンである請求項84〜87のいずれかに記載の製剤。
【請求項89】
多微粒子からなる請求項84〜88のいずれかに記載の製剤。
【請求項90】
前記マトリクスが少なくとも一種の放出を緩和するための他の重合体を含む請求項84〜89のいずれかに記載の製剤。
【請求項91】
前記他の重合体が、アルキルセルロース又は水不溶性メタクリル酸アンモニウム共重合体である請求項90に記載の製剤。
【請求項92】
前記他の重合体がエチルセルロースである請求項91に記載の製剤。
【請求項93】
前記エチルセルロースの量が製剤の10〜50重量%である請求項92に記載の製剤。
【請求項94】
規定した成分の総重量に基づき、下記表に掲げる量の成分を含む請求項93に記載の製剤。
【表7】

【請求項95】
規定した成分の総重量に基づき、下記表に掲げる量の成分を含む請求項94に記載の製剤。
【表8】

【請求項96】
規定した成分の総重量に基づき、下記表に掲げる量の成分を含む請求項95に記載の製剤。
【表9】

【請求項97】
60%w/w以下の前記有効成分、15〜50%w/wの中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体、5〜60%w/wのエチルセルロース及び7.5〜20%の可塑剤を含む請求項85〜96のいずれかに記載の製剤。
【請求項98】
更に5〜60%の不溶性メタクリル酸アンモニウム共重合体を含む請求項97に記載の製剤。
【請求項99】
35〜50%の低透過性の不溶性メタクリル酸アンモニウム共重合体及び/又は5〜30%の高透過性メタクリル酸アンモニウム共重合体を含む請求項98に記載の製剤。
【請求項100】
増量剤を含む請求項85〜99のいずれかに記載の製剤。
【請求項101】
オピオイド及びオピオイドアンタゴニストを含む請求項85〜100のいずれかに記載の製剤。
【請求項102】
120〜300mgのオキシコドン多微粒子及び125〜175mgのオキシコドンアンタゴニスト多微粒子を含む請求項101に記載の製剤。
【請求項103】
オキシコドン及びナルトレキソンを含む請求項101又は102に記載の製剤。
【請求項104】
オピオイドの溶融押出多微粒子及びオピオイドアンタゴニストの溶融押出多微粒子を含む請求項101、102又は103に記載の製剤。
【請求項105】
ヒトへの投与に適した請求項87〜104のいずれかに記載の医薬品製剤の単位用量。
【請求項106】
5mg、10mg、20mg、30mg、40mg、60mg、80mg、120mg又は160mgのオキシコドンを含む請求項105に記載の単位用量。
【請求項107】
一日に一回の投与に適した請求項105又は106に記載の単位用量。
【請求項108】
37℃でpH1.6〜7.2の水性緩衝液900ml中、100rpmでUSPバスケット法により測定した場合に、1時間で0%〜約40%、4時間で約8%〜約70%、8時間で約20%〜約80%、12時間で約30%〜約95%、18時間で約35%〜約95%及び24時間で約50%より大きい、生体外でのオキシコドン溶解率を有する請求項107に記載の単位用量形態。
【請求項109】
生体内で得られたオキシコドンの最高血漿中濃度が、投与形態の投与後2時間〜17時間で発現する請求項107に記載の単位用量。
【請求項110】
37A単位用量形態CでpH1.2の水性緩衝液(酵素なしで刺激された胃液)900ml中、100rpmでUSPバスケット法<<7 11>>装置1を用い、波長206nmでのUVとHPLCによる検出によって測定した場合に、1時間で10〜30%、2時間で20〜35%、8時間で35〜75%及び16時間で50%より大きい、生体外でのオキシコドン溶解率を有する請求項107に記載の単位用量形態。
【請求項111】
一日に二回の投与に適した請求項105又は106に記載の単位用量。
【請求項112】
37℃で水性緩衝液(pH1.6〜7.2)900ml中、100rpmでUSPパドル法(米国薬局方XXII 1990参照)により測定した場合に、1時間後に放出されたオキシコドン12.5〜42.5(重量)%、2時間後に放出されたオキシコドン25〜56(重量)%、4時間後に放出されたオキシコドン45〜75(重量)%及び6時間後に放出されたオキシコドン55〜85(重量)%の生体外でのオキシコドン溶解率を有する請求項111に記載の単位用量形態。
【請求項113】
37℃でpH1.2の水性緩衝液(酵素なしで刺激された胃液)900ml中、100rpmでUSPバスケット法<<7 11>>装置1を用い、波長206nmでのUVとHPLCによる検出よって測定した場合に、1時間で0〜40%、2時間で20〜70%、3時間で40〜80%、4時間で60〜95%及び5時間で70%より大きい、生体外でのオキシコドン溶解率を有する請求項111に記載の単位用量形態。
【請求項114】
生体内で得られたオキシコドンの最高血漿中濃度が、投与形態の投与後2〜4.5時間で発現する請求項113に記載の単位用量。
【請求項115】
中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体及び有効成分を含む混合物の溶融押出を備える放出制御製剤の調製方法。
【請求項116】
前記中性(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体が、前記有効成分と混合して乾燥し、溶融押出用の混合物を与える重合体を40%含む水性分散液の形態で提供される請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記混合物が可塑剤を含む請求項115又は116に記載の方法。
【請求項118】
前記可塑剤が、クエン酸トリブチル、ステアリルアルコール又は高分子量ポリエチレングリコールである請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記混合物が潤滑剤を含む請求項115〜118のいずれかに記載の方法。
【請求項120】
前記潤滑剤が、ステアリン酸、ステアリン酸塩又はグリセロールジベへネートである請求項119に記載の方法。
【請求項121】
押出しして湿式顆粒を与える混合物用成分の湿式顆粒化、該顆粒の乾燥、及び乾燥した顆粒の溶融押出を含む請求項115〜120のいずれかに記載の方法。
【請求項122】
湿式顆粒を乾燥する前に押出す請求項121に記載の方法。
【請求項123】
乾燥顆粒には、3%w/w未満の水が含まれる請求項122に記載の方法。
【請求項124】
前記乾燥顆粒の溶融押出を二軸スクリュー押出機で行う請求項115〜123のいずれかに記載の方法。
【請求項125】
押出ストランドをペレタイザーに運搬し、多微粒子に切断する請求項115〜124のいずれかに記載の方法。
【請求項126】
各多微粒子が、約1mmの直径及び約1mmの長さを有する請求項115〜125のいずれかに記載の方法。
【請求項127】
切断機が、押出機から出てくる押出混合物を切断する請求項115〜124のいずれかに記載の方法。
【請求項128】
改ざんに対する耐性を提供するための医薬品製剤の調製における中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体の使用。
【請求項129】
有効成分と中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体とを混合し、該中性ポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)共重合体を有するマトリクス中に該有効成分を組み込む医薬品製剤を形成することを備えた、医薬品製剤における耐改ざん性を付与する方法。
【請求項130】
請求項1〜104のいずれかに記載の放出制御製剤として前記有効成分を投与する有効成分の投与方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−193186(P2012−193186A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−130265(P2012−130265)
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【分割の表示】特願2006−552696(P2006−552696)の分割
【原出願日】平成17年2月11日(2005.2.11)
【出願人】(500361375)ユーロ−セルティック エス. ア. (8)
【Fターム(参考)】