説明

放収音装置

【課題】使用する状況に応じて、マイク収音面、およびスピーカ放音面を変更することができ、汎用性の高い放収音装置を提供する。
【解決手段】複数のマイク11、複数のスピーカ12、および基板16を、正四角柱形状の中央筐体部13の内部に有する。中央筐体部13は、X方向、および−X方向の両端面において2つの八角柱形状の脚部14の底面に接合されている。マイク11の収音面とスピーカ12の放音面は互いに垂直方向となり、脚部14の接地面を変更することで、マイク11の収音面とスピーカ12の放音面を変更することができる。また、基板16は重力センサを内蔵しているので、マイク11の収音面とスピーカ12放音面の方向に応じて、それぞれのゲインが自動的に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スピーカとマイクとを一体に備えた放収音装置に関し、特に使用状況に応じて、セッティングを変更することができる汎用性の高い放収音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遠隔地間で音声会議(通信会議)を行うために、スピーカとマイクとを一体に備えた音声会議装置が普及している。例えば非特許文献1の音声会議装置は、同一空間内にスピーカとマイクを備えた構成であり、マイクの収音面を天井方向、スピーカの放音面を話者方向(前面方向)に設定している。この音声会議装置は、遠隔地の会議室にそれぞれ設置され、インターネットなどで相互に接続される。それぞれの音声会議装置は、マイクで収音した音声を接続先に送信し、接続先から受信した音声をスピーカから放音する。
【0003】
この音声会議装置は、発話者の音声を適正な音量で収音できるように、マイクのゲインをコントロールする。例えば発話者が音声会議装置から離れ、入力される音量が小さい場合はマイクのゲインを上げ、適正な音量で音声を収音する。
【非特許文献1】NECエンジニアリング株式会社、プレスリリース、[online]、平成16年12月、[平成17年12月8日検索]、インターネット〈URL:http://www.nec-eng.co.jp/press/041209press.html〉
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1の音声会議装置においては、マイクの収音面は天井方向に固定されており、設置位置を変更すると収音性が低下するという問題が有った。例えば装置を床に置いて使用する場合は、マイクの収音面が天井方向であれば、収音面が発話者の口元に向くこととなるが、会議机の中央に置いて使用する場合、収音面が発話者の口元と異なる方向に向く。会議机等に置く場合、発話者の口元の位置と音声会議装置の設置位置とは略同じ高さであるから、収音面は前面方向であることが理想的である。
【0005】
また、上記のように収音性が低下した場合に、非特許文献1の音声会議装置はマイクのゲインを上げて発話者の音声を適正な音量で収音するが、この場合、ノイズ音量等も上昇し、S/N比が著しく低下すると考えられる。
【0006】
上記のように、非特許文献1の音声会議装置は、使用する状況に応じてマイク収音面を変更できるものではなく、マイクのゲイン、スピーカのボリューム等の理想的なセッティングができるものではなかった。
【0007】
この発明は、使用する状況に応じて、マイク収音面、およびスピーカ放音面を変更することができ、汎用性の高い放収音装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の放収音装置は、対向する2つの脚取付面、およびこれら脚取付面をつなぐ周面からなる中央筐体と、前記周面に、互いに指向方向が所定の角度をなすように外向きに設けられたスピーカおよびマイクと、前記脚取付面に取り付けられ、その周に複数の接地面を備えた前記筐体よりも大径の脚部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
この発明において、マイクとスピーカは、柱形状の中央筐体部に内蔵される。マイク収音面に対し、スピーカ放音面は垂直方向となる。この中央筐体部の両端は、中央筐体部よりも大径で複数の接地面を有した脚部に接合される。この接地面を変更することで、マイクの収音面とスピーカの放音面を変更することができる。
【0010】
この発明は、さらに、前記中央筐体部は、前記脚取付面を底面とする正四角柱であり、前記脚部は、前記中央筐体部に取り付けられる面を底面とする正八角形短柱であり、前記中央筐体部は、前記脚部と中心軸を共有し、前記中央筐体部の各周面は、前記脚部の周面のうち、4つの周面とそれぞれ平行であることを特徴とする。
【0011】
この発明において、正四角柱形状の中央筐体部の両端は、正八角柱形状の脚部の底面に接合される。これらの中心軸は共通であり、中央筐体部の各周面は、脚部の4つの周面とそれぞれ平行である。したがって、脚部の8つの周面のいずれを接地面としても安定して机上などに設置することができ、容易にマイクの収音面とスピーカの放音面の方向を変更することができる。
【0012】
この発明は、さらに、前記中央筐体部は、重力方向を検出し、この検出した重力方向から前記スピーカと前記マイクの指向方向を判定する姿勢検出手段と、前記姿勢検出手段が判定した前記スピーカ、および前記マイクの指向方向に基づいて、前記スピーカ、および前記マイクのゲインを設定するゲインコントローラと、を内蔵することを特徴とする。
【0013】
この発明において、中央筐体部には姿勢検出手段として例えば重力センサが内蔵されており、この姿勢検出手段は、重力センサの検出する重力方向を読み取って、マイクの収音面とスピーカの放音面がどの方向に向いているかを判断することができる。ゲインコントローラは、マイクの収音面とスピーカの放音面に基づいてこれらのゲインを設定する。例えばスピーカが下方向、マイクが正面方向に向いている場合は、スピーカとマイクの音響結合が強いため、スピーカのゲイン(ボリューム)を相対的に小さくする。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、使用する状況に応じて、マイク収音面、およびスピーカ放音面を変更することができ、汎用性の高い放収音装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図面を参照して、本発明の実施形態に係る放収音装置について説明する。図1はこの実施形態に係る放収音装置の斜視図であり、図2(A)は上面図、図2(B)は正面図である。図2(A)において、紙面右側をX方向、左側を−X方向、上側をY方向、下側を−Y方向とする。また、図2(B)において、紙面右側をX方向、左側を−X方向、上側をZ方向、下側を−Z方向とする。さらに、図3は、X方向から見た側面の透過図であり、同図において紙面右側をY方向、左側を−Y方向、上側をZ方向、下側を−Z方向とする。
【0016】
この放収音装置1は、複数のマイク11、複数のスピーカ12、および基板16を、X−X方向の正四角柱形状の中央筐体部13の内部に有する。中央筐体部13は、X方向、および−X方向の両端面にそれぞれ正八角形短柱形状の脚部14が接合されている。中央筐体部13の中心軸と2つの脚部14の中心軸は共通である。
【0017】
中央筐体部13は、中空構造の剛体であり、その中空部分に基板16を内蔵している。また、中央筐体部13は、Z方向の面(上面)、および−Y方向の面(正面)方向の周面にそれぞれ複数の円形孔を(X,−X方向の)直線状に有する。中央筐体部13のZ方向の面の円形孔にマイク11を篏合させてマイク11の収音面を露出させる。複数のマイク11は、中央筐体部13の上面方向の周面に直線状に配列される。
【0018】
また、中央筐体部13の−Y方向の面の円形孔にスピーカ12を勘合させてスピーカ12の収音面を露出させる。複数のスピーカ12は、中央筐体部13の正面方向の周面に直線状に配列される。
【0019】
八角柱形状の脚部14は、図1〜図3に示す状態において−Z方向の面(八角柱周面)が接地面となる。ここで、図3に示すように、側面側(X方向または−X方向)から見たこの放収音装置1の重心位置15は、上記中心軸と重なる。つまり、この放収音装置1は、マイク11、スピーカ12、および基板16の重量配分を調整することにより(場合によってはカウンタウェイト等を設置することにより)、重心位置15を中心軸と一致するように調整されている。
【0020】
図3に示す状態においては、マイク11が上面方向、スピーカ12が正面方向に向けられているが、脚部14の接地面を変更することでマイク11、およびスピーカ12の向きを変更することができる。脚部14は、正八角形のホイール状であるため、8つの接地面を有する。上述のように、この放収音装置1は、重心位置15が(X方向、または−X方向)側面から見た中心軸と一致するため、8つの周面のどの面を鉛直下向きにしたとしても、机上などの平面に安定して設置することができる。この8つの周面のいずれかを鉛直下向き(−Z方向)にすることで現接地面を変更する。
【0021】
図4に脚部14の接地面を変更した場合のマイク11、スピーカ12の向きを示す。同図(A)はマイク11を正面方向(−Y方向)、スピーカ12を下方向(−Z方向)に向けた状態である。同図(B)は、マイク11を正面側斜め上方向、スピーカ12を正面側斜め下方向に向けた状態である。同図(C)は、マイク11を上方向、スピーカ12を正面方向に向けた状態である。同図(D)は、マイク11を背面側斜め上方向、スピーカ12を正面側斜め上方向に向けた状態である。同図(E)は、マイク11を背面方向、スピーカ12を上方向に向けた状態である。同図(F)は、マイク11を背面側斜め下方向、スピーカ12を背面側斜め上方向に向けた状態である。同図(G)は、マイク11を下方向、スピーカ12を背面方向に向けた状態である。同図(H)は、マイク11を前面斜め下方向、スピーカ12を背面斜め下方向に向けた状態である。
【0022】
上記の様に、この放収音装置1は、8つの周面をそれぞれ鉛直下向きにすることでマイク11の収音面とスピーカ12の放音面の方向を8種類に変更することができる。したがって、使用する状況に応じて、マイク収音面の方向、およびスピーカ放音面の方向を変更することができ、例えば会議机に設置する場合は発話者の口元の位置と音声会議装置1の設置位置とは略同じ高さであるから、マイク11を正面方向に向ける図4(A)の状態にすればよい。また、床に設置する等、発話者の口元の位置に比べて音声会議装置1の設置位置が非常に低い場合は、マイク11を上面方向に向ける同図(C)の状態にすればよい。
【0023】
ここで、マイク11の収音面とスピーカ12の放音面の方向を変更すると、マイク11とスピーカ12の音響結合が変化する。下方向である現接地面が接する面は、一般に床や会議机であり、音声を反射するが、正面方向、背面方向、および上方向は空間であるので音声を反射しない。したがって、マイク11とスピーカ12の向きが変わることにより、スピーカ12からマイク11に至る音響伝達系が大きく変化することとなる。
【0024】
マイク11とスピーカ12の音響結合が強くなると、スピーカ12から出力された音声がマイク11に回り込みやすくなり、エコーやハウリング等の雑音が発生する。そこで本発明の放収音装置は、マイク11とスピーカ12の向きに基づいてマイク11のゲイン、およびスピーカ12のボリュームを設定する。マイク11とスピーカ12の音響結合が強い設置状態の場合に、スピーカ12のボリュームを相対的に小さく設定する。
【0025】
図5に放収音装置1のブロック図を示す。放収音装置1は、マイク11、アンプ21、A/Dコンバータ22、マイク信号処理回路23、入出力インタフェース24、スピーカ信号処理回路25、D/Aコンバータ26、アンプ27、スピーカ12、重力センサ28、姿勢検出部29、およびコントローラ30を備えている。アンプ21、A/Dコンバータ22、マイク信号処理回路23、スピーカ信号処理回路25、D/Aコンバータ26、アンプ27、重力センサ28、姿勢検出部29、およびコントローラ30は、上述した基板16に実装されて(または単体で)中央筐体部13に内蔵されている。入出力インタフェース24は、中央筐体部13の周面や端面や脚部14の底面等に設置される。
【0026】
マイク11で収音した音声は、アンプ21で増幅され、A/Dコンバータ22でデジタル信号に変換される。このデジタル信号は、マイク信号処理回路23において音量調整(ゲイン調整)とミキシングがなされる。フロントエンドのアンプ21のゲインは固定であり、マイク信号処理回路23のゲイン調整量はコントローラ30によって設定される。ゲイン調整された後のデジタル信号は入出力インタフェース24に入力され、インターネットなどで相互に接続された他の放収音装置などに送信される。なお、マイク信号処理回路23は、各マイク11の収音した音声を個別に入力し、各マイクに応じたディレイを付与しミキシングすることで収音方向をコントロールすることも可能である。中央筐体部13の端部に設置されたマイク11の収音信号から他端に設置されたマイク11の収音信号に対して順に異なるディレイを付与することで、各マイク11の収音信号の位相が変化し、これらを加算すると特定の方向に強い感度(指向性)を有することとなる。
【0027】
入出力インタフェース24は、LAN端子、アナログオーディオ端子、デジタルオーディオ端子などを有しており、これらの端子に接続される装置に上記信号を送信する。LAN端子に出力する場合は、ネットワークを介して接続される遠隔地の装置等に音声情報として送信する。また、入出力インタフェース24は、他の装置から受信した音声情報(受信信号)をスピーカ信号処理回路25に出力する。
【0028】
入出力インタフェース24から出力された受信信号は、スピーカ信号処理回路25において音量調整(ボリューム調整)がなされる。ボリューム調整された後の受信信号は、D/Aコンバータ26でアナログ音声信号に変換され、アンプ27で増幅される。パワーアンプであるアンプ27のゲインは固定であり、スピーカ信号処理回路25のボリューム調整量はコントローラ30によって設定される。アンプ27で増幅された音声信号はスピーカ12に入力され、音声として放音される。なお、スピーカ信号処理回路25においても、各スピーカ12に出力する音声信号に異なるディレイを付与することで放音方向をコントロールすることも可能である。中央筐体部13の端部に設置されたスピーカ12から他端に設置されたスピーカ12に対して順に異なるディレイを付与した音声信号を入力することで、各スピーカ12の放音音声の位相が変化し、これらが合成されることによって特定の方向にのみ音量(指向性)を有することとなる。
【0029】
なお、この装置を複数台(たとえば2台)電話回線等で相互接続して、通信に用いた場合、マイク11で収音した音声は、電話回線等のエコーバックにより、自装置のスピーカ12からも放音される。
【0030】
また、マイク11で収音した音声をスピーカ12にから出力するためのエコーバック経路を装置内部に設けて、マイク11で収音した音声を単独で確認できるようにしてもよい。
【0031】
さらに、この装置を単独で用い、前記エコーバック経路を利用して、マイク11で収音した音声を拡声してスピーカ12から放音する拡声器として使用することもできる。
【0032】
なお、上記エコーバック経路は、入出力インタフェース24の内部にもうければよい。また、入出力インタフェース24の音声出力端子と音声入力端子をケーブルで接続してエコーバック経路としてもよい。
【0033】
コントローラ30は、姿勢検出部29の検出結果に基づいてマイク信号処理回路23のゲイン調整量、およびスピーカ信号処理回路24のボリューム調整量を設定する。姿勢検出部29は、重力センサ28の検出値によってマイク11の収音面、およびスピーカ12の放音面の方向を判断する。重力センサ28は、重力方向を検出するものであり、例えば2つの加速度センサを内蔵する。2つの加速度センサを直交するように配置することで水平面に対する傾きを検出することができ、重力方向を検出することができる。姿勢検出部29は、この重力方向が中央筐体部13においてどの方向に向いているかを判断することによりマイク11の収音面、スピーカ12の放音面の方向を検出する。姿勢検出部29は、例えば重力方向がスピーカ12の放音面の方向と同じである場合、スピーカ12の放音面は下向き、マイク11の収音面は正面(または背面)であると判断する。
【0034】
図6に、マイク11の収音面、スピーカ12の放音面の方向とゲイン設定との関係を示す。同図に示す表の最左欄は、図4に示した放収音装置1の8種類の設置状態を表す。その隣欄であるマイク欄はマイク11の収音面の方向を表し、スピーカ欄はスピーカ12の放音面の方向を表す。同図の表に示すように、コントローラ30は、マイク11の収音面、スピーカ12の放音面の方向に基づいてマイク11のゲイン、スピーカ12のボリュームのリミットを設定する。それぞれの状態について具体的に説明する。
【0035】
図6の表の(A)に示した状態においては、マイク11は正面方向、スピーカ12は下面方向を向いている。上述したように、放収音装置を会議机の上に設置する場合、マイク11を正面方向に向ける。この場合、スピーカ12から放音された音声は机上に反射してマイク12に収音されやすくなる。したがってこの状態では音響結合が強い状態となる。そこで、コントローラ30は、同図に示すように、固定マイクゲインに対して相対的にスピーカボリュームのリミットを小さく設定する。これによりエコー、ハウリング等の発生を抑制する。
【0036】
同図(B)に示した状態においては、マイク11は正面斜め上方向、スピーカ12は正面斜め下方向を向いている。マイク11は斜め上を向くため、会議机よりも机上位置の低いコーヒーテーブル等に放収音装置を設置することが想定される。この場合、スピーカ12は斜め下を向くため、上記(A)よりもスピーカ12から出力された音声が机上に反射する音量が小さい。したがって、コントローラ30は、スピーカボリュームのリミットを最大と最小の中間程度に設定する。
【0037】
同図(C)に示した状態においては、マイク11は上面方向、スピーカ12は正面方向を向いている。上述したように、放収音装置を床面に設置する場合、マイク11を上面方向に向ける。この場合、スピーカ12から放音された音声の反射音量は、上記(B)の状態よりもさらに小さくなる。したがって、コントローラ30は、スピーカボリュームのリミットを大きく設定する。
【0038】
同図(D)に示した状態においては、マイク11は背面斜め上方向、スピーカ12は正面斜め上方向となり、いずれも机上面や床面とは反対方向を向く。マイク11、スピーカ12のいずれも反射面のない斜め上方向を向くので、上記(A)〜(B)に比較して収音性、放音性ともに向上し、放収音装置を拡声器として用いることが想定される。この場合、スピーカ12から放音された音声のうちマイク11に回り込む成分が極めて小さくなるため、コントローラ30は、スピーカボリュームのリミットを最大に設定する。
【0039】
同図(E)に示した状態においては、マイク11は背面方向、スピーカ12は上面方向を向いている。この状態においてもマイク11は横方向(背面方向)を向くため、会議机の上に設置することが想定される。スピーカ12は上方向を向いており、出力された音声のうちマイク11に回り込む成分は小さくなるが、上記(D)の状態に比べてマイク11が机上面に近いため、コントローラ30は上記(D)よりもスピーカボリュームのリミットを小さく設定する。
【0040】
同図(F)に示した状態においては、マイク11は背面斜め下方向、スピーカ12は背面斜め上方向を向いている。この場合、マイク11は机上面の方向を向くため、音源(話者)の方向を向かないため、収音性が低下する。したがって、コントローラ30は、マイク11のゲインをOFF(ゼロ)に設定し、放収音装置をスピーカ(放音装置)としてのみ用いるようにする。
【0041】
同図(G)に示した状態においては、マイク11は下面方向、スピーカ12は背面方向を向いている。この場合もマイク11は机上面の方向を向くため、音源(話者)の方向を向かないため、収音性が低下する。よって、上記(F)と同様に、コントローラ30は、マイク11のゲインをOFF(ゼロ)に設定し、放収音装置をスピーカ(放音装置)としてのみ用いるようにする。
【0042】
同図(H)に示した状態においては、マイク11、スピーカ12のいずれも斜め下方向を向く。したがってこの場合もマイク11が音源(話者)の方向を向かないため、の収音性が低下する。コントローラ30は、マイク11のゲインをOFF(ゼロ)に設定し、放収音装置をスピーカ(放音装置)としてのみ用いるようにする。
【0043】
なお、この放収音装置は床面や机上面に設置する例に限るものではない。例えば天井面につり下げるようにしてもよい。この場合、上面方向が反射面(天井面)となるため、コントローラ30は、図6に示した上記例とは反射面が反対であると判断してマイクゲインとスピーカボリュームの設定を行う。すなわち、図7に示すようなマイク11の収音面、スピーカ12の放音面の方向とゲイン設定との関係となる。同図において、(A)に示した状態は、マイク11の収音面は正面方向となり、スピーカ12の放音面は、下方向、すなわち天井反射面と反対方向となる。したがって、図7(A)に示す状態は、図6(E)に示した設定と同じ状態となる。また、図7(B)に示す状態は、マイク11の収音面が正面斜め上方向、すなわち天井反射面を向き、スピーカ12の放音面が正面斜め下方向を向くので、図6(F)に示した設定と同じ状態となる。同様にして、図7(C)に示す状態は、図6(G)に示した設定と同じ状態となり、図7(D)に示す状態は、図6(H)に示した設定と同じ状態となり、図7(E)に示す状態は、図6(A)に示した設定と同じ状態となる。また、図7(F)に示す状態は、図6(B)に示した設定と同じ状態となり、図7(G)に示す状態は、図6(C)に示した設定と同じ状態となり、図7(H)に示す状態は、図6(D)に示した設定と同じ状態となる。
【0044】
なお、床面、机上面に設置する場合のセッティングと天井面からつり下げる場合のセッティングと、を切替えるには、中央筐体部14に設置した切替えスイッチによりユーザがマニュアルで設定するようにすればよい。また、脚部14の8つの周面に圧力センサを設置して、圧力センサが接地を検出した場合に床面、机上面に設置する場合のセッティングを行い、圧力センサが接地を検出しない場合に天井面からつり下げる場合のセッティングを行うようにしてもよい。
【0045】
なお、上記圧力センサを重力センサ28に置き換えて姿勢検出をしてもよい。上記姿勢検出部29は、接地を検出した圧力センサが設置されている面を下方向として判断するようにすればよい。
【0046】
なお、本実施形態においては、脚部14を正八角形短柱形状とする例について説明したが、この例に限るものではない。例えば正四角柱形状であってもよい。また、短円柱形状であっても本実施形態に示したような収音面、放音面の方向に応じてゲイン調整を行うことは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】放収音装置の斜視図
【図2】放収音装置の状面図、および正面図
【図3】放収音装置の側面透過図
【図4】脚部14の接地面とマイク11、スピーカ12の向きとの関係を示す図
【図5】放収音装置のブロック図
【図6】マイク11、スピーカ12の向きとゲイン設定との関係を示す図
【図7】天井面につり下げる場合のマイク11、スピーカ12の向きとゲイン設定との関係を示す図
【符号の説明】
【0048】
1−放収音装置
11−マイク
12−スピーカ
13−中央筐体部
14−脚部
15−重心
16−基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する2つの脚取付面、およびこれら脚取付面をつなぐ周面からなる中央筐体と、
前記周面に、互いに指向方向が所定の角度をなすように外向きに設けられたスピーカおよびマイクと、
前記脚取付面に取り付けられ、その周に複数の接地面を備えた前記筐体よりも大径の脚部と、
を備えた放収音装置。
【請求項2】
前記中央筐体部は、前記脚取付面を底面とする正四角柱であり、
前記脚部は、前記中央筐体部に取り付けられる面を底面とする正八角形短柱であり、
前記中央筐体部は、前記脚部と中心軸を共有し、
前記中央筐体部の各周面は、前記脚部の周面のうち、4つの周面とそれぞれ平行である請求項1に記載の放収音装置。
【請求項3】
前記中央筐体部は、
重力方向を検出し、この検出した重力方向から前記スピーカと前記マイクの指向方向を判定する姿勢検出手段と、
前記姿勢検出手段が判定した前記スピーカ、および前記マイクの指向方向に基づいて、前記スピーカ、および前記マイクのゲインを設定するゲインコントローラと、
を内蔵する請求項1、または請求項2に記載の放収音装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−181098(P2007−181098A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379626(P2005−379626)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】