説明

放射により硬化・現像可能なポリウレタンとそれを含有する放射線により硬化・現像可能なフォトレジスト組成物

【課題】放射線照射により硬化・現像可能なポリウレタン、フォトレジスト組成物の提供。
【解決手段】主鎖にカルボン酸基を有し、かつ、側鎖にアクリロイル基とカルボン酸基を有した特定のポリウレタンであり、かつ、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)は3,000〜400,000範囲にあり、酸価は5〜120mgKOH/gであるポリウレタンポリマ−及び該ポリマ−を主成分とするフォトレジスト組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線照射により硬化・現像可能なポリウレタン(Polyurethane)に関する。又、本発明は前記ポリウレタンを含有する放射線照射により硬化・現像可能なフォトレジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、液晶表示装置の主要部分の一つとして、薄膜トランジスター液晶表示装置(TFT LCD)におけるカラーフィルターが挙げられる。それは液晶表示装置における影像の色彩化の用途に用いられ、その主な用途としては、白色のバックグラウンド光線を赤色(R)、グリーン色(G)、ブルー色(B)などの三原色に転換し、表示装置のフルカラー(full color)化の目的を全うする。
【0003】
今日、このカラーフィルターの図案層の製作は、主にスピンコーティングによりフォトレジスト剤を基材面に均一に塗布し、且つ、先にプレベーキングにより溶剤を除去し、次に、フォトマスクを用い硬化すべく部分を選択的に露光し、その後、アルカリ性現像を行い、加熱して硬化させる工程を経る。このような過程を3回繰り返しRGBの三色を順序よく基板面にエッチングする。
【0004】
現在、カラー液晶表示装置において、主にガラスが基板として用いられているが、割れやすく、厚くて重いという問題が存在する。この問題を解消すべく、フレキシブルの表示装置材料について、すでに多くの研究が行われ、軽くて破損しにくく、持ち運びが便利で、フレキシブルなどの特長を有するものの開発が期待されている。日本の特開平11−271736号公報などにおいて、プラスチック基板を使用することに検討されているが、しかし、プラスチック基板には、高温下で処理できない問題が存在し、日本の特開2000−214468号公報中には、プラスチック基板を用いた低温硬化の可能性が述べられている。
【0005】
上記の技術的背景に鑑み、本発明者らは、輻射による硬化現像可能の樹脂について広く研究を行い、ガラス基板とプラスチック基板に応用され、高温工程(ガラス基板)又は低温工程(プラスチック基板)ともに利用できるカラーフィルター用の輻射による硬化現像可能の組成物を見出し、本発明を完成するに至った。
【特許文献1】特開平11−271736号公報
【特許文献2】特開2000−214468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、放射線により硬化・現像可能なポリウレタンに関する。更に詳しくは、主鎖にカルボン酸基を有し、且つ側鎖にアクリロイル基とカルボン酸基を有する重複単位からなり、かつランダム排列により構成される放射線照射により硬化・現像可能なポリウレタンに関する。
【0007】
本発明に係わる放射線により硬化・現像可能なポリウレタンは、その主鎖にカルボン酸基を有し、かつ、その側鎖にアクリロイル基とカルボン酸基を有し、かつ、下記式に示される重複単位(I)、(II)、(III)によりランダム排列で構成される。
【化6】

【化7】

【化8】

(式中、RはC1−12の直鎖又は岐鎖状のアルキレン基、C3−8環状アルキレン基、フェニレン基、ビフェニリレン基、ナフチレン基、キシリレン基、トルイジニレン基、−Ph−A−Ph−基(式中、AはCH2、−NH−又は−O−を示す)を示し、これらの基は必要により、更にC1−6アルキル基を置換基として有することができる。
は、2價の脂肪族基を示し、それに一つ或いは多くのヒドロキシ基置換基を有することができ、該ヒドロキシ基置換基は場合によりジイソシアネートと反応する;
は、一つ或いは多くのヒドロキシ基置換基を有する直鎖又は岐鎖状のC1−6アルキル基を示し、そのヒドロキシ基置換基は場合によりジイソシアネートと反応する;
Bは、下式により示される置換基を示す:
【化9】

はH又はCHを示し;
Tは、下式により示される群から選ばれた一つ又は多くの置換基を示す。
【化10】

上記ポリウレタンをゲル透過クロマトグラフィ(GPC)により重量平均分子量(以下Mwと略称する)を測定した結果は3,000〜400,000範囲内にあり、かつ、酸價は5〜120mgKOH/gである。
【0008】
本発明の主鎖にカルボン酸基を有し、かつ、側鎖にアクリロイル基とカルボン酸基を有し、又、重複単位(I)、(II)と(III)により構成されるポリウレタンの製造方法としては、少なくとも二つのヒドロキシ基を含有するカルボン酸化合物(より好ましくは二つのヒドロキシ基を含有するカルボン酸化合物)とポリオール(より好ましくはジオール)とジイソシアネートとを反応させて、主鎖にカルボン酸官能基を有するポリウレタンを得て、次に、その主鎖にあるカルボン酸官能基と、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル単体を開環反応に付し、その開環反応後に、別な一つのヒドロキシ基官能基を得た後、更にそのヒドロキシ基官能基と酸無水物とを反応することで製造する。その反応過程を下式に示す:
【化11】

式中、Rは、C1−12の直鎖又は岐鎖状のアルキレン基、C3−8環状アルキレン基、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、キシリレン基、トルイジニレン基、−Ph−A−Ph−基(式中、AはCH2−、−NH−又は−O−を示す)を示し、これらの基は必要により、更にC1−6アルキル基を置換基として有することができる;
は、2価の脂肪族基を示し、それに一つ或いは多くのヒドロキシ基置換基を有することができ、該ヒドロキシ基置換基は場合によりジイソシアネート基と反応する;
は、一つ或いは多くのヒドロキシ基置換基を有する直鎖又は岐鎖状のC1−6アルキル基を示し、そのヒドロキシ基置換基は場合により、更にジイソシアネート基と反応する;
は、HまたはCHを示し;
Tは、下式により示される群から選ばれた一つ又は多くの置換基を示す:
【化12】

該ポリウレタンをゲル透過クロマトグラフィ(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)は3,000〜400,000範囲内にあり、より好ましくは6,000〜80,000範囲内を示し、かつ、酸価は5〜120mgKOH/gであり、より好ましくは10〜60mgKOH/gを示す。
【0009】
本発明は、更に、(A)の式(I)、(II)と(III)で示される繰り返しユニットより構成される本発明のポリウレタン、(B)(メタ)アクリル酸モノマーと、(C)光引発剤より構成される輻射により硬化現像されるフォトレジスト組成物をも提供する。
【0010】
本発明のフォトレジスト組成物において、式(I)、(II)と(III)により示される重複単位から構成されるポリウレタン(A)(以下、成分(A)と略称する)と、(メタ)アクリル酸エステル単体(B)(以下、成分(B)と略称する)との重量比(A):(B)は40〜90:10〜60である。成分(A)と成分(B)の合計重量100重量%あたり、光引発剤(C)(以下、成分(C)と略称する)の含有量は1〜50重量%である。
【0011】
本発明の組成物は場合により、更に接着助剤(D)、着色剤(E)、分散剤(F)と溶剤(G)より選ばれる一種又は多種を含有しても良い。これら成分の使用量は、本発明の目的に悪い影響を与えない限り、広い範囲内で変動して使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明において、主鎖にカルボン酸基を有し、かつ、側鎖にアクリロイル基とカルボン酸基を有し、又、重複単位(I)、(II)と(III)により構成されるポリウレタンを製造する際、使用されるジイソシアナートとしては、一つ分子中に二つのイソシアナート官能基を有する化合物が挙げられ、例えば、1,3−ベンゼンジイソシアナートMDI)、1,4−ベンゼンジイソシアナート、4,4’−ビフェニルジイソシアナート、1,5−ナフチルジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、2,4−キシリレンジイソシアナート、2,6−キシリレンジイソシアナート、パラートルイジンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアナート、1,3−キシリレンジイソシアナート、1,4−キシリレンジイソシアナート、1,3−シクロベンタンジイソシアナート、1,4−シクロヘキサンジイソシアナート、1,3−シクロヘキサンジイソシアナート、3−イソシアナートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキセンイソシアナート(イソホロンジイソシアナート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアナート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアナート、トリメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、ペンタメチレンジイソシアナート、1,2−プロピレンジイソシアナート、1,2−ブチレンジイソシアナート、2,3−ブチレンジイソシアナート、1,3−ブチレンジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナートなどが使用される。
【0013】
本発明において、主鎖にカルボン酸基を有し、かつ、側鎖にアクリロイル基とカルボン酸基を有し、かつ、重複単位(I)、(II)と(III)から構成されるポリウレタンの製造する際、使用されるポリオールとしては、平均分子量400〜5,000範囲内のポリオールが用いられ、例えば、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ブチレングリコール)(PTMEG)などのポリエーテルポリオール;例えば、ポリ(アジピン酸エチレングリコールエステル)ジオール、ポリ(セバシン酸ブチレングリコールエステル)ジオール、ポリ(アジピン酸へキシレングリコールエステル)ジオール、ポリ(アジピン酸3−メチル−1,5−ペンチレングリコールエステル)ジオール、ポリ(セバシン酸3−メチル−1,5−ペンチレングリコールエステル)ジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリ(β−メチル−δ−バレロラクトン)ジオールなどのポリエステルポリオール;例えば、ポリ(ヘキサメチレン炭酸エステル)ジオールとポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン炭酸エステル)ジオールなどのポリ炭酸エステル(主体とした)ジオール;ポリエステル−ポリ炭酸エステルポリオール;例えば、ポリエチレンポリオール、ポリプロピレンポリオール、ポリブチレンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリブタジエンポリオールの水素化物、ポリイソペンタジエンポリオールとポリイソペンタジエンポリオールの水素化物などのポリオレフィンポリオールが使用される。
【0014】
本発明において、主鎖にカルボン酸基を有し、かつ、側鎖にアクリロイル基とカルボン酸基を有し、かつ、重複単位(I)、(II)と(III)から構成されるポリウレタンの製造する際、使用される二つ又は多くのヒドロキシ基を有し、且つ、一つのカルボキシ基官能基を含む化合物としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸(DMPA、ランカスター社製品)、CAPA(登録商標)HC1100(側鎖にカルボキシ官能基を有するポリカプロラクトン、ソルベイ社製品)、2−エチレングリコール−2−メチル−2−ヒドロキシ酢酸などが挙げられる。
【0015】
本発明において、主鎖にカルボン酸基を有し、かつ、側鎖にアクリロイル基とカルボン酸基を有し、かつ、重複単位(I)、(II)と(III)から構成されるポリウレタンの製造する際、使用されるエポキシ基を有するアクリロイルモノマーとしては、例えば、メタアクリル酸グリシジルエステル(GMA、ダウ(株)製品)が挙げられる。
【0016】
本発明において、主鎖にカルボン酸基を有し、かつ、側鎖にアクリロイル基とカルボン酸基を有し、かつ、重複単位(I)、(II)と(III)から構成されるポリウレタンの製造中、使用される酸無水物の例としては、トリメリット酸無水物(Trimellitic anhydride,以下TMAと略称する。米国アルドリッチ社製品)、テトラヒドロフタル酸無水物(Tetrahydrophthalic anhydride, 以下THPAと略称する。米国アルドリッチ社製品)、琥珀酸無水物とジヒドロフタル酸無水物などが挙げられる。
【0017】
本発明の主鎖にカルボキシ基を有し、且つ、側鎖にアクリロイル基とカルボン酸基を有し、且つ、繰り返しユニット(I)、(II)と(III)から構成されるポリウレタンは、その分子量がより高く、又多くの水素結合を形成し易いウレタン基を有し、又、輻射により硬化すると共に架橋するアクリル酸基を有するため、硬化後の生成物の物性、接着性と耐熱性を高めることができる。
【0018】
本発明に係わる放射線照射により硬化・現像可能なフォトレジスト組成物としては、上記により定義される主鎖にカルボン酸基を有し、かつ、側鎖にアクリロイル基とカルボン酸基を有し、かつ、重複単位(I)、(II)と(III)から構成されるポリウレタン(A)、(メタ)アクリル酸エステル単体(B)と光引発剤(C)を含有する。
【0019】
本発明の組成物において用いられる(メタ)アクリル酸単体(B)としては、例えば、単アクリル酸官能基単体、二アクリル酸官能基単体、三アクリル酸官能基単体又は多アクリル酸官能基単体が挙げられる。該単アクリル酸官能基単体としては、例えば、アクリル酸2−フェノキシエチルエステル、アクリル酸テトヒドロフラニルエステル、アクリル酸イソボルニルエステル、メタアクリル酸イソボルニルエステル、アクリル酸2−(2−エトキシエトキシ)エチルエステル、アクリル酸イソデシルエステル、アクリル酸ラウリルエステルとメタアクリル酸ラウリルエステルが挙げられる。二アクリル酸官能基単体としては、例えば、ジアクリル酸トリプロピレングリコールエステル、ジアクリル酸1,6−ヘキサジオールエステル、ジメタアクリル酸1,6−ヘキサジオールエステル、ジアクリル酸ジプロピレングリコールエステル、ジメタアクリル酸ジエチレングリコールエステル、ジメタアクリル酸エチレングリコールエステル、ジアクリル酸トリエチレングリコールエステル、ジメタアクリル酸トリエチレングリコールエステル、ジアクリル酸テトラエチレングリコールエステル、ジメタアクリル酸テトラエチレングリコールエステルが挙げられる。三アクリル酸官能基或いは多アクリル酸官能基単体としては、例えば、トリアクリル酸トリメチロールプロピルエステル、トリメタアクリル酸トリメチロールプロピルエステル、テトラアクリル酸ジ(トリメチロールプロピルエステル)、ペンタアクリル酸ジペンタエリトリットエステルとヘキサアクリル酸ジペンタエリトリットエステルなどが挙げられる。これらアクリル酸基単体は、単独又は2種以上混合して使用しても良い。これら成分(B)の使用量としては、ポリウレタン(A)と(B)(メタ)アクリル酸モノマーとの重量比((A):(B))は40〜90:10:60である。
【0020】
本発明の組成物に使用される光引発剤(C)は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線とX線などの放射線照射により、その分子構造に裂解が起こり、例えば、フリーラジカル、カチオン又はアニオンなどの活性サイトを形成し、主鎖にカルボキシ基を有し、且つ、側鎖にアクリロイル基を有するポリウレタン(A)と(メタ)アクリル酸単体(B)との間に重合反応を行えるものである。
【0021】
該光引発剤(C)の具体例としては、例えば、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2−シアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェニル)−1,2’−イミダゾール、2,2’−ビス(2−シアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2−シアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2−エチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェニル)−1、2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2−エチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2−エチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2−フェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2−フェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2−フェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ジイミダゾール,2,2’−ビス(2−シアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジシアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリシアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラメチル−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2−エチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジエチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリエチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2−フェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジフェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリフェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ジイミダゾールなどとその誘導体などのイミダゾール類が挙げられる。その中、好ましくは2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2−ジイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ジイミダゾールと2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ジイミダゾールが挙げられる。
【0022】
又、該光引発剤(C)の具体例としては、例えば、ベンゾイン類フォトイニシューター、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、メチル−2−ベンゾイル安息香酸エステルなどとその誘導体が挙げられる。
【0023】
又、該光引発剤(C)の具体例としては、例えば、アセトフェノン類構造を有するもの、例えば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパ−1−ノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパ−1−ノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,2−ジメトキシアセトフェノン−、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−(4−メルカプトフェニル)−2−モルホリニル−1−プロパ−1−ノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリニルフェニル)ブタ−1−ノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2’−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタ−1−ノン、4−アジドアセトフェノン、4−アジドベンジリデンアセトフェノンなどとその誘導体などが挙げられる。
【0024】
又、該光引発剤(C)の具体例としては、例えば、ベンゾフェノン類、例えば、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどとその誘導体が挙げられる。
【0025】
又、該光引発剤(C)の具体例としては、例えば、α−ジケトン構造を有するフォトイニシェーター、例えば、ジアセチルギ酸エステル、ジベンゾイルギ酸エステル、メチルベンゾイルギ酸エステルなどとその誘導体が挙げられる。ポリキノン構造を有するフォトイニシェーターとしては、例えば、アントラキノン、2−エチルアントキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1,4−ナフタキノンなどとその誘導体が挙げられる。キサントン類(Xanthone)構造を有するフォトイニシェーターとしては、例えば、キサントン、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなどとその誘導体が挙げられる。ジアオ構造を有するフォトイニシェーターとしては、例えば、4−ジアゾジフェニルアミン、4−ジアゾ−4’−メトキシジフェニルアミン、4−アジド−3−メトキシジフェニルアミンなどとその誘導体が挙げられる。又、トリアジン構造を有するフォトイニシェーターとしては、例えば、2−(2’−フラニルエチリデン)−4,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3’,4’−ジメトキシスチレン)−4,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−メトキシナフチル)−4,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’−ブロモ−4’−メチルフェニル)−4,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’−チェニールエチリデン)−4,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどとその誘導体が挙げられる。
【0026】
上記に挙げた光引発剤の外、例えば、4−ジアゾベンズアルデヒド、アジドピレン、ジ(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスホオキシド、N−フェニルチオアクリドン、トリフェニルピレニウム過塩素酸塩などとその誘導体が挙げられる。
【0027】
これら光引発剤は、単独又は2種以上混合して使用することができる。これら成分(C)の使用量としてが、成分(A)と(B)の総重量当り約1〜50重量%である。
【0028】
本発明の組成物中において使用される接着助剤(D)としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニル官能基シラン類;例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシ官能基を有するシラン類;例えば、3−メタアクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタアクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタアクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどのメタアクリロイルオキシ基を有するシラン類;例えば、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリロイルオキシ基を有するシラン類;例えば、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシラニル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルフェンメチル)−2−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩などのアミン官能基を有するシラン類;例えば、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのウレイド官能基を有するシラン類;例えば、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのクロロプロピル官能基を有するシラン類;例えば、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト官能基を有するシラン類;例えば、ジ(トリエトキシシランプロピル)テトラスルフォエーテルなどのスルフォエーテル官能基を有するシラン類;例えば、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート官能基を有するシラン類などが挙げられる。これら接着助剤(D)の使用量としてが、成分(A)と(B)の総重量当り約0.1〜5重量%である。
【0029】
本発明の組成物中において使用される着色剤(E)としては、例えば、C.I.黄色顔料83、C.I.黄色顔料110、C.I.黄色顔料138、C.I.黄色顔料150とC.I.黄色顔料155;C.I.オレンジ色顔料71、C.I.紫色顔料19とC.I.紫色顔料23;C.I.赤色顔料48:1、C.I.赤色顔料48:2、C.I.赤色顔料48:3、C.I.赤色顔料48:4、C.I.赤色顔料122、C.I.赤色顔料177、C.I.赤色顔料202、C.I.赤色顔料206、C.I.赤色顔料207、C.I.赤色顔料209、C.I.赤色顔料224とC.I.赤色顔料254;C.I.青色顔料15:3、C.I.青色顔料15:4とC.I.青色顔料15:6;C.I.緑色顔料7とC.I.緑色顔料36;C.I.褐色顔料23とC.I.褐色顔料25;C.I.黒色顔料1とC.I.黒色顔料7などの耐熱性を有する有機顔料が上げられる(上述中、C.I.は The Society of Dyers and Colourists Co.により制定公開されたものである)。これらの着色剤は単独又は2種以上組み合わせて使用されても良く、その着色剤(E)の使用量が、成分(A)と(B)の総重量当り、約70〜600重量%が使用される。
【0030】
本発明の組成物中において使用される分散剤(F)としては、Avecia社製造のS32000が挙げられ、これはカチオン型ポリ(アルキルイミン)と遊離酸基を有するヒドロキシステアリン酸塩とを反応して合成された酸アミドである。添加した後、更に研磨することにより着色剤の安定した分散を促進する。これらの使用量が、成分(A)と(B)の総重量当り、約3〜15重量%が使用される。
【0031】
本発明の組成物中において使用される溶剤(G)は、液状を保ち、且つ組成物の粘性を噴射する際に至当な粘度に調整するために用いられる。そのため、用いられる溶剤は、上記組成物に含まれる成分を溶解又は分散し、且つ反応に参与せず、又適当な揮発性を有するものであれば良い。
【0032】
これらの溶剤(G)としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルとトリプロピレングリコールモノエチルエーテルなどの(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどの(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;その他、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルとテトラヒドロフランなどのエーテル類;例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノンと3−ヘプタノンなどのケトン類;例えば、2−ヒドロキシプロピオン酸メチルエステルと2−ヒドロキシプロピオン酸エチルエステルなどの乳酸アルキルエステル類;例えば、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチルエステル、3−メトキシプロピオン酸メチルエステル、3−メトキシプロピオン酸エチルエステル、3−エトキシプロピオン酸メチルエステル、3−エトキシプロピオン酸エチルエステル、エトキシ酢酸エチルエステル、ヒドロキシ酢酸エチルエステル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチルエステル、酢酸3−メチル−3−メトキシフチルエステル、プロピオン酸3−メチル−3−メトキシブチルエステル、酢酸エチルエステル、酢酸n−ブチルエステル、酢酸イソブチルエステル、ギ酸イソバレリルエステル、酢酸イソバレリルエステル、プロピオン酸n−ブチルエステル、酪酸イソプロピルエステル、酪酸エチルエステル、酪酸n−ブチルエステル、アセトン酸メチルエステル、アセトン酸エチルエステル、アセトン酸n−プロピルエステル、アセチル酢酸メチルエステル、アセチル酢酸エチルエステルと2−オキソ酪酸エチルエステルなどのエステル類;例えば、トルエンとキシレンなどの芳香族炭化水素類;例えば、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミドとN,N−ジメチルアセトアミドなどの酸アミド類などが使用される。
【0033】
前記の溶剤は単独で用いてもよく、又二種以上組合せて使用しても良い。溶剤(G)の添加量は特に制限はなく、必要とする粘性が得られ場良く、通常成分(A)と(B)の総重量当り、約200〜2500重量%が好ましい。ここで、溶剤(G)の量では、その他に添えられた溶剤と成分(A)および着色剤(E)の中に本来含まれている溶剤の量の合計である。
【0034】
下記実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0035】
下記実施例において、使用されるジフェニルメタン ジイソシアネート(Diphenylmethane Diisocyanate,以下MDIと略称する)はBASF社より購入したものであり;ポリプロピレングリコール(Polypropylene Glycol,PPGと略称する)PPG−1000は、穏好高分子化学工業社より購入したものであり、分子量は1000g/molであり;ポリカプロラクトンジオール(Polycaprolactone Diol,PCL diolと略称する)CAPA(登録商標)2101AはSolvay社の製品であり、分子量は約1000g/molであり、ヒドロキシ價は110mg KOH/gであり;ポリカルボネートジオール(Polycarbonate diol,PC diolと略称する)PC−diol−1000は、日本旭化成(株)の製品であり、分子量は約1000g/molであり、ヒドロキシ價は100〜120mg
KOH/gであり;ポリテトラメチルン−エーテル−グリコール、PTMEGと略称する)PTMEG−1000はBASF社の製品であり、分子量は約1000g/molであり、ヒドロキシ價は107〜118mg KOH/gであり;二つのヒドロキシ基を有するカルボン酸化合物であるジメチロールプロピオン酸(Dimethylol propionic acid, DMPAと略称する)はLancaster社の製品であり;エポキシ基を含む(メタ)アクリル酸エステル単体であるメタアクリル酸グリシドール(GMAと略称する)はダウケミカル株式会社の製品であり、分子量は142g/molであり;酸無水物であるテトラヒドロフタル酸無水物(THPAと略称する)はアルドリッチ株式会社より購入されたものであり;他の酸無水物のトリメリット酸無水物(Trimellitiic anhydride, TMAと略称する)はアルドリッチ株式会社より購入されたものであり;又、溶剤として用いるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMAと略称する)は、ダウケミカル株式会社の製品であり;溶剤のN−メチルピロリドン(N−methyl−2−phrrolidone,NMPと略称する)はBASF株式会社の製品である。
【実施例1】
【0036】
MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)31.9gと、PMA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)80gとを500mlの四つロ分離式反応フラスコに入れ、60℃に升温し、撹拌機を用いてMDIが完全に溶解するまで撹拌を続ける。次に、予めNMP(N−メチルピロリドン)50g中に完全に混合したDMPA(ジメチロールプロピオン酸)16.2gとPPG−1000(分子量:1000)13.6gを滴下し始める。完全に滴下した後、FTIR(フーリエ変換赤外線光度計)を用いてNCO(イソシアン酸エステル官能基)が完全に反応したかを確認する。反応終了後、最後100℃になるまで升温し、GMA(メタアクリル酸グリシドール)8.3gを加え、溶液の酸価が約18mgKOH/gに達するまで温度を保ち、更にTMA(トリメリット酸無水物)6.7gを加え、110℃まで反応温度を升温し、1時間後に合成を終了し、その際の溶液の酸価は約39mgKOH/gであり、得られた本発明の放射線照射により硬化・現像可能なポリウレタン−1は、下記の重複単位のランダム排列から構成され、かつ、GPC(ゲル透過クロマトグラフィ)を用いて測定した重量平均分子量(Mw)は8,700である。
【化13】

【実施例2】
【0037】
500mlの四つロ分離式反応フラスコ中にMDI31.9gとPMA80gを入れ、60℃に升温し、撹拌機を用いてMDIが完全に溶解するまで撹拌を続ける。その後、予めNMP50gに完全に混合したDMPA16.2gとCAPA(登録商標)2101A(分子量:1000)13.6gを滴下し始め、滴下終了後、FTIRによりNCOが完全に反応したかを確認する。反応終了後、最後100℃になるまで升温してGMA8.3gを加え、溶液の酸価が約18mgKOH/gになるまで温度を保ち、更に、TMA6.7gを加え、反応温度を110℃に升温し、1時間後に合成を完了する。その際の溶液の酸価は約39mgKOH/gである。これにより本発明の放射線照射により硬化・現像可能なポリウレタン−2を得る。GPC(ゲル透過クロマトグラフィ)を用いて測定したMwの結果は23,000である。
【実施例3】
【0038】
500mlの四つロ分離式反応フラスコ中にMDI31.9gとPMA80gを入れ、60℃に升温し、撹拌機を用いてMDIが完全に溶解するまで撹拌を続ける。その後、予めNMP50gに完全に混合したDMPA16.2gとPC-diol(分子量:1000)13.6gを滴下し始め、滴下終了後、FTIRによりNCOが完全に反応したかを確認する。反応終了後、最後100℃になるまで升温してGMA8.3gを加え、溶液の酸価が約18mgKOH/gになるまで温度を保ち、更に、TMA6.7gを加え、反応温度を110℃に升温し、1時間後に合成を完了する。その際の溶液の酸価は約39mgKOH/gである。これにより本発明の放射線照射により硬化・現像可能なポリウレタン−3を得る。GPC(ゲル透過クロマトグラフィ)を用いて測定したMwの結果は45,000である。
【実施例4】
【0039】
500mlの四つロ分離式反応フラスコ中にMDI31.9gとPMA80gを入れ、60℃に升温し、撹拌機を用いてMDIが完全に溶解するまで撹拌を続ける。その後、予めNMP50gに完全に混合したDMPA16.2gとPTMEG(分子量:1000)13.6gを滴下し始め、滴下終了後、FTIRによりNCOが完全に反応したかを確認する。反応終了後、最後100℃になるまで升温してGMA8.3gを加え、溶液の酸価が約18mgKOH/gになるまで温度を保ち、更に、TMA6.7gを加え、反応温度を110℃に升温し、1時間後に合成を完了する。その際の溶液の酸価は約39mgKOH/gである。これにより本発明の放射線照射により硬化・現像可能なポリウレタン−4を得る。GPC(ゲル透過クロマトグラフィ)を用いて測定したMwの結果は68,000である。
【実施例5】
【0040】
500mlの四つロ分離式反応フラスコ中にMDI31.9gとPMA80gを入れ、60℃に升温し、撹拌機を用いてMDIが完全に溶解するまで撹拌を続ける。その後、予めNMP50gに完全に混合したDMPA16.2gとPPG−1000(分子量:1000)13.6gを滴下し始め、滴下終了後、FTIRによりNCOが完全に反応したかを確認する。反応終了後、最後100℃になるまで升温してGMA8.3gを加え、溶液の酸価が約18mgKOH/gになるまで温度を保ち、更に、THPA5.3gを加え、反応温度を110℃に升温し、1時間後に合成を完了する。その際の溶液の酸価は約29mgKOH/gであり、得られた本発明の放射線照射により硬化・現像可能なポリウレタン−1は、下記の重複単位のランダム排列から構成され、かつ、GPC(ゲル透過クロマトグラフィ)を用いて測定した重量平均分子量(Mw)は11,000である。
【化14】

【実施例6】
【0041】
500mlの四つロ分離式反応フラスコ中にMDI31.9gとPMA80gを入れ、60℃に升温し、撹拌機を用いてMDIが完全に溶解するまで撹拌を続ける。その後、予めNMP50gに完全に混合したDMPA16.2gとCAPA(登録商標)2101A(分子量:1000)13.6gを滴下し始め、滴下終了後、FTIRによりNCOが完全に反応したかを確認する。反応終了後、最後100℃になるまで升温してGMA8.3gを加え、溶液の酸価が約18mgKOH/gになるまで温度を保ち、更に、THPA5.3gを加え、反応温度を110℃に升温し、1時間後に合成を完了する。その際の溶液の酸価は約29mgKOH/gである。これにより本発明の放射線照射により硬化・現像可能なポリウレタン−6を得る。GPC(ゲル透過クロマトグラフィ)を用いて測定したMwの結果は28,500である。
【実施例7】
【0042】
500mlの四つロ分離式反応フラスコ中にMDI31.9gとPMA80gを入れ、60℃に升温し、撹拌機を用いてMDIが完全に溶解するまで撹拌を続ける。その後、予めNMP50gに完全に混合したDMPA16.2gとPC-diol(分子量:1000)13.6gを滴下し始め、滴下終了後、FTIRによりNCOが完全に反応したかを確認する。反応終了後、最後100℃になるまで升温してGMA8.3gを加え、溶液の酸価が約18mgKOH/gになるまで温度を保ち、更に、THPA5.3gを加え、反応温度を110℃に升温し、1時間後に合成を完了する。その際の溶液の酸価は約29mgKOH/gである。これにより本発明の放射線照射により硬化・現像可能なポリウレタン−7を得る。GPC(ゲル透過クロマトグラフィ)を用いて測定したMwの結果は43,000である。
【実施例8】
【0043】
500mlの四つロ分離式反応フラスコ中にMDI31.9gとPMA80gを入れ、60℃に升温し、撹拌機を用いてMDIが完全に溶解するまで撹拌を続ける。その後、予めNMP50gに完全に混合したDMPA16.2gとPTMEG(分子量:1000)13.6gを滴下し始め、滴下終了後、FTIRによりNCOが完全に反応したかを確認する。反応終了後、最後100℃になるまで升温してGMA8.3gを加え、溶液の酸価が約18mgKOH/gになるまで温度を保ち、更に、THPA5.3gを加え、反応温度を110℃に升温し、1時間後に合成を完了する。その際の溶液の酸価は約29mgKOH/gである。これにより本発明の放射線照射により硬化・現像可能なポリウレタン−8を得る。GPC(ゲル透過クロマトグラフィ)を用いて測定したMwの結果は59,000である。
(実施例9〜16)
【0044】
上記実施例1〜8において製造したポリウレタン−1〜ポリウレタン−8を下記表1と表2に示す用量と組成(表中に示される用量は成分(A)と成分(B)の合計量100重量%当りで示したものであり、その他の成分の用量は(A)と(B)の総重量100重量%に対する値で示したものである)を十分に混合した後、適当な分散剤を用い研磨機にかけて粒径分布を200nm以下に調整して、フォトレジスト組成物1〜8を得る。
【表1】

【表2】

(試験例)
【0045】
「耐化学品試験、耐熱性試験と耐黄変性試験」
上記により得たフォトレジスト組成物1〜8を1〜3μmの厚さでガラス板上に塗布し、70〜110℃で100〜300秒間プレベークし、50〜200mJ/cmの条件下で露光し、水酸化ナトリウム現像液で20〜150秒間現像した後、更に200〜250℃下で20〜40分間ポストベークし、これらの塗布ガラス板を各種溶剤(80℃の水、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PM)、N−メチルピロリドン(NMP)又はテトラメチルアンモニウヒドロオキシド(TMAH)2.38%)中、5〜20分間含浸させて耐化学薬品を測定、又は各種環境条件下で露出(大気中、170℃、10時間)して耐熱性を測定、又は耐黄変性(△Eab)試験を行い、その結果を表3と表4に示す。
【表3】

【表4】

【0046】
上記試験の結果により、本発明の実施例1〜8において得たポリウレタン1〜8を用いて調製したフォトレジスト組成物1〜8中、フォトレジスト組成物総重量内、該ポリウレタンの占める比率は10重量%に過ぎないが、ポリウレタン1〜8自体の構造中、含有する多くのウレタン基(水素結合を提供する)とアクリル酸官能基は非常に優れた耐熱性、耐化学薬品性と耐黄変性(即ち、△Eab≦3)を提供することができることが判る。この外、システム系全体が単一相を呈しているので、本発明のフォトレジスト組成物は高い互容性を示す。
【0047】
本発明のポリウレタンは、放射線の照射により硬化可能な高い架橋性を有する樹脂である故、該樹脂をフォトレジスト組成物の主成分として用い、ガラス板上に顔料を強く固定し、膜形成後の耐化学薬品性と耐熱性を高めることができる。
【0048】
この外、本発明の放射線照射により硬化可能な高い架橋性を有するポリウレタン樹脂をフォトレジスト液の主成分として用い、更に適切な分散剤と接着助剤を調合し、低温(<150℃)により熟成硬化工程を経た後、先に70〜100℃下で100〜300秒間プレベーキングし、次に50〜200mJ/cm下で露出し、更に水酸化ナトリウム現像液中で20〜150秒間現像した後、再度50〜200mJ/cm下で露出し、最後に150℃下で20〜60分間ポストベークすることで、フォトレジスト組成物を硬化した後、可とう性を有する膜をプラスチック基板(例えば、ポリイミド(PI)、ポリエーテルスルホン(PES)膜、ポリカルボン酸エステル(PC)膜)上に形成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主鎖にカルボン酸基を有し、かつ、その側鎖にアクリロイル基とカルボン酸基を有し、かつ、下記式に示される重複単位(I)、(II)と(III)によりランダム排列で構成されることを特徴とする放射線照射により硬化・現像可能なポリウレタン、
【化1】

【化2】

【化3】

式中、Rは、C1−12の直鎖又は岐鎖状のアルキレン基、C3−8環状アルキレン基、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、キシリレン基、トルイジニレン基、−Ph−A−Ph−基(式中、AはCH−、−NH−又は−O−を示す)を示し、これらの基は必要により、更にC1−6アルキル基を置換基として有することができる;
は、2価の脂肪族基を示し、それに一つ或いは多くのヒドロキシ基置換基を有することができ、該ヒドロキシ基置換基は場合によりジイソシアネート基と反応する;
は、一つ或いは多くのヒドロキシ基置換基を有する直鎖又は岐鎖状のC1−6アルキル基を示し、そのヒドロキシ基置換基は場合により、更にジイソシアネート基と反応する;
Bは、下式により示される置換基を示す:
【化4】

は、HまたはCHを示し;
Tは、下式により示される群から選ばれた一つ又は多くの置換基を示す:
【化5】

該ポリウレタンをゲル透過クロマトグラフィ(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)は3,000〜400,000範囲内にあり、かつ、酸価は5〜120mgKOH/gである。
【請求項2】
その重量平均分子量が6,000〜80,000範囲内である請求項1に記載のポリウレタン。
【請求項3】
その酸価が10〜60mgKOH/gである請求項1に記載のポリウレタン。
【請求項4】
有効成分として(A)請求項1〜3のいずれかの項に記載のポリウレタン、(B)(メタ)アクリル酸エステル単体と(C)光引発剤を含有し、ポリウレタン(A)と(メタ)アクリル酸エステル単体(B)との重量比(A):(B)が40〜90:10〜60であり、かつ、成分(A)と(B)の総重量%100重量%当り、(C)光引発剤の使用量が1〜50重量%であることを特徴とする放射線照射により硬化・現像可能なフォトレジスト組成物。
【請求項5】
更に接着助剤(D)を含有し、成分(A)と(B)の総重量100重量%当り、該接着助剤(D)の使用量が0.1〜5重量%である請求項4に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項6】
更に着色剤(E)を含有し、成分(A)と(B)の総重量100重量%当り、該着色剤(E)の使用量が70〜600重量%である請求項4に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項7】
更に分散剤(F)を含有し、成分(A)と(B)の総重量100重量%当り、該分散剤(F)の使用量が3〜15重量%である請求項4に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項8】
更に溶剤(G)を含有し、成分(A)と(B)の総重量100重量%当り、該溶剤(G)の使用量が200〜2500重量%である請求項4に記載のフォトレジスト組成物。

【公開番号】特開2009−173848(P2009−173848A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−85525(P2008−85525)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(506315000)新力美科技股▲ふん▼有限公司 (3)
【Fターム(参考)】