説明

放射免疫療法及びウイルス抗原を発現する腫瘍細胞のイメージング

ウイルス関連癌を治療及びイメージングする方法及び組成物が提供されるが、当該方法は、被験者においてウイルス関連癌細胞が発現するウイルス抗原に結合する放射性標識結合分子を、被験者に投与することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス抗原を発現する腫瘍細胞を、放射性同位体を担持する抗体等の抗ウイルス抗原結合分子により治療及びイメージングする放射免疫学的方法に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2006年12月19日付で出願された米国仮特許出願第60/876,052号明細書(その内容は参照されて本明細書の一部とする)の利益を主張するものである。
【0003】
[政府の支援に関する陳述]
本明細書中に開示される発明は、国立衛生研究所により授与された助成金番号AI60507、AI33774、AI33142、AI52733、HL59842、U54 AI157158、CA078527、及びAI51519の下、米国政府の支援により行われた。したがって、米国政府は本発明に特定の権利を有する。
【背景技術】
【0004】
放射免疫療法(RIT)は、30年ほど前に癌の治療のために開発された。肝癌に対する米国で最初のRITの臨床試験は、1980年代半ばにOrder et al.により実施された(非特許文献1)。RITは、致死量の細胞毒性放射線を放射する放射性核種を腫瘍細胞に送達するために抗原−抗体相互作用の特異性を利用し、化学療法及び外照射療法(EBRT)の有益な代替手段を提供する(非特許文献2、非特許文献3)。
【0005】
RITは、モノクローナル抗体(mAb)療法に基づく薬物、例えば再発性又は難治性のB細胞性非ホジキンリンパ腫の治療のためのZevalin(登録商標)及びBexxar(登録商標)(それぞれ90−Y及び131−Iで標識した抗CD20 mAbである)が最近承認されたことから明らかなように、或る特定の癌に対する成功した療法にまで発展してきた。濾胞性リンパ腫に対する初期治療としてのRITの使用に関する最近の報告は有望であり、したがって或る種の癌においてRITが一次療法となる可能性がある(非特許文献4)。また、RITは近年、真菌性疾患及び細菌性疾患を治療することが実証されている(非特許文献5に掲載)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Order et al. (1985) J. Clin. Oncol. 3:1573-82
【非特許文献2】Sharkey et al. (2005) J. Nucl. Med. 46 Suppl 1:115S-127S
【非特許文献3】Milenic et al. (2004) Nat. Rev. Drug Discov. 3:488-99
【非特許文献4】Kaminski et al. (2005) N. Engl. J. Med. 352:441-9
【非特許文献5】Dadachova and Casadevall (2006) Q. J. Nucl. Med. Mol. Imaging 50:193-204
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
腫瘍をイメージング及び治療する改善された方法が必要とされている。例えば、米国では2004年には、口腔(oral cavity)癌及び咽頭癌の新たな症例がおよそ28000件、子宮頸癌の新たな症例が10500件、並びにカポジ肉腫の新たな症例が8000件あった。口腔(Oral)癌及び子宮頸癌はヒトパピローマウイルスと関連し、カポジ肉腫はヘルペスウイルス8によって引き起こされる。
【0008】
化学療法及び外科手術を含む従来の方法は近年、免疫療法により補完されている。既存の癌の放射免疫療法は、患者身体において「自己」抗原である腫瘍関連抗原を利用するが、これは正常器官において抗体の有意な取り込みを生じさせ、毒性をもたらし得る。免疫療法の一課題は、腫瘍特異的であり、正常組織の損傷を制限しながら効果を発揮することができる抗原の同定である。B細胞表面抗原であるCD20を対象とするモノクローナル抗体(Rituximab)は、B細胞リンパ腫に対する療法としてますます使用されてきている。しかしながら、CD20は、全ての正常成熟B細胞上で発現されるため特異的な腫瘍標的ではない。
【0009】
腫瘍を含む或る特定の動物癌細胞は、ウイルス抗原をその内部及び表面の両方で提示するか、又はかかるウイルス抗原を提示させることができる。結果として、ウイルス抗原は、腫瘍細胞に対して結合分子を特異的に標的化する有益な方法を示す。本明細書中に記載される発明は、この特異的標的化の使用を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ウイルス関連癌を有する被験者を治療する方法であって、被験者に放射性標識結合分子を投与することを含み、当該結合分子が、被験者においてウイルス関連癌細胞内及び/又は細胞上のウイルス抗原に結合する、方法を提供する。
【0011】
本発明はまた、被験者においてウイルス関連腫瘍細胞をイメージング及び/又は治療する方法であって、被験者に放射性標識結合分子を投与することを含み、当該結合分子が、被験者においてウイルス関連腫瘍細胞内及び/又は細胞上のウイルス抗原に結合する、方法を提供する。
【0012】
「伝統的な」放射免疫療法とは対照的に、ウイルスで形質転換した癌細胞は、宿主組織とは抗原的に非常に異なるため、癌細胞との非常に特異的な抗原−結合分子の相互作用がもたらされる。したがって、本発明では放射性標識結合分子の宿主組織との交差反応を限定することで、正常器官への毒性が従来のRIT又は化学療法よりも少なくなることが期待されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】188Re標識HPV16 E6特異mAb C1P5及びアイソタイプが一致する(isotype-matching)対照mAb 18B7(IgGl)の、全HPV16発現ヒト子宮頸癌CasKi細胞への結合性を示す図である。菱形−mAb C1P5;三角形−mAb 18B7。
【図2】図2A−2B A)188Re−C1P5 mAb;B)188Re−18B7 mAb、の注射24時間後のCasKi担癌マウスのシンチグラフィーによる画像である。
【図3】図3A−3F ウエスタンブロット法による、ヒト子宮頸癌細胞株におけるE6及びE7の発現、及び肝細胞癌細胞株におけるHBxの発現、並びにMG132プロテアソーム阻害剤処理のこれらの細胞株におけるE6、E7およびHBxのレベルへの効果を示す図である;A)MG132で3時間処理したCasKi細胞の抽出タンパク質に由来するE6;B)MG132で3時間処理したCasKi細胞の抽出タンパク質に由来するE7;C)MG132で6時間処理したCasKi細胞の抽出タンパク質に由来するE6;D)MG132で3時間処理したSiHa細胞の抽出タンパク質に由来するE7;E)MG132で3時間処理したHeLa S3細胞の抽出タンパク質に由来するE7;F)MG132で3時間処理したHep 3B2.1−7細胞の抽出タンパク質に由来するHBx
【図4】図4A−4F 腫瘍細胞及び腫瘍におけるウイルス抗原の検出を示す図である。:A、B)固定腫瘍細胞及び透過性腫瘍細胞の免疫蛍光。左パネルは、細胞の光学顕微鏡検査の画像を示す。強い損傷を受けた細胞は矢印で示している。右パネルは、ウイルスタンパク質特異mAb、続いてマウスIgGに対するFTIC標識ポリクローナル抗体で処理した同じスライドガラスの免疫蛍光法による画像を示す。A−CasKi細胞およびE6特異C1P5 mAb、B−Hep 3B2.1−7細胞及びHBx特異4H9 mAb;C)CasKi腫瘍の免疫組織化学。左パネルはE6特異mAb C1P5の結合を示す。右パネルは対照mAb 18B7の結合の欠如を示す。;HBx特異mAb 4H9を用いたHep3B2.1−7腫瘍のウエスタンブロット法。
【図5】図5A−5D 注射後24時間の担癌マウスのシンチグラフィーによる画像を示す図である。;A)CasKi腫瘍、E6−特異mAb 188Re−C1P5 mAb;B)CasKi腫瘍、対照188Re−18B7 mAb;C)Hep 3B2.1−7及びA2058ヒト転移性黒色腫腫瘍、HBx特異188Re−4H9 mAb。
【図6】図6A−6C ヌードマウスにおけるCasKi腫瘍の放射免疫療法。:A)腫瘍容積の変化。;B)350μCi188Re−C1P5 mAbで処理したマウス;C)対照マウス(どちらも処理後20日のマウスを示す。)
【図7】図7A−7C ヌードマウスにおけるHep 3B2.1−7腫瘍の放射免疫療法。:A)腫瘍容積の変化。:B)対照未処理マウス;C)600μCi188Re−4H9 mAbで処理したマウス。どちらも処理後18日のマウスを示す。BおよびCにおける下のパネルは実験の完了時のH&E染色腫瘍を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、ウイルス関連癌を有する被験者を治療する方法であって、被験者に放射性標識結合分子を投与することを含み、当該結合分子が、被験者においてウイルス関連癌細胞が発現するウイルス抗原に結合する、方法を提供する。
【0015】
本発明はまた、被験者においてウイルス関連腫瘍細胞をイメージング又は治療する方法であって、被験者に放射性標識結合分子を投与することを含み、当該結合分子が、被験者においてウイルス関連腫瘍細胞が発現するウイルス抗原に結合する、方法を提供する。
【0016】
癌細胞は、その内部(細胞内)及び/又は細胞表面にウイルス抗原を提示することができる。多くの癌細胞はその内部及び/又は表面にウイルス抗原を有しているか、又はその内部及び/又は表面にウイルス抗原を有するようにすることができる。結果として、ウイルス抗原に結合する結合分子は、ウイルス抗原を担持する細胞に(又は細胞内に)選択的に結合することになる。この結合により治療及び/又はイメージングのための、放射線放出同位体を担持する結合分子による癌細胞の特異的標的化が可能となる。したがって、ウイルス抗原は好ましくは、被験者の他の細胞に実質的に存在しない。しかしながら、当業者はウイルス抗原が癌細胞を有する被験者において前癌細胞にも存在する可能性があり、大抵はそうであることを理解するであろう。かかる前癌細胞の治療により、ウイルス感染細胞をそれが癌細胞へと形質転換する前に排除することができる。
【0017】
ウイルス抗原は、腫瘍細胞表面又は細胞内に幾つかの経路によって存在するようになる。当業者は幾つかのヒト新生物、癌腫、及び異形成、並びにさらに多くの動物癌がウイルス感染によって引き起こされることを理解するであろう。例えば、ヒトパピローマウイルス16(HPV16)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、ヒトT細胞リンパ向性ウイルス1(HTLV−1)、ウシ白血病ウイルス(BLV)、ネコ白血病ウイルス(FeLV)、カポジ肉腫ウイルス(KSV)、モロニーマウス肉腫ウイルス、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、マウス乳癌ウイルス、トリ赤芽球症ウイルス、トリ骨髄芽球症ウイルス、トリ癌腫ウイルス、ウォールアイ皮膚肉腫ウイルス(WDSV)、及び他の発癌ウイルスの感染は、或る特定のヒト又は他の哺乳類の癌に直接寄与するか、又はその原因となると考えられる。このような場合、ウイルスにコードされた糖タンパク質及び外膜タンパク質を含むウイルスにコードされた遺伝子の発現は、感染の当然の結果である。好ましい実施形態では、ウイルス抗原はウイルスにコードされた膜タンパク質である。ウイルス抗原は好ましくは、ウイルスの構造タンパク質又はウイルスの非構造タンパク質である。ウイルス抗原は代替的には、発癌ウイルスの産物であるのが好ましい。
【0018】
ウイルス抗原はまた、非発癌性の、任意に遺伝子組み換えしたウイルスの産物であり得る。したがって、ウイルス抗原は好ましくは、天然ウイルス遺伝子又は非天然ウイルス遺伝子の産物である。選択的にヒト癌細胞内で複製する非発癌ウイルスとしては、外膜を有する(−鎖)RNAウイルスである、ラブドウイルス科(rhabdoviridae)の水疱性口内炎ウイルス(VSV)及びパラミクソウイルス科(paramyxoviridae)のニューカッスル病ウイルス(NDV)が挙げられる。NDVは通常は鳥類に感染するが、VSVは本来、家畜及び昆虫に感染する(Krishnamurthy et al. (2006) J. Virol. 80:5145-5155、Zarate and Novella (2004) J. Virol. 78:12236-12242)。現在、腫瘍崩壊剤として研究中であるが、これらのウイルスのヒト腫瘍細胞において選択的に複製する能力は、ウイルスを標的化遺伝子導入に適するようにするものでもある(Fernandez et al. (2002) J. Virol. 76(2):895-904)。
【0019】
幾つかの好ましい実施形態では、ウイルス抗原は、例えば未修飾の、欠損の、又は改変したVSV、NDV、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、偽型ウイルス、及び遺伝子を腫瘍細胞に導入するための当該技術分野で既知の他のウイルスを用いた、これらの又は他のウイルスベクターに基づく標的化遺伝子療法により、腫瘍細胞に関連付けられる(例えば、Spencer, et al.に対する米国特許第7,090,837号明細書及びその中に引用される参考文献を参照)。したがって、ある好ましい実施形態では、ウイルス抗原は、かかるウイルスベクターの天然遺伝子の産物である。或る特定の他の好ましい実施形態では、ウイルス抗原はウイルスベクターに挿入された遺伝子に由来し、ウイルスベクターに担持された天然又は非天然の遺伝子に由来し得る。
【0020】
細胞のウイルス受容体に付着したウイルス抗原含有ウイルスは、細胞表面にも存在する。したがって、或る特定の好ましい実施形態では、ウイルス抗原はウイルス受容体により細胞表面に結合する。同様に、ウイルス抗原含有ウイルス様粒子、ビリオン断片、ビリオンサブユニット、又はウイルスタンパク質もウイルス受容体又は他の細胞表面結合部位との相互作用の結果、細胞表面に結合する。このような戦略は、放射線放出同位体を担持する結合分子を腫瘍細胞へと誘導するために、腫瘍細胞を非感染性ウイルス断片及び/又は精製ウイルス断片で特異的に標識化することを望む場合に有用であり得る。当業者は、ウイルス抗原を含有する非感染性製剤を調製し、被験者に投与する方法を熟知しているため、ウイルス抗原は代替的には、細胞の表面に結合するウイルス様粒子、ビリオン断片、ビリオンサブユニット、又はウイルスタンパク質の一部である。
【0021】
また、二重特異性(bi-specific)抗体はウイルス抗原含有ウイルス、ウイルス様粒子、又はウイルス断片と、腫瘍細胞上のエピトープとの両方に結合し、ウイルスが腫瘍細胞に結合していない場合にウイルスを腫瘍細胞に結合させることができる。このような戦略は、腫瘍細胞が同族ウイルス受容体を欠いている場合に特に有用である。好ましくは、ウイルス抗原は、腫瘍細胞表面タンパク質又は表面オリゴ糖と自己相互作用する分子との相互作用の結果、腫瘍細胞の表面に存在する。
【0022】
癌細胞は好ましくは、固形腫瘍、半固形腫瘍、又は液性腫瘍中に存在する。癌細胞は好ましくは腫瘍細胞である。癌は、例えば子宮頸癌、肝細胞癌、リンパ腫、バーキットリンパ腫、上咽頭癌(nasopharangeal carcinoma)、ホジキン病、皮膚癌、原発性滲出液リンパ腫、多中心性キャッスルマン病(multicentric Castleman's disease)、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、脾リンパ腫、成人T細胞白血病、有毛細胞白血病、カポジ肉腫、移植後リンパ腫、脳腫瘍、多中心性キャッスルマン病(multicentric Castleman disease)、骨肉腫、中皮腫、子宮頸部異形成、肛門癌、子宮頸癌、外陰癌、膣癌、陰茎癌、口腔咽頭癌(oropharyneal cancer)、上咽頭癌(nasopharyneal cancer)、口腔癌、肝臓癌、又は皮膚癌であり得る。
【0023】
ウイルス抗原は、例えば、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、ヒトヘルペスウイルス8(HHV8)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ヒトパピローマウイルス16(HPV16)、ヒトパピローマウイルス18(HPV18)、ヒトパピローマウイルス31(HPV31)、パピローマウイルス33(HPV33)、パピローマウイルス35(HPV35)、パピローマウイルス39(HPV39)、パピローマウイルス45(HPV45)、パピローマウイルス51(HPV51)、パピローマウイルス66(HPV66)、シミアンウイルス40(SV40)、JCポリオーマウイルス(JCV)、BKポリオーマウイルス(BKV)、伝染性軟属腫ウイルス(MCV)、マウス乳房白血病ウイルス(MMLV)、ヒトアデノウイルスA〜F、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトT細胞リンパ向性ウイルス1(HTLV−1)、ヒトT細胞リンパ向性ウイルス2(HTLV−2)、ウシ白血病ウイルス(BLV)、ネコ白血病ウイルス(FeLV)、カポジ肉腫ウイルス(KSV)、モロニーマウス肉腫ウイルス、マウス乳癌ウイルス、ヒト免疫不全(immunodeficieny)ウイルス1(HIV−1)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、トリ赤芽球症ウイルス、トリ骨髄芽球症ウイルス、トリ癌腫ウイルス、又はウォールアイ皮膚肉腫ウイルス(WDSV)の産物であり得る。
【0024】
好ましい実施形態では、癌は子宮頸癌であり、且つウイルス抗原はヒトパピローマウイルス(HPV)の産物である。
【0025】
或る特定の他の好ましい実施形態では、ウイルスはエンベロープウイルスである。或る特定の好ましい実施形態では、ウイルス抗原はDNAウイルスの産物であり、且つDNAウイルスは好ましくは、ヘパドナウイルス科(hepadnaviridae)、ヘルペスウイルス科(herpesviridae)、パピローマウイルス科(papillomaviridae)、ポリオーマウイルス科(polyomaviridae)、又はポックスウイルス科(poxviridae)のウイルスである。ウイルス抗原は好ましくは、B型肝炎ウイルス(HBV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、ヒトヘルペスウイルス8(HHV8)、HPV16等のヒトパピローマウイルス(HPV)、シミアンウイルス40(SV40)(Vilchez and Butel (2004) Clin. Microb. Rev. 17:495-508、Butel (2000) Carcinogenesis 21:405-426)、JCポリオーマウイルス(JCV)、BKポリオーマウイルス(BKV)、伝染性軟属腫ウイルス(MCV)、マウス乳房白血病ウイルス(MMLV)、ヒトアデノウイルスA〜F、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトT細胞リンパ向性ウイルス1(HTLV−1)、ウシ白血病ウイルス(BLV)、ネコ白血病ウイルス(FeLV)、カポジ肉腫ウイルス(KSV)、モロニーマウス肉腫ウイルス、及びマウス乳癌ウイルスから成る群から選択されるウイルスの産物である。
【0026】
或る特定の他の実施形態では、ウイルス抗原はRNAウイルスの産物であり、且つRNAウイルスは好ましくは、ラブドウイルス科(rhabdoviridae)、フラビウイルス科(flaviviridae)、パラミクソウイルス科(paramyxoviridae)、又はレトロウイルス科(retroviridae)の成員である。ウイルス抗原は好ましくは、C型肝炎ウイルス(HCV)、HTLV−1、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV−1)、ヒトパピローマウイルス16(HPV16)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、ヒトT細胞リンパ向性ウイルス1(HTLV−1)、ウシ白血病ウイルス(BLV)、ネコ白血病ウイルス(FeLV)、カポジ肉腫ウイルス(KSV)、モロニーマウス肉腫ウイルス、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、マウス乳癌ウイルス、VSV、及びNDVから成る群から選択されるウイルスの産物である。
【0027】
好ましい実施形態では、結合分子はパラトープ含有分子、好ましくは無傷抗体(intact antibody)、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、又はFab抗体断片である。或る特定の実施形態では、結合分子は一本鎖ポリペプチドである。或る特定の他の実施形態では、結合分子は、他の状況下でウイルス抗原と相互作用する非免疫グロブリン分子に由来する、パラトープの機能的等価物を含む。パラトープの機能的等価物は好ましくは、ウイルスのライフサイクル、最も好ましくはビリオンの集合及び形態形成においてウイルス抗原と相互作用する他のウイルス成分である。
【0028】
異なる実施形態では、被験者は好ましくは、哺乳類、例えばマウス、ラット、ネコ、イヌ、ウマ、ヒツジ、雌ウシ、去勢ウシ、雄ウシ、家畜、霊長類、サル、好ましくはヒトであり、他の動物、例えばトリ又はシチメンチョウ等の鳥類、又はサケ又はコイ等の魚類でもあり得る。
【0029】
好ましい実施形態では、結合分子により担持される放射線放出同位体は、11−C、18−F、32−P、34m−Cl、38−K、47−Sc、51−Mn、52−Mn、52m−Mn、52−Fe、55−Co、61−Cu、62−Cu、64−Cu、67−Cu、62−Ga、67−Ga、68−Ga、72−As、77−As、75−Br、76−Br、82m−Rb、83−Sr、87−Sr、86−Y、89−Sr、90−Y、89−Zr、94m−Tc、99m−Tc、105−Rh、109−Pd、111−Ag、110−In、111−In、118−Sb、120−I、122−I、123−I、124−I、125−I、131−I、177−Lu、153−Sm、159−Gd、166−Ho、166−Dy、140−La、194−Ir、198−Au、199−Au、186−Re、188−Re、211−As、212−Bi、213−Bi、212−Pb、222−Ra、223−Ra、224−Ra、225−Ra、225−Ac、及び255−Fmから成る群から選択される。
【0030】
結合分子を標識する特定の放射性同位体の選択は、治療される癌の大きさ及びその体内での局在性により決定することができる。放射性同位体の選択には、2つの特性、すなわち組織における放出範囲及び半減期が重要である。
【0031】
β放射体と比較して短い放出範囲を有するα放射体は、体内で散在する小さい腫瘍の治療に好適であり得る。α放射体の例(括弧内は半減期)としては、213−Bi(半減期46分)、223−ラジウム(半減期11.3日)、224−ラジウム(半減期3.7日)、225−ラジウム(半減期14.8日)、225−アクチニウム(半減期10日)、212−鉛(半減期10.6時間)、212−ビスマス(半減期60分)、211−アスタチン(半減期7.2時間)、及び255−フェルミウム(半減期20時間)が挙げられる。
【0032】
好ましい実施形態では、α放出放射性同位体は213−ビスマスである。213−Biは、高い線エネルギー付与(LET)を持つα粒子をE=5.9MeVで、50μm〜80μmの組織内経路長で放出する。理論上は、細胞は1つ又は2つのα粒子が当たると破壊され得る。213−Biは、単一細胞性障害及び幾つかの固形癌に使用するために提案され(McDevitt et al. (2000) Cancer Res. 60:6095-6100、Kennel and Mirzadeh (1998) Nucl. Med. Biol. 25:241-246、Behr et al. (1999) Cancer Res. 59:2635-2643、Adams et al. (2000) Cancer Biother. Radiopharm. 15:402a)、第一相臨床試験で白血病患者を治療するために使用されてきた(Kolbert et al. (2001) J. Nucl. Med. 42:27-32、Sgouros et al. (1999) J. Nucl. Med. 40:1935-1946)。213−Biは、発生源(generator)形態で現在入手可能な唯一のα放射体であり、この同位体は供給源から米国及び外国の臨床施設へと輸送することが可能である。
【0033】
β放射体は、そのより長い放出範囲のために、大きい腫瘍における癌細胞の治療に好適であり得る。β放射体の例としては、188−レニウム(半減期16.7時間)、90−イットリウム(半減期2.7日)、32−リン(半減期14.3日)、47−スカンジウム(半減期3.4日)、67−銅(半減期62時間)、64−銅(半減期13時間)、77−ヒ素(半減期38.8時間)、89−ストロンチウム(半減期51日)、105−ロジウム(半減期35時間)、109−パラジウム(半減期13時間)、111−銀(半減期7.5日)、131−ヨウ素(半減期8日)、177−ルテチウム(半減期6.7日)、153−サマリウム(半減期46.7時間)、159−カドリニウム(半減期18.6時間)、186−レニウム(半減期3.7日)、166−ホルミウム(半減期26.8時間)、166−ジスプロシウム(半減期81.6時間)、140−ランタン(Lantanum)(半減期40.3時間)、194−イリジウム(半減期19時間)、198−金(半減期2.7日)、及び199−金(半減期3.1日)が挙げられる。好ましい実施形態では、β放出放射性同位体は188−レニウムである。188−Reは癌放射免疫療法、骨格の骨の苦痛緩和、及び血管形成術後の再狭窄を予防する血管内放射線療法を含む様々な治験において、魅力的な治療用放射性核種として近年現れた長範囲高エネルギーβ放射体(Emax=2.12MeV)である(Knapp (1988) Cancer Biother. Radiopharm. 13:337-349、Hoher et al. (2000) Circulation 101:2355-2360、Palmedo (2000) Eur. J. Nucl. Med. 27:123-130)。
【0034】
188−Reは、イメージング研究に使用することができるγ線を放出するという付加的な利点を有する。大きい腫瘍又は体の深部の接近困難な部位にある癌細胞の治療に対しては、90−イットリウム(半減期2.7日)、177−ルテチウム(半減期6.7日)、又は131−ヨウ素(半減期8日)等の長寿命同位体が好適であり得る。
【0035】
複数の同位体で同じ方法で処理した同じ結合分子を使用することの利点は、本発明で実現される別の利点であり得る。188−Reの化学的類似体である99m−Tcはイメージング用の光子放射体であり、188−Reと同じ結合分子で使用することができ、同じキレート剤を用いて同じ技法により付着されるという利点を有する。本発明の好ましい実施形態では、放射線放出同位体は99m−Tc、188−Re、又はその両方である。
【0036】
また、陽電子放射体、例えば52m−Mn(21.1分)、62−Cu(9.74分)、68−Ga(68.1分)、11−C(20分)、82−Rb(1.27分)、110−In(1.15時間)、118−Sb(3.5分)、122−I(3.63分)、18−F(1.83時間)、34m−Cl(32.2分)、38−K(7.64分)、51−Mn(46.2分)、52−Mn(5.59日)、52−Fe(8.28時間)、55−Co(17.5時間)、61−Cu(3.41時間)、64−Cu(12.7時間)、72−As(1.08日)、75−Br(1.62時間)、76−Br(16.2時間)、82m−Rb(6.47時間)、83−Sr(1.35日)、86−Y(14.7時間)、89−Zr(3.27日)、94m−Tc(52.0分)、120−I(1.35時間)、124−I(4.18日)を使用することができる。64−Cuは陽電子放射体、電子放射体、及びオージェ電子放射体の混合である。
【0037】
α放射体以外の放射免疫療法に使用される放射性同位体、例えばβ放射体、陽電子放射体、又はβ放射体と陽電子放射体との混合物はいずれも、放射免疫イメージングにも低用量で使用することができる。放射免疫イメージングへの使用に好ましい放射性同位体としては、99m−テクネチウム、111−インジウム、67−ガリウム、123−ヨウ素、124−ヨウ素、131−ヨウ素、及び18−フッ素が挙げられる。213−Biの化学的類似体である111−インジウムは、イメージングに使用される光子放射体であり、同じ技法を用いて結合分子に連結させることができる。イメージングに関しては、患者への不必要な投与を避けるために、通常診断に使用される同位体(例えば99m−Tc)については約1mCi〜約30mCi、通常治療に使用される同位体(例えば213−Bi)については約1mCi〜約5mCiの、イメージングに有効な量の放射線放出同位体を使用することができる。
【0038】
本発明はさらに、被験者において癌細胞を治療する方法であって、被験者に癌を治療するのに有効な量の、複数の異なる放射性同位体を担持する結合分子を投与する工程を含む、方法を提供する。ある実施形態では、放射性同位体は、複数の異なる元素の同位体である。好ましい実施形態では、複数の異なる放射性同位体のうち少なくとも1つの放射性同位体は、長距離放射体であり、少なくとも1つの放射性同位体は短距離放射体である。長距離放射体の例としては、γ放射体、x線放射体、β放射体、及び陽電子放射体が挙げられる。短距離放射体の例としては、α放射体が挙げられる。陽電子放射体はまた、陽電子のエネルギーに応じて中距離放射体であり得る。好ましい実施形態では、長距離放射体はβ放射体であり、且つ短距離放射体はα放射体である。好ましくは、β放射体は188−レニウムである。好ましくは、α放射体は213−Biである。2分〜100日の物理的半減期を有する、α放射体、β放射体、及び陽電子放射体のいずれかの混合物を含む異なる放射線放出同位体の組み合わせを使用することができる。好ましくは、複数の異なる放射性同位体は、単一の放射性同位体の放射線用量が複数の異なる放射性同位体の合わせた放射線用量と同じである場合、複数の異なる放射性同位体のうちの単一の放射性同位体よりも腫瘍細胞の治療に有効である。
【0039】
腫瘍の放射免疫療法研究から、最大の標的化を達成するために全抗体は循環して通常1日〜3日の期間を要することが知られている。遅い標的化は、比較的長い半減期を有する放射性同位体、例えば188−Re(t1/2=16.7時間)には問題を引き起こさないが、短寿命放射性同位体、例えば213−Bi(t1/2=46分)にはより速い送達ビヒクルが必要である。F(ab’)2及びFab’断片を含む小さい結合分子は、短寿命放射性核種の半減期に匹敵するさらに速い標的化をもたらす(Milenic (2000) Semin. Radiat. Oncol. 10:139-155、Buchsbaum (2000) Semin. Radiat. Oncol. 10:156-167)。短寿命結合分子及び放射線放出同位体の使用により、被験者を抗原となる可能性のある結合分子及び放射性毒となる可能性のある同位体に曝す期間を低減することで、方法の安全性をさらに増大することができる。
【0040】
放射線放出同位体の治療に有効な量(用量)は、腫瘍の局在性及び大きさ、放射線放出同位体を担持する結合分子を(局所又は全身に)投与する方法、及び同位体の崩壊図式に応じて変化し得る。重要な器官に放射毒性を与えることなく癌を治療することができる用量を算出するために、核医学では一般的であるように、診断用放射性同位体又は低活性治療用放射性同位体で放射性標識された結合分子による患者の診断走査を、療法の前に実施することができる。線量測定計算は、診断走査のデータを用いて実施することができる(Early and Sodee (1995) Principles and Practice of Nuclear Medicine, 2nd ed. Mosby)。ウイルス関連癌を有する被験者の治療については、癌を治療するのに有効な量で放射標識(radiolabled)結合分子を投与するのが好ましい。異なる実施形態では、RIT用の放射性同位体の放射線放出同位体の治療に有効な量は、約1mCi〜約1000mCiである。
【0041】
腫瘍細胞等の癌細胞のRITは、結合分子がリシン又はジフテリア毒素等の毒素分子を担持する類似の免疫毒素アプローチに優る幾つかの利点を有する。RITでは、放射線照射に使用される結合分子は、毒素がそうであるように、細胞を破壊するために内在化する必要はない。同様に、RITでは、体内の全てのウイルス感染細胞が結合分子により標的化される必要はない。in vivoでは、小さな三次元の空間内に多くの腫瘍細胞が存在し得るため、「十字火」放射線が有効である。一方で、毒素はそれが入った細胞しか破壊しない。この機構と一致して、188Re標識mAbはin vitroよりもin vivoで有効であることが観察された。in vitroでは、「十字火」放射線の大部分は、組織培養ウェルの底部で細胞層に代表される二次元表面に堆積する。
【0042】
この点で、「十字火」により細胞を選択的に破壊するβ放出放射性核種(Milenic et al. (2004) Nature Rev. Drug Discovery 3:488-498)は、単一細胞の疾患である白血病の療法のために(Burke et al. (2002) Cancer Control 9:106-113)、全身性真菌感染症の前臨床RITにおいて(Dadachova et al. (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100:10942-10947、Dadachova et al. (2004) Antimicrob. Agents. Chemother. 48:1004-1006、Dadachova et al. (2006) J. Infect. Dis. 193:427-1436)首尾よく使用されている。
【0043】
毒素分子に対して、放射性同位体自体は、その後の使用を限定し得る有意な免疫応答を引き出す可能性は低い。RITはまた、188Re及び213Biを含む抗体に連結する異なる放射性同位体の化学的性質が十分に明らかにされており、in vitro及びin vivoでの放射性標識抗体の特別な安定性が確認されているため、毒性を有する可能性は低い。
【0044】
当業者に既知のように、半減期及び放射線タイプが異なる多くの同位体が利用可能であることにより、特異的な標的及び結合分子に応じたRITの設計に多大な多用性が与えられる(Milenic et al. (2004) Nature Rev. Drug Discovery 3:488-498、Milenic et al. (2004) Cancer. Biother. Radiopharm. 19:135-147、Dadachova et al. (2004) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101:14865-14870)。それにもかかわらず、RIT及び別のモダリティ、例えば化学療法、免疫毒素、又は放射線ビーム療法を含む併用療法は、RITモダリティ単独よりもさらなる利点をもたらし得る。
【0045】
癌の臨床RITにおいて累積されたデータに基づくと、RITの一次毒性は骨髄抑制であり得る。骨髄抑制の程度及び持続時間の重要な決定因子としては、骨髄予備能(一次細胞毒性療法及び疾患の関与の程度に基づく)、総感染負荷、及び脾臓の大きさ(Knox and Meredith (2000) Semin. Radiat. Oncol. 10:73-93、Hernandez and Knox (2003) Semin. Oncol. 30(6 Suppl l7):6-100)が挙げられる。
【0046】
また、患者に放射性療法を用いる場合は常に、放射線誘発突然変異によりその後に起こり得る新生物の発生等の長期的影響の懸念がある。しかしながら、この危険性は短期間曝露の後では極めて低く、腫瘍の治療の利益が危険性を上回るはずである。
【0047】
また、RITに利用される微粒子放射線が、ゲノム情報が治療される腫瘍細胞内にある任意のウイルスの突然変異を引き起こす可能性は極めて低い。ウイルス複製は既に本質的に高い突然変異率を有し、RNAウイルスについては、突然変異率は、継続的な実行可能性(continued viability)と適合する最大の率に近づいている(Drake (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:4171-4175)。したがって、突然変異率の増大は、特にRNAウイルスのウイルス適応性を低減し得る。ウイルスゲノムはまた、腫瘍細胞核と比較して物理的に小さく、放出される放射線により直接損害を受けにくい。さらに、電離放射線は環境中に豊富な化学的変異原と比べて弱い変異原である(Hall (2000) Radiobiology for the Radiologist, 5th ed, Lippincott Williams & Wilkins)。
【0048】
臨床データは、放射性標識抗体及びペプチドの分割(fractionaized)用量が、腫瘍に対して単一用量よりも有効であり、正常器官への放射性毒性が低いことを示している(Dadachova et al. (2004) Antimicrob. Agents Chemother. 48:1004-1006、Lehrman (2005) Lancet 366:549-555)。患者の状態及びRITによる一次治療の有効性に応じて、治療は一つの用量又はその後の幾つかの分割用量から成り得る。
【0049】
放射性標識結合分子は、局所投与及び全身投与を含む、医学診療又は獣医学診療において使用される多様な手段で被験者に導入することができる。好ましくは、放射性標識結合分子は非経口的に投与される。放射性標識結合分子は、例えば血流に、筋肉内に、又は器官若しくは体腔内に注射することができる。
【0050】
本発明はまた、癌の被験者を治療するのに有効な組成物を製造する方法であって、放射性標識結合分子と担体とを混合することを含み、ウイルス感染癌細胞上及び/又は細胞内において結合分子がウイルス抗原に特異的に結合する、方法を提供する。かかる組成物は、被験者の癌をイメージングするのにも使用することができる。
【0051】
本明細書中で使用される場合、用語「担体」は標準的な医薬担体、例えば無菌等張食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、水、及び油中水乳剤又は水中油乳剤等の乳剤のいずれかを包含する。
【0052】
本発明はさらに、癌の被験者を治療又はイメージングするための組成物の調製のための放射性標識結合分子の使用であって、結合分子がウイルス感染癌細胞上及び/又は細胞内のウイルス抗原に特異的であり、且つ放射性標識結合分子がウイルス抗原に特異的に結合する、使用を提供する。
【0053】
本発明はまた、ウイルス感染癌細胞をイメージング及び/又は治療するために放射性標識結合分子を使用する方法であって:
(a)ウイルス感染癌細胞が発現するウイルス抗原に対する結合分子を生成すること、
(b)結合分子に放射標識を付着させること、及び
(c)被験者に、ウイルス感染癌細胞をイメージング及び/又は治療するのに有効な量の放射性標識結合分子を投与することを含む、方法を提供する。
【0054】
本発明はまた、投薬形態に製剤された医薬組成物であって、放射性標識結合分子及び薬学的に許容可能な担体を含み、当該結合分子が、ウイルス感染癌細胞が発現するウイルス抗原に特異的であり、且つ投薬量が被験者においてウイルス抗原を発現する癌細胞を破壊するのに適切であるか、又は投薬量が被験者においてウイルス感染癌細胞をイメージングするのに適切である、医薬組成物を提供する。
【0055】
定義
「ウイルス関連癌」とは、ウイルス感染が癌における補因子である癌を指す。ヒトの癌に関係するウイルスとしては、リンパ腫及び鼻咽頭癌に関連するエプスタイン・バーウイルス(EBV)、共に肝臓癌に関連するB型肝炎ウイルス(HBV)及びC型肝炎ウイルス(HCV)、頸癌に関連するヒトパピローマウイルス(HPV)、それぞれ成人T細胞白血病及び有毛細胞白血病に関連するヒトT細胞リンパ向性ウイルス1型(HTLV−1)及びヒトT細胞リンパ向性ウイルス2型(HTLV−2)、並びにカポジ肉腫に関連するヒトヘルペスウイルス8(HHV−8)が挙げられる。
【0056】
「腫瘍細胞」とは、動物において任意の形態で(すなわち、固形腫瘍、良性腫瘍、上皮内癌腫、分散癌腫、転移性腫瘍細胞、前癌病変、疣贅、又は異形成の形態で)異常な細胞増殖、異形成、新生物、及び癌腫を示す細胞を指す。本発明の文脈内では、腫瘍細胞は誤制御複製又は発生を有する他の細胞を含み、具体的には疣贅及び前癌病変を含む細胞を含む。
【0057】
「抗原」は、エピトープを含む分子又は分子の一部である。エピトープは結合分子の結合部位であり、立体構造エピトープ及び直線状エピトープとして当該技術分野で既知のものを含む。「ウイルス抗原」はウイルスによりコードされる抗原である。
【0058】
抗原はそれが細胞外環境、又は細胞外空間と位相的に等価な細胞内空間の環境(小胞体、ゴルジ体、及びエンドサイトーシス小胞の内腔等)に曝される場合、細胞表面に存在する。抗原はまた、本発明に関して、それが細胞の外にある場合、及び他の分子により細胞表面に結合する場合、細胞表面に存在する。
【0059】
本明細書中で使用される場合、癌の被験者を「治療する」という用語は、被験者において癌が転移するのを防ぐため、被験者において癌のさらなる転移を低減するため、被験者において腫瘍の増殖を低減するため、腫瘍の増殖を予防するため、腫瘍の大きさを低減するため、及び/又は被験者において腫瘍若しくは癌を排除するために、ウイルス抗原を発現する被験者の癌細胞を破壊することを意味する。腫瘍を「治療する」という用語は、腫瘍を根絶すること、腫瘍の大きさを低減すること、腫瘍をその大きさが増大しないように安定化すること、又は腫瘍のさらなる増殖を低減することを意味する。
【0060】
「結合分子」は、抗原に特異的に結合可能な分子である。本発明による結合分子は、結合分子の抗原結合部位であるパラトープ、又はその機能的等価物を含む。例示的且つ好適な結合分子としては、抗体及びT細胞受容体が挙げられる。被験者に適用して使用される場合、用語「抗体」は全抗体及び全抗体の断片を包含する。抗体断片としては、F(ab’)2及びFab’断片、又は概して、Fab断片が挙げられるが、これらに限定されない。F(ab’)2は、欠失結晶化可能断片(Fc)領域及び保存結合領域を有する抗体分子の抗原結合断片である。Fab’は結合領域の1/2のみを有するF(ab’)2分子の1/2である。さらに、用語「結合分子」は、任意の種からのポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体、並びに非天然抗体及び改変した抗体、例えば「ヒト化」マウス抗体、一本鎖抗体、及びHansen, et alに対する米国特許第7,074,405号明細書に教示されるような二重特異性抗体を包含することを意味する。
【0061】
「Mab」又は「mAb」とは、この定義によると一種類の抗体、ほとんどの場合はモノクローナル抗体を意味するが、標準ハイブリドーマ技法では作成されない抗体を含み得る。ポリクローナル抗体とは、一種類より多い抗体を含む混合物を意味する。好ましい結合分子は、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体、並びにFab断片及び改変した抗体、例えば一本鎖抗体、及びヒト化マウス抗体を含む。好ましくは、結合分子は特異的にウイルス抗原に結合する。二重特異性抗体を同様に使用することができる。しかしながら、一実施形態では、結合分子は二重特異性抗体ではない。しかし、結合分子は、免疫グロブリンであるか、又は免疫グロブリンに由来する必要はない。当業者は、免疫グロブリンのパラトープの機能的等価物が存在することを理解するであろう。かかる等価物は、例えば、抗原と結合することができる他のウイルス分子に由来する、腫瘍細胞の表面のウイルス抗原と結合可能な分子又は分子の一領域である。
【0062】
結合分子として使用される抗体は、IgA抗体、IgD抗体、IgE抗体、IgG抗体、又はIgM抗体のいずれかであり得る。IgA抗体は、IgA1抗体又はIgA2抗体であり得る。IgG抗体は、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG2a抗体、IgG2b抗体、IgG3抗体、又はIgG4抗体であり得る。これらの抗体のどの組み合わせも同様に使用することができる。使用される抗体のタイプを選択する上で考慮すべき一事項は、抗体の所望の血中半減期である。IgGは23日、IgAは6日、IgMは5日、IgDは3日、及びIgEは2日の血中半減期を有する(Abbas et al. Cellular and Molecular Immunology, 4th edition, W. B. Saunders Co., Philadelphia, 2000)。考慮すべき別の事項は抗体の大きさである。例えば、IgGの大きさがIgMの大きさよりも小さいと、より多くのIgGが腫瘍に侵入することとなる。IgA、IgG、及びIgMが好ましい抗体である。
【0063】
本方法に有用な多くの結合分子が記載されてきた。好ましい抗体としては、HPV16及びHPV18 E6に対する抗体mAb C1P5(Abcam, Cambridge, MA, USA)、HTLV−1 gp46に対するmAb PRH−7A、mAb PRH−3、mAb PRH−4、EBVエンベロープgp350に対するmAb 72Al、ヒトヘルペスウイルス8(HHV−8)潜伏性核抗原1(LNA−1)に対するmAb 13B10、及びHCV E2タンパク質に対するMAb D4.12.9が挙げられる。他の好ましい抗体は、Advanced Biotechnologies Inc.(Columbia、MD)からのEBV Ea−Rタンパク質p17に特異的な、HHV−8 K8.1遺伝子産物(K8.1A外膜タンパク質及びK8.1B外膜タンパク質)に特異的なマウスIgG1、及びORF K8.1A(外膜)に特異的なマウスIgG2aである。またさらに好ましい結合分子は、下記の実施例において提供される。
【0064】
本明細書中で有用な結合分子は、いわゆる「中和」抗体又はその結合部分である必要がなく、好ましくはそうではないことが理解されよう。したがって、結合分子自体は、ウイルス抗原を提示する癌細胞を破壊するか、又はその破壊に関与するものではないことが好ましい。この抗原への特異結合だけで、ここで意図される目的に十分である。
【0065】
結合分子は、例えば、「直接」放射標識法又は二官能性キレート剤を介した放射標識法の2つの技法の1つを用いて、放射線放出同位体により放射性標識することができる。以前記載されたように(Dadachova et al.、米国特許出願公開第2004/0115203号明細書及び同第2006/0039858号明細書)、225−Ac/213−Bi発生器を構成する225−アクチニウム(225−Ac)は、Oak Ridge National Laboratory(Oak Ridge、TN)から入手することができる。225−Ac/213−Bi発生器は、MP−50陽イオン交換樹脂を用いて構成され、213−Biは、Boll et al.(Radiochim. Acta 79:145-149, 1997)に記載されるように、0.15M HI(ヨウ化水素酸)により213−BiI3の形態で溶出される。111InCl3はIso-Tex Diagnostics(Friendswood、TX)から購入することができる。結合分子は、二官能性キレート剤CHXA’’(N−[2−アミノ−3−(p−イソチオシアナト−フェニル)プロピル]−trans−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−N,N’,N’’,N’’’,N’’’’−ペンタ酢酸)により、例えば213−Bi(療法用)又は111−In(イメージング用)で放射性標識することができる(Saha, Fundamentals of Nuclear Pharmacy, (1997) Springer, New York, pp.139-143)。抗体当たりの平均キレート数は、イットリウム−アルセナゾIII分光光度法で求めることができる(Dadachova et al. (1997) Appl. Rad. Isotop. 48:477-481、Pippin et al. (1992) Bioconjug. Chem. 3:342-345)。必要に応じて、放射性標識抗体をサイズ排除HPLC(TSK−Gel.RTM.G3000SW、TosoHaas、Japan)により精製することができる。また、結合分子を、例えば抗体のジチオスレイトールとのジスルフィド結合の還元による「直接標識化」を介して、188−Re及び99m−Tcで標識することができる(Dadachova and Mirzadeh, Nucl. Med. Biol. (1997) 24:605-608)。過レニウム酸ナトリウム(Na 188−ReO4)の形態の188−Reを、188−W/188−Re発生器(Oak Ridge National Laboratory、Oak Ridge、TN)から溶出させることができる。mAbは、抗体を75倍モル過剰のジチオスレイトールと37℃で40分間インキュベートし、続いてCentricon−30又は−50ミクロ濃縮器で0.15M NH4OAc(pH 6.5)で遠心精製することによる、抗体のジスルフィド結合の還元を介して188−Reで標識することができる。同時に生理食塩水中3mCi〜10mCi(110MBq〜370MBq)の188−ReO4をSnCl2でグルコン酸ナトリウムの存在下でインキュベートすることにより低減することができ、精製低減抗体と合わせて、37℃で60分間維持する。抗体と結合していない放射能は、Centriconミクロ濃縮器(Millipore Corp. Billerica、MA)で遠心精製により除去することができる。Na99mTcO4はGE Healthcare(Bronx、NY)から購入して、188−Reに関して記載したように結合分子に付着させることができる。
【0066】
本発明は、好ましい実施形態に重点を置いて記載されるが、好ましい化合物及び方法の変形形態を使用することができ、本発明を本明細書中で具体的に記載されるものとは別の方法で実施することができると意図されることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲で規定される本発明の精神及び範囲内に包含される全ての変更形態を含む。
【0067】
「1つの(A)」、「1つの(an)」及び他の単数形は、特に除外されない限りその複数形を含むと意図され、また、特に除外されない限り複数形は単数形を含むと意図される。
【実施例】
【0068】
実験の詳細
世界的に見てヒト癌の20%近くが感染性の病因を有すると予想されている(Parkin DM (2006) Int J Cancer 118:3030-3044.)。これらの腫瘍の大部分がウイルス性であり、B型肝炎ウイルス(HBV)及びC型肝炎ウイルス(HCV)と肝細胞癌との、ヒトパピローマウイルス(HPV)と頸癌、肛門癌、外隠癌、膣癌との関連性、並びに口腔咽頭エプスタイン・バーウイルス(EBV)とリンパ腫及び上咽頭癌腫との、ヒトT細胞リンパ向性ウイルス1型(HTLV−1)と成人T細胞白血病/リンパ腫との、及びヒトヘルペスウイルス8(HHV−8)とカポジ肉腫との関連性が確立している(Cesarman E and Mesri EA (2007) Curr Top Microbiol Immunol 312:263-287、Jones EE and Wells SI (2006) Curr Mol Med 6:795-808、El-Aneed A and Banoub J (2006) Anticancer Res 26:3293-3300、Arbach H et al. (2006) J Virol 80:845-853、Young LS and Murray PG (2003) Oncogene 22:5108-5121、Mortreux F et al. (2003) Leukemia 17:26-38)。これらのウイルス関連腫瘍は、合わせて毎年およそ130万件の癌(その内523000件がHBV/HCV関連肝臓癌であり、561000件がHPV関連腫瘍である)の負担となる(Parkin et al. (2005) CA Cancer J Clin 55:74-108)。ウイルス関連癌の治療及び予防に新たなアプローチを見出す必要性は明らかであり、急を要する。
【0069】
ウイルス関連子宮頸癌及び肝細胞癌の放射免疫療法
本発明は、ウイルスタンパク質へのmAb等の結合分子を使用して、殺腫瘍放射線を送達する、ウイルスによって引き起こされる腫瘍に対する新規の戦略を提供する。この戦略は、「自己」タンパク質である標的化腫瘍関連抗原を有する放射免疫療法(RIT)の従来の使用とは根本的に異なる。
【0070】
ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸癌を引き起こすが、子宮頸癌は、世界保健機関(WHO)によると(2006年)、世界的に見て女性の癌死亡率の第2の原因とされている。WHOは、子宮頸癌の死亡数を年間およそ250000であると推定している。HPVの遺伝子型は、各々の遺伝子型への感染後に癌が発生する危険度に応じて、「高リスク」型及び「低リスク」型に分類することができる。HPV16又はHPV18等の高リスクHPVの女性の一部では、子宮頸部上皮新生物の新生物発生前病変が発生する。高度異形成へと進行する病変の少数は持続し、及び/又は浸潤癌になる前にin situで癌腫へと進行する傾向がある。WHOによると、子宮頸部腺癌及び外陰、膣、陰茎、及び肛門の扁平上皮癌(SCC)の大多数は、HPV16及びHPV18によって引き起こされ(世界規模では合わせて件数の約70%)、残りの30%は他の高リスク型HPV(HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV66)によるものである。異なる高リスク型の相対的重要性は国及び地域間で異なるが、16型が全ての地域において子宮頸癌の最大の原因となっている。HPVはまた、肛門、頭部、及び頚部の他の癌に関連し、まれに小児における再発性呼吸器乳頭腫症にも関連する(WHO、2006年)。
【0071】
米国では、子宮頸癌は女性の健康に大きな影響を与え、2004年には米国において10500件の新たな症例が診断されている(米国癌協会の統計)。ヒトパピローマウイルス(HPV)のHPV16及びHPV18は、子宮頸癌のおよそ90%に関連する。突然変異分析により、高リスク型HPVのE6及びE7遺伝子が、HPVの形質転換機能に必要且つ十分であることが示される。したがって、形質転換細胞のE6及びE7タンパク質の殺細胞剤による標的化は、子宮頸癌の治療及び/又は予防の戦略となる。
【0072】
標的化HPV16及びHPV18の適合性を決定するために、188−レニウム(188Re)で放射性標識したE6に対する市販のC1P5 mAb(IgG1アイソタイプ、Abcam、Cambridge MA)及びHPV16を発現するCasKiヒト子宮頸癌細胞株で、RITを用いて実験を実施した。全CasKi細胞に対する188Re−C1P5 mAbの結合性を、188Re標識したアイソタイプが一致する対照mAb 18B7の結合性と比較した。188Re−18B7の6%と比較して、16%の全CasKi細胞に対する188Re−C1P5の結合性が見られた(図1)。標的化細胞に隣接する細胞、又はさらには離れた細胞(放射性核種の放出範囲に応じる)がいわゆる「十字火」効果により破壊されるため、有効な療法のために腫瘍中の全ての細胞を結合に関して標的化する必要はない。
【0073】
188Re−C1P5 mAbのin vivoでの取り込みを評価するために、CasKi腫瘍をヌードマウスにおいて、107個の細胞を皮下注射することで誘導した。腫瘍の直径が4mm〜5mmに達すると、マウスに188Re−C1P5 mAb又は188Re−18B7対照 mAbを腹腔内注射した。動物のシンチグラフィーによるイメージングを注射の24時間後に実行し、生体内分布研究を48時間後に実施した。188Re−C1P5では腫瘍においてシンチグラフィーによる画像上に取り込みが認められたが、対照 mAbの188Re−18B7では取り込みは認められなかった(図2A及び図2B)。生体内分布結果から算出した腫瘍と正常筋肉との比により、188Re−C1P5と188Re−18B7との差が際立っていること(それぞれ10:1に対して3:1)が示された。188Re−C1P5 mAbの腫瘍における総取り込みは、注射の48時間後では体重(gr)当たりに注射した用量の2.0(±0.3)%であった。188Re−C1P5のこの取り込みレベルは、E6抗原が188Re−C1P5 mAbに接触可能となっている腫瘍において、生育不能の細胞及び/又はアポトーシスを起こした細胞の数が低いことによるものであり得る。接触可能抗原のレベルの低さに対抗する方法としては、アポトーシスを起こした細胞及び壊死細胞の数を増加させる外部電離放射線、及び/又はE6及びE7タンパク質レベルの増大を引き起こすプロテアソーム阻害剤MG132のいずれかによる腫瘍細胞の前処理が挙げられる(Oh, KJ et al. J Virol. 78, 5338 (2004)、Kehmeier, E et al. Virology 299, 72 (2002))。代替的には、C1P5よりも高い特異性を有するmAbを使用してもよい。
【0074】
E6及びE7の発現を、3つのヒト子宮頸癌細胞株(HPV16陽性のCasKi細胞株及びSiHa細胞株、並びにHPV18陽性HeLa S3細胞株)においてウエスタンブロット法により評価した。CasKi細胞ではE6抗原及びE7抗原の両方が発現し(図3A、図3B)、一方でSiHa細胞株及びHeLa S3細胞株は、E7タンパク質を(SiHa細胞ではE7発現のレベルは低いものではあるが(図3D))発現したが(図3D、図3E)、測定可能なE6抗原の発現を示さなかった(結果は図示しない)。
【0075】
プロテアソーム阻害剤MG132は、哺乳類細胞においてユビキチン共役タンパク質の分解を、ATPアーゼ又はイソペプチダーゼの活性に影響を与えることなく低減する。MG132が子宮頸癌細胞においてE6及びE7タンパク質のレベルを増大させることが報告されている(Kehmeier et al. (2002) Virology 299:72-87、Oh et al. (2004) J Virol 78:5338-5346)。標的抗原量を高くすることでRITの結果を改善することができる可能性があり、E6及びE7の発現レベルについて、プロテアソーム阻害剤MG132による子宮頸癌(CC)細胞の前処理の効果の研究が行われている。図3A及び図3Bは、CasKi細胞においてMG132による前処理によりE6及びE7の両方の発現が増大したが、MG132を2μg/mL及び5μg/mL使用することにより最大の発現レベルが達成され、これはより高い用量を使用することで低下したことを示している。CasKi細胞とMG132とのインキュベート期間を延長しても、E6発現は増大しなかった。実際には、CasKi細胞のMG132への曝露を延長することで、E6発現の低下が観察され(図3C)、これは3時間を越えるインキュベート後のタンパク質分解の増大を反映し得る。同様の実験をSiHa細胞株及びHeLa S3細胞株において、E7タンパク質に対して実施した(図3D、図3E)。SiHa細胞はE7レベルの明らかな増大を示さなかったが(図4D)、1μg/mL及び2μg/mLのMG132で処理したHeLa S3細胞については、E7レベルはわずかに増大した(図3E)。CasKi細胞におけるE6の確かな高い発現、及びヌードマウスにおいて腫瘍を産生するその能力を鑑みて、CasKi細胞及びE6タンパク質をさらなるin vitro実験及びin vivo実験のために選択した。
【0076】
細胞株の選択−実験的B型肝炎関連肝細胞癌(HCC)モデルとして働く抗原の組み合わせ。2つのB型肝炎関連ウイルスタンパク質(HBx及びPreS2)を、RITの潜在的標的として評価した。HBxは肝細胞癌の発症に関与すると疑われており、他の潜在的選択肢とは違って、HBxは宿主タンパク質と相同性を有しない。さらに、HBxをコードする遺伝子はHBVゲノムが肝細胞癌(HCC)に組み込まれ始めても保持されているが、他のHBV遺伝子は失われ得る(Hwang et al. (2003) J Clinical Microbiol 41:5598-5603、Lupberger J and Hildt E (2007) World J Gastroenterol 13:74-81)。PreS2も肝細胞癌の発症に関与すると疑われている(すなわち、増殖制御に重要な細胞遺伝子のトランス活性化による)(Lupberger J and Hildt E (2007) World J Gastroenterol 13:74-81)。HBxタンパク質は、HCC細胞株Hep 3B2.1−7の4H9 mAbを用いたウエスタンブロット法により一貫して検出され、その発現はMG132プロテアソーム阻害剤での前処理とは独立していたが(図3F)、preS2は検出されなかった(結果は示さない)。したがって、Hep 3B2.1−7細胞株とHBxタンパク質との組み合わせがさらなる実験のために選択された。
【0077】
生育不能細胞における抗体のウイルス抗原への結合。RITのための標的として同定したウイルスタンパク質に対する抗体が、生育不能腫瘍細胞においてウイルスタンパク質に結合可能かどうか明らかにするために、固定及び透過性CasKi細胞及びHep 3B2.1−7細胞の免疫蛍光を、それぞれE6タンパク質に対してはmAb C1P5及びHBxタンパク質に対してはmAb 4H9、続いてマウスIgGに対してFITC標識ポリクローナル抗体を用いて実施した。C1P5 mAbのほぼ無傷な細胞への結合は弱かったが、透過可能な膜を有する強い損傷を受けた細胞は、C1P5のE6への結合に対して明るい蛍光の指向性(pointing)を示した(図4A)。固定化及び透過化により、mAb 4H9がHBxタンパク質に結合することも可能となった(図4B)。対照IgG1 mAbの固定及び透過性CasKi細胞又はHep 3B2.1−7細胞への結合は全く観察されなかった(結果は示さない)。
【0078】
腫瘍におけるウイルスタンパク質の発現。ヌードマウスにおいて誘導される腫瘍において、CasKi細胞及びHep 3B2.1−7細胞がそれぞれE6ウイルス抗原及びHBxウイルス抗原を継続して発現することを確認するために、免疫組織化学及び免疫ブロット法をそれぞれE6及びHBxについて実施した。免疫組織化学により器官においてHBxタンパク質を正確に検出することの難しさを報告している文献に基づいて(Reifenberg K et al. (1999) J. Virol. 73:10399-10405)、Hep 3B2.1−7誘導腫瘍についてはウエスタンブロット法を選択した。CasKi腫瘍において特異mAb C1P5によるE6の強い染色が見られたが(図4C、左パネル)、対照IgGl mAbでは染色は観察されなかった(図4C、右パネル)。Hep 3B2.1−7誘導腫瘍のウエスタンブロット法によってHBxタンパク質の存在が明らかになった(図4D)。したがって、CC及びHCC実験的腫瘍における標的ウイルスタンパク質の存在により、シンチグラフィーによるイメージング及び療法のための放射性標識mAbによるこれらの抗原のin vivoでの標的化の可能性がもたらされた。
【0079】
CasKi及びHep 3B2.1−7腫瘍担持ヌードマウスにおけるウイルスタンパク質に対する放射性標識mAbの生体内分布。イメージング及び生体内分布実験を188Re放射性標識C1P5及び4H9 mAbにより、それぞれCasKi及びHep 3B2.1−7腫瘍を担持するヌードマウスにおいて実施して、腫瘍に対するmAbの局在性を確認した。注射の24時間後、CasKi腫瘍は、無関連188Re−18B7 mAbを注射したマウスの画像(図5B)とは対照的に、188Re−C1P5 mAbを注射したマウスのシンチグラフィー画像(図5A)において観察できる。腫瘍と筋肉との比は、48時間の生体内分布の結果から算出したが、188Re−C1P5では10:1であったのに対し、188Re−18B7では3:1であった。188Re−C1P5 mAbの腫瘍における総取り込みは、注射の48時間後で腫瘍1g当たり注射した用量の2.0(±0.3)%であった。肝臓、脾臓、及び血液のような他の器官は、IgG1 mAbに特徴的な取り込みレベルを示した。Hep 3B2.1−7については、マウスが2つの異なる腫瘍(一方は対象の腫瘍であり、他方は無関連対照腫瘍である)を担持する場合、モデルを用いてmAbの腫瘍への取り込みの特異性を証明するために別のアプローチを利用した。ヌードマウスはA2058ヒト転移性黒色腫腫瘍を右脇腹に、Hep 3B2.1−7を左脇腹に担持していた(図5C)。マウスに188Re−4H9 mAbを注射し、注射の24時間後シンチグラフィーによりイメージングした。抗体は無関連対照黒色腫腫瘍(図5D)とは対照的に、Hep 3B2.1−7腫瘍に局在した。ウイルス抗原に対する放射性標識mAbのマウスにおいてこれらの腫瘍に局在する能力によって、これらのin vivo癌モデルにおけるRIT評価が正当化された。
【0080】
CasKi及びHep 3B2.1−7腫瘍担持ヌードマウスのRIT。CasKi担癌マウスにおける188Re−C1P5 mAbの治療効果を評価するために、動物に350μCiの188Re−C1P5 mAb、若しくは一致する量(マウス1体当たり30μg)の非標識(「コールド(cold)」)C1P5 mAbのいずれかを注射するか、又は未処理のままにした。図6Aに処理グループ及び対照グループにおける腫瘍容積の変化を示す。350μCiの188Re−C1P5 mAbを用いたRITにより腫瘍増殖が完全に停止し、その容積が低減したが(図6A及び図6B)、未処理の腫瘍は激しく増殖し(図6A及び図6C)、未処理の対照マウスは処理の20日後には屠殺しなければならなかった(P<<0.01)。興味深いことに、「コールド」C1P5 mAbの投与により、腫瘍増殖の有意な遅延ももたらされたが、これはmAbによる炎症の誘発及び補体カスケードによるものであり得る。
【0081】
ヌードマウスにおけるHep 3B2.1−7腫瘍のRITについては、350μCiの188Re−4H9 mAb、「コールド」mAb処理対照、及び未処理グループを用いて、CasKi腫瘍に関するものと同じ実験的設計を初めに採用した。350μCiの188Re−4H9 mAbの投与により、腫瘍増殖の減速がもたらされたが、CasKi腫瘍の場合のようには腫瘍増殖は停止されなかった。「コールド」4H9 mAbは腫瘍増殖に対して効果を有しなかった。非常に侵攻性の強いHep 3B2.1−7の増殖を遅延させる、放射性標識mAbの最も有効な用量を見出すために、用量応答実験を行なった。188Re−4H9 mAbの治療効果は、280μCiの用量で現れ始め、用量を続いて増加する度に増大した(図7A)(P<0.02)。実験の完了時に、対照の未処理マウス及び最高の600μCiを投与したグループのマウスを組織学的に解析した。対照腫瘍は、壊死、フィブリン血栓、及び出血性の小さな病巣が散在した中分化肝様細胞から成っていた。新生物性細胞は、十分に好酸性の細胞質から細かく空胞化した細胞質まで、及び中間の大きさの核から、複数の大きい好酸性の核小体を含有する非常に大きく且つ未分化の核までを有し、時に多核細胞も認められた。分裂指数は高く、アポトーシスを起こした細胞が散在していた(図7B)。対照的に、RIT処理腫瘍は対照において見られるよりも有意に多い壊死及び出血性の細胞を有していた。腫瘍細胞の形態的外観は多くの場合、より空胞化した(変性を示唆する)原形質を有していた(図7C)。
【0082】
考察
本明細書中に記載されるin vitro実験及びin vivo実験の原理証明により、ウイルスが病因とされている腫瘍における、療法用の放射性標識抗体によるウイルス抗原の標的化の実現可能性が確立された。実験的子宮頸癌(CC)モデル及び肝細胞癌(HCC)モデルを、これらの癌がそれぞれHPV及びHBV/HCVに病因学的に関連し、世界的に見て公衆衛生に重大な意義を有するため使用した。
【0083】
第一の課題はCC及びHCCにおける標的ウイルス抗原の選択であった。HPV関連CCであるE6及びE7腫瘍性タンパク質を、RITに対する潜在的標的として同定した。これは、これらは全ての子宮頸癌細胞において発現されると考えられるが、他のウイルス遺伝子は腫瘍形成の多段階プロセス中に失われ得るためである。同様に、HCCにおいて、HBx発現は維持されると考えられる。しかしながら、これら3つのタンパク質の放射性標識mAbによる標的化にはその細胞内での位置という重要な問題がある。E6及びE7の両方は核内に位置し、HBxは核及び時には原形質に見られる。結果として、これらのタンパク質に対する放射性標識mAbは、これらが死細胞から放出されるか、又は腫瘍細胞が透過性である場合にそれぞれの抗原のみに結合する。CasKi細胞株は、E6及びE7をin vitroで高レベルで発現し、腫瘍が潜伏期の後ヌードマウスにおいて激しく増殖するためCCモデルとして選択した。Hep 3B2.1−7細胞株は、HBxを高レベルで発現し、マウスにおいて速い腫瘍増殖を示すためHCCモデルとして選択した。
【0084】
腫瘍細胞の免疫蛍光並びに腫瘍の免疫組織化学及びウエスタンブロット法により、多量のE6抗原性標的及びHBx抗原性標的が、それぞれCasKi誘導腫瘍及びHep 3B2.1−7誘導腫瘍に存在することが明らかにされた(図4)。放射性標識mAbに対して接近可能な抗原が存在するのは、速い代謝回転を受ける腫瘍細胞からのタンパク質放出の結果であると思われる。したがって、放射性標識抗体は腫瘍組織に蓄積し、シンチグラフィーによりイメージングすることができた(図5)。腫瘍における標的化ウイルス抗原の利点の1つは、悪性細胞のみにしか見られないという点である。対照的に、Chen and colleagues(Cancer Res 49:4578-4585, 1980)により、特異放射性標識抗体及び非特異放射性標識抗体の生体内分布実験では、それらが核内のヒストンを標的化する場合に腫瘍の取り込みに差異がないことが観察された。
【0085】
ウイルスタンパク質に対する放射性標識mAbの細胞毒性放射性核種を送達する能力。腫瘍細胞に対する188−レニウムは、担癌マウスにおけるこれらのmAbによるRITの結果の成功を容易にする。CasKi担癌マウスに350μCi量のE6結合188Re−C1P5 mAbを投与することにより、腫瘍増殖が完全に停止し、さらにはその退行をもたらした(図6)。また、抗体自体が非標識抗体として炎症反応を媒介し、補体を活性化することから、幾つかのさらなる治療上の利点があると思われる。Hep 3B2.1−7 HCC腫瘍を担持するマウスにおける用量応答実験により、治療効果の用量依存性が明確に実証された(図7)。HCCにおいて治療効果をもたらすために子宮頸腫瘍よりも高い用量の放射性標識mAbが必要とされた事実は、Hep 3B2.1−7の悪性度、及び比較的放射線への感受性が高い子宮頸癌と比較した肝臓腫瘍の既知の放射線耐性を反映し得る(Yang et al. (2005) World J Gastroenterol 11:4098-4101)。また、マウスにおける188Re標識IgG1に対するおよそ800μCiの最大耐量をはるかに下回る放射線用量で、両方の実験的腫瘍における治療効果(gains)が達成され(Sharkey et al. (1997) Int J Cancer 72:477-485)、そのように使用される用量は、いかなる短期毒性又は慢性毒性も生じないことが予想されているのは注目に値する。
【0086】
ウイルス関連癌をウイルス抗原の標的化により治療する場合、腫瘍中の全ての細胞が治療効果を得るためにウイルス抗原を発現する必要はないことを重視するのは重要である。188Re(組織における放出範囲が10mm)等の長距離放射体は、放射線を360°の範囲に放出するため、抗原位置の近傍の細胞を破壊することができる。さらに、高濃度の標的化ウイルス抗原は、黒色腫に対するRITの最新モデル(細胞内抗原でもあるメラニンに対して標的化される)によると、腫瘍への治療用量の送達には恐らく必要とされない。このモデルにより、腫瘍に送達される放射線用量は概して、メラニン(抗原)濃度に依存しないことが示される(Schweitzer et al. (2007) Melanoma Res 17:291-303)。
【0087】
このアプローチはまた、慢性的に感染した個体(例えば、HIV感染個体におけるHPV感染の持続は、個体がHPV関連癌を発症する危険性を有意に高める)においてウイルス関連癌を予防する見込みがある。HBV及びHCVに対する免疫療法があるが、多くの患者はウイルス排除を達成せず、治療はかなりの罹患率を伴う。また、HCVに対するワクチンはなく、世界的に見て何百万という人々が、有効なワクチンを入手可能であるにも関わらずHBVに感染している。HPV、HBV、HCV、又は他のウイルスの持続感染を受けた細胞は、ウイルス抗原を標的とするRITにより悪性の表現型に形質転換する前に排除される可能性がある。
【0088】
結論として、in vitro及びin vivoの実験により、ウイルスタンパク質に対する放射性標識mAb標的化を用いて、ウイルス関連腫瘍を治療する新規の戦略が実証された。この戦略は、腫瘍学におけるRITの従来の使用(腫瘍関連ヒト抗原を標的とするため、正常組織において放射性抗体の有意な取り込みを生じ、毒性をもたらす)とは根本的に異なる。本研究の結果により、自己タンパク質の代わりにウイルスタンパク質を標的とすることで、放射性標識mAbがより特異的に腫瘍組織内に集中し、より大きな有効性及びより小さい毒性をもたらし得ることが示される。この戦略はまた、発癌ウイルスに感染した細胞を癌に形質転換する前に排除することで、慢性感染患者においてウイルス関連癌を予防する可能性をさらに高める。
【0089】
材料及び方法
抗体。AbcamからのマウスmAbである、HPV16 E6+HPV18 E6に対するC1P5及びHPV16 E7に対するTVG 701YをCC実験に使用した。HBV HBxに対するマウスmAb 4H9(Aviva、カタログ番号AVAMM2005)及びHBsAg preS2抗原と交差反応するHBVタンパク質Hbsに対するマウスmAb S26(Gene Tex Inc.、カタログ番号GTX18797)をHCC実験に使用した。クリプトコックス・ネオフォルマンス(C. neoformans)に対するマウス18B7 mAb(IgG1)(Casadevall A et al. (1992) J Infec Dis 165:1086-1093)を全ての特異抗体の無関連対照として使用した。アルカリホスファターゼで標識した、マウスIgG H&Lに対するウサギポリクローナル抗体をAbcamから購入し、ウエスタンブロット法において二次抗体として使用した。
【0090】
細胞株及び細胞培養法。3種のヒト子宮頸癌細胞株:HeIa S3、SiHa、及びCasKiをATCC(Manassas、VA)から購入した。細胞を10%FBS(Sigma)及び1%ペニシリン−ストレプトマイシン溶液(Sigma、ペニシリン10000U及びストレプトマイシン10mg/ml)を含有するDMEM/HAM F−12K(Sigma、1:1)中、37℃で5%CO2培養器において通常どおり培養した。細胞株Hep 3B2.1−7(ヒト肝細胞癌)をATCCから購入した。当該細胞株は統合B型肝炎ウイルスゲノムを含有し、8歳の黒人少年の肝細胞癌組織に由来する。細胞を10%FBS(Sigma)を含有するイーグル最小必須培地(EMEM)(ATCC)中、37℃で5%CO2培養器において通常どおり培養した。細胞層を75ml容フラスコ中で、2mlの1×トリプシン−EDTA溶液(Sigma、0.25%(w/v)トリプシン−0.53mM EDTA)添加することにより室温で15分間分散させた。悪性黒色腫の患者のリンパ節転移に由来するA2058細胞株はATCCから得た。細胞を10%ウシ胎仔血清及び5%ペニシリン−ストレプトマイシン溶液を補充した、4mM L−グルタミン、4.5g/Lグルコース、1.5g/L重炭酸ナトリウムを含むダルベッコ変法イーグル培地中、37℃及び5%CO2で単層に維持し、0.25%(w/v)トリプシン−EDTA溶液を用いて採取した。全ての細胞株の通常の維持をATCCのプロトコルに従って実施した。
【0091】
ウエスタンブロット法。細胞ペレットを溶解バッファー(4%SDS、20%グリセロール、0.5M TrisHCl(pH 6.8)、0.002%ブロモフェノールブルー、及び10%β−メルカプトエタノール)中で懸濁した。タンパク質試料をSDS−PAGEを実行する前に15分間水中で煮沸した。25μl〜30μlのタンパク質溶液を、12%プレキャストSDS−PAGEゲル(Bio-Rad)の各々のウェルに充填した。試料中の相対タンパク質量をモニタリングするためにSDS−PAGEを使用した。12%SDS−PAGEゲルをタンパク質の分離に使用し、Mini−Protean(登録商標)3 Cell装置(Bio-Rad)を用いて電気泳動を実施した。電気泳動後、ゲルをPVDF転写バッファー(25mM Tris、190mMグリシン、及び2.5%(v/v)メタノール)に5分間移した。次に、タンパク質をゲルからImmun−Blot(商標)PVDF膜(Bio-Rad)に、Semi−dry Electrophoretic Transfer Cell(Bio-Rad)上で、15Vで17分間転写した。膜をブロッキングバッファー(25mM TrisHCl(pH 7.6)、1mM EDTA、及び150mM NaCl)に5分間浸した後、ブロッキング溶液(ブロッキングバッファー中5%脱脂粉乳)に移し、1時間穏やかに振とうした。膜を、1:3000に希釈した一次抗体を含有するTBST溶液(0.1%Tween−20、25mM TrisHCl(pH 7.6)、及び500mM NaCl)中で穏やかに振とうしながら室温で1時間インキュベートした。次に、膜をTBSTで3回洗浄した(1回の洗浄に10分)。膜を、TBSTで1:100000に希釈した、アルカリホスファターゼで標識した二次抗体(マウスIgG H&L(アルカリホスファターゼ)に対するウサギポリクローナル)とハイブリダイズさせた。TBSTで3回洗浄した後、膜をCDP−Star(商標)化学発光基質溶液(Sigma)中で5分間インキュベートし、その後、CL−XPosure(商標)フィルム(Pierce)に曝露した。メーカーの使用説明書に従ってフィルムを現像した。
【0092】
細胞のMG132処理。CALBIOCHEMから購入したMG132(Z−LLL−CHO、MW=457.6)は、強力な細胞透過性の可逆的プロテアソーム阻害剤(Ki=4nM)である。MG132をまず、1滴の100%エタノール、続いてDMEM/HAM F−12K培地中にFBSを添加せずに溶解し、原液を4℃で保管した。細胞培養物を採取し、6本の滅菌試験管に移した。各々の管には0.5ml〜1mlの細胞培養物が含まれており(細胞濃度は約106細胞数/ml)、細胞を5%CO2培養器内、37℃で一晩増殖させた。次に、MG132溶液を0μg/ml、1μg/ml、2μg/ml、5μg/ml、10μg/ml、又は25μg/ml(それぞれ0μM、2.1μM、4.2μM、10.5μM、21μM、又は52μM)の最終濃度で管に添加した。細胞を同じ条件下でさらに3時間又は6時間インキュベートした。最後に、細胞を遠心分離で採取し、PBSで洗浄することにより清澄化した。
【0093】
放射性同位体及び抗体の放射標識化。16.9時間の半減期を有するβ放射体188Reを、過レニウム酸ナトリウムNa188ReO4の形で188W/188Re発生器(Oak Ridge National Laboratory、Oak Ridge、TN)から溶出させた。以前に記載されているように(Kaminski MS et al. (2005) N Engl J Med 352:441-449.)、抗体を還元188Reの抗体上に生じた−SH基への結合を介して188Reで直接標識した。
【0094】
腫瘍細胞におけるウイルス抗原の免疫蛍光検出。腫瘍細胞をスライドチャンバー内で、37℃で12時間培養した。培地を除去し、細胞をPBSで3回洗浄した。手順全体を通して、細胞は各々の処理後にPBSで3回洗浄した。細胞を4%パラホルムアルデヒドで室温で20分間固定し、続いてPBS中0.3%Triton−X100で室温で10分間透過化した。固定及び透過化した細胞をPBS中5%BSA+0.1%Triton X−100で室温で30分間ブロッキングした。ウイルス抗原特異mAbを、上記のBSA+Triton X−100溶液で1:200に希釈し、細胞と共に室温で60分間インキュベートした。1:300に希釈した、マウスIgGに対するFTIC標識ウサギポリクローナル抗体を細胞に添加し、室温で60分間暗所でインキュベートした。スライドを、FITCフィルタを備えたOlympus AX70顕微鏡(Melville、NY)を用いて観察した。
【0095】
腫瘍モデル。全ての動物研究は、アルバートアインシュタイン医科大学の動物研究研究所のガイドラインに従って実施された。ヒト子宮頸癌CasKi細胞株及びヒト肝細胞癌Hep 3B2.1−7細胞株を、それぞれがE6及びHBxを発現すること、及びヌードマウスにおけるその腫瘍原性に基づいて腫瘍モデルとして選択した。Charles Riverから購入した6週齢のメスNu/Nu CDlヌードマウスの右の脇腹に、10%牛胎仔血清を含有する0.1mlのDMEM培地中107個のCaSki細胞又はHep 3B2.1−7細胞を注射した。CasKi腫瘍は注射後およそ60日で現れ始め、Hep 3B2.1−7腫瘍は細胞注射後10日で現れ始めた。HBx特異mAbの生体内分布については、107個のA2058ヒト転移性黒色腫細胞及び107個のHep 3B2.1−7細胞を、それぞれヌードマウスの右及び左の脇腹に接種した。生体内分布及び療法の実験は、腫瘍の直径が0.3cm〜0.7cmに達した時点で開始した。
【0096】
CasKi腫瘍におけるHPV E6タンパク質の免疫組織化学的検出。CasKi担癌マウスから採取した腫瘍を、10%緩衝ホルマリン中で一晩固定し、続いて70%エタノール中に入れた。パラフィン包埋腫瘍組織を5μmの切片(slides)にした。切片をキシレン中で脱パラフィンし、エタノール中で連続して脱水し、クエン酸緩衝液(pH 6.0)で100℃で20分間前処理して抗原を回収した。内因性ペルオキシダーゼ活性を阻害するために、切片をメタノール中3%過酸化水素で処理した。次に、Histostain(登録商標)−Plus Kits Zymed(登録商標)2nd Generation LAB−SA Detection System(Invitrogen)を用いて、メーカーの使用説明書に従って腫瘍組織切片のIHC染色を実施した。マウスmAb C1P5を一次抗体として使用して、腫瘍組織中のE6タンパク質を検出し、陰性対照を一次抗体の代わりに18B7 mAbと共に、同じ条件下でインキュベートした。IHCに使用される他の試薬はキットに同梱されている。
【0097】
Hep 3B2.1−7腫瘍におけるHBx抗原のウエスタンブロット検出。Hep 3B2.1−7腫瘍を氷上で均質化し、ウエスタンブロット法を上記のように実施した。
【0098】
生体内分布及び188Re標識mAbによるシンチグラフィーによるイメージング。CasKi担癌マウス又はHep 3B2.1−7担癌マウスにおける生体内分布及びシンチグラフィーによるイメージングについては、マウスを3つのグループに分け、100μCiの特異mAb188Re−C1P5若しくは188Re−4H9、又は対照mAb188Re−18B7のいずれかを腹腔内注射した。注射の24時間後、マウスにイソフルランで麻酔をかけ、Iconの画像処理ソフトウェアを備えたSiemensのガンマカメラで、シンチグラフィーにより2分間イメージングした。注射の48時間後、マウスを屠殺して、腫瘍及び筋肉を除去し、血液を拭き取り、秤量し、ガンマカウンターで測定して、組織1g当たりの注入量(%)及び腫瘍と筋肉との比を算出した。
【0099】
ヌードマウスのCaSki腫瘍及びHep 3B2.1−7腫瘍の188Re標識mAbによる治療法。治療法研究のために、直径0.3cm〜0.7cmの腫瘍を有するマウスを、無作為に6つのグループに分けた。CasKi担癌マウスについては、グループ#1は350μCiの188Re−C1P5 mAbで、グループ#2は適合する量(30μg)の「コールド」C1P5 mAbで腹腔内処理し、グループ#3は未処理のままにした。Hep 3B2.1−7担癌マウスのRITについては、グループ#1には240μCiの188Re−4H9 mAb、グループ#2には280μCiの、グループ#3には350μCiの、グループ#4には500μCiの、グループ#5には600μCiの188Re−4H9 mAb、グループ#6には30μgの「コールド」4H9 mAbを腹腔内投与し、グループ#7は未処理のままにした。マウスをその健康状態及び腫瘍増殖について観察した。腫瘍の大きさを3日毎に、キャリパーを用いて三次元で測定し、腫瘍容積を三次元を2で除算した値として算出した。組織学的分析のために、腫瘍を実験の完了時にマウスから除去して、緩衝ホルマリン中で固定し、パラフィンで処理し、5μmの切片にして、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で染色した。
【0100】
統計分析。ノンパラメトリック検定であるウィルコクソンの順位和検定を、生体内分布研究における器官の取り込み、及び治療法研究における腫瘍の大きさを比較するために使用した。P値が0.05未満であった場合に、差異は統計的に有意であると見なした。
【0101】
理論実験例
理論実験例1。抗ウイルス抗原IgG F(ab’)2断片及びFab’断片の発生:エプスタイン・バーウイルスgp 350に対するモノクローナルIgG抗体72A1は、in vitro並びにマウス及びヒトのin vivoの両方でEBVによる感染を予防することが示されている(Haque et al. (2006) J Infect. Dis. 194:584-587)。F(ab’)2断片は、Lendvai et al.(J Infect. Dis. 177:1647-59, 1998)のように市販キット(ImmunoPure、Pierce)を使用して得ることができる。簡潔に述べると、pH 4.2でのIgGのペプシン消化を実行した後、ペプシンビーズを遠心分離し、5M酢酸ナトリウムでpHを7に調整することによりタンパク質分解を停止することができる。Fab’断片は、F(ab’)2断片を10mMジチオスレイトール、続いて22mMヨードアセトアミドとインキュベートし、チオール基を阻害することにより生成することができる。得られた断片の分子量は、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)、及びサイズ排除HPLCにより解析することができる。タンパク質濃度は、Lowry et al.(J. Biol. Chem. 193:265-275, 1951)による方法、又は当該技術分野で既知の他の手段により求めることができる。
【0102】
理論実験例2。スクシンイミジル−HYNIC(ヒドラジノニコチンアミド)を用いた抗体及びF(ab’)2断片の間接標識化:例えば188−Re及び111−Inによる「間接」放射標識化のために、抗体及びF(ab’)2断片を、例えばスクシンイミジル−HYNIC(ヒドラジノニコチンアミド)を用いて誘導体化し、Blankenberg et al.(J. Nucl. Med. 40:184-191, 1999)のように精製することができる。HYNIC等の二官能性キレート剤による「間接」標識化を採用することの「直接」標識化に優る利点は、長期間にわたって冷凍保管することができる一定分量のHYNIC結合分子を用いることで、放射標識化プロセスが大いに単純化及び短縮される点である。タンパク質にHYNICを組み込むことで、385nmで分光測定でモニタリングすることができる(King et al. (1986) Biochem. 25:5774-5779)。最初のHYNICとタンパク質との比は、好ましくは最終のHYNICとタンパク質との比が約1.5を超えないように選択されるが、これはこの数字を超えると免疫反応性が部分的に失われる可能性があるためである。
【0103】
理論実験例3。HEHAの付着による結合分子の放射標識化:HEHA(1,4,7,10,13,16−ヘキサアザシクロ−ヘキサデカン−N,N’,N’,N’,N’,N’−ヘキサ酢酸)は、タンパク性結合分子に共有結合可能な一価のキレート剤である。HEHAは放射免疫療法に対する放射線放出同位体として優れた担体であると記載され、α放射体225−Acに特に有用である(Brechbiel et al.に対する米国特許第6,995,247号明細書)。225−Acは、以前記載されたように、225−Ra(t1/2=15日)からイオン交換及び抽出カラムクロマトグラフィにより分離することができる(Boll et al. (1997) Radiochim. Acta 79:145-149)。0.1M HNO3中の精製225−Acの原液は、必要に応じて新たに調製することができる。225−Acは、およそ100μlの225−Ac溶液(およそ10MBq、0.1M HNO3)と20μlのリガンド(水中約0.01M)を混合し、5μl〜10μlの1.0M酢酸アンモニウムを添加してpHを5.0近くに調整することで、HEHAと複合させることができる。混合物を40℃に30分間維持し、次に0.1M酢酸アンモニウム(pH=5.0)で予め平衡化したChelexカラム(Bio-Rad Laboratories、Richmond、Calif.)で、約300μlのベッドボリュームで、2mlの酢酸アンモニウム溶液を溶離液として用いて精製する。
【0104】
抗体溶液は、初めに透析チューブ(Spectra/Por CE DispoDialysers、MWCO 10K、5ml)に移し、コンジュゲートバッファー(1l、0.05M CO3-2/HCO3-1、0.15M NaCl、5mM EDTA、pH 8.6)に対して、4℃で6時間透析することができる。透析後、タンパク質濃度は、ローリー法(Lowry et al, (1951) J. Biol. Chem. 193:265-275)を用いてウシ血清アルブミン標準溶液により分光測定で求めることができる。HEHA−NCS水溶液を、リガンドの抗体に対する最初のモル比が50倍となるように抗体溶液に添加する。反応混合物を室温で一晩(約18時間)放置する。反応混合物をCentricon(MWCO 30K又は50K)(Amicon)濾過ユニットに移す。酢酸アンモニウム緩衝液(0.15M酢酸アンモニウム、pH 7.0)を濾過ユニットに全容積が1.5mlとなるまで添加し、濾過ユニットを残存容積がおよそ0.5mlとなるまで遠心分離する。さらなるバッファーを添加して、このプロセスを合計で6回繰り返す。最終抗体濃度は分光測定で測定することができ、リガンドのタンパク質に対する比(L/P)は、以前記載されたように求めることができる(Dadachova et al, (1999) Nucl. Med. Biol. 26:977 982)。
【0105】
簡潔に述べると、放射標識化は、Mirzadeh et al.(Bioconjugate Chem. 1:59 65, 1990)に詳細に記載されるものを若干修正した手順を用いて実施することができる。標識化はpH=4〜4.2で実施する。放射性金属溶液のpH値を、数μlの3M NaOAcを添加して3.8〜4.0に調整する。非標識HEHA複合体のpHを、必要な量の0.15M酢酸アンモニウム緩衝液(pH=4.0)を添加することで、4〜4.2に低下させる。この溶液に放射性金属を添加し、反応混合物を室温で30分間放置する。3M NaOAcでpHを約6に上げることで反応を停止させ、任意の遊離放射性金属を5mlの0.5M Na2EDTA溶液を用いて取り除くことができる。生成物は、1ml/分でPBSを溶出してTSK−3000 HPLCカラム(Thompson Instruments)を通過させることにより精製することができる。
【0106】
本明細書に引用される各々の特許、出願、及び論文は、参照により援用される。上述の発明を実施するための形態及び実施例は例示として意図され、限定するものとは解釈されない。本発明の精神及び範囲の内にある他の変形形態も可能であり、当業者は容易に理解することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイルス関連癌を有する被験者を治療する方法であって、該被験者に放射性標識結合分子を投与することを含み、該結合分子が、該被験者においてウイルス関連癌細胞が発現するウイルス抗原に結合する、方法。
【請求項2】
前記ウイルス抗原が前記ウイルス関連癌細胞の細胞表面にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウイルス抗原が前記ウイルス関連癌細胞の細胞内に位置する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記癌が固形腫瘍、半固形腫瘍、又は液性腫瘍である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記癌が子宮頸癌、肝細胞癌、リンパ腫、バーキットリンパ腫、上咽頭癌、ホジキン病、皮膚癌、原発性滲出液リンパ腫、多中心性キャッスルマン病、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、脾リンパ腫、成人T細胞白血病、有毛細胞白血病、カポジ肉腫、移植後リンパ腫、脳腫瘍、多中心性キャッスルマン病、骨肉腫、中皮腫、子宮頸部異形成、肛門癌、外陰癌、膣癌、陰茎癌、口腔咽頭癌、上咽頭癌、口腔癌、肝臓癌、又は皮膚癌である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記癌が子宮頸癌である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ウイルスがエンベロープウイルスである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ウイルス抗原がDNAウイルスの産物である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ウイルス抗原が、ヘパドナウイルス科、ヘルペスウイルス科、パピローマウイルス科、ポリオーマウイルス科、又はポックスウイルス科のウイルスの産物である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ウイルス抗原がRNAウイルスの産物である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ウイルス抗原がフラビウイルス科、パラミクソウイルス科、レトロウイルス科、又はラブドウイルス科のウイルスの産物である、請求項1〜7及び10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ウイルス抗原が、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、ヒトヘルペスウイルス8(HHV8)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ヒトパピローマウイルス16(HPV16)、パピローマウイルス18(HPV18)、パピローマウイルス31(HPV31)、パピローマウイルス33(HPV33)、パピローマウイルス35(HPV35)、パピローマウイルス39(HPV39)、パピローマウイルス45(HPV45)、パピローマウイルス51(HPV51)、パピローマウイルス66(HPV66)、シミアンウイルス40(SV40)、JCポリオーマウイルス(JCV)、BKポリオーマウイルス(BKV)、伝染性軟属腫ウイルス(MCV)、マウス乳房白血病ウイルス(MMLV)、ヒトアデノウイルスA〜F、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトT細胞リンパ向性ウイルス1(HTLV−1)、ヒトT細胞リンパ向性ウイルス2(HTLV−2)、ウシ白血病ウイルス(BLV)、ネコ白血病ウイルス(FeLV)、カポジ肉腫ウイルス(KSV)、モロニーマウス肉腫ウイルス、マウス乳癌ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス−1(HIV−1)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、トリ赤芽球症ウイルス、トリ骨髄芽球症ウイルス、トリ癌腫ウイルス、又はウォールアイ皮膚肉腫ウイルス(WDSV)の産物である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ウイルス抗原がヒトパピローマウイルス(HPV)の産物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記癌が子宮頸癌であり、且つ前記ウイルス抗原がヒトパピローマウイルス(HPV)の産物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記結合分子がパラトープ含有分子である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記パラトープ含有分子が無傷抗体である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記パラトープ含有分子がFab抗体断片である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記結合分子が一本鎖ポリペプチドである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
放射線放出同位体が11−C、18−F、32−P、34m−Cl、38−K、47−Sc、51−Mn、52−Mn、52m−Mn、52−Fe、55−Co、61−Cu、62−Cu、64−Cu、67−Cu、62−Ga、67−Ga、68−Ga、72−As、77−As、75−Br、76−Br、82m−Rb、83−Sr、87−Sr、86−Y、89−Sr、90−Y、89−Zr、94m−Tc、99m−Tc、105−Rh、109−Pd、111−Ag、110−In、111−In、118−Sb、120−I、122−I、123−I、124−I、125−I、131−I、177−Lu、153−Sm、159−Gd、166−Ho、166−Dy、140−La、194−Ir、198−Au、199−Au、186−Re、188−Re、211−As、212−Bi、213−Bi、212−Pb、222−Ra、223−Ra、224−Ra、225−Ra、225−Ac、及び255−Fmから成る群から選択される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記被験者がヒトである、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
被験者においてウイルス関連腫瘍細胞をイメージングする方法であって、該被験者に放射性標識結合分子を投与することを含み、該結合分子が、該被験者においてウイルス関連腫瘍細胞が発現するウイルス抗原に結合する、方法。
【請求項23】
前記ウイルス抗原が前記ウイルス関連腫瘍細胞の細胞表面にあり、及び/又は前記ウイルス抗原が前記ウイルス関連腫瘍細胞の細胞内に位置する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記腫瘍細胞が固形腫瘍中に存在する、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記被験者が子宮頸癌、肝細胞癌、リンパ腫、バーキットリンパ腫、上咽頭癌、ホジキン病、皮膚癌、原発性滲出液リンパ腫、多中心性キャッスルマン病、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、脾リンパ腫、成人T細胞白血病、有毛細胞白血病、カポジ肉腫、移植後リンパ腫、脳腫瘍、多中心性キャッスルマン病、骨肉腫、中皮腫、子宮頸部異形成、肛門癌、外陰癌、膣癌、陰茎癌、口腔咽頭癌、上咽頭癌、口腔癌、肝臓癌、及び皮膚癌から成る群から選択される癌を有する、請求項22〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記ウイルスがエンベロープウイルスである、請求項22〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記ウイルス抗原がDNAウイルス又はRNAウイルスの産物である、請求項22〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記ウイルス抗原が、ヘパドナウイルス科、ヘルペスウイルス科、パピローマウイルス科、ポリオーマウイルス科、ポックスウイルス科、フラビウイルス科、パラミクソウイルス科、レトロウイルス科、又はラブドウイルス科のウイルスの産物である、請求項22〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記ウイルス抗原が、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、ヒトヘルペスウイルス8(HHV8)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ヒトパピローマウイルス16(HPV16)、ヒトパピローマウイルス18(HPV18)、ヒトパピローマウイルス31(HPV31)、パピローマウイルス33(HPV33)、パピローマウイルス35(HPV35)、パピローマウイルス39(HPV39)、パピローマウイルス45(HPV45)、パピローマウイルス51(HPV51)、パピローマウイルス66(HPV66)、シミアンウイルス40(SV40)、JCポリオーマウイルス(JCV)、BKポリオーマウイルス(BKV)、伝染性軟属腫ウイルス(MCV)、マウス乳房白血病ウイルス(MMLV)、ヒトアデノウイルスA〜F、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトT細胞リンパ向性ウイルス1(HTLV−1)、ヒトT細胞リンパ向性ウイルス2(HTLV−2)、ウシ白血病ウイルス(BLV)、ネコ白血病ウイルス(FeLV)、カポジ肉腫ウイルス(KSV)、モロニーマウス肉腫ウイルス、マウス乳癌ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV−1)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、トリ赤芽球症ウイルス、トリ骨髄芽球症ウイルス、トリ癌腫ウイルス、又はウォールアイ皮膚肉腫ウイルス(WDSV)の産物である、請求項22〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記結合分子がパラトープ含有分子である、請求項22〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記パラトープ含有分子が無傷抗体又はFab抗体断片である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記結合分子がモノクローナル抗体である、請求項22〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記結合分子が一本鎖ポリペプチドである、請求項22〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記被験者がヒトである、請求項22〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
投薬形態に製剤された医薬組成物であって、放射性標識結合分子及び薬学的に許容可能な担体を含み、該結合分子が、ウイルス関連癌細胞が発現するウイルス抗原に特異的であり、且つ投薬量が被験者において前記ウイルス抗原を発現する癌細胞を破壊するのに適切であるか、又は投薬量が被験者においてウイルス関連癌細胞をイメージングするのに適切である、医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−513481(P2010−513481A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542808(P2009−542808)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/025491
【国際公開番号】WO2008/085266
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(591054174)イェシバ・ユニバーシティ (12)
【氏名又は名称原語表記】YESHIVA UNIVERSITY
【Fターム(参考)】