説明

放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体および腫瘍診断と腫瘍療法におけるそれらの利用

【課題】本発明は新規放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体、並びに腫瘍診断と腫瘍治療におけるそれらの使用に関する。
【解決手段】本発明の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体は新規で且つ特に有利な性質、特に腫瘍における濃縮と滞留、肝臓における濃縮および血中貯留に関して特に有利な性質を有する。本発明の化合物では、健全な体組織に比較して腫瘍において達成される放射線治療線量が有利である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体および腫瘍診断と腫瘍療法におけるそれらの利用に関する。本発明に係わる放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体は新規であり、且つ特に腫瘍における濃縮と滞留、肝における濃縮および血中集積に関して特別に有利な性質を有する。
【背景技術】
【0002】
放射線診断薬および放射線治療薬は癌の診断や撲滅に重要な役割を果たしている。多くの癌が転移しやすい性質を有することは、全ての転移の早期検出のための重要な手段として、放射性診断薬の有効性に対して高い要求をかける。体内の罹患組織のこの早期検出は、指定の治療法に有意な影響を及ぼす。この場合の1つの特例として、悪性黒色腫(メラノーマ)における超凝集性の転移形成を挙げることができる。
【0003】
早期の転移位置決定は、凝集的に増殖する黒色腫の治療にとって特に重要なものである。しかしながら、一般的にコンピューター連動断層撮影(X線照射)によって同定され巣は侵略性の組織学的検査を必要とする。
【0004】
この点について、核医学研究は、代謝性基質としての性質のために静注後に蓄積するかまたは初期腫瘍と黒色腫転移巣において腫瘍特異的標的構造に結合する、陽電子と光量子を放出する多数の化合物を開発している。次いで陽電子射出断層撮影(PET)カメラまたはガンマカメラを使って、活性分布と腫瘍における起こりうる濃縮の視覚化が実施され、解剖学的に関連付けられ、評価されそして文書に記録される。放射性診断薬の標準として、[F-18]2-フルオロデオキシグルコース(FDG)が現在PET診断に用いられている(D.Delbeke他、J.Nucl.Med. 40: 591-603 (1999); D.J. Macfarlane他、J. Clin. Oncol. 16: 1770-1776 (1998); J. Ruhlmann他、J. Nucl. Med. 40:20P (1999))。適当な療法学的に関連性のある同位体対がないことは、[F-18]標識化合物の一般的欠点である。従って、[F-18]2-フルオロデオキシグルコース(FDG)は診断目的にのみ限定的に用いることができる。
【0005】
迅速で且つ凝集性の転移性質のために、黒色腫の治療においては、特に第III 期と第IV期の患者の場合には、ごく短い生存期間しか、期待できないのである(NIH Consensus Development Panel on Early Diagnosis and Treatment of Early Melanoma, J. Am. Med. Assoc. 268: 1314-1319 (1992); D.S. Rigel他、CA Cancer J. Clin. 50: 215-236 (2000))。化学療法薬(単独でのまたはDartmouthプロトコルによるDacarbazin(登録商標)など)での治療、免疫療法(インターフェロンαなど)および遺伝子療法へのアプローチは全て現在のところあまり成功していない。転移巣の外科的切除が選択手段であるが、それはしばしば複数臓器の罹患の場合には適用することができない。従って、診断/治療用同位体ペアを用意することができる黒色腫の特異的マーカーの使用が特に有益となる。そのような同位体ペアは例えばI-123またはI-124(診断用)およびI-125またはI-131(治療用)であった。加えて、In-111/Y-86/Tc-99m(診断用)およびY-90/Re-186/Re-188(治療用)を挙げることができる。
【0006】
様々な放射性ヨウ素化ベンズアミドが黒色腫細胞に関して親和性を有するという発見が、多くのN-(2-ジアルキルアミノアルキル)-4-ヨードベンズアミド誘導体の開発をもたらした(J.M. Michelot他、J. Nucl. Med. 32: 17573-1580 (1991)および米国特許第5,190,741号)。これらは、Phase II研究における黒色腫の診断についても臨床的に試験されている(J.M. Michelot他、J. Nucl. Med. 34: 1260-1266 (1993)。記載された結果は、ヨードチロシンのような単純な放射性標識アミノ酸を使用した場合に比較して相当改善された絶対画像を示す(例えば、G.Kloss他、Eur. J. Nucl. Med. 4: 179-186 (1979))。放射性ヨウ素化抗体に比べて、より有利な黒色腫バックグラウンド特性が達成されている(S.M. Larson他、J. Nucl. Med. 32: 2887-291 (1991); G.L. Buraggi他、Cancer Res. 45: 3378-3385 (1985))。それにもかかわらず、臨床用に123-I標識化合物を用いる後者のものは、治療用途に関しては特に不利な性質を有する。腫瘍における滞留や最大濃度が改善されるべきである。
【0007】
加えて、該化合物の高バックグラウンド濃度は、手足や頭部に比較して主に内臓における低コントラストの視覚化を引き起こす。
【0008】
EP 0 317 873 B1は、追加の放射性ヨウ素化ベンズアミドおよび放射性診断薬としてのそれらの使用、例えば123I-(S)-N-〔(1-エチル-2-ピロリジニルメチル〕-5-ヨード-2-メトキシベンズアミドを記載している。
【0009】
放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体のフェニル基上への極性基の導入により、それらの欠点を減らすことが可能となった(B. Bubeck, M. Eisenhut, A. Mohammed, C. Nicholl DE 195 19 508.6-41)。しかし、記載された放射性ヨウ素化ベンズアミドは、治療用途のためにはより高い腫瘍集積と長期間の滞留に関して改善されるべきである。
【0010】
Tc-99m放射性金属標識法を使ってベンズアミド誘導体の放射性標識を達成し、かくしてジェネレータから入手可能である経済的な同位体を使用するという試みは、かなり減少した黒色腫集積を有する化合物を与えた(U. Titsch他、J. Labelled Compds. Radiopharm. 40: 416-418 (1997); P. Auzeloux他、J. Med. Chem. 43: 190-198 (2000))。ジエチルアミノ-エチレン断片を保護しながらの正方錐体形「3+1-」またはアミン-アミド-ジチオール-金属コアによるベンズアミド誘導体中の芳香環の置換は、黒色腫画像に相当な改善をもたらした(M. Friebe他、J. Med. Chem. 43:2745-2752 (2000); M. Friebe他、J. Med. Chem. 44: 3132-3140 (2001); M. Eisenhut他、J. Med. Chem. 45: 5802-5805 (2002))が、それは後述するベンズアミド誘導体の標準にまでは至っていない。
【0011】
J. Med. Chem. 2000, 43 (21), 3913-22、DE 196 32 052の中でEisenhut他は、C57BL6-B16/F1マウスモデルにおいて非常に高い集積を有する2つの「BA40」と「BA42」と命名された2つのベンズアミド化合物を記載している。それらの刊行物において、Eisenhut他は、特に療法利用に際しての潜在的欠点として、「最善の」化合物であるとしたBA42の肝臓濃縮を記載している。別の重大な欠点は、赤色骨髄に関するこの化合物の血中集積であり、それが放射線療法における用途を限定しうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、腫瘍、特に黒色腫の診断と治療のための放射性医薬品であって、腫瘍組織に対する親和性が有意に高く且つ身体の残部からの迅速な排出により最大の「治療表示画面(therapeutic window)」(非腫瘍に対する腫瘍の放射能の量)を保証する放射性医薬品を提供することである。この場合、腫瘍における濃縮と滞留、肝臓における濃縮および血中集積に関して特に注目する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、本発明に従って、既知の非常に高い特異性と高い感受性の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体に類似した構成要素を有し、且つ遷移金属のための錯体リガンドとして用いることができる放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体を提供することにより達成される。本発明に係るそれらの放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体は、下記の一般式(I)
【0014】
【化1】

【0015】
{上式中、
基X1〜X5は互いに独立に、ハロゲン、水素、式-NR1R2の基、式-О-R3のエーテル、分枝もしくは未分枝C1〜C10アルキル基、例えばC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9もしくはC10アルキル基、分枝もしくは未分枝C2〜C10アルケニル基、例えばC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9もしくはC10アルケニル基、またはアリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで前記アリールもしくはヘテロアリール基は各々、所望によりハロゲンによりもしくは低級アルコキシ基により置換されることがあり、ここで2つの隣接基X1〜X5は5員〜7員環を形成することがあり、前記環上の1個または複数個の炭素原子がヘテロ原子(例えばN,OもしくはS)により置換されることができ、そして基X6は酸素または=NHであり;そして
【0016】
基X7とX8は同一または異なることができ、水素、置換もしくは未置換C1〜C12アルキル、例えばC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9,C10,C11もしくはC12アルキル基、特にメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、置換もしくは未置換C2〜C12アルケニル、C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9,C10,C11もしくはC12アルケニル、特にエテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、置換もしくは未置換C3〜C6シクロアルキル、例えばC3,C4,C5もしくはC6シクロアルキル、置換もしくは未置換C3〜C6シクロアルケニル、例えばC3,C4,C5もしくはC6シクロアルケニル、置換もしくは未置換C2〜C6カルボアルコキシアルキル、例えばC2,C3,C4,C5もしくはC6カルボアルコキシアルキル、置換もしくは未置換C2〜C6カルボアルコキシアルケニル、例えばC2,C3,C4,C5もしくはC6カルボアルコキシアルケニル、-C1〜12アルキルNR8R9、例えばC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9,C10,C11もしくはC12アルキルNR8R9、特に-メチルNR8R9、-エチルNR8R9、-プロピルNR8R9、または置換もしくは未置換C6〜C12アリールもしくはヘテロアリールであり;各場合において1または複数の位置が場合により-OR4により、-COOR5により、-CONR6R7により、シアノにより、ハロゲンによりまたは-NR8R9により置換されることがあり;またはX7とX8が一緒になって5員〜7員環を形成し、ここで1または複数の炭素原子がヘテロ原子、例えばN,OまたはSにより置換されることがあり、ここで
【0017】
R1およびR2は同一または異なり、そして水素、C1〜C12アルキル、特にC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9,C10,C11もしくはC12アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、C2〜C12アルケニル、C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9,C10,C11もしくはC12アルケニル、特にエテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、C3〜C6シクロアルキル、例えばC3,C4,C5もしくはC6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルケニル、例えばC3,C4,C5もしくはC6シクロアルケニル、C2〜C6カルボキシアルキル、例えばC2,C3,C4,C5もしくはC6カルボアルコキシアルキル、C2〜C6カルボキシアルケニル、例えばC2,C3,C4,C5もしくはC6カルボアルコキシアルケニル、C6〜C12アリールスルホニル、例えばC6,C7,C8,C9,C10,C11もしくはC12アリールスルホニル、カルボキシアリール、特にC7〜C13カルボキシアリール、例えばC7,C8,C9,C10,C11,C12もしくはC13カルボキシアリール、またはカルボキシヘテロアリール、特にC7〜C13カルボキシヘテロアリール、例えばC7,C8,C9,C10,C11,C12もしくはC13カルボキシヘテロアリールであり、ここで前記カルボキシヘテロアリールは好ましくはS,NまたはOから選ばれた1,2,3,4,5または6個のヘテロ原子を含んでなり;各場合において、所望により1個または複数の位置が、好ましくはアリールにより、ヘテロアリールにより、OR4により、COOR5により、CONR6R7により、シアノにより、ハロゲンにより、NR8R9により1,2,3,4または5置換されることがあり、あるいは好ましくは隣接置換基が所望により1個、2個、3個もしくは4個のヘテロ原子(例えばO,SまたはNから選ばれる)を有する3員環、4員環、5員環、6員環、7員環もしくは8員環を形成することがあり;
ただし、ここでR1基とR2基は同時に水素であることはできず;
【0018】
R3は水素、C6〜C12アリール、ヘテロアリール、C1〜C10アルキル、例えばC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9もしくはC10アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、C2〜C10アルケニル、例えばC2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9もしくはC10アルケニル、特にエテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、C2〜C10アルキニル、例えばC2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9もしくはC10アルキニル、特にエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、C3〜C6シクロアルキル、例えばC3,C4,C5もしくはC6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルケニル、例えばC3,C4,C5もしくはC6シクロアルケニルであり;各場合において、1または複数の位置がOR4により、COOR5により、CONR6R7により(ここでO-アルキル基がO-アルキルにより置換可能であるので、ポリエーテル、例えばC-O-C-C-O-C-Rが可能である)、シアノにより、ハロゲンによりまたはNR8R9により置換されることがあり;
【0019】
R4およびR5は同一または異なることができ、そして水素、C1〜C12アルキル、例えばC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9,C10,C11もしくはC12アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、C2〜C12アルケニル、例えばC2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9,C10,C11もしくはC12アルケニル、特にエテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、C3〜C6シクロアルキル、例えばC3,C4,C5もしくはC6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルケニル、例えばC3,C4,C5もしくはC6シクロアルケニルであり;各場合において、所望により1または複数の位置においてアリールにより、ヘテロアリールにより、OR10により、COOR11により、CONR6R7により、シアノにより、ハロゲンによりまたはNR8R9により置換されることがあり;
【0020】
R6,R7,R8およびR9は同一または異なり、そして水素、C1〜C12アルキル、例えばC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9,C10,C11もしくはC12アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、C2〜C12アルケニル、例えばC2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9,C10,C11もしくはC12アルケニル、特にエテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、C3〜C6シクロアルキル、例えばC3,C4,C5もしくはC6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルケニル、例えばC3,C4,C5もしくはC6シクロアルケニルであり、各場合において、所望により1または複数の位置において好ましくはOR4により置換されることがあり、あるいはR6とR7またはR8とR9が一緒になって5員〜7員環を形成し、ここで前記環上の1個もしくは複数個の炭素原子がヘテロ原子、例えばN,OまたはSにより置換されることがあり;
【0021】
R10,R11は同一または異なり、そして水素、C1〜C12アルキル、例えばC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9,C10,C11もしくはC12アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、C2〜C12アルケニル、例えばC2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9,C10,C11もしくはC12アルケニル、特にエテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、C3〜C6シクロアルキル、例えばC3,C4,C5もしくはC6シクロアルキル、またはC3〜C6シクロアルケニル、例えばC3,C4,C5もしくはC6シクロアルケニルであり;各場合において、所望により1または複数の位置がアリールにより、ヘテロアリールにより、OR4により、COOR5により、CONR6R7により、シアノにより、ハロゲンによりまたはNR8R9により置換されることがあり;
【0022】
ここで基X1〜X5のうちの少なくとも1つ、好ましくはX4が放射性ハロゲンであり、
基X1〜X5のうちの少なくとも1つ、好ましくはX1がエーテル-O-R3であり、
基X1〜X5のうちの少なくとも1つ、好ましくはX3が式-NR1R2の基であって、ここでR1かR2のいずれかが置換されたまたは未置換のカルボキシアルキル基、特にC2〜C6カルボキシアルキル、例えばC2,C3,C4,C5もしくはC6カルボキシアルキル、カルボキシアルケニル、特にC2〜C6カルボキシアルケニル、例えばC2,C3,C4,C5もしくはC6カルボキシアルケニル、カルボキシアリール、特にC7〜C13カルボキシアリール、例えばC7,C8,C9,C10,C11,C12もしくはC13カルボキシアリール、またはカルボキシヘテロアリール、特にC7〜C13カルボキシヘテロアリール、例えばC7,C8,C9,C10,C11,C12もしくはC13カルボキシへテロアリールであり;各場合において、所望により1または複数の位置、例えば1,2,3,4もしくは5個の位置が、好ましくはアリールにより、ヘテロアリールにより、OR4により、COOR5により、CONR6R7により、シアノにより、ハロゲンにより、NR8R9により置換されるか、または2個の位置、好ましくは隣接する置換基が一緒になって、3員、4員、5員、6員、7員もしくは8員環(場合により1,2,3もしくは4つのヘテロ原子、例えばO,SまたはNから選ばれたヘテロ原子を有する)を形成することがあり;好ましくはカルボキシアルキル、特にC2〜C6カルボキシアルキルまたはカルボキシアリール、特にC7〜C13カルボキシアリールであり;各場合において、ハロゲン、例えばF,Cl,BrもしくはI、または-O-R4から成る群より選ばれた1もしくは複数個の置換基により置換されるか、または2個の置換基、好ましくは隣接する置換基が一緒になって3員、4員、5員、6員、7員もしくは8員環(場合により1,2,3もしくは4つのヘテロ原子、例えばO,SまたはNから選ばれたヘテロ原子を有する)を形成することがあり;より好ましくは、置換されたまたは未置換のC7カルボキシアリール、例えばベンゾ-カルボニル、特にハロゲン-ベンゾカルボニル、例えば1-フルオロ-ベンゾ-4-カルボニル、もしくは1-クロロ-ベンゾ-4-カルボニル、アルコキシベンゾカルボニル、例えば1-メトキシベンゾ-4-カルボニル、ベンゾカルボニルまたはベンゾ-〔1,3〕ジオキソール-5-カルボニルであり;そして
【0023】
X1がメトキシでX6がOであり、X8が水素でX7がNH(CH2)2Net2であり、そしてX4がI131を表すならば、X3はNHAcでないことを前提とする}
により表される化合物および生理学上許容されるその塩である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
特に本発明に係る化合物の治療用途に関して、該化合物の血中集積が重大なポイントとなりうる。放射性同位体で標識された化合物ができる限り迅速に血液から排出されることが非常に重要である。本発明に係る化合物、特に化合物BA52〔式(IIa)参照〕またはBA91;BA93;BA95およびBA100〔式IIb〜e〕は、最近の従来技術のもの(Eisenhut他の化合物、環上の置換基としてNH-Acを有する)よりも驚くべきほど十分に低い血中集積を示す。この減少した血中濃度は骨髄毒性に関して有利である。
【0025】
その上、本発明に係る化合物の肝動力学は、従来技術の最大類似化合物の肝動力学よりもずっと優れている。特に最終結果は非常に驚くべきものであった。本発明の化合物、特にBA52は置換により親油性が高く、従ってより強力にタンパク質結合(血中に多量に且つより長く滞留する)を有し、加えて肝臓からより多量に代謝されると期待された。化合物52は実際に高い親油性を有するが、この期待を十分有利には満たさない。
【0026】
従来技術の最大類似化合物の別の欠点は、Eisenhut他の化合物が本発明の化合物よりも体内で迅速に脱ハロゲン化されるという点である。これは、本発明の化合物では、化合物から遊離されるヨウ素によって生じる甲状腺への蓄積(未標識の化合物は甲状腺組織中に蓄積しない)が低い、という事実により証明される。
【0027】
本発明の化合物、特にBA52、BA93、BA95およびBA100は驚くべきほど十分に延長された期間の黒色腫組織への滞留を示し、これは上述した性質に関連して患者の治療画像表示(therapeutic window)の拡大を意味するであろう。延長された期間に渡る滞留は腫瘍線量の増強をもたらす。従って、黒色腫組織における長期の滞留が初期腫瘍取り込み量(1時間後)よりもずっと重要である。
【0028】
構造の点では、本発明の化合物は、アミド結合の形成を伴うカルボキシアルキル、カルボキシアルケニル、カルボキシ芳香族またはカルボキシへテロ芳香族化合物による芳香族アミノ基中の置換により、識別される。
【0029】
上述した通り、Eisenhut他は、C57BL6-B16/F1マウスモデルにおいて非常に高い濃度を示す2つのベンズアミド(BA40)と(BA42)を製造している。本発明の化合物BA52の腫瘍濃度はこのモデルでは同等であるが、腫瘍中のBA52の保持は相当長期間である。この観察結果は、ヒト異種移植マウスモデルNMRI-SK-Mel3において更に顕著である。BA40は72時間後に腫瘍から完全に排出される。それとは対照的に、BA52は96時間後に腫瘍組織グラムあたり注入線量の少なくとも13%がまだ保有されている。
【0030】
上述の刊行物において、Eisenhut他は、最善の化合物と考えたBA42の肝臓への集積が、治療への利用にとって特にこの化合物の潜在的欠点であると記載している。本発明の化合物、特にBA52、BA91、BA93、BA95およびBA100の肝集積、例えば6時間後および24時間後の肝集積は相当低い(表1参照)。本発明の化合物は肝臓中への初期集積は同等であるけれども、BA40やBA42よりも相当迅速に肝臓から排出されるという点が重要である。別の重要な点は、放射線療法への利用を限定しうるこの化合物の血中蓄積である。本発明のBA52は6時間後と24時間後にそれぞれ相当低い血中蓄積を示し(表1参照)、これは骨髄に対して相当低い放射線量をもたらす(副作用が少ない)。
【0031】
加えて、放射性同位体I-131は本発明の化合物において一層安定であり、特にBA52、BA91、BA93、BA95およびBA100に結合するようであった。生体内脱ハロゲン化の指標であるBA40とBA42の甲状腺集積は、本発明の化合物に比較して10から15の因数だけ大きい。
【0032】
高い親油性にもかかわらず、BA52がマウスモデルにおいて低い血中蓄積を示す(表1)という事実もまた有利である。通常は親油性が高い物質ほど血漿結合が大きいので、これは予想不可能であった。また、親油性の高い物質ほど肝臓によって代謝されやすいので、5時間または24時間後に蓄積が少ないことは予想できないことである。
【0033】
【表1】

【0034】
前記マウスでの臓器分布データに基づいて、線量計測を実施した。このためには、"Medical Internal Radiation Dose" (MIRD)法を用いた〔M.G. Stabin他、J. Nucl. Med., 37 538-546 (1996); R. Loevinger他、Society of Nuclear Medicine, 1988, NY; J.A. Siegel他、J. Nucl. Med. 35: 152-156 (1994); J.A. Siegel他、J. Nucl. Med. 40: 37S-61S (1999); G. Sgouros他、J. Nucl. Med. 34: 689-694 (1993); M.S. Muthuswamy他、J. Nucl. Med. 39: 1243-1247 (1998)〕。
【0035】
この方法は、球体モデルに基づいており、使用する放射線同位体、体内での化合物の分布、および投与された放射性化合物の量を関数として、該当する生物種の腫瘍および臓器に沈着した放射線量を算出するものである(表2)。かくして、化合物の「治療ウインドウ(therapeutic window)」並びに予想される副作用に関して推測を行うことができる。腫瘍における高い線量値(mGy/MBq)は、血液や臓器ができる限り低い放射線量の値(つまり副作用)になればなるほど有利である。血中および臓器線量は投与することができる最大線量を決定するので、臓器/血液線量が低く且つ腫瘍線量が高いほど化合物がより大きな「治療ウインドウ」を有する。
【0036】
表2:ベンズアミド誘導体についての線量指数mGy/MBq。同系C5BL6-B16マウス腫瘍モデルにおける腫瘍と臓器分布実験に基づいて指摘の臓器に関して計算した。MIRDOSE 3.1, 1995, Stabin他を計算に使った。計算の基準になる曲線下の面積(残留時間)は、SigmaPlot 8.02, SPSF, Inc.を用いて算出した。
【0037】
【表2】

【0038】
本発明によれば、ハロゲン同位体がF-18、Br-76、I-123、I-124、I-125、I-131およびAt-211から成る群より選ばれる、本発明の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体が好ましい。
【0039】
更に好ましいのは、ハロゲン同位体がヨウ素〔I-131〕であり、その比活性が10 mCi/mgから1500 mCi/mgまで(HPLC未精製)、好ましくは100 mCi/mgから800 mCi/mgまで(HPLC未精製)である、本発明の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体である。もし該化合物がHPLCもしくは同様な方法で精製されるならば、比放射能は使用する同位体バッチの比活性によって測定され、上記未精製のものよりも高いであろう。比活性の測定方法は当業者にとって既知であり、関連する参考書および/または科学文献、例えばWessels, B.W., Meares, C.F. Physical and Chemical Properties of Radionuclide Therapy、Semin Radiat Oncol. 2000 April; 10(2) 115-22、およびその中に引用された文献から採用することができる。
【0040】
更により好ましいのは、基X6が酸素である本発明の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体である。選択肢として、基X6は=NH基であることができる。
基X7とX8の一方が水素である本発明の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体も好ましい。
【0041】
基X7とX8の一方が水素であり、基X7とX8うちのもう一方がアミン-NR8R9により置換されたC1〜C12アルキルである、本発明の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体も好ましい。基X7とX8のうちの一方が水素であり、基X7とX8のもう一方が置換された、好ましくはアミン-NR8R9により末端置換されたC2,C3またはC4アルキル、例えば-CH2NR8R9、-CH2CH2NR8R9、-CH2CH2CH2NR8R9である、本発明の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体が特に好ましい。
【0042】
更により好ましいのは、R8とR9がC2H5であるかまたは5員もしくは6員環を形成し、ここで前記環の1個もしくは複数個の炭素原子がヘテロ原子、例えばN,OまたはSにより置換されることがある、本発明の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体である。R8とR9は、好ましくは、基X7とX8のうちの一方が水素であり、そしてもう一方の基X7とX8が、好ましくはアミン-NR8R9により末端置換されたC2,C3またはC4アルキル、例えば-CH2NR8R9、-CH2CH2NR8R9、-CH2CH2CH2NR8R9である時、上記の好ましい意味を有する。この文章でのR8およびR9は、置換されたまたは未置換のメチル、エチル、プロピルまたはブチルを意味する。
【0043】
更により好ましいのは、基X1〜X5の1つが基-NR1R2を表す、本発明の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体である。
【0044】
R1がカルボキシアリール基であり、そしてR2が水素である、本発明の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体もより好ましい。更により好ましいのは、R1がC2〜C6カルボキシアルキル基またはC2〜C6カルボキシアルケニル基であり、そしてR2が水素である、本発明の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体である。特に好ましいのは、R1上にアリールカルボキシ置換基があるものである。
【0045】
X1が-O-R3、特に-O-CH3基、-O-C2H5基、-O-C2H5O-CH3基または-O-C2H5-OH基から選ばれる、本発明の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体が更に好ましい。
【0046】
本発明の更に好ましい放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体は、X3が式-NR1R2の基であって、ここでR1かR2のいずれか一方が置換されたまたは未置換のカルボキシアルキル基、特にC2〜C6カルボキシアルキル、カルボキシアルケニル、特にC2〜C6カルボキシアルケニル、カルボキシアリール、特にC7〜C13カルボキシアリール、またはカルボキシヘテロアリール、特にC7〜C13カルボキシヘテロアリールであり;更に好ましくは、場合により1,2,3,4もしくは5個のハロゲンにより、例えばF,Cl,BrもしくはIによりまたは-O-R4により置換されることがある、C7〜C13カルボキシアリールであって、ここで前記R3はC1〜C6アルキル、または2つの置換基、好ましくは隣接する置換基であって一緒になって3,4,5,6,7もしくは8員環(場合により1個、2個、3個もしくは4個のヘテロ原子、例えばN,OまたはSを有する)を形成する2つの置換基を意味し;特に好ましい態様では、R1がC7カルボキシアリール、例えばベンゾカルボニル、場合によりハロゲン、例えばF,Cl,BrもしくはIにより、-O-R4により、または一緒になって5員、6員もしくは7員環(好ましくは1個または2個のヘテロ原子を含んでなる)を形成する2つの置換基により、置換されることがあるベンゾカルボニルであり、この場合および上述の好ましい態様において、R2は水素である。
【0047】
更により一層好ましいのは、C7カルボキシアリール基がモノハロゲン置換ベンゾ-カルボニル、特に1-フルオロベンゾ-4-カルボニル、または1-クロロベンゾ-4-カルボニル、モノ置換アルコキシベンゾ-カルボニル、特に1-メトキシベンゾ-カルボニル、ベンゾ-カルボニルまたはベンゾ〔1,3〕ジオキソール-5-カルボニルから成る群より選ばれる場合である。
【0048】
X1が-O-R3であり、ここでR3が好ましくはC1〜C10アルキル、例えばC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9もしくはC10アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、C2〜C10アルケニル、例えばC2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9もしくはC10アルケニル、特にエテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、特に-O-CH3、-O-C2H5、-O-C2H5-O-CH3基であり、X4がハロゲンであり、特に〔123〕ヨウ素、〔125〕ヨウ素または〔131〕ヨウ素であり、そしてX3が基-NR1R2であって、ここでR1が置換されたまたは未置換のカルボキシアルキル、特にC2〜C6カルボキシアルキル、カルボキシアルケニル、特にC2〜C6カルボキシアルケニル、カルボキシアリール、特にC7〜C13カルボキシアリール、またはカルボキシヘテロアリール、特にC7〜C13カルボキシへテロアリール、特にアリール-カルボン酸基であり、そしてR2が水素である、本発明の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体もまた好ましい。
【0049】
特に好ましい態様では、X1は-O-CH3であることができ、X4はハロゲン、特に〔123〕ヨウ素、〔125〕ヨウ素または〔131〕ヨウ素であり、そしてX3は基-NR1R2であって、ここでR1はベンゾ〔1,3〕ジオキソール-5-カルボニル基、置換または未置換のベンゾカルボニル基、1-クロロベンゾ-4-カルボニル基、1-メトキシベンゾ-4-カルボニル基、または1-フルオロベンゾ-4-カルボニル基であり、そしてR2は水素である。
【0050】
別の好ましい態様では、X1は-O-C2H5基であることができ、X4はハロゲン、特に〔123〕ヨウ素、〔125〕ヨウ素または〔131〕ヨウ素であり、そしてX3は基-NR1R2であって、ここでR1は置換されたまたは未置換のカルボキシアルキル、特にC2〜C6カルボキシアルキル、カルボキシアルケニル、特にC2〜C6カルボキシアルケニル、カルボキシアリール、特にC7〜C13カルボキシアリール、特にベンゾ〔1,3〕ジオキソール-5-カルボニル基、置換されたもしくは未置換のベンゾカルボニル基、1-クロロベンゾ-4-カルボニル基、1-メトキシベンゾ-4-カルボニル基、または1-フルオロベンゾ-4-カルボニル基、またはカルボキシヘテロアリール、特にC7〜C13カルボキシヘテロアリールであり、そしてR2は水素である。
【0051】
別の好ましい態様では、X1は-O-C2H5-O-CH3基であることができ、X4は〔123〕ヨウ素、〔125〕ヨウ素または〔131〕ヨウ素であり、そしてX3は基-NR1R2であって、ここでR1はベンゾ〔1,3〕ジオキソール-5-カルボニル基、置換されたもしくは未置換のベンゾカルボニル基、1-クロロベンゾ-4-カルボニル基、1-メトキシベンゾ-4-カルボニル基、または1-フルオロベンゾ-4-カルボニル基であり、そしてR2は水素である。
【0052】
選択肢として、X1は-O-C2H5-OH基であることができ、X4は〔123〕ヨウ素、〔125〕ヨウ素または〔131〕ヨウ素であり、そしてX3は基-NR1R2であって、ここでR1は置換されたもしくは未置換のカルボキシアルキル、特にC2〜C6カルボキシアルキル、カルボキシアルケニル、特にC2〜C6カルボキシアルケニル、カルボキシアリール、特にC7〜C13カルボキシアリール、特にベンゾ〔1,3〕ジオキソール-5-カルボニル基であるか、あるいは置換されたもしくは未置換のベンゾカルボニル基、1-クロロベンゾ-4-カルボニル基、1-メトキシベンゾ-4-カルボニル基、または1-フルオロベンゾ-4-カルボニル基、またはカルボキシヘテロアリール、特にC7〜C13カルボキシヘテロアリールであり、そしてR2は水素である。この状況ではX6が酸素であることが特に好ましい。この状況ではX2とX5が水素であるのもまた好ましい。
【0053】
同様に、基X1〜X5のうちの少なくとも1つが基-NR1R2であり、ここでR1はカルボキシアルキル基でありそしてR2は水素であり、基X1〜X5の1つが-O-R3基であり、X6が=NH基であり、そして基X1〜X5の1つがハロゲン、特に〔123〕ヨウ素、〔125〕ヨウ素または〔131〕ヨウ素である、本発明の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体も好ましい。
【0054】
基X1〜X5のうちの少なくとも1つが基-NR1R2であり、ここでR1はカルボキシアルキル基でありそしてR2は水素であり、基X1〜X5のうちの1つが-O-CH3基を表し、X6が=NH基を表し、そして基X1〜X5の1つがハロゲン、特に〔123〕ヨウ素、〔125〕ヨウ素または〔131〕ヨウ素を表す、本発明の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体も好ましい。
【0055】
本発明の特に好ましい面によれば、式IIaの本発明の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体:
【0056】
【化2】

およびそれの医薬上許容される塩が得られる。
【0057】
【化3】

【0058】
本発明の別の特に好ましい面によれば、式IIb〜eの追加の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体およびそれの医薬上許容される塩が入手できる。
【0059】
本発明の別の面は、腫瘍、特に悪性黒色腫の診断および治療のための医薬組成物の製造方法であって、本発明の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体を適当な医薬賦形剤と混合することを含んで成る方法に関する。それらの賦形剤は、リン酸塩緩衝生理食塩水、生理食塩水、水、上述の溶液/溶剤とエタノール、ジメチルスルホキシド、Tween(登録商標)、メグルミン等とから成る混合物より選ぶことができる。
【0060】
好ましいのは、ハロゲン同位体がF-18、Br-75、I-123、I-124、I-125、I-131もしくはAt-211より選ばれる、本発明の医薬組成物である。
【0061】
より好ましいのは、ハロゲン同位体が〔I-131〕ヨウ素であり、その比活性が10mCi/mgから1500mCi/mg(HPLC未精製)であり、好ましくは100mCi/mgから800mCi/mg(HPLC未精製)である、本発明の医薬組成物である。該化合物がHPLCまたは同様な方法によって精製される場合、比放射能は使用される同位体バッチの比活性によって決定され、上述したものよりも高いであろう。
【0062】
本発明の更に別の面は、腫瘍、特に黒色腫の診断および治療用の製剤の調製への本発明の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体の利用に関する。この場合、本発明の化合物は、診断上適切な放射性同位体、例えば単光子放出コンピューター断層撮影(SPECT)研究においてはI-123と共に、PETにおいてはF-18/I-124/Br-76標識ベンズアミド誘導体と共に使用することができる。療法用途には、ベンズアミド誘導体はI-131/I-125/At-211で標識されそして全身性放射性療法にあるいはまた局所的腫瘍内療法に利用することができる。
【0063】
この場合、I-131標識ベンズアミドは特別なケースである。というのは、β′放射線部分を治療に利用することができ、且つ付随するγ線放出を診断に(SPECT)利用することができるからである。ハロゲン標識化合物の利点は、つまりは同位体を用いた化合物の現像にあり、まず低線量を診断イメージングに使用し、次いで耐容線量の算定の後、治療的に適切な高い放射線量が投与されるという点にある。
【0064】
本発明の範囲内において、「アルキル」とは、いずれの場合にも直鎖状または分枝状アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルまたはドデシルであると定義する。
【0065】
本発明の範囲内において、「アルコキシ」とは、いずれの場合にも直鎖状または分枝状アルコキシ基、例えばメチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、イソブチルオキシ、sec-ブチルオキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシまたはドデシルオキシとして定義する。
【0066】
本発明の範囲内において、「シクロアルキル」とは、単環式アルキル環、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニルまたはシクロドデシルだけでなく、更に二環式環でもあるとして定義する。
【0067】
本発明の範囲内において、「シクロアルケニル」とは、単環式アルケニル環、例えばシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルもしくはシクロヘプテニル、シクロオクテニル、シクロノネニルまたはシクロデセニル、更には二環式環としても定義される。
【0068】
本発明の範囲内において、「ハロゲン」とは、いずれの場合においても、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素として定義される。「放射性ハロゲン」とは、いずれの場合においてもF-18、Br-75、I-123、I-124、I-131またはAt-211であるとして定義される。
【0069】
本発明の範囲内において、「アルケニル」とは、いずれの場合においても、2〜6個、好ましくは2〜4個のC原子を含有する直鎖状または分枝状アルケニル基として定義される。例えば、次の基を挙げることができる:ビニル、プロペン-1-イル、プロペン-2-イル、ブタ-1-エン-1-イル、ブタ-1-エン-2-イル、ブタ-2-エン-1-イル、ブタ-2-エン-2-イル、2-メチルプロパ-2-エン-1-イル、2-メチルプロパ-1-エン-1-イル、ブタ-1-エン-3-イル、ブタ-3-エン-1-イルおよびアリル。
【0070】
アリール基は、いずれの場合にも3〜12個の炭素原子を含んでなり、いずれの場合にもベンゾ縮合することができそして/または更に置換されてもよい。例えば、次のものを挙げることができる:フェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル、アントラセニル、ベンゾ〔1,3〕ジオキソールなど。
【0071】
ヘテロアリール基は、いずれの場合にも3〜16個の環原子を含んでなり、そして炭素の代わりに環中に同一または異なる1個もしくは複数個のヘテロ原子、例えば酸素、窒素もしくは硫黄を含むことができ、そして単環式、二環式または三環式であることができ、加えていずれの場合にもベンゾ縮合することができそして/または更に置換されてもよい。
【0072】
例えば、チエニル、フラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル等およびそれらのベンゾ誘導体、例えばベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、インドリル、イソインドリル等;またはピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル等、およびそれらのベンゾ誘導体、例えばキノリル、イソキノリル等;またはアゾシニル、インドリジニル、プリニル等、およびそれらのベンゾ誘導体;またはキノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフトチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノオキサジニル、キサンテニル、オキセピニル等を挙げることができる。
【0073】
酸基が含まれるならば、有機および無機塩基の生理学的に許容される塩が塩として適当であり、例えば、易溶性のアルカリおよびアルカリ土類塩、例えばN-メチルグルカミン、ジメチルグルカミン、エチルグルカミン、リジン、1,6-ヘキサジアミン、エタノールアミン、グルコサミン、サルコシン、セリノール、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、アミノプロパンジオール、Sovak塩基、1-アミノ-2,3,4-ブタントリオールが適当である。
【0074】
塩基性基が含まれるならば、有機および無機酸の生理学的に許容される塩が適当であり、例えば塩酸、硫酸、リン酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸等が適当である。
本発明の一般式Iの化合物は可能な互変異性体形も含むことができ、そしてEまたはZ異性体を含んでなり、または不斉中心が存在する場合には、ラセミ体および鏡像体を含んでなる。
【0075】
本発明の化合物の製造は、式IIIの化合物:
【化4】

【0076】
(上式中、R12は水素または低級アルキルを意味する)
を所望によりエステル化、エーテル化、アミド化し、ニトロ基を還元し、アシル化しそして放射性ハロゲン化することにより実施することができ、前記放射性ハロゲン化は、実際は最終段階のうちの1つ、可能ならば最後の段階で実施される。しかしながら、式IVの化合物:
【0077】
【化5】

【0078】
(上式中、R12は水素または低級アルキルを意味する)
をニトロ化し、ついで上述した工程を続行することもできる。別の可能性は、式Vの化合物:
【0079】
【化6】

【0080】
(上式中、R12は水素または低級アルキルを意味し、そしてFGはヨウ素、臭素、o-トリフレート、O-メシレート、O-トシレートまたはO-ノナフレートを意味する)
を所望によりエステル化もしくはアミド化し、エーテル化し、カルボニル化し、ニトロ化し、ついで更に上述した通り処理することを含む。
【0081】
本発明の化合物において、アミド形成は文献から既知である方法に従って実施される。出発は、アミド形成のためには対応するエステルから行うことができる。J. Org. Chem., 1995, 8414に従って、該エステルを溶媒中で、例えばトルエン中で、60℃から溶媒の沸点までの温度において、例えばトリメチルアルミニウムおよび対応するアミンと反応させる。もし分子が2個のエステル基を含むならば、両方とも同じアミドに変換される。
【0082】
しかしながら、アミド形成には、ペプチド化学より知られる方法がいずれも利用可能である。例えば、活性酸誘導体〔これは例えばヒドロキシベンゾトリアゾールとカルボジイミド(例えばジイソプロピルカルボジイミド)を使って、または更に調製済の試薬、例えばHATU(Chem. Comm. 1994, 201)もしくはBTUを使って得ることができる〕を介して、対応する酸を、非プロトン性、極性溶媒、例えばジメチルホルムアミド中で、0℃から溶媒の沸点までの温度において、アミドと反応させることができる。アミド形成には、混合酸無水物法、酸クロリド法、イミダゾリド法またはアジド法を使って行うこともできる。酸クロリドの反応においては、室温から溶媒の沸点までの温度、好ましくは80〜100℃の温度で、溶媒としてジメチルアセトアミドが使われる。しかしながら、反応は不活性溶媒、例えば塩化メチレンもしくはテトラヒドロフラン中で、塩基、例えばトリエチルアミンの添加を伴って、-10℃から溶媒の沸点までの温度において実施することもできる。ジメチルアミノピリジンの添加がしばしば有用であることがわかっている。
【0083】
酸無水物または酸クロリドによるアシル化は、しばしばビスアシル化合物を生成するが、これは例えば塩基、例えば水酸化カリウムもしくは炭酸カリウムでの処理により、モノアシル化合物に変換することができる。同じことがスルホン酸クロリドについても当てはまる。酸無水物を用いる場合、氷酢酸中で酸無水物を使うことによりビスアシル化を避けることができる。
【0084】
複数種のアミド基を分子中に導入しようとする場合、例えば、最初のアミド基の生成の後に第二のエステル基を導入し、次いでアミド化を行うか、または1つの基がエステルとして存在しそしてもう1つが酸として存在し、この2つの基を様々な方法に従って逐次的にアミド化しなければならない。
【0085】
酸のエステル化は、トリメチルシリルジアゾメタンとの反応により可能である。次いでメチルエステルが得られる。反応は溶媒、例えばメタノールまたはトルエン、好ましくはその混合物中で行われる。温度は0℃と溶媒の沸点の間で異なり、好ましくは室温である。アルコール性塩酸を使って、好ましくは溶媒の沸点において、フェノールに付加するカルボン酸のエステル化も可能である。
【0086】
非放射性ハロゲンの導入は、文献において周知である方法、例えば極性溶媒、例えばテトラヒドロフラン、アセトニトリル、塩化メチレン、氷酢酸またはジメチルホルムアミド中で、臭素、N-ブロモもしくはN-クロロスクシンイミド、またはユーロトロピンヒドロトリブロミドとの反応により、実施される。
【0087】
ニトロ基の還元は、極性溶媒中で室温または高温で実施される。反応触媒として、Raneyニッケルのような金属またはパラジウムや白金のような貴金属触媒、更には所望により担体上に保持された水酸化パラジウムも適当である。水素の代わりに、例えば蟻酸アンモニウム、シクロヘキセンまたはヒドラジンを周知の方法で使うこともできる。塩化錫(II)または塩化チタン(III)のような還元剤も使用でき、例えば所望により重金属塩の存在下での水素化金属錯体も使用できる。還元剤として鉄も使用可能である。次いで、所望により溶媒、例えば水、メタノール、鉄/アンモニア等の溶媒の添加を伴って、酸、例えば酢酸または塩化アンモニウムの存在下で反応が行われる。長期反応時間の場合、これの変形として、アミノ基のアシル化が起こりうる。
【0088】
アミノ基のアルキル化を希望する場合、アミンをアルデヒドまたはケトンによる還元的アルキル化にかけることができる。還元剤、例えば水素化シアノホウ素ナトリウムの存在下で、適当な不活性溶媒、例えばエタノール中で、0℃から溶媒の沸点までの温度にて反応が起こりうる。第一級アミノ基から出発する場合、反応は所望により2つの異なるカルボニル化合物を使って逐次的に実施され、それにより混合誘導体が得られる〔文献、例えばVerardo他、Synthesis (1993), 121; Synthesis (1991), 447; Kawaguchi, Synthesis (1985), 701; Micovic他, Synthesis (1991), 1043〕。
【0089】
エタノールまたはメタノールのような溶媒中で、所望により氷酢酸のような補助剤の添加を伴って、アルデヒドとアミンとの反応により、まず最初にシッフ塩基を形成させ、次いで例えば水素化シアノホウ素ナトリウムのような還元剤だけを添加することが有利となるかもしれない。
【0090】
アルケニル基の導入は、Heck反応の条件下で、対応するビニル化合物を使って実施される。エチニル基の導入には、Sonogashira反応が用いられ、そしてアリールまたはヘタリール基の導入には、Suzuki反応またはStill反応が用いられる。
【0091】
脱離基として、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のようなハロゲン、またはО-メシレート、О-トシラート、О-トリフラートもしくはО-ノナフラートが適当である。エチニル基またはエテニル基の導入のための求核置換は、遷移金属触媒、例えばPd(O)、例えばパラジウム-テトラキストリフェニルホスフィン、Pd2(dba)3またはPd(2+)、例えばパラジウム-ビス-トリ-o-トリルホスフィン-ジクロリド、ニッケル(II)もしくはニッケル(0)の触媒のもとで、文献から既知である方法に従って、所望により塩基の存在下でそして所望により塩、例えばヨウ化銅(I)もしくは塩化リチウムの助触媒のもとで実施される。
【0092】
求核試薬として、例えばビニルまたはエチニル化合物、有機錫化合物、有機亜鉛化合物またはボロン酸が適当である。反応は、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンもしくはアセトニトリルのような極性溶媒中で、トルエンのような炭化水素中で、またはテトラヒドロフラン、ジメトキシエタンもしくはジエチルエーテルのようなエーテル中で実施される。塩基として、無機塩基、例えばアルカリもしくはアルカリ土類の水酸化物もしくは炭酸水素塩、炭酸塩またはリン酸塩;または有機塩基、例えば環式、脂環式および芳香族アミン、例えばピリジン、トリエチルアミン、DBUもしくはHunig塩基が適当であり、ここで多くの場合、ジエチルアミンまたはピペリジンのような塩基を同時に溶媒として使用することもできる。反応に圧力の負荷が必要となるかもしれない。リガンド、例えばトリフェニルホスフィンまたはキサントフォスの添加がプラス効果をもたらす場合がある。
【0093】
アミドによる芳香族化合物またはヘテロ芳香族化合物中の脱離基の置換は、触媒のもとで、例えばパラジウムもしくは銅触媒により実施される。銅触媒(文献についてはSynlett. 2002, 427を参照のこと)の場合、ジオキサンまたはジメチルホルムアミドのような溶媒が該溶媒の沸点までの温度、好ましくは120℃において用いられる。塩基として、リン酸カリウムまたは更に炭酸セシウムが用いられる。触媒として使われるヨウ化銅(I)を錯生成するためには、エチレンジアミンが有利である。
【0094】
圧力の適用は有害ではない。パラジウム触媒の場合、パラジウム(II)塩、例えば酢酸パラジウム(II)、およびパラジウム(0)錯体、例えばパラジウム(O)2ジベンジリデンアセトン3(文献、JACS 2002, 6043, THL 1999, 2035, Org. Lett 2001, 2539, THL 2001, 4381またはTHL 2001, 3681)の両方が可能である。溶媒として、トルエン、ジオキサンまたはジメチルホルムアミドが室温から該溶媒の沸点までの温度、好ましくは100℃付近で使われる。コリガンドとしては、BINAP、DPPFまたはキサントフォスが使われる。塩基も必要である。このためには、炭酸セシウム、リン酸カリウムまたはナトリウム-t-ブチラートが使われる。それらの化合物は様々な方法で組み合わせることができる。
【0095】
しかしながら、アミド基はカルボニル化により導入することもできる。このためには、脱離基として対応する芳香族またはヘテロ芳香族化合物から出発し(上記参照)、それを常圧のまたは高められた圧力での一酸化炭素、および遷移金属触媒、例えば塩化パラジウム(II)もしくは酢酸パラジウム(II)、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィンの存在下で、または溶媒中で、例えばジメチルホルムアミド中で、アミンと反応させる。トリフェニルホスフィンのようなリガンドの付加およびトリブチルアミンのような塩基の添加が有利であるかもしれない(例えば、J. Org. Chem. 1974, 3327; J. Org. Chem. 1996, 7482; Synth. Comm. 1997, 367; Tetr. Lett. 1998, 2835, J. Org. Chem. 2003, 3558を参照こと)。
【0096】
幾つかのアミド基を分子中に導入しようとする場合、例えば、最初のアミド基を生成させ次いでアミド化した後で第二のエステル基を導入するか、または1つの基がエステルとして存在しそしてもう1つが酸として存在する分子を用意し、それら2つの基を様々な方法に従って順次アミド化する。
【0097】
しかしながら、酸基はカルボニル化により導入することも可能である。このためには、脱離基を有する対応する芳香族またはヘテロ芳香族化合物から出発し(上記参照)、それを常圧のまたは高められた圧力の一酸化炭素、および遷移金属触媒、例えば塩化パラジウム(II)もしくは酢酸パラジウム(II)、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィンの存在下で、水が加えられた溶媒中で、例えばジメチルホルムアミド中で、アミンと反応させる。例えばトリエチルアミンのような塩基が必要である。加えて、リガンド、例えばトリフェニルホスフィンまたは好ましくは(1,1′-ビスフェニルホスフィノ)フェロセンのようなリガンドが必要である。圧力は室温から50バール、好ましくは5〜40バールの範囲内である。反応は高温で長時間続けることができる。反応は室温から溶媒の沸点までに及び、好ましくは40〜80℃の温度が使われる。
【0098】
フェノールのアルキル化は、好ましくは、ジメチルホルムアミドのような溶媒中で、炭酸セシウム、炭酸カリウムまたはDBU、DABCOのような塩基の存在下で、アルキル化剤、例えばアルキルハライド、アルキルトリフラート、アルキルメシラートまたはアルキルトシラートを用いた反応により可能である。しかしながら、0〜100℃の温度で、好ましくは50℃の温度で、水素化ナトリウムのような塩基を使ってフェノールを予備処理することによりフェノラートを予め形成させ、次いでアルキル化剤を添加するるともできる。
【0099】
こうして、変形Mitsunobu法に従って、例えばトリフェニルホスフィンおよびアゾジカルボン酸エステルの存在下でアルコールを使って反応を実施し、アルキル化を達成することができる。
【0100】
分子中のアルケン基またはアルキン基の水素化は、常用のやり方で、例えば触媒賦活水素により行われる。触媒として、所望により担体またはRaneyニッケル上に担持された、重金属、例えばパラジウムもしくは白金を使うことができる。溶媒としては、アルコール、例えばエタノールが適当である。操作は0℃から溶媒の沸点までの温度でそして20バールまでの圧力において行われるが、好ましくは室温で且つ常圧で実施される。触媒、例えばLindlar触媒の使用により、三重結合を二重結合へと部分水素化し、それにより好ましくはZ形を生成させる。この水素化は、好ましくは溶媒としてピリジン中で、触媒として炭酸カルシウム上のパラジウムを使って実施される。同様にして、好ましくはジイミンを用いる還元により、好ましくはR.M. Moriatry他、Synth. Comm. 17, 703, 1987の方法に従って、三重結合からZ-二重結合を生成させることができる。
【0101】
エーテル開裂は文献によく見られる方法に従って実施される。この場合、分子中に存在する複数の基において選択的開裂を達成することもできる。このためには、例えば、-100℃から溶媒の沸点までの温度において、好ましくは-78℃で、ジクロロメタンのような溶媒中の三臭素化ホウ素により、該エーテルを処理する。しかしながら、ジメチルホルムアミドのような溶媒中のナトリウムチオメチラートにより、エーテルを開裂させることも可能である。温度は室温から溶媒の沸点までであることができ、好ましくは150℃である。ベンジルエーテルの場合、開裂は強酸、例えばトリフルオロ酢酸を使って、室温から沸点までの温度で実施することも可能である。
【0102】
放射性ヨウ素化化合物には、理論上、複数の方法が適切である。ここでは特に、Tl/トリフルオロ酢酸/NaI法、ヨウ素酸塩/NaI法、クロラミン-T(商標)またはJodogen(商標)の使用を挙げることができる〔M. Eisenhut他、Radioiodination Chemistry and Radioiodinated Compounds, Handbook of Nuclear Chemistry-第4巻、257-278 A. Vertes, S. Nagy & Z. Klencsar編、Kluver Academic Publishers (2003)〕。
【0103】
Tl/トリフルオロ酢酸/NaI法を用いる時、ベンズアミド前駆体を不活性ガス雰囲気のもとでトリフルオロ酢酸中に溶解させ、そしてTl/(トリフルオロ酢酸)3と混合する。インキュベーション時間の後、水中か希NaOHアルカリ性溶液のいずれかにNaIを添加するか、または別の適当な溶媒中に溶解させる。室温でまたは高められた温度で攪拌した後、前駆体が反応して所望の一般式Iの生成物が得られる。
【0104】
ヨウ素酸塩/NaI法による放射性ヨウ素化の場合には、ヨウ素化前駆体を酸(好ましくは1N塩酸)中に溶解し、KIO3溶液(好ましくは水性)と混合し、そして室温で対応する同位体のハロゲン化物溶液を添加した後、反応を実施する。次いで例えばNa2S2O5を添加することにより反応を抑制する。得られた生成物の精製は、順相または逆相クロマトグラフィーによって行うことができる。
【0105】
保護基の開裂は、文献において周知である方法で実施される。例えば、t-ブチルオキシカルボニル基は、室温から溶媒の沸点までの間の温度において、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたはエタノールのような溶媒中で、酸、例えば1N塩酸と反応させることによって除去することができる。-20℃から溶媒の沸点までの間の温度で、好ましくは室温において、トリフルオロ酢酸のような強酸を使ってt-BOC基を開裂させることも可能である。塩化メチレンのような溶媒は必ずしも必要不可欠でないが、有利であるかもしれない。同様にして、t-ブチルエステルを開裂させることができる。
【0106】
ケトンの還元は、エタノール、テトラヒドロフランまたはジエチルエーテルのような溶媒中で、0℃から溶媒の沸点までの温度において、錯体金属水素化物、例えば水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素リチウムにより、既知の方法に従って行われる。
【0107】
異性体混合物は、常用方法に従って、例えば結晶化、任意の形のクロマトグラフィー、または塩形成により、鏡像体またはE/Z異性体に分離される。
塩の生成は、通常のやり方で、式Iの化合物の溶液を当量のまたは過剰量の塩基もしくは酸(これは所望により溶液中に存在する)と混合し、沈澱を分離し、または溶液を通常のやり方で後処理することにより行われる。
【0108】
ここで本発明を下記の実施例において更に説明するが、それに限定されない。
【実施例】
【0109】
下記の実施例は本発明に係る化合物の製造を説明する。
実施例1.4-プロピオニルアミノ-N-(2-ジエチルアミノエチル)-2-メトキシベンズアミド
【化7】

【0110】
a) 2-ヒドロキシー4-ニトロ安息香酸メチルエステル
【化8】

【0111】
916mg(5ミリモル)の2-ヒドロキシ-4-ニトロ安息香酸を、8mlのメタノールと32mlのトルエンからなる混合物中に溶解させ、それをヘキサン中のトリメチルシリルジアゾメタン(2モル)溶液とゆっくり混合する。添加が完了した後、室温で1.25時間攪拌を続ける。反応混合物を蒸発により濃縮した後、1g(理論量の約100%)の2-ヒドロキシ-4-ニトロ安息香酸メチルエステルが得られる。
【0112】
b) 2-メトキシ-4-ニトロ安息香酸メチルエステル
【化9】

【0113】
788mg(4ミリモル)の2-ヒドロキシ-4-ニトロ安息香酸メチルエステルを20mlの無水ジメチルホルムアミド中で177mgの水素化ナトリウム(60%;4.4ミリモル)と混合し、そしてそれを50℃に1時間加熱する。室温に冷却した後、それを625mg(4.4ミリモル)のヨウ化メチルと混合し、次いで80℃の浴温に4時間加熱する。蒸発濃縮後、残渣を50mlの水に取り、各回25mlずつの酢酸エチルで3回抽出する。酢酸エチル相を水洗し、乾燥し、ろ過し、蒸発により濃縮する。残渣を、溶離液としてシクロヘキサンからシクロヘキサン:酢酸エチル=80:20までの勾配を用いる5gのIsolute SI(50μm)上でのクロマトグラフィーにかけると、400mg(理論量の47%)の2-メトキシ-4-ニトロ安息香酸メチルエステルがオイルとして得られる。
【0114】
同様にして、2-エトキシ-4-ニトロ安息香酸メチルエステル;2-メトキシエトキシ-4-ニトロ安息香酸メチルエステルが得られる。
【0115】
c) 4-ニトロ-N-(2-ジエチルアミノエチル)-2-メトキシベンズアミド
【化10】

【0116】
480mg(2.27ミリモル)の2-メトキシ-4-ニトロ安息香酸メチルエステルを、先ず25mlのトルエン中で264mg(0.32ml;2.27ミリモル)の2-N,N-ジエチルアミノエチルアミンと混合し、次いで1.14mlのトリメチルアルミニウム(トルエン中2モル)と素早く混合する。次いでそれを120℃の浴温に2.25時間加熱する。冷却後、30mlの希炭酸水素ナトリウム溶液と混合し、各回25mlずつの酢酸エチルで3回抽出する。酢酸エチル層を水洗し、乾燥し、ろ過し、蒸発により濃縮する。300mg(理論量の45%)の4-ニトロ-N-(2-ジエチルアミノエチル)-2-メトキシベンズアミドが得られる。
【0117】
市販の2-ヒドロキシ-4-ニトロ安息香酸からも同じ化合物が製造できる:5g(25.4ミリモル)の2-ヒドロキシ-4-ニトロ安息香酸を12mlの塩化チオニル中で100℃に2時間加熱する。次いでそれを真空中で蒸発により濃縮せしめ、トルエンと2回混合し、蒸発濃縮する。残渣を40mlのテトラヒドロフラン中に取り、氷冷しながら、それを先ず2.82g(3.88ml;27.9ミリモル)のトリエチルアミンと混合し、次いで3.24g(27.9ミリモル;3.92ml)の2-N,N-ジエチルアミノエチルアミンと混合する。それを室温で一晩攪拌する。次いで蒸発により濃縮し、残渣を100mlの水に取り、各回100mlずつの酢酸エチルで3回抽出する。酢酸エチル相を水洗し、乾燥し、ろ過し、蒸発により濃縮する。7.4g(理論量の98%)の4-ニトロ-N-(2-ジエチルアミノエチル)-2-メトキシベンズアミド(融点:59.3℃)が得られる。
【0118】
同様にして次のものが製造される:
4-ニトロ-N-(2-ジエチルアミノエチル)-2-エトキシベンズアミド;
4-ニトロ-N-(2-ジエチルアミノエチル)-2-メトキシエトキシベンズアミド;
4-ニトロ-2-メトキシ-N-(2-モルホリン-4-イルエチル)ベンズアミド;
4-ニトロ-N-(2-ジイソプロピルアミノエチル)-2-エトキシベンズアミド;
4-ニトロ-N-(2-ジブチルアミノエチル)-2-エトキシベンズアミド;
4-ニトロ-2-メトキシ-N-(2-チオモルホリン-1-イルエチル)ベンズアミド;
4-ニトロ-2-メトキシ-N-(2-ピペリジン-1-イルエチル)ベンズアミド;
4-ニトロ-2-メトキシ-N-(2-ピロリジン-1-イルエチル)ベンズアミド。
【0119】
d) 4-アミノ-N-(2-ジエチルアミノエチル)-2-メトキシベンズアミド
【化11】

【0120】
5.7g(19.3ミリモル)の4-ニトロ-N-(2-ジエチルアミノエチル)-2-メトキシベンズアミドを120mlのテトラヒドロフラン:エタノール=1:1中に溶かし、2gの炭素上パラジウム(Pd/C、10%×50%水)と混合し、そして室温および常圧で1時間水素添加する。珪藻土上で吸引ろ過しそして蒸発により濃縮した後、5.45gの4-アミノ-N-(2-ジエチルアミノエチル)-2-メトキシベンズアミドが得られる。
【0121】
同様にして次の化合物が製造される:
4-アミノ-N-(2-ジエチルアミノエチル)-2-エトキシベンズアミド;
4-アミノ-N-(2-ジエチルアミノエチル)-2-メトキシエトキシベンズアミド;
4-アミノ-2-メトキシ-N-(2-モルホリン-4-イルエチル)ベンズアミド;
4-アミノ-N-(2-ジイソプロピルアミノエチル)-2-エトキシベンズアミド;
4-アミノ-N-(2-ジブチルアミノエチル)-2-エトキシベンズアミド;
4-アミノ-2-メトキシ-N-(2-チオモルホリン-1-イルエチル)ベンズアミド;
4-アミノ-2-メトキシ-N-(2-ピペリジン-1-イルエチル)ベンズアミド;
4-アミノ-2-メトキシ-N-(2-ピロリジン-1-イルエチル)ベンズアミド。
【0122】
e) 4-プロピオニルアミノ-N-(2-ジエチルアミノエチル)-2-メトキシベンズアミド
【化12】

【0123】
15mlのジメチルホルムアミド中の387mg(1.46ミリモル)の4-アミノ-N-(2-ジエチルアミノエチル)-2-メトキシベンズアミドを1.5mlのプロピオン酸無水物と混合し、その混合物を室温で2時間攪拌する。真空中での蒸発濃縮後、残渣を40mlの希炭酸水素ナトリウム溶液中に取り、次いで40mlの酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル相を水洗し、乾燥し、ろ過し、蒸発により濃縮する。ジイソプロピルエーテルを使って残渣を吸収沈澱させ、吸引ろ過する。250mg(理論量の55.7%)の4-プロピオニルアミノ-N-(2-ジエチルアミノエチル)-2-メトキシベンズアミド(融点137℃)が得られる。
【0124】
同様にして次の化合物が得られる:
4-プロピオニルアミノ-N-(2-ジエチルアミノエチル)-2-エトキシベンズアミド;
4-プロピオニルアミノ-N-(2-ジエチルアミノエチル)-2-メトキシエトキシベンズアミド;
4-プロピオニルアミノ-2-メトキシ-N-(2-モルホリン-4-イルエチル)ベンズアミド;
4-プロピオニルアミノ-N-(2-ジイソプロピルアミノエチル)-2-エトキシベンズアミド;
4-プロピオニルアミノ-N-(2-ジブチルアミノエチル)-2-エトキシベンズアミド;
4-プロピオニルアミノ-2-メトキシ-N-(2-チオモルホリン-1-イルエチル)ベンズアミド;
4-プロピオニルアミノ-2-メトキシ-N-(2-ピペリジン-1-イルエチル)ベンズアミド;
4-プロピオニルアミノ-2-メトキシ-N-(2-ピロリジン-1-イルエチル)ベンズアミド。
【0125】
実施例2.ベンゾ〔1,3〕ジオキソール-5-カルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド
【化13】

【0126】
10mlのクロロホルム中に溶かした200mg(0.75ミリモル)の4-アミノ-N-(2-ジエチルアミノエチル)-2-メトキシベンズアミドを5mlの3,4-メチレンジオキシ安息香酸クロリド(クロロホルム中)と混合し、この混合物を室温で3時間攪拌する。真空中での蒸発濃縮後、残渣を40mlの希炭酸水素ナトリウム溶液中に取り、次いで40mlの塩化メチレンで抽出する。塩化メチレン相を水洗し、乾燥し、ろ過し、蒸発濃縮する。315mgの粗生成物を塩化メチレン中に取り、シリカゲル上で精製する。移動溶媒として、塩化メチレン/メタノール(97:3→90:10)から成る混合物を使用する。210mg(理論量の67%)のベンゾ〔1,3〕ジオキソール-5-カルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド、融点131.1℃が得られる。
【0127】
同様にして次の化合物が得られる:
ベンゾ〔1,3〕ジオキソール-5-カルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-5-エトキシフェニル〕アミド;
ベンゾ〔1,3〕ジオキソール-5-カルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-5-メトキシエトキシフェニル〕アミド;
ベンゾ〔1,3〕ジオキソール-5-カルボン酸〔4-(2-モルホリン-4-イルエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド;
ベンゾ〔1,3〕ジオキソール-5-カルボン酸〔4-(2-ジイソプロピルアミノエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド;
ベンゾ〔1,3〕ジオキソール-5-カルボン酸〔4-(2-ジブチルアミノエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド;
ベンゾ〔1,3〕ジオキソール-5-カルボン酸〔4-(2-チオモルホリン-1-イルエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド;
ベンゾ〔1,3〕ジオキソール-5-カルボン酸〔4-(2-ピペリジン-1-イルエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド;
ベンゾ〔1,3〕ジオキソール-5-カルボン酸〔4-(2-ピロリジン-1-イルエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド;
ベンゾ〔1,3〕ジ(メトキシ)-5-カルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-5-エトキシフェニル〕アミド;
【0128】
ベンゾ〔1,3〕ジオキソール-5-カルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-5-エトキシフェニル〕アミド;
フェニルカルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド;
2-メトキシフェニルカルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド;
3-メトキシフェニルカルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド;
4-メトキシフェニルカルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド;
2-クロロフェニルカルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド;
3-クロロフェニルカルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド;
4-クロロフェニルカルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド;
【0129】
2-フルオロフェニルカルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド;
3-フルオロフェニルカルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド;
4-フルオロフェニルカルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド;
2,3-ジメトキシフェニルカルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド;
2,4-ジメトキシフェニルカルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド;
2,5-ジメトキシフェニルカルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド;
3,4-ジメトキシフェニルカルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド;
3,5-ジメトキシフェニルカルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド;
3,4,5-トリメトキシフェニルカルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド。
【0130】
実施例3.N-(2-ジエチルアミノエチル)-2-メトキシ-4-(2-モルホリン-4-イルアセチルアミノ)ベンズアミド
【化14】

【0131】
530mg(2ミリモル)の4-アミノ-N-(2-ジエチルアミノエチル)-2-メトキシベンズアミドを24mlのトルエン中で4℃にて1mlのトリメチルアルミニウム(トルエン中2モル)と混合し、それを室温で0.5時間攪拌する。次いで、320mg(2ミリモル)のメチル-N-モルホリノアセテートをバッチに添加し、それを120℃に1時間加熱する。次いで50mlの希炭酸ナトリウム溶液を加え、各回50mlの酢酸エチルで3回抽出する。酢酸エチル相を水洗し、乾燥し、ろ過し、蒸発により濃縮する。その残渣を、溶離液としてヘキサンからヘキサン:塩化メチレン=5:95への勾配を用いる10gのIsolute NH2(50μm)上でのクロマトグラフィーにかけると、オイルとして157mg(理論値の20%)のN-(2-ジエチルアミノエチル)-2-メトキシ-4-(2-モルホリン-4-イルアセチルアミノ)ベンズアミドが得られる。
【0132】
実施例4.N-〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-3-メトキシフェニル〕マロン酸tert-ブチルエステル
【化15】

【0133】
16mlのジメチルホルムアミド(無水)中、530mg(2ミリモル)の4-アミノ-N-(2-ジエチルアミノエチル)-2-メトキシベンズアミド、320mg(2ミリモル;0.31ml)のマロン酸t-ブチルエステル、505mg(5ミリモル、0.55ml)のN-メチルモルホリンおよび912mg(2.4ミリモル)のO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)を順次添加し、このバッチを室温で2時間攪拌する。次いでバッチを水と混合し、蒸発により濃縮する。残渣を塩化メチレン中にとり、吸引ろ過する。ろ液を蒸発濃縮し、溶離剤として塩化メチレンから塩化メチレン:エタノール=98:2への勾配を用いる10gのIsolute NH2(50μm)上での高速クロマトグラフィーにかけると、278mg(理論量の34%)のN-〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-3-メトキシフェニル〕マロン酸tert-ブチルエステル(融点:110℃)が得られる。
【0134】
実施例5.N-(2-ジエチルアミノエチル)-4-(2-ヒドロキシアセチルアミノ)-2-メトキシベンズアミド
【化16】

【0135】
a) N-(2-ジエチルアミノエチル)-4-(2-ベンジルオキシアセチルアミノ)-2-メトキシベンズアミド
【化17】

【0136】
664mg(4ミリモル)のベンジルオキシ酢酸を20mlの塩化メチレンに加え、それを768mg(4ミリモル)のN′-(3-ジメチルアミノプロピル)-N-エチルカルボジイミド(EDG)と混合し、そして4℃で0.5時間攪拌する。次いで、合計12mlの塩化メチレン中の1.06g(4ミリモル)の4-アミノ-N-(2-ジエチルアミノエチル)-2-メトキシベンズアミドをバッチに添加し、室温で48時間攪拌する。30mlの水を加えた後、各回30mlずつの塩化メチレンで2回抽出する。有機相を乾燥し、ろ過し、蒸発により濃縮する。残渣を、塩化メチレンを用いた20gのIsolute NH2(50μm)上でのクロマトグラフィーにかける。対応する合わせた画分を蒸発により濃縮し、溶離剤としてシクロヘキサンからシクロヘキサン:塩化メチレン=50:50への勾配を用いて10gのIsolute NH2(50μm)上で再びクロマトグラフィー処理すると、348mg(理論量の27%)のN-(2-ジエチルアミノエチル)-4-(2-ベンジルオキシアセチルアミノ)-2-メトキシベンズアミドがオイルとして得られる。
【0137】
基本的に同様にして、N-(2-ジエチルアミノエチル)-4-(3-ベンジルオキシプロピオニルアミノ)-2-メトキシベンズアミドが製造される。
【0138】
b) N-(2-ジエチルアミノエチル)-4-(2-ヒドロキシアセチルアミノ)-2-メトキシベンズアミド
【0139】
340mg(0.82ミリモル)のN-(2-ジエチルアミノエチル)-4-(2-ベンジルオキシアセチルアミノ)-2-メトキシベンズアミドを40mlのメタノール中で200mgのパラジウム/炭素(10%)と混合し、それを常圧で且つ室温で1.5時間水素化する。珪藻土上で触媒を吸引ろ過した後、ろ液を蒸発により濃縮し、その残渣を塩化メチレンからの勾配を用いる10gのIsolute NH2(50μm)上でのクロマトグラフィーにかける。該当する合わせた画分を蒸発濃縮し、再度、溶離剤としてシクロヘキサンからシクロヘキサン:塩化メチレン=50:50への勾配を用いる20gのIsolute NH2(50μm)上でのクロマトグラフィーにかけると、60mg(理論量の22.6%)のN-(2-ジエチルアミノエチル)-4-(2-ヒドロキシアセチルアミノ)-2-メトキシベンズアミドがオイルとして得られる。
【0140】
同様にして、N-(2-ジエチルアミノエチル)-4-(3-ヒドロキシプロピオニルアミノ)-2-メトキシベンズアミドが得られる。
【0141】
実施例6.N-(2-ジエチルアミノエチル)-4-(ビスメタンスルホニルアミノ)-2-メトキシベンズアミド
【化18】

【0142】
265mg(1ミリモル)の4-アミノ-N-(2-ジエチルアミノエチル)-2-メトキシベンズアミドを15mlの塩化メチレン中に加え、それを111mg(1.1ミリモル)のトリエチルアミンおよび126mg(1.1ミリモル)のメタンスルホン酸クロリドと順次混合する。それを室温で2時間攪拌した後、一晩静置しておく。次いでそれを25mlの飽和炭酸水素ナトリウム溶液と混合し、各回25mlずつの塩化メチレンで3回振とう抽出する。合わせた有機相を乾燥し、ろ過し、蒸発により濃縮する。残渣をシクロヘキサン:酢酸エチル=100:0から50:50への勾配を使って10gの塩基性シリカゲル(Isolute flash Si NH2)上でのクロマトグラフィーにかける。232mg(理論量の52.6%)のN-(2-ジエチルアミノエチル)-4-(ビスメタンスルホニルアミノ)-2-メトキシベンズアミド(融点:144.1℃)が得られる。
【0143】
実施例7.N-(2-ジエチルアミノエチル)-4-(メタンスルホニルアミノ)-2-メトキシベンズアミド
【化19】

【0144】
150mg(0.36ミリモル)のN-(2-ジエチルアミノエチル)-4-(ビスメタンスルホニルアミノ)-2-メトキシベンズアミドを10mlのテトラヒドロフラン中に溶かし、それを1mlの1N水酸化カリウム溶液と混合する。室温で2時間攪拌を続ける。次いで、テトラヒドロフランを真空中で留去し、25mlの飽和炭酸水素ナトリウム溶液と混合し、各回25mlずつの塩化メチレン溶液と共に振盪抽出する。合わせた有機相を乾燥し、ろ過し、蒸発により濃縮すると、114mg(理論量の91.9%)のN-(2-ジエチルアミノエチル)-4-(メタンスルホニルアミノ)-2-メトキシベンズアミドが得られる。
【0145】
実施例8.ヨウ化〔2-(4-アセチルアミノ-2-メトキシ-ベンゾイルアミノ)-エチル〕-ジエチル-メチル-アンモニウム
【化20】

【0146】
307mg(1ミリモル)の4-アセチルアミノ-N-(2-ジエチルアミノエチル)-2-メトキシベンズアミドを8mlのジメチルホルムアミド中で358mg(1.1ミリモル)の炭酸セシウムおよび312mg(2.2ミリモル)のヨードメタンと共に混合し、それを耐圧容器に入れ、アルゴン雰囲気下で80℃の浴温に2.5時間加熱する。減圧蒸発により濃縮した後、残渣を25mlの飽和炭酸水素ナトリウム溶液中に取り、各回25mlずつの塩化メチレンで3回抽出する。合わせた有機相を乾燥し、ろ過し、蒸発により濃縮すると、>300℃の融点を有する145mg(理論量の32%)のヨウ化〔2-(4-アセチルアミノ-2-メトキシベンゾイルアミノ)エチル〕ジエチルメチルアンモニウムが得られる。
【0147】
実施例9.ベンゾ〔1,3〕-ジオキソール-5-カルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-2-ヨード-5-メトキシフェニル〕アミド
【化21】

【0148】
I-127(非放射性)を使った合成:100mg(0.242ミリモルに相当する)のベンゾ〔1,3〕ジオキソール-5-カルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド(実施例2から)をN2下で室温にて5mlのトリフルオロ酢酸(TFA)中に溶かした。次いでタリウム(III)-TFA〔Tl(TFA)3〕塩157mg(0.290ミリモルに相当する)を固体の形で添加して、淡黄色の透明な出発溶液を得た。10分後、少量のH2Oに溶かした38.8mg(0.259ミリモルに相当する)のヨウ化ナトリウム(〔I-127〕NaI)を添加した。次いで、バッチを室温で一晩攪拌した。
【0149】
乾燥状態に達するまで高真空(H.V.)下でTFAを除去し、H.V.下で更に2時間、橙褐色の油状残渣を乾燥した。この残渣を3mlのCH2Cl2中に取り、3×1mlの飽和NaHCO3溶液と1×1mlのH2Oで抽出した。合わせた水性相を3×1mlの酢酸エチルで再抽出した。合わせた有機相をMgSO4上で乾燥し、遠心脱水後にH.V.下で一晩乾燥した。化合物の精製は、シリカゲル(メッシュ60)上でのカラムクロマトグラフィーによって行った。移動相:200mlのCH2Cl2/MeOH(97:3)、200mlのCH2Cl2/MeOH(95:5)、300mlのCH2Cl2/MeOH(8:2)。収率:113mg、86%に相当。
【0150】
I-123、I-125、I-131を使った合成:トリフルオロ酢酸(TFA)中のベンゾ〔1,3〕ジオキソール-5-カルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-5-メトキシフェニル〕アミド(実施例2から)20μl(0.200マイクロモルに相当する)とTFA中のTl(TFA)325μl(0.250マイクロモルに相当)とを混合し、室温で5分間インキュベートする。10μlの〔I-123またはI-125またはI-131〕NaI溶液(NaOH中、0.1M)を加えた後、TFAと水酸化ナトリウム溶液を窒素気流の中で除去した。乾燥混合物を50μlのMeCl2/MeOH(95/5)中に取り、RPカートリッジを使って全てのTl残渣を除去した。溶媒混合物を窒素気流の中で留去し、残った残渣を再びエタノール/リン酸緩衝化食塩水(PBS,0.1M,pH 7.4)(5/95)中に取り、0.45μmフィルターに通した。
【0151】
同様にして次の化合物が得られる:
N-(2-ジエチルアミノエチル)-5-ヨード-2-メトキシ-4-プロピオニルアミノベンズアミド;
N-(2-ジエチルアミノエチル)-4-(2,2-ジメチルプロピオニルアミノ)-5-ヨード-2-メトキシベンズアミド;
N-(2-ジエチルアミノエチル)-4-(2-ヒドロキシアセチルアミノ)-5-ヨード-2-メトキシベンズアミド;
N-(2-ジエチルアミノエチル)-4-(3-ヒドロキシプロピオニルアミノ)-5-ヨード-2-メトキシベンズアミド;
N-(2-ジエチルアミノエチル)-4-{2-〔(2-ヒドロキシエチル)メチルアミノ〕アセチルアミノ}-5-ヨード-2-メトキシベンズアミド;
N-(2-ジエチルアミノエチル)-5-ヨード-2-メトキシ-4-(2-モルホリン-4-イルアセチルアミノ)ベンズアミド;
4-ヒドロキシ-1-メチルピロリジン-2-カルボン酸〔4-(2-ジエチルアミノエチルカルバモイル)-2-ヨード-5-メトキシフェニル〕アミド;
N-(2-ジエチルアミノエチル)-5-ヨード-4-メタンスルホニルアミノ-2-メトキシベンズアミド;
N-(2-ジエチルアミノエチル)-5-ヨード-4-ブタンスルホニルアミノ-2-メトキシベンズアミド;
N-(2-ジエチルアミノエチル)-4-カルボキシアセチルアミノ-5-ヨード-2-メトキシベンズアミド。
【0152】
本発明の化合物は逆相高圧液体クロマトグラフィーにより精製することができる。そのようにして精製された化合物の比放射能は、未精製の化合物の比放射能よりも高いであろう。
【0153】
マウスモデル実験
合成および精製後、本発明の化合物を生理学的に許容される媒体に溶かし、注射に備えて維持しておく。臓器分布および腫瘍蓄積実験は、B16/F1腫瘍を有するC57Bl6マウス、およびsk-Mel-3腫瘍を有するNMRIヌードマウス(15〜22g)において実施した。
マウスB16/F1およびヒトSK-Mel-3細胞はATCCから注文入手した。B16/F1細胞(0.5×106)を緩衝液(好ましくはリン酸緩衝液)中で洗浄し、懸濁し、そして100μlをC57BL6マウスの右背側の側腹部に皮下接種する。Sk-Mel-3細胞(5×106)は、緩衝液中で洗浄し、次いでMatrigel(登録商標)(100μl)中に懸濁し、NMRIマウスの体幹右側に皮下接種する。8から10日後、動物は約30mm2の表面積を有する触知可能な腫瘍を形成した。分布実験は、本発明の物質を50〜100μlの容量において3.7〜5.5MBq相当を静脈内投与した後で実施する。投与後の時間において、動物を犠牲にし、臓器および腫瘍を切除し、場合により乾燥し、重量を測り、対応する同位体標準を使うキャリブレータにおいて放射線量(γ測定)について測定した。その結果は、組織gあたりの注射線量(ID)の%として表す(表1)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

{上式中、
基X1〜X5は互いに独立に、ハロゲン、水素、式-NR1R2の基、式-О-R3のエーテル、分枝もしくは未分枝C1〜C10アルキル基、分枝もしくは未分枝C2〜C10アルケニル基、またはアリールもしくはヘテロアリール基であって前記アリールもしくはヘテロアリール基はハロゲンによりもしくは低級アルコキシ基により置換されることがあり、ここで2つの隣接基X1〜X5は5員〜7員環を形成することがあり、前記環上の1個または複数個の炭素原子はN,OまたはSのようなヘテロ原子により置換されることができ、そして基X6は酸素または=NHであり;そして
基X7とX8は同一または異なることができ、水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルケニル、C2〜C6カルボアルコキシアルキル、C2〜C6カルボアルコキシアルケニル、C6〜C12アリールまたはC6〜C12ヘテロアリールであり;各場合において、1または複数の位置が-OR4により、-COOR5により、-CONR6R7により、シアノにより、ハロゲンによりまたは-NR8R9により置換されることがあり;またはX7とX8が一緒になって5員〜7員環を形成し、ここで前記環上の1または複数の炭素原子がN,OまたはSのようなヘテロ原子により置換されることがあり、ここで
R1およびR2は同一または異なり、そして水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルケニル、C2〜C6カルボキシアルキル、C2〜C6カルボキシアルケニル、C1〜C12アルキル、C6〜C12アリールスルホニル、カルボキシアリール、特にC7〜C13カルボキシアリール、またはカルボキシヘテロアリール、特にC7〜C13カルボキシヘテロアリールであり;各場合において、1または複数の位置がアリールにより、ヘテロアリールにより、OR4により、COOR5により、CONR6R7により、シアノにより、ハロゲンによりまたはNR8R9により置換されることがあり、あるいは2つの置換基が一緒になって所望により1個、2個、3個もしくは4個のヘテロ原子を有する3員環、4員環、5員環、6員環、7員環もしくは8員環を形成することがあり;
ただし、ここでR1基とR2基は同時に水素であることはできず;
R3は水素、C6〜C12アリール、ヘテロアリール、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10アルキニル、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルケニルであり;各場合において、1または複数の位置でOR4により、COOR5により、CONR6R7により(ここでO-アルキル基がO-アルキルにより置換可能であるので、ポリエーテル、例えばC-O-C-C-O-C-Rが可能である)、シアノにより、ハロゲンによりまたはNR8R9により置換されることがあり;
R4およびR5は同一または異なることができ、そして水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C6シクロアルキルまたはC3〜C6シクロアルケニルであり;各場合において、1または複数の位置においてアリールにより、ヘテロアリールにより、OR10により、COOR11により、CONR6R7により、シアノにより、ハロゲンによりまたはNR8R9により置換されることがあり;
R6,R7,R8およびR9は同一または異なり、そして水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルケニルであり、各場合において1または複数の位置でOR4により置換されることがあり、あるいはR6とR7またはR8とR9が一緒になって5員〜7員環を形成し、ここで前記環上の1個もしくは複数個の炭素原子がN,OまたはSのようなヘテロ原子により置換されることがあり;
R10,R11は同一または異なり、そして水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C6シクロアルキルまたはC3〜C6シクロアルケニルであり;各場合において、1または複数の位置でアリールにより、ヘテロアリールにより、OR4により、COOR5により、CONR6R7により、シアノにより、ハロゲンによりまたはNR8R9により置換されることがあり;
ここで基X1〜X5のうちの少なくとも1つが放射性ハロゲンであり、
基X1〜X5のうちの少なくとも1つがエーテル-O-R3であり、
基X1〜X5のうちの少なくとも1つが式-NR1R2の基であって、ここでR1かR2のいずれかが置換されたまたは未置換のカルボキシアルキル基、カルボキシアルケニル、カルボキシアリール、またはカルボキシヘテロアリールであり;そして
X1がメトキシでX6がOであり、X8が水素でX7がNH(CH2)2Net2であり、そしてX4がI131を表すならば、X3はNHAcでないことを前提とする}
により表される、放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体および生理学上許容されるその塩。
【請求項2】
前記ハロゲン同位体がF-18、Br-75、I-123、I-124、I-125、I-131およびAt-211より選ばれる、請求項1に記載の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体。
【請求項3】
前記ハロゲン同位体が〔I-131〕ヨウ素であり、その比活性が10mCi/mgから1500mCi/mgである、請求項2に記載の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体。
【請求項4】
前記基X6が酸素である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体。
【請求項5】
前記基X6が=NH基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体。
【請求項6】
前記基X7とX8のうちの一方が水素である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体。
【請求項7】
前記基X7とX8のうちの一方が水素であり、基X7とX8うちのもう一方がアミン-NR8R9により置換されたC1〜C12アルキルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体。
【請求項8】
前記基X7とX8のもう一方がアミン-NR8R9により末端置換されたC2またはC3またはC4アルキルである、請求項7に記載の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体。
【請求項9】
前記R8とR9がC2H5であるかまたは5員もしくは6員環を形成し、ここで前記環の1個もしくは複数個の炭素原子がN,OまたはSのようなヘテロ原子により置換されることがある、請求項8に記載の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体。
【請求項10】
前記X1〜X5のうちの1つが-NR1R2を表す、請求項1〜9のいずれか一項に記載の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体。
【請求項11】
R1がカルボキシアリール基であり、そしてR2が水素である、請求項10に記載の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体。
【請求項12】
R1が未置換のもしくは置換されたC2〜C6カルボキシアルキルまたはC2〜C6カルボキシアルケニル、C7〜C13カルボキシアリール、またはC7〜C13カルボキシへテロアリールであり、そしてR2が水素である、請求項10に記載の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体。
【請求項13】
X1が-O-CH3基、-O-C2H5基、-O-C2H5-O-CH3基または-O-C2H5-OH基から選ばれる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体。
【請求項14】
X1が-O-CH3基であり、X4が〔123〕ヨウ素、〔125〕ヨウ素または〔131〕ヨウ素であり、そしてX3が基-NR1R2であって、ここでR1が置換されたまたは未置換のカルボキシアルキルであり、そしてR2が水素である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体。
【請求項15】
R1が、所望により1個もしくは複数のハロゲンにより、-O-R4により、または一緒になって所望により1個、2個、3個もしくは4個のヘテロ原子を有する3員環、4員環、5員環、6員環、7員環もしくは8員環を形成する2つの置換基により、置換されることがあるC7カルボキシアリールである、請求項14に記載の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体。
【請求項16】
R1がベンゾ〔1,3〕ジオキソール-5-カルボン酸基、ベンゾカルボン酸基、1-クロロベンゾ-4-カルボン酸基、1-フルオロベンゾ-4-カルボン酸基、または1-メトキシベンゾ-4-カルボン酸基であり、そしてR2が水素である、請求項15に記載の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体。
【請求項17】
X1が-O-C2H5基であり、X4が〔123〕ヨウ素、〔125〕ヨウ素または〔131〕ヨウ素であり、そしてX3が基-NR1R2であって、ここでR1はベンゾ〔1,3〕ジオキソール-5-カルボン酸基、ベンゾカルボン酸基、1-クロロベンゾ-4-カルボン酸基、1-フルオロベンゾ-4-カルボン酸基または1-メトキシベンゾ-4-カルボン酸基であり、そしてR2が水素である、請求項1〜13のいずれか一項に記載のハロゲン化ベンズアミド誘導体。
【請求項18】
X1が-O-C2H5-O-CH3基であり、X4が〔123〕ヨウ素、〔125〕ヨウ素または〔131〕ヨウ素であり、そしてX3が基-NR1R2であって、ここでR1はベンゾ〔1,3〕ジオキソール-5-カルボン酸基、ベンゾカルボン酸基、1-クロロベンゾ-4-カルボン酸基、1-フルオロベンゾ-4-カルボン酸基、または1-メトキシベンゾ-4-カルボン酸基であり、そしてR2が水素である、請求項1〜13のいずれか一項に記載のハロゲン化ベンズアミド誘導体。
【請求項19】
X1が-O-C2H5-OH基であり、X4が〔123〕ヨウ素、〔125〕ヨウ素または〔131〕ヨウ素であり、そしてX3が基-NR1R2であって、ここでR1はベンゾ〔1,3〕ジオキソール-5-カルボン酸基、ベンゾカルボン酸基、1-クロロベンゾ-4-カルボン酸基、1-フルオロベンゾ-4-カルボン酸基、または1-メトキシベンゾ-4-カルボン酸基であり、そしてR2が水素である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体。
【請求項20】
X1〜X5のうちの少なくとも1つが基-NR1R2であり、ここでR1はカルボキシアリール基でありそしてR2は水素であり、基X1〜X5の1つが-O-R3基であり、X6が=NH基であり、そして基X1〜X5の1つが〔123〕ヨウ素、〔125〕ヨウ素または〔131〕ヨウ素である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体。
【請求項21】
基X1〜X5のうちの少なくとも1つが基-NR1R2であり、ここでR1はカルボキシアルキル基でありそしてR2は水素であり、基X1〜X5のうちの1つが-O-CH3基を表し、X6が=NH基を表し、そして基X1〜X5の1つが〔123〕ヨウ素、〔125〕ヨウ素または〔131〕ヨウ素を表す、請求項1〜13のいずれか一項に記載の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体。
【請求項22】
式IIa〜IIeの構造:
【化2】

を有する、請求項15に記載の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体。
【請求項23】
腫瘍、特に黒色腫の診断または治療のための医薬組成物の製造方法であって、請求項1〜22のいずれか一項に記載の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体を適当な医薬賦形剤と混合することを含んでなる方法。
【請求項24】
前記ハロゲン同位体がF-18、Br-75、I-123、I-124、I-125、I-131またはAt-211から選ばれる、請求項23に記載の方法に従って製造された医薬組成物。
【請求項25】
前記ハロゲン同位体が〔I-131〕ヨウ素であり、その比活性が10 mCi/mgから1500 mCi/mgまでである、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
腫瘍、特に黒色腫の診断および治療用製剤の製造のための、請求項1〜22のいずれか一項に記載の放射性ハロゲン化ベンズアミド誘導体の使用。

【公表番号】特表2007−527889(P2007−527889A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502298(P2007−502298)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002553
【国際公開番号】WO2005/089815
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(300049958)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】