放射性医薬化合物の合成に有用な補欠分子族
本発明は、高い化学的純度および同位体純度で放射性医薬化合物を調製するための組成物および方法に関する。本発明は、一段階で放射性医薬化合物に変換することができる放射性医薬化合物のポリマー-結合前駆体を提供する。好ましい態様において、放射性医薬前駆体はアルケニル-スズ結合を含む補欠分子族を介してポリマー支持体に結合される。放射性医薬前駆体は、アルケニル-スズ結合を切断し、放射性同位体を導入して放射性医薬化合物を形成することに関係する一段階で放射性医薬化合物に変換される。重要なことに、毒性のスズ副産物を含有するポリマー支持体は、ろ過によって放射性医薬化合物から容易に除去することができる。本発明は、大多数の異なる放射性同位体を導入するために使用することができる。好ましい態様において、放射性同位体は211AT、123Iまたは131Iである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性医薬化合物の合成に有用な補欠分子族に関する。なお、本願は、2003年5月2日提出の米国仮出願第60/467,752号の優先権の恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
放射性同位体で標識した分子は、医学的診断の造影剤および癌の治療における治療剤として使用されている。放射性標識した小分子ならびに放射性標識したペプチドおよびヌクレオチドは共に腫瘍を診断するために使用されている。放射性標識したヌクレオシドは、診断ツールとしてのそれらの使用に加えて、罹患部位に放射性標識したヌクレオシドを直接注射または注入することによってほ乳動物の腫瘍を治療するために使用されている。
【0003】
放射性同位体の使用に関連する実用上の問題は、放射性同位体を送達分子に結合する手段である。生物の特異的な位置に放射性同位体を送達するために特定の結合特性を有する分子を使用する場合にはよくあることであるので、これは重要である。従って、放射性同位体を結合するために使用される官能基は、送達分子の結合特異性を変更しないことが肝要である。さらに、放射性同位体が不用意に放出されると健康な組織が放射線を不必要に受けると思われるので、放射性同位体は送達分子に強く結合するべきである。
【0004】
医学的な用途のために分子を放射性同位体で標識する一般的な方法はスタンニル化方法である。米国特許第5,565,185号参照。この方法は同位体的に純粋な生成物を生じるが、毒性のスズ副産物がしばしば残存することが多く、放射性標識した分子を使用する前に分離しなければならない。さらに、放射性標識した分子およびそれらの前駆体は不安定な性質のため有効期間が短い。従って、幅広い種類の分子に放射性同位体を結合する、毒性の副産物を生じない方法が強く望まれていると考えられる。
【0005】
生物学的配列の放射性標識も活性化エスエルを用いて達成することができる。この方法も、同様の化学的純度および同位体的純度の問題がある。放射性物質、例えば、ベンズアミドをタンパク質またはペプチドに結合することが可能であるが、結果的に生じるタンパク質またはペプチドのほんのわずかしか放射性標識を保有していない。タンパク質またはペプチドは非常に大きく、標識はごくわずかな構造上の修飾にすぎないので、非放射性標識物質から放射性標識した物質を分離することは特に困難である。
【0006】
化合物の精製を簡単にするために使用される技法は、固相支持体に望ましい分子を結合することである。この方法により、望ましくない夾雑物を簡単に洗い流し、本質的に純粋な化合物を固相支持体に結合させておくことができる。望ましい生成物および夾雑物が、抽出またはクロマトグラフィーなどの標準的な分離手法を使用して分離することが困難である場合には、この技法は有利となりうる。固相合成に関する利点の追加の考察は国際公開公報第02/070020号および国際公開公報第99/18053号参照。
【0007】
また、不溶性支持体での有機合成は、溶液における従来の合成と比較して、いくつかの利点を提供する急速に発展している方法である。近年、固相合成の多数の新しい合成方法が開発されており、この技法は従来の合成の有用な別法となっている。固相合成は、大多数の異なる少量の化合物がスクリーニングアッセイに必要とされる場合には、特に有用である。コニビナトリアルケミストリーおよび化合物ライブラリーの作製は、通常、固相合成に基づいている。
【0008】
従って、高い化学的純度および同位体的純度で放射性標識した分子および生物学的配列を作製する手法の必要性が存在する。さらに、有効期間が長い放射性標識分子の前駆体の必要性が存在する。本発明は、上記の必要性を満たし、他の関連する利点を有する。
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
本発明は、一般に、放射性医薬化合物を調製するために補欠分子族を使用する方法に関する。本発明の一局面は、アミノ官能基を含有するポリマー-結合アルケニルスタンナンに関する。ある好ましい態様において、アミノ官能基はピペリジン環である。別の好ましい態様において、ポリマー-結合アルキレンスタンナンは、求核試薬によって置換されうる離脱基を含有する。これは、補欠分子族による求核化合物の官能基化を可能にし、次いでアルケニル-スタンナン結合の切断によって放射性医薬化合物に変換されうる。本発明の別の局面は、アルケン-スズ結合によってポリマーの表面にアルケンを結合する段階を含むポリマー-結合補欠分子族を作製する方法に関する。補欠分子族の離脱基はその後アンマスキングされる。好ましい態様において、離脱基はメシレートである。
【0010】
本発明の別の局面は、放射性同位体、酸化剤および官能基化されている補欠分子族を混合する段階を含む官能基化されている補欠分子族から放射性医薬化合物を調製する方法に関する。好ましい態様において、放射性同位体は211At、123Iまたは131Iであり、酸化剤はクロラミンTのエタノール/水溶液である。
【0011】
発明の詳細な説明
好ましい態様の概要
本発明のある化合物は、化合物を迅速且つ効率的に放射性標識するための前駆体である。本発明の前駆体化合物は安定で、長期間保存することができる。放射性標識した化合物は有効期間が非常に短いので、放射性標識化合物の安定な前駆体の開発は本発明の性質上重要である。貯蔵中に形成される分解産物は患者に有害であることがあるので、放射性医薬にとって化合物の有効期限は特に重要である。従って、本発明は、放射性医薬保存の解決策を提供する。本発明は、長期間貯蔵することができ、薬物投与直前に放射性医薬に容易に変換することができる放射性医薬の前駆体を提供する。
【0012】
従って、本発明は、放射性化合物の安定な前駆体を作製する方法を提供する。また、本発明は、望ましくない不純物を含有しない同位体的に純粋な放射性標識化合物を合成する改善された方法を提供する。トリアルキルビニルスタンナンまたはトリアルキルアリールスタンナンとしてポリマーに結合し、ポリマー副産物のろ過によって任意の望ましくない不純物の除去を促進する補欠分子族が設計されている。
【0013】
本発明は、一般に、補欠分子族を使用して、放射性医薬化合物を調製する方法に関する。本発明の一局面は、求核試薬で置換することができる離脱基を含有するポリマー-結合アルケニルスタンナンに関する。この補欠分子族は、幅広い種類の求核性官能基の誘導体化を可能にする。ある態様において、離脱基はアリルまたはベンジルメタンスルホネートである。任意の不純物を単に固相支持体から洗い流すことができるので、この手法は有利である。次いで、同時に放射性同位体を導入する工程を使用して、補欠分子族を含有する分子を固相支持体から切断する。本発明の別の局面は、アミノ官能基を含有するポリマー-結合アルケニルスタンナンに関する。ある好ましい態様において、アミノ官能基はピペリジン環である。
【0014】
本発明の別の局面は、アルケン-スズ結合によってポリマー表面にアルケンを結合する段階を含むポリマー-結合補欠分子族を調製する方法に関する。この結果は、アルケニルリチウム試薬を、例えば、ポリスチレンのようなポリマー表面に結合している塩化ジブチルスズと反応させることによって達成される。その後、補欠分子族の離脱基をアンマスキングして、固相支持体への補欠分子族の結合中の任意の望ましくない副反応を回避する。好ましい態様において、離脱基はメシレートである。
【0015】
離脱基または離脱基の前駆体は、アルケニルリチウム試薬をポリマー-結合塩化ジブチルスズと反応させる反応条件に安定である任意の保護基を使用して保護することができる。多数の保護基が当技術分野において既知であり、本発明に従う。代表的なヒドロキシル保護基はBeaucageら(Tetrahedron, 1992, 48: 2223-2311)に開示されている。さらに別のヒドロキシル保護基および他の代表的な保護基は、GreeneおよびWuts、「有機合成における保護基」(Protective Groups in Organic Synthesis)、2章、第2版、John Wiley & Sons、New York、1991年ならびに「オリゴヌクレオチドおよびアナログ実践的なアプローチ」(Oligonucleotides And Analogues A Practical Approach)、Ekstein, F.編、IRL Press, N. Y, 1991年に開示されている。ヒドロキシル保護基の例には、t-ブチル、t-ブトキシメチル、メトキシメチル、テトラヒドロピラニル、1-エトキシエチル、1-(2-クロロエトキシ)エチル、2-トリメチルシリルエチル、p-クロロフェニル、2,4-ジニトロフェニル、ベンジル、2,6-ジクロロベンジル、ジフェニルメチル、p,p'-ジニトロベンズヒドリル、p-ニトロベンジル、トリフェニルメチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリル等が挙げられる。
【0016】
本発明の別の局面は、放射性同位体、酸化剤および官能基化されている補欠分子族を混合する段階を含む、官能基化されている補欠分子族から放射性医薬化合物を調製する方法に関する。好ましい態様において、放射性同位体は131Iまたは211Atであり、酸化剤はクロラミンTのエタノール/水溶液である。
【0017】
本発明の方法は、癌を含む、ほ乳動物を苦しめる数多くの病気、状態および疾患を治療するための化合物の合成に有用である。本発明の合成方法はまた、医学的および生物学的画像形成に使用する化合物を調製するためにも有用である。本発明の追加の局面は、放射性標識化合物の前駆体のコンビナトリアルライブラリーの合成に関する。本発明のさらに別の局面は、前駆体化合物を含むキットに関する。
【0018】
ポリマー支持された補欠分子族の調製
一般目的は、アミンおよび付加されている官能基を放射性標識するためのポリマー支持された補欠分子族(ポリマーC)を開発することである。最初の計画は、ポリマー支持されたラジオヨードピペリジン前駆体をいくつか調製し、望ましい放射性標識化合物、例えば、ラジオヨードピペリジンを調製するためにこれらの前駆体を使用することである。
【0019】
ポリマーCの作製およびポリマー支持されたピペリジン(ポリマーD)への変換の一般的なスキームをスキーム1に概略する。ポリマー支持された保護されているアルコール(ポリマーA)は、有機リチウム中間体を介して対応するクロロスタンナンポリマーから調製した。ポリマーAをTBAFを使用して脱保護してアルコール(ポリマーB)を得、次いでメシレート(ポリマーC)に変換した。ポリマーDへの変換は直接的であることが判明した。
【0020】
I2を使用したヨード脱スタンニル化の生成物のHPLC分析に基づいて、これらのポリマーのローディングは変換の段階ごとに低下することが見出された。ポリマー1グラムあたり1.67 mmolのクロライドをローディングしているクロロスタンナンポリマーから出発すると、望ましい補欠試薬、ポリマーCはローディングキャパシティが0.39 mmol/gであった。変換の各段階において、119Sn MAS NMRスペクトルは、予想される化学シフトに一致する位置に1つのスズシグナルだけを示した。
【0021】
例えば、幅広い範囲の求核試薬がこの手法に従うので、この方法は有利である。例えば、種々の置換脂肪族アミン求核試薬を使用することができると思われる。求核試薬の構造上の限界には、離脱基の離脱またはスズ原子への攻撃を促進すると思われるような官能基が挙げられると思われる。しかし、窒素、酸素、硫黄、リン、セレンおよびヒ素求核試薬は、上記の手法に使用することができると思われる。また、安定化されているカルバニオン、例えば、マロネート、ケトンおよびエステルのエノラートは、一級、アリルおよびベンジル炭素中心の求核置換反応に容易に関与することが知られている。
【0022】
各段階後に、望ましい不溶性ポリマー物質を適当な溶媒で数回洗浄して、任意の過剰な試薬および望ましくない副産物を除去する。各場合において、ポリマーは、分光法によって(119Sn MAS NMRおよびIR(DRIFT))およびヨーディノリシス(iodinolysis)の生成物を分析することによって特徴づけられている。
【0023】
不溶性ポリマー物質は以下の3つの方法で分析した:固相MAS 119Sn NMR分光法およびDRIFTアタッチメントを使用するIRならびにポリマーのヨーディノリシス(iodinolysis)。HPLCによってモニターされる後者の反応の生成物は、ポリマーに結合しているアルケニルまたは芳香族化合物の種類の決定および量の定量を可能にする。
【0024】
大多数のポリマー固相支持体が当技術分野において既知であり、本発明に従う。固相支持体は、スズ原子に結合することができる官能基を含有する必要がある。具体的には、固相支持体は、ジアルキルスズハライドと共有結合を形成することができる官能基を有する必要がある。本発明に使用できると思われるポリマー支持体の代表的な例は、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレン-コ-ビニルアセテート)、ポリエチレン、ポリスチレン/ゴムもしくはポリ(エチレン-コ-プロピレン)、アガロース、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリエチレンオキシまたはこれらのコポリマーおよびグラフトである。固相-支持体の他の態様には、小粒子、非多孔性表面、アドレス可能アレイ(addressable array)等が挙げられる。ある局面において、固相支持体は、Millipore社から市販されているCPG支持体などの孔径制御した多孔性ガラス(CPG)支持体、シリカビーズまたはシリカウェーハである。好ましい態様において、ポリマー支持体はポリスチレン、ポリウレタン、ポリ(エチレン-コ-ビニルアセテート)、ポリエチレン、ポリスチレン/ゴムまたはポリ(エチレン-コ-プロピレン)である。
【0025】
医学的適用に使用する放射性同位体
放射性同位体は、疾患を治療するためまたは患者の特定の臓器の機能について情報を提供するために放射線が使用される薬物療法適用に使用されている。多くの場合、情報は、患者の疾患の迅速で正確な診断を下すために医師が使用する。幅広い種類の放射性同位体が医学的適用に使用されている。テクネチウム-99mは、特に骨格筋および心筋を画像化するだけでなく、脳、甲状腺、肺(灌流および換気)、肝臓、脾臓、腎臓(構造およびろ過速度)、胆嚢、骨髄、唾液腺および涙腺、心血液プール、感染および数多くの特殊化した医学的研究のために使用される。クロム-51は、赤血球細胞を標識するためおよび胃-腸タンパク質損失を定量するために使用される。コバルト-60は外照射療法における用途が見出されている。銅-64は、ウィルソン病およびメンケス病などの銅代謝に影響のある遺伝病を研究するために使用することができる。ジスプロシウム-165は、関節炎の滑膜切除治療のための凝集性水酸化物として使用される。イッテルビウム-169は、脳の脳脊髄液研究に使用することができる。ヨウ素-125は癌近接照射療法(前立腺および脳)に、腎臓のろ過速度を評価するため、および脚の深部静脈血栓を診断するために使用されている。それはまた、少量のホルモンの存在を示すためにラジオイムノアッセイにおいて広範に使用される。ヨウ素-131は、甲状腺癌を治療する際および甲状腺を画像化する際、ならびに異常な肝機能、腎(腎臓)血流および尿管閉塞の診断に広範に使用される。強力なγ線放射体であるが、β線治療に使用されるイリジウム-192は、癌治療のための内部放射線療法源として使用するためにワイヤー形態で供給される。鉄-59は脾臓の鉄代謝の研究に使用される。リン-32(β線放射体)は、真性赤血球増多症(赤血球細胞過剰)の治療に使用される。カリウム-42は、冠血流の交換性カリウムの判定に使用される。レニウム-188(タングステン-188由来)は、血管形成術用バルーンから冠動脈にβ線照射するために使用される。サマリウム-153はクアドラメット(Quadramet)として販売されており、骨に存在する二次癌の疼痛を軽減する際に非常に効果的である。前立腺癌および乳癌にも非常に効果的であるセレン-75は、消化酵素の産生を研究するためにセレノ-メチオニンの形態で使用される。ナトリウム-24は、生体内の電解質の研究に使用される。ストロンチウム-89は、前立腺癌の疼痛を軽減する際に非常に効果的であることが見出されている。キセノン-133およびキセノン-127は、肺(肺)換気研究に使用される。β-粒子を放射するイットリウム-90は、癌の治療に使用されており、大関節の関節炎の治療にケイ酸コロイドとして使用されている。パラジウム、セシウム、金およびルテニウムの放射性同位体は近接照射療法に使用される。アスタチン-211はα線放射体で、マウスの肺癌を治療するために使用されており、現在はヒトの脳腫瘍の治療について検討されている。S. J. Kennel et al., Radiation Research 2002, 157, 633-641参照。アスタチン-211は、I-131と比較して癌細胞の根絶に最高1000倍効果的であることが示されている。
【0026】
多数の放射性同位体を有する元素もある。一例は、健康に必須である元素であるヨウ素である;食餌のヨウ素が不十分であると甲状腺腫を生じることがある。ヨウ素はまた、今では核医学と呼ばれるものに放射性同位体が最も早く使用された元素の1つである。最も一般的で安定な形態のヨウ素は原子番号53(陽子)で、質量127(陽子53プラス中性子74)である。その原子核は「正しい」数の中性子を有するので、それは安定で、放射性ではない。安定性の低い形態のヨウ素も53の陽子を有するが、中性子を4つ余分に有し、合計原子量は131である(陽子53および中性子78)。原子核に「多すぎる」中性子を有すると、それは不安定で、放射性であり、半減期は8日である。それは化学的にはヨウ素として挙動するので、安定な形態のヨウ素のように生体全体に移動し、甲状腺に局在化する。しかし、それは放射性であるので、その存在を検出することができる。従って、ヨウ素-131は最も早期に使用された放射性トレーサーの1つになった。
【0027】
診断用放射性医薬
核医学における診断技法は、生体内からγ線を放射する放射性トレーサーを使用する。これらのトレーサーは、一般に、特定の生理的過程の精査を可能にする化学化合物に結合している寿命の短い同位体である。それらは注射、吸入または経口的に与えることができる。第1の種類は、多数の異なる角度から臓器を見ることができるガンマカメラによって単一光子が検出される場合である。カメラは、放射線が放射される地点から画像を構築する;この画像はコンピュータによって増強され、異常な状態を示すかモニターで医師が見る。
【0028】
さらに最近の開発は、サイクロトロン内に発生する同位体を使用する精度が高く、最新式の技法である陽電子放出型断層撮影法(PET)である。陽電子を放出する放射性核種は、通常注射によって導入され、標的組織に蓄積する。それが崩壊するとき、陽電子を放出し、陽電子は即座にすぐ近くの電子と合体して、2つの識別可能なγ線を反対方向に同時に放射する。これらはPETカメラで検出され、それらの起源を非常に高い精度で示す。PETの最も重要な臨床的役割は腫瘍学にあり、トレーサーとしてフッ素-18を用いる。その理由は、フッ素-18は、ほとんどの癌を検出し、評価する最も正確で非侵襲的な方法であることが証明されているからである。それはまた、心臓および脳の画像形成にも使用される。
【0029】
生体内に放射線源を位置決めすることができるということは、核医学による画像形成およびx線などの他の画像形成技法との基本的な差を明らかにしている。記載するどちらの方法によるγ線画像形成も、生体内の放射性同位体の位置および濃度の画像を提供する。同位体が臓器に部分的に取り込まれる(コールドスポット)または過剰に取り込まれる(ホットスポット)場合には、臓器の機能不全を示すことができる。一連の画像がある期間にわたって撮られる場合には、同位体の異常な移動パターンまたは移動速度が臓器の機能不全を示すと思われる。
【0030】
核画像形成がx線技法を上回る明確な利点は、骨および軟部組織の両方が成功率高く画像形成することができるということである。これにより、このような試験を受ける可能性が2人にほぼ1人であり、上昇している先進国では一般に使用されるようになっている。
【0031】
我々の生体の全ての臓器は、化学的観点から見ると作用が異なる。医者および化学者は、特定の臓器によって吸収される数多くの化合物物を同定している。例えば、甲状腺はヨウ素を取り込み、脳は多量のグルコースを消費する等である。この知識を使用すれば、放射線取扱薬剤師(radiopharmacist)は、生物学的に活性な物質に種々の放射性同位体を結合することができる。これらの物質の1つの放射性形態が生体内に流入すると、それは通常の生物過程に組み込まれて、通常の方法で排泄される。
【0032】
診断用放射性医薬は、脳への血流、肝臓、肺、心臓または腎臓の機能を調査するため、骨の成長を評価するためおよび他の診断手法を確認するために使用されている。別の重要な用途は、手術の影響を予測することおよび治療後の変化を評価することである。
【0033】
診断に使用する放射性同位体は、生体から出るのに十分なエネルギーのγ線を放射する必要があり、画像形成が終了したら直ちに崩壊するほど半減期が短い必要がある。医学において最も広範に使用される放射性同位体は、全ての核医学手法の約80%に使用されるテクネチウム-99mである。それは人工的に作製された元素テクネチウムの同位体であり、核医学スキャンのほぼ理想的な特徴を有する。
【0034】
放射性医薬化合物の調製
放射性医薬化合物は、放射性同位体、酸化剤および官能基化されているポリマー-結合補欠分子族を混合することによって、補欠分子族から調製することができる。酸化剤は、酢酸を含有するまたは含有していないクロラミン-Tのエタノール/水溶液、酢酸を含有するN-クロロスクシンイミドのメタノール溶液、酢酸を含有するtert-ブチルヒドロペルオキシドのクロロホルム溶液、リン酸緩衝液を含有するヨードゲン(Iodogen)または酢酸を含有するまたは含有していないヨードビーズ(iodobead)のメタノール溶液であってもよい。また、酸化剤は、ジクロラミン-T、クロラミン-B、過酸(例えば、過酢酸または過安息香酸)または1,3,4,6-テトラクロロ-3α,6α-ジフェニルグリコールウリルであってもよい。種々の放射性同位体は本発明に従う。本発明に使用することができる放射性同位体の代表的な例には、フッ素、炭素、臭素、アスタチンまたはヨウ素の放射性同位体が挙げられる。好ましい態様において、放射性同位体は18F、11C、76Br、211At、123I、131Iまたは125Iである。当技術分野において既知の手法を使用して、種々の放射性同位体を作製することができる。
【0035】
本発明の方法は、迅速で、清潔な反応の利点を維持するだけでなく、精製問題の解決策を提供する。本発明の不溶性ポリマー-結合化合物を放射性同位体および酸化剤で処理すると、放射性標識化合物が溶液中に放出されるが、任意の過剰な前駆体および不溶性のポリマー副産物はろ過によって除去することができる。この、簡単で、迅速なろ過により化学的に純粋な物質が得られる。ある態様において、本発明の工程によって作製される放射性医薬化合物はキャリヤー無添加レベルで作製され、放射性同位体源の比活性レベルにほぼ等しい比活性を有する。このアプローチにより、生物システム、例えば、ヒト生体の受容体特異性に必要な高い比活性の放射性医薬化合物を作製することができると思われる。
【0036】
コンビナトリアルライブラリー
本発明の方法および化合物は、薬学的、農薬学的もしくは他の生物学的もしくは医学的に関連のある活性または物質に関連する品質のスクリーニングのための化合物のコンビナトリアルライブラリーを容易に創出するのに適している。本発明の目的のためのコンビナトリアルライブラリーは、望ましい特性について一緒にスクリーニングすることができる化学的に関連のある化合物の混合物である;このライブラリーは溶液の形態であってもまたは固相支持体に共有結合していてもよい。単一反応での多数の関連化合物の調製は、実施する必要のあるスクリーニング工程の数を大幅に減少し、簡略化する。適当な生物学的、薬学的、農薬学的または物理的特性のスクリーニングは従来の方法によって実施することができる。
【0037】
ライブラリーの多様性は種々の異なるレベルで創出することができる。例えば、コンビナトリアルアプローチに使用する基質は、中心のアリールまたはアルケニル部分に関して多様であってもよく、例えば、環構造に関して多様であってもよく、および/または他の置換基に関して多様であってもよい。
【0038】
小有機分子のコンビナトリアルライブラリーを生成するために種々の技法が当技術分野において利用可能である。例えば、Blondelle et al. (1995) Trends Anal. Chem. 14: 83;Affymaxの米国特許第5,359,115号および同第5,362,899号:Ellmanの米国特許第5,288,514号:StillらのPCT公報国際公開公報第94/08051号;Chen et al. (1994) JACS 116: 2661:Kerr et al. (1993) JACS 115: 252;PCT公報国際公開公報第92/10092号、国際公開公報第93/09668号および国際公開公報第91/07087号;ならびにLernerらのPCT公報国際公開公報第93/20242号参照。従って、約16〜1,000,000以上程のオーダーのディバーソマー(diversomer)の種々のライブラリーを合成することができ、特定の活性または特性についてスクリーニングすることができる。
【0039】
例示的な態様において、例えば、基質の位置の1つに配置されている、例えば、加水分解可能な基または光分解可能な基によってポリマービーズに結合されている、StillらのPCT公報国際公開公報第94/08051号に記載されている技法に適合させた本発明の反応を使用して、置換ディバーソマー(diversomer)のライブラリーを合成することができる。Stillらの技法によると、ライブラリーは、各ビーズが、そのビーズ上のディバーソマー(diversomer)を識別する標識セットを含む、特定のビーズセットで合成される。酵素阻害剤を発見するために特に好適である一態様において、ビーズを透過膜表面に分散し、ビーズリンカーの分解によってディバーソマー(diversomer)をビーズから放出することができる。各ビーズからのディバーソマー(diversomer)は、膜を通過してアッセイゾーンに拡散し、酵素アッセイと相互作用する。数多くのコンビナトリアル方法の詳細な説明は以下に提供されている。
【0040】
直接特徴づけ
コンビナトリアル化学分野の成長している傾向は、例えば、フェムトモル量以下の化合物を特徴づけるためおよびコンビナトリアルライブラリーから選択される化合物の化学的構成を直接決定するために使用することができる質量分析法(MS)などの技法の感度を活用することである。例えば、ライブラリーが不溶性支持体基質上で提供される場合には、別個の集団の化合物を最初に支持体から放出し、MSによって特徴づけることができる。他の態様において、MS試料調製技法の一部として、特に、化合物を基質に結合するために不安定な結合が最初に使用されている場合には、MALDIなどのMS技法を使用して、基質から化合物を放出することができる。例えば、基質からディバーソマー(diversomer)を放出するためにライブラリーから選択されるビーズにMALDI段階において照射することができ、MS分析のためにディバーソマー(diversomer)をイオン化することができる。
【0041】
マルチピン(Multipin)合成
本発明の方法のライブラリーはマルチピンライブラリーフォーマットを取ることができる。簡単に説明すると、Geysenおよび共同研究者(Geysen et al. (1984) PNAS 81: 3998-4002)は、マイクロタイタープレートフォーマットに配列されたポリアクリル酸-破砕ポリエチレンピンにおけるパラレル合成によって化合物ライブラリーを生成する方法を導入している。Geysenの技法は、マルチピン方法を使用して1週間あたり数千の化合物を合成し、スクリーニングするために使用することができ、固定された化合物は多数のアッセイにおいて再使用することができる。純度の評価およびさらに別の評価のために合成後に化合物を支持体から切断することができるように、適当なリンカー部分をピンに付加することができる(Bray et al. (1990) Tetrahedron Lett 31: 5811-5814;Valerio et al. (1991) Anal Biochem 197: 168-177;Bray et al. (1991) Tetrahedron Lett 32: 6163-6166参照)。
【0042】
分割-結合-再結合
さらに別の態様において、分割-結合-再結合方法を使用して、ビーズセット上に多種多様のライブラリーの化合物を提供することができる(例えば、Houghten(1985) PNAS 82: 5131-5135;および米国特許第4,631,211号;同第5,440,016号;同第5,480,971号参照)。簡単に説明すると、名前が示すように、縮重がライブラリーに導入される各合成段階において、ライブラリーの特定の位置に付加される異なる置換基の数に等しい別個のグループにビーズを分割し、異なる置換基を別個の反応において結合し、ビーズを次の反復の1プールに再結合する。
【0043】
一態様において、分割-結合-再結合方法は、化合物の合成が、多孔性のポリプロピレンバッグ内に密閉された樹脂上で生じる、Houghtenによって最初に開発されたいわゆる「ティーバッグ」方法に類似したアプローチを使用して実施することができる(Houghten et al. (1986) PNAS 82: 5131-5135)。置換基は、適当な反応溶液中にバッグを配置することによって化合物を保有する樹脂に結合されるが、樹脂洗浄および脱保護などの全ての共通段階は一反応容器において同時に実施される。合成の終了時に、各バッグは単一の化合物を含有する。
【0044】
光線-誘導型で、空間指定可能なパラレル化学合成によるコンビナトリアルライブラリー
化合物のアイデンティティが合成基質上の位置によって与えられるコンビナトリアル合成スキームは空間指定可能な合成と名づけられる。一態様において、コンビナトリアル方法は、固相支持体の特定の位置への化学試薬の添加を制御することによって実施される(Dower et al. (1991) Annu Rep Med Chem 26: 271-280;Fodor, S. P. A. (1991) Science 251: 767;Pirrung et al. (1992)米国特許第5,143,854;Jacobs et al. (1994) Trends Biotechnol 12: 19-26)。フォトリソグラフィーの空間的分解能により小型化をもたらす。この技法は、感光性保護基を用いる保護/脱保護反応を使用することにより実施することができる。
【0045】
この技術の主要な点はGallop et al.(1994) J Med Chem 37: 1233-1251に例示されている。合成基質は、感光性ニトロベラトリルオキシカルボニル(NVOC)保護されたアミノリンカーまたは他の感光性リンカーの共有結合によるカップリングのために調製される。光線は、カップリングの合成支持体の指定された領域を選択的に活性化するために使用される。光線による感光性保護基の除去(脱保護)により選択された領域が活性化される。活性化により、各々がアミノ末端に感光性保護基を保有するアミノ酸アナログセットの第1のセットが全表面に露出される。前の段階で光線によって指定された領域においてだけカップリングが生じる。反応を停止し、プレートを洗浄し、第2のマスクを介して基質を再度照射し、第2の保護されている構成単位との反応のために異なる領域を活性化する。マスクのパターンおよび反応物質の配列は、生成物およびそれらの位置を規定する。この方法はフォトリソグラフィー技法を使用するので、合成することができる化合物の数は、適当な分解能で指定することができる合成部位の数によってのみ制限される。各化合物の位置は正確に知られる;従って、他の分子との相互作用を直接評価することができる。
【0046】
光線-誘導型化学合成では、生成物は照射パターンおよび反応物質の添加順序に依存する。リソグラフィーパターンを変更することによって、多数の異なるセットの試験化合物を同時に合成することができる;この特徴により多数の異なるマスキング方法が生成される。
【0047】
コード化されたコンビナトリアルライブラリー
さらに別の態様において、本発明の方法は、コード化された標識付加システムで提供される化合物ライブラリーを使用する。コンビナトリアルライブラリーから活性な化合物を同定する際の最近の改善は、所定のビーズが受ける反応段階およびおそらく所定のビーズが保有する構造を独自にコード化する標識を使用する化学的指標付けシステムを使用する。概念的には、このアプローチは、活性は発現されるペプチドに由来するが、活性なペプチドの構造は対応するゲノムDNA配列から推定されるファージディスプレイライブラリーに似ている。合成コンビナトリアルライブラリーの第1のコード化はDNAを符号として使用した。配列決定可能なバイオ-オリゴマー(例えば、オリゴヌクレオチドおよびペプチド)によるコード化および追加の配列決定不可能な標識による2進コード化を含む、種々の他の形態のコード化が報告されている。
【0048】
配列決定可能なバイオ-オリゴマーによる標識化
コンビナトリアル合成ライブラリーをコード化するためにオリゴヌクレオチドを使用する原理は1992年に記載されており(Brenner et al. (1992) PNAS 89: 5381-5383)、このようなライブラリーの例は翌年発表された(Needles et al. (1993) PNAS 90: 10700-10704)。名目上77(=823,543)ペプチドのコンビナトリアルライブラリーは、Arg、Gln、Phe、Lys、Val、D-ValおよびThr(3文字アミノ酸コード)の全ての組み合わせを含み、その各々は特定のジヌクレオチド(それぞれ、TA、TC、CT、AT、TT、CAおよびAC)によってコード化され、固相支持体上での一連の別のラウンドのペプチドおよびオリゴヌクレオチド合成によって調製された。この作業では、オリゴヌクレオチド合成のための保護されたOH基およびペプチド合成のための保護されたNH2基を生じる試薬とビーズを同時にプレインキュベーションすることによって(ここでは、1:20の比)、ビーズ上のアミン結合官能基は、ペプチドまたはオリゴヌクレオチド合成に対して特異的に識別された。終了すると、標識は各々69-merからなり、その14単位はコードを保有した。ビーズ-結合ライブラリーを蛍光標識した抗体と共にインキュベーションし、強く蛍光を発光する結合抗体を含有するビーズは、蛍光活性化細胞選別(FACS)で回収した。DNA標識をPCRで増幅して、配列決定し、予測されるペプチドが合成された。このような技法に従って、化合物のライブラリーを本発明の方法に使用するために得ることができ、標識のオリゴヌクレオチド配列は、特定のビーズが受ける逐次的なコンビナトリアル反応を同定し、従ってビーズ上の化合物のアイデンティティを提供する。
【0049】
オリゴヌクレオチド標識を使用することにより、極めて感度の高い標識分析が可能になる。それでも、本発明の方法は、標識とライブラリーメンバーの交互の協調合成に必要な保護基の直交セット(orthogonal set)の注意深い選択を必要とする。さらに、標識、特にホスフェートおよび糖アノマー結合の化学的不安定性は、非-オリゴマーライブラリーの合成に使用することができる試薬および条件の選択を制限することがある。いくつかの態様において、ライブラリーは、アッセイのための試験化合物ライブラリーメンバーの選択的な分離を可能にするリンカーを使用する。
【0050】
ペプチドはまた、コンビナトリアルライブラリーの標識分子としても使用されている。2つの例示的な方法が当技術分野において記載されており、共に、コーディング鎖およびリガンド鎖が交互に合成される固相に分岐リンカーを使用する。第1のアプローチでは(Kerr JM et al. (1993) J Am Chem Soc 115: 2529-2531)、合成の直交性は、コーディング鎖に酸-不安定保護および化合物鎖に塩基-不安定保護を使用することによって達成される。
【0051】
別の方法では(Nikolaiev et al. (1993) Pept Res 6: 161-170)、コーディング単位および試験化合物が共に樹脂の同じ官能基に結合することができるように、分岐リンカーを使用する。一態様において、切断により、コードおよび化合物を含有する分子が放出されるように、分岐点とビーズの間に切断可能なリンカーを配置することができる(Ptek et al. (1991) Tetrahedron Lett 32: 3891-3894)。別の態様において、試験化合物が選択的にビーズから分離されて、コードを残すことができるように、切断可能なリンカーを配置することができる。この最後の構成は、コーディング基の考えられる妨害を受けないで試験化合物のスクリーニングを可能にするので、特に有用である。独立した切断ならびにペプチドライブラリーメンバーおよびそれらの対応する標識の配列決定の当技術分野における例は、標識がペプチド構造を正確に予測することができることを確認した。
【0052】
配列決定不可能な標識化:2進コード化
試験化合物ライブラリーをコード化する別の形態は、2進コードとして使用される配列決定不可能なエレクトロフォリック(electrophoric)標識分子セットを使用する(Ohlmeyer et al.(1993) PNAS 90: 10922-10926)。例示的な標識は、電子捕獲ガスクロマトグラフィー(ECGC)でフェムトモルレベル未満でトリメチルシリルエーテルとして検出可能であるハロ芳香族アルキルエーテルである。アルキル鎖の鎖長の多様性ならびに芳香族ハロゲン化物置換体の性質および位置により、原理的に240(例えば、1012以上)の異なる分子をコード化することができる、少なくとも40のこのような標識の合成が可能になる。最初の報告では(Ohlmeyer et al., 前記)、標識は、光切断可能なo-ニトロベンジルリンカーを介してペプチドライブラリーの利用可能なアミン基の約1%に結合した。このアプローチは、ペプチド-様または他のアミン-含有分子のコンビナトリアルライブラリーを調製する場合には便利である。しかし、本質的に任意のコンビナトリアルライブラリーのコード化を可能にするさらに応用のきくシステムが開発されている。ここで、化合物は光切断可能なリンカーを介して固相支持体に連結されると思われ、標識は、ビーズ基質へのカルベン挿入によりカテコールエーテルリンカーを介して結合される(Nestler et al.(1994) J Org Chem 59: 4723-4724)。この直交的な連結方法は、溶液中でのアッセイのためのライブラリーメンバーの選択的な分離および標識セットの酸化的な分離後のECGCによるその後の解読を可能にする。
【0053】
当技術分野におけるいくつかのアミド-結合ライブラリーは、アミン基にエレクトロフォリック標識が連結している2進コード化を使用するが、ビーズ基質にこれらの標識を直接連結することにより、コード化されたコンビナトリアルライブラリーにおいて調製することができる構造の多様性がはるかに大きくなる。このように連結されると、標識およびそれらのリンカーは、ビーズ基質自体とほぼ同じくらい無反応性となる。エレクトロフォリック標識が固相に直接連結されており、本発明の化合物ライブラリーを生成するためのガイダンスを提供する2つの2進-コード化されたコンビナトリアルライブラリーが報告されている(Ohlmeyer et al.(1995) PNAS 92: 6027-6031)。両方のライブラリーは、ライブラリーメンバーが感光性リンカーによって固相支持体に結合され、標識は激しい酸化によってのみ切断可能なリンカーによって連結されている直交連結方法を使用して構築された。ライブラリーメンバーは固相支持体から繰返し部分的に光溶出(photoeluted)することができるので、ライブラリーメンバーは多数のアッセイに使用することができる。連続的な光線溶出により、極めて高スループットな反復スクリーニング方法も可能になる;第1に、多数のビーズを96-ウェルマイクロタイタープレートに配置する;第2に、化合物を部分的に分離し、アッセイプレートに移動させる;第3に、金属結合アッセイが活性なウェルを同定する;第4に、対応するビーズを新たなマイクロタイタープレートに1つずつ再配列する;第5に、単一の活性化合物を同定する;および第6に、構造を解読する。
【0054】
キット
本発明は、本発明の前駆体化合物を本明細書に記載する方法により使用して、画像形成または治療のための放射性標識された望ましい化合物を提供するキットを提供する。キットは、上記の化合物の1つ以上と、滅菌した通常の生理食塩水またはヒト血清アルブミンなどの薬学的に許容されうる担体を含む。以下の他の物質も本発明のこの態様により担体として使用してもよい;例えば、界面活性剤、希釈アルコール、炭水化物、補助分子等。本発明のキットは、当然のことながら、シリンジ、取扱説明書、緩衝液、還元剤、反応バイアル等などの、使用を容易にするような他の項目も含んでもよい。
【0055】
一態様において、キットは、診断または画像形成用途のために、酸化剤(oxidant)または酸化薬剤(oxdizing agent)および約1mCi〜約30 mCiの上記の放射性核種ラベルした造影剤と、薬学的に許容されうる担体を含む。別の態様において、キットは、治療的用途のために、酸化剤(oxidant)または酸化薬剤(oxdizing agent)および約10mCi〜約5000 mCiの上記の放射性核種ラベルした造影剤と、薬学的に許容されうる担体を含む。本発明の化合物および担体は溶液の形態または凍結乾燥した形態で提供することができる。本発明の化合物およびキットの担体が凍結乾燥した形態である場合には、キットは、水、生理食塩水、緩衝生理食塩水等などの生理学的に許容されうる滅菌した再構成媒体を任意に含む。
【0056】
別の態様において、本発明のキットは、過剰の前駆体化合物または不溶性のポリマー副産物を除去するためのフィルターまたはろ過装置を含む。
【0057】
別の態様において、本発明のキットは、キレート剤;マンニトール、グルコネート、グルコヘプトネート、酒石酸塩等などの補助分子;SnCl2、Na、ジチオナイトまたは酒石酸スズなどの還元剤と共有結合または非-共有結合により合わせられている前駆体化合物を産生または含有してもよい。前駆体化合物/キレート剤および補助分子はキットの別個の要素として存在してもまたはそれらは単一のキット要素に集約されてもよい。未標識前駆体化合物/キレート剤、補助分子および還元剤は溶液または凍結乾燥した形態で提供されてもよく、キットのこれらの要素は、NaCl、ケイ酸塩、リン酸緩衝液、アスコルビン酸、ゲンチシン酸等などの安定剤を任意に含有してもよい。例えば、耐酸化型の還元剤を提供することによってキット要素のさらなる安定化を提供することができる。
【0058】
定義
「抗体」という用語は、ポリペプチド鎖からなる分子を含む。それは、抗体断片および抗原結合ドメイン断片、モノクローナル抗体および免疫グロブリンを含む。
【0059】
「ヌクレオチド」および「ヌクレオシド」という用語は、プリンまたはピリミジンの塩基成分を有するヌクレオチドおよびヌクレオシドを含む。ヌクレオチドおよびヌクレオシドの例には、アデノシン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシシチジン、デオキシチミジン、アデニレート、グアニレート、シチジレート、ウリジレート、デオキシアデニレート、デオキシグアニレート、デオキシシチジレートおよびチミジレートが挙げられる。
【0060】
ポリマーは、比較的高分子量の任意の分子であり、その構造は、比較的低分子量の分子から実際または概念的に誘導される多数の反復単位を含む。高分子の一部であるポリマーは、分子の他の官能基の任意の反応性に比較的不活性である。不溶性ポリマーはろ過によって除去または分離することができる。
【0061】
「ペプチド」という用語は、モノマーがアミド結合によって結合しているアミノ酸(通常α-アミノ酸)であるオリゴマーをいう。ペプチドは長さ2アミノ酸モノマー以上であるが、長さ5〜10アミノ酸モノマーも多く見られ、さらに長い、すなわち最高20アミノ酸以上も見られることがあり、20アミノ酸を超えるペプチドも考慮される。ペプチドは、ペプチドホルモン、ペプチド模倣物、立体配座的に制限されているペプチドおよびペプチドアナログを含む。
【0062】
「タンパク質」という用語は当技術分野において既知であり、通常超高ポリペプチドまたはいくつかの生物機能を有する関連する同種もしくは異種ポリペプチドセットをいう。本発明の目的のためには、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は概して交換可能である。
【0063】
「同位体的に純粋な」という用語は、元素、化合物または組成物が、他の同位体と比較して大きい割合の1つの同位体を含有することを意味する。ある態様において、元素、化合物または組成物は同位体的に約40%、50%または60%を上回って純粋である。好ましい態様において、元素、化合物または組成物は同位体的に約70%、80%または90%を上回って純粋である。さらに好ましい態様において、元素、化合物または組成物は同位体的に約95%、98%または99%を上回って純粋である。
【0064】
一般に、アミノ酸および保護基を命名するために本明細書において使用する略語は、生化学的命名のIUPAC-IUB委員会(IUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclature)の推奨に基づいている(Biochemistry(1972) 11: 1726-1732参照)。例えば、Met、Ile、Leu、AlaおよびGlyは、それぞれ、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、アラニンおよびグリシンの「残基」を示す。通例、本願に使用するアミノ酸は、タンパク質に見られる天然型アミノ酸またはアミノ基およびカルボキシル基を含有するこのようなアミノ酸の天然型同化もしくは異化産物である。特に好適なアミノ酸側鎖には、以下のアミノ酸の側鎖から選択される側鎖が挙げられる;グリシン、アラニン、バリン、システイン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、メチオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギン、リジン、アルギニン、プロリン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンならびにペプチドグリカン細菌細胞壁の構成要素として同定されているアミノ酸およびアミノ酸アナログ。
【0065】
アミノ酸という用語は、本明細書において言及する任意の特定のアミノ酸のアナログ、誘導体および同属種、ならびにC-末端およびN-末端保護されたアミノ酸誘導体(例えば、N-末端またはC-末端保護基で修飾されている)をさらに含む。例えば、本発明は、側鎖が延長または短縮されているが、環化のためにカルボキシル、アミノまたは他の反応性前駆体官能基を提供するアミノ酸アナログならびに適当な官能基を有する種々の側鎖を有するアミノ酸アナログの使用を考慮する。例えば、本発明の化合物は、例えば、シアノアラニン、カナバリン、ジエンコル酸、ノルロイシン、3-ホスホセリン、ホモセリン、ジヒドロキシ-フェニルアラニン、5-ヒドロキシトリプトファン、1-メチルヒスチジン、3-メチルヒスチジン、ジアミノピメリン酸、オルニチンまたはジアミノ酪酸などのアミノ酸アナログを含んでもよい。本明細書において好適な側鎖を有する他の天然型アミノ酸代謝物または前駆体は当業者によって認識されており、本発明の範囲に含まれる。
【0066】
「放射性標識」は、裸眼または適当な技法、例えば、陽電子放出型断層撮影法(PET)、単一光子放出型断層撮影法(SPECT)または磁気共鳴画像形成法(MRI)を使用して検出することができる検出可能な画像を生成することができる分子をいう。ある例示的な標識は放射性核種または元素の放射性同位体である。放射性核種の例には、
が挙げられる。不対スピン原子およびフリーラジカル(例えば、鉄、ランタニドおよびガドリニウム)および造影剤(例えば、キレート化したDTPAマンガン)を含むさらに別の標識は、磁気共鳴画像(MRI)を入手するために好適である。
【0067】
「固相支持体」という用語は、ライブラリーメンバーまたは試薬がリンカーを用いてまたは用いないで連結することができ、例えば、過剰な試薬、可溶性の反応副産物または溶媒からの、例えば、ろ過、遠心分離による容易な分離を可能にすることができる不溶性で、官能基化されているポリマー材料を含む。
【0068】
「OMEM」という用語は、メトキシエトキシメチル基に結合している酸素原子をいう。
【0069】
本明細書において使用する「ヘテロ原子」という用語は、炭素または水素以外の任意の元素の原子を意味する。例示的なヘテロ原子はホウ素、窒素、酸素、リン、硫黄およびセレンである。
【0070】
「電子-吸引基」という用語は当技術分野において認識されており、隣の原子から価電子を誘引する置換基の傾向を意味し、すなわち、置換基は隣の原子に対して電気陰性である。電子-吸引能力のレベルの数量化は、ハメットシグマ(σ)定数によって与えられる。この既知の定数は多数の参照文献、例えば、J. March, 「最新有機化学」(Advanced Organic Chemistry), McGraw Hill Book Company, New York, (1977年編)pp. 251-259に記載されている。ハメット定数値は、一般に、電子供与基では負であり(NH2はσ[P]=-0.66)、電子吸引基では正であり(ニトロ基はσ[P]=0.78)、σ[P]はパラ置換を示す。例示的な電子-吸引基には、ニトロ、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、クロライド等が挙げられる。例示的な電子供与基には、アミノ、メトキシ等が挙げられる。
【0071】
「アルキル」という用語は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基を含む、飽和脂肪族基のラジカルをいう。一態様において、直鎖または分岐鎖アルキルは、その骨格の炭素原子数が30以下であり(例えば、直鎖はC1〜C30、分岐鎖はC3〜C30)、別の態様では20以下である。同様に、例示的なシクロアルキルは環構造の炭素原子数が3-10であり、別の態様では、環構造の炭素原子数が5、6または7である。
【0072】
炭素原子数を特に特定しない限り、本明細書において使用する「低級アルキル」は上記に規定するが、炭素原子数1〜10のアルキル基を意味し、一態様において、骨格構造の炭素原子数が1〜6である。同様に、「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は同様の鎖長を有する。一態様において、アルキル基は低級アルキルである。一態様において、本明細書においてアルキルと命名される置換体は低級アルキルである。
【0073】
本明細書において使用する「アラルキル」という用語は、アリール基(例えば、芳香族基または芳香族複素環基)で置換されているアルキル基をいう。
【0074】
「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、上記のアルキルと鎖長が類似で、上記のアルキルへの置換が可能であるが、それぞれ、二重結合または三重結合を少なくとも1つ含有する不飽和脂肪族基をいう。
【0075】
本明細書において使用する「アリール」という用語は、0〜4のヘテロ原子を含んでもよい5-、6-および7-員環の単環式芳香族基、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジン等を含む。環構造にヘテロ原子を有するようなアリール基は、「アリール複素環」または「芳香族複素環」ともいうことができる。芳香族環は、1つ以上の環位置が、上記のような置換基、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族もしくは芳香族複素環部分、-CF3、-CN等で置換されていてもよい。「アリール」という用語は、2つ以上の炭素が2つの隣接する環(この環は「融合環」である)に共通であり、環の少なくとも一方は芳香族であり、例えば、他方の環はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/または複素環であってもよい2つ以上の環を有する多環式環系も含む。
【0076】
オルト、メタおよびパラという用語は、それぞれ、1,2-、1,3-および1,4-二置換ベンゼンに適用される。例えば、1,2-ジメチルベンゼンおよびオルト-ジメチルベンゼンという名称は同義である。
【0077】
「ヘテロシクリル」または「複素環基」という用語は、環構造が1〜4のヘテロ原子を含む、3-〜10-員環構造、さらに好ましくは3-〜7-員環をいう。複素環は多環であってもよい。ヘテロシクリル基には、例えば、チオフェン、チアンスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピルダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、アゼチジノンおよびピロリジノンなどのラクタン、サルタム、サルトン等が挙げられる。複素環は、1つ以上の位置が、上記のような置換基、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族または芳香族複素環部分、-CF3、-CN等で置換されていてもよい。
【0078】
「ポリシクリル(polycyclyl)」または「多環基」という用語は、2つ以上の炭素が2つの隣接する環に共通であり、例えば、環は「融合環」である、2つ以上の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはヘテロシクリル)をいう。非隣接原子を介して結合される環は「架橋」環と名づけられる。ポリサイクルの環は各々、上記のような置換基、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族または芳香族複素環部分、-CF3、-CN等で置換されていてもよい。
【0079】
本明細書において使用する「炭素環」という用語は、環の各原子が炭素である芳香族または非-芳香族環をいう。
【0080】
本明細書において使用する「ニトロ」という用語は-NO2を意味する;「ハロゲン」という用語は-F、-Cl、-Brまたは-Iをいう;「スルフヒドリル」という用語は-SHを意味する;「ヒドロキシル」という用語は-OHを意味する;および「スルホニル」という用語は-SO2-を意味する。
【0081】
「アミン」および「アミノ」という用語は当技術分野において認識されており、未置換および置換アミン、例えば、以下の一般式によって表わすことができる部分をいう:
式中、R9、R10およびR'10は、各々独立に、原子価則によって許容される基を表す。
【0082】
「アシルアミノ」という用語は当技術分野において認識されており、以下の一般式で表すことができる部分をいう:
式中、R9は上記に規定するとおりであり、R'11は水素、アルキル、アルケニルまたは-(CH2)m-R8(式中、mおよびR8は上記に規定するとおりである)を示す。
【0083】
「アミド」という用語は、アミノ-置換カルボニルとして当技術分野において認識されており、以下の一般式によって表すことができる部分を含む:
式中、R9、R10は上記に規定するとおりである。一態様において、アミドは、不安定であることがあるイミドを含まない。
【0084】
「アルキルチオ」という用語は、硫黄基が連結している上記に規定するアルキル基をいう。好ましい態様において、「アルキルチオ」部分は、-S-アルキル、-S-アルケニル、-S-アルキニルおよび-S-(CH2)m-R8(式中、mおよびR8は上記に規定するとおりである)の1つによって表される。代表的なアルキルチオ基には、メチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。
【0085】
「カルボニル」という用語は、当技術分野において認識されており、以下の一般式によって表すことができるような部分を含む:
式中、Xは結合または酸素もしくは硫黄を表し、R11は水素、アルキル、アルケニル、-(CH2)m-R8または薬学的に許容されうる塩を表し、R'11は水素、アルキル、アルケニルまたは-(CH2)m-R8 (式中、mおよびR8は上記に規定するとおりである)を表す。Xが酸素で、R11またはR'11が水素でない場合には、式は「エステル」を表す。Xが酸素であり、R11が上記に規定するとおりである場合には、部分はカルボキシル基と本明細書において言及され、特にR11が水素である場合には、式は「カルボン酸」を表す。Xが酸素で、R'11が水素である場合には、式は「ギ酸」を表す。一般に、上記の式の酸素原子を硫黄で置換すると、式は「チオカルボニル」基を表す。Xが硫黄で、R11またはR'11が水素でない場合には、式は「チオールエステル」を表す。Xが硫黄で、R11が水素である場合には、式は「チオカルボン酸」を表す。Xが硫黄で、R'11が水素である場合には、式は「チオールフォルメート」を表す。一方、Xが結合で、R11が水素でない場合には、上記の式は「ケトン」基を表す。Xが結合で、R11が水素である場合には、上記の式は「アルデヒド」基を表す。
【0086】
本明細書において使用する「アルコキシル」または「アルコキシ」という用語は、酸素基が結合している、上記に規定するアルキル基をいう。代表的なアルコキシル基には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、tert-ブトキシ等が挙げられる。「エーテル」は、2つの炭化水素が酸素によって共有結合しているものである。従って、そのアルキルをエーテルにするアルキルの置換体は、-O-アルキル、-O-アルケニル、-O-アルキニル、-O-(CH2)m-R8(式中、mおよびR8は上記に規定するとおりである)の1つによって表すことができるようなアルコキシルであるかまたはそれに類似する。
【0087】
「スルホネート」という用語は当技術分野において認識されており、以下の一般式によって表すことができる部分を含む:
式中、R4は電子対、水素、アルキル、シクロアルキルまたはアリールである。
【0088】
「マロネート」という用語は当技術分野において認識されており、以下の一般式によって表すことができる部分を含む:
式中、R50は、各存在ごとに独立に、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルを表し;R51はH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり;およびR52はラジカル、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルである。
【0089】
「β-ケトエステル」という用語は当技術分野において認識されており、以下の一般式によって表すことができる部分を含む:
式中、R50は、各存在ごとに独立に、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルを表し;R51はH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり;およびR52はラジカル、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルである。
【0090】
「α-ニトロエステル」という用語は当技術分野において認識されており、以下の一般式によって表すことができる部分を含む:
式中、R50は、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり;R51はH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり;およびR52はラジカル、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルである。
【0091】
「α-シアノエステル」という用語は当技術分野において認識されており、以下の一般式によって表すことができる部分を含む:
式中、R50は、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり;R51はH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり;およびR52はラジカル、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルである。
【0092】
「α-ホスホノエステル」という用語は当技術分野において認識されており、以下の一般式によって表すことができる部分を含む:
式中、R50は、各存在ごとに独立に、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルを表し;R51はH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり;およびR52はラジカル、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルである。
【0093】
「α-ケトホスホネート」という用語は当技術分野において認識されており、以下の一般式によって表すことができる部分を含む:
式中、R50は、各存在ごとに独立に、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルを表し;R51はH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり;およびR52はラジカル、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルである。
【0094】
トリフリル、トシル、メシルおよびノナフリルという用語は当技術分野において認識されており、それぞれ、トリフルオロメタンスルホニル、p-トルエンスルホニル、メタンスルホニルおよびノナフルオロブタンスルホニル基をいう。トリフレート、トシレート、メシレートおよびノナフレートという用語は当技術分野において認識されており、それぞれ、トリフルオロメタンスルホネートエステル、p-トルエンスルホネートエステル、メタンスルホネートエステルおよびノナフルオロブタンスルホネートエステル官能基およびこれらの官能基を含有する分子をいう。
【0095】
略語Me、Et、Ph、Tf、Nf、Ts、Msは、それぞれ、メチル、エチル、フェニル、トリフルオロメタンスルホニル、ノナフルオロブタンスルホニル、p-トルエンスルホニルおよびメタンスルホニルを表す。当業者の有機化学者によって使用される略語のさらに総合的なリストは、Journal of Organic Chemistryの各巻の最初の刊行物に記載されている;このリストは、典型的には、「略語の標準リスト」(Standard List of Abbreviations)の表題の表に提示されている。そのリストに含まれる略語および当業者の有機化学者に使用されるすべての略語は参照として本明細書に組み入れられる。
【0096】
「サルフェート」という用語は、当技術分野において認識されており、以下の一般式によって表わすことができる部分を含む:
式中、R41は上記に規定するとおりである。
【0097】
「スルホニルアミノ」という用語は当技術分野において認識されており、以下の一般式によって表わすことができる部分を含む:
【0098】
「スルファモイル」という用語は当技術分野において認識されており、以下の一般式によって表わすことができる部分を含む:
【0099】
本明細書において使用する「スルホニル」という用語は、以下の一般式によって表すことができる部分をいう:
式中、R44は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択される。
【0100】
本明細書において使用する「スルホキシド」という用語は、以下の一般式によって表すことができる部分をいう:
式中、R44は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アラルキルまたはアリールからなる群から選択される。
【0101】
類似の置換をアルケニルおよびアルキニル基に行って、例えば、アミノアルケニル、アミノアルキニル、アミドアルケニル、アミドアルキニル、イミノアルケニル、イミノアルキニル、チオアルケニル、チオアルキニル、カルボニル-置換アルケニルまたはアルキニルを作製することができる。
【0102】
本明細書において使用する各表現の定義、例えばアルキル、m、n等は、それが任意の構造において2回以上出現する場合には、同じ構造の他の定義とは独立であることが意図されている。
【0103】
「置換」または「置換されている」は、暗黙(implicit)を含むことが理解されるが、ただし、このような置換は、置換された原子および置換体の許容される原子価に従い、置換により、例えば、転位、環化、脱離等などによる変換を自然には受けない安定な化合物を生じる。
【0104】
本明細書において使用する「置換されている」という用語は、有機化合物の全ての許容されうる置換体を含むことが考慮される。広範な局面において、許容されうる置換体は、有機化合物の非環式および環式、分岐および未分岐、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族置換体を含む。例示的な置換体には、例えば、本明細書に上記するものが挙げられる。許容されうる置換体は、適当な有機化合物について1つ以上であっても、同じまたは異なってもよい。本発明の目的のためには、窒素などのヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満足する、本明細書に記載する有機化合物の水素置換体および/または任意の許容されうる置換体を有してもよい。本発明は、有機化合物の許容されうる置換体にいかなる意味においても限定されることを意図していない。
【0105】
本明細書において使用する「保護基」というフレーズは、反応性であると思われる官能基を望ましくない化学的変換から保護する一時的な置換体を意味する。このような保護基の例には、カルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテルならびにアルデヒドおよびケトンの、それぞれ、アセタールおよびケタールが挙げられる。保護基化学の分野は総説されている(Greene, T. W.; Wuts, P. G. M. Protective Groups in Organic Synthesis, 第2版;Wiley:New York, 1991年)。
【0106】
本発明のある化合物は、特定の幾何学形態または立体異性体で存在してもよい。本発明は、本発明の範囲に含まれる、シス-およびトランス-異性体、R-およびS-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、それらのラセミ混合物ならびにそれらの他の混合物を含む全てのこのような化合物を考慮する。別の非対称炭素原子が、アルキル基などの置換体に存在することがある。全てのこのような異性体およびそれらの混合物は本発明に含まれることが意図される。
【0107】
例えば、本発明の化合物の特定のエナンチオマーが望ましい場合には、非対称合成またはキラル補助物質を用いる誘導によってそれを調製することができ、得られたジアステレオマー混合物を分離し、補助基を切断して純粋な望ましいエナンチオマーを提供する。または、分子が、アミノなどの塩基性官能基またはカルボキシルなどの酸性官能基を含有する場合には、適当な光学的に活性の酸または塩基を用いてジアステレオマーの塩を形成し、次にこのように形成されたジアステレオマーを当技術分野において既知の分別結晶またはクロマトグラフィー手段で分離し、その後純粋なエナンチオマーを回収する。
【0108】
上記の化合物の考慮される等価物は、別に対応し、同じ一般特性(例えば前駆体として機能する)を有し、放射性標識化合物の前駆体として化合物が機能する効率に有害に影響しない置換体の1つ以上の単純な変更が行われている化合物を含む。一般に、本発明の化合物は、容易に入手可能な出発物質、試薬および従来の合成手法を使用して、例えば以下に記載する一般的な反応スキームに例示する方法またはそれらの変法によって調製することができる。これらの反応では、それら自体既知であるが、本明細書に記載されていない変種を使用することも可能である。
【0109】
本発明の目的のためには、化学元素は、元素の周期表、CASバージョン、「化学および物理のハンドブック」(Handbook of Chemistry and Physics)、第67版、1986-87、内表紙により同定される。
【0110】
本発明の化合物
本発明の一局面は、式1によって表される化合物に関する:
式中、
Polyはポリマーを表し;
R1はアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アルキニルまたはアラルキルを表し;
R2は-NR4R5、ホスフェート、ホスファイト、ホスフィン、XR5、Z、ハライドまたはサルフェートを表し;
XはO、S、SeまたはAsR5であり;
Zはマロネート、β-ケトエステル、α-ニトロエステル、α-シアノエステルまたはα-ホスホノエステルまたはα-ケトホスホネートであり;
nは1〜15であり;
R3は、各存在ごとに独立に、アルキル、アラルキル、アルケニルまたはアルキニルを表し;
および
R4およびR5は、各存在ごとに独立に、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルもしくはヘテロアラルキルを示す;または-NR4R5の例ではR4とR5の間に共有結合が存在する。
【0111】
ある態様において、本発明の化合物は、nが1〜5である式1によって表される。
【0112】
ある態様において、本発明の化合物は、nが1である式1によって表される。
【0113】
ある態様において、本発明の化合物は、R1がアルケニルまたはアリールである式1によって表される。
【0114】
ある態様において、本発明の化合物は、R1がアルケニルである式1によって表される。
【0115】
ある態様において、本発明の化合物は、R1が-[CR8=CR8]w-であり、R8が、各存在ごとに独立に、H、ハロゲン、アルキル、アリールまたはアラルキルであり;およびwが1、2または3である、式1によって表される。
【0116】
ある態様において、本発明の化合物は、R1が-CH=CH-である、式1によって表される。
【0117】
ある態様において、本発明の化合物は、R2がハライドまたはスルホネートである式1によって表される。
【0118】
ある態様において、本発明の化合物は、R2がスルホネートである式1によって表される。
【0119】
ある態様において、本発明の化合物は、R2がメシレートまたはトシレートである式1によって表される。
【0120】
ある態様において、本発明の化合物は、R3がアルキルである式1によって表される。
【0121】
ある態様において、本発明の化合物は、R3がn-ブチルである式1によって表される。
【0122】
ある態様において、本発明の化合物は、R1が-HC=CH-であり、R3がアルキルであり、nが1であり、polyがポリスチレンであり、R2がメシレートまたはトシレートである式1によって表される。
【0123】
ある態様において、本発明の化合物は、R1が-HC=CH-であり、R3がアルキルであり、nが1であり、polyがポリスチレンであり、R2が-NR4R5である式1によって表される。
【0124】
ある態様において、本発明の化合物は、R2が-NR4R5またはXR5である式1によって表される。
【0125】
ある態様において、本発明の化合物は、R2が-NR4R5である式1によって表される。
【0126】
ある態様において、本発明の化合物は、R2が、ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸、炭水化物(モノマーまたはポリマー)、プリン、ピリミジンまたはアミノ酸のアミノ基である式1によって表される。
【0127】
ある態様において、本発明の化合物は、R2が、置換されていてもよい1-ピペリジニルである式1によって表される。
【0128】
ある態様において、本発明の化合物は、R1が-HC=CH-であり、R3がアルキルであり、nが1であり、ポリマーがポリスチレンであり、R2が置換されていてもよい1-ピペリジニルである式1によって表される。
【0129】
ある態様において、本発明の化合物は、R2が-XR5であり、XがOまたはSである式1によって表される。
【0130】
ある態様において、構造1のポリマーは、ポリマーの複数のモノマー単位が部分-Sn(R3)2R1(CH2)nR2で官能基化されている。
【0131】
ある態様において、R2はペプチドのアミノ基である。
【0132】
ある態様において、R2は抗体のアミノ基である。
【0133】
ある態様において、polyはポリエチレングリコール、ポリスチレン、ポリアミドまたはポリペプチドである。
【0134】
ある態様において、polyはポリスチレン、ポリウレタン、ポリ(エチレン-コ-ビニルアセテート)、ポリエチレン、ポリスチレン/ゴムまたはポリ(エチレン-コ-プロピレン)である。
【0135】
ある態様において、polyはポリスチレンである。
【0136】
ある態様において、本発明の化合物は、R2が以下の式2によって表される、式1によって表される:
式中、mは1〜8であり;Rは、各存在ごとに独立に、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、
を表し;qは1〜10であり、R80は置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリルまたはポリシクリルを表し;R6は、各存在ごとに独立に、H、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表し;R7は、各存在ごとに独立に、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表す。
【0137】
ある態様において、本発明の化合物は、R2が以下の式2によって表される、式1によって表される:
式中、mは3または4であり;Rは、各存在ごとに独立に、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、
を表し;qは1〜10であり、R80は置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリルまたはポリシクリルを表し;R6は、各存在ごとに独立に、H、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表し;R7は、各存在ごとに独立に、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表し;polyはポリスチレンである。
【0138】
ポリマー-結合補欠分子族を調製する方法
本発明の別の局面は、以下の段階を含む、ポリマー-結合補欠分子族を合成する方法に関する:
第1の化合物とポリマーを合わせて第1のポリマー-結合化合物を得る段階;および第2の化合物と第1のポリマー-結合化合物を合わせて、官能基化された補欠分子族を含む第2のポリマー-結合化合物を得る段階であって、第2の化合物がアミン、ホスフェート、ホスファイト、ホスフィン、アルコール、フェノール、チオール、アルキルセレニド、アリールセレニド、ビス(アルキル)アルセニド、ビス(アリール)アルセニド、マロネート、β-ケトエステル、α-ニトロエステル、α-シアノエステル、α-ホスホノエステルもしくはα-ケトホスホネートまたはそれらのいずれかから誘導される陰イオンであり、ポリマーが塩化スズ部分を含み、第1の化合物が式3:
(式中
Mは陽イオンであり;
R1はアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アルキニルまたはアラルキルを表し;
R2はOSi(アルキル)3、OMEM、アシルオキシまたはOBnであり、
nは1〜15である)によって表される段階。
【0139】
ある態様において、本発明は、nが1〜5である、上記の方法に関する。
【0140】
ある態様において、本発明は、nが1である、上記の方法に関する。
【0141】
ある態様において、本発明は、Mがアルカリ金属陽イオンまたはアルカリ土類金属陽イオンである、上記の方法に関する。
【0142】
ある態様において、本発明は、MがLi、Na、K、ZnCl、ZnBr、MgBrまたはMgClである、上記の方法に関する。
【0143】
ある態様において、本発明は、R2がOSi(アルキル)3である、上記の方法に関する。
【0144】
ある態様において、本発明は、R2がOSi(iPr)3である、上記の方法に関する。
【0145】
ある態様において、本発明は、R1がアルケニルまたはアリールである、上記の方法に関する。
【0146】
ある態様において、本発明は、R1がアルケニルである、上記の方法に関する。
【0147】
ある態様において、本発明の化合物は、R1が-[CR8=CR8]w-であり、R8が、各存在ごとに独立に、H、ハロゲン、アルキル、アリールまたはアラルキルを表し;およびwが1、2または3である、式1によって表される。
【0148】
ある態様において、本発明は、R1が-CH=CH-である上記の方法に関する。
【0149】
ある態様において、本発明は、第2の化合物がアミン、アルコール、フェノール、チオール、マロネート、β-ケトエステルまたはそれらのいずれかから誘導される陰イオンである上記の方法に関する。
【0150】
ある態様において、本発明は、第2の化合物がアミン、アルコールまたはそれらのいずれかから誘導される陰イオンである上記の方法に関する。
【0151】
ある態様において、本発明は、第2の化合物がアミンまたはそれから誘導される陰イオンである上記の方法に関する。
【0152】
ある態様において、本発明は、官能基化されている補欠分子族が式2によって表される上記の方法に関する:
式中、mは1〜8であり;Rは、各存在ごとに独立に、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、
を表し;qは1〜10であり、R80は置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリルまたはポリシクリルを表し;R6は、各存在ごとに独立に、H、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表し;R7は、各存在ごとに独立に、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表す。
【0153】
ある態様において、本発明は、官能基化されている補欠分子族が式2によって表される上記の方法に関する:
式中、mは3または4であり;Rは、各存在ごとに独立に、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、
;qは1〜10であり、R80は置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリルまたはポリシクリルを表し;R6は、各存在ごとに独立に、H、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表し;R7は、各存在ごとに独立に、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表す。
【0154】
ある態様において、本発明は、官能基化されている補欠分子族が、置換されていてもよい1-ピペリジニルである上記の方法に関する。
【0155】
ある態様において、本発明は、ポリマーが、塩化スズ部分およびポリエチレングリコール、ポリスチレン、ポリアミドまたはポリペプチドを含む上記の方法に関する。
【0156】
ある態様において、本発明は、ポリマーが、塩化スズ部分およびポリスチレン、ポリウレタン、ポリ(エチレン-コ-ビニルアセテート)、ポリエチレン、ポリスチレン/ゴムまたはポリ(エチレン-コ-プロピレン)を含む上記の方法に関する。
【0157】
ある態様において、本発明は、ポリマーが、塩化スズ部分およびポリスチレンを含む上記の方法に関する。
【0158】
ある態様において、本発明は、ポリマーが、塩化ジブチルスズ部分およびポリスチレンを含む上記の方法に関する。
【0159】
ある態様において、本発明は、R2から保護基を除去する段階;ならびにハライドおよびスルホネートからなる群から選択される離脱基へとR2を変換する段階をさらに含む上記の方法に関する。
【0160】
補欠分子族から放射性医薬化合物を調製する方法
本発明の別の局面は、以下の段階を含む、官能基化されている補欠分子族を含むポリマー-結合化合物から放射性医薬化合物を調製する方法に関する:
放射性同位体、酸化剤および官能基化されている補欠分子族を含むポリマー-結合化合物を混合する段階であって、官能基化されている補欠分子族を含むポリマー-結合化合物が以下の式1で表される段階:
式中、
Polyはポリマーを表し;
R1はアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アルキニルまたはアラルキルを表し;
R2は-NR4R5、XR5またはZを表し;
XはO、S、SeまたはAsR5であり;
Zはマロネート、β-ケトエステル、α-ニトロエステル、α-シアノエステルまたはα-ホスホノエステルまたはα-ケトホスホネートであり;
nは1〜15であり;
R3は、各存在ごとに独立に、アルキル、アラルキル、アルケニルまたはアルキニルを表し;
および
R4およびR5は、各存在ごとに独立に、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルもしくはヘテロアラルキルを示す;または-NR4R5の例ではR4とR5の間に共有結合が存在する。
【0161】
ある態様において、酸化剤は、酢酸を含有するまたは含有していないクロラミン-Tのエタノール/水溶液、酢酸を含有するN-クロロスクシンイミドのメタノール溶液、酢酸を含有するtert-ブチルヒドロペルオキシドのクロロホルム溶液、リン酸緩衝液を含有するヨードゲン(Iodogen)、酢酸を含有するまたは含有していないヨードビーズ(iodobead)のメタノール溶液、ジクロタミン-T、クロラミン-B、過酸または1,3,4,6-テトラクロロ-3α,6α-ジフェニルグリコルウリルである。
【0162】
ある態様において、酸化剤は、酢酸を含有してもよいクロラミン-Tのエタノール/水溶液、酢酸を含有するN-クロロスクシンイミドのメタノール溶液、酢酸を含有するtert-ブチルヒドロペルオキシドのクロロホルム溶液、リン酸緩衝液を含有するヨードゲン(Iodogen)または酢酸を含有してもよいヨードビーズ(iodobead)のメタノール溶液である。
【0163】
ある態様において、放射性同位体は18F、11C、76Br、221At、123I、131Iまたは125Iである。
【0164】
ある態様において、放射性同位体は211At、131I、123Iまたは18Fである。
【0165】
ある態様において、放射性同位体は211Atである。
【0166】
ある態様において、放射性同位体は131Iである。
【0167】
ある態様において、本発明の方法によって形成される放射性医薬化合物がキャリヤー無添加レベルで作製され、放射性同位体源の比活性レベルにほぼ等しい比活性を有する。
【0168】
ある態様において、放射性医薬化合物は同位体的に純粋である。
【0169】
ある態様において、放射性医薬化合物は放射性標識されているペプチドまたはタンパク質であり;放射性医薬化合物は同位体的に純粋である。
【0170】
ある態様において、放射性医薬化合物は放射性標識されている抗体であり;放射性医薬化合物は同位体的に純粋である。
【0171】
ある態様において、放射性医薬化合物は放射性標識されているヌクレオチドまたはヌクレオシドであり;放射性医薬化合物は同位体的に純粋である。
【0172】
本発明は、本発明のある好ましい態様が示されている添付の実施例を参照してここでさらに十分に記載される。しかし、本発明は多数の異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載する態様に限定されると解釈されるべきではない;むしろ、これらの態様は、本発明の開示が完全で完璧であるように提供されており、当業者に本発明の範囲を十分に伝える。
【0173】
例示
本発明はここで一般的に記載されているが、本発明のある局面および態様を例示する目的のためだけに含まれ、本発明を限定する意図のものではない以下の実施例を参照することによってさらに容易に理解される。
【0174】
実施例1
2-アミノベンゾフェノン-リンカー複合体の固相支持体へのカップリング
30 mLのペプチド反応フラスコに、4-(4-(5-クロロ-2-フルオレニルメトキシカルボニルアミノ-ベンゾイル)-フェノキシメチル)フェンオキシ酢酸(1.52g、2.4 mmol、2.0当量)、アミノメチル樹脂(1.99g、1.19 mmolの1%架橋ジビニルベンゼン-スチレン、100メッシュサイズ、置換レベル0.60ミリ当量/g)およびヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(0.808g、5.28 mmol、4.4当量)を添加した。無水DMF(12 mL)をフラスコに添加し、混合物を0.5時間ボルテックスして、樹脂を十分に溶媒和させた。ジイソプロピルカルボジイミド(808 mg、5.28 mmol、4.4当量)をシリンジで添加した。反応フラスコに栓をし、次いで24時間ボルテックスし、24時間経過時において、約10 mgの固相支持体のニンヒドリン試験は、カップリングが終了したことを示した。溶媒および試薬を固相支持体からろ別し、支持体を20 mLのDMFで5回および20 mLのCH2Cl2で5回洗浄し(各洗浄は、混合物を少なくとも30秒ボルテックスしてから、溶媒をろ別した)、真空下で12時間乾燥して5を得た。
【0175】
2-アミノベンゾフェノン-リンカー複合体の固相支持体へのカップリング
30 mLのペプチド反応フラスコに、5(2.0g、3.02mmol、2.0当量)、アミノメチル樹脂(1.91g、1.51 mmolの1%架橋ジビニルベンゼン-スチレン、200〜400メッシュサイズ、置換レベル0.79ミリ当量/g)およびヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(0.925g、6.04 mmol、4.4当量)を添加した。無水DMF(10.4 mL)をフラスコに添加し、混合物を0.5時間ボルテックスして、樹脂を十分に溶媒和させた。ジイソプロピルカルボジイミド(762 mg、6.04 mmol、4.4当量)をシリンジで添加し、追加の2.0 mLのDMFを添加して、ペプチド反応フラスコの側面を洗浄した。反応フラスコに栓をし、次いで24時間ボルテックスし、24時間経過時において、約10 mgの固相支持体のニンヒドリン試験は、カップリングが終了したことを示した。溶媒および試薬を固相支持体からろ別し、支持体を20 mLのDMFで5回および20 mLのCH2Cl2で5回洗浄し(各洗浄は、混合物を少なくとも30秒ボルテックスしてから、溶媒をろ別した)、真空下で12時間乾燥して6を得た。
【0176】
実施例2
ポリマー-結合アリールスタンナンを調製するために一般的な手法
保護したハロアリールアルデヒド(1.5 mol当量)を、クロロスタンナンポリマー(1.5 mol当量のSnCl)を含有するT-穴活栓、ゴム隔壁および粉末添加サイドアーム付きの3-頸丸底フラスコに添加した。アルゴン気流下で、蒸留直後の乾燥THFをシリンジで添加した。フラスコおよびその内容物をドライアイス/アセトン温度において3回脱気し、アルゴン雰囲気を導入した。-78℃のハロアリールアルデヒドのTHF溶液に、n-ブチルリチウム(1.3 mol当量、2.5 M)を滴加し、結果として黄色を形成した。-78℃において2時間後、ポリマーをTHF溶液に入れ、懸濁液を18時間撹拌し、徐々に室温にした。メタノールを懸濁液に添加し、懸濁液をろ過した。固体をメタノール、水、メタノール/水/アセトン、メタノール/アセトンおよびメタノールで数回洗浄した。
【0177】
ポリ-(4S, 5S)-2-(3-{ジブチル[2-(3-および4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}フェニル)-3,4-ジメチル-5-フェニル-1,3-オキサゾリジン)-コ-ジビニルベンゼン(9)
保護した3-ブロモベンズアルデヒド7(2.90 g、8.7 mmol)を、4.01 gのクロロスタンナンポリマー8(〜5.9 mol当量のSnCl)を含有するT-穴活栓、ゴム隔壁および粉末添加サイドアーム付きの200 mLの3-頸丸底フラスコに添加した。アルゴン気流下で、蒸留直後の乾燥THF80 mLをシリンジで添加した。フラスコおよびその内容物をドライアイス/アセトン温度において3回脱気し、アルゴン雰囲気を導入した。-78℃の7のTHF溶液に、n-ブチルリチウム(3.0 mL、7.5 mmol、2.5 M)を滴加し、結果として黄色を形成した。-78℃において2時間後、ポリマーをTHF溶液に入れ、懸濁液を18時間撹拌し、徐々に室温にした。メタノール(約3mL)を懸濁液に添加し、懸濁液をろ過した。固体をメタノール、水、メタノール/水/アセトン、メタノール/アセトンおよびメタノールで数回洗浄して,
4.3 gの9を得た。
119Sn MAS NMR:-42.1 ppm。
【0178】
ポリ-(4S, 5S)-2-(4-{ジブチル[2-(3-および4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}フェニル)-3,4-ジメチル-5-フェニル-1,3-オキサゾリジン)-コ-ジビニルベンゼン(11)
1.02 g(3.1 mmol)の保護した4-ブロモベンズアルデヒド10の35 mLのTHF溶液を、-78℃において1.2 mL(3.0 mmol、2.5 M)のn-ブチルリチウムと2時間反応させた。ポリマー8、1.05g(〜1.6 mmolのSnCl)をTHF溶液に入れ、懸濁液を17時間撹拌させた。〜2 mlのメタノールを添加後、懸濁液をろ過し、9と同じ方法で洗浄して、1.24 gの11を得た。
IR(DRIFT、固体):〜1050 cm-1 C-O伸縮。
【0179】
ポリ-(3-{ジブチル[2-(3-および4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}ベンズアルデヒド)-コ-ジビニルベンゼン(12)
保護したアリール-結合ポリマー9(3.98 g)を、25 mLのメタノール、9 mLの水および25 mLの酢酸の混合物で、ゆっくり振とうしながら27時間処理した。ろ過して固体を回収し、メタノール、水、メタノール/水/アセトン、メタノール/アセトンおよびメタノールで連続的に洗浄して、3.65 gのアルデヒド-結合ポリマー12を得た。ヨーディノリシス:ポリマー1グラムあたり0.74 mmolの3-ヨードベンズアルデヒド。
119Sn MAS NMR:-39.0 ppm。
【0180】
ポリ-(4-{ジブチル[2-(3-および4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}ベンズアルデヒド)-コ-ジビニルベンゼン(13)
1.22 gの保護したアリール-結合ポリマー11を、5 mLのメタノール、1.5mLの水および5 mLの酢酸の混合物で、ゆっくり振とうしながら17時間処理した。固体をろ過し、前回のように洗浄してから、1.00 gの13を得た。
ヨーディノリシス:ポリマー1グラムあたり0.78mmolの4-ヨードベンズアルデヒド。
IR(DRIFT、固体):1707cm-1 C=O、2715 cm-1 CHO(弱い)
【0181】
ポリ-(3-{ジブチル[2-(3-および4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}安息香酸)-コ-ジビニルベンゼン(14)
ポリマー-結合アルデヒド12(190 mg、〜0.1 mmolのアルデヒド)を、m-クロロ過安息香酸(210 mg、1.2 mmol)の5 mLメタノール溶液を含有するバイアルに添加した。室温において25時間振とう後、固体をろ過し、1 M NaOH、アセトン、1.7 M AcOH/エタノール、水、メタノール/水/アセトンおよびメタノールで連続洗浄して、150 mgの14を得た。ヨーディノリシス:ポリマー1グラムあたり0.33 mmolの3-ヨード安息香酸。119Sn MAS NMR:-39.3 ppm。
【0182】
ポリ-(4-{ジブチル[2-(3-および4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}安息香酸)-コ-ジビニルベンゼン(15)
980 mgのポリマー-結合アルデヒド13を、1.44 g(8.3 mmol)のm-クロロ過安息香酸の20 mLメタノール溶液に添加した。室温において18時間振とう後、固体をろ過し、1 M NaOH/エタノール、12 mM HCl/エタノール、エタノール/メタノール/水/アセトン、メタノールで洗浄して、980 mgの酸結合ポリマー15を得た。IR(DRIFT、固体):1695 cm-1 C=O。ヨーディノリシス:ポリマー1グラムあたり0.66 mmolの4-ヨード安息香酸。
【0183】
ポリ-(4-{ジブチル[2-(3-および4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}馬尿酸)-コ-ジビニルベンゼン(16)
50 mLの丸底フラスコに、44 mg(0.35 mmol)のグリシンメチルエステル塩酸塩、45 mg(0.35 mmol)のジイソプロピルエチルアミンおよび5 mLのジクロロメタンを添加し、混合物を数分間撹拌して溶解させた。これに、72 mg(0.35 mmol)のジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、53 mg(0.34 mmol)の1-ヒドロキシベンゾトリアジド(1-HOBT)および250 mg(〜0.17 mmol)のポリマー-結合安息香酸15を添加した。室温においてアルゴン気流下で5日間撹拌後、固体をろ過し、メタノール/アセトン、ジクロロメタンおよびメタノールで洗浄した。
【0184】
エステル基を、NaOH(400 mg、10 mmol)の存在下で10 mL THF/水(1:1)中で4時間還流して加水分解した。固体をろ過し、1 M HCl、水、メタノール/水/アセトン、メタノール/アセトン、メタノールで洗浄して、180 mgのベンズアミド結合ポリマー16を得た。ヨーディノリシス:ポリマー1グラムあたり0.58 mmolの4-ヨード馬尿酸。
【0185】
ポリ-(4-{ジブチル[2-(3-および4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}N,N-ジエチルエチレンジアミノベンズアミジル)-コ-ジビニルベンゼン(17)
50 mLの丸底フラスコに、28 mg(0.2 mmol)のジエチルエチレンジアミン、27 mg(0.2 mmol)のコリジン、61 mg(0.3 mmol)のジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、32 mg(0.2 mmol)の1-ヒドロキシベンゾトリアジド(1-HOBT)、150 mg(〜0.1 mmol)のポリマー-結合安息香酸15および5 mLのジクロロメタンを入れた。室温においてアルゴン気流下で7日間撹拌後、固体をろ過し、メタノール/アセトン、ジクロロメタンおよびメタノールで洗浄して、150 mgのベンズアミド結合ポリマー17を得た。
ヨーディノリシス:ポリマー1グラムあたり0.35 mmolのN-(2-ジエチルアミノ)エチル)ベンズアミドおよび0.08 mmolの4-ヨード安息香酸。
【0186】
ポリ-(4-{ジブチル[2-(3-および4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}N-スクシンイミジルエステル)-コ-ジビニルベンゼン(18)
50 mLの丸底フラスコに、60 mg(0.3 mmol)の1-(3-ジメチルアミノ)プロピル-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、35 mg(0.3 mmol)のN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、52 mg(0.4 mmol)のコリジンおよび7 mLのジクロロメタンを入れた。これを10分間撹拌して、完全に溶解した。次いで、50 mg(0.03 mmol)のp-安息香酸ポリマー15を添加し、次に室温において70時間撹拌した。ポリマーをろ過し、メタノールおよびアセトンで数回洗浄して、46 mgの活性化エステルポリマー18を得た。
IR(DRIFT、固体):1773 cm-1、1743 cm-1 C=O
【0187】
ポリ-(4-{ジブチル[2-(3-および4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}N,N-ジエチルエチレンジアミノベンズアミジル)-コ-ジビニルベンゼン(17)
25 mLのバイアルに、32 mgのポリマー-結合活性化エステル18、31 mg(0.2 mmol)のジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)および37 mg(0.3 mmol)のN,N-ジエチルエチレンジアミンを入れた。2 mLのジクロロメタンを添加後、反応を室温において23時間撹拌して行った。固体をろ過し、メタノール、水、メタノール/水/アセトンおよびメタノールで洗浄して、27 mgのベンズアミド結合ポリマー17を得た。ヨーディノリシス:ポリマー1グラムあたり0.43 mmolのN-(2-(ジエチルアミノ)エチル)ベンズアミドおよび0.09 mmolの4-ヨード安息香酸。
【0188】
ポリ-(4S,5S)-2-(5-{ジブチル[2-(4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}-2,3-ジヒドロブンゾフラン-7-イル)-3,4-ジメチル-5-フェニル-1,3-オキサゾリジン-コ-ジビニルベンゼン(19)
先に調製しておいた20(700 mg、1.88 mmol)を、850 mgのクロロスタンナンポリマー(1.47 mmol ScCl/ポリマー1g)を含有するT-穴活栓、ゴム隔壁および粉末添加サイドアーム付き200 mLの3-頚丸底フラスコに添加した。アルゴン気流下で、45 mLの蒸留直後の乾燥THFをシリンジで添加した。フラスコおよびその内容物を、ドライアイス/アセトン温度において3回脱気し、アルゴン雰囲気を導入した。3のTHF溶液に-78℃において、n-ブチルリチウム(0.75 mL、1.88 mmol、2.5 M)を滴加し、結果として黄色を形成した。-78℃において2時間後、ポリマーをTHF溶液に入れ、懸濁液を18時間撹拌し、徐々に室温に加温した。懸濁液に、約5 mLのメタノールを添加し、懸濁液をろ過した。固体をメタノール、水、メタノール/水/アセトン、メタノール/アセトンおよびメタノールで数回洗浄して、1.6 gの19を得た。119Sn MAS NMR(ppm):-39.3、IR(DRIFT、cm-1):1014、1061
【0189】
ポリ-5-{ジブチル[2-(4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-カルボアルデヒド-コ-ジビニルベンゼン(21)
5ドラム試料バイアル中の19(0.975 g)の試料に、酢酸(5 mL)、メタノール(5 mL)および水(1.3 mL)を添加し、反応液を4時間撹拌し、ろ過した。不溶性の物質をメタノール、水およびアセトンで洗浄して、真空下2時間乾燥して、558 mgの淡黄色の固体を得た。
119Sn MAS NMR(ppm):-39.2、IR(DRIFTS、(cm-1):1686、1648
【0190】
ベンズアミドライブラリー
以下のベンズアミドライブラリーは、17の調製の手法と同様の手法を使用して作製した:
【0191】
実施例3
ヨーディノリシスからのベンズアミドの精製
25 mLのバイアル中の約4 mgのポリ-(4-{ジブチル[2-(3-および4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}4-(2-アミノエチル)モルホベンズアミジル)-コ-ジビニルベンゼンに、〜2 mLのCH3CNおよび〜1 mLの0.1 M I2/ CH3CNを添加した。この懸濁液を2時間振とう後、十分量の0.2 M チオ硫酸ナトリウムを添加して、ヨウ素の色を放出した。次いで、得られた反応混合物を、等容量のメタノールおよび1 M NaOHを使用して4倍希釈した。この溶液の約2 mLを逆相C-18 SepPak(Adsorbex RP-18(100 mg))に通した。この溶液のHPLC分析は、4-ヨードベンズアルデヒドに一致する1つのピークを示した。次いで、C-18 SepPakカラムを約2 mLの水で洗浄した。この溶液のHPLCトレースは、1つのピーク、4-ヨード安息香酸を示した。約2 mLのエタノールで洗浄すると、HPLC分析の結果、1つのピーク、4-ヨード-N-(2-モルホリン-4-イルエチル)ベンズアミドを示す溶液を生じた。
【0192】
実施例4
(E)-ヨード-3-トリイソプロピルシロキシ-1-プロペンの調製
2-頚丸底フラスコに、N2気流下で(E)-3-ヨード-2-プロペン-1-オール(1 g、5.44 mmol)を添加した。乾燥CH2Cl2(10 mL)を添加し、次にイミダゾール(0.369 g、5.44 mmol)およびクロロトリイソプロピルシラン(1.17 g、5.44 mmol)を添加した。フラスコの内容物を室温において3時間窒素雰囲気下で撹拌した。次いで、反応混合物を分液ロートに添加し、水で数回洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥して、ろ過し、真空下乾燥した。得られた油状物質を88℃〜92℃、@0.35 mmHgでフラッシュ蒸留して、1.08 g(収率58%)の純粋な油状物質を得た。
【0193】
ポリマーAの調製
(E)-1-ヨード-3-トリイソプロピルシロキシ-1-プロペン(2.21 g、6.49 mmol)を、3 gのクロロスタンナンポリマー(1.73 mmol/g、5.19 mmolのSnCl)を含有する、N2導入口、ゴム隔壁および粉末添加サイドアーム付き200 mLの3-頚丸底フラスコに添加した。フラスコから溶液を除去し、窒素下においた。N2雰囲気下で、80 mLの蒸留直後の乾燥THFをシリンジで添加した。フラスコおよびその内容物を、ドライアイス/アセトン温度において3回脱気して、N2雰囲気を確実にした。この溶液に-78℃において、n-ブチルリチウム(2.69 mL、2.01 M、5.41 mml)を滴加した。-78℃において3時間後、ポリマーをTHF溶液に入れた。この懸濁液を18時間撹拌し、徐々に室温に加温した。懸濁液に約3 mLのメタノールを添加し、懸濁液をろ過した。固体をメタノール、メタノール/水、水、水/アセトンおよびアセトンで数回洗浄して、3.15 gのポリマーAを得た。
MAS 119Sn NMRスペクトル(PhCH3):-47.5 ppm。
IRスペクトル(DRIFT、固体、cm-1):1070、1097(C-O);997(トランスCH=CH)
【0194】
ポリマーAのポリマーBへの変換
ポリマーA(1 g)を、N2導入口およびゴム隔壁付きの100 mLの2-頚丸底フラスコに添加した。フラスコから液体を除去し、窒素下においた。N2雰囲気下で、20 mLの蒸留直後の乾燥THFをシリンジで添加した。過剰量のテトラ-ブチルアンモニウムフルオリド(2 mL)をシリンジで添加し、結果として黄色の溶液を生じた。懸濁液を室温において3時間撹拌し、3時間経過時に懸濁液をろ過し、固体をメタノール、メタノール/水、水、水/アセトンおよびアセトンで数回洗浄して、0.983gのポリマーBを得た。MAS 119Sn NMRスペクトル(PhCH3):-47.5 ppm。IRスペクトル(DRIFT、固体、cm-1):3297(OH)、1074(C-O)、992(トランスCH=CH)、ヨーディノリシス:ポリマー1グラムあたり0.558 mmol/gの(E)-3-ヨード-2-プロペン-1-オール。
【0195】
ポリマーBのポリマーCへの変換
50 mLの丸底フラスコに、ポリマーB(0.60 g)、10 mLのTHFおよび1.39 mLのNEt3(0.996 mmol)を添加した。懸濁液を氷浴で0℃に冷却し、塩化メシル(0.848 mL、10.96 mmol)を滴加した。溶液は5分以内に明るい黄色に変わった。氷浴をはずし、溶液を室温に加温した。45分後、懸濁液をろ過し、固体をメタノール、メタノール/水、水、水/アセトンおよびアセトンで数回洗浄して、0.622 gのポリマーCを得、フリーザーで保存した。MAS 119Sn NMRスペクトル(PhCH3):-48.1 ppm(メジャー)、142.6 ppm(マイナー)。IRスペクトル(DRIFT、固体、cm-1):1359、1175(S=O)、997(トランスCH=CH)。
ヨーディノリシス:ポリマー1グラムあたり0.392 mmol/gの(E)-3-ヨード-2-プロペン-1-イルメタンスルホネート
【0196】
ポリマーDの調製
50 mLの丸底フラスコにポリマーC(0.30 g)、10 mLのTHFおよび過剰量のピペリジン(0.38g、4.41 mmol)を添加した。懸濁液を室温において2時間撹拌し、その後懸濁液をろ過し、固体をメタノール、メタノール/水、水、水/アセトンおよびアセトンで数回洗浄して、0.309 gのポリマーDを得た。
MAS 119Sn NMRスペクトル(PhCH3):-49.9 ppm。IRスペクトル(DRIFT、固体、cm-1):965(トランスCH=CH)。ヨーディノリシス:ポリマー1gあたり0.208 mmol/gのN-(E)-3-ヨード-2-プロペン-1-イルピペリジン。
【0197】
ポリマーB、CおよびDのヨーディノリシスの典型的な手法
約1 mLのI2/CH3CN(0.1 M)を、選択したポリマー(25 mg)の〜2 mL CH3CNの懸濁液に添加した。室温において2時間振とう後、チオ硫酸ナトリウム(0.2 M)の水溶液を、無色の溶液が得られるまで、添加した。得られた溶液をCH3CNで25 mLに希釈した。この懸濁液の一部を、Whatman 0.45μmナイロンシリンジフィルターを通してろ過した。この溶液をHPLCで分析して、対応するヨード化合物の標品試料の1 mM標準溶液と比較した。
【0198】
参照による組み入れ
本明細書において引用する全ての特許および刊行物は参照により本明細書に組み入れられる。
【0199】
等価物
当業者は、本明細書に記載する本発明の特定の態様の多数の等価物を認識する、またはごく通常の実験を使用して確かめることができる。このような等価物は以下の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0200】
【図1】ポリマー-結合プロペニルアミンの合成経路を図示する。
【図2】ポリマー-結合プロペニルチオエーテルおよびエーテルの合成経路を図示する。
【図3】放射性医薬化合物の合成経路を図示する。
【図4】ポリマー-結合アリールスタンナンの合成経路を図示する。
【図5】ポリマー-結合アリールスタンナンの合成経路を図示する。ただし:DCCはジシクロヘキシルカルボジイミドをいう。HOBTはヒドロキシベンゾトリアジドをいう。
【図6】ポリマー-結合アリールスタンナンの合成経路を図示する。
【図7】芳香族放射性医薬化合物の合成経路を図示する。
【図8】ポリマー-結合プロペニルスタンナンの119Sn NMRスペクトルを図示する。
【図9】ポリマー-結合プロペニルスタンナンの119Sn NMRスペクトルを図示する。
【図10】ポリマー-結合プロペニルスタンナンの119Sn NMRスペクトルを図示する。
【図11】ポリマー-結合プロペニルスタンナンの119Sn NMRスペクトルを図示する。
【図12】ポリマー-結合プロペニルスタンナンのIRスペクトルを図示する。
【図13】ポリマー-結合プロペニルスタンナンのIRスペクトルを図示する。
【図14】ポリマー-結合プロペニルスタンナンのIRスペクトルを図示する。
【図15】ポリマー-結合プロペニルスタンナンのIRスペクトルを図示する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性医薬化合物の合成に有用な補欠分子族に関する。なお、本願は、2003年5月2日提出の米国仮出願第60/467,752号の優先権の恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
放射性同位体で標識した分子は、医学的診断の造影剤および癌の治療における治療剤として使用されている。放射性標識した小分子ならびに放射性標識したペプチドおよびヌクレオチドは共に腫瘍を診断するために使用されている。放射性標識したヌクレオシドは、診断ツールとしてのそれらの使用に加えて、罹患部位に放射性標識したヌクレオシドを直接注射または注入することによってほ乳動物の腫瘍を治療するために使用されている。
【0003】
放射性同位体の使用に関連する実用上の問題は、放射性同位体を送達分子に結合する手段である。生物の特異的な位置に放射性同位体を送達するために特定の結合特性を有する分子を使用する場合にはよくあることであるので、これは重要である。従って、放射性同位体を結合するために使用される官能基は、送達分子の結合特異性を変更しないことが肝要である。さらに、放射性同位体が不用意に放出されると健康な組織が放射線を不必要に受けると思われるので、放射性同位体は送達分子に強く結合するべきである。
【0004】
医学的な用途のために分子を放射性同位体で標識する一般的な方法はスタンニル化方法である。米国特許第5,565,185号参照。この方法は同位体的に純粋な生成物を生じるが、毒性のスズ副産物がしばしば残存することが多く、放射性標識した分子を使用する前に分離しなければならない。さらに、放射性標識した分子およびそれらの前駆体は不安定な性質のため有効期間が短い。従って、幅広い種類の分子に放射性同位体を結合する、毒性の副産物を生じない方法が強く望まれていると考えられる。
【0005】
生物学的配列の放射性標識も活性化エスエルを用いて達成することができる。この方法も、同様の化学的純度および同位体的純度の問題がある。放射性物質、例えば、ベンズアミドをタンパク質またはペプチドに結合することが可能であるが、結果的に生じるタンパク質またはペプチドのほんのわずかしか放射性標識を保有していない。タンパク質またはペプチドは非常に大きく、標識はごくわずかな構造上の修飾にすぎないので、非放射性標識物質から放射性標識した物質を分離することは特に困難である。
【0006】
化合物の精製を簡単にするために使用される技法は、固相支持体に望ましい分子を結合することである。この方法により、望ましくない夾雑物を簡単に洗い流し、本質的に純粋な化合物を固相支持体に結合させておくことができる。望ましい生成物および夾雑物が、抽出またはクロマトグラフィーなどの標準的な分離手法を使用して分離することが困難である場合には、この技法は有利となりうる。固相合成に関する利点の追加の考察は国際公開公報第02/070020号および国際公開公報第99/18053号参照。
【0007】
また、不溶性支持体での有機合成は、溶液における従来の合成と比較して、いくつかの利点を提供する急速に発展している方法である。近年、固相合成の多数の新しい合成方法が開発されており、この技法は従来の合成の有用な別法となっている。固相合成は、大多数の異なる少量の化合物がスクリーニングアッセイに必要とされる場合には、特に有用である。コニビナトリアルケミストリーおよび化合物ライブラリーの作製は、通常、固相合成に基づいている。
【0008】
従って、高い化学的純度および同位体的純度で放射性標識した分子および生物学的配列を作製する手法の必要性が存在する。さらに、有効期間が長い放射性標識分子の前駆体の必要性が存在する。本発明は、上記の必要性を満たし、他の関連する利点を有する。
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
本発明は、一般に、放射性医薬化合物を調製するために補欠分子族を使用する方法に関する。本発明の一局面は、アミノ官能基を含有するポリマー-結合アルケニルスタンナンに関する。ある好ましい態様において、アミノ官能基はピペリジン環である。別の好ましい態様において、ポリマー-結合アルキレンスタンナンは、求核試薬によって置換されうる離脱基を含有する。これは、補欠分子族による求核化合物の官能基化を可能にし、次いでアルケニル-スタンナン結合の切断によって放射性医薬化合物に変換されうる。本発明の別の局面は、アルケン-スズ結合によってポリマーの表面にアルケンを結合する段階を含むポリマー-結合補欠分子族を作製する方法に関する。補欠分子族の離脱基はその後アンマスキングされる。好ましい態様において、離脱基はメシレートである。
【0010】
本発明の別の局面は、放射性同位体、酸化剤および官能基化されている補欠分子族を混合する段階を含む官能基化されている補欠分子族から放射性医薬化合物を調製する方法に関する。好ましい態様において、放射性同位体は211At、123Iまたは131Iであり、酸化剤はクロラミンTのエタノール/水溶液である。
【0011】
発明の詳細な説明
好ましい態様の概要
本発明のある化合物は、化合物を迅速且つ効率的に放射性標識するための前駆体である。本発明の前駆体化合物は安定で、長期間保存することができる。放射性標識した化合物は有効期間が非常に短いので、放射性標識化合物の安定な前駆体の開発は本発明の性質上重要である。貯蔵中に形成される分解産物は患者に有害であることがあるので、放射性医薬にとって化合物の有効期限は特に重要である。従って、本発明は、放射性医薬保存の解決策を提供する。本発明は、長期間貯蔵することができ、薬物投与直前に放射性医薬に容易に変換することができる放射性医薬の前駆体を提供する。
【0012】
従って、本発明は、放射性化合物の安定な前駆体を作製する方法を提供する。また、本発明は、望ましくない不純物を含有しない同位体的に純粋な放射性標識化合物を合成する改善された方法を提供する。トリアルキルビニルスタンナンまたはトリアルキルアリールスタンナンとしてポリマーに結合し、ポリマー副産物のろ過によって任意の望ましくない不純物の除去を促進する補欠分子族が設計されている。
【0013】
本発明は、一般に、補欠分子族を使用して、放射性医薬化合物を調製する方法に関する。本発明の一局面は、求核試薬で置換することができる離脱基を含有するポリマー-結合アルケニルスタンナンに関する。この補欠分子族は、幅広い種類の求核性官能基の誘導体化を可能にする。ある態様において、離脱基はアリルまたはベンジルメタンスルホネートである。任意の不純物を単に固相支持体から洗い流すことができるので、この手法は有利である。次いで、同時に放射性同位体を導入する工程を使用して、補欠分子族を含有する分子を固相支持体から切断する。本発明の別の局面は、アミノ官能基を含有するポリマー-結合アルケニルスタンナンに関する。ある好ましい態様において、アミノ官能基はピペリジン環である。
【0014】
本発明の別の局面は、アルケン-スズ結合によってポリマー表面にアルケンを結合する段階を含むポリマー-結合補欠分子族を調製する方法に関する。この結果は、アルケニルリチウム試薬を、例えば、ポリスチレンのようなポリマー表面に結合している塩化ジブチルスズと反応させることによって達成される。その後、補欠分子族の離脱基をアンマスキングして、固相支持体への補欠分子族の結合中の任意の望ましくない副反応を回避する。好ましい態様において、離脱基はメシレートである。
【0015】
離脱基または離脱基の前駆体は、アルケニルリチウム試薬をポリマー-結合塩化ジブチルスズと反応させる反応条件に安定である任意の保護基を使用して保護することができる。多数の保護基が当技術分野において既知であり、本発明に従う。代表的なヒドロキシル保護基はBeaucageら(Tetrahedron, 1992, 48: 2223-2311)に開示されている。さらに別のヒドロキシル保護基および他の代表的な保護基は、GreeneおよびWuts、「有機合成における保護基」(Protective Groups in Organic Synthesis)、2章、第2版、John Wiley & Sons、New York、1991年ならびに「オリゴヌクレオチドおよびアナログ実践的なアプローチ」(Oligonucleotides And Analogues A Practical Approach)、Ekstein, F.編、IRL Press, N. Y, 1991年に開示されている。ヒドロキシル保護基の例には、t-ブチル、t-ブトキシメチル、メトキシメチル、テトラヒドロピラニル、1-エトキシエチル、1-(2-クロロエトキシ)エチル、2-トリメチルシリルエチル、p-クロロフェニル、2,4-ジニトロフェニル、ベンジル、2,6-ジクロロベンジル、ジフェニルメチル、p,p'-ジニトロベンズヒドリル、p-ニトロベンジル、トリフェニルメチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリル等が挙げられる。
【0016】
本発明の別の局面は、放射性同位体、酸化剤および官能基化されている補欠分子族を混合する段階を含む、官能基化されている補欠分子族から放射性医薬化合物を調製する方法に関する。好ましい態様において、放射性同位体は131Iまたは211Atであり、酸化剤はクロラミンTのエタノール/水溶液である。
【0017】
本発明の方法は、癌を含む、ほ乳動物を苦しめる数多くの病気、状態および疾患を治療するための化合物の合成に有用である。本発明の合成方法はまた、医学的および生物学的画像形成に使用する化合物を調製するためにも有用である。本発明の追加の局面は、放射性標識化合物の前駆体のコンビナトリアルライブラリーの合成に関する。本発明のさらに別の局面は、前駆体化合物を含むキットに関する。
【0018】
ポリマー支持された補欠分子族の調製
一般目的は、アミンおよび付加されている官能基を放射性標識するためのポリマー支持された補欠分子族(ポリマーC)を開発することである。最初の計画は、ポリマー支持されたラジオヨードピペリジン前駆体をいくつか調製し、望ましい放射性標識化合物、例えば、ラジオヨードピペリジンを調製するためにこれらの前駆体を使用することである。
【0019】
ポリマーCの作製およびポリマー支持されたピペリジン(ポリマーD)への変換の一般的なスキームをスキーム1に概略する。ポリマー支持された保護されているアルコール(ポリマーA)は、有機リチウム中間体を介して対応するクロロスタンナンポリマーから調製した。ポリマーAをTBAFを使用して脱保護してアルコール(ポリマーB)を得、次いでメシレート(ポリマーC)に変換した。ポリマーDへの変換は直接的であることが判明した。
【0020】
I2を使用したヨード脱スタンニル化の生成物のHPLC分析に基づいて、これらのポリマーのローディングは変換の段階ごとに低下することが見出された。ポリマー1グラムあたり1.67 mmolのクロライドをローディングしているクロロスタンナンポリマーから出発すると、望ましい補欠試薬、ポリマーCはローディングキャパシティが0.39 mmol/gであった。変換の各段階において、119Sn MAS NMRスペクトルは、予想される化学シフトに一致する位置に1つのスズシグナルだけを示した。
【0021】
例えば、幅広い範囲の求核試薬がこの手法に従うので、この方法は有利である。例えば、種々の置換脂肪族アミン求核試薬を使用することができると思われる。求核試薬の構造上の限界には、離脱基の離脱またはスズ原子への攻撃を促進すると思われるような官能基が挙げられると思われる。しかし、窒素、酸素、硫黄、リン、セレンおよびヒ素求核試薬は、上記の手法に使用することができると思われる。また、安定化されているカルバニオン、例えば、マロネート、ケトンおよびエステルのエノラートは、一級、アリルおよびベンジル炭素中心の求核置換反応に容易に関与することが知られている。
【0022】
各段階後に、望ましい不溶性ポリマー物質を適当な溶媒で数回洗浄して、任意の過剰な試薬および望ましくない副産物を除去する。各場合において、ポリマーは、分光法によって(119Sn MAS NMRおよびIR(DRIFT))およびヨーディノリシス(iodinolysis)の生成物を分析することによって特徴づけられている。
【0023】
不溶性ポリマー物質は以下の3つの方法で分析した:固相MAS 119Sn NMR分光法およびDRIFTアタッチメントを使用するIRならびにポリマーのヨーディノリシス(iodinolysis)。HPLCによってモニターされる後者の反応の生成物は、ポリマーに結合しているアルケニルまたは芳香族化合物の種類の決定および量の定量を可能にする。
【0024】
大多数のポリマー固相支持体が当技術分野において既知であり、本発明に従う。固相支持体は、スズ原子に結合することができる官能基を含有する必要がある。具体的には、固相支持体は、ジアルキルスズハライドと共有結合を形成することができる官能基を有する必要がある。本発明に使用できると思われるポリマー支持体の代表的な例は、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレン-コ-ビニルアセテート)、ポリエチレン、ポリスチレン/ゴムもしくはポリ(エチレン-コ-プロピレン)、アガロース、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリエチレンオキシまたはこれらのコポリマーおよびグラフトである。固相-支持体の他の態様には、小粒子、非多孔性表面、アドレス可能アレイ(addressable array)等が挙げられる。ある局面において、固相支持体は、Millipore社から市販されているCPG支持体などの孔径制御した多孔性ガラス(CPG)支持体、シリカビーズまたはシリカウェーハである。好ましい態様において、ポリマー支持体はポリスチレン、ポリウレタン、ポリ(エチレン-コ-ビニルアセテート)、ポリエチレン、ポリスチレン/ゴムまたはポリ(エチレン-コ-プロピレン)である。
【0025】
医学的適用に使用する放射性同位体
放射性同位体は、疾患を治療するためまたは患者の特定の臓器の機能について情報を提供するために放射線が使用される薬物療法適用に使用されている。多くの場合、情報は、患者の疾患の迅速で正確な診断を下すために医師が使用する。幅広い種類の放射性同位体が医学的適用に使用されている。テクネチウム-99mは、特に骨格筋および心筋を画像化するだけでなく、脳、甲状腺、肺(灌流および換気)、肝臓、脾臓、腎臓(構造およびろ過速度)、胆嚢、骨髄、唾液腺および涙腺、心血液プール、感染および数多くの特殊化した医学的研究のために使用される。クロム-51は、赤血球細胞を標識するためおよび胃-腸タンパク質損失を定量するために使用される。コバルト-60は外照射療法における用途が見出されている。銅-64は、ウィルソン病およびメンケス病などの銅代謝に影響のある遺伝病を研究するために使用することができる。ジスプロシウム-165は、関節炎の滑膜切除治療のための凝集性水酸化物として使用される。イッテルビウム-169は、脳の脳脊髄液研究に使用することができる。ヨウ素-125は癌近接照射療法(前立腺および脳)に、腎臓のろ過速度を評価するため、および脚の深部静脈血栓を診断するために使用されている。それはまた、少量のホルモンの存在を示すためにラジオイムノアッセイにおいて広範に使用される。ヨウ素-131は、甲状腺癌を治療する際および甲状腺を画像化する際、ならびに異常な肝機能、腎(腎臓)血流および尿管閉塞の診断に広範に使用される。強力なγ線放射体であるが、β線治療に使用されるイリジウム-192は、癌治療のための内部放射線療法源として使用するためにワイヤー形態で供給される。鉄-59は脾臓の鉄代謝の研究に使用される。リン-32(β線放射体)は、真性赤血球増多症(赤血球細胞過剰)の治療に使用される。カリウム-42は、冠血流の交換性カリウムの判定に使用される。レニウム-188(タングステン-188由来)は、血管形成術用バルーンから冠動脈にβ線照射するために使用される。サマリウム-153はクアドラメット(Quadramet)として販売されており、骨に存在する二次癌の疼痛を軽減する際に非常に効果的である。前立腺癌および乳癌にも非常に効果的であるセレン-75は、消化酵素の産生を研究するためにセレノ-メチオニンの形態で使用される。ナトリウム-24は、生体内の電解質の研究に使用される。ストロンチウム-89は、前立腺癌の疼痛を軽減する際に非常に効果的であることが見出されている。キセノン-133およびキセノン-127は、肺(肺)換気研究に使用される。β-粒子を放射するイットリウム-90は、癌の治療に使用されており、大関節の関節炎の治療にケイ酸コロイドとして使用されている。パラジウム、セシウム、金およびルテニウムの放射性同位体は近接照射療法に使用される。アスタチン-211はα線放射体で、マウスの肺癌を治療するために使用されており、現在はヒトの脳腫瘍の治療について検討されている。S. J. Kennel et al., Radiation Research 2002, 157, 633-641参照。アスタチン-211は、I-131と比較して癌細胞の根絶に最高1000倍効果的であることが示されている。
【0026】
多数の放射性同位体を有する元素もある。一例は、健康に必須である元素であるヨウ素である;食餌のヨウ素が不十分であると甲状腺腫を生じることがある。ヨウ素はまた、今では核医学と呼ばれるものに放射性同位体が最も早く使用された元素の1つである。最も一般的で安定な形態のヨウ素は原子番号53(陽子)で、質量127(陽子53プラス中性子74)である。その原子核は「正しい」数の中性子を有するので、それは安定で、放射性ではない。安定性の低い形態のヨウ素も53の陽子を有するが、中性子を4つ余分に有し、合計原子量は131である(陽子53および中性子78)。原子核に「多すぎる」中性子を有すると、それは不安定で、放射性であり、半減期は8日である。それは化学的にはヨウ素として挙動するので、安定な形態のヨウ素のように生体全体に移動し、甲状腺に局在化する。しかし、それは放射性であるので、その存在を検出することができる。従って、ヨウ素-131は最も早期に使用された放射性トレーサーの1つになった。
【0027】
診断用放射性医薬
核医学における診断技法は、生体内からγ線を放射する放射性トレーサーを使用する。これらのトレーサーは、一般に、特定の生理的過程の精査を可能にする化学化合物に結合している寿命の短い同位体である。それらは注射、吸入または経口的に与えることができる。第1の種類は、多数の異なる角度から臓器を見ることができるガンマカメラによって単一光子が検出される場合である。カメラは、放射線が放射される地点から画像を構築する;この画像はコンピュータによって増強され、異常な状態を示すかモニターで医師が見る。
【0028】
さらに最近の開発は、サイクロトロン内に発生する同位体を使用する精度が高く、最新式の技法である陽電子放出型断層撮影法(PET)である。陽電子を放出する放射性核種は、通常注射によって導入され、標的組織に蓄積する。それが崩壊するとき、陽電子を放出し、陽電子は即座にすぐ近くの電子と合体して、2つの識別可能なγ線を反対方向に同時に放射する。これらはPETカメラで検出され、それらの起源を非常に高い精度で示す。PETの最も重要な臨床的役割は腫瘍学にあり、トレーサーとしてフッ素-18を用いる。その理由は、フッ素-18は、ほとんどの癌を検出し、評価する最も正確で非侵襲的な方法であることが証明されているからである。それはまた、心臓および脳の画像形成にも使用される。
【0029】
生体内に放射線源を位置決めすることができるということは、核医学による画像形成およびx線などの他の画像形成技法との基本的な差を明らかにしている。記載するどちらの方法によるγ線画像形成も、生体内の放射性同位体の位置および濃度の画像を提供する。同位体が臓器に部分的に取り込まれる(コールドスポット)または過剰に取り込まれる(ホットスポット)場合には、臓器の機能不全を示すことができる。一連の画像がある期間にわたって撮られる場合には、同位体の異常な移動パターンまたは移動速度が臓器の機能不全を示すと思われる。
【0030】
核画像形成がx線技法を上回る明確な利点は、骨および軟部組織の両方が成功率高く画像形成することができるということである。これにより、このような試験を受ける可能性が2人にほぼ1人であり、上昇している先進国では一般に使用されるようになっている。
【0031】
我々の生体の全ての臓器は、化学的観点から見ると作用が異なる。医者および化学者は、特定の臓器によって吸収される数多くの化合物物を同定している。例えば、甲状腺はヨウ素を取り込み、脳は多量のグルコースを消費する等である。この知識を使用すれば、放射線取扱薬剤師(radiopharmacist)は、生物学的に活性な物質に種々の放射性同位体を結合することができる。これらの物質の1つの放射性形態が生体内に流入すると、それは通常の生物過程に組み込まれて、通常の方法で排泄される。
【0032】
診断用放射性医薬は、脳への血流、肝臓、肺、心臓または腎臓の機能を調査するため、骨の成長を評価するためおよび他の診断手法を確認するために使用されている。別の重要な用途は、手術の影響を予測することおよび治療後の変化を評価することである。
【0033】
診断に使用する放射性同位体は、生体から出るのに十分なエネルギーのγ線を放射する必要があり、画像形成が終了したら直ちに崩壊するほど半減期が短い必要がある。医学において最も広範に使用される放射性同位体は、全ての核医学手法の約80%に使用されるテクネチウム-99mである。それは人工的に作製された元素テクネチウムの同位体であり、核医学スキャンのほぼ理想的な特徴を有する。
【0034】
放射性医薬化合物の調製
放射性医薬化合物は、放射性同位体、酸化剤および官能基化されているポリマー-結合補欠分子族を混合することによって、補欠分子族から調製することができる。酸化剤は、酢酸を含有するまたは含有していないクロラミン-Tのエタノール/水溶液、酢酸を含有するN-クロロスクシンイミドのメタノール溶液、酢酸を含有するtert-ブチルヒドロペルオキシドのクロロホルム溶液、リン酸緩衝液を含有するヨードゲン(Iodogen)または酢酸を含有するまたは含有していないヨードビーズ(iodobead)のメタノール溶液であってもよい。また、酸化剤は、ジクロラミン-T、クロラミン-B、過酸(例えば、過酢酸または過安息香酸)または1,3,4,6-テトラクロロ-3α,6α-ジフェニルグリコールウリルであってもよい。種々の放射性同位体は本発明に従う。本発明に使用することができる放射性同位体の代表的な例には、フッ素、炭素、臭素、アスタチンまたはヨウ素の放射性同位体が挙げられる。好ましい態様において、放射性同位体は18F、11C、76Br、211At、123I、131Iまたは125Iである。当技術分野において既知の手法を使用して、種々の放射性同位体を作製することができる。
【0035】
本発明の方法は、迅速で、清潔な反応の利点を維持するだけでなく、精製問題の解決策を提供する。本発明の不溶性ポリマー-結合化合物を放射性同位体および酸化剤で処理すると、放射性標識化合物が溶液中に放出されるが、任意の過剰な前駆体および不溶性のポリマー副産物はろ過によって除去することができる。この、簡単で、迅速なろ過により化学的に純粋な物質が得られる。ある態様において、本発明の工程によって作製される放射性医薬化合物はキャリヤー無添加レベルで作製され、放射性同位体源の比活性レベルにほぼ等しい比活性を有する。このアプローチにより、生物システム、例えば、ヒト生体の受容体特異性に必要な高い比活性の放射性医薬化合物を作製することができると思われる。
【0036】
コンビナトリアルライブラリー
本発明の方法および化合物は、薬学的、農薬学的もしくは他の生物学的もしくは医学的に関連のある活性または物質に関連する品質のスクリーニングのための化合物のコンビナトリアルライブラリーを容易に創出するのに適している。本発明の目的のためのコンビナトリアルライブラリーは、望ましい特性について一緒にスクリーニングすることができる化学的に関連のある化合物の混合物である;このライブラリーは溶液の形態であってもまたは固相支持体に共有結合していてもよい。単一反応での多数の関連化合物の調製は、実施する必要のあるスクリーニング工程の数を大幅に減少し、簡略化する。適当な生物学的、薬学的、農薬学的または物理的特性のスクリーニングは従来の方法によって実施することができる。
【0037】
ライブラリーの多様性は種々の異なるレベルで創出することができる。例えば、コンビナトリアルアプローチに使用する基質は、中心のアリールまたはアルケニル部分に関して多様であってもよく、例えば、環構造に関して多様であってもよく、および/または他の置換基に関して多様であってもよい。
【0038】
小有機分子のコンビナトリアルライブラリーを生成するために種々の技法が当技術分野において利用可能である。例えば、Blondelle et al. (1995) Trends Anal. Chem. 14: 83;Affymaxの米国特許第5,359,115号および同第5,362,899号:Ellmanの米国特許第5,288,514号:StillらのPCT公報国際公開公報第94/08051号;Chen et al. (1994) JACS 116: 2661:Kerr et al. (1993) JACS 115: 252;PCT公報国際公開公報第92/10092号、国際公開公報第93/09668号および国際公開公報第91/07087号;ならびにLernerらのPCT公報国際公開公報第93/20242号参照。従って、約16〜1,000,000以上程のオーダーのディバーソマー(diversomer)の種々のライブラリーを合成することができ、特定の活性または特性についてスクリーニングすることができる。
【0039】
例示的な態様において、例えば、基質の位置の1つに配置されている、例えば、加水分解可能な基または光分解可能な基によってポリマービーズに結合されている、StillらのPCT公報国際公開公報第94/08051号に記載されている技法に適合させた本発明の反応を使用して、置換ディバーソマー(diversomer)のライブラリーを合成することができる。Stillらの技法によると、ライブラリーは、各ビーズが、そのビーズ上のディバーソマー(diversomer)を識別する標識セットを含む、特定のビーズセットで合成される。酵素阻害剤を発見するために特に好適である一態様において、ビーズを透過膜表面に分散し、ビーズリンカーの分解によってディバーソマー(diversomer)をビーズから放出することができる。各ビーズからのディバーソマー(diversomer)は、膜を通過してアッセイゾーンに拡散し、酵素アッセイと相互作用する。数多くのコンビナトリアル方法の詳細な説明は以下に提供されている。
【0040】
直接特徴づけ
コンビナトリアル化学分野の成長している傾向は、例えば、フェムトモル量以下の化合物を特徴づけるためおよびコンビナトリアルライブラリーから選択される化合物の化学的構成を直接決定するために使用することができる質量分析法(MS)などの技法の感度を活用することである。例えば、ライブラリーが不溶性支持体基質上で提供される場合には、別個の集団の化合物を最初に支持体から放出し、MSによって特徴づけることができる。他の態様において、MS試料調製技法の一部として、特に、化合物を基質に結合するために不安定な結合が最初に使用されている場合には、MALDIなどのMS技法を使用して、基質から化合物を放出することができる。例えば、基質からディバーソマー(diversomer)を放出するためにライブラリーから選択されるビーズにMALDI段階において照射することができ、MS分析のためにディバーソマー(diversomer)をイオン化することができる。
【0041】
マルチピン(Multipin)合成
本発明の方法のライブラリーはマルチピンライブラリーフォーマットを取ることができる。簡単に説明すると、Geysenおよび共同研究者(Geysen et al. (1984) PNAS 81: 3998-4002)は、マイクロタイタープレートフォーマットに配列されたポリアクリル酸-破砕ポリエチレンピンにおけるパラレル合成によって化合物ライブラリーを生成する方法を導入している。Geysenの技法は、マルチピン方法を使用して1週間あたり数千の化合物を合成し、スクリーニングするために使用することができ、固定された化合物は多数のアッセイにおいて再使用することができる。純度の評価およびさらに別の評価のために合成後に化合物を支持体から切断することができるように、適当なリンカー部分をピンに付加することができる(Bray et al. (1990) Tetrahedron Lett 31: 5811-5814;Valerio et al. (1991) Anal Biochem 197: 168-177;Bray et al. (1991) Tetrahedron Lett 32: 6163-6166参照)。
【0042】
分割-結合-再結合
さらに別の態様において、分割-結合-再結合方法を使用して、ビーズセット上に多種多様のライブラリーの化合物を提供することができる(例えば、Houghten(1985) PNAS 82: 5131-5135;および米国特許第4,631,211号;同第5,440,016号;同第5,480,971号参照)。簡単に説明すると、名前が示すように、縮重がライブラリーに導入される各合成段階において、ライブラリーの特定の位置に付加される異なる置換基の数に等しい別個のグループにビーズを分割し、異なる置換基を別個の反応において結合し、ビーズを次の反復の1プールに再結合する。
【0043】
一態様において、分割-結合-再結合方法は、化合物の合成が、多孔性のポリプロピレンバッグ内に密閉された樹脂上で生じる、Houghtenによって最初に開発されたいわゆる「ティーバッグ」方法に類似したアプローチを使用して実施することができる(Houghten et al. (1986) PNAS 82: 5131-5135)。置換基は、適当な反応溶液中にバッグを配置することによって化合物を保有する樹脂に結合されるが、樹脂洗浄および脱保護などの全ての共通段階は一反応容器において同時に実施される。合成の終了時に、各バッグは単一の化合物を含有する。
【0044】
光線-誘導型で、空間指定可能なパラレル化学合成によるコンビナトリアルライブラリー
化合物のアイデンティティが合成基質上の位置によって与えられるコンビナトリアル合成スキームは空間指定可能な合成と名づけられる。一態様において、コンビナトリアル方法は、固相支持体の特定の位置への化学試薬の添加を制御することによって実施される(Dower et al. (1991) Annu Rep Med Chem 26: 271-280;Fodor, S. P. A. (1991) Science 251: 767;Pirrung et al. (1992)米国特許第5,143,854;Jacobs et al. (1994) Trends Biotechnol 12: 19-26)。フォトリソグラフィーの空間的分解能により小型化をもたらす。この技法は、感光性保護基を用いる保護/脱保護反応を使用することにより実施することができる。
【0045】
この技術の主要な点はGallop et al.(1994) J Med Chem 37: 1233-1251に例示されている。合成基質は、感光性ニトロベラトリルオキシカルボニル(NVOC)保護されたアミノリンカーまたは他の感光性リンカーの共有結合によるカップリングのために調製される。光線は、カップリングの合成支持体の指定された領域を選択的に活性化するために使用される。光線による感光性保護基の除去(脱保護)により選択された領域が活性化される。活性化により、各々がアミノ末端に感光性保護基を保有するアミノ酸アナログセットの第1のセットが全表面に露出される。前の段階で光線によって指定された領域においてだけカップリングが生じる。反応を停止し、プレートを洗浄し、第2のマスクを介して基質を再度照射し、第2の保護されている構成単位との反応のために異なる領域を活性化する。マスクのパターンおよび反応物質の配列は、生成物およびそれらの位置を規定する。この方法はフォトリソグラフィー技法を使用するので、合成することができる化合物の数は、適当な分解能で指定することができる合成部位の数によってのみ制限される。各化合物の位置は正確に知られる;従って、他の分子との相互作用を直接評価することができる。
【0046】
光線-誘導型化学合成では、生成物は照射パターンおよび反応物質の添加順序に依存する。リソグラフィーパターンを変更することによって、多数の異なるセットの試験化合物を同時に合成することができる;この特徴により多数の異なるマスキング方法が生成される。
【0047】
コード化されたコンビナトリアルライブラリー
さらに別の態様において、本発明の方法は、コード化された標識付加システムで提供される化合物ライブラリーを使用する。コンビナトリアルライブラリーから活性な化合物を同定する際の最近の改善は、所定のビーズが受ける反応段階およびおそらく所定のビーズが保有する構造を独自にコード化する標識を使用する化学的指標付けシステムを使用する。概念的には、このアプローチは、活性は発現されるペプチドに由来するが、活性なペプチドの構造は対応するゲノムDNA配列から推定されるファージディスプレイライブラリーに似ている。合成コンビナトリアルライブラリーの第1のコード化はDNAを符号として使用した。配列決定可能なバイオ-オリゴマー(例えば、オリゴヌクレオチドおよびペプチド)によるコード化および追加の配列決定不可能な標識による2進コード化を含む、種々の他の形態のコード化が報告されている。
【0048】
配列決定可能なバイオ-オリゴマーによる標識化
コンビナトリアル合成ライブラリーをコード化するためにオリゴヌクレオチドを使用する原理は1992年に記載されており(Brenner et al. (1992) PNAS 89: 5381-5383)、このようなライブラリーの例は翌年発表された(Needles et al. (1993) PNAS 90: 10700-10704)。名目上77(=823,543)ペプチドのコンビナトリアルライブラリーは、Arg、Gln、Phe、Lys、Val、D-ValおよびThr(3文字アミノ酸コード)の全ての組み合わせを含み、その各々は特定のジヌクレオチド(それぞれ、TA、TC、CT、AT、TT、CAおよびAC)によってコード化され、固相支持体上での一連の別のラウンドのペプチドおよびオリゴヌクレオチド合成によって調製された。この作業では、オリゴヌクレオチド合成のための保護されたOH基およびペプチド合成のための保護されたNH2基を生じる試薬とビーズを同時にプレインキュベーションすることによって(ここでは、1:20の比)、ビーズ上のアミン結合官能基は、ペプチドまたはオリゴヌクレオチド合成に対して特異的に識別された。終了すると、標識は各々69-merからなり、その14単位はコードを保有した。ビーズ-結合ライブラリーを蛍光標識した抗体と共にインキュベーションし、強く蛍光を発光する結合抗体を含有するビーズは、蛍光活性化細胞選別(FACS)で回収した。DNA標識をPCRで増幅して、配列決定し、予測されるペプチドが合成された。このような技法に従って、化合物のライブラリーを本発明の方法に使用するために得ることができ、標識のオリゴヌクレオチド配列は、特定のビーズが受ける逐次的なコンビナトリアル反応を同定し、従ってビーズ上の化合物のアイデンティティを提供する。
【0049】
オリゴヌクレオチド標識を使用することにより、極めて感度の高い標識分析が可能になる。それでも、本発明の方法は、標識とライブラリーメンバーの交互の協調合成に必要な保護基の直交セット(orthogonal set)の注意深い選択を必要とする。さらに、標識、特にホスフェートおよび糖アノマー結合の化学的不安定性は、非-オリゴマーライブラリーの合成に使用することができる試薬および条件の選択を制限することがある。いくつかの態様において、ライブラリーは、アッセイのための試験化合物ライブラリーメンバーの選択的な分離を可能にするリンカーを使用する。
【0050】
ペプチドはまた、コンビナトリアルライブラリーの標識分子としても使用されている。2つの例示的な方法が当技術分野において記載されており、共に、コーディング鎖およびリガンド鎖が交互に合成される固相に分岐リンカーを使用する。第1のアプローチでは(Kerr JM et al. (1993) J Am Chem Soc 115: 2529-2531)、合成の直交性は、コーディング鎖に酸-不安定保護および化合物鎖に塩基-不安定保護を使用することによって達成される。
【0051】
別の方法では(Nikolaiev et al. (1993) Pept Res 6: 161-170)、コーディング単位および試験化合物が共に樹脂の同じ官能基に結合することができるように、分岐リンカーを使用する。一態様において、切断により、コードおよび化合物を含有する分子が放出されるように、分岐点とビーズの間に切断可能なリンカーを配置することができる(Ptek et al. (1991) Tetrahedron Lett 32: 3891-3894)。別の態様において、試験化合物が選択的にビーズから分離されて、コードを残すことができるように、切断可能なリンカーを配置することができる。この最後の構成は、コーディング基の考えられる妨害を受けないで試験化合物のスクリーニングを可能にするので、特に有用である。独立した切断ならびにペプチドライブラリーメンバーおよびそれらの対応する標識の配列決定の当技術分野における例は、標識がペプチド構造を正確に予測することができることを確認した。
【0052】
配列決定不可能な標識化:2進コード化
試験化合物ライブラリーをコード化する別の形態は、2進コードとして使用される配列決定不可能なエレクトロフォリック(electrophoric)標識分子セットを使用する(Ohlmeyer et al.(1993) PNAS 90: 10922-10926)。例示的な標識は、電子捕獲ガスクロマトグラフィー(ECGC)でフェムトモルレベル未満でトリメチルシリルエーテルとして検出可能であるハロ芳香族アルキルエーテルである。アルキル鎖の鎖長の多様性ならびに芳香族ハロゲン化物置換体の性質および位置により、原理的に240(例えば、1012以上)の異なる分子をコード化することができる、少なくとも40のこのような標識の合成が可能になる。最初の報告では(Ohlmeyer et al., 前記)、標識は、光切断可能なo-ニトロベンジルリンカーを介してペプチドライブラリーの利用可能なアミン基の約1%に結合した。このアプローチは、ペプチド-様または他のアミン-含有分子のコンビナトリアルライブラリーを調製する場合には便利である。しかし、本質的に任意のコンビナトリアルライブラリーのコード化を可能にするさらに応用のきくシステムが開発されている。ここで、化合物は光切断可能なリンカーを介して固相支持体に連結されると思われ、標識は、ビーズ基質へのカルベン挿入によりカテコールエーテルリンカーを介して結合される(Nestler et al.(1994) J Org Chem 59: 4723-4724)。この直交的な連結方法は、溶液中でのアッセイのためのライブラリーメンバーの選択的な分離および標識セットの酸化的な分離後のECGCによるその後の解読を可能にする。
【0053】
当技術分野におけるいくつかのアミド-結合ライブラリーは、アミン基にエレクトロフォリック標識が連結している2進コード化を使用するが、ビーズ基質にこれらの標識を直接連結することにより、コード化されたコンビナトリアルライブラリーにおいて調製することができる構造の多様性がはるかに大きくなる。このように連結されると、標識およびそれらのリンカーは、ビーズ基質自体とほぼ同じくらい無反応性となる。エレクトロフォリック標識が固相に直接連結されており、本発明の化合物ライブラリーを生成するためのガイダンスを提供する2つの2進-コード化されたコンビナトリアルライブラリーが報告されている(Ohlmeyer et al.(1995) PNAS 92: 6027-6031)。両方のライブラリーは、ライブラリーメンバーが感光性リンカーによって固相支持体に結合され、標識は激しい酸化によってのみ切断可能なリンカーによって連結されている直交連結方法を使用して構築された。ライブラリーメンバーは固相支持体から繰返し部分的に光溶出(photoeluted)することができるので、ライブラリーメンバーは多数のアッセイに使用することができる。連続的な光線溶出により、極めて高スループットな反復スクリーニング方法も可能になる;第1に、多数のビーズを96-ウェルマイクロタイタープレートに配置する;第2に、化合物を部分的に分離し、アッセイプレートに移動させる;第3に、金属結合アッセイが活性なウェルを同定する;第4に、対応するビーズを新たなマイクロタイタープレートに1つずつ再配列する;第5に、単一の活性化合物を同定する;および第6に、構造を解読する。
【0054】
キット
本発明は、本発明の前駆体化合物を本明細書に記載する方法により使用して、画像形成または治療のための放射性標識された望ましい化合物を提供するキットを提供する。キットは、上記の化合物の1つ以上と、滅菌した通常の生理食塩水またはヒト血清アルブミンなどの薬学的に許容されうる担体を含む。以下の他の物質も本発明のこの態様により担体として使用してもよい;例えば、界面活性剤、希釈アルコール、炭水化物、補助分子等。本発明のキットは、当然のことながら、シリンジ、取扱説明書、緩衝液、還元剤、反応バイアル等などの、使用を容易にするような他の項目も含んでもよい。
【0055】
一態様において、キットは、診断または画像形成用途のために、酸化剤(oxidant)または酸化薬剤(oxdizing agent)および約1mCi〜約30 mCiの上記の放射性核種ラベルした造影剤と、薬学的に許容されうる担体を含む。別の態様において、キットは、治療的用途のために、酸化剤(oxidant)または酸化薬剤(oxdizing agent)および約10mCi〜約5000 mCiの上記の放射性核種ラベルした造影剤と、薬学的に許容されうる担体を含む。本発明の化合物および担体は溶液の形態または凍結乾燥した形態で提供することができる。本発明の化合物およびキットの担体が凍結乾燥した形態である場合には、キットは、水、生理食塩水、緩衝生理食塩水等などの生理学的に許容されうる滅菌した再構成媒体を任意に含む。
【0056】
別の態様において、本発明のキットは、過剰の前駆体化合物または不溶性のポリマー副産物を除去するためのフィルターまたはろ過装置を含む。
【0057】
別の態様において、本発明のキットは、キレート剤;マンニトール、グルコネート、グルコヘプトネート、酒石酸塩等などの補助分子;SnCl2、Na、ジチオナイトまたは酒石酸スズなどの還元剤と共有結合または非-共有結合により合わせられている前駆体化合物を産生または含有してもよい。前駆体化合物/キレート剤および補助分子はキットの別個の要素として存在してもまたはそれらは単一のキット要素に集約されてもよい。未標識前駆体化合物/キレート剤、補助分子および還元剤は溶液または凍結乾燥した形態で提供されてもよく、キットのこれらの要素は、NaCl、ケイ酸塩、リン酸緩衝液、アスコルビン酸、ゲンチシン酸等などの安定剤を任意に含有してもよい。例えば、耐酸化型の還元剤を提供することによってキット要素のさらなる安定化を提供することができる。
【0058】
定義
「抗体」という用語は、ポリペプチド鎖からなる分子を含む。それは、抗体断片および抗原結合ドメイン断片、モノクローナル抗体および免疫グロブリンを含む。
【0059】
「ヌクレオチド」および「ヌクレオシド」という用語は、プリンまたはピリミジンの塩基成分を有するヌクレオチドおよびヌクレオシドを含む。ヌクレオチドおよびヌクレオシドの例には、アデノシン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシシチジン、デオキシチミジン、アデニレート、グアニレート、シチジレート、ウリジレート、デオキシアデニレート、デオキシグアニレート、デオキシシチジレートおよびチミジレートが挙げられる。
【0060】
ポリマーは、比較的高分子量の任意の分子であり、その構造は、比較的低分子量の分子から実際または概念的に誘導される多数の反復単位を含む。高分子の一部であるポリマーは、分子の他の官能基の任意の反応性に比較的不活性である。不溶性ポリマーはろ過によって除去または分離することができる。
【0061】
「ペプチド」という用語は、モノマーがアミド結合によって結合しているアミノ酸(通常α-アミノ酸)であるオリゴマーをいう。ペプチドは長さ2アミノ酸モノマー以上であるが、長さ5〜10アミノ酸モノマーも多く見られ、さらに長い、すなわち最高20アミノ酸以上も見られることがあり、20アミノ酸を超えるペプチドも考慮される。ペプチドは、ペプチドホルモン、ペプチド模倣物、立体配座的に制限されているペプチドおよびペプチドアナログを含む。
【0062】
「タンパク質」という用語は当技術分野において既知であり、通常超高ポリペプチドまたはいくつかの生物機能を有する関連する同種もしくは異種ポリペプチドセットをいう。本発明の目的のためには、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は概して交換可能である。
【0063】
「同位体的に純粋な」という用語は、元素、化合物または組成物が、他の同位体と比較して大きい割合の1つの同位体を含有することを意味する。ある態様において、元素、化合物または組成物は同位体的に約40%、50%または60%を上回って純粋である。好ましい態様において、元素、化合物または組成物は同位体的に約70%、80%または90%を上回って純粋である。さらに好ましい態様において、元素、化合物または組成物は同位体的に約95%、98%または99%を上回って純粋である。
【0064】
一般に、アミノ酸および保護基を命名するために本明細書において使用する略語は、生化学的命名のIUPAC-IUB委員会(IUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclature)の推奨に基づいている(Biochemistry(1972) 11: 1726-1732参照)。例えば、Met、Ile、Leu、AlaおよびGlyは、それぞれ、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、アラニンおよびグリシンの「残基」を示す。通例、本願に使用するアミノ酸は、タンパク質に見られる天然型アミノ酸またはアミノ基およびカルボキシル基を含有するこのようなアミノ酸の天然型同化もしくは異化産物である。特に好適なアミノ酸側鎖には、以下のアミノ酸の側鎖から選択される側鎖が挙げられる;グリシン、アラニン、バリン、システイン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、メチオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギン、リジン、アルギニン、プロリン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンならびにペプチドグリカン細菌細胞壁の構成要素として同定されているアミノ酸およびアミノ酸アナログ。
【0065】
アミノ酸という用語は、本明細書において言及する任意の特定のアミノ酸のアナログ、誘導体および同属種、ならびにC-末端およびN-末端保護されたアミノ酸誘導体(例えば、N-末端またはC-末端保護基で修飾されている)をさらに含む。例えば、本発明は、側鎖が延長または短縮されているが、環化のためにカルボキシル、アミノまたは他の反応性前駆体官能基を提供するアミノ酸アナログならびに適当な官能基を有する種々の側鎖を有するアミノ酸アナログの使用を考慮する。例えば、本発明の化合物は、例えば、シアノアラニン、カナバリン、ジエンコル酸、ノルロイシン、3-ホスホセリン、ホモセリン、ジヒドロキシ-フェニルアラニン、5-ヒドロキシトリプトファン、1-メチルヒスチジン、3-メチルヒスチジン、ジアミノピメリン酸、オルニチンまたはジアミノ酪酸などのアミノ酸アナログを含んでもよい。本明細書において好適な側鎖を有する他の天然型アミノ酸代謝物または前駆体は当業者によって認識されており、本発明の範囲に含まれる。
【0066】
「放射性標識」は、裸眼または適当な技法、例えば、陽電子放出型断層撮影法(PET)、単一光子放出型断層撮影法(SPECT)または磁気共鳴画像形成法(MRI)を使用して検出することができる検出可能な画像を生成することができる分子をいう。ある例示的な標識は放射性核種または元素の放射性同位体である。放射性核種の例には、
が挙げられる。不対スピン原子およびフリーラジカル(例えば、鉄、ランタニドおよびガドリニウム)および造影剤(例えば、キレート化したDTPAマンガン)を含むさらに別の標識は、磁気共鳴画像(MRI)を入手するために好適である。
【0067】
「固相支持体」という用語は、ライブラリーメンバーまたは試薬がリンカーを用いてまたは用いないで連結することができ、例えば、過剰な試薬、可溶性の反応副産物または溶媒からの、例えば、ろ過、遠心分離による容易な分離を可能にすることができる不溶性で、官能基化されているポリマー材料を含む。
【0068】
「OMEM」という用語は、メトキシエトキシメチル基に結合している酸素原子をいう。
【0069】
本明細書において使用する「ヘテロ原子」という用語は、炭素または水素以外の任意の元素の原子を意味する。例示的なヘテロ原子はホウ素、窒素、酸素、リン、硫黄およびセレンである。
【0070】
「電子-吸引基」という用語は当技術分野において認識されており、隣の原子から価電子を誘引する置換基の傾向を意味し、すなわち、置換基は隣の原子に対して電気陰性である。電子-吸引能力のレベルの数量化は、ハメットシグマ(σ)定数によって与えられる。この既知の定数は多数の参照文献、例えば、J. March, 「最新有機化学」(Advanced Organic Chemistry), McGraw Hill Book Company, New York, (1977年編)pp. 251-259に記載されている。ハメット定数値は、一般に、電子供与基では負であり(NH2はσ[P]=-0.66)、電子吸引基では正であり(ニトロ基はσ[P]=0.78)、σ[P]はパラ置換を示す。例示的な電子-吸引基には、ニトロ、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、クロライド等が挙げられる。例示的な電子供与基には、アミノ、メトキシ等が挙げられる。
【0071】
「アルキル」という用語は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基を含む、飽和脂肪族基のラジカルをいう。一態様において、直鎖または分岐鎖アルキルは、その骨格の炭素原子数が30以下であり(例えば、直鎖はC1〜C30、分岐鎖はC3〜C30)、別の態様では20以下である。同様に、例示的なシクロアルキルは環構造の炭素原子数が3-10であり、別の態様では、環構造の炭素原子数が5、6または7である。
【0072】
炭素原子数を特に特定しない限り、本明細書において使用する「低級アルキル」は上記に規定するが、炭素原子数1〜10のアルキル基を意味し、一態様において、骨格構造の炭素原子数が1〜6である。同様に、「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は同様の鎖長を有する。一態様において、アルキル基は低級アルキルである。一態様において、本明細書においてアルキルと命名される置換体は低級アルキルである。
【0073】
本明細書において使用する「アラルキル」という用語は、アリール基(例えば、芳香族基または芳香族複素環基)で置換されているアルキル基をいう。
【0074】
「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、上記のアルキルと鎖長が類似で、上記のアルキルへの置換が可能であるが、それぞれ、二重結合または三重結合を少なくとも1つ含有する不飽和脂肪族基をいう。
【0075】
本明細書において使用する「アリール」という用語は、0〜4のヘテロ原子を含んでもよい5-、6-および7-員環の単環式芳香族基、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジン等を含む。環構造にヘテロ原子を有するようなアリール基は、「アリール複素環」または「芳香族複素環」ともいうことができる。芳香族環は、1つ以上の環位置が、上記のような置換基、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族もしくは芳香族複素環部分、-CF3、-CN等で置換されていてもよい。「アリール」という用語は、2つ以上の炭素が2つの隣接する環(この環は「融合環」である)に共通であり、環の少なくとも一方は芳香族であり、例えば、他方の環はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/または複素環であってもよい2つ以上の環を有する多環式環系も含む。
【0076】
オルト、メタおよびパラという用語は、それぞれ、1,2-、1,3-および1,4-二置換ベンゼンに適用される。例えば、1,2-ジメチルベンゼンおよびオルト-ジメチルベンゼンという名称は同義である。
【0077】
「ヘテロシクリル」または「複素環基」という用語は、環構造が1〜4のヘテロ原子を含む、3-〜10-員環構造、さらに好ましくは3-〜7-員環をいう。複素環は多環であってもよい。ヘテロシクリル基には、例えば、チオフェン、チアンスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピルダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、アゼチジノンおよびピロリジノンなどのラクタン、サルタム、サルトン等が挙げられる。複素環は、1つ以上の位置が、上記のような置換基、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族または芳香族複素環部分、-CF3、-CN等で置換されていてもよい。
【0078】
「ポリシクリル(polycyclyl)」または「多環基」という用語は、2つ以上の炭素が2つの隣接する環に共通であり、例えば、環は「融合環」である、2つ以上の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはヘテロシクリル)をいう。非隣接原子を介して結合される環は「架橋」環と名づけられる。ポリサイクルの環は各々、上記のような置換基、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族または芳香族複素環部分、-CF3、-CN等で置換されていてもよい。
【0079】
本明細書において使用する「炭素環」という用語は、環の各原子が炭素である芳香族または非-芳香族環をいう。
【0080】
本明細書において使用する「ニトロ」という用語は-NO2を意味する;「ハロゲン」という用語は-F、-Cl、-Brまたは-Iをいう;「スルフヒドリル」という用語は-SHを意味する;「ヒドロキシル」という用語は-OHを意味する;および「スルホニル」という用語は-SO2-を意味する。
【0081】
「アミン」および「アミノ」という用語は当技術分野において認識されており、未置換および置換アミン、例えば、以下の一般式によって表わすことができる部分をいう:
式中、R9、R10およびR'10は、各々独立に、原子価則によって許容される基を表す。
【0082】
「アシルアミノ」という用語は当技術分野において認識されており、以下の一般式で表すことができる部分をいう:
式中、R9は上記に規定するとおりであり、R'11は水素、アルキル、アルケニルまたは-(CH2)m-R8(式中、mおよびR8は上記に規定するとおりである)を示す。
【0083】
「アミド」という用語は、アミノ-置換カルボニルとして当技術分野において認識されており、以下の一般式によって表すことができる部分を含む:
式中、R9、R10は上記に規定するとおりである。一態様において、アミドは、不安定であることがあるイミドを含まない。
【0084】
「アルキルチオ」という用語は、硫黄基が連結している上記に規定するアルキル基をいう。好ましい態様において、「アルキルチオ」部分は、-S-アルキル、-S-アルケニル、-S-アルキニルおよび-S-(CH2)m-R8(式中、mおよびR8は上記に規定するとおりである)の1つによって表される。代表的なアルキルチオ基には、メチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。
【0085】
「カルボニル」という用語は、当技術分野において認識されており、以下の一般式によって表すことができるような部分を含む:
式中、Xは結合または酸素もしくは硫黄を表し、R11は水素、アルキル、アルケニル、-(CH2)m-R8または薬学的に許容されうる塩を表し、R'11は水素、アルキル、アルケニルまたは-(CH2)m-R8 (式中、mおよびR8は上記に規定するとおりである)を表す。Xが酸素で、R11またはR'11が水素でない場合には、式は「エステル」を表す。Xが酸素であり、R11が上記に規定するとおりである場合には、部分はカルボキシル基と本明細書において言及され、特にR11が水素である場合には、式は「カルボン酸」を表す。Xが酸素で、R'11が水素である場合には、式は「ギ酸」を表す。一般に、上記の式の酸素原子を硫黄で置換すると、式は「チオカルボニル」基を表す。Xが硫黄で、R11またはR'11が水素でない場合には、式は「チオールエステル」を表す。Xが硫黄で、R11が水素である場合には、式は「チオカルボン酸」を表す。Xが硫黄で、R'11が水素である場合には、式は「チオールフォルメート」を表す。一方、Xが結合で、R11が水素でない場合には、上記の式は「ケトン」基を表す。Xが結合で、R11が水素である場合には、上記の式は「アルデヒド」基を表す。
【0086】
本明細書において使用する「アルコキシル」または「アルコキシ」という用語は、酸素基が結合している、上記に規定するアルキル基をいう。代表的なアルコキシル基には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、tert-ブトキシ等が挙げられる。「エーテル」は、2つの炭化水素が酸素によって共有結合しているものである。従って、そのアルキルをエーテルにするアルキルの置換体は、-O-アルキル、-O-アルケニル、-O-アルキニル、-O-(CH2)m-R8(式中、mおよびR8は上記に規定するとおりである)の1つによって表すことができるようなアルコキシルであるかまたはそれに類似する。
【0087】
「スルホネート」という用語は当技術分野において認識されており、以下の一般式によって表すことができる部分を含む:
式中、R4は電子対、水素、アルキル、シクロアルキルまたはアリールである。
【0088】
「マロネート」という用語は当技術分野において認識されており、以下の一般式によって表すことができる部分を含む:
式中、R50は、各存在ごとに独立に、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルを表し;R51はH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり;およびR52はラジカル、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルである。
【0089】
「β-ケトエステル」という用語は当技術分野において認識されており、以下の一般式によって表すことができる部分を含む:
式中、R50は、各存在ごとに独立に、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルを表し;R51はH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり;およびR52はラジカル、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルである。
【0090】
「α-ニトロエステル」という用語は当技術分野において認識されており、以下の一般式によって表すことができる部分を含む:
式中、R50は、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり;R51はH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり;およびR52はラジカル、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルである。
【0091】
「α-シアノエステル」という用語は当技術分野において認識されており、以下の一般式によって表すことができる部分を含む:
式中、R50は、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり;R51はH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり;およびR52はラジカル、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルである。
【0092】
「α-ホスホノエステル」という用語は当技術分野において認識されており、以下の一般式によって表すことができる部分を含む:
式中、R50は、各存在ごとに独立に、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルを表し;R51はH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり;およびR52はラジカル、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルである。
【0093】
「α-ケトホスホネート」という用語は当技術分野において認識されており、以下の一般式によって表すことができる部分を含む:
式中、R50は、各存在ごとに独立に、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルを表し;R51はH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり;およびR52はラジカル、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルである。
【0094】
トリフリル、トシル、メシルおよびノナフリルという用語は当技術分野において認識されており、それぞれ、トリフルオロメタンスルホニル、p-トルエンスルホニル、メタンスルホニルおよびノナフルオロブタンスルホニル基をいう。トリフレート、トシレート、メシレートおよびノナフレートという用語は当技術分野において認識されており、それぞれ、トリフルオロメタンスルホネートエステル、p-トルエンスルホネートエステル、メタンスルホネートエステルおよびノナフルオロブタンスルホネートエステル官能基およびこれらの官能基を含有する分子をいう。
【0095】
略語Me、Et、Ph、Tf、Nf、Ts、Msは、それぞれ、メチル、エチル、フェニル、トリフルオロメタンスルホニル、ノナフルオロブタンスルホニル、p-トルエンスルホニルおよびメタンスルホニルを表す。当業者の有機化学者によって使用される略語のさらに総合的なリストは、Journal of Organic Chemistryの各巻の最初の刊行物に記載されている;このリストは、典型的には、「略語の標準リスト」(Standard List of Abbreviations)の表題の表に提示されている。そのリストに含まれる略語および当業者の有機化学者に使用されるすべての略語は参照として本明細書に組み入れられる。
【0096】
「サルフェート」という用語は、当技術分野において認識されており、以下の一般式によって表わすことができる部分を含む:
式中、R41は上記に規定するとおりである。
【0097】
「スルホニルアミノ」という用語は当技術分野において認識されており、以下の一般式によって表わすことができる部分を含む:
【0098】
「スルファモイル」という用語は当技術分野において認識されており、以下の一般式によって表わすことができる部分を含む:
【0099】
本明細書において使用する「スルホニル」という用語は、以下の一般式によって表すことができる部分をいう:
式中、R44は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択される。
【0100】
本明細書において使用する「スルホキシド」という用語は、以下の一般式によって表すことができる部分をいう:
式中、R44は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アラルキルまたはアリールからなる群から選択される。
【0101】
類似の置換をアルケニルおよびアルキニル基に行って、例えば、アミノアルケニル、アミノアルキニル、アミドアルケニル、アミドアルキニル、イミノアルケニル、イミノアルキニル、チオアルケニル、チオアルキニル、カルボニル-置換アルケニルまたはアルキニルを作製することができる。
【0102】
本明細書において使用する各表現の定義、例えばアルキル、m、n等は、それが任意の構造において2回以上出現する場合には、同じ構造の他の定義とは独立であることが意図されている。
【0103】
「置換」または「置換されている」は、暗黙(implicit)を含むことが理解されるが、ただし、このような置換は、置換された原子および置換体の許容される原子価に従い、置換により、例えば、転位、環化、脱離等などによる変換を自然には受けない安定な化合物を生じる。
【0104】
本明細書において使用する「置換されている」という用語は、有機化合物の全ての許容されうる置換体を含むことが考慮される。広範な局面において、許容されうる置換体は、有機化合物の非環式および環式、分岐および未分岐、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族置換体を含む。例示的な置換体には、例えば、本明細書に上記するものが挙げられる。許容されうる置換体は、適当な有機化合物について1つ以上であっても、同じまたは異なってもよい。本発明の目的のためには、窒素などのヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満足する、本明細書に記載する有機化合物の水素置換体および/または任意の許容されうる置換体を有してもよい。本発明は、有機化合物の許容されうる置換体にいかなる意味においても限定されることを意図していない。
【0105】
本明細書において使用する「保護基」というフレーズは、反応性であると思われる官能基を望ましくない化学的変換から保護する一時的な置換体を意味する。このような保護基の例には、カルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテルならびにアルデヒドおよびケトンの、それぞれ、アセタールおよびケタールが挙げられる。保護基化学の分野は総説されている(Greene, T. W.; Wuts, P. G. M. Protective Groups in Organic Synthesis, 第2版;Wiley:New York, 1991年)。
【0106】
本発明のある化合物は、特定の幾何学形態または立体異性体で存在してもよい。本発明は、本発明の範囲に含まれる、シス-およびトランス-異性体、R-およびS-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、それらのラセミ混合物ならびにそれらの他の混合物を含む全てのこのような化合物を考慮する。別の非対称炭素原子が、アルキル基などの置換体に存在することがある。全てのこのような異性体およびそれらの混合物は本発明に含まれることが意図される。
【0107】
例えば、本発明の化合物の特定のエナンチオマーが望ましい場合には、非対称合成またはキラル補助物質を用いる誘導によってそれを調製することができ、得られたジアステレオマー混合物を分離し、補助基を切断して純粋な望ましいエナンチオマーを提供する。または、分子が、アミノなどの塩基性官能基またはカルボキシルなどの酸性官能基を含有する場合には、適当な光学的に活性の酸または塩基を用いてジアステレオマーの塩を形成し、次にこのように形成されたジアステレオマーを当技術分野において既知の分別結晶またはクロマトグラフィー手段で分離し、その後純粋なエナンチオマーを回収する。
【0108】
上記の化合物の考慮される等価物は、別に対応し、同じ一般特性(例えば前駆体として機能する)を有し、放射性標識化合物の前駆体として化合物が機能する効率に有害に影響しない置換体の1つ以上の単純な変更が行われている化合物を含む。一般に、本発明の化合物は、容易に入手可能な出発物質、試薬および従来の合成手法を使用して、例えば以下に記載する一般的な反応スキームに例示する方法またはそれらの変法によって調製することができる。これらの反応では、それら自体既知であるが、本明細書に記載されていない変種を使用することも可能である。
【0109】
本発明の目的のためには、化学元素は、元素の周期表、CASバージョン、「化学および物理のハンドブック」(Handbook of Chemistry and Physics)、第67版、1986-87、内表紙により同定される。
【0110】
本発明の化合物
本発明の一局面は、式1によって表される化合物に関する:
式中、
Polyはポリマーを表し;
R1はアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アルキニルまたはアラルキルを表し;
R2は-NR4R5、ホスフェート、ホスファイト、ホスフィン、XR5、Z、ハライドまたはサルフェートを表し;
XはO、S、SeまたはAsR5であり;
Zはマロネート、β-ケトエステル、α-ニトロエステル、α-シアノエステルまたはα-ホスホノエステルまたはα-ケトホスホネートであり;
nは1〜15であり;
R3は、各存在ごとに独立に、アルキル、アラルキル、アルケニルまたはアルキニルを表し;
および
R4およびR5は、各存在ごとに独立に、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルもしくはヘテロアラルキルを示す;または-NR4R5の例ではR4とR5の間に共有結合が存在する。
【0111】
ある態様において、本発明の化合物は、nが1〜5である式1によって表される。
【0112】
ある態様において、本発明の化合物は、nが1である式1によって表される。
【0113】
ある態様において、本発明の化合物は、R1がアルケニルまたはアリールである式1によって表される。
【0114】
ある態様において、本発明の化合物は、R1がアルケニルである式1によって表される。
【0115】
ある態様において、本発明の化合物は、R1が-[CR8=CR8]w-であり、R8が、各存在ごとに独立に、H、ハロゲン、アルキル、アリールまたはアラルキルであり;およびwが1、2または3である、式1によって表される。
【0116】
ある態様において、本発明の化合物は、R1が-CH=CH-である、式1によって表される。
【0117】
ある態様において、本発明の化合物は、R2がハライドまたはスルホネートである式1によって表される。
【0118】
ある態様において、本発明の化合物は、R2がスルホネートである式1によって表される。
【0119】
ある態様において、本発明の化合物は、R2がメシレートまたはトシレートである式1によって表される。
【0120】
ある態様において、本発明の化合物は、R3がアルキルである式1によって表される。
【0121】
ある態様において、本発明の化合物は、R3がn-ブチルである式1によって表される。
【0122】
ある態様において、本発明の化合物は、R1が-HC=CH-であり、R3がアルキルであり、nが1であり、polyがポリスチレンであり、R2がメシレートまたはトシレートである式1によって表される。
【0123】
ある態様において、本発明の化合物は、R1が-HC=CH-であり、R3がアルキルであり、nが1であり、polyがポリスチレンであり、R2が-NR4R5である式1によって表される。
【0124】
ある態様において、本発明の化合物は、R2が-NR4R5またはXR5である式1によって表される。
【0125】
ある態様において、本発明の化合物は、R2が-NR4R5である式1によって表される。
【0126】
ある態様において、本発明の化合物は、R2が、ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸、炭水化物(モノマーまたはポリマー)、プリン、ピリミジンまたはアミノ酸のアミノ基である式1によって表される。
【0127】
ある態様において、本発明の化合物は、R2が、置換されていてもよい1-ピペリジニルである式1によって表される。
【0128】
ある態様において、本発明の化合物は、R1が-HC=CH-であり、R3がアルキルであり、nが1であり、ポリマーがポリスチレンであり、R2が置換されていてもよい1-ピペリジニルである式1によって表される。
【0129】
ある態様において、本発明の化合物は、R2が-XR5であり、XがOまたはSである式1によって表される。
【0130】
ある態様において、構造1のポリマーは、ポリマーの複数のモノマー単位が部分-Sn(R3)2R1(CH2)nR2で官能基化されている。
【0131】
ある態様において、R2はペプチドのアミノ基である。
【0132】
ある態様において、R2は抗体のアミノ基である。
【0133】
ある態様において、polyはポリエチレングリコール、ポリスチレン、ポリアミドまたはポリペプチドである。
【0134】
ある態様において、polyはポリスチレン、ポリウレタン、ポリ(エチレン-コ-ビニルアセテート)、ポリエチレン、ポリスチレン/ゴムまたはポリ(エチレン-コ-プロピレン)である。
【0135】
ある態様において、polyはポリスチレンである。
【0136】
ある態様において、本発明の化合物は、R2が以下の式2によって表される、式1によって表される:
式中、mは1〜8であり;Rは、各存在ごとに独立に、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、
を表し;qは1〜10であり、R80は置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリルまたはポリシクリルを表し;R6は、各存在ごとに独立に、H、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表し;R7は、各存在ごとに独立に、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表す。
【0137】
ある態様において、本発明の化合物は、R2が以下の式2によって表される、式1によって表される:
式中、mは3または4であり;Rは、各存在ごとに独立に、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、
を表し;qは1〜10であり、R80は置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリルまたはポリシクリルを表し;R6は、各存在ごとに独立に、H、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表し;R7は、各存在ごとに独立に、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表し;polyはポリスチレンである。
【0138】
ポリマー-結合補欠分子族を調製する方法
本発明の別の局面は、以下の段階を含む、ポリマー-結合補欠分子族を合成する方法に関する:
第1の化合物とポリマーを合わせて第1のポリマー-結合化合物を得る段階;および第2の化合物と第1のポリマー-結合化合物を合わせて、官能基化された補欠分子族を含む第2のポリマー-結合化合物を得る段階であって、第2の化合物がアミン、ホスフェート、ホスファイト、ホスフィン、アルコール、フェノール、チオール、アルキルセレニド、アリールセレニド、ビス(アルキル)アルセニド、ビス(アリール)アルセニド、マロネート、β-ケトエステル、α-ニトロエステル、α-シアノエステル、α-ホスホノエステルもしくはα-ケトホスホネートまたはそれらのいずれかから誘導される陰イオンであり、ポリマーが塩化スズ部分を含み、第1の化合物が式3:
(式中
Mは陽イオンであり;
R1はアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アルキニルまたはアラルキルを表し;
R2はOSi(アルキル)3、OMEM、アシルオキシまたはOBnであり、
nは1〜15である)によって表される段階。
【0139】
ある態様において、本発明は、nが1〜5である、上記の方法に関する。
【0140】
ある態様において、本発明は、nが1である、上記の方法に関する。
【0141】
ある態様において、本発明は、Mがアルカリ金属陽イオンまたはアルカリ土類金属陽イオンである、上記の方法に関する。
【0142】
ある態様において、本発明は、MがLi、Na、K、ZnCl、ZnBr、MgBrまたはMgClである、上記の方法に関する。
【0143】
ある態様において、本発明は、R2がOSi(アルキル)3である、上記の方法に関する。
【0144】
ある態様において、本発明は、R2がOSi(iPr)3である、上記の方法に関する。
【0145】
ある態様において、本発明は、R1がアルケニルまたはアリールである、上記の方法に関する。
【0146】
ある態様において、本発明は、R1がアルケニルである、上記の方法に関する。
【0147】
ある態様において、本発明の化合物は、R1が-[CR8=CR8]w-であり、R8が、各存在ごとに独立に、H、ハロゲン、アルキル、アリールまたはアラルキルを表し;およびwが1、2または3である、式1によって表される。
【0148】
ある態様において、本発明は、R1が-CH=CH-である上記の方法に関する。
【0149】
ある態様において、本発明は、第2の化合物がアミン、アルコール、フェノール、チオール、マロネート、β-ケトエステルまたはそれらのいずれかから誘導される陰イオンである上記の方法に関する。
【0150】
ある態様において、本発明は、第2の化合物がアミン、アルコールまたはそれらのいずれかから誘導される陰イオンである上記の方法に関する。
【0151】
ある態様において、本発明は、第2の化合物がアミンまたはそれから誘導される陰イオンである上記の方法に関する。
【0152】
ある態様において、本発明は、官能基化されている補欠分子族が式2によって表される上記の方法に関する:
式中、mは1〜8であり;Rは、各存在ごとに独立に、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、
を表し;qは1〜10であり、R80は置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリルまたはポリシクリルを表し;R6は、各存在ごとに独立に、H、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表し;R7は、各存在ごとに独立に、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表す。
【0153】
ある態様において、本発明は、官能基化されている補欠分子族が式2によって表される上記の方法に関する:
式中、mは3または4であり;Rは、各存在ごとに独立に、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、
;qは1〜10であり、R80は置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリルまたはポリシクリルを表し;R6は、各存在ごとに独立に、H、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表し;R7は、各存在ごとに独立に、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表す。
【0154】
ある態様において、本発明は、官能基化されている補欠分子族が、置換されていてもよい1-ピペリジニルである上記の方法に関する。
【0155】
ある態様において、本発明は、ポリマーが、塩化スズ部分およびポリエチレングリコール、ポリスチレン、ポリアミドまたはポリペプチドを含む上記の方法に関する。
【0156】
ある態様において、本発明は、ポリマーが、塩化スズ部分およびポリスチレン、ポリウレタン、ポリ(エチレン-コ-ビニルアセテート)、ポリエチレン、ポリスチレン/ゴムまたはポリ(エチレン-コ-プロピレン)を含む上記の方法に関する。
【0157】
ある態様において、本発明は、ポリマーが、塩化スズ部分およびポリスチレンを含む上記の方法に関する。
【0158】
ある態様において、本発明は、ポリマーが、塩化ジブチルスズ部分およびポリスチレンを含む上記の方法に関する。
【0159】
ある態様において、本発明は、R2から保護基を除去する段階;ならびにハライドおよびスルホネートからなる群から選択される離脱基へとR2を変換する段階をさらに含む上記の方法に関する。
【0160】
補欠分子族から放射性医薬化合物を調製する方法
本発明の別の局面は、以下の段階を含む、官能基化されている補欠分子族を含むポリマー-結合化合物から放射性医薬化合物を調製する方法に関する:
放射性同位体、酸化剤および官能基化されている補欠分子族を含むポリマー-結合化合物を混合する段階であって、官能基化されている補欠分子族を含むポリマー-結合化合物が以下の式1で表される段階:
式中、
Polyはポリマーを表し;
R1はアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アルキニルまたはアラルキルを表し;
R2は-NR4R5、XR5またはZを表し;
XはO、S、SeまたはAsR5であり;
Zはマロネート、β-ケトエステル、α-ニトロエステル、α-シアノエステルまたはα-ホスホノエステルまたはα-ケトホスホネートであり;
nは1〜15であり;
R3は、各存在ごとに独立に、アルキル、アラルキル、アルケニルまたはアルキニルを表し;
および
R4およびR5は、各存在ごとに独立に、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルもしくはヘテロアラルキルを示す;または-NR4R5の例ではR4とR5の間に共有結合が存在する。
【0161】
ある態様において、酸化剤は、酢酸を含有するまたは含有していないクロラミン-Tのエタノール/水溶液、酢酸を含有するN-クロロスクシンイミドのメタノール溶液、酢酸を含有するtert-ブチルヒドロペルオキシドのクロロホルム溶液、リン酸緩衝液を含有するヨードゲン(Iodogen)、酢酸を含有するまたは含有していないヨードビーズ(iodobead)のメタノール溶液、ジクロタミン-T、クロラミン-B、過酸または1,3,4,6-テトラクロロ-3α,6α-ジフェニルグリコルウリルである。
【0162】
ある態様において、酸化剤は、酢酸を含有してもよいクロラミン-Tのエタノール/水溶液、酢酸を含有するN-クロロスクシンイミドのメタノール溶液、酢酸を含有するtert-ブチルヒドロペルオキシドのクロロホルム溶液、リン酸緩衝液を含有するヨードゲン(Iodogen)または酢酸を含有してもよいヨードビーズ(iodobead)のメタノール溶液である。
【0163】
ある態様において、放射性同位体は18F、11C、76Br、221At、123I、131Iまたは125Iである。
【0164】
ある態様において、放射性同位体は211At、131I、123Iまたは18Fである。
【0165】
ある態様において、放射性同位体は211Atである。
【0166】
ある態様において、放射性同位体は131Iである。
【0167】
ある態様において、本発明の方法によって形成される放射性医薬化合物がキャリヤー無添加レベルで作製され、放射性同位体源の比活性レベルにほぼ等しい比活性を有する。
【0168】
ある態様において、放射性医薬化合物は同位体的に純粋である。
【0169】
ある態様において、放射性医薬化合物は放射性標識されているペプチドまたはタンパク質であり;放射性医薬化合物は同位体的に純粋である。
【0170】
ある態様において、放射性医薬化合物は放射性標識されている抗体であり;放射性医薬化合物は同位体的に純粋である。
【0171】
ある態様において、放射性医薬化合物は放射性標識されているヌクレオチドまたはヌクレオシドであり;放射性医薬化合物は同位体的に純粋である。
【0172】
本発明は、本発明のある好ましい態様が示されている添付の実施例を参照してここでさらに十分に記載される。しかし、本発明は多数の異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載する態様に限定されると解釈されるべきではない;むしろ、これらの態様は、本発明の開示が完全で完璧であるように提供されており、当業者に本発明の範囲を十分に伝える。
【0173】
例示
本発明はここで一般的に記載されているが、本発明のある局面および態様を例示する目的のためだけに含まれ、本発明を限定する意図のものではない以下の実施例を参照することによってさらに容易に理解される。
【0174】
実施例1
2-アミノベンゾフェノン-リンカー複合体の固相支持体へのカップリング
30 mLのペプチド反応フラスコに、4-(4-(5-クロロ-2-フルオレニルメトキシカルボニルアミノ-ベンゾイル)-フェノキシメチル)フェンオキシ酢酸(1.52g、2.4 mmol、2.0当量)、アミノメチル樹脂(1.99g、1.19 mmolの1%架橋ジビニルベンゼン-スチレン、100メッシュサイズ、置換レベル0.60ミリ当量/g)およびヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(0.808g、5.28 mmol、4.4当量)を添加した。無水DMF(12 mL)をフラスコに添加し、混合物を0.5時間ボルテックスして、樹脂を十分に溶媒和させた。ジイソプロピルカルボジイミド(808 mg、5.28 mmol、4.4当量)をシリンジで添加した。反応フラスコに栓をし、次いで24時間ボルテックスし、24時間経過時において、約10 mgの固相支持体のニンヒドリン試験は、カップリングが終了したことを示した。溶媒および試薬を固相支持体からろ別し、支持体を20 mLのDMFで5回および20 mLのCH2Cl2で5回洗浄し(各洗浄は、混合物を少なくとも30秒ボルテックスしてから、溶媒をろ別した)、真空下で12時間乾燥して5を得た。
【0175】
2-アミノベンゾフェノン-リンカー複合体の固相支持体へのカップリング
30 mLのペプチド反応フラスコに、5(2.0g、3.02mmol、2.0当量)、アミノメチル樹脂(1.91g、1.51 mmolの1%架橋ジビニルベンゼン-スチレン、200〜400メッシュサイズ、置換レベル0.79ミリ当量/g)およびヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(0.925g、6.04 mmol、4.4当量)を添加した。無水DMF(10.4 mL)をフラスコに添加し、混合物を0.5時間ボルテックスして、樹脂を十分に溶媒和させた。ジイソプロピルカルボジイミド(762 mg、6.04 mmol、4.4当量)をシリンジで添加し、追加の2.0 mLのDMFを添加して、ペプチド反応フラスコの側面を洗浄した。反応フラスコに栓をし、次いで24時間ボルテックスし、24時間経過時において、約10 mgの固相支持体のニンヒドリン試験は、カップリングが終了したことを示した。溶媒および試薬を固相支持体からろ別し、支持体を20 mLのDMFで5回および20 mLのCH2Cl2で5回洗浄し(各洗浄は、混合物を少なくとも30秒ボルテックスしてから、溶媒をろ別した)、真空下で12時間乾燥して6を得た。
【0176】
実施例2
ポリマー-結合アリールスタンナンを調製するために一般的な手法
保護したハロアリールアルデヒド(1.5 mol当量)を、クロロスタンナンポリマー(1.5 mol当量のSnCl)を含有するT-穴活栓、ゴム隔壁および粉末添加サイドアーム付きの3-頸丸底フラスコに添加した。アルゴン気流下で、蒸留直後の乾燥THFをシリンジで添加した。フラスコおよびその内容物をドライアイス/アセトン温度において3回脱気し、アルゴン雰囲気を導入した。-78℃のハロアリールアルデヒドのTHF溶液に、n-ブチルリチウム(1.3 mol当量、2.5 M)を滴加し、結果として黄色を形成した。-78℃において2時間後、ポリマーをTHF溶液に入れ、懸濁液を18時間撹拌し、徐々に室温にした。メタノールを懸濁液に添加し、懸濁液をろ過した。固体をメタノール、水、メタノール/水/アセトン、メタノール/アセトンおよびメタノールで数回洗浄した。
【0177】
ポリ-(4S, 5S)-2-(3-{ジブチル[2-(3-および4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}フェニル)-3,4-ジメチル-5-フェニル-1,3-オキサゾリジン)-コ-ジビニルベンゼン(9)
保護した3-ブロモベンズアルデヒド7(2.90 g、8.7 mmol)を、4.01 gのクロロスタンナンポリマー8(〜5.9 mol当量のSnCl)を含有するT-穴活栓、ゴム隔壁および粉末添加サイドアーム付きの200 mLの3-頸丸底フラスコに添加した。アルゴン気流下で、蒸留直後の乾燥THF80 mLをシリンジで添加した。フラスコおよびその内容物をドライアイス/アセトン温度において3回脱気し、アルゴン雰囲気を導入した。-78℃の7のTHF溶液に、n-ブチルリチウム(3.0 mL、7.5 mmol、2.5 M)を滴加し、結果として黄色を形成した。-78℃において2時間後、ポリマーをTHF溶液に入れ、懸濁液を18時間撹拌し、徐々に室温にした。メタノール(約3mL)を懸濁液に添加し、懸濁液をろ過した。固体をメタノール、水、メタノール/水/アセトン、メタノール/アセトンおよびメタノールで数回洗浄して,
4.3 gの9を得た。
119Sn MAS NMR:-42.1 ppm。
【0178】
ポリ-(4S, 5S)-2-(4-{ジブチル[2-(3-および4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}フェニル)-3,4-ジメチル-5-フェニル-1,3-オキサゾリジン)-コ-ジビニルベンゼン(11)
1.02 g(3.1 mmol)の保護した4-ブロモベンズアルデヒド10の35 mLのTHF溶液を、-78℃において1.2 mL(3.0 mmol、2.5 M)のn-ブチルリチウムと2時間反応させた。ポリマー8、1.05g(〜1.6 mmolのSnCl)をTHF溶液に入れ、懸濁液を17時間撹拌させた。〜2 mlのメタノールを添加後、懸濁液をろ過し、9と同じ方法で洗浄して、1.24 gの11を得た。
IR(DRIFT、固体):〜1050 cm-1 C-O伸縮。
【0179】
ポリ-(3-{ジブチル[2-(3-および4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}ベンズアルデヒド)-コ-ジビニルベンゼン(12)
保護したアリール-結合ポリマー9(3.98 g)を、25 mLのメタノール、9 mLの水および25 mLの酢酸の混合物で、ゆっくり振とうしながら27時間処理した。ろ過して固体を回収し、メタノール、水、メタノール/水/アセトン、メタノール/アセトンおよびメタノールで連続的に洗浄して、3.65 gのアルデヒド-結合ポリマー12を得た。ヨーディノリシス:ポリマー1グラムあたり0.74 mmolの3-ヨードベンズアルデヒド。
119Sn MAS NMR:-39.0 ppm。
【0180】
ポリ-(4-{ジブチル[2-(3-および4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}ベンズアルデヒド)-コ-ジビニルベンゼン(13)
1.22 gの保護したアリール-結合ポリマー11を、5 mLのメタノール、1.5mLの水および5 mLの酢酸の混合物で、ゆっくり振とうしながら17時間処理した。固体をろ過し、前回のように洗浄してから、1.00 gの13を得た。
ヨーディノリシス:ポリマー1グラムあたり0.78mmolの4-ヨードベンズアルデヒド。
IR(DRIFT、固体):1707cm-1 C=O、2715 cm-1 CHO(弱い)
【0181】
ポリ-(3-{ジブチル[2-(3-および4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}安息香酸)-コ-ジビニルベンゼン(14)
ポリマー-結合アルデヒド12(190 mg、〜0.1 mmolのアルデヒド)を、m-クロロ過安息香酸(210 mg、1.2 mmol)の5 mLメタノール溶液を含有するバイアルに添加した。室温において25時間振とう後、固体をろ過し、1 M NaOH、アセトン、1.7 M AcOH/エタノール、水、メタノール/水/アセトンおよびメタノールで連続洗浄して、150 mgの14を得た。ヨーディノリシス:ポリマー1グラムあたり0.33 mmolの3-ヨード安息香酸。119Sn MAS NMR:-39.3 ppm。
【0182】
ポリ-(4-{ジブチル[2-(3-および4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}安息香酸)-コ-ジビニルベンゼン(15)
980 mgのポリマー-結合アルデヒド13を、1.44 g(8.3 mmol)のm-クロロ過安息香酸の20 mLメタノール溶液に添加した。室温において18時間振とう後、固体をろ過し、1 M NaOH/エタノール、12 mM HCl/エタノール、エタノール/メタノール/水/アセトン、メタノールで洗浄して、980 mgの酸結合ポリマー15を得た。IR(DRIFT、固体):1695 cm-1 C=O。ヨーディノリシス:ポリマー1グラムあたり0.66 mmolの4-ヨード安息香酸。
【0183】
ポリ-(4-{ジブチル[2-(3-および4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}馬尿酸)-コ-ジビニルベンゼン(16)
50 mLの丸底フラスコに、44 mg(0.35 mmol)のグリシンメチルエステル塩酸塩、45 mg(0.35 mmol)のジイソプロピルエチルアミンおよび5 mLのジクロロメタンを添加し、混合物を数分間撹拌して溶解させた。これに、72 mg(0.35 mmol)のジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、53 mg(0.34 mmol)の1-ヒドロキシベンゾトリアジド(1-HOBT)および250 mg(〜0.17 mmol)のポリマー-結合安息香酸15を添加した。室温においてアルゴン気流下で5日間撹拌後、固体をろ過し、メタノール/アセトン、ジクロロメタンおよびメタノールで洗浄した。
【0184】
エステル基を、NaOH(400 mg、10 mmol)の存在下で10 mL THF/水(1:1)中で4時間還流して加水分解した。固体をろ過し、1 M HCl、水、メタノール/水/アセトン、メタノール/アセトン、メタノールで洗浄して、180 mgのベンズアミド結合ポリマー16を得た。ヨーディノリシス:ポリマー1グラムあたり0.58 mmolの4-ヨード馬尿酸。
【0185】
ポリ-(4-{ジブチル[2-(3-および4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}N,N-ジエチルエチレンジアミノベンズアミジル)-コ-ジビニルベンゼン(17)
50 mLの丸底フラスコに、28 mg(0.2 mmol)のジエチルエチレンジアミン、27 mg(0.2 mmol)のコリジン、61 mg(0.3 mmol)のジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、32 mg(0.2 mmol)の1-ヒドロキシベンゾトリアジド(1-HOBT)、150 mg(〜0.1 mmol)のポリマー-結合安息香酸15および5 mLのジクロロメタンを入れた。室温においてアルゴン気流下で7日間撹拌後、固体をろ過し、メタノール/アセトン、ジクロロメタンおよびメタノールで洗浄して、150 mgのベンズアミド結合ポリマー17を得た。
ヨーディノリシス:ポリマー1グラムあたり0.35 mmolのN-(2-ジエチルアミノ)エチル)ベンズアミドおよび0.08 mmolの4-ヨード安息香酸。
【0186】
ポリ-(4-{ジブチル[2-(3-および4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}N-スクシンイミジルエステル)-コ-ジビニルベンゼン(18)
50 mLの丸底フラスコに、60 mg(0.3 mmol)の1-(3-ジメチルアミノ)プロピル-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、35 mg(0.3 mmol)のN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、52 mg(0.4 mmol)のコリジンおよび7 mLのジクロロメタンを入れた。これを10分間撹拌して、完全に溶解した。次いで、50 mg(0.03 mmol)のp-安息香酸ポリマー15を添加し、次に室温において70時間撹拌した。ポリマーをろ過し、メタノールおよびアセトンで数回洗浄して、46 mgの活性化エステルポリマー18を得た。
IR(DRIFT、固体):1773 cm-1、1743 cm-1 C=O
【0187】
ポリ-(4-{ジブチル[2-(3-および4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}N,N-ジエチルエチレンジアミノベンズアミジル)-コ-ジビニルベンゼン(17)
25 mLのバイアルに、32 mgのポリマー-結合活性化エステル18、31 mg(0.2 mmol)のジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)および37 mg(0.3 mmol)のN,N-ジエチルエチレンジアミンを入れた。2 mLのジクロロメタンを添加後、反応を室温において23時間撹拌して行った。固体をろ過し、メタノール、水、メタノール/水/アセトンおよびメタノールで洗浄して、27 mgのベンズアミド結合ポリマー17を得た。ヨーディノリシス:ポリマー1グラムあたり0.43 mmolのN-(2-(ジエチルアミノ)エチル)ベンズアミドおよび0.09 mmolの4-ヨード安息香酸。
【0188】
ポリ-(4S,5S)-2-(5-{ジブチル[2-(4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}-2,3-ジヒドロブンゾフラン-7-イル)-3,4-ジメチル-5-フェニル-1,3-オキサゾリジン-コ-ジビニルベンゼン(19)
先に調製しておいた20(700 mg、1.88 mmol)を、850 mgのクロロスタンナンポリマー(1.47 mmol ScCl/ポリマー1g)を含有するT-穴活栓、ゴム隔壁および粉末添加サイドアーム付き200 mLの3-頚丸底フラスコに添加した。アルゴン気流下で、45 mLの蒸留直後の乾燥THFをシリンジで添加した。フラスコおよびその内容物を、ドライアイス/アセトン温度において3回脱気し、アルゴン雰囲気を導入した。3のTHF溶液に-78℃において、n-ブチルリチウム(0.75 mL、1.88 mmol、2.5 M)を滴加し、結果として黄色を形成した。-78℃において2時間後、ポリマーをTHF溶液に入れ、懸濁液を18時間撹拌し、徐々に室温に加温した。懸濁液に、約5 mLのメタノールを添加し、懸濁液をろ過した。固体をメタノール、水、メタノール/水/アセトン、メタノール/アセトンおよびメタノールで数回洗浄して、1.6 gの19を得た。119Sn MAS NMR(ppm):-39.3、IR(DRIFT、cm-1):1014、1061
【0189】
ポリ-5-{ジブチル[2-(4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-カルボアルデヒド-コ-ジビニルベンゼン(21)
5ドラム試料バイアル中の19(0.975 g)の試料に、酢酸(5 mL)、メタノール(5 mL)および水(1.3 mL)を添加し、反応液を4時間撹拌し、ろ過した。不溶性の物質をメタノール、水およびアセトンで洗浄して、真空下2時間乾燥して、558 mgの淡黄色の固体を得た。
119Sn MAS NMR(ppm):-39.2、IR(DRIFTS、(cm-1):1686、1648
【0190】
ベンズアミドライブラリー
以下のベンズアミドライブラリーは、17の調製の手法と同様の手法を使用して作製した:
【0191】
実施例3
ヨーディノリシスからのベンズアミドの精製
25 mLのバイアル中の約4 mgのポリ-(4-{ジブチル[2-(3-および4-ビニルフェニル)エチル]スタンニル}4-(2-アミノエチル)モルホベンズアミジル)-コ-ジビニルベンゼンに、〜2 mLのCH3CNおよび〜1 mLの0.1 M I2/ CH3CNを添加した。この懸濁液を2時間振とう後、十分量の0.2 M チオ硫酸ナトリウムを添加して、ヨウ素の色を放出した。次いで、得られた反応混合物を、等容量のメタノールおよび1 M NaOHを使用して4倍希釈した。この溶液の約2 mLを逆相C-18 SepPak(Adsorbex RP-18(100 mg))に通した。この溶液のHPLC分析は、4-ヨードベンズアルデヒドに一致する1つのピークを示した。次いで、C-18 SepPakカラムを約2 mLの水で洗浄した。この溶液のHPLCトレースは、1つのピーク、4-ヨード安息香酸を示した。約2 mLのエタノールで洗浄すると、HPLC分析の結果、1つのピーク、4-ヨード-N-(2-モルホリン-4-イルエチル)ベンズアミドを示す溶液を生じた。
【0192】
実施例4
(E)-ヨード-3-トリイソプロピルシロキシ-1-プロペンの調製
2-頚丸底フラスコに、N2気流下で(E)-3-ヨード-2-プロペン-1-オール(1 g、5.44 mmol)を添加した。乾燥CH2Cl2(10 mL)を添加し、次にイミダゾール(0.369 g、5.44 mmol)およびクロロトリイソプロピルシラン(1.17 g、5.44 mmol)を添加した。フラスコの内容物を室温において3時間窒素雰囲気下で撹拌した。次いで、反応混合物を分液ロートに添加し、水で数回洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥して、ろ過し、真空下乾燥した。得られた油状物質を88℃〜92℃、@0.35 mmHgでフラッシュ蒸留して、1.08 g(収率58%)の純粋な油状物質を得た。
【0193】
ポリマーAの調製
(E)-1-ヨード-3-トリイソプロピルシロキシ-1-プロペン(2.21 g、6.49 mmol)を、3 gのクロロスタンナンポリマー(1.73 mmol/g、5.19 mmolのSnCl)を含有する、N2導入口、ゴム隔壁および粉末添加サイドアーム付き200 mLの3-頚丸底フラスコに添加した。フラスコから溶液を除去し、窒素下においた。N2雰囲気下で、80 mLの蒸留直後の乾燥THFをシリンジで添加した。フラスコおよびその内容物を、ドライアイス/アセトン温度において3回脱気して、N2雰囲気を確実にした。この溶液に-78℃において、n-ブチルリチウム(2.69 mL、2.01 M、5.41 mml)を滴加した。-78℃において3時間後、ポリマーをTHF溶液に入れた。この懸濁液を18時間撹拌し、徐々に室温に加温した。懸濁液に約3 mLのメタノールを添加し、懸濁液をろ過した。固体をメタノール、メタノール/水、水、水/アセトンおよびアセトンで数回洗浄して、3.15 gのポリマーAを得た。
MAS 119Sn NMRスペクトル(PhCH3):-47.5 ppm。
IRスペクトル(DRIFT、固体、cm-1):1070、1097(C-O);997(トランスCH=CH)
【0194】
ポリマーAのポリマーBへの変換
ポリマーA(1 g)を、N2導入口およびゴム隔壁付きの100 mLの2-頚丸底フラスコに添加した。フラスコから液体を除去し、窒素下においた。N2雰囲気下で、20 mLの蒸留直後の乾燥THFをシリンジで添加した。過剰量のテトラ-ブチルアンモニウムフルオリド(2 mL)をシリンジで添加し、結果として黄色の溶液を生じた。懸濁液を室温において3時間撹拌し、3時間経過時に懸濁液をろ過し、固体をメタノール、メタノール/水、水、水/アセトンおよびアセトンで数回洗浄して、0.983gのポリマーBを得た。MAS 119Sn NMRスペクトル(PhCH3):-47.5 ppm。IRスペクトル(DRIFT、固体、cm-1):3297(OH)、1074(C-O)、992(トランスCH=CH)、ヨーディノリシス:ポリマー1グラムあたり0.558 mmol/gの(E)-3-ヨード-2-プロペン-1-オール。
【0195】
ポリマーBのポリマーCへの変換
50 mLの丸底フラスコに、ポリマーB(0.60 g)、10 mLのTHFおよび1.39 mLのNEt3(0.996 mmol)を添加した。懸濁液を氷浴で0℃に冷却し、塩化メシル(0.848 mL、10.96 mmol)を滴加した。溶液は5分以内に明るい黄色に変わった。氷浴をはずし、溶液を室温に加温した。45分後、懸濁液をろ過し、固体をメタノール、メタノール/水、水、水/アセトンおよびアセトンで数回洗浄して、0.622 gのポリマーCを得、フリーザーで保存した。MAS 119Sn NMRスペクトル(PhCH3):-48.1 ppm(メジャー)、142.6 ppm(マイナー)。IRスペクトル(DRIFT、固体、cm-1):1359、1175(S=O)、997(トランスCH=CH)。
ヨーディノリシス:ポリマー1グラムあたり0.392 mmol/gの(E)-3-ヨード-2-プロペン-1-イルメタンスルホネート
【0196】
ポリマーDの調製
50 mLの丸底フラスコにポリマーC(0.30 g)、10 mLのTHFおよび過剰量のピペリジン(0.38g、4.41 mmol)を添加した。懸濁液を室温において2時間撹拌し、その後懸濁液をろ過し、固体をメタノール、メタノール/水、水、水/アセトンおよびアセトンで数回洗浄して、0.309 gのポリマーDを得た。
MAS 119Sn NMRスペクトル(PhCH3):-49.9 ppm。IRスペクトル(DRIFT、固体、cm-1):965(トランスCH=CH)。ヨーディノリシス:ポリマー1gあたり0.208 mmol/gのN-(E)-3-ヨード-2-プロペン-1-イルピペリジン。
【0197】
ポリマーB、CおよびDのヨーディノリシスの典型的な手法
約1 mLのI2/CH3CN(0.1 M)を、選択したポリマー(25 mg)の〜2 mL CH3CNの懸濁液に添加した。室温において2時間振とう後、チオ硫酸ナトリウム(0.2 M)の水溶液を、無色の溶液が得られるまで、添加した。得られた溶液をCH3CNで25 mLに希釈した。この懸濁液の一部を、Whatman 0.45μmナイロンシリンジフィルターを通してろ過した。この溶液をHPLCで分析して、対応するヨード化合物の標品試料の1 mM標準溶液と比較した。
【0198】
参照による組み入れ
本明細書において引用する全ての特許および刊行物は参照により本明細書に組み入れられる。
【0199】
等価物
当業者は、本明細書に記載する本発明の特定の態様の多数の等価物を認識する、またはごく通常の実験を使用して確かめることができる。このような等価物は以下の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0200】
【図1】ポリマー-結合プロペニルアミンの合成経路を図示する。
【図2】ポリマー-結合プロペニルチオエーテルおよびエーテルの合成経路を図示する。
【図3】放射性医薬化合物の合成経路を図示する。
【図4】ポリマー-結合アリールスタンナンの合成経路を図示する。
【図5】ポリマー-結合アリールスタンナンの合成経路を図示する。ただし:DCCはジシクロヘキシルカルボジイミドをいう。HOBTはヒドロキシベンゾトリアジドをいう。
【図6】ポリマー-結合アリールスタンナンの合成経路を図示する。
【図7】芳香族放射性医薬化合物の合成経路を図示する。
【図8】ポリマー-結合プロペニルスタンナンの119Sn NMRスペクトルを図示する。
【図9】ポリマー-結合プロペニルスタンナンの119Sn NMRスペクトルを図示する。
【図10】ポリマー-結合プロペニルスタンナンの119Sn NMRスペクトルを図示する。
【図11】ポリマー-結合プロペニルスタンナンの119Sn NMRスペクトルを図示する。
【図12】ポリマー-結合プロペニルスタンナンのIRスペクトルを図示する。
【図13】ポリマー-結合プロペニルスタンナンのIRスペクトルを図示する。
【図14】ポリマー-結合プロペニルスタンナンのIRスペクトルを図示する。
【図15】ポリマー-結合プロペニルスタンナンのIRスペクトルを図示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1によって表される化合物:
式中、
Polyはポリマーを表し;
R1はアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アルキニルまたはアラルキルを表し;
R2は-NR4R5、ホスフェート、ホスファイト、ホスフィン、XR5、Z、ハライドまたはスルホネートを表し;
XはO、S、SeまたはAsR5であり;
Zはマロネート、β-ケトエステル、α-ニトロエステル、α-シアノエステルまたはα-ホスホノエステルまたはα-ケトホスホネートであり;
nは1〜15であり;
R3は、各存在ごとに独立に、アルキル、アラルキル、アルケニルまたはアルキニルを表し;
および
R4およびR5は、各存在ごとに独立に、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルもしくはヘテロアラルキルを表す;または-NR4R5の例ではR4とR5の間に共有結合が存在する。
【請求項2】
nが1〜5である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
nが1である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R1がアルケニルまたはアリールである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
R1がアルケニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
R1が-CH=CH-である、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
R2がハライドまたはスルホネートである、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
R2がスルホネートである、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
R2がメシレートまたはトシレートである、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
R3がアルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
R3がn-ブチルである、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
R1が-HC=CH-であり、R3がアルキルであり、nが1であり、polyがポリスチレンであり、R2がメシレートまたはトシレートである、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
R1が-HC=CH-であり、R3がアルキルであり、nが1であり、polyがポリスチレンであり、R2が-NR4R5である、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
R2が-NR4R5またはXR5である、請求項1記載の化合物。
【請求項15】
R2が-NR4R5である、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
R2が、ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸、炭水化物(モノマーまたはポリマー)、プリン、ピリミジンまたはアミノ酸のアミノ基である、請求項1記載の化合物。
【請求項17】
R2が、置換されていてもよい1-ピペリジニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項18】
R1が-HC=CH-であり、R3がアルキルであり、nが1であり、ポリマーがポリスチレンであり、R2が置換されていてもよい1-ピペリジニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項19】
R2が-XR5であり、XがOまたはSである、請求項1記載の化合物。
【請求項20】
構造1のポリマーが、該ポリマーの複数のモノマー単位において部分-Sn(R3)2R1(CH2)nR2で官能基化されている、請求項1記載の化合物。
【請求項21】
R2が、ペプチドのアミノ基である、請求項1記載の化合物。
【請求項22】
R2が、抗体のアミノ基である、請求項1記載の化合物。
【請求項23】
polyがポリエチレングリコール、ポリスチレン、ポリアミドまたはポリペプチドである、請求項1記載の化合物。
【請求項24】
polyがポリスチレン、ポリウレタン、ポリ(エチレン-コ-ビニルアセテート)、ポリエチレン、ポリスチレン/ゴムまたはポリ(エチレン-コ-プロピレン)である、請求項1記載の化合物。
【請求項25】
polyがポリスチレンである、請求項1記載の化合物。
【請求項26】
R2が、式2によって表される、請求項1記載の化合物:
式中、mは1〜8であり;Rは、各存在ごとに独立に、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、
を表し;qは1〜10であり、R80は置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリルまたはポリシクリルを表し;R6は、各存在ごとに独立に、H、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表し;R7は、各存在ごとに独立に、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表す。
【請求項27】
R2が、式2によって表される、請求項1記載の化合物:
式中、mは3または4であり;Rは、各存在ごとに独立に、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、
を表し;qは1〜10であり、R80は置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリルまたはポリシクリルを表し;R6は、各存在ごとに独立に、H、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表し;R7は、各存在ごとに独立に、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表し;polyはポリスチレンである。
【請求項28】
以下の段階を含む、ポリマー-結合補欠分子族を合成する方法:
第1の化合物とポリマーを合わせて第1のポリマー-結合化合物を得る段階;および第2の化合物と該第1のポリマー-結合化合物を合わせて、官能基化された補欠分子族を含む第2のポリマー-結合化合物を得る段階であって、該第2の化合物がアミン、ホスフェート、ホスファイト、ホスフィン、アルコール、フェノール、チオール、アルキルセレニド、アリールセレニド、ビス(アルキル)アルセニド、ビス(アリール)アルセニド、マロネート、β-ケトエステル、α-ニトロエステル、α-シアノエステル、α-ホスホノエステルもしくはα-ケトホスホネートまたはそれらのいずれかから誘導される陰イオンであり、該ポリマーが塩化スズ部分を含み、該第1の化合物が式3:
(式中
Mは陽イオンであり;
R1はアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アルキニルまたはアラルキルを表し;
R2はOSi(アルキル)3、OMEM、アシルオキシまたはOBnであり;および
nは1〜15である)によって表される段階。
【請求項29】
nが1〜5である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
nが1である、請求項28記載の方法。
【請求項31】
Mがアルカリ金属陽イオンまたはアルカリ土類金属陽イオンである、請求項28記載の方法。
【請求項32】
MがLi、Na、K、ZnCl、ZnBr、MgBrまたはMgClである、請求項28記載の方法。
【請求項33】
R2がOSi(アルキル)3である、請求項28記載の方法。
【請求項34】
R2がOSi(iPr)3である、請求項28記載の方法。
【請求項35】
R1がアルケニルまたはアリールである、請求項28記載の方法。
【請求項36】
R1がアルケニルである、請求項28記載の方法。
【請求項37】
R1が-CH=CH-である、請求項28記載の方法。
【請求項38】
第2の化合物がアミン、アルコール、フェノール、チオール、マロネート、β-ケトエステルまたはそれらのいずれかから誘導される陰イオンである、請求項28記載の方法。
【請求項39】
第2の化合物がアミン、アルコールまたはそれらのいずれかから誘導される陰イオンである、請求項28記載の方法。
【請求項40】
第2の化合物がアミンまたはそれから誘導される陰イオンである、請求項28記載の方法。
【請求項41】
官能基化されている補欠分子族が式2によって表される、請求項28記載の方法:
式中、mは1〜8であり;Rは、各存在ごとに独立に、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、
を表し;qは1〜10であり、R80は置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリルまたはポリシクリルを表し;R6は、各存在ごとに独立に、H、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表し;R7は、各存在ごとに独立に、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表す。
【請求項42】
官能基化されている補欠分子族が式2によって表される、請求項28記載の方法:
式中、mは3または4であり;Rは、各存在ごとに独立に、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、
を表し;qは1〜10であり、R80は置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリルまたはポリシクリルを表し;R6は、各存在ごとに独立に、H、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表し;R7は、各存在ごとに独立に、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表す。
【請求項43】
官能基化されている補欠分子族が、置換されていてもよい1-ピペリジニルである、請求項28記載の方法。
【請求項44】
ポリマーが、塩化スズ部分およびポリエチレングリコール、ポリスチレン、ポリアミドまたはポリペプチドを含む、請求項28記載の方法。
【請求項45】
ポリマーが、塩化スズ部分およびポリスチレン、ポリウレタン、ポリ(エチレン-コ-ビニルアセテート)、ポリエチレン、ポリスチレン/ゴムまたはポリ(エチレン-コ-プロピレン)を含む、請求項28記載の方法。
【請求項46】
ポリマーが、塩化スズ部分およびポリスチレンを含む、請求項28記載の方法。
【請求項47】
ポリマーが、塩化ジブチルスズ部分およびポリスチレンを含む、請求項28記載の方法。
【請求項48】
R2から保護基を除去する段階;ならびにハライドおよびスルホネートからなる群より選択される離脱基へとR2を変換する段階をさらに含む、請求項28記載の方法。
【請求項49】
以下の段階を含む、官能基化されている補欠分子族を含むポリマー-結合化合物から放射性医薬化合物を調製する方法:
放射性同位体、酸化剤および官能基化されている補欠分子族を含むポリマー-結合化合物を混合する段階であって、官能基化されている補欠分子族を含む該ポリマー-結合化合物が以下の式1で表される段階:
式中、
Polyはポリマーを表し;
R1はアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アルキニルまたはアラルキルを表し;
R2は-NR4R5、XR5またはZを表し;
XはO、S、SeまたはAsR5であり;
Zはマロネート、β-ケトエステル、α-ニトロエステル、α-シアノエステルまたはα-ホスホノエステルまたはα-ケトホスホネートであり;
nは1〜15であり;
R3は、各存在ごとに独立に、アルキル、アラルキル、アルケニルまたはアルキニルを表し;
および
R4およびR5は、各存在ごとに独立に、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルもしくはヘテロアラルキルを表す;または-NR4R5の例ではR4とR5の間に共有結合が存在する。
【請求項50】
酸化剤が、酢酸を含有するまたは含有していないクロラミン-Tのエタノール/水溶液、酢酸を含有するN-クロロスクシンイミドのメタノール溶液、酢酸を含有するtert-ブチルヒドロペルオキシドのクロロホルム溶液、リン酸緩衝液を含有するヨードゲン(Iodogen)または酢酸を含有するまたは含有していないヨードビーズ(iodobead)のメタノール溶液である、請求項49記載の方法
【請求項51】
ある態様において、放射性同位体が18F、11C、76Br、221At、123I、131Iまたは125Iである、請求項49記載の方法。
【請求項52】
放射性同位体が211At、131I、123Iまたは18Fである、請求項49記載の方法。
【請求項53】
放射性同位体が211Atである、請求項49記載の方法。
【請求項54】
放射性同位体が131Iである、請求項49記載の方法。
【請求項55】
本発明の工程によって形成される放射性医薬化合物がキャリヤー無添加レベルで作製され、放射性同位体源の比活性レベルにほぼ等しい比活性を有する、請求項49記載の方法。
【請求項56】
放射性医薬化合物が同位体的に純粋である、請求項49記載の方法。
【請求項57】
放射性医薬化合物が放射性標識されているペプチドまたはタンパク質であり;該放射性医薬化合物が同位体的に純粋である、請求項49記載の方法。
【請求項58】
放射性医薬化合物が放射性標識されている抗体であり;該放射性医薬化合物が同位体的に純粋である、請求項49記載の方法。
【請求項59】
放射性医薬化合物が放射性標識されているヌクレオチドまたはヌクレオシドであり;該放射性医薬化合物が同位体的に純粋である、請求項49記載の方法。
【請求項1】
式1によって表される化合物:
式中、
Polyはポリマーを表し;
R1はアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アルキニルまたはアラルキルを表し;
R2は-NR4R5、ホスフェート、ホスファイト、ホスフィン、XR5、Z、ハライドまたはスルホネートを表し;
XはO、S、SeまたはAsR5であり;
Zはマロネート、β-ケトエステル、α-ニトロエステル、α-シアノエステルまたはα-ホスホノエステルまたはα-ケトホスホネートであり;
nは1〜15であり;
R3は、各存在ごとに独立に、アルキル、アラルキル、アルケニルまたはアルキニルを表し;
および
R4およびR5は、各存在ごとに独立に、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルもしくはヘテロアラルキルを表す;または-NR4R5の例ではR4とR5の間に共有結合が存在する。
【請求項2】
nが1〜5である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
nが1である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R1がアルケニルまたはアリールである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
R1がアルケニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
R1が-CH=CH-である、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
R2がハライドまたはスルホネートである、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
R2がスルホネートである、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
R2がメシレートまたはトシレートである、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
R3がアルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
R3がn-ブチルである、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
R1が-HC=CH-であり、R3がアルキルであり、nが1であり、polyがポリスチレンであり、R2がメシレートまたはトシレートである、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
R1が-HC=CH-であり、R3がアルキルであり、nが1であり、polyがポリスチレンであり、R2が-NR4R5である、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
R2が-NR4R5またはXR5である、請求項1記載の化合物。
【請求項15】
R2が-NR4R5である、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
R2が、ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸、炭水化物(モノマーまたはポリマー)、プリン、ピリミジンまたはアミノ酸のアミノ基である、請求項1記載の化合物。
【請求項17】
R2が、置換されていてもよい1-ピペリジニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項18】
R1が-HC=CH-であり、R3がアルキルであり、nが1であり、ポリマーがポリスチレンであり、R2が置換されていてもよい1-ピペリジニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項19】
R2が-XR5であり、XがOまたはSである、請求項1記載の化合物。
【請求項20】
構造1のポリマーが、該ポリマーの複数のモノマー単位において部分-Sn(R3)2R1(CH2)nR2で官能基化されている、請求項1記載の化合物。
【請求項21】
R2が、ペプチドのアミノ基である、請求項1記載の化合物。
【請求項22】
R2が、抗体のアミノ基である、請求項1記載の化合物。
【請求項23】
polyがポリエチレングリコール、ポリスチレン、ポリアミドまたはポリペプチドである、請求項1記載の化合物。
【請求項24】
polyがポリスチレン、ポリウレタン、ポリ(エチレン-コ-ビニルアセテート)、ポリエチレン、ポリスチレン/ゴムまたはポリ(エチレン-コ-プロピレン)である、請求項1記載の化合物。
【請求項25】
polyがポリスチレンである、請求項1記載の化合物。
【請求項26】
R2が、式2によって表される、請求項1記載の化合物:
式中、mは1〜8であり;Rは、各存在ごとに独立に、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、
を表し;qは1〜10であり、R80は置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリルまたはポリシクリルを表し;R6は、各存在ごとに独立に、H、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表し;R7は、各存在ごとに独立に、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表す。
【請求項27】
R2が、式2によって表される、請求項1記載の化合物:
式中、mは3または4であり;Rは、各存在ごとに独立に、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、
を表し;qは1〜10であり、R80は置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリルまたはポリシクリルを表し;R6は、各存在ごとに独立に、H、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表し;R7は、各存在ごとに独立に、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表し;polyはポリスチレンである。
【請求項28】
以下の段階を含む、ポリマー-結合補欠分子族を合成する方法:
第1の化合物とポリマーを合わせて第1のポリマー-結合化合物を得る段階;および第2の化合物と該第1のポリマー-結合化合物を合わせて、官能基化された補欠分子族を含む第2のポリマー-結合化合物を得る段階であって、該第2の化合物がアミン、ホスフェート、ホスファイト、ホスフィン、アルコール、フェノール、チオール、アルキルセレニド、アリールセレニド、ビス(アルキル)アルセニド、ビス(アリール)アルセニド、マロネート、β-ケトエステル、α-ニトロエステル、α-シアノエステル、α-ホスホノエステルもしくはα-ケトホスホネートまたはそれらのいずれかから誘導される陰イオンであり、該ポリマーが塩化スズ部分を含み、該第1の化合物が式3:
(式中
Mは陽イオンであり;
R1はアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アルキニルまたはアラルキルを表し;
R2はOSi(アルキル)3、OMEM、アシルオキシまたはOBnであり;および
nは1〜15である)によって表される段階。
【請求項29】
nが1〜5である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
nが1である、請求項28記載の方法。
【請求項31】
Mがアルカリ金属陽イオンまたはアルカリ土類金属陽イオンである、請求項28記載の方法。
【請求項32】
MがLi、Na、K、ZnCl、ZnBr、MgBrまたはMgClである、請求項28記載の方法。
【請求項33】
R2がOSi(アルキル)3である、請求項28記載の方法。
【請求項34】
R2がOSi(iPr)3である、請求項28記載の方法。
【請求項35】
R1がアルケニルまたはアリールである、請求項28記載の方法。
【請求項36】
R1がアルケニルである、請求項28記載の方法。
【請求項37】
R1が-CH=CH-である、請求項28記載の方法。
【請求項38】
第2の化合物がアミン、アルコール、フェノール、チオール、マロネート、β-ケトエステルまたはそれらのいずれかから誘導される陰イオンである、請求項28記載の方法。
【請求項39】
第2の化合物がアミン、アルコールまたはそれらのいずれかから誘導される陰イオンである、請求項28記載の方法。
【請求項40】
第2の化合物がアミンまたはそれから誘導される陰イオンである、請求項28記載の方法。
【請求項41】
官能基化されている補欠分子族が式2によって表される、請求項28記載の方法:
式中、mは1〜8であり;Rは、各存在ごとに独立に、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、
を表し;qは1〜10であり、R80は置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリルまたはポリシクリルを表し;R6は、各存在ごとに独立に、H、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表し;R7は、各存在ごとに独立に、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表す。
【請求項42】
官能基化されている補欠分子族が式2によって表される、請求項28記載の方法:
式中、mは3または4であり;Rは、各存在ごとに独立に、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、
を表し;qは1〜10であり、R80は置換されていてもよいアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリルまたはポリシクリルを表し;R6は、各存在ごとに独立に、H、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表し;R7は、各存在ごとに独立に、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルを表す。
【請求項43】
官能基化されている補欠分子族が、置換されていてもよい1-ピペリジニルである、請求項28記載の方法。
【請求項44】
ポリマーが、塩化スズ部分およびポリエチレングリコール、ポリスチレン、ポリアミドまたはポリペプチドを含む、請求項28記載の方法。
【請求項45】
ポリマーが、塩化スズ部分およびポリスチレン、ポリウレタン、ポリ(エチレン-コ-ビニルアセテート)、ポリエチレン、ポリスチレン/ゴムまたはポリ(エチレン-コ-プロピレン)を含む、請求項28記載の方法。
【請求項46】
ポリマーが、塩化スズ部分およびポリスチレンを含む、請求項28記載の方法。
【請求項47】
ポリマーが、塩化ジブチルスズ部分およびポリスチレンを含む、請求項28記載の方法。
【請求項48】
R2から保護基を除去する段階;ならびにハライドおよびスルホネートからなる群より選択される離脱基へとR2を変換する段階をさらに含む、請求項28記載の方法。
【請求項49】
以下の段階を含む、官能基化されている補欠分子族を含むポリマー-結合化合物から放射性医薬化合物を調製する方法:
放射性同位体、酸化剤および官能基化されている補欠分子族を含むポリマー-結合化合物を混合する段階であって、官能基化されている補欠分子族を含む該ポリマー-結合化合物が以下の式1で表される段階:
式中、
Polyはポリマーを表し;
R1はアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アルキニルまたはアラルキルを表し;
R2は-NR4R5、XR5またはZを表し;
XはO、S、SeまたはAsR5であり;
Zはマロネート、β-ケトエステル、α-ニトロエステル、α-シアノエステルまたはα-ホスホノエステルまたはα-ケトホスホネートであり;
nは1〜15であり;
R3は、各存在ごとに独立に、アルキル、アラルキル、アルケニルまたはアルキニルを表し;
および
R4およびR5は、各存在ごとに独立に、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルもしくはヘテロアラルキルを表す;または-NR4R5の例ではR4とR5の間に共有結合が存在する。
【請求項50】
酸化剤が、酢酸を含有するまたは含有していないクロラミン-Tのエタノール/水溶液、酢酸を含有するN-クロロスクシンイミドのメタノール溶液、酢酸を含有するtert-ブチルヒドロペルオキシドのクロロホルム溶液、リン酸緩衝液を含有するヨードゲン(Iodogen)または酢酸を含有するまたは含有していないヨードビーズ(iodobead)のメタノール溶液である、請求項49記載の方法
【請求項51】
ある態様において、放射性同位体が18F、11C、76Br、221At、123I、131Iまたは125Iである、請求項49記載の方法。
【請求項52】
放射性同位体が211At、131I、123Iまたは18Fである、請求項49記載の方法。
【請求項53】
放射性同位体が211Atである、請求項49記載の方法。
【請求項54】
放射性同位体が131Iである、請求項49記載の方法。
【請求項55】
本発明の工程によって形成される放射性医薬化合物がキャリヤー無添加レベルで作製され、放射性同位体源の比活性レベルにほぼ等しい比活性を有する、請求項49記載の方法。
【請求項56】
放射性医薬化合物が同位体的に純粋である、請求項49記載の方法。
【請求項57】
放射性医薬化合物が放射性標識されているペプチドまたはタンパク質であり;該放射性医薬化合物が同位体的に純粋である、請求項49記載の方法。
【請求項58】
放射性医薬化合物が放射性標識されている抗体であり;該放射性医薬化合物が同位体的に純粋である、請求項49記載の方法。
【請求項59】
放射性医薬化合物が放射性標識されているヌクレオチドまたはヌクレオシドであり;該放射性医薬化合物が同位体的に純粋である、請求項49記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2006−525311(P2006−525311A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506627(P2006−506627)
【出願日】平成16年4月30日(2004.4.30)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001834
【国際公開番号】WO2004/098650
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(505408929)ザ ユニバーシティー オブ ウェスタン オンタリオ (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年4月30日(2004.4.30)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001834
【国際公開番号】WO2004/098650
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(505408929)ザ ユニバーシティー オブ ウェスタン オンタリオ (4)
【Fターム(参考)】
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