放射性医薬物質の放射能を決定するための装置及び方法
【課題】本検出器システムは,放射能を有する物質を測定する。
【解決手段】流体経路が少なくとも1つの放射性医薬品のアリコートを受け入れ、凹面型の構成を有するように形成されたポジショナにアリコートを配置する。凹面からある軸方向距離だけ隔たって検出器が配置され、アリコートの放射能レベルを決定する。代わりに、流体経路は凹まずに、流体経路と検出器の間に可変式の減衰器が設置されてもよい。可変式減衰器はある凹度を有していてよく、その凹度は、放射能強度を読み取る検出器の能力が最適化されるように流体経路の凹度に基づいたものであってよい。凹面型の流体通路内放射性医薬品のアリコートを形成するための方法は、アリコートが発するスペクトルエネルギと放射能の読み取りを最適化し、その通路におけるアリコートの位置に拘わらず、放射能強度を決定するように、検出器をその凹面からある距離だけ離れた位置に配置することを含む。
【解決手段】流体経路が少なくとも1つの放射性医薬品のアリコートを受け入れ、凹面型の構成を有するように形成されたポジショナにアリコートを配置する。凹面からある軸方向距離だけ隔たって検出器が配置され、アリコートの放射能レベルを決定する。代わりに、流体経路は凹まずに、流体経路と検出器の間に可変式の減衰器が設置されてもよい。可変式減衰器はある凹度を有していてよく、その凹度は、放射能強度を読み取る検出器の能力が最適化されるように流体経路の凹度に基づいたものであってよい。凹面型の流体通路内放射性医薬品のアリコートを形成するための方法は、アリコートが発するスペクトルエネルギと放射能の読み取りを最適化し、その通路におけるアリコートの位置に拘わらず、放射能強度を決定するように、検出器をその凹面からある距離だけ離れた位置に配置することを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
この出願は、2009年6月5日に出願されたPCT出願第PCT/US2009/46437号の一部継続出願であり、当該PCT出願の内容は、引用を以て、本明細書の一部となる。
【0002】
本発明は、放射性医薬物質とともに使用するための送達方法、システム、及びその構成要素に関係しており、特に、送達する放射性医薬物質のアリコートの放射線量を決定するために使用される方法及び構成要素に関する。
【背景技術】
【0003】
放射性医薬物質は、医学分野において、治療目的と診断目的の両方について広く知られている。例えば、腫瘍細胞に放射線を照射して殺すために、カプセルに入れられた放射性医薬物質(「シード」など)が、前立腺腫瘍などの固形腫瘍に入れられている。血管形成術後に、血管の管腔細胞を(バルーンカテーテルを用いて適所に保持された)放射性物質に短期間暴露する方法が用いられて、血管における再狭窄の発生率が低減されている。
【0004】
これらの治療上の使用に加えて、放射性医薬品は、特定のイメージング技術にてトレーサーとして機能して、医療介入を要する組織を診断するのに役立つ。そのような2つのイメージング技術は、陽電子放射型断層撮影法(PET)及び単光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)である。PETイメージングでは、陽電子放射性核種(18Fなど)を運ぶ放射性医薬品が患者の血管系に注入される。放射性核種が放射した陽電子は近くに存在する電子と衝突し、軌道が反対向きの1対のガンマ線を放出する。1対のガンマ線は、患者の両側に配置されたセンサーによって検出され、これにより、放射性医薬品の場所が決定される。一例として、18F−フルオロデオキシグルコース(FDG)が、FDGを優先的に取り込む腫瘍細胞を検出するために頻繁に使用されている。SPECTイメージングでは、放射性医薬品は、崩壊中に単一のガンマ線光子を放射する放射性核種を運ぶ。PETの場合と同様に、患者の周囲に配置されたセンサーによってガンマ線が検出され、放射性医薬品の場所が決定される。一例として、99mTcセスタミビが患者の血管系に投与され、その核種が心臓を通過する際に観測される。この方法は、心臓がどの程度良好に心室から血液を拍出することができるかについての情報を心臓病専門医に提供する。
【0005】
診断用放射性医薬品からの放射線量は、一回のイメージング処置を受けている一人の患者にとっては極めて少ないが、トレーサーを注入する医療技術者又は医師の蓄積的な線量はかなりの量になり得る。これは、医療技術者又は医師が日々トレーサーを注入することを求められている患者の数が原因である。その結果、放射性医薬品への過剰な暴露から医師又は医療技術者を遮蔽するのに役立たつ数多くの装置が開発されてきた。放射性医薬品の手操作による注入用に、シリンジの本体部に遮蔽材を組み込んだシリンジが開発されており(Takahashiらに付与された米国特許第4,968,305号)、手持ち式の遮蔽シリンジホルダーも開発されている(Nakayamaらに付与された米国特許第4994012号)。それらの手動装置に加えて、自動装置についても記述されている。このような装置の例は、Reillyらに付与された米国特許第6,767,319号(引用により本明細書に組み入れられる)、PCT特許出願公開公報WO第2004/004787号(Van Naemenら、引用により本明細書に組み入れられる)、EPO特許出願公開公報EP第1,616,587号(Buck、引用により本明細書に組み入れられる)、及び米国特許出願公開公報第2008/0177126号(Tateら、引用により本明細書に組み入れられる)に見出すことができる。これらの装置の出願は主にPETイメージング(より具体的には、FDGの使用)を対象しているが、同様な型の装置を、SPECTイメージング処置のためにSPECT用放射性医薬品を注入するのに使用することも可能である。
【0006】
Buck及びTateらを参照すると、具体的には、自動インジェクタは一般的に以下の構成要素を含んでいる。例えばバイアルなどの容器である放射性医薬品のソースが、インジェクタ内の遮蔽された環境に配置される。針やカニューレなどのアクセス装置が容器に挿入されて、放射性医薬物質へのアクセスを可能にする。更に、アクセス装置から第1ポンピング装置へ流体通路が設けられており、そのポンピング装置は、シリンジ及びアクチベータ(activator)、又は蠕動ポンプを含んでいてよい。生理食塩水などの非放射性フラッシング剤のソースにも第2流体経路が設けられており、この経路は、第2のポンピング装置に接続されていてもよいし、又はバルブ機構を通じて第1のポンピング装置と流体的に連通していてもよい。第2のポンピング装置を使用する実施例では、そのアウトプットは、補助的なバルブ機構を介して第1ポンピング装置のアウトプットと流体的に連通していてよい。第1ポンピング装置のアウトプット側端部は、イオンチャンバなどの放射線検出装置を通過するように配置されている第3の流体通路と流体的に連通している。第3の流体通路は第2のバルブ機構に接続されており、そのバルブ機構は、流体の向きを、廃棄物用容器又は送達装置に向けて制御する。送達装置は、医学的な目的で放射性医薬物質を容器又は患者へ送達する。コンピュータは、適切なソフトウェアを実行して、モーター制御装置を介して上述の第1及び第2のポンピング装置の動作を制御でき、更に、上述のバルブ機構をも制御できる。また、このインジェクション装置は、使用者への情報(例えば、放射線検出器で検出された放射線の量など)を表示するためのモニターに加えて、コンピュータへの入力装置(例えばキーボードなど)も含んでおり、使用者がインジェクタの操作に関する情報を入力することを可能にする。
【0007】
機能的な観点からすると、そのように自動化された装置は、以下のようにして使用され得る。医療技術者又は医師が、放射性物質を含有した溶液で予め満たされた容器又はバイアルをインジェクタ内の遮蔽されたレセプタクルに装填する。(例えば、単位体積当たりのBq又はCiとして記録される)比放射能などの放射性物質の量が、上述の予め満たされたバイアルのラベルに刻印されてよい。代わりに、既知又は推定の体積の流体が入ったバイアルで、そのバイアルの全放射能強度(Bq又はCiとして)が示されてもよい。予め満たされたバイアル又は容器が遮蔽されたレセプタクルに装填されると、医師若しくは医療技術者の手操作で、又はインジェクタによって自動的に、アクセス装置がその容器に挿入される。同様にして、例えば、容器又は吊り下げ式のバッグなどの非放射性フラッシング剤のソースがさらに設けられてよい。この後、医師又は医療技術者は、そのフラッシング剤を、インジェクタに設けられている第2の流体通路に接続できる。非放射性フラッシング剤を用いてポンピングプロセスにより、インジェクタ内の種々の流体経路から空気が排除できる。空気のこのパージプロセスにより、流体経路がフラッシング剤で満たされて、使用した空気は存在しない。その後、医師又は医療技術者は、送達される放射性医薬品の容量を与えるようにインジェクタを作動させる。様々な方法が選択されて、送達が必要とされている放射物の量を送達すべくインジェクタがプログラムされてよい。例えば、医師又は医療技術者である使用者は、インジェクタに設けられているインターフェース装置を介して放射性医薬品の総送達体積を入力できる。代わりに、使用者は、最終用量の全放射能を入力してもよい。このような実施例では、インジェクタのコンピュータにインストールされているソフトウェアは、放射性医薬品のソースに含まれている液体の比放射能に関する情報を有していて、送達すべき最終的な体積を決定する計算を実行するであろう。人間の患者がその用量の受け手である場合、患者に関するパラメータ(例えば身長及び体重など)をインジェクタに入力できる。そのような実施例においては、インジェクタのコンピュータにインストールされているソフトウェアは、送達すべき放射性医薬品の適切な量を放射能として決定するためにそのような情報を利用し、その後、その放射性医薬品ソースから送達すべき全体積を算出できる。これらの実施例は網羅的ではなく、種々の別の方法を用いてインジェクタをプログラムして、特定の体積の放射性医薬品を送達できる。
【0008】
放射性医薬品の体積が決定されると、インジェクタは、適切なポンピング機構を駆動して、放射性医薬品のソースである容器から、第1ポンピング機構から続く第3の流体経路に、要求された体積を移送する。この後、あるポンピング手法が作動して、フラッシング流体ソースから第3の流体通路にフラッシング流体を送り出し、フラッシング流体のボーラスが作用して、その用量の放射性医薬品を流体経路に沿って押し流す。この方法により、その用量の放射性医薬品は、放射線検出器の近傍に入るまで、第3の流体通路に沿って進行する。Tateらの特許文献で説明されているように、放射線検出器はイオン検出器を含んでよい。そのイオン検出器は、それらの間に電位が加えられる中央アノード及び収集カソードを有する密閉型の容器として簡単に説明されている。検出器の容器には検出ガス(アルゴンなど)が満たされている。放射性医薬品から発せられた放射線がイオン検出器に入ると、前述のガスのうちの幾分かが電離され、その結果として、正電荷及び負電荷がもたらされる。負電荷は収集アノードに引き寄せられ、これにより、それらの帯電粒子から電流が生じる。この後、放射線検出器で生じた電流は、電子機器及びソフトウェアによって更に処理されて、測定された1秒当たりの崩壊数が(Bq又はCiとして)読み取られる。結果として、インジェクタには、このインジェクタで送達されている放射性医薬品の用量がもたらした放射線量に関する直接的な情報が与えられる。Buckの特許文献で述べられているように、その用量の測定された放射能が放射性医薬品の十分な量に相当しない場合には、その最初の用量に続いて2回目の用量を供給して、投与されるべき正しい量の放射性医薬を与えるように、インジェクタをプログラムすることができる。
【0009】
正しい体積の放射性医薬品が第3の流体経路に存在していると、全用量の放射性医薬品が、インジェクタから送達装置を通じて最終目的部位へ送り出される。ある用量が、必要とされる程度を超過した放射能を有している場合には、インジェクタ内のバルブ機構を駆動でして、その用量を除去用の廃棄物貯蔵容器に排除できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
自動化された放射性医薬品用インジェクタに関する上述の例で説明されているように、ガスイオン化チャンバが用いられて、アウトプット容器へ又は患者へ送達された放射性医薬品の量が測定される。典型的には、そのようなイオン化チャンバは物理的に大きく、且つ、インジェクタのコストにかなりの経費を追加する。Tateらの特許文献の図1Dのエレメント160は、インジェクタの残りの構成要素に対するイオン化チャンバの相対的なサイズを示している。更に、図1Dは、イオン化チャンバが故障した場合にそれを交換するためにはかなりの困難があり得ることを示唆している。これらの理由から、費用が掛からず且つ物理的に嵩張らないような代わりの放射線検出器でイオン化チャンバを置き換えて、インジェクタに必要な放射線測定をもたらすのが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、広義には、自動化インジェクション装置にて使用する、流体通路内の放射性医薬物質の放射能強度を測定するシステム及び方法の改善を意図している。ここで広く意図されているシステムは、空間的表面(spatial surface)として配置された放射性医薬品のアリコートを含む流体通路と、放射線検出器と、流体通路とセンサーの間の光子経路に沿って設けられた1つ又は複数の光学素子を含んでいる。そのシステムは、インジェクタ内のソースから流体経路に沿って送り出された放射性医薬品のアリコートを受け入れるべく、インジェクタ内に配置されていてよい。更に、システムのアウトプットは、アウトプットアセンブリに接続されており、放射能強度が測定された後にそのアリコートを患者に供給してもよい。
【0012】
放射性医薬品のアリコートを含む流体通路は、そのアリコートが発する放射線への放射線検出器の暴露を最適化するような形状で配置されなければならない。それ故、本発明の別の態様では、検出器に近接したアリコートポジショナ(aliquot positioner)がある幾何学的形状を持って形成されており、その幾何学的形状においては、アリコートにより発せられる放射線が、アリコートポジショナ内におけるアリコートの場所に関わりなく、等しい応答性を持って検出される。アリコートポジショナは、非限定的な例として、チューブ状の導管又は可撓性のバッグを含むことができ、その導管又はバッグは、ポジショナの入口と出口の間にコイル状、螺旋状、蛇行状、直線状又はその他の形状の通路を形成するように配置できる。本ポジショナの幾何学的形状の検討事項は、これらに限定するものではないが、検出器表面の中心からのアリコートポジショナの平均軸方向距離に加えて、平坦面又は湾曲面のどちらかとしての、空間におけるアリコートポジショナの全体的な配置を含むことができる。そのような湾曲面の実施形態は、これらに限定するものではないが、放物面状、回転楕円体状、二重立方体状(dual cubic)、又はもっと複雑な幾何学的形状の表面を含む。
【0013】
本発明は、更に、放射性医薬品における様々な数多くの放射性核種(これらに限定するものではないが、201Tl、99mTc又は82Rbを含む)の使用を意図している。タリウム(Tl)、テクネチウム(Tc)及びルビジウム(Rb)は、心筋潅流の評価及び心臓の拍出機能の決定に有用である。それぞれの核種が固有の放射スペクトルを有しており、また、広範囲にわたる放射能レベル(Bq又はCi)で処方される。従って、検出器に対して幾何学的に固定されたアリコートポジショナを組み込んでいる測定システムは、高い放射能レベルのものが使用されたときには、(処方された種々の放射能及び核種にわたって)その範囲の低放射能端においては検出器の応答が正規な動作範囲でにありながら、検出器が飽和することも起こり得る。それ故に、本発明の別の態様では、アリコートポジショナ内にある薬品のアリコートから発せられる放射能が、センサー表面に完全に採用するのを制限する光学素子を含むことである。そのような光学素子は、これらに限定するものではないが、1つ若しくは複数のコリメータ、スリット、アパーチャ、例えばタングステンフォイル若しくは鉛シートなどの薄い遮蔽材料、又はそれらのあらゆる組み合わせを含む。これらの光学素子は、手動式で又は自動的で調節可能であって、アリコートの放射性核種の特定の放射能レベルについてセンサーの飽和が、防止又は食い止められてよい。調節は、回転自在なホイールに設置されており、種々の異なるサイズに成されたアパーチャ(様々な直径)があるピンホール型のコリメータを含み得る一連の減衰器のうちの1つを、放射性核種とセンサーとの間の光子経路に配置することによって、摺動自在な金属製固定具に開けられた一連のスリットのうちの1つを光子経路に配置することにより、一連の異なる厚みの遮蔽シート/フォイルのうちの1つを配置することによって果たされてよく、更には、その他の同様な実施形態により果たされてもよい。さらに複雑な減衰器は、可変式減衰器に配置されたコリメーション用ピンホールのアレイも含むことができ、それらのピンホール又はチャンネルは、減衰器本体を通じて放射状に延びており、且つ、等しい直径又は異なる直径を有している。
【0014】
平坦な形状若しくは湾曲した様々な幾何学的形状を有するアリコートポジショナが、同様に、選択可能なポジショナを形成すべく、様々な減衰特性又はコリメーション特性を有する光学素子と組み合わされてよい。そのような選択可能なポジショナは、特定の放射性核種又は放射性核種の放射能レベルに合わせて検出器の性能を最適化することができる。
【0015】
本発明の1つのさらなる態様は、ポジショナ内における放射性医薬品のアリコートの放射能強度を測定することを目的として、上述の如きシステムを使用するための方法を含む。そのような方法の1つの実施形態は、自動化されたインジェクタを介して、既知体積の放射性医薬品液体のアリコートを、それらの間に様々な光子制限光学素子を伴った放射線検出器に近接して位置しており、平坦な若しくは湾曲したアリコートポジショナに注入するステップであって、前述のポジショナが、放射性医薬品が発する放射線に対する検出器の応答を最適化すべく、検出器に面した幾何学的凹面に配置されている注入ステップと、検出器の応答をインジェクタにあるコンピュータへ伝送するステップと、上記体積及び上記検出器から得られた応答から、上述のアリコートの比放射能を算出するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1a】図1aは、本発明の凹面型アリコートポジショナ及び/又は可変式減衰器ならびに半導体センサを含んでおり、選択可能なポジショナ内にあるアリコートが発した放射能を測定するための検出器システムを示している。
【図1b】図1bは、選択可能な減衰器を伴った、図1aの凹面型アリコートポジショナの側面図を示している。
【図1c】図1cは、コリメータアレイの1つの実施形態の透視図を示している。
【図1d】図1dは、図1cのコリメータアレイの1つの実施形態の断面図を示している。
【図1e】図1eは、二重コリメータアレイの1つの実施形態の断面図を示している。
【図1f】図1fは、ドーム型減衰器を伴ったコリメータアレイの1つの実施形態の断面図を示している。
【図1g】図1gは、平坦なアリコートポジショナを伴ったコリメータアレイの1つの実施形態の断面図を示している。
【図2】図2は、放射線源からセンサーまでの距離に依存した検出器の計数率の理論的応答曲線を示している。
【図3】図3は、実験データを伴った、図2の理論的応答曲線を示している。
【図4】図4は、拡大目盛りで図3の理論的応答曲線及びデータを示している。
【図5】図5は、線源から結晶までの距離の関数としての、様々な位置誤差に対する、モデルベースの計数率における誤差百分率を示している。
【図6】図6は、中心軸周りの角度変位の関数として、放射線源に対するCZT検出器の応答の実験データ、及びルート・コサイン・モデルに基づくそれらのデータに対する理論的曲線のフィッティングを示している。
【図7】図7は、二重立方体モデルに対してフィッティングされた、図6の計数率実験データを示している。
【図8】図8は、3つの異なる線源−検出器角度(0度、+30度、−30度)における様々距離での計数率の実験データを示している。
【図9】図9は、放射線源上に配置された厚みが0.1インチのポリカーボネート製円盤を用いた、角度変位の関数としての、二重立方体モデルから導出される凹面上の様々なポイントの計数率の実験データを示している。
【図10】図10は、光子エネルギの関数としての散乱係数及び吸収係数を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
放射性医薬品のアリコートの放射能を測定するための検出器システム300の1つの実施形態が、図1aに示されている。本明細書において使用される場合、アリコートという用語は、流体の1つ若しくは複数の体積、ボーラス、スラグ又はセグメントを表しており、連続的であるか、或いは、別の材料により分離されており、一緒になって一人用又は複数の患者用の1回分若しくは複数回数分の用量を構成する。本検出器システム300は、流体経路を含んでおり、該流体経路は、少なくとも凹面304を有するように形成された通路つまり、アリコートポジショナ302に接続されている。アリコートポジショナ302は、放射線検出器325からある距離320だけ隔たって配置されており、検出器325は、センサー表面を有するセンサーと、センサーからの出力を調整する電子機器とを含んでいる。アリコートポジショナ302と検出器325との間に、可変式減衰器316を配置できる。可変式減衰器316は、アリコートポジショナ302とともに、それぞれの凹面が可変の曲率で形作られており、選択可能なポジショナが形成される。従って、アリコートポジショナ302は、放射線エネルギを発するソースを湾曲形状上に配置しており、そして、そのエネルギが検出器へ向けて放射されると、上述の可変式減衰器が検出器への伝播経路に影響を及ぼす。各々の可変な曲率が、検出器に到達するエネルギを最適化する。これに加え、選択可能な減衰器310が、アリコートポジショナ302と検出器325との間に配置できる。その減衰器310に、随意的な自動化機構324が接続できる。
【0018】
アリコートポジショナ302は、特定の凹面304に形成されて、一様な放射線検出応答を可能にする。凹面304上の任意のポイントから検出器325までの距離は、光学経路303として定められており、アリコートポジショナ302に沿ったアリコートの位置に関係なく、検出器の計数率がアリコートの放射線量レベルに比例するように導き出される。凹面304aの側面図が図1bで与えられている。凹面304aは、以下で説明されるように、検出器325の詳細な幾何学的応答(geometric response)に依存して、例えば、これらに限定するものではないが、放物面、球面若しくは球状様の表面、又はもっと複雑な幾何学的形状を含めた多種の形態のうちのいずれかの形態をとることができる。その凹面の幾何学的形状は、様々な場所で、且つ様々な放射性核種のエネルギレベルで発せられた放射線に対して、検出器の感度を一貫して維持し、更に、幾何学的形状が球面の場合にあり得る種々の限界を克服できるように選択される。
【0019】
球面は凹面の1つの例であるが、特定のエネルギレベルにおいては適していない場合があり、不正確な放射能測定値をもたらす可能性がある。これは、球面の外径付近に位置するアリコートが、球面の内部又はその中心に位置するアリコートよりも低い計数率を招くことによる。この差は、球面の辺縁に位置するアリコートから発せられた放射線が垂直でない角度で検出器のセンサー表面に入射し、これにより、検出表面積が低減されること、及び/又は放射線の入射角度に基づくセンサーの実効吸収定数が変化すること、及び/又は検出器ウィンドウ(又は光学経路)の減衰及び/又は散乱レベルが変化することによって実効計数率を下げてしまうために起こり得る。
【0020】
凹面304は、放射能検出の測定においてより高い精度を促進する「半径」を有している。凹面について本明細書で使用される「半径」という用語は、ポジショナ上の任意のポイントからセンサーまでの距離を表す。凹面の「半径」は、測定されている放射線流体とセンサーとの間で起こり得る潜在的な相対位置の変動と比べて大きいであろう。この相対位置変動の原因は、これらに限定するものではないが、ポジショナ内におけるセンサーに近付く又はセンサーから離れるような流体放射線の移動、機械的な位置誤差に起因したセンサーに近付く又はセンサーから離れるようなアリコートポジショナの移動、製造上の変動、及びセンサーの移動を含む。これらの事象などの小さな機械的変動は物理的な系においてはよく起こることであるため、これらの小さな変動をものともせずに高い測定精度を維持するために、凹面の「半径」とセンサとの間でのこの高い比率を維持するのが有益である。
【0021】
アリコートポジショナ302は、チューブ状導管(tubular conduit)で形成されてよく、該導管の幅又は直径は、好ましくは、読み取り誤差を最小化すべく選択され、それ故、(先述の)「半径」320に比べると相対的に小さい。このようにすることにより、流体の放射能を持った部分が壁に付着し、それ故、センサーにより近い位置又はセンサーから離れた位置に移動した場合であっても、測定誤差の量は低減されるであろう。例えば、チューブ状導管は、溶剤結合又は熱結合して合わせて凹面状に成し、その後、同じ様に形作られた受け入れ面(図示せず)内に配置されてよい。
【0022】
ポジショナ内におけるアリコートの場所により生じる誤差を小さくすることに加えて、放射線検出器325に対するポジショナの位置ずれによる測定誤差も、ポジショナと検出器との間の光学経路303を十分に大きくすることで小さくできる。上述の「半径」又は距離320は、(選択される特定の凹面幾何形状によって決まる)公称距離のプロフィールからの機械的許容誤差により僅かに変動し得る。この距離の変動又は摂動は、検出誤差の大きさに影響を及ぼす。アリコートポジショナと検出器の間の光学経路303を十分に大きくすると、検出器誤差が小さくなるだろう。
【0023】
凹面の形状に導管を配置するのが重要なので、何らかのアラインメント機構が、ポジショナ302にあるのが好ましい。そのようなアラインメント機構には、ピン、溝、凸部、リップ又はその他の機械的手段(図示せず)がある。代わりに、アリコートポジショナ302を、溝若しくはクリップで係止する、又は接着することで、より硬いプラスチック片(図示せず)に取り付けることもできる。アリコートポジショナはまた、2つの硬いマルチユースな(multiuse)面(図示せず)間に固定されてよく、又は、比較的硬い2つの射出成型片(図示せず)を接着して合わせることで作製されてよい。更に、ポジショナは、低密度材料に機械加工又は成形された溝又はチューブ状導管として作製されてもよい。チューブ状導管のほかに、アリコートポジショナ302は、適切な凹面状流体経路に成形可能なレセプタクルから、例えば、これらに限定するものではないが、入口及び出口(図示せず)があるバッグ又はその他の可撓性容器などから作られてよい。そのバッグはまた、2つの再使用可能な(reusable)面(図示せず)間で押し付けられて、流体が流れるコイル状、蛇行状又はその他の渦巻き状の(convoluted)凹面形状を生じてよい。
【0024】
検出器システムはアリコートの放射性核種が発する放射線を測定することを目的として設計されているため、アリコートポジショナ302を構成している材料及びそのポジショナの厚みは、放射線の吸収を小さくするように設計されるのが好ましい。そのような特性を有する材料には、低密度プラスチックがあり得る。そのような材料の幾つかの非限定的な例には、ポリマー、様々な製造材料及び射出成形材料がある。例えば、ポリカーボネートは、強度と、正確且つ確実に成形できることから、光学用途で使用されることが多い。図10は、様々なエネルギの光子とポリカーボネートプラスチックとの相互作用による様々な散乱及び吸収効果を示している。PET又はSPECTイメージングにおいて使用される放射性核種には、201Tl、99mTc、123Iと、陽電子放射体18F及び11Cとがある。これらの線源から発せられるガンマ線エネルギの範囲は、140keV(99mTcの場合)から陽電子消滅により放出されるガンマ放射線の場合の511keVまでを含む。図10に示されているように、PET又はSPECTイメージングの場合に相当するエネルギに近いエネルギレベルに対しては、非干渉性散乱メカニズムが、光子に及ぼすポリカーボネートプラスチックのほとんどの効果をもたらす。
【0025】
低密度プラスチックを使用するか否かに拘わらず、そのような散乱は、例えば、ガンマ光子をプラスチックから離れさせて、放射性医薬品のアリコートからの通常の経路から発散させ得る。この理由から、アリコートポジショナの壁が十分に薄くされて、対象とするエネルギ範囲にわたってセンサー精度に影響を及ぼし得るこれらの散乱効果が低減されてよい。壁の厚いチューブは、あるエネルギ範囲における過剰な吸収を引き起こし、且つ、放射された光子に多重散乱通路を与えかねない。そのような多重散乱の結果、検出器にとって、アリコートが実際のサイズよりも物理的に大きく見え得る。アリコートポジショナを形成するために様々な直径及び壁厚のチューブが用いられてよく、それらの各チューブは、放射性核種のエネルギの範囲及びもたらされるべき線量の付与レベルに合わせて個々に最適化されてよい。種々の材料には、例えば、これらに限定するものではないが、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、シリコーン又は共押し出しナイロンなどがあり、それらの材料について、チューブ構成用の壁厚は、0.020インチから0.125インチまでの間であってよく、また、そのチューブ構成の直径は0.030インチから0.3125インチまでの間であってよい。アリコートポジショナ302は、好ましく、殺菌された状態で、且つ、予め組み立てられたユニットとしてもたらされる。
【0026】
放射線検出器325は、対象とするエネルギ範囲に適した現代の様々な放射線検出技術を利用できる。非限定的に例示される放射線検出技術には、シンチレーティング材を伴ったSi−PIN若しくはアバランシェ・フォトダイオード・アレイ(シリコンPMT)、又は、カドミウム−/亜鉛−/テルル化物(CZT)結晶若しくはカドミウム/テルル化物結晶をベースとした検出器がある。高利得電荷増幅器を伴ったCZT結晶は、安定した高効率性能を提供する。そのようなセンサーは、大きさが小さくて低コストであるというだけでなく、感度が高いという利点も有している。結晶の形状は最適化されて、アリコートが通路に沿って移動する際に、センサーの実効表面積が同じ状態のままであって、単位時間当たりに一様な放射線束を収集するように、軸対称性が与えられてよい。結晶形状の非限定的な例には、円形又は四角形がある。CZT検出器はCZT結晶(センサー)を含み、アノード及びカソードを介して、その結晶に渡って電位が加えられる。入射ガンマ線又はX線(ここでは電離光子又は光子)は、それぞれアノード及びカソードに向かって移動する電子−正孔対を生成する。電子は、移動度が高いのでより速く移動し、典型的には、(アノードの高電圧バイアスから電荷増幅器を保護する)阻止コンデンサーを通じて、アノードで収集される。生成される電子−正孔対の数は、結晶で吸収される光子のエネルギに比例する。計数用途でよく使用される、短い時定数/高帯域トランスインピーダンス増幅器構成においては、スペクトルが収集されている時に、結晶に吸収される各光子について短時間(数マイクロ秒)のパルスが生成される。その電圧パルスの高さは収集された電荷の量に比例し、更に、その収集された電荷の量は入射光子のエネルギに比例する。適切な個数のパルスを収集し、且つ、それらの事象のパルス高さを記録することによって、ヒストグラム(又はスペクトル)を形成することができ、これにより、そのシステムは、99mTcからの放射線と他の放射性医薬品の核種からの放射線との間での識別を行うことができる。
【0027】
放射線検出器325は、小さな回路基板(図示せず)に取り付けることができ、また、その回路基板は検出器の動作用に適切な電子機器も含むことができる。そのような電子機器には、これらに限定するものではないが、センサー本体に渡って印加する高電圧のソース、センサーの出力のための電流増幅器、フィルターなどのノイズ低減回路素子、及び、検出器からの最終調整信号をインジェクタシステムに含まれているコンピュータへ供給するための手段がある。CZT検出器はアセンブリに収容でき、そのアセンブリは、1辺が20mmの立方体などの小さいものであってよく、また、コンピュータが取得及び使用するのに必要なデータを提供する調整用電子機器(conditioning electronics)を含んでおり、適切なサイズに成された回路基板に取り付けることができる(例えば、eV Microelectronics iGEM Sensor Module[2009年11月13日閲覧のhttp://www.evmicroelectronics.com/igemsm.html]を参照のこと)。
【0028】
放射線検出器システム300には、更に、選択可能な減衰器310を含めることができ、該減衰器310は、アリコートポジショナ302と検出器325又はセンサー結晶の活性表面との間の光学経路303に配置される。選択可能な減衰器310が使用されて、センサーを望ましい線形の応答範囲又は最適な応答範囲で作動する一方で、放射線レベルの大きなダイナミックレンジを提供する。そのような望ましい応答範囲は、高出力側領域におけるセンサーの飽和又はパルスのパイルアップを防止し、且つ、低出力側領域においてセンサーがノイズ中で作動するのを防ぐことができ、又は測定の決定に非常に長い時間を要するのを防止できるような応答範囲である。放射性医薬品のアリコートの比放射能は、調製の度に変動し得るため、また、総スペクトルエネルギは異なる放射性核種を含有する医薬品間において異なり得るため、選択可能な減衰器310が放射線検出器の飽和を小さくし、又はそのような飽和を防止する。選択可能な減衰器310は、回転円盤アセンブリ317又はリニアポジショニング装置(図示せず)を含んでよい。選択可能な減衰器310は、これらに限定するものではないが、1つ若しくは複数のアパーチャ、減衰器、スリット又はチャンネルを含んでよい。図1bは、円盤317周囲の様々な場所に配置された一連のチャンネル315a−cを示している。これらのチャンネルは、異なるサイズに成された直径を有していてよい。更に、選択可能な減衰器310は厚みや材料を変えた材料からなる一連の減衰器を含むことができ、それらの材料は、ポジショナから向けられた最大量の放射線が検出器325の線形応答範囲を超えないように、又は検出器325の線形応答範囲から外れるように選択されてよい。そのような減衰器の材料は、好ましくは、高い減衰対散乱比を有する高密度材料であり、幾つかの非限定的な例には、鉛、タングステン及び金がある。別の実施形態では、選択可能な減衰器は、厚みが異なる減衰用材料の連続的なストリップを含んでよい。そのフォイルは、平坦な形状又はドーム状の形状を含め、様々な断面又は形状を持たせるべく製作されてよい。この選択可能な減衰器は、ポジショナであってよく、光学経路に置かれるフォイルの厚みは、検出器の応答が線形範囲内であることを保証するのに充分であるようにする。
【0029】
また、選択可能な減衰器は、検出器の応答を較正する手段を提供するために、センサーに面した、小さな一定の較正用放射線源(図示せず)も含んでいてよい。1つの非限定的な実施例においては、243Am(半減期:7400年、ガンマ線エネルギ:74.7keV)又は241Am(半減期:432年、ガンマ線エネルギ:59.5keV)からなる小さな較正用線源サンプルを、既知のスペクトル特性を有する一定の放射線源として使用できる。検出器が適切に機能しているかどうかについての不定期のチェックを行うときには、この較正用線源を検出器の前に置き、検出器の応答を測定できる。その検出器の以前の較正データからの偏差を書き留めておき、検出器の交換又は再較正が必要であるかどうかを決定するために使用できる。選択可能な減衰器310は、ポジショナ302と検出器325との間の光学経路303における最適なポジショナとできる。これは、使用者が手でそのエレメントを適所に位置付けすることにより手動で果たされてよく、又は自動化された装置により果たされてもよい。
【0030】
図1aに示されているように、選択可能な減衰器310に自動化機構324を接続できる。選択可能な減衰器310は円盤317を含んでいてよく、その円盤に光学素子が配置される。円盤317の中心は軸棒312に接続されており、その軸棒は小さなDCモーター又はステッピングモーターなどのモーター330により駆動される。このモーターは制御ユニット335により制御される。その制御ユニットは、インジェクタのコンピュータ(図示せず)から情報を受け取り、これにより、選択可能な減衰器の適切な光学素子が光学経路303に位置決めされるように前述のモーターを作動できる。適切な光学素子が光学通路に適切に位置決めされるのを保証する様々な手段が想定され、それらの手段は、これらに限定するものではないが、モーター330に関係したリミットスイッチ、基準マーキング又はモーターエンコーダの使用がある。
【0031】
制御ユニット335は、コンピュータと通信して特定の光学素子を選択する。ある実施形態においては、使用者は、入力装置を介して、放射性医薬品の名称、放射性核種及び/又は放射能強度レベルをコンピュータに入力できる。コンピュータは、検出器の応答を最適化すべく、入力された特定の放射性医薬品や放射性核種の名称又は放射能レベルと適切な光学素子を相互参照するデータベースを有していてよい。この情報は、更に、モーター制御ユニットに送られる制御シーケンスにインデックスされて、適切にインデックスが付された光学素子が適切な位置に配置される。代わりに、最初に既知の光学素子を適切な位置に設置し、アリコートがアリコートポジショナに提供されると放射線検出器が出力データをインジェクタのコンピュータへ伝送し、短い積分時間の測定を介して、センサーが計数率の予備的な粗い概算値(「スニークピーク」)を与えてよい。その後、コンピュータは、検出器から得られたデータを、その検出器の応答曲線を表すデータと比較してよい。検出器のデータが、検出器の線形応答を表す範囲から外れていた場合、コンピュータはモーター制御装置に制御シーケンスを送って、検出器への入射放射線を増減させる新たな光学素子を配置してよい。代わりに、検出器は、入射放射線のスペクトル特性に関するデータをインジェクタのコンピュータに伝送してよい。可能性のある多数の放射性医薬品に関わるスペクトル特性を表すデータを包含したデータベースが、コンピュータに含められていてよい。検出器のデータをこのデータベースと比較して、適切な放射性核種を特定できる。コンピュータのモニターへの出力により、この情報を使用者に提供できる。それと同時に、コンピュータは、適切な制御データをモーター制御ユニットへ送って、光学経路に適切な光学素子を配置して、放射性核種に対する放射線検出器の応答を最適化してよい。
【0032】
ポジショナ302の曲面を変えて、検出器の読み取りを最適化できるだけでなく、凹面型光学素子316の曲率を変えて、検出器による読み取りに影響を与えることもできる。この可変式減衰器316は、上述のアリコートポジショナの凹面形状と似た様々な凹面形状に成形できる。可変式減衰器316の湾曲形状は、垂直でない放射線光子の伝搬効果を低減できる。アリコートポジショナに沿ってアリコートが異なる位置へ移動するときに、伝搬効果により、センサー精度が低減し得る。実際には、アリコートポジショナ及び可変式減衰器のそれぞれの曲率を変えることにより、放射線を感知する検出器の能力を最適化できる。それ故、これらの凹面型アリコートポジショナ及び可変式減衰器316は、それぞれ、放射能(又は放射性流体)に対して、選択可能なポジショニング及び調節可能な補償を提供し、放射線が検出器で最適に読み取られる。この凹面型光学素子は高い減衰対散乱比を有する高密度放射線材料でできていてよく、幾つかの非限定的な例には、鉛、タングステン及び金がある、これらは、センサー精度を低下させかねない散乱を防止する一方で、適切な減衰をもたらす。
【0033】
図1cは、コリメータアレイ350の形態に成された1つの可変式減衰器の例の透視図を示している。コリメータアレイ350は、同じ又は様々なサイズの直径を有するチャンネル352を含んでおり、一層正確な放射能強度の検出が得られる。コリメータアレイ350の凹面形状及びチャンネルのサイズは変化してよく、その変化に応じて、ポジショナの凹面部分のある位置におけるアリコートの放射能を読み取る検出器の能力を増強できる、この増強は、凹面型ポジショナにおけるアリコートの位置的差異を補償することで達成される。
【0034】
図1dは、図1cのコリメータアレイ350の線1d−1d、つまり「ピンクッション(pin cushion)」に沿って破断した断面図である。図1dでは、コリメータアレイ350は、、検出器325bからある軸方向距離だけ隔てて設置されており、内側の凹面は検出器に面している。例えば、チャンネル357aなどのコリメータアレイの辺縁にあるチャンネルは、チャンネル357cなどの、中央側のチャンネルの直径よりも大きな直径を有している。コリメータアレイの中央部と辺縁部との間の場所に設けられている、チャンネル357bなどのチャンネルは、中央部及び辺縁部に位置するチャンネルの間の中間的なサイズを有している。これらのチャンネルは、コリメータアレイの外面及び内面の両方に対して垂直な角度で開けられており、従って、辺縁部に位置するチャンネルの方が相対的に大きな傾斜角を有している。これにうより、湾曲したポジショナ内におけるアリコートの位置に拘わらず、ある放射能に対して検出器の応答がより一様になるであろう。このようにして、コリメータアレイ350は、可変な減衰を提供する。
【0035】
更に、湾曲したコリメータアレイを用いると、アリコートポジショナの凹度を小さくでき、又は、凹面ではなく、代わりに、図1gに示されているように平坦な流体経路にすることができる。その場合の検出器システムは、凹度が僅かであるか又は曲率を全く持たないアリコートポジショナ302bを有しており、コリメータ350bは湾曲している。ポジショナの凹度又は曲率と光学素子との間での様々に変化できるので、様々な核種又はエネルギレベルを取り扱うのに特に有利である。ある凹面型ポジショナが、(散乱変動により)対象とする全てのエネルギ/核種に渡って適していない場合、ある与えられた核種に対して(非限定的な実施形態としては、回転式のホイール又は直線状のスライドを介して)「ピンクッション」型のコリメータアレイを適所に移動させることができよう。クッションの厚みだけでなく、様々なコリメーション用チャンネルのパターン及びチャンネルの直径を持った様々なピンクッションを使用でき、それぞれは、特定の放射性核種のエネルギ範囲に合わせて最適化されてよい。
【0036】
図1gに示されているように、コリメータアレイ350bは、サイズが異なる複数のチャンネルを有している。それぞれのチャンネルは、(θで示された)傾斜角で測定される場所に配置される。その角度が大きくなればなるほど、チャンネルは中心線365から離れた位置へ移り、且つ、そのチャンネルの直径が大きくなる。湾曲の中点において中央に配置されたコリメータチャンネル357cは、辺縁に位置するチャンネル357aに比べて、小さな直径を有することになるであろう。同様に、アレイ350bの中央部と辺縁部との間に位置付けられたチャンネル357bなどのチャンネルは、中央の孔と辺縁の孔との間のサイズの直径を有することになるであろう。
【0037】
コリメータアレイ350は遮蔽材料からなる1つの連続的な層であってよく、その代わりに、コリメータアレイは、図1eに示されているように、355a及び355bなどの2つの又は3つ以上の十分に厚い遮蔽材料片であってもよい。チャンネル359a−cは、適切な直径にパンチング又はドリル加工されて、ポジショナ内のアリコートが放射した光子に対する検出器の応答性が等しくなる。例えば、鉛粉末がポリマーと化合したPolyOneTMを用いて製造されたもののような成形可能な遮蔽材料から、一体となったコリメータアレイ又はシングルピースのコリメータアレイを射出成形することもできよう。
【0038】
また、コリメータアレイ350は、図1fに示されているように、湾曲型の減衰器360又はその他の光学素子とともに使用することもできる。そのようなコリメータアレイ350及び湾曲型減衰器は、凹面ではなく、平面(1つの例として、図1gにおける302b)に配置されたアリコートポジショナとともに使用できる。平坦面は、湾曲面よりも簡単に製造することができ、且つ、機械的な制御も容易であるという利点を有している。平坦面のポジショナは、検出器325dに対して幾何学的な歪みをもたらし得る。ある歪みでは、検出器から放射能を有するアリコートまでの絶対距離は、アリコートがその平面の中央から辺縁部へ移動するに連れて増大する。これは、検出器に入射する放射線円錐を減少させる。第2の歪みは、放射線円錐の中線が検出器の表面に対して垂直でないことに起因する。検出器は、検出器表面に対して垂直でない入射放射線にも応答し得るが、そのような応答は、垂直な角度で入射する放射線の場合と同じ程には効率的でないであろう。流体要素の辺縁に配置されたアリコートからの入射放射線の中線に対して、検出器の表面が垂直でないと、その結果、検出器の実効面積は低減されてしまう。これらの歪みを少なくするための1つの方法は、すべてが等しい直径を持った359dなどの複数のチャンネルを含むコリメータアレイ350aに加えて、厚みが一様でない減衰器360を配設することである。衰器360の厚みは、辺縁部よりも中央部(軸上)においてより一層の減衰をもたらすように変化し、これにより、平面の中央部に対して、平面の辺縁部から検出器に入射する光子束の経路長及び立体角の差異が補償される。
【0039】
図1fに示されているように、アリコートポジショナの辺縁部から始まる光子軌跡353cは、ポジショナの中央部にもっと近い位置から始まる軌跡353dよりも少ない減衰材料を通過するであろう。検出器に近接して配置された減衰器360は、アリコートポジショナに近付けて配置された場合よりも、減衰器のサイズをより小さくできるであろう。これは、製作及び取り付けが一層容易になるという利点を有している。検出器に近付けられたより小さな減衰器を用いることの第2の利点は、選択可能な減衰器の構成要素として組み込み可能なことである。更に、様々なアイソトープに対して、異なる厚みの範囲を有する様々な減衰器を使用することもできる。減衰器、コリメータアレイ及び他の光学素子の別の組み合わせが検討されて、アリコートからの放射能強度及び放射性核種の広範囲のスペクトルに渡って、センサーを線形応答範囲で作動させてよい。
【0040】
図2、図3及び図4は、センサー表面に垂直な軸に沿って、検出器から様々な距離に配置された放射物が、測定計数率に及ぼす影響を示している。先述したように、放射線源に対する放射線検出器の応答に影響を及ぼす幾何学的な要因は、センサー表面に垂直な軸に対する線源の角度に加えて、検出器の表面からの線源の半径方向距離を含む。図2は、センサーに垂直な軸(以後、z軸と記す)に沿った線源とセンサー表面の間の距離(インチ単位)に対する、検出器の計数率(1秒間あたりのカウント数)の理論的応答を示している。図3は、定義式に従って計数率を表す同一の理論曲線(実線)に加えて、実験から得られたデータ(丸印)を示している。その理論曲線は、「計数率方程式」:
R=−E/2*{[z/√a2+z2)]−1}
から作成された。ここで、「E」は、注入中のアリコートを代表する試験線源が放射した全放射線(1秒間あたりのカウント数)と検出器の効率との積であり、「z」は、z軸に沿った放射線検出器から試験線源までの距離(メートル単位)であり、「a」は、放射線検出器のセンサーの表面と略同じ表面積を有する円の半径(メートル単位)である。この計数率方程式は、すべての方向に放射線を発する線源からある距離zだけ隔たった位置において、a2に比例する面積の表面に入射するガンマ放射線の量を表す。図3のデータは、CZT検出器結晶から一定距離だけ離れて保持された57Co線源から得られたデータを示している。図4は、図3の横座標を更に広げたもので、理論曲線と実験データとの間での良好な一致を示している。
【0041】
好ましくは、図1aに示すアリコートポジショナ302は、放射線検出器の表面に対して最適な軸方向距離に設置されるべきである。しかしながら、既に議論したように、このポジショニングの不正確な状態がもたらされ得る。例えば、使用者が、好適な位置に比べて外れたアラインメントでポジショナを検出器システムに設置してしまう可能性がある。更に、流体経路を有するカセット又はその他のアリコートポジショナのアセンブリは、幾分かの物理的な許容誤差範囲内で製造され得るので、検出器に対する流体経路の実際の位置に不正確さが生じる可能性がある。図2乃至図4に示されているように、放射線源が検出器からより離れて配置されると、検出器の応答は、短い距離範囲(そこでは、機械的な移動又はエラーが起こり得る)に渡って略線形になる。従って、検出器がより遠く離れると、垂直な軸に沿った検出器からの変位の小さなずれは、より小さなエラーを計数率測定にもたらす。しかしながら、固定された検出器のサイズに対する距離が増大するため、計数率は減少し、それ故、(ポアソンの計数統計学的要件により)測定時間は増大するであろう。用途に応じて、放射能を有する医薬品のソース、凹面型流体経路の曲率、コリメータの使用、ならびに減衰器の使用及び最適な距離又は許容可能な距離を決定できる。
【0042】
図5は、検出器の出力に対する(z軸に沿った)距離測定の小さなずれの影響を示している。縦座標は、z軸に沿った放射線源と検出器の間の理論的距離の関数として、線量(放射能強度)測定の誤差百分率を与える。計数率は、3つの曲線により、計数率方程式に基づいて表されており、線源の実際の配置が好適な位置から0.01インチ、0.02インチ、0.03インチ及び0.04インチだけずれている場合について、線源から湾曲型流体ポジショナまでの公称位置z(インチ単位)にて、検出器の期待される応答からの誤差百分率を示している。これらの計算では、等価の円形センサー表面の半径は5mmに設定されている。例えば、図5において、放射線検出器のセンサーから略6インチの距離に流体経路が位置している場合、その流体通路の設置における0.04インチのエラーに対して、期待されるセンサー応答から2%未満の誤差が得られる。これらの理論的な計算値は、検出器から5インチ乃至8インチまでの範囲に、流体経路要素が設置されるのが好ましいことを示している。この範囲においては、流体経路の機械的な設置エラー又は流体経路の製作エラーが、検出器の出力エラーを低減する。
【0043】
図2から図5まではセンサーの表面からの垂直な軸に沿った場所における放射線源又はアリコートポジショナの距離に基づく検出器応答への影響を描いたグラフであるが、図6及び7は、その垂直軸周りの線源の角度変位(線源の傾斜角度)に基づく検出器応答への影響を示している。図6及び7において、エラーバーを伴った点線は、検出器のセンサー表面との関係における様々な傾斜角度を通じて57Co線源をポジショニングすることから得られた実験データを表している。線源から検出器までの半径方向距離は6インチに維持されている。これらのグラフは検出器の応答(1秒間当たりのカウント数で表現)対傾斜角度(度単位)を示している。
【0044】
図6において、グラフは検出器の応答を示しており、太い実線は、累積データでの平均応答対角度を表している。太い破線は、ルートコサイン関数に基づく計数率モデルへのデータのフィッティングを表している。図7は、モデル曲線が「二重立方体モデル」から導出されたものである点を除き、同じデータ及びデータ平均を示している。図6及び図7におけるデータは、検出器の中心から±30°の範囲に配置した線源に対して(実験誤差範囲内において)かなり平坦な検出器応答を示している。図7に示されている二重立方体モデルの方が、データをより適切にフィッティングしているものと思われるが、図6に示されているコサインベースのモデルも、この範囲の応答に関する1つのモデルを提供している。固定された半径の円弧での計数率と角度とを関連付ける二重立方体モデル(又は実験データをフィッティングするために使用される任意のモデル)は、(z軸に対する対称性を有している)理論的な凹面形状について解く計数率方程式と組み合わせて使用できる。理論的な凹面形状は、センサーの実際の角度応答の二重立方体モデル又はその他のモデルに基づいており、凹面におけるアリコートの位置に拘わらず、検出器によるアリコートの放射能の読み取りを最適化する。この方法を用いて導出された形状を使用することで、線源の傾斜角度に関係なく、一様な応答が得られる。これにより、本検出器システムは、流体通路に存在しており、分配される小さい又は大きなアリコートの放射能強度を正確に測定できる。
【0045】
図8は、直線的な距離と傾斜角度との両方の影響に関するデータを、グラフ的に組み合わせたものであり、検出器の出力(1秒間当たりのカウント数)を、3つの異なる角度について、センサー表面までのz軸に沿った直線距離の関数として示している。1番上の曲線は、図4の場合と同じ実験データを表している。2つの下側の曲線は、線源が+30°又は−30°の傾斜角度で設置された場合の検出器の応答を示している。図8の3つすべての曲線の平均的な傾きは、種々の傾斜角度に対して同様である。従って、線源からセンサー結晶までの距離又は半径の関数としての計数率における変化は、センサーの表面に対する放射線源の傾斜角度に拘わらず同じである。それ故、大きな「半径」は、様々な傾斜角度においても有用である。
【0046】
図9は、検出器システムにおける減衰器の使用を描いたグラフである。このグラフは、検出器の表面から既知の距離に重心が配置された湾曲表面上に設置された線源に対する検出器の実際の応答を表している。これは、センサーの表面から6インチの距離に重心を有する二重立方体表面に沿って配置されたコイル状のチューブ内に位置する放射性医薬品のアリコートをモデル化している。実験条件は、チューブ構成材料による非干渉性散乱の効果をまねるため、線源(ここでは57Co)と検出器との間に厚みが0.1インチのポリカーボネート製の円盤を差し挟むことを含んでいる。そのような凹面型の流体経路、例えば、二重立方体モデルに基づく表面に沿って成形され、且つ、センサーの表面から6インチ若しくはそれ以上の距離に設置された、ポリカーボネートプラスチックのコイル状チューブは、本発明の好適な実施形態を構成する。図9のグラフは、度単位で表現された線源の傾斜角度(横座標)に対する1秒間当たりのカウント数で表現された検出器の応答(左側の縦座標)を表している。右側の縦座標は、すべてのデータポイントの平均からの測定カウントの偏差百分率を表している。このグラフは、検出器による測定の全誤差に拘わらず、線源が空間的に適切な曲面上に存在する限り、線源の角度的配向による系統的誤差は殆ど又は全く起こらないことを示している。これらのデータは、さもなければ幾何学的な要因によって生じていたものと考えられる、検出器システムによる放射能強度の測定誤差が低減していることを示している。
【0047】
当業者にとっては、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書で説明されている実施形態に加えて、様々なその他の実施形態が想定され得ることは明らかであろう。従って、ここに添付されている特許請求項の範囲は、本明細書に記載されている説明に限定されることを意図したものではなく、寧ろ、それらの特許請求の範囲が広義に解釈されることを意図したものである。
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
この出願は、2009年6月5日に出願されたPCT出願第PCT/US2009/46437号の一部継続出願であり、当該PCT出願の内容は、引用を以て、本明細書の一部となる。
【0002】
本発明は、放射性医薬物質とともに使用するための送達方法、システム、及びその構成要素に関係しており、特に、送達する放射性医薬物質のアリコートの放射線量を決定するために使用される方法及び構成要素に関する。
【背景技術】
【0003】
放射性医薬物質は、医学分野において、治療目的と診断目的の両方について広く知られている。例えば、腫瘍細胞に放射線を照射して殺すために、カプセルに入れられた放射性医薬物質(「シード」など)が、前立腺腫瘍などの固形腫瘍に入れられている。血管形成術後に、血管の管腔細胞を(バルーンカテーテルを用いて適所に保持された)放射性物質に短期間暴露する方法が用いられて、血管における再狭窄の発生率が低減されている。
【0004】
これらの治療上の使用に加えて、放射性医薬品は、特定のイメージング技術にてトレーサーとして機能して、医療介入を要する組織を診断するのに役立つ。そのような2つのイメージング技術は、陽電子放射型断層撮影法(PET)及び単光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)である。PETイメージングでは、陽電子放射性核種(18Fなど)を運ぶ放射性医薬品が患者の血管系に注入される。放射性核種が放射した陽電子は近くに存在する電子と衝突し、軌道が反対向きの1対のガンマ線を放出する。1対のガンマ線は、患者の両側に配置されたセンサーによって検出され、これにより、放射性医薬品の場所が決定される。一例として、18F−フルオロデオキシグルコース(FDG)が、FDGを優先的に取り込む腫瘍細胞を検出するために頻繁に使用されている。SPECTイメージングでは、放射性医薬品は、崩壊中に単一のガンマ線光子を放射する放射性核種を運ぶ。PETの場合と同様に、患者の周囲に配置されたセンサーによってガンマ線が検出され、放射性医薬品の場所が決定される。一例として、99mTcセスタミビが患者の血管系に投与され、その核種が心臓を通過する際に観測される。この方法は、心臓がどの程度良好に心室から血液を拍出することができるかについての情報を心臓病専門医に提供する。
【0005】
診断用放射性医薬品からの放射線量は、一回のイメージング処置を受けている一人の患者にとっては極めて少ないが、トレーサーを注入する医療技術者又は医師の蓄積的な線量はかなりの量になり得る。これは、医療技術者又は医師が日々トレーサーを注入することを求められている患者の数が原因である。その結果、放射性医薬品への過剰な暴露から医師又は医療技術者を遮蔽するのに役立たつ数多くの装置が開発されてきた。放射性医薬品の手操作による注入用に、シリンジの本体部に遮蔽材を組み込んだシリンジが開発されており(Takahashiらに付与された米国特許第4,968,305号)、手持ち式の遮蔽シリンジホルダーも開発されている(Nakayamaらに付与された米国特許第4994012号)。それらの手動装置に加えて、自動装置についても記述されている。このような装置の例は、Reillyらに付与された米国特許第6,767,319号(引用により本明細書に組み入れられる)、PCT特許出願公開公報WO第2004/004787号(Van Naemenら、引用により本明細書に組み入れられる)、EPO特許出願公開公報EP第1,616,587号(Buck、引用により本明細書に組み入れられる)、及び米国特許出願公開公報第2008/0177126号(Tateら、引用により本明細書に組み入れられる)に見出すことができる。これらの装置の出願は主にPETイメージング(より具体的には、FDGの使用)を対象しているが、同様な型の装置を、SPECTイメージング処置のためにSPECT用放射性医薬品を注入するのに使用することも可能である。
【0006】
Buck及びTateらを参照すると、具体的には、自動インジェクタは一般的に以下の構成要素を含んでいる。例えばバイアルなどの容器である放射性医薬品のソースが、インジェクタ内の遮蔽された環境に配置される。針やカニューレなどのアクセス装置が容器に挿入されて、放射性医薬物質へのアクセスを可能にする。更に、アクセス装置から第1ポンピング装置へ流体通路が設けられており、そのポンピング装置は、シリンジ及びアクチベータ(activator)、又は蠕動ポンプを含んでいてよい。生理食塩水などの非放射性フラッシング剤のソースにも第2流体経路が設けられており、この経路は、第2のポンピング装置に接続されていてもよいし、又はバルブ機構を通じて第1のポンピング装置と流体的に連通していてもよい。第2のポンピング装置を使用する実施例では、そのアウトプットは、補助的なバルブ機構を介して第1ポンピング装置のアウトプットと流体的に連通していてよい。第1ポンピング装置のアウトプット側端部は、イオンチャンバなどの放射線検出装置を通過するように配置されている第3の流体通路と流体的に連通している。第3の流体通路は第2のバルブ機構に接続されており、そのバルブ機構は、流体の向きを、廃棄物用容器又は送達装置に向けて制御する。送達装置は、医学的な目的で放射性医薬物質を容器又は患者へ送達する。コンピュータは、適切なソフトウェアを実行して、モーター制御装置を介して上述の第1及び第2のポンピング装置の動作を制御でき、更に、上述のバルブ機構をも制御できる。また、このインジェクション装置は、使用者への情報(例えば、放射線検出器で検出された放射線の量など)を表示するためのモニターに加えて、コンピュータへの入力装置(例えばキーボードなど)も含んでおり、使用者がインジェクタの操作に関する情報を入力することを可能にする。
【0007】
機能的な観点からすると、そのように自動化された装置は、以下のようにして使用され得る。医療技術者又は医師が、放射性物質を含有した溶液で予め満たされた容器又はバイアルをインジェクタ内の遮蔽されたレセプタクルに装填する。(例えば、単位体積当たりのBq又はCiとして記録される)比放射能などの放射性物質の量が、上述の予め満たされたバイアルのラベルに刻印されてよい。代わりに、既知又は推定の体積の流体が入ったバイアルで、そのバイアルの全放射能強度(Bq又はCiとして)が示されてもよい。予め満たされたバイアル又は容器が遮蔽されたレセプタクルに装填されると、医師若しくは医療技術者の手操作で、又はインジェクタによって自動的に、アクセス装置がその容器に挿入される。同様にして、例えば、容器又は吊り下げ式のバッグなどの非放射性フラッシング剤のソースがさらに設けられてよい。この後、医師又は医療技術者は、そのフラッシング剤を、インジェクタに設けられている第2の流体通路に接続できる。非放射性フラッシング剤を用いてポンピングプロセスにより、インジェクタ内の種々の流体経路から空気が排除できる。空気のこのパージプロセスにより、流体経路がフラッシング剤で満たされて、使用した空気は存在しない。その後、医師又は医療技術者は、送達される放射性医薬品の容量を与えるようにインジェクタを作動させる。様々な方法が選択されて、送達が必要とされている放射物の量を送達すべくインジェクタがプログラムされてよい。例えば、医師又は医療技術者である使用者は、インジェクタに設けられているインターフェース装置を介して放射性医薬品の総送達体積を入力できる。代わりに、使用者は、最終用量の全放射能を入力してもよい。このような実施例では、インジェクタのコンピュータにインストールされているソフトウェアは、放射性医薬品のソースに含まれている液体の比放射能に関する情報を有していて、送達すべき最終的な体積を決定する計算を実行するであろう。人間の患者がその用量の受け手である場合、患者に関するパラメータ(例えば身長及び体重など)をインジェクタに入力できる。そのような実施例においては、インジェクタのコンピュータにインストールされているソフトウェアは、送達すべき放射性医薬品の適切な量を放射能として決定するためにそのような情報を利用し、その後、その放射性医薬品ソースから送達すべき全体積を算出できる。これらの実施例は網羅的ではなく、種々の別の方法を用いてインジェクタをプログラムして、特定の体積の放射性医薬品を送達できる。
【0008】
放射性医薬品の体積が決定されると、インジェクタは、適切なポンピング機構を駆動して、放射性医薬品のソースである容器から、第1ポンピング機構から続く第3の流体経路に、要求された体積を移送する。この後、あるポンピング手法が作動して、フラッシング流体ソースから第3の流体通路にフラッシング流体を送り出し、フラッシング流体のボーラスが作用して、その用量の放射性医薬品を流体経路に沿って押し流す。この方法により、その用量の放射性医薬品は、放射線検出器の近傍に入るまで、第3の流体通路に沿って進行する。Tateらの特許文献で説明されているように、放射線検出器はイオン検出器を含んでよい。そのイオン検出器は、それらの間に電位が加えられる中央アノード及び収集カソードを有する密閉型の容器として簡単に説明されている。検出器の容器には検出ガス(アルゴンなど)が満たされている。放射性医薬品から発せられた放射線がイオン検出器に入ると、前述のガスのうちの幾分かが電離され、その結果として、正電荷及び負電荷がもたらされる。負電荷は収集アノードに引き寄せられ、これにより、それらの帯電粒子から電流が生じる。この後、放射線検出器で生じた電流は、電子機器及びソフトウェアによって更に処理されて、測定された1秒当たりの崩壊数が(Bq又はCiとして)読み取られる。結果として、インジェクタには、このインジェクタで送達されている放射性医薬品の用量がもたらした放射線量に関する直接的な情報が与えられる。Buckの特許文献で述べられているように、その用量の測定された放射能が放射性医薬品の十分な量に相当しない場合には、その最初の用量に続いて2回目の用量を供給して、投与されるべき正しい量の放射性医薬を与えるように、インジェクタをプログラムすることができる。
【0009】
正しい体積の放射性医薬品が第3の流体経路に存在していると、全用量の放射性医薬品が、インジェクタから送達装置を通じて最終目的部位へ送り出される。ある用量が、必要とされる程度を超過した放射能を有している場合には、インジェクタ内のバルブ機構を駆動でして、その用量を除去用の廃棄物貯蔵容器に排除できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
自動化された放射性医薬品用インジェクタに関する上述の例で説明されているように、ガスイオン化チャンバが用いられて、アウトプット容器へ又は患者へ送達された放射性医薬品の量が測定される。典型的には、そのようなイオン化チャンバは物理的に大きく、且つ、インジェクタのコストにかなりの経費を追加する。Tateらの特許文献の図1Dのエレメント160は、インジェクタの残りの構成要素に対するイオン化チャンバの相対的なサイズを示している。更に、図1Dは、イオン化チャンバが故障した場合にそれを交換するためにはかなりの困難があり得ることを示唆している。これらの理由から、費用が掛からず且つ物理的に嵩張らないような代わりの放射線検出器でイオン化チャンバを置き換えて、インジェクタに必要な放射線測定をもたらすのが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、広義には、自動化インジェクション装置にて使用する、流体通路内の放射性医薬物質の放射能強度を測定するシステム及び方法の改善を意図している。ここで広く意図されているシステムは、空間的表面(spatial surface)として配置された放射性医薬品のアリコートを含む流体通路と、放射線検出器と、流体通路とセンサーの間の光子経路に沿って設けられた1つ又は複数の光学素子を含んでいる。そのシステムは、インジェクタ内のソースから流体経路に沿って送り出された放射性医薬品のアリコートを受け入れるべく、インジェクタ内に配置されていてよい。更に、システムのアウトプットは、アウトプットアセンブリに接続されており、放射能強度が測定された後にそのアリコートを患者に供給してもよい。
【0012】
放射性医薬品のアリコートを含む流体通路は、そのアリコートが発する放射線への放射線検出器の暴露を最適化するような形状で配置されなければならない。それ故、本発明の別の態様では、検出器に近接したアリコートポジショナ(aliquot positioner)がある幾何学的形状を持って形成されており、その幾何学的形状においては、アリコートにより発せられる放射線が、アリコートポジショナ内におけるアリコートの場所に関わりなく、等しい応答性を持って検出される。アリコートポジショナは、非限定的な例として、チューブ状の導管又は可撓性のバッグを含むことができ、その導管又はバッグは、ポジショナの入口と出口の間にコイル状、螺旋状、蛇行状、直線状又はその他の形状の通路を形成するように配置できる。本ポジショナの幾何学的形状の検討事項は、これらに限定するものではないが、検出器表面の中心からのアリコートポジショナの平均軸方向距離に加えて、平坦面又は湾曲面のどちらかとしての、空間におけるアリコートポジショナの全体的な配置を含むことができる。そのような湾曲面の実施形態は、これらに限定するものではないが、放物面状、回転楕円体状、二重立方体状(dual cubic)、又はもっと複雑な幾何学的形状の表面を含む。
【0013】
本発明は、更に、放射性医薬品における様々な数多くの放射性核種(これらに限定するものではないが、201Tl、99mTc又は82Rbを含む)の使用を意図している。タリウム(Tl)、テクネチウム(Tc)及びルビジウム(Rb)は、心筋潅流の評価及び心臓の拍出機能の決定に有用である。それぞれの核種が固有の放射スペクトルを有しており、また、広範囲にわたる放射能レベル(Bq又はCi)で処方される。従って、検出器に対して幾何学的に固定されたアリコートポジショナを組み込んでいる測定システムは、高い放射能レベルのものが使用されたときには、(処方された種々の放射能及び核種にわたって)その範囲の低放射能端においては検出器の応答が正規な動作範囲でにありながら、検出器が飽和することも起こり得る。それ故に、本発明の別の態様では、アリコートポジショナ内にある薬品のアリコートから発せられる放射能が、センサー表面に完全に採用するのを制限する光学素子を含むことである。そのような光学素子は、これらに限定するものではないが、1つ若しくは複数のコリメータ、スリット、アパーチャ、例えばタングステンフォイル若しくは鉛シートなどの薄い遮蔽材料、又はそれらのあらゆる組み合わせを含む。これらの光学素子は、手動式で又は自動的で調節可能であって、アリコートの放射性核種の特定の放射能レベルについてセンサーの飽和が、防止又は食い止められてよい。調節は、回転自在なホイールに設置されており、種々の異なるサイズに成されたアパーチャ(様々な直径)があるピンホール型のコリメータを含み得る一連の減衰器のうちの1つを、放射性核種とセンサーとの間の光子経路に配置することによって、摺動自在な金属製固定具に開けられた一連のスリットのうちの1つを光子経路に配置することにより、一連の異なる厚みの遮蔽シート/フォイルのうちの1つを配置することによって果たされてよく、更には、その他の同様な実施形態により果たされてもよい。さらに複雑な減衰器は、可変式減衰器に配置されたコリメーション用ピンホールのアレイも含むことができ、それらのピンホール又はチャンネルは、減衰器本体を通じて放射状に延びており、且つ、等しい直径又は異なる直径を有している。
【0014】
平坦な形状若しくは湾曲した様々な幾何学的形状を有するアリコートポジショナが、同様に、選択可能なポジショナを形成すべく、様々な減衰特性又はコリメーション特性を有する光学素子と組み合わされてよい。そのような選択可能なポジショナは、特定の放射性核種又は放射性核種の放射能レベルに合わせて検出器の性能を最適化することができる。
【0015】
本発明の1つのさらなる態様は、ポジショナ内における放射性医薬品のアリコートの放射能強度を測定することを目的として、上述の如きシステムを使用するための方法を含む。そのような方法の1つの実施形態は、自動化されたインジェクタを介して、既知体積の放射性医薬品液体のアリコートを、それらの間に様々な光子制限光学素子を伴った放射線検出器に近接して位置しており、平坦な若しくは湾曲したアリコートポジショナに注入するステップであって、前述のポジショナが、放射性医薬品が発する放射線に対する検出器の応答を最適化すべく、検出器に面した幾何学的凹面に配置されている注入ステップと、検出器の応答をインジェクタにあるコンピュータへ伝送するステップと、上記体積及び上記検出器から得られた応答から、上述のアリコートの比放射能を算出するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1a】図1aは、本発明の凹面型アリコートポジショナ及び/又は可変式減衰器ならびに半導体センサを含んでおり、選択可能なポジショナ内にあるアリコートが発した放射能を測定するための検出器システムを示している。
【図1b】図1bは、選択可能な減衰器を伴った、図1aの凹面型アリコートポジショナの側面図を示している。
【図1c】図1cは、コリメータアレイの1つの実施形態の透視図を示している。
【図1d】図1dは、図1cのコリメータアレイの1つの実施形態の断面図を示している。
【図1e】図1eは、二重コリメータアレイの1つの実施形態の断面図を示している。
【図1f】図1fは、ドーム型減衰器を伴ったコリメータアレイの1つの実施形態の断面図を示している。
【図1g】図1gは、平坦なアリコートポジショナを伴ったコリメータアレイの1つの実施形態の断面図を示している。
【図2】図2は、放射線源からセンサーまでの距離に依存した検出器の計数率の理論的応答曲線を示している。
【図3】図3は、実験データを伴った、図2の理論的応答曲線を示している。
【図4】図4は、拡大目盛りで図3の理論的応答曲線及びデータを示している。
【図5】図5は、線源から結晶までの距離の関数としての、様々な位置誤差に対する、モデルベースの計数率における誤差百分率を示している。
【図6】図6は、中心軸周りの角度変位の関数として、放射線源に対するCZT検出器の応答の実験データ、及びルート・コサイン・モデルに基づくそれらのデータに対する理論的曲線のフィッティングを示している。
【図7】図7は、二重立方体モデルに対してフィッティングされた、図6の計数率実験データを示している。
【図8】図8は、3つの異なる線源−検出器角度(0度、+30度、−30度)における様々距離での計数率の実験データを示している。
【図9】図9は、放射線源上に配置された厚みが0.1インチのポリカーボネート製円盤を用いた、角度変位の関数としての、二重立方体モデルから導出される凹面上の様々なポイントの計数率の実験データを示している。
【図10】図10は、光子エネルギの関数としての散乱係数及び吸収係数を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
放射性医薬品のアリコートの放射能を測定するための検出器システム300の1つの実施形態が、図1aに示されている。本明細書において使用される場合、アリコートという用語は、流体の1つ若しくは複数の体積、ボーラス、スラグ又はセグメントを表しており、連続的であるか、或いは、別の材料により分離されており、一緒になって一人用又は複数の患者用の1回分若しくは複数回数分の用量を構成する。本検出器システム300は、流体経路を含んでおり、該流体経路は、少なくとも凹面304を有するように形成された通路つまり、アリコートポジショナ302に接続されている。アリコートポジショナ302は、放射線検出器325からある距離320だけ隔たって配置されており、検出器325は、センサー表面を有するセンサーと、センサーからの出力を調整する電子機器とを含んでいる。アリコートポジショナ302と検出器325との間に、可変式減衰器316を配置できる。可変式減衰器316は、アリコートポジショナ302とともに、それぞれの凹面が可変の曲率で形作られており、選択可能なポジショナが形成される。従って、アリコートポジショナ302は、放射線エネルギを発するソースを湾曲形状上に配置しており、そして、そのエネルギが検出器へ向けて放射されると、上述の可変式減衰器が検出器への伝播経路に影響を及ぼす。各々の可変な曲率が、検出器に到達するエネルギを最適化する。これに加え、選択可能な減衰器310が、アリコートポジショナ302と検出器325との間に配置できる。その減衰器310に、随意的な自動化機構324が接続できる。
【0018】
アリコートポジショナ302は、特定の凹面304に形成されて、一様な放射線検出応答を可能にする。凹面304上の任意のポイントから検出器325までの距離は、光学経路303として定められており、アリコートポジショナ302に沿ったアリコートの位置に関係なく、検出器の計数率がアリコートの放射線量レベルに比例するように導き出される。凹面304aの側面図が図1bで与えられている。凹面304aは、以下で説明されるように、検出器325の詳細な幾何学的応答(geometric response)に依存して、例えば、これらに限定するものではないが、放物面、球面若しくは球状様の表面、又はもっと複雑な幾何学的形状を含めた多種の形態のうちのいずれかの形態をとることができる。その凹面の幾何学的形状は、様々な場所で、且つ様々な放射性核種のエネルギレベルで発せられた放射線に対して、検出器の感度を一貫して維持し、更に、幾何学的形状が球面の場合にあり得る種々の限界を克服できるように選択される。
【0019】
球面は凹面の1つの例であるが、特定のエネルギレベルにおいては適していない場合があり、不正確な放射能測定値をもたらす可能性がある。これは、球面の外径付近に位置するアリコートが、球面の内部又はその中心に位置するアリコートよりも低い計数率を招くことによる。この差は、球面の辺縁に位置するアリコートから発せられた放射線が垂直でない角度で検出器のセンサー表面に入射し、これにより、検出表面積が低減されること、及び/又は放射線の入射角度に基づくセンサーの実効吸収定数が変化すること、及び/又は検出器ウィンドウ(又は光学経路)の減衰及び/又は散乱レベルが変化することによって実効計数率を下げてしまうために起こり得る。
【0020】
凹面304は、放射能検出の測定においてより高い精度を促進する「半径」を有している。凹面について本明細書で使用される「半径」という用語は、ポジショナ上の任意のポイントからセンサーまでの距離を表す。凹面の「半径」は、測定されている放射線流体とセンサーとの間で起こり得る潜在的な相対位置の変動と比べて大きいであろう。この相対位置変動の原因は、これらに限定するものではないが、ポジショナ内におけるセンサーに近付く又はセンサーから離れるような流体放射線の移動、機械的な位置誤差に起因したセンサーに近付く又はセンサーから離れるようなアリコートポジショナの移動、製造上の変動、及びセンサーの移動を含む。これらの事象などの小さな機械的変動は物理的な系においてはよく起こることであるため、これらの小さな変動をものともせずに高い測定精度を維持するために、凹面の「半径」とセンサとの間でのこの高い比率を維持するのが有益である。
【0021】
アリコートポジショナ302は、チューブ状導管(tubular conduit)で形成されてよく、該導管の幅又は直径は、好ましくは、読み取り誤差を最小化すべく選択され、それ故、(先述の)「半径」320に比べると相対的に小さい。このようにすることにより、流体の放射能を持った部分が壁に付着し、それ故、センサーにより近い位置又はセンサーから離れた位置に移動した場合であっても、測定誤差の量は低減されるであろう。例えば、チューブ状導管は、溶剤結合又は熱結合して合わせて凹面状に成し、その後、同じ様に形作られた受け入れ面(図示せず)内に配置されてよい。
【0022】
ポジショナ内におけるアリコートの場所により生じる誤差を小さくすることに加えて、放射線検出器325に対するポジショナの位置ずれによる測定誤差も、ポジショナと検出器との間の光学経路303を十分に大きくすることで小さくできる。上述の「半径」又は距離320は、(選択される特定の凹面幾何形状によって決まる)公称距離のプロフィールからの機械的許容誤差により僅かに変動し得る。この距離の変動又は摂動は、検出誤差の大きさに影響を及ぼす。アリコートポジショナと検出器の間の光学経路303を十分に大きくすると、検出器誤差が小さくなるだろう。
【0023】
凹面の形状に導管を配置するのが重要なので、何らかのアラインメント機構が、ポジショナ302にあるのが好ましい。そのようなアラインメント機構には、ピン、溝、凸部、リップ又はその他の機械的手段(図示せず)がある。代わりに、アリコートポジショナ302を、溝若しくはクリップで係止する、又は接着することで、より硬いプラスチック片(図示せず)に取り付けることもできる。アリコートポジショナはまた、2つの硬いマルチユースな(multiuse)面(図示せず)間に固定されてよく、又は、比較的硬い2つの射出成型片(図示せず)を接着して合わせることで作製されてよい。更に、ポジショナは、低密度材料に機械加工又は成形された溝又はチューブ状導管として作製されてもよい。チューブ状導管のほかに、アリコートポジショナ302は、適切な凹面状流体経路に成形可能なレセプタクルから、例えば、これらに限定するものではないが、入口及び出口(図示せず)があるバッグ又はその他の可撓性容器などから作られてよい。そのバッグはまた、2つの再使用可能な(reusable)面(図示せず)間で押し付けられて、流体が流れるコイル状、蛇行状又はその他の渦巻き状の(convoluted)凹面形状を生じてよい。
【0024】
検出器システムはアリコートの放射性核種が発する放射線を測定することを目的として設計されているため、アリコートポジショナ302を構成している材料及びそのポジショナの厚みは、放射線の吸収を小さくするように設計されるのが好ましい。そのような特性を有する材料には、低密度プラスチックがあり得る。そのような材料の幾つかの非限定的な例には、ポリマー、様々な製造材料及び射出成形材料がある。例えば、ポリカーボネートは、強度と、正確且つ確実に成形できることから、光学用途で使用されることが多い。図10は、様々なエネルギの光子とポリカーボネートプラスチックとの相互作用による様々な散乱及び吸収効果を示している。PET又はSPECTイメージングにおいて使用される放射性核種には、201Tl、99mTc、123Iと、陽電子放射体18F及び11Cとがある。これらの線源から発せられるガンマ線エネルギの範囲は、140keV(99mTcの場合)から陽電子消滅により放出されるガンマ放射線の場合の511keVまでを含む。図10に示されているように、PET又はSPECTイメージングの場合に相当するエネルギに近いエネルギレベルに対しては、非干渉性散乱メカニズムが、光子に及ぼすポリカーボネートプラスチックのほとんどの効果をもたらす。
【0025】
低密度プラスチックを使用するか否かに拘わらず、そのような散乱は、例えば、ガンマ光子をプラスチックから離れさせて、放射性医薬品のアリコートからの通常の経路から発散させ得る。この理由から、アリコートポジショナの壁が十分に薄くされて、対象とするエネルギ範囲にわたってセンサー精度に影響を及ぼし得るこれらの散乱効果が低減されてよい。壁の厚いチューブは、あるエネルギ範囲における過剰な吸収を引き起こし、且つ、放射された光子に多重散乱通路を与えかねない。そのような多重散乱の結果、検出器にとって、アリコートが実際のサイズよりも物理的に大きく見え得る。アリコートポジショナを形成するために様々な直径及び壁厚のチューブが用いられてよく、それらの各チューブは、放射性核種のエネルギの範囲及びもたらされるべき線量の付与レベルに合わせて個々に最適化されてよい。種々の材料には、例えば、これらに限定するものではないが、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、シリコーン又は共押し出しナイロンなどがあり、それらの材料について、チューブ構成用の壁厚は、0.020インチから0.125インチまでの間であってよく、また、そのチューブ構成の直径は0.030インチから0.3125インチまでの間であってよい。アリコートポジショナ302は、好ましく、殺菌された状態で、且つ、予め組み立てられたユニットとしてもたらされる。
【0026】
放射線検出器325は、対象とするエネルギ範囲に適した現代の様々な放射線検出技術を利用できる。非限定的に例示される放射線検出技術には、シンチレーティング材を伴ったSi−PIN若しくはアバランシェ・フォトダイオード・アレイ(シリコンPMT)、又は、カドミウム−/亜鉛−/テルル化物(CZT)結晶若しくはカドミウム/テルル化物結晶をベースとした検出器がある。高利得電荷増幅器を伴ったCZT結晶は、安定した高効率性能を提供する。そのようなセンサーは、大きさが小さくて低コストであるというだけでなく、感度が高いという利点も有している。結晶の形状は最適化されて、アリコートが通路に沿って移動する際に、センサーの実効表面積が同じ状態のままであって、単位時間当たりに一様な放射線束を収集するように、軸対称性が与えられてよい。結晶形状の非限定的な例には、円形又は四角形がある。CZT検出器はCZT結晶(センサー)を含み、アノード及びカソードを介して、その結晶に渡って電位が加えられる。入射ガンマ線又はX線(ここでは電離光子又は光子)は、それぞれアノード及びカソードに向かって移動する電子−正孔対を生成する。電子は、移動度が高いのでより速く移動し、典型的には、(アノードの高電圧バイアスから電荷増幅器を保護する)阻止コンデンサーを通じて、アノードで収集される。生成される電子−正孔対の数は、結晶で吸収される光子のエネルギに比例する。計数用途でよく使用される、短い時定数/高帯域トランスインピーダンス増幅器構成においては、スペクトルが収集されている時に、結晶に吸収される各光子について短時間(数マイクロ秒)のパルスが生成される。その電圧パルスの高さは収集された電荷の量に比例し、更に、その収集された電荷の量は入射光子のエネルギに比例する。適切な個数のパルスを収集し、且つ、それらの事象のパルス高さを記録することによって、ヒストグラム(又はスペクトル)を形成することができ、これにより、そのシステムは、99mTcからの放射線と他の放射性医薬品の核種からの放射線との間での識別を行うことができる。
【0027】
放射線検出器325は、小さな回路基板(図示せず)に取り付けることができ、また、その回路基板は検出器の動作用に適切な電子機器も含むことができる。そのような電子機器には、これらに限定するものではないが、センサー本体に渡って印加する高電圧のソース、センサーの出力のための電流増幅器、フィルターなどのノイズ低減回路素子、及び、検出器からの最終調整信号をインジェクタシステムに含まれているコンピュータへ供給するための手段がある。CZT検出器はアセンブリに収容でき、そのアセンブリは、1辺が20mmの立方体などの小さいものであってよく、また、コンピュータが取得及び使用するのに必要なデータを提供する調整用電子機器(conditioning electronics)を含んでおり、適切なサイズに成された回路基板に取り付けることができる(例えば、eV Microelectronics iGEM Sensor Module[2009年11月13日閲覧のhttp://www.evmicroelectronics.com/igemsm.html]を参照のこと)。
【0028】
放射線検出器システム300には、更に、選択可能な減衰器310を含めることができ、該減衰器310は、アリコートポジショナ302と検出器325又はセンサー結晶の活性表面との間の光学経路303に配置される。選択可能な減衰器310が使用されて、センサーを望ましい線形の応答範囲又は最適な応答範囲で作動する一方で、放射線レベルの大きなダイナミックレンジを提供する。そのような望ましい応答範囲は、高出力側領域におけるセンサーの飽和又はパルスのパイルアップを防止し、且つ、低出力側領域においてセンサーがノイズ中で作動するのを防ぐことができ、又は測定の決定に非常に長い時間を要するのを防止できるような応答範囲である。放射性医薬品のアリコートの比放射能は、調製の度に変動し得るため、また、総スペクトルエネルギは異なる放射性核種を含有する医薬品間において異なり得るため、選択可能な減衰器310が放射線検出器の飽和を小さくし、又はそのような飽和を防止する。選択可能な減衰器310は、回転円盤アセンブリ317又はリニアポジショニング装置(図示せず)を含んでよい。選択可能な減衰器310は、これらに限定するものではないが、1つ若しくは複数のアパーチャ、減衰器、スリット又はチャンネルを含んでよい。図1bは、円盤317周囲の様々な場所に配置された一連のチャンネル315a−cを示している。これらのチャンネルは、異なるサイズに成された直径を有していてよい。更に、選択可能な減衰器310は厚みや材料を変えた材料からなる一連の減衰器を含むことができ、それらの材料は、ポジショナから向けられた最大量の放射線が検出器325の線形応答範囲を超えないように、又は検出器325の線形応答範囲から外れるように選択されてよい。そのような減衰器の材料は、好ましくは、高い減衰対散乱比を有する高密度材料であり、幾つかの非限定的な例には、鉛、タングステン及び金がある。別の実施形態では、選択可能な減衰器は、厚みが異なる減衰用材料の連続的なストリップを含んでよい。そのフォイルは、平坦な形状又はドーム状の形状を含め、様々な断面又は形状を持たせるべく製作されてよい。この選択可能な減衰器は、ポジショナであってよく、光学経路に置かれるフォイルの厚みは、検出器の応答が線形範囲内であることを保証するのに充分であるようにする。
【0029】
また、選択可能な減衰器は、検出器の応答を較正する手段を提供するために、センサーに面した、小さな一定の較正用放射線源(図示せず)も含んでいてよい。1つの非限定的な実施例においては、243Am(半減期:7400年、ガンマ線エネルギ:74.7keV)又は241Am(半減期:432年、ガンマ線エネルギ:59.5keV)からなる小さな較正用線源サンプルを、既知のスペクトル特性を有する一定の放射線源として使用できる。検出器が適切に機能しているかどうかについての不定期のチェックを行うときには、この較正用線源を検出器の前に置き、検出器の応答を測定できる。その検出器の以前の較正データからの偏差を書き留めておき、検出器の交換又は再較正が必要であるかどうかを決定するために使用できる。選択可能な減衰器310は、ポジショナ302と検出器325との間の光学経路303における最適なポジショナとできる。これは、使用者が手でそのエレメントを適所に位置付けすることにより手動で果たされてよく、又は自動化された装置により果たされてもよい。
【0030】
図1aに示されているように、選択可能な減衰器310に自動化機構324を接続できる。選択可能な減衰器310は円盤317を含んでいてよく、その円盤に光学素子が配置される。円盤317の中心は軸棒312に接続されており、その軸棒は小さなDCモーター又はステッピングモーターなどのモーター330により駆動される。このモーターは制御ユニット335により制御される。その制御ユニットは、インジェクタのコンピュータ(図示せず)から情報を受け取り、これにより、選択可能な減衰器の適切な光学素子が光学経路303に位置決めされるように前述のモーターを作動できる。適切な光学素子が光学通路に適切に位置決めされるのを保証する様々な手段が想定され、それらの手段は、これらに限定するものではないが、モーター330に関係したリミットスイッチ、基準マーキング又はモーターエンコーダの使用がある。
【0031】
制御ユニット335は、コンピュータと通信して特定の光学素子を選択する。ある実施形態においては、使用者は、入力装置を介して、放射性医薬品の名称、放射性核種及び/又は放射能強度レベルをコンピュータに入力できる。コンピュータは、検出器の応答を最適化すべく、入力された特定の放射性医薬品や放射性核種の名称又は放射能レベルと適切な光学素子を相互参照するデータベースを有していてよい。この情報は、更に、モーター制御ユニットに送られる制御シーケンスにインデックスされて、適切にインデックスが付された光学素子が適切な位置に配置される。代わりに、最初に既知の光学素子を適切な位置に設置し、アリコートがアリコートポジショナに提供されると放射線検出器が出力データをインジェクタのコンピュータへ伝送し、短い積分時間の測定を介して、センサーが計数率の予備的な粗い概算値(「スニークピーク」)を与えてよい。その後、コンピュータは、検出器から得られたデータを、その検出器の応答曲線を表すデータと比較してよい。検出器のデータが、検出器の線形応答を表す範囲から外れていた場合、コンピュータはモーター制御装置に制御シーケンスを送って、検出器への入射放射線を増減させる新たな光学素子を配置してよい。代わりに、検出器は、入射放射線のスペクトル特性に関するデータをインジェクタのコンピュータに伝送してよい。可能性のある多数の放射性医薬品に関わるスペクトル特性を表すデータを包含したデータベースが、コンピュータに含められていてよい。検出器のデータをこのデータベースと比較して、適切な放射性核種を特定できる。コンピュータのモニターへの出力により、この情報を使用者に提供できる。それと同時に、コンピュータは、適切な制御データをモーター制御ユニットへ送って、光学経路に適切な光学素子を配置して、放射性核種に対する放射線検出器の応答を最適化してよい。
【0032】
ポジショナ302の曲面を変えて、検出器の読み取りを最適化できるだけでなく、凹面型光学素子316の曲率を変えて、検出器による読み取りに影響を与えることもできる。この可変式減衰器316は、上述のアリコートポジショナの凹面形状と似た様々な凹面形状に成形できる。可変式減衰器316の湾曲形状は、垂直でない放射線光子の伝搬効果を低減できる。アリコートポジショナに沿ってアリコートが異なる位置へ移動するときに、伝搬効果により、センサー精度が低減し得る。実際には、アリコートポジショナ及び可変式減衰器のそれぞれの曲率を変えることにより、放射線を感知する検出器の能力を最適化できる。それ故、これらの凹面型アリコートポジショナ及び可変式減衰器316は、それぞれ、放射能(又は放射性流体)に対して、選択可能なポジショニング及び調節可能な補償を提供し、放射線が検出器で最適に読み取られる。この凹面型光学素子は高い減衰対散乱比を有する高密度放射線材料でできていてよく、幾つかの非限定的な例には、鉛、タングステン及び金がある、これらは、センサー精度を低下させかねない散乱を防止する一方で、適切な減衰をもたらす。
【0033】
図1cは、コリメータアレイ350の形態に成された1つの可変式減衰器の例の透視図を示している。コリメータアレイ350は、同じ又は様々なサイズの直径を有するチャンネル352を含んでおり、一層正確な放射能強度の検出が得られる。コリメータアレイ350の凹面形状及びチャンネルのサイズは変化してよく、その変化に応じて、ポジショナの凹面部分のある位置におけるアリコートの放射能を読み取る検出器の能力を増強できる、この増強は、凹面型ポジショナにおけるアリコートの位置的差異を補償することで達成される。
【0034】
図1dは、図1cのコリメータアレイ350の線1d−1d、つまり「ピンクッション(pin cushion)」に沿って破断した断面図である。図1dでは、コリメータアレイ350は、、検出器325bからある軸方向距離だけ隔てて設置されており、内側の凹面は検出器に面している。例えば、チャンネル357aなどのコリメータアレイの辺縁にあるチャンネルは、チャンネル357cなどの、中央側のチャンネルの直径よりも大きな直径を有している。コリメータアレイの中央部と辺縁部との間の場所に設けられている、チャンネル357bなどのチャンネルは、中央部及び辺縁部に位置するチャンネルの間の中間的なサイズを有している。これらのチャンネルは、コリメータアレイの外面及び内面の両方に対して垂直な角度で開けられており、従って、辺縁部に位置するチャンネルの方が相対的に大きな傾斜角を有している。これにうより、湾曲したポジショナ内におけるアリコートの位置に拘わらず、ある放射能に対して検出器の応答がより一様になるであろう。このようにして、コリメータアレイ350は、可変な減衰を提供する。
【0035】
更に、湾曲したコリメータアレイを用いると、アリコートポジショナの凹度を小さくでき、又は、凹面ではなく、代わりに、図1gに示されているように平坦な流体経路にすることができる。その場合の検出器システムは、凹度が僅かであるか又は曲率を全く持たないアリコートポジショナ302bを有しており、コリメータ350bは湾曲している。ポジショナの凹度又は曲率と光学素子との間での様々に変化できるので、様々な核種又はエネルギレベルを取り扱うのに特に有利である。ある凹面型ポジショナが、(散乱変動により)対象とする全てのエネルギ/核種に渡って適していない場合、ある与えられた核種に対して(非限定的な実施形態としては、回転式のホイール又は直線状のスライドを介して)「ピンクッション」型のコリメータアレイを適所に移動させることができよう。クッションの厚みだけでなく、様々なコリメーション用チャンネルのパターン及びチャンネルの直径を持った様々なピンクッションを使用でき、それぞれは、特定の放射性核種のエネルギ範囲に合わせて最適化されてよい。
【0036】
図1gに示されているように、コリメータアレイ350bは、サイズが異なる複数のチャンネルを有している。それぞれのチャンネルは、(θで示された)傾斜角で測定される場所に配置される。その角度が大きくなればなるほど、チャンネルは中心線365から離れた位置へ移り、且つ、そのチャンネルの直径が大きくなる。湾曲の中点において中央に配置されたコリメータチャンネル357cは、辺縁に位置するチャンネル357aに比べて、小さな直径を有することになるであろう。同様に、アレイ350bの中央部と辺縁部との間に位置付けられたチャンネル357bなどのチャンネルは、中央の孔と辺縁の孔との間のサイズの直径を有することになるであろう。
【0037】
コリメータアレイ350は遮蔽材料からなる1つの連続的な層であってよく、その代わりに、コリメータアレイは、図1eに示されているように、355a及び355bなどの2つの又は3つ以上の十分に厚い遮蔽材料片であってもよい。チャンネル359a−cは、適切な直径にパンチング又はドリル加工されて、ポジショナ内のアリコートが放射した光子に対する検出器の応答性が等しくなる。例えば、鉛粉末がポリマーと化合したPolyOneTMを用いて製造されたもののような成形可能な遮蔽材料から、一体となったコリメータアレイ又はシングルピースのコリメータアレイを射出成形することもできよう。
【0038】
また、コリメータアレイ350は、図1fに示されているように、湾曲型の減衰器360又はその他の光学素子とともに使用することもできる。そのようなコリメータアレイ350及び湾曲型減衰器は、凹面ではなく、平面(1つの例として、図1gにおける302b)に配置されたアリコートポジショナとともに使用できる。平坦面は、湾曲面よりも簡単に製造することができ、且つ、機械的な制御も容易であるという利点を有している。平坦面のポジショナは、検出器325dに対して幾何学的な歪みをもたらし得る。ある歪みでは、検出器から放射能を有するアリコートまでの絶対距離は、アリコートがその平面の中央から辺縁部へ移動するに連れて増大する。これは、検出器に入射する放射線円錐を減少させる。第2の歪みは、放射線円錐の中線が検出器の表面に対して垂直でないことに起因する。検出器は、検出器表面に対して垂直でない入射放射線にも応答し得るが、そのような応答は、垂直な角度で入射する放射線の場合と同じ程には効率的でないであろう。流体要素の辺縁に配置されたアリコートからの入射放射線の中線に対して、検出器の表面が垂直でないと、その結果、検出器の実効面積は低減されてしまう。これらの歪みを少なくするための1つの方法は、すべてが等しい直径を持った359dなどの複数のチャンネルを含むコリメータアレイ350aに加えて、厚みが一様でない減衰器360を配設することである。衰器360の厚みは、辺縁部よりも中央部(軸上)においてより一層の減衰をもたらすように変化し、これにより、平面の中央部に対して、平面の辺縁部から検出器に入射する光子束の経路長及び立体角の差異が補償される。
【0039】
図1fに示されているように、アリコートポジショナの辺縁部から始まる光子軌跡353cは、ポジショナの中央部にもっと近い位置から始まる軌跡353dよりも少ない減衰材料を通過するであろう。検出器に近接して配置された減衰器360は、アリコートポジショナに近付けて配置された場合よりも、減衰器のサイズをより小さくできるであろう。これは、製作及び取り付けが一層容易になるという利点を有している。検出器に近付けられたより小さな減衰器を用いることの第2の利点は、選択可能な減衰器の構成要素として組み込み可能なことである。更に、様々なアイソトープに対して、異なる厚みの範囲を有する様々な減衰器を使用することもできる。減衰器、コリメータアレイ及び他の光学素子の別の組み合わせが検討されて、アリコートからの放射能強度及び放射性核種の広範囲のスペクトルに渡って、センサーを線形応答範囲で作動させてよい。
【0040】
図2、図3及び図4は、センサー表面に垂直な軸に沿って、検出器から様々な距離に配置された放射物が、測定計数率に及ぼす影響を示している。先述したように、放射線源に対する放射線検出器の応答に影響を及ぼす幾何学的な要因は、センサー表面に垂直な軸に対する線源の角度に加えて、検出器の表面からの線源の半径方向距離を含む。図2は、センサーに垂直な軸(以後、z軸と記す)に沿った線源とセンサー表面の間の距離(インチ単位)に対する、検出器の計数率(1秒間あたりのカウント数)の理論的応答を示している。図3は、定義式に従って計数率を表す同一の理論曲線(実線)に加えて、実験から得られたデータ(丸印)を示している。その理論曲線は、「計数率方程式」:
R=−E/2*{[z/√a2+z2)]−1}
から作成された。ここで、「E」は、注入中のアリコートを代表する試験線源が放射した全放射線(1秒間あたりのカウント数)と検出器の効率との積であり、「z」は、z軸に沿った放射線検出器から試験線源までの距離(メートル単位)であり、「a」は、放射線検出器のセンサーの表面と略同じ表面積を有する円の半径(メートル単位)である。この計数率方程式は、すべての方向に放射線を発する線源からある距離zだけ隔たった位置において、a2に比例する面積の表面に入射するガンマ放射線の量を表す。図3のデータは、CZT検出器結晶から一定距離だけ離れて保持された57Co線源から得られたデータを示している。図4は、図3の横座標を更に広げたもので、理論曲線と実験データとの間での良好な一致を示している。
【0041】
好ましくは、図1aに示すアリコートポジショナ302は、放射線検出器の表面に対して最適な軸方向距離に設置されるべきである。しかしながら、既に議論したように、このポジショニングの不正確な状態がもたらされ得る。例えば、使用者が、好適な位置に比べて外れたアラインメントでポジショナを検出器システムに設置してしまう可能性がある。更に、流体経路を有するカセット又はその他のアリコートポジショナのアセンブリは、幾分かの物理的な許容誤差範囲内で製造され得るので、検出器に対する流体経路の実際の位置に不正確さが生じる可能性がある。図2乃至図4に示されているように、放射線源が検出器からより離れて配置されると、検出器の応答は、短い距離範囲(そこでは、機械的な移動又はエラーが起こり得る)に渡って略線形になる。従って、検出器がより遠く離れると、垂直な軸に沿った検出器からの変位の小さなずれは、より小さなエラーを計数率測定にもたらす。しかしながら、固定された検出器のサイズに対する距離が増大するため、計数率は減少し、それ故、(ポアソンの計数統計学的要件により)測定時間は増大するであろう。用途に応じて、放射能を有する医薬品のソース、凹面型流体経路の曲率、コリメータの使用、ならびに減衰器の使用及び最適な距離又は許容可能な距離を決定できる。
【0042】
図5は、検出器の出力に対する(z軸に沿った)距離測定の小さなずれの影響を示している。縦座標は、z軸に沿った放射線源と検出器の間の理論的距離の関数として、線量(放射能強度)測定の誤差百分率を与える。計数率は、3つの曲線により、計数率方程式に基づいて表されており、線源の実際の配置が好適な位置から0.01インチ、0.02インチ、0.03インチ及び0.04インチだけずれている場合について、線源から湾曲型流体ポジショナまでの公称位置z(インチ単位)にて、検出器の期待される応答からの誤差百分率を示している。これらの計算では、等価の円形センサー表面の半径は5mmに設定されている。例えば、図5において、放射線検出器のセンサーから略6インチの距離に流体経路が位置している場合、その流体通路の設置における0.04インチのエラーに対して、期待されるセンサー応答から2%未満の誤差が得られる。これらの理論的な計算値は、検出器から5インチ乃至8インチまでの範囲に、流体経路要素が設置されるのが好ましいことを示している。この範囲においては、流体経路の機械的な設置エラー又は流体経路の製作エラーが、検出器の出力エラーを低減する。
【0043】
図2から図5まではセンサーの表面からの垂直な軸に沿った場所における放射線源又はアリコートポジショナの距離に基づく検出器応答への影響を描いたグラフであるが、図6及び7は、その垂直軸周りの線源の角度変位(線源の傾斜角度)に基づく検出器応答への影響を示している。図6及び7において、エラーバーを伴った点線は、検出器のセンサー表面との関係における様々な傾斜角度を通じて57Co線源をポジショニングすることから得られた実験データを表している。線源から検出器までの半径方向距離は6インチに維持されている。これらのグラフは検出器の応答(1秒間当たりのカウント数で表現)対傾斜角度(度単位)を示している。
【0044】
図6において、グラフは検出器の応答を示しており、太い実線は、累積データでの平均応答対角度を表している。太い破線は、ルートコサイン関数に基づく計数率モデルへのデータのフィッティングを表している。図7は、モデル曲線が「二重立方体モデル」から導出されたものである点を除き、同じデータ及びデータ平均を示している。図6及び図7におけるデータは、検出器の中心から±30°の範囲に配置した線源に対して(実験誤差範囲内において)かなり平坦な検出器応答を示している。図7に示されている二重立方体モデルの方が、データをより適切にフィッティングしているものと思われるが、図6に示されているコサインベースのモデルも、この範囲の応答に関する1つのモデルを提供している。固定された半径の円弧での計数率と角度とを関連付ける二重立方体モデル(又は実験データをフィッティングするために使用される任意のモデル)は、(z軸に対する対称性を有している)理論的な凹面形状について解く計数率方程式と組み合わせて使用できる。理論的な凹面形状は、センサーの実際の角度応答の二重立方体モデル又はその他のモデルに基づいており、凹面におけるアリコートの位置に拘わらず、検出器によるアリコートの放射能の読み取りを最適化する。この方法を用いて導出された形状を使用することで、線源の傾斜角度に関係なく、一様な応答が得られる。これにより、本検出器システムは、流体通路に存在しており、分配される小さい又は大きなアリコートの放射能強度を正確に測定できる。
【0045】
図8は、直線的な距離と傾斜角度との両方の影響に関するデータを、グラフ的に組み合わせたものであり、検出器の出力(1秒間当たりのカウント数)を、3つの異なる角度について、センサー表面までのz軸に沿った直線距離の関数として示している。1番上の曲線は、図4の場合と同じ実験データを表している。2つの下側の曲線は、線源が+30°又は−30°の傾斜角度で設置された場合の検出器の応答を示している。図8の3つすべての曲線の平均的な傾きは、種々の傾斜角度に対して同様である。従って、線源からセンサー結晶までの距離又は半径の関数としての計数率における変化は、センサーの表面に対する放射線源の傾斜角度に拘わらず同じである。それ故、大きな「半径」は、様々な傾斜角度においても有用である。
【0046】
図9は、検出器システムにおける減衰器の使用を描いたグラフである。このグラフは、検出器の表面から既知の距離に重心が配置された湾曲表面上に設置された線源に対する検出器の実際の応答を表している。これは、センサーの表面から6インチの距離に重心を有する二重立方体表面に沿って配置されたコイル状のチューブ内に位置する放射性医薬品のアリコートをモデル化している。実験条件は、チューブ構成材料による非干渉性散乱の効果をまねるため、線源(ここでは57Co)と検出器との間に厚みが0.1インチのポリカーボネート製の円盤を差し挟むことを含んでいる。そのような凹面型の流体経路、例えば、二重立方体モデルに基づく表面に沿って成形され、且つ、センサーの表面から6インチ若しくはそれ以上の距離に設置された、ポリカーボネートプラスチックのコイル状チューブは、本発明の好適な実施形態を構成する。図9のグラフは、度単位で表現された線源の傾斜角度(横座標)に対する1秒間当たりのカウント数で表現された検出器の応答(左側の縦座標)を表している。右側の縦座標は、すべてのデータポイントの平均からの測定カウントの偏差百分率を表している。このグラフは、検出器による測定の全誤差に拘わらず、線源が空間的に適切な曲面上に存在する限り、線源の角度的配向による系統的誤差は殆ど又は全く起こらないことを示している。これらのデータは、さもなければ幾何学的な要因によって生じていたものと考えられる、検出器システムによる放射能強度の測定誤差が低減していることを示している。
【0047】
当業者にとっては、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書で説明されている実施形態に加えて、様々なその他の実施形態が想定され得ることは明らかであろう。従って、ここに添付されている特許請求項の範囲は、本明細書に記載されている説明に限定されることを意図したものではなく、寧ろ、それらの特許請求の範囲が広義に解釈されることを意図したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射能を有する物質を測定するためのシステムであって、
少なくとも1つのアリコートを受け入れるための流体経路と、
凹面を有するように形成されており、前記流体経路に接続されていて、前記流体経路から前記少なくとも1つのアリコートを受け入れるアリコートポジショナと、
前記アリコートポジショナから離れたある軸方向距離に位置しており、前記アリコートポジショナに配置された前記少なくとも1つのアリコートの放射能のレベルを決定するように動作する検出器とを含むシステム。
【請求項2】
記載なし
【請求項3】
前記検出器が、前記アリコートポジショナの凹側に近接している、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記アリコートポジショナが、コイル状、螺旋状又は蛇行状の構成に形成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記アリコートポジショナの出口に接続された出口側アセンブリを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記流体経路と流体的に連通した放射性医薬品の液体源を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記アリコートポジショナと前記検出器の間に配置された少なくとも1つの光学素子を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記アリコートポジショナが、放物面モデル、球面モデル又は二重立方体モデルに基づく表面を有している、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記アリコートポジショナがチューブ状の導管を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記アリコートポジショナがバッグを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記流体経路に接続されたインジェクタを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
放射能を有する物質を測定するためのシステムであって、
放射線エネルギを放出する少なくとも1つのアリコートを受け入れる流体経路と、
前記放射線エネルギを方向付ける選択可能なポジショナと、
前記アリコートポジショナから離れたある軸方向距離に位置しており、前記選択可能なポジショナに配置された前記少なくとも1つのアリコートの放射能のレベルを決定するように動作する検出器とを含んでおり、
前記選択可能なポジショナが、凹面型の構成を有する可変式減衰器又はアリコートポジショナのうちの少なくとも1つを含むシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの可変式減衰器及び前記アリコートポジショナの曲率が変えられて、前記検出器による放射線検出が最適化される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記可変式減衰器が、それを貫通して半径方向に延びてコリメータアレイを形成する複数のチャンネルを含んでいる、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数のチャンネルが異なる直径で形成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記異なる直径は、前記可変式減衰器の中心に向けてより小さく、辺縁でより大きくなっている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記可変式減衰器は、第1のコリメータ及び第2のコリメータを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
アリコートの放射能を測定するための方法であって、
凹面形の流体通路にアリコートを形成するステップと、
前記凹面形の表面からある距離だけ隔てて検出器を設置するステップと、
前記アリコートのスペクトルエネルギを読み取って前記放射能を決定するステップとを含む方法。
【請求項19】
前記凹面形の流体通路と前記検出器の間に光学素子を挿入するステップを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
放射能を読み取るステップの前に、前記スペクトルエネルギをコリメーションするステップを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項1】
放射能を有する物質を測定するためのシステムであって、
少なくとも1つのアリコートを受け入れるための流体経路と、
凹面を有するように形成されており、前記流体経路に接続されていて、前記流体経路から前記少なくとも1つのアリコートを受け入れるアリコートポジショナと、
前記アリコートポジショナから離れたある軸方向距離に位置しており、前記アリコートポジショナに配置された前記少なくとも1つのアリコートの放射能のレベルを決定するように動作する検出器とを含むシステム。
【請求項2】
記載なし
【請求項3】
前記検出器が、前記アリコートポジショナの凹側に近接している、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記アリコートポジショナが、コイル状、螺旋状又は蛇行状の構成に形成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記アリコートポジショナの出口に接続された出口側アセンブリを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記流体経路と流体的に連通した放射性医薬品の液体源を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記アリコートポジショナと前記検出器の間に配置された少なくとも1つの光学素子を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記アリコートポジショナが、放物面モデル、球面モデル又は二重立方体モデルに基づく表面を有している、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記アリコートポジショナがチューブ状の導管を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記アリコートポジショナがバッグを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記流体経路に接続されたインジェクタを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
放射能を有する物質を測定するためのシステムであって、
放射線エネルギを放出する少なくとも1つのアリコートを受け入れる流体経路と、
前記放射線エネルギを方向付ける選択可能なポジショナと、
前記アリコートポジショナから離れたある軸方向距離に位置しており、前記選択可能なポジショナに配置された前記少なくとも1つのアリコートの放射能のレベルを決定するように動作する検出器とを含んでおり、
前記選択可能なポジショナが、凹面型の構成を有する可変式減衰器又はアリコートポジショナのうちの少なくとも1つを含むシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの可変式減衰器及び前記アリコートポジショナの曲率が変えられて、前記検出器による放射線検出が最適化される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記可変式減衰器が、それを貫通して半径方向に延びてコリメータアレイを形成する複数のチャンネルを含んでいる、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数のチャンネルが異なる直径で形成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記異なる直径は、前記可変式減衰器の中心に向けてより小さく、辺縁でより大きくなっている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記可変式減衰器は、第1のコリメータ及び第2のコリメータを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
アリコートの放射能を測定するための方法であって、
凹面形の流体通路にアリコートを形成するステップと、
前記凹面形の表面からある距離だけ隔てて検出器を設置するステップと、
前記アリコートのスペクトルエネルギを読み取って前記放射能を決定するステップとを含む方法。
【請求項19】
前記凹面形の流体通路と前記検出器の間に光学素子を挿入するステップを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
放射能を読み取るステップの前に、前記スペクトルエネルギをコリメーションするステップを更に含む、請求項18に記載の方法。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図1f】
【図1g】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図1f】
【図1g】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−11441(P2013−11441A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−277820(P2010−277820)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(500483817)メドラッド インコーポレーテッド (43)
【氏名又は名称原語表記】Medrad,Inc.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277820(P2010−277820)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(500483817)メドラッド インコーポレーテッド (43)
【氏名又は名称原語表記】Medrad,Inc.
【Fターム(参考)】
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