説明

放射性物質を生活環境において安全レベルにまで低減する方法

【課題】既存の放射線物質による汚染に対処する。
【解決手段】放射性物質を環境から取り込ませ或いは取り込んだ生物を爆砕処理、水熱処理、または、水熱処理及び爆砕処理する工程を経た後、少なくとも液分中の放射性物質を吸着剤により吸着させて、放射性物質を生活環境において安全レベルにまで低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固体核燃料を用いる原子力発電所の事故や核兵器テロ、原爆実験などで汚染された環境から放射性物質を生活環境において安全レベルにまで低減する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体核燃料を用いる原子力発電や核兵器テロ、原爆実験などはウラン235やプルトニウム239の原子核を人工的に破壊する核分裂反応に依る。その際、ウラン235やプルトニウム239の原子核は粉々の破片に分かれる。これらの破片の殆どは非常に放射能レベルが高い人工放射性核種である。これらの人工放射性核種は半減期が短いものが多い。例えば放射性クリプトンや放射性キセノンは常温でも気体であり、放射性雲が通過中に強烈な放射線を浴びせるが、放射能雲の通過後には残らない。また、沃素131は半減期が8日なので半年後には殆ど消滅する。
【0003】
しかしながら、セシウム137は678℃で気体になるため、原発事故で放出されやすく、しかも半減期が30年と長い。またセシウムは土壌粒子と結合しやすいため長い間地表から流されない。このため、短寿命の放射性核種や沃素131が消滅した後にも残る。地面から放射線を放ち続け、農作物にも取り込まれて、長期汚染の原因になる。1960年代末までの大気圏核実験によって1億500万京ベクレルという、膨大な核分裂生成物がばらまかれ、地球全体を汚染した。核実験によるセシウム137は、現在も海水・地表・大気中に残っている。またチェルノブイリ原発事故では、直径約250kmの範囲にわたり、高濃度汚染地域が点在している。さらに福島原発事故では静岡茶にもセシウムが検出された。
【0004】
また、ストロンチウム90も半減期が28年であり、セシウム137と同様の問題がある。よって、放射性物質の汚染を考慮する上では、セシウム137とストロンチウム90を主として対策をとればよい。
【0005】
かかる半減期がある程度長く、放射能レベルの影響が大きい放射性物質で汚染されている土壌からこれら放射性物質を除去する方法としては、ヒユ科、ひまわり、菜の花、牧草、キャベツなどの植物に吸収させる方法が知られている。しかしながら、これら植物のその後の処理としては土の中に埋めるか焼却処理しているのであるが、植物のまま土の中に埋めるとなると、広い土地と労力が必要である。また、焼却処理の場合は植物の細胞内に取り込まれた放射性物質が焼却過程で濃縮され、フィルターを介したとしてもなお、高濃度の放射性物質がガスとして飛散する恐れがある。
【0006】
また、別の方法としては放射能で汚染された水にフェロシアン化鉄やフェロシアン化ニッケルなどのフェロシアン化物を溶かし、水中の放射性セシウムをフェロシアン化物に吸着させる方法が知られている(非特許文献1)。しかしながら、この方法は水に溶けている放射性物質を取り込むだけであり、生物の体内に取り込まれた放射性物質を取り出すことはできない。
【0007】
また、更に別の方法としては、藻類「バイノス」が放射性物質で汚染された水から放射性物質を藻類細胞内に取り込むことが知られている(非特許文献2)。この方法も水に溶けている放射性物質を取り込むだけであり、生物の体内に取り込まれた放射性物質を取り出すことができないのは前述と同様であり、藻類に取り込まれた放射性物質をどうするかという問題が残されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】毎日新聞 「顔料使ってセシウム汚染水浄化 東工大が開発」 2011.4.15 毎日新聞社
【0009】
【非特許文献2】日本経済新聞 「放射性物質汚染水を浄化する藻「バイノス」 浄化に藻類活用」 2011.7.15 日本経済新聞社 朝刊
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記諸問題を解決するものであり、既存の放射線物質による汚染への対処が一つの目的である。それとともに、原発事故は起きないように願いたいが、それでも事故というものが万一起きたときの対応策を講じておく必要がある。従来技術では生活環境が安全レベルになるまで膨大な手間と時間がかかるばかりでなく、上述の通り、未解決の問題が残されているのである。本発明はかかる処理に対する新たな方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明は放射性物質を環境から取り込ませ或いは取り込んだ生物を爆砕処理、水熱処理、または、水熱処理及び爆砕処理する工程を経た後、少なくとも液分中の放射性物質を吸着剤により吸着させる工程からなる、放射性物質を生活環境において安全レベルにまで低減する方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、放射性物質を取り込ませ或いは取り込んだ生物体内にある放射性物質を回収するとともに、放射性物質を凝縮した形で回収することができ、保存スペースを極小化することができる。しかも通常の焼却処理であれば煙と共に放射性物質が大気中に飛散するが、本発明によれば、そのような心配もない。その為、放射性物質で汚染された農林地や海洋に植物を植栽、栽培して、その植栽した土地や栽培した海洋から放射性物質を吸収させた植物や、汚染された生物の死骸を、本発明により処理することで、その土壌や海洋を汚染前の状態に戻すばかりでなく、その後処理も環境に対し最小限の負担に留めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は放射性物質を環境から取り込ませ或いは取り込んだ生物を用いる。放射性物質で汚染された環境としては土壌、山林、海洋など広範にわたり、かかる汚染環境下で放射性物質を取り込んだ生物或いは積極的にそのような環境に生育させた生物を用いる。生物としては植物、微生物、動物の死骸などが挙げられ、植物については汚染された環境に植栽することで、土壌或いは海洋から植物の体内に吸収させたものが包含される。植物としては、前述した、ひまわり、菜の花、牧草、キャベツに限られず、広く樹木、野菜などの植物に及ぶのはもとより、藻類も含まれる。また放射性物質を保有したものであれば、それが生存していようと、家屋の柱のような伐採後、加工されたものであってもよい。積極的に土壌からセシウム137やストロンチウム90を吸収させようとするのであれば、それらの吸収率の高いものが好ましく、例えば、ひまわり、菜の花、牧草、藻類、キャベツ、蕪などが好ましい。
【0014】
本発明ではかかる生物を爆砕処理、水熱処理、または、水熱処理及び爆砕処理する。本発明でいう爆砕処理とは急激な圧力変化により、生物の細胞膜を破断する操作をいう。急激な圧力変化というのは、例えば、4〜5MPaから一気に常圧に戻すような変化である。その際、温度は常温でもよい。爆砕処理の場合には物理的作用が主体となる。爆砕装置は、圧力容器、圧力容器にバルブを介して連結されるブロータンク、及び必要に応じたサイレンサ等から構成する。圧力容器中に被処理物を60〜90容量%、好適には70〜80容量%で投入し、圧力容器内を高圧にした後、バルブを開き、常圧のブロータンクに被処理物を送り込んで、一気に圧力を開放する。細胞膜の中に閉じ込められた水分中に溶けていた放射性物質は爆砕により細胞膜が破裂することで細胞膜内の水分と共に外に出されて飛散するが、ブロータンクの中に留まり、焼却処理の場合のような煙やガスが放射性物質を同伴しつつ外界に拡散することはない。
【0015】
一方、水熱処理とは、水の亜臨界状態の条件を満足する範囲での処理を言う。細胞膜を高温高圧の熱水の物理的、化学的作用により、生物の細胞膜を破断して、内部の細胞液が外界に流出し得る状態にする。水の亜臨界状態(亜臨界水状態とも言う)、即ち、臨界点以下の温度における飽和蒸気圧以上の圧力下の水は加水分解力が非常に大きく、固体有機物を短時間に低分子の有機物に分解する。中でも水のイオン積が最大となるおよそ250℃付近の温度で常温におけるイオン積の約1000倍となり、H+とOH-の濃度は常温における値の30倍以上となり、加水分解力が非常に大きくこれらのイオンのエステル結合部など加水分解の起こり得る結合部位への攻撃が極めて大きくなる。330℃より温度が高くなると、温度の上昇に伴い、水のイオン積は急激に減少するため加水分解力も急激に衰え、加水分解力は臨界点を超えるとなくなるので、臨界点以下の温度で処理を行うとよい。また130℃より低い温度でも加水分解力は緩やかではあるが低下するので、好ましくは130〜330℃で、より好ましくは230〜280℃、特に好ましくは240〜270℃で行なわれる。水熱装置は、反応容器等から構成され、反応容器中に被処理物を投入し、そこに高温高圧の蒸気を吹き込み、水の亜臨界状態の条件にさせて反応させ、その後圧力を開放し、常温、常圧に戻す。
【0016】
好適な方法には、水熱処理及び爆砕処理の組み合わせがある。具体的には、水熱処理した後、爆砕処理する方法と、爆砕処理した後、水熱処理する方法があるが、前者が中でも好適である。圧力容器中に被処理物を投入し、そこに高温高圧の蒸気を吹き込み、水の亜臨界状態の条件にさせ、圧力容器のバルブを開き、常温・常圧のブロータンクに被処理物を送り込んで、一気に圧力を開放する。ブロータンクの中で被処理物は冷却され、水蒸気は水となる。生物体の中に留まっていた放射性物質は細胞液とともに外界に放出されるか、破断された細胞膜に付着している。尚、その過程で、放射性物質は水に溶け込むものもあるが、爆砕により破砕された物やブロータンクの壁に付着しているものもある。後者の放射性物質はブロータンク内をときどき水洗浄することで水に溶け込ませて次の処理工程に廻すことができる。
【0017】
爆砕或いは水熱処理の温度、圧力が適切であると、放射性物質の殆どは液側に移行し、固形破断物に残留する放射性物質は僅かとなる。
【0018】
本発明を亜臨界水状態で実施する場合、亜臨界水の状態は超臨界水のような酸化還元力がないので、容器は超臨界水装置に比べれば腐蝕されがたいものの、水分と酸が存在するので、腐蝕を加速させる要因を有する。しかしながら、水熱処理系では酸素を含まないようにすることで腐蝕そのものを起こさせないようにすることがかなりの程度まで可能である。そのような手段として、蒸気に用いる水は純水を使い、しかも80℃で加熱して酸素が仮に入り込んだ場合でも追い出したものを用いる。また、被処理物に含まれている空気を例えば0.5〜0.8MPa程度の水蒸気でブロータンクまたは反応容器外へ追い出して系内のガスを水蒸気だけにする。また、無機の燐が含まれないようにすることも必要である。このような配慮をした上で、水熱処理後に爆砕処理させると、爆砕により容器内部は全てのものが吹き飛ばされるので、内部は清浄にされるため、長期にわたる使用が可能であり、容器の長期使用の耐久性の面からも好ましい。被処理物が海水のような種々の成分を含む場合もあり得るので、本発明で用いられる容器は被処理物の内容に応じて適宜選択しなければならないが、亜臨界水状態で使用される公知の材料が用いられる。多くの場合、オーステナイトやマルテンサイト、二層合金系などのステンレス鋼、高合金などが用いられる。
【0019】
容器の大きさは大きいと内部の温度が不均一になるので、30〜200L程度、好適には30〜100L程度の小型のものを用いればよく、処理時間は数分あれば十分である。例えば被処理物と蒸気投入に30秒〜1分、処理時間2〜5分、容器から被処理物を排除するのに30秒〜1分程度が好適な条件である。大量処理が必要な場合にはこのような小型容器を複数個用意する。例えば、コンベア上に置かれた被処理物からリミットスイッチによりバルブを介して開いた計量計に向けて被処理物が送り込まれ、所定量の被処理物が計量されたことを光センサーで感知したところでバルブを閉めて、所定量の被処理物が、容器に送り込まれる。相互の容器の被処理物や蒸気の入口と出口はそれぞれリミットスイッチにより所定の条件を満たすと開閉して、順次、水熱処理される。また、その後に爆砕処理する場合には、共通のブロータンクに被処理物が送り込まれる。このような小型容器を複数連動させることで、大型容器を所定の温度にするまでの昇温時間に比べて、短時間で所定温度に達することができ、容器内の温度分布が均一にできることと相俟って大型容器を用いて処理を行う以上に大量処理が可能である。
【0020】
爆砕処理、水熱処理、または、水熱処理及び爆砕処理後、必要に応じ、固形破断物からスクウィーズ、スクリュープレス、或いは遠心分離などの手段である程度水分を除去する。ここで「固形破断物」というのは、爆砕等により破砕されたものであり、破断が細かいため、一見すると固体と認識しにくい場合が多い。しかも、破断により細胞膜でそれまで保存されていた水分も外界に出るので、破断物と水分が混在している。そのため、本発明でいう「固形破断物」とは、固形破断物というより、ドロドロした液状といってもよい場合が多く、本発明でいう「固形破断物」とはこのような状態のものを包含する。水分除去工程により、固形破断物に放射性物質が付着していたり、固形破断物と放射性物質が同伴されていた場合に、水分除去の過程でそのような放射性物質が水分に溶けたり、同伴されるので、固形破断物中の放射性物質は相対的に減少し、次になされる水洗浄が不要になる場合もある。しかしながら、このような水分除去処理をしないで後述の吸着工程で水洗浄を合わせて行なってもよい。
【0021】
放射性物質を固形破断物から除去する必要がある場合には、固形破断物の水洗浄工程を行う。水洗浄は攪拌洗浄が好ましい。また、水洗浄の際に、固形破断物を振動させることも効果的である。かかる水洗浄は固形破断物中の放射能が問題とならないレベルになるまで繰り返し洗浄することで、固形破断物は通常の廃棄物と同様の処理が可能となる。かかる水洗浄は後述の吸着工程で同時に行なってもよい。
【0022】
次いで、爆砕処理、水熱処理、または、水熱処理及び爆砕処理された、少なくとも液分中の放射性物質を吸着剤により吸着させる。放射性物質の吸着は、化学吸着でも物理吸着でもよい。吸着剤としては、フェロシアン化物、ゼオライト、活性炭が例示される。中でもフェロシアン化物は少量で多くの放射性物質を吸着できるので好適である。その中でも、フェロシアン化鉄が好ましいが、フェロシアン化ニッケルその他のフェロシアン化物でも有用である。放射性ストロンチウムは放射性セシウムに吸着するので、フェロシアン化物で取りこまれた放射性セシウムともども取り込まれる。吸着剤はその吸着剤の吸着能力と水溶液中の放射性物質の量に応じて必要量を適宜選定する。このような吸着剤はカラムに充填して水溶液を通過させる形で接触させてもよいし、水溶液中に必要な量の吸着剤を投入して攪拌させるような形でもよい。攪拌であれば、前述の洗浄工程を兼ねて行なうことができる。また、液分ばかりでなく、固体破断物も攪拌される場に混在させてもよい。なお、前者のカラムに充填して水溶液を通過させる場合、吸着剤は、カラムに充填でき、流出しない程度の粒径のものでなければならない。また、後者の水溶液中に吸着剤を投入させる場合は水溶液中に吸着剤が浮遊していては困るので、吸着剤だけ凝集させて沈澱させることができる凝集沈殿剤を用いる必要がある。例えば、フェロシアン化物は特に造粒しない限り、微粉であるため、フェロシアン化物を造粒するか、あるいは微粉のままで使うのであれば、凝集剤を用いる。
【0023】
放射性物質を吸着した吸着剤と水溶液との混合物はそのまま、最終処分場に運びこみ、水分を自然蒸発させてもよいが、水溶液側の放射性物質は殆ど無視できる程度の量であるので、吸着剤と水溶液を分離して吸着剤のみを最終処分場に運び、水はそのまま排泄しても又は再利用しても環境に影響ない。吸着剤と水溶液との分離は、吸着剤の物性を考慮して、遠心分離、濾過などの方法により行われる。
【0024】
放射性物質を吸着した吸着剤は放射性の放射能が抑制できるような容器に収容保存する。容器の材質としてはコンクリート製、鉛製など、放射線を外界に放出する度合いを顕著に抑制できる材質であればよく、コンクリートが好適に用いられる。ここで容器は放射線を吸着した吸着剤の放射線量が大きいときには最終処分場の保管容器となるが、吸着剤の放射線量が少ないときには放射性物質を吸着した吸着剤を収容するまで容器の形態であればよく、収容後は口をコンクリートなどの封止材で封止し、別な用途、例えば、コンクリートであれば、コンクリートが本来用いられる用途、例えば、土木建築材に用いられる。放射性物質を吸着した吸着剤を容器に収容させるのには、生コンの原料の水とともに吸着剤を混ぜる方法が好適に用いられる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例により、本発明をより具体的に説明する。放射性セシウムであるセシウム137と非放射性セシウム133とは吸着性能が殆ど変わらないことが常識となっているので、以下の実施例では非放射性セシウム133で代用して実験を行なっている。
【0026】
(実施例1)
ひまわり(ビンセントダンジュリン)の茎を根元で切断し、3.923mgのセシウム133を溶解させた水80gに4日間常温で茎先端部を浸漬した後、水熱処理した。水熱処理は120℃、0.2MPaで30分間行なった。それに至るまでは常温、常圧から120℃、0.2MPaに直線的に温度、圧力を上昇させ、水熱処理後は常圧、常温に戻した。この後、水熱被処理液10mLにフェロシアン化鉄(市販顔料「紺青」)0.1g加え攪拌した。攪拌後、凝集剤「イオンリアクションN」(再生舎製市販品)を用い、フェロシアン化鉄を凝集沈殿させた。その後、0.20μmのメンブレンフィルター(RC15)で濾過し、濾液を10000rpmで10分間、遠心分離した後、1000倍の水で希釈した後、ICP−MSで濾液中のセシウム含量を測定し、その結果を表1に示した(表中の水熱処理後の「液体」に該当)。
【0027】
また、上記の水熱処理後の残渣を110℃で16時間かけて乾燥した。その中から0.1gを5mlの濃硝酸に溶かし、超音波で溶解速度を速めた。1000mlに稀釈し、ICP−MSで残渣中のセシウム含量を測定し、その結果を表1に示した(表中の水熱処理後の「固体」に該当)。表1で固体とはひまわり、水熱処理後の固体物を、液体とは浸漬した水、水熱処理後の液分を指す。
【0028】
(実施例2〜6)
水熱処理の温度と圧力を表1に示すように変えた他は実施例1と同様に行なった。その結果は表1に示した。表において水熱処理は浸漬四日後の固体(ひまわりの茎)について行なっているので、水熱処理後の固体と液体のセシウム含有量の和は浸漬四日後の固体の量と概ね一致するはずであるが、微量分析であることと、回収ロスもあり、誤差(数十%程度)を包含している。しかしながら、水熱処理の温度がイオン積の最大となる250℃に近いほど、固体中のセシウム含有量は少なくなり、液体部に移ることが明瞭である。
【0029】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、固体核燃料を用いる原子力発電所の事故や核兵器テロ、原爆実験などで汚染された環境浄化に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性物質を環境から取り込ませ或いは取り込んだ生物を爆砕処理、水熱処理、または、水熱処理及び爆砕処理する工程を経た後、少なくとも液分中の放射性物質を吸着剤により吸着させる工程からなる、放射性物質を生活環境において安全レベルにまで低減する方法。
【請求項2】
放射性物質を環境から取り込ませ或いは取り込んだ生物を水熱処理後に爆砕処理することを特徴とする請求項1記載の方法。

【公開番号】特開2013−36825(P2013−36825A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172430(P2011−172430)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【特許番号】特許第5018989号(P5018989)
【特許公報発行日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【出願人】(504229815)株式会社CDMコンサルティング (12)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【出願人】(594024268)財団法人原子力研究バックエンド推進センター (4)