説明

放射性物質用フィルタ

【解決課題】放射性廃棄物保管の問題点及び放射性廃棄物処理の問題点に鑑みて、解体作業の軽減及び廃棄物の減容化を達成する放射性物質用フィルタを提供する。
【解決手段】ポリプロピレンメルトブロー不織布の積層体のみからなる可燃性フィルタメディアと、ベニア合板からなる可燃性フレームと、ポリエチレン又はポリプロピレンコーティング紙からなる可燃性セパレータと、を含む可燃性素材のみからなる放射性物質用フィルタであって、フィルタユニット定格風量50.0m/minにおける圧力損失300Pa以下、JISZ4812による0.15μm粒子の捕集効率99.97%以上の放射性物質用フィルタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性物質用フィルタに関し、特に、すべての構成部材が可燃性である放射性物質用フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力施設やRI施設などの空気フィルタは、原子炉・放射性物質取扱施設等の廃棄系高性能エアフィルタ装置の捕集効率に関する措置(昭和48年6月20日)など設置基準が法律により定められており、JIS Z4812−1及びJIS B9908に準じて使用及び交換されるとになっている。使用済みフィルタは、放射性廃棄物として扱われるため、そのまま若しくは圧縮した後、残留放射能レベルが基準値以下になるまでの所定期間、保管施設内に保管しなければならない。所定期間の保管後、放射能レベルが許容範囲内に低下した使用済みフィルタを解体して、可燃性素材と不燃性素材とに分類し、可燃性素材を焼却処理している。原子力施設やRI施設などで使用されるフィルタは、610×610×292mmと大きく空間占有率が高いため減容化が必要である。しかし、主要構成部材であり放射性物質を吸着しているフィルタメディアは、ガラス繊維等の不燃性素材を含有しているため焼却処理することができず、圧縮保管だけでは減容化が進まないのが実情である。また、使用後の放射性物質用フィルタの廃棄処理には、放射性廃棄物処理上の制約(被爆対策、放射能漏れ対策など)があり、一般のフィルタと同様には解体・焼却処理できない。
【0003】
一方、原子力施設やRI施設などに使用するフィルタの性能として、0.15μm以上の粒子を99.97%以上の捕集効率で捕集でき、圧力損失が300Pa以下であることが必要とされる。現在、市販されている可燃性フィルタは、0.3μm以上の粒子を捕集できる性能しか達成できておらず、フィルタ性能を達成するためには不燃性又は難燃性素材を使用せざるを得ないのが実情である。さらに、市販されている可燃性フィルタは、ガラス繊維を含有するフィルタメディアを使用しているため、焼却処理するためには高出力の焼却炉を必要とし、焼却処理が限定されているのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−170423号公報
【特許文献2】特開2005−097758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、放射性廃棄物保管の問題点及び放射性廃棄物処理の問題点に鑑みて、解体作業の軽減及び廃棄物の減容化を達成する放射性物質用フィルタを提供することを目的とする。具体的には、0.15μm以上の粒子を99.97%以上の捕集効率で捕集でき、圧力損失が300Pa以下のフィルタ性能を実現し、焼却処理が可能な可燃性素材のみからなる放射性物質用フィルタを提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、当該放射性物質用フィルタの大量生産によるコスト削減を達成すべく、機械加工可能な新規なフィルタメディア及び当該フィルタメディアの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、本発明者らは、特定のフィルタメディアを使用した可燃性素材のみからなる放射性物質用フィルタ、新規なフィルタメディア及びその製造方法を発明するに至った。
【0008】
本発明によれば、ポリプロピレンメルトブロー不織布の積層体のみからなる可燃性フィルタメディアと、ベニア合板からなる可燃性フレームと、ポリプロピレン又はポリエチレンコーティング紙からなる可燃性セパレータと、を含む可燃性素材のみからなる放射性物質用フィルタであって、フィルタユニット定格風量50.0m/minにおける圧力損失300Pa以下、JIS Z4812による0.15μm粒子の捕集効率99.97%以上の放射性物質用フィルタが提供される。フィルタメディアは、ポリプロピレンメルトブロー不織布のみで構成され、ガラス繊維などの難燃性素材を含まない。可燃性フレーム及び可燃性セパレータは、大型の排気ダクトに設置して大量の通気量に耐えることができる強度を有し、解体後の粉砕処理が可能でチップ化しやすく焼却処理が容易であることが必要である。可燃性フレームとしてはベニア合板が好ましく、可燃性セパレータとしてはポリプロピレン又はポリエチレンをコーティングした紙が好ましい。
【0009】
本発明の放射性物質用フィルタの可燃性フィルタメディアは、ポリプロピレンメルトブロー不織布の積層体表面が0.15以上の平均摩擦係数MIUを有することが好ましい。平均摩擦係数MIUが0.15未満であると、ポリプロピレンメルトブロー不織布の積層体表面が滑りやすく、機械加工に適さないため好ましくない。
【0010】
本発明の放射性物質用フィルタの可燃性フィルタメディアは、ポリプロピレンメルトブロー不織布の積層体表面に15%以下のグラフト率でグラフト鎖が導入されていることが好ましい。グラフト率が15%を超えると、フィルタメディアが硬くなり、破損しやすくなるので好ましくない。
【0011】
本発明で使用する可燃性フィルタメディアは、エチレングリコール・ジメタクリレート、又はトリメチロールプロパン・トリメタクリレートのn−プロピルアルコール溶液を表面に塗布したポリプロピレン系メルトブロー不織布に、5〜20kGyの照射量でγ線又は電子線を照射する放射線グラフト重合によりグラフト鎖が導入されていることが好ましい。
【0012】
よって、本発明によれば、ポリプロピレンメルトブロー不織布表面に、エチレングリコール・ジメタクリレート又はトリメチロールプロパン・トリメタクリレートのn−プロピルアルコール溶液を塗布して、5〜20kGyの照射量でγ線又は電子線を照射して、グラフト鎖を導入することを特徴とする、放射性物質用フィルタの可燃性フィルタメディアの製造方法も提供される。
【0013】
エチレングリコール・ジメタクリレートは、n−プロピルアルコール溶液中20vol%以下の含有量であることが好ましく、トリメチロールプロパン・トリメタクリレートは、n−プロピルアルコール溶液中3vol%以下の含有量であることが好ましい。これらの含有量よりも多量であると、グラフト鎖の導入量が増加して、フィルタメディアが硬くなりすぎるので好ましくない。
【0014】
γ線又は電子線照射後、脱気してフィルメディアとする。この脱気処理は、75〜85℃にて3〜24時間加熱することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の放射性物質用フィルタは、すべての構成素材が可燃性であるため、保管後の廃棄処理時に使用後のフィルタの構成要素をすべて容易に焼却処理することが可能となり、廃棄物の減容化が達成される。従来の放射性物質用フィルタの使用後の廃棄処理には、複数の作業者が被爆対策をした上で、被爆対策設備内にて、(1)解体・分解作業、(2)可燃性素材と不燃性素材との分別作業、(3)フィルタメディアの圧縮などの減容化作業、(4)不燃性素材の保管、可燃性素材の焼却処理が必要である。(1)〜(3)の作業は、作業者の被爆が問題となるため、作業時間及び作業設備上の制約があった。(4)の保管及び焼却処理は、(1)〜(3)の作業での処理が不完全である場合には、放射能漏れや焼却炉の損傷などの問題があった。本発明の放射性物質用フィルタは、すべての構成要素が可燃性で且つ粉砕が可能であるため、(2)の作業が不要で、従来の放射性物質用フィルタと比べて(1)〜(3)の作業時間の大幅な短縮及び作業負荷の低減を達成でき、結果的に(4)の保管・焼却処理の問題を解決できる。
【0016】
また、本発明の製造方法により製造されるフィルタメディアは、機械加工が可能であるため、大量生産によるコスト削減を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、RI施設の排気ダクトに設置する本発明の放射性物質用フィルタの図面代用写真である。
【図2】図2は、(1)開封、(2)ビス外し、(3)枠外し、(4)枠撤去、(5)(6)フィルタメディアの切断分離、(7)フィルタメディアの分離、(8)フィルタメディアの圧縮減容、(9)梱包・保管の各工程からなる、本発明の放射性物質用フィルタの分解工程を示す写真代用図面である。
【発明を実施するための態様】
【0018】
図2に示すように、本発明の放射性物質用フィルタは、可燃性フィルタメディアと、可燃性フレームと、可燃性セパレータと、からなる。本発明の放射性物質用フィルタは、図1に示すように、RI施設の排気ダクトなどに設置して使用する。以下、各構成部材について詳細に説明する。
【0019】
1.可燃性フィルタメディア
(1)不織布
本発明で使用するフィルタメディアは、JIS Z4812に規定するフィルタメディア通過風速5.3cm/sにおける圧力損失275Pa以下、0.3μm以下の粒子の捕集効率が99.99%以上を満たすことが必要である。表1に、9種類の不織布についてJIS Z4812準拠適用規格AFI(AIR FILTER INSTITUTE)質量法DOP(0.15μmフタル酸ジオクチル粒子)捕集効率を測定した結果を示す。表1に示す9種類の不織布サンプルでは、サンプル5(ポリプロピレンスパンボンドとポリプロピレンケミカルボンドとをラミネートしたポリプロピレン不織布の積層体)を除いて、JIS Z4812準拠適用規格を満たす。
【0020】
次に、フィルタユニットとしての性能を確認するため、表1に示す9種類の不織布を610×610×292mmのフィルタメディアに加工し、ポリエチレンテレフタレートコーティング紙で作製したセパレータと共にベニア合板を加工したフレームに組み込み、フィルタユニットを製作した。このフィルタユニットを用いて、フィルタフィルタユニット定格風量50.0cm/minにおける圧力損失、0.15μm以下の粒子の捕集効率を測定した。表1に示すように、サンプル1が、圧力損失300Pa以下、0.15μm以下の粒子を99.97%以上の捕集効率で捕集することができた。
【0021】
以上の結果から、本発明の放射性物質用フィルタの可燃性フィルタメディアとしては、ポリプロピレンメルトブロー不織布の積層体(サンプル1)が好ましいことがわかった。
(2)機械加工特性
通常、フィルタメディアは、捕集効率を向上させるべく表面積をできるだけ大きく確保するために、波形に加工する。フィルタは消耗品であり、大量生産できることが望ましいことから、フィルタメディアは機械加工により製作できることが好ましい。表1に示す9種類の不織布の機械加工に必要な物性の目標値として、0.1g・cm/cm以上の曲げ剛性、0.1g・cm/cm以上の曲がり戻り性、0.2gf・cm/cm以上の圧縮仕事量、20%以上の圧縮回復性、0.15MIU以上の平均摩擦係数を有するか否かを計測した。表1に示す9種類の不織布はすべて上記各項目をすべて満たしたことを確認した上で、波形に機械加工した。機械加工した結果が良好である場合に「○」、機械加工の結果、波形の蛇行や折り曲げムラが生じた場合に「△」、機械加工ができなかった場合に「×」と評価した結果を表1に併せて示す。
【0022】
表1より、サンプル1は機械加工には適さないが放射性物質用フィルタに必要な物性をすべて具備していることがわかる。機械加工に適さない場合には、手織り加工してフィルタメディアとして使用することができる。
【0023】
【表1】

【0024】
(3)不織布の表面改質
本発明の放射性物質用フィルタのフィルタメディアとしては、放射線グラフト処理を行う表面改質により機械加工特性を改善したポリプロピレンメルトブロー不織布の積層体を使用することができる。特に、放射線グラフト処理により、15%以下のグラフト率でグラフト鎖が表面に導入されたポリプロピレンメルトブロー不織布の積層体が好ましい。グラフト率が15%を超えると、表面が硬くなりすぎて可撓性がなくなり、フィルタメディアへの機械加工に適さない。
【0025】
以下、本発明のフィルタメディアに機械加工できるフィルタメディア素材を得るために好適な放射線グラフト処理について説明する。
放射線グラフト処理に用いる放射線としては、5〜20kGyの照射線量のγ線又は電子線を好ましく使用できる。照射線量が低すぎると表面改質に必要なグラフト鎖の導入が達成されず、高すぎるとグラフト鎖の導入が進みすぎて硬くなりすぎて可撓性がなくなり、フィルタメディアへの機械加工に適さない。
【0026】
導入するモノマーとしては、エチレングリコール・ジメタクリレート(式1)又はトリメチロールプロパン・トリメタクリレート(式2)を好ましく使用できる。
【0027】
【化1】

【0028】
【化2】

【0029】
モノマーは、n−プロピルアルコール溶液として用いることが好ましい。エチレングリコール・ジメタクリレートを用いる場合には20vol%以下、トリメチロールプロパン・トリメタクリレートを用いる場合には2.5vol%以下のn−プロピルアルコール溶液中濃度とすることが好ましい。上記範囲よりも多く用いると、グラフト率が高くなりすぎ、フィルタメディアとして必要な圧力損失要件を満たさなくなるので好ましくない。
【0030】
放射線グラフト処理は、ポリプロピレンメルトブロー不織布の積層体に、モノマーのn−プロピルアルコール溶液を塗布して、空気中、室温にて5〜20kGyの照射量で電子線又はγ線を照射し、その後、75〜85℃に3〜24時間保持して脱気処理することにより行うことが好ましい。
【0031】
2.可燃性フレーム
原子炉施設及びIR施設に設置する市販のフィルタのフレームは、難燃性合板を使用している。本発明では、粉砕処理工程においてチップ化しやすく、完全燃焼する素材として、ベニア合板を使用する。ベニア合板をフレームに組み立てる際には、不燃性である金属性部品を一切用いず、木製ビスなどの可燃性ビス及び可燃性接着剤を用いる。可燃性接着剤としては、シリコンなど焼却炉に損傷を与える成分を含まない変性エポキシ系接着剤を用いる。また、本発明で使用するベニア合板は、JIS Z4812の多流量(4.3圧力変形抵抗において破損及び変形しないこと)で300Pa以下の圧力損失条件で耐える強度として150kg/mm以上の曲げ強度を有することが必要である。
【0032】
3.可燃性セパレータ
原子炉施設及びIR施設に設置する市販のフィルタのセパレータは、アルミニウム製である。本発明では、粉砕処理工程においてチップ化しやすく、完全燃焼する素材として、表面をポリエチレン又はポリプロピレンでコーティングした紙を使用することができる。また、本発明で使用する可燃性セパレータは、JIS Z4812の多流量(4.3圧力変形抵抗において破損及び変形しないこと)で300Pa以下の圧力損失条件で耐える強度として50kg/mm以上の曲げ強度を有することが必要である。
【実施例】
【0033】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
表1に示す9種類の不織布のうち、サンプル1をフィルタメディアとして用いてフィルタユニットを製作し、1ヶ月間、原子炉施設の排気ダクトに装着してフィールド試験を行った。耐圧性、保守効率、圧力損失特性、耐性について総合評価を行ったところ、実使用に支障のないことが確認できた。
【0034】
また、使用後のフィルタユニットを解体せずに高圧粉砕装置に投入して粉砕処理を行いチップ化して、焼却処理できることを確認した。
[実施例2]
表1のサンプル1に各種モノマーを用いて放射線グラフト処理して得られたフィルタメディアを用いてフィルタユニットを製作し、図1に示すように、原子炉施設の排気ダクトに装着して、1ヶ月間のフィールド試験を行った。
【0035】
表2に示すモノマーのn−プロピルアルコール溶液を不織布サンプル1の表面に噴霧器で1〜5μmの厚みになるように均一に塗布して、照射線量20kGyのγ線を照射し(10kGyで2時間の照射)、80℃±5℃で24時間加熱して脱気した。得られたグラフト不織布の機械加工性及び圧力損失特性を評価した。機械加工性は、0.1g・cm/cm以上の曲げ剛性、0.1g・cm/cm以上の曲がり戻り性、0.2gf・cm/cm以上の圧縮仕事量、20%以上の圧縮回復性、0.15MIU以上の平均摩擦係数を有するか否かで評価し、すべての項目を満たす場合に「○」、1項目でも欠ける場合には「×」とした。圧力損失特性は、JIS Z4812に規定するフィルタメディア通過風速5.3cm/sにおける圧力損失275Pa以下、0.3μm以下の粒子の捕集効率が99.99%以上を満たすか否かで評価し、満足する場合に「○」とした。結果を表2に示す。
【0036】
表2より、20vol%以下のエチレングリコール・ジメタクリレート/n−プロピルアルコール溶液及び2.5vol%以下のトリメチロールプロパン・トリメタクリレート/n−プロピルアルコール溶液が、本発明のフィルタメディアとして使用できることがわかる。
【0037】
表1のサンプル1(ポリプロピレンメルトブロー不織布)に20vol%以下のエチレングリコール・ジメタクリレート/n−プロピルアルコール溶液及び2.5vol%以下のトリメチロールプロパン・トリメタクリレート/n−プロピルアルコール溶液を用いて20kGyのγ線による放射線グラフト処理をして得られたグラフト不織布の積層体を機械加工してフィルタメディアを作製し、実施例1と同様にフィルタユニットを製作してフィールド試験を行った。耐圧性、保守効率、圧力損失特性、耐性について総合評価を行ったところ、実使用に支障のないことが確認できた。
【0038】
また、使用後のフィルタユニットを解体せずに高圧粉砕装置に投入して粉砕処理を行いチップ化して、焼却処理できることを確認した。
【0039】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレンメルトブロー不織布の積層体のみからなる可燃性フィルタメディアと、
ベニア合板からなる可燃性フレームと、
ポリエチレン又はポリプロピレンでコーティングした紙からなる可燃性セパレータと、
を含む可燃性素材のみからなる放射性物質用フィルタであって、フィルタユニット定格風量50.0m/minにおける圧力損失300Pa以下、JISZ4812による0.15μm粒子の捕集効率99.97%以上の放射性物質用フィルタ。
【請求項2】
前記可燃性フィルタメディアは、ポリプロピレンメルトブロー不織布の積層体表面は0.15以上の平均摩擦係数MIUを有することを特徴とする、請求項1に記載の放射性物質用フィルタ。
【請求項3】
前記可燃性フィルタメディアは、ポリプロピレンメルトブロー不織布の積層体表面に15%以下のグラフト率でグラフト鎖が導入されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の放射性物質用フィルタ。
【請求項4】
前記可燃性フィルタメディアは、エチレングリコール・ジメタクリレート、又はトリメチロールプロパン・トリメタクリレートのn−プロピルアルコール溶液を表面に塗布したポリプロピレン系メルトブロー不織布に、5〜20kGyの照射量でγ線又は電子線を照射する放射線グラフト重合によりグラフト鎖が導入されていることを特徴とする、請求項3に記載の放射性物質用フィルタ。
【請求項5】
エチレングリコール・ジメタクリレートは、n−プロピルアルコール溶液中20vol%以下の含有量である、請求項4に記載の放射性物質用フィルタ。
【請求項6】
トリメチロールプロパン・トリメタクリレートは、n−プロピルアルコール溶液中3vol%以下の含有量である、請求項4に記載の放射性物質用フィルタ。
【請求項7】
ポリプロピレンメルトブロー不織布表面に、エチレングリコール・ジメタクリレート又はトリメチロールプロパン・トリメタクリレートのn−プロピルアルコール溶液を塗布して、5〜20kGyの照射量でγ線又は電子線を照射して、グラフト鎖を導入することを特徴とする、放射性物質用フィルタの可燃性フィルタメディアの製造方法。
【請求項8】
エチレングリコール・ジメタクリレートは、n−プロピルアルコール溶液中20vol%以下の含有量である、請求項7に記載の放射性物質用フィルタの可燃性フィルタメディアの製造方法。
【請求項9】
トリメチロールプロパン・トリメタクリレートは、n−プロピルアルコール溶液中3vol%以下の含有量である、請求項7に記載の放射性物質用フィルタの可燃性フィルタメディアの製造方法。
【請求項10】
γ線又は電子線照射後、75〜85℃にて3〜24時間加熱する工程をさらに含む、請求項7に記載の放射性物質用フィルタの可燃性フィルタメディアの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−3055(P2013−3055A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136720(P2011−136720)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(505374783)独立行政法人日本原子力研究開発機構 (727)
【出願人】(391017528)日本放射線エンジニアリング株式会社 (4)
【出願人】(511150263)関計株式会社 (1)
【Fターム(参考)】