説明

放射標識されたPDE10阻害剤

本発明は、哺乳類中のPDE10を定量的に画像化する放射性トレーサとして有用な、一般構造式Iの放射標識されたピリミジノン化合物に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、新規なPDE10阻害剤、および哺乳類中のPDE10を定量的に画像化する放射性トレーサとしてのそれらの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
非侵襲性核画像化技術は、実験動物、正常なヒトおよび患者を含む種々の生きている対象の生理学および生化学に関する基本的情報および診断情報を得るために使用することができる。これらの技術は、そのような生きている対象に投与された放射性トレーサから放射される放射線を検出することができる、複雑化した画像処理機器の使用に依存している。得られた情報は、時間の関数として放射性トレーサの分布を明らかにする平面状の断層画像を得るために再構築することができる。適切に設計された放射性トレーサを使用することにより、対象の構造、機能および最も重要な生理学的および生化学的な情報を含む画像を得ることができる。この情報の多くは、他の手段で得ることはできない。これらの研究で使用される放射性トレーサは、対象の生理学または生化学、あるいは種々の疾患または薬物の対象の生理学または生化学に対する効果に関する特定の情報の測定を可能にする、インビボで規定された挙動を示すように設計される。現在、放射性トレーサは、心機能、心筋血流、肺血潅流、肝機能、脳血流、局所脳グルコースおよび酸素代謝のようなものに関する有用な情報を得るために、利用することができる。
【0003】
化合物を、陽電子またはγ線放射性核種で標識することができる。画像化のために、最も一般的に使用される陽電子放射性(PET)核種は、11C、18F、15Oおよび13Nであり、これらは全て、アクセレレータで製造され、それぞれ、20分、110分、2分および10分の半減期を持つ。これらの核種の半減期は非常に短いので、アクセレレータを有する研究機関のそれらの製造現場あるいは非常に近い所での使用のみが使用可能であるため、それらの使用は限られている。数種のγ線を放射する放射性トレーサが入手可能であり、これらは、米国の実質的にどんな病院でもおよび世界中のほとんどの病院で使用することができる。これらの中で最も広く使用されているものは、99mTc、201Tlおよび123Iである。
【0004】
この20年で、核医学研究の最も活性な領域の1つが、受容体画像化放射性トレーサの開発である。これらのトレーサは、高い親和性および選択性で、選択的受容体および神経性受容体に結合する。成功例として、以下の受容体系、エストロゲン、ムスカリン作用薬、ドーパミンD1およびD2、アヘン剤、神経ペプチド−Y、カンナミノイド−1およびニューロキニン−1を画像化するための放射性トレーサが挙げられる。
【0005】
統合失調症は、脳の精神的機能および運動機能に影響する衰弱性障害である。普通、幼児期から20代半ばまでの個人に診断され、症状として、幻覚および妄想、またはその一方で、快感消失または社会的引きこもりが挙げられる。症状は、認知障害および機能障害の領域に広く表れる。抗精神病薬治療の改善にもかかわらず、定型(ハロペリドール)および非定型(クロザピンまたはオランザピン)抗精神病薬を含む現在の治療は、決して許容し得るものではなく、薬物服用を守らないあるいは中断する率が非常に高い結果となっている。治療に対する不満は、効き目がなく、または耐え難く許容できない副作用のせいである。副作用は、重大な代謝、錐体外路、プロラクチンおよび心臓の有害事象と関連する。臨床抗精神病試験介入効果(CATIE)の結果を挙げている、Liebermanら、N.Engl.J.Med.(2005)353:1209〜1223を参照。
【0006】
複数の経路が、精神障害および認知不測に導く統合失調症の発病に関与していると考えられるが、多くの注目が、環状グアノシン一リン酸(cGMP)濃度に関連するグルタミン酸塩/NMD機能障害、および環状アデノシン一リン酸(cAMP)に関連するドーパミン作動性D2受容体の役割に集まっている。これらの偏在する第二メッセンジャは、多くの細胞内タンパク質の機能の変化に関与する。環状AMPは、cAMP−依存性タンパク質キナーゼ(PKA)の活性を制御すると考えられ、これは次にリン酸化し、イオンチャネル、酵素および転写因子を含む多くのタイプのタンパク質を制御する。同様に、cGMPもキナーゼおよびイオンチャネルの下流制御に関与している。
【0007】
cAMPおよびcGMPのような環状ヌクレオチドの濃度に作用する一経路は、3’,5’−環状ヌクレオチド特異ホスホジエステラーゼ(PDE)として知られる、これらの酵素を分解する酵素を変化させるまたは制御することである。PDEスーパーファミリは、PDEの11のファミリをエンコードする21個の遺伝子を含む。これらのファミリは、さらに、触媒ドメインの相同性および基質特異性に基づいてさらに細区画され、1)cAMP特異的、PDE4A−D、7Aおよび7B、および8Aおよび8B、2)cGMP特異的、PDE5A、6A−Cおよび9A、ならびに3)二重基質のもの、PDE1A−C、2A、3Aおよび3B、10A、および11Aが挙げられる。ファミリ間の相同性が20%〜45%の範囲であるということは、これらのサブタイプのそれぞれに関し選択的阻害剤を開発することができるかもしれないことを示唆している。
【0008】
PDE10の識別は、3つのグループによって独立して報告され、そのアミノ酸配列、機能特性および組織分布に基づいて、他のPDEから区別された(Fujishigeら、J.Biol.Chem、(1999)274:18438−18445;Loughneyら、Gene(1999)234:109〜117;Soderlingら、PNAS、USA(1999)96:7071〜7076)。現在、PDE10サブタイプは、N末端(3種のバリアント)およびC末端(2種のバリアント)の両方で、選択的スプライスバリアントを有する単一メンバーPDE10Aで構成されているが、N末端のGAFドメインまたはC末端の触媒部位には影響しない。N末端スプライスバリアント、PDE10AlおよびPDE10A2は、A2バリアントは、活性化時、すなわちcAMP濃度の上昇に応えてPKAリン酸化反応が起こる時、細胞内変化により、酵素の局在化を起こすPKAリン酸化反応部位を有する点で相違する。PDE10Aは、保存GAFドメインを有する他のPDEファミリとは、そのリガンドがcAMPであり、PDE中の他のGAFドメインでは、リガンドがcGMPである点で特有である(Kehlerら、Expert Opin.Ther.Patents(2007)17(2):147〜158)。PDE10Aは、脳および精巣において、限定されているが高く発現する。PDE10に特有の、脳、特に線条体のニューロンでの高い発現は、PDE10Aからの阻害剤は、神経性および精神医学的な障害および状態の治療によく適しているかもしれないことを示唆する。
【0009】
PET(陽電子放出断層撮影)放射性トレーサおよび画像化技術は、臨床評価およびPDE10阻害剤の用量選択の有力な方法を提供するかもしれない。したがって、本発明は、インビトロおよびインビボ両方で、診査および画像診断用途、および放射標識されたおよび標識されていないPDE10阻害剤を使用する競合研究に有用な放射標識されたPDE10阻害剤に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Liebermanら、N.Engl.J.Med.(2005)353:1209〜1223
【非特許文献2】Fujishigeら、J.Biol.Chem、(1999)274:18438−18445
【非特許文献3】Loughneyら、Gene(1999)234:109〜117
【非特許文献4】Soderlingら、PNAS、USA(1999)96:7071〜7076
【非特許文献5】Kehlerら、Expert Opin.Ther.Patents(2007)17(2):147〜158
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、ホスホジエステラーゼ10(PDE10)に関連する中枢神経系障害を治療するための治療剤として有用な、一般構造のピリミジノン化合物および放射標識された誘導体に関する。また、本発明は、神経性および精神医学的障害、および特に統合失調症、ハンチントン病または線条体機能低下または基底核機能障害に関連する精神障害の治療に有用なPDE10阻害剤に関する。
【0012】
また、本発明の化合物は、哺乳類中のPDE10をインビボで定量的に画像化するためのPETトレーサ技術による、放射標識されたPDE10阻害剤の用途にも関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、構造式IのPDE10阻害剤および誘導体、またはその医薬的に許容し得る塩および個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーに関する。
【化1】

【0014】
(式中、
Aは、
(1)C3−10シクロアルキル、
(2)C6−10アリール、
(3)C5−10ヘテロアリールおよび、
(4)C5−10ヘテロシクリルからなる群から選択され、
ここで上記シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルは、それぞれ、場合により、1〜3個のR基で置換され;
Arは、
(1)−(CH3−10シクロアルキル、
(2)−(O)(CH6−10アリール、
(3)−(CH5−10ヘテロアリールおよび、
(4)−(CH5−10ヘテロシクリルからなる群から選択され、
ここで、上記シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルは、それぞれ、場合により、1〜3個のR基で置換され;
Rは、
(1)−(CH5−10ヘテロアリール、
(2)−(CH5−10ヘテロシクリル、
(3)−(CHNRC(O)NRおよび、
(4)−(CHNRC(O)Rからなる群から選択され、
ここで、それぞれ、場合により、1〜3個のR基で置換され;
およびRは、それぞれ独立して、
(1)水素、
(2)ヒドロキシル、
(3)非置換または1個以上のハロゲンで置換されている−C1−6アルキル、
(4)−(CH)CF
(5)−(CHF、
(6)−C3−10シクロアルキル、
(7)−C6−10アリール、
(8)−C5−10ヘテロアリールおよび、
(9)−C5−10ヘテロシクリルからなる群から選択され、
ここで、上記シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、それぞれ、場合により、1〜3個のR基で置換され;
は、
(1)ハロゲン、
(2)ヒドロキシル、
(3)非置換または1個以上のハロゲンで置換されている−C1−6アルキル、
(4)−C3−6シクロアルキル、
(5)−NRC(O)R
(6)−C(O)N(R
(7)−C(ROR
(8)−C(O)R
(9)−NO
(10)−CN、
(11)−N(R
(12)−C(O)OR
(13)−OR
(14)−(CH5−10ヘテロシクリル、
(15)−(CH6−10アリールおよび、
(16)−(CH5−10ヘテロアリールからなる群から選択され、
ここで、上記ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールは、それぞれ、場合により、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシル、
(c)−C1−6アルキル、
(d)−CN、
(e)−(CHCFまたは、
(f)−C6−10アリールの1〜3個の基で置換され;
nは、独立して、0〜4であり;および、
pは、独立して、0または1であり、
またはその放射標識された誘導体および医薬的に許容し得る塩である。)
下位の実施形態では、Rは、
(1)ハロゲン、
(2)ヒドロキシル、
(3)−C1−6アルキルであって、非置換または1個以上のハロゲンで置換されているアルキル、
(4)−CN
(5)−C(O)OR
(6)−OR
(7)−(CH5−10ヘテロシクリル、
(8)−(CH6−10アリールおよび、
(9)−(CH5−10ヘテロアリールからなる群から選択され、
ここで上記ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールは、それぞれ場合により、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシル、
(c)−C1−6アルキル、
(d)−CN、
(e)−(CHCFおよび、
(f)−C6−10アリール
の1〜3個の基で置換されている。
【0015】
別の下位の実施形態では、Rは、
(1)フッ素、
(2)塩素、
(3)ヒドロキシル、
(4)非置換または1個以上のハロゲンで置換されている−メチル、
(5)−CN、
(6)−C(O)O−t−ブチル、
(7)メトキシ、
(8)プロポキシ、
(9)フェニル、
(10)−O(CHF、
(11)ピリジル、(ここで、ピリジルは場合により、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシル、
(c)−C1−6アルキル、
(d)−CN、
(e)−(CHCFまたは
(f)−C6−10アリールの1〜3個の基で置換されている)
からなる群から選択される。
【0016】
本発明の実施形態では、Aは、場合によりRの1〜3個の基で置換されている−(CH6−10アリールであり、および他の全ての変化し得るものは、先に記載したとおりである化合物が挙げられる。本発明の別の実施形態は、上記アリールがフェニルの場合である。
【0017】
本実施形態では、Aは、場合によりRの1〜3個の基で置換されている−(CH5−10ヘテロアリールであり、および他の全ての変化し得るものは、先に記載したとおりである化合物が挙げられる。本発明の別の実施形態では、上記ヘテロアリールがピリジルである場合である。
【0018】
本発明の実施形態では、Arは、場合によりRの1〜3個の基で置換されている−(CH6−10アリールであり、および他の全ての変化し得るものは、先に記載したとおりである化合物が挙げられる。本発明の別の実施形態は、上記アリールがフェニルである場合である。
【0019】
本発明の実施形態では、Arは、場合によりRの1〜3個の基で置換されている−(CH5−10ヘテロシクリルであり、および他の全ての変化し得るものは、先に記載したとおりである化合物である。本発明の別の実施形態は、上記ヘテロシクリルは、インドールおよびインダゾールからなる群から選択される場合である。
【0020】
本発明の実施形態として、Rは、場合によりRの1〜3個の基で置換されている−(CH5−10ヘテロシクリルであり、および他の全ての変化し得るものは、先に記載したとおりである化合物が挙げられる。本発明の別の実施形態は、nは1〜3、好ましくは2であり、上記ヘテロシクリルは、
(a)インドールおよび、
(b)フタリミジルからなる群から選択される場合である。
【0021】
本発明の実施形態として、Rは、場合によりRの1〜3個の基で置換されている−(CHNRC(O)NRであり、および他の全ての変化し得るものは、先に記載したとおりである化合物が挙げられる。本発明の別の実施形態は、Rは水素であり、Rは−C−C10アリールである場合である。本発明の別の実施形態は、上記−C−C10アリールは、ビフェニルである場合である。
【0022】
本発明の実施形態は、AおよびArは、−(CH6−10アリールであり、それぞれ、場合によりRの1〜3個の基で置換され、および他の全ての変化し得るものは、先に記載したとおりである場合である。
【0023】
本発明の実施形態は、AおよびArは、フェニルであり、Rは−(CH5−l0ヘテロシクリルであり、それぞれ、場合によりRの1〜3個の基で置換され、および他の全ての変化し得るものは、先に記載したとおりである場合である。本発明の別の実施形態は、nは1〜3、好ましくは2であり、上記ヘテロシクリルは、
(1)インドールおよび、
(2)フタリミジル
からなる群から選択される場合である。
【0024】
本発明の実施形態は、構造式IIaによって実現する。
【化2】

【0025】
(式中、
Arは、
(1)フェニル、
(2)インドール、
(3)インダゾールおよび、
(4)ビフェニルからなる群から選択され、
ここで、それぞれ、場合によりRの1〜3個の基で置換され、および他の全ての変化し得るものは、先に記載したとおりである。)本発明の別の実施形態は、Rは、場合によりRの1〜3個の基で置換されている、−(CH5−l0ヘテロシクリルまたは−(CHNRC(O)NRであり、および他の全ての変化し得るものは、先に記載したとおりである場合である。本発明のさらに別の実施形態は、nは1〜3、好ましくは2であり、および上記ヘテロシクリルは、
(1)インドールおよび、
(2)フタリミジル
からなる群から選択される場合である。
【0026】
式IIaの化合物の別の実施形態は、Arはフェニルであり、およびRは、場合によりRの1〜3個の基で置換されている、−(CH5−10ヘテロシクリルまたは−(CHNRC(O)NRであり、および他の全ての変化し得るものは、先に記載したとおりである場合である。本発明のさらに別の実施形態は、nは1〜3、好ましくは2であり、および上記ヘテロシクリルは、
(1)インドールおよび、
(2)フタリミジルからなる群から選択される場合である。
【0027】
式IIaの化合物の別の実施形態は、Arはインドールであり、およびRは、場合によりRの1〜3個の基で置換されている、−(CH5−10ヘテロシクリルまたは−(CHNRC(O)NRであり、および他の全ての変化し得るものは、先に記載したとおりである場合である。本発明のさらに別の実施形態は、nは1〜3、好ましくは2であり、および上記ヘテロシクリルは、
(1)インドールおよび、
(2)フタリミジルからなる群から選択される場合である。
【0028】
式IIaの化合物の別の実施形態は、Arは、インダゾールであり、およびRは、場合によりRの1〜3個の基で置換されている−(CH5−10ヘテロシクリルまたは−(CHNRC(O)NRであり、および他の全ての変化し得るものは、先に記載したとおりである場合である。本発明のさらに別の実施形態は、nは1〜3、好ましくは2であり、および上記ヘテロシクリルは、
(1)インドールおよび、
(2)フタリミジルからなる群から選択される場合である。
【0029】
式11aの化合物の別の実施形態は、Arはビフェニルであり、Rは、場合によりRの1〜3個の基で置換されている、−(CH5−10ヘテロシクリルまたは−(CHNRC(O)NRであり、および他の全ての変化し得るものは、先に記載したとおりである場合である。本発明のさらに別の実施形態は、nは1〜3、好ましくは2であり、および上記ヘテロシクリルは、
(1)インドール、
(2)インドール−ジオン、
(3)イソインドールおよび、
(4)イソインドール−ジオンからなる群から選択される場合である。
【0030】
下位の実施形態では、Rは、
(1)ハロゲン、
(2)ヒドロキシル、
(3)非置換または1個以上のハロゲンで置換されている−C1−6アルキル、
(4)−CN、
(5)−C(O)OR
(6)−OR
(7)−(CH5−10ヘテロシクリル、
(8)−(CH6−10アリールおよび、
(9)−(CH5−10ヘテロアリールからなる群から選択され、
ここで、上記ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールは、それぞれ場合により、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシル、
(c)−C1−6アルキル、
(d)−CN、
(e)−(CHCFまたは、
(f)−C6−10アリールの1〜3個の基で置換されている。
【0031】
別の下位の実施形態では、Rは、
(1)フッ素、
(2)塩素、
(3)ヒドロキシル、
(4)非置換または1個以上のハロゲンで置換されている−メチル、
(5)−CN、
(6)−C(O)O−t−ブチル、
(7)メトキシ、
(8)プロポキシ、
(9)フェニル、
(10)−O(CHFおよび、
(11)ピリジルからなる群から選択され、ここで、上記ピリジルは、場合により、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシル、
(c)−C1−6アルキル、
(d)−CN、
(e)−(CHCFまたは、
(f)−C6−l0アリールの1〜3個の基で置換されている。
【0032】
本発明の実施形態は、構造式IIbによって、実現される。
【化3】

【0033】
(式中、
Arは、
(1)フェニル、
(2)インドール、
(3)インダゾールおよび、
(4)ビフェニルからなる群から選択され、
ここで、それぞれ、場合により、Rの1〜3個の基で置換され、および他の全ての変化し得るものは、先に記載したとおりである。)本発明の別の実施形態は、Rは、場合によりRの1〜3個の基で置換されている、−(CH5−10ヘテロシクリルまたは−(CHNRC(O)NRであり、および他の全ての変化し得るものは、先に記載したとおりである場合である。本発明のさらに別の実施形態は、nは1〜3、好ましくは2であり、上記ヘテロシクリルは、
(1)インドールおよび、
(2)フタリミジルからなる群から選択される場合である。
【0034】
式IIbの化合物の別の実施形態は、Arはフェニルであり、およびRは、場合によりRの1〜3個の基で置換されている、−(CH5−10ヘテロシクリルまたは−(CHNRC(O)NRであり、および他の全ての変化し得るものは、先に記載したとおりである場合である。本発明のさらに別の実施形態は、nは1〜3、好ましくは2であり、および上記ヘテロシクリルは、
(1)インドールおよび、
(2)フタリミジルからなる群から選択される場合である。
【0035】
式IIbの化合物の別の実施形態は、Arはインドールであり、およびRは、場合によりRの1〜3個の基で置換されている、−(CH5−10ヘテロシクリルまたは−(CHNRC(O)NRであり、および他の全ての変化し得るものは、先に記載したとおりである場合である。本発明のさらに別の実施形態は、nは1〜3、好ましくは2であり、および上記ヘテロシクリルは、
(1)インドールおよび、
(2)フタリミジルからなる群から選択される場合である。
【0036】
式IIbの化合物の別の実施形態は、Arはインダゾールであり、およびRは、場合によりRの1〜3個の基で置換されている−(CH5−10ヘテロシクリルまたは−(CHNRC(O)NRであり、および他の全ての変化し得るものは、先に記載したとおりである場合である。本発明のさらに別の実施形態は、nは1〜3、好ましくは2であり、および上記ヘテロシクリルは、
(1)インドールおよび、
(2)フタリミジルからなる群から選択される場合である。
【0037】
式IIbの化合物の別の実施形態は、Arはビフェニルであり、およびRは、場合によりRの1〜3個の基で置換されている、−(CH5−10ヘテロシクリルまたは−(CHNRC(O)NRであり、および他の全ての変化し得るものは、先に記載したとおりである場合である。本発明のさらに別の実施形態は、nは1〜3、好ましくは2であり、および上記ヘテロシクリルは、
(1)インドールおよび、
(2)フタリミジルからなる群から選択される場合である。
【0038】
下位の実施形態では、Rは、
(1)ハロゲン、
(2)ヒドロキシル、
(3)非置換または1個以上のハロゲンで置換されている−C1−6アルキル、
(4)−CN、
(5)−C(O)OR
(6)−OR
(7)−(CH5−10ヘテロシクリル、
(8)−(CH6−10アリールおよび、
(9)−(CH5−10ヘテロアリールからなる群から選択され、
ここで、上記ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールは、それぞれ場合により、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシル、
(c)−C1−6アルキル、
(d)−CN、
(e)−(CHCFまたは、
(f)−C6−10アリールの1〜3個の基で置換されている。
【0039】
別の下位の実施形態では、Rは、
(1)フッ素、
(2)塩素、
(3)ヒドロキシル、
(4)非置換または1個以上のハロゲンで置換されている−メチル、
(5)−CN、
(6)−C(O)O−t−ブチル、
(7)メトキシ、
(8)プロポキシ、
(9)フェニル、
(10)−O(CHFおよび、
(11)ピリジルからなる群から選択され、
ここで、上記ピリジルは、場合により、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシル、
(c)−C1−6アルキル、
(d)−CN、
(e)−(CHCFSまたは、
(f)−C6−10アリールの1〜3個の基で置換されている。
【0040】
本発明の実施形態は、構造式IIIaによって実現する。
【化4】

【0041】
(式中、
Arは、
(1)フェニル、
(2)インドール、
(3)インダゾールおよび、
(4)ビフェニルからなる群から選択され、
ここで、それぞれ場合により、Rの1〜3個の基で置換され、および他の全ての変化し得るものは、先に記載したとおりである。)
【0042】
本発明の下位の実施形態は、Rが、
(1)ハロゲン、
(2)ヒドロキシル、
(3)非置換または1個以上のハロゲンで置換されている−C1−6アルキル、
(4)−CN、
(5)−C(O)OR
(6)−OR
(7)−(CH5−10ヘテロシクリル、
(8)−(CH6−10アリールおよび、
(9)−(CH5−10ヘテロアリールからなる群から選択され、
ここで、上記ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールは、それぞれ場合により、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシル、
(c)−C1−6アルキル、
(d)−CN、
(e)−(CHCFまたは、
(f)−C6−10アリールの1〜3個の基で置換されている場合、実現する。
【0043】
別の下位の実施形態では、Rは、
(1)フッ素、
(2)塩素、
(3)ヒドロキシル、
(4)非置換または1個以上のハロゲンで置換されている−メチル、
(5)−CN、
(6)−C(O)O−t−ブチル、
(7)メトキシ、
(8)プロポキシ、
(9)フェニル、
(10)−O(CHFおよび、
(11)ピリジルからなる群から選択され、
ここで上記ピリジルは、場合により、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシル、
(c)−C1−6アルキル、
(d)−CN、
(e)−(CHCFまたは、
(f)−C6−10アリールの1〜3個の基で置換されている。
【0044】
本発明の実施形態は、構造式IIIbによって実現する。
【化5】

【0045】
(式中、Arは、
(1)フェニル、
(2)インドール、
(3)インダゾールおよび、
(4)ビフェニルからなる群から選択され、
ここで、それぞれ、場合により、Rの1〜3個の基で置換され、および他の全ての変化し得るものは、先に記載したとおりである。)
【0046】
本発明の下位の実施形態は、Rが、
(1)ハロゲン、
(2)ヒドロキシル、
(3)非置換または1個以上のハロゲンで置換されている−C1−6アルキル、
(4)−CN、
(5)−C(O)OR
(6)−OR
(7)−(CH5−10ヘテロシクリル、
(8)−(CH6−10アリールおよび、
(9)−(CH5−10ヘテロアリールからなる群から選択され、
ここで、上記ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールは、それぞれ、場合により、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシル、
(c)−C1−6アルキル、
(d)−CN、
(e)−(CHCFまたは、
(f)−C6−10アリールの1〜3個の基で置換されている場合、実現する。
【0047】
別の下位の実施形態では、Rは、
(1)フッ素、
(2)塩素、
(3)ヒドロキシル、
(4)非置換または1個以上のハロゲンで置換されている−メチル、
(5)−CN、
(6)−C(O)O−t−ブチル、
(7)メトキシ、
(8)プロポキシ、
(9)フェニル、
(10)−O(CHFおよび、
(11)ピリジルからなる群から選択され、
ここで、上記ピリジルは、場合により、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシル、
(c)−C1−6アルキル、
(d)−CN、
(e)−(CHCFまたは、
(f)−C6−10アリールの1〜3個の基で置換されている。
【0048】
1つの実施形態では、本発明は、式I、IIa、IIb、IIIaまたはIIIbの放射標識化合物、たとえば、11Cまたは18F標識化合物に関する。
【0049】
また、本発明は、哺乳類中のPDE10を定量的に画像化する方法であって、そのような画像化を必要とする哺乳類に、有効量の本発明の放射標識化合物を投与することを含む方法に関する。
【0050】
また、本発明は、哺乳類中のPDE10を有する組織を定量的に画像化する方法であって、そのような画像化を必要とする哺乳類に、有効量の本発明の放射標識化合物を投与することを含む方法に関する。
【0051】
また、本発明は、哺乳類種の組織中のPDE10を定量的に画像化する方法であって、そのような画像化を必要とする哺乳類種に、有効量の本発明の放射標識化合物を投与することを含む方法に関する。
【0052】
また、本発明は、哺乳類の脳中のPDE10を定量的に画像化する方法であって、そのような画像化を必要とする哺乳類に、有効量の本発明の放射標識化合物を投与することを含む方法に関する。
【0053】
具体的な実施形態では、放射標識化合物および方法は、ヒトで用いる。
【0054】
以下のスキームおよび実施例に従って生成した本発明の例を、以下に挙げる。
【表1】






【0055】
あるいはその医薬的に許容し得る塩、溶媒和物またはインビボ加水分解性エステル。
【0056】
本発明を、その特定の実施形態に関して、記載および説明してきたが、当業者は、手順およびプロトコルの種々の適応、変更、修正、置換、削除または付加は、本発明の精神および範囲を逸脱しない限り、行ってもよいことは理解するであろう。
【0057】
本発明の具体的な実施形態は、本明細書の実施例の標記化合物、ならびにその医薬的に許容し得る塩、および個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーからなる群から選択される化合物を含む。
【0058】
任意の変化し得るもの(たとえば、アリール、複素環、Rなど)が任意の構造物中で複数回現れる場合、それぞれの場所でのその定義は、他の全ての場所での定義とは独立したものである。また、置換基または変化し得るものの組合せは、そのような組合せが安定な化合物となる場合のみ可能である。
【0059】
が−O−であり、炭素に結合する場合、それはカルボニル基と言い、窒素(たとえば、ピリジル基の窒素原子)またはイオウ原子に結合する場合、それは、それぞれ、N−オキシドおよびスルホキシド基と言われる。
【0060】
本明細書で使用する「アルキル」は、たとえば、アルコキシ、アルカノイル、アルケニルおよびアルキニルのような接頭辞「アルク」を含む基を包含し、直鎖または分岐状、あるいはこれらの組合せでもよい炭素鎖を意味する。アルキル基の例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−およびtert−ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびヘプチルが挙げられる。「アルケニル」は、2〜10個の炭素原子および少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む直鎖、分岐状または環状炭化水素ラジカルを言う。好ましいアルケニル基として、エテニル、プロペニル、ブテニルおよびシクロヘキセニルが挙げられる。アルケニルは、好ましくは、C−Cアルケニルである。好ましいアルキニルは、C−Cアルキニルである。
【0061】
「アルケニル」、「アルキニル」および他のこのような用語は、少なくとも1個の不飽和C−C結合を含む炭素鎖を含む。
【0062】
本明細書で使用される「フルオロアルキル」は、少なくとも1個のフッ素置換基を含む、本明細書に記載するようなアルキル置換基を言う。
【0063】
用語「シクロアルキル」は、特定の数の炭素原子を持つ1個の環を含む飽和炭化水素を言う。シクロアルキルの例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。
【0064】
用語「C1−6」として、6、5、4、3、2または1個の炭素原子を含むアルキルが挙げられる。
【0065】
本明細書で使用する用語「アルコキシ」として、単独でまたは組合わせて、原子に結合するオキシに結合されるアルキル基が挙げられる。また、用語「アルコキシ」として、アルキルエーテル基が挙げられ、ここで、用語「アルキル」は先に定義され、および「エーテル」は、2個のアルキル基であってその2個のアルキル基の間に1個の酸素原子を有する基を意味する。適切なアルコキシ基の例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、メトキシメタン(「ジメチルエーテル」とも言う)およびメトキシエタン(「エチルメチルエーテル」とも言う)が挙げられる。
【0066】
本明細書で使用される「アリール」は、安定な単環式または二環式炭素環であって、各環では7員までで構成され少なくとも1個の環は芳香族である炭素環を意味するものである。そのようなアリール成分の例として、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニルまたはビフェニルが挙げられる。
【0067】
本明細書で使用する用語、複素環、ヘテロシクリルまたはヘテロ環式は、安定な5または7員単環式または安定な8〜11員二環式ヘテロ環式環を表し、該環は、飽和または不飽和であり、炭素原子およびN、OおよびSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子で構成され、先に定義したヘテロ環式環のいずれかが縮合し、ベンゼン環を形成する二環式基も含む。ヘテロ環式環は、安定な構造を作る結果となる任意のヘテロ原子または炭素原子に結合してよい。用語、複素環またはヘテロ環式は、ヘテロアリール部分を含む。そのようなヘテロ環式成分の例として、アゼピニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、1,3−ジオキソラニル、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアゾリル、チアゾリニル、チエノフリル、チエノチエニルおよびチエニルが挙げられるが、これらに限定されない。そのようなヘテロ環式成分の例の実施形態として、アゼピニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、2−ピリジノニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアゾリル、チアゾリニル、チエノフリル、チエノチエニル、チエニルおよびトリアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
ある実施形態では、ヘテロ環式基は、ヘテロアリール基である。本明細書で使用する用語「ヘテロアリール」は、5〜14個の環原子、好ましくは5、6、9または10個の環原子を有し、1個の環状配置中で共有される6、10または14個のπ電子を有し、および炭素原子に加え、1個と約3個の間のN、OおよびSからなる群から選択されるヘテロ原子を有する基を言い、ヘテロアリール基として、チエニル、ベンゾチエニル、フリル、ベンゾフリル、ジベンゾフリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾイル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、インドリル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、テトラゾリル、オキサゾリル、チアゾリルおよびイソキサゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
他のある実施形態では、ヘテロ環式基は縮合し、アリールまたはヘテロアリール基を形成する。そのような縮合複素環の例として、テトラヒドロキノリニルおよびジヒドロベンゾフラニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
本明細書で使用する用語「ヘテロアリール」は、特記がある場合を除き、安定な5〜7員単環式、または安定な9〜10員縮合二環式ヘテロ環式環構造を示し、該環構造は、芳香族環を含み、その任意の環は、ピペリジニルのように飽和でも、ピリジニルのように部分的に飽和または不飽和でもよく、および炭素原子、および1〜4個のN、OおよびSからなる群から選択されるヘテロ原子で構成され、ここで、窒素およびイオウヘテロ原子は、場合により、酸化されてもよく、窒素ヘテロ原子は、場合により、四級化されてもよく、先に定義したヘテロ環式間のいずれかが縮合してベンゼン環を形成している任意の二環式基も含む。ヘテロ環式環は、安定な構造を作る結果となる任意のヘテロ原子または炭素原子に結合してよい。そのようなヘテロアリール基の例として、ベンズイミダゾール、ベンズイソチアゾール、ベンズイソキサゾール、ベンゾフラン、ベンゾチアゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾトリアゾール、ベンゾキサゾール、カルボリン、シンノリン、フラン、フラザン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリジン、イソキノリン、イソチアゾール、イソキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、キナゾリン、キノリン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアジン、トリアゾールおよびこれらのN−オキシドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
ヘテロシクロアルキルの例として、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、イミダゾリニル、ピロリジン−2−オン、ピペリジン−2−オンおよびチオモルホリニルが挙げられる。
【0072】
用語「ヘテロ原子」は、独立して選択される、O、SまたはNを意味する。
【0073】
置換されている部分は、1個以上の水素が、独立して、別の化学置換基と置き換えられている部分である。限定ではない例として、置換フェニルでは、2−フルロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、3−クロロ−4−フルオロ−フェニル、2,4−フルオロ−3−プロピルフェニルが挙げられる。別の限定ではない例として、置換n−オクチルでは、2,4−ジメチル−5−エチル−オクチルおよび3−シクロペンチルオクチルが挙げられる。この定義には、酸素でメチレン(−CH−)を置換して形成されたカルボニル(−CO−)も含まれる。
【0074】
他に記載がない限り、本明細書で使用されるある部分(たとえば、シクロアルキル、ヒドロカルビル、アリール、アルキル、ヘテロアリール、ヘテロ環式、尿素など)が、「場合により置換されている」と記載されている場合、それは、基は、場合により、1〜4個の、好ましくは1〜3個の、さらに好ましくは1または2個の水素ではない置換基を有することを意味する。適切な置換基として、ハロ、ヒドロキシ、オキソ(たとえば、オキソで置換されている環状−CH−は、−C(O)−である)、ニトロ、ハロヒドロカルビル、ヒドロカルビル、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アシルアミノ、アルキルカルバモイル、アリールカルバモイル、アミノアルキル、アシル、カルボキシ、ヒドロキシアルキル、アルカンスルホニル、アレンスルホニル、アルカンスルホンアミド、アレンスルホンアミド、アラルキルスルホンアミド、アルキルカルボニル、アシルオキシ、シアノおよびウレイド基が挙げられるが、これらに限定されない。それ自身はさらに置換されていない好ましい置換基(他に明確に記載されていない限り)は、
(a)ハロ、シアノ、オキソ、カルボキシ、ホルミル、ニトロ、アミノ、アミジノ、グアニジノ、ならびに、
(b)C−Cアルキルまたはアルケニルまたはアリールアルキルイミノ、カルバモイル、アジド、カルボキサミド、メルカプト、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、C−Cアルキル、SOCF、CF、SOMe、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C−Cアシル、C−Cアシルアミノ、C−Cアルキルチオ、アリールアルキルチオ、アリールチオ、C−Cアルキルスルフィニル、アリールアルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、アリールアルキルスルホニル、アリールスルホニル、C−CN−アルキルカルバモイル、C−C15N,Nジアルキルカルバモイル、C−Cシクロアルキル、アロイル、アリールオキシ、アリールアルキルエーテル、アリール、シクロアルキル、複素環または別のアリール環に縮合したアリール、C−C複素環、またはシクロアルキル、ヘテロシクリルまたはアリールに縮合またはスピロ−縮合しているこれらのいずれかの環があり、ここで、上記置換基はそれぞれ、さらに、場合により、1個以上の上記(a)で列挙した部分で置換されている。
【0075】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を言う。
【0076】
本明細書に記載される化合物は、1個以上の二重結合を含む場合があり、したがって、cis/trans異性体および他の配座異性体を生じる場合がある。本発明は、他に特別の記載がない限り、そのような可能性の異性体全て、およびそのような異性体の混合物を含む。
【0077】
本発明の化合物は、1個以上の不斉中心を含む場合があり、したがって、ラセミ体およびラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物、および個々のジアステレオマーとして存在する可能性がある。分子上の種々の置換基の性質によっては、追加の不斉中心が存在する場合もある。そのような不斉中心は、それぞれ独立して、2個の光学異性体を生成し、混合物中の可能性のある光学異性体およびジアステレオマー、および純粋なまたは部分的に精製された化合物の全てが、本発明の範囲内に含まれるものである。本明細書に記載されている化合物の任意の式、構造または名前で、特定の立体化学が明記されていないものは、先に記載したような、存在するどのような異性体およびその任意の比率の混合物も包含することを意味する。立体化学が特定されている場合、本発明は、純粋な形状の特定の異性体または他の異性体との任意の比率での混合物の部分として包含することを意味する。
【0078】
これらのジアステレオマーの独立した合成またはそれらのクロマトグラフ分離法は、当分野で公知のように、本明細書で開示する方法の適正な修正によって達成できる。それらの絶対立体化学は、必要であれば、公知の絶対配置の不斉中心を含む試薬で誘導した結晶性生成物または結晶性中間体のX線結晶構造解析によって測定してもよい。望ましい場合は、個々のエナンチオマーが単離されるように、化合物のラセミ混合物を分離してもよい。分離は、当分野で周知の方法で行うことができ、たとえば、化合物のラセミ混合物を鏡像異性的に純粋な化合物にカップリングし、ジアステレオマー混合物を形成し、次いで分別結晶またはクロマトグラフィのような標準的な方法により、個々のジアステレオマーに分離する。カップリング反応では、鏡像異性的に純粋な酸または塩基を使用して、塩を形成することが多い。次いで、加えられたキラル残基の開裂により、ジアステレオマー誘導体を純粋なエナンチオマーに変換してもよい。また、化合物のラセミ混合物を、キラル固定相を利用するクロマトグラフ法(この方法は当分野で周知である)によって、直接分離することもできる。あるいは、化合物の任意のエナンチオマーを、当分野で周知の方法により、公知の配置の光学的に純粋な出発材料または試薬を使用する立体選択合成によって得てもよい。
【0079】
本明細書および添付の請求項で使用される単数形「a」、「an」および「the」は、本文で他に明らかに言及しない限り、複数形も含む。したがって、たとえば、「1個のプライマー」という記載は、2個以上のそのようなプライマーも含み、「1つのアミノ酸」の記載は、1つ以上のそのようなアミノ酸も含む。
【0080】
一実施形態では、本発明の化合物は、インビトロ画像化用の放射性トレーサとして標識されてもよい。別の実施形態では、本発明の化合物は、PDE10のインビボ画像化および定量化用の陽電子放出型断層撮影(PET)トレーサとして製造してもよい。
【0081】
本化合物に導入してもよい適切な核種として、H(Tとも記載される)、11C、18F、35S、125I、82Br、123I、131I,75Br、15O、13N、211Atまたは77Brが挙げられるが、これらに限定されない。本放射標識化合物に導入される核種は、放射標識化合物の特異的分析用途または医薬用途に依存するだろう。したがって、PDE10のインビトロ画像化および競合アッセイ用には、H、35S、125Iまたは82Brを導入する化合物が、一般的に最も有用である。PETトレーサ用には、11C、18F、123I、131I、75Brまたは77Brから選択された核種を導入する化合物が好ましい。ある用途では、Tc99mのようなキレート核種の導入も有用である。他の用途では、18Fがより長い半減期であるため、画像化を、より特異的なシグナルを発生させるのに十分長い時間行うことができ、および受容体定量化研究のための条件を改善することができるので、11Cより18Fが好ましい場合もある。化合物は、陽電子でもγ線放射性核種でも放射標識することができる。
【0082】
適切な核種で標識した場合、放射標識されたPDE10阻害剤は、種々のインビトロおよび/またはインビボでの画像化の用途に大いに有用である。可能な画像化用途の具体的な例として、PDE10の位置の測定、相対的活性および/または定量化、PDE10阻害剤の放射免疫測定、および哺乳類またはその臓器または組織サンプル中のPDE10の分布を測定するオートラジオグラフィが挙げられるが、がこれらに限定されない。脳および他の組織中のPDE10特異的画像を提供するフッ素−18または炭素−11で標識された放射性トレーサを使用することにより、PDE10酵素を効果的に阻害するのに必要とされる用量を、ヒトにおけるPET放射性トレーサ画像を遮断することにより、測定することができる。
【0083】
特定の実施形態では、本放射標識PDE10阻害剤は、11C、18F、15Oおよび13Nのような陽電子放射性核種で標識されている場合、生きているヒトおよび実験動物の脳中のPDE10の陽電子放出型断層撮影(PET)画像化に有用である。これらの放射標識されたPDE10阻害剤は、受容体への結合についての標識されていない薬物と放射標識化合物との間の競合によって、標識されていないPDE10阻害剤とPDE10とのインビボでの相互作用を研究する研究ツールとして使用してもよい。この種の定量的研究は、PDE10占有率と標識されていないPDE10阻害剤の容量との間の関係を測定するため、および標識されていないPDE10アンタゴニスト、アゴニストおよび逆アゴニストの種々の用量によって、受容体の遮断の期間を研究するために有用である。臨床ツールとしては、放射標識されたPDE10阻害剤は、PDE10阻害剤の臨床的に効き目のある用量の規定を助けるために使用してもよい。動物実験では、放射標識されたPDE10阻害剤は、臨床開発用の選択のために、可能性のある薬物候補の間での選択のために有用な情報を提供するように、使用することができる。また、放射標識されたPDE10阻害剤は、生きているヒトの脳および生きている実験動物の脳、ならびに組織サンプル中のPDE10の局所的分布および濃度を研究するために使用してもよい。また、放射標識されたPDE10阻害剤は、疾患またはPDE10濃度における医薬的に関連する変化を研究するために、使用してもよい。
【0084】
本発明の特定の実施形態では、以下の情報(それらに限定されない)を得るために、現在の放射標識されたPDE10阻害剤のようなPETトレーサおよび現在利用可能なPET技術を使用することができる。候補PDE10阻害剤による受容体占有率の濃度と患者における臨床効果との間の関係;長期臨床研究を始める前のPDE10阻害剤の臨床治験のための用量選択;構造的に新規なPDE10阻害剤の比較効力;PDE10阻害剤および他の薬剤を使用しての臨床対象の治療の間の、インビボでのトランスポータ親和性および密度へのPDE10阻害剤の影響の調査;たとえば、1)精神医学的疾患または状態の活性期中の、2)治療中の効力の評価のための、または3)寛解中のPDE10の密度および分布の変化;CNS障害におけるPDE10発現および分布の変化;PDE10が上流制御されている場合の神経変性疾患の画像化;PDE10が関与する場合の神経変性疾患の画像化;その他。
【0085】
同位体的に標識された、式I、IIa、IIb、IIIaまたはIIIbの化合物は、一般的に、放射標識された誘導体を製造するために先に使用した、標識されていない試薬の代わりに、適切に同位体的に標識された試薬を使用して、当業者に公知の従来の技術により、または、添付の実施例に記載の方法に類似する方法により、製造することができる。特定の実施形態では、式I、IIaまたはIIIaの化合物、2−{2−[3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]エチル}−4−イソプロポキシ−1H−イソインドール−l,3(2H)−ジオン(D−6)を11Cで標識し、4−イソプロポキシ2−{2−[3−(4−11C−メトキシフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]エチル}−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(E−1)を製造することができ、これは、次に、PET研究で使用することができる。別の実施形態では、式I、IIaまたはIIIaの化合物、2−{2−[3−(4−メトキシフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]エチル}−4−ピリジン−4−イル−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンを標識し、PET研究に使用することができる。
【0086】
本発明の放射標識されたPDE10阻害剤は、PDE10の画像化において、またはPDE10機能障害に関連する記載した神経性および精神医学的障害のいずれかに関する画像診断に有用性がある。
【0087】
また、本発明は、哺乳類中のPDE10を定量的に画像化する方法であって、そのように定量的に画像化する必要のある哺乳類に、有効量の本発明の放射標識化合物を投与することを含む方法に関する。
【0088】
また、本発明は、哺乳類中のPDE10を有する組織を定量的に画像化する方法であって、そのような定量的に画像化する必要のある哺乳類に、有効量の本発明の放射標識化合物を投与することを含む方法に関する。
【0089】
また、本発明は、哺乳類種の組織中のPDE10を定量的に画像化する方法であって、そのような定量的に画像化する必要のある哺乳類種に、有効量の本発明の放射標識化合物を投与することを含む方法に関する。
【0090】
また、本発明は、哺乳類の脳中のPDE10を定量的に画像化する方法であって、そのような定量的に画像化する必要のある哺乳類に、有効量の本発明の放射標識化合物を投与することを含む方法に関する。
【0091】
さらに、本発明は、哺乳類の組織中のPDE10を検出または定量化する方法であって、そのような定量化が望まれる哺乳類に、有効量の本発明の放射標識化合物を投与することを含む方法に関する。
【0092】
本発明の方法の特定の実施形態では、哺乳類はヒトである。
【0093】
本明細書で使用する、構造式I、IIa、IIb、IIIaおよびIIIbの化合物に関する記載は、医薬的に許容し得る塩、および遊離の化合物の前駆体として使用される時は医薬的に許容し得る塩ではない塩、または他の合成方法でのものも含むことを意味することは理解されるだろう。
【0094】
本発明の化合物は、医薬的に許容し得る塩の形状で投与してもよい。用語「医薬的に許容し得る塩」は、医薬的に許容し得る非毒性塩基または酸から製造される塩を言う。本発明の化合物が酸性の場合、その対応する塩は、無機塩基および有機塩基を含む、医薬的に許容し得る非毒性塩基から好都合に製造することができる。そのような無機塩基か誘導される塩として、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(第二銅および第一銅)、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(第二マンガンおよび第一マンガン)、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩が挙げられる。特定の実施形態では、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、およびナトリウム塩が挙げられる。固形の塩は、複数の結晶構造で存在してもよく、および水和物の形状で存在してもよく。医薬的に許容し得る有機非毒性塩基から誘導される塩として、第一、第二および第三アミン、天然の置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂を始めとする置換アミン、たとえば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレン−ジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノ−エタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコースアミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩が挙げられる。本発明の化合物が塩基性の場合、塩は、無機酸および有機酸を含む医薬的に許容し得る非毒性の酸から製造してもよい。そのような酸として、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンフルスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。特定の実施形態では、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、フマル酸および酒石酸である。本明細書で使用する、本発明の化合物の記載は、医薬的に許容し得る塩も含むことは理解されるであろう。
【0095】
本発明の化合物が塩基性の場合、その対応する塩は、無機酸および有機酸を含む医薬的に許容し得る非毒性酸から好都合に製造することができる。そのような酸として、たとえば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンフルスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。
【0096】
本明細書で使用する用語「組成物」は、特定の成分を所定の量または比率で含む生成物、および特定量の特定の成分の組合せから直接または間接的に得られるいかなる生成物も包含するものである。医薬組成物に関しては、この用語は、1種以上の活性成分と不活性成分を含む任意の担体とを含む生成物、および任意の2種以上の成分の混合、複合化または凝集により、1種以上の成分の解離により、または1種以上の成分の他のタイプの反応または相互作用により、直接または間接的に得られるいかなる生成物も包含するものである。一般的に、医薬組成物は、活性成分を、液体担体、または微細化された固体担体、あるいは両方に、均一におよび均質に会合させ、次いで、必要であれば、得られた生成物を所望の製剤に形成することによって製造される。医薬組成物中には、活性目的化合物が、疾患プロセスまたは疾患状態に対し、目的とする効果を作り出すのに十分な量で含まれる。
【0097】
したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と医薬的に許容し得る担体と組合わせて作った任意の組成物を包含する。「医薬的に許容し得る」によって、担体、希釈剤または賦形剤は、製剤の他の成分と相溶性がなければならず、それを摂取した者に害を与えてはならないことを意味する。
【0098】
本発明の医薬組成物は、活性成分として本発明の化合物(またはその医薬的に許容し得る塩)と、医薬的に許容し得る担体と、場合により、1種以上の追加の治療剤または補助剤とを含む。そのような追加の治療剤として、たとえば、i)アヘン剤アゴニストまたはアンタゴニスト、ii)カルシウムチャネルアンタゴニスト、iii)5HT受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、iv)ナトリウムチャネルアンタゴニスト、v)NMDA受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、vi)COX−2選択的阻害剤、vii)NK1アンタゴニスト、viii)非ステロイド系抗炎症性薬物(「NSAID」)、ix)選択的セロトニン再取込み阻害剤(「SSRI」)および/または選択的セロトニンおよびノルエピネフリン再取込み阻害剤(「SSNRI」)、x)三環系抗うつ薬、xi)ノルエピネフリンモジュレータ、xii)リチウム、xiii)バルプロエート、xiv)ニューロンチン(ガバペンチン)、xv)プレガバリンおよび、xvi)ナトリウムチャネル遮断剤を挙げることができる。本組成物は、経口、直腸、局所および非経口(皮下、筋肉内および静脈内投与を含む)投与に適した組成物を含むが、任意のある状態において最も適した経路は、特定のホスト、および活性成分が投与される状態の性状および重症度に依存する。医薬組成物は、単位用量形状での存在が、都合がよい場合があり、薬学業界で周知の方法のいずれによっても製造してよい。
【0099】
神経障害または精神障害に関連する疾患状態または状況を治療するために使用することができる実施例および本明細書に開示される特定の化合物が、本発明の代表例である。
【0100】
疾患状態を「治療すること」またはその「治療」とは、1)疾患状態を予防すること、すなわち、疾患状態に曝される、または疾患にかかりやすくされているが、まだ 疾患状態の症状を経験していないまたは現していない対象が、疾患状態の臨床症状を発症しないようにすること;2)疾患状態を阻止すること、すなわち、疾患状態または臨床的症状の発症の抑止;または3)疾患状態を軽減すること、すなわち、疾患状態またはその臨床症状の一時的なまたは永久的な後退が挙げられる。
【0101】
本方法で治療される対象は、一般的に哺乳類であり、特にヒト、治療が望まれる男性および女性である。用語「治療的有効量」は、研究者、獣医師、医師または他の臨床家によって求められた組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を誘発する本化合物の量を意味する。当業者が、有効量の本発明の化合物を使用して、現在障害を患っている患者を治療することによって、またはそのような障害を患う患者を予防的に治療することによって、神経性および精神医学的障害に影響を及ぼすことと理解される。本明細書で使用する用語「治療」および「治療すること」は、本明細書で記載する神経性および精神医学的障害の進行を、遅くする、中断する、抑止する、コントロールする、または停止させる全てのプロセスを言うが、必ずしも、全て障害症状の全消失、および進行を遅くし、または特にそのような疾患または障害にかかりやすい患者での注意すべき状態へのリスクを減少させる予防的治療を示すものではない。
【0102】
本発明の化合物は、阻害を必要とする哺乳類のような患者の、PDE10機能障害に関連する神経障害または精神障害を治療する方法であって、有効量化合物を投与することを含む方法において有用である。霊長類、とりわけヒトに加えて、種々の他の哺乳類も、本発明の方法に従って治療することができる。本化合物は、阻害を必要とする哺乳類のような患者の、PDE10活性を阻害する方法であって、有効量の化合物を投与することを含む方法において有用である。霊長類、とりわけヒトに加えて、種々の他の哺乳類も、本発明の方法に従って治療することができる。
【0103】
出願人は、PDE10の阻害剤、特にPDE10Aの阻害剤は、精神医学的および認知障害を患う個体に対して、治療効果をもたらすであろうと提案する。基底核内で皮質およびドーパミン作動性インプットのための素因部位を形成する、線条体の中型有棘突起ニューロンにおけるPDE10Aの特異的で排他的な分布は、この部位内で無用の細胞情報伝達を寛解または除去するために、PDE10の阻害剤を認識することが可能であり、望ましい場合があることを示唆する。いかなる理論にも縛られるつもりはないが、出願人は、線条体におけるPDE10Aの阻害により、cAMP/cGMP情報伝達および線条体のアウトプットが増加し、これは、統合失調症のような認知疾患において損なわれる、行動阻害を回復する可能性があると考える。グルタミン酸作動性およびドーパミン作動性インプットの制御および統合は、不必要な行動を抑制または減らしつつ、認知行動を増強するだろう。したがって、一実施形態では、本発明の化合物は、線条体の機能低下が顕著な特徴である疾患または状態、あるいは基底核機能障害がある役割を果たす疾患または状態、たとえば、パーキンソン病、ハンチントン病、統合失調症、強迫性障害、中毒および精神障害を治療または寛解させる方法を提供する。本明細書で記載された阻害剤が望ましいおよび有用な効果を持つかもしれない他の状態として、活動の低下が求められる状態、精神運動刺激剤に対する応答が減少する状態、条件回避反応を減らすことが望まれる場合、これは、しばしば、臨床抗精神病活性の前兆となる状態が挙げられる。
【0104】
本明細書で使用する用語「選択的PDE10阻害剤」は、PDE1−9またはPDE11ファミリからの酵素よりPDE10ファミリからの酵素を大きく効果的に阻害する有機分子を言う。一実施形態では、選択的PDE10阻害剤は、別のPDE酵素の阻害剤である物質に関するKiの約1/10以下のPDE10阻害Kiを有する有機分子である。言い換えれば、有機分子は、任意の他のPDE酵素が必要とする濃度の約1/10以下の濃度で、同じ程度にPDE10活性を阻害する。選択的PDE10阻害剤は、別のPDE酵素の阻害剤である物質に関するKiの約1/100以下のPDE10阻害Kiを有する有機分子が好ましい。言い換えれば、有機分子は、任意の他のPDE酵素が必要とする濃度の約1/100以下の濃度で、同じ程度にPDE10活性を阻害する。「選択的PDE10阻害剤」は、PDE10活性を阻害する有機分子の能力を、他のPDEファミリからのPDE酵素を阻害する能力と比較することによって、同定することができる。たとえば、有機分子について、PDE10、およびPDE1A、PDE1B、PDE1C、PDE2A、PDE3A、PDE3B、PDE4A、PDE4B、PDE4C、PDE4D、PDE5A、PDE6A、PDE6B、PDE6C、PDE7A、PDE7B、PDE8A、PDE8B、PDE9Aおよび/またはPDE11Aの活性を阻害する能力のアッセイを行ってもよい。
【0105】
特定の実施形態では、本発明の化合物は、統合失調症または精神障害を治療する方法であって、治療を必要とする患者に、有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(疾患の分類と精神障害診断の手引)(DSM−IV−TR)(2000、American Psychiatric Association、Washington DC)は、妄想性、解体型、緊張型、または未分化型統合失調症、および物質誘発精神障害を含む診断ツールを提供している。本明細書で使用する用語「統合失調症または精神障害」は、DSM−IV−TRに記載されているこれらの精神的障害の診断および分類を含み、用語は、他の出所に記載の類似の障害を含むものである。本明細書に包含される障害および状態として、統合失調症または精神障害のような状態または疾患、たとえば、統合失調症(妄想性、解体型、緊張型、未分化型または残遺型)、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、たとえば、妄想型またはうつ型の統合失調感情障害、妄想障害、精神障害、一時的精神病性障害、共有精神病性障害、全身性疾患および物質誘導または薬物誘導に起因する精神障害(たとえば、アルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入薬、アヘン、フェンシクリジン、ケタミンおよび他の解離性麻酔薬、および他の精神刺激剤によって誘導される精神障害)、精神障害、精神病性障害、情動障害に関連する精神障害、短期状況精神障害、統合失調感情性精神障害、統合失調型障害または統合失調症型人格障害のような「統合失調症スペクトラム」障害、妄想型の人格障害、統合失調型の人格障害、精神障害(たとえば、大うつ病、躁うつ病(双極性障害)、アルツハイマー病および外傷後ストレス症候群)に関連する病気が挙げられ、統合失調症および他の精神疾患の陽性症状および陰性症状の両方が含まれるが、これらに限定されない。
【0106】
別の特定の実施形態では、本発明の化合物は、認知障害を治療する方法であって、治療を必要とする患者に、有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。DSM−IV−TRは、認知症、精神錯乱、健忘障害および加齢性認知低下を始めとする認知障害を含む診断ツールも提供している。本明細書で使用する用語「認知障害」は、DSM−IV−TRに記載されているこれらの障害の診断および分類を含み、用語は、他の出所に記載の類似の障害を含むものである。本明細書に包含される障害および状態として、症状として注意力および/または認知における欠乏を含む障害、たとえば、(アルツハイマー病、虚血、多発脳梗塞性認知症、心的外傷、頭蓋内腫瘍、脳外傷、血管の問題または卒中、アルコール性認知症または他の薬物関連認知症、AIDS、HIV疾患、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト−ヤコブ病、周生期低酸素症、他の全身性疾患または物質乱用に関連する)認知症、アルツハイマー病、多発梗塞性認知症、AIDS関連認知症および前頭側頭型認知症、精神錯乱、健忘障害または加齢性認知低下が挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
別の特定の実施形態では、本発明の化合物は、不安障害を治療する方法であって、治療を必要とする患者に、有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。DSM−IV−TRは、全般性不安障害、強迫性障害およびパニック発作のような不安障害を含む診断ツールも提供する。本明細書で使用する用語「不安障害」は、DSM−IV−TRに記載されているこれらの障害の診断および分類を含み、用語は、他の出所に記載の類似の障害を含むものである。本明細書に包含される精神的障害および状態として、不安障害、たとえば、急性ストレス障害、広場恐怖症、全般性不安障害、強迫性障害、パニック発作、パニック障害、外傷後ストレス障害、分離不安障害、社会恐怖症、特定恐怖症、物質誘導不安障害および全身性疾患による不安が挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
別の特定の実施形態では、本発明の化合物は、物質関連障害および常習行為を治療する方法であって、治療を必要とする患者に、有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。DSM−IV−TRは、持続性認知症、持続性健忘障害、物質乱用により誘発された精神障害または不安障害、および物質乱用の負荷、その依存症またはその禁断を含む診断ツールも提供する。本明細書で使用する用語「物質関連障害および常習行為」は、DSM−IV−TRに記載されているこれらの精神的障害の診断および分類を含み、用語は、他の出所に記載の類似の障害を含むものである。本明細書に包含される障害および状態として、物質関連障害および常習行為、たとえば、物質誘導精神錯乱、持続性認知症、持続性健忘障害、精神障害または不安障害、薬物中毒、耐薬性およびアルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入薬、ニコチン、アヘン、フェンシクリジン、鎮静剤、睡眠剤または抗不安剤を含む物質からの依存性または禁断症状が挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
別の特定の実施形態では、本発明の化合物は、過剰食物摂取およびこれに伴う合併症に関連する肥満または摂食障害を治療する方法であって、治療を必要とする患者に、有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。現在、肥満は、全身性疾患として、International Classification of Diseases and Related Health Problems(国際疾病分類;疾病および関連保健問題)の第10版(ICD−10)(1992World Health Organization)に含まれている。DSM−IV−TRは、病状に影響する心理的要因の存在下での肥満を含む診断ツールも提供する。本明細書で使用する用語「過剰食物摂取に関連する肥満または摂食障害」は、ICD−10およびDSM−IV−TRに記載されているこれらの病状および障害の診断および分類を含み、用語は、他の出所に記載の類似の障害を含むものである。本明細書に包含される障害および状態として、肥満、神経性過食症および強迫性摂食障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
別の特定の実施形態では、本発明の化合物は、気分およびうつ病性障害を治療する方法であって、治療を必要とする患者に、有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。本明細書で使用する用語「気分およびうつ病性障害」は、DSM−IV−TRに記載されているこれらの病状および障害の診断および分類を含み、用語は、他の出所に記載の類似の障害を含むものである。本明細書に包含される障害および状態として、双極性障害、うつ病性障害、軽度、中度または重度の大きなうつ病性の発症、そう病性または混合気分の発症、軽そう病性気分の発症、非定型の特徴を持つうつ病の発症、憂うつな特徴を持つうつ病の発症、緊張型の特徴を持つうつ病の発症、分娩後発現に伴う気分の発症、卒中後うつ状態を含む気分障害;大うつ病性障害、気分変調性障害、小うつ病性障害、月経前不快気分障害、統合失調症の精神病後うつ病性障害、妄想性障害または統合失調症のような精神障害に併発する大うつ病性障害、双極性障害、たとえば、双極性I障害、双極性II障害、気分循環性障害、単極性うつ病、季節的うつ病および分娩後うつ病を含むうつ状態、月経前症候群(PMS)および月経前不快気分障害(PDD)、全身性疾患に起因する気分障害、および物質誘導気分障害が挙げられるがこれらに限定されない。
【0111】
さらに他の特定の実施形態では、本発明の化合物は、読字障害、数学障害または書字表出障害のような学習障害、注意力欠損/多動性障害、加齢性認知低下、自閉症性障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)および行動障害のような注意力障害を含む広汎性発達精神障害;自閉症、うつ病、軽い物忘れ、幼児期学習障害および閉鎖性頭部外傷のようなNMDA受容体関連障害;大脳外傷、卒中、脳梗塞、てんかん発作、神経毒中毒性疾患または低血糖誘発神経変性に関連する神経変性のような神経変性障害または状態;多系統萎縮症;無動症および無動剛性症候群(パーキンソン病、薬物誘導パーキンソン症候群、脳炎後パーキンソン症候群、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン症候群−ALS認知症コンプレックスおよび基底核カルシウム沈着を含む)、薬剤誘発パーキンソン症候群(たとえば、神経遮断薬誘発パーキンソン症候群、神経弛緩薬性悪性症候群、神経遮断薬誘発急性ジストニア、神経遮断薬誘発急性静止不能、神経遮断薬誘発遅発性ジスキネシアおよび薬物誘発姿勢振戦症)のような運動障害、ハンチントン病、ドーパミンアゴニスト治療に関連する運動異常、ジル・ド・ラ・トウレット症候群、てんかん、筋痙縮および振戦症を含む筋痙縮および筋脱力に関連する障害;振戦症(たとえば、静止時振戦症、姿勢振戦症、企図振戦症および本能性振戦症)、下肢静止不能症候群、舞踏病(たとえば、シデナム舞踏病、ハンチントン病、良性遺伝性舞踏病、神経有棘赤血球症、症状性舞踏病、薬物誘導舞踏病およびヘミバリズム)、ミオクローヌス(全般性ミオクローヌスおよび局所性ミオクローヌスを含む)、チック症状(単純チック症状、複雑チック症状および症状性チック症状を含む)、ジストニア(全般性、突発性、薬物誘導、症状性、発作性および局所的(たとえば、眼瞼痙攣、口下顎、痙攣性、痙性斜頸、軸性ジストニア、半身不随およびジストニア書痙)を含む)を含む運動異常;尿失禁;神経障害(眼性損傷、網膜症または目の黄斑変性症、耳鳴り、聴覚障害、難聴および脳水腫を含む);嘔吐;ならびに不眠症およびナルコレプシーを含む睡眠障害を始めとする(これらに限定されない)他のタイプの認知障害、学習および精神関連障害を治療する方法を提供する。
【0112】
さらに別の特定の実施形態では、本発明の化合物は、疼痛を治療する方法であって、治療を必要とする患者に、有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。特に、疼痛の実施形態は、骨および間接痛(骨関節炎)、反復運動痛、歯痛、癌痛、筋膜痛(筋肉損傷、線維筋痛症)、周術期痛(一般外科、婦人科)、慢性痛および神経因性疼痛である。
【0113】
上記障害の中でも、統合失調症、双極性障害単極性うつ病、季節性うつ病および分娩後うつ病を含むうつ病、月経前症候群(PMS)および月経前不快気分障害(PDD)、学習障害、自閉症性障害を含む広汎性発達精神障害、注意欠陥/多動性障害を含む注意力障害、自閉症、トウレット病を含むチック障害、恐怖症および外傷後ストレス障害を含む不安障害、認知症、AID認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、萎縮、ミオクローヌス、筋痙縮、耳鳴りおよび難聴に関連する認知障害、ならびに聴覚損失の治療は、特に重要である。
【0114】
さらに、本発明は、ヒトおよび動物における、先に列挙した障害および状態を含むPDE10機能障害に関連する神経障害または精神障害を治療するための薬品を製造する方法であって、本発明の化合物と1種以上の追加の治療剤、担体または希釈剤とを組合わせることを含む方法に関する。
【0115】
また、本発明は、ヒトおよび動物における、先に列挙した障害および状態を含むPDE10機能障害に関連する神経障害または精神障害の治療での、本発明の化合物と、1種以上の追加の治療剤、担体または希釈剤とを組合わせることを含む使用のための本発明の化合物の使用に関する。
【0116】
さらに、本化合物は、本明細書で記載した疾患、障害および状態のリスクの予防、治療、コントロール、寛解または低下方法においても有用である。さらに、本化合物は、他の薬剤と組合わせた、先に記載した疾患、障害および状態のリスクの予防、治療、コントロール、寛解または低下方法においても有用である。本発明の化合物は、薬物との組合せがどちらかの薬物単独より安全でありまたは効果的である場合、本発明の化合物または他の薬物が有用である疾患または状態のリスクの治療、予防、コントロール、寛解または低下において、1種以上の他の薬物と組合わせて使用してもよい。そのような他の薬物は、薬物に普通に使用される経路および量で、本発明の化合物と同時にまたは順次投与してもよい。用語、化合物「の投与」およびまたは「を投与すること」は、本発明の化合物または本発明の化合物のプロドラグを、治療を必要とする個体に与えることを意味すると理解すべきである。
【0117】
本発明の化合物を1種以上の他の薬物と同時に使用する場合、そのような他の薬物と本発明の化合物とを含む単位用量形状の医薬組成物が望ましい場合がある。しかし、組合せ療法は、本発明の化合物と1種以上の他の薬物とを異なる重なり合う計画で投与する療法も含む。1種以上の他の活性成分との組合せで使用する場合、本発明の化合物および他の活性成分を、それぞれを単独で使用する場合より低い用量で使用する場合も意図する。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物の他に、1種以上の他の活性成分も含む組成物を含む。上記組合せは、本発明の化合物と、1種の他の活性化合物との組合せだけでなく、2種以上の他の活性化合物との組合せも含む。同様に、本発明の化合物は、本発明の化合物が有用である疾患または状態のリスクの予防、治療、コントロール、寛解または低下で使用される他の薬物と組合わせて使用してもよい。そのような他の薬物は、薬物に普通に使用される経路および量で、本発明の化合物と同時にまたは順次投与してもよい。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物の他に、1種以上の他の活性成分も含む組成物を含む。第二活性成分に対する本発明の化合物の重量比は変更してもよく、各成分の有効用量に依存する。一般的に、それぞれの有効用量が使用されるだろう。したがって、たとえば、本発明の化合物を別の薬剤と組合わせる場合、他の薬剤に対する本発明の化合物の重量比は、一般的に約1000:1〜約1:1000の範囲、たとえば約200:1〜約1:200の範囲である。本発明の化合物と他の活性成分の組合せは、一般的には先に記載した範囲内であるが、各場合で、それぞれの活性成分の有効用量が使用されるべきである。
【0118】
そのような組合せにおいて、本発明の化合物および他の活性薬剤は、別々にまたは同時に投与してもよい。さらに、1つの成分の投与は、他の薬剤の投与の前、同時、または連続して行ってもよい。
【0119】
したがって、本化合物は、単独で、または対象の徴候に有益なことが知られている他の薬剤、または本発明の化合物の効力、安全性、利便性を増加させる、または不必要な副作用または毒性を軽減する受容体または酵素に影響を及ぼす他の薬物と組合わせて使用してもよい。本化合物および他の薬剤は、共投与してもよいし、併用療法または固定した組合せで使用してもよい。
【0120】
一実施形態では、本化合物は、抗アルツハイマー薬剤、βセクレターゼ阻害剤、γセクレターゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、イブプロフェンを含有するNSAID、ビタミンE、および抗アミロイド抗体と組合わせて使用してもよい。
【0121】
別の実施形態では、本化合物を、鎮静剤、睡眠薬、不安緩解剤、抗精神病薬、抗不安薬、シクロピロロン、イミダゾピリジン、ピラゾロピリミジン、マイナートランキライザ、メラトニンアゴニストおよびアンタゴニスト、メラトニン作動薬、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、5HT−2アンタゴニスト、など、たとえば、アジナゾラム、アロバルビタール、アロニミド、アルプラゾラム、アミスルピリド、アミトリプチリン、アモバルビタール、アモキサピン、アリピプラゾール、非定型抗精神病薬、ベンタゼパム、ベンゾクタミン、ブロチゾラム、ブプロピオン、ブスプリオン、ブタバルビタール、ブタルビタール、カプリド、カルボクロラール、クロラールベタイン、抱水クロラール、クロミプラミン、クロナゼパム、クロペリドン、クロラゼペート、クロルジアゼポキシド、クロレタート、クロルプロマジン、クロザピン、シプラゼパム、デシプラミン、デキシクラモール、ジアゼパム、ジクロラールフェナゾン、ジバルプロエクス、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、エスタゾラム、エトクロルビノール、エトミデート、フェノバム、フルニトラゼパム、フルペンチキソール、フルフェナジン、フルラゼパム、フルボキサミン、フルオキセチン、ホサゼパム、グルテチミド、ハラゼパム、ハロペリドール、ヒドロキシジン、イミプラミン、リチウム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、マプロチリン、メクロカロン、メラトニン、メホバルビタール、メプロバメート、メタカロン、ミダフルル、ミダゾラム、ネファゾドン、ニソバマート、ニトラゼパム、ノルトリプチリン、オランザピン、オキサゼパム、パラアルデヒド、パロキセチン、ペントバルビタール、ペルラピン、ペルフェナジン、フェネルジン、フェノバルビタール、プラゼパム、プロメタジン、プロポフォール、プロトリプチリン、クアゼパム、クエチアピン、レクラゼパム、リスペリドン、ロレタミド、セコバルビタール、セルトラリン、スプロクロン、テマゼパム、チオリダジン、チオチキセン、トラカゾレート、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリアゾラム、トレピパム、トリセタミド、トリクロホス、トリフルオペラジン、トリメトジン、トリミプラミン、ウルダゼパム、ベンラファキシン、ザレプロン、ジプラシドン、ゾラゼパム、ゾルピデム、およびこれらの塩、これらの混合物などと組合わせて使用してもよく、あるいは本化合物を、光学療法または電気療法のような物理的方法の使用と組合わせて、投与してもよい。
【0122】
別の実施形態では、本化合物を、レボドパ(カルビドパまたはベンセラジドのような選択的脳外デカルボキシラーゼ阻害剤と共に、あるいはなしで)、ビペリデン(場合によりその塩酸塩または乳酸塩として)およびトリヘキシフェニジル(ベンズヘキソール)塩酸塩のような抗コリン薬、エンタカポンのようなCOMT阻害剤、MOA−B阻害剤、抗酸化剤、A2aアデノシン受容体アンタゴニスト、コリン作動薬アゴニスト、NMDA受容体アンタゴニスト、セロトニン受容体アンタゴニスト、およびアレンテモール、ブロモクリプチン、フェノルドパム、リスリド、ナキサゴリド、ペルゴリドおよびプラミペキソールのようなドーパミン受容体アゴニストと組合わせて使用してもよい。ドーパミンアゴニストは、医薬的に許容し得る塩の形状でもよく、たとえば、アレンテモールヒドロブロミド、ブロモクリプチンメシレート、フェノルドパムメシレート、ナキサゴリド塩酸塩およびペルゴリドメシレートが挙げられることは理解されるだろう。リスリドおよびプラミペキソールは、普通、非塩形状で使用される。
【0123】
別の実施形態では、本化合物を、フェノチアジン、チオキサンテン、ヘテロ環式ジベンズアゼピン、ブチロフェノン、ジフェニルブチルピペリジンおよびインドロンクラスの神経遮断薬からの化合物と組合わせて使用してもよい。フェノチアジンの適切な例として、クロルプロマジン、メソリダジン、チオリダジン、アセトフェナジン、フルフェナジン、ペルフェナジンおよびトリフルオペラジンが挙げられる。チオキサンテンの適切な例として、クロルプロチキセンおよびチオチキセンが挙げられる。ジベンズアゼピンの例は、クロザピンである。ブチロフェノンの例は、ハロペリドールである。ジフェニルブチルピペリジンの例は、ピモジドである。インドロンの例は、モリンドロンである。他の神経遮断薬として、ロキサピン、スルピリドおよびリスペリドンが挙げられる。神経遮断薬を本化合物と組合わせて使用する場合、これらは、医薬的に許容し得る塩の形状、たとえば、クロルプロマジン塩酸塩、メソリダジンベシレート、チオリダジン塩酸塩、アセトフェナジンマレアート、フルフェナジン塩酸塩、フルフェナジンエナタート、フルフェナジンデカノエート、トリフルオペラジン塩酸塩、チオチキセン塩酸塩、ハロペリドールデカノエート、ロキサピンスクシネートおよびモリンドン塩酸塩でもよいことは理解されるであろう。ペルフェナジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ハロペリドール、ピモジドおよびリスペリドンは、普通、非塩形状で使用される。したがって、本化合物は、アセトフェナジン、アレンテモール、アリピプラゾール、アミスルピリド、ベンズヘキソール、ブロモクリプチン、ビペリデン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ジアゼパム、フェノルドパム、フルフェナジン、ハロペリドール、レボドパ、レボドパおよびベンセラジド、レボドパおよびカルビドパ、リスリド、ロキサピン、メソリダジン、モリンドロン、ナキサゴリド、オランザピン、ペルゴリド、ペルフェナジン、ピモジド、プラミペキソール、クエチアピン、リスペリドン、スルピリド、テトラベナジン、トリヘキシフェニジル、チオリダジン、チオチキセン、トリフルオペラジンまたはジプラシドンと組合わせて使用してもよい。
【0124】
別の実施形態では、本化合物を、ノルエピネフリン再取込み阻害剤(三級アミントリサイクリックおよび二級アミントリサイクリックを含む)、選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、モノアミンオキシダーゼ(RIMA)、セロトニンおよびノルアドレナリン再取込み阻害剤(SNRI)の可逆的阻害剤、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)アンタゴニスト、α−アドレノ受容体アンタゴニスト、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、非定型抗うつ剤、ベンゾジアゼピン、5−HT1Aアゴニストまたはアンタゴニスト、とりわけ、5−HT1A部分アゴニスト、および副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)アンタゴニストを含む抗うつ薬または抗不安薬と組合わせて使用してもよい。具体的な薬剤として、アミトリプチリン、クロミプラミン、ドキセピン、イミプラミンおよびトリミプラミン;アモキサピン、デシプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリンおよびプロトリプチリン;フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチンおよびセルトラリン;イソカルボキシアジド、フェネルジン、トラニルシプロミンおよびセレギリン;モクロベミド;ベンラファキシン;デュロキセチン;アプレピタント;ブプロピオン、リチウム、ネファゾドン、トラゾドンおよびビロキサジン;アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼペート、ジアゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパムおよびプラゼパム;ブスピロン、フレシノキサン、ジェピロンおよびイプサピロン、ならびにこれらの医薬的に許容し得る塩が挙げられる。
【0125】
本発明の化合物は、経口的、非経口的に(たとえば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、大槽内注射または点滴、皮下注射またはインプラント)、吸入スプレー、経鼻、経ちつ、経直腸、舌下または局所経由投与で、投与してもよく、単独または他一緒に、投与のそれぞれの経路に適正な従来の非毒性医薬的に許容し得る担体、補助剤およびベヒクルを含む適切な投与単位製剤に製剤化してもよい。マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サルなどの温血動物の治療に加えて、本発明の化合物は、ヒトに用いるのが効果的である。
【0126】
経口用途を意図する医薬組成物は、医薬組成物の製造分野で公知の任意の方法に従って製造され、そのような組成物は、医薬的に洗練され美味な製剤を提供するために、甘味剤、香味料、着色剤、および保存剤からなる群から選択される1種以上の薬剤を含んでもよい。錠剤は、活性成分を、錠剤を製造するのに適した、非毒性医薬的に許容し得る賦形剤と混合して、含む。錠剤は、被覆されていなくてもよく、または消化管内での崩壊および吸収を遅らせ、これにより、長時間にわたる持続作用を提供する公知の技術によって被覆されてもよい。経口用組成物は、活性成分を、不活性固体希釈剤、たとえば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合した硬質ゼラチンカプセルとして、または活性成分を水または油状媒体、たとえば、ピーナッツ油、液体パラフィンまたはオリーブ油と混合した軟質ゼラチンカプセルとして存在してもよい。水性懸濁液、油性懸濁液、分散性粉末または顆粒、水中油型乳剤、および注射用無菌水性または油性懸濁液を、当分野で公知の標準的な方法で製造してもよい。
【0127】
本発明の化合物を、放射標識および/またはPETトレーサとして使用する場合、投与は静脈内に行うのが好ましい。陽電子放射性核種で標識された放射性トレーサは、C−11およびF−18はそれぞれ通常20分および110分という関与する核種の短い半減期のため、それらの合成から1時間以内に静脈注射によって投与されるのが一般的である。本発明の放射標識されたPDE10阻害剤を、ヒト対象に投与する場合、画像化のために必要な量は、通常、処方する医師によって決定され、その量は、一般的に、使用される核種からの放射量に従って変化する。当業者は、ほとんどの場合、有効量は、約1〜5mCiの範囲の放射が生じるのに十分な化合物の量であることを理解するであろう。PETトレーサに関連する質量体は、天然同位体の形状であり、たとえば、11C PETトレーサについては12C、18F PETトレーサについては19Fである。この質量体は、PDE10の有意な阻害を避けるため、約1μg〜約50μgの放射標識されたPDE10阻害剤を含む。
【0128】
以下の説明的な手順は、臨床設定状況において、患者にPET画像化検査を行う場合に、利用してもよい。ヒト対象は、薬物治療されず、または試験の日の前に、標識されていないPDE10阻害剤または他の薬物介入で予備薬物治療され、少なくとも12時間は絶食し、ただし、水の摂取は自由である。放射性トレーサを投与するために、20G2インチ静脈カテーテルを、対側尺骨静脈に挿入する。PETトレーサの投与は、血液中のPDE10阻害剤(または他の介入化合物)の最大(Tmax)または最小(Tmin)濃度の時刻と一致させるため、しばしば、時間を定めている。
【0129】
ヒト対象をPETカメラ中に置き、カテーテルを介して、トレーサ用量の[11C]実施例5(<20mCi)を静脈注射により投与した。血漿中の未代謝画分[11C](実施例5)を分析および定量するために、動脈血サンプルまたは静脈血サンプルのいずれかを、PETの間、適切な時間間隔で取りだす。画像は、120分までの間取得する。PETトレーサの前に投与された任意の標識されていないPDE10阻害剤(または他の介入化合物)の血漿濃度を測定するために、放射性トレーサの注射から10分以内および画像化の最後で、1mlの血液サンプルを得た。
【0130】
断層画像を、画像再構成によって得る。放射性トレーサの分布を測定するために、関心領域(ROI)を、線条体、小脳および他の特定の脳領域または中枢神経系の範囲を含む(これらに限定されない)再構築された画像上に描く。これらの領域における時間経過により放射性トレーサ取込みを使用し、試験される種々の投薬用量パラダイムでの、いかなる薬物仲介もなく得られたデータ、またはPDE10阻害剤あるいは他の薬物介入化合物存在下で得られたデータを含め、時間放射能曲線(TAC)を作成する。データは、放射能/単位時間/単位体積(μCi/cc/mCi注射用量)で表す。TACデータは、定量的パラメータを得るために、当分野で周知の種々の方法、たとえば、非占有PDE10の密度に比例する、結合能(BP)を用いて、加工する。次いで、PDE10の阻害を、種々の投与パラダイムで、薬物治療されていない状態でのBPと比較した、PDE10阻害剤の存在下でのBPの変化に基づいて計算する。阻害曲線を、PDE10阻害剤の用量(濃度)に対し上記データをプロットすることにより作成する。用量速度/阻害曲線を曲線適合することにより、以下の式を用いてID50値を得る。
【0131】
B=A−AI/(ID50+I)+NS
(式中、Bは、%−用量/臨床候補の各用量に関する組織内の放射性トレーサのgであり、Aは、PDE10阻害剤の不存在下の組織中の特異的結合放射性トレーサであり、Iは、アンタゴニストの注射用量であり、ID50は、特異的放射性トレーサのPDE10への結合を50%阻害する化合物の用量であり、およびNSは、非特異的結合放射性トレーサの量である。)
さらに、本化合物は、本明細書に記載された疾患、障害および状態のリスクの予防、治療、コントロール、寛解または低下方法において有用である。組成物中の活性成分の用量は変更してもよいが、適切な製剤形状が得られるような活性成分の量であることが必要である。活性成分は、そのような治療を必要とする患者(動物およびヒト)に、最適な医薬的効力を与えるような投与量で投与してもよい。選択される投与量は、目的とする治療効果、投与経路、および治療の期間に依存する。用量は、疾患の性質および重症度、患者の体重、患者が守っている特定の食事制限、現在の薬物治療、および当業者が認識する他の要因により、患者によって異なる。一般的に、0.01〜10mg/kgの体重の間の投与レベルを、毎日患者、たとえば、ヒトおよび老人に投与する。投与量範囲は、一般的に、約0.5mg〜1.0g/患者/日であり、これを1回または複数回で投与してもよい。一実施形態では、投与量範囲は、約0.5mg〜500mg/患者/日、別の実施形態では、約0.5mg〜200mg/患者/日;およびさらに別の実施形態では、約5mg〜50mg/患者/日である。本発明の医薬組成物は、たとえば、約0.5mg〜500mgの活性成分を含む、または約1mg〜250mgの活性成分を含む固体製剤形状で提供してもよい。医薬組成物は、約1mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、200mgまたは250mgの活性成分を含む固体製剤形状で提供してもよい。経口投与のために、組成物は、治療されるべき患者の症状に投与量を調整するために、1.0〜1000mgの活性成分、たとえば、1、5、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、750、800、900および1000mgの活性成分を含む錠剤の形状で投与してもよい。化合物は、1日当たり1〜4回の投与計画、好ましくは1日当たり1回または2回の投与計画で投与してもよい。
【0132】
以下の実施例の化合物は、以下の生物アッセイで記載されるヒトPDE10酵素の阻害において活性を有し、一般に、Kiは約1μM未満であった。本発明の範囲内の化合物の多くは、上記アッセイで、ヒトPDE10酵素を阻害において活性を有し、一般的に、Kiは約0.1μM未満であった。そのような結果は、PDE10酵素の阻害剤の使用において、化合物の内因活性を示す。当業者は、物質のKiが約1μM以下、好ましくは約0.1μM以下であれば、その物質は、PDE10活性を効果的に阻害すると考えられると、一般的に理解するだろう。本発明は、他のホスホジエステラーゼ酵素の阻害剤としての活性を持つ、本発明の一般的範囲内の化合物も含む。
【0133】
以下の表で、PDE10Kiは、PDE10酵素の活性を阻害する試験化合物の能力の基準である。PDE10に関する試験化合物の選択性を測定するために、化合物のKiを、PDE1〜5、7〜9および11に関して測定した。以下の表で、選択性は、PDE10以外の最も強力に阻害されたPDEに関する試験化合物のKiをPDE10に関するKiで割ったものと定義する。
【表2】


【0134】
本発明の化合物を製造する方法を、いくつか以下のスキームおよび実施例で説明する。出発物質および必須中間体は、いくつかは市販され、あるいは文献の手順に従ってまたは本明細書で説明するように製造することができる。本発明の化合物は、文献で公知のまたは実験手順で代表される他の標準的な方法の他に、以下のスキームに示す反応を使用して製造してもよい。スキーム中で示す置換基のナンバリングは、必ずしも、特許請求の範囲で使用されるものと相互関係があるわけではなく、本明細書の先の定義の下で複数の置換基が可能な場合、明確化のために、しばしば、単一の置換基が化合物に結合するように示されている。本発明の化合物を生成するために使用される反応は、文献で公知のまたは実験手順で代表される、エステル加水分解、保護基の開裂などのような他の標準的な方法の他に、本明細書のスキームおよび実施例に示されている反応を使用して製造する。出発物質は、当分野で公知のまたは本明細書で説明されるような手順に従って製造される。
【0135】
ある場合は、最終生成物を、たとえば置換基の操作によって、さらに変性してもよい。これらの操作として、当業者に一般的に知られている還元、酸化、アルキル化、アシル化、および加水分解反応が挙げられるが、これらに限定されない。ある場合は、先に記載した反応スキームを行う順番を変更して、反応を容易にしてもよく、または不必要な反応生成物を省いてもよい。以下の実施例は、本発明をさらに十分に理解するために掲載するものである。これらの実施例は、説明のためだけのものであり、どのような方法でも、本発明を限定するように考えるべきではない。
【0136】
本発明をある特定の実施形態に関連して記載および説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱しない限り、手順およびプロトコルの種々の適応、変更、修正、置換、削除または付加をなしえることを、当業者は理解するであろう。
【0137】
実施例
本明細書では以下の略語が使用されている。
【0138】
Me:メチル;Et:エチル;t−Bu:tert−ブチル;Ar:アリール;Ph:フェニル;Bn:ベンジル;Ac:アセチル;THF:テトラヒドロフラン;DEAD:ジエチルアゾジカルボキシレート;DIPEA:N,N−ジイソプロピルエチルアミン;DMSO:ジメチルスルホキシド;EDC:N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド;HOAT:1−ヒドロキシ−7−アザ−ベンゾトリアゾール;HOBT:ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物;Boc:tert−ブチルオキシカルボニル;EtN:トリエチルアミン;DCM:ジクロロメタン;DCE:ジクロロエタン;BSA:ウシ血清アルブミン;TFA:トリフルオロ酢酸;DMF:N,N−ジメチルホルムアミド;MTBE:メチルtert−ブチルエステル;SOCl:塩化チオニル;CDI:カルボニルジイミダゾール;rt:室温;HPLC:高性能液体クロマトグラフィ。
【0139】
本発明の化合物を製造する方法をいくつか、以下のスキームおよび実施例で説明する。出発物質は、当分野で公知のまたは本明細書で示す手順に従って製造する。ある場合は、最終生成物を、最終生成物を、たとえば置換基の操作によって、さらに変性してもよい。これらの操作として、当業者に一般的に知られている、還元、酸化、アルキル化、アシル化、および加水分解反応が挙げられるが、これらに限定されない。ある場合は、先に記載した反応スキームおよび実施例を行う順番を変更して、反応を容易にしてもよく、または不必要な反応生成物を省いてもよい。
【0140】
以下の実施例は、本発明をさらに十分に理解するために掲載するものである。これらの実施例は、説明のためだけのものであり、どのような方法でも、本発明を限定するように考えるべきではない。
【0141】
一般的スキーム
本発明の化合物は、以下の一般的スキームに従って製造することができる。スキームAによれば、アントラニル酸(または代わりに1−アミノ−2−カルボキシ複素環)を、ワンポットで、脂肪族カルボン酸および亜リン酸トリフェニルとカップリングし、次いでアニリン(またはアミノ置換複素環)を付加し、本発明の化合物A−1を得ることができる。
【0142】
スキームA
【化6】

【0143】
スキームBで、A−1のR基がフタルイミドを含む場合、EtOH中でヒドラジンとともに還流することによって基を除去し、一級アミンB−1を得ることができる。これは、ジオキサン中で適切な無水フタル酸とともに還流することにより、置換フタルイミドB−2に変換することができる。B−2が求核基(たとえばフェノール)を含む場合、アルキル化によってさらに官能化し、B−3を得ることができる。B−2が臭化アリールを含む場合、SuzukiまたはStille条件下で反応させ、B−4を得ることができる。
【0144】
スキームB
【化7】

【0145】
実施例1
【化8】

【0146】
2−{2−[3−(4−メトキシフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]エチル}−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(A−1)
アントラニル酸(2.0g、14.6mmol)、3−フタルイミドプロピオン酸(3.2g、14.6mmol)および亜リン酸トリフェニル(4.0mL、15.3mmol)をピリジン(20mL)に溶解し、密閉管内で100℃で2時間加熱する。室温に冷却した後、管を開け、p−アニシジン(2.7g、21.9mmol)を加え、再び100℃で4時間加熱を続ける。ピリジンをトルエンとの共沸により除去し、残渣をCHClおよびトルエンに懸濁した。粉砕した固体を除去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィにより勾配溶出(ヘキサン中0から100%EtOAc)で精製した。いくつかの画分から白色固体を析出させ、ろ過により単離し、A−1(2.23g、36%)を得た。A−1に関するデータ:LRMS:C2519について計算M+H:426.14;測定値:426.16。
【0147】
実施例2
【化9】

【0148】
2−(2−アミノエチル)−3−(4−メトキシフェニル)キナゾリン−4(3H)−オン(B−1)
A−1(2.23g、5.2mmol)のEtOH(50mL)懸濁液に、ヒドラジン(495μL、15.7mmol)および約100μLの水を加え、混合物を3時間還流加熱した。室温に冷却した後、固体を除去し、ろ液を回転蒸発器で濃縮した。残渣をEtOAc(150mL)に懸濁し、固体を再びろ過した。ろ液を濃縮し、B−1(1.5g、97%の収率)を、ベージュの半固体として得た。B−1に関するデータ:LRMS:C1717について計算M+H:296.13;測定値:296.25。
【0149】
4−ヒドロキシ−2−{2−[3−(4−メトキシフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]エチル}−1H−イソインドール−1,3(2H)ジオン(B−2)
B−1(155mg、0.52mmol)の1,4−ジオキサン(2mL)溶液に、無水3−ヒドロキシフタル酸(86mg、0.52mmol)を加えた。バイアルを密封し、80℃で一晩加熱した。溶剤を除去し、残渣をCHClに溶解し、カラムクロマトグラフィ(ヘキサン中0から100%EtOAc)で精製し、B−2(135mg、58%)を、薄いオレンジ色固体として得た。B−2に関するデータ:HRMS(ES)C2519について計算M+H:442.1397;測定値:442.1394。
【0150】
4−メトキシ−2−{2−[3−(4−メトキシフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]エチル}−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(B−3)
B−2(39mg、0.088mmol)のCHCN(2mL)溶液に、KCO(86mg、0.27mmol)およびヨードメタン(8.3μL、0.14mmol)を加えた。バイアルを密封し、65℃で1時間加熱した。固体をろ別し、溶剤を除去し、残渣をCHClに溶解し、カラムクロマトグラフィ(ヘキサン中0から100%EtOAc)で精製し、B−3(18mg、45%)を白色固体として得た。B−3に関するデータ:HRMS(ES)C2621について計算M+H:456.1554;測定値:456.1554。
【0151】
実施例3
【化10】

【0152】
2−{2−[3−(4−メトキシフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]エチル}−4−(1,3−オキサゾール−2−イル)−1H−イソインドール−1,3(2H)ジオン(C−2)
C−1(50mg、0.1mmol)、2−(トリ−n−ブチルスタンニル)オキサゾール(43mg、0.12mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(11.5mg、10μmol)を、マイクロ波バイアルに密閉し、マイクロ波反応器中140℃で20分加熱した。残渣をシリカカラムに直接載せ、カラムクロマトグラフィ(ヘキサン中0から100%EtOAc)で精製し、C−2(32mg、66%)を無色タフィーとして得た。C−2に関するデータ:HRMS(ES)C2820について計算M+H:493.1506;測定値:493.1515。
【0153】
実施例4
【化11】

【0154】
tert−ブチル3−(4−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)プロパノエート(D−2)
D1(2.0g、11.01mmol)および無水3−ヒドロキシフタル酸(1.9g、11.56mmol)をジオキサン(10mL)に懸濁した。TEA(4.6mL、33mmol)を懸濁液に加え、50℃で一晩加熱した。冷却した後、溶液をEtOAc(150mL)で希釈し、水(100mL)および濃縮ブライン(100mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、濃縮し、D−2(2.1g、65.5%の収率)をオフホワイト固体として得た。
【0155】
tert−ブチル3−(4−イソプロポキシ−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)プロパノエート(D−3)
D−2(1g、3.43mmol)を密閉管中でアセトニトリル(25ml)に懸濁した。攪拌しながら、2−ヨードプロパン(687μL、6.87mmol)および炭酸セシウム(3.36g、10.30mmol)を加えた。管をキャップし、8O℃で4時間加熱した。室温に冷却した後、反応系をEtOAc(150mL)で希釈し、水(100mL)および濃縮ブライン(100mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、濃縮し、粗残渣をカラムクロマトグラフィにより勾配溶出(ヘキサン中0から100%EtOAc)で精製し、D−3(835g、73.1%)を白色固体として得た。D−3に関するデータ:LRMS:C1415NOについて計算M+H:278.27;測定値:278.62。
【0156】
3−(4−イソプロポキシ−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)プロパン酸(D−4)
D−3(835g、2.50mmol)をDCM(5mL)およびTFA(5mL)に溶解し、室温で2時間攪拌した。溶剤を除去し、残渣をトルエンと共沸した。これにより、D−4(690g、100%)をオフホワイト固体として得た。D−4に関するデータ:LRMS:C1415NOについて計算M+H:278.27;測定値:278.62。
【0157】
2−(2−{3−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル}エチル)−4−イソプロポキシ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(D−5)
アントラニル酸(1.0g、7.29mmol)、D−4(2.02g、7.29mmol)および亜リン酸トリフェニル(2.01mL、7.66mmol)をピリジン(20mL)に溶解し、密閉管中100℃で2時間加熱した。室温に冷却した後、管を開け、4−ベンジルオキシアニリン塩酸塩(1.89g、8.02mmol)を加え、再び100℃で加熱を4時間続けた。ピリジンをトルエンとの共沸により除去し、残渣をCHClおよびトルエンに懸濁した。粉砕した固体を除去し、残渣を、シリカゲルクロマトグラフィにより、勾配溶出(ヘキサン中0から100%EtOAc)で精製し、D−5(1.9g、46%)を白色固体として得た。D−5に関するデータ:HRMS(ES)C3429について計算M+H:560.2180;測定値:560.2195。
【0158】
2−{2−[3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]エチル}−4−イソプロポキシ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(D−6)
チオアニソール(6mL、50.0mmol)およびブロモトリメチルシラン(1.62mL、12.5mmol)のTFA(10mL)溶液を0℃で調製した。D−5(1.4g、2.5mmol)を加え、0℃で3時間攪拌した。次いで、反応系を室温に暖め、EtOAc(200mL)で希釈した。飽和NaHCO(250mL)で2回、次いで飽和ブライン(250mL)で洗浄した後、有機層をNaSOで乾燥し、濃縮し、粗残渣を得た。これをクロロホルムで希釈し、カラムクロマトグラフィにより、勾配溶出(ヘキサン中0からl00%EtOAc)で精製し、D−6(.575g、49%)を白色固体として得た。D−6に関するデータ:HRMS(ES)C2723について計算M+H:470.1710;測定値:470.1720。
【0159】
4−イソプロポキシ2−{2−[3−(4−メトキシフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]エチル}−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(D−7)
D−6(35mg、.075mmol)をバイアル中でアセトニトリル(2ml)に懸濁した。攪拌しながら、ヨードメタン(6.99μL、.122mmol)および炭酸セシウム(73mg、.224mmol)を加えた。バイアルをキャップし、8O℃で4時間加熱した。室温に冷却した後、反応系をEtOAc(30mL)で希釈し、水(25mL)、次いでブライン(25mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮し、粗物質を得た。これをクロロホルムで希釈し、カラムクロマトグラフィにより勾配溶出(ヘキサン中0から100%EtOAc)で精製し、D−7(28mg、76%)を白色固体として得た。D−7に関するデータ:HRMS(ES)C2825について計算したM+H:484.1867;測定値:484.1858。
【0160】
実施例5
【化12】

【0161】
4−イソプロポキシ−2−{2−[3−(4−11C−メトキシフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]エチル}−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(E−I)
11C]COをSiemens、North Wales、PAにより得た。[11C]COを、GE Medical Systems TRACERlab FXcシステムを使用して、[11C]ヨウ化メチルに変換した。放射化学的手段を、Gilson233XL液体ハンドラーを使用して行った。放射性トレーサを、Waters600Eコントローラを使用して、逆相HPLCにより精製し、分取HPLC操作を、Pharmacia−Biotech UV−MII UV検出器およびBioscan FlowCountフォトダイオード検出器を使用して、254nmでモニターした。放射化学的純度および同一性を、Waters996UV検出器およびフォトダイオード電波探知機を備える分析Waters600E HPLCシステム(Bioscan FlowCount)で、信頼できる標準を用い、共射出により測定した。
【0162】
11C]ヨウ化メチル(300mCi)を、0℃のCsCO(1mg以内)を含むDMF(0.25mL)中のD−6(0.3〜0.5mg)混合物に、バブリングした。トラップされた放射能の量がピークに達した時、混合物を、予め45℃に予熱された、CsCO(0.5mg以内)を含むバイアルに移した。反応混合物を、45℃で3分間加熱し、HO(0.5mL)で希釈し、HPLC(Phenomenex Gemini C18カラム(10×150mm、5μm)により、アセトニトリル(溶剤A)および10mMのNaHPO(溶剤B)を、5ml/分で50%A50%Bから70%A30%Bで構成される15分の直線勾配条件下で精製した。E−1に対応するピーク(保持時間:9分以内)を、加熱した回転蒸発器のフラスコに集め、ほとんどの溶剤を真空除去し、残渣を、キャップされた無菌バイアルに移し、56mCi([11C]MeIから19%未修正)のE−1を得、これは、比放射能が3116Ci/mmol(EOS)であり、放射化学的および化学的純度が98%より高かった。放射化学的および化学的純度は、270nmで、Waters XTerra C18カラム(4.6×150mm、5μm)、均一濃度の60%アセトニトリル、40%HO(0.1%TFA)を1mL/分で使用し、E−1に関して6分の保持時間で測定した。比放射能は、E−1のアリコートを線量キャリブレータで数え、D−7の質量較正曲線に対し分析HPLCによって質量を測定することにより、決定した。
【0163】
実施例6
【化13】

【0164】
2−メトキシ−N−{2−[3−(4−メトキシフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]エチル}ベンズアミド(F−1)
B−1(43mg、0.15mmol)の1mLのDMF溶液に、2−メトキシ安息香酸(27mg、0.18mmol)、HOAT(29mg、0.19mmol)、トリエチルアミン(61μL、0.4mmol)およびEDC(34mg、0.18mmol)を加えた。混合物を40℃で3時間攪拌し、EtOAcに注ぎ入れ、NaHCO飽和水溶液で洗浄し、ブラインで2回洗浄し、NaSOで乾燥し、回転蒸発器で濃縮した。粗物質を逆相HPLC(水/アセトニトリル、0.1%TFA)で精製し、生成物を含む画分をNaHCO飽和水溶液で塩基性とし、EtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮し、F−1を無色フィルム状で得た。F−1に関するデータ:HRMS(ES)C2523について計算M+H:430.1761;測定値:430.1753。
【0165】
実施例7
【化14】

【0166】
2−{2−[3−(1H−インダゾール−6−イル)−7−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]エチル}−4−{プロパン−2−イルオキシ)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(G−1)
2−アミノ−4−メチル安息香酸(150mg、0.99mmol)、D−4(275mg、0.99mmol)および亜リン酸トリフェニル(286μL、1.1mmol)を、1mLのDMFに溶解し、密閉バイアル中100℃で2時間加熱した。室温に冷却した後、管を開け、6−アミノインダゾール(132mg、0.99mmol)を加え、再び100℃で4時間加熱を続けた。室温に冷却した後、反応系をEtOAcと飽和NaHCOとの間で分配した。分離後、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、回転蒸発器で濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィにより、勾配溶出[0から100%ヘキサン中1:1(EtOAc/20:1:1EtOH/NHOH/HO)]で精製し、G−1(302mg、60%)を褐色固体として得た。G−1に関するデータ:HRMS(ES)C2925について計算M+H:508.1979;測定値:508,1983。
【0167】
2−{2−[7−メチル−3−(1−メチル−1H−インダゾール−6−イル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]エチル}−4−(プロパン−2−イルオキシ)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(G−2)
G−1(150mg、0.30mmol)、ヨードメタン(18.5μL、0.3mmol)およびトリエチルアミン(過剰)の1mLのDMF溶液を、40℃で数時間加熱した。粗反応系を、逆相クロマトグラフィ(CHCN/HO+変更因子としてTFA)で精製し、G−2(26mg、34%)、先ず溶出する位置異性体を白色固体として得た。G−2に関するデータ:LC/MS:rt=1.3分;m/z(M+H)=522.4.H NMR(500MHz,CDCl):d8.15(m,1H)、8.05(m,1H)、7.85(m,1H)、7.55(m,1H)、7.4−7.25(m,4H)、7.15(m,1H)、7.05(m,1H)、4.7(m,1H)、4.1(m,2H)、4.1(s,3H)、2.75(m,2H)、2.5(s,3H)、1.4(dd,6H)ppm。
【0168】
実施例8
【化15】

【0169】
2−{2−[7−メチル−3−(1−11C−メチル−1H−インダゾール−6−イル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]エチル}−4−(プロパン−2−イルオキシ)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(H−1)
11C]ヨウ化メチルを、200℃に加熱した銀トリフレートのカラム(5×30mm以内)で蒸留することによって、[11C]メチルトリフレートに変換した。[11C]メチルトリフレートを、室温で、1Mのナトリウムヒドロキシド(3uL)を含むDMF(0.25mL)中のG−1(0.2〜0.5mg)中にバブリングした。溶液中に捕捉された放射能の量がピークに達した時、混合物を室温で3分間放置した。次いで反応混合物をHO(0.5mL)で希釈し、HPLC(Phenomenex Synergi Polar−RP10×150mm、5μm)により、アセトニトリル(溶剤A)および水中の0.1%トリフルオロ酢酸(溶剤B)を5ml/分で55%A45%Bの均一濃度条件下で使用して精製した。H−1に対応するピーク(保持時間:10分以内)をフラスコに集め、ほとんどの溶剤を真空除去し、残渣をキャップされた無菌バイアルに移し、58mCi(HPLCクロマトグラムの合計で31%の収率)のH−1を得、これは、比放射能が2039Ci/mmol(EOS)であり、放射化学的純度が98%より高かった。
【0170】
実施例9
生物学的実施例−蛍光偏光アッセイ
本発明による化合物のPDE10阻害剤としての活性は、当分野で周知の蛍光偏光(FP)法(Huang、W.ら、J.Biomol Screen、2002、7:215)を使用することにより、過度の実験を行うことなく、簡単に測定できるだろう。特に、実施例の化合物は、環状ヌクレオチドのリン酸エステル結合の加水分解を阻害する能力を発現することによって、参考アッセイにおいて活性を持つ。1μM未満のKi(阻害定数)を示す化合物はいかなるものも、本明細書で定義するPDE10阻害剤と考えられる。
【0171】
代表的な実験では、本発明の化合物のPDE10阻害剤活性を、以下の実験方法に従って測定した。PDE10A2を、ヒト胎児脳cDNA(Clontech、Mountain View、CA)から、Kozakコンセンサス配列を含む、ヒトPDE10A2(受託番号:AF127480、Genbank Identifier 4894716)のヌクレオチド56−77に対応する順方向プライマー、およびヒトPDE10A2(受託番号:AF127480、Genbank Identifier 4894716)のヌクレオチド2406−2413に対応する逆方向プライマーを使用して、増幅した。Easy−Aポリメラーゼによる増幅(Stratagene、La Jolla、CA)は、95℃で2分、次いで95℃40秒、55℃30秒および72℃2分48秒を33循環行った。最終拡張は、72℃で7分間であった。PCR生成物は、標準プロトコルに従って、pcDNA3.2−TOPO(Invitrogen、Carlsbad、CA)にTAクローン化した。
【0172】
製造業者の仕様書(Invitrogen、Carlsbad、CA)に従って、リポフェクタミン2000を使用して、70〜80%の培養密度を持つAD293細胞に、ヒトPDB10A2/pcDNA3.2−TOPOを一時的に形質移入した。形質移入後48時間で細胞を採取し、20mMのHEPES、1mMのEDTAおよびプロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)を含む緩衝液中で、音波処理(設定3、10×5秒パルス)により溶解した。75,000×gで20分の遠心分離により溶解物を集めた。細胞質画分を含む上澄みを、PDE10A2活性の評価のために使用した。
【0173】
環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼの蛍光偏光アッセイを、Molecular Devices、Sunnyvale、CA(製品番号R8139)から供給されている、IMAP(登録商標)FPキットを使用して行った。IMAP(登録商標)技術は、以前、ホスホジエステラーゼアッセイに対して適用していた(Huang,W.ら、J.Biomol Screen、2002、7:215)。アッセイは、室温で、20.2μLのインキュベーション体積の384−ウェル・マイクロリッター・プレート中で行った。試験化合物の溶液をDMSOで調製し、DMSOで連続的に希釈し、1プレート当たり32連続希釈で、濃度で3倍異なるそれぞれ8μLの10個の溶液を得た。100%の阻害は、公知のPDE10阻害剤を使用して測定し、これは、以下に記載するアッセイで5,000回そのKi値が存在する化合物であれば、いかなるものも可能である。たとえば、パパベリン(Siuciakら、Neuropharmacology(2006)51:386〜396;Beckerら.Behav Brain Res(2008)186(2):155〜60;Threlfellら、J.Pharmacol Exp Ther(2009)328(3):785〜795参照)、2−{4−[ピリジン−4−イル−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェノキシメチル}キノリンコハク酸または2−[4−(1−メチル−4−ピリジン−4−イル−1H−ピラゾール−3−イル)−フェノキシメチル]キノリンコハク酸(Schmidtら.J.Pharmacol Exp Ther(2008)325:681〜690;Threlfellら、J.Pharmacol Exp Ther(2009)328(3):785〜795参照)。0%の阻害は、DMSO(最終濃度1%)を使用して測定する。
【0174】
Labcyte Echo555(Labcyte、Sunnyvale、CA)を使用して、滴定プレートの各ウェルから20nLを384ウェル・アッセイ・プレートに分配する。酵素の溶液(アリコートから1/1600希釈;20%基質転換を作成するのに十分)、およびMolecular Devices(製品番号R7506)から得たFAM−標識cAMP PDEの別の溶液を、50nMの最終濃度で、アッセイ緩衝液(10mMのTris・HCl、pH7.2、10mMのMgCl、0.05%NaN、0.01%Tween−20および1mMのDTT)で作成する。次いで、10μLの2回の継続的添加により、酵素および基質をアッセイプレートに加え、その後振盪混合する。反応を室温で30分進める。次いで、80%溶液A、20%溶液B、および総結合溶液の1/600の体積の結合試薬で構成される結合溶液を、キット成分から作成する。60μLの結合溶液をアッセイプレートの各ウェルに加えることによって、酵素反応を停止させ、プレートを密封し、10秒振盪する。蛍光偏光(FP)を測定する前に、プレートを室温で少なくとも1時間温置した。
【0175】
プレートの各ウェルの平行および垂直蛍光発光を、Perkin Elmer EnVision(商標)プレートリーダー(Waltham、MA)を使用して測定した。蛍光偏光(mP)を、各サンプルウェルの平行(S)および垂直(P)蛍光発光、および基質だけを含む中央コントロールウェルの類似値(SoおよびPo)から、以下の式を用いて計算した。
【0176】
偏光(mP)=1000(S/So−P/Po)/(S/So+P/Po)
各化合物の用量−阻害特性を、mPデータを、以下に示す4パラメータ方程式に合わせることによって特徴付けた。見かけの阻害定数(KI)、「100%阻害コントロール」(Imax;たとえば、1≧このコントロールと同じ)に対する低平坦域での最大阻害、「0%阻害コントロール」(Imin;たとえば、0≧薬物のないコントロールと同じ)に対する高平坦域での最小阻害、およびヒル勾配(nH)を、化合物の用量の関数としてmP値の非線形最小二乗適合によって、社内のソフトウェアPROGRAMを使用し、Mosserら、JALA、2003、8:54〜63が記載する手順に基づいて、以下の式を使用して決定する。
【数1】

【0177】
「0%阻害コントロール」の中央シグナル(0%mP)および「100%阻害コントロール」の中央シグナル(100%mP)は、各アッセイプレートのカラム1−2および23−24に位置するコントロールから測定した定数である。150nMのFAM−標識cAMPの見かけ(K)は、別の実験で、基質の同時変動および選択された薬物濃度によって測定した。
【0178】
実施例10
生物学的実施例−選択性アッセイ
他のPDEファミリと比較したPDE10の選択性も、IMAP(登録商標)技術を使用して評価した。アカゲザルPDE2A3およびヒトPDE10A2酵素を、一時的に形質移入したHEK細胞の細胞質画分から調製した。他の全てのPDEファミリは、昆虫細胞で発現したGST Tagヒト酵素であり、BPS Bioscience(San Diego、CA)から入手した、PDE1A(カタログ番号60010)、PDE3A(カタログ番号60030)、PDE4A1A(カタログ番号60040)、PDE5A1(カタログ番号60050)、PDE6C(カタログ番号60060)、PDE7A(カタログ番号60070)、PDE8A1(カタログ番号60080)、PDE9A2(カタログ番号60090)、PDE11A4(カタログ番号60110)であった。
【0179】
PDE1から11のアッセイを、20.2μLのインキュベーション体積の384ウェルマイクロタイタープレート中、室温で、平行して行った。試験化合物の溶液をDMSO中で調製し、DMSOで連続的に希釈し、1プレート当たり32連続希釈で、濃度で3倍異なるそれぞれ30μLの10個の溶液を得た。100%阻害は、酵素の代わりに緩衝液を加えて測定し、0%阻害は、DMSO(1%の最終濃度)を使用して測定する。Labcyte POD810(Labcyte、Sunnyvale、CA)を使用して滴定プレートの各ウェルから200nLを分配し、各滴定について11コピーのアッセイプレート、各PDE酵素について1コピーを作成した。各酵素の溶液(アリコートからの希釈、20%基質転換を作成するのに十分)、およびMolecular Devices(Sunnyvale、CA、製品番号R7506またはcGMP#R7508)から得たFAM標識cAMPまたはFAM標識cGMPの別の溶液を、50nMの最終濃度で、アッセイ緩衝液(10mMのTris HCl、pH7.2、10mMのMgCl、0.05%NaN、0.01%Tween−20および1mMのDTT)で作成した。PDE2の基質は、1000nMのcGMPを含む50nMのFAM cAMPであることに留意すべきである。次いで、10μLの2回の継続的添加により、酵素および基質をアッセイプレートに加え、その後振盪混合した。反応を室温で60分進めた。次いで、80%溶液A、20%溶液B、および総結合溶液の1/600の体積の結合試薬で構成される結合溶液を、キット成分から作成した。60μLの結合溶液をアッセイプレートの各ウェルに加えることによって、酵素反応を停止させた。プレートを密封し、10秒振盪した。プレートを室温で1時間温置し、次いで平行および垂直蛍光を、Tecan Genios Proプレートリーダー(Tecan、Switzerland)を使用して測定した。
【0180】
全ての11PDEファミリに対する化合物の見かけの阻害定数を、平行および垂直蛍光の読みから、各酵素および基質組合せの以下の見かけK値を使用して、PDE10FPアッセイで記載するように測定した。PDElA(FAM cGMP)70nM、rhesus PD2A3(FAM cAMP)10,000nM、PDE3A(FAM cAMP)50nM、PDE4A1A(FAM cAMP)1500nM、PDE5A1(FAM cGMP)400nM、PDE6C(FAM cGMP)700nM、PDE7A(FAM cAMP)150nM、PDE8A1(FAM cAMP)50nM、PDE9A2(FAM cGMP)60nM、PDE10A2(FAM cAMP)15OnM、PDE11A4(FAM cAMP)1000nM。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの放射標識化合物、またはその医薬的に許容し得る塩。
【化1】

(式中、
Aは、
(1)C3−10シクロアルキル、
(2)C6−10アリール、
(3)C5−10ヘテロアリールおよび、
(4)C5−10ヘテロシクリルからなる群から選択され、
ここで前記シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルは、それぞれ、場合により、1〜3個のR基で置換され;
Arは、
(1)−(CH3−10シクロアルキル、
(2)−(O)(CH6−10アリール、
(3)−(CH5−10ヘテロアリールおよび、
(4)−(CH5−10ヘテロシクリルからなる群から選択され、
ここで、前記シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルは、それぞれ、場合により、1〜3個のR基で置換され;
Rは、
(1)−(CH5−10ヘテロアリール、
(2)−(CH5−10ヘテロシクリル、
(3)−(CHNRC(O)NRおよび、
(4)−(CHNRC(O)Rからなる群から選択され、
ここで、それぞれ、場合により、1〜3個のR基で置換され;
およびRは、それぞれ独立して、
(1)水素、
(2)ヒドロキシル、
(3)非置換または1個以上のハロゲンで置換されている−C1−6アルキル、
(4)−(CH)CF
(5)−(CHF、
(6)−C3−10シクロアルキル、
(7)−C6−10アリール、
(8)−C5−10ヘテロアリールおよび、
(9)−C5−10ヘテロシクリルからなる群から選択され、
ここで、前記シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、それぞれ、場合により、1〜3個のRa基で置換され;
は、
(1)ハロゲン、
(2)ヒドロキシル、
(3)非置換または1個以上のハロゲンで置換されている−C1−6アルキル、
(4)−C3−6シクロアルキル、
(5)−NRC(O)R
(6)−C(O)N(R
(7)−C(ROR
(8)−C(O)R
(9)−NO
(10)−CN、
(11)−N(R
(12)−C(O)OR
(13)−OR
(14)−(CH5−10ヘテロシクリル、
(15)−(CH6−10アリールおよび、
(16)−(CH5−10ヘテロアリールからなる群から選択され、
ここで、前記ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールは、それぞれ、場合により、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシル、
(c)−C1−6アルキル、
(d)−CN、
(e)−(CHCFまたは、
(f)−C6−10アリールの1〜3個の基で置換され;
nは、独立して、0〜4であり;および、
pは、独立して、0または1である。)
【請求項2】
4−イソプロポキシ−2−{2−[3−(4−11C−メトキシフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]エチル}−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンおよび2−{2−[7−メチル−3−(1−11C−メチル−1H−インダゾール−6−イル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]エチル}−4−(プロパン−2−イルオキシ)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンからなる群から選択される化合物。
【請求項3】
哺乳類中のPDE10を定量的に画像化する方法であって、そのような画像化を必要とするヒトに有効量の請求項1の化合物またはその医薬的に許容し得る塩を投与することと、陽電子放出断層撮影を使用して哺乳類中のPDE10を定量化するのに有用な画像を得ることとを含む方法。
【請求項4】
哺乳類の脳中のPDE10を定量的に画像化する方法であって、そのような画像化を必要とするヒトに有効量の請求項1の化合物またはその医薬的に許容し得る塩を投与することと、陽電子放出断層撮影を使用して哺乳類の脳中のPDE10を定量化するのに有用な画像を得ることとを含む方法。
【請求項5】
哺乳類のPDE10機能障害に関連する神経障害または精神障害を画像診断する方法であって、そのような画像診断を必要とするヒトに有効量の請求項1の化合物またはその医薬的に許容し得る塩を投与することと、陽電子放出断層撮影を使用して哺乳類の脳中のPDE10を定量化するのに有用な画像を得ることとを含む方法。
【請求項6】
哺乳類の線条体機能低下または基底核機能障害に関連する神経障害または精神障害を画像診断する方法であって、そのような画像診断を必要とするヒトに有効量の請求項1の化合物またはその医薬的に許容し得る塩を投与することと、陽電子放出断層撮影を使用して哺乳類の脳内のPDE10を定量化するのに有用な画像を得ることとを含む方法。
【請求項7】
哺乳類の組織中のPDE10を定量化する方法であって、定量化が望まれるそのような哺乳類の組織を有効量の請求項1の化合物またはその医薬的に許容し得る塩で接触することと、陽電子放出断層撮影を使用してPDE10を検出または定量化することを含む方法。

【公表番号】特表2012−528176(P2012−528176A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513203(P2012−513203)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/036186
【国際公開番号】WO2010/138577
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】