説明

放射線を用いた治療及び/又は化学療法の前に癌を事前感作する方法、及び新規のサイトカイン混合物

本発明は、化学療法、放射線療法又は免疫療法などの治療的処置の前に癌を事前感作するための画期的方法、及びその方法中で使用する新規のサイトカイン混合物に関する。このサイトカイン混合物は、インターロイキン−2(IL−2)に対するIL−1β、TNF−α、IFN−γ及びGM−CSFなどのサイトカインの特定の比率で構成される、血清及びマイトジェンを含まない混合物、であり、これは細胞周期の増殖期への癌性細胞の進入を誘導し、これによって化学療法、放射線療法及び免疫療法に対するそれらの感受性を増大させる際に有効である。このような新規のサイトカイン混合物の1つは、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)であり、これを単独あるいは癌の治療用の他の薬剤と組み合わせて使用して、それによって癌治療の成功率及び癌患者の無病生存率を増大させることができる。

【発明の詳細な説明】
【導入部分】
【0001】
[1]本発明は、化学療法、放射線療法又は免疫療法などの治療的処置の前に癌を事前感作するための画期的方法、及びその方法中で使用する新規のサイトカイン混合物に関する。このサイトカイン混合物は、インターロイキン−2(IL−2)に対するIL−1β、TNF−α、IFN−γ及びGM−CSFなどのサイトカインの特定の比率から構成される、血清及びマイトジェンを含まない混合物であり、これは癌性細胞を細胞周期の増殖期へ進行させることを誘導し、それによって化学療法、放射線療法及び免疫療法に対する癌性細胞の感受性を増大させるのに有効である。このような1つの新規サイトカイン混合物は、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)であり、これを単独あるいは癌治療用の他の薬剤と組み合わせて使用し、それによって癌治療の成功率及び癌患者の無病生存率を増大させることができる。
【発明の背景】
【0002】
[2]癌、特に固形腫瘍の現在の治療は、主に外科的介入、次に放射線療法及び/又は化学療法からなる。Dunne−Daly CF、「Principles of radiotherapy and radiobiology」、Semin Oncol Nurs 1999 Nov;15(4):250〜9;Hensley ML et al.、「American Society of Clinical Oncology clinical practice guidelines for the use of chemotherapy and radiotherapy protectants。」J Clin Oncol.1999 Oct;17(10):3333〜55。このような療法と共に、正常細胞と癌性細胞を区別することができないゲムシタビン、ビンブラスチン、シスプラチン、フルオロウラシル、グリーベック、メトトレキセートなどの毒性のある化学療法剤が使用される。有効ではあるが、これら及び他の毒性のある化学療法剤は、全体的な患者の生存率をほとんど上昇させていない。さらに、現在の治療は一般的に化学療法と放射線療法の相乗的な併用であるにもかかわらず、癌患者の5年生存率を改善することもできなかった。リツキマブ、エルビタックス及びヘルセプチンなどの薬剤を使用する抗上皮成長因子受容体物質、抗血管新生剤、並びに免疫及び免疫−アジュバント療法でさえも、癌患者の5年生存率を有意に上昇させることはできなかった。さらに、癌の型とは無関係に、癌患者の完全寛解又は無病生存率は、前述の療法又はその相乗的な併用のいずれによっても改善されていない。
【0003】
[3]無病生存率を改善するために、あるいは完全寛解をもたらすために探索された1つの治療様式は、癌性細胞の細胞分裂周期を操作することである。特に、細胞周期進行中の腫瘍細胞は、一般的に酵素依存性のDNA複製、酵素依存性のリン酸化、シグナルカスケード、転写活性化分子複合体の会合及び解離、並びに細胞構造要素のマクロ分子構築体の形成及び解離などの複雑な生化学的及び生体分子的プロセスを細胞周期中に必要とするので、細胞周期非進行中の腫瘍細胞よりも放射線療法及び化学療法に感受性である。細胞周期を停止させるために、リボヌクレオチドレダクターゼ(RNR)阻害剤、ジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害剤又はDNAポリメラーゼ阻害剤などの、複雑な生化学的プロセスのいずれかを阻害する代謝拮抗物質を使用し、腫瘍細胞を細胞周期のある期(phase)に誘導することによって、腫瘍の増殖を妨げることができる。
【0004】
[4]しかしながら、細胞周期を利用する既知の方法は、細胞周期の停止と化学療法剤の逐次的施用を一致させることに限られている。例えば、1つの既知の方法は、ピリミジン類似体を用いて、高濃度の代謝拮抗物質に暴露することによって、細胞周期がS期の悪性細胞の分裂を停止させる。B、Bhutan et al.、Cancer Res.33:888〜894(1973)。集団中のわずか数個又はゼロ個の細胞は、代謝拮抗物質の施用後にこの停止地点を超えることができる。W Vogel et al.、Hum.Genet.45:193〜8(1978)。
【0005】
[5]他の試みとして、細胞集団内の細胞周期の分布を変えることによって、細胞分裂周期を操作する方法が含まれる。これらのプロトコルは、悪性細胞を休眠期から細胞周期進行期に刺激し、それによって脆弱なDNA複製期において作用する代謝拮抗物質に対する悪性細胞の感受性を増大させる。H H Euler et al.、Ann.Med.Interne.(Paris)145:296〜302(1994);B C Lampkin et al.、J.Clin.Invest.50:2204〜14(1971);Alama et al.、Anticancer Res.10:853〜8(1990)。逆に、他の既知の方法では、正常細胞がS期に入るのを妨げ、それによって化学走性剤から正常細胞を保護する。
【0006】
[6]細胞周期の停止と化学療法剤を同期化させる他の既知の方法は、R E Moran et al.、Cancer Treat.Rep.64:81〜6(1980)によって記載されたいわゆるパルス用量化学療法である。この手法では、マウス中の白血病腫瘍細胞を、ヒドロキシ尿素の注入によって細胞周期のS期で停止させた。注入後、細胞を「解放状態」にして細胞周期を続け、第2の薬剤(Ara−C)の「パルス」をマウスに与えるものである。その目的は、細胞周期進行中の細胞が、脆弱な細胞周期のS期に動いているときに、第2の薬剤の影響を最大にすることであった。しかしながら、その結果は、ヒドロキシ尿素の注入直後にAra−Cで治療したマウスの生存率は改善させるが、ヒドロキシ尿素の注入後の後期にAra−Cで治療したマウスの生存率については改善させないことを示した。異時に作用する第2の薬剤で単に細胞周期を同期化しても、2つの物質の作用は明らかに促進しなかった。
【0007】
[7]それにもかかわらず、細胞周期を利用する既知の方法は、用量、薬物動態、順序及びスケジュールの間で、最適ではあるが受動的な相乗効果を求め続けている。
【0008】
[8]細胞がダメージに対し特に脆弱であり、感受性の高い細胞周期のある期に細胞集団を閉じ込めることは、高い有効性で細胞を殺傷する力を変えて毒性薬剤への暴露を減らすことによって副作用を大幅に低下させる可能性があることを予想させる。しかしながら、既知の方法では、細胞をある細胞周期に実際に誘導できないため、細胞周期の停止又は静的な同期化を利用する実際の実験は失望的なものとなっている。むしろ、全ての既知の方法は、細胞周期の停止又は標的細胞集団の静的な同期化の相乗的な併用の時期を選んでいるのである。さらに、細胞周期に影響を与えるために使用されるピリミジン及びヒドロキシ尿素などの物質は、正常細胞に対するダメージを引き起こし得る。
【0009】
[9]もちろん、他の手法は、細胞周期を停止させること又は細胞周期を同期化させることとは対照的に、細胞が細胞周期のある期(phase)に入るのを誘導するものである。しかしながら、この技術から他のことを予想すれば、細胞が細胞周期を進行するように誘導することは、腫瘍を急速に増殖させ再発させる危険が増大することとなる。ただし、無病生存率を改善すること又は完全寛解をもたらすことに既知の組成物が連続的に失敗していることは、腫瘍を増殖させないが、放射線を使った治療の後及び/又は化学療法の後に残存する腫瘍の感受性を増大させる手法の中で、悪性細胞を細胞周期に誘導することが必要であることを示唆している。
【0010】
[10]したがって、G期、S期、G期及びM期の群から選択される細胞周期(細胞周期の異なる期)に腫瘍細胞を誘導するための方法が必要であり、これらの新規の方法は、化学療法、免疫療法及び放射線療法と相乗的に施すことができる。また、一般的に、癌を事前感作するための既知の組成物又は腫瘍細胞をある細胞周期に進行するように誘導する既知の組成物よりもはるかに優れた有効性を予想外に示し、IL−2に対するIL−1β、IL−2に対するTNF−α、IL−2に対するIFN−γ及びIL−2に対するGM−CSFの特定の比率で構成される、血清とマイトジェンとを含まない新規のサイトカイン混合物、が必要であると共に、癌腫瘍を事前感作することが必要である。
【発明の概要】
【0011】
[11]本発明は、癌を一般的に事前感作する方法、及びIL−2に対するIL−1β、IL−2に対するTNF−α、IL−2に対するIFN−γ、及びIL−2に対するGM−CSFの特定の比率で構成される、血清とマイトジェンとを含まない新規のサイトカイン混合物、に部分的に基づく。したがって、本発明は、化学療法、免疫療法及び放射線療法などの療法癌治療と共に使用される薬剤又はアジュバントとして有用な組成物の開発を可能にする。
【0012】
[12]本発明の幾つかの実施形態では、血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物を用いて、免疫系の新生物又は疾患の、従来の化学療法又は放射線療法を改善する方法を開示する。これらの方法は、放射線療法又は細胞殺傷の他の物理的療法と組み合わせた、癌の治療用の事前感作ステップを提供する。G期、S期、G期及びM期(細胞周期の異なる期)の群から選択される脆弱な細胞周期のある期に腫瘍細胞を誘導するための方法も企図される。本発明は、いずれか1つの特定の型の癌に限られず、任意の型の癌を含み得る。具体的な適用例は、血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物を腫瘍周囲に、2週間以上、1週間に3回、約20IU〜1600IUの範囲で又は詳細には400IU又は800IUで、あるいは、さらに詳細には1週間に5回、約20IU〜1600IUの範囲又は400IU又は800IUで投与することであって、IUがヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表すことを含む。
【0013】
[13]他の実施形態は、新規及び非自明的な濃度の白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)などの、血清及びマイトジェンを含まないサイトカイン調製物を含む。さらにサイトカイン調製物は、医薬組成物の一部であってもよい。具体的な適用例では、血清及びマイトジェンを含まない新規のサイトカイン調製物は、以下のインターロイキン−2(IL−2)に対するサイトカインの特定の比率で構成される:IL−2に対するIL−1βの比率の範囲は、0.4〜1.5で、好ましくは0.7+/−0.1(IL−1β/IL−2)、IL−2に対するTNF−αの範囲は、3.2〜11.3で、好ましくは9.5+/−1.8(TNF−α/IL−2)、IL−2に対するIFN−γの比率の範囲は、1.5〜10.9で、好ましくは6.0+/−1.1(IFN−γ/IL−2)、IL−2に対するGM−CSFの比率の範囲は、2.2〜4.8で、好ましくは4.0+/−0.5(GM−CSF/IL−2)。
【0014】
[14]他の具体的な適用例では、血清及びマイトジェンを含まないサイトカイン調製物又は医薬組成物は、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)中に他の異なるサイトカイン及び他の生物学的活性を有する小さな分子を有し、IL−2に対するそれぞれの生物学的活性を有する小さな分子の比率は以下の通りである:IL−2に対するIL−3の比率の範囲は、0.38〜0.68で、好ましくは0.53+/−0.15、IL−2に対するIL−6の比率の範囲は、37.2〜53.8で、好ましくは46+/−5.9、IL−2に対するIL−8の比率の範囲は、261〜561.5で、好ましくは411+/−10.6、IL−2に対するIL−1αの比率の範囲は、0.56〜0.94で、好ましくは0.75+/−0.19、IL−2に対するIL−10の比率の範囲は、2.82〜3.22で、好ましくは3.0+/−0.18、IL−2に対するIL−16の比率の範囲は、1.16〜2.84で、好ましくは1.84+/−0.68、IL−2に対するG−CSFの比率の範囲は、2.16〜3.78で、好ましくは2.97+/−0.81、IL−2に対するTNF−βの比率の範囲は、1.17〜2.43で、好ましくは1.8+/−0.63、IL−2に対するMIP−1αの比率の範囲は、15.7〜37.16で、好ましくは22.7+/−7.0、IL−2に対するMIP−1βの比率の範囲は、17.1〜28.5で、好ましくは22.8+/−5.7、IL−2に対するRANTESの比率の範囲は、2.3〜2.7で、好ましくは2.5+/−0.13、IL−2に対するEGFの比率の範囲は、0.267〜0.283で、好ましくは0.275+/−0.008、IL−2に対するPGEの比率の範囲は、3.63〜5.42で、好ましくは4.5+/−0.87、IL−2に対するTxBの比率の範囲は、23.47〜25.13で、好ましくは24.3+/−0.83。
【0015】
[15]癌を有する患者を通常治療する当業者は、このような癌を治療するための多くの異なるレジメンが存在すること、及び個々の患者へのこれらのレジメンの適用は、さまざまな要因の考慮事項、例えば、癌の段階、癌細胞の進展の程度、例えばそれらが転移した程度、及び患者の身体の属性に依存すること、を理解している。当業者は、個々の患者の個々の治療のパラメーター、例えば、用量、期間、投与経路及び投与形態を通常調節し、これらのパラメーターは、当業者によって過度の実験なしで調節される。本開示の一部を構成する添付の図面及び表は、本記載と共に、本発明の原理を例示し、説明する。本発明の他の態様は、添付の図面及び以下の詳細な記載を参照することによって明らかになることを、当業者は理解していると思われる。
【0016】
[16]本特許又は出願は、カラーで作製した少なくとも1つの図面を含む。カラーの図面を含む本出願又は特許出願公開のコピーは、要請及び必要な料金の支払いによって事務所により与えられると思われる。
【0017】
[17]ここで本発明を以下の記載及び特定の実施形態によって、並びに添付の図面によってさらに詳細に説明する。
【発明の詳細な説明及び好ましい実施形態】
【0018】
[29]本発明は、癌を一般的に事前感作する方法、及びIL−2に対するIL−1β、IL−2に対するTNF−α、IL−2に対するIFN−γ、及びIL−2に対するGM−CSFの特定の比率で構成される、血清とマイトジェンとを含まない新規のサイトカイン混合物に関する。このような新規のサイトカイン混合物の1つは、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)であり、これは免疫調節能を示している。癌患者における免疫抑制の臨床上の有意性は、治療的処置の前に癌を事前感作する方法、及び特に細胞周期のある期への腫瘍細胞の進入に予想外に影響を与える。
【0019】
[30]頭頚部癌患者の免疫回復は、IL−2、IFNα−γ又はIL−12などのサイトカインの注入によって行う。Whiteside、「Immunobiology and immunotherapy of head and neck cancer」、Curr Oncol Rep 2001;3:46〜55。頭頚部癌では、インターロイキン系サイトカイン療法は、免疫増大をもたらした。Cortesina G et al.、「Interleukin−2 injected around tumor−draining lymph nodes in head and neck cancer」、Head Neck 1991;13:125〜31;De Stefani et al.、「Treatment of oral cavity and oropharynx squamous cell carcinoma with perilymphatic interleukin−2:clinical and pathologic correlations」、J.Immunother 1996;19:125〜33;Valente et al.、「Infiltrating leukocyte populations and T−lymphocyte subsets in head and neck squamous cell carcinomas from patients receiving perilymphatic injections of recombinant interleukin2」、Mod Pathol 1990;3:702〜8;Whiteside TL et al.、「Evidence for local and systemic activation of immune cells by peritumoral injections of interleukin2 in patients with advanced squamous cell carcinoma of the head and neck」、Cancer Res 1990;53:5654〜62;Barrera et al.、「Combination immunotherapy of squamous cell carcinoma of the head and neck」、Arch Otolaryngol Head Neck Surg 2000;126:345〜51;Verastegui et al.、「A natural cytokine mixture(IRX−2) and interference with immune suppression induce immune mobilization and regression of head and neck cancer」、Int J Immunopharmacol 1997;19:619〜27;Hadden et al.、「Interleukins and contrasuppression induce immune regression of head and neck cancer」、Arch Otolaryngol Head Neck Surg 1994;120:395〜403。例えば、ヒト(r)hIL−2を首尾よく使用し、細胞毒性Tリンパ球[CTL]及び遅延型過敏性[DTH]応答を測定することにより、頭頚部癌患者の免疫機能を改善した。T細胞の低下した応答は、T細胞受容体(TCR)、その重要なシグナル要素であるζ鎖及びzap−70の低下した発現、IL−2生成の不在、及びT細胞の増大したアポトーシス、によって示された。Whiteside TL、「Immunobiology and immunotherapy of head and neck cancer」、Curr Oncol Rep 2001;3:46〜55。頭頚部癌において害されたT細胞の機能の原因を調べた試験は、Fas−FasL系、TGF−β及びPGEが高レベルで発現されることを示した。
【0020】
[31]しかしながら、rIL−2のin vivo投与は、CD25細胞、並びにナチュラルキラー(NK)細胞、ヒト白血球抗原(HLA)−DRリンパ球及びT細胞の細胞密度を増大させた。他の試験系では、サイトカイン混合物をリンパ周囲又は腫瘍周囲に投与すると、陽性の臨床応答が観察されている。しかしながら、これらの試験はいずれも、増大した免疫応答と、外科手術、放射線療法及び/又は化学療法などの明確な後の治療とを関連付けなかった。
【0021】
技術
[32]Multikine(登録商標)又は白血球インターロイキン注射液(LI)は、T細胞、B細胞及びマクロファージを含めたヒト末梢血単核細胞から生成される血清、マイトジェン、抗生物質を含まない調製物である。白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)中には、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)の独自の生物活性を一緒に与えるサイトカインの3つの「ファミリー」が存在する。それらは、直接的な細胞毒性/細胞抑制及びウイルス毒性/ウイルス抑制サイトカイン、例えばTNF−α、及びIFN−γなど、リンパ増殖サイトカイン、例えばIL−1、及びIL−2など、及び化学走性サイトカイン、例えばIL−6、IL−8及びMIP−1αなどを含む。さらに、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)を構成する異なるサイトカイン及び小さな生体分子はいずれも、T細胞、B細胞及びマクロファージを含めたヒト末梢血単核細胞のレクチン(例えばPHA)によるin vitro刺激で誘導される。Ficoll−Paque勾配の遠心分離は、ドナーの全血から白血球細胞(T細胞、B細胞及びマクロファージを含む)を分離し、(生理的緩衝培地中での)一連の洗浄は、リンパ球の単離、及び赤血球細胞、細胞残骸、及びドナーの全血の単離した白血球細胞要素由来のその他の望ましくない細胞要素の除去を容易にする。
【0022】
[33]白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)は、以下に示される、インターロイキン−2(IL−2)に対するそれぞれのサイトカインの特定の比率、で存在する異なるサイトカインを含む:IL−2に対するIL−1βの比率の範囲は、0.4〜1.5で、好ましくは0.7+/−0.1(IL−1β/IL−2)、IL−2に対するTNF−αの比率の範囲は、3.2〜11.3で、好ましくは9.5+/−1.8(TNF−α/IL−2)、IL−2に対するIFN−γの比率の範囲は、1.5〜10.9で、好ましくは6.0+/−1.1(IFN−γ/IL−2)、IL−2に対するGM−CSFの比率の範囲は、2.2〜4.8で、好ましくは4.0+/−0.5(GM−CSF/IL−2)。
【0023】
[34]また、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)の中の異なるサイトカインの残りや他の生物学的活性を有する小さな分子は、IL−2に対して以下に示されるように、生物学的活性を有する小さな分子のそれぞれの調製物中に存在する:IL−2に対するIL−3の比率の範囲は、0.38〜0.68で、好ましくは0.53+/−0.15、IL−2に対するIL−6の比率の範囲は、37.2〜53.8で、好ましくは46+/−5.9、IL−2に対するIL−8の比率の範囲は、261〜561.5で、好ましくは411+/−10.6、IL−2に対するIL−1αの比率の範囲は、0.56〜0.94で、好ましくは0.75+/−0.19、IL−2に対するIL−10の比率の範囲は、2.82〜3.22で、好ましくは3.0+/−0.18、IL−2に対するIL−16の比率の範囲は、1.16〜2.84で、好ましくは1.84+/−0.68、IL−2に対するG−CSFの比率の範囲は、2.16〜3.78で、好ましくは2.97+/−0.81、IL−2に対するTNF−βの比率の範囲は、1.17〜2.43で、好ましくは1.8+/−0.63、IL−2に対するMIP−1αの比率の範囲は、15.7〜37.16で、好ましくは22.7+/−7.0、IL−2に対するMIP−1βの比率の範囲は、17.1〜28.5で、好ましくは22.8+/−5.7、IL−2に対するRANTESの比率の範囲は、2.3〜2.7で、好ましくは2.5+/−0.13、IL−2に対するEGFの比率の範囲は、0.267〜0.283で、好ましくは0.275+/−0.008、IL−2に対するPGEの比率の範囲は、3.63〜5.42で、好ましくは4.5+/−0.87、IL−2に対するTxBの比率の範囲は、23.47〜25.13で、好ましくは24.3+/−0.83。
【0024】
[35]白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)は、特徴付けプロトコルを使用して試験し、以下のサイトカイン及び他の生物学的活性を有する小さな分子:IL−4、IL−7、及びIL−15、TfR、sICAM、PDGF−AB、IFN−α、EPO、LTC4、TGE−β2、塩基性FGF、アンギオゲニン、sE−セレクチン、SCF、及びLIPは含まない。白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)は、ごく微量の(アッセイの検出レベルを少し超える)IL−12、及びLTB4を含む。
【0025】
[36]いずれも参照により本明細書に組み込む米国特許第5,093,479号、4,390,623号、4,388,309号、4,406,830号、4,661,447号、4,681,844号、及び4,464,355号中で開示されたのと同様に、生成法においては、単核細胞を段階−勾配遠心分離によってヒトドナーの「軟膜」から分離させ、PHAと共に培養し、培養中にドナー白血球細胞からのIL−2及び他のサイトカインの生成及び分泌を増大させた。後に、培養上清を無菌状態で採取し、清澄化し、工業用のウイルス排除プロセスに施した。次いで上清をさらに、限外濾過及びマイクロ濾過によって約10倍濃縮する。
【0026】
[37]この時点で、ヒト血清アルブミン、Inj.USPを加え、次いで濃縮物を生理的pHに緩衝化し、表示量(例えば400IU/mL)に従って、目的とするIL−2濃度にする。次いで濃縮物を2回目のマイクロ濾過(0.22ミクロン定格フィルター)にかけ、滅菌済み血清用バイアルに無菌状態で分配し、そのIL−2含量によって標識する。細胞毒性Tリンパ系(CTLL−2)による放射標識チミジンの取り込みによって、生成物の有効性を測定する。最終的な注射物質は、5つのマーカーサイトカイン:IL−2、IL−1β、GM−CSF、IFN−γ、及びTNF−αの存在について、ELISAによってさらに試験する。
【0027】
[38]白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)は、腫瘍周囲、腫瘍内、リンパ周囲又は皮下投与用に、IL−2(400IU/mL)と表示された2.2mLの薬剤を含むホウケイ酸ガラス製血清用バイアル中で凍結状態して提供される。白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)は、同一性、滅菌性、細菌エンドトキシン、pH、及び全体のタンパク質濃度に関する品質管理試験に施す。それぞれのバイアルは、粒子汚染及び外見に関して調べる。調製物は約3mg/mL(又は+/−1mg/mL)の合計タンパク質含量を有し、物質は滅菌状態及び発熱物質を含まない状態で供給される。白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)は、薬剤が−20℃で保存される製造日から24カ月という割り当てられた有効期限を有する。
【0028】
定義
[39]IL−2−インターロイキン−2(IL−2):CD4+ヘルパーTリンパ球によって合成される15.5kDの糖タンパク質(T細胞増殖因子として正式に知られている)。IL−2は、それを生成するCD4+Tリンパ球、及び(Bリンパ球、CD8+Tリンパ球、NK[ナチュラルキラー]細胞及び他の細胞を含めた)免疫系の他の細胞に対して作用するオートクリン効果を有する。
【0029】
[40]IL−1β−インターロイキン1ベータ(IL−1β):活性化単核食細胞によって合成される17kDのサイトカインは、循環中は遊離形で見られ、炎症応答を仲介する。IL−1βは、CD4+Tリンパ球に作用して、リンパ球の増殖を容易にするのを手助けし、増殖及び分化因子としてBリンパ球に作用する。IL−1βは、単核食細胞によるIL−6の合成も誘導する。
【0030】
[41]TNF−α−腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α):刺激された単球、マクロファージ、Bリンパ球、Tリンパ球、及び特にNK細胞によって合成され、循環中は三量体形で見られる、157アミノ酸(aa)残基のタンパク質。TNFは、直接的な抗腫瘍作用を仲介し、腫瘍細胞の溶解を引き起こし、白血球の漸増を容易にし、血管新生を誘導し、線維芽細胞の増殖を助長する。
【0031】
[42]IFN−γ−インターフェロンガンマ(IFN−γ):活性化Tリンパ球及びNK細胞によって合成される21〜24kDの糖タンパク質二量体は、単球の強力な活性化物質であり、細胞内微生物及び腫瘍細胞を破壊する単球の能力を増大させる。IFN−γは、直接的な抗ウイルス及び抗増殖活性を有し、多くの細胞型にクラスII MHC(主要組織適合複合体)細胞表面分子複合体を発現させ、及びクラスI MHCの発現を増大させる。
【0032】
[43]GM−CSF−顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF):マクロファージ及びTリンパ球、線維芽細胞及び内皮細胞によって生成され、循環中は単量体として見られる127aaのタンパク質。GM−CSFは、造血細胞の増殖因子であり、骨髄単球系の増殖及び分化を刺激する。
【0033】
[44]IL−3−インターロイキン3(IL−3):活性化CD4+ヘルパーTリンパ球によって合成される20kDのリンホカインは、幾つかの造血細胞の増殖を容易にし、Tリンパ球の増殖及び分化を助長することによってコロニー刺激因子として作用する。
【0034】
[45]IL−6−インターロイキン6(IL−6):活性化Tリンパ球、単核食細胞、内皮細胞、及び線維芽細胞によって生成される26kDのサイトカイン。IL−6は、多くの細胞に作用するが、活性化Bリンパ球を抗体分泌形質細胞に分化させる際の特殊な機能を有し、肝細胞に(炎症応答と関係がある)急性期タンパク質及びフィブリノゲンを形成させることを誘導する。
【0035】
[46]IL−8−インターロイキン8(IL−8):マクロファージ及び内皮細胞によって生成される8kDのタンパク質は、好中球及びTリンパ球の強力な化学走性因子であり、内皮細胞への好中球の付着を容易にする。
【0036】
[47]IL−1α−インターロイキン1アルファ(IL−1α):17kDのサイトカインは、(IL−1βと同様に)33kDの前駆体分子から切断され、活性化単核食細胞によって合成され、循環中遊離形で見られることはあまりなく、膜結合基質として作用する。IL−1αは、炎症応答を仲介する際にIL−1βを手助けする。
【0037】
[48]IL−10−インターロイキン10(IL−10):CD4+及びCD8+Tリンパ球、単球、マクロファージ、活性化Bリンパ球、及びケラチン生成細胞によって生成される18kDのポリペプチド。IL−10は、特にT1型細胞に対する抗原を提示し、IL−6及びTNFを分泌するマクロファージの能力を阻害する。
【0038】
[49]IL−16−インターロイキン16(IL−16):CD8+Tリンパ球、好酸球、マスト細胞及び呼吸上皮細胞によって生成される14kDの三量体タンパク質。IL−16は、CD4+Tリンパ球及び単球に対する強い化学走性を有する。
【0039】
[50]G−CSF−顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF):マクロファージ、内皮細胞、線維芽細胞及び間質細胞によって生成される22〜25kDのホモ二量体糖タンパク質。G−CSFは、骨髄中の顆粒球前駆細胞を増大させ、血中の好中球の増大を持続させる。G−CSFは、微生物感染した細胞及び腫瘍細胞の破壊において重要であると考えられる、十分なスーパーオキシド生成を示す好中球の能力も増大させる。
【0040】
[51]TNF−β−腫瘍壊死因子ベータ(TNF−β):活性化リンパ球によって生成される25kDのタンパク質。TNF−βは、培養中の腫瘍細胞を殺傷することができ、線維芽細胞の増殖を刺激する。さらにTNF−βは、TNF−αの他の作用の大部分を模倣する。
【0041】
[52]MIP−1α−マクロファージ炎症タンパク質−1アルファ(MIP−1α):マクロファージ及び他の細胞によって生成される66aaの単量体タンパク質。MIP−1αは、単球、Tリンパ球及び好酸球に対する化学走性物質である。
【0042】
[53]RANTES−Tリンパ球によって生成される8kDのタンパク質は、単球、Tリンパ球及び好酸球に対する化学走性物質であり、炎症を助長する。
【0043】
[54]EGF−上皮成長因子(EGF):53−aa残基の三硫化ポリペプチド。EGFは、チロシンキナーゼファミリーのメンバーであり、マイトジェン応答の刺激及び創傷治癒の助長を含めた多数の機能を有する。
【0044】
[55]PGE−プロスタグランジンE(PGE):PGEは、シクロオキシゲナーゼの酵素反応によってアラキドン酸から誘導され、生物学的活性を有する脂質のファミリーに属する。PGEは、活性化単球によって放出され、Tリンパ球及びマクロファージ上のMHCクラスIIの発現を阻害する。
【0045】
[56]TxB−トロンボキサンB(TxB):TxBは、酵素トロンボキサンシンセターゼによりプロスタグランジン及びエンドペルオキシダーゼPGHの異性体化によってポリ不飽和脂肪酸から誘導され、生物学的活性を有する化合物のメンバーである。TxBは、血栓塞栓症、及びアナフィラキシー反応において生理的役割を有する。
【0046】
[57]CD25細胞− CD25は、しばしばインターロイキン−2−受容体(IL−2R)のα鎖と呼ばれる単鎖糖タンパク質、又は55kDaの分子量を有し活性化T及びB細胞並びに活性化マクロファージ上に存在するTac−抗原である。CD25は、IL2の受容体として働く。IL−2Rのβ鎖と共に、CD25抗原はIL−2の高親和性受容体複合体を形成する。
【0047】
[58]CTLL−2(細胞系)− C57Bl/6マウスから得られるマウスの細胞毒性Tリンパ球の系。このT細胞系は、成長及び増殖をIL−2の外来供給源に依存する。
【0048】
[59]Fas−FasL−The Fas/Fasリガンド系。アポトーシスを仲介するFas抗原及び細胞表面膜内外タンパク質と、細胞にアポトーシスシグナルを導入する好中球上の相補的Fas活性化サイトカインとの組合せ。Fasは、腫瘍壊死因子(TNF)受容体スーパーファミリーに属するI型膜タンパク質であり、FasLは、TNFファミリーのメンバーである。FASリガンドは、31kDa[キロダルトン](278アミノ酸)の膜結合タンパク質である。Fas−Fasリガンド系は、自己反応性リンパ細胞の除去を含めた多くの生物学的プロセスにおいて重要な役割を果たす。Fasリガンドは、活性化Tリンパ球において主に発現され、細胞毒性Tリンパ球及びナチュラルキラー細胞の主なエフェクター分子の1つである。
【0049】
[60]HLA−DRリンパ球− ヒト白血球抗原(HLA)−DR抗原、染色体6上に位置する白血球遺伝子座、ヒト中の主要組織適合複合体の遺伝子座に見られる接着配列により決定した多形糖タンパク質の一群を含むリンパ球。
【0050】
[61]IU(国際単位)− 具体的な重量及び強度の国際的な参照標準、例えばヒトIL−2に関するWHOの第1回国際標準、86/504と比較することによる、生物学的調製物の有効性の測定の単位。国際単位は、公開されており、国際的な共同研究努力に由来する生物活性単位を報告するために認められている標準化された唯一の方法である。
【0051】
[62]U(生物活性の測定値としての単位)− それぞれの研究室が参照として受け継いでおり、作業が行われている研究室にさらに特異的である、さまざまな名称の「単位」の略称。それぞれの「単位」は、研究室ごとに異なり、国際単位(IU)などの世界的に認められている標準ではない。
【0052】
[63]単核の浸潤− それらが「通常」存在しないと思われる組織中の単球、形質細胞、及びリンパ球の存在、又は他の場合それらが非常に少数で存在すると思われる群中における多数又は多量のこれらの細胞の存在。
【0053】
[64]TCRζ鎖− T細胞受容体ゼータ鎖。ゼータサブユニットはTCR複合体の一部であり、TCR細胞表面受容体とそのリガンド(抗原)の相互作用を標的化する。細胞の細胞質(サイトゾル)に広がるゼータサブユニットは、T細胞活性化によりそのチロシン残基においてリン酸化され、TCR連結後のシグナル変換と関係している。
【0054】
[65]TIL(腫瘍浸潤リンパ球)− それらが浸潤している腫瘍から単離したTリンパ球。腫瘍浸潤リンパ球は、ほとんど、あるいは全く細胞毒性を有していない。TILは、CD4+CD8+優勢T細胞を含み、IL−2の存在下での培養によってin vitroで増殖させることができる。これらの細胞は、IL−2を用いた処理によって活性化され、正常なリンホカイン活性化細胞よりも、それらが単離された腫瘍に対して攻撃的であることが多い。TILの細胞毒性活性は、IFN−γによって増大し得る。in vivoでのTILの抗腫瘍活性は、TGF−βによって阻害され得る。
【0055】
[66]ZAP70− サイトゾル中に存在するチロシンキナーゼであるTCRζ鎖と結合した70kDのゼータ結合タンパク質。ZAP70は、Tリンパ球受容体シグナルの維持、IL−2を最終的に生成するシグナル変換の仲介に関与していると考えられる。ZAP70遺伝子は、T細胞及びナチュラルキラー細胞中で発現され、ヒト染色体2q12にマッピングする。
【0056】
[67]ζ(ゼータ)鎖− TCRζ鎖を参照−ゼータ鎖遺伝子はヒトでは染色体1上に位置する。このタンパク質の細胞外ドメインは、9アミノ酸長であり、一方で膜内外ドメインは負に帯電したアスパラギン酸残基を含み、細胞質ドメインは113アミノ酸長である。この細胞質尾部は、CD3鎖の細胞質尾部中に見られる3個の抗原認識モチーフを含む。ゼータ鎖は、NK細胞のFc(断片、結晶)−γ受容体などの他の受容体とも結合する。
【0057】
[68]USP− 米国薬局方モノグラフ。
【0058】
[69]P−「p<0.01」:予め設定した条件下で起こる事象の確率のレベルを示す数学統計の用語
【0059】
[70]ANOVA(分散分析法)− 統計及び数学教本、例えば「Handbook of Statistical Methods for Engineers and Scientists」、Harrison M. Wadsworth、Jr.、Ed.、McGraw Hill 1990、及び「Statistical Operations Analysis of Health Research Data」、Robert P.Hirsch及びRichard K.Riegelman、Eds.Blackwell Science Inc.、1996中に記載された一元配置分析法。
【0060】
白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)の作用形式及び特徴付け
[71]白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)は、生物学的に活性があり、毒性が最少であり、本明細書に記載した設定条件下で生成される、天然由来であり、かつ、天然物である、ヒトサイトカインの免疫調節用混合物である。白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)は、癌、感染疾患、及び免疫調節に応答する他の疾患状態用の広範囲の適用例で、抗癌療法剤及び抗ウイルス療法剤として、あるいはネオアジュバント療法剤として使用することができる。
【0061】
[72]白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)は、当技術分野で知られている方法によって作製することができる。Mizel et al.、「Purification to Apparent Homogeneity of Murine Interleukin 1」、J.Immunol.126:834(1981);Togawa et al.、「Characterization of Lymphocyte−Activating Factor(LAF)Produced by Human Mononuclear Cells:Biochemical Relationship of High and Low Molecular Weight Forms of LAF」、J.Immunol.122:2112(1979);Lachman et al.、「Purification of Human Interleukin 1」、Chem.Abstr.94:137539t(1981)of J.Supramolec.Struct.13:457(1980);Lachman et al.、「Partial Purification of Human Lymphocyte Activating Factor」、Chem.Abstr.93:165824e(1980)of Prep.Biochem.10:387(1980);Mizel et al.、「Characterization of Lymphocyte Activating Factor Obtained from the Murine Microphage Cell Line P388D1」、Chem.Abstr.93:93346a(1980)、of Biochem.Charact.Lymphokines、Proc.Int.Lymphokine Workshop 2nd(1979)pp.411〜418;Economou et al.、「Purification、Physicochemical Characterization and a Biological Role of Lymphocyte Activating Factor(LAF)」、Chem.Abstr.93:93347b(1980)of Biochem.Charact.Lymphokines、Proc.Int.Lymphokine Workshop、2nd(1979)pp.419〜421;Simon et al.、「The Role of Subcellular Factors in Pulmonary Immune Function:Physicochemical Characterization of Two Distinct Species of Lymphocyte−Activating Factor Produced by Rabbit Alveolar Macrophages」、J.Immunol.126:1534(1981)。動物試験は、「混合型インターロイキン」がin vitroで免疫調節及び免疫刺激活性を有する可能性があることも実証した。Hadden et al.、「Mixed Interleukins and Thymosin Fraction V Synergistically Induce T Lymphocyte Development in Hydrocortisone−Treated Aged Mice」、Cell.Immunol.144:228〜236(1992)。本発明のいずれか1つの理論に限られず、1つの考えられる仮説は、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)などの「混合型インターロイキン」の局所/部分的注射は、局所の免疫抑制に優るということである。後に、腫瘍抗原に対する一時的な寛容性が生じ、有効な局所的抗腫瘍性免疫応答を発生させることができる。
【0062】
[73]Golumbek et al.、「Treatment of Established Renal Cancer by Tumor Cells Engineered to Secrete Interleukin−4」、Science 254:713〜716(1991)によって報告されたように、腫瘍領域中のインターロイキンの局所注入、又は腫瘍中へのインターロイキン遺伝子の実際のトランスフェクションは、抗腫瘍性免疫応答を著しく増大させ、腫瘍の退行をもたらすことが示されてきている。しかしながら、これらの試験はいずれも、腫瘍の活性増殖を引き起こさずに細胞周期のある期に悪性細胞を誘導するといった、非常に予想外の効果を発見することはできなかった。
【0063】
[74]外科手術前の白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)の投与は、当分野の技術から他の場合を予想した場合であっても、予想外に、腫瘍を急速に増殖させ再発させる危険性を増大させずに、細胞周期のある期に存在する腫瘍細胞数の増大をもたらす。腫瘍細胞を細胞周期に誘導する能力は、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)に特異的であるようであり、この治験薬中に存在した異なるサイトカインの相乗効果、及び宿主の免疫系と腫瘍細胞の両方に対するこれらのサイトカインの特異的影響、によるものである可能性がある。
【0064】
[75]外科手術の前に白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)で治療した患者の再発率に関するデータは、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)を用いた治療の24カ月後において癌の再発がなかったことを示した。特に、8人の逐次的に治療した患者の小群のコホートでは、24カ月の追跡期間中、1人の再発患者もなかった。非常に対照的に、文献は、同様の患者の再発率は、外科手術18〜24カ月後で約50%であると教示している。
【0065】
[76]白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)治療は、リンパ球様細胞に存在する腫瘍の活性増殖は誘導しない。対応して、間質Ki−67細胞は減少し、その一方で、Ki−67癌細胞の出現率は、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)治療の後に増大した。したがって、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)治療は、細胞周期進行中の腫瘍細胞の数を増大させ、放射線及び/又は化学療法による後の治療に対する残存腫瘍の感受性の増加をもたらす。天然サイトカインと組換えサイトカインの両方を用いて実施した他の試験では、癌療法の治療において有効性を示しているが、これらの試験は、細胞周期進行期への進入の誘導、又は白血球インターロイキン注射液(LI)もしくはMultikine(登録商標)と、化学療法、免疫療法及び放射線療法とを相乗的に組み合わせた新規の方法、を教示するのを失敗している。
【0066】
[77]例えば、天然ヒト及び組換えIL−2及び他のサイトカインを使用した試験並びに局所/部分的療法において、さまざまな部位での免疫の増大及び抗癌活性を実証した。Yasumoto et al.、「Induction of lymphokine−activated killer cells by intrapleural instillations of recombinant interleukin−2 in patients with、malignant pleurisy due to lung cancer」、Cancer Res 1987;47:2184〜7;Mavilgit et al.、「Splenic versus hepatic artery infusion of interleukin−2 in patients with liver metastases」、J Clin Oncol 1990;8:319〜24;Pizza et al.、「Tumor regression after intralesional injection of interleukin−2(IL−2)in bladder cancer。Preliminary report」、Int J Cancer 1984;34:359〜67;Berek at al、「Intraperitoneal recombinant α−interferon for 「salvage」 immunotherapy in stage III epithelial ovarian cancer:a gynecologic oncology group study」、Cancer Res 1985;45:4447〜53;及びFettel at al、「Intratumor administration of beta−interferon in recurrent malignant gliomas−A phase I clinical and Iaboratory study」、Cancer 1990;65:78〜83によって報告されたように、特にIL−2は、胸膜腔、肝臓及び膀胱における活性を実証し、一方でIFN−αは、卵巣における活性を実証し、一方でIFN−βは、脳における活性を実証する。さらに他には、Edwards et al.、「The effect of intralesional interferon gamma on basal cell carcinomas」、J Am Acad Dermatol 1990;22;496〜500;Irie et al.、「A case of vulva cancer responding to the recombinant human tumor necrosis factor(PT−950)local injection therapy」、Gan No Rinsho 1988;34:946〜50;及びPulley et al.、「Intravenous、intralesional and endolymphatic administration of lymphokines in human cancer」、Lymph Res 1986;5:S157〜63によって報告されたように、TFN−γは、皮膚における活性を実証することが示されており、一方でTFN−αは、生殖器における活性を実証し、一方でさまざまなサイトカインの混合物は、頭頚部における活性を実証する。さらに、Valente et al.、「infiltration leukocyte polulations and T−lymphocyte subsets in head and neck squamous cell carcinomas from patients receiving perilymphatic injections of recombinant interleukin−2」、Mod Pathol 1990;3:702〜8及びDeStefani at al、「Treatment of oral cavity and oropharynx squamous cell carcinoma with perilymphatic interleukin−2:clinical and pathologic correlations」、J Immunother 1996;19:125〜33によって報告されたように、頚静脈リンパ周囲又は頚静脈リンパ周囲及び顎先下における、外科手術前の10日間の組換えIL−2投与の試験は、さまざまな壊死及びリンパ球浸潤を示した。さらに、Saito et al.、「Immunohistology of tumor tissue in local administration of recombinant interleukin−2 in head and neck cancer」、Nip Jibi Gakkai Kulho 1989;92:1271〜6によって報告されたように、切除した腫瘍を顕微鏡検査することによって、IL−2の臨床観察結果と関係があるリンパ球浸潤の増大を実証した。
【0067】
[78]それにもかかわらず、Saito et al.、「Clinical evaluation of local administration of rIL−2 in head and neck cancer」、Nip Jibi Gakkai Kaiho、1989;921271〜6によって報告されたように、前述の試験はいずれも、20人の頭頚部癌患者における推定高用量の組換えIL−2(800,000U、4週間[U=単位])で2回の寛解が認められたにもかかわらず、切除した腫瘍の全体的寸法のいかなる変化も示さなかった。さらに、前述の試験は、少数の患者に限られており、対照群との病状の比較の欠如によっても妨げられている。Vlock et al.、「Phase Ib trial of the effect of peritumoral and intranodal injections of interleukin−2 in patient with advanced squamous cell carcinoma of the head and neck:an Eastern Cooperative Oncology Group trial」、Immunother 1994;15:134〜139;Musiani et al.、「Effect of low doses of interleukin−2 injected perilymphatically and peritumarally in patients with advlmced primary head and neck squamous cell carcinoma」、J Bioi Res Modi 1989;8:571〜578。
【0068】
[79]De Stefani et alによる、202人のOSCC患者での最近の無作為化多施設共同第III相試験では、外科手術前に10日間、低用量(5000U/1日[U=単位])の組換えヒトIL−2を同側の頚部リンパ節にリンパ周囲投与することは、無病生存率の有意な(P<0.01)増大をもたらし、それ故に、さらに長期の全体の生存率(P<0.03)をもたらしたことを示したが、De Stefani et alは、細胞循環に対するこの治療レジメンの役割、並びに放射線及び化学療法の改善に対するその影響を評価することはできなかった。De Stefani et al.、「Improved Survival With Perilymphatic Interleukin 2 in Patients With Resectable Squamous Cell Carcinoma of the Oral Cavity and Oropharynx」、Cancer 2002;95:90〜97。さらに、5000U/1日が教示されたにもかかわらず、不明確なU(単位)で薬剤の有効性を測定したので、投与する生物製剤の「高」及び「低」用量のDe Stefani et alの教示に関して、本発明とDe Stefani et alの試験との間の比較を行うことはできなかった。対照的に本発明は、IU(国際単位)で白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)の生物活性を測定するために、完全なUSP分析法確認プログラムを確認し成し遂げた。
【0069】
方法
[80]当業者は、免疫組織化学的Ki−67マーカー、又はPCNAマーカー、p53マーカーの使用などによる他の同等手段によって測定した腫瘍細胞増殖が、予後パラメーターとして使用することができることを理解していると思われる。de Vicente et al.、「Expression of cyclin D1 and Ki−67 in squamous cell carcinoma of the oral cavity:climcopathological and prognostic significance」、Oral Oncol 2002;38:301〜8;Bettendorf et al.、「Prognostic relevance of Ki−67 antigen expression in 329 cases of oral squamous cell carcinoma」、ORL.J Otorhinolaryngeol Relat Spec 2002;64:200〜5。さらに、フローサイトメトリー又は従来の染色法、及び顕微鏡の使用、及び臨床、病理組織学的試験、及び腫瘍の段階付け及び分類(TNM、腫瘍、節、転移)を他の方法と共に使用して、疾患プロセスの攻撃性を示す。Kerdpon at al、「Expression of p53 in oral mucosal hyperplasia、dysplasia and squamous cell carcinoma」、Oral Disease 1997;3:86〜92。
【0070】
[81]Ki67細胞増殖マーカーは、細胞周期段階の細胞のみを識別し、それらに特異的である。G期は、最初の増殖期であり;S期は、細胞のDNAが複製し、細胞によるDNA合成の開始によって示される第2の期であり、G期は、細胞の大きさが2倍になるDNA複製に続く、細胞の第2の増殖期である。M期は、細胞が原型親細胞から娘細胞に分裂する有糸分裂が起こる細胞周期中の最後の期である。生成するそれぞれの細胞は、原型親細胞のDNAの完全な複製を含む。細胞周期中の細胞に特異的なKi67細胞マーカーは、細胞の休止期であるG期の細胞では見ることができない。G期中は、細胞が細胞複製、増殖又はDNA複製を経ることはない。特に、細胞周期のある期の現象は、腫瘍細胞を含めた全ての生きた真核生物細胞に共通の性質である。
【0071】
[82]腫瘍細胞の増殖を検出するために、外科手術による切除の後に残存腫瘍細胞巣中のKi−67の存在を測定する。Raybaud et al.、「Nuclear DNA content、an adjunct to p53 and Ki−67 as a marker of resistance to radiation therapy in oral cavity and pharyngeal squamous cell carcinoma」、Int J.Oral Maxillofac Surg 2000;29:36〜41;Koelbl at al、「p53 and Ki−67 as predictive markers for radiosensitiveity in squamous cell carcinoma of the oral cavity? An immunohistochemical and clinicopathologic study」、Int J Radiat Oncol Biol Phys 2001;49:147〜54。一般にKi−67は、細胞周期のG期、S期、G期、及びM期を経る細胞において見ることができるが、「休止期の」腫瘍細胞(G期)においては見ることができない。細胞周期進行中の腫瘍細胞はより放射感受性かつ化学療法感受性であるので、細胞周期非進行中の腫瘍細胞は概して放射感受性かつ化学療法感受性である。
【0072】
[83]残存腫瘍の外科手術による切除の前に、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)で治療した頭頚部癌患者由来の腫瘍を、免疫組織病理学法によって試験及び分析した。Timar et al.、「The effect of Leukocyte Interleukin、Injection on the peri−and intratumoral subpopulation of mononuclear cells and on tumor epithelia−A possible new approach to augmenting sensitivity to radiation and chemotherapy in oral cancer.A multi−center Phase I/II clinical trial」、The Laryngoscope 113、December 2003。この試験は、盲験法で行われ、治療された又は対照の治療及び患者群を知らなかった3人の資格のあるそれぞれの病理学者により実行された。この臨床試験は、第I−II相臨床試験の一部として54人の扁平上皮細胞癌患者(H&NC)のコホートを分析した。これらの患者は、治療レジメンの安全性、腫瘍及び臨床応答、並びに単核浸潤の組成及び細胞循環率に関して調べた。
【0073】
[84]白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)を用いて癌を事前感作するための治療レジメンは、後の放射線を用いた治療及び/又は化学療法に対して腫瘍細胞をより感受性にする目的で腫瘍細胞循環を有意に増大させることが統計的有意な方法で証明された、頭頚部癌患者用に開発された治療プロトコル、に基づく。治療は、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)を真皮内における目に見えるか又は触知できる腫瘍塊の周辺端への投与を含んでいた。
【0074】
[85]IL−2として約20IU〜1600IUの範囲の1日用量で、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)を連日、10回、皮下/真皮下に注射する2週間のコースによって、腫瘍塊の周辺端の腫瘍周囲に投与した。治療の他のコースは、40IU〜800IUの範囲である。さらに他の範囲は、35IU〜75IUの範囲である。示した治療のさらに他の特異的で非制限的な例では、連日10回の皮下/真皮下注射を行う2週間のコースで、IL−2として55IUの1日用量の白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)の投与を企図している。
【0075】
患者
[86]白血球インターロイキン注射液(LI)治療群及び対照患者群に関する情報を、表1及び2に示す。54人の患者は、対照群の27人の患者及び治療群の27人の患者を含む。
【0076】
【表1】

【0077】
【表2】

【0078】
癌用の白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)を用いた治療レジメン
[87]本発明によって企図される、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)を用いて癌を事前感作するための治療レジメンの他の実施形態は、後の放射線を用いた治療及び/又は化学療法において腫瘍細胞をより感受性にする目的で腫瘍細胞循環を有意に増大させることが統計的有意な方法で証明された、頭頚部癌患者用に開発された治療プロトコル、に基づく。治療は、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)を、皮下の顎下腺リンパ節群の領域へ投与することを含んでいた。
【0079】
[88]IL−2として約20IU〜1600IUの範囲の1日用量で、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)を、連日、1日10回、皮下/真皮下注射を行う2週間のコースで、半分は腫瘍塊の周辺端の腫瘍周囲に、半分は腫瘍塊と同側の顎下腺リンパ節群に投与した。治療の他のコースは、40IU〜800IUの範囲である。さらに他の範囲は、35IU〜75IUの範囲である。示した治療のさらに他の特異的で非制限的な例では、連日、1日10回、皮下/真皮下注射を行う2週間のコースで、IL−2として55IUの1日用量の白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)の投与を企図している。
【0080】
[89]段階的用量増加試験においては、治療群の27人の患者に、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)を腫瘍周囲に投与した。白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)の投与は、以下の方法で実施した:試験した投与群のそれぞれに関して以下の用量で、2週間以上(1週間当たり3回)、1日用量を腫瘍周囲に注射した;低用量では、1日当たり400IU(IL−2の国際単位)[IL−2当量](8患者)、中用量では、1日当たり800IU(IL−2当量)(12患者)、高用量では、1週間当たり5回、1日当たり800IU(IL−2当量)(7患者)。全ての白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)注射液は、真皮内で目に見えるか又は触知できる腫瘍塊の周辺端に投与した。残存腫瘍塊の切除を目的とする外科手術は、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)の最初の投与から第21日目と第28日目の間に実施した。局所/部分的放射線療法は、外科手術後のさまざまな時点で、創傷治癒後の手術後の患者において開始し、外科手術介入からの個々の患者の回復に依存して行った。放射線療法は、一般的に、外科手術後2週間目と4週間目の間に開始した。
【0081】
[90]白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)の投与は、Multikine(登録商標)を最初に投与する3日前に、シクロホスファミド、300mg/mの静脈内注射を1回行った後に行った。シクロホスファミドの投与後第3日から始めて外科手術の24時間前まで、1日3回、インドメタシン(25mg)を(食物と共に)経口的に自己投与した。硫酸亜鉛(50mg)及びマルチビタミンサプリメントは、シクロホスファミド投与後第3日から始めて外科手術の24時間前まで、1日1回自己投与した。これらの物質は、腫瘍細胞循環に対して全く影響がなく、これらの薬剤に関する通常の癌治療用量の3〜5倍未満の用量で与えた。
【0082】
[91]Chesapeake Biological Laboratories、Inc.、Baltimore、MD for CEL−SCI Corporationによって供給される充填用白血球インターロイキンは、腫瘍周囲、腫瘍内、リンパ周囲、又は皮下に投与するために、400IU/mL(IL−2当量)の薬剤を2.2mL含み、密閉状態のホウケイ酸ガラス製血清用バイアル中で凍結して与えられた。調製物は、約3mg/mL(又は+/−1mg/mL)の合計タンパク質含量を有する。物質は、滅菌状態及び発熱物質を含まない状態で供給された。治験薬は、薬剤が−20℃で保存される製造日から24カ月という指定された有効期限を有する。
【0083】
[92]シクロホスファミドUSP(Bristol−Myers−Squibb、Morton、UK)は、静脈内注射前に溶解させるために、シクロホスファミド100mg当たり45mgの塩化ナトリウム、75mgのマンニトール、又は約82mgの炭酸水素ナトリウムを含む滅菌状態の粉末として供給された。
【0084】
[93]インドメタシンUSP(Sanofi−Synthelabo、パリ、フランス)は、食物と共に経口的に自己投与するために25mgの錠剤として供給された。
【0085】
[94]硫酸亜鉛(50mg)(R.P.Scherer Corporation、Clearwater、FL)及び非処方箋マルチビタミンは、自己投与用にそれぞれの患者にクリニックにより供給された。
【0086】
[95]病理学試験は、Department of Tumor Progression、National Institute of Oncology、ブダペスト、ハンガリー(J.T.)によって実施された。1つの病理学プロトコルがこの試験を支配し、外科手術により切除した試料の調製及び固定、並びに全体的な、肉眼及び顕微鏡による検査、並びに組織学的及び免疫組織化学的手順を記載した。この病理学プロトコル中で詳細に述べられたように、各関係機関の病理学部門によって、試料は最初に回収され、処理された。次いで試料を正式受諾、さらなる処理、及び病理学的評価のために中央病理学研究所に出荷した。
【0087】
[96]口腔病変の診断は、疑いのある病変のプローブ切除バイオプシーに基づくものであり、初期に記載されたように、T2−3N0−2M0として分類された癌を、LI又はMultikine(登録商標)治療レジメンでの免疫療法に選択した。LI又はMultikine(登録商標)治療期の最後及び外科手術前に、臨床応答を評価し、腫瘍応答に従って、患者の腫瘍切除(残存腫瘍の外科手術による除去)の予定を立てた。小さな切除バイオプシー、又は完全な臨床応答の場合はバイオプシーなし。したがって、LI又はMultikine(登録商標)治療後の病理学的試料の2つの型:1)完全な腫瘍、及び2)腫瘍バイオプシー試料が、免疫組織化学及び病理学的分析に利用可能であった。後者は、その大きさが小さいために、これらのサンプルの病理学的分析の程度が限られた。
【0088】
組織学的分析
[97]切除した組織は、生理食塩水緩衝ホルムアルデヒドを含む事前にラベル付けした容器に入れ、パラフィンに組織を包埋してH&E染色及び免疫組織化学的分析用の5μmのスライドを作製する前に、一晩固定した。組織学的分析及びAmerican Joint Committee on Cancerの等級付けは、H&E染色切片から実施した。組織病理学的分析は、3つの異なる腫瘍領域:表面(領域1.0)、中心(領域2.0)、及び腫瘍−間質界面(領域3.0)について実施した。壊死腫瘍細胞の出現についてもH&Eスライドから評価した。頭頚部癌腫瘍中の上皮要素と間質の割合は、2つの方法によって測定した。最初に、マロリー(3色染色)によって結合組織を染色し、ImagePro分析ソフトウェア(MediaCibemetics、Silver Spring、MD)を使用することによって、癌巣の領域(腫瘍上皮)に関してスライドを測定した。第2に、切除した組織を含むスライドを、癌細胞を標識するDAKO(Glostrup、デンマーク)のパン−サイトケラチン抗体(A1A3+CKl9)を使用して、サイトケラチンを免疫組織化学的に標識し、顕微鏡によって調べ、ImagePro分析ソフトウェアを使用して分析した。
【0089】
癌細胞の増殖分画の測定
[98]パラフィン切片を、Ki−67抗原(DAKO)を認識するマウスモノクローナル抗体で標識し、細胞周期進行中の細胞群の割合を示した。細胞周期進行中の腫瘍細胞の出現は、選択した領域の3個の別々の領域において元の倍率×20の倍率で計数した。さらに循環間質細胞も、上皮内腫瘍細胞と同じ基準を使用して測定した。領域当たり少なくとも3×100個の腫瘍細胞を評価した。
【0090】
単核細胞の浸潤の特徴付け
[99]腫瘍細胞巣の非常に近くに存在する単核細胞を、腫瘍サンプルのパラフィン切片で実施した免疫組織化学的分析によって測定した。切片を脱パラフィン状態にし、マイクロ波で処理して抗原性を回復させた。以前にパラフィン切片を均一に染色することが示された市販の抗体のみを使用した。好中球は、抗ミエロペルオキシダーゼ抗体(マウスモノクローナル、DAKO)を使用して標識し、造血幹細胞は、マウスモノクローナル抗CD34抗体(DAKO)で標識した。マクロファージ細胞群は、CD68抗原(マウスモノクローナル抗CD68、DAKO)の発現によって同定し、樹状細胞は、Ciliaマーカー(マウス抗Cilia、Immunotech、パリ、フランス)の発現によって同定した。リンパ球様細胞は、LCA抗原(マウスモノクローナル抗CD45、DAKO)の発現によって同定した。B細胞群は、マウスモノクローナル抗CD20で標識し、T細胞は、ウサギポリクローナル抗CD3抗体によって同定した(いずれもDAKOからのもの)。細胞毒性T細胞は、CD8の発現によって(マウスモノクローナル抗CD8、DAKOによって)同定し、NK細胞は、CD57抗原(マウスモノクローナル抗CD57抗体、Novocastra、Newcastle on Tyne、UK)を使用して同定した。腫瘍上皮及び間質内のインターロイキン−2受容体(IL−2R)発現細胞は、IL−2Rに対するマウスモノクローナル抗体、CD25(Novocastra)を使用することによって同定した。いずれの場合も、適切なイソ型対照抗体を陰性対照として使用した。
【0091】
[100]全ての免疫組織化学的標識は、ビオチン化抗マウス/抗ウサギ免疫グロブリンGリンカー及びストレプトアビジン−ホースラディッシュ−ペルオキシダーゼを使用して、DAKO LSAB−2キットを用いて実施して、特異的に結合した抗体を明らかにした。使用した色原体は、アミノ−エチル−カルバゾール(AEC)(赤色)標識であった。切片は、ヘマトキシリンを用いて核について対比染色した。
【0092】
ホットスポットの考慮
[101]単核細胞の密度を、微細血管密度の測定と類似した「ホットスポット」技法に基づいて測定した。それぞれの試験した腫瘍領域において、浸潤細胞の密度を最高の腫瘍浸潤単核細胞密度の領域で測定し、これによって組織中の細胞浸潤の極端な不均一性を最小にした。
【0093】
病理学試験の試験
[102]LI治療又はMultikine(登録商標)及び対照(非LI治療)群からの腫瘍バイオプシー試料は、顕微鏡像をH&E染色で評価した。サンプルの大きさが全4種類の標識手順を可能にする条件で、CD3、CD8、Cilia、及びCD25標識を実施した。対照群及びLI治療群では、完全な腫瘍の除去を行い、全腫瘍組織が分析に利用可能であった;それ故、完全な分析プログラムが使用された。観察用のスライドを選択するために元の倍率×40の倍率を使用し、スライドの選択した領域の組織学的分析には、元の倍率×100の倍率を使用した。
【0094】
[103]それぞれの患者の腫瘍切片の組織学的評価は、3人の別々の病理学者によって行われた。病理学者間の不一致が存在した場合は、共通の解決に到達させた。それぞれの症例(LI治療又は対照症例)の臨床背景及び治療結果の知識なしで、同じ3人の病理学者によって形態測定を実施した。
【0095】
統計分析
[104]データはANOVA一元配置分析で分析し、(α=0.05で)0.05未満のp値を統計的に有意であるとみなした。
【0096】
結果
組織学的評価
[105]OSCCの対照群は、境界の分類により測定して、さまざまなケラチン化段階(BR1〜BR3)である平面状細胞癌からなっていた。Odell et al.、「The Progostic Value of Individual Histologic Grading Parameters in Small Lingual Squamous Cell Carcinomas;The Importance of the Pattern of Invasion」、Cancer74:789(1994)。表III及びIV中に示したように、LI治療群は腫瘍型に関して対照群と相違しなかった。両方の腫瘍群において、CK−19又はpan−CKの非常に異質の発現を明らかにしたサイトケラチンの免疫染色パターンによって、これをさらに確認した。
【0097】
【表3】

【0098】
【表4】

【0099】
腫瘍間質
[106]癌巣の「断片化」は、Hadden et al.、「Interleukins and contrasuppression induce immune regression of head and neck cancer」、Arch Otolaryngol Head Neck Surg 120:395(1994);Verastegui et al.、「A natural cytokine mixture(IRX−2)and interference with immune suppression induce immune mobilization and regression of head and neck cancer」、Int J Immnuopharmac 19:619(1997);及びBarrera et al.、「Combination Immunotherapy of squamous cell carcinoma of the head and neck」、Arch.(2000)によって以前に報告されたにもかかわらず確認することはできなかった。しかしながら、間質が豊富な腫瘍が、対照群の27人中8人で、LI治療群の17人中6人で同定された。マロリー3色染色を用いた癌巣及び腫瘍間質の特殊な標識は、これらの領域を区別するのに役立った。対照群及びLI治療群の上皮巣の割合を、形態計測を使用することによって測定した。この分析によって有意な違いは明らかにならず、したがってLI治療は、腫瘍と間質の割合に影響を与えなかったことが示唆された。
【0100】
壊死及び増殖
[107]表3及び4に示す腫瘍壊死に対するLI治療の影響、並びにKi−67マーカーによって検出した細胞周期進行中の細胞の組織構造分析及び特異的同定結果を使用する癌細胞の増殖(図2)についても評価した。表5に示すように、LI治療群と対照群の両方において、組織構造分析によって、融合領域の壊死、あるいは肉眼的病巣、表面又は単細胞の壊死を確認した。OSCCにおいていかなる種類の壊死も存在しなかったことは、表5に示すように、試験した異なるLI治療群(57%〜63%)由来の全ての腫瘍において同様であった。腫瘍体積の1%を超える範囲で測定した融合領域の壊死も、表3及び4のさまざまな腫瘍群において同様であった。
【0101】
【表5】

【0102】
[108]単核細胞、線維芽細胞、内皮細胞などの宿主細胞の癌細胞及び間質細胞を同定した、Ki−67発現による細胞周期進行中の細胞の検出を図2中に示す(倍率×100)。Ki−67陽性癌細胞の密度の形態計測分析は、図4に示すように最高用量のLIを投与した以外、LI治療が細胞周期進行中の腫瘍細胞において有意な増大(P<0.05)を誘導したことを示した。他方では、腫瘍の間質領域中で主に見られる循環宿主細胞の出現率は、LI用量の増大と共に低下し(図4)、その影響は最低及び最高用量の場合、有意であることが分かった(P<0.05)。これらの発見は、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)治療剤を用いた治療は、癌細胞を細胞周期のある期に進入させるが、宿主免疫細胞又は間質細胞については細胞周期のある期に進入させることはないという結論を支持する。したがって本発明は、Ki−67抗原の発現に基づく高い割合の腫瘍細胞群の細胞周期への進入を誘導するための、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)治療を企図している。
【0103】
[109]外科手術前に白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)で治療し、放射線療法又は慎重な待機をした患者の再発率に関するデータにおいては、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)を用いた治療後24カ月での再発率の増大を示さなかった。8人の逐次的に白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)治療した患者の小群のコホートは、24カ月の追跡期間中1人の再発患者も有していない。これとは対照的に、文献では、これらの患者の再発率は外科手術後18〜24カ月で約50%であると判断している。
【0104】
[110]白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)治療は、リンパ球様細胞に存在する腫瘍の活性増殖は誘導しなかったようであり、対応して間質のKi−67細胞は減少し、その一方で、Ki−67癌細胞の出現率は、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)治療の後に増大した。したがって、LI又はMultikine(登録商標)治療は、細胞周期進行中の腫瘍細胞の数を増大させ、放射線及び/又は化学療法による後の治療において、残存腫瘍の感受性の増大をもたらす。
【0105】
単核の浸潤
[111]単核の浸潤を間質区画において評価し、癌巣において上皮内浸潤として定義した。対照から切除した腫瘍と、従来のH&E染色を使用したLI治療群との間には、明確な違いは認められなかった。この点において、対照群は非常に不均一でもあった。特に、幾つかの腫瘍は、密な白血球浸潤によって特徴付けられ、一方、他の腫瘍は、形質細胞浸潤によって特徴付けられた。さらに他の腫瘍は、リンパ球様浸潤によって特徴付けられた。
【0106】
[112]CD68マーカーによって同定したマクロファージの密度を、上皮内及び腫瘍間質中で測定した。マクロファージの上皮内密度は、間質の密度と同等であった。対照腫瘍において上皮内マクロファージの密度が比較的高かったことは、LIで治療した腫瘍においても同等であった。
【0107】
[113]OSCC中のミエロペルオキシダーゼ陽性好中球白血球の密度も、形態計測によって測定した。これらの試験は、LI治療後の間質又は上皮内好中球密度について、統計的有意な差異が存在しなかったことを示した。
【0108】
[114]形態計測は、OSCCの3つの領域で実施した。腫瘍表面は、領域1.0として定義した。腫瘍の中心は、領域2.0として定義した。侵襲端と呼ばれることが多い腫瘍−間質界面は、領域3.0として定義した。マクロファージ又は結合組織の割合の有意な差異は、これらの領域では観察されなかった。しかしながら、OSCC中のリンパ球様浸潤を特徴付けるために、これら3つの領域間の違いについて、サンプル間の実際の類似性又は差異とは無関係に試験した。
【0109】
口腔扁平上皮細胞癌中の樹状細胞に対する、白血球インターロイキン注射液治療の影響
[115]CDlaマーカーによって樹状細胞を同定し、これによって腫瘍周囲の正常上皮中における十分な浸潤が明らかになった。この型の十分な浸潤は、癌巣中では明らかに低下した。対照群又はLI治療群中の腫瘍間質で同定された樹状細胞の有意な存在はなかった。上皮内の樹状細胞の浸潤は、治療群とは無関係に、癌の症例では不均一であった。
【0110】
口腔扁平上皮細胞癌中のリンパ球様細胞の浸潤に対する、白血球インターロイキン注射液治療の影響
[116]癌細胞巣中、約1:10の割合で、腫瘍間質で明らかに高密度のリンパ球の存在を示すOSCCのさまざまな領域において、白血球共通抗原(1CA、CD45)マーカーの発現によってリンパ球様細胞を同定した。リンパ球様細胞の浸潤に関し、いずれの治療群においても、表面から侵襲端までOSCCのさまざまな領域間で、有意な形態上の差異は観察されなかった。LI治療は、間質リンパ球様細胞の浸潤が増大する傾向を誘導し、これは図3に示すように、試験した最低用量以外では統計的に有意ではなかった。しかしながら、最低用量のLI治療のみが、図中に示すように上皮内CD45細胞の有意な(P<0.05)増大を誘導した。11の最高用量がCD45陽性細胞の上皮内密度を低下させたが、その変化は統計的に有意ではなかった。
【0111】
口腔扁平上皮細胞癌中のインターロイキン−2受容体α−陽性(CD25−陽性)リンパ球様細胞に対する、白血球インターロイキン注射液治療の影響
[117]約10%の間質又は上皮内リンパ球様細胞が、OSCCサンプル中でIL−2Raを発現することが分かった。LI治療OSCC症例のさまざまな領域におけるCD25陽性リンパ球様細胞の出現率には、有意な差異は存在しなかった。図6及び7に示すように、LIを用いた治療は、最低用量のLI用量で、領域1表面以外の間質と、CD25−陽性リンパ球様細胞の上皮内出現率との両方を増大させた(P<0.05)。
【0112】
口腔扁平上皮細胞癌中のB細胞の密度に対する、白血球インターロイキン注射液治療の影響
[118]CD20マーカーによって同定したB細胞は、全LI治療群の腫瘍間質中において排他的に認められた。対照症例のさまざまな領域におけるB細胞の密度の差異は存在しなかった。LIを用いた治療は、表面両域から侵襲端までのB細胞の再分布を誘導した。しかしながら、これらの傾向は統計的に有意ではなかった。
【0113】
口腔扁平上皮細胞癌中のT細胞に対する、白血球インターロイキン注射液治療の影響
[119]OSCC中の単核浸潤のT細胞亜群は、CD3マーカーによって同定した。T細胞の上皮内密度は、図8(倍率×400)に示すように、対照群中の腫瘍において、T細胞の間質密度の5%未満であった。しかしながら、異なる対照患者間では、CD3−陽性T細胞の数及び割合に大きな違いがあった。図9(倍率×400)に示すように、CD3−陽性T細胞は、LI治療群中でより優勢であった。
【0114】
[120]LI治療腫瘍では、CD3−陽性T細胞の間質密度は、図10に示すように試験した大部分の腫瘍領域及びLI用量において30%〜40%低下した。しかしながら、図10に示すような個々の変化のために、その差異は統計的に有意ではなかった。腫瘍間質における発見とは対照的に、LI治療は、図11に示すようにLI治療の用量には明らかには依存せずに、上皮内T細胞密度の有意な増大(P<0.05)を誘導した。
【0115】
[121]対照群中では、OSCCの間質中で見られたT細胞の約50%が、CD8マーカーによって特徴付けられる細胞毒性T細胞であったと考えることが可能である。CD3−陽性細胞と同様に、LI治療は、OSCC間質中において典型的には30%〜40%、CD8−陽性細胞の出現率の低下を誘導した。しかしながら、その差異は統計的に有意ではなかった。約10%の間質細胞毒性T細胞が、治療−非投薬対照OSCC症例では上皮内に見られた。さまざまな用量において、特に2つの低用量においてLI治療は、上皮内CD8細胞のある程度の増大を誘導したが、この増大は腫瘍中のさまざまな領域及び試験した個々の症例に依存し、統計的に有意ではなかった。
【0116】
ナチュラルキラー細胞の検出
[122]本試験において口腔癌に浸潤したNK細胞は、全患者群中で検出されなかった。OSCC中のNK細胞の検出の失敗は、免疫反応の技術的な失敗によるものではなかった。何故なら、N−CAM(CD57)は、試験した腫瘍組織と隣接した領域中の神経細胞及び変性筋細胞において首尾よく検出されたからである。
【0117】
口腔扁平上皮細胞癌中のCD34−陽性造血幹細胞の検出
[123]以前の報告は、OSCC腫瘍がそれらの間質中にCD34−陽性幹細胞を含む可能性があることを示した。Schmidt et al.、「Mechanisms of immune suppression in patients with head and neck cancer:presence of CD34+ cells which suppress immune functions within cancers that secrete granulocyte−macrophage colony−stimulating factor」、Clin Cancer Res 1:95(1999);Young et al.、「Mechanisms of immune suppression in patients with head and neck cancer:influence on the immune infiltrate of the cancer」、Int J Cancer 67:333(1996)。しかしながら、CD34−陽性単核細胞は、この試験の54のパラフィン包埋サンプルで検出されなかった。これは技術的な失敗によるものではなかった。何故なら、腫瘍微細血管中のCD34−陽性内皮細胞は、試験した全OSCC症例において容易に検出されたからである。
【0118】
考察
[124]OSCCを有する54の患者のこの病状試験からのデータは、OSCCが免疫原性腫瘍であること、及びLI治療が腫瘍へのリンパ浸潤を誘導することを実証する。他の癌型と同様に、OSCCの単核浸潤の組成に関して異なる患者から得た腫瘍サンプル間で著しい個々の差異が存在し、細胞浸潤のどの要素がOSCCの疾患予後又は治療応答において有意な役割を果たすかを決定するためには、別の分析が必要とされることが示唆される。
【0119】
[125]白血球インターロイキン(LI)治療は、OSCCの単核浸潤の組成に対して特異的な影響を有する。間質、上皮内マクロファージ、好中球白血球、又はCDla陽性細胞などの抗原提示細胞に対する影響は見られなかった。他方で正常な腫瘍周囲の上皮は、対照群とLI治療群の両方において最高密度の樹状細胞を含んでいた。本発明のいずれか1つの理論に限られずに、このことは、直接腫瘍部位で抗原提示細胞の活性に干渉するかあるいはそれを阻害する因子を、OSCCが分泌する可能性があることを示唆する。悪性ミエローマを有する患者は、同様の樹状細胞分布を有するので、これは治療特異的ではなくOSCCの一般的な現象である可能性がある。本明細書で与える用量でのLIを用いた治療は、OSCCのこの特徴に対して影響がなかった。
【0120】
[126]最低用量での白血球インターロイキン注射液(LI)治療は、間質密度に対する有意な影響なしで、OSCCの癌巣中のリンパ球様細胞の有意な蓄積を誘導した。さらに、1日当たり400IU、1週間に3回のLI治療は、腫瘍間質及び上皮内のCD25発現リンパ球様細胞の密度を増大させた。LI調製物中の天然IL−2の比較的高い局所濃度によって、フィードバック阻害経路の可能性が存在する。
【0121】
[127]リンパ球様細胞のB細胞群の分析は、間質B細胞がLI治療によって有意に影響を受けず、B細胞は上皮内に存在しなかったことを示した。LI治療の標的としてのT細胞亜群の分析は、最終的な結果を与えなかった。OSCCのLI治療は、CD3陽性T細胞とCD8陽性T細胞との両方に関して間質密度の低下傾向を誘導したが、LI治療後の上皮内密度の有意な増大(P<0.05)を、LI用量とは無関係に、CD3陽性細胞に関して観察した。本発明のいずれか特定の理論に限られずに、CD4陽性T細胞などの他のT細胞亜群が、LI治療によって影響を受ける可能性があることを記す。
【0122】
[128]白血球インターロイキン注射液(LI)治療は、サイトケラチンの発現及び境界の段階などのOSCCの幾つかの特徴に対して全く影響がない。LI治療後の腫瘍−間質の割合の変化もなかった。対照治療−非投薬群とLI治療群との間に、残存腫瘍のLI治療サイクル及び外科手術による切除の終期における肉眼的壊死又は肉眼的癌巣形の出現率の差異は存在しなかった。
【0123】
[129]LI治療は、Ki−67抗原の発現に基づいて、高い割合の腫瘍細胞の細胞周期への進行を誘導した。LIは、この治験薬中に存在した異なるサイトカイン(IL−1−β、IL−2、TNF−α、IFN−γ、及びGM−CSFを含む)の相乗効果、及び宿主の免疫応答と腫瘍の両方に対するこれらのサイトカインの特異的影響によって、OSCC腫瘍細胞を細胞周期に誘導した。
【0124】
[130]1つの研究機関からの8人の逐次的にLI治療した患者の小群のコホートは、24カ月の追跡期間中1人の再発患者も有していなかった。腫瘍細胞の細胞周期の進行の増大はより急速に増殖し、再発する腫瘍の危険性をより急速に表すので、LI治療患者と対照(非LI治療)群との再発率について試験した。外科手術前にLIで治療し、放射線療法又は慎重な待機が実施された、追跡した患者の再発率に関する予備データは、治療レジメン後24カ月で再発率の増大を示さなかった。
【0125】
[131]De Stefani et alによるOSCCを有する202人の患者の近年の無作為な多機関の第III相試験は、外科手術前に10日間、同側の頚部リンパ節に低用量(5000LI/1日)の組換えヒトIL−2をリンパ周囲に投与することが、無病生存率の有意な(P<0.01)増大をもたらし、したがって、さらに長期の全体の生存率(P<0.03)をもたらすことを示した。しかしながら、LI治療の主な標的群は、CD3−陽性T細胞である。したがって、LI治療は、抗腫瘍作用及び破壊に重要な腫瘍上皮内への間質湿潤T細胞の移動を誘導した。
【0126】
[132]LIを用いた治療は、リンパ球様細胞に存在する腫瘍の活性増殖は誘導しないようであった。対応して、間質Ki−67細胞は減少し、一方、Ki−67陽性癌細胞の出現率はLI治療後に増大した。したがって、LI治療は、癌巣への委任抗腫瘍T細胞の移動を誘導し、細胞周期進行中の腫瘍細胞の数を増大させ、放射線、化学療法又は両方による後の治療に対する残存腫瘍の感受性を増大させるようである。
【0127】
薬剤安全性、パイロット有効性及び組成物
[133]Harris et al.、「Immunologic approaches to the treatment of prostate cancer」、Semin Oncol.1999 Aug;26(4):439〜7;Timar et al.、「The effect of Leukocyte Interleukin、Injection on the peri−and intratumoral subpopulation of mononuclear cells and on tumor epithelia−A possible new approach to augmenting sensitivity to radiation and chemotherapy in oral cancer。A multi−center Phase I/II clinical trial」、The Laryngoscope [113 December 2003];Brown et al.、「A Phase I Open−Label Study of Leukocyte Interleukin、Injection in HIV−1 infected individuals:preliminary evidence for improved delayed−type hypersensitivity responses to recall antigens」、Antiviral Therapy 5(supplement)18、2000;Taylor et al.、「Immunotherapy with Leukocyte Interleukin、Injection for human papilloma virus(HPV)induced cervical dysplasia in HIV patients」、Annual Meeting of the International Society for Interferon and Cytokine Research、Cleveland、OH、October 2001;Taylor et al.、「Immunotherapy with Leukocyte Interleukin、Injection for human papilloma virus(HPV)induced cervical dysplasia in HIV patients」、33rd SGO Conference、Miami、FL、March 2002によって報告されたように、LI又はMultikine(登録商標)投与に関して重度の悪影響事象を伴わない190を超える癌、HIV、及びHIV/HPV感染患者において、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)は試験されている。Multikine(登録商標)は、マウス、ラット、モルモット及びイヌの動物毒性試験において安全であったことがさらに示された。さらに、Multikine(登録商標)を試験し、頭頚部癌並びに頚部形成異常におけるパイロット有効性を実証した。
【0128】
[134]白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)は、予防的あるいは治療的に、1つ又は複数の薬剤として許容可能な担体又はアジュバントと共に、免疫調節組成物の要素としてさらに使用することができる。予防的に使用するために与えるときは、感染又は疾患の何らかの徴候の前に免疫調節組成物を与える。白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)を、純粋又はほぼ純粋な形で投与することは可能であるが、医薬組成物、配合物又は調製物を使用することも可能である。
【0129】
[135]臨床用とヒト用の両方に使用するための本発明の配合物は、1つ又は複数の薬剤として許容可能な担体、及び場合によっては他の治療用成分、特に治療用免疫アジュバントと共に、前に記載した白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)を含む。担体は配合物の他の成分と適合性があるという意味で「許容可能」でなければならず、そのレシピエントに有害であってはならない。
【0130】
[136]一般に配合物は、均一かつ十分に活性成分と液状担体又は微細固形担体あるいは両方を結合させること、次いで必要な場合は、生成物を所望の配合物にすることによって調製する。本明細書で使用する用語「薬剤として許容可能な担体」は、任意の担体、希釈剤、賦形剤、懸濁剤、潤滑剤、アジュバント、賦形薬、送達系、乳化剤、崩壊錠、吸収剤、防腐剤、界面活性剤、着色剤、芳香剤、又は甘味剤を指す。配合物は、単位剤形で都合よく存在することができ、薬剤分野でよく知られている任意の方法によって調製することができる。
【0131】
[137]静脈内、筋肉内、皮下、又は腹腔内、鼻腔などの投与に適した配合物は、活性成分の滅菌水溶液、及びレシピエントの血液と等張であることが好ましい溶液を都合よく含む。本発明の化合物は、経口的、非経口的、吸入スプレー、局所的、直腸、頬、膣に投与することができ、あるいは注入装置によって従来の非毒性の薬剤として許容可能な担体、アジュバント及び賦形薬を含む投与用配合物の形で投与することもできる。本明細書で使用する用語、非経口は皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、クモ膜下、心室内、肋骨内及び頭蓋内注射又は注入技法を含む。
【0132】
[138]このような配合物は、塩化ナトリウム(例えば0.1〜2.0M)、グリシンなどの生理的適合性がある物質を含み、水溶液を生成するための生理条件と適合性がある緩衝pHを有し、溶液を滅菌状態にする水に固形活性成分を溶解させることによって、都合よく調製することができる。これらは単位又は多容量容器、例えば密封アンプル又はバイアル中に存在してよい。
【0133】
[139]本発明の配合物は、滅菌済み注射用調製物の形で、例えば、滅菌済み注射用水性又は油性懸濁液として投与することもできる。これらの懸濁液は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して、当技術分野で知られている技法に従い配合することができる。滅菌済み注射用調製物は、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤又は溶媒中の滅菌済み注射用溶液又は懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液などであってもよい。使用することができる許容可能な賦形薬及び溶媒の中には、水、リンガー溶液及び等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌済みの固定油が、溶媒又は懸濁媒体として従来使用されている。この目的のために、合成モノ−又はジ−グリセリドを含めた任意の無刺激性の固定油を使用することができる。オレイン酸などの脂肪酸及びそのグリセリド誘導体は、オリーブ油及びヒマシ油を含めて、特にそれらのポリオキシエチル化型は、注射液の調製において有用である。これらの油性溶液又は懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤又は分散剤も含み得る。
【0134】
[140]治療に関して述べられる条件が、目、皮膚、又は下部消化管の障害を含めた局所施用によって容易に接触可能である領域又は器官に関するものであるときは特に、本発明の化合物を局所に投与することもできる。適切な局所配合物は、それぞれのこれらの領域用に容易に調製される。
【0135】
[141]目への局所施用、又は眼科用途のために、化合物は等張のpH調整した滅菌済み生理食塩水に懸濁させた微粒子懸濁液として、あるいは好ましくは、塩化ベンジルアルコニウムなどの防腐剤を含むかあるいは含まない、等張のpH調整した滅菌済み生理食塩水に溶かした溶液として配合することができる。あるいは、眼科用途の白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)は、ペトロラタムなどの軟膏に配合することができる。
【0136】
[142]皮膚への局所施用のために、例えば以下の:鉱油、液状ペトロラタム、白色ペトロラタム、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス及び水の1つ又は複数との混合物中に懸濁又は溶解させた化合物を含む適切な軟膏中に、化合物を配合することができる。あるいは、例えば以下の:鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水の1つ又は複数の混合物中に懸濁又は溶解させた活性化合物を含む適切なローション又はクリーム中に、化合物を配合することができる。
【0137】
[143]担体物質と組み合わせて1つの剤形を生成することができる活性成分の量は、治療する宿主及び個々の投与形式に応じて変わると思われる。幾つかの要因には、使用する特定の化合物の活性、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別、及び食習慣;投与の時間、排出率、薬剤の組合せ、及び治療する個々の疾患の重度、及び投与の形がある。
【0138】
[144]薬による方法を使用して、作用時間を調節することもできる。放出制御型調製物を、ポリマーを使用することによって得て、ペプチドを複合体化又は吸収することができる。制御型送達は、適切なマクロ分子(例えば、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニル、ピロリドン、エチレン酢酸ビニル、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース;又は硫酸プロタミン)、及びマクロ分子の濃度、並びに制御型送達のための取り込み法を選択することによって実施することができる。
【0139】
[145]例えば、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)は、数日間の放出制御用に疎水性ポリマーマトリクス中に取り込ませることができる。このような放出制御型フィルムは当業者によく知られている。特に好ましいのは経皮送達系である。本発明において使用することができ、この目的で一般的に使用されるポリマーの他の例には、体外又は体内で使用することができる、非分解性エチレン−酢酸ビニルコポリマー及び分解性乳酸−グリコール酸コポリマーがある。ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール)などの幾つかのヒドロゲルも有用である可能性はあるが、ただし短い放出サイクルであり、したがって前述の系などの他のポリマー放出系が有用である可能性がある。
【0140】
[146]あるいは、ポリマー粒子にこれらの物質を取り込ませる代わりに、例えばコアセルベーション技法又は界面重合法によって調製したマイクロカプセル、例えばそれぞれヒドロキシ−メチルセルロース又はゼラチン−マイクロカプセル及びポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中、あるいは衝突型薬剤送達系、例えばリポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル中、あるいはマクロエマルジョン中にこれらの物質を捕捉することができる。
【0141】
[147]中枢神経系標的物質として治療上有効であるために、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)は、末梢投与されるとき、血液−脳関門にも容易に浸透しなければならない。血液−脳関門に浸透することができない化合物は、心室内経路、又は脳への投与に適した他の適切な送達系によって有効に投与することができる。
【0142】
[148]白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)は、キットの形で、単独で、あるいは前に記載した薬剤組成物の形で供給することもできる。白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)の投与は、従来の方法によって実施することができる。例えば、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)は、生理食塩水又は水、あるいは完全又は不完全アジュバントなどの適切な希釈剤中に使用することができる。白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)は、免疫系を刺激するのに適した任意の経路、例えば静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、鼻腔、経口、直腸、膣投与などによって投与することができる。
【0143】
[149]前に記したように、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)は、予防目的又は治療目的のいずれかであってよい。予防的に与えるとき、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)は、何らかの徴候の前、あるいは疾患による何らかの症状の前に与える。治療的に与えるとき、白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)は、疾患の発症時(又はその後)あるいは疾患の何らかの症状の発症時に与える。白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)の治療投与は、疾患を和らげ従来の治療結果を改善するのに役立つ。
【0144】
[150]本発明をこのように記載してきたが、本発明を多くの方法で変更することができることは明らかであろう。このような変更は本発明の精神範囲から逸脱するものとしてみなされず、全てのこのような変更形態は以下の特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】白血球インターロイキン注射液(LI)又はMultikine(登録商標)の作用機作を示す図である。
【図2】LI治療群中の口腔扁平上皮細胞癌(OSCC)におけるKi−67陽性細胞の免疫組織化学的外見に関する、頭頚部のOSCCを有する患者中の腫瘍の細胞周期進行中の細胞の割合に対する白血球インターロイキン注射液(LI)治療の影響を示す図である。データは平均値±SEMとして表す(n=25、対照、n=11、LI治療群)(P<0.05)(0=対照、未治療群)。
【図3】腫瘍表面(領域1.0);腫瘍中心(領域2.0);及び腫瘍表面界面(領域3.0)における口腔扁平上皮細胞癌(OSCC)中の間質リンパ球様細胞密度の形態計測に関する、CD45マーカーによって検出したリンパ球様細胞に対する高用量の白血球インターロイキン注射液(LI)治療の影響を示す図である。データは平均値±SEMとして表す(n=27、対照群、n=11、LI治療群)(P<0.05)。
【図4】形態計測に関する、口腔扁平上皮細胞癌(OSCC)中の細胞周期進行中の細胞の割合に対する高用量の白血球インターロイキン注射液(LI)治療の影響を示す図である。Ki−67陽性細胞は、間質区画と腫瘍上皮巣の両方において計数した。データは平均値±SEMとして表す(n=25、対照、n=11、LI治療群)(P<0.05)(0=対照、未治療群)。
【図5】OSCC中の上皮リンパ球様細胞の形態計測に関する、CD45マーカーによって検出したリンパ球様細胞に対する高用量の白血球インターロイキン注射液(LI)治療の影響を示す図である。領域1.0=腫瘍表面;領域2.0=腫瘍中心;領域3.0=腫瘍−間質界面。データは平均値±SEMとして表す(n=27、対照群、n=11、LI治療群)(P<0.05)。
【図6】口腔扁平上皮細胞癌(OSCC)中のインターロイキン−2、受容体陽性(CD−25)リンパ球様細胞の密度(形態計測)、間質密度に対する高用量の白血球インターロイキン注射液(LI)治療の影響を示す図である。領域1.0=腫瘍表面;領域2.0=腫瘍中心;領域3.0=腫瘍−間質界面。データは平均値±SEMとして表す(n=27、対照群、n=11、LI治療群)(P<0.05)。
【図7】口腔扁平上皮細胞癌(OSCC)中のインターロイキン−2、受容体陽性(CD−25)リンパ球様細胞の密度(形態計測)、上皮内密度に対する高用量の白血球インターロイキン注射液(LI)治療の影響を示す図である。領域1.0=腫瘍表面;領域2.0=腫瘍中心;領域3.0=腫瘍−間質界面。データは平均値±SEMとして表す(n=27、対照群、n=11、LI治療群)(P<0.05)。
【図8】本試験における(元の倍率×400)対照群(症例10)内のT細胞の密度;CD3−陽性細胞の免疫局在に対する口腔扁平上皮細胞癌の対照症例の影響を示す図である。
【図9】LI治療した(元の倍率×400を有する症例31の)CD3−陽性T細胞の密度;CD3−陽性細胞の免疫局在に対する口腔扁平上皮細胞癌の白血球インターロイキン注射液(LI)治療の影響を示す図である。
【図10】間質密度に関する、口腔扁平上皮細胞癌(OSCC)形態計測におけるCD3−陽性T細胞の密度に対する高用量の白血球インターロイキン注射液(LI)治療の影響を示す図である。領域1.0=腫瘍表面;領域2.0=腫瘍中心;領域3.0=腫瘍−間質界面。データは平均値±SEMとして表す(n=27、対照群、n=25、LI治療群)(P<0.05)。
【図11】腫瘍上皮内密度に関する、口腔扁平上皮細胞癌(OSCC)形態計測におけるCD3−陽性T細胞の密度に対する高用量の白血球インターロイキン注射液(LI)治療の影響を示す図である。領域1.0=腫瘍表面;領域2.0=腫瘍中心;領域3.0=腫瘍−間質界面。データは平均値±SEMとして表す(n=27、対照群、n=25、LI治療群)(P<0.05)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療的処置の前に癌を事前感作するための方法であって、
血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物の治療有効量を癌に投与するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記治療的処置は、化学療法、免疫療法及び放射線療法からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物を、約20IU〜1600IUの範囲で2週間以上、1週間に3回、腫瘍周囲に投与する方法であって、
IUは、ヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物を、約40IU〜800IUの範囲で2週間以上、1週間に3回、腫瘍周囲に投与する方法であって、
IUは、ヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物を、約35IU〜75IUの範囲で2週間以上、1週間に3回、腫瘍周囲に投与する方法であって、
IUは、ヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物を、55IUで2週間以上、1週間に3回、腫瘍周囲に投与する方法であって、
IUは、ヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物を、400IUで2週間以上、1週間に3回、腫瘍周囲に投与する方法であって、
IUは、ヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物を、800IUで2週間以上、1週間に3回、腫瘍周囲に投与する方法であって、
IUは、ヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物を、800IUで2週間以上、1週間に5回、腫瘍周囲に投与する方法であって、
IUは、ヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物の半分を腫瘍塊の周辺端で腫瘍周囲に、前記混合物の他の半分を腫瘍塊と同側の顎下腺リンパ節群に、約20IU〜1600IUの範囲で2週間以上、1週間に3回投与する方法であって、
IUは、ヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物の半分を腫瘍塊の周辺端で腫瘍周囲に、前記混合物の他の半分を腫瘍塊と同側の顎下腺リンパ節群に、約40IU〜800IUの範囲で2週間以上、1週間に3回投与する方法であって、
IUは、ヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物の半分を腫瘍塊の周辺端で腫瘍周囲に、前記混合物の他の半分を腫瘍塊と同側の顎下腺リンパ節群に、400IUで2週間以上、1週間に3回投与する方法であって、
IUは、ヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物の半分を腫瘍塊の周辺端で腫瘍周囲に、前記混合物の他の半分を腫瘍塊と同側の顎下腺リンパ節群に、800IUで2週間以上、1週間に3回投与する方法であって、
IUは、ヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物の半分を腫瘍塊の周辺端で腫瘍周囲に、前記混合物の他の半分を腫瘍塊と同側の顎下腺リンパ節群に、800IUで2週間以上、1週間に5回投与する方法であって、
IUは、ヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物を、約20IU〜1600IUの範囲で2週間以上、1週間に3回リンパ周囲に投与する方法であって、
IUは、ヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物を、約40IU〜800IUの範囲で2週間以上、1週間に3回リンパ周囲に投与する方法であって、
IUは、ヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物を、400IUで2週間以上、1週間に3回リンパ周囲に投与する方法であって、
IUは、ヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物を、800IUで2週間以上、1週間に3回リンパ周囲に投与する方法であって、
IUは、ヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物を、800IUで2週間以上、1週間に5回リンパ周囲に投与する方法であって、
IUは、ヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物は、以下に示される、インターロイキン−2(IL−2)に対するIL−1β、TNF−α、IFN−γ及びGM−CSFの群から選択されるサイトカインの特定の比率で構成される、請求項1に記載の方法:
IL−2に対するIL−1βの比率の範囲 0.4〜1.5;
IL−2に対するTNF−αの比率の範囲 3.2〜10.9;
IL−2に対するIFN−γの比率の範囲 1.5〜10.9;及び
IL−2に対するGM−CSFの比率の範囲 2.2〜4.8。
【請求項21】
前記サイトカインの特定の比率は、以下に示される通りである、請求項20に記載の方法:
IL−2に対するIL−1βの比率の範囲 0.6〜0.8;
IL−2に対するTNF−αの比率の範囲 7.7〜11.3;
IL−2に対するIFN−γの比率の範囲 4.9〜7.1;及び
IL−2に対するGM−CSFの比率の範囲 3.5〜4.5。
【請求項22】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物は、Multikine(登録商標)である、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物は、白血球インターロイキン注射液(LI)である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
期、S期、G期及びM期の群から選択される細胞周期に腫瘍細胞を誘導するための方法であって、
血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物の治療有効量を癌性細胞に投与するステップを含む、方法。
【請求項25】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物を、約20IU〜1600IUの範囲で2週間以上、1週間に3回、腫瘍周囲に投与する方法であって、
IUは、ヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表す、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物を、約40IU〜800IUの範囲で2週間以上、1週間に3回、腫瘍周囲に投与する方法であって、
IUは、ヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表す、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物を、約35IU〜75IUの範囲で2週間以上、1週間に3回、腫瘍周囲に投与する方法であって、
IUは、ヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表す、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物を、55IUで2週間以上、1週間に3回、腫瘍周囲に投与する方法であって、
IUは、ヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表す、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物を、400IUで2週間以上、1週間に3回、腫瘍周囲に投与する方法であって、
IUは、ヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表す、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物を、800IUで2週間以上、1週間に3回、腫瘍周囲に投与する方法であって、
IUは、ヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表す、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物を、800IUで2週間以上、1週間に5回、腫瘍周囲に投与する方法であって、
IUは、ヒトIL−2に関する世界保健機関の第1回国際標準、86/504で定められたインターロイキン−2の国際単位を表す、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物は、以下に示される、インターロイキン−2(IL−2)に対するIL−1β、TNF−α、IFN−γ及びGM−CSFの群から選択されるサイトカインの特定の比率で構成される、請求項24に記載の方法:
IL−2に対するIL−1βの比率の範囲 0.4〜1.5;
IL−2に対するTNF−αの比率の範囲 3.2〜10.9;
IL−2に対するIFN−γの比率の範囲 1.5〜10.9;及び
IL−2に対するGM−CSFの比率の範囲 2.2〜4.8。
【請求項33】
前記サイトカインの特定の比率は、以下に示される通りである、請求項32に記載の方法。
IL−2に対するIL−1βの比率の範囲 0.6〜0.8;
IL−2に対するTNF−αの比率の範囲 7.7〜11.3;
IL−2に対するIFN−γの比率の範囲 4.9〜7.1;及び
IL−2に対するGM−CSFの比率の範囲 3.5〜4.5。
【請求項34】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物は、Multikine(登録商標)である、請求項24に記載の方法。
【請求項35】
前記血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物は、白血球インターロイキン注射液である、請求項24に記載の方法。
【請求項36】
以下に示される、インターロイキン−2(IL−2)に対するIL−1β、TNF−α、IFN−γ及びGM−CSFの群から選択されるサイトカインの特定の比率で構成される、血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物:
IL−2に対するIL−1βの比率の範囲 0.4〜1.5;
IL−2に対するTNF−αの比率の範囲 3.2〜10.9;
IL−2に対するIFN−γの比率の範囲 1.5〜10.9;及び
IL−2に対するGM−CSFの比率の範囲 2.2〜4.8。
【請求項37】
前記サイトカインの特定の比率は、以下に示される通りである、請求項36に記載の血清とマイトジェンとを含まないサイトカイン混合物:
IL−2に対するIL−1βの比率の範囲 0.6〜0.8;
IL−2に対するTNF−αの比率の範囲 7.7〜11.3;
IL−2に対するIFN−γの比率の範囲 4.9〜7.1;及び
IL−2に対するGM−CSFの比率の範囲 3.5〜4.5。
【請求項38】
以下に示される、インターロイキン−2(IL−2)に対するIL−1β、TNF−α、IFN−γ及びGM−CSFの群から選択されるサイトカインの特定の比率で構成され、場合によっては、薬剤として許容可能な賦形剤、担体又は添加剤と組み合わせることを含む、癌の治療において使用するための医薬組成物:
IL−2に対するIL−1βの比率の範囲 0.4〜1.5;
IL−2に対するTNF−αの比率の範囲 3.2〜10.9;
IL−2に対するIFN−γの比率の範囲 1.5〜10.9;及び
IL−2に対するGM−CSFの比率の範囲 2.2〜4.8。
【請求項39】
前記サイトカインの特定の比率は、以下に示される通りである、請求項38に記載の医薬組成物:
IL−2に対するIL−1βの比率の範囲 0.6〜0.8;
IL−2に対するTNF−αの比率の範囲 7.7〜11.3;
IL−2に対するIFN−γの比率の範囲 4.9〜7.1;及び
IL−2に対するGM−CSFの比率の範囲 3.5〜4.5。
【請求項40】
IL−2に対するIL−3の比率は、0.38〜0.68の範囲、好ましくは0.53+/−0.15の範囲であることをさらに含む、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項41】
IL−2に対するIL−6の比率は、37.2〜53.8の範囲、好ましくは46+/−5.9の範囲であることをさらに含む、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項42】
IL−2に対するIL−8の比率は、261〜561.5の範囲、好ましくは411+/−10.6の範囲であることをさらに含む、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項43】
IL−2に対するIL−1αの比率は、0.56〜0.94の範囲、好ましくは0.75+/−0.19の範囲であることをさらに含む、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項44】
IL−2に対するIL−10の比率は、2.82〜3.22の範囲、好ましくは3.0+/−0.18の範囲であることをさらに含む、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項45】
IL−2に対するIL−16の比率は、1.16〜2.84の範囲、好ましくは1.84+/−0.68の範囲であることをさらに含む、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項46】
IL−2に対するG−CSFの比率は、2.16〜3.78の範囲、好ましくは2.97+/−0.81の範囲であることをさらに含む、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項47】
IL−2に対するTNF−βの比率は、1.17〜2.43の範囲、好ましくは1.8+/−0.63の範囲であることをさらに含む、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項48】
15.7〜37.16の範囲、好ましくは22.7+/−7.0のMIP−1αとIL−2の比率をさらに含む、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項49】
IL−2に対するMIP−1βの比率は、17.1〜28.5の範囲、好ましくは22.8+/−5.7の範囲であることをさらに含む、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項50】
IL−2に対するRANTESの比率は、2.3〜2.7の範囲、好ましくは2.5+/−0.13の範囲であることをさらに含む、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項51】
IL−2に対するEGFの比率は、0.267〜0.283の範囲、好ましくは0.275+/−0.008の範囲であることをさらに含む、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項52】
IL−2に対するPGEの比率は、3.63〜5.42の範囲、好ましくは4.5+/−0.87の範囲であることをさらに含む、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項53】
IL−2に対するTxBの比率は、23.47〜25.13の範囲、好ましくは24.3+/−0.83の範囲であることをさらに含む、請求項39に記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2008−505082(P2008−505082A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519321(P2007−519321)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/022678
【国際公開番号】WO2006/004633
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(506402610)セル‐サイ コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】