説明

放射線グラフト化ポリマーの製造方法

グラフトポリマーの製造方法は:a)基本ポリマーを電子線又はγ−放射線源で照射する工程、b)グラフト溶液(グラフト溶液は、少なくとも1種の脱酸素剤、並びにスチレン及びスチレン誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のグラフトモノマーを含む)を基本ポリマーと接触させる工程、及びc)工程b)で得られた基本ポリマー及びグラフト溶液の混合物をグラフト重合する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線グラフト化ポリマーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線誘導グラフト重合は、種々の公知の重合技術の1種であり、特にポリマーに機能性官能基を導入するために利用される。放射線誘導グラフト重合工程の際に、まず、基本ポリマー薄膜に放射線を照射し、ラジカルを生成し、ポリマーを活性化させ、1種以上の重合し得るモノマーをポリマーからグラフトさせる。この方法は、例えば、燃料電池内で用いられるイオン交換膜を製造するためにしばしば用いられ、基本ポリマー薄膜が最初に放射線照射され、この基本ポリマー薄膜上にスチレン又はスチレン誘導体がグラフトされ、最終的にグラフト化したポリスチレン鎖がスルホン化される。
【0003】
それぞれの方法はWO2006/084591A1から公知であり、それは、電磁放射線及び/又は粒子放射線で基本ポリマー薄膜を放射線照射してポリマー薄膜中にラジカルを生成し、放射線照射された薄膜を、α−メチルスチレン及びメタクリロニトリルを含む、ラジカル重合を受けやすいモノマー混合物にさらして放射線照射された薄膜中におけるグラフトコポリマーの生成を実現し、グラフト化薄膜をスルホン化して、物質に対するイオン伝導度を提供するスルホン酸部位を導入する工程を含む、膜の製造方法を開示している。放射線誘導グラフト重合は、全て酸素の影響を受けやすいラジカル重合であるので、グラフト重合の際の酸素の存在は、実施される重合反応を阻害又は阻止さえするので、放射線誘導グラフト重合が実施される反応器は、通常、重合反応の開始前及び全ての重合反応の間、窒素でパージされ、酸素を完全に除去するか、あるいは、少なくとも、グラフト溶液中、すなわち、基本ポリマーにグラフトされるモノマーを含む溶液中の酸素含有量を十分な程度まで減少している。
【0004】
重合反応開始前の、窒素パージによる、グラフト溶液中の酸素含有量減少の程度は、窒素又は任意の不活性ガスが反応器中にパージされる時間及び流速に強く依存する。通常、グラフト溶液中の酸素含有量の十分な減少は、重合反応開始前に、比較的長時間、例えば、数リットルを含む反応器について数時間、反応器を不活性ガスでパージすることを必要とする。これは、特に、たとえ可能であるとしても、グラフト溶液からの酸素の除去は、グラフト溶液及び不活性ガスの間の界面における酸素含有量によってのみ制御することができるという事実による。しかし、実際にはこの制御変数を不十分に制御できるだけであるので、製品の一定品質を保証するために、パージ時間まで長い安全マージンを含むことが必要である。
【0005】
経済的な理由で、不活性ガスの消費を減少させることが望ましいだけでなく、パージ時間を減少することも望ましい。放射線グラフト重合の製造のための公知の方法における重合の開始前の反応器のパージに必要な長い時間の更なる欠点は、室温では、すなわち、重合開始前のパージ時間の間は、放射線照射された薄膜のラジカル密度が低下し、グラフト重合時間が延長されないなら、得られるポリマー中のグラフト収率が低下するということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO 2006/084591 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の基礎となる目的は、グラフト重合工程の開始前及びグラフト重合工程の間に、グラフト溶液及び基本ポリマーから酸素が完全に、又は少なくとも事実上完全に取り除かれ、グラフト重合工程の開始前のグラフト溶液及び/又は基本ポリマーの不活性ガスによるパージは、たとえ必要であるとしても、比較的短い時間のみ必要である、グラフトモノマーとしてスチレン又はスチレン誘導体を用いる、放射線誘導グラフトポリマーを製造するための、容易で、早く、安価な方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的は、下記工程を含む、グラフトポリマーの製造方法を提供することにより満たされる。
a)基本ポリマーを電子線又はγ−放射線源で照射する工程、
b)グラフト溶液(グラフト溶液は、少なくとも1種の脱酸素剤、並びにスチレン及びスチレン誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のグラフトモノマーを含む)を基本ポリマーと接触させる工程、及び
c)工程b)で得られる基本ポリマー及びグラフト溶液の混合物をグラフト重合する工程。
【0009】
この解決手段は、更にスチレン又はスチレン誘導体をそれぞれ含むグラフト溶液に少なくとも1種の脱酸素剤を加えることにより、グラフト重合の開始前に必要なパージ時間が、グラフトポリマーを製造するための公知の方法と比較して有意に短くなるように、グラフト溶液中の酸素含有量が迅速かつ効率的に実質的にゼロまで減少するという発見に基づいている。
【0010】
用語、グラフトポリマーは、本願特許出願の意味において、この技術用語の通常の意味に従い、グラフトホモポリマー及びグラフトコポリマーを含む。
【0011】
好ましくは、基本ポリマーは、まず放射線照射され(工程a))、その後、グラフト溶液を放射線照射されたポリマーと接触させる(工程b))。しかし、工程b)は必ずしも工程a)の後に実施する必要はなく、すなわち、基本ポリマーをグラフト溶液と接触させる前に基本ポリマーを放射線照射する(前照射グラフト)代わりに、ポリマーをグラフト溶液と接触させた後にポリマーを放射線照射することも可能であることに留意すべきである。
【0012】
基本的に、本発明においてはグラフト溶液内で十分な溶解性を有する限りは、任意の公知の脱酸素剤を用いることができる。グラフト溶液に添加される脱酸素剤が、ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボヒドラゾン、アルキルセミカルバジド、アリールセミカルバジド、1,3−ジヒドロキシアセトン、亜硫酸塩、及び前記化合物の2種以上の任意の組み合わせからなる群から選択される場合に、特に良好な結果が得られる。
【0013】
最も好ましくは、グラフト溶液に添加される脱酸素剤は、亜硫酸塩化合物、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウム、及び前記化合物の2種以上の組み合わせからなる群から選択される亜硫酸塩化合物である。亜硫酸塩化合物は、無毒であるという利点を有しており、亜硫酸塩化合物の反応速度は、他のほとんどの脱酸素剤と比較して非常に速い。亜硫酸塩化合物の酸素除去効果は、以下の反応式に従い、硫酸イオン及び水を生成しながら亜硫酸イオンと酸素及びプロトンを反応することによる:SO32-+O2+2・H+→SO42-+H2O。この理由で、亜硫酸塩化合物は、ボイラーシステムのような水系中で脱酸素剤として使用される。しかし、亜硫酸塩化合物が、それぞれグラフトモノマーとしてスチレン又はスチレン誘導体、すなわち、水中で実質的に溶解性を有さず、あるケースにおいて除去反応を妨害することが知られている有機溶媒を必要とする芳香族炭化水素を含むグラフト溶液中で効率的に酸素を除去し得ることは、予想されていなかった。
【0014】
グラフト溶液に添加される脱酸素剤の最適量は、計算することができ、又は実験により決定することができる。特に、亜硫酸化合物の場合は、例えば、グラフト溶液中の脱酸素剤の量は、好ましくは0.5〜4g/L、更に好ましくは1〜3g/Lの範囲である。
【0015】
基本的に、グラフトモノマーとして、スチレン、任意のスチレン誘導体、又は2種以上の異なるスチレン誘導体の混合物を用いることができる。少なくとも1種のグラフトモノマーが、スチレン、α−メチルスチレン、メチル−α−メチルスチレン、メトキシ−α−メチルスチレン、ナトリウム−α−メチルスチレンスルホン酸塩、及び前記化合物の2種以上の任意の組み合わせからなる群から選択される場合に、特に良好な結果が得られる。
【0016】
本発明の更に好ましい実施態様によれば、工程b)において基本ポリマーと接触するグラフト溶液は、−少なくとも1種のグラフトモノマー及び脱酸素剤を除けば、−好ましくはグラフト収率を上昇させる、少なくとも1種のグラフトコモノマーを含む。グラフトコモノマーがメタクリロニトリルである場合に、特に良好な結果が得られる。
【0017】
必要であれば、グラフト溶液は、好ましくは、ジビニルベンゼン、ビス(ビニルフェニル)エタン、ジイソプロペニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、N,N’−メチレン−ビス−アクリルアミド、ジアリルマレイネート、及び前記化合物の2種以上の組み合わせからなる群から選択される、1種以上の架橋剤を更に含み得る。
【0018】
グラフト溶液中のモノマーの溶解を促進又は向上させるために、グラフト溶液は少なくとも1種の溶媒を更に含むことが好ましい。適切な溶媒の例は、アルコール、例えば、C1−C10−アルコールである。溶媒が、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール又は2−ブタノールである場合に特に良好な結果が得られ、2−プロパノールが最も好ましい。
【0019】
典型的には、グラフト溶液は、溶媒として10〜70重量%のアルコール、10〜30重量%のグラフトモノマー、0〜20重量%のグラフトコモノマー、0.001〜20重量%の脱酸素剤、及び0〜50重量%の水を含み得る。更に好ましくは、グラフト溶液は、溶媒として40〜60重量%のアルコール、15〜25重量%のグラフトモノマー、5〜15重量%のグラフトコモノマー、0.05〜2重量%の脱酸素剤、及び10〜30重量%の水を含む。
【0020】
このようなグラフト溶液に代え、溶媒として主に水を、添加剤として界面活性剤を含むエマルションを用い得る。その結果、脱酸素剤は、バルク相で完全に溶解している。
【0021】
薄膜の形状で好ましく利用される基本ポリマーは、スチレン又はスチレン誘導体とグラフトすることのできる任意のポリマーからなる。従って、基本ポリマーは、フッ素化されていてもされていなくてもよい、ホモポリマー又はコポリマーであり得る。好ましくは、基本ポリマーは、部分的にフッ素化されているか、又は完全フッ素化されているホモポリマーであり、更に好ましくは部分的にフッ素化されているか、又は完全フッ素化されているコポリマーである。適切なフッ素化ポリマーの例は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロプロピルビニルエーテルコポリマー、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリ(ビニリデンフルオライド)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリ(エチレンテトラフルオロエチレン)及びポリビニルフルオライドである。適切な非フッ素化ポリマーの例は、ポリエチレン及びポリプロピレンである。
【0022】
本発明の更に好ましい実施態様によれば、基本ポリマーとしてポリ(エチレン−テトラフルオロエチレン)が用いられるが、グラフトモノマーとしてα−メチルスチレンが用いられ、グラフトコポリマーとしてメタクリロニトリルが用いられる。
【0023】
前記実施態様においては、グラフト溶液は、模範的に、40〜60重量%のアルコール、15〜25重量%のα−メチルスチレン、5〜25重量%のメタクリロニトリル、0.05〜2重量%の脱酸素剤及び15〜30重量%の水を含み得る。更に好ましくは、アルコールは2−プロパノールであり、脱酸素剤は亜硫酸化合物であり、この場合グラフト溶液は、40〜60重量%の2−プロパノール、10〜20重量%のα−メチルスチレン、10〜20重量%のメタクリロニトリル、0.05〜2重量%の亜硫酸塩化合物、及び10〜25重量%の水を含む。
【0024】
グラフト重合工程c)の間のグラフト溶液への酸素の混入を回避するために、グラフト重合の間、工程c)が実施される反応器を、不活性ガス、好ましくは窒素でパージすることが好ましい。上述したように、反応器は、グラフト重合工程の開始前に不活性ガスでパージしてもよく、ここで、前処理のパージ時間は、グラフトポリマーを製造するための公知の方法と比べて比較的短く、すなわち、例えば3〜30分、更に好ましくは3〜20分、更に好ましくは3〜10分である。
【0025】
基本的に、工程c)のグラフト重合は、20〜80℃、好ましくは40〜75℃、更に好ましくは50〜70℃の任意の温度で実施することができる。通常、反応時間は、数時間〜数日、好ましくは5〜48時間、更に好ましくは10〜36時間、更に好ましくは20〜30時間であろう。
【0026】
照射工程a)においては、任意の公知の電子線源が利用され得る。例えば、工程a)において1〜100kGy、好ましくは1〜50kGy、更に好ましくは10〜30kGyの放射線量で基本ポリマーが放射線照射された場合に良好な結果が得られる。また、60Co−放射線源のようなγ−照射源を用い得る。
【0027】
本発明の更に好ましい実施態様によれば、グラフト重合工程c)の後に、グラフトポリマーを、任意の公知のクロロスルホン酸のようなスルホン化剤を用いてスルホン化してもよい。
【0028】
本発明の方法は、バッチ式又は連続的に実施することができる。
【0029】
バッチ式法についての具体例として、放射線照射された基本ポリマー薄膜を反応器に入れ、その後、脱酸素剤を含むグラフト溶液を導入し、基本ポリマー薄膜と接触させる。次いで、反応器を閉じ、場合によって、例えば窒素で5分間パージした後、それぞれ、スチレンモノマー又はスチレン誘導体モノマーにより、基本ポリマーのグラフト重合を開始するために、反応器を50〜70℃の温度まで加熱し、グラフト重合工程の全ての期間、反応器を窒素でパージする。反応の完了後、グラフト化されたポリマー薄膜を反応器から取り出し、必要であれば洗浄する。
【0030】
連続法についての具体例として、基本ポリマー薄膜が、電子線源を含む照射装置を連続的に通過し、そこで、基本ポリマー薄膜をラジカルを生成し、ポリマーを活性化するのに十分な線量で照射する。その後、放射線照射された基本ポリマー薄膜が、グラフト溶液を含むタンクを連続的に通過し、そこで、ポリマー薄膜を、脱酸素剤及びモノマーを含むグラフト溶液と接触させる。グラフト溶液が酸素で汚染させるのを回避するために、タンクは、窒素でパージされた容器内に設置される。その後、場合によって、任意の不純物を除去するためにポリマー薄膜が洗浄溶液を通過し、その後、乾燥されてもよい。
【0031】
好ましくは、前記連続法においては、薄膜が、グラフト溶液を含むタンクを通過する前に、基本ポリマー薄膜が、溶媒及び脱酸素剤を含む脱酸素剤溶液を連続的に通過する。
その結果、薄膜がグラフト溶液と接触し、グラフト重合する前に、基本薄膜中に含まれる酸素が既に除去されているか、又は薄膜内で少なくとも有意に減少しているように、放射線照射された基本薄膜はグラフト溶液に浸漬される前に、既に脱酸素剤と接触される。
【0032】
本発明の方法を用いて得られたグラフトポリマーは、特に燃料電池の膜電極一体構造中の固体ポリマー電極として用いることができる。
【0033】
次いで、本発明を、好ましい実施態様及び添付図面を参照して更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施態様によるグラフトポリマーを製造するための連続法を実施するのに適した装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
グラフトポリマーの製造方法を連続的に実施するための装置10は、3個のタンク14、16、18が設置された容器12を含む。更に、複数のガイドローラ20、20’、20’’、20’’’、20’’’’が、それぞれ容器12及びタンク14、16、18内に設置されている。タンク14、18は、亜硫酸ナトリウム水溶液のような、脱酸素剤として硫酸ナトリウムを含む溶液を含むが、中央のタンク16は、例えば、50重量%の2−プロパノール、15重量%のα−メチルスチレン(AMS)、15重量%のメタクリロニトリル(MAN)、1.5重量%の亜硫酸ナトリウム及び18.5重量%の水を含むグラフト溶液を含む。
【0036】
操作の間、ポリ(エチレン−テトラフルオロエチレン)(ETFE)からなる基本ポリマー薄膜22を供給ローラ(図示せず)から連続的にほどき、電子線源又はγ−放射線源を含む照射装置(図示せず)を通過させ、基本ポリマー薄膜を、ラジカルを生成し、ポリマーを活性化させるのに十分な電子線量又は十分量のγ−照射線で照射する。その後、ETFE−薄膜からあらゆる酸素を除去するために、放射線照射された基本ポリマー薄膜は、亜硫酸ナトリウム水溶液を含むタンク14を連続的に通過する。亜硫酸ナトリウム水溶液を含むタンク14は、一部は容器12の内部に、一部は前記容器12の外側に位置し、それによって、薄膜22を含む容器12に酸素が入ることができないことを確実にするロックを形成する。タンク14を通過した後、薄膜は、2個のガイドローラ20’、20’’によって、グラフト溶液を含むタンク16にへと偏向される。グラフト溶液及びETFE−薄膜が酸素で汚染されることを回避するため、全体の容器12は窒素でパージされる。その後、ETFE−薄膜は、2個のガイドローラ20’’’、20’’’’によって、亜硫酸ナトリウム水溶液を含むタンク18へと偏向され、次いで装置10から取り出される。
【符号の説明】
【0037】
12…容器、14,16,18…タンク、20,20’,20’’,20’’’,20’’’’…ガイドローラ、22…薄膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフトポリマーの製造方法であって、
a)基本ポリマーを電子線又はγ−放射線源で照射する工程を含み、
b)グラフト溶液を基本ポリマーと接触させる工程を含み、前記グラフト溶液は、少なくとも1種の脱酸素剤、並びにスチレン及びスチレン誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のグラフトモノマーを含んでおり、
c)工程b)で得られる基本ポリマー及びグラフト溶液の混合物をグラフト重合する工程を含む、
グラフトポリマーの製造方法。
【請求項2】
前記脱酸素剤が、ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボヒドラゾン、アルキルセミカルバジド、アリールセミカルバジド、1,3−ジヒドロキシアセトン、亜硫酸塩、及び前記化合物の2種以上の任意の組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記脱酸素剤が、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウム、及び前記化合物の2種以上の任意の組み合わせからなる群から選択される亜硫酸塩化合物であることを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記グラフト溶液中の少なくとも1種の脱酸素剤の量が0.5〜4g/L、更に好ましくは1〜3g/Lであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1種のグラフトモノマーが、スチレン、α−メチルスチレン、メチル−α−メチルスチレン、メトキシ−α−メチルスチレン、ナトリウム−α−メチルスチレンスルホン酸塩、及び前記化合物の2種以上の任意の組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
工程b)で使用される前記グラフト溶液が、更に少なくとも1種のグラフトコモノマーを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記グラフトコモノマーがメタクリロニトリルであることを特徴とする、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記グラフト溶液が、更に少なくとも1種の溶媒を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種の溶媒がアルコール、好ましくはC1−C10−アルコール、更に好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール又は2−ブタノール、最も好ましくは2−プロパノールであることを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記グラフト溶液が、溶媒として10〜70重量%のアルコール、10〜30重量%のグラフトモノマー、0〜20重量%のグラフトコモノマー、0.001〜20重量%の脱酸素剤、及び0〜50重量%の水を含むことを特徴とする、請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
前記グラフト溶液が、溶媒として40〜60重量%のアルコール、15〜25重量%のグラフトモノマー、5〜15重量%のグラフトコモノマー、0.05〜2重量%の脱酸素剤、及び10〜30重量%の水を含むことを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記基本ポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロプロピルビニルエーテルコポリマー、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリ(ビニリデンフルオライド)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリ(エチレンテトラフルオロエチレン)、ポリビニルフルオライド、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
基本ポリマーがポリ(エチレン−テトラフルオロエチレン)であり、グラフト溶液が、グラフトモノマーとしてα−メチルスチレンを、グラフトコモノマーとしてメタクリロニトリルを含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記グラフト溶液が、40〜60重量%のアルコール、15〜25重量%のα−メチルスチレン、5〜15重量%のメタクリロニトリル、0.05〜2重量%の脱酸素剤、及び15〜30重量%の水を含むことを特徴とする、請求項13記載の方法。
【請求項15】
工程c)の間、グラフト重合が不活性ガス、好ましくは窒素でパージされた反応器中で実施されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
工程c)におけるグラフト重合が、20〜80℃、好ましくは40〜75℃、更に好ましくは50〜70℃の温度で実施されることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
工程a)において、基本ポリマーが、1〜100kGy、好ましくは1〜50kGy、更に好ましくは10〜30kGyの放射線量で照射されることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
工程b)において、放射線照射された基本ポリマー薄膜が、グラフト溶液を含むタンクを連続的に通過し、この際、タンクは、好ましくは窒素でパージされた容器中に設置されることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
薄膜が、グラフト溶液を含むタンクを連続的に通過する前に、放射線照射された基本ポリマー薄膜が、溶媒及び脱酸素剤を含む脱酸素剤溶液を連続的に通過することを特徴とする、請求項18記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−503048(P2012−503048A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527261(P2011−527261)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【国際出願番号】PCT/EP2009/052114
【国際公開番号】WO2010/031598
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(510010894)ベレノス・クリーン・パワー・ホールディング・アーゲー (18)
【Fターム(参考)】