説明

放射線ビームを用いる皮膚の処置に対する装置

本発明は、放射線ビーム(5)を用いる皮膚(13)の処置に対する装置(1)に係る。当該装置は、放射線ビームを生成する放射線源(9)、ビーム出口窓(15)、皮膚に対する放射線ビームの目標位置(22)を確定する光学検出システム(31)、及び、目標位置において放射線ビームを位置付けるビームマニピュレータ(17)を有する。放射線ビーム及び検出システムは、夫々第1の光軸(45)及び第2の光軸(47)を有する。本発明によれば、放射線源(9)からビーム出口窓(15)に向かって見ると、第1及び第2の光軸は、一致し、放射線源とビームマニピュレータ(17)との間の位置(S)において始まる。結果として、放射線ビーム(5)が皮膚(13)に向かって案内される光学経路、及び、検出システム(31)が目標位置(22)を確定する光学経路は、ビームマニピュレータ(17)によって同一に操作されるため、目標位置(22)が設定される精度にビームマニピュレータの光学部品の位置におけるエラーが影響を与えることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線ビームを用いる皮膚の処置に対する装置に係る。当該装置は、放射線ビームを生成する放射線源、ビーム出口窓、皮膚に対する放射線ビームの目標位置を確定する光学検出システム、及び、目標位置において放射線ビームを位置付けるビームマニピュレータを有する。放射線ビーム及び検出システムは、夫々第1及び第2の光軸を有する。
【背景技術】
【0002】
冒頭で述べられた種類の皮膚の処置に対する装置は、国際公開第00/62700号パンフレット(特許文献1)より既知である。既知の装置は、レーザビームパルスを用いて体毛を切断又は除去する装置である。レーザビームは、該装置においてレーザ光源を用いて生成される。既知の装置のビームマニピュレータは、2つのチルト可能な鏡を有し、該鏡を用いてレーザビームは、ビーム出口窓及び皮膚表面に対して平行に各々延在する2つの相互に垂直なX方向及びY方向において偏向され得る。既知の装置の光学検出システムは、ビーム出口窓の前に存在する皮膚の一部分を照射する照射部材を有する。照射された皮膚部分によって反射された光は、光学検出システムのCMOS画像センサによって検出される。既知の装置は更に、レーザ源及びビームマニピュレータの鏡のチルト位置を制御する制御ユニットを有する。制御ユニットは、画像センサによって検出された皮膚の画像に基づき、皮膚に対してレーザビームの目標位置、即ちレーザビームが検出された体毛を切断すべき位置を確定するプロセッサを有する。制御ユニットは、所望の目標位置に対応する鏡の所望のチルト位置に対応するビームマニピュレータに対して制御信号を与える。鏡の所望のチルト位置の調整後、制御ユニットは、レーザ源を作動させ、検出された体毛は、所望の目標位置において切断される。
【0003】
切断されるべき体毛の比較的小さな直径を考慮して、目標位置は正確に確定されるべきであり、レーザビームは、ビームマニピュレータを用いて目標位置において正確に位置付けられるべきである。既知の装置の不利点は、例えば装置の温度上昇、製造公差、又は機械的な遊びの結果、ビームマニピュレータの鏡のチルト位置におけるエラーが発生し得る、ということである。そのエラーの結果として、レーザビームは、不十分な正確性を有してビームマニピュレータによって位置付けられ得るため、検出システムによって確定される目標位置を外し得る。結果として、既知の装置の効率性は影響を及ぼされ、皮膚のかぶれ及び傷等の望ましくない悪影響の発生が増大し得る。
【特許文献1】国際公開第00/62700号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、冒頭に記載された種類の皮膚の処置に対する装置を与える、ことを目的とする。該装置においては、レーザビームが検出システムを用いて確定された目標位置において位置付けられる正確性は大幅に強化され、上述された既知の装置の不利点が回避される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するよう、本発明に従った皮膚の処置に対する装置は、ビーム出口窓に向かって放射源から見ると第1及び第2の光軸は、一致し、放射源とビームマニピュレータとの間の位置において始まる、ことを特徴とする。放射ビームの第1の光軸及び検出システムの第2の光軸が放射源とビームマニピュレータとの間の位置において一致して始まるため、放射ビームが目標位置に対して案内される光学経路、及び検出システムが目標位置を確定する光学経路は、いずれもビームマニピュレータによって同一の手法において操作される。結果として、ビームマニピュレータの光学部品の位置においてエラーが発生する場合、該エラーは、ビームマニピュレータによって設定された皮膚に対する放射ビームの位置における第1のエラーに繋がり、また、検出システムによって確定された目標位置における実質上同一である第2のエラーに繋がる。前出の実質上同一である第1及び第2のエラーは互いに補正するため、ビームマニピュレータの光学部品の位置におけるエラーは、ビームマニピュレータによって設定された皮膚に対するレーザビームの位置と検出システムによって確定された目標位置との間の偏差を実質的にはもたらさない。
【0006】
本発明に従った装置の特定の一実施例は、装置が放射源とビームマニピュレータとの間の前出の位置においてダイクロイックビームスプリッタを有する、ことを特徴とする。ダイクロイックビームスプリッタは、実用的光学部品である。該スプリッタを用いて、ビームマニピュレータから放射源に向かう方向においてみると、必要な分離は、検出システム及び放射源の光学経路でなされており、また、該スプリッタを用いて、放射線源からビームマニピュレータに向かう方向においてみると、前出の光学経路の必要な組合せがなされる。
【0007】
本発明に従った装置の特定な一実施例は、光学検出システムが画像センサを有し、第2の光軸が該画像センサからビーム出口窓に向かって延在する、ことを特徴とする。この実施例において、画像センサは、ビーム出口窓の前に存在する皮膚の一部分の画像を作るよう使用される。装置が例えば体毛を短くする又は切断する装置として使用される場合、前出の皮膚の部分上に存在する体毛の位置及び向きを、該装置の制御ユニットを用いて前出の画像から確定する。体毛の前出の位置及び向きから、制御ユニットは、放射ビームに対する連続的な複数の目標位置を確定し、ビームマニピュレータを前出の目標位置に対応する複数の連続的な位置へと調整する。
【0008】
本発明に従った装置の特定の一実施例は、光学検出システムが、補助放射線ビームを生成する補助放射線源、及び補助放射線ビームの影響を受けて体毛から出る特徴的な光学信号を検出する検出器とを有する、ことを特徴とし、第2の光軸は、補助放射線源からビーム出口窓に向かって延在する。検出システムの前出の検出器は、望ましくは、ビーム出口窓の近くに配置される。放射ビームの第1の光軸及び検出システムの第2の光軸が放射線源とビームマニピュレータとの間の位置において一致して始まるため、補助放射線ビームは、放射線源がスイッチをオンにされた場合に皮膚に放射ビームが衝突する位置において、常に皮膚に衝突する。補助放射ビームが体毛に衝突する場合、該体毛は、例えば、前出の特徴的な光学信号を照射又は反射し、それが検出システムの前出の検出器によって瞬時に検出される。前出の特徴的な光学信号の検出の際、放射線源は、放射パルスを生成するよう作動され、補助放射ビームを用いて検出された位置において体毛に衝突する。
【0009】
本発明に従った装置の更なる一実施例は、補助放射ビームの影響を受けて体毛によって照射される特徴的な二光子蛍光信号を検出する二光子検出器である、ことを特徴とする。前出の特徴的な二光子蛍光信号を用いて、体毛は実用的且つ信頼性の高い手法において識別され得るため、検出システムは、高い信頼性を有する。
【0010】
本発明に従った装置の特定の一実施例は、該装置が体毛を短くする装置である、ことを特徴とし、該装置において放射線源はレーザ源である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に従った皮膚の処置に対する装置の実施例は、図面を参照して詳細に説明される。
【0012】
図1は、本発明に従った皮膚の処置に対する装置1の第1の実施例を示す。装置1は、レーザビーム5を用いて人間の皮膚13から伸びる体毛3を短くする又は切断する装置である。装置1は、レーザビーム5を生成するレーザ源9を収容する筐体7を有する。筐体7は、皮膚接触表面10及びグリップ11を有する。作動中、皮膚接触表面10は、皮膚13に対して位置する。レーザビーム5は、皮膚接触表面10において与えられたビーム出口窓15を介して筐体7を出る。
【0013】
筐体7は、更に、皮膚13に対する目標位置22においてレーザビーム5を位置付ける第1及び第2の傾斜されたチルト可能な鏡19及び21を有するビームマニピュレータ17を収容する。第1の鏡19は、第1の電気式アクチュエータ25を用いて第1のチルト軸23の周囲にチルト可能であり、第2の鏡21は、第2の電気式アクチュエータ29を用いて第2のチルト軸27の周囲にチルト可能である。第1のチルト軸23は、第1の鏡19の鏡面においてY方向に対して平行に延在し、Y方向は皮膚接触表面10に対して平行に延在する。第2のチルト軸27は、第2の鏡21の鏡面においてY方向に対して垂直に延在する。レーザ源によって生成されたレーザビーム5は、案内され、第1及び第2の鏡19及び21を介してビーム出口窓15に向かって反射される。第1の鏡19のチルト運動は、X方向に対して平行である皮膚13にわたるレーザビーム5の目標位置22の移動をもたらす。X方向は、皮膚接触面10に対して平行且つY方向に対して垂直に延在する。第2の鏡21のチルト運動は、Y方向に対して平行である皮膚13にわたるレーザビーム5の目標位置22の移動をもたらす。
【0014】
筐体7は更に、皮膚13に対してレーザビーム5の目標位置22を確定する光学検出システム31を収容する。検出システム31は、ビーム出口窓15の前方にある皮膚13の一部分を照射するようスペクトルの可視部分において光ビーム35を生成する光源33を有する。照射された皮膚13によって反射された光ビーム37は、案内され、第1及び第2の鏡19,21を介して及びダイクロイックビームスプリッタ41を介して検出システム31のCMOS画像センサ39に向かって反射される。ダイクロイックビームスプリッタ41は、レーザ源9とビームマニピュレータ17の第1の鏡19との間の位置において与えられる。ダイクロイックビームスプリッタ41は、近赤外スペクトル領域において波長を有するレーザビーム5に対して透過的であり、ダイクロイックビームスプリッタ41は、スペクトルの可視部分に対して反射する。ダイクロイックビームスプリッタの代わりに他種のビームスプリッタが偏光ビームスプリッタとして使用され得ることは、留意される。
【0015】
CMOS画像センサ39は、ビーム出口窓の前方にある皮膚13の部分の画像に対応する出力信号uを生成する。出力信号uは、装置1の電気制御ユニット43に対して供給される。電気制御ユニット43は、第1及び第2の鏡19,21のチルト位置及びレーザ源9の動作を制御する。信号uから制御ユニット43は、ビーム出口窓15の前方において皮膚13の部分上にある体毛3の位置及び向きを、画像認識方法に基づいて確定する。体毛3の前出の位置及び向きに基づき、制御ユニット43は、体毛3上のレーザビーム5の連続的な複数の目標位置、即ちレーザ源9が体毛3を切断するようレーザパルスを生成するべきである体毛3上の複数の連続的な位置を確定する。制御ユニット43及び画像認識方法に関する更なる詳細は、ここでは説明されない。装置1においても使用され得る画像認識方法及び制御ユニットの実施例を記載する特許文献1が参照される。制御ユニット43は、第1のアクチュエータ25に対して供給され且つ所望の目標位置22のX位置に対応する第1の出力信号uM1、第2のアクチュエータ29に対して供給され且つ所望の目標位置22のY位置に対応する第2の出力信号uM2、及び、レーザ源9を作動させるよう、レーザ源9に対して供給される第3の出力信号uLSを生成する。生成する。信号uに基づいて確定された各所望の目標位置22に対して、制御ユニット43は、第1及び第2の鏡19,20を前出の所望の目標位置22と対応する位置へと調整し、鏡19,20の調整後、前出の目標位置22において体毛3を切断するのに十分なパルス幅及びエネルギ密度を有するレーザパルスを生成するようレーザ源9を作動させる。
【0016】
レーザビーム5は、ビームスプリッタ41を介して、またビーム出口窓15に向かってビームマニピュレータ17の第1及び第2の鏡19,21を介してレーザ源9から延在する第1の光軸45を有する。光学検出システム31は、ビームスプリッタ41を介して、またビーム出口窓15に向かってビームマニピュレータ17の第1及び第2の鏡19,21を介して画像センサ39から延在する第2の光軸47を有する。本発明によれば、装置1の光学部品は、ビーム出口窓15に向かってレーザ源9から見て、第1の光軸45及び第2の光軸47がレーザ源9とビームマニピュレータ17との間の位置で開始して一致する相互の位置において配置される。装置1の第1の実施例において本発明は、レーザ源9とダイクロイックビームスプリッタ41との間に延在する第1の光軸45の部分49、及び、画像センサ39とダイクロイックビームスプリッタ41との間に延在する第2の光軸47の部分51が互いに対して垂直であること、また、ビームスプリッタ41が前出の2つの部分49,51の交差Sの点を介して延在し、前出の部分49及び51の各々に対して45°の角度で配置されること、において実現される。結果として、ビーム出口窓15に向かってみると、第1及び第2の光軸45及び47は、交差Sの前出の位置において始まる。即ち、第1及び第2の光軸45,47は、交差Sの点と第1の鏡19との間において、第1の鏡19と第2の鏡21との間において、及び更にはビーム出口窓15に向かって且つそれを越えて第2の鏡21から、一致する。第1及び第2の光軸45,47は、ビーム出口窓15に向かって見るとビームマニピュレータ17の前にある前出の交差Sの点から一致するため、画像センサ39によって検出されるレーザビーム5及び光ビーム37は、ビームマニピュレータ17によって同様に操作される。装置1における温度上昇、製造公差、又は機械的遊び等の結果、鏡19,21のチルト位置においてエラーが発生する場合、即ち、信号uM1及びuM2の特定の所定値が鏡19,21の所望の所定の調整を正確にもたらさない場合、前出のエラーは、ビームマニピュレータ17によって実際に設定されたレーザビーム5の目標位置22における第1のエラーをもたらし、また、検出システム31によって検出された画像に基づき制御ユニット43によって確定された目標位置における第2のエラーをもたらす。レーザビーム5及び光ビーム37がビームマニピュレータ17によって同様に操作されるため、前出の第1及び第2のエラーは、実質上同一であり、互いに補正する。結果として、鏡19,21のチルト位置におけるエラーは、制御ユニット43及び検出システム31によって確定された目標位置とビームマニピュレータ17を用いて実際に設定された目標位置との間の偏差を実質上もたらさない。したがって、目標位置は、ビームマニピュレータ17を用いて正確に設定され、レーザビーム5が体毛3上の目標位置を外す危険性は、大幅に低減される。
【0017】
図2は、本発明に従った皮膚の処置に対する装置1’の第2の実施例を示す。前述の装置1と同様に、装置1’は、レーザビーム5’を用いて人間の皮膚13’から生える体毛3’を短くする又は切断する装置である。図2中、前述の装置1の部分に対応する装置1’の部分は、対応する参照符号を有して示される。これらの対応する部分は、更には説明されない。以下において、装置1’と装置1との間の主な相違のみが説明される。
【0018】
装置1’は、第1の鏡53を有するビームマニピュレータ17’、及び装置1の第2の鏡21と実質上同一である第2の鏡21’を有する。第1の鏡53は、電気式モータ57を用いてY方向に対して平行に延在する回転の軸55の周囲に回転可能である多角形の鏡である。レーザ源9’によって生成されたレーザビーム5’は、案内され、第1及び第2の鏡53及び21’を介してビーム出口窓15’に向かって反射される。多角形の鏡53の回転運動は、X方向に対して平行である走査経路を介して皮膚13’にわたってレーザビーム5’の目標位置22’の走査運動をもたらす一方、第2の鏡21’のチルト運動は、Y方向に対して平行な前出の走査経路の移動をもたらす。
【0019】
装置1’は、レーザ源9’がスイッチをオンにされるべきレーザビーム5’の目標位置22’を確定するよう光学検出システム31’を更に有する。検出システム31’は、補助レーザビーム61を生成する補助レーザ源59を有する。補助レーザビーム61は、案内され、ダイクロイックビームスプリッタ41’を介して、また、第1及び第2の鏡53,21’を介してビーム出口窓15’に向かって反射される。ダイクロイックビームスプリッタ41’は、近赤外スペクトル領域において波長を有するレーザビーム5’に対して透過性であるが、補助レーザビーム61の波長に対して反射性である。検出システム31’は、ビームスプリッタ41’を介して、またビーム出口窓15’に向かって第1及び第2の鏡53及び21’を介して補助レーザ源59から延在する第2の光学軸47’を有する。装置1においてと同様に、装置1’の光学部品は、ビーム出口窓15’に向かってレーザ源9’から見て、レーザビーム5’の第1の光軸45’及び検出システム31’の第2の光軸47’がレーザ源9’とビームマニピュレータ17’との間の位置において開始して、即ち、図示される実施例において第1及び第2の光軸45’及び47’の相互に垂直な部分49’及び51’の交差の点S’で開始して一致する相互的位置において配置される。結果として、レーザビーム5’及び補助レーザビーム61は、ビームマニピュレータ17’を用いて同様に操作され、皮膚13’に対するレーザビーム5’の目標位置22’と皮膚13’に対する補助レーザビーム61の目標位置63は、常に一致する。
【0020】
検出システム31’は、補助レーザビーム61の影響を受けて体毛によって照射された特徴的な二光子蛍光信号を検出する検出器65を更に有する。検出器65は、ビーム出口窓15’の近くの位置に配置される。
【0021】
装置1’は、第1の鏡53の回転速度、第2の鏡21’のチルト位置、及びレーザ源9’の動作を制御する制御ユニット43’を更に有する。作動中、制御ユニット43’は、第1の鏡53のモータ57に対して供給される第1の出力信号uM1を生成し、X方向に対して平行である皮膚13’にわたって目標位置22’,63の所望の走査速度に対応する。制御ユニット43’は、第2の鏡21’の電気式アクチュエータ29’に対して供給される第2の出力信号uM2を更に生成し、目標位置22’,63の走査経路の所望のY位置に対応する。第1の鏡53が6つのファセットを有するため60°の角度を越えて第1の鏡53の回転に対応する、X方向に対して平行である目標位置22’,63の各完全な走査動作の後、走査経路は、Y方向に対して比較的小さな距離にわたって調整される。このようにして、ビーム出口窓15’の前方にある皮膚13’の部分は、所定のラインパターンに従って走査される。
【0022】
走査中、補助レーザ源59は、走査の目的に対して十分に高い周波数を有する連続的にパルス化されたレーザビームである補助レーザビーム61を生成する。走査中に補助レーザビーム61が皮膚13’上にある体毛3’に衝突する際、体毛3’は、衝突する補助レーザビーム61の影響を受けて特徴的な二光子蛍光信号を照射する。二光子蛍光の原理は、例えば顕微鏡検査の技術的分野から既知であり、ここでは更に詳細には説明されない。当業者はまた、体毛3’からの所望の二光子蛍光信号を達成するよう必要である補助レーザ源59の波長、エネルギ密度、及び焦点直径を確定することができる。体毛3’によって照射された二光子蛍光信号は、体毛の組織に対して特長的であるスペクトルを有する。該信号は、制御ユニット43’に対して出力信号uを供給する検出器65によって検出される。制御ユニット43’が出力信号uに基づき体毛3’の存在を検出する瞬間、制御ユニット43’は、その第2の出力信号uLSを介してレーザ源9’を作動させる。そのためレーザ源9’は、補助レーザビーム61の目標位置63と一致する目標位置22’においてレーザパルスを生成し、また、体毛3’は、目標位置22’において切断される。装置1’の制御ユニット43’は、装置1の制御ユニット43がするべきであるようにビーム出口窓15’の前にある皮膚部分の比較的複雑な画像を分析及び解明する必要がないため、装置1の制御ユニット43より大幅に単純であり且つ早い。
【0023】
特徴的な二光子蛍光信号を検出するよう設計される代わりに、検出システム31’の補助レーザ源59及び検出器65は、衝突する補助レーザビームの影響を受けて体毛から出る特徴的な光信号の他の種類を検出するよう設計され得る、ことが留意される。一例は、体毛の組織の光吸収特性に対して特徴的である光信号である。
【0024】
最後に、本発明はまた放射ビームを用いて皮膚の処置に対する他の種類の装置を対称にする、ことが留意される。かかる装置の例は、皮膚にある静脈性母斑及び色素性母斑等の母斑、乾癬、又は静脈瘤等の皮膚にある血管の異常の医療又は美容処置に対する装置である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に従った皮膚の処置に対する装置の第1の実施例を概略的に図示する。
【図2】本発明に従った皮膚の処置に対する装置の第2の実施例を概略的に図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線ビームを用いる皮膚の処置に対する装置であって、
前記放射線ビームを生成する放射線源と、ビーム出口窓と、前記皮膚に対する前記放射線ビームの目標位置を確定する光学検出システムと、前記目標位置において前記放射線ビームを位置付けるビームマニピュレータと、を有し、
前記放射線ビーム及び前記検出システムは、夫々第1及び第2の光軸を有し、
前記ビーム出口窓に向かって前記放射線源から見て、前記第1及び前記第2の光軸は、前記放射線源と前記ビームマニピュレータとの間の位置において一致して始まる、ことを特徴とする、
装置。
【請求項2】
前記放射線源と前記ビームマニピュレータとの間の前記位置において、ダイクロイックビームスプリッタを有する、ことを特徴とする、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記光学検出システムは、画像センサを有し、前記第2の光軸は、前記画像センサから前記ビーム出口窓に向かって延在する、ことを特徴とする、
請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記光学検出システムは、補助放射線ビームを生成する補助放射線源と、補助放射線ビームの影響を受けて体毛から出る特徴的な光学信号を検出する検出器とを有する、ことを特徴とし、前記第2の光軸は、前記補助放射線源から前記ビーム出口窓に向かって延在する、
請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記検出器は、前記補助放射線ビームの影響を受けて体毛によって照射される特徴的な二光子蛍光信号を検出する二光子検出器である、ことを特徴とする、
請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、体毛を短くする装置である、ことを特徴とし、
前記放射線源はレーザ光源である、
請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2007−532225(P2007−532225A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507905(P2007−507905)
【出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【国際出願番号】PCT/IB2005/051176
【国際公開番号】WO2005/099607
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】