説明

放射線二次元検出装置

【課題】放射線二次元検出器の大型化及びデータ収集の高速化が可能な放射線二次元検出装置を提供する。
【解決手段】放射線二次元検出装置1は放射線二次元検出器2、データ収集装置7を備える。放射線二次元検出器2は複数の画素電極5を検出素子3の一面に取り付ける。データ収集装置7は複数の計測装置8、複数のA/D変換器12、制御装置13及び複数の記憶領域(例えば14A)が形成されたメモリ14を有する。放射線二次元検出器2は放射線の入射により画像電極5から放射線検出信号を出力し、計測装置8のチャージアンプがこの放射線検出信号の電荷を積分する。チャージアンプの出力である電圧がA/D変換器12でデジタルデータに変換され、このデジタルデータが1つの記憶領域に格納される。各画像電極5からの放射線検出信号により得られたデジタルデータが、画像電極5に対応している記憶領域に別々に格納される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線二次元検出装置に係り、特に、放射線を利用して被検体内部を画像化するのに好適な放射線二次元検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線透過撮像方法は、X線、ガンマ線、および中性子など放射線を用いて被検体である物体内部を撮像する方法である。この放射線透過撮像方法は被検体の投影図を非破壊で取得することができる。
【0003】
被検体を透過した放射線を検出する媒体として、イメージングプレートおよびイメージインテンシファイアを用いる方法が利用されてきたが、近年、画質の向上および画像歪みの改善などの観点から、センサエレメントを二次元的に配列した放射線二次元検出器を用いる方法が利用されるようになった。センサエレメントは検出素子内で放射線を計測する領域のことであり、放射線二次元検出器では、1つの検出素子あたり複数のセンサエレメントが存在する。
【0004】
検出素子を二次元的に配列した放射線二次元検出器を用いた放射線計測の方法は、2種類ある。一つは放射線の粒子数を数える方法であり、もう一つは放射線が検出素子に付与したエネルギーの量を計測する方法である。前者の放射線計測方法は、陽電子断層撮像(PET(Positron Emission Computed Tomography))に代表されるように、線量の少ない環境において使用され、検出素子内で反応した粒子の数およびエネルギーを計測する。一般的な回路構成としては、放射線の反応ごとに、得られた微小電流をチャージアンプによって積分した後、波形を成形し、放射線をエネルギーに対応した波高の電圧値として計測する。エネルギーごとに放射線の個数の情報を取得出来るが、線量が多い環境下では一個の放射線の計測を行っている間に同一のセンサエレメント内で次の放射線が反応してしまうパイルアップが起り、放射線の個数を計測することが出来ない。
【0005】
後者の放射線計測方法は、CT(Computed Tomography)に代表されるように線量の多い環境において使用され、センサエレメント内で一定時間内に反応した全ての粒子から付与されたエネルギーの総和を計測する。一般的な回路構成としては、任意の時間内に反応した全ての微小電流をチャージアンプによって積分し、得られた電圧値を計測する。この方法では、電圧値とエネルギーに1対1の相関は無いが、設定時間内に同一のセンサエレメント内で反応した全ての放射線から得られたエネルギーの総和を計測するため、一個の放射線の計測を行っている間に同一センサエレメント内で次の放射線が反応しても問題は無く、短時間で統計的バラつきの少ないデータを取得できる。
【0006】
設定時間内に得られた電流の総和を計測するタイプの放射線二次元検出器は、特開2003−255051号公報に記載されたように、検出素子内で反応した放射線を信号へ変換する過程により二種類に分けられる。一つは、入射した放射線を光に変換する蛍光体、蛍光体の直下に光を電荷に変換するために設置されたフォトダイオード、フォトダイオードから電荷を収集するために画素位置に対応してフォトダイオード下部にマトリックス状に配列された電極、および電極に接続されたスイッチング回路を有する間接変換型の放射線二次元検出器である。他の一つは、入射した放射線に応じて直接電荷を発生させる検出素子と、検出素子から電荷を収集するために検出素子にマトリックス状に配列された画素電極、およびこの電極に接続されたスイッチング回路で構成される直接変換型の放射線二次元検出器である。
【0007】
このような放射線二次元検出器では、ゲートラインによる制御信号の伝達、およびデータラインによるデータ信号の収集が行われる。これらのラインは直交し、それぞれのラインを制御するために、対向していない2辺に列走査回路および行走査回路を備えている。
【0008】
直接変換型の放射線二次元検出器は、間接変換型の放射線二次元検出器に比べて画質が優れている利点がある。間接変換型の放射線二次元検出器は、放射線が反応した蛍光体内の位置で発光が生じ、この発光を画素位置に相当する位置に配置されたフォトダイオードで計測する。このとき、蛍光体内の反応位置で発生した光が散乱し、散乱した光が周辺の画素位置に設置されたフォトダイオードで計測されることが、画像がにじむ一因となっていた。
【0009】
直接変換型の放射線二次元検出器は、放射線が反応した検出素子内の位置に対応する画素電極で直接電気信号を発生させることができるため、光の散乱に伴う画質の低下は発生しない。直接変換型の放射線二次元検出器は検出素子を大型化することが困難であるため、複数の検出素子を並べて配置して大型化している。また、基板のサイズにも限界があるため、検出素子を実装する基板も並べることにより大型化している。
【0010】
前述のように放射線二次元検出器では、列走査回路、および行走査回路が必要である。このため、放射線二次元検出器の大型化は、特開2000−278605号公報に記載されるように、複数の検出素子を用いて、これらの検出素子を実装した基板ごとに列走査回路および行走査回路を設けることによって、または、特開2006−108525号公報に記載されるように、検出素子間を電気的に接続し、大きなマトリックスを構成することによって、達成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−255051号公報
【特許文献2】特開2000−278605号公報
【特許文献3】特開2006−108525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来の放射線二次元検出器では、センサエレメントの数が撮像速度に応じて制限される。放射線が検出素子内で反応し、得られた電荷はそれぞれのセンサエレメントに接続されたチャージアンプによって積分され、電荷の総量に応じた電圧が出力される。チャージアンプに蓄えられた電圧の開放はスイッチによって行われる。放射線二次元検出器において、二次元に配列されたセンサエレメントの行ごとまたは列ごとに順次スイッチが開放され、それぞれのセンサエレメントに設けられたチャージアンプに蓄えられた電圧が転送される準備がなされる。これと連動して、マルチプレクサが起動し、センサエレメントごとにチャージアンプから電圧が転送される。転送された電圧は、順次、A/D変換器に送られ、デジタルデータとなり、メモリに記録される。
【0013】
このように、マトリックス配線を用いて、順次、データをメモリに収集するシステムを有する従来の放射線二次元検出器では、データの取り込み速度に応じて収集されるデータ量に制限が発生する。連続的に放射線の計測を行う場合、チャージアンプでの電荷積分時間よりも、電荷積分されるチャージアンプからメモリにデータが収集されるまでの時間が長い場合には、次の放射線計測との間に不感時間が必要となる。
【0014】
従って、放射線二次元検出器において、不感時間を無くそうとした場合には、データ収集時間よりもチャージアンプでの電荷積分時間を長くしなければならない。このため、撮像速度を早くする場合には、データ数を減らす必要が生じ、つまりは画素数を制限する必要が生じる。撮像速度を決めると限界の画素数が決定するので、放射線二次元検出器において、大型化と高速化を両立させることは困難であった。
【0015】
また、従来の放射線二次元検出器では、ゲートラインおよびデータラインが必要となるため、センサエレメントの電極間にそれらの配線を配置しなければならず、これらの配線の配置が隣接するセンサエレメントの相互間の間隔を広げる要因になっている。したがって、従来の放射線二次元検出器では、配線の位置が不感領域となっている。
【0016】
本発明の目的は、放射線二次元検出器の大型化及びデータ収集の高速化を達成できる放射線二次元検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記した目的を達成する本発明の特徴は、第1電極、二次元状に配置された複数の第2電極、第1電極と複数の第2電極の間に配置されて第1電極および複数の第2電極が取り付けられた検出素子有する放射線二次元検出器と、データ収集装置とを備え、
データ収集装置が、制御装置、複数の記憶領域を有する記憶装置、及び第2電極ごとに設けられた測定装置およびA/D変換器を有し、
第2電極ごとに、第2電極、計測装置およびA/D変換器を接続し、
各A/D変換器が記憶装置に接続され、
計測装置が、第2電極から出力される放射線検出信号の電荷を積分して電圧として出力する第1及び第2チャージアンプ、第1チャージアンプの入力端に接続されて第2電極に接続される第1開閉装置、第2チャージアンプの入力端に接続されて第1開閉器が接続される第2電極に接続される第2開閉装置、第1チャージアンプの出力端に接続されてA/D変換器に接続される第3開閉装置、および第2チャージアンプの出力端に接続されて第3開閉器が接続されるA/D変換器に接続される第2開閉装置を有し、
制御装置が、第1開閉装置および第2開閉装置を、これらの開閉装置の開閉が逆になるように制御し、第3開閉装置を、第2開閉装置と開閉が同じになるように制御し、第4開閉装置を、第1開閉装置と開閉が同じになるように制御し、それぞれのA/D変換器から出力された各データを、第2電極ごとに対応して形成されている記憶領域に別々に格納することにある。
【0018】
第2電極ごとに、第2電極、計測装置およびA/D変換器が接続され、制御装置による第1、第2、第3および第4開閉装置の開閉制御により、第2電極から出力された放射線検出信号の電荷を前記第1及び第2チャージアンプで交互に積分して前記第2及び第1チャージアンプから交互に出力された電圧をA/D変換器でデジタルデータに変換し、A/D変換器から出力されたデジタルデータを、第2電極に対応して形成された記憶領域に格納する。このため、第2電極から出力された放射線出信号に基づいて得られたデジタルデータを、他の第2電極から出力された放射線検出信号の影響を受けずに生成することができて所定の記憶領域に格納することができる。このため、第2電極の個数が増大されて放射線二次元検出器が大型化された場合でも、出力された放射線出信号に対応するデジタルデータの収集を、より短時間(より高速)で行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、放射線二次元検出器の大型化及びデータ収集の高速化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の好適な一実施例である実施例1の放射線二次元検出装置の構成図である。
【図2】図1に示す放射線二次元検出器の詳細構成図である。
【図3】図1に示す計測装置の詳細構成図である。
【図4】図1に示す放射線二次元検出装置を基板に取り付けた状態を示す説明図である。
【図5】複数の検出素子を基盤に取り付けた一例を示す説明図である。
【図6】複数の検出素子を基盤に取り付けた他の例を示す説明図である。
【図7】本発明の他の実施例である実施例2の放射線二次元検出装置の構成図である。
【図8】本発明の他の実施例である実施例3の放射線二次元検出装置の構成図である。
【図9】本発明の他の実施例である実施例4の放射線二次元検出装置の構成図である。
【図10】本発明の他の実施例である実施例5の放射線二次元検出装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0022】
本発明の好適な一実施例である実施例1の放射線二次元検出装置を、図1、図2、図3及び図4を用いて説明する。
【0023】
本実施例の放射線二次元検出装置1は、放射線二次元検出器2およびデータ収集装置7を備えている。放射線二次元検出器2は、図2に示すように、半導体で作られた検出素子(例えば、CdTe半導体検出素子)3、電極4及び複数の画素電極5を有する。複数の画素電極5が検出素子3の一面に二次元的に配列されて取り付けられる。1つの電極4が、複数の画素電極5が取り付けられる面とは反対側の面で検出素子3に取り付けられる。1つの電極(第1電極)4は、複数の画素電極(第2電極)5が取り付けられる、検出素子3の面に取り付けられる。電極4は、検出素子3を間に挟んで複数の画素電極5と対向している。1つのセンサエレメント6が、1つの画像電極5およびこの画像電極5に対向している、検出素子3および電極4のそれぞれの部分、すなわち、1つの画像電極5およびこの画像電極5が影響を及ぼす、検出素子3および電極4のそれぞれの範囲で構成される。放射線二次元検出器2に含まれるセンサエレメント6の数は、画像電極5の数に等しい。
【0024】
電圧が電極4と各画素電極5の間に印加される。このため、電極4が正極のとき、画素電極5が負極となり、電極4が負極のとき、各画素電極5が正極となる。
【0025】
データ収集装置7は、複数の計測装置8、複数のA/D変換器12、制御装置13及びメモリ14を有する。計測装置8およびA/D変換器12のそれぞれの個数は、画素電極5の個数に等しい。図1では、4個の画素電極5に対してそれぞれ4個の計測装置8およびA/D変換器12が示されている。各計測装置8が各画素電極5に別々に接続され、各A/D変換器12が各計測装置8に別々に接続される。各A/D変換器12がメモリ14に接続される。各計測装置8が制御装置13に接続される。
【0026】
計測装置8の詳細構造を、図3を用いて説明する。計測装置8は、チャージアンプ9A,9B、及びスイッチ10A,10B,11A,11Bを有する。スイッチ10Aはチャージアンプ9Aの入力端に接続され、スイッチ11Aはチャージアンプ9Aの出力端に接続される。スイッチ10Bはチャージアンプ9Bの入力端に接続され、スイッチ11Bはチャージアンプ9Bの出力端に接続される。スイッチ10A,10Bは1つの画素電極5に接続され、スイッチ11A,11Bは1つのA/D変換器12に接続される。計測装置8のチャージアンプ9A,9Bは、放射線二次元検出器2が放射線を検出することによって出力した各放射線検出信号の電荷を積分する。
【0027】
図1に示す4個の計測装置8は、それぞれ、図3に示す構成を有しており、それぞれの計測装置8のスイッチ10A,10Bは、対になって、別々の画素電極5に接続される。図1に示されるそれぞれの計測装置8のスイッチ11A,11Bは、対になって、別々のA/D変換器12に接続される。
【0028】
制御装置13は、各計測装置8のスイッチ10A,10B,11A,11Bの開閉を制御し、メモリ14に接続される。制御装置13は、例えば、スイッチ10Aを閉にするとき、スイッチ11A及び10Bを開にし、スイッチ11Bを閉にする。
【0029】
放射線二次元検出装置1は、図4に示すように、基板15に設置されている。放射線二次元検出器2が基板15の一面に設置され、放射線二次元検出器2の複数の画素電極5が基板15側に配置されている。データ収集装置7が、基板15の、放射線二次元検出器2が設置される面と反対側の面に設置される。基板15には、放射線二次元検出器2が設置される面からデータ収集装置7が設置される面に向かって貫通する複数の貫通ビア16が形成されている。貫通ビア16内に配置された配線が、基板15の一面に設置された放射線二次元検出器2の画像電極5と基板15の他面に設置されたデータ収集装置7の計測装置8に含まれるスイッチ10A,10Bを接続する。貫通ビア16の個数は、基板15に設置される放射線二次元検出器2の画像電極5の個数と同じである。各画素電極5に接続される配線は、別々の貫通ビア16を通って該当する計測装置8のスイッチ10A,10B接続される。
【0030】
メモリ14は、センサエレメント6ごと、具体的には、画像電極5ごとに異なる記憶領域を割り当てている。各計測装置8(チャージアンプ9Aおよび9B)から出力されるそれぞれのデータ(電圧)は、メモリ14内の各記憶領域に、順番にでは無く、同時に格納される。このため、それぞれのデータを決まった順番にメモリ内に格納することができないが、それぞれの計測装置8から出力されたデータを格納する記憶領域をあらかじめ指定することにより、各測定装置8から出力されたデータを該当する記憶領域に同時に格納しても、対応したセンサエレメント5の位置をメモリ14内の記憶領域によって区別することができる。例えば、図1に示された放射線二次元検出器2において、右上の画像電極5から出力された放射線検出信号に基づいて得られたデータは記憶領域14Aに格納され、左上の画像電極5から出力された放射線検出信号に基づいて得られたデータは記憶領域14Bに格納され、右下の画像電極5から出力された放射線検出信号に基づいて得られたデータは記憶領域14Cに格納され、左下の画像電極5から出力された放射線検出信号に基づいて得られたデータは記憶領域14Dに格納される。これらのデータの該当する記憶領域への格納のタイミングおよび該当する記憶領域からの読み出しの制御は、制御装置13によって行われる。
【0031】
本実施例の放射線二次元検出装置1におけるデータの収集を以下に説明する。或る構造部材から放出された放射線が放射線二次元検出器2の或るセンサエレメント6に入射されたとする。入射された放射線がそのセンサエレメント6の検出素子3内で反応を起こし、検出素子3内に電子とホールが発生する。この電子およびホールはキャリアと呼ばれる。検出素子3内では電極4と画素電極5の間に形成された電場が発生しているため、発生したキャリアはそれぞれの電極に収集される。画素電極5に収集されたキャリアの量に応じた電荷を有する放射線検出信号が、この画素電極5から、この画素電極5に接続された測定装置8に出力される。
【0032】
この測定装置8において、制御装置13による制御によって、前述したように、スイッチ10Aおよび11Bが閉になっており、スイッチ10Bおよび11Aが開になっているとする。その測定装置8が接続されている画像電極5から出力された放射線検出信号が、その測定装置8のチャージアンプ9Aに入力され、この放射線検出信号の電荷がチャージアンプ9Aで電荷積分される。このとき、スイッチ10Bが開になっているので、その画素電極5から出力された放射線検出信号がチャージアンプ9Aに入力されない。
【0033】
設定された時間(設定時間)の間、その画像電極5から出力された各放射線検出信号の電荷が、チャージアンプ9Aに入力され、チャージアンプ9Aで電荷積分される。スイッチ10Aが閉になってからのチャージアンプ9Aでの電荷積分時間が設定時間になったとき、制御装置13は、スイッチ10Aおよび11Bを開にし、スイッチ10Bおよび11Aを閉にする。上記の画像電極5から出力された放射線検出信号が、チャージアンプ9Bに入力され、チャージアンプ9Aに入力されない。入力された放射線検出信号の電荷が、チャージアンプ9Bで電荷積分される。このとき、スイッチ11Aが閉になっているので、電荷積分を行ったチャージアンプ9Aから、積分された電荷に対応した電圧が出力される。チャージアンプ9Aから出力された電圧は、このチャージアンプ9Aに接続されたA/D変換器12でデジタル値に変換される。このデジタル値であるデータ(デジタルデータ)は、メモリ14に入力され、割り当てられた記憶領域に格納される。
【0034】
チャージアンプ9Bでの電荷積分時間が設定時間になったとき、制御装置13は、スイッチ10Aおよび11Bを閉にし、スイッチ10Bおよび11Aを開にする。放射線検出信号がスイッチ10Aを経由してチャージアンプ9Aに入力され、チャージアンプ9Aで電荷積分が行われる。電荷積分を行ったチャージアンプ9Bから出力された、積分された電荷に対応した電圧が、スイッチ11Bを経由してA/D変換器12でデジタル値に変換される。このデジタル値であるデータは、チャージアンプ10Aで積分された電荷に対応した電圧でこのチャージアンプ10Aから出力された電圧に基づいて得られたデジタル値であるデータが格納された記憶領域に、格納される。
【0035】
本実施例では、電荷積分時間が設定時間になったとき、1つの計測装置8内の各スイッチの開閉を、前述したように、切り替えることにより、1つの計測装置8において、チャージアンプ9Aにおける電荷積分およびチャージアンプ9Bにおける電圧の出力と、チャージアンプ9Aにおける電圧の出力およびチャージアンプ9Bにおける電荷積分とが、交互に行われる。
【0036】
図1において、残りの3つのセンサエレメント6に別々に放射線が入射されたとき、前述したように、それぞれのセンサエレメント6の画像電極5から出力された放射線検出信号の電荷が、制御装置13の制御により、対応する測定装置8のチャージアンプ9Aおよび9Bで交互に入力されて電荷積分され、チャージアンプ9Bおよび9Aから交互に電圧が出力される。その残りの3つのセンサエレメント6に別々に接続された測定装置8から出力された電圧が、該当するA/D変換器12でそれぞれデジタル値に変換され、それぞれのデジタル値であるデータがメモリ14の3つの記憶領域に別々に格納される。
【0037】
図1に示された4個のセンサエレメント6は、放射線二次元検出装置1の放射線二次元検出器2の一部である。本実施例の放射線二次元検出装置1におけるデータの収集の説明を分かり易くするために、図1では4個のセンサエレメント6を示した。
【0038】
放射線二次元検出装置1の放射線二次元検出器2は、図5に示すように大型化され、3つのサブ放射線検出器2Aを有する。それぞれのサブ放射線検出器2Aは、正方形の半導体で作られた検出素子3、1個の電極4(図示せず)及び49個の画素電極5を有している。各サブ放射線検出器2Aにおいて、49個の画像電極5が検出素子3の一面に取り付けられ、1個の電極4が検出素子3の反対側の面に取り付けられている。49個の画像電極5は、図5に示すように、7行7列に配置されている。各サブ放射線検出器2Aは、画像電極5の個数に対応する49個のセンサエレメント6を有する。各サブ放射線検出器2Aは、図4と同様に、画像電極5が基板15側を向くようにして、長方形の基板15の一面に一列に配置して取り付けられる。図示されていないが、3つのデータ収集装置7が基板15の反対側の面に取り付けられる。1つのデータ収集装置7は、1つのサブ放射線検出器2Aに対応して設けられる。各データ収集装置7は、49個の計測装置8、49個のA/D変換器12、1つの制御装置13及び1つのメモリ14を有する。メモリ14は、センサエレメント6の個数に等しい49の記憶領域を有する。各計測装置8は、前述した図3に示す構成を有している。各サブ放射線検出器2Aのそれぞれの画像電極5は、1個のサブ放射線検出器2Aに対して画像電極5の数だけ、基板15に形成された貫通ビア16内に別々に配置された配線によって、対応するデータ収集装置7のそれぞれの計測装置8のスイッチ10A,10Bに別々に接続される。データ収集装置7において、制御装置13は、49個の計測装置8のそれぞれのスイッチ10A,10B,11A,11Bの開閉を並行して前述したように制御する。
【0039】
1つのサブ放射線検出器2Aのそれぞれの画像電極5から出力された放射線検出信号の電荷が、このサブ放射線検出器2Aに対応して設けられた1つのデータ収集装置7の該当する計測装置8のチャージアンプ9Aおよび9Bで交互に入力されて電荷積分され、チャージアンプ9Bおよび9Aから交互に電圧が出力される。測定装置8から出力された電圧が、該当するA/D変換器12でそれぞれデジタル値に変換され、それぞれのデジタル値であるデータがメモリ14の記憶領域に格納される。結果的に、1つのサブ放射線検出器2Aのそれぞれの画像電極5から出力された放射線検出信号に基づいて得られた各デジタル値であるデータは、制御装置13による制御により、メモリ14の49の記憶領域に別々に格納される。
【0040】
他の2つのサブ放射線検出器2A、およびこれらのサブ放射線検出器2Aに対応して別々に設けられたそれぞれのデータ収集装置7においても、電荷積分、電圧の出力、およびメモリ14の各記憶領域へのデジタルデータの格納が、並行して行われる。
【0041】
基板15の形状は、長方形でなくても正方形でもよく、複数のサブ放射線検出器2Aを、正方形の基板15に、例えば、2行2列に設置してもよい。
【0042】
図5に示すように、1つの基板15に3つのサブ放射線検出器2Aをユニットと称する。3つのユニットを、図6に示すように、3つ並行に配置して放射線二次元検出装置を配置してもよい。このような構成により、複数のサブ放射線検出器2Aを有する放射線二次元検出器をさらに大型化することができる。図6に示された例では、9つのサブ放射線検出器2Aが設けられている。基板15A,15B,15Cのそれぞれに、図5に示すように、3つのサブ放射線検出器2A及び3つのデータ収集装置7が取り付けられる。各ユニットの構成が同じであるので、複数のユニットを製造することによって、任意の数のサブ放射線検出器2Aを有する放射線二次元検出装置を構成することができる。1つのユニットに設けるサブ放射線検出器2Aの数は、3以外でもよい。
【0043】
本実施例によれば、データ収集装置7の各計測装置8が、チャージアンプ9Bおよび9Aを有し、各チャージアンプの入力端側にスイッチ10A,10Bを各チャージアンプの入力端側にスイッチ11A,11Bを有しており、制御装置13により、各計測装置8のスイッチ10A及び11Bの開閉、およびスイッチ10Bおよび11Aの開閉が交互に行われる。1つのサブ放射線検出器2Aの各計測装置8において、センサエレメント6の画像電極5から出力された放射線検出信号の電荷が、対応する測定装置8のチャージアンプ9Aおよび9Bで交互に入力されて電荷積分され、チャージアンプ9Bおよび9Aから交互に電圧が出力される。すなわち、放射線検出信号の電荷がチャージアンプ9Aに入力されて電荷積分されているとき、チャージアンプ9Bから電圧が出力され、放射線検出信号の電荷がチャージアンプ9Bに入力されて電荷積分されているとき、チャージアンプ9Aから交互に電圧が出力される。チャージアンプ9Aでの電荷積分及びチャージアンプ9Bでの電荷積分が、電荷積分時間の設定時間ごとに切り替えられる。
【0044】
このように、本実施例では、1つのセンサエレメントから出力された複数の放射線検出信号の電荷による電荷積分がチャージアンプ9Aおよびチャージアンプ9Bで交互に行われるので、計測装置8におけるその複数の放射線検出信号の電荷を、不感時間をなくして連続して計測することができる。1つの計測装置8において、電圧の出力もチャージアンプ9Bおよびチャージアンプ9Aで交互に行われるため、A/D変換器12で生成された、その電圧のデジタルデータを、メモリ14内の該当する1つの記憶領域に不感時間をなくして連続して格納することができる。このため、1つのセンサエレメント6から出力された複数の放射線検出信号に対するデジタルデータを、メモリ14内の該当する1つの記憶領域に、より短時間で連続して収集することができる。
【0045】
本実施例は放射線二次元検出器2の複数のセンサエレメント6ごとに、チャージアンプ9A,9Bを有する計測装置8を設け、メモリ14内に記憶領域を割り当てているので、各センサエレメント6から出力された放射線検出信号に基づいたそれぞれのデジタルデータを、割り当てられたそれぞれの記憶領域、例えば、記憶領域14A,14B,14C,14Dに別々に実質的に同時に格納することができる。本実施例では、このように、センサエレメント6から出力された放射線検出信号に基づいたデジタルデータを格納する、メモリ14内の記憶領域を、センサエレメント6ごとに特定しているので、センサエレメント6ごとに生成される各デジタルデータを順番にメモリ内に格納する必要が無く、センサエレメント6ごとに生成される各デジタルデータを同時に対応する記憶領域に格納しても、センサエレメント6と記憶領域に格納されたデジタルデータを対応させることができる。
【0046】
本実施例では、センサエレメント6の個数を増やして放射線二次元検出器2を大型化した場合でも、センサエレメント6ごとに、チャージアンプ9A,9Bを有する計測装置8を設け、さらにメモリ14内に記憶領域を割り当てているため、センサエレメント6の数に依存して放射線検出信号の電荷の計測が制限されず、前述のように、放射線検出信号の電荷の計測(電荷積分)及び電圧の放出を、不感時間をなくして連続して行うことができる。このため、各センサエレメント6から出力された放射線検出信号に基づいたそれぞれのデジタルデータを、割り当てられたそれぞれの記憶領域に不感時間をなくして連続して格納することができるので、本実施例は、センサエレメント6の個数を増やして放射線二次元検出器2を大型化した場合でも、各センサエレメント6から出力された放射線検出信号に基づいたそれぞれのデジタルデータを、各センサエレメント6に対して別々に割り当てられた記憶領域に、より短時間で(より高速に)収集することができる。
【0047】
制御装置13により、スイッチ10Aおよび11Bの開閉、およびスイッチ10Bおよび11Aの開閉が交互に制御されるので、センサエレメント6および計測装置8のそれぞれの個数が増大したときでも、本実施例は、チャージアンプ9A,9Bにおける電荷積分およびチャージアンプ9B,9Aにおける電圧の出力を、円滑に連続して行うことができる。また、制御装置13がメモリ14を制御して各センサエレメント6から出力された放射線検出信号に基づいたそれぞれのデジタルデータを、割り当てられたそれぞれの記憶領域に格納しているので、センサエレメント6および計測装置8のそれぞれの個数が増大したときでも、各デジタルデータの該当する記憶領域への格納を円滑に行うことができる。
【0048】
本実施例は、放射線二次元検出器2を基板15の一面に取り付け、データ収集装置7を基板15の他面に取り付け、放射線二次元検出器2のそれぞれの画像電極5とデータ収集装置7のそれぞれの計測装置8を接続するそれぞれの配線を、基板15に貫通して形成された複数の貫通ビア16内に別々に配置している。このような本実施例の放射線二次元検出装置1では、従来の放射線二次元検出器において画素電極間に配置されたゲートラインおよびデータラインが不要となり、画素電極5の相互間の間隔をその従来例よりも狭くすることができる。このため、本実施例では、画素電極5間に形成される不感領域を著しく狭くすることができる。
【実施例2】
【0049】
本発明の他の実施例である実施例2の放射線二次元検出装置を、図7を用いて説明する。
【0050】
本実施例の放射線二次元検出装置1Aは、実施例1の放射線二次元検出装置1においてデータ収集装置7をデータ収集装置7Aに替えた構成を有する。放射線二次元検出装置1Aの他の構成は放射線二次元検出装置1と同じである。
【0051】
データ収集装置7Aは、データ収集装置7において複数の計測装置8に1つのA/D変換器12を接続した構成を有する。データ収集装置7Aの他の構成はデータ収集装置7と同じである。本実施例では、2つの計測装置8に対して1つのA/D変換器12が設けられている。具体的には、1つのA/D変換器12が、2つの計測装置8に設けられたそれぞれのスイッチ11A,11Bにそれぞれ接続されている。
【0052】
放射線二次元検出装置1Aの放射線二次元検出器2におけるエレメントセンサ6の画像電極5から出力された放射線検出信号の電荷が、実施例1と同様に、スイッチ10A,10Bの開閉状態により計測装置8のチャージアンプ9A,9Bのいずれかに入力される。
【0053】
本実施例においても、実施例1と同様に、制御装置13により、スイッチ10Aおよび11Bの開閉、およびスイッチ10Bおよび11Aの開閉が交互に制御され、放射線検出信号の電荷がチャージアンプ9Aに入力されて電荷積分されているとき、チャージアンプ9Bから電圧が出力され、放射線検出信号の電荷がチャージアンプ9Bに入力されて電荷積分されているとき、チャージアンプ9Aから交互に電圧が出力される。
【0054】
本実施例では、2つの測定装置8のそれぞれのチャージアンプ9A,9Bから出力された各電圧が、それぞれ、1つのA/D変換器12に入力されてデジタルデータに変換される。制御装置13が、スイッチ10Aとスイッチ10Bの切り替えを交互に行うので、1つのA/D変換器12に接続される一方の計測装置8のチャージアンプ9Aで電荷積分時間の設定時間の間に電荷積分が行われているとき、このA/D変換器12に接続される他方の計測装置8のチャージアンプ9Aでもその設定時間の間に電荷積分が並行して行われ、上記した一方の計測装置8のチャージアンプ9Bでその設定時間の間に電荷積分が行われているとき、上記した他方の計測装置8のチャージアンプ9Bでもその設定時間の間に電荷積分が並行して行われている。
【0055】
データ収集装置7における各計測装置8におけるチャージアンプ9A,9Bのそれぞれに対する電荷積分時間の設定時間が、計測装置8のチャージアンプからの電圧の出力に要する時間、チャージアンプから出力された電圧がA/D変換器12に入力されるまでに要する時間、A/D変換器12が入力した電圧に基づいてデジタルデータを生成してこのデジタルデータを出力するまでに要する時間、A/D変換器12から出力されたデジタルデータがメモリ14に入力されるまでに要する時間、およびデジタルデータがメモリ14内で該当する記憶領域に格納されるまでに要する時間の合計時間よりも長く設定される。2つの測定装置8が1つのA/D変換器12に接続される本実施例では、電荷積分時間の設定時間は、それらの合計時間の少なくとも2倍に設定される。
【0056】
制御装置13は、上記のように設定された電荷積分時間の設定時間に基づいて、1つのA/D変換器12に接続される2つの計測装置8のそれぞれのチャージアンプ9A及びチャージアンプ9Bにおける電荷積分を前述のように切り替える。これらの2つの計測装置8の各チャージアンプ9Aで電荷積分が行われているとき、これらの2つの計測装置8の各チャージアンプ9Bから電圧が出力される。2つのチャージアンプ9Bから同時に電圧が出力されると、両方のチャージアンプ9Bから出力されたそれぞれの電圧が、A/D変換器12に入力されてしまうことになる。このような状態になるのを避けるために、制御装置13は、1つのA/D変換器12に接続された2つの計測装置8において、電荷積分が行われている2つのチャージアンプ9Aに対する電荷積分時間の設定時間の前半において、上記した一方の計測装置8のチャージアンプ9Bからその1つのA/D変換器12に電圧を出力し、その設定時間の後半において、上記した他方の計測装置8のチャージアンプ9Bからその1つのA/D変換器12に電圧を出力するように、それらの計測装置8の各スイッチ11Bを、閉じる時期をずらして順番に閉じる。好ましくは、チャージアンプ9Aでの電荷積分が開始されたとき、一方のチャージアンプ9Bに接続されるスイッチ11Bを閉じてこのチャージアンプ9Bから電圧を出力し、チャージアンプ9Aでの電荷積分が開始されてその一方の設定時間の1/2が経過したとき、他方のチャージアンプ9Bに接続されるスイッチ11Bを閉じてこの他方のチャージアンプ9Bから電圧を出力すればよい。なお、一方のチャージアンプ9Bから電圧が出力されているときには他方のチャージアンプ9Bに接続されたスイッチ11Bは開いており、他方のチャージアンプ9Bから電圧が出力されているときには一方のチャージアンプ9Bに接続されたスイッチ11Bは開いている。
【0057】
2つの計測装置8の各チャージアンプ9Bで電荷積分を行っているときに、これらの計測装置8の各チャージアンプ9Aから電圧をそれぞれ出力するときにも、制御装置13は、同様にして、これらのチャージアンプ9Aの出力端にそれぞれ接続された各スイッチ11Aを順番に閉じる。
【0058】
1つのA/D変換器12に接続された2つの計測装置8において、前述のように、それぞれのチャージアンプ9A,9Bから電圧が出力されるように、それぞれのスイッチ11A,11Bが、順番に閉じられるので、2つの計測装置8の各チャージアンプ9A,9Bから出力された各電圧が相互に干渉しなく、この2つの計測装置8に接続された1つのA/D変換器12は、各チャージアンプ9A,9Bから出力された各電圧に基づいて、順次、デジタルデータを生成する。このA/D変換器12から出力された各デジタルデータは、メモリ14に入力され、制御装置13により、一方の計測装置8のチャージアンプ9A,9Bから出力された各電圧に基づいて生成された各デジタルデータは、1つの記憶領域に格納され、他方の計測装置8のチャージアンプ9A,9Bから出力された各電圧に基づいて生成された各デジタルデータは、他の1つの記憶領域に格納される。
【0059】
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。本実施例は、2つの計測装置8から出力された各電圧を1つのA/D変換器12でそれぞれデジタルデータに変換するので、実施例1よりも、デジタルデータの生成に時間を要し、記憶領域にデジタルデータを格納するまでに要する時間が長くなる。しかしながら、本実施例は、従来例よりもデータの収集に要する時間を短くすることができる。
【0060】
1つのA/D変換器12に3つの計測装置8を接続しても良い。
【実施例3】
【0061】
本発明の他の実施例である実施例3の放射線二次元検出装置を、図8を用いて説明する。
【0062】
本実施例の放射線二次元検出装置1Bは、実施例2の放射線二次元検出装置1Aにおいてデータ収集装置7Aをデータ収集装置7Bに替えた構成を有する。放射線二次元検出装置1Bの他の構成は放射線二次元検出装置1Aと同じである。
【0063】
データ収集装置7Bは、データ収集装置7Aにおいて、計測装置8ごと、すなわち、エレメントセンサ6ごとにメモリ14内に形成している記憶領域をA/D変換器12ごとに形成した構成を有する。データ収集装置7Bの他の構成はデータ収集装置7Aと同じである。
【0064】
本実施例においても、1つのA/D変換器12に接続された2つの計測装置8内のスイッチ10A,10B,11A,11Bの制御装置13により切り替え操作は、実施例2と同様に行われる。このため、2つの計測装置8内の各チャージアンプ9A,9Bで電荷積分が実施され、その後、これらのチャージアンプ9A,9Bから出力された各電圧が、1つのA/D変換器12において、順次、デジタルデータに変換される。このA/D変換器12から出力されたデジタルデータは、制御装置13により、計測装置8と対応付けられて、メモリ14内の1つの記憶領域に順番に記憶される。
【0065】
本実施例は、実施例2で生じる各効果を得ることができる。本実施例では、1つのA/D変換器12から出力されたデジタルデータを、このA/D変換器12に接続された2つの系s項装置8と対応付けて1つの記憶領域に順番に格納するので、実施例2よりも、デジタルデータの収集に要する時間が長くなる。しかしながら、メモリ14内の記憶領域が、複数のA/D変換器12ごとに割り付けられているので、従来例よりもデータの収集に要する時間を短くすることができる。
【実施例4】
【0066】
本発明の他の実施例である実施例4の放射線二次元検出装置を、図9を用いて説明する。
【0067】
本実施例の放射線二次元検出装置1Cは、実施例1の放射線二次元検出装置1においてデータ収集装置7を基板15から離した構成を有する。放射線二次元検出装置1Cの他の構成は放射線二次元検出装置1と同じである。
【0068】
放射線二次元検出器2が基板15の一面に設置され、放射線二次元検出器2の複数の画素電極5が基板15側に配置されている。各画像電極5に接続された配線は、基板15に形成された各貫通ビア16内に別々に配置され、基板15の、放射線二次元検出器2が取り付けられた一面とは反対側の面まで達している。複数のコネクタ17が、基板15の、この反対側の面に設置されている。基板15の、反対側の面に達した各配線は、この反対側の面に沿って配線され、いずれかのコネクタ17に接続される。複数の回路基板18にそれぞれ設けられたデータ収集装置7が、いずれかのコネクタ17に接続される。
【0069】
本実施例では、センサエレメント6の画像電飾5から出力された放射線検出信号が、画像電極5に接続された配線を通ってコネクタ17に達する。そして、この放射線検出信号がこのコネクタ17に接続されたデータ収集装置7の計測装置8に入力され、実施例1と同様に、放射線検出信号の電荷が計測装置8のチャージアンプ9A,9Bで交互に電荷積分され、各チャージアンプ9A,9Bから交互に電圧が出力される。出力された電圧は、A/D変換器12でデジタルデータに変換され、このデジタルデータが、メモリ14内の該当する1つの記憶領域に格納される。
【0070】
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。実施例1のように、放射線二次元検出器2を取り付けた基板15の反対側の面にデータ収集装置7を取り付けた場合、入射する放射線のエネルギーが高いと、データ収集装置7がセンサエレメント6を透過した放射線の照射を受ける可能性があり、この透過した放射線がデータ収集装置7におけるエラー及びデータ収集装置7へのノイズの原因になる。本実施例では、データ収集装置7が基板15に設置されていないので、センサエレメント6を透過した放射線が、データ収集装置7に入射されない。このため、本実施例では、データ収集装置7が、透過した放射線による悪影響(エラー、ノイズ)を受けることを解消することができる。
【0071】
測定対象の放射線のエネルギーが低い場合には、エネルギーの低い放射線が入射されたセンサエレメント6内で多くの放射線が相互作用するため、センサエレメント6を透過する放射線量が著しく減少する。実施例1〜3における、放射線二次元検出器2を取り付けた基板15の反対側の面にデータ収集装置7を取り付けた各放射線二次元検出装置は、低いエネルギーの放射線の測定に適する。高いエネルギーの放射線を測定する場合は、センサエレメント6を透過する放射線量が多くなるため、本実施例の放射線二次元検出装置1Cが必要となる。
【0072】
基板15に取り付けられた放射線二次元検出器2の全てのセンサエレメント6で発生する電荷を、基板15に取り付けたデータ収集装置7で計測し、センサエレメント6ごとに得られたデジタルデータを別々に記憶領域に格納しようとすると、センサエレメント6の数が増加して放射線二次元検出器2が大型化した場合には、基板15の面積が大きくしなければならない。基板15の面積を大きくしなければ、大型化した放射線二次元検出器2の多くのセンサエレメント6から出力される全ての放射線検出信号の電荷を計測するデータ収集装置7が占める面積が、その放射線二次元検出器2の面積よりも大きくなり、データ収集装置7を基板15に設置することができなくなる。基板15の必要以上の大型化は避けなければならない。本実施例では、データ収集装置7を基板15に設置していないので、基板15の面積を大型化した放射線二次元検出器2の大きさにあうように減少させることができる。データ収集装置7が基板15に設けられていない放射線二次元検出装置1Cは、実施例1の放射線二次元検出装置1に比べて、放射線二次元検出器2の大型化が容易である。放射線二次元検出器2を大型化しても、データの収集を高速で行うことができる。
【実施例5】
【0073】
本発明の他の実施例である実施例5の放射線二次元検出装置を、図10を用いて説明する。
【0074】
本実施例の放射線二次元検出装置1Dは、実施例4の放射線二次元検出装置1Cにおいて放射線二次元検出器2を取り付ける基板15を多層基板に替えた構成を有する。放射線二次元検出装置1Dの他の構成は放射線二次元検出装置1Cと同じである。
【0075】
放射線二次元検出装置1Dに用いられる多層基板は、基板19A,19B,19C,19D及び19Eの5層の基板を有している。放射線二次元検出器2は基板19Aの一面に取り付けられている。基板19B,19C,19D及び19Eは、基板19Aの、放射線二次元検出器2が取り付けられた面とは反対の面側に配置されており、基板19Aからその順番で配置されている。基板19Eが基板15Aから最も遠い位置に存在する。基板19Bは基板19Aに、基板19Cは基板19Bに、基板19Dは基板19Cに、基板19Eは基板19Dに、それぞれ、取り付けられている。
【0076】
基板19A,19B,19C,19D及び19Eには、複数の貫通ビア16がそれぞれ同じ位置で形成されている。基板19A,19B,19C,19D及び19Eに形成された各貫通ビア16は、放射線二次元検出器2の各センサエレメント6の画素電極5のそれぞれに対応した各位置、及び基板19Eに設けられた複数のコネクタ17に対応した各位置に形成されている。
【0077】
基板19Aに取り付けられた放射線二次元検出器2の各センサエレメント6の画素電極5に接続された配線が、近くに存在する貫通ビア16を通して配線され、コネクタ17に接続される。各コネクタ17には、実施例4と同様に、データ収集装置7が接続される。
【0078】
本実施例は、実施例4で生じる各効果を得ることができる。本実施例は、多層基板を設けているので、高密度の配線が可能になり、センサユニット6の密度をさらに高くすることができる。
【符号の説明】
【0079】
1,1A,1B,1C…放射線二次元検出装置、2…放射線二次元検出器,3…検出素子、4:電極、5…画素電極、6…センサエレメント、7…データ収集装置,8…計測装置、9A,9B…チャージアンプ、10A,10B,11A,11B…スイッチ、12…A/D変換器、13…制御装置、14…メモリ、15…基板、16…貫通ビア、18…回路基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極、二次元状に配置された複数の第2電極、前記第1電極と前記複数の第2電極の間に配置されて前記第1電極および前記複数の第2電極が取り付けられた検出素子有する放射線二次元検出器と、データ収集装置とを備え、
前記データ収集装置が、制御装置、複数の記憶領域を有する記憶装置、及び前記第2電極ごとに設けられた測定装置およびA/D変換器を有し、
前記第2電極ごとに、前記第2電極、前記計測装置および前記A/D変換器を接続し、
各A/D変換器が前記記憶装置に接続され、
前記計測装置が、前記第2電極から出力される放射線検出信号の電荷を積分して電圧として出力する第1及び第2チャージアンプ、前記第1チャージアンプの入力端に接続されて前記第2電極に接続される第1開閉装置、前記第2チャージアンプの入力端に接続されて前記第1開閉器が接続される前記第2電極に接続される第2開閉装置、前記第1チャージアンプの出力端に接続されて前記A/D変換器に接続される第3開閉装置、および前記第2チャージアンプの出力端に接続されて前記第3開閉器が接続される前記A/D変換器に接続される第2開閉装置を有し、
前記制御装置が、前記第1開閉装置および前記2開閉装置を、これらの開閉装置の開閉が逆になるように制御し、前記第3開閉装置を、前記第2開閉装置と開閉が同じになるように制御し、前記第4開閉装置を、前記第1開閉装置と開閉が同じになるように制御し、それぞれのA/D変換器から出力された各データを、前記第2電極ごとに対応して形成されている前記記憶領域に別々に格納することを特徴とする放射線二次元検出装置。
【請求項2】
前記A/D変換器が、複数の前記計測装置のそれぞれの前記第3開閉装置および前記第4開閉装置に接続されている請求項1に記載の放射線二次元検出装置。
【請求項3】
前記放射線二次元検出器が基板の一面に取り付けられ、前記データ収集装置が、前記基板の、前記放射線二次元検出器が取り付けられる前記一面の反対側に位置する他の面に取り付けられ、前記放射線二次元検出器の前記第2電極に接続された配線が、前記基板を貫通して形成された貫通孔を通して配置されて前記計測装置の前記第1開閉装置及び前記第2開閉装置に接続される請求項1または2に記載の放射線二次元検出装置。
【請求項4】
前記放射線二次元検出器が基板の一面に取り付けられ、コネクタが、前記基板の、前記放射線二次元検出器が取り付けられる前記一面の反対側に位置する他の面に取り付けられ、前記放射線二次元検出器の前記第2電極に接続された配線が、前記基板を貫通して形成された貫通孔を通して配置されて前記コネクタに接続され、前記データ収集装置の、前記計測装置の前記第1開閉装置及び前記第2開閉装置が前記コネクタに接続される請求項1または2に記載の放射線二次元検出装置。
【請求項5】
前記基板が多層基板である請求項3または4に記載の放射線二次元検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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