説明

放射線及び超音波併用治療装置

【課題】 がん組織への超音波照射により放射線増感剤として作用する一酸化窒素を発生させ、そこに治療用放射線を照射する放射線及び超音波併用治療装置である。
【解決手段】 放射線及び超音波併用治療装置10は、治療用放射線ビームを照射する治療用放射線照射装置20、治療用超音波ビームを照射する治療用超音波照射装置30、制御装置40、患者Mのがん組織部位の放射線画像を表示する画像装置50、キーボード60から構成される。がん組織部位に超音波ビームを照射し、超音波ビームが照射されたがん組織部位にX線ビーム23aを照射する。超音波ビームの照射によりがん組織部位に放射線増感剤として作用する一酸化窒素(NO)が発生、そこに治療用放射線であるX線ビーム23aを照射するから、効果的にがん組織を破壊できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、放射線及び超音波を併用してがんを治療する治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、放射線治療方法は、がんに対する重要な治療方法の1つとされている。しかし、従来からがん組織の虚血状態が強ければ強いほど、放射線治療抵抗性が増強するといわれている(hypoxic radio-resistance)(非特許文献1参照)。これは、現在の放射線治療方法は酸素を放射線増感剤として使用しているからである。
【0003】
特に固形がんはその腫瘍血管の異常分布性から腫瘍組織内では強い虚血状態が存在する。したがって、これまで虚血状態を改善し、がん組織の放射線感受性を高めるため、以下のような種々の臨床試験が試みられている。即ち、
(1) 高圧酸素室に患者を入れて放射線治療を行う方法。
【0004】
(2) 輸血により赤血球のヘモクロビン濃度を高めてから放射線治療を行う方法。
【0005】
(3) 腎臓で生成されるホルモン(Erythropoietin)で赤血球のヘモクロビン濃度を高めてから放射線治療を行う方法。
【0006】
(4) 酸素の代わりにニコチン酸アミド(Nicotinamide)製剤を放射線増感剤として使用する方法。
【0007】
などが試みられているが、これらの臨床試験の結果によれば、上記(2) (3) の方法は全く効果がなく、上記(1)(4)の方法はある程度の効果は確認できたが、コスト・パフォーマンス及び副作用の面から、いまだ広く普及するには至っていない(非特許文献2、3、4、5参照)。
【0008】
一方、最近は酸素に代わる放射線増感剤(radiosensitizer )として一酸化窒素(NO、以下、単にNOと表示する場合がある)が再び注目されてきている。1958年にGay等はがん細胞に対するNOの放射線増感剤としての効果を報告している(非特許文献6参照)。
【0009】
その当時は、NOは有毒ガスとしての認識しかなく、NOを酸素に代わる放射線増感剤としては受け入れられなかった。しかし、最近はNOが生体の血管系、血液凝固系、神経系、免疫炎症系等をコントロールする重要な物質であることが報告され、酸素に代わる放射線増感剤としてNOが注目されるに至っている。
【0010】
化学的にNOを発生させる方法(非特許文献7参照)、免疫応答にかかわる細胞相互の情報伝達を担うペプチドであるサイトカンを投与してNOを発生させる方法(非特許文献8参照)、インシュリンを投与してNOを発生させる方法(非特許文献9参照)、電気刺激でNOを発生させる方法(非特許文献10参照)、実際に低濃度のNOガスを利用する方法(非特許文献11参照)などの方法が多くの実験に基づいてNOの放射線増感剤としての有効性が確認されている。
【0011】
また、がん細胞は、その発育成長に、酸素の代わりにがん細胞内に大量に含まれるNOを利用していることも報告されている(非特許文献12参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Morttram JC:Annual report of the Mount Vernon Hospital and Radium Institute,1935。
【非特許文献2】Watson ER,Halnan KE,Disches,et al:Hyperbaric oxygen and radiotherapy:A Medical Research Council trial in carcinoma of the cervix. Br J Radiol 51:879−887,1978。
【非特許文献3】Overgaard J, Hansen HS, Specht L, et al:Five cmpared with six fractions per week of conventional radiotherapy of squamous−cell of head and neck:DAHANCA 6 AND 7 Radomised controlled trial. Lancet 362:933−940,2003。
【非特許文献4】Henke M,LASIG R, RUBE C, ET AL:Erythropoietin to treat head and neck cancer patients with anemia undergoing radio therapy: randomized, double−blind, placebo−controlled trial. Lancet 362:1255−1260, 2003。
【非特許文献5】Overgaard J, Hansen HS, Overgaard M,et al:A Randomized ,double−blind phhase III study of nimorazole as a hypoxic radiosensitized of primary radiotherapy in supraglottic larynx and pharynx carcinoma: Results of the Danish Head and Neck Cancer Study(DAHANCA) Protocol 5−85.Radiother Oncol 46:135−146,1998。
【非特許文献6】Gray LH,Green FO,Hawes CA:Effect of nitric oxide on the radiosensitivity of tumour cell. Nature 182:952−953,1958。
【非特許文献7】Janssens MY, Verovski DL,Vanden Berge DL,et al: Radiosensitization of hypoxic tumour cells by S−nitroso−N−acetylpenicillamine implicates a bioreductive mechanism of nitric oxide generation. Br J Cancer 79:1085−1089,1999。
【非特許文献8】Van den Berge DL, Ridder MD,VerovskiVN, et al: Chronic hypoxia modulates tumour sell radioresponsethrough cytokine−inducible nitric oxidesynthase. Br J Cancer 84:1122−1125,2001。
【非特許文献9】Jordan BF, Gregoria V, Demeure RJ, et al: Insulin increases the sensitivity of tumors to irradiation: Involement of an increasein tumor oxygenation mediated by a nitric oxide−dependent decrease of thetumor cells oxygen consumption. CancerResearch 62:3555−3561, 2002。
【非特許文献10】Jordan BF, Sonveaux P.FeronO, et al: Ntric oxide−mediator increasein tumor blood flow and oxygenation oftumors implicated in muscles stimulatedby electric pulses. INT J Radiat OncolBiolphys 55:1066−1073, 2003。
【非特許文献11】Wardman P, Rothkamm K,Folkes LK, et al: Radio sensitzation by nitric oxide at low radiation doses.Radiation Research 167:475−484, 2007。
【非特許文献12】Lala P. K. and ChakrabortyC. Role of nitic oxide in carciogenesis and tumor progression. The LANCETOncology 2: 149−156,2001。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、現状では、生体に副作用を及ぼすことなく、がん組織だけに放射線増感剤として適量のNOを発生させる効果的な方法が見出されていない。がん組織だけに適量のNOを発生させる方法が開発されれば、がん組織だけにNOを発生させ、そこに放射線を投射することでがん組織を破壊することが可能となり、放射線治療効果は増強されて画期的ながん治療法となる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は上記課題を解決するもので、がん組織に超音波を照射することにより放射線増感剤として作用するNOを発生させることができるという知見に基づくものである。
【0015】
また、がん細胞は、その発育、成長に酸素の代わりに、がん細胞内に大量に含まれているNOを利用しているので(非特許文献12参照)、そのNOを逆に放射線治療法の放射線増感剤として利用しようとするのが本発明の独創的な点である。
【0016】
請求項1の発明は、治療用放射線ビームを照射する治療用放射線照射装置と、治療用超音波ビームを照射する治療用超音波照射装置と、標的とするがん組織部位に向けて前記超音波ビームを照射し、前記超音波ビームが照射されたがん組織部位に前記放射線ビームを照射する制御装置とから構成される放射線及び超音波併用治療装置であって、前記制御装置は、前記治療用超音波照射装置を作動させてがん組織部位に治療用超音波ビームを照射してがん組織部位に放射線増感剤として作用する一酸化窒素を発生させ、当該一酸化窒素が発生したがん組織部位に前記治療用放射線照射装置を作動させて治療用放射線ビームを照射し、前記一酸化窒素が放射線増感剤として作用する状態の下での治療用放射線ビームの照射によりがん組織を破壊することを特徴とする放射線及び超音波併用治療装置である。
【0017】
そして、前記制御装置は、前記治療用超音波照射装置から照射される超音波の方向、強度、周波数、波形、照射時間、音場分布に関する超音波パラメータを設定する超音波パラメータ設定手段を備える。
【0018】
そして、前記制御装置は、前記治療用放射線照射装置から照射される放射線ビームの方向、照射野、強度、照射時間に関する放射線パラメータを設定する放射線パラメータ設定手段を備える。
【0019】
そして、前記治療用放射線照射装置は、放射線源と当該放射線源に高圧電気を供給する高圧電源を備え、前記制御装置により制御される。
【0020】
そして、前記治療用超音波照射装置は、患者のがん組織部位近傍の体表面に密着して貼付可能な柔軟性のある超音波プローブと、当該超音波プローブを駆動する高周波発振器を備え、前記制御装置により制御される。
【0021】
そして、前記超音波プローブは、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)のような柔軟性のある圧電素子、あるいはPZTセラミックスなどの圧電変換素子からなる1又は多数のセグメントを柔軟性フイルムの上に貼着して構成され、患者のがん組織部位の体表面に密着して貼付可能で、且つがん組織部位に対応した1又は複数のセグメントを選択的に駆動できるものである。
【0022】
そして、前記治療用超音波照射装置は、先端に超音波プローブを装着した超音波プローブ付きカテーテルであってもよい。
【0023】
前記治療用超音波照射装置は、患者の腹腔に穿刺されるトラカールを通過可能なサイズの保持体の先端に装着された超音波プローブであってもよい。
【0024】
そして、前記超音波プローブは、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)のような柔軟性のある圧電素子、あるいはPZTセラミックスなどの圧電変換素子からなる1又は多数のセグメントから構成され、且つがん組織部位に対応した1又は複数のセグメントを選択的に駆動できるものであってもよい。
【0025】
前記超音波プローブは、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)のような柔軟性のある圧電素子、あるいはPZTセラミックスなどの圧電変換素子からなる多数のセグメントから構成された素子群が1又は複数積層された積層体で構成され、がん組織部位に対応した1又は複数のセグメントと前記積層体の1又は複数の素子群とを選択的に駆動できるものであってもよい。
【発明の効果】
【0026】
以上、説明したとおり、この発明の放射線及び超音波併用治療装置は、治療用放射線ビームを照射する治療用放射線照射装置と、治療用超音波ビームを照射する治療用超音波照射装置と、標的とするがん組織部位に向けて超音波ビームと放射線ビームを照射する制御装置とから構成され、がん組織部位に照射された治療用超音波ビームによりがん組織部位に一酸化窒素(NO)を発生させて放射線感受性を高め、放射線感受性が高くなったがん組織部位に治療用放射線ビームを照射するように構成されているから、従来の放射線治療装置よりもがん組織を効率よく破壊することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施の形態の放射線及び超音波併用治療装置の基本構成を説明する概念図。
【図2】第1の実施の形態のがん組織部位に超音波ビーム及びX線ビームが照射される様子を説明する図。
【図3】第1の実施の形態の患者の体表面に貼付される超音波プローブの一例を説明する平面図。
【図4】制御装置の構成の概略を説明するブロック図。
【図5】第2の実施の形態の放射線及び超音波併用治療装置の基本構成を説明する概念図。
【図6】第2の実施の形態で使用される超音波プローブ付きカテーテルの一例を示す外観図。
【図7】第3の実施の形態の放射線及び超音波併用治療装置の基本構成を説明する概念図。
【図8】第3の実施の形態で使用されるケーブルの先端に装着した超音波プローブの一例を示す外観図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
まず、がん組織部位に対する超音波ビームの照射と、当該がん組織における一酸化窒素(NO)の発生による放射線感受性について説明する。
【0029】
一般に生体内では、一酸化窒素合成酵素(NOS)から一酸化窒素(NO)が合成される。一酸化窒素合成酵素(NOS)には血管拡張、神経伝達、炎症性メディエータ等に関与して生理的に重要な役割を担っている。
【0030】
本願発明者は、ラットの大腿部皮下に、Gliosarcoma とGliomaという培養腫瘍細胞を接種して腫瘍モデルを作成し、この腫瘍モデルに超音波ビームを照射したところ、腫瘍組織から有意な一酸化窒素(NO)の産生の知見を得た。
【0031】
照射した超音波ビームは周波数490.6kHzの連続波で、照射時間は30分である。同時に、腫瘍部にNO電極を挿入して、超音波ビームの照射10分前から照射10分後まで、NOの産生を測定した。超音波ビームの照射時のNO濃度を基準として照射30分間の最大増加量の平均値は、腫瘍移植後9日目は約5.5μM、15日目は約3.3μMであった。
【0032】
このNO濃度は、Wardman等が実際に低濃度のNOガスを利用した放射線感受性増強作用の報告(非特許文献11参照)の有効NOガス濃度70nM〜140nMと比較すると、500倍のNOガスが発生しているので、腫瘍組織に対する放射線感受性増強作用として十分である。また、腫瘍組織のみにNOが発生するので、正常組織には全く副作用を及ぼさないという利点がある。
【0033】
即ち、腫瘍組織に超音波ビームを照射すると、一時的に腫瘍組織(がん組織)に放射線増感剤として作用する濃度のNOが発生することが証明されたのである。ここで言う放射線にはX線が含まれる。
【0034】
そこで、本願発明者は、患者のがん組織部位を含む部位に向けて超音波ビームを照射すると共に、がん組織部位に治療用放射線ビームを照射することで、がん組織部位に放射線増感剤として作用するNOを発生させた状態の下に、治療用放射線を照射してがん組織を破壊する新たながん治療方法に到達し、この新たながん治療方法に使用する放射線及び超音波併用治療装置を開発したのである。
【0035】
以下、この新たながん治療方法に使用する放射線及び超音波併用治療装置について説明する。なお、以下説明する複数の実施の形態では放射線としてX線を照射する装置として説明するが、X線以外の放射線、例えばγ線(ガンマ線)であってもよい。
【0036】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態の放射線及び超音波併用治療装置(以下、単に治療装置ということがある)10の基本構成を説明する概念図で、図2は、がん組織部位Mxに超音波ビーム31aとX線ビーム23aが照射される様子を説明する図。図3は、患者Mの体表面Maに貼付される超音波プローブ31の構成の一例を説明する平面図である。
【0037】
放射線及び超音波併用治療装置10は、治療用X線ビームを照射する治療用X線照射装置20と、治療用超音波ビームを照射する治療用超音波照射装置30と、制御装置40と、前記超音波ビームやX線ビームにより照射された患者Mのがん組織部位の画像を表示する画像装置50、及び治療装置を作動させるために必要なデータ(情報)等を入力するキーボード60とから構成される。
【0038】
治療用X線照射装置20は、X線源23と、X線源23に高圧電気を供給するX線装置用高圧電源24を備え、制御装置40に接続されて制御される。X線源23はC型アーム21に取付けられており、患者Mを乗せるベッド22の周囲を、360°連続回転してX線源23から患者Mのがん組織部位にX線ビーム23aが照射されるように構成されている。C型アーム21を駆動する駆動装置29は制御装置40に接続されて制御される。
【0039】
また、治療用X線照射装置20にはベッド22の一部にX線量モニタ25を備え、所定以上のX線量が検出されたときは、X線ビームの照射を遮断するようにするとよい。
【0040】
X線源23から照射されるX線の線量、照射時間等の放射線パラメータの一例を以下に示す。
X線線量:2gray(grayは放射線の吸収線量の単位)、照射時間:1分、照射回数:週5回。
【0041】
治療用超音波ビームを照射する治療用超音波照射装置30は、患者Mのがん組織部位Mxの体表面Maに貼付される柔軟性フイルムに多数個の圧電変換素子31nを配置して構成された超音波プローブ31と、超音波プローブを駆動する所定周波数の高周波を出力する超音波プローブ用高周波電源32から構成される。
【0042】
超音波プローブ31は、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)、PZTセラミックスなどの圧電変換素子31nを柔軟性フイルムの上に貼着して構成され、圧電変換素子31nは多数のセグメントから構成されており、患者Mのがん組織部位Mxの体表面Maに密着して貼付することができる他、がん組織部位に対応したセグメントを選択的に駆動することで超音波ビームの照射方向を決定し、がん組織部位に効果的に超音波ビームを照射できるように構成されている。
【0043】
また、前記超音波プローブは、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)、PZTセラミックスなどの圧電変換素子からなる多数のセグメントから構成された素子が複数積層された積層体で構成され、がん組織部位に対応した1又は複数のセグメントと積層体とを選択的に駆動できるようにしたものであってもよい。
【0044】
超音波プローブ31は、所定周波数の高周波を出力する超音波プローブ用高周波電源32から出力される高周波信号により駆動される。超音波プローブ用高周波電源32は制御装置40に接続され、キーボード60から入力された情報(がん組織部位Mxの位置、体表面Maからの深さ等)に基づいて圧電変換素子31nのセグメントを選択的に駆動するように制御される。
【0045】
また、超音波プローブ31を駆動する強度、周波数、波形、照射時間(暴露時間)、超音波ビームの音場分布などの超音波パラメータの一例を以下に示す。
【0046】
強度(lspta):1mW/cm2 以上。
【0047】
周波数:10kHz〜40MHz。
【0048】
波形:パルス波、バースト波、連続波、変調波(振幅や周波数の周期的及び不規則変化、雑音及びそれらの複合も含む)。
【0049】
照射時間(暴露時間):0.01秒〜3時間。
【0050】
超音波ビームの音場分布:集束型、平行型、拡散型、又はそれらの合成形状。
【0051】
また、超音波の周波数は、一定または周期的に変化させるとよく、連続的変化、ランダム雑音変化、不連続変化(とびとび変化)などで、変化速度は1.0ms以下とするとよい。これらの超音波プローブ31を駆動するための情報(強度、周波数、波形、照射時間(暴露時間)、超音波ビームの音場分布)などの超音波パラメータもキーボード60から入力されるものとする。
【0052】
図2は、がん組織部位Mxに、超音波ビーム31aとX線ビーム23aが照射される様子を説明する図で、患者Mの体表面Maよりも深い位置にあるがん組織部位Mxに超音波プローブ31から超音波ビーム31aが照射されるとがん組織部位Mxに超音波振動が伝達される。また、超音波ビーム31aが照射されたがん組織部位Mxには、X線源23からX線ビーム23aが照射される。
【0053】
図3は、患者Mの体表面Maに貼付される超音波プローブ31の構成の一例を説明する平面図で、超音波プローブ31の平面中央には、直径Dの孔31dが形成され、X線ビーム23aの透過を妨げないように構成されている。
【0054】
また、超音波プローブ31は、がん組織部位Mxに照射された超音波ビーム31aの反射波を受信し、受信したがん組織部位の超音波画像信号を後述する画像装置50に出力する。
【0055】
画像装置50は、がん組織部位Mxに照射された超音波ビーム31aの反射波を受信して、がん組織部位Mxの超音波画像信号を出力する超音波画像信号出力部51aと、がん組織部位Mxを透過したX線ビーム23aを受信してX線画像信号を出力するX線画像信号出力部51bと、超音波画像信号が入力されると入力された超音波画像信号をがん組織部位Mxの可視画像に変換して表示する超音波画像表示部52aと、X線画像信号が入力されると入力されたX線画像信号をがん組織部位Mxの可視画像に変換して表示するX線画像表示部52bとから構成され、いずれも制御装置40に接続されて制御される。
【0056】
図4は、制御装置40の構成の概略を説明するブロック図で、制御装置40はCPUから構成されており、治療装置10の全体の制御を行う。
【0057】
制御装置40を構成するCPUの入出力ポートには、X線源23に高圧電気を供給するX線装置用高圧電源24、超音波プローブ31を駆動する所定周波数の高周波を出力する超音波プローブ用高周波電源32、X線量モニタ25、C型アーム21を駆動する駆動装置29、超音波画像信号出力部51aと超音波画像表示部52a、X線画像信号出力部51bとX線画像表示部52b、及びキーボード60が接続され、CPUは所定の制御プログラムにより制御動作が実行される。
【0058】
以下、治療装置10によるがん組織治療の態様と、制御装置40のCPUで実行される制御動作の概要を説明する。まず準備段階として、患者Mのがん組織の部位、がん組織の状態などを診察し、診察の結果により決定される治療方針に基づいて、がん組織部位Mxの位置や体表面Maからの深さなどの情報と、超音波プローブ31から照射される超音波の方向、強度、周波数、波形、照射時間、音場分布などに関する超音波パラメータを決定し、キーボード60から制御装置40に入力しておく。また、前記治療方針に基づいてX線源23から照射されるX線ビームの方向、太さ、強度、照射時間に関するX線パラメータを決定し、キーボード60から制御装置40に入力しておく。
【0059】
ベッド22上に患者Mを乗せる。患者Mのがん組織部位Mxに対応する体表面Maに超音波プローブ31を貼着し、所定周波数の高周波を出力する超音波プローブ用高周波電源32に接続する。超音波プローブ31を駆動し、患者Mのがん組織部位Mxに向けて体表面Ma上の超音波プローブ31から超音波ビーム31aが照射されたか否かを確認する。これは、超音波プローブ31から予備的に照射した超音波ビーム31aががん組織部位Mxで反射して戻った超音波反射振動を、超音波画像信号出力部51aで検出して超音波画像表示部52aに出力し、その画像から確認する。
【0060】
患者Mのがん組織部位Mxの位置や体表面Maからの深さに応じた位置に超音波振動が照射されていないときは、超音波プローブ31を構成する複数のセグメントを適宜選択し直し、がん組織部位Mxの位置や体表面Maからの深さに応じた位置に正確に超音波振動が照射されるように調整する。
【0061】
次に、患者Mのがん組織部位Mxに向けて体表面Ma上の超音波プローブ31から治療用の超音波ビーム31aを照射する。C型アーム21の駆動を開始すると共に、治療用X線照射装置20を起動する。治療用の超音波ビーム31aの照射されているがん組織部位Mxに向けてX線源23からX線ビーム23aを照射する。C型アーム21の360°連続回転により、がん組織部位MxにはX線ビーム23aが集中して照射される。
【0062】
超音波ビーム31aが照射された患者Mのがん組織部位Mxには、放射線増感剤として作用する一酸化窒素(NO)が発生し、そこに、X線ビーム23aが集中して照射されるから、効果的にがん組織を破壊することができる。
【0063】
がん組織部位Mxに対する超音波ビーム31aの照射とX線ビーム23aとの照射は、同時に照射する、或いは超音波ビームとX線ビームとを交互に照射する、などの照射方法があるが、治療方針に基づいて最適の照射方法を決定するものとする。
【0064】
がん組織部位Mxに対する超音波ビームの照射に際しては、別途、一酸化窒素センサを使用してがん組織部位Mxに一酸化窒素(NO)が発生しているか否かを確認するようにしてもよい。
【0065】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態の放射線及び超音波併用治療装置は、がん組織部位Mxへの治療用超音波ビームの照射に、カテーテルの先端に超音波プローブを装着した超音波プローブ付きカテーテルを使用するもので、この点で、前記した第1の実施の形態の放射線及び超音波併用治療装置と相違する。第2の実施の形態の治療装置によれば、脳腫瘍等の腫瘍部の極く接近した部位に血管を経由して超音波プローブ付きカテーテルを挿入するから腫瘍のみに治療用超音波ビームを照射することができる。
【0066】
図5は、第2の実施の形態の放射線及び超音波併用治療装置80(以下、単に治療装置80ということがある)の基本構成を説明する概念図、図6は、超音波プローブ81a付きカテーテル81の一例を示す外観図で、第1の実施の形態の放射線及び超音波併用治療装置と同一機能の装置部材には同一符号を付してある。なお、図6に示す先端に超音波プローブを装着した超音波プローブ付きカテーテルは、超音波プローブ付きカテーテルの一例であって、カテーテルの先端付近の端面から超音波を照射するように圧電変換素子を配置した超音波プローブ付きのカテーテルであるが、このほか、図示しないが、カテーテルの先端付近の側面からカテーテルの径方向に超音波を照射するように圧電変換素子を配置した超音波プローブ付きのカテーテルとすることもできる。
【0067】
第2の実施の形態では、例えば、患者Mの脳腫瘍を治療するため、患者Mの左下肢動脈血管を経由して超音波プローブ81a付きカテーテル81を挿入し、カテーテル81の先端に装着されている超音波プローブ81aをがん組織部位Mx又はその近傍に接触させる。超音波プローブ81aは、駆動する超音波プローブ用高周波電源32との間を、カテーテル81内部に配設されたワイヤ83で接続されている。
【0068】
がん組織部位MxにX線ビーム23aを照射するため、X線装置用高圧電源24に接続されたX線源23と、X線画像信号出力部51bが患者Mの頭部付近に配置され、がん組織部位MxにX線ビーム23aを投射し、X線画像信号を検出するように構成されている。
【0069】
また、この他、第2の実施の形態の治療装置80においても、第1の実施の形態の治療装置10と同様に、超音波プローブで検出されたがん組織部位Mx(ここでは脳腫瘍)からの超音波反射振動を出力する超音波画像信号出力部51aと超音波反射画像を表示する超音波画像表示部52a、及びX線画像信号出力部51bから出力されたX線画像信号を可視画像に変換して表示するX線画像表示部52bを備えていてもよいが、図5では表示を省略した。
【0070】
目標とする脳腫瘍Mxにカテーテル81の先端に装着されている超音波プローブ81aが接触又はその近傍に到達したか否かは、超音波プローブ81aで検出された脳腫瘍Mxで反射した超音波反射振動を超音波画像信号出力部51a(図1参照)で検出して超音波画像表示部52a(図1参照)に表示させて確認するが、別途、X線モニタで確認してもよい。
【0071】
第2の実施の形態の治療装置80も、第1の実施の形態の治療装置10と同様に、超音波プローブ81a、超音波プローブ用高周波電源32、超音波画像信号出力部51a、超音波画像表示部52a、X線装置用高圧電源24、X線画像信号出力部51b、X線画像表示部52b等の制御を行うCPUで構成された制御装置40を備えるが、制御装置40の構成は第1の実施の形態の治療装置10の制御装置と同様であり、第1の実施の形態の装置と同一機能の装置部材には同一符号を付してあるので、ここでは説明を省略する。
【0072】
以下、治療装置80によるがん組織治療の態様と治療装置80の制御動作の概要を説明する。まず準備段階として、患者Mのがん組織の部位、がん組織の状態などの診察と、診察の結果により決定される治療方針に基づいて、超音波プローブ付きカテーテルの使用が決定される。
【0073】
超音波プローブから照射される超音波の方向、強度、周波数、波形、照射時間、音場分布などに関する超音波パラメータを決定し、また、治療用放射線照射装置から照射される放射線ビームの強度、照射時間に関する放射線パラメータを決定し、これらのパラメータを制御装置に入力しておく。
【0074】
ベッド上に患者Mを乗せる。患者Mの左下肢動脈血管を経由して超音波プローブ81a付きカテーテル81を挿入し、がん組織部位Mx(ここでは脳腫瘍)付近にカテーテル81の先端に装着されている超音波プローブ81aを接触させる。
【0075】
超音波プローブ81aが目標とするがん組織部位Mx(ここでは脳腫瘍)付近に到達したか否かは、X線源23からX線ビーム23aを照射し、X線画像信号出力部51bから出力されたX線画像信号をX線画像表示部52bで表示させ、その画像から確認する。
【0076】
次に、超音波プローブ81aから超音波ビームを照射すると同時に、がん組織部位Mx(ここでは脳腫瘍)付近にX線源23からX線ビーム23aを照射する。この場合、第1の実施の形態の治療装置10と同様に、C型アームの360°連続回転により、がん組織部位Mx(ここでは脳腫瘍)にX線ビーム23aが集中して照射されるように操作するとよい。
【0077】
超音波が照射された患者Mのがん組織部位Mx(ここでは脳腫瘍)には、放射線増感剤として作用する一酸化窒素(NO)が発生し、そこに、X線ビーム23aが集中して照射されるから、効果的にがん組織(脳腫瘍)を破壊することができる。
【0078】
がん組織部位Mxに対する超音波ビームの照射とX線ビームとの照射は、同時に照射する、或いは超音波ビームとX線ビームとを交互に照射する、などの照射方法があるが、治療方針に基づいて最適の照射方法を決定するものとする。
【0079】
がん組織部位Mxに対する超音波ビームの照射に際しては、別途、一酸化窒素センサを使用してがん組織部位Mxに一酸化窒素(NO)が発生しているか否かを確認するようにしてもよい。
【0080】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態の放射線及び超音波併用治療装置は、主として腹腔内のがん組織部位Mxの治療に適した治療装置であって、患者Mの腹部に穿刺したトラカール(筒状体)を使用して超音波プローブを腹腔内の腫瘍部に極く接近した部位に配置するもので、この点で、前記した第1及び第2の実施の形態の放射線及び超音波併用治療装置と相違する。第3の実施の形態の治療装置によれば、腹腔内の腫瘍部に極く接近した部位に超音波プローブを挿入できるから、より選択的に腫瘍部のみに治療用超音波ビームを照射することができる。
【0081】
図7は、第3の実施の形態の放射線及び超音波併用治療装置90(以下、単に治療装置90ということがある)の基本構成を説明する概念図、図8は、ケーブル91の先端に装着した超音波プローブ91aの一例を示す外観図で、第1の実施の形態の放射線及び超音波併用治療装置と同一機能の装置部材には同一符号を付してある。なお、図8に示すケーブル91の先端に装着した超音波プローブ91aは その一例であって、ケーブルの先端付近の端面から超音波を照射するように圧電変換素子を配置した超音波プローブであるが、このほか、図示しないが、ケーブルの先端付近の側面からケーブルの径方向に超音波を照射するように圧電変換素子を配置した超音波プローブとすることもできる。
【0082】
第3の実施の形態では、例えば患者Mの腹腔内のがん組織部位Mxの治療をするため、外科処置により、患者Mの腹部に第1のトラカール94及び第2のトラカール95を穿刺する。そして、第1のトラカール94を使用して内視鏡96を腹腔内に挿入し、第2のトラカール95を使用してケーブル91の先端に装着した超音波プローブ91aを挿入する。超音波プローブ91aのケーブル91は、超音波プローブ用高周波電源32に接続されているものとする。内視鏡96は従来から広く使用されている公知の構成の内視鏡を使用することができる。
【0083】
がん組織部位MxにX線ビーム23aを照射するため、X線装置用高圧電源24に接続されたX線源23が患者Mの腹部のがん組織部位Mxの近傍に配置され、また、がん組織部位Mxを透過したX線画像を検出するため、患者Mの腹部のがん組織部位Mxの下方にはX線画像信号出力部51bが配置され、そのX線画像信号出力部51bにはX線画像表示部52bが接続される。
【0084】
第3の実施の形態の治療装置90も、第1の実施の形態の治療装置10と同様に、超音波プローブ91a、超音波プローブ用高周波電源32、X線装置用高圧電源24、X線画像信号出力部51b、X線画像表示部52b等の制御を行うCPUで構成された制御装置40を備える。第3の実施の形態では、がん組織部位Mxへの超音波プローブ91aの接触状態は内視鏡96により確認できるから、超音波画像信号出力部51a及び超音波画像表示部52aは備えていないが、超音波画像信号出力部51aと超音波画像表示部52aを備える構成としてもよい。
【0085】
制御装置40の構成は第1の実施の形態の治療装置10の制御装置と同様であり、第1の実施の形態の装置と同一機能の装置部材には同一符号を付してあるので、ここでは説明を省略する。
【0086】
以下、治療装置90によるがん組織治療の態様と治療装置90の制御動作の概要を説明する。まず準備段階として、患者Mのがん組織の部位、がん組織の状態などの診察と、診察の結果により決定される治療方針に基づいて、トラカールを使用して超音波プローブを腹腔内のがん組織に配置する処置が決定される。
【0087】
超音波プローブから照射される超音波の方向、強度、周波数、波形、照射時間、音場分布などに関する超音波パラメータを決定し、また、治療用放射線照射装置から照射される放射線ビームの方向、太さ、強度、照射時間に関する放射線パラメータを決定し、これらのパラメータを制御装置に入力しておく。
【0088】
ベッド上に患者Mを乗せる。外科処置により患者Mの腹部に第1のトラカール94及び第2のトラカール95を穿刺する。そして、第1のトラカール94から内視鏡96を腹腔内に挿入すると共に、第2のトラカール95からケーブル91の先端に装着した超音波プローブ91aを挿入する。内視鏡96を使用して外科処置を行い、外科処置により見出した腹腔内のがん組織部位Mxの位置を内視鏡96で確認しながらがん組織部位Mx付近に水溶液を介して超音波プローブ91aを接触させる。
【0089】
次に、超音波プローブ91aから超音波ビームを照射すると同時に、がん組織部位Mx付近にX線源23からX線ビーム23aを照射する。この場合、第1の実施の形態の治療装置10と同様に、C型アームの360°連続回転により、がん組織部位MxにX線ビームが集中して照射されるように構成するとよい。
【0090】
超音波が照射された患者Mのがん組織部位Mxには、放射線増感剤として作用する一酸化窒素(NO)が発生し、そこに、X線ビームが集中して照射されるから、効果的にがん組織を破壊することができる。
【0091】
がん組織部位Mxに対する超音波ビームの照射とX線ビームとの照射は、同時に照射する、或いは超音波ビームとX線ビームとを交互に照射する、などの照射方法があるが、治療方針に基づいて最適の照射方法を決定するものとする。
【0092】
がん組織部位Mxに対する超音波ビームの照射に際しては、別途、一酸化窒素センサを使用してがん組織部位Mxに一酸化窒素(NO)が発生しているか否かを確認するようにしてもよい。
【0093】
以上、この発明の放射線及び超音波併用治療装置の構成例と、その治療装置の機能の概略を説明した。この発明の放射線及び超音波併用治療装置は、上記した構成に限られるものではなく、この発明は、その発明の本質を変更しない範囲で構成された各種の実施の形態も包含される。
【産業上の利用可能性】
【0094】
この発明は、がん組織に超音波を照射することにより放射線増感剤として作用するNOを発生させることができるという知見に基づいて開発された、がん組織を治療する放射線及び超音波併用治療装置である。
【符号の説明】
【0095】
10 第1の実施の形態の放射線及び超音波併用治療装置(治療装置)
20 治療用X線照射装置
21 C型アーム
22 ベッド
23 X線源
23a X線ビーム
24 X線装置用高圧電源
25 X線量モニタ
29 駆動装置
30 治療用超音波照射装置
31 超音波プローブ
31a 超音波ビーム
31n 圧電変換素子
32 超音波プローブ用高周波電源
40 制御装置
50 画像装置
51a 超音波画像信号出力部
51b X線画像信号出力部
52a 超音波画像表示部
52b X線画像表示部
60 キーボード
80 第2の実施の形態の放射線及び超音波併用治療装置(治療装置)
81 カテーテル
81a 超音波プローブ
83 ワイヤ
90 第3の実施の形態の放射線及び超音波併用治療装置(治療装置)
91 ケーブル
91a 超音波プローブ
94 第1のトラカール
95 第2のトラカール
96 内視鏡
M 患者
Ma 患者の体表面
Mx がん組織部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療用放射線ビームを照射する治療用放射線照射装置と、
治療用超音波ビームを照射する治療用超音波照射装置と、
標的とするがん組織部位に向けて前記超音波ビームを照射し、前記超音波ビームが照射されたがん組織部位に前記放射線ビームを照射する制御装置と
から構成される放射線及び超音波併用治療装置であって、
前記制御装置は、前記治療用超音波照射装置を作動させてがん組織部位に治療用超音波ビームを照射してがん組織部位に放射線増感剤として作用する一酸化窒素を発生させ、当該一酸化窒素が発生したがん組織部位に前記治療用放射線照射装置を作動させて治療用放射線ビームを照射し、前記一酸化窒素が放射線増感剤として作用する状態の下での治療用放射線ビームの照射によりがん組織を破壊すること
を特徴とする放射線及び超音波併用治療装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記治療用超音波照射装置から照射される超音波の方向、強度、周波数、波形、照射時間、音場分布に関する超音波パラメータを設定する超音波パラメータ設定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の放射線及び超音波併用治療装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記治療用放射線照射装置から照射される放射線ビームの方向、照射野、強度、照射時間に関する放射線パラメータを設定する放射線パラメータ設定手段を備えること
を特徴とする請求項1に記載の放射線及び超音波併用治療装置。
【請求項4】
前記治療用放射線照射装置は、放射線源と当該放射線源に高圧電気を供給する高圧電源を備え、前記制御装置により制御されること
を特徴とする請求項1に記載の放射線及び超音波併用治療装置。
【請求項5】
前記治療用超音波照射装置は、患者のがん組織部位近傍の体表面に密着して貼付可能な柔軟性のある超音波プローブと、当該超音波プローブを駆動する高周波発振器を備え、前記制御装置により制御されること
を特徴とする請求項1に記載の放射線及び超音波併用治療装置。
【請求項6】
前記超音波プローブは、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)、PZTセラミックスなどの圧電変換素子からなる1又は多数のセグメントを柔軟性フイルムの上に貼着して構成され、患者のがん組織部位の体表面に密着して貼付可能で、且つがん組織部位に対応した1又は複数のセグメントを選択的に駆動できること
を特徴とする請求項5に記載の放射線及び超音波併用治療装置。
【請求項7】
前記治療用超音波照射装置は、先端に超音波プローブを装着した超音波プローブ付きカテーテルであること
を特徴とする請求項1に記載の放射線及び超音波併用治療装置。
【請求項8】
前記治療用超音波照射装置は、患者の腹腔に穿刺されるトラカールを通過可能なサイズの保持体の先端に装着された超音波プローブであること
を特徴とする請求項1に記載の放射線及び超音波併用治療装置。
【請求項9】
前記超音波プローブは、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)、PZTセラミックスなどの圧電変換素子からなる1又は多数のセグメントから構成され、且つがん組織部位に対応した1又は複数のセグメントを選択的に駆動できること
を特徴とする請求項7又は8に記載の放射線及び超音波併用治療装置。
【請求項10】
前記超音波プローブは、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)、PZTセラミックスなどの圧電変換素子からなる1又は多数のセグメントから構成された素子群が複数積層された積層体で構成され、がん組織部位に対応した1又は複数のセグメントと1又は複数の積層体とを選択的に駆動できること
を特徴とする請求項7又は8に記載の放射線及び超音波併用治療装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−45122(P2012−45122A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188960(P2010−188960)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(501083643)学校法人慈恵大学 (20)
【Fターム(参考)】