説明

放射線岩盤浴施設

【課題】放射能を有する鉱物を用いることで放射線源を確保し、地理的制約を受けることなく設置可能な放射線岩盤浴施設を提供する。
【解決手段】台の上に複数列にわたり、複数個のジルコン系セラミックスを埋め込んだ構造を有する放射線岩盤浴施設であって、好ましくは、ジルコン系セラミックスの形状が円板状、四角柱状であり、より好ましくは台に埋め込む円板状ジルコン系セラミックス乃至四角柱状ジルコンセラミックスの上部縁が、丸めが施されており、台がコンクリート、大理石などの岩石やタイルで覆ったコンクリートである。そして、好ましくは、台に埋め込むジルコン系セラミックスの列として、2〜10列であり、台に埋め込むジルコン系セラミックスの1列あたりの個数として、5〜20個である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線岩盤浴に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、悪性腫瘍や神経痛、肩こり、腰痛、皮膚炎などの治療や、健康増進のため、ラジウム温泉に入浴することが行われている。これら施設では、天然にわき出るラジウム鉱泉浴を利用するものや、放射線を含む鉱石を温浴中に入れるものなどがある(特許文献1)。
しかし、ラジウム温泉に入浴する方法では、長時間入浴すると体が疲労する欠点がある。
【0003】
ラジウムが地上に放射される岩盤の上に横になって寝る施設もある。また、この方式の施設の改良として、ラジウム放射線が地上に放射される岩盤の上に砂を敷き詰めて、この内部に複数の噴出口を開口した空気供給口を設けた空気供給管を埋設し、さらにこの上に赤外線や紫外線、マイナスイオンなどを放射する複数の玉石を混合して敷き詰めると共に、この内部に温水管を埋設したラジウム放射線温浴施設が公知である(特許文献2)。
しかし、ラジウム放射線が地上に放射される岩盤が存在する場所は地理的に限定されるため、都市部には設置不可能である欠点がある。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3057208号公報
【特許文献2】特開2002−35078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、放射能を有する鉱物やセラミックスを用いることで放射線源を確保し、地理的制約を受けることなく設置可能な放射線岩盤浴施設を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
天然のジルコン系セラミックスは、放射性元素を含有し、これを焼結してセラミックスにしても放射線源として使用できることを見いだし本発明に到達したのである。即ち本発明は、
(1)台に複数列にわたり、複数個の放射能を有するセラミックスを埋め込んだ構造を有することを特徴とする放射線岩盤浴施設、
(2) (1)において、放射能を有するセラミックスがジルコン系セラミックスであり、その形状が円板状であることを特徴とする放射線岩盤浴施設、
(3) (1)において、放射能を有するセラミックスがジルコン系セラミックスであり、その形状が四角柱状であることを特徴とする放射線岩盤浴施設。
(4)(1)、(2)、(3)において、台として、繊維強化プラスチックスや、コンクリート、大理石などの岩石やタイルで覆ったコンクリートであることを特徴とする放射線岩盤浴施設、
(5) (2)において、台に埋め込む円板状ジルコン系セラミックスの上部縁に、丸めが施されていることを特徴とする放射線岩盤浴施設、
(6) (3)において、台に埋め込む四角柱状ジルコン系セラミックスの上部縁に、丸めが施されていることを特徴とする放射線岩盤浴施設、
(7) (1)〜(6)において、台に埋め込むジルコン系セラミックスの列として、2〜10列であることを特徴とする放射線岩盤浴施設、
(8) (1)〜(6)において、台に埋め込むジルコン系セラミックスの1列あたりの個数として、5〜20個であることを特徴とする放射線岩盤浴施設、
(9) (2)、(5)において、円板状ジルコン系セラミックスの直径が20〜300mmであることを特徴とする放射線岩盤浴施設、
(10) (2)、(5)において、円板状ジルコン系セラミックスの厚みが10〜70mmであることを特徴とする放射線岩盤浴施設、
(11) (3)、(6)において、四角柱状ジルコン系セラミックスの辺が15〜250mmであることを特徴とする放射線岩盤浴施設、
(12) (3)、(6)において、四角柱状ジルコン系セラミックスの厚みが10〜70mmであることを特徴とする放射線岩盤浴施設
である。
【0007】
本発明においては、放射線源として、ジルコン系セラミックスを使用する。放射線源として、利用できる無機化合物としては、モナザイト、ジルコン、バストネサイト、タンタライト、リン鉱石、サマリウム、ウラン鉱石、トリウム鉱石、チタン鉱石などをあげることができるがジルコン系特に天然珪酸ジルコンを使用したセラミックスが好ましい。天然珪酸ジルコンは容易に焼結してセラミックスとして利用でき、かつ放射線量も、人体に危害を与えるほど大きくはないからである。そして、本発明においては、ジルコン系セラミックスを使用するため、驚くべきことに特定の場所に限定されることなく、都心においても設置可能である。
【0008】
本発明で使用するジルコン系セラミックスは、好ましくは、円柱状乃至四角柱状である。三角柱、六角柱などと比較して製造が容易であり、体がこれらジルコン系セラミックスの上に乗ったとき適度の刺激を与えることが可能となるためである。そして、これらジルコン系セラミックスの上部縁は、角をとり丸み加工が施されていることが好ましい。該ジルコン系セラミックスの上に体を乗せ岩盤浴をする際、皮膚を傷つけないためである。
【0009】
また、本発明において、ジルコン系セラミックスを複数列配列する理由は、配列されたジルコン系セラミックスの間の隙間に背骨を置くと、背骨の両側の筋肉に、ちょうど、ジルコン系セラミックスがあたり、両側の筋肉をマッサージするような効果が期待できるからである。そして、中央に背骨の位置があって、左右対称にするため、ジルコン系セラミックスの列の数は偶数であることが好ましく、2〜10列が好ましい。
【0010】
ジルコン系セラミックスに1列あたり並べる個数は、5〜20個が適当である。5個より少ないと刺激を与える部位が限定されすぎ、20個より多くなると1個あたり与える刺激の数が少なくなりすぎるからである。
【0011】
本発明において、ジルコン系セラミックスを設置する台としては、人が横たわることが可能な寸法の台をあげることができ、長さ1.5〜2.5m、巾0.5〜1.5mの台をあげることができる。台の材質としては、繊維強化プラスチックス、コンクリート台をあげることができる。コンクリートの面の場合、感触が一般には良くないため、コンクリートの面を大理石で覆ったり、タイルで覆ったりすることもできる。そして、ジルコン系セラミックスを台に接合する方法としては、エポキシ樹脂などの有機接着剤や、セメントなどを使用できる。
【0012】
本発明において、ジルコン系セラミックスの厚みは、10〜70mmが好ましい。この範囲で、清掃などの保守管理が容易であり、体に対する刺激が適切であるからである。
そして該ジルコン系セラミックスの厚みのうち一部は、台に埋められた構造であることが好ましい。ジルコン系セラミックスの位置の安定性が増すからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
珪酸ジルコンは化学式として、ZrSiO4 として表される。本発明で使用する天然の珪酸ジルコンを分析した結果を表1に示す。天然に入手できる天然珪酸ジルコンは、Thを含み、ラドンを発生するのである。
【表1】

【0014】
次に、本発明の放射線岩盤浴の構成について図面をもとに説明する。図1は、本発明で使用する天然珪酸ジルコン系セラミックス1の断面図である。厚み(高さ)は、50mmであり、上から20mmの位置まで、丸み加工が施されている。そして、天然珪酸ジルコン系セラミックスの上面2は平らになっている。
そして、コンクリート台3に埋める場合、図2に示すように、上から20mmの位置までコンクリート台3に埋められる。図3は、本発明で使用する天然珪酸ジルコン系セラミックス1の正面図である。全体として、上部縁で丸み処理が施された円柱の形態をしている。
【0015】
図4は、横幅60cm、縦幅190〜210cmのコンクリート台3に天然珪酸ジルコン系セラミックス1を2列に16個配置し、天然珪酸ジルコン系セラミックスの中央での断面図である。図4は、コンクリート台3に天然珪酸ジルコン系セラミックス1を埋め込んで作成した放射線岩盤施設の断面図であり、図5は、横幅60cm、縦幅190〜210cmのコンクリート台3に天然珪酸ジルコン系セラミックス1を2列に16個配置したとき正面図である。
【0016】
図6は、図4、図5で示した台に、人が仰向けに横たわったときの模式断面図である。背骨4に天然珪酸ジルコン系セラミックス1があたらず感触が良く、天然珪酸ジルコン系セラミックス1の形状が丸みを帯びているため、面積が大きく、通常より効率よくラドンを放出するようになっている。また窪んだ部分に背骨4が入り、人体の胴体6、腕5は天然珪酸ジルコン系セラミックスの上面2にくるので、背骨4を中心にラドンを浴びせることができる。
【0017】
図7は、参考例として、単数列の、人体の幅に相当する幅を有する参考例の天然珪酸ジルコン系セラミックス7の上に、人が仰向けに横たわったときの模式断面図である。参考例の、天然珪酸ジルコン系セラミックス7の表面がフラットで効率よくラドンを放出しないし、背骨4が参考例の天然珪酸セラミックスにあたり違和感や痛みがある。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明によれば、以下の利点がある。
(1) ラドンを発生するセラミックスを使用しているため、ラドンを発生する特定の場所に限定されることなく、都会においても設置可能である。
(2) 人工的に作成可能なセラミックスを使用しているため、効率よくラドンをあてることが可能で、人体に対して感触の良い形状にすることが可能である。
(3) 温水浴に入らないので、長時間浸っていても体の負担は少ない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】天然珪酸ジルコン系セラミックスの断面図である。
【図2】コンクリート台に埋め込んだ天然珪酸ジルコン系セラミックスの断面図である。
【図3】天然珪酸ジルコン系セラミックスの正面図である。
【図4】コンクリート台に天然珪酸ジルコン系セラミックスを埋め込んで作成した放射線岩盤施設の断面図である。
【図5】コンクリート台に天然珪酸ジルコン系セラミックスを埋め込んで作成した放射線岩盤施設の正面図である。
【図6】本発明の放射線岩盤施設に人が仰向けに横たわったとき模式断面図である。
【図7】参考例として、扁平な天然珪酸ジルコン系セラミックスからなる放射線岩盤施設に人が仰向けに横たわったときの模式断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 天然珪酸ジルコン系セラミックス
2 天然珪酸ジルコン系セラミックスの上面
3 コンクリート台
4 背骨
5 腕
6 胴体
7 参考例の平面状天然珪酸ジルコン系セラミックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台に複数列にわたり、複数個の放射能を有するセラミックスを埋め込んだ構造を有することを特徴とする放射線岩盤浴施設。
【請求項2】
請求項1において、放射能を有するセラミックスがジルコン系セラミックスであり、その形状が円板状であることを特徴とする放射線岩盤浴施設。
【請求項3】
請求項1において、放射能を有するセラミックスがジルコン系セラミックスであり、その形状が四角柱状であることを特徴とする放射線岩盤浴施設。
【請求項4】
請求項1、2、3において、台として、繊維強化プラスチックスや、コンクリート、大理石などの岩石やタイルで覆ったコンクリートであることを特徴とする放射線岩盤浴施設。
【請求項5】
請求項2において、台に埋め込む円板状ジルコン系セラミックスの上部縁に、丸めが施されていることを特徴とする放射線岩盤浴施設。
【請求項6】
請求項3において、台に埋め込む四角柱状ジルコン系セラミックスの上部縁に、丸めが施されていることを特徴とする放射線岩盤浴施設。
【請求項7】
請求項1〜6において、台に埋め込むジルコン系セラミックスの列として、2〜10列であることを特徴とする放射線岩盤浴施設。
【請求項8】
請求項1〜6において、台に埋め込むジルコン系セラミックスの1列あたりの個数として、5〜20個であることを特徴とする放射線岩盤浴施設。
【請求項9】
請求項2、5において、円板状ジルコン系セラミックスの直径が20〜300mmであることを特徴とする放射線岩盤浴施設。
【請求項10】
請求項2、5において、円板状ジルコン系セラミックスの厚みが10〜70mmであることを特徴とする放射線岩盤浴施設。
【請求項11】
請求項3、6において、四角柱状ジルコン系セラミックスの辺が15〜250mmであることを特徴とする放射線岩盤浴施設。
【請求項12】
請求項3、6において、四角柱状ジルコン系セラミックスの厚みが10〜70mmであることを特徴とする放射線岩盤浴施設。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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