説明

放射線撮像装置

【課題】電力消費を抑えつつ、高画質の放射線画像を取得する。
【解決手段】放射線撮像装置(20)は、放射線を放射線画像に変換可能な放射線変換パネル(52)と、前記放射線変換パネル(52)から画像信号を読み出す信号読出部(82)と、前記放射線変換パネル(52)及び前記信号読出部(82)に電力を供給する電源部(64)と、前記電源部(64)の状態に基づいて前記信号読出部(82)での前記画像信号の読み出しを制御する読出制御部(98、108)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線を放射線画像に変換する放射線変換パネルを備えた放射線撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医療分野において、被写体を透過した放射線を検出することにより該被写体の放射線画像を撮像する放射線撮像装置(以下、電子カセッテともいう。)が用いられている。電子カセッテでは、可搬性を向上させるために、バッテリ等の蓄電手段を含む電源部を内蔵している。
【0003】
ところで、可搬型の電子カセッテにおいても、例えば、特許文献1の技術を適用し、放射線画像に対してオーバサンプリング方式によるAD変換を行ってランダムノイズを低減し、あるいは、特許文献2の技術を適用し、放射線の照射前に取得した複数枚のオフセット画像を用いて放射線画像に対するオフセット補正処理を行うことにより、高画質の放射線画像を取得してもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−275235号公報
【特許文献2】特開2010−104398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、オーバサンプリング方式によるAD変換では、サンプリング時間が長くなって電力消費が早くなる。一方、放射線の照射前に何回もオフセット画像を取得すると、取得回数分だけ電力が消費されるので、放射線画像の撮像に必要な電力量を確保することができない場合がある。従って、可搬型の電子カセッテでは、放射線画像の高画質化と電力消費との間にはトレードオフの関係がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解消するためになされたものであり、電力消費を抑えつつ、高画質の放射線画像を取得することが可能となる放射線撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明に係る放射線撮像装置は、放射線を放射線画像に変換可能な放射線変換パネルと、前記放射線変換パネルから画像信号を読み出す信号読出部と、前記放射線変換パネル及び前記信号読出部に電力を供給する電源部と、前記電源部の状態に基づいて前記信号読出部での前記画像信号の読み出しを制御する読出制御部とを備えることを特徴としている。
【0008】
本発明によれば、前記電源部の状態に基づいて前記信号読出部での前記画像信号の読み出しを制御するので、電力消費を抑えつつ、高画質の放射線画像を取得することが可能となる。
【0009】
ここで、前記画像信号は、前記放射線変換パネルに対する前記放射線の照射前に前記放射線変換パネルから前記信号読出部に読み出されたオフセット画像に応じたオフセット画像信号、又は、前記放射線変換パネルに対する前記放射線の照射後に前記放射線変換パネルから前記信号読出部に読み出された前記放射線画像に応じた放射線画像信号である。
【0010】
従って、本発明では、前記オフセット画像及び前記放射線画像のいずれの画像を取得する場合であっても、前記電源部の状態に従って各画像信号の読み出しを制御することにより、電力消費の抑制と高画質の放射線画像の取得とを共に実現することができる。
【0011】
次に、電力消費の抑制と高画質の放射線画像の取得とを共に実現するための本発明の具体的な構成について説明する。
【0012】
先ず、前記画像信号(前記オフセット画像信号及び前記放射線画像信号)に対するAD変換に関して、電力消費の抑制と高画質の放射線画像の取得とを共に実現するための具体的構成(1)〜(4)について説明する。
【0013】
(1)前記信号読出部は、前記画像信号をAD変換するAD変換器を有し、前記読出制御部は、前記電源部の状態に基づいて前記AD変換器におけるAD変換のサンプリング回数を制御する。これにより、電力消費を抑制しつつ、前記オフセット画像及び前記放射線画像を取得することが可能となり、この結果、高画質の放射線画像を取得することができる。
【0014】
(2)前記電源部は、外部から蓄電可能な蓄電部を有し、前記読出制御部は、前記蓄電部の状態に基づいて、前記サンプリング回数を制御する。前記蓄電部の状態を考慮して前記サンプリング回数が制御されるので、電力消費を確実に抑制することが可能となる。
【0015】
(3)前記放射線撮像装置は、外部から前記蓄電部への給電の有無を検出する給電状態検出部をさらに備え、前記読出制御部は、前記給電状態検出部の検出結果に基づいて前記サンプリング回数を制御してもよい。
【0016】
具体的に、前記読出制御部は、外部から前記蓄電部への給電を前記給電状態検出部が検出した場合に、オーバサンプリング方式によるAD変換を行うように前記AD変換器を制御し、一方で、前記蓄電部が外部から給電を受けていないことを前記給電状態検出部が検出した場合に、前記オーバサンプリング方式によるAD変換を解除すればよい。
【0017】
これにより、前記蓄電部に対する給電の有無に応じて電力消費量を調整することができる。従って、前記蓄電部に対する給電がなければ、サンプリング時間を短くして前記蓄電部の持ち時間を長くすることが可能となる。
【0018】
(4)前記放射線撮像装置は、前記蓄電部に蓄電された電気エネルギの残量を検出する残量検出部をさらに備え、前記読出制御部は、前記残量検出部の検出結果に基づいて前記サンプリング回数を制御してもよい。
【0019】
具体的に、前記読出制御部は、所定の閾値以上の残量を前記残量検出部が検出した場合に、オーバサンプリング方式によるAD変換を行うように前記AD変換器を制御し、一方で、前記閾値未満の残量を前記残量検出部が検出した場合に、前記オーバサンプリング方式によるAD変換を解除すればよい。
【0020】
この場合でも、前記残量に応じて電力消費量を調整することができ、従って、前記残量が前記閾値未満であれば、サンプリング時間を短くして前記蓄電部の持ち時間を長くすることが可能となる。
【0021】
次に、前記オフセット画像信号の取得に関して、電力消費の抑制と高画質の放射線画像の取得とを共に実現するための具体的構成(5)〜(10)について説明する。
【0022】
(5)前記読出制御部は、前記電源部の状態に基づいて前記信号読出部が前記放射線変換パネルから前記オフセット画像信号を連続して読み出すか否かを判断する。これにより、電力消費を抑制しつつ前記オフセット画像を取得することが可能となる。
【0023】
(6)前記電源部は、外部から蓄電可能な蓄電部を有し、前記読出制御部は、前記蓄電部の状態に基づいて前記オフセット画像信号を連続して読み出すか否かを判断すればよい。前記蓄電部の状態を考慮して前記オフセット画像信号を連続して読み出しすべきか否かが決定されるので、前記蓄電部の持ち時間を長くすることも可能となる。
【0024】
(7)前記放射線撮像装置は、外部から前記蓄電部への給電の有無を検出する給電状態検出部をさらに備え、前記読出制御部は、前記給電状態検出部の検出結果に基づいて前記オフセット画像信号を連続して読み出すか否かを判断してもよい。
【0025】
具体的に、前記読出制御部は、外部から前記蓄電部への給電を前記給電状態検出部が検出した場合に、前記オフセット画像信号を連続して読み出すように前記信号読出部を制御し、一方で、前記蓄電部が外部から給電を受けていないことを前記給電状態検出部が検出した場合に、前記オフセット画像信号の連続した読み出しを禁止する。
【0026】
これにより、前記蓄電部に対する給電の有無に応じて電力消費量を調整することができる。従って、前記蓄電部に対する給電がなければ、前記オフセット画像信号の連続読み出しを禁止して前記蓄電部の持ち時間を長くすることが可能となる。
【0027】
(8)前記放射線撮像装置は、前記蓄電部に蓄電された電気エネルギの残量を検出する残量検出部をさらに備え、前記読出制御部は、前記残量検出部の検出結果に基づいて前記オフセット画像信号を連続して読み出すか否かを判断してもよい。
【0028】
具体的に、前記読出制御部は、所定の閾値以上の残量を前記残量検出部が検出した場合に、前記オフセット画像信号を連続して読み出すように前記信号読出部を制御し、一方で、前記閾値未満の残量を前記残量検出部が検出した場合に、前記オフセット画像信号の連続した読み出しを禁止する。
【0029】
このように、前記残量に応じて前記オフセット画像信号を連続して読み出せばよいか否かが決定されるので、前記オフセット画像信号の連続読み出しに起因した早い電力消費を確実に抑えることができる。従って、前記残量が前記閾値未満であれば、前記オフセット画像信号の連続読み出しを禁止して前記蓄電部の持ち時間を長くすることが可能となる。
【0030】
(9)前記放射線撮像装置は、前記放射線画像信号に対するオフセット補正用画像を生成する補正用画像生成部と、前記オフセット補正用画像を用いて前記放射線画像に対するオフセット補正処理を行うオフセット補正処理部とをさらに備えてもよい。
【0031】
この場合、前記補正用画像生成部は、前記信号読出部が前記放射線変換パネルから読み出した1回分のオフセット画像信号に応じたオフセット画像を前記オフセット補正用画像とするか、又は、前記信号読出部が前記放射線変換パネルから連続して読み出した各オフセット画像信号を平均化し、平均化したオフセット画像信号に応じたオフセット画像を前記オフセット補正用画像とする。
【0032】
上記のように、前記電源部の状態が許す限り、前記信号読出部は、前記放射線変換パネルから前記オフセット画像信号を連続して読み出すことが可能であるため、前記補正用画像生成部が前記各オフセット画像を平均化して前記オフセット補正用画像を生成すれば、前記オフセット画像に重畳したノイズ成分が除去されたオフセット補正用画像を確実に得ることができる。従って、前記ノイズ成分が除去された前記オフセット補正用画像を用いて前記放射線画像信号に対するオフセット補正処理を行うことにより、ノイズ成分の重畳量が少ない所望の放射線画像を取得することができる。
【0033】
なお、前記電源部の状態によって1回分のオフセット画像しか取得できない場合であっても、該オフセット画像を前記オフセット補正用画像とすることで、オフセット補正処理を確実に行うことが可能である。この場合、1回分のオフセット画像は、前記放射線の照射直前の時点で取得されるオフセット画像であることが望ましい。
【0034】
また、前記補正用画像生成部は、前記放射線変換パネルに前記放射線が照射される直前に前記信号読出部が読み出した最後のオフセット画像信号と、該最後のオフセット画像信号以前に前記信号読出部が読み出した他のオフセット画像信号との信号レベル差の絶対値が所定の閾値を超える場合に、当該他のオフセット画像信号を前記各オフセット画像信号の平均化処理の対象から除外してもよい。
【0035】
このように、できる限り前記放射線の照射直前のオフセット画像信号を用いて平均化処理を行うことで、オフセット補正処理に最適なオフセット補正用画像を生成することが可能となる。
【0036】
(10)前記放射線撮像装置は、前記オフセット画像、前記オフセット補正用画像及び前記放射線画像を記憶する画像メモリをさらに備え、前記放射線撮像装置が複数回の放射線画像の撮像を行う場合に、前記読出制御部は、前記オフセット補正処理部でのオフセット補正処理後に前記画像メモリに記憶された前記オフセット画像及び前記オフセット補正用画像を消去して、前記放射線変換パネルから前記信号読出部への前記オフセット画像信号の読み出しを再開させてもよい。
【0037】
次回の撮像前に前記画像メモリ内のオフセット画像及びオフセット補正用画像を消去することで、次回の撮像で得られた放射線画像に対して前記オフセット画像及び前記オフセット補正用画像が誤って用いられることを回避することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、電源部の状態に基づいて信号読出部での画像信号の読み出しを制御するので、電力消費を抑えつつ、高画質の放射線画像を取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施形態に係る電子カセッテが適用される放射線撮像システムの構成図である。
【図2】図1の電子カセッテの斜視図である。
【図3】図1の電子カセッテのブロック図である。
【図4】図1の電子カセッテを用いた被写体の撮像を説明するためのフローチャートである。
【図5】図4のステップS1の処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図6】図4のステップS1の処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図7】オフセット画像の取得から放射線画像の読み取りまでの流れを説明するためのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明に係る放射線撮像装置の好適な実施形態について、図1〜図7を参照しながら以下詳細に説明する。
【0041】
[放射線撮像装置の構成の説明]
図1は、本実施形態に係る放射線撮像装置としての電子カセッテ20が適用される放射線撮像システム10の構成図である。
【0042】
放射線撮像システム10は、ベッド等の撮影台12に横臥した被写体14である患者に対して、放射線16を照射する放射線装置18と、被写体14を透過した放射線16を検出して放射線画像に変換する電子カセッテ20と、画像処理装置として機能すると共に放射線撮像システム10全体を制御するシステムコントローラ24と、ユーザの入力操作を受け付けるコンソール26と、撮像した放射線画像等を表示する表示装置28とを備える。
【0043】
システムコントローラ24と、電子カセッテ20と、表示装置28との間には、例えば、UWB(Ultra Wide Band)、IEEE802.60.a/b/g/n等の無線LAN(Local Area Network)、又は、ミリ波等を用いた無線通信により信号の送受信が行われる。なお、ケーブルを用いた有線通信により信号の送受信を行ってもよい。
【0044】
システムコントローラ24には、病院内の放射線科において取り扱われる放射線画像やその他の情報を統括的に管理する放射線科情報システム(RIS)30が接続され、RIS30には、病院内の医事情報を統括的に管理する医事情報システム(HIS)32が接続されている。
【0045】
放射線装置18は、放射線16を照射する放射線源34と、放射線源34を制御する放射線制御装置36と、放射線スイッチ38とを備える。放射線源34は、電子カセッテ20に対して放射線16を照射する。放射線源34が照射する放射線16は、X線、α線、β線、γ線、電子線等であってもよい。放射線スイッチ38は、2段階のストロークを持つように構成され、放射線制御装置36は、放射線スイッチ38がユーザによって半押されると放射線16の照射準備を行い、全押されると放射線源34から放射線16を照射させる。放射線制御装置36は、図示しない入力装置を有し、ユーザは、前記入力装置を操作することで、放射線16の照射時間、管電圧、管電流等の値を設定することができる。放射線制御装置36は、設定された照射時間等に基づいて、放射線源34から放射線16を照射させる。なお、放射線装置18は、システムコントローラ24及び電子カセッテ20との間で、無線通信により信号の送受信を行ってもよい。
【0046】
図2は、図1に示す電子カセッテ20の斜視図である。
【0047】
電子カセッテ20は、撮影台12と被写体14との間に配置されるパネル部40と、該パネル部40上に配置された制御部42とを備える可搬型の電子カセッテである。なお、パネル部40の厚みは、制御部42の厚みよりも薄く設定されている。
【0048】
パネル部40は、放射線16を透過可能な材料からなる略矩形状の筐体44を有し、被写体14が横臥する筐体44の上面は、放射線16が照射される照射面46とされている。照射面46には、被写体14の撮像領域及び撮像位置を示すガイド線48が形成され、ガイド線48の外枠は、放射線16の最大照射範囲(照射野)を示す撮像可能領域50とされている。また、ガイド線48の中心位置(十字状に交差する2本のガイド線48の交点)は、該撮像可能領域50の中心位置である。
【0049】
筐体44内には、被写体14を透過して筐体44内に入射した放射線16を放射線画像に変換する放射線変換パネル52が収容されている。放射線変換パネル52は、放射線16を可視光等の他の波長の電磁波に変換するシンチレータ54と、該シンチレータ54により変換された電磁波を電気信号に変換する光電変換層56とから構成された、いわゆる間接変換型の放射線検出器である。
【0050】
なお、図2では、放射線16の照射方向に沿って光電変換層56とシンチレータ54との順に配置された表面読取方式としてのISS(Irradiation Side Sampling)方式の放射線検出器を図示しているが、放射線16の照射方向に沿ってシンチレータ54と光電変換層56との順に配置された、裏面読取方式であるPSS(Penetration Side Sampling)方式の放射線検出器であってもよい。また、シンチレータ54としては、例えば、ヨウ化セシウム(CsI)又はガドリニウム・オキサイド・サルファ(GOS)から構成されるシンチレータを用いればよい。さらに、本実施形態では、上述した間接変換型の放射線検出器に代えて、シンチレータ54を用いずに放射線16を電気信号に直接変換する、いわゆる直接変換型の放射線検出器を使用することも可能である。以下の説明では、図2のISS方式の放射線変換パネル52を用いた場合について説明する。
【0051】
一方、制御部42は、放射線16を透過しない材料からなる略矩形状の筐体58を有し、筐体44における撮像可能領域50以外の箇所に配置されている。なお、筐体58は、放射線16が照射されることのない箇所に配置できればよいので、撮像可能領域50内であっても、放射線16が照射されず且つ被写体14にとり邪魔にならない箇所に配置してもよい。また、筐体44の一部を突出させて、その突出部分を制御部42として構成してもよい。
【0052】
図3は、電子カセッテ20のブロック構成図である。
【0053】
前述の制御部42は、電子カセッテ20全体を制御するカセッテ制御部60と、システムコントローラ24及び放射線装置18との間で無線通信により信号の送受信を行う通信部62と、電子カセッテ20全体の電源である電源部64と、光電変換層56を駆動させるためのバイアス電源66とを有する。
【0054】
光電変換層56は、放射線16を電荷に変換して蓄積可能なpin型のフォトダイオードやフォトトランジスタ等の光電変換素子68と、スイッチング素子としての薄膜トランジスタ(Thin Film Transitor;TFT)70とを有する。なお、図3では、光電変換素子68がpin型のフォトダイオードである場合を図示している。
【0055】
この場合、光電変換層56では、ガラス又は樹脂からなる基板の一面に複数の信号線72とゲート線74とを互いに交差させるように配設し、各ゲート線74と各信号線72とにより区画された小領域に光電変換素子68とTFT70とをそれぞれ設けることで、前記基板に複数の光電変換素子68及び複数のTFT70を二次元マトリクス状に配列させている。また、1つの光電変換素子68には1本のバイアス線76が接続され、各バイアス線76は、バイアス電源66と接続された1本の結線78に接続されている。
【0056】
ここで、光電変換素子68のアノード電極は、バイアス線76に接続され、カソード電極は、TFT70のソース電極Sに接続されている。一方、TFT70のゲート電極Gは、ゲート線74を介してゲート駆動回路80に接続され、ドレイン電極Dは、信号線72を介して信号読出回路(信号読出部)82に接続されている。
【0057】
バイアス電源66は、結線78及び各バイアス線76を介して各光電変換素子68に逆方向にバイアス電圧(逆バイアス電圧)を印加する。なお、図3では、pin型の光電変換素子68のp層側にアノード電極を介してバイアス線76が接続されているので、バイアス電源66からは、光電変換素子68のアノード電極に結線78及びバイアス線76を介して逆バイアス電圧として負の電圧(カソード電極よりも所定電圧以上低い電圧であればよい。)が印加されるようになっている。なお、光電変換素子68のpin型の積層順を逆に形成して(光電変換素子68の極性が逆となるように形成して)カソード電極にバイアス線76を接続する場合には、バイアス電源66からはカソード電極に逆バイアス電圧として正の電圧(アノード電極よりも所定電圧以上高い電圧であればよい。)が印加される。その場合には、図3における光電変換素子68のバイアス電源66に対する接続の向きが逆向きになる。
【0058】
ゲート駆動回路80からゲート線74を介してTFT70のゲート電極Gに信号読み出し用の電圧が印加されると、TFT70のゲートが開き、光電変換素子68に蓄積された電荷、すなわち、電気信号(放射線画像信号)が、TFT70のソース電極Sを介してドレイン電極Dから信号線72に読み出される。
【0059】
信号読出回路82では、各信号線72に対して、増幅器84、サンプルホールド回路86、マルチプレクサ88及びAD変換器90が順に接続されている。従って、各信号線72を介して読み出された電気信号は、チャージアンプからなる増幅器84によって増幅され、サンプルホールド回路86によってサンプリングされた後、マルチプレクサ88を介してAD変換器90に順次供給され、デジタル信号(デジタル値)に変換される。AD変換器90は、デジタル値に変換された各光電変換素子68の電気信号をカセッテ制御部60に順次出力する。
【0060】
電源部64は、電源回路92と電源(蓄電部)94とを有する。電源94は、外部からの給電により充電可能なバッテリ又はキャパシタ等の蓄電手段である。この場合、電源部64に対する給電の方式は、無線による給電、又は、有線による給電、いずれの方式であっても構わない。また、電源回路92は、電源94の電圧を所望の電圧に変換して電子カセッテ20内の各部に供給可能なDC/DCコンバータ等の電力変換回路である。
【0061】
カセッテ制御部60は、マイクロコンピュータを含む計算機であり、図示しないCPUがROMに記録されているプログラムを読み出し実行することで各種機能を実現する。
【0062】
具体的に、カセッテ制御部60は、オフセット画像取得部(読出制御部)98、画像メモリ100、補正用画像生成部102、給電状態検出部104、残量検出部106、オーバサンプリング動作制御部(読出制御部)108、記憶部110及びオフセット補正処理部112を有する。
【0063】
給電状態検出部104は、外部から電源94に対する給電が行なわれているか否かを判定(検出)する。残量検出部106は、電源94の現在の残量を検出する。記憶部110は、電子カセッテ20を特定するためのカセッテID情報を記憶する。
【0064】
オフセット画像取得部98は、被写体14に対する放射線16の照射(撮像)が行われる前、すなわち、放射線変換パネル52に放射線16が入射される前の時間帯において、各光電変換素子68の暗電流を含むオフセット画像信号を、各信号線72を介して読み出すように、ゲート駆動回路80及び信号読出回路82を制御する。また、オフセット画像取得部98は、給電状態検出部104での判定結果や、残量検出部106で検出された電源94の現在の残量に基づいて、オフセット画像信号を連続して読み出すか否かを判定し、その判定結果に従って、ゲート駆動回路80及び信号読出回路82を制御することも可能である。
【0065】
オーバサンプリング動作制御部108は、給電状態検出部104での判定結果や、残量検出部106で検出された電源94の現在の残量に基づいて、AD変換器90でのAD変換のサンプリング回数を決定し、決定したサンプリング回数でAD変換を行うようにAD変換器90を制御する。すなわち、オーバサンプリング動作制御部108は、給電状態検出部104での判定結果や電源94の現在の残量に基づいて、オーバサンプリング方式によるAD変換を行うか、又は、オーバサンプリング方式によるAD変換を解除するかの判定処理を行い、その判定結果に応じたサンプリング回数を決定する。従って、オーバサンプリング動作制御部108は、放射線画像に応じた電気信号(放射線画像信号)に対するAD変換に限らず、オフセット画像に応じたオフセット画像信号に対するAD変換についても、オーバサンプリング方式によるAD変換の実施の要否及びサンプリング回数を決定する。
【0066】
画像メモリ100は、放射線変換パネル52から取得した1枚以上のオフセット画像、及び、放射線変換パネル52から取得した放射線画像を記憶する。
【0067】
補正用画像生成部102は、画像メモリ100に複数枚のオフセット画像が記憶されていれば、これらのオフセット画像を用いて平均化処理を行い、平均化処理後のオフセット画像を、オフセット補正処理部112でのオフセット補正処理に用いるオフセット補正用画像として画像メモリ100に記憶する。また、補正用画像生成部102は、画像メモリ100に1枚のオフセット画像しか記憶されていない場合には、当該オフセット画像をオフセット補正用画像として決定する。
【0068】
オフセット補正処理部112は、補正用画像生成部102で生成(決定)されたオフセット補正用画像を用いて放射線画像に対するオフセット補正処理を行い、オフセット補正処理後の放射線画像を画像メモリ100に記憶する。なお、オフセット補正処理後、画像メモリ100では、オフセット画像及びオフセット補正用画像が消去される。
【0069】
[本実施形態に係る放射線撮像装置の動作]
次に、本実施形態に係る電子カセッテ20を含む放射線撮像システム10の動作について、図4〜図6のフローチャートと、図7のタイムチャートとに従って説明する。なお、この動作説明では、必要に応じて、図1〜図3も参照しながら説明する。
【0070】
先ず、ユーザは、放射線源34と放射線変換パネル52との間の距離をSID(線源受像画間距離)に調整すると共に、照射面46に被写体14を配置させて、該被写体14の撮像部位が撮像可能領域50に入り、且つ、該撮像部位の中心位置が撮像可能領域50の中心位置と略一致するように、該被写体14のポジショニングを行う。
【0071】
次に、ユーザは、コンソール26を操作して被写体14の撮像部位を選択する。システムコントローラ24は、ユーザにより選択された撮像部位に応じた撮像条件を設定する。なお、システムコントローラ24が撮像部位の画像を表示装置28に予め表示させることにより、ユーザが前記画像を見ながら被写体14の撮像部位を選択することも可能である。また、ユーザが撮像部位を選択した場合、システムコントローラ24は、選択された撮像部位と撮像条件とを表示装置28に表示させて、前記撮像条件の内容をユーザに視認させてもよい。
【0072】
次に、システムコントローラ24は、図示しない自身の通信部を介して電子カセッテ20の通信部62に起動信号を送信する。この場合、電子カセッテ20の電源部64は、カセッテ制御部60及び通信部62に対しては常時電力供給を行っており、通信部62が前記起動信号を受信すると、カセッテ制御部60は、バイアス電源66にも電力供給を行うように電源部64を制御する。これにより、バイアス電源66は、逆バイアス電圧を各光電変換素子68に印加し、該各光電変換素子68は、電荷蓄積が可能な状態に至る。なお、被写体14に対して複数枚の撮像を行う場合には、起動信号と共に、複数枚の撮像を指示するための指示信号を通信部62に送信してもよい。
【0073】
また、ユーザは、設定した撮像条件で放射線源34から放射線16が照射されるようにするために、放射線制御装置36に設けられた図示しない入力装置を操作して、システムコントローラ24側で設定した撮像条件と同一の撮像条件を放射線制御装置36にも設定させる。なお、システムコントローラ24と放射線装置18との間において、無線通信による信号の送受信が可能であれば、システムコントローラ24が設定した撮影条件を放射線装置18に送信してもよい。
【0074】
次に、図4のステップS1(図7の時刻t1から時刻t3の時間帯、又は、時刻t2)において、カセッテ制御部60のオフセット画像取得部98は、放射線装置18からの放射線16の照射に先立って、ゲート駆動回路80及び信号読出回路82を制御して、全ての光電変換素子68から暗電流を含むオフセット画像信号を読み出し、オフセット画像信号に応じたオフセット画像を取得する。オフセット画像は、画像メモリ100に一旦記憶される。次に、補正用画像生成部102は、画像メモリ100に記憶されたオフセット画像を用いてオフセット補正用画像を生成し、生成したオフセット補正用画像を画像メモリ100に記憶する。なお、オフセット画像の取得処理及びオフセット補正用画像の生成処理の詳細については、後述する。
【0075】
オフセット画像取得後の時刻t3において、カセッテ制御部60は、全てのTFT70をオフ状態とする。
【0076】
この状態で、ユーザにより放射線スイッチ38が押されると、放射線源34は、撮像条件に従った所定の線量からなる放射線16を所定の曝射時間だけ被写体14に照射する(図4のステップS2、及び、図7の時刻t4から時刻t5までの時間帯)。これにより、放射線16は、被写体14を透過して筐体44内の放射線変換パネル52に至り、シンチレータ54は、放射線16の強度に応じた強度の可視光を発光し、光電変換層56を構成する各光電変換素子68は、可視光を電気信号に変換し、電荷として蓄積する(ステップS3)。
【0077】
なお、放射線装置18と電子カセッテ20との間において、無線通信による信号の送受信が可能であれば、ユーザが放射線スイッチ38を半押した時点で、放射線制御装置36から通信部62に放射線16の照射準備を示す信号を送信し、カセッテ制御部60は、通信部62を介した前記信号の受信に基づいて、ゲート駆動回路80を制御して、全TFT70をオフ状態にしてもよい(図7の時刻t3)。
【0078】
次に、放射線16の照射後(図7の時刻t5から時刻t6までの時間帯)、給電状態検出部104は、電源94が外部から給電を受けているか否かを判定し、その判定結果をオーバサンプリング動作制御部108に出力する。一方、残量検出部106も電源94の現在の残量を検出し、検出した残量をオーバサンプリング動作制御部108に出力する。
【0079】
ステップS4(図7の時刻t6)において、オーバサンプリング動作制御部108は、各光電変換素子68から電荷(電気信号)を読み出して該電気信号に応じた放射線画像を取得する際に、電気信号に対するオーバサンプリング方式によるAD変換をAD変換器90に実行させるべきか否かを、給電状態検出部104での判定結果や残量検出部106で検出された電源94の現在の残量に基づき判定する。
【0080】
具体的に、外部から電源94への給電が現在行なわれている場合には、外部から電力供給を受けているため、オーバサンプリング方式によるAD変換を行っても、電源94の残量低下は発生しない。また、電源94が外部から給電を受けていない場合でも、電源94の現在の残量が、オーバサンプリング方式によるAD変換に必要な電力量と電子カセッテ20の動作に必要な電力量とを考慮した所定の閾値以上であれば、オーバサンプリング方式によるAD変換を実施可能である。
【0081】
そこで、オーバサンプリング動作制御部108は、外部から電源94への給電が現在行なわれていることを示す判定結果である場合や、電源94の現在の残量が前記閾値以上である場合には(ステップS4:YES)、オーバサンプリング方式によるAD変換の実施を決定し、次に、そのサンプリング回数も決定する(ステップS5)。
【0082】
一方、外部から電源94への給電が行なわれていない場合には、オーバサンプリング方式によるAD変換を行えば、電源94の電力消費が早く進む可能性がある。また、電源94の現在の残量が前記閾値未満であれば、オーバサンプリング方式によるAD変換を実施すれば、電子カセッテ20を動作させるだけの電力量を確保できなくなる可能性がある。
【0083】
そこで、オーバサンプリング動作制御部108は、外部から電源94への給電が現在行なわれていないことを示す判定結果である場合や、電源94の現在の残量が前記閾値未満である場合には(ステップS4:NO)、オーバサンプリング方式によるAD変換を解除(オーバサンプリング方式によるAD変換の実施を中止)し、次に、オーバサンプリング方式でのサンプリング回数未満のサンプリング回数でAD変換を実施することを決定する(ステップS6)。
【0084】
そして、ステップS7において、カセッテ制御部60(のオーバサンプリング動作制御部108)は、ゲート駆動回路80を制御して、ゲート駆動回路80から1本のゲート線74に信号読み出し用の電圧を印加させる。これにより、該ゲート線74にゲート電極Gが接続されている全てのTFT70のゲートが開き、これらのTFT70が接続されている各光電変換素子68に蓄積された電荷(図3のpin型の光電変換素子68では電子)が、電気信号として各信号線72にそれぞれ読み出される。各増幅器84は、読み出された電気信号を増幅し、各サンプルホールド回路86は、増幅後の電気信号をサンプリングし、マルチプレクサ88を介してAD変換器90に順次供給する。
【0085】
この場合、AD変換器90では、オーバサンプリング動作制御部108によって決定されたサンプリング回数に従って、順次供給された電気信号に対するAD変換を行い、デジタル信号に変換する(ステップS8)。デジタル信号に変換された電気信号に応じた放射線画像は、カセッテ制御部60の画像メモリ100に一旦記憶される(ステップS9)。
【0086】
このようにして、1本のゲート線74に接続された各光電変換素子68に対する電気信号(に応じた放射線画像)の読み出しの完了後、カセッテ制御部60は、ゲート駆動回路80を制御して、信号読み出し用の電圧を印加するゲート線74を順次切り替え、切り替えたゲート線74に接続された各光電変換素子68に対する電気信号の読み出しを順次行う。従って、電子カセッテ20では、全てのゲート線74に接続された各光電変換素子68からの放射線画像の読み出しが完了するまで(ステップS10:YES)、ステップS7〜S10の処理を繰り返し行う(図7の時刻t7後の時刻t8から時刻t9までの時間帯)。
【0087】
このようにして、全ての光電変換素子68からの放射線画像の読み出しが完了し、被写体14の放射線画像が画像メモリ100に記憶された後のステップS11において、オフセット補正処理部112は、画像メモリ100に記憶されたオフセット補正用画像を用いて放射線画像に対するオフセット補正処理を行い、オフセット補正処理後の放射線画像を画像メモリ100に記憶する。
【0088】
次に、カセッテ制御部60は、画像メモリ100に記憶されたオフセット補正処理後の放射線画像と、記憶部110に記憶されたカセッテID情報とを共に通信部62を介して無線通信によりシステムコントローラ24に送信する。システムコントローラ24は、受信した放射線画像に対して所定の画像処理を行い、画像処理後の放射線画像を無線通信により表示装置28に送信する。表示装置28は、受信した放射線画像を表示する(ステップS12)。
【0089】
そして、ステップS13において、被写体14に対する撮像が完了した場合(ステップS13:YES)、被写体14を解放して撮像を終了させる。一方、被写体14に対して複数枚の撮像を行う場合であって、全ての撮像が完了していない場合には(ステップS13:NO)、カセッテ制御部60は、画像メモリ100に記憶された全てのオフセット画像及びオフセット補正用画像を消去して(ステップS14、図7の時刻t9以降)、ステップS1の処理に戻る。なお、被写体14に対する全ての撮像が完了した場合(ステップS13:YES)に、ステップS14の消去処理を行ってもよいことは勿論である。
【0090】
次に、ステップS1でのオフセット画像の取得処理及びオフセット補正用画像の生成処理について、図5及び図6を参照しながら説明する。
【0091】
図5は、図7のタイムチャートに示すように、1枚のオフセット画像のみを取得する場合(図7の時刻t2)を示したものである。また、図6は、図7のタイムチャートに示すように、複数枚のオフセット画像を所定の時間間隔で連続して取得する場合(図7の時刻t1から時刻t3の時間帯)を示したものである。
【0092】
先ず、図5のフローチャートによる1枚のオフセット画像の取得処理について説明する。
【0093】
ステップS21において、光電変換層56に対するリセット処理を行う。
【0094】
すなわち、カセッテ制御部60は、放射線16の照射に先立って、全ての増幅器84の図示しない電荷リセット用のスイッチをオン状態にすると共に、ゲート駆動回路80を制御して、各ゲート線74を介して全てのTFT70のゲート電極Gに信号読み出し用の電圧を印加してオン状態とする。これにより、全ての光電変換素子68の内部や各信号線72及び増幅器84等に蓄積されている不要な電荷が放電され、電子カセッテ20が初期状態となる。その後、カセッテ制御部60は、ゲート駆動回路80を制御して、全てのTFT70のゲート電極Gに対する信号読み出し用の電圧の印加を停止し、各TFT70をオフ状態とする。
【0095】
そして、オフセット画像取得部98によりオフセット画像を取得すべきと判定されるまで、すなわち、上記の不要な電荷が十分に放電されるようなリセット処理回数に到達するまで、ステップS21のリセット処理が所定時間間隔で繰り返し行われる。
【0096】
ステップS22において、オフセット画像を取得可能な状態になったとオフセット画像取得部98が判定した場合(ステップS22:YES)、給電状態検出部104は、電源94が外部から給電を受けているか否かを判定し、その判定結果をオーバサンプリング動作制御部108に出力する。また、残量検出部106も電源94の現在の残量を検出し、検出した残量をオーバサンプリング動作制御部108に出力する。
【0097】
次に、オーバサンプリング動作制御部108は、給電状態検出部104での判定結果や、残量検出部106で検出された電源94の現在の残量に基づいて、各光電変換素子68から暗電流を含むオフセット画像信号を読み出して該オフセット画像信号に応じたオフセット画像を取得する場合に、オフセット画像信号に対するオーバサンプリング方式によるAD変換をAD変換器90に実行させるべきか否かを判定する(ステップS23)。
【0098】
具体的には、図4のステップS4と同様の判定処理を行えばよい。すなわち、オーバサンプリング動作制御部108は、外部から電源94への給電が現在行なわれていることを示す判定結果である場合や、電源94の現在の残量が前記閾値以上である場合には(ステップS23:YES)、オーバサンプリング方式によるAD変換の実施を決定し、そのサンプリング回数も決定する(ステップS24)。
【0099】
また、オーバサンプリング動作制御部108は、外部から電源94への給電が現在行なわれていないことを示す判定結果である場合や、電源94の現在の残量が前記閾値未満である場合には(ステップS23:NO)、オーバサンプリング方式によるAD変換を解除し、次に、オーバサンプリング方式でのサンプリング回数未満のサンプリング回数でAD変換を実施することを決定する(ステップS25)。
【0100】
そして、ステップS26において、電子カセッテ20は、図4のステップS7〜S10と同様の動作を行うことにより、各光電変換素子68からオフセット画像信号に応じた1枚のオフセット画像を取得する。この結果、画像メモリ100には、1枚のオフセット画像が記憶される。従って、補正用画像生成部102は、画像メモリ100に記憶された1枚のオフセット画像をオフセット補正用画像として決定する。
【0101】
なお、上述したステップS7〜S10の説明において、電荷、電気信号又は放射線画像の読み出しに関わる文言を、オフセット画像信号と置き換えることにより、ステップS26でのオフセット画像の取得処理の説明となるので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0102】
次に、カセッテ制御部60は、ステップS27において、ステップS21と同様のリセット処理を再開させ、放射線16の照射直前(ステップS28:YES、図7の時刻t3)までリセット処理を繰り返し行わせる。
【0103】
このようにして、1枚のオフセット画像が画像メモリ100に記憶された場合、図4のステップS11において、オフセット補正処理部112は、オーバサンプリング方式によるAD変換で取得された1枚のオフセット画像(オフセット補正用画像)を用いて、画像メモリ100に記憶された放射線画像に対するオフセット補正処理を行う。
【0104】
図5のフローチャートによる処理の場合、各光電変換素子68間でオフセット画像信号のバラツキがあっても、オーバサンプリング方式によるAD変換によって1枚のオフセット画像を取得することで、前記バラツキの影響が低減されたオフセット補正用画像を生成することができ、この結果、該オフセット補正用画像を用いて放射線画像に対するオフセット補正処理を行えば、高画質の放射線画像を得ることができる。
【0105】
次に、図6のフローチャートによる複数枚のオフセット画像の取得処理について説明する。
【0106】
先ず、ステップS31において、ステップS26と同様のオフセット画像の取得処理を行う。なお、ステップS31において、AD変換器90は、オーバサンプリング方式によるサンプリング回数よりも少ないサンプリング回数にて各オフセット画像信号に対するAD変換を行う。
【0107】
次のステップS32において、オフセット画像取得部98は、オフセット画像の取得処理を終了させるべきか否かを判定する。この場合、オフセット画像取得部98は、放射線16の照射直前(図7の時刻t3)であればオフセット画像の取得処理を完了させ(ステップS32:YES)、一方で、時刻t3に到達していない場合には(ステップS32:NO)、ステップS31を繰り返し実行する。
【0108】
時刻t3後のステップS33において、2枚以上のオフセット画像が取得されて画像メモリ100に記憶されている場合(ステップS33:YES)、補正用画像生成部102は、次のステップS34において、各オフセット画像の平均化処理を行うにあたり、平均化処理の対象となるオフセット画像を選択する。この場合、放射線16の照射直前に取得した最後のオフセット画像と、該最後のオフセット画像以前に取得した他のオフセット画像とについて、それぞれのオフセット画像信号のレベル差の絶対値が所定の閾値を超える場合には、当該他のオフセット画像信号を平均化処理の対象から除外する。
【0109】
すなわち、補正用画像生成部102は、所定の閾値をSthとしたときに、図7の時刻t1から時刻t3までの間に連続して取得し続けたオフセット画像信号の信号レベルSi(i=1、2、3、…)と、放射線16の照射直前の最後のオフセット画像信号の信号レベルStとについて、|Si−St|>Sthとなるようなオフセット画像信号については、平均化処理の対象から除外する。
【0110】
例えば、電子カセッテ20の温度、外部からの振動、地磁気、浮遊容量等に起因したランダムノイズがオフセット画像信号に重畳することにより、信号レベルSiが他のオフセット画像信号の信号レベルと比較して極端に大きくなる場合には、|Si−St|>Sthの判定処理を行うことにより、極端に大きな信号レベルSiのオフセット画像信号を除外することができる。
【0111】
また、電子カセッテ20の起動時に近い時刻t1では、装置全体が安定していないため、その信号レベルS1は変動しやすく、信号レベルStと比較して極端に大きくなる場合がある。従って、この場合でも、|S1−St|>Sthの判定処理を行うことにより、極端に大きな信号レベルS1のオフセット画像信号を除外することができる。
【0112】
次に、ステップS35において、補正用画像生成部102は、選択したオフセット画像(に応じたオフセット画像信号)を用いて平均化処理を行い、平均化処理後のオフセット画像をオフセット補正用画像として画像メモリ100に記憶する。
【0113】
一方、ステップS33において、1枚のオフセット画像のみ(例えば、放射線16の照射直前のオフセット画像のみ)しか取得できなかった場合には(ステップS33:NO)、補正用画像生成部102は、取得した1枚のオフセット画像をオフセット補正用画像とする。
【0114】
このようにして、1枚のオフセット補正用画像が画像メモリ100に記憶された場合、図4のステップS11において、オフセット補正処理部112は、該1枚のオフセット補正用画像を用いて画像メモリ100に記憶された放射線画像に対するオフセット補正処理を行う。
【0115】
図6の場合には、極端に大きな信号レベルのオフセット画像がたまたま得られたとしても、そのオフセット画像を除外した後に、各オフセット画像に対する平均化処理を行うので、オフセット画像に重畳したノイズ成分(ランダムノイズ)を除去してオフセット補正用画像を生成することができ、この結果、該オフセット補正用画像を用いて放射線画像に対するオフセット補正処理を行えば、高画質の放射線画像を得ることができる。
【0116】
なお、前述したように、複数枚の撮像であって、全ての撮像が完了していない場合(ステップS13:NO)、画像メモリ100に記憶された全てのオフセット画像及びオフセット補正用画像を消去して(ステップS14、図7の時刻t9以降)、ステップS1の処理に戻るが、その際、図5の場合にはリセット処理が再開され(ステップS21)、一方で、図6の場合にはオフセット画像の取得処理が再開される(ステップS31)。
【0117】
[本実施形態に係る放射線撮像装置の効果]
以上説明したように、本実施形態に係る電子カセッテ20によれば、電源部64の電源94の状態に基づいて、信号読出回路82での電気信号(放射線画像信号)又はオフセット画像信号の読み出しを制御するので、電力消費を抑えつつ、高画質の放射線画像を取得することが可能となる。つまり、本実施形態では、オフセット画像及び放射線画像のいずれの画像を取得する場合であっても、電源94の状態に従って各画像信号の読み出しを制御することにより、電力消費の抑制と高画質の放射線画像の取得とを共に実現することができる。
【0118】
この場合、オーバサンプリング動作制御部108は、電源94の状態を考慮して、AD変換器90におけるAD変換のサンプリング回数を制御するので、電力消費を抑制しつつ、オフセット画像及び放射線画像を取得することが可能となり、この結果、高画質の放射線画像を取得することができる。
【0119】
すなわち、オーバサンプリング動作制御部108は、外部から電源94への給電を給電状態検出部104が検出した場合に、オーバサンプリング方式によるAD変換を行うようにAD変換器90を制御し、一方で、電源94が外部から給電を受けていないことを給電状態検出部104が検出した場合に、オーバサンプリング方式によるAD変換を解除する。これにより、電源94に対する給電の有無に応じて電力消費量を調整することができる。従って、電源94に対する給電がなければ、サンプリング時間を短くして電源94の持ち時間を長くすることが可能となる。
【0120】
また、オーバサンプリング動作制御部108は、残量検出部106が検出した電源94の現在の残量に基づいてサンプリング回数を制御する。すなわち、オーバサンプリング動作制御部108は、所定の閾値以上の残量を残量検出部106が検出した場合に、オーバサンプリング方式によるAD変換を行うようにAD変換器90を制御し、一方で、閾値未満の残量を残量検出部106が検出した場合に、オーバサンプリング方式によるAD変換を解除する。この場合でも、残量に応じて電力消費量を調整することができ、従って、残量が閾値未満であれば、サンプリング時間を短くして電源94の持ち時間を長くすることが可能となる。
【0121】
また、オフセット画像取得部98は、電源94の状態を考慮して、信号読出回路82が放射線変換パネル52(の各光電変換素子68)からオフセット画像信号を連続して読み出すか否かを判断するので、電力消費を抑制しつつオフセット画像を取得することが可能となり、この結果、高画質の放射線画像を取得することができる。
【0122】
この場合、オフセット画像取得部98は、給電状態検出部104の検出結果に基づいてオフセット画像信号を連続して読み出すか否かを判断する。すなわち、オフセット画像取得部98は、外部から電源94への給電を給電状態検出部104が検出した場合に、オフセット画像信号を連続して読み出すように信号読出回路82を制御し、一方で、電源94が外部から給電を受けていないことを給電状態検出部104が検出した場合に、オフセット画像信号の連続した読み出しを禁止する。
【0123】
これにより、電源94に対する給電の有無に応じて電力消費量を調整することができる。従って、電源94に対する給電がなければ、オフセット画像信号の連続読み出しを禁止して電源94の持ち時間を長くすることが可能となる。
【0124】
また、オフセット画像取得部98は、残量検出部106が検出した残量を考慮してオフセット画像信号を連続して読み出すか否かを判断する。すなわち、オフセット画像取得部98は、所定の閾値以上の残量を残量検出部106が検出した場合に、オフセット画像信号を連続して読み出すように信号読出回路82を制御し、一方で、閾値未満の残量を残量検出部106が検出した場合に、オフセット画像信号の連続した読み出しを禁止する。
【0125】
このように、電源94の残量に応じてオフセット画像信号を連続して読み出せばよいか否かが決定されるので、オフセット画像信号の連続読み出しに起因した早い電力消費を確実に抑えることができる。従って、残量が閾値未満であれば、オフセット画像信号の連続読み出しを禁止して電源94の持ち時間を長くすることが可能となる。
【0126】
この場合、補正用画像生成部102は、信号読出回路82が各光電変換素子68から読み出した1回分のオフセット画像信号に応じたオフセット画像をオフセット補正用画像とするか、又は、信号読出回路82が各光電変換素子68から連続して読み出した各オフセット画像信号を平均化し、平均化したオフセット画像信号に応じたオフセット画像をオフセット補正用画像とする。
【0127】
電源94の状態が許す限り、信号読出回路82は、各光電変換素子68からオフセット画像信号を連続して読み出すことが可能であるため、補正用画像生成部102が各オフセット画像を平均化してオフセット補正用画像を生成すれば、オフセット画像に重畳したノイズ成分が除去されたオフセット補正用画像を確実に得ることができる。従って、ノイズ成分が除去されたオフセット補正用画像を用いて放射線画像信号に対するオフセット補正処理を行うことにより、ノイズ成分の重畳量の少ない所望の放射線画像を取得することが可能となる。
【0128】
なお、電源94の状態によって1枚分のオフセット画像しか取得できない場合であっても、該オフセット画像をオフセット補正用画像とすることで、オフセット補正処理を確実に行うことが可能である。この場合、1枚分のオフセット画像は、放射線16の照射直前の時点で取得されるオフセット画像であることが望ましい。
【0129】
また、補正用画像生成部102は、放射線変換パネル52に放射線16が照射される直前に信号読出回路82が読み出した最後のオフセット画像信号と、該最後のオフセット画像信号以前に信号読出回路82が読み出した他のオフセット画像信号との信号レベル差の絶対値が所定の閾値を超える場合に、当該他のオフセット画像信号を各オフセット画像信号の平均化処理の対象から除外する。
【0130】
このように、できる限り放射線16の照射直前のオフセット画像信号を用いて平均化処理を行うことで、オフセット補正処理に最適なオフセット補正用画像を生成することが可能となる。
【0131】
また、オフセット補正処理部112でのオフセット補正処理後に画像メモリ100に記憶されたオフセット画像及びオフセット補正用画像を消去して、放射線変換パネル52から信号読出回路82へのオフセット画像信号の読み出しを再開させると、次回の撮像で得られた放射線画像に対して前記オフセット画像及び前記オフセット補正用画像が誤って用いられることを回避することができる。
【0132】
なお、本実施形態において、シンチレータ54がCsIであれば、放射線16を低線量にしても被写体14に対する撮像が可能となる。この場合、放射線16の曝射線量に応じて電気信号の信号レベルが低くなるため、オーバサンプリング方式によるAD変換を行うことにより、CsIのシンチレータ54を用いた場合でも、高画質の放射線画像を確実に取得することができる。
【0133】
また、本実施形態では、外部からの電源94の給電の有無や、電源94の残量に応じて、オーバサンプリング方式によるAD変換を実施するか否かを判定するため、静止画撮影、動画撮影、又は、エネルギサブトラクション撮影のように、撮影の種類毎に電力消費量が異なる場合や、移動回診車のように、回診中は外部からの給電が難しい場合でも、これらの状況も考慮しつつ、オーバサンプリング方式によるAD変換を実施するか否かを判定し、あるいは、オフセット画像信号を連続して取得するか否かを判定すればよい。すなわち、静止画撮影の場合には、電力消費量が比較的少ないので、オーバサンプリング方式によるAD変換や、オフセット画像信号の連続取得を実施してもよい。一方、動画撮影又はエネルギサブトラクション撮影では電力消費量が比較的大きく、移動回診車で使用する場合には外部からの給電が難しいため、これらの場合には、オーバサンプリング方式によるAD変換やオフセット画像信号の連続取得を禁止すればよい。
【0134】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0135】
10…放射線撮像システム
16…放射線
20…電子カセッテ
52…放射線変換パネル
56…光電変換層
60…カセッテ制御部
64…電源部
68…光電変換素子
70…TFT
72…信号線
82…信号読出回路
90…AD変換器
92…電源回路
94…電源
98…オフセット画像取得部
100…画像メモリ
102…補正用画像生成部
104…給電状態検出部
106…残量検出部
108…オーバサンプリング動作制御部
112…オフセット補正処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を放射線画像に変換可能な放射線変換パネルと、
前記放射線変換パネルから画像信号を読み出す信号読出部と、
前記放射線変換パネル及び前記信号読出部に電力を供給する電源部と、
前記電源部の状態に基づいて、前記信号読出部での前記画像信号の読み出しを制御する読出制御部と、
を備えることを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記画像信号は、前記放射線変換パネルに対する前記放射線の照射前に前記放射線変換パネルから前記信号読出部に読み出されたオフセット画像に応じたオフセット画像信号、又は、前記放射線変換パネルに対する前記放射線の照射後に前記放射線変換パネルから前記信号読出部に読み出された前記放射線画像に応じた放射線画像信号であることを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
前記信号読出部は、前記画像信号をAD変換するAD変換器を有し、
前記読出制御部は、前記電源部の状態に基づいて、前記AD変換器におけるAD変換のサンプリング回数を制御することを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置において、
前記電源部は、外部から蓄電可能な蓄電部を有し、
前記読出制御部は、前記蓄電部の状態に基づいて、前記サンプリング回数を制御することを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項5】
請求項4記載の装置において、
外部から前記蓄電部への給電の有無を検出する給電状態検出部をさらに備え、
前記読出制御部は、前記給電状態検出部の検出結果に基づいて、前記サンプリング回数を制御することを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項6】
請求項5記載の装置において、
前記読出制御部は、外部から前記蓄電部への給電を前記給電状態検出部が検出した場合に、オーバサンプリング方式によるAD変換を行うように前記AD変換器を制御し、一方で、前記蓄電部が外部から給電を受けていないことを前記給電状態検出部が検出した場合に、前記オーバサンプリング方式によるAD変換を解除することを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1項に記載の装置において、
前記蓄電部に蓄電された電気エネルギの残量を検出する残量検出部をさらに備え、
前記読出制御部は、前記残量検出部の検出結果に基づいて、前記サンプリング回数を制御することを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項8】
請求項7記載の装置において、
前記読出制御部は、所定の閾値以上の残量を前記残量検出部が検出した場合に、オーバサンプリング方式によるAD変換を行うように前記AD変換器を制御し、一方で、前記閾値未満の残量を前記残量検出部が検出した場合に、前記オーバサンプリング方式によるAD変換を解除することを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項9】
請求項2記載の装置において、
前記読出制御部は、前記電源部の状態に基づいて、前記信号読出部が前記放射線変換パネルから前記オフセット画像信号を連続して読み出すか否かを判断することを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項10】
請求項9記載の装置において、
前記電源部は、外部から蓄電可能な蓄電部を有し、
前記読出制御部は、前記蓄電部の状態に基づいて、前記オフセット画像信号を連続して読み出すか否かを判断することを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項11】
請求項10記載の装置において、
外部から前記蓄電部への給電の有無を検出する給電状態検出部をさらに備え、
前記読出制御部は、前記給電状態検出部の検出結果に基づいて、前記オフセット画像信号を連続して読み出すか否かを判断することを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項12】
請求項11記載の装置において、
前記読出制御部は、外部から前記蓄電部への給電を前記給電状態検出部が検出した場合に、前記オフセット画像信号を連続して読み出すように前記信号読出部を制御し、一方で、前記蓄電部が外部から給電を受けていないことを前記給電状態検出部が検出した場合に、前記オフセット画像信号の連続した読み出しを禁止することを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の装置において、
前記蓄電部に蓄電された電気エネルギの残量を検出する残量検出部をさらに備え、
前記読出制御部は、前記残量検出部の検出結果に基づいて、前記オフセット画像信号を連続して読み出すか否かを判断することを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項14】
請求項13記載の装置において、
前記読出制御部は、所定の閾値以上の残量を前記残量検出部が検出した場合に、前記オフセット画像信号を連続して読み出すように前記信号読出部を制御し、一方で、前記閾値未満の残量を前記残量検出部が検出した場合に、前記オフセット画像信号の連続した読み出しを禁止することを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項15】
請求項9〜14のいずれか1項に記載の装置において、
前記信号読出部が前記放射線変換パネルから読み出した1回分のオフセット画像信号に応じたオフセット画像を前記放射線画像に対するオフセット補正用画像とするか、又は、前記信号読出部が前記放射線変換パネルから連続して読み出した各オフセット画像信号を平均化し、平均化したオフセット画像信号に応じたオフセット画像を前記放射線画像信号に対するオフセット補正用画像とする補正用画像生成部と、
前記オフセット補正用画像を用いて前記放射線画像に対するオフセット補正処理を行うオフセット補正処理部と、
をさらに備えることを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項16】
請求項15記載の装置において、
前記補正用画像生成部は、前記放射線変換パネルに前記放射線が照射される直前に前記信号読出部が読み出した最後のオフセット画像信号と、該最後のオフセット画像信号以前に前記信号読出部が読み出した他のオフセット画像信号との信号レベル差の絶対値が所定の閾値を超える場合に、当該他のオフセット画像信号を前記各オフセット画像信号の平均化処理の対象から除外することを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項17】
請求項15又は16記載の装置において、
前記オフセット画像、前記オフセット補正用画像及び前記放射線画像を記憶する画像メモリをさらに備え、
前記放射線撮像装置が複数回の放射線画像の撮像を行う場合に、前記読出制御部は、前記オフセット補正処理部でのオフセット補正処理後に前記画像メモリに記憶された前記オフセット画像及び前記オフセット補正用画像を消去して、前記放射線変換パネルから前記信号読出部への前記オフセット画像信号の読み出しを再開させることを特徴とする放射線撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−169967(P2012−169967A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30631(P2011−30631)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】