説明

放射線撮影装置

【課題】術者の操作の煩雑さを軽減し光学ランプの寿命が向上された放射線撮影装置を提供する。
【解決手段】本発明の構成によれば、X線管3の照射範囲を知るための光学ランプ3pを備えている。光学ランプ3pの適切な点灯時間は撮影の様式によって異なる。そこで、本発明によれば、光学ランプ制御部9は、術者が指定した撮影様式に対応する点灯時間だけ光学ランプ3pを点灯させるようにしている。このようにすることで、光学ランプ3pの寿命を長くしてメンテナンスを容易とするとともに、光学ランプ3pによるコリメータ53aの発熱を極力抑制することが可能な放射線撮影装置が提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線を照射して被検体のイメージングを行う放射線撮影装置に係り、特に放射線照射範囲の確認用の光学ランプを有する放射線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関には放射線を照射して被検体Mのイメージングを行う放射線撮影装置が配備されている。このような放射線撮影装置は、図6に示すように放射線を照射する放射線源53と、放射線を検出するFPD54とを備えている。放射線源53とFPD54との間には被検体Mを載置する天板52が備えられている。
【0003】
放射線源53には、放射線の照射範囲を制限するコリメータ53aが付設されている。放射線源53から発した放射線は、このコリメータ53aを通過することで広がりが制限されて被検体Mに照射されることになる。
【0004】
放射線源53は、放射線の照射範囲を確認する目的で光学ランプ53pを有している。光学ランプ53pは、天板52側からみてミラーmとともにコリメータ53aの裏側に設けられていて、光学ランプ53pから発生した光線は放射線と同じくコリメータ53aを通過して天板52に向かうことになる。
【0005】
術者が放射線照射に先立って光学ランプ53pの点灯の指示を与えると、光学ランプ53pが点灯し、コリメータ53aにより広がりが制限された可視光線が被検体Mの一部を照らすことになる。この被検体Mが光学ランプ53pによって照らされた部分は、これから放射線が照射される部分と一致している。
【0006】
放射線源53から照射される放射線は可視光線でない。したがって、コリメートされた放射線が被検体Mのどの部分に当たるかを目視で確認することはできない。そこで、術者は放射線照射に先立って光学ランプ53pを点灯させることで被検体Mにおいて放射線が照射される部分を認識する。そして、術者が光学ランプ53pを点灯させた状態でコリメータ53aの開度の調節を行えば放射線が照射される範囲を調節することができる。この様なコリメータ53aを備えた構成として特許文献1などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平5−76410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の放射線撮影装置においては、次のような問題点がある。
すなわち、従来の放射線撮影装置は、光学ランプ53pの照射時間の調節が簡単にできず、光学ランプ53pの寿命が短くなったり,光学ランプ53pの不要な点灯によりコリメータ53aが発熱するという問題点がある。
【0009】
従来の放射線撮影装置は、術者が操作パネルのボタンを押下すると、光学ランプ53pが一定時間だけ点灯するようになっている。術者がこの照射時間内にコリメータ53aの調節を終えられないときには、操作パネルのボタンをもう一度押下して光学ランプ53pを点灯させなければならず、操作が煩雑となる。また、光学ランプ53pを長く点灯させると、装置が光学ランプ53pによってコリメータ53aが発熱し,故障ややけどの恐れがある。また、何度も光学ランプ53pを点灯させると、光学ランプ53pの寿命が短くなってしまう。
【0010】
従来構成においては、光学ランプ53pの点灯時間は撮影部位によらず一定であり,光学ランプ53pの消灯を指示することでしか点灯時間を調節できない。この様な構成では、術者の操作が更に煩雑なものとなってしまう。
【0011】
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、放射線の照射範囲確認用の光学ランプを有する構成において、術者の操作の煩雑さ軽減し、光学ランプの寿命が向上された放射線撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上述の課題を解決するために次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る放射線撮影装置は、放射線を照射する放射線源と、放射線を検出する放射線検出手段と、放射線源から照射される放射線の広がりを制限するとともに開度調節が可能なコリメータと、放射線源に対して光学的に共役な位置に設けられ、照射野がコリメータで制限される光学ランプと、術者の撮影様式の指示および光学ランプ点灯の指示を入力させる入力手段と、術者の入力する撮影様式に基づいて光学ランプの点灯時間を制御する光学ランプ制御手段を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
[作用・効果]本発明の構成によれば、放射線源の照射範囲を知るための光学ランプを備えている。光学ランプの適切な点灯時間は撮影の様式によって異なる。そこで、本発明によれば、光学ランプ制御手段は、入力手段より撮影様式の指示がされると、術者の入力する撮影様式に基づいて点灯時間を制御するようにしている。このようにすると、コリメータの開度調節の作業中に光学ランプの点灯が終了してしまうことが防がれる。すると、術者は作業中に光学ランプを再点灯させる必要がないので、術者の操作の煩雑さが軽減される。また、光学ランプの点灯時間は撮影様式ごとに最適になっているので、光学ランプの無用な点灯を防止することができる。
【0014】
放射線撮影装置においては、被検体の撮影部位に応じてコリメータの調整時間がある程度決まっている。被検体の撮影部位に応じて光学ランプの照射時間が変更されれば便利である。また、被検体の撮影部位に応じてコリメータの点灯時間を変えるようにすれば無用な光学ランプの照射を避けることができるので、装置が光学ランプによって加熱されることを防げる。また,何度も光学ランプを点灯させる必要がないので,光学ランプの寿命も向上する。このように、光学ランプの寿命を長くしてメンテナンスを容易とするとともに、光学ランプによるコリメータの発熱を極力抑制することが可能となる。
【0015】
また、上述の放射線撮影装置において、術者の入力する撮影様式と光学ランプの点灯時間とが対応した対応テーブルを記憶した記憶手段を備え、光学ランプ制御手段は、(A)入力手段より撮影様式の指示がされると、記憶手段に記憶された対応テーブルを参照して、術者が指定した撮影様式に対応する点灯時間を認識し、(B)入力手段より光学ランプ点灯の指示がされると、認識した点灯時間だけ光学ランプを点灯すればより望ましい。
【0016】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。すなわち、光学ランプ制御手段は、入力手段より撮影様式の指示がされると、術者の入力する撮影様式と光学ランプの点灯時間とが対応した対応テーブルを参照して、術者が指定した撮影様式に対応する点灯時間を認識し、認識した点灯時間だけ光学ランプを点灯させる。このようにすると、光学ランプの点灯時間が確実に撮影様式に適したものとなる。
【0017】
また、上述の放射線撮影装置において、被検体を載置する天板を備え、臥位の被検体を撮影する構成となっていればより望ましい。
【0018】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。すなわち、本発明は、臥位の被検体を撮影する一般的な放射線撮影装置に適用できる。
【0019】
また、上述の放射線撮影装置において、放射線源を懸垂支持する懸垂支持体と、放射線検出手段を支持する支柱を備え、立位の被検体を撮影する構成となっていればより望ましい。
【0020】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。すなわち、本発明は、立位の被検体を撮影する一般的な放射線撮影装置に適用できる。
【0021】
また、上述の放射線撮影装置において、整形における四肢の撮影が可能となっていればより望ましい。
【0022】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。整形における四肢の撮影においては、他の撮影に比べて光学ランプの点灯時間が長くなる傾向にある。本発明を整形における四肢撮影が可能の放射線撮影装置に適用すれば、より操作が簡便でメンテナンスが容易な放射線撮影装置が提供できる。
【0023】
本明細書においては、以下の発明も開示している。
【0024】
(1)上述の放射線撮影装置において、対応テーブルを記憶する記憶手段を備えればより望ましい。
【0025】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。すなわち、対応テーブルを記憶する記憶手段を備えていれば、光学ランプ制御手段はより確実に撮影様式に最適な点灯時間で光学ランプを点灯させることができる。
【0026】
(2)上述の放射線撮影装置において、入力手段は、術者の撮影開始の指示をも入力させ、放射線源を制御する放射線源制御手段を備え、放射線源制御手段は、入力手段より撮影様式の指示がされると、術者の入力する撮影様式と放射線源の制御情報とが対応した対応テーブルを参照して、術者が指定した撮影様式に対応する制御情報を認識し、光学ランプ制御手段は、入力手段より撮影開始の指示がされると、認識した制御情報に基づいて光学ランプを制御すればより望ましい。
【0027】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。すなわち、対応テーブルに放射線源の制御情報をも含めるようにすれば、単一の対応テーブルを管理するだけで光学ランプと放射線源との設定変更ができるので、よりメンテナンスがしやすい放射線撮影装置が提供できる。
【0028】
(3)上述の放射線撮影装置において、コリメータを駆動させてコリメータの開度を調節するコリメータ駆動手段と、コリメータ駆動手段を制御するコリメータ駆動制御手段とを備え、入力手段は、術者のコリメータ調整の指示をも入力させればより望ましい。
【0029】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。上述の構成によれば、コリメータを駆動させてコリメータの開度を調節するコリメータ駆動手段を備えている。これにより術者はコリメータの調節を入力手段の操作で行える。
【発明の効果】
【0030】
本発明の構成によれば、放射線源の照射範囲を知るための光学ランプを備えている。光学ランプの適切な点灯時間は撮影の様式によって異なる。そこで、本発明によれば、光学ランプ制御手段は、入力手段より撮影様式の指示がされると、術者の入力する撮影様式と光学ランプの点灯時間とが対応した対応テーブルを参照して、術者が指定した撮影様式に対応する点灯時間を認識し、認識した点灯時間だけ光学ランプを点灯させるようにしている。このようにすることで、光学ランプの寿命を長くしてメンテナンスを容易とするとともに、光学ランプによるコリメータ53aの発熱を極力抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施例1に係るX線撮影装置を説明する機能ブロック図である。
【図2】実施例1に係るコリメータを説明する斜視図である。
【図3】実施例1に係るX線撮影装置の動作を説明するフローチャートである。
【図4】実施例1に係る対応テーブルを説明する模式図である。
【図5】本発明の変形例に係るX線撮影装置を説明する機能ブロック図である。
【図6】従来構成に係るX線撮影装置を説明する模式図である。
【実施例1】
【0032】
以降、本発明の実施例を説明する。実施例におけるX線は、本発明の放射線に相当する。また、FPDは、フラット・パネル・ディテクタの略である。
【0033】
<X線撮影装置の全体構成>
まず、実施例1に係るX線撮影装置1の構成について説明する。X線撮影装置1は、図1に示すように臥位の被検体Mを載置する天板2と、天板2の上側に設けられたX線を照射するX線管3と、天板2の下側に設けられたX線を検出するFPD4とを備えている。FPD4は、被検体Mの体軸方向Aまたは体側方向Sのいずれかに沿った4つの辺を有する矩形となっている。また、X線管3は、放射状に広がる四角錐状のX線ビームをFPD4に向けて照射する。FPD4は、X線ビームを全面で受光することになる。FPD4のX線を検出する検出面4aには、X線検出素子が体軸方向Aおよび体側方向Sに2次元的に配列されている。X線管3は、本発明の放射線源に相当し、FPD4は、本発明の放射線検出手段に相当する。
【0034】
コリメータ3aは、開度の調節が可能となっている。コリメータ3aは、図2に示すように、中心軸Cを基準として鏡像対称に移動する1対のリーフ3bを有し、同じく中心軸Cを基準として鏡像対称に移動するもう1対のリーフ3bを備えている。このコリメータ3aは、リーフ3bを移動させることで、FPD4が有する検出面の全面にコーン状のX線ビームBを照射させることもできれば、たとえば、FPD4の中心部分だけにファン状のX線ビームBを照射させることもできる。なお、中心軸Cは、X線ビームBの中心を示す軸ともなっている。なお、リーフ3bの対の一方は、4角錐形状となっているX線ビームの体軸方向Aの広がりを調整するものであり、もう一方のリーフ3bの対は、X線ビームの体側方向Sの広がりを調整するものである。コリメータ3aの開度の調節は、コリメータ駆動機構13が行う。コリメータ駆動制御部14は、コリメータ駆動機構13を制御するものであり、主制御部27により制御される。また、コリメータ3aを鏡像対称に移動させる構成とせずに、一対のリーフ3bが独立に移動する構成としてもよい。コリメータ駆動機構13は、本発明のコリメータ駆動手段に相当し、コリメータ駆動制御部14は、本発明のコリメータ駆動制御手段に相当する。
【0035】
光学ランプ3pは、FPD4から見てミラーmとともにコリメータ3aの裏側に設けられている(図1参照)。光学ランプ3pから照射された可視光線はコリメータ3aでコリメートされて被検体Mに向けて照射される。すなわち、光学ランプ3pの照射野は、コリメータ3aで制限される。そして、X線管3のX線が照射される焦点と、光学ランプ3pの可視光線が照射される焦点とはミラーmを介して一致するように設定されているので、光学ランプ3pの可視光線の広がりは、X線管3のX線の広がりを表していることになる。すなわち、光学ランプ3pはX線管3に対して光学的に共役な位置に設けられている。光学ランプ3pを照射しながらコリメータ3aの開度を調節したあとX線を照射したとする。このときX線が被検体Mに入射する部分は、光学ランプ3pが照らしていた被検体Mの部分と一致している。このように、術者は光学ランプ3pを照射させることにより、術者はX線が被検体Mのどの部分に照射されるかを予め目視することができる。光学ランプ制御部9は、光学ランプ3pの点灯を制御するものである。
【0036】
支柱5は、X線管3およびFPD4を支持している。支柱5は、支柱移動機構7により被検体Mの体軸方向Aに移動することができる。支柱5を移動させることにより被検体Mに対するX線撮影を行う位置が変更できる。支柱移動制御部8は、支柱移動機構7を制御する目的で設けられている。
【0037】
コリメータ3aとX線管3の位置関係はX線管3の移動によって変更されず、コリメータ3aはX線管3の移動に追従する。光学ランプ3pとX線管3の位置関係もX線管3の移動によって変更されず、光学ランプ3pはX線管3の移動に追従する。
【0038】
X線管制御部6は、X線管3の管電流、管電圧、曝射時間などのパラメータを制御する目的で設けられている。FPD4は、X線管3から発せられ、被検体Mを透過したX線を検出して検出信号を生成する。この検出信号は、画像生成部11に送出され、そこで被検体Mの投影像が写り込んだ画像P0が生成される。X線管制御部6は、本発明の放射線源制御手段に相当する。
【0039】
表示部25は、X線撮影により取得された各画像を表示する目的で設けられている。操作パネル26は、術者によるX線照射開始などの指示を入力させる目的で設けられている。また、主制御部27は、各制御部を統括的に制御する目的で設けられている。この主制御部27は、CPUによって構成され、各種のプログラムを実行することにより各制御部6,8,9,14および画像生成部11を実現している。また、上述の各部は、それらを担当する演算装置に分割されて実行されてもよい。記憶部28は、後述の対応テーブルT,画像処理に用いられるパラメータ等のX線撮影装置1の制御に関するパラメータの一切を記憶する。表示部25は、本発明の表示手段に相当する。操作パネル26は、本発明の入力手段に相当し、記憶部28は、本発明の記憶手段に相当する。
【0040】
<X線撮影装置の動作>
次に、図3を参照してX線撮影装置の動作について説明する。X線撮影装置の動作としては、まず被検体Mを天板2に載置し(載置ステップS1),術者が操作パネル26を通じて撮影の様式を選択する(撮影様式入力ステップS2)。そして、光学ランプ3pを点灯し(光学ランプ点灯ステップS3),光学ランプ3pの消灯後にX線撮影を開始する(X線撮影開始ステップS4)。以降これらの各ステップについて順を追って説明する。
【0041】
<載置ステップS1,撮影様式入力ステップS2>
まず、被検体Mが天板2に載置される。術者が操作パネル26を通じて撮影様式を選択すると、操作パネル26は、選択された撮影様式をX線管制御部6および光学ランプ制御部9に送出する。このとき術者による撮影様式の選択は、操作パネル26に表示された被検体Mの撮影部位を術者が選択することで行われる。術者は、整形における四肢の撮影をする目的で、操作パネル26に表示された撮影部位のうちから腰部を選択したものとして以降の説明を行う。
【0042】
<光学ランプ点灯ステップS3>
術者が腰部に関する撮影様式を選択したという情報は光学ランプ制御部9に送られる。光学ランプ制御部9は、記憶部28に記憶されている対応テーブルTを参照して、腰部撮影における光学ランプの点灯時間を認識する。
【0043】
光学ランプ制御部9が参照する対応テーブルTについて説明する。対応テーブルTは、図4に示すように、被検体Mの撮影部位と光学ランプの点灯時間、管電圧、管電流、曝射時間など多数のパラメータとが関連したテーブルとなっている。被検体Mの撮影部位に対応した各パラメータには、各撮影部位で適した値が予め選択されている。例では、術者は腰部撮影の指示を行っているので光学ランプ制御部9は、撮影部位「腰部」に対応する光学ランプ点灯時間「30sec」を記憶部28より読み出すことになる。
【0044】
術者が操作パネル26を通じて光学ランプ点灯開始の指示を与えると、光学ランプ制御部9は、光学ランプ3pの点灯を開始する。光学ランプ制御部9は、対応テーブルTで認識した時間だけ光学ランプ3pを点灯させる。例では、光学ランプ3pは、30秒間点灯される。その間、コリメータ3aによってコリメートされた可視光線が被検体Mの一部を照らすことになる。このようにして、光学ランプ制御部9は、術者が入力した撮影様式に基づいて光学ランプ3pの点灯時間を制御する。
【0045】
術者は、操作パネル26を通じてコリメータ駆動制御部14および支柱移動制御部8に指示を与え、コリメータ3aの開度および被検体Mに対するX線管3・FPD4の位置を調節する。光学ランプ3pは、点灯から30秒後に消灯される。腰部撮影は、X線撮影の位置調整に比較的時間のかかる撮影である。しかし光学ランプ3pが30秒間点灯していれば術者は位置調整を確実に終了することができる。
【0046】
一方、胸部撮影は、X線撮影の位置調整に比較的時間のかからない撮影である。仮に、術者が操作パネル26を通じて胸部撮影の指示を与えたとすると、光学ランプ3pは5秒間しか点灯されない(図4参照)。この様な構成とすることで光学ランプ3pの無用な点灯が抑制される。
【0047】
<X線撮影開始ステップS4>
術者が腰部に関する撮影様式を選択したという情報は上述の撮影様式入力ステップS2の終了時においてX線管制御部6にも送られる。X線管制御部6は、記憶部28に記憶されている対応テーブルTを参照して、腰部撮影における制御情報(管電圧・管電流・曝射時間など)を認識する。
【0048】
光学ランプ3pの消灯後、術者が操作パネル26を通じてX線撮影開始の指示を与えると、X線管制御部6はX線管3を制御してX線の照射をさせる。このとき照射されるX線は、前の光学ランプ点灯ステップS3において光学ランプ3pが照らした被検体Mの部分と同じ部分に照射されることになる。このときX線管制御部6は、対応テーブルTにおける腰部撮影に対応した各パラメータに従いX線管3を制御することになる。
【0049】
FPD4は、被検体Mを透過してきたX線を検出し、検出信号を画像生成部11に送出する。画像生成部11は、検出信号を基に被検体Mの透視像が写り込んだ画像P0を生成する。画像P0が表示部25に表示されて実施例1のX線撮影装置の動作は終了となる。
【0050】
以上のように、実施例1の構成によれば、X線管3の照射範囲を知るための光学ランプ3pを備えている。光学ランプ3pの適切な点灯時間は撮影の様式によって異なる。そこで、実施例1によれば、光学ランプ制御部9は、操作パネル26より撮影様式の指示がされると、術者の入力する撮影様式と光学ランプ3pの点灯時間とが対応した対応テーブルTを参照して、術者が指定した撮影様式に対応する点灯時間を認識し、認識した点灯時間だけ光学ランプ3pを点灯させるようにしている。このようにすると、コリメータ3aの開度調節の作業中に光学ランプ3pの点灯が終了してしまうことが防がれる。すると、術者は作業中に光学ランプ3pを再点灯させる必要がないので、術者の操作の煩雑さが軽減される。また、光学ランプ3pの点灯時間は撮影様式ごとに最適になっているので、光学ランプ3pの無用な点灯を防止することができる。このようにすることで、光学ランプ3pの寿命を長くしてメンテナンスを容易とするとともに、光学ランプ3pによるコリメータ53aの発熱を極力抑制することが可能なX線撮影装置が提供できる。
【0051】
また、上述の構成は、対応テーブルTにX線管3の制御情報をも含めるようにしている。このようにすれば単一の対応テーブルTを管理するだけで光学ランプ3pとX線管3との設定変更ができるので、よりメンテナンスがしやすいX線撮影装置が提供できる。
【0052】
また、上述の構成は、整形における四肢の撮影が可能となっている。整形における四肢の撮影においては、他の撮影に比べて光学ランプ3pの点灯時間がより長くなる傾向にある。実施例1を整形における四肢撮影が可能のX線撮影装置に適用すれば、より操作が簡便でメンテナンスが容易なX線撮影装置が提供できる。
【0053】
本発明は、上述の構成に限られず、下記のように変形実施することができる。
【0054】
(1)本発明は、図5に示すように天板2を備えない立位撮影が可能のX線撮影装置にも適用することができる。図5における立位撮影用のX線撮影装置10は図1で説明した構成と同様である。異なる点は、X線管3が鉛直方向に伸びた懸垂支持体22により検査室の天井から懸垂支持されている点と、FPD4が鉛直方向に伸びた支柱21より検査室の床面から支持されている点である。本変形例においては、X線管3を鉛直方向に移動させるX線管移動機構33とこれを制御するX線管移動制御部34とを備えている。また、本変形例においては、FPD4を鉛直方向に移動させるFPD移動機構35とこれを制御するFPD移動制御部36とを備えている。
【0055】
(2)実施例1の構成においては、コリメータ3aの開度の調節をするコリメータ駆動機構13と、これを制御するコリメータ駆動制御部14とを備えていたが、この構成に代えて、コリメータ3aの開度を手動で調整できる構成としてもよい。
【0056】
(3)上述した実施例は、操作パネル26を通じて光学ランプ点灯開始の指示が与えられるようにしているが、コリメータ3aに光学ランプ点灯のスイッチがあればこれを使用して光学ランプ3pの点灯制御をしてもよい。
【0057】
(4)上述した実施例は、医用の装置であったが、本発明は、工業用や、原子力用の装置に適用することもできる。
【0058】
(5)上述した実施例のいうX線は、本発明における放射線の一例である。したがって、本発明は、X線以外の放射線にも適応できる。
【符号の説明】
【0059】
T 対応テーブル
2 天板
3 X線管(放射線源)
3a コリメータ
3p 光学ランプ
4 FPD(放射線検出手段)
5 支柱
6 X線管制御部(放射線源制御手段)
9 光学ランプ制御手段
13 コリメータ駆動機構(コリメータ駆動手段)
14 コリメータ駆動制御部(コリメータ駆動制御手段)
21 支柱
22 懸垂支持体
26 操作パネル(入力手段)
28 記憶部(記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を照射する放射線源と、
放射線を検出する放射線検出手段と、
前記放射線源から照射される放射線の広がりを制限するとともに開度調節が可能なコリメータと、
前記放射線源に対して光学的に共役な位置に設けられ、照射野が前記コリメータで制限される光学ランプと、
術者の撮影様式の指示および光学ランプ点灯の指示を入力させる入力手段と、
術者の入力する撮影様式に基づいて前記光学ランプの点灯時間を制御する光学ランプ制御手段を備えたことを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線撮影装置において、
術者の入力する撮影様式と前記光学ランプの点灯時間とが対応した対応テーブルを記憶した記憶手段を備え、
前記光学ランプ制御手段は、(A)前記入力手段より撮影様式の指示がされると、前記記憶手段に記憶された前記対応テーブルを参照して、術者が指定した撮影様式に対応する点灯時間を認識し、(B)前記入力手段より光学ランプ点灯の指示がされると、認識した点灯時間だけ前記光学ランプを点灯することを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の放射線撮影装置において、
被検体を載置する天板を備え、臥位の被検体を撮影する構成となっていることを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の放射線撮影装置において、
前記放射線源を懸垂支持する懸垂支持体と、
前記放射線検出手段を支持する支柱を備え、立位の被検体を撮影する構成となっていることを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の放射線撮影装置において、
整形における四肢の撮影が可能となっていることを特徴とする放射線撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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