放射線撮影装置
【課題】放射線源が移動しながらサブトラクション画像を取得する放射線撮影装置において、装置構成が簡単で制御を行いやすい放射線撮影装置を提供する。
【解決手段】本発明は、放射線源が被検体に対して移動しながらサブトラクション画像を生成する構成となっている。この様な装置は、従来は放射線源を移動させながら高電圧の撮影と低電圧の撮影を交互に行うようにしている。この様にすると、装置の制御が複雑となる。そこで、本発明では、放射線源を一方向に移動させながら高電圧の撮影を行い、放射線源を逆方向に移動させながら低電圧の撮影を行うようにしている。この様にすることで制御が単純で構造が単純な放射線撮影装置が提供できる。
【解決手段】本発明は、放射線源が被検体に対して移動しながらサブトラクション画像を生成する構成となっている。この様な装置は、従来は放射線源を移動させながら高電圧の撮影と低電圧の撮影を交互に行うようにしている。この様にすると、装置の制御が複雑となる。そこで、本発明では、放射線源を一方向に移動させながら高電圧の撮影を行い、放射線源を逆方向に移動させながら低電圧の撮影を行うようにしている。この様にすることで制御が単純で構造が単純な放射線撮影装置が提供できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体に放射線を照射して画像を取得する放射線撮影装置に関し、特に、撮影中に被検体に対して放射線源が移動する放射線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関には、被検体の断層画像を取得する放射線断層撮影装置51が配備されている。この様な放射線断層撮影装置51には、放射線を照射する放射線源53と、放射線を検出するFPD54とが同期的に移動しながら一連の透視画像を連写し、一連の透視画像を重ね合わせることで断層画像を取得する構成となっているものがある(図24参照)。この様な放射線断層撮影装置51においては、一連の透視画像の撮影中、放射線源53とFPD54とが被検体の体軸方向に互いに近づくように移動し、放射線源53とFPD54との体軸方向における位置が一致した状態となったあと、放射線源53とFPD54とが体軸方向に互いに遠ざかるように移動する。
【0003】
放射線断層撮影装置51が上述のような断層画像を撮影する際の動作について説明する。まず、放射線源53は、移動しながら間歇的に放射線を照射する。つまり一度の照射が終了する毎に放射線源53は被検体の体軸方向に移動し、再び放射線の照射を行う。こうして74枚の透視画像が取得され、これらがフィルタバックプロジェクション法により断層画像に再構成される。完成した断層画像は、被検体をある裁断面で裁断したときの断層像が写りこんだ画像となっている。
【0004】
このような放射線断層撮影装置51には、2種類の撮影を行って得られる2つの画像の差分を取得することにより、被検体の軟組織や骨部が強調されたサブトラクション画像を取得できるものがある。従来の放射線断層撮影装置51において、サブトラクション画像を撮影するときの動作について説明する。
【0005】
従来の放射線断層撮影装置においては、図25に示すように、放射線源53を高電圧とした撮影と低電圧とした撮影とを交互に行いながら被検体に対して放射線源53とFPD54とが移動される。これにより、高電圧条件の透視画像と低電圧画像の透視画像とが交互に撮影されることになる。撮影の後、高電圧の撮影で取得された透視画像のみから断層画像を再構成すれば、高電圧条件の断層画像が取得できる。また、低電圧の撮影で取得された透視画像のみから断層画像を再構成すれば、低電圧条件の断層画像が取得される。このとき、放射線源53は、撮影中常に同じ方向に移動する。
【0006】
撮影条件の異なる断層画像を比較すると写り込んでいる被検体像の様子が異なっている。具体的には高電圧条件の断層画像に写り込む被検体の軟組織と骨部とのコントラストの違いは、低電圧条件の断層画像における軟組織と骨部とのコントラストの違いと異なっている。したがって、低電圧条件の断層画像から高電圧条件の断層画像を減算すると、両画像が単純に相殺されるのでなはく、被検体の軟組織がより強調されたり骨部が強調されたりする。従来の放射線断層撮影装置51はこれを利用して、被検体の軟組織や骨部が強調されたサブトラクション画像を取得する。
【0007】
従来の放射線断層撮影装置51は、放射線源53の線質を変更するフィルタ53fを備えている(図24参照)。このフィルタ53fは、高電圧条件のときに被検体に照射される放射線に含まれる波長と、低電圧条件のときに被検体に照射される放射線に含まれる波長とを違えるようにする目的で設けられている。このようにすることで、より鮮明なサブトラクション画像が取得できる。フィルタ53fは、高電圧照射用のガドリニウムフィルタと低電圧照射用の銅フィルタとから構成される。ガドリニウムフィルタと銅フィルタはフィルタ53fの駆動部を制御することで切り替えられるようになっている。
【0008】
従来の放射線断層撮影装置においては、高電圧の撮影と低電圧の撮影とが交互に行われるのであるから、撮影の度にフィルタ53fを切り替える必要がある。すなわち、高電圧の撮影をするときは、放射線源53から照射される放射線がガドリニウムフィルタを通過するようにフィルタ53fが駆動される。一方、低電圧の撮影をするときは、放射線源53から照射される放射線が銅フィルタを通過するようにフィルタ53fが駆動される。この様な放射線断層撮影装置は、例えば特許文献1に記載されている。
【0009】
このように、従来構成においては、ガドリニウムフィルタと銅フィルタとを交互に切替えながら高電圧条件の撮影と低電圧条件の撮影を交互に行うことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平4−141156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の放射線断層撮影装置においては、次のような問題点がある。
すなわち、従来の放射線断層撮影装置は、フィルタ53fの制御が複雑すぎるという問題点がある。
【0012】
従来構成によれば、高電圧撮影と低電圧撮影とが交互に行われるように構成されているので、透視画像を撮影する度にフィルタ53fを切り替えるように制御しなければならない。フィルタ53fの切替は、フィルタ53fを回転させることで行われる。フィルタ53fを高速かつ正確に移動させようとすると、より大きな駆動装置が必要となる。さらに、放射線源53の放射線照射のタイミングとフィルタ53fの回転の速度とを同期させるように制御しなければならず、装置の制御も複雑なものとなってしまう。
【0013】
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、撮影中に被検体に対して放射線源が移動しながらサブトラクション画像を取得する放射線撮影装置において、放射線源から発した放射線を通過させるフィルタの駆動制御を単純なものとすることで、装置構成が簡単で制御を行いやすい放射線撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上述の課題を解決するために次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る放射線撮影装置は、放射線を照射する放射線源と、放射線源の電圧を制御する放射線源制御手段と、放射線源を被検体に対して移動させる放射線源移動手段と、放射線源移動手段を制御する放射線源移動制御手段と、放射線源の移動に追従して移動するとともに放射線を通過させる高電圧用フィルタおよび低電圧用フィルタと、これらのフィルタにおいて放射線が通過するフィルタを切替えるフィルタ切替手段と、フィルタ切替手段を制御するフィルタ切替制御手段と、フィルタおよび被検体を通過した放射線を検出する放射線検出手段と、放射線検出手段の出力を基に画像を生成する画像生成手段と、放射線源を高電圧条件で一方向に移動させながら連写された画像と、放射線源を低電圧条件で逆方向に移動させながら連写された画像との差分を取得してサブトラクション画像を生成する画像減算手段と、サブトラクション画像を合成して合成画像を生成する画像合成手段とを備え、フィルタ切替制御手段は、放射線源が被検体に対して一方向に移動されながら高電圧で放射線を連射するときには、高電圧用フィルタに切り替え、放射線源が被検体に対して逆方向に移動されながら低電圧で放射線を連射するときには、低電圧用フィルタに切り替えるようフィルタ切替制御手段を制御することを特徴とするものである。
【0015】
[作用・効果]本発明は、放射線源が被検体に対して移動する構成の放射線撮影装置において、高電圧の撮影と低電圧の撮影との差分を取得してサブトラクション画像を生成する構成となっている。放射線源が被検体に対して移動する構成においては、従来は放射線源を移動させながら高電圧の撮影と低電圧の撮影を交互に行うようにしている。この様にすると、高電圧用のフィルタと低電圧用のフィルタとを交互に交換しなければならず、制御が複雑となる。そこで、本発明では、放射線源を一方向に移動させながら高電圧の撮影を行い、放射線源を逆方向に移動させながら低電圧の撮影を行うようにしている。この様にすることで、高電圧用のフィルタと低電圧用のフィルタとを切り替える動作を1回で完了させることができるので制御が単純で構造が単純な放射線撮影装置が提供できる。
【0016】
また、上述の放射線撮影装置において、放射線検出手段を被検体に対して移動させる検出器移動手段と、検出器移動手段を制御する検出器移動制御手段とを備え、放射線源が移動される際、放射線検出手段が被検体に対して移動されればより望ましい。
【0017】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。すなわち、上述の構成によれば、放射線検出手段を被検体に対して移動させることができる。この様にすることで、より多様な撮影様式に対応できる放射線撮影装置が提供できる。
【0018】
また、上述の放射線撮影装置において、画像合成手段は被検体を仮想平面で裁断したときの断層画像を合成画像として生成し、放射線源が被検体に対して一方向に移動されると、放射線検出手段は被検体に対して逆方向に移動され、放射線源が被検体に対して逆方向に移動されると、放射線検出手段は被検体に対し一方向に移動されればより望ましい。
【0019】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。すなわち、上述の構成によれば、断層画像を生成することができる。このときの放射線源と放射線検出手段の移動の様式は、互いに逆方向となっている。
【0020】
また、上述の放射線撮影装置において、画像合成手段は放射線源の移動方向と直交する方向に伸びた細長状のサブトラクション画像を放射線源の移動方向に配列してつなぎ合わせて合成画像を生成し、放射線源が被検体に対して一方向に移動されると、放射線検出手段は一方向に移動され、放射線源が被検体に対して逆方向に移動されると、放射線検出手段は逆方向に移動されればより望ましい。
【0021】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。すなわち、上述の構成によれば、スロット撮影の様式によりサブトラクション画像を撮影する構成となっている。スロット撮影でサブトラクション画像を行うようにすれば、散乱放射線に影響を受けずに鮮明なサブトラクション画像を取得できる放射線撮影装置を提供できる。
【0022】
また、上述の放射線撮影装置において、画像合成手段は、サブトラクション画像を放射線源の移動方向と直交する方向に伸びた細長状の短冊状画像に分割して放射線の照射方向が同じ短冊状画像をつなぎ合わせた中間画像を生成し、中間画像から被検体を仮想平面で裁断したときの断層画像を合成画像として生成し、放射線源が被検体に対して一方向に移動されると、放射線検出手段は一方向に移動され、放射線源が被検体に対して逆方向に移動されると、放射線検出手段は逆方向に移動されればより望ましい。
【0023】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。すなわち、上述の構成によれば、スロット撮影により取得された中間画像を撮影しこれらから断層画像を撮影する構成となっている。この様な撮影を行うようにすれば、広範囲に亘って撮影された断層画像を取得できる放射線撮影装置を提供できる。
【0024】
また、上述の放射線撮影装置において、画像合成手段が生成する合成画像は放射線源の移動方向と直交する方向に伸びた細長状のサブトラクション画像を放射線源の移動方向に配列してつなぎ合わせたものであり、画像の撮影中に放射線検出手段が被検体に対して移動しなければより望ましい。
【0025】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。すなわち、上述の構成によれば、撮影中に放射線検出手段が移動しない構成を示している。この様にすることで、制御がより単純となった放射線撮影装置が提供できる。
【0026】
また、上述の放射線撮影装置において、骨塩定量用となっていればより望ましい。
【0027】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。骨塩定量を行うときは、放射線源を被検体に対して移動させるとともに、放射線検出手段を被検体に対して移動させない方式でスロット撮影が行われる。本発明はこの様な構成にも採用することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、放射線源が被検体に対して移動しながらサブトラクション画像を生成する構成となっている。この様な装置は、従来は放射線源を移動させながら高電圧の撮影と低電圧の撮影を交互に行うようにしている。この様にすると、高電圧用のフィルタと低電圧用のフィルタとを交互に交換しなければならず、制御が複雑となる。そこで、本発明では、放射線源を一方向に移動させながら高電圧の撮影を行い、放射線源を逆方向に移動させながら低電圧の撮影を行うようにしている。この様にすることで、高電圧用のフィルタと低電圧用のフィルタとを切り替える動作を1回で完了させることができるので制御が単純で構造が単純な放射線撮影装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例1に係るX線断層撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。
【図2】実施例1に係るX線断層撮影装置の撮影原理を説明する模式図である。
【図3】実施例1に係るX線断層撮影装置のフィルタを説明する平面図である。
【図4】実施例1に係るX線断層撮影装置のフィルタの機能を説明する模式図である。
【図5】実施例1に係るX線断層撮影装置のフィルタの機能を説明する模式図である。
【図6】実施例1に係るX線断層撮影装置の動作を説明するフローチャートである。
【図7】実施例1に係るX線断層撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図8】実施例1に係るX線断層撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図9】実施例1に係るX線断層撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図10】実施例2に係るX線撮影装置のコリメータを説明する機能ブロック図である。
【図11】実施例2に係るX線撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図12】実施例2に係るX線撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図13】実施例2に係るX線撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図14】実施例3に係るX線断層撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図15】実施例3に係るX線断層撮影装置の撮影原理を説明する模式図である。
【図16】実施例3に係るX線断層撮影装置の撮影原理を説明する模式図である。
【図17】実施例3に係るX線断層撮影装置の撮影原理を説明する模式図である。
【図18】実施例3に係るX線断層撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図19】実施例3に係るX線断層撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図20】実施例3に係るX線断層撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図21】実施例4に係るX線撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図22】実施例4に係るX線撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図23】実施例4に係るX線撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図24】従来の放射線撮影装置の構成を説明する模式図である。
【図25】従来の放射線撮影装置の構成を説明する模式図である。
【実施例1】
【0030】
次に、本発明に係る放射線断層撮影装置の実施例について図面を参照しながら説明する。なお、実施例におけるX線は、本発明の構成の放射線に相当する。なお、FPDは、フラットパネル型X線検出器(フラット・パネル・ディテクタ)の略である。
【0031】
図1は、実施例1に係る放射線断層撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。図1に示すように、実施例1に係るX線撮影装置1は、X線断層撮影の対象である被検体Mを載置する天板2と、天板2の上部(天板2の1面側)に設けられた被検体Mに対してコーン状のX線ビームを照射するX線管3と、天板2の下部(天板の他面側)に設けられ、被検体Mの透過X線像を検出するFPD4と、コーン状のX線ビームの中心軸とFPD4の中心点とが常に一致する状態でX線管3とFPD4との各々を被検体Mの関心部位を挟んで互いに反対方向に同期移動させる同期移動機構7と、これを制御する同期移動制御部8と、FPD4のX線を検出するX線検出面を覆うように設けられた散乱X線を吸収するX線グリッド5とを備えている。この様に、天板2は、X線管3とFPD4とに挟まれる位置に配置されている。X線管3は、本発明の放射線源に相当し、FPD4は、本発明の放射線検出手段に相当する。
【0032】
同期移動機構7は、X線管3を被検体Mに対して体軸方向Aに移動させるX線管移動機構7aと、FPD4を被検体Mに対して体軸方向Aに移動させるFPD移動機構7bとを備えている。また、同期移動制御部8は、X線管移動機構7aを制御するX線管移動制御部8aとFPD移動機構7bを制御するFPD移動制御部8bとを備えている。X線管移動機構7aは、本発明の放射線源移動手段に相当し、X線管移動制御部8aは、本発明の放射線源移動制御手段に相当する。
【0033】
X線管3は、X線管制御部6の制御にしたがってコーン状でパルス状のX線ビームを被検体Mに対して繰り返し照射する構成となっている。このX線管3には、X線ビームを角錐となっているコーン状にコリメートするコリメータが付属している。そして、このX線管3と、FPD4はX線透視画像を撮像する撮像系3,4を生成している。X線管制御部6は、本発明の放射線源制御手段に相当する。
【0034】
同期移動機構7は、X線管3とFPD4とを同期させて移動させる構成となっている。この同期移動機構7は、同期移動制御部8の制御にしたがって被検体Mの体軸方向Aに平行な直線軌道(天板2の長手方向)に沿ってX線管3を直進移動させる。このX線管3とFPD4との移動方向は、天板2の長手方向に一致している。しかも、検査中、X線管3の照射するコーン状のX線ビームは、常に被検体Mの関心部位に向かって照射されるようになっており、このX線照射角度は、X線管3の角度を変更することによって、たとえば初期角度−20°から最終角度20°まで変更される。この様なX線照射角度の変更は、X線管傾斜機構9が行う。X線管傾斜制御部10は、X線管傾斜機構9を制御する目的で設けられている。
【0035】
そして、さらに実施例1に係るX線撮影装置1は、各制御部6,8,10を統括的に制御する主制御部25と、断層画像Dを表示する表示部27とを備えている。この主制御部25は、CPUによって構成され、各種のプログラムを実行することにより各制御部6,8,10,22および後述の各部11,12,13を実現している。記憶部23は、X線管3の制御に関わるパラメータなどのX線撮影装置1の制御に関するデータの一切を記憶する。操作卓26は、術者のX線撮影装置1に対する各操作を入力させるものである。
【0036】
また、同期移動機構7は、上述のX線管3の直進移動に同期して、天板2の下部に設けられたFPD4を被検体Mの体軸方向A(天板2の長手方向)に直進移動させる。そして、その移動方向は、X線管3の移動方向と反対方向となっている。つまり、X線管3が移動することによってX線管3の焦点の位置と照射方向が変化するコーン状のX線ビームは、常にFPD4のX線検出面の全面で受光される構成となっている。このように、一度の検査において、FPD4は、X線管3と互いに反対方向に同期して移動しながら、たとえば74枚の透視画像Pを取得するようになっている。具体的には、撮像系3,4は、実線の位置を初期位置として、破線で示した位置を介して、図1に示した一点鎖線で示す位置まで対向移動する。すなわち、X線管3とFPD4の位置を変化させながら複数のX線透視画像が撮影されることになる。ところで、コーン状のX線ビームは常にFPD4のX線検出面の全面で受光されるので、撮影中コーン状のX線ビームの中心軸は、常にFPD4の中心点と一致している。また、撮影中、FPD4の中心は、直進移動するが、この移動はX線管3の移動の反対方向となっている。つまり、体軸方向AにX線管3とFPD4とを同期的、かつ互いに反対方向に移動させる構成となっている。
【0037】
また、FPD4の後段には、そこから出力される検出信号を基に透視画像Pを生成する画像生成部11が備えられており(図1参照),この画像生成部11の更に後段には、X線管3を高電圧条件で一方向に移動させながら連写された透視画像P1と、X線管3を低電圧条件で逆方向に移動させながら連写された透視画像P2との差分を取得してサブトラクション画像sを生成する画像減算部12と、サブトラクション画像sを合成して断層画像Dを生成する画像再構成部13とを備えている。画像生成部11は、本発明の画像生成手段に相当する。画像減算部12は、本発明の画像減算手段に相当し、画像再構成部13は、本発明の画像合成手段に相当する。
【0038】
続いて、実施例1に係るX線撮影装置1の断層画像の取得原理について説明する。図2は、実施例1に係るX線撮影装置の断層画像の取得方法を説明する図である。例えば、天板2に平行な(鉛直方向に対して水平な)仮想平面(基準裁断面MA)について説明すると、図2に示すように、基準裁断面MAに位置する点P,Qが、常にFPD4のX線検出面の不動点p,qのそれぞれに投影されるように、X線管3によるコーン状のX線ビームBの照射方向に合わせてFPD4をX線管3の反対方向に同期移動させながら一連の透視画像Pが画像生成部11にて生成される。一連の透視画像Pには、被検体Mの投影像が位置を変えながら写り込んでいる。そして、この一連の透視画像Pを画像再構成部13にて再構成すれば、基準裁断面MAに位置する像(たとえば、不動点p,q)が集積され、X線断層画像としてイメージングされることになる。一方、基準裁断面MAに位置しない点Iは、FPD4における投影位置を変化させながら一連の被検体画像に点iとして写り込んでいる。この様な点iは、不動点p,qとは異なり、画像再構成部13でX線透視画像を重ね合わせる段階で像を結ばずにボケる。このように、一連の透視画像Pの重ね合わせを行うことにより、被検体Mの基準裁断面MAに位置する像のみが写り込んだX線断層画像が得られる。このように、透視画像Pを単純に重ね合わせると、基準裁断面MAにおける断層画像Dが得られる。
【0039】
さらに、画像再構成部13の設定を変更することにより、基準裁断面MAに水平な任意の裁断面においても、同様な断層画像を得ることができる。撮影中、FPD4において上記点iの投影位置は移動するが、投影前の点Iと基準裁断面MAとの離間距離が大きくなるにしたがって、この移動速度は増加する。これを利用して、取得された一連の被検体画像を所定のピッチで体軸方向Aにずらしながら再構成を行うようにすれば、基準裁断面MAに平行な裁断面における断層画像Dが得られる。このような一連の被検体画像の再構成は、画像再構成部13が行う。
【0040】
図3は、X線を通過させるフィルタ3fを説明する図である。フィルタ3fは、X線管3に付設されており、X線管3に追従して移動する。フィルタ3fは、図3に示すように半円型で板状の高電圧用フィルタ3pと半円型で板状の低電圧用フィルタ3qとを備えている。高電圧用フィルタ3pは、例えばガドリニウムで構成され、低電圧用フィルタ3qは例えば銅で構成される。半円型となっている両フィルタ3p,3qは、組み合わされて円形のフィルタ3fを構成する。
【0041】
このフィルタ3fは、X線管3に付設されるフィルタ切替部21に回転される。具体的には、フィルタ切替部21は、円形のフィルタ3fの中心を回転中心として、フィルタ3fをX線管3に対して回転させることができる。フィルタ切替制御部22は、フィルタ切替部21を制御する目的で設けられている。フィルタ切替部21は、本発明のフィルタ切替手段に相当し、フィルタ切替制御部22は、本発明のフィルタ切替制御手段に相当する。
【0042】
フィルタ切替部21にはフィルタの種類を切り替える役割が与えられている。すなわち、図3においてRで示す円形の領域は、X線管3がX線を照射する照射口を表している。フィルタ切替部21は、この照射口に高電圧用フィルタ3pと低電圧用フィルタ3qとのどちらかを隣接させることにより、X線が通過するフィルタの種類を切り替えることができるようになっている。
【0043】
本発明のX線断層撮影装置1がフィルタ3fを備えている理由について説明する。フィルタ3fは、X線管3の出力が異なる2枚の画像を用いてサブトラクション画像sを取得する目的で設けられている。サブトラクション画像sは、X線管3を高電圧で制御して取得した画像からX線管3を低電圧で制御して取得した画像を減算することで生成される。サブトラクション画像の元となる2枚の画像を比較すると、被検体Mの骨部における像の濃さに対する被検体Mの軟組織における像の濃さが異なっている。
【0044】
仮に、骨部像の濃さに対する軟組織像の濃さが同じ2枚の画像を減算処理すると、画像に写り込む被検体像同士が単に相殺されて消去されるだけである。しかし、被検体Mの骨部像の濃さに対する軟組織像の濃さが異なる2枚の画像を減算処理すると、例えば画像における軟組織が写り込んでいる部分においては像同士の相殺があまり起こらず、画像における骨部が写り込んでいる部分においては像同士の相殺が強く起こるような現象が生じる。この例の場合、2枚の画像を減算することで被検体Mの軟組織が骨部よりも強調されたサブトラクション画像が取得される。減算処理を行うときの係数を変更することで、被検体Mの骨部を強調することもできる。
【0045】
視認性の高いサブトラクション画像sを取得するには、取得する2枚の画像の間で被検体Mの骨部における像の濃さに対する被検体Mの軟組織における像の濃さ確実に違えるようにしなければならない。このような像の濃さの違いは、2枚の画像を撮影するときに照射されるX線の性質が異なることに由来している。仮に、同じ線質のX線を照射して2枚の画像を撮影すると、2枚の画像の間で骨部像の濃さに対する軟組織像の濃さが似通ってくる。この様な2枚の画像の差分を取ったとしても画像に写り込む被検体像同士が単に相殺されるだけで、被検体Mの軟組織が強調されない。
【0046】
図4は、フィルタ3fなしでサブトラクション画像sを取得する場合におけるX線のスペクトルを示したものである。図中、X線管3が高電圧のときに照射されるX線のスペクトルをHで表し、X線管3が低電圧のときに照射されるX線のスペクトルをLで表すものとする。図4を参照すると互いのスペクトルは、周波数分布が異なるものの、スペクトルが部分的に重なっている共通部分aが存在していることが分かる。この共通部分aは、2回のX線照射に亘って同じ線質のX線が含まれていたことを意味する。X線管3が高電圧のときと低電圧のときとでX線の性質を確実に違えるようにするには、この共通部分aをできるだけ少なくしたほうが望ましい。
【0047】
そこで、サブトラクション画像sの取得にはフィルタ3fが用いられる。すなわち、X線管3が高電圧となっているとき、X線はフィルタ3fの有する高電圧用フィルタ3pを通過する。高電圧用フィルタ3pは、高電圧条件下におけるX線の周波数の低い成分をカットするものとなっている。また、X線管3が低電圧となっているとき、X線はフィルタ3fの有する低電圧用フィルタ3qを通過する。低電圧用フィルタ3qは、低電圧条件下におけるX線の周波数の高い成分をカットするものとなっている。
【0048】
フィルタ3fが作用することで、被検体Mに向けて照射されるX線のスペクトルは図5のように変化する。図5を参照すれば分かるように、フィルタ3fの作用により各スペクトルH,Lの共通部分aが図4のときと比べて少なくなっていることが分かる。このようにフィルタ3fは、2枚の画像を撮影するときに照射されるX線の性質を確実に異なるようにする目的で設けられているのである。
【0049】
<X線断層撮影装置の動作>
次に、図6を参照して実施例1に係るX線断層撮影装置1の動作について説明する。実施例1に係るX線断層撮影装置1を用いて断層像のサブトラクション画像を取得するには、まず被検体Mを天板2に載置し(被検体載置ステップS1),高電圧条件下で透視画像P1の撮影が行われる(高電圧撮影ステップS2)。そして、フィルタ3fが有するフィルタの種類が切り替えられ(フィルタ切替ステップS3),低電圧条件下で透視画像P2の撮影が行われる(低電圧撮影ステップS4)。続いて、連写された透視画像P1と透視画像P2とからサブトラクション画像sが生成され、(画像減算ステップS5),最後にサブトラクション画像sを再構成して断層画像Dが取得される(画像再構成ステップS6)。以降、各ステップについて順を追って説明する。
【0050】
なお、実施例1の構成は、従来のように高電圧条件下の撮影と低電圧条件下の撮影とを交互に繰り返す構成を採用せず、高電圧条件に係る一連の撮影を終えたあと低電圧条件に係る一連の撮影を行う構成を採用している。また、X線管3およびFPD4が撮影時に往復移動することも実施例1の構成の特徴と言える。
【0051】
<被検体載置ステップS1,高電圧撮影ステップS2>
天板2に被検体Mを載置した後、術者が操作卓26を通じて撮影開始の指示をX線撮影装置1に与えると、X線管制御部6は、記憶部23に記憶されている管電圧・管電流・パルス幅などのX線管3の制御に関する設定値を読み出す。X線管制御部6は、この設定値通りにX線管3を制御し、X線管3にX線を発生させる。被検体Mを透過したX線は、FPD4で検出され、このときの検出信号が画像生成部11に送出される。画像生成部11は、検出信号を基に被検体Mの透視像が写り込んだ透視画像を生成する。
【0052】
このときX線管制御部6に読み出される設定値は、高電圧撮影に係るものであり、X線管3に高電圧が供給される。高電圧条件下で撮影されたX線透視画像には符号P1を付すものとする。
【0053】
術者の撮影開始の指示は、フィルタ切替制御部22にも送出される。フィルタ切替制御部22は、透視画像P1の撮影が開始される前にフィルタ切替部21を通じてフィルタ3fの種類を高電圧用フィルタ3pに切り替える。従って、X線管3から照射されるX線はこの高電圧用フィルタ3pを通過して被検体Mに照射されることになる。
【0054】
図7は、最初の透視画像P1が撮影されるときの様子を表している。高電圧撮影が開始されると図7の矢印に示すように、X線管3が被検体Mに対して被検体Mの頭部から足先に向かう一方向に移動されながら高電圧でX線を連射する。また、FPD4は被検体Mに対して被検体Mの足先から頭部に向かう逆方向に移動されながらX線を検出する。一連の透視画像P1の撮影において用いられるフィルタは、高電圧用フィルタ3pで一定である。透視画像P1は、74枚取得される。
【0055】
この様に透視画像P1の生成はX線管3およびFPD4を移動させながら複数回に亘って行われる。従って、撮影された透視画像P1の各々には被検体Mの透視像が異なる撮影方向で写り込んでいることになる。X線管3およびFPD4の移動は同期移動機構7が行う。撮影中、X線管3は、FPD4を向くように傾斜角度が随時変更される。このX線管3の傾斜角度の変更はX線管傾斜機構9が行う。こうして、透視画像P1は一度の撮影で74枚生成される。
【0056】
<フィルタ切替ステップS3>
一連の透視画像P1の撮影が完了すると、X線管3は被検体Mの足先側に位置し、FPD4は被検体Mの頭部側に位置する。この時点で同期移動制御部8は、撮影終了を意味する信号をフィルタ切替制御部22に送出する。フィルタ切替制御部22は、図8に示すようにフィルタ切替部21を通じてフィルタ3fの種類を低電圧用フィルタ3qに切り替える。従って、X線管3から照射されるX線はこの低電圧用フィルタ3qを通過して被検体Mに照射されることになる。
【0057】
<低電圧撮影ステップS4>
フィルタ3fの切替が完了すると、フィルタ切替制御部22は、切替完了を意味する信号をX線管制御部6および同期移動制御部8に送出する。X線管制御部6は、記憶部23に記憶されている管電圧・管電流・パルス幅などのX線管3の制御に関する設定値を再び読み出す。このときX線管制御部6に読み出される設定値は、低電圧撮影に係るものであり、X線管3に低電圧が供給される。低電圧条件下で撮影されたX線透視画像には符号P2を付すものとする。
【0058】
図9は、最初の透視画像P2が撮影されるときの様子を表している。低電圧撮影が開始されると図9の矢印に示すように、X線管3が被検体Mに対して被検体Mの足先から頭部に向かう逆方向に移動されながら低電圧でX線を連射する。また、FPD4は被検体Mに対して被検体Mの頭部から足先に向かう一方向に移動されながらX線を検出する。一連の透視画像P2の撮影において用いられるフィルタは、低電圧用フィルタ3qで一定である。透視画像P2は、74枚取得される。実施例1の構成においては、X線管3およびFPD4を被検体Mに対して往復して移動させ、往路で透視画像P1を撮影し復路で透視画像P2を撮影するようになっている。透視画像P2を撮影し終わると、X線管3とFPD4とは、高電圧撮影ステップS2における最初の透視画像P1を撮影する前の位置に戻る(図7参照)。
【0059】
<画像減算ステップS5>
透視画像P1および透視画像P2は、画像減算部12に送出される。画像減算部12は、透視画像P1と透視画像P2との間の差分を取得し、サブトラクション画像sを生成する。画像減算部12に送出される透視画像P1と透視画像P2とは、74枚ずつ取得されている。
【0060】
透視画像P1と透視画像P2との関係について説明する。透視画像P1と透視画像P2とはX線管3の電圧の条件が異なる以外は、同じ条件で被検体Mを撮影したものとなっている。より具体的には、74枚の透視画像P1のそれぞれに対応する透視画像P2が撮影されている。つまり、ある透視画像P1を撮影したときにおける被検体、X線管3,FPD4の位置関係と同じ位置関係で透視画像P2が撮影されている。例えば、最初に取得された透視画像P1に対応する透視画像P2は、低電圧撮影ステップS4において最後に撮影された透視画像P2である。
【0061】
画像減算部12は、透視画像P1のそれぞれについて対応する透視画像P2との間の差分を取得することでサブトラクション画像sを取得する。透視画像P1は74枚撮影されていることからすると、サブトラクション画像sも74枚取得されることになる。サブトラクション画像sの各々には、被検体Mの軟組織または骨部が強調された像が写り込んでいる。画像減算部12は、差分演算に用いる係数を変更することにより、サブトラクション画像sにおける像の強調の様子を調整することができる。
【0062】
<画像再構成ステップS6>
74枚のサブトラクション画像sは、画像再構成部13に送出される。画像再構成部13は、撮影の投影方向が互いに異なる被検体像が写り込んだ一連のサブトラクション画像sを再構成して、断層画像Dを生成する。断層画像Dが表示部27に表示されてX線断層撮影装置1の動作は終了となる。
【0063】
以上のように、実施例1の構成は、X線管3が被検体Mに対して移動する構成の放射線撮影装置において、高電圧の撮影と低電圧の撮影との差分を取得してサブトラクション画像sを生成する構成となっている。X線管3が被検体Mに対して移動する構成においては、従来はX線管3を移動させながら高電圧の撮影と低電圧の撮影を交互に行うようにしている。この様にすると、高電圧用フィルタ3pと低電圧用フィルタ3qとを交互に交換しなければならず、制御が複雑となる。そこで、実施例1の構成では、X線管3を一方向に移動させながら高電圧の撮影を行い、X線管3を逆方向に移動させながら低電圧の撮影を行うようにしている。この様にすることで、高電圧用フィルタ3pと低電圧用フィルタ3qとを切り替える動作を1回で完了させることができるので制御が単純で構造が単純な放射線撮影装置が提供できる。
【実施例2】
【0064】
続いて、実施例2に係るX線撮影装置について説明する。実施例2は、X線管3を移動させ、FPD4を移動させない移動様式で撮影を行うもので、骨塩定量に用いられる撮影様式である。実施例2に係るX線撮影装置の構成は図1における機能ブロック図と同様である。図1に関して実施例2の構成が実施例1と異なる点は、FPD4が移動しないことと、X線管3が傾斜しないこと、断層画像を生成しないことである。したがって、実施例2においては図1における同期移動機構7,FPD移動機構7b,同期移動制御部8,FPD移動制御部8b,X線管傾斜機構9,X線管傾斜制御部10,および画像再構成部13は必ずしも必要とされない。
【0065】
なお、実施例2の構成は、従来のように高電圧条件下の撮影と低電圧条件下の撮影とを交互に繰り返す構成を採用せず、高電圧条件に係る一連の撮影を終えたあと低電圧条件に係る一連の撮影を行う構成を採用している。また、X線管3が撮影時に往復移動することも実施例2の構成の特徴と言える。
【0066】
実施例2に係るX線撮影装置はX線管3から放射されるX線を制限するコリメータ3aを備えている。図10は、コリメータ3aの構成を説明する図である。コリメータ3aは、図10に示すように、中心軸Cを基準として鏡像対称に移動する1対のリーフ3bを有し、同じく中心軸Cを基準として鏡像対称に移動するもう1対のリーフ3bを備えている。このコリメータ3aは、リーフ3bを移動させることで、FPD4が有する検出面の全面にコーン状のX線ビームBを照射させることもできれば、たとえば、FPD4の中心部分だけにファン状のX線ビームBを照射させることもできる。なお、中心軸Cは、X線ビームBの中心を示す軸ともなっている。なお、リーフ3bの対の一方は、4角錐形状となっているX線ビームの体軸方向Aの広がりを調整するものであり、もう一方のリーフ3bの対は、X線ビームの体側方向Sの広がりを調整するものである。コリメータ3aの開度の変更は、コリメータ移動機構18aが行う。コリメータ制御部18bは、コリメータ移動機構18aを制御するものであり、主制御部25により制御される。また、コリメータ3aを鏡像対称に移動させる構成とせずに、一対のリーフ3bが独立に移動する構成としてもよい。コリメータ3aとX線管3の位置関係はX線管3の移動・傾斜によって変更されず、コリメータ3aはX線管3の移動・傾斜に追従する。
【0067】
実施例2に係るX線撮影装置においては、X線管3から照射されるX線はコリメータ3aによって制限される。コリメータ3aはX線の体軸方向Aの広がりを制限するので、FPD4には体側方向Sに細長となったファン状のX線ビームが到達することになる。つまり、実施例2に係るX線撮影装置は、一度のX線照射により被検体Mの体側方向Sに伸びた細長状のX線透視画像が取得されることになる。この細長状の画像は複数回に亘って撮影され、体側方向に配列されて、一枚の合成画像となる。このようにX線撮影を複数回に分けて被検体Mを少しずつ撮影することにより、画像に写り込む散乱線の量を減少させることができるので、骨塩が高い定量性を持って定量されることになる。この様な広がりが制限されたX線による撮影をスロット撮影と呼ぶ。
【0068】
実施例2に係る画像再構成部13は、実施例1で説明したように断層画像Dを生成する動作を行わない。画像再構成部13は、被検体Mに対するX線管3の位置を変えながら撮影されたサブトラクション画像sをつなぎ合わせて一枚の合成画像を生成する。すなわち画像再構成部13は、被検体Mの体側方向Sに細長状となっているサブトラクション画像sを被検体Mの体軸方向Aに配列してつなぎ合わせて合成画像を生成する。
【0069】
<X線撮影装置の動作>
実施例2に係るX線撮影装置の動作は、図6で説明した実施例1に係る装置の動作と同様である。図11は、高電圧撮影ステップS2において、高電圧条件でX線撮影が開始されるときの様子を示している。図11に示すように、X線管3は、FPD4が有する両端うち被検体Mの頭部側の一端に位置し、X線ビームBを連射しながら一方向に移動し被検体Mの頭部足先側に向かう。このときFPD4は移動することがない。このときフィルタ3fは、高電圧用フィルタ3pが選択されている。
【0070】
図12は、フィルタ切替ステップS3においてフィルタ3fが切り替えられる様子を示している。この動作は、高電圧条件下での撮影が全て終了した後で行われる。このとき、X線管3は、FPD4が有する両端うち被検体Mの足先側の一端に位置している。
【0071】
図13は、低電圧撮影ステップS4において、低電圧条件でX線撮影が開始されるときの様子を示している。図13に示すように、X線管3は、FPD4が有する両端うち被検体Mの足先側の一端に位置し、X線ビームBを連射しながら逆方向に移動し被検体Mの頭部側に向かう。このときFPD4は移動することがない。このときフィルタ3fは、低電圧用フィルタ3qが選択されている。実施例2の構成においては、X線管3を被検体Mに対して往復して移動させ、往路で高電圧条件の撮影をし、復路で低電圧条件の撮影するようになっている。こうして、X線管3は、高電圧撮影ステップS2における最初の透視画像P1を撮影する前の位置に戻る(図11参照)。
【0072】
高電圧条件下で撮影された透視画像P1と低電圧条件下で撮影された透視画像P2との関係について説明する。透視画像P1と透視画像P2とはX線管3の電圧の条件が異なる以外は、同じ条件で被検体Mを撮影したものとなっている。より具体的には、複数枚の透視画像P1のそれぞれに対応する透視画像P2が撮影されている。つまり、ある透視画像P1を撮影したときにおける被検体MとX線管3の位置関係と同じ位置関係で透視画像P2が撮影されている。例えば、最初に取得された透視画像P1に対応する透視画像P2は、低電圧撮影ステップS4において最後に撮影された透視画像P2である。
【0073】
画像減算部12は、画像減算ステップS5において、透視画像P1のそれぞれについて対応する透視画像P2との間の差分を取得することでサブトラクション画像sを取得する。このとき透視画像P1と同数のサブトラクション画像sが取得されることになる。
【0074】
画像再構成部13は、画像再構成ステップS6において、複数枚のサブトラクション画像sを被検体Mの体軸方向Aにつなぎ合わせて合成画像を生成する。合成画像が表示部27に表示されてX線撮影装置1の動作は終了となる。
【0075】
以上のように、実施例2の構成は、骨塩定量用の放射線撮影装置となっている。骨塩定量を行うときは、X線管3を被検体Mに対して移動させるとともに、FPD4を被検体Mに対して移動させない方式でスロット撮影が行われる。本発明はこの様な構成にも採用することができる。
【実施例3】
【0076】
続いて、実施例3に係るX線断層撮影装置について説明する。実施例3の構成は、図14に示すように、X線管3とFPD4とが互いの位置関係を保った状態で被検体Mの体軸方向Aに移動されながら断層画像を撮影することができる構成である。このとき、撮影方法としては、実施例2のようにスロット撮影ではなく、FPD4の全面にX線を照射することで撮影が行われる。
【0077】
なお、実施例3の構成は、従来のように高電圧条件下の撮影と低電圧条件下の撮影とを交互に繰り返す構成を採用せず、高電圧条件に係る一連の撮影を終えたあと低電圧条件に係る一連の撮影を行う構成を採用している。また、X線管3およびFPD4が撮影時に往復移動することも実施例3の構成の特徴と言える。
【0078】
実施例3に係るX線撮影装置の構成は図1における機能ブロック図と同様である。図1に関して実施例3の構成が実施例1と異なる点は、FPD4がX線管3に追従して移動すること(図14参照),X線管3が傾斜しないことである。したがって、実施例3においては図1におけるX線管傾斜機構9,X線管傾斜制御部10は必ずしも必要とされない。
【0079】
実施例3に係る断層画像の撮影の原理について説明する。まず、図14に示すように撮像系3,4が相対位置を保った状態で被検体Mに対して移動しながら間歇的にX線を照射する。つまり一度の照射が終了する毎にX線管3は被検体Mの体軸方向Aに移動し、再びX線の照射を行う。こうして複数枚の透視画像が取得され、透視画像の加工画像(後述の長尺透視画像)がフィルタバックプロジェクション法により断層画像に再構成される。完成した断層画像は、被検体Mをある裁断面で裁断したときの断層像が写りこんだ画像となっている。
【0080】
断層画像を生成するには、異なる方向から被検体Mを透視したときの画像が必要となる。実施例3に係るX線断層撮影装置は、得られた透視画像を分割してつなぎ合わせてこの画像を生成するようにしている。この動作について説明する。図15は、X線管3のX線を照射する焦点がd1の位置にあるときのFPD4の位置を表している。この撮影において、被検体Mの体軸方向AにおけるFPD4の1/5の幅だけX線管3およびFPD4が天板2に対してこの方向に移動する度に透視画像の撮影が行われるものとする。
【0081】
X線はX線管3から放射状に広がってFPD4に到達するので、生成された透視画像を被検体Mの体軸方向Aに5分割すると、FPD4に対するX線の入射角度は、矢印に示すように、その分割区の間で互いに異なっている。そのうちのあるの1つの方向kに注目する。この方向kに進んできたX線は、被検体Mの斜線の部分を通過してFPD4に写り込んでいるので、方向kのX線が入射したFPD4の分割区には、被検体Mの斜線部が写り込んでいる。透視画像において、この分割区に相当する部分を断片R1とする。
【0082】
図16は、X線管3のX線を照射する焦点がd1からFPD4の1/5の幅だけ移動したd2の位置にあるときのFPD4の位置を表している。X線管3とFPD4の位置関係は変化しないので、このときの撮影においてもFPD4には、方向kに進んできたX線が写り込んでいる分割区があるはずであり、方向kのX線が入射したFPD4の分割区には、被検体Mの斜線部が写り込んでいる。透視画像において、この分割区に相当する部分を断片R2とする。
【0083】
断片R1と断片R2とを比較すると、撮像系3,4に対する被検体Mの位置が異なるので、両断片R1,R2に写り込んでいる被検体Mの部分は互いに異なっている。X線管3をFPD4の1/5の幅だけずらすことにより、焦点d1〜d9において9回の撮影を行ったとして、そのときの方向kのX線が入射したFPD4の分割区における透視画像の各断片R1〜R9には、それぞれ異なる被検体Mの位置が写り込んでいる。そこで、図17に示すように透視画像の各断片R1〜R9をこの順に被検体Mの体軸方向Aにつなぎ合わせれば、ある方向kで被検体Mの全身にX線を照射したときに撮影される画像を得ることができる。この画像を長尺透視画像と呼ぶことにする。長尺画像は本発明の中間画像に相当する。
【0084】
実施例3に係るX線断層撮影装置は、画像再構成部13において方向k以外の方向についても長尺透視画像を生成する。そして、画像再構成部13は、被検体Mを投影した方向が異なる複数の長尺透視画像を基に被検体Mを所定の裁断位置で裁断したときの断層画像を生成するのである。
【0085】
<X線断層撮影装置の動作>
実施例3に係るX線撮影装置の動作は、図6で説明した実施例1に係る装置の動作と同様である。図18は、高電圧撮影ステップS2において、高電圧条件でX線撮影が開始されるときの様子を示している。図18に示すように、X線管3およびFPD4は、被検体Mの頭部側に位置し、透視画像を連写しながら一方向に移動し被検体Mの足先側に向かう。このときフィルタ3fは、高電圧用フィルタ3pが選択されている。
【0086】
図19は、フィルタ切替ステップS3においてフィルタ3fが切り替えられる様子を示している。この動作は、高電圧条件下での撮影が全て終了した後で行われる。このとき、X線管3およびFPD4は、被検体Mの足先側の一端に位置している。
【0087】
図20は、低電圧撮影ステップS4において、低電圧条件でX線撮影が開始されるときの様子を示している。図20に示すように、X線管3およびFPD4は、被検体Mの足先側に位置し、X線ビームBを連射しながら逆方向に移動し被検体Mの頭部側に向かう。このときフィルタ3fは、低電圧用フィルタ3qが選択されている。実施例3の構成においては、X線管3およびFPD4を被検体Mに対して往復して移動させ、往路で高電圧条件の撮影をし、復路で低電圧条件の撮影するようになっている。こうして、X線管3およびFPD4は、高電圧撮影ステップS2における最初の透視画像P1を撮影する前の位置に戻る(図18参照)。
【0088】
高電圧条件下で撮影された透視画像P1と低電圧条件下で撮影された透視画像P2との関係について説明する。透視画像P1と透視画像P2とはX線管3の電圧の条件が異なる以外は、同じ条件で被検体Mを撮影したものとなっている。より具体的には、複数枚の透視画像P1のそれぞれに対応する透視画像P2が撮影されている。つまり、ある透視画像P1を撮影したときにおける被検体MとX線管3の位置関係と同じ位置関係で透視画像P2が撮影されている。例えば、最初に取得された透視画像P1に対応する透視画像P2は、低電圧撮影ステップS4において最後に撮影された透視画像P2である。
【0089】
画像減算部12は、画像減算ステップS5において、透視画像P1のそれぞれについて対応する透視画像P2との間の差分を取得することでサブトラクション画像sを取得する。このとき透視画像P1と同数のサブトラクション画像sが取得されることになる。
【0090】
画像再構成部13は、画像再構成ステップS6において、複数枚のサブトラクション画像sを取得する。画像再構成部13は、サブトラクション画像sの各々を被検体Mの体側方向Sに伸びた短冊状画像に分割する。その後、画像再構成部13は、X線の照射方向が同じ短冊状画像をつなぎ合わせて複数枚の長尺画像を生成する。これら長尺画像には投影方向の異なる被検体Mの全身像が写り込んでいる。
【0091】
画像再構成部13は、複数枚の長尺画像を重ね合わせて断層画像Dを生成する。この断層画像Dを生成する原理としては、図2で説明したものと同様である。すなわち、複数枚の長尺画像を単に重ね合わせれば、基準裁断面MAにおける被検体全身の断層像が取得される。また、複数枚の長尺画像をずらしながら重ね合わせれば基準裁断面MAと平行な任意の裁断面における被検体全身の断層像が取得される。
【0092】
以上のように、実施例3の構成によれば、スロット撮影により取得された長尺画像を撮影しこれらから断層画像Dを撮影する構成となっている。この様な撮影を行うようにすれば、広範囲に亘って撮影された断層画像を取得できる放射線撮影装置を提供できる。
【実施例4】
【0093】
続いて、実施例4に係るX線撮影装置について説明する。実施例4の構成は、図21に示すように、X線管3とFPD4とが互いの位置関係を保った状態で被検体Mの体軸方向Aに移動されながら透視画像を撮影することができる構成である。このとき、撮影方法としては、実施例2のようなスロット撮影であり、コリメータ3aが体軸方向AにおけるX線の幅を制限しながら撮影が行われる。このようにすることにより、散乱線の影響を受けないで鮮明な画像を広い範囲に亘って撮影することができる。
【0094】
なお、実施例4の構成は、従来のように高電圧条件下の撮影と低電圧条件下の撮影とを交互に繰り返す構成を採用せず、高電圧条件に係る一連の撮影を終えたあと低電圧条件に係る一連の撮影を行う構成を採用している。また、X線管3およびFPD4が撮影時に往復移動することも実施例4の構成の特徴と言える。
【0095】
実施例4に係るX線撮影装置の構成は図1における機能ブロック図と同様である。図1に関して実施例4の構成が実施例1と異なる点は、FPD4がとの位置関係を保った状態でX線管3に追従して移動すること(図21参照),X線管3が傾斜しないこと、および断層画像を生成しないことである。したがって、実施例4においては図1におけるX線管傾斜機構9,X線管傾斜制御部10および画像再構成部13は必ずしも必要とされない。
【0096】
<X線撮影装置の動作>
実施例4に係るX線撮影装置の動作は、図6で説明した実施例1に係る装置の動作と同様である。図21は、高電圧撮影ステップS2において、高電圧条件でX線撮影が開始されるときの様子を示している。図21に示すように、X線管3およびFPD4は、被検体Mの頭部側に位置し、透視画像を連写しながら一方向に移動し被検体Mの足先側に向かう。このときフィルタ3fは、高電圧用フィルタ3pが選択されている。
【0097】
図22は、フィルタ切替ステップS3においてフィルタ3fが切り替えられる様子を示している。この動作は、高電圧条件下での撮影が全て終了した後で行われる。このとき、X線管3およびFPD4は、被検体Mの足先側に位置している。
【0098】
図23は、低電圧撮影ステップS4において、低電圧条件でX線撮影が開始されるときの様子を示している。図23に示すように、X線管3およびFPD4は、被検体Mの足先側に位置し、X線ビームBを連射しながら逆方向に移動し被検体Mの頭部側に向かう。このときフィルタ3fは、低電圧用フィルタ3qが選択されている。実施例4の構成においては、X線管3およびFPD4を被検体Mに対して往復して移動させ、往路で高電圧条件の撮影をし、復路で低電圧条件の撮影するようになっている。こうして、X線管3およびFPD4は、高電圧撮影ステップS2における最初の透視画像P1を撮影する前の位置に戻る(図21参照)。
【0099】
高電圧条件下で撮影された透視画像P1と低電圧条件下で撮影された透視画像P2との関係について説明する。透視画像P1と透視画像P2とはX線管3の電圧の条件が異なる以外は、同じ条件で被検体Mを撮影したものとなっている。より具体的には、複数枚の透視画像P1のそれぞれに対応する透視画像P2が撮影されている。つまり、ある透視画像P1を撮影したときにおける被検体MとX線管3の位置関係と同じ位置関係で透視画像P2が撮影されている。例えば、最初に取得された透視画像P1に対応する透視画像P2は、低電圧撮影ステップS4において最後に撮影された透視画像P2である。
【0100】
画像減算部12は、画像減算ステップS5において、透視画像P1のそれぞれについて対応する透視画像P2との間の差分を取得することでサブトラクション画像sを取得する。このとき透視画像P1と同数のサブトラクション画像sが取得されることになる。このサブトラクション画像sは、被検体Mの体側方向Sに伸びた細長状となっている。
【0101】
画像再構成部13は、画像再構成ステップS6において、複数枚のサブトラクション画像sを被検体Mの体軸方向Aに配列してつなぎ合わせて合成画像を生成する。
【0102】
以上のように、実施例4の構成によれば、スロット撮影の様式によりサブトラクション画像sを撮影する構成となっている。スロット撮影でサブトラクション画像sを行うようにすれば、散乱放射線に影響を受けずに鮮明なサブトラクション画像sを取得できる放射線撮影装置を提供できる。
【0103】
本発明は、上述した実施例の構成に限られず、下記のように変形実施が可能である。
【0104】
(1)上述した各実施例において、高電圧の撮影が低電圧の撮影よりも先に行われていたが、本発明はこの構成に限られない。低電圧の撮影を高電圧の撮影よりも先行して行うように構成してもよい。この際、フィルタ3fは、低電圧用フィルタ3qから高電圧用フィルタ3pに切り替えられることになる。
【0105】
(2)上述した各実施例において、サブトラクション画像sを生成したあと断層画像Dを生成するようにしていたが、本発明はこの様な構成に限られない。高電圧撮影に係る断層画像Dと低電圧に係る断層画像Dとを生成した後、これらの差分を取ってサブトラクション画像sを取得するような構成としても良い。この様な構成の機能ブロック図は、図1における画像減算部12と画像再構成部13との位置が入れ替えられたものとなっている。
【0106】
(3)上述した実施例は、医用の装置であったが、本発明は、工業用や、原子力用の装置に適用することもできる。
【0107】
(4)上述した実施例のいうX線は、本発明における放射線の一例である。したがって、本発明は、X線以外の放射線にも適応できる。
【符号の説明】
【0108】
3 X線管(放射線源)
3f フィルタ
4 FPD(放射線検出手段)
6 X線管制御部(放射線源制御手段)
7a X線管移動機構(放射線源移動手段)
8a X線管移動制御部(放射線源移動制御手段)
11 画像生成部(画像生成手段)
12 画像減算部(画像減算手段)
13 画像再構成部(画像合成手段)
21 フィルタ切替部(フィルタ切替手段)
22 フィルタ切替制御部(フィルタ切替制御手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体に放射線を照射して画像を取得する放射線撮影装置に関し、特に、撮影中に被検体に対して放射線源が移動する放射線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関には、被検体の断層画像を取得する放射線断層撮影装置51が配備されている。この様な放射線断層撮影装置51には、放射線を照射する放射線源53と、放射線を検出するFPD54とが同期的に移動しながら一連の透視画像を連写し、一連の透視画像を重ね合わせることで断層画像を取得する構成となっているものがある(図24参照)。この様な放射線断層撮影装置51においては、一連の透視画像の撮影中、放射線源53とFPD54とが被検体の体軸方向に互いに近づくように移動し、放射線源53とFPD54との体軸方向における位置が一致した状態となったあと、放射線源53とFPD54とが体軸方向に互いに遠ざかるように移動する。
【0003】
放射線断層撮影装置51が上述のような断層画像を撮影する際の動作について説明する。まず、放射線源53は、移動しながら間歇的に放射線を照射する。つまり一度の照射が終了する毎に放射線源53は被検体の体軸方向に移動し、再び放射線の照射を行う。こうして74枚の透視画像が取得され、これらがフィルタバックプロジェクション法により断層画像に再構成される。完成した断層画像は、被検体をある裁断面で裁断したときの断層像が写りこんだ画像となっている。
【0004】
このような放射線断層撮影装置51には、2種類の撮影を行って得られる2つの画像の差分を取得することにより、被検体の軟組織や骨部が強調されたサブトラクション画像を取得できるものがある。従来の放射線断層撮影装置51において、サブトラクション画像を撮影するときの動作について説明する。
【0005】
従来の放射線断層撮影装置においては、図25に示すように、放射線源53を高電圧とした撮影と低電圧とした撮影とを交互に行いながら被検体に対して放射線源53とFPD54とが移動される。これにより、高電圧条件の透視画像と低電圧画像の透視画像とが交互に撮影されることになる。撮影の後、高電圧の撮影で取得された透視画像のみから断層画像を再構成すれば、高電圧条件の断層画像が取得できる。また、低電圧の撮影で取得された透視画像のみから断層画像を再構成すれば、低電圧条件の断層画像が取得される。このとき、放射線源53は、撮影中常に同じ方向に移動する。
【0006】
撮影条件の異なる断層画像を比較すると写り込んでいる被検体像の様子が異なっている。具体的には高電圧条件の断層画像に写り込む被検体の軟組織と骨部とのコントラストの違いは、低電圧条件の断層画像における軟組織と骨部とのコントラストの違いと異なっている。したがって、低電圧条件の断層画像から高電圧条件の断層画像を減算すると、両画像が単純に相殺されるのでなはく、被検体の軟組織がより強調されたり骨部が強調されたりする。従来の放射線断層撮影装置51はこれを利用して、被検体の軟組織や骨部が強調されたサブトラクション画像を取得する。
【0007】
従来の放射線断層撮影装置51は、放射線源53の線質を変更するフィルタ53fを備えている(図24参照)。このフィルタ53fは、高電圧条件のときに被検体に照射される放射線に含まれる波長と、低電圧条件のときに被検体に照射される放射線に含まれる波長とを違えるようにする目的で設けられている。このようにすることで、より鮮明なサブトラクション画像が取得できる。フィルタ53fは、高電圧照射用のガドリニウムフィルタと低電圧照射用の銅フィルタとから構成される。ガドリニウムフィルタと銅フィルタはフィルタ53fの駆動部を制御することで切り替えられるようになっている。
【0008】
従来の放射線断層撮影装置においては、高電圧の撮影と低電圧の撮影とが交互に行われるのであるから、撮影の度にフィルタ53fを切り替える必要がある。すなわち、高電圧の撮影をするときは、放射線源53から照射される放射線がガドリニウムフィルタを通過するようにフィルタ53fが駆動される。一方、低電圧の撮影をするときは、放射線源53から照射される放射線が銅フィルタを通過するようにフィルタ53fが駆動される。この様な放射線断層撮影装置は、例えば特許文献1に記載されている。
【0009】
このように、従来構成においては、ガドリニウムフィルタと銅フィルタとを交互に切替えながら高電圧条件の撮影と低電圧条件の撮影を交互に行うことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平4−141156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の放射線断層撮影装置においては、次のような問題点がある。
すなわち、従来の放射線断層撮影装置は、フィルタ53fの制御が複雑すぎるという問題点がある。
【0012】
従来構成によれば、高電圧撮影と低電圧撮影とが交互に行われるように構成されているので、透視画像を撮影する度にフィルタ53fを切り替えるように制御しなければならない。フィルタ53fの切替は、フィルタ53fを回転させることで行われる。フィルタ53fを高速かつ正確に移動させようとすると、より大きな駆動装置が必要となる。さらに、放射線源53の放射線照射のタイミングとフィルタ53fの回転の速度とを同期させるように制御しなければならず、装置の制御も複雑なものとなってしまう。
【0013】
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、撮影中に被検体に対して放射線源が移動しながらサブトラクション画像を取得する放射線撮影装置において、放射線源から発した放射線を通過させるフィルタの駆動制御を単純なものとすることで、装置構成が簡単で制御を行いやすい放射線撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上述の課題を解決するために次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る放射線撮影装置は、放射線を照射する放射線源と、放射線源の電圧を制御する放射線源制御手段と、放射線源を被検体に対して移動させる放射線源移動手段と、放射線源移動手段を制御する放射線源移動制御手段と、放射線源の移動に追従して移動するとともに放射線を通過させる高電圧用フィルタおよび低電圧用フィルタと、これらのフィルタにおいて放射線が通過するフィルタを切替えるフィルタ切替手段と、フィルタ切替手段を制御するフィルタ切替制御手段と、フィルタおよび被検体を通過した放射線を検出する放射線検出手段と、放射線検出手段の出力を基に画像を生成する画像生成手段と、放射線源を高電圧条件で一方向に移動させながら連写された画像と、放射線源を低電圧条件で逆方向に移動させながら連写された画像との差分を取得してサブトラクション画像を生成する画像減算手段と、サブトラクション画像を合成して合成画像を生成する画像合成手段とを備え、フィルタ切替制御手段は、放射線源が被検体に対して一方向に移動されながら高電圧で放射線を連射するときには、高電圧用フィルタに切り替え、放射線源が被検体に対して逆方向に移動されながら低電圧で放射線を連射するときには、低電圧用フィルタに切り替えるようフィルタ切替制御手段を制御することを特徴とするものである。
【0015】
[作用・効果]本発明は、放射線源が被検体に対して移動する構成の放射線撮影装置において、高電圧の撮影と低電圧の撮影との差分を取得してサブトラクション画像を生成する構成となっている。放射線源が被検体に対して移動する構成においては、従来は放射線源を移動させながら高電圧の撮影と低電圧の撮影を交互に行うようにしている。この様にすると、高電圧用のフィルタと低電圧用のフィルタとを交互に交換しなければならず、制御が複雑となる。そこで、本発明では、放射線源を一方向に移動させながら高電圧の撮影を行い、放射線源を逆方向に移動させながら低電圧の撮影を行うようにしている。この様にすることで、高電圧用のフィルタと低電圧用のフィルタとを切り替える動作を1回で完了させることができるので制御が単純で構造が単純な放射線撮影装置が提供できる。
【0016】
また、上述の放射線撮影装置において、放射線検出手段を被検体に対して移動させる検出器移動手段と、検出器移動手段を制御する検出器移動制御手段とを備え、放射線源が移動される際、放射線検出手段が被検体に対して移動されればより望ましい。
【0017】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。すなわち、上述の構成によれば、放射線検出手段を被検体に対して移動させることができる。この様にすることで、より多様な撮影様式に対応できる放射線撮影装置が提供できる。
【0018】
また、上述の放射線撮影装置において、画像合成手段は被検体を仮想平面で裁断したときの断層画像を合成画像として生成し、放射線源が被検体に対して一方向に移動されると、放射線検出手段は被検体に対して逆方向に移動され、放射線源が被検体に対して逆方向に移動されると、放射線検出手段は被検体に対し一方向に移動されればより望ましい。
【0019】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。すなわち、上述の構成によれば、断層画像を生成することができる。このときの放射線源と放射線検出手段の移動の様式は、互いに逆方向となっている。
【0020】
また、上述の放射線撮影装置において、画像合成手段は放射線源の移動方向と直交する方向に伸びた細長状のサブトラクション画像を放射線源の移動方向に配列してつなぎ合わせて合成画像を生成し、放射線源が被検体に対して一方向に移動されると、放射線検出手段は一方向に移動され、放射線源が被検体に対して逆方向に移動されると、放射線検出手段は逆方向に移動されればより望ましい。
【0021】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。すなわち、上述の構成によれば、スロット撮影の様式によりサブトラクション画像を撮影する構成となっている。スロット撮影でサブトラクション画像を行うようにすれば、散乱放射線に影響を受けずに鮮明なサブトラクション画像を取得できる放射線撮影装置を提供できる。
【0022】
また、上述の放射線撮影装置において、画像合成手段は、サブトラクション画像を放射線源の移動方向と直交する方向に伸びた細長状の短冊状画像に分割して放射線の照射方向が同じ短冊状画像をつなぎ合わせた中間画像を生成し、中間画像から被検体を仮想平面で裁断したときの断層画像を合成画像として生成し、放射線源が被検体に対して一方向に移動されると、放射線検出手段は一方向に移動され、放射線源が被検体に対して逆方向に移動されると、放射線検出手段は逆方向に移動されればより望ましい。
【0023】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。すなわち、上述の構成によれば、スロット撮影により取得された中間画像を撮影しこれらから断層画像を撮影する構成となっている。この様な撮影を行うようにすれば、広範囲に亘って撮影された断層画像を取得できる放射線撮影装置を提供できる。
【0024】
また、上述の放射線撮影装置において、画像合成手段が生成する合成画像は放射線源の移動方向と直交する方向に伸びた細長状のサブトラクション画像を放射線源の移動方向に配列してつなぎ合わせたものであり、画像の撮影中に放射線検出手段が被検体に対して移動しなければより望ましい。
【0025】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。すなわち、上述の構成によれば、撮影中に放射線検出手段が移動しない構成を示している。この様にすることで、制御がより単純となった放射線撮影装置が提供できる。
【0026】
また、上述の放射線撮影装置において、骨塩定量用となっていればより望ましい。
【0027】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。骨塩定量を行うときは、放射線源を被検体に対して移動させるとともに、放射線検出手段を被検体に対して移動させない方式でスロット撮影が行われる。本発明はこの様な構成にも採用することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、放射線源が被検体に対して移動しながらサブトラクション画像を生成する構成となっている。この様な装置は、従来は放射線源を移動させながら高電圧の撮影と低電圧の撮影を交互に行うようにしている。この様にすると、高電圧用のフィルタと低電圧用のフィルタとを交互に交換しなければならず、制御が複雑となる。そこで、本発明では、放射線源を一方向に移動させながら高電圧の撮影を行い、放射線源を逆方向に移動させながら低電圧の撮影を行うようにしている。この様にすることで、高電圧用のフィルタと低電圧用のフィルタとを切り替える動作を1回で完了させることができるので制御が単純で構造が単純な放射線撮影装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例1に係るX線断層撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。
【図2】実施例1に係るX線断層撮影装置の撮影原理を説明する模式図である。
【図3】実施例1に係るX線断層撮影装置のフィルタを説明する平面図である。
【図4】実施例1に係るX線断層撮影装置のフィルタの機能を説明する模式図である。
【図5】実施例1に係るX線断層撮影装置のフィルタの機能を説明する模式図である。
【図6】実施例1に係るX線断層撮影装置の動作を説明するフローチャートである。
【図7】実施例1に係るX線断層撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図8】実施例1に係るX線断層撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図9】実施例1に係るX線断層撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図10】実施例2に係るX線撮影装置のコリメータを説明する機能ブロック図である。
【図11】実施例2に係るX線撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図12】実施例2に係るX線撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図13】実施例2に係るX線撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図14】実施例3に係るX線断層撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図15】実施例3に係るX線断層撮影装置の撮影原理を説明する模式図である。
【図16】実施例3に係るX線断層撮影装置の撮影原理を説明する模式図である。
【図17】実施例3に係るX線断層撮影装置の撮影原理を説明する模式図である。
【図18】実施例3に係るX線断層撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図19】実施例3に係るX線断層撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図20】実施例3に係るX線断層撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図21】実施例4に係るX線撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図22】実施例4に係るX線撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図23】実施例4に係るX線撮影装置の撮影様式を説明する模式図である。
【図24】従来の放射線撮影装置の構成を説明する模式図である。
【図25】従来の放射線撮影装置の構成を説明する模式図である。
【実施例1】
【0030】
次に、本発明に係る放射線断層撮影装置の実施例について図面を参照しながら説明する。なお、実施例におけるX線は、本発明の構成の放射線に相当する。なお、FPDは、フラットパネル型X線検出器(フラット・パネル・ディテクタ)の略である。
【0031】
図1は、実施例1に係る放射線断層撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。図1に示すように、実施例1に係るX線撮影装置1は、X線断層撮影の対象である被検体Mを載置する天板2と、天板2の上部(天板2の1面側)に設けられた被検体Mに対してコーン状のX線ビームを照射するX線管3と、天板2の下部(天板の他面側)に設けられ、被検体Mの透過X線像を検出するFPD4と、コーン状のX線ビームの中心軸とFPD4の中心点とが常に一致する状態でX線管3とFPD4との各々を被検体Mの関心部位を挟んで互いに反対方向に同期移動させる同期移動機構7と、これを制御する同期移動制御部8と、FPD4のX線を検出するX線検出面を覆うように設けられた散乱X線を吸収するX線グリッド5とを備えている。この様に、天板2は、X線管3とFPD4とに挟まれる位置に配置されている。X線管3は、本発明の放射線源に相当し、FPD4は、本発明の放射線検出手段に相当する。
【0032】
同期移動機構7は、X線管3を被検体Mに対して体軸方向Aに移動させるX線管移動機構7aと、FPD4を被検体Mに対して体軸方向Aに移動させるFPD移動機構7bとを備えている。また、同期移動制御部8は、X線管移動機構7aを制御するX線管移動制御部8aとFPD移動機構7bを制御するFPD移動制御部8bとを備えている。X線管移動機構7aは、本発明の放射線源移動手段に相当し、X線管移動制御部8aは、本発明の放射線源移動制御手段に相当する。
【0033】
X線管3は、X線管制御部6の制御にしたがってコーン状でパルス状のX線ビームを被検体Mに対して繰り返し照射する構成となっている。このX線管3には、X線ビームを角錐となっているコーン状にコリメートするコリメータが付属している。そして、このX線管3と、FPD4はX線透視画像を撮像する撮像系3,4を生成している。X線管制御部6は、本発明の放射線源制御手段に相当する。
【0034】
同期移動機構7は、X線管3とFPD4とを同期させて移動させる構成となっている。この同期移動機構7は、同期移動制御部8の制御にしたがって被検体Mの体軸方向Aに平行な直線軌道(天板2の長手方向)に沿ってX線管3を直進移動させる。このX線管3とFPD4との移動方向は、天板2の長手方向に一致している。しかも、検査中、X線管3の照射するコーン状のX線ビームは、常に被検体Mの関心部位に向かって照射されるようになっており、このX線照射角度は、X線管3の角度を変更することによって、たとえば初期角度−20°から最終角度20°まで変更される。この様なX線照射角度の変更は、X線管傾斜機構9が行う。X線管傾斜制御部10は、X線管傾斜機構9を制御する目的で設けられている。
【0035】
そして、さらに実施例1に係るX線撮影装置1は、各制御部6,8,10を統括的に制御する主制御部25と、断層画像Dを表示する表示部27とを備えている。この主制御部25は、CPUによって構成され、各種のプログラムを実行することにより各制御部6,8,10,22および後述の各部11,12,13を実現している。記憶部23は、X線管3の制御に関わるパラメータなどのX線撮影装置1の制御に関するデータの一切を記憶する。操作卓26は、術者のX線撮影装置1に対する各操作を入力させるものである。
【0036】
また、同期移動機構7は、上述のX線管3の直進移動に同期して、天板2の下部に設けられたFPD4を被検体Mの体軸方向A(天板2の長手方向)に直進移動させる。そして、その移動方向は、X線管3の移動方向と反対方向となっている。つまり、X線管3が移動することによってX線管3の焦点の位置と照射方向が変化するコーン状のX線ビームは、常にFPD4のX線検出面の全面で受光される構成となっている。このように、一度の検査において、FPD4は、X線管3と互いに反対方向に同期して移動しながら、たとえば74枚の透視画像Pを取得するようになっている。具体的には、撮像系3,4は、実線の位置を初期位置として、破線で示した位置を介して、図1に示した一点鎖線で示す位置まで対向移動する。すなわち、X線管3とFPD4の位置を変化させながら複数のX線透視画像が撮影されることになる。ところで、コーン状のX線ビームは常にFPD4のX線検出面の全面で受光されるので、撮影中コーン状のX線ビームの中心軸は、常にFPD4の中心点と一致している。また、撮影中、FPD4の中心は、直進移動するが、この移動はX線管3の移動の反対方向となっている。つまり、体軸方向AにX線管3とFPD4とを同期的、かつ互いに反対方向に移動させる構成となっている。
【0037】
また、FPD4の後段には、そこから出力される検出信号を基に透視画像Pを生成する画像生成部11が備えられており(図1参照),この画像生成部11の更に後段には、X線管3を高電圧条件で一方向に移動させながら連写された透視画像P1と、X線管3を低電圧条件で逆方向に移動させながら連写された透視画像P2との差分を取得してサブトラクション画像sを生成する画像減算部12と、サブトラクション画像sを合成して断層画像Dを生成する画像再構成部13とを備えている。画像生成部11は、本発明の画像生成手段に相当する。画像減算部12は、本発明の画像減算手段に相当し、画像再構成部13は、本発明の画像合成手段に相当する。
【0038】
続いて、実施例1に係るX線撮影装置1の断層画像の取得原理について説明する。図2は、実施例1に係るX線撮影装置の断層画像の取得方法を説明する図である。例えば、天板2に平行な(鉛直方向に対して水平な)仮想平面(基準裁断面MA)について説明すると、図2に示すように、基準裁断面MAに位置する点P,Qが、常にFPD4のX線検出面の不動点p,qのそれぞれに投影されるように、X線管3によるコーン状のX線ビームBの照射方向に合わせてFPD4をX線管3の反対方向に同期移動させながら一連の透視画像Pが画像生成部11にて生成される。一連の透視画像Pには、被検体Mの投影像が位置を変えながら写り込んでいる。そして、この一連の透視画像Pを画像再構成部13にて再構成すれば、基準裁断面MAに位置する像(たとえば、不動点p,q)が集積され、X線断層画像としてイメージングされることになる。一方、基準裁断面MAに位置しない点Iは、FPD4における投影位置を変化させながら一連の被検体画像に点iとして写り込んでいる。この様な点iは、不動点p,qとは異なり、画像再構成部13でX線透視画像を重ね合わせる段階で像を結ばずにボケる。このように、一連の透視画像Pの重ね合わせを行うことにより、被検体Mの基準裁断面MAに位置する像のみが写り込んだX線断層画像が得られる。このように、透視画像Pを単純に重ね合わせると、基準裁断面MAにおける断層画像Dが得られる。
【0039】
さらに、画像再構成部13の設定を変更することにより、基準裁断面MAに水平な任意の裁断面においても、同様な断層画像を得ることができる。撮影中、FPD4において上記点iの投影位置は移動するが、投影前の点Iと基準裁断面MAとの離間距離が大きくなるにしたがって、この移動速度は増加する。これを利用して、取得された一連の被検体画像を所定のピッチで体軸方向Aにずらしながら再構成を行うようにすれば、基準裁断面MAに平行な裁断面における断層画像Dが得られる。このような一連の被検体画像の再構成は、画像再構成部13が行う。
【0040】
図3は、X線を通過させるフィルタ3fを説明する図である。フィルタ3fは、X線管3に付設されており、X線管3に追従して移動する。フィルタ3fは、図3に示すように半円型で板状の高電圧用フィルタ3pと半円型で板状の低電圧用フィルタ3qとを備えている。高電圧用フィルタ3pは、例えばガドリニウムで構成され、低電圧用フィルタ3qは例えば銅で構成される。半円型となっている両フィルタ3p,3qは、組み合わされて円形のフィルタ3fを構成する。
【0041】
このフィルタ3fは、X線管3に付設されるフィルタ切替部21に回転される。具体的には、フィルタ切替部21は、円形のフィルタ3fの中心を回転中心として、フィルタ3fをX線管3に対して回転させることができる。フィルタ切替制御部22は、フィルタ切替部21を制御する目的で設けられている。フィルタ切替部21は、本発明のフィルタ切替手段に相当し、フィルタ切替制御部22は、本発明のフィルタ切替制御手段に相当する。
【0042】
フィルタ切替部21にはフィルタの種類を切り替える役割が与えられている。すなわち、図3においてRで示す円形の領域は、X線管3がX線を照射する照射口を表している。フィルタ切替部21は、この照射口に高電圧用フィルタ3pと低電圧用フィルタ3qとのどちらかを隣接させることにより、X線が通過するフィルタの種類を切り替えることができるようになっている。
【0043】
本発明のX線断層撮影装置1がフィルタ3fを備えている理由について説明する。フィルタ3fは、X線管3の出力が異なる2枚の画像を用いてサブトラクション画像sを取得する目的で設けられている。サブトラクション画像sは、X線管3を高電圧で制御して取得した画像からX線管3を低電圧で制御して取得した画像を減算することで生成される。サブトラクション画像の元となる2枚の画像を比較すると、被検体Mの骨部における像の濃さに対する被検体Mの軟組織における像の濃さが異なっている。
【0044】
仮に、骨部像の濃さに対する軟組織像の濃さが同じ2枚の画像を減算処理すると、画像に写り込む被検体像同士が単に相殺されて消去されるだけである。しかし、被検体Mの骨部像の濃さに対する軟組織像の濃さが異なる2枚の画像を減算処理すると、例えば画像における軟組織が写り込んでいる部分においては像同士の相殺があまり起こらず、画像における骨部が写り込んでいる部分においては像同士の相殺が強く起こるような現象が生じる。この例の場合、2枚の画像を減算することで被検体Mの軟組織が骨部よりも強調されたサブトラクション画像が取得される。減算処理を行うときの係数を変更することで、被検体Mの骨部を強調することもできる。
【0045】
視認性の高いサブトラクション画像sを取得するには、取得する2枚の画像の間で被検体Mの骨部における像の濃さに対する被検体Mの軟組織における像の濃さ確実に違えるようにしなければならない。このような像の濃さの違いは、2枚の画像を撮影するときに照射されるX線の性質が異なることに由来している。仮に、同じ線質のX線を照射して2枚の画像を撮影すると、2枚の画像の間で骨部像の濃さに対する軟組織像の濃さが似通ってくる。この様な2枚の画像の差分を取ったとしても画像に写り込む被検体像同士が単に相殺されるだけで、被検体Mの軟組織が強調されない。
【0046】
図4は、フィルタ3fなしでサブトラクション画像sを取得する場合におけるX線のスペクトルを示したものである。図中、X線管3が高電圧のときに照射されるX線のスペクトルをHで表し、X線管3が低電圧のときに照射されるX線のスペクトルをLで表すものとする。図4を参照すると互いのスペクトルは、周波数分布が異なるものの、スペクトルが部分的に重なっている共通部分aが存在していることが分かる。この共通部分aは、2回のX線照射に亘って同じ線質のX線が含まれていたことを意味する。X線管3が高電圧のときと低電圧のときとでX線の性質を確実に違えるようにするには、この共通部分aをできるだけ少なくしたほうが望ましい。
【0047】
そこで、サブトラクション画像sの取得にはフィルタ3fが用いられる。すなわち、X線管3が高電圧となっているとき、X線はフィルタ3fの有する高電圧用フィルタ3pを通過する。高電圧用フィルタ3pは、高電圧条件下におけるX線の周波数の低い成分をカットするものとなっている。また、X線管3が低電圧となっているとき、X線はフィルタ3fの有する低電圧用フィルタ3qを通過する。低電圧用フィルタ3qは、低電圧条件下におけるX線の周波数の高い成分をカットするものとなっている。
【0048】
フィルタ3fが作用することで、被検体Mに向けて照射されるX線のスペクトルは図5のように変化する。図5を参照すれば分かるように、フィルタ3fの作用により各スペクトルH,Lの共通部分aが図4のときと比べて少なくなっていることが分かる。このようにフィルタ3fは、2枚の画像を撮影するときに照射されるX線の性質を確実に異なるようにする目的で設けられているのである。
【0049】
<X線断層撮影装置の動作>
次に、図6を参照して実施例1に係るX線断層撮影装置1の動作について説明する。実施例1に係るX線断層撮影装置1を用いて断層像のサブトラクション画像を取得するには、まず被検体Mを天板2に載置し(被検体載置ステップS1),高電圧条件下で透視画像P1の撮影が行われる(高電圧撮影ステップS2)。そして、フィルタ3fが有するフィルタの種類が切り替えられ(フィルタ切替ステップS3),低電圧条件下で透視画像P2の撮影が行われる(低電圧撮影ステップS4)。続いて、連写された透視画像P1と透視画像P2とからサブトラクション画像sが生成され、(画像減算ステップS5),最後にサブトラクション画像sを再構成して断層画像Dが取得される(画像再構成ステップS6)。以降、各ステップについて順を追って説明する。
【0050】
なお、実施例1の構成は、従来のように高電圧条件下の撮影と低電圧条件下の撮影とを交互に繰り返す構成を採用せず、高電圧条件に係る一連の撮影を終えたあと低電圧条件に係る一連の撮影を行う構成を採用している。また、X線管3およびFPD4が撮影時に往復移動することも実施例1の構成の特徴と言える。
【0051】
<被検体載置ステップS1,高電圧撮影ステップS2>
天板2に被検体Mを載置した後、術者が操作卓26を通じて撮影開始の指示をX線撮影装置1に与えると、X線管制御部6は、記憶部23に記憶されている管電圧・管電流・パルス幅などのX線管3の制御に関する設定値を読み出す。X線管制御部6は、この設定値通りにX線管3を制御し、X線管3にX線を発生させる。被検体Mを透過したX線は、FPD4で検出され、このときの検出信号が画像生成部11に送出される。画像生成部11は、検出信号を基に被検体Mの透視像が写り込んだ透視画像を生成する。
【0052】
このときX線管制御部6に読み出される設定値は、高電圧撮影に係るものであり、X線管3に高電圧が供給される。高電圧条件下で撮影されたX線透視画像には符号P1を付すものとする。
【0053】
術者の撮影開始の指示は、フィルタ切替制御部22にも送出される。フィルタ切替制御部22は、透視画像P1の撮影が開始される前にフィルタ切替部21を通じてフィルタ3fの種類を高電圧用フィルタ3pに切り替える。従って、X線管3から照射されるX線はこの高電圧用フィルタ3pを通過して被検体Mに照射されることになる。
【0054】
図7は、最初の透視画像P1が撮影されるときの様子を表している。高電圧撮影が開始されると図7の矢印に示すように、X線管3が被検体Mに対して被検体Mの頭部から足先に向かう一方向に移動されながら高電圧でX線を連射する。また、FPD4は被検体Mに対して被検体Mの足先から頭部に向かう逆方向に移動されながらX線を検出する。一連の透視画像P1の撮影において用いられるフィルタは、高電圧用フィルタ3pで一定である。透視画像P1は、74枚取得される。
【0055】
この様に透視画像P1の生成はX線管3およびFPD4を移動させながら複数回に亘って行われる。従って、撮影された透視画像P1の各々には被検体Mの透視像が異なる撮影方向で写り込んでいることになる。X線管3およびFPD4の移動は同期移動機構7が行う。撮影中、X線管3は、FPD4を向くように傾斜角度が随時変更される。このX線管3の傾斜角度の変更はX線管傾斜機構9が行う。こうして、透視画像P1は一度の撮影で74枚生成される。
【0056】
<フィルタ切替ステップS3>
一連の透視画像P1の撮影が完了すると、X線管3は被検体Mの足先側に位置し、FPD4は被検体Mの頭部側に位置する。この時点で同期移動制御部8は、撮影終了を意味する信号をフィルタ切替制御部22に送出する。フィルタ切替制御部22は、図8に示すようにフィルタ切替部21を通じてフィルタ3fの種類を低電圧用フィルタ3qに切り替える。従って、X線管3から照射されるX線はこの低電圧用フィルタ3qを通過して被検体Mに照射されることになる。
【0057】
<低電圧撮影ステップS4>
フィルタ3fの切替が完了すると、フィルタ切替制御部22は、切替完了を意味する信号をX線管制御部6および同期移動制御部8に送出する。X線管制御部6は、記憶部23に記憶されている管電圧・管電流・パルス幅などのX線管3の制御に関する設定値を再び読み出す。このときX線管制御部6に読み出される設定値は、低電圧撮影に係るものであり、X線管3に低電圧が供給される。低電圧条件下で撮影されたX線透視画像には符号P2を付すものとする。
【0058】
図9は、最初の透視画像P2が撮影されるときの様子を表している。低電圧撮影が開始されると図9の矢印に示すように、X線管3が被検体Mに対して被検体Mの足先から頭部に向かう逆方向に移動されながら低電圧でX線を連射する。また、FPD4は被検体Mに対して被検体Mの頭部から足先に向かう一方向に移動されながらX線を検出する。一連の透視画像P2の撮影において用いられるフィルタは、低電圧用フィルタ3qで一定である。透視画像P2は、74枚取得される。実施例1の構成においては、X線管3およびFPD4を被検体Mに対して往復して移動させ、往路で透視画像P1を撮影し復路で透視画像P2を撮影するようになっている。透視画像P2を撮影し終わると、X線管3とFPD4とは、高電圧撮影ステップS2における最初の透視画像P1を撮影する前の位置に戻る(図7参照)。
【0059】
<画像減算ステップS5>
透視画像P1および透視画像P2は、画像減算部12に送出される。画像減算部12は、透視画像P1と透視画像P2との間の差分を取得し、サブトラクション画像sを生成する。画像減算部12に送出される透視画像P1と透視画像P2とは、74枚ずつ取得されている。
【0060】
透視画像P1と透視画像P2との関係について説明する。透視画像P1と透視画像P2とはX線管3の電圧の条件が異なる以外は、同じ条件で被検体Mを撮影したものとなっている。より具体的には、74枚の透視画像P1のそれぞれに対応する透視画像P2が撮影されている。つまり、ある透視画像P1を撮影したときにおける被検体、X線管3,FPD4の位置関係と同じ位置関係で透視画像P2が撮影されている。例えば、最初に取得された透視画像P1に対応する透視画像P2は、低電圧撮影ステップS4において最後に撮影された透視画像P2である。
【0061】
画像減算部12は、透視画像P1のそれぞれについて対応する透視画像P2との間の差分を取得することでサブトラクション画像sを取得する。透視画像P1は74枚撮影されていることからすると、サブトラクション画像sも74枚取得されることになる。サブトラクション画像sの各々には、被検体Mの軟組織または骨部が強調された像が写り込んでいる。画像減算部12は、差分演算に用いる係数を変更することにより、サブトラクション画像sにおける像の強調の様子を調整することができる。
【0062】
<画像再構成ステップS6>
74枚のサブトラクション画像sは、画像再構成部13に送出される。画像再構成部13は、撮影の投影方向が互いに異なる被検体像が写り込んだ一連のサブトラクション画像sを再構成して、断層画像Dを生成する。断層画像Dが表示部27に表示されてX線断層撮影装置1の動作は終了となる。
【0063】
以上のように、実施例1の構成は、X線管3が被検体Mに対して移動する構成の放射線撮影装置において、高電圧の撮影と低電圧の撮影との差分を取得してサブトラクション画像sを生成する構成となっている。X線管3が被検体Mに対して移動する構成においては、従来はX線管3を移動させながら高電圧の撮影と低電圧の撮影を交互に行うようにしている。この様にすると、高電圧用フィルタ3pと低電圧用フィルタ3qとを交互に交換しなければならず、制御が複雑となる。そこで、実施例1の構成では、X線管3を一方向に移動させながら高電圧の撮影を行い、X線管3を逆方向に移動させながら低電圧の撮影を行うようにしている。この様にすることで、高電圧用フィルタ3pと低電圧用フィルタ3qとを切り替える動作を1回で完了させることができるので制御が単純で構造が単純な放射線撮影装置が提供できる。
【実施例2】
【0064】
続いて、実施例2に係るX線撮影装置について説明する。実施例2は、X線管3を移動させ、FPD4を移動させない移動様式で撮影を行うもので、骨塩定量に用いられる撮影様式である。実施例2に係るX線撮影装置の構成は図1における機能ブロック図と同様である。図1に関して実施例2の構成が実施例1と異なる点は、FPD4が移動しないことと、X線管3が傾斜しないこと、断層画像を生成しないことである。したがって、実施例2においては図1における同期移動機構7,FPD移動機構7b,同期移動制御部8,FPD移動制御部8b,X線管傾斜機構9,X線管傾斜制御部10,および画像再構成部13は必ずしも必要とされない。
【0065】
なお、実施例2の構成は、従来のように高電圧条件下の撮影と低電圧条件下の撮影とを交互に繰り返す構成を採用せず、高電圧条件に係る一連の撮影を終えたあと低電圧条件に係る一連の撮影を行う構成を採用している。また、X線管3が撮影時に往復移動することも実施例2の構成の特徴と言える。
【0066】
実施例2に係るX線撮影装置はX線管3から放射されるX線を制限するコリメータ3aを備えている。図10は、コリメータ3aの構成を説明する図である。コリメータ3aは、図10に示すように、中心軸Cを基準として鏡像対称に移動する1対のリーフ3bを有し、同じく中心軸Cを基準として鏡像対称に移動するもう1対のリーフ3bを備えている。このコリメータ3aは、リーフ3bを移動させることで、FPD4が有する検出面の全面にコーン状のX線ビームBを照射させることもできれば、たとえば、FPD4の中心部分だけにファン状のX線ビームBを照射させることもできる。なお、中心軸Cは、X線ビームBの中心を示す軸ともなっている。なお、リーフ3bの対の一方は、4角錐形状となっているX線ビームの体軸方向Aの広がりを調整するものであり、もう一方のリーフ3bの対は、X線ビームの体側方向Sの広がりを調整するものである。コリメータ3aの開度の変更は、コリメータ移動機構18aが行う。コリメータ制御部18bは、コリメータ移動機構18aを制御するものであり、主制御部25により制御される。また、コリメータ3aを鏡像対称に移動させる構成とせずに、一対のリーフ3bが独立に移動する構成としてもよい。コリメータ3aとX線管3の位置関係はX線管3の移動・傾斜によって変更されず、コリメータ3aはX線管3の移動・傾斜に追従する。
【0067】
実施例2に係るX線撮影装置においては、X線管3から照射されるX線はコリメータ3aによって制限される。コリメータ3aはX線の体軸方向Aの広がりを制限するので、FPD4には体側方向Sに細長となったファン状のX線ビームが到達することになる。つまり、実施例2に係るX線撮影装置は、一度のX線照射により被検体Mの体側方向Sに伸びた細長状のX線透視画像が取得されることになる。この細長状の画像は複数回に亘って撮影され、体側方向に配列されて、一枚の合成画像となる。このようにX線撮影を複数回に分けて被検体Mを少しずつ撮影することにより、画像に写り込む散乱線の量を減少させることができるので、骨塩が高い定量性を持って定量されることになる。この様な広がりが制限されたX線による撮影をスロット撮影と呼ぶ。
【0068】
実施例2に係る画像再構成部13は、実施例1で説明したように断層画像Dを生成する動作を行わない。画像再構成部13は、被検体Mに対するX線管3の位置を変えながら撮影されたサブトラクション画像sをつなぎ合わせて一枚の合成画像を生成する。すなわち画像再構成部13は、被検体Mの体側方向Sに細長状となっているサブトラクション画像sを被検体Mの体軸方向Aに配列してつなぎ合わせて合成画像を生成する。
【0069】
<X線撮影装置の動作>
実施例2に係るX線撮影装置の動作は、図6で説明した実施例1に係る装置の動作と同様である。図11は、高電圧撮影ステップS2において、高電圧条件でX線撮影が開始されるときの様子を示している。図11に示すように、X線管3は、FPD4が有する両端うち被検体Mの頭部側の一端に位置し、X線ビームBを連射しながら一方向に移動し被検体Mの頭部足先側に向かう。このときFPD4は移動することがない。このときフィルタ3fは、高電圧用フィルタ3pが選択されている。
【0070】
図12は、フィルタ切替ステップS3においてフィルタ3fが切り替えられる様子を示している。この動作は、高電圧条件下での撮影が全て終了した後で行われる。このとき、X線管3は、FPD4が有する両端うち被検体Mの足先側の一端に位置している。
【0071】
図13は、低電圧撮影ステップS4において、低電圧条件でX線撮影が開始されるときの様子を示している。図13に示すように、X線管3は、FPD4が有する両端うち被検体Mの足先側の一端に位置し、X線ビームBを連射しながら逆方向に移動し被検体Mの頭部側に向かう。このときFPD4は移動することがない。このときフィルタ3fは、低電圧用フィルタ3qが選択されている。実施例2の構成においては、X線管3を被検体Mに対して往復して移動させ、往路で高電圧条件の撮影をし、復路で低電圧条件の撮影するようになっている。こうして、X線管3は、高電圧撮影ステップS2における最初の透視画像P1を撮影する前の位置に戻る(図11参照)。
【0072】
高電圧条件下で撮影された透視画像P1と低電圧条件下で撮影された透視画像P2との関係について説明する。透視画像P1と透視画像P2とはX線管3の電圧の条件が異なる以外は、同じ条件で被検体Mを撮影したものとなっている。より具体的には、複数枚の透視画像P1のそれぞれに対応する透視画像P2が撮影されている。つまり、ある透視画像P1を撮影したときにおける被検体MとX線管3の位置関係と同じ位置関係で透視画像P2が撮影されている。例えば、最初に取得された透視画像P1に対応する透視画像P2は、低電圧撮影ステップS4において最後に撮影された透視画像P2である。
【0073】
画像減算部12は、画像減算ステップS5において、透視画像P1のそれぞれについて対応する透視画像P2との間の差分を取得することでサブトラクション画像sを取得する。このとき透視画像P1と同数のサブトラクション画像sが取得されることになる。
【0074】
画像再構成部13は、画像再構成ステップS6において、複数枚のサブトラクション画像sを被検体Mの体軸方向Aにつなぎ合わせて合成画像を生成する。合成画像が表示部27に表示されてX線撮影装置1の動作は終了となる。
【0075】
以上のように、実施例2の構成は、骨塩定量用の放射線撮影装置となっている。骨塩定量を行うときは、X線管3を被検体Mに対して移動させるとともに、FPD4を被検体Mに対して移動させない方式でスロット撮影が行われる。本発明はこの様な構成にも採用することができる。
【実施例3】
【0076】
続いて、実施例3に係るX線断層撮影装置について説明する。実施例3の構成は、図14に示すように、X線管3とFPD4とが互いの位置関係を保った状態で被検体Mの体軸方向Aに移動されながら断層画像を撮影することができる構成である。このとき、撮影方法としては、実施例2のようにスロット撮影ではなく、FPD4の全面にX線を照射することで撮影が行われる。
【0077】
なお、実施例3の構成は、従来のように高電圧条件下の撮影と低電圧条件下の撮影とを交互に繰り返す構成を採用せず、高電圧条件に係る一連の撮影を終えたあと低電圧条件に係る一連の撮影を行う構成を採用している。また、X線管3およびFPD4が撮影時に往復移動することも実施例3の構成の特徴と言える。
【0078】
実施例3に係るX線撮影装置の構成は図1における機能ブロック図と同様である。図1に関して実施例3の構成が実施例1と異なる点は、FPD4がX線管3に追従して移動すること(図14参照),X線管3が傾斜しないことである。したがって、実施例3においては図1におけるX線管傾斜機構9,X線管傾斜制御部10は必ずしも必要とされない。
【0079】
実施例3に係る断層画像の撮影の原理について説明する。まず、図14に示すように撮像系3,4が相対位置を保った状態で被検体Mに対して移動しながら間歇的にX線を照射する。つまり一度の照射が終了する毎にX線管3は被検体Mの体軸方向Aに移動し、再びX線の照射を行う。こうして複数枚の透視画像が取得され、透視画像の加工画像(後述の長尺透視画像)がフィルタバックプロジェクション法により断層画像に再構成される。完成した断層画像は、被検体Mをある裁断面で裁断したときの断層像が写りこんだ画像となっている。
【0080】
断層画像を生成するには、異なる方向から被検体Mを透視したときの画像が必要となる。実施例3に係るX線断層撮影装置は、得られた透視画像を分割してつなぎ合わせてこの画像を生成するようにしている。この動作について説明する。図15は、X線管3のX線を照射する焦点がd1の位置にあるときのFPD4の位置を表している。この撮影において、被検体Mの体軸方向AにおけるFPD4の1/5の幅だけX線管3およびFPD4が天板2に対してこの方向に移動する度に透視画像の撮影が行われるものとする。
【0081】
X線はX線管3から放射状に広がってFPD4に到達するので、生成された透視画像を被検体Mの体軸方向Aに5分割すると、FPD4に対するX線の入射角度は、矢印に示すように、その分割区の間で互いに異なっている。そのうちのあるの1つの方向kに注目する。この方向kに進んできたX線は、被検体Mの斜線の部分を通過してFPD4に写り込んでいるので、方向kのX線が入射したFPD4の分割区には、被検体Mの斜線部が写り込んでいる。透視画像において、この分割区に相当する部分を断片R1とする。
【0082】
図16は、X線管3のX線を照射する焦点がd1からFPD4の1/5の幅だけ移動したd2の位置にあるときのFPD4の位置を表している。X線管3とFPD4の位置関係は変化しないので、このときの撮影においてもFPD4には、方向kに進んできたX線が写り込んでいる分割区があるはずであり、方向kのX線が入射したFPD4の分割区には、被検体Mの斜線部が写り込んでいる。透視画像において、この分割区に相当する部分を断片R2とする。
【0083】
断片R1と断片R2とを比較すると、撮像系3,4に対する被検体Mの位置が異なるので、両断片R1,R2に写り込んでいる被検体Mの部分は互いに異なっている。X線管3をFPD4の1/5の幅だけずらすことにより、焦点d1〜d9において9回の撮影を行ったとして、そのときの方向kのX線が入射したFPD4の分割区における透視画像の各断片R1〜R9には、それぞれ異なる被検体Mの位置が写り込んでいる。そこで、図17に示すように透視画像の各断片R1〜R9をこの順に被検体Mの体軸方向Aにつなぎ合わせれば、ある方向kで被検体Mの全身にX線を照射したときに撮影される画像を得ることができる。この画像を長尺透視画像と呼ぶことにする。長尺画像は本発明の中間画像に相当する。
【0084】
実施例3に係るX線断層撮影装置は、画像再構成部13において方向k以外の方向についても長尺透視画像を生成する。そして、画像再構成部13は、被検体Mを投影した方向が異なる複数の長尺透視画像を基に被検体Mを所定の裁断位置で裁断したときの断層画像を生成するのである。
【0085】
<X線断層撮影装置の動作>
実施例3に係るX線撮影装置の動作は、図6で説明した実施例1に係る装置の動作と同様である。図18は、高電圧撮影ステップS2において、高電圧条件でX線撮影が開始されるときの様子を示している。図18に示すように、X線管3およびFPD4は、被検体Mの頭部側に位置し、透視画像を連写しながら一方向に移動し被検体Mの足先側に向かう。このときフィルタ3fは、高電圧用フィルタ3pが選択されている。
【0086】
図19は、フィルタ切替ステップS3においてフィルタ3fが切り替えられる様子を示している。この動作は、高電圧条件下での撮影が全て終了した後で行われる。このとき、X線管3およびFPD4は、被検体Mの足先側の一端に位置している。
【0087】
図20は、低電圧撮影ステップS4において、低電圧条件でX線撮影が開始されるときの様子を示している。図20に示すように、X線管3およびFPD4は、被検体Mの足先側に位置し、X線ビームBを連射しながら逆方向に移動し被検体Mの頭部側に向かう。このときフィルタ3fは、低電圧用フィルタ3qが選択されている。実施例3の構成においては、X線管3およびFPD4を被検体Mに対して往復して移動させ、往路で高電圧条件の撮影をし、復路で低電圧条件の撮影するようになっている。こうして、X線管3およびFPD4は、高電圧撮影ステップS2における最初の透視画像P1を撮影する前の位置に戻る(図18参照)。
【0088】
高電圧条件下で撮影された透視画像P1と低電圧条件下で撮影された透視画像P2との関係について説明する。透視画像P1と透視画像P2とはX線管3の電圧の条件が異なる以外は、同じ条件で被検体Mを撮影したものとなっている。より具体的には、複数枚の透視画像P1のそれぞれに対応する透視画像P2が撮影されている。つまり、ある透視画像P1を撮影したときにおける被検体MとX線管3の位置関係と同じ位置関係で透視画像P2が撮影されている。例えば、最初に取得された透視画像P1に対応する透視画像P2は、低電圧撮影ステップS4において最後に撮影された透視画像P2である。
【0089】
画像減算部12は、画像減算ステップS5において、透視画像P1のそれぞれについて対応する透視画像P2との間の差分を取得することでサブトラクション画像sを取得する。このとき透視画像P1と同数のサブトラクション画像sが取得されることになる。
【0090】
画像再構成部13は、画像再構成ステップS6において、複数枚のサブトラクション画像sを取得する。画像再構成部13は、サブトラクション画像sの各々を被検体Mの体側方向Sに伸びた短冊状画像に分割する。その後、画像再構成部13は、X線の照射方向が同じ短冊状画像をつなぎ合わせて複数枚の長尺画像を生成する。これら長尺画像には投影方向の異なる被検体Mの全身像が写り込んでいる。
【0091】
画像再構成部13は、複数枚の長尺画像を重ね合わせて断層画像Dを生成する。この断層画像Dを生成する原理としては、図2で説明したものと同様である。すなわち、複数枚の長尺画像を単に重ね合わせれば、基準裁断面MAにおける被検体全身の断層像が取得される。また、複数枚の長尺画像をずらしながら重ね合わせれば基準裁断面MAと平行な任意の裁断面における被検体全身の断層像が取得される。
【0092】
以上のように、実施例3の構成によれば、スロット撮影により取得された長尺画像を撮影しこれらから断層画像Dを撮影する構成となっている。この様な撮影を行うようにすれば、広範囲に亘って撮影された断層画像を取得できる放射線撮影装置を提供できる。
【実施例4】
【0093】
続いて、実施例4に係るX線撮影装置について説明する。実施例4の構成は、図21に示すように、X線管3とFPD4とが互いの位置関係を保った状態で被検体Mの体軸方向Aに移動されながら透視画像を撮影することができる構成である。このとき、撮影方法としては、実施例2のようなスロット撮影であり、コリメータ3aが体軸方向AにおけるX線の幅を制限しながら撮影が行われる。このようにすることにより、散乱線の影響を受けないで鮮明な画像を広い範囲に亘って撮影することができる。
【0094】
なお、実施例4の構成は、従来のように高電圧条件下の撮影と低電圧条件下の撮影とを交互に繰り返す構成を採用せず、高電圧条件に係る一連の撮影を終えたあと低電圧条件に係る一連の撮影を行う構成を採用している。また、X線管3およびFPD4が撮影時に往復移動することも実施例4の構成の特徴と言える。
【0095】
実施例4に係るX線撮影装置の構成は図1における機能ブロック図と同様である。図1に関して実施例4の構成が実施例1と異なる点は、FPD4がとの位置関係を保った状態でX線管3に追従して移動すること(図21参照),X線管3が傾斜しないこと、および断層画像を生成しないことである。したがって、実施例4においては図1におけるX線管傾斜機構9,X線管傾斜制御部10および画像再構成部13は必ずしも必要とされない。
【0096】
<X線撮影装置の動作>
実施例4に係るX線撮影装置の動作は、図6で説明した実施例1に係る装置の動作と同様である。図21は、高電圧撮影ステップS2において、高電圧条件でX線撮影が開始されるときの様子を示している。図21に示すように、X線管3およびFPD4は、被検体Mの頭部側に位置し、透視画像を連写しながら一方向に移動し被検体Mの足先側に向かう。このときフィルタ3fは、高電圧用フィルタ3pが選択されている。
【0097】
図22は、フィルタ切替ステップS3においてフィルタ3fが切り替えられる様子を示している。この動作は、高電圧条件下での撮影が全て終了した後で行われる。このとき、X線管3およびFPD4は、被検体Mの足先側に位置している。
【0098】
図23は、低電圧撮影ステップS4において、低電圧条件でX線撮影が開始されるときの様子を示している。図23に示すように、X線管3およびFPD4は、被検体Mの足先側に位置し、X線ビームBを連射しながら逆方向に移動し被検体Mの頭部側に向かう。このときフィルタ3fは、低電圧用フィルタ3qが選択されている。実施例4の構成においては、X線管3およびFPD4を被検体Mに対して往復して移動させ、往路で高電圧条件の撮影をし、復路で低電圧条件の撮影するようになっている。こうして、X線管3およびFPD4は、高電圧撮影ステップS2における最初の透視画像P1を撮影する前の位置に戻る(図21参照)。
【0099】
高電圧条件下で撮影された透視画像P1と低電圧条件下で撮影された透視画像P2との関係について説明する。透視画像P1と透視画像P2とはX線管3の電圧の条件が異なる以外は、同じ条件で被検体Mを撮影したものとなっている。より具体的には、複数枚の透視画像P1のそれぞれに対応する透視画像P2が撮影されている。つまり、ある透視画像P1を撮影したときにおける被検体MとX線管3の位置関係と同じ位置関係で透視画像P2が撮影されている。例えば、最初に取得された透視画像P1に対応する透視画像P2は、低電圧撮影ステップS4において最後に撮影された透視画像P2である。
【0100】
画像減算部12は、画像減算ステップS5において、透視画像P1のそれぞれについて対応する透視画像P2との間の差分を取得することでサブトラクション画像sを取得する。このとき透視画像P1と同数のサブトラクション画像sが取得されることになる。このサブトラクション画像sは、被検体Mの体側方向Sに伸びた細長状となっている。
【0101】
画像再構成部13は、画像再構成ステップS6において、複数枚のサブトラクション画像sを被検体Mの体軸方向Aに配列してつなぎ合わせて合成画像を生成する。
【0102】
以上のように、実施例4の構成によれば、スロット撮影の様式によりサブトラクション画像sを撮影する構成となっている。スロット撮影でサブトラクション画像sを行うようにすれば、散乱放射線に影響を受けずに鮮明なサブトラクション画像sを取得できる放射線撮影装置を提供できる。
【0103】
本発明は、上述した実施例の構成に限られず、下記のように変形実施が可能である。
【0104】
(1)上述した各実施例において、高電圧の撮影が低電圧の撮影よりも先に行われていたが、本発明はこの構成に限られない。低電圧の撮影を高電圧の撮影よりも先行して行うように構成してもよい。この際、フィルタ3fは、低電圧用フィルタ3qから高電圧用フィルタ3pに切り替えられることになる。
【0105】
(2)上述した各実施例において、サブトラクション画像sを生成したあと断層画像Dを生成するようにしていたが、本発明はこの様な構成に限られない。高電圧撮影に係る断層画像Dと低電圧に係る断層画像Dとを生成した後、これらの差分を取ってサブトラクション画像sを取得するような構成としても良い。この様な構成の機能ブロック図は、図1における画像減算部12と画像再構成部13との位置が入れ替えられたものとなっている。
【0106】
(3)上述した実施例は、医用の装置であったが、本発明は、工業用や、原子力用の装置に適用することもできる。
【0107】
(4)上述した実施例のいうX線は、本発明における放射線の一例である。したがって、本発明は、X線以外の放射線にも適応できる。
【符号の説明】
【0108】
3 X線管(放射線源)
3f フィルタ
4 FPD(放射線検出手段)
6 X線管制御部(放射線源制御手段)
7a X線管移動機構(放射線源移動手段)
8a X線管移動制御部(放射線源移動制御手段)
11 画像生成部(画像生成手段)
12 画像減算部(画像減算手段)
13 画像再構成部(画像合成手段)
21 フィルタ切替部(フィルタ切替手段)
22 フィルタ切替制御部(フィルタ切替制御手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を照射する放射線源と、
前記放射線源の電圧を制御する放射線源制御手段と、
前記放射線源を被検体に対して移動させる放射線源移動手段と、
前記放射線源移動手段を制御する放射線源移動制御手段と、
前記放射線源の移動に追従して移動するとともに放射線を通過させる高電圧用フィルタおよび低電圧用フィルタと、
これらのフィルタにおいて放射線が通過するフィルタを切替えるフィルタ切替手段と、
前記フィルタ切替手段を制御するフィルタ切替制御手段と、
前記フィルタおよび被検体を通過した放射線を検出する放射線検出手段と、
前記放射線検出手段の出力を基に画像を生成する画像生成手段と、
放射線源を高電圧条件で一方向に移動させながら連写された画像と、放射線源を低電圧条件で逆方向に移動させながら連写された画像との差分を取得してサブトラクション画像を生成する画像減算手段と、
前記サブトラクション画像を合成して合成画像を生成する画像合成手段とを備え、
前記フィルタ切替制御手段は、前記放射線源が被検体に対して一方向に移動されながら高電圧で放射線を連射するときには、前記高電圧用フィルタに切り替え、
前記放射線源が被検体に対して逆方向に移動されながら低電圧で放射線を連射するときには、前記低電圧用フィルタに切り替えるよう前記フィルタ切替制御手段を制御することを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線撮影装置において、
前記放射線検出手段を被検体に対して移動させる検出器移動手段と、
前記検出器移動手段を制御する検出器移動制御手段とを備え、
前記放射線源が移動される際、前記放射線検出手段が被検体に対して移動されることを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項3】
請求項2に記載の放射線撮影装置において、
前記画像合成手段は被検体を仮想平面で裁断したときの断層画像を前記合成画像として生成し、
前記放射線源が被検体に対して一方向に移動されると、前記放射線検出手段は被検体に対して逆方向に移動され、
前記放射線源が被検体に対して逆方向に移動されると、前記放射線検出手段は被検体に対し一方向に移動されることを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項4】
請求項2に記載の放射線撮影装置において、
前記画像合成手段は前記放射線源の移動方向と直交する方向に伸びた細長状のサブトラクション画像を前記放射線源の移動方向に配列してつなぎ合わせて前記合成画像を生成し、
前記放射線源が被検体に対して一方向に移動されると、前記放射線検出手段は一方向に移動され、
前記放射線源が被検体に対して逆方向に移動されると、前記放射線検出手段は逆方向に移動されることを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項5】
請求項2に記載の放射線撮影装置において、
前記画像合成手段は、前記サブトラクション画像を前記放射線源の移動方向と直交する方向に伸びた細長状の短冊状画像に分割して放射線の照射方向が同じ短冊状画像をつなぎ合わせた中間画像を生成し、前記中間画像から被検体を仮想平面で裁断したときの断層画像を前記合成画像として生成し、
前記放射線源が被検体に対して一方向に移動されると、前記放射線検出手段は一方向に移動され、
前記放射線源が被検体に対して逆方向に移動されると、前記放射線検出手段は逆方向に移動されることを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項6】
請求項1に記載の放射線撮影装置において、
前記画像合成手段が生成する前記合成画像は前記放射線源の移動方向と直交する方向に伸びた細長状のサブトラクション画像を前記放射線源の移動方向に配列してつなぎ合わせたものであり、
画像の撮影中に前記放射線検出手段が被検体に対して移動しないことを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項7】
請求項6に記載の放射線撮影装置において、
骨塩定量用となっていることを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項1】
放射線を照射する放射線源と、
前記放射線源の電圧を制御する放射線源制御手段と、
前記放射線源を被検体に対して移動させる放射線源移動手段と、
前記放射線源移動手段を制御する放射線源移動制御手段と、
前記放射線源の移動に追従して移動するとともに放射線を通過させる高電圧用フィルタおよび低電圧用フィルタと、
これらのフィルタにおいて放射線が通過するフィルタを切替えるフィルタ切替手段と、
前記フィルタ切替手段を制御するフィルタ切替制御手段と、
前記フィルタおよび被検体を通過した放射線を検出する放射線検出手段と、
前記放射線検出手段の出力を基に画像を生成する画像生成手段と、
放射線源を高電圧条件で一方向に移動させながら連写された画像と、放射線源を低電圧条件で逆方向に移動させながら連写された画像との差分を取得してサブトラクション画像を生成する画像減算手段と、
前記サブトラクション画像を合成して合成画像を生成する画像合成手段とを備え、
前記フィルタ切替制御手段は、前記放射線源が被検体に対して一方向に移動されながら高電圧で放射線を連射するときには、前記高電圧用フィルタに切り替え、
前記放射線源が被検体に対して逆方向に移動されながら低電圧で放射線を連射するときには、前記低電圧用フィルタに切り替えるよう前記フィルタ切替制御手段を制御することを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線撮影装置において、
前記放射線検出手段を被検体に対して移動させる検出器移動手段と、
前記検出器移動手段を制御する検出器移動制御手段とを備え、
前記放射線源が移動される際、前記放射線検出手段が被検体に対して移動されることを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項3】
請求項2に記載の放射線撮影装置において、
前記画像合成手段は被検体を仮想平面で裁断したときの断層画像を前記合成画像として生成し、
前記放射線源が被検体に対して一方向に移動されると、前記放射線検出手段は被検体に対して逆方向に移動され、
前記放射線源が被検体に対して逆方向に移動されると、前記放射線検出手段は被検体に対し一方向に移動されることを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項4】
請求項2に記載の放射線撮影装置において、
前記画像合成手段は前記放射線源の移動方向と直交する方向に伸びた細長状のサブトラクション画像を前記放射線源の移動方向に配列してつなぎ合わせて前記合成画像を生成し、
前記放射線源が被検体に対して一方向に移動されると、前記放射線検出手段は一方向に移動され、
前記放射線源が被検体に対して逆方向に移動されると、前記放射線検出手段は逆方向に移動されることを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項5】
請求項2に記載の放射線撮影装置において、
前記画像合成手段は、前記サブトラクション画像を前記放射線源の移動方向と直交する方向に伸びた細長状の短冊状画像に分割して放射線の照射方向が同じ短冊状画像をつなぎ合わせた中間画像を生成し、前記中間画像から被検体を仮想平面で裁断したときの断層画像を前記合成画像として生成し、
前記放射線源が被検体に対して一方向に移動されると、前記放射線検出手段は一方向に移動され、
前記放射線源が被検体に対して逆方向に移動されると、前記放射線検出手段は逆方向に移動されることを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項6】
請求項1に記載の放射線撮影装置において、
前記画像合成手段が生成する前記合成画像は前記放射線源の移動方向と直交する方向に伸びた細長状のサブトラクション画像を前記放射線源の移動方向に配列してつなぎ合わせたものであり、
画像の撮影中に前記放射線検出手段が被検体に対して移動しないことを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項7】
請求項6に記載の放射線撮影装置において、
骨塩定量用となっていることを特徴とする放射線撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2012−254191(P2012−254191A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128908(P2011−128908)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]