説明

放射線断層撮影方法

【課題】被写体の三次元データを高精度に再構成するための複数のX線画像を撮影するときの被写体の被曝量を低減すること。
【解決手段】2つの放射線が同時に曝射されたときに2つのセンサアレイによりそれぞれ撮影された第1同時曝射画像と第2同時曝射画像と、一方の放射線だけが曝射されたときに一方のセンサアレイにより撮影された第1片方曝射画像と、他方の放射線が曝射されたときに一方のセンサアレイにより撮影された第1散乱線曝射画像とを撮影し、その片方曝射画像をその散乱線曝射画像に基づいて補正し、その補正された画像と第1同時曝射画像と第2同時曝射画像とを3次元データに再構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線断層撮影方法に関し、特に、被写体の透過画像に基づいてその被写体の3次元データを再構成するときに利用される放射線断層撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影対象の回りを回転する線源からその撮影対象に照射される円錐状(コーン状)のX線を用いて撮影される複数のX線画像に基づいて、その撮影対象の三次元CTデータを再構成するコーンビームCT(CBCT:Cone Beam Computed Tomography)が知られている。このようなコーンビームCTは、その線源を複数回の回転をさせることなく、その三次元CTデータを短時間に作成することができる。人体を撮影対象とする場合には、呼吸性移動に起因する被写体ぶれを除いた高精度な画像を取得するために、撮影中に撮影対象者の息止めが必要となる。患者の負担を軽減するために、そのX線画像の撮影時間を短時間化することが望まれている。
【0003】
その線源の回転速度を高速化することにより、コーンビームCT撮影時間を短縮することができる。その線源を高速かつ安全に回転させるためには、大型の検出器等の回転部分を安全に収納する保護カバー等に機器を収める必要があり、その装置は、複雑で大型な機器となり高価なものになる。回転速度を上げることなく,高速なCBCT撮影をすることが望まれている。さらに、被写体の三次元データを再構成するための複数のX線画像を撮影するときの被写体の被曝量を低減することが望まれている。
【0004】
特開2007−111314には、簡便な手法により散乱線の影響を除去することが可能なX線CT装置が開示されている。そのX線CT装置は、被検体の周りを回転するX線管球と、前記X線管球と対になり、前記被検体を間にして前記X線管球と対向して配置されて前記被検体の周りを回転するX線検出器と、前記X線検出器の出力に対して再構成処理を施すことにより画像データを生成する再構成処理部と、を有し、前記X線管球と前記X線検出器との対が複数設置されたX線CT装置であって、前記複数のX線管球のうち、1つのX線検出器と対になるX線管球を除いた他のX線管球を擬似体に対して曝射したときにおける、前記1つのX線検出器の出力を散乱線成分として記憶し、全てのX線検出器に対する散乱線成分を記憶した記憶部と、前記被検体に対して全てのX線管球を同時に曝射させるスキャン制御部と、前記全てのX線管球を同時に曝射したときにおける各X線検出器の出力から、前記記憶部に記憶されている各X線検出器に対する散乱線成分を減算する散乱線成分減算部と、を有し、前記再構成処理部は、前記減算後の出力に対して再構成処理を施すことにより画像データを生成することを特徴とする。
【0005】
米国特許第6980626号明細書には、散乱線を用いて撮影されたX線散乱線イメージを、X線イメージの散乱線の影響を補正するために用いる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−111314
【特許文献2】米国特許第6980626号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、被写体の三次元データを再構成するための複数のX線画像を撮影するときの被写体の被曝量を低減する放射線断層撮影方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、発明を実施するための形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0009】
本発明による放射線断層撮影方法は、複数の曝射画像に基づいて複数の補正後曝射画像を算出するステップと、その複数の補正後曝射画像に基づいて被写体(43)の3次元データを算出するステップとを備えている。その複数の曝射画像は、第1線源(24)から第1同時曝射放射線が曝射されたときに、被写体(43)を介して第1線源(24)に対向する第1センサアレイ(32)により撮影された第1同時曝射画像と、第1線源(24)と異なる第2線源(25)から第2同時曝射放射線が曝射されたときに、被写体(43)を介して第2線源(25)に対向する第2センサアレイ(33)により撮影された第2同時曝射画像と、第1線源(24)から第1片方曝射放射線が曝射されたときに、第1センサアレイ(32)により撮影された第1片方曝射画像と、第2線源(25)から第2片方曝射放射線が曝射されたときに、第1センサアレイ(32)により撮影された第1散乱線曝射画像とを含んでいる。その第1同時曝射放射線は、その第2同時曝射放射線と同時に曝射される。
【0010】
その第1片方曝射放射線は、第2線源(25)から放射線が曝射されないときに、曝射される。その第2片方曝射放射線は、第1線源(24)から放射線が曝射されないときに、曝射される。その第1同時曝射画像が撮影されたときに第1センサアレイ(32)が配置された第1同時曝射撮影角度(68−2〜68−181)(78−1〜78−180)は、その第2同時曝射画像が撮影されたときに第2センサアレイ(33)が配置された第2同時曝射撮影角度(69−2〜69−181)(79−1〜79−180)と異なっている。その第1片方曝射画像が撮影されたときに第1センサアレイ(32)が配置された第1片方曝射撮影角度(68−182〜68−205)(78−181〜78−205)は、第1同時曝射撮影角度(68−2〜68−181)(78−1〜78−180)と異なり、第2同時曝射撮影角度(69−2〜69−181)(79−1〜79−180)と異なっている。
【0011】
その複数の補正後曝射画像は、その第1同時曝射画像に対応する第1補正後同時曝射画像と、その第1片方曝射画像に対応する第1補正後片方曝射画像と、その第2同時曝射画像に対応する第2補正後同時曝射画像とを含んでいる。その第1補正後同時曝射画像とその第1補正後片方曝射画像とは、第2線源(25)から曝射される第1放射線(36)の散乱線に起因してその第1補正後同時曝射画像に出現する影響の程度が第1放射線(36)の散乱線に起因してその第1補正後片方曝射画像に出現する影響の程度に一致するように、その第1散乱線曝射画像に基づいて算出される。
【0012】
第1センサアレイ(32)と第2センサアレイ(33)とは、互いに固定されている場合で、三次元データを再構成するための複数のX線画像を撮影するときに、第1センサアレイ(32)が配置される角度と第2センサアレイ(33)が配置される角度とが重複する重複撮影角度範囲が存在する。このような放射線断層撮影方法によれば、第1線源(24)と第2線源(25)との両方から放射線が曝射されたときに撮影されたX線画像と第1線源(24)と第2線源(25)との一方から放射線が曝射されたときに撮影されたX線画像とは、輝度のレベルが互いに等しくされることができ、被写体の3次元データをより高精度に算出することができる。このとき、第1線源(24)と第2線源(25)とは、その重複撮影角度範囲で両方が同時に放射線を曝射する必要がなく、さらに、被写体(43)に曝射される放射線の被曝量をより低減することができる。
【0013】
その第1散乱線曝射画像が撮影されたときに第1センサアレイ(32)が配置された第1散乱線曝射撮影角度(78−206)と第1片方曝射撮影角度(78−181〜78−205)との差は、第1散乱線曝射撮影角度(78−206)と第1同時曝射撮影角度(78−1〜78−180)との差より小さく、かつ、第1散乱線曝射撮影角度(78−206)と第2同時曝射撮影角度(79−1〜79−180)との差より小さいことが好ましい。
【0014】
その複数の曝射画像は、第1線源(24)と第2線源(25)とを支持する走行ガントリ(14)が1方向に回転している期間に、撮影される。このとき、その複数の曝射画像が撮影される撮影時間は、その複数の曝射画像が撮影される期間に走行ガントリ(14)の回転方向を変化させることに比較して、短縮することができ、被写体(43)の負担を軽減することができる。
【0015】
その複数の曝射画像は、その第2片方曝射放射線が曝射されたときに、第2センサアレイ(33)により撮影された第2片方曝射画像と、その第1片方曝射放射線が曝射されたときに、第2センサアレイ(33)により撮影された第2散乱線曝射画像とをさらに含んでいる。その第2片方曝射画像が撮影されたときに第2センサアレイ(33)が配置された第2片方曝射撮影角度(69−1)は、第1同時曝射撮影角度(68−2〜68−181)と異なり、第2同時曝射撮影角度(69−2〜69−181)と異なっている。その複数の補正後曝射画像は、その第2同時曝射画像に対応する第2補正後同時曝射画像と、その第2片方曝射画像に対応する第2補正後片方曝射画像とをさらに含んでいる。その第2補正後同時曝射画像とその第2補正後片方曝射画像とは、第1線源(24)から曝射される第2放射線(35)の散乱線に起因してその第2補正後同時曝射画像に出現する影響の程度が第2放射線(35)の散乱線に起因してその第2補正後片方曝射画像に出現する影響の程度に一致するように、その第2散乱線曝射画像に基づいて算出される。
【0016】
その複数の曝射画像は、第1線源(24)から第1校正用放射線が曝射されたときに、第1センサアレイ(32)により撮影された第1校正用曝射画像と、第2線源(25)から第2校正用放射線が曝射されたときに、第1センサアレイ(32)により撮影された第2校正用曝射画像とをさらに含んでいる。その第1校正用曝射画像が撮影されたときに第1センサアレイ(32)が配置された第1校正用撮影角度は、その第2校正用曝射画像が撮影されたときに第2センサアレイ(33)が配置された第2校正用撮影角度に一致する。第1線源(24)は、その第2校正用放射線が曝射されたときに、放射線を曝射する。第2線源(25)は、その第1校正用放射線が曝射されたときに、放射線を曝射する。その第1補正後同時曝射画像とその第2補正後同時曝射画像とは、第1センサアレイ(32)と第2センサアレイ(33)との感度差がより小さくなるように、その第1校正用曝射画像とその第2校正用曝射画像とに基づいて算出される。
【0017】
本発明による放射線治療装置制御装置(2)は、複数の曝射画像を撮影する撮影部(51)と、その複数の曝射画像に基づいて複数の補正後曝射画像を算出する補正部(52)と、その複数の補正後曝射画像に基づいて被写体(43)の3次元データを算出する再構成部(53)とを備えている。その複数の曝射画像は、第1線源(24)から第1同時曝射放射線が曝射されたときに、被写体(43)を介して第1線源(24)に対向する第1センサアレイ(32)により撮影された第1同時曝射画像と、第1線源(24)と異なる第2線源(25)から第2同時曝射放射線が曝射されたときに、被写体(43)を介して第2線源(25)に対向する第2センサアレイ(33)により撮影された第2同時曝射画像と、第1線源(24)から第1片方曝射放射線が曝射されたときに、第1センサアレイ(32)により撮影された第1片方曝射画像と、第2線源(25)から第2片方曝射放射線が曝射されたときに、第1センサアレイ(32)により撮影された第1散乱線曝射画像とを含んでいる。
【0018】
その第1同時曝射放射線は、その第2同時曝射放射線と同時に曝射される。その第1片方曝射放射線は、第2線源(25)から放射線が曝射されないときに、曝射される。その第2片方曝射放射線は、第1線源(24)から放射線が曝射されないときに、曝射される。その第1同時曝射画像が撮影されたときに第1センサアレイ(32)が配置された第1同時曝射撮影角度(68−2〜68−181)(78−1〜78−180)は、その第2同時曝射画像が撮影されたときに第2センサアレイ(33)が配置された第2同時曝射撮影角度(69−2〜69−181)(79−1〜79−180)と異なっている。その第1片方曝射画像が撮影されたときに第1センサアレイ(32)が配置された第1片方曝射撮影角度(68−182〜68−205)(78−181〜78−205)は、第1同時曝射撮影角度(68−2〜68−181)(78−1〜78−180)と異なり、第2同時曝射撮影角度(69−2〜69−181)(79−1〜79−180)と異なっている。
【0019】
その複数の補正後曝射画像は、その第1同時曝射画像に対応する第1補正後同時曝射画像と、その第1片方曝射画像に対応する第1補正後片方曝射画像と、その第2同時曝射画像に対応する第2補正後同時曝射画像とを含んでいる。その第1補正後同時曝射画像とその第1補正後片方曝射画像とは、第2線源(25)から曝射される第1放射線(36)の散乱線に起因してその第1補正後同時曝射画像に出現する影響の程度が第1放射線(36)の散乱線に起因してその第1補正後片方曝射画像に出現する影響の程度に一致するように、その第1散乱線曝射画像に基づいて算出される。
【0020】
第1センサアレイ(32)と第2センサアレイ(33)とは、互いに固定されている場合で、三次元データを再構成するための複数のX線画像を撮影するときに、第1センサアレイ(32)が配置される角度と第2センサアレイ(33)が配置される角度とが重複する重複撮影角度範囲が存在する。放射線治療装置制御装置(2)によれば、第1線源(24)と第2線源(25)との両方から放射線が曝射されたときに撮影されたX線画像と第1線源(24)と第2線源(25)との一方から放射線が曝射されたときに撮影されたX線画像とは、輝度のレベルが互いに等しくされることができ、被写体の3次元データをより高精度に算出することができる。このとき、第1線源(24)と第2線源(25)とは、その重複撮影角度範囲で両方が同時に放射線を曝射する必要がなく、さらに、被写体(43)に曝射される放射線の被曝量をより低減することができる。
【0021】
その第1散乱線曝射画像が撮影されたときに第1センサアレイ(32)が配置された第1散乱線曝射撮影角度(78−206)と第1片方曝射撮影角度(68−182〜68−205)(78−181〜78−205)との差は、第1散乱線曝射撮影角度(78−206)と第1同時曝射撮影角度(68−2〜68−181)(78−1〜78−180)との差より小さく、かつ、第1散乱線曝射撮影角度(78−206)と第2同時曝射撮影角度(69−2〜69−181)(79−1〜79−180)との差より小さいことが好ましい。
【0022】
その複数の曝射画像は、第1線源(24)と第2線源(25)とを支持する走行ガントリ(14)が1方向に回転している期間に、撮影される。このとき、その複数の曝射画像が撮影される撮影時間は、その複数の曝射画像が撮影される期間に走行ガントリ(14)の回転方向を変化させることに比較して、短縮することができ、被写体(43)の負担を軽減することができる。
【0023】
その複数の曝射画像は、その第2片方曝射放射線が曝射されたときに、第2センサアレイ(33)により撮影された第2片方曝射画像と、その第1片方曝射放射線が曝射されたときに、第2センサアレイ(33)により撮影された第2散乱線曝射画像とをさらに含んでいる。その第2片方曝射画像が撮影されたときに第2センサアレイ(33)が配置された第2片方曝射撮影角度(69−1)は、第1同時曝射撮影角度(68−2〜68−181)(78−1〜78−180)と異なり、第2同時曝射撮影角度(69−2〜69−181)(79−1〜79−180)と異なっている。その複数の補正後曝射画像は、その第2同時曝射画像に対応する第2補正後同時曝射画像と、その第2片方曝射画像に対応する第2補正後片方曝射画像とをさらに含んでいる。その第2補正後同時曝射画像とその第2補正後片方曝射画像とは、第1線源(24)から曝射される第2放射線(35)の散乱線に起因してその第2補正後同時曝射画像に出現する影響の程度が第2放射線(35)の散乱線に起因してその第2補正後片方曝射画像に出現する影響の程度に一致するように、その第2散乱線曝射画像に基づいて算出される。
【0024】
その複数の曝射画像は、第1線源(24)から第1校正用放射線が曝射されたときに、第1センサアレイ(32)により撮影された第1校正用曝射画像と、第2線源(25)から第2校正用放射線が曝射されたときに、第2センサアレイ(33)により撮影された第2校正用曝射画像とをさらに含んでいる。その第1校正用曝射画像が撮影されたときに第1センサアレイ(32)が配置された第1校正用撮影角度は、その第2校正用曝射画像が撮影されたときに第2センサアレイ(33)が配置された第2校正用撮影角度に一致する。第1線源(24)は、その第2校正用放射線が曝射されたときに、放射線を曝射する。第2線源(25)は、その第1校正用放射線が曝射されたときに、放射線を曝射する。その第1補正後同時曝射画像とその第2補正後同時曝射画像とは、第1センサアレイ(32)と第2センサアレイ(33)との感度差がより小さくなるように、その第1校正用曝射画像とその第2校正用曝射画像とに基づいて算出される。
【0025】
本発明による放射線治療システム(1)は、本発明による放射線治療装置制御装置(2)と、放射線治療装置(3)とを備えている。放射線治療装置(3)は、第1線源(24)と、第2線源(25)と、第1センサアレイ(32)と、第2センサアレイ(33)とを備えている。
【0026】
放射線治療装置(3)は、被写体(43)に治療用放射線を照射する治療用放射線照射装置をさらに備えている。
【発明の効果】
【0027】
本発明による放射線断層撮影方法は、被写体の3次元データをより高精度に算出することができ、かつ、その三次元データを再構成するための複数のX線画像を撮影するときの被写体の被曝量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明による放射線治療システムの実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図2は、放射線治療装置を示す斜視図である。
【図3】図3は、放射線治療装置制御装置を示すブロック図である。
【図4】図4は、診断用X線源の動作を示し、センサアレイの動作を示すタイミングチャートである。
【図5】図5は、診断用X線源とセンサアレイとの位置関係を示す図である。
【図6】図6は、診断用X線源の動作を示し、センサアレイの動作を示すタイミングチャートである。
【図7】図7は、診断用X線源とセンサアレイとの位置関係を示す図である。
【図8】図8は、輝度の累積度数を示すグラフである。
【図9】図9は、他の放射線治療装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面を参照して、本発明による放射線治療システムの実施の形態を記載する。その放射線治療システム1は、図1に示されているように、放射線治療装置制御装置2と放射線治療装置3とを備えている。放射線治療装置制御装置2は、パーソナルコンピュータに例示されるコンピュータである。放射線治療装置制御装置2と放射線治療装置3とは、双方向に情報を伝送することができるように、互いに接続されている。
【0030】
図2は、放射線治療装置3を示している。放射線治療装置3は、Oリング12と走行ガントリ14と治療用放射線照射装置16とを備えている。Oリング12は、リング状に形成され、回転軸17を中心に回転可能に基礎に支持されている。回転軸17は、鉛直方向に平行である。走行ガントリ14は、リング状に形成され、Oリング12のリングの内側に配置され、回転軸18を中心に回転可能にOリング12に支持されている。回転軸18は、鉛直方向に垂直であり、回転軸17に含まれるアイソセンタ19を通っている。回転軸18は、Oリング12に対して固定され、すなわち、Oリング12とともに回転軸17を中心に回転する。
【0031】
治療用放射線照射装置16は、走行ガントリ14のリングの内側に配置されている。治療用放射線照射装置16は、チルト軸21に回転可能に、かつ、パン軸22に回転可能に、走行ガントリ14に支持されている。パン軸22は、走行ガントリ14に対して固定され、回転軸18に交差しないで回転軸18に平行である。チルト軸21は、パン軸22に直交している。チルト軸21とパン軸22との交点は、アイソセンタ19から1mだけ離れている。
【0032】
放射線治療装置3は、さらに、旋回駆動装置11と首振り機構15とを備え、図示されていない走行駆動装置を備えている。旋回駆動装置11は、放射線治療装置制御装置2により制御されることにより、回転軸17を中心にOリング12を回転させる。その走行駆動装置は、放射線治療装置制御装置2により制御されることにより、回転軸18を中心に走行ガントリ14を回転させる。首振り機構15は、放射線治療装置制御装置2により制御されることにより、パン軸22を中心に治療用放射線照射装置16を回転させ、チルト軸21を中心に治療用放射線照射装置16を回転させる。
【0033】
治療用放射線照射装置16は、放射線治療装置制御装置2により制御されることにより、治療用放射線23を曝射する。治療用放射線23は、パン軸22とチルト軸21とが交差する交点を頂点とするコーンビームである。治療用放射線23は、一様強度分布を持つように形成されている。治療用放射線照射装置16は、マルチリーフコリメータ20を備えている。マルチリーフコリメータ20は、治療用放射線23が進行する領域に配置されるように、治療用放射線照射装置16に固定されている。マルチリーフコリメータ20は、放射線治療装置制御装置2により制御されることにより、治療用放射線23の一部を遮蔽し、治療用放射線23が患者に照射されるときの照射野の形状を変更する。
【0034】
治療用放射線23は、このように治療用放射線照射装置16が走行ガントリ14に支持されることにより、治療用放射線照射装置16がアイソセンタ19に向かうように走行ガントリ14に固定されると、旋回駆動装置11によりOリング12が回転し、または、その走行駆動装置により走行ガントリ14が回転しても、常に概ねアイソセンタ19を通る。即ち、走行・旋回を行うことで任意方向からアイソセンタ19に向けて治療用放射線23の照射が可能になる。
【0035】
放射線治療装置3は、さらに、複数のイメージャシステムを備えている。すなわち、放射線治療装置3は、第1診断用X線源24と第2診断用X線源25と第1センサアレイ32と第2センサアレイ33とを備えている。第1診断用X線源24は、走行ガントリ14に支持され、アイソセンタ19から第1診断用X線源24を結ぶ線分とアイソセンタ19から治療用放射線照射装置16を結ぶ線分とのなす角が鋭角になるように、走行ガントリ14のリングの内側に配置されている。第2診断用X線源25は、走行ガントリ14に支持され、アイソセンタ19から第2診断用X線源25を結ぶ線分とアイソセンタ19から治療用放射線照射装置16を結ぶ線分とのなす角が鋭角になるように、走行ガントリ14のリングの内側に配置されている。第2診断用X線源25は、さらに、アイソセンタ19から第1診断用X線源24を結ぶ線分とアイソセンタ19から第2診断用X線源25を結ぶ線分とのなす角が直角(90度)になるように、配置されている。第1センサアレイ32は、走行ガントリ14に支持され、アイソセンタ19を介して第1診断用X線源24に対向するように、配置されている。第2センサアレイ33は、走行ガントリ14に支持され、アイソセンタ19を介して第2診断用X線源25に対向するように、配置されている。
【0036】
第1診断用X線源24は、放射線治療装置制御装置2により制御されることにより、所定のタイミングで第1診断用X線35をアイソセンタ19に向けて曝射する。第1診断用X線35は、第1診断用X線源24が有する1点から曝射され、その1点を頂点とする円錐状のコーンビームである。第2診断用X線源25は、放射線治療装置制御装置2により制御されることにより、所定のタイミングで第2診断用X線36をアイソセンタ19に向けて曝射する。第2診断用X線36は、第2診断用X線源25が有する1点から曝射され、その1点を頂点とする円錐状のコーンビームである。
【0037】
第1センサアレイ32は、受光部を備えている。その受光部は、その受光部の走行ガントリ14の回転方向の両端と第1診断用X線35の頂点とを結ぶ2つの直線のなす広がり角が12.0度になるように、形成されている。第1センサアレイ32は、放射線治療装置制御装置2により制御されることにより、その受光部に受光されるX線に基づいてX線画像を生成する。第2センサアレイ33は、受光部を備えている。その受光部は、その受光部の走行ガントリ14の回転方向の両端と第2診断用X線36の頂点とを結ぶ2つの直線のなす広がり角が12.0度になるように、形成されている。第2センサアレイ33は、放射線治療装置制御装置2により制御されることにより、その受光部に受光されるX線に基づいてX線画像を生成する。そのX線画像は、複数の画素から形成されている。その複数の画素は、そのX線画像でマトリクス状に配置され、それぞれ輝度に対応付けられている。そのX線画像は、複数の画素の各々に対応する輝度が複数の画素の各々に着色されることにより、被写体を映し出している。第1センサアレイ32と第2センサアレイ33としては、FPD(Flat Panel Detector)、X線II(Image Intensifier)が例示される。
【0038】
このようなイメージャシステムによれば、第1センサアレイ32と第2センサアレイ33とにより得た画像信号に基づき、アイソセンタ19を中心とするX線画像を生成することができる。
【0039】
放射線治療装置3は、さらに、カウチ41とカウチ駆動装置42とを備えている。カウチ41は、平行移動可能に基礎に支持されている。カウチ41は、放射線治療システム1により治療される患者43が横臥することに利用される。カウチ41は、図示されていない固定具を備えている。その固定具は、その患者が動かないように、その患者をカウチ41に固定する。カウチ駆動装置42は、放射線治療装置制御装置2により制御されることにより、カウチ41を平行移動させる。
【0040】
図3は、放射線治療装置制御装置2を示している。その放射線治療装置制御装置2は、コンピュータであり、図示されていないCPUと記憶装置とリムーバルメモリドライブと入力装置と出力装置とインターフェースとを備えている。そのCPUは、放射線治療装置制御装置2にインストールされるコンピュータプログラムを実行して、その記憶装置と入力装置と出力装置とを制御する。その記憶装置は、そのコンピュータプログラムを記録し、そのCPUに利用される情報を記録し、そのCPUにより生成される情報を記録する。そのリムーバルメモリドライブは、記録媒体が挿入されたときに、その記録媒体に記録されているデータを読み出すことに利用される。そのリムーバルメモリドライブは、特に、コンピュータプログラムが記録されている記録媒体が挿入されたときに、そのコンピュータプログラムを放射線治療装置制御装置2にインストールするときに利用される。その入力装置は、ユーザに操作されることにより生成される情報をそのCPUに出力する。その入力装置としては、キーボード、マウスが例示される。その出力装置は、そのCPUにより生成された情報をユーザに認識可能に出力する。その出力装置としては、ディスプレイが例示される。
【0041】
そのインターフェースは、放射線治療装置制御装置2に接続される外部機器により生成される情報をそのCPUに出力し、そのCPUにより生成された情報をその外部機器に出力する。その外部機器は、放射線治療装置3の旋回駆動装置11と走行駆動装置と首振り機構15と治療用放射線照射装置16とマルチリーフコリメータ20と第1診断用X線源24と第2診断用X線源25と第1センサアレイ32と第2センサアレイ33とカウチ駆動装置42とを含んでいる。
【0042】
放射線治療装置制御装置2にインストールされるコンピュータプログラムは、放射線治療装置制御装置2に複数の機能を実現させるための複数のコンピュータプログラムから形成されている。その複数の機能は、撮影部51と補正部52と再構成部53と治療計画部54と照射部55とを含んでいる。
【0043】
撮影部51は、アイソセンタ19に配置された被写体を映し出す複数枚のX線画像が撮影されるように、放射線治療装置3を制御する。すなわち、撮影部51は、基礎に対してOリング12が所定の旋回角度に配置されるように、旋回駆動装置11を制御する。撮影部51は、さらに、Oリング12に対して走行ガントリ14が一定の角速度(たとえば、7度毎秒)で回転軸18を中心に回転するように、その走行駆動装置を制御する。撮影部51は、さらに、Oリング12に対して走行ガントリ14が所定のガントリ角度に配置されたときに、第1診断用X線35が曝射されるように、第1診断用X線源24を制御する。撮影部51は、さらに、Oリング12に対して走行ガントリ14が所定のガントリ角度に配置されたときに、第2診断用X線36が曝射されるように、第2診断用X線源25を制御する。撮影部51は、さらに、Oリング12に対して走行ガントリ14が所定のガントリ角度に配置されたときに、X線画像が生成されるように、第1センサアレイ32を制御する。撮影部51は、さらに、Oリング12に対して走行ガントリ14が所定のガントリ角度に配置されたときに、X線画像が生成されるように、第2センサアレイ33を制御する。
【0044】
補正部52は、撮影部51により撮影された複数のX線画像に基づいて、複数の補正後X線画像を算出する。
【0045】
再構成部53は、補正部52により補正された複数の補正後X線画像を3次元データに再構成する。その3次元データは、患者43の臓器の立体的な形状を示し、複数のボクセルに複数の透過率を対応付けている。その複数のボクセルは、それぞれ、患者43が配置される空間を隙間なく充填する複数の直方体に対応している。その直方体としては、一辺の長さが0.4mmである立方体が例示される。その各ボクセルに対応する透過率は、その各ボクセルに対応する位置の立方体のX線の透過率を示している。
【0046】
治療計画部54は、再構成部53により再構成された患者43の3次元データをユーザにより閲覧可能に出力装置に表示する。治療計画部54は、さらに、入力装置を用いて入力される情報に基づいて治療計画を作成する。その治療計画は、患者43の3次元データを示し、照射角度と線量との組み合わせを示している。その照射角度は、患者43の患部に治療用放射線23を照射する方向を示し、カウチ位置とOリング回転角とガントリ回転角とを示している。そのカウチ位置は、基礎に対するカウチ41の位置を示している。そのOリング回転角は、基礎に対するOリング12の位置を示している。そのガントリ回転角は、Oリング12に対する走行ガントリ14の位置を示している。その線量は、その各照射角度から患者43に照射される治療用放射線23の線量を示している。
【0047】
照射部55は、治療計画部54により作成された治療計画に示される放射線治療が実行されるように、放射線治療装置3を制御する。すなわち、照射部55は、その治療計画が示す照射角度に治療用放射線照射装置16が患者43に対して配置されるように、カウチ駆動装置42を制御し、旋回駆動装置11を制御し、放射線治療装置3の走行駆動装置を制御する。照射部55は、さらに、2枚の患者43のX線画像が撮影されるように、第1診断用X線源24と第2診断用X線源25と第1センサアレイ32と第2センサアレイ33とを制御する。照射部55は、さらに、その2枚のX線画像に基づいて、患者43の患部の位置を算出し、その患部の形状を算出する。照射部55は、さらに、その算出された患部の位置に治療用放射線照射装置16が向くように、首振り機構15を制御する。照射部55は、さらに、その患部の形状に治療用放射線23の照射野が一致するように、マルチリーフコリメータ20を制御する。照射部55は、さらに、その患部に治療用放射線23が照射されるように、治療用放射線照射装置16を制御する。照射部55は、さらに、その治療計画が示す線量の治療用放射線23が患者43の患部に照射されるまで、そのX線画像の撮影から治療用放射線23の照射までの動作を繰り返して実行する。
【0048】
図4は、撮影部51により複数のX線画像が撮影されるときに第1診断用X線源24が第1診断用X線35を曝射するタイミングを示している。そのタイミング61は、撮影部51により複数枚のX線画像が撮影されるときに、ガントリ角度が0度から102.0度までの値を示すように、走行ガントリ14が回転することを示している。そのガントリ角度は、Oリング12に対して走行ガントリ14が配置されている角度と初期ガントリ角度との差を示している。その初期ガントリ角度は、撮影部51により複数のX線画像が撮影されるときにOリング12に対して走行ガントリ14が初期的に配置される角度を示している。タイミング61は、さらに、そのガントリ角度が0.5度から102.0度までの範囲を変化するときに、走行ガントリ14が0.5度回転するごとに第1診断用X線源24が第1診断用X線35を曝射することを示している。すなわち、タイミング61は、そのガントリ角度が(0.5×n1)度(n1=1,2,3,…,204)を示すときに、第1診断用X線源24が第1診断用X線35を曝射することを示している。
【0049】
図4は、さらに、撮影部51により複数のX線画像が撮影されるときに第2診断用X線源25が第2診断用X線36を曝射するタイミングを示している。そのタイミング62は、そのガントリ角度が0.0度から90.0度までの範囲を変化するときに、走行ガントリ14が0.5度回転するごとに第2診断用X線源25が第2診断用X線36を曝射することを示している。すなわち、タイミング62は、そのガントリ角度が(0.5×n2)度(n2=0,1,2,3,…,180)を示すときに、第2診断用X線源25が第2診断用X線36を曝射することを示している。
【0050】
タイミング61とタイミング62とは、そのガントリ角度が0.0度を示すときに、第1診断用X線35が曝射されないことを示し、第2診断用X線36だけが曝射されることを示している。タイミング61とタイミング62とは、さらに、そのガントリ角度が0.5度から90.0度までの範囲を変化するときに、走行ガントリ14が0.5度回転するごとに第1診断用X線35と第2診断用X線36とが同時に曝射されることを示している。タイミング61とタイミング62とは、さらに、そのガントリ角度が90.5度から102.0度までの範囲を変化するときに、第2診断用X線36が曝射されないことを示し、走行ガントリ14が0.5度回転するごとに第1診断用X線35だけが曝射されることを示している。
【0051】
図4は、さらに、撮影部51により複数のX線画像が撮影されるときに第1センサアレイ32がX線画像を生成するタイミングを示している。そのタイミング63は、そのガントリ角度が0度から102.0度までの範囲を変化するときに、走行ガントリ14が0.5度回転するごとに第1センサアレイ32がX線画像を生成することを示している。すなわち、そのタイミング63は、そのガントリ角度が(0.5×n3)度(n3=0,1,2,3,…,204)を示すときに、第1センサアレイ32がX線画像を生成することを示している。
【0052】
タイミング61とタイミング62とタイミング63とは、第1センサアレイ32により生成されるX線画像が第1同時曝射画像と第1片方曝射画像と第1散乱線画像とを含んでいることを示している。その第1同時曝射画像は、第1診断用X線35と第2診断用X線36とが曝射されているときに、第1センサアレイ32の受光部に受光されるX線に基づいて生成される。タイミング61とタイミング62とタイミング63とは、そのガントリ角度が0.5度から90.0度までの範囲を変化するときにその第1同時曝射画像が生成されることを示している。その第1片方曝射画像は、第2診断用X線36が曝射されないで、第1診断用X線35が曝射されているときに、第1センサアレイ32の受光部に受光されるX線に基づいて生成される。タイミング61とタイミング62とタイミング63とは、そのガントリ角度が90.5度から102.0度までの範囲を変化するときにその第1片方曝射画像が生成されることを示している。その第1散乱線画像は、第1診断用X線35が曝射されないで、第2診断用X線36が曝射されているときに、第1センサアレイ32の受光部に受光されるX線に基づいて生成される。タイミング61とタイミング62とタイミング63とは、そのガントリ角度が0.0度を示すときにその第1散乱線画像が生成されることを示している。
【0053】
図4は、さらに、撮影部51により複数のX線画像が撮影されるときに第2センサアレイ33がX線画像を生成するタイミングを示している。そのタイミング64は、そのガントリ角度が0度から90.0度までの範囲を変化するときに、走行ガントリ14が0.5度回転するごとに第2センサアレイ33がX線画像を生成することを示し、そのガントリ角度が102.0度を示すときに第2センサアレイ33がX線画像を生成することを示している。すなわち、タイミング64は、そのガントリ角度が(0.5×n4)度(n4=0,1,2,3,…,180,204)を示すときに、第2センサアレイ33がX線画像を生成することを示している。
【0054】
タイミング61とタイミング62とタイミング64とは、第2センサアレイ33により生成されるX線画像が第2同時曝射画像と第2片方曝射画像と第2散乱線画像とを含んでいることを示している。その第2同時曝射画像は、第1診断用X線35と第2診断用X線36とが曝射されているときに、第2センサアレイ33の受光部に受光されるX線に基づいて生成される。タイミング61とタイミング62とタイミング64とは、そのガントリ角度が0.5度から90.0度までの範囲を変化するときにその第2同時曝射画像が生成されることを示している。その第2片方曝射画像は、第1診断用X線35が曝射されないで、第2診断用X線36が曝射されているときに、第2センサアレイ33の受光部に受光されるX線に基づいて生成される。タイミング61とタイミング62とタイミング64とは、そのガントリ角度が0.0度を示すときにその第2片方曝射画像が生成されることを示している。その第2散乱線画像は、第2診断用X線36が曝射されないで、第1診断用X線35が曝射されているときに、第2センサアレイ33の受光部に受光されるX線に基づいて生成される。タイミング61とタイミング62とタイミング64とは、そのガントリ角度が102.0度を示すときにその第2散乱線画像が生成されることを示している。
【0055】
図5は、撮影部51により複数のX線画像が撮影されるときに第1診断用X線源24と第2診断用X線源25と第1センサアレイ32と第2センサアレイ33とがそれぞれ配置される複数の位置の位置関係を示している。その位置関係65は、複数の曝射角度66−2〜66−205と複数の曝射角度67−1〜67−181と複数の撮影角度68−1〜68−205と複数の撮影角度69−1〜69−205とを示している。
【0056】
複数の曝射角度66−2〜66−205の各曝射角度66−iは、そのガントリ角度が{0.5×(i−1)}度を示すときに、第1診断用X線源24が配置される角度を示し、第1診断用X線35が曝射される角度を示している。複数の曝射角度67−1〜67−181の各曝射角度67−iは、そのガントリ角度が{0.5×(i−1)}度を示すときに、第2診断用X線源25が配置される角度を示し、第2診断用X線36が曝射される角度を示している。位置関係65は、曝射角度67−iと曝射角度66−iとの差が常時に90度であることを示している。
【0057】
複数の撮影角度68−1〜68−205の各撮影角度68−iは、そのガントリ角度が{0.5×(i−1)}度を示すときに、第1センサアレイ32が配置される角度を示している。位置関係65は、撮影角度68−iと曝射角度66−iとの差が常時に180度であることを示し、第1センサアレイ32が第1診断用X線源24に常時に対向していることを示している。すなわち、位置関係65は、第1センサアレイ32により撮影されたX線画像がアイソセンタ19に配置される被写体を第1診断用X線35が透過した後の透過線に基づいて生成されることを示している。位置関係65は、撮影角度68−iと曝射角度67−iとの差が常時に90度であることを示し、第1センサアレイ32が第2診断用X線源25に常時に対向していないことを示している。すなわち、位置関係65は、第1センサアレイ32により撮影されたX線画像がアイソセンタ19に配置される被写体を第2診断用X線36が散乱した後の散乱線に基づいて生成されることを示している。
【0058】
位置関係65は、さらに、撮影角度68−2〜68−181でその第1同時曝射画像が撮影されることを示している。位置関係65は、さらに、撮影角度68−182〜68−205でその第1片方曝射画像が撮影されることを示している。位置関係65は、さらに、撮影角度68−1でその第1散乱線画像が撮影されることを示している。
【0059】
複数の撮影角度69−1〜69−205の各撮影角度69−iは、そのガントリ角度が{0.5×(i−1)}度を示すときに、第2センサアレイ33が配置される角度を示している。位置関係65は、撮影角度69−iと曝射角度67−iとの差が常時に180度であることを示し、第2センサアレイ33が第2診断用X線源25に常時に対向していることを示している。すなわち、位置関係65は、第2センサアレイ33により撮影されたX線画像がアイソセンタ19に配置される被写体を第2診断用X線36が透過した後の透過線に基づいて生成されることを示している。位置関係65は、撮影角度69−iと曝射角度66−iとの差が常時に90度であることを示し、第2センサアレイ33が第1診断用X線源24に常時に対向していないことを示している。すなわち、位置関係65は、第2センサアレイ33により撮影されたX線画像がアイソセンタ19に配置される被写体を第1診断用X線35が散乱した後の散乱線に基づいて生成されることを示している。
【0060】
位置関係65は、さらに、撮影角度69−2〜69−181でその第2同時曝射画像が撮影されることを示している。位置関係65は、さらに、撮影角度69−1でその第2片方曝射画像が撮影されることを示している。位置関係65は、さらに、撮影角度69−205でその第2散乱線画像が撮影されることを示している。
【0061】
このとき、補正部52により算出される複数の補正後X線画像は、その第1同時曝射画像と第2同時曝射画像と第1補正後曝射画像と第2補正後曝射画像とから形成されている。すなわち、補正部52は、その第1散乱線画像に基づいてその第1片方曝射画像を第1補正後曝射画像に補正し、その第1散乱線画像に基づいてその第2片方曝射画像を第2補正後曝射画像に補正する。
【0062】
その第1補正後曝射画像は、第1診断用X線35と第2診断用X線36との両方が曝射されたときにその第1片方曝射画像が撮影された撮影角度から撮影される画像を示している。すなわち、その第1補正後片方曝射画像は、第2診断用X線36の散乱線に起因してその第1補正後同時曝射画像に出現する影響の程度が第1診断用X線35の散乱線に起因してその第1補正後片方曝射画像に出現する影響の程度に一致するように、算出される。たとえば、その第1補正後曝射画像の各画素に対応する輝度は、その第1片方曝射画像のその画素に対応する輝度とその第1散乱線画像のその画素に対応する輝度との和を示している。
【0063】
その第2補正後曝射画像は、第1診断用X線35と第2診断用X線36との両方が曝射されたときにその第2片方曝射画像が撮影された撮影角度から撮影される画像を示している。すなわち、その第2補正後片方曝射画像は、第1診断用X線35の散乱線に起因してその第2補正後同時曝射画像に出現する影響の程度が第2診断用X線36の散乱線に起因してその第2補正後片方曝射画像に出現する影響の程度に一致するように、算出される。たとえば、その第2補正後曝射画像の各画素に対応する輝度は、その第2片方曝射画像のその画素に対応する輝度とその第2散乱線画像のその画素に対応する輝度との和を示している。
【0064】
このとき、再構成部53は、その第1同時曝射画像と第1補正後曝射画像と第2同時曝射画像と第2補正後曝射画像とに基づいて3次元データを算出する。その第1補正後曝射画像の全体的な輝度のレベルは、その第1同時曝射画像の全体的な輝度のレベルに概ね一致している。さらに、その第2補正後曝射画像の全体的な輝度のレベルは、その第2同時曝射画像の全体的な輝度のレベルに概ね一致している。複数の透過画像から再構成された3次元データは、その複数の透過画像の全体的な輝度のレベルが互いに異なっているときに、アーチファクト等に例示される画質劣化が発生することがある。このため、補正部52により算出される第1同時曝射画像と第1補正後曝射画像と第2同時曝射画像と第2補正後曝射画像とに基づいて算出される3次元データは、このような画質劣化が抑制され、より高精度である。
【0065】
本発明による放射線断層撮影方法の実施の形態は、放射線治療システム1を用いて実行される。ユーザは、まず、放射線治療装置3のカウチ41に患者43を固定する。ユーザは、旋回角度と初期ガントリ角度とを放射線治療装置制御装置2に入力する。放射線治療装置制御装置2は、基礎に対してOリング12がその旋回角度に配置されるように旋回駆動装置11を制御する。放射線治療装置制御装置2は、Oリング12に対してその初期ガントリ角度に配置されるように放射線治療装置3の走行駆動装置を制御する。
【0066】
放射線治療装置制御装置2は、回転軸18を中心に走行ガントリ14がその初期ガントリ角度から102.0度まで一定の角速度(たとえば、7度毎秒)で回転するように、放射線治療装置3の走行駆動装置を制御する。放射線治療装置制御装置2は、走行ガントリ14が所定のガントリ角度{(0.5×n1)度}に配置されたときに第1診断用X線35が曝射するように、第1診断用X線源24を制御する。放射線治療装置制御装置2は、走行ガントリ14が所定のガントリ角度{(0.5×n2)度}に配置されたときに第2診断用X線36が曝射するように、第2診断用X線源25を制御する。放射線治療装置制御装置2は、走行ガントリ14が所定のガントリ角度{(0.5×n3)度}に配置されたときに第1センサアレイ32がX線画像を撮影するように、第1センサアレイ32を制御する。放射線治療装置制御装置2は、走行ガントリ14が所定のガントリ角度{(0.5×n4)度}に配置されたときに第2センサアレイ33がX線画像を撮影するように、第2センサアレイ33を制御する。
【0067】
放射線治療装置制御装置2は、このような動作により、第1同時曝射画像と第1片方曝射画像と第1散乱線画像と第2同時曝射画像と第2片方曝射画像と第2散乱線画像とを撮影する。
【0068】
放射線治療装置制御装置2は、その第1散乱線画像に基づいてその第1片方曝射画像を第1補正後曝射画像に補正する。放射線治療装置制御装置2は、その第2散乱線画像に基づいてその第2片方曝射画像を第2補正後曝射画像に補正する。放射線治療装置制御装置2は、その第1同時曝射画像と第1補正後曝射画像と第2同時曝射画像と第2補正後曝射画像とに基づいて3次元データを算出する。
【0069】
複数の透過画像から再構成された3次元データは、その複数の透過画像の全体的な輝度のレベルが互いに異なっているときに、アーチファクト等に例示される画質劣化が発生することがある。本発明による放射線断層撮影方法によれば、その第1補正後曝射画像の全体的な輝度のレベルは、その第1同時曝射画像の全体的な輝度のレベルに概ね一致している。さらに、その第2補正後曝射画像の全体的な輝度のレベルは、その第2同時曝射画像の全体的な輝度のレベルに概ね一致している。このため、その第1同時曝射画像と第1補正後曝射画像と第2同時曝射画像と第2補正後曝射画像とに基づいて算出される3次元データは、このような画質劣化が抑制され、より高精度である。
【0070】
コーンビームCTにより三次元CTデータを再構成するためには、再構成に広がり角αのX線画像を用いるときに、(180+α)度の角度範囲から撮影された複数のX線画像が必要である。放射線治療装置制御装置2は、アイソセンタ19を中心にして垂直に配置される2つのイメージャを用いてその複数のX線画像が撮影されるように走行ガントリ14を回転させるときに、その2つのイメージャの視野が重複する重複角度範囲が存在する。本発明による放射線断層撮影方法によれば、放射線治療装置3は、その重複角度範囲でその2つのイメージャにうちの一方だけを用いて患者43のX線画像を撮影している。このため、放射線治療装置3は、さらに、その重複角度範囲でその2つのイメージャの両方を用いて患者43のX線画像を撮影することに比較して、患者43に照射される放射線の被曝量を低減することができる。
【0071】
なお、補正部52は、その第1(第2)片方曝射画像の輝度とその第1(第2)散乱線画像の輝度とを加算することと異なる他の補正を実行することもできる。その補正としては、第1(第2)補正後曝射画像の各画素に対応する輝度がその第1(第2)同時曝射画像のその画素に対応する輝度からその第1(第2)散乱線画像のその画素に対応する輝度を減算した差を示すように、第1(第2)補正後曝射画像を算出することが例示される。このとき、再構成部53は、その第1補正後曝射画像と第1片方曝射画像と第2補正後曝射画像と第2片方曝射画像とに基づいて患者43の3次元CTデータを算出する。このような補正が適用された放射線治療装置制御装置は、既述の実施の形態と同様にして、被写体の3次元データをより高精度に算出することができ、かつ、その被写体に照射される放射線の被曝量を低減することができる。
【0072】
放射線治療システム1は、さらに、治療計画を作成する動作と、放射線治療する動作とを実行する。
【0073】
その治療計画を作成する動作では、まず、放射線治療装置制御装置2は、本発明による放射線断層撮影方法により算出された3次元データに基づいて、その患者の患部とその患部の周辺の臓器とを示す画像を生成し、その画像をディスプレイに表示する。ユーザは、その画像を閲覧し、その患部の位置と形状とを特定し、その患部の位置と形状とを放射線治療装置制御装置2に入力する。放射線治療装置制御装置2は、その患部の位置と形状とに基づいて治療計画を作成する。その治療計画は、患者43の3次元データを示し、照射角度と線量との組み合わせを示している。その照射角度は、患者43の患部に治療用放射線23を照射する方向を示し、カウチ位置とOリング回転角とガントリ回転角とを示している。そのカウチ位置は、基礎に対するカウチ41の位置を示している。そのOリング回転角は、基礎に対するOリング12の位置を示している。そのガントリ回転角は、Oリング12に対する走行ガントリ14の位置を示している。その線量は、その各照射角度から患者43に照射される治療用放射線23の線量を示している。
【0074】
放射線治療する動作では、放射線治療装置制御装置2は、その治療計画が示す照射角度から治療用放射線23がその治療計画が示す線量だけ患者43の患部に照射されるように放射線治療装置3を制御する。すなわち、放射線治療装置制御装置2は、その治療計画が示すカウチ位置にカウチ41が配置されるように、カウチ駆動装置42を制御する。放射線治療装置制御装置2は、その治療計画が示すOリング回転角にOリング12が配置されるように、旋回駆動装置11を制御する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、その治療計画が示すガントリ回転角に走行ガントリ14が配置されるように、放射線治療装置3の走行駆動装置を制御する。
【0075】
放射線治療装置制御装置2は、第1診断用X線35が曝射されるように、第1診断用X線源24を制御する。放射線治療装置制御装置2は、その曝射された第1診断用X線35が患者43を透過した後の透過線に基づいて第1X線画像が撮影されるように、第1センサアレイ32を制御する。放射線治療装置制御装置2は、第2診断用X線36が曝射されるように、第2診断用X線源25を制御する。放射線治療装置制御装置2は、その曝射された第2診断用X線36が患者43を透過した後の透過線に基づいて第2X線画像が撮影されるように、第2センサアレイ33を制御する。
【0076】
放射線治療装置制御装置2は、その第1X線画像と第2X線画像とに基づいて患者43の患部の位置と形状とを算出する。放射線治療装置制御装置2は、その算出された位置に治療用放射線照射装置16が向くように、首振り機構15を制御する。放射線治療装置制御装置2は、その患部の形状に治療用放射線23の照射野が一致するように、マルチリーフコリメータ20を制御する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、その患部に治療用放射線23が照射されるように、治療用放射線照射装置16を制御する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、その治療計画が示す線量の治療用放射線23が患者43の患部に照射されるまで、そのX線画像の撮影から治療用放射線23の照射までの動作を周期的に繰り返して実行する。その周期としては、0.2秒が例示される。
【0077】
その第1X線画像と第2X線画像とに基づいて算出された患者43の患部の位置と形状とは、アイソセンタ19を中心にして垂直と異なる他の角度に配置される2つのイメージャを用いてそれぞれ撮影される2枚のX線画像に基づいて算出される位置と形状とに比較して、より高精度である。このため、放射線治療装置3は、垂直と異なる他の角度に配置される2つのイメージャを備える他の放射線治療装置に比較して、より高精度に放射線治療することができる。すなわち、本発明による放射線断層撮影方法は、このような高精度に放射線治療することができる放射線治療装置3に適用されることが好ましい。
【0078】
なお、放射線治療装置3は、そのイメージャにより撮影されるX線画像の広がり角が12.0度と異なるα度になるように形成されることもできる。このとき、走行ガントリ14が回転する角度範囲は、192.0度から(180+α)度に置換される。このような放射線治療装置は、既述の実施の形態における放射線治療装置3と同様にして、被写体の3次元データをより高精度に算出することができ、かつ、その被写体に照射される放射線の被曝量を低減することができる。
【0079】
本発明による放射線治療装置制御装置の実施の他の形態は、既述の実施の形態における放射線治療装置制御装置2の撮影部51と補正部52とが他の撮影部と他の補正部とにそれぞれ置換されている。
【0080】
図6は、その撮影部により複数のX線画像が撮影されるときに第1診断用X線源24が第1診断用X線35を曝射するタイミングを示している。そのタイミング71は、その撮影部により複数枚のX線画像が撮影されるときに、ガントリ角度が0度から102.5度までの値を示すように、走行ガントリ14が回転することを示している。そのガントリ角度は、Oリング12に対して走行ガントリ14が配置されている角度と初期ガントリ角度との差を示している。その初期ガントリ角度は、その撮影部により複数のX線画像が撮影されるときにOリング12に対して走行ガントリ14が初期的に配置される角度を示している。タイミング71は、さらに、そのガントリ角度が0.0度から102.0度までの範囲を変化するときに、走行ガントリ14が0.5度回転するごとに第1診断用X線源24が第1診断用X線35を曝射することを示している。すなわち、タイミング71は、そのガントリ角度が(0.5×m1)度(m1=0,1,2,3,…,204)を示すときに、第1診断用X線源24が第1診断用X線35を曝射することを示している。
【0081】
図6は、さらに、その撮影部により複数のX線画像が撮影されるときに第2診断用X線源25が第2診断用X線36を曝射するタイミングを示している。そのタイミング72は、そのガントリ角度が0.0度から89.5度までの範囲を変化するときに、走行ガントリ14が0.5度回転するごとに第2診断用X線源25が第2診断用X線36を曝射することを示している。タイミング72は、そのガントリ角度が102.5度を示すときに、第2診断用X線源25が第2診断用X線36を曝射することを示している。すなわち、タイミング72は、そのガントリ角度が(0.5×m2)度(m2=0,1,2,3,…,179,205)を示すときに、第2診断用X線源25が第2診断用X線36を曝射することを示している。
【0082】
タイミング71とタイミング72とは、そのガントリ角度が0.0度から89.5度までの範囲を変化するときに、走行ガントリ14が0.5度回転するごとに第1診断用X線35と第2診断用X線36とが同時に曝射されることを示している。タイミング71とタイミング72とは、さらに、そのガントリ角度が90.0度から102.0度までの範囲を変化するときに、第2診断用X線36が曝射されないことを示し、走行ガントリ14が0.5度回転するごとに第1診断用X線35だけが曝射されることを示している。タイミング71とタイミング72とは、さらに、そのガントリ角度が102.5度を示すときに、第1診断用X線35が曝射されないことを示し、第2診断用X線36だけが曝射されることを示している。
【0083】
図6は、さらに、その撮影部により複数のX線画像が撮影されるときに第1センサアレイ32がX線画像を生成するタイミングを示している。そのタイミング73は、そのガントリ角度が0度から102.5度までの範囲を変化するときに、走行ガントリ14が0.5度回転するごとに第1センサアレイ32がX線画像を生成することを示している。すなわち、そのタイミング73は、そのガントリ角度が(0.5×m3)度(m3=0,1,2,3,…,205)を示すときに、第1センサアレイ32がX線画像を生成することを示している。
【0084】
タイミング71とタイミング72とタイミング73とは、第1センサアレイ32により生成されるX線画像が第1同時曝射画像と第1片方曝射画像と第1散乱線画像とを含んでいることを示している。その第1同時曝射画像は、第1診断用X線35と第2診断用X線36とが曝射されているときに、第1センサアレイ32の受光部に受光されるX線に基づいて生成される。タイミング71とタイミング72とタイミング73とは、そのガントリ角度が0.0度から89.5度までの範囲を変化するときにその第1同時曝射画像が生成されることを示している。その第1片方曝射画像は、第2診断用X線36が曝射されないで、第1診断用X線35が曝射されているときに、第1センサアレイ32の受光部に受光されるX線に基づいて生成される。タイミング71とタイミング72とタイミング73とは、そのガントリ角度が90.0度から102.0度までの範囲を変化するときにその第1片方曝射画像が生成されることを示している。その第1散乱線画像は、第1診断用X線35が曝射されないで、第2診断用X線36が曝射されているときに、第1センサアレイ32の受光部に受光されるX線に基づいて生成される。タイミング71とタイミング72とタイミング73とは、そのガントリ角度が102.5度を示すときにその第1散乱線画像が生成されることを示している。
【0085】
図6は、さらに、その撮影部により複数のX線画像が撮影されるときに第2センサアレイ33がX線画像を生成するタイミングを示している。そのタイミング74は、そのガントリ角度が0度から89.5度までの範囲を変化するときに、走行ガントリ14が0.5度回転するごとに第2センサアレイ33がX線画像を生成することを示している。すなわち、タイミング74は、そのガントリ角度が(0.5×m4)度(m4=0,1,2,3,…,179)を示すときに、第2センサアレイ33がX線画像を生成することを示している。
【0086】
タイミング71とタイミング72とタイミング74とは、第2センサアレイ33により生成されるX線画像が第2同時曝射画像のみから形成されていることを示している。その第2同時曝射画像は、第1診断用X線35と第2診断用X線36とが曝射されているときに、第2センサアレイ33の受光部に受光されるX線に基づいて生成される。タイミング71とタイミング72とタイミング74とは、そのガントリ角度が0.0度から89.5度までの範囲を変化するときにその第2同時曝射画像が生成されることを示している。
【0087】
図7は、その撮影部により複数のX線画像が撮影されるときに第1診断用X線源24と第2診断用X線源25と第1センサアレイ32と第2センサアレイ33とがそれぞれ配置される複数の位置の位置関係を示している。その位置関係75は、複数の曝射角度76−1〜76−205と複数の曝射角度77−1〜77−206と複数の撮影角度78−1〜78−206と複数の撮影角度79−1〜79−180とを示している。
【0088】
複数の曝射角度76−1〜76−205の各曝射角度76−iは、そのガントリ角度が{0.5×(i−1)}度を示すときに、第1診断用X線源24が配置される角度を示し、第1診断用X線35が曝射される角度を示している。複数の曝射角度77−1〜77−206の各曝射角度77−iは、そのガントリ角度が{0.5×(i−1)}度を示すときに、第2診断用X線源25が配置される角度を示し、第2診断用X線36が曝射される角度を示している。位置関係75は、曝射角度77−iと曝射角度76−iとの差が常時に90度であることを示している。
【0089】
複数の撮影角度78−1〜78−206の各撮影角度78−iは、そのガントリ角度が{0.5×(i−1)}度を示すときに、第1センサアレイ32が配置される角度を示している。位置関係75は、撮影角度78−iと曝射角度76−iとの差が常時に180度であることを示し、第1センサアレイ32が第1診断用X線源24に常時に対向していることを示している。すなわち、位置関係75は、第1センサアレイ32により撮影されたX線画像がアイソセンタ19に配置される被写体を第1診断用X線35が透過した後の透過線に基づいて生成されることを示している。位置関係75は、撮影角度78−iと曝射角度77−iとの差が常時に90度であることを示し、第1センサアレイ32が第2診断用X線源25に常時に対向していないことを示している。すなわち、位置関係75は、第1センサアレイ32により撮影されたX線画像がアイソセンタ19に配置される被写体を第2診断用X線36が散乱した後の散乱線に基づいて生成されることを示している。
【0090】
位置関係75は、さらに、撮影角度78−1〜78−180でその第1同時曝射画像が撮影されることを示している。位置関係75は、さらに、撮影角度78−181〜78−205でその第1片方曝射画像が撮影されることを示している。位置関係75は、さらに、撮影角度78−206でその第1散乱線画像が撮影されることを示している。
【0091】
複数の撮影角度79−1〜79−180の各撮影角度79−iは、そのガントリ角度が{0.5×(i−1)}度を示すときに、第2センサアレイ33が配置される角度を示している。位置関係75は、撮影角度79−iと曝射角度77−iとの差が常時に180度であることを示し、第2センサアレイ33が第2診断用X線源25に常時に対向していることを示している。すなわち、位置関係75は、第2センサアレイ33により撮影されたX線画像がアイソセンタ19に配置される被写体を第2診断用X線36が透過した後の透過線に基づいて生成されることを示している。位置関係75は、撮影角度79−iと曝射角度76−iとの差が常時に90度であることを示し、第2センサアレイ33が第1診断用X線源24に常時に対向していないことを示している。すなわち、位置関係75は、第2センサアレイ33により撮影されたX線画像がアイソセンタ19に配置される被写体を第1診断用X線35が散乱した後の散乱線に基づいて生成されることを示している。
【0092】
位置関係75は、さらに、撮影角度79−1〜79−180でその第2同時曝射画像が撮影されることを示している。
【0093】
その補正部は、その第1同時曝射画像と第2同時曝射画像と第1補正後曝射画像とから形成されている複数の補正後X線画像を算出する。すなわち、その補正部は、その第1散乱線画像に基づいてその第1片方曝射画像を第1補正後曝射画像に補正する。その第1補正後曝射画像は、第1診断用X線35と第2診断用X線36との両方が曝射されたときにその第1片方曝射画像が撮影された撮影角度から撮影される画像を示している。たとえば、その第1補正後曝射画像の各画素に対応する輝度は、その第1片方曝射画像のその画素に対応する輝度とその第1散乱線画像のその画素に対応する輝度との和を示している。
【0094】
このとき、再構成部53は、その第1同時曝射画像と第1補正後曝射画像と第2同時曝射画像とに基づいて3次元データを算出する。その第1補正後曝射画像は、全体的な輝度のレベルがその第1同時曝射画像の全体的な輝度のレベルに概ね一致するように、算出されている。このため、このように算出される3次元データは、画質劣化が抑制され、より高精度である。
【0095】
このような放射線治療装置制御装置は、既述の実施の形態における放射線治療装置制御装置2と同様にして、被写体の3次元データをより高精度に算出することができ、かつ、その被写体に照射される放射線の被曝量を低減することができる。このような放射線治療装置制御装置は、さらに、その第1散乱線画像が撮影される撮影角度とその第1片方曝射画像が撮影される撮影角度との差が小さい。第2診断用X線36の患者43による散乱線の程度は、一般的に、患者43に対して第2診断用X線36が曝射される曝射角度により変化する。このため、このような放射線治療装置制御装置は、既述の実施の形態における放射線治療装置制御装置2に比較して、その第1散乱線画像に基づいてその第1片方曝射画像をより高精度に第1補正後曝射画像に補正することができる。その結果、このような放射線治療装置制御装置は、既述の実施の形態における放射線治療装置制御装置2に比較して、患者43の3次元データをより高精度に算出することができる。
【0096】
本発明による放射線治療装置制御装置の実施のさらに他の形態は、既述の実施の形態における放射線治療装置制御装置2の撮影部51と補正部52とが他の撮影部と他の補正部とにそれぞれ置換されている。
【0097】
その撮影部は、撮影部51の動作に加えて、さらに、第1センサアレイ32が重複撮影角度に配置されたときに、第1診断用X線35が曝射されるように、第1診断用X線源24を制御し、第2診断用X線36が曝射されるように、第2診断用X線源25を制御し、第1校正用曝射画像が生成されるように、第1センサアレイ32を制御する。その撮影部は、さらに、第2センサアレイ33がその重複撮影角度に配置されたときに、第1診断用X線35が曝射されるように、第1診断用X線源24を制御し、第2診断用X線36が曝射されるように、第2診断用X線源25を制御し、第2校正用曝射画像が生成されるように、第2センサアレイ33を制御する。その重複撮影角度は、重複撮影角度範囲に含まれる1つの角度を示している。その重複撮影角度範囲は、患者43の3次元CTデータを再構成することに必要である複数のX線画像を撮影するときに、第1センサアレイ32が移動する角度範囲と第2センサアレイ33が移動する角度範囲との重なりを示し、図5の撮影角度69−181(68−1)から撮影角度69−205までの角度範囲を示している。
【0098】
その補正部は、補正部52の動作に加えて、さらに、その第1校正用曝射画像と第2校正用曝射画像とに基づいて輝度変換関数を算出する。
【0099】
図8は、その輝度変換関数が算出されるときに用いられる累積度数分布81と累積度数分布82とを示している。累積度数分布81は、その第1校正用曝射画像に含まれる複数の画素の輝度の累積度数を示している。このとき、その累積度数は、その輝度に1対1に対応している。累積度数分布82は、その第2校正用曝射画像に含まれる複数の画素の輝度の累積度数を示している。このとき、その累積度数は、その輝度に1対1に対応している。
【0100】
その補正部は、累積度数分布81と累積度数分布82とに基づいて輝度変換関数を算出する。その輝度変換関数は、累積度数分布82で累積度数Iに対応する輝度xを、累積度数分布81で累積度数Iに対応する輝度f(x)に対応付けている。すなわち、その輝度変換関数は、その輝度変換関数によりその第2校正用曝射画像の輝度の度数分布がその第1校正用曝射画像の輝度の度数分布に一致するように、算出される。
【0101】
その補正部は、さらに、その輝度変換関数に基づいて、その撮影部により撮影された第1同時曝射画像を補正後同時曝射画像に補正する。その補正後同時曝射画像は、その補正後同時曝射画像のある画素が示す輝度yがその第1同時曝射画像のその画素が示す輝度xを用いて輝度f(x)を示すように、算出される。このとき、再構成部53は、再構成部53は、その補正後同時曝射画像と第1補正後曝射画像と第2同時曝射画像と第2補正後曝射画像とに基づいて3次元データを算出する。
【0102】
このような放射線治療装置制御装置は、既述の実施の形態における放射線治療装置制御装置2と同様にして、患者43の3次元データをより高精度に算出することができ、かつ、患者43に照射される放射線の被曝量を低減することができる。このような放射線治療装置制御装置は、さらに、複数のイメージャシステムごとの感度差に起因するその第1同時曝射画像と第2同時曝射画像との輝度の差をより低減することができ、患者43の3次元データをより高精度に算出することができる。
【0103】
なお、その補正部は、輝度分布の差と異なる他のパラメータの差に関して、第1同時曝射画像を補正後同時曝射画像に補正することもできる。そのパラメータとしては、複数のイメージャシステムの視野の差、カメラパラメータの差が例示される。このとき、放射線治療装置制御装置は、さらに、複数のイメージャシステムの差に起因するその第1同時曝射画像と第2同時曝射画像との差をより低減することができ、患者43の3次元データをより高精度に算出することができる。
【0104】
さらに、本発明による放射線断層撮影方法は、n個のイメージャシステムを備える他の放射線治療装置に適用することもできる。このとき、n個の診断用X線源は、n個の診断用X線源のうちの隣接する2つとアイソセンタ19とそれぞれ結ぶ2つの線分のなす角が(180/n)度になるような位置に配置されている。
【0105】
図9は、その放射線治療装置を示している。その放射線治療装置は、既述の実施の形態における放射線治療装置3のイメージャシステムが他のイメージャシステムに置換されている。すなわち、その放射線治療装置は、nが3であり、診断用X線源91−1〜91−3とセンサアレイ92−1〜92−3とを備えている。診断用X線源91−1〜91−3は、それぞれ、走行ガントリ14に支持され、走行ガントリ14のリングの内側に配置されている。診断用X線源91−2は、アイソセンタ19から診断用X線源91−1を結ぶ線分とアイソセンタ19から診断用X線源91−2を結ぶ線分とのなす角が60度になるような位置に配置されている。診断用X線源91−3は、アイソセンタ19から診断用X線源91−2を結ぶ線分とアイソセンタ19から診断用X線源91−3を結ぶ線分とのなす角が60度になるような位置に配置されている。診断用X線源91−1は、放射線治療装置制御装置2により制御されてアイソセンタ19に向けて広がり角が12.0度のコーンビームである診断用X線93−1を曝射する。診断用X線源91−2は、放射線治療装置制御装置2により制御されてアイソセンタ19に向けて広がり角が12.0度のコーンビームである診断用X線93−2を曝射する。診断用X線源91−3は、放射線治療装置制御装置2により制御されてアイソセンタ19に向けて広がり角が12.0度のコーンビームである診断用X線93−3を曝射する。
【0106】
本発明による放射線断層撮影方法は、このような放射線治療装置に適用されるときに、患者の3次元データを作成する動作が他の動作に置換されている。放射線治療装置制御装置2は、その放射線治療装置の走行駆動装置を用いて回転軸18を中心に走行ガントリ14をその初期ガントリ角度から(180/n)度回転させる。放射線治療装置制御装置2は、走行ガントリ14が0.5度回転するごとに、n個の診断用X線源からそれぞれ診断用X線を同時に曝射して、患者43のX線画像を撮影する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、その放射線治療装置の走行駆動装置を用いて回転軸18を中心に走行ガントリ14を(180/n)度からその広がり角12.0度だけ回転させる。放射線治療装置制御装置2は、さらに、走行ガントリ14が0.5度回転するごとに、先行する1番目の診断用X線源のみから診断用X線を曝射して、患者43のX線画像を撮影する。
【0107】
放射線治療装置制御装置2は、さらに、n個の診断用X線源のうちのその1番目の診断用X線源と異なる1つの診断用X線源のみから診断用X線を曝射して、n個のセンサアレイのうちのその1番目の診断用X線源に対向するセンサアレイを用いて患者43の(n−1)個の散乱線曝射画像をそれぞれ撮影する。
【0108】
放射線治療装置制御装置2は、さらに、散乱線に起因してX線画像に出現する影響の程度が同程度になるように、その(n−1)個の散乱線曝射画像に基づいて、その1番目の診断用X線源のみから診断用X線が曝射されたときに、その1番目の診断用X線源に対向するセンサアレイにより撮影されたX線画像の全部を補正する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、その補正されたX線画像と、n個の診断用X線源の全部から診断用X線が同時に曝射されたときに撮影されたX線画像とを再構成して患者43の3次元CTデータを算出する。このような動作でも、既述の実施の形態と同様にして、被写体の3次元データをより高精度に算出することができ、かつ、その被写体に照射される放射線の被曝量を低減することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 :放射線治療システム
2 :放射線治療装置制御装置
3 :放射線治療装置
11:旋回駆動装置
12:Oリング
14:走行ガントリ
15:首振り機構
16:治療用放射線照射装置
17:回転軸
18:回転軸
19:アイソセンタ
20:マルチリーフコリメータ
21:チルト軸
22:パン軸
23:治療用放射線
24:第1診断用X線源
25:第2診断用X線源
32:第1センサアレイ
33:第2センサアレイ
35:第1診断用X線
36:第2診断用X線
41:カウチ
42:カウチ駆動装置
43:患者
51:撮影部
52:補正部
53:再構成部
54:治療計画部
55:照射部
61:タイミング
62:タイミング
63:タイミング
64:タイミング
65:位置関係
66−2〜66−205:複数の曝射角度
67−1〜67−181:複数の曝射角度
68−1〜68−205:複数の撮影角度
69−1〜69−205:複数の撮影角度
71:タイミング
72:タイミング
73:タイミング
74:タイミング
75:位置関係
76−1〜76−205:複数の曝射角度
77−1〜77−206:複数の曝射角度
78−1〜78−206:複数の撮影角度
79−1〜79−180:複数の撮影角度
81:累積度数分布
82:累積度数分布
91−1〜91−3:診断用X線源
92−1〜92−3:センサアレイ
93−1〜93−3:診断用X線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の曝射画像に基づいて複数の補正後曝射画像を算出するステップと、
前記複数の補正後曝射画像に基づいて被写体の3次元データを算出するステップとを具備し、
前記複数の曝射画像は、
第1線源から第1同時曝射放射線が曝射されたときに、前記被写体を介して前記第1線源に対向する第1センサアレイにより撮影された第1同時曝射画像と、
前記第1線源と異なる第2線源から第2同時曝射放射線が曝射されたときに、前記被写体を介して前記第2線源に対向する第2センサアレイにより撮影された第2同時曝射画像と、
前記第1線源から第1片方曝射放射線が曝射されたときに、前記第1センサアレイにより撮影された第1片方曝射画像と、
前記第2線源から第2片方曝射放射線が曝射されたときに、前記第1センサアレイにより撮影された第1散乱線曝射画像とを含み、
前記第1同時曝射放射線は、前記第2同時曝射放射線と同時に曝射され、
前記第1片方曝射放射線は、前記第2線源から放射線が曝射されないときに、曝射され、
前記第2片方曝射放射線は、前記第1線源から放射線が曝射されないときに、曝射され、
前記第1同時曝射画像が撮影されたときに前記第1センサアレイが配置された第1同時曝射撮影角度は、前記第2同時曝射画像が撮影されたときに前記第2センサアレイが配置された第2同時曝射撮影角度と異なり、
前記第1片方曝射画像が撮影されたときに前記第1センサアレイが配置された第1片方曝射撮影角度は、前記第1同時曝射撮影角度と異なり、前記第2同時曝射撮影角度と異なり、
前記複数の補正後曝射画像は、
前記第1同時曝射画像に対応する第1補正後同時曝射画像と、
前記第1片方曝射画像に対応する第1補正後片方曝射画像と、
前記第2同時曝射画像に対応する第2補正後同時曝射画像とを含み、
前記第1補正後同時曝射画像と前記第1補正後片方曝射画像とは、前記第2線源から曝射される第1放射線の散乱線に起因して前記第1補正後同時曝射画像に出現する影響の程度が前記第1放射線の散乱線に起因して前記第1補正後片方曝射画像に出現する影響の程度に一致するように、前記第1散乱線曝射画像に基づいて算出される
放射線断層撮影方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1散乱線曝射画像が撮影されたときに前記第1センサアレイが配置された第1散乱線曝射撮影角度と前記第1片方曝射撮影角度との差は、前記第1散乱線曝射撮影角度と前記第1同時曝射撮影角度との差より小さく、かつ、前記第1散乱線曝射撮影角度と前記第2同時曝射撮影角度との差より小さい
放射線断層撮影方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記複数の曝射画像は、前記第1線源と前記第2線源とを支持する走行ガントリが1方向に回転している期間に、撮影される
放射線断層撮影方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかにおいて、
前記複数の曝射画像は、
前記第2片方曝射放射線が曝射されたときに、前記第2センサアレイにより撮影された第2片方曝射画像と、
前記第1片方曝射放射線が曝射されたときに、前記第2センサアレイにより撮影された第2散乱線曝射画像とをさらに含み、
前記第2片方曝射画像が撮影されたときに前記第2センサアレイが配置された第2片方曝射撮影角度は、前記第1同時曝射撮影角度と異なり、前記第2同時曝射撮影角度と異なり、
前記複数の補正後曝射画像は、
前記第2同時曝射画像に対応する第2補正後同時曝射画像と、
前記第2片方曝射画像に対応する第2補正後片方曝射画像とをさらに含み、
前記第2補正後同時曝射画像と前記第2補正後片方曝射画像とは、前記第1線源から曝射される第2放射線の散乱線に起因して前記第2補正後同時曝射画像に出現する影響の程度が前記第2放射線の散乱線に起因して前記第2補正後片方曝射画像に出現する影響の程度に一致するように、前記第2散乱線曝射画像に基づいて算出される
放射線断層撮影方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかにおいて、
前記複数の曝射画像は、
前記第1線源から第1校正用放射線が曝射されたときに、前記第1センサアレイにより撮影された第1校正用曝射画像と、
前記第2線源から第2校正用放射線が曝射されたときに、前記第2センサアレイにより撮影された第2校正用曝射画像とをさらに含み、
前記第1校正用曝射画像が撮影されたときに前記第1センサアレイが配置された第1校正用撮影角度は、前記第2校正用曝射画像が撮影されたときに前記第2センサアレイが配置された第2校正用撮影角度に一致し、
前記第1線源は、前記第2校正用放射線が曝射されたときに、放射線を曝射し、
前記第2線源は、前記第1校正用放射線が曝射されたときに、放射線を曝射し、
前記第1補正後同時曝射画像と前記第2補正後同時曝射画像とは、前記第1センサアレイと前記第2センサアレイとの感度差がより小さくなるように、前記第1校正用曝射画像と前記第2校正用曝射画像とに基づいて算出される
放射線断層撮影方法。
【請求項6】
複数の曝射画像を撮影する撮影部と、
前記複数の曝射画像に基づいて複数の補正後曝射画像を算出する補正部と、
前記複数の補正後曝射画像に基づいて被写体の3次元データを算出する再構成部とを具備し、
前記複数の曝射画像は、
第1線源から第1同時曝射放射線が曝射されたときに、前記被写体を介して前記第1線源に対向する第1センサアレイにより撮影された第1同時曝射画像と、
前記第1線源と異なる第2線源から第2同時曝射放射線が曝射されたときに、前記被写体を介して前記第2線源に対向する第2センサアレイにより撮影された第2同時曝射画像と、
前記第1線源から第1片方曝射放射線が曝射されたときに、前記第1センサアレイにより撮影された第1片方曝射画像と、
前記第2線源から第2片方曝射放射線が曝射されたときに、前記第1センサアレイにより撮影された第1散乱線曝射画像とを含み、
前記第1同時曝射放射線は、前記第2同時曝射放射線と同時に曝射され、
前記第1片方曝射放射線は、前記第2線源から放射線が曝射されないときに、曝射され、
前記第2片方曝射放射線は、前記第1線源から放射線が曝射されないときに、曝射され、
前記第1同時曝射画像が撮影されたときに前記第1センサアレイが配置された第1同時曝射撮影角度は、前記第2同時曝射画像が撮影されたときに前記第2センサアレイが配置された第2同時曝射撮影角度と異なり、
前記第1片方曝射画像が撮影されたときに前記第1センサアレイが配置された第1片方曝射撮影角度は、前記第1同時曝射撮影角度と異なり、前記第2同時曝射撮影角度と異なり、
前記複数の補正後曝射画像は、
前記第1同時曝射画像に対応する第1補正後同時曝射画像と、
前記第1片方曝射画像に対応する第1補正後片方曝射画像と、
前記第2同時曝射画像に対応する第2補正後同時曝射画像とを含み、
前記第1補正後同時曝射画像と前記第1補正後片方曝射画像とは、前記第2線源から曝射される第1放射線の散乱線に起因して前記第1補正後同時曝射画像に出現する影響の程度が前記第1放射線の散乱線に起因して前記第1補正後片方曝射画像に出現する影響の程度に一致するように、前記第1散乱線曝射画像に基づいて算出される
放射線治療装置制御装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記第1散乱線曝射画像が撮影されたときに前記第1センサアレイが配置された第1散乱線曝射撮影角度と前記第1片方曝射撮影角度との差は、前記第1散乱線曝射撮影角度と前記第1同時曝射撮影角度との差より小さく、かつ、前記第1散乱線曝射撮影角度と前記第2同時曝射撮影角度との差より小さい
放射線治療装置制御装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記複数の曝射画像は、前記第1線源と前記第2線源とを支持する走行ガントリが1方向に回転している期間に、撮影される
放射線治療装置制御装置。
【請求項9】
請求項6〜請求項8のいずれかにおいて、
前記複数の曝射画像は、
前記第2片方曝射放射線が曝射されたときに、前記第2センサアレイにより撮影された第2片方曝射画像と、
前記第1片方曝射放射線が曝射されたときに、前記第2センサアレイにより撮影された第2散乱線曝射画像とをさらに含み、
前記第2片方曝射画像が撮影されたときに前記第2センサアレイが配置された第2片方曝射撮影角度は、前記第1同時曝射撮影角度と異なり、前記第2同時曝射撮影角度と異なり、
前記複数の補正後曝射画像は、
前記第2同時曝射画像に対応する第2補正後同時曝射画像と、
前記第2片方曝射画像に対応する第2補正後片方曝射画像とをさらに含み、
前記第2補正後同時曝射画像と前記第2補正後片方曝射画像とは、前記第1線源から曝射される第2放射線の散乱線に起因して前記第2補正後同時曝射画像に出現する影響の程度が前記第2放射線の散乱線に起因して前記第2補正後片方曝射画像に出現する影響の程度に一致するように、前記第2散乱線曝射画像に基づいて算出される
放射線治療装置制御装置。
【請求項10】
請求項6〜請求項9のいずれかにおいて、
前記複数の曝射画像は、
前記第1線源から第1校正用放射線が曝射されたときに、前記第1センサアレイにより撮影された第1校正用曝射画像と、
前記第2線源から第2校正用放射線が曝射されたときに、前記第2センサアレイにより撮影された第2校正用曝射画像とをさらに含み、
前記第1校正用曝射画像が撮影されたときに前記第1センサアレイが配置された第1校正用撮影角度は、前記第2校正用曝射画像が撮影されたときに前記第2センサアレイが配置された第2校正用撮影角度に一致し、
前記第1線源は、前記第2校正用放射線が曝射されたときに、放射線を曝射し、
前記第2線源は、前記第1校正用放射線が曝射されたときに、放射線を曝射し、
前記第1補正後同時曝射画像と前記第2補正後同時曝射画像とは、前記第1センサアレイと前記第2センサアレイとの感度差がより小さくなるように、前記第1校正用曝射画像と前記第2校正用曝射画像とに基づいて算出される
放射線治療装置制御装置。
【請求項11】
請求項6〜請求項10のいずれかに記載される放射線治療装置制御装置と、
放射線治療装置とを具備し、
前記放射線治療装置は、
前記第1線源と、
前記第2線源と、
前記第1センサアレイと、
前記第2センサアレイとを備える
放射線治療システム。
【請求項12】
請求項11において、
前記放射線治療装置は、前記被写体に治療用放射線を照射する治療用放射線照射装置をさらに備える
放射線治療システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−50416(P2011−50416A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199593(P2009−199593)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】