説明

放射線断層撮影装置、放射線断層画像生成処理装置および放射線断層画像生成プログラム

【課題】データ欠損に起因するアーチファクトを低減させることが可能な放射線断層撮影装置、放射線断層画像生成処理装置および放射線断層画像生成プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】データ欠損抽出部21は、被検体Mに対して異なる方向から収集された複数の実投影データからデータ欠損画素を抽出する。そして、画像再構成実行部35は、データ欠損画素を用いずに逐次近似法による画像再構成(画素値更新)を実行する。すなわち、実投影データからデータ欠損画素を抽出し、抽出されたデータ欠損画素を逐次近似法による画像再構成に寄与しないようにしている。そのため、データ欠損画素以外の正常な画素で画素値更新を行っているので、データ欠損に起因するアーチファクトを抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影データ(投影像)を収集し、収集した投影データを画像再構成して放射線断層画像を生成する放射線断層撮影装置、放射線断層画像生成処理装置および放射線断層画像生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の放射線断層撮影装置として、例えばX線断層撮影装置がある(例えば、非特許文献1参照)。X線断層撮影装置は、天板に載置された被検体に向けてX線を照射するX線管と、被検体を透過したX線を検出するX線検出器とを備えている。X線断層画像を得る手法としては、例えば、トモシンセシスという手法があり、1回の断層撮影で収集した複数の投影データを画像再構成して、任意の裁断高さのX線断層画像を取得している(図9)。すなわち、X線断層撮影装置は、X線管およびX線検出器をそれぞれ互いに逆方向に平行移動させて、予め設定された所定の角度ごとの投影データを収集する。収集された投影データを、シフト加算法やフィルタード・バックプロジェクション(FBP:filtered back-projection)法、ML−EM(maximum likelihood - expectation maximization)法などにより画像再構成を行ってX線断層画像を生成している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】塩見 剛、「トモシンセシスの原理と応用 〜FPDが生み出した新技術〜」、医用画像情報学会誌、Vol.24 No.2、P22-27、2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。従来の放射線断層画像生成における撮影段階において、データ欠損が生じる場合がある。例えば、金属製人工関節や創外固定器、歯の詰め物などの金属等で構成される高吸収体が被検体内に存在する場合、高吸収体により放射線が遮蔽されてしまう。これにより、本来放射線が到達するはずである、放射線源と高吸収体とを結ぶ線分の延長線上にある放射線検出器の検出点に放射線が到達しなかったり、ごく少量の放射線のみが到達したりする(図10)。このような現象によりをデータが欠損することをデータ欠損と呼ぶ。データ欠損が生じた検出点の画素値を、他の検出点の正常な画素値と同じように用いて放射線断層画像を生成すると、アーチファクトが生じる。
【0005】
このようなアーチファクトを低減させる放射線断層画像生成方法には、上述のシフト加算法や、例えばShepp-Loganフィルタに低周波数成分を加えたFBP法などが知られているが、空間分解能が劣る放射線断層画像であったり、高吸収体の周囲で放射線断層画像が黒くなるなどアーチファクトが残っていたりする。
【0006】
また、データ欠損には、投影データの収集軌道における未収集部分などにより生じるトランケーションと呼ばれるものがある。例えばX線CT装置において、図11中の収集軌道における未収集部分ncがトランケーションである。また、所定の角度おきに投影データが取得されるので、その間の角度における投影データのこともトランケーションと呼ばれる。このようなトランケーションが生じた場合は、再構成画像において、画素によって画像再構成に寄与する投影数が異なる。この場合、画像再構成に寄与する投影数が多い画素に比べて、画像再構成に寄与する投影数が少ない画素における信頼度は低いものとなる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、データ欠損に起因するアーチファクトを低減させることが可能な放射線断層撮影装置、放射線断層画像生成処理装置および放射線断層画像生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。すなわち、本発明に係る放射線断層撮影装置は、放射線断層画像を生成する放射線断層撮影装置であって、被検体に対して異なる方向からの複数の実投影データを収集する実投影データ収集部と、前記実投影データからデータ欠損画素を抽出するデータ欠損抽出部と、前記データ欠損画素を用いずに逐次近似法による画像再構成を実行する画像再構成実行部と、を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る放射線断層撮影装置によれば、実投影データ収集部は、被検体に対して異なる方向からの複数の実投影データを収集し、データ欠損抽出部は、その実投影データからデータ欠損画素を抽出する。そして、画像再構成実行部は、データ欠損画素を用いずに逐次近似法による画像再構成を実行する。すなわち、実投影データからデータ欠損画素を抽出し、抽出されたデータ欠損画素を逐次近似法による画像再構成(画素値更新)に寄与しないようにしている。そのため、データ欠損画素以外の正常な画素で画像再構成を行っているので、データ欠損に起因するアーチファクトを抑えることができる。
【0010】
また、本発明に係る放射線断層撮影装置において、前記画像再構成実行部は、再構成画像から順投影により算出投影データを算出する際に、前記データ欠損画素に対応する前記算出投影データの画素に対して順投影を行わないことが好ましい。これにより、データ欠損画素に対応する画素を除外した算出投影データを算出することができる。
【0011】
また、本発明に係る放射線断層撮影装置において、前記画像再構成実行部は、前記データ欠損画素に対応する画素から逆投影を行わないことが好ましい。これにより、データ欠損画素に対応する画素を除外した正常な画素を用いて逆投影することができる。
【0012】
また、本発明に係る放射線断層撮影装置において、再構成画像の画素を再構成するために寄与する投影数を設定する投影数設定部と、前記投影数が少ない画素ほど前記再構成画像の画素値の更新を行わないように前記画素値を更新するか否かを判定する画素値更新判定部と、を備えていることが好ましい。すなわち、投影数設定部は、再構成画像の画素を再構成するために寄与するその画素の投影数を設定し、画素値更新判定部は、投影数が少ない画素ほど再構成画像の画素値の更新を行わないように画素値を更新するか否かの判定を行っている。そのため、画像再構成に寄与する投影数が少ない画素ほど画素値の更新(画像再構成の実行)を行わないようにしているので、再構成に寄与する投影数が多い画素から優先的に画素値の更新を行うことになる。これにより、投影数が少ない画素の画素値の更新に起因するアーチファクトを抑えることができる。
【0013】
また、本発明に係る放射線断層撮影装置において、前記投影数設定部は、前記各方向の実投影データを収集する際に、投影線が前記再構成画像の画素を通過するときは、投影線が通過する各画素で投影線の通過を計数し、前記実投影データの画素がデータ欠損画素であるときは、その実投影データの画素に到達する投影線が通過する前記再構成画像の各画素で投影線の通過を計数しないことが好ましい。これにより、投影線の通過を計数する画素でも、実投影データの画素がデータ欠損画素であるときは、そのデータ欠損画素に到達する投影線が通過する再構成画像の各画素で投影線の通過を計数しない。そのため、投影数が少なくなるので、投影数が少ない画素の画素値の更新に起因するアーチファクトを抑えることができる。
【0014】
また、本発明に係る放射線断層撮影装置において、前記投影数設定部は、前記投影数とその最大値を設定し、前記画素値更新判定部は、前記投影数とその最大値に基づく割合により判定することが好ましい。これにより、画素値を更新するか否かは、前記投影数とその最大値に基づく割合により判定することができる。
【0015】
また、本発明に係る放射線断層撮影装置において、前記画素値更新判定部は、前記投影数に基づく割合と乱数とを比較することにより判定することが好ましい。これにより、画素値の更新を行わないタイミングを固定しないで可変にすることができる。
【0016】
また、本発明に係る放射線断層画像生成処理装置は、被検体に対して異なる方向から収集された複数の実投影データに基づいて放射線断層画像を生成する放射線断層画像生成処理装置であって、前記実投影データからデータ欠損画素を抽出するデータ欠損抽出部と、前記データ欠損画素を用いずに逐次近似法による画像再構成を実行する画像再構成実行部と、を備えていることを特徴とするものである。
【0017】
本発明に係る放射線断層画像生成処理装置によれば、データ欠損抽出部は、被検体に対して異なる方向から収集された複数の実投影データからデータ欠損画素を抽出する。そして、画像再構成実行部は、データ欠損画素を用いずに逐次近似法による画像再構成を実行する。すなわち、実投影データからデータ欠損画素を抽出し、抽出されたデータ欠損画素を逐次近似法による画像再構成(画素値更新)に寄与しないようにしている。そのため、データ欠損画素以外の正常な画素で画像再構成を行っているので、データ欠損に起因するアーチファクトを抑えることができる。
【0018】
また、本発明に係る放射線断層画像生成プログラムは、被検体に対して異なる方向から収集された複数の実投影データに基づいて放射線断層画像を生成する処理をコンピュータに実行させるための放射線断層画像生成プログラムであって、前記実投影データからデータ欠損画素を抽出する工程と、前記データ欠損画素を用いずに逐次近似法による画像再構成を実行する工程と、を備えていることを特徴とするものである。
【0019】
本発明に係る放射線断層画像生成プログラムによれば、被検体に対して異なる方向から収集された複数の実投影データからデータ欠損画素を抽出する。そして、データ欠損画素を用いずに逐次近似法による画像再構成を実行する。すなわち、実投影データからデータ欠損画素を抽出し、抽出されたデータ欠損画素を逐次近似法による画像再構成(画素値更新)に寄与しないようにしている。そのため、データ欠損画素以外の正常な画素で画像再構成を行っているので、データ欠損に起因するアーチファクトを抑えることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る放射線断層撮影装置、放射線断層画像生成処理装置および放射線断層画像生成プログラムによれば、被検体に対して異なる方向から収集された複数の実投影データからデータ欠損画素を抽出する。そして、データ欠損画素を用いずに逐次近似法による画像再構成を実行する。すなわち、実投影データからデータ欠損画素を抽出し、抽出されたデータ欠損画素を逐次近似法による画像再構成(画素値更新)に寄与しないようにしている。そのため、データ欠損画素以外の正常な画素で画像再構成を行っているので、データ欠損に起因するアーチファクトを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例に係るX線断層撮影装置の構成を示すブロック図である。
【図2】検出確率設定部の説明に供する図である。
【図3】(a)は正常画素の場合における検出確率の説明に供する図であり、(b)はデータ欠損画素の場合における検出確率の説明に供する図である。
【図4】(a)〜(d)は、投影数設定部の説明に供する図である。
【図5】(a)はデータ欠損画素に対応する画素に対する順投影の説明に供する図であり、(b)はデータ欠損画素に対応する画素からの逆投影の説明に供する図である。
【図6】X線断層撮影装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】変形例に係る放射線断層撮影装置の一例を示す図である。
【図8】変形例に係る放射線断層撮影装置の一例を示す図である。
【図9】従来のX線断層撮影の説明に供する図である。
【図10】従来の放射線源と放射線検出器との間に高吸収体が存在する場合の説明に供する図である。
【図11】トランケーションの一例を示すとともに、変形例に係る放射線断層撮影装置の一例を示す図である。
【実施例】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。図1は、実施例に係るX線断層撮影装置の構成を示すブロック図である。図2は、検出確率設定部の説明に供する図である。図3(a)は正常画素の場合における検出確率の説明に供する図であり、図3(b)はデータ欠損画素の場合における検出確率の説明に供する図である。図4(a)〜(d)は、投影数設定部の説明に供する図である。図5(a)はデータ欠損画素に対応する画素に対する順投影の説明に供する図であり、図5(b)はデータ欠損画素に対応する画素からの逆投影の説明に供する図である。本実施例では、放射線断層撮影装置として、X線断層撮影装置を一例に説明する。
【0023】
図1を参照する。X線断層撮影装置1は、被検体Mを載置する天板2と、被検体Mに向けてX線を照射するX線管3と、X線管3と対向して配置され、被検体Mを透過したX線を検出するフラットパネル型X線検出器(以下適宜「FPD」と略す)4と、を備えている。
【0024】
X線管3は、X線管制御部5によりX線照射に必要な制御が実行される。X線管制御部5は、X線管3の管電圧や管電流を発生させる高電圧発生部6を有している。X線管制御部5は、管電圧や管電流や照射時間等のX線照射(曝射)条件に応じてX線管3からX線を照射する。
【0025】
FPD4は、検出対象の透過X線像が投影されるX線検出面にX線を電気信号に変換して検出する多数のX線検出素子(図2〜図5中のDU)が横・縦の2次元マトリックス状に配列されている。X線検出素子の配列マトリックスとしては、例えば横:数千×縦:数千が挙げられる。X線検出素子はX線が直に電気信号に変換される直接変換タイプであっても、X線がいったん光に変換されてから更に電気信号に変換される間接変換タイプであってもよい。
【0026】
X線管3およびFPD4は、被検体Mの図1中の体軸axに沿って平行移動する。X線管3およびFPD4は、同期的かつ互いに逆方向に平行移動される。X線管3およびFPD4の移動は、図示しないラックやピニオンやモータ等により行われる。FPD4は、被検体Mに対して異なる方向(角度)からの複数のX線検出信号を収集する。すなわち、FPD4は、X線管3と同期して逆方向に移動して、被検体Mに対して異なる方向から照射されたX線管3からのX線による複数のX線検出信号を収集する。X線検出信号は、実投影データである。なお、FPD4は、本発明の実投影データ収集部に相当する。
【0027】
FPD4の後段には、順番にA/D変換器7と画像処理部8と主制御部9とが設けられている。A/D変換器7は、FPD4から出力されたアナログのX線検出信号をそれぞれディジタル信号に変換する。画像処理部8は、ディジタル変換されたX線検出信号に基づくX線画像に対して種々の必要な処理を行う。主制御部9は、X線断層撮影装置1の各構成を統括的に制御し、中央演算処理装置(CPU)などで構成される。主制御部9は、例えば、天板2、X線管3またはFPD4を移動させる制御を行う。なお、天板2の移動も同様に、図示しないラックやピニオンやモータ等により行われる。
【0028】
X線断層撮影装置1は、表示部11と入力部12と記憶部13とを備えている。表示部11は、モニタ等で構成される。入力部12は、キーボードやマウス等で構成される。記憶部13は、ROM(Read-only Memory)、RAM(Random-Access Memory)またはハードディスク等の記憶媒体で構成される。記憶部13には、異なる方向ごとの複数のX線画像が記憶される。
【0029】
X線断層撮影装置1は、被検体Mに対して異なる方向からの複数のX線画像、すなわち複数の実投影データに基づいてX線断層画像を生成するX線断層画像生成部20を備えている。X線断層画像生成部20は、データ欠損抽出部21と、投影数設定部23と、画像再構成部25とを備えている。なお、画像再構成部25は、実投影データに基づいて逐次近似法による画像再構成(逐次近似画像再構成法)によりX線断層画像(再構成画像)を生成する。逐次近似画像再構成法は、ML−EM法を用いる。なお、X線断層画像生成部20は、本発明の放射線断層画像生成処理装置に相当する。
【0030】
データ欠損抽出部21は、複数の実投影データそれぞれからデータ欠損画素を抽出する。すなわち、データ欠損抽出部21は、収集した投影データから他の画素に比べて画素値が異常な画素をデータ欠損画素として抽出する。例えば、X線管3のX線焦点(X線源)と金属などの高吸収体とを結ぶ線分の延長線上の検出点、すなわちFPD4のX線検出素子DUで検出される画素が挙げられる。この画素は、高吸収体で遮蔽されてX線が到達しない、あるいはごく少量のX線が到達されるので、画素値が0(ゼロ)に近い。そのため、しきい値を設けてこのような値の画素をデータ欠損画素として、投影方向や実投影データの画素位置を抽出する。データ欠損画素は、どの投影方向か、実投影データのどの画素かをわかるようにしておく。また、FPD4のX線検出素子DU等が原因で画素値が異常に高い値もしくは異常に低い値を示す場合も同様に、しきい値を予め設定し、データ欠損画素を抽出する。
【0031】
投影数設定部23は、実投影データに基づいて生成されるX線断層画像(再構成画像)において、ある画素を画像再構成するために寄与する投影数と、その投影数の最大値とを設定する。投影数は、確率検出の総和Σij(検出確率aijを含む)で表される。投影数設定部23は、検出確率設定部27と、加算部29と、最大値設定部31とを備えている。
【0032】
検出確率設定部27は、所定の方向からの再構成画像(X線断層画像)λの画素(ボクセルまたはピクセル)jを再構成するために寄与する検出確率aijを設定する。検出確率設定部27は、図2に示すように、被検体Mに対する各方向の実投影データを収集する際におけるX線管3のX線焦点とFPD4のX線検出素子DUとを結ぶX線の投影線があるとする。この投影線が再構成画像λの画素jを通過するときは、各画素jで投影線の通過をaij=1と計数し、通過しないときは、aij=0として計数しないように設定する。なお、本実施例では、焦点ボケや散乱線などを考慮しない方法を示しているが、それらを考慮した検出確率の設定を行ってもよい。また、その他公知の方法で検出確率の設定を行ってもよい。
【0033】
また、検出確率設定部27は、図3(a)および図3(b)に示すように、FPD4のX線検出素子DU1〜3で検出した実投影データyの画素iがデータ欠損画素であるときは、その実投影データyの画素iに到達する投影線が通過する再構成画像λの各画素jで投影線の通過を計数しないように設定する。すなわち、図3(a)のように、実投影データyの画素iがデータ欠損のない正常画素(符号○)であるときは、実投影データyの画素iに到達する投影線が通過する再構成画像λの各画素jで投影線の通過をaij=1と計数する。一方、図3(b)のように、実投影データyの画素iがデータ欠損画素(符号×)であるときは、実投影データyの画素iに到達する投影線が通過する再構成画像λの各画素jで投影線の通過をaij=0として計数しない。なお、データ欠損画素を考慮しない各方向における検出確率aijは、予め設定して記憶部13に記憶しておいてもよく、データ欠損を考慮しない各方向における検出確率aijから、データ欠損画素に到達する投影線が通過する再構成画素λの各画素jで投影線の通過をaij=0として計数しないようにしてもよい。
【0034】
加算部29は、各方向で収集された検出確率の総和Σijを求める。例えば、被検体Mに対する投影方向が0°,1°,2°,…,dの実投影データを収集する場合、それら全ての方向の検出確率aijを加算して総和Σijを求める。図4(a)〜図4(c)に示すように、例えば、投影方向を−45°,0°,45°とする。各投影方向おいて、説明の便宜上、PPD4のX線検出素子DU2のみにX線が入射するものとして、検出確率aijを設定する。検出確率の総和Σijは、図4(d)に示すように、全投影方向(−45°,0°,45°)の検出確率aijを加算したものとなる。
【0035】
最大値設定部31は、再構成画像λのうち検出確率の総和Σijの最大値maxΣijを抽出する。例えば図4(d)のときは、maxΣij=3である。なお、最大値maxΣijは、図3(b)のデータ欠損画素に基づいて投影数の通過を計数しない場合を含まない値とする。
【0036】
図1に戻る。画像再構成部25は、実投影データyに基づいて逐次近似画像再構成法としてML−EM法によりX線断層画像(再構成画像)を生成する。画像再構成部25は、乱数発生部33と、画素値更新判定部35と、画像再構成実行部37とを備えている。まず、画像再構成実行部37について説明する。
【0037】
画像再構成実行部37は、ML−EM法による画像再構成を実行する。すなわち、画像再構成実行部37は、再構成画像λ(X線断層画像)の画素値を更新する。ML−EM法の計算式は、下記の式(1)で表される。
【0038】
【数1】

λ(k+1):k+1回目の再構成画像
λ(k):k回目の再構成画像
Σj′=1ij′λj′(k):順投影
Σi=1〔(yij)/(Σj′=1ij′λj′(k))〕:逆投影
Σi=1ij:検出確率aijの総和
:実投影データ
i:実投影データの画素(1〜nまでの通し番号が付され、nはFPDの一列のX線検出素子数×投影方向数で算出される)
j:再構成画像の画素(1〜mまでの通し番号が付される)
【0039】
式(1)に基づき、次の手順で再構成画像λの各画素jの更新が行われる。まず、再構成画像λ(k)の各画素jの初期値を仮定する。例えば、全ての画素jの初期値をλ(k)=1とする。次に、再構成画像λ(k)(λj′(k))からの順投影により投影データを算出する。なお、この算出された投影データを算出投影データと呼ぶこととする。実投影データyと算出投影データとの比を計算する。この実投影データyと算出投影データとの比を逆投影する。逆投影されて算出された値を検出確率の総和Σi=1ijで規格化し、再構成画像λ(k)を乗算して再構成画像λ(k+1)を計算する。なお、再構成画像λの各画素jの更新を予め設定された回数を繰り返し行うときは、計算されたλ(k+1)をλ(k)とし、順投影により算出投影データを算出する工程に戻る。
【0040】
なお、画像再構成実行部37は、再構成画像λの全ての画素jに対して画素値更新(画像再構成)を繰り返すが、後述する画素値更新判定部35により判定が成立する画素jのみ画素値更新を行う。また、画像再構成実行部37は、予め設定された回数だけ再構成画像λの画素値更新を繰り返す。
【0041】
また、この一連の手順の中で、画像再構成実行部37は、データ欠損画素に対応する画素(データ欠損位置の画素)を用いずに再構成画像λの画素値jを更新する(画像再構成の実行)。すなわち、画像再構成実行部37は、次の2つの制約のうち少なくともいずれか1つを備えている。1つ目として、画像再構成実行部37は、再構成画像λから順投影により算出投影データを算出する際に、データ欠損画素に対応する算出投影データの画素に対して順投影を行わない。すなわち、図5(a)に示すように、まず、X線検出素子DU2で検出された実投影データyの例えば画素i=5にデータ欠損が生じているとする。この場合、そのデータ欠損画素に対応するλ+λ+λの画素値で算出される値を、算出投影データcpの同一番号の画素i=5の画素値として順投影を行わず、その画素には、例えば実投影データyのデータ欠損画素の画素値が代入される。
【0042】
一方、2つ目として、画像再構成実行部37は、データ欠損画素に対応する画素から逆投影を行わない。具体的には、例えば、実投影データyと算出投影データとの比を逆投影する際に、実投影データyのデータ欠損画素に対応する画素iから逆投影を行わない。すなわち、図5(b)に示すように、まず同様に、X線検出素子DU2で検出された実投影データyの例えば画素i=5にデータ欠損が生じているとする。この場合、そのデータ欠損画素i=5に対応する同一番号の画素i=5から逆投影を行わないようにする。例えば、図3(b)に示すように、データ欠損画素(符号×)に到達する投影線が通過する再構成画像λの各画素jで投影線の通過をaij=0として計数しないで検出確率aijを設定する。これにより、式(1)の逆投影の計算において画素i=5から逆投影を行わないようにする。
【0043】
このような画像再構成実行部37の処理は、画素値更新判定部35の判定により実行される。画素値更新判定部35による画素値を更新するか否かの判定には、乱数が用いられる。乱数発生部33は、0≦p<1の範囲で乱数pを発生する。画素値更新判定部35は、検出確率の総和Σijが少ない画素ほど再構成画像λの画素値を更新しないように検出確率の総和Σijに基づく割合により画素値を更新するか否かを判定する。検出確率の総和Σijに基づく割合は、具体的には、検出確率の総和Σij(投影数)とその最大値maxΣijに基づく割合である。すなわち、画素値更新判定部35は、検出確率の総和Σij(投影数)とその最大値maxΣijに基づく割合と、乱数発生部33により発生した乱数pとを比較することにより判定する。
【0044】
具体的には、再構成画像λの所定の画素jを構成するのに寄与する検出確率の総和Σijとその最大値maxΣijに基づく割合(投影数に応じた値)として、0.5×(1+Σij/maxΣij)を用いる。すなわち、画素値更新判定部35は、下記の式(2)が成立するか否かにより、画素値を更新するか否かを判定する。
p<0.5×(1+Σij/maxΣij) …(2)
【0045】
例えば、p=0.85,Σij=80,maxΣij=100である場合、式(2)により0.85<0.9=〔0.5×(1+80/100)〕となり、式が成立する。この式が成立する場合は、画素値更新判定部35は、画素値を更新すると判定する。一方、式が成立しない場合は、画素jの更新を行わず、次の画素jの判定を行う。欠損データがない場合、画素値は必ずML−EM法により更新される。欠損データの多さに従って、画素値が更新される可能性は低下する。
【0046】
次に、図6のフローチャートを参照してX線断層撮影装置1の動作について説明する。
【0047】
〔ステップS01〕実投影データyの収集
X線管3およびFPD4は、被検体Mの図1中の体軸axに沿って同期的かつ互いに逆方向に平行移動する。その際、被検体Mに対して異なる方向からの複数の実投影データyを収集する。収集した実投影データyは、必要な画像処理が行われ、記憶部13において一旦記憶される。
【0048】
〔ステップS02〕データ欠損画素の抽出
データ欠損抽出部21は、複数の実投影データそれぞれからデータ欠損画素を抽出する。例えば、X線管3のX線焦点(X線源)と金属などの高吸収体とを結ぶ線分の延長線上のFPD4のX線検出素子DUで検出される実投影データの画素や、FPD4のX線検出素子DU等に起因する異常値を示す画素を抽出する。データ欠損であるか否かの判定は、例えば、しきい値を用いて行う。
【0049】
〔ステップS03〕検出確率aijの設定
検出確率設定部27は、所定の方向からの再構成画像の画素を再構成するために寄与する検出確率aijを設定する。検出確率設定部27は、図2に示すように、被検体に対する各方向の実投影データyを収集する際における投影線が再構成画像λの画素jを通過するときは、投影線を通過する各画素jで投影線の通過をaij=1と計数し、通過しないときは、aij=0として計数しないように設定する。
【0050】
また、検出確率設定部27は、FPD4のX線検出素子DUで検出した実投影データyの画素iがデータ欠損画素であるときは、その実投影データyの画素iに到達する投影線が通過する再構成画像λの各画素jで投影線の通過を計数しないように設定する。すなわち、図3(b)のように、X線検出素子DU2で検出された実投影データyの画素iがデータ欠損画素(符号×)であるときは、投影線が通過する再構成画像λの各画素jで投影線の通過をaij=0として計数しないようにする。
【0051】
〔ステップS04〕検出確率の総和Σijの設定
加算部29は、図4(d)に示すように、各方向で収集された検出確率の総和Σijを算出する。すなわち、検出確率の総和Σijは、被検体Mに対して異なる方向で収集された投影数である。
【0052】
〔ステップS05〕最大値maxΣijの設定
最大値設定部31は、再構成画像λの検出確率の総和Σijのうち最大の画素値maxΣijを抽出して設定する。例えば図4(d)のときは、maxΣij=3を設定する。なお、最大値maxΣijは、図3(b)のデータ欠損画素に基づいて投影数の通過を計数しない場合を含まない値とする。
【0053】
ステップS06〜ステップS10は、収集した実投影データyに基づいてML−EM法によりX線断層画像を生成する工程である。
【0054】
〔ステップS06〕乱数pの発生
乱数発生部33は、0≦p<1の範囲で乱数pを発生する。
【0055】
〔ステップS07〕画素値更新判定
画素値更新判定部35は、検出確率の総和Σijが少ない画素ほど再構成画像λの画素値を更新しないように検出確率の総和Σijに基づく割合により画素値を更新するか否かを判定する。すなわち、画素値更新判定部35は、検出確率の総和Σijとその最大値maxΣijに基づく割合と乱数pとを比較することにより判定する。具体的には、式(2)が成立するか否かで判定される。成立する場合は、ステップS08へ進む。成立しない場合は、その画素iにおける画素値更新が行われないで、ステップS09へ進む。
【0056】
〔ステップS08〕画素値更新
画像再構成実行部37は、データ欠損画素を用いずにML−EM法(式(1))により再構成画像λの画素値iを更新する(画像再構成の実行)。すなわち、画像再構成実行部37は、次の2つの制約のうち少なくともいずれか1つを備えている。1つ目として、画像再構成実行部37は、図5(a)に示すように、再構成画像λから順投影により算出投影データを算出する際に、データ欠損画素に対応する算出投影データの画素iに対して順投影を行わない。一方、2つ目として、画像再構成実行部37は、図5(b)に示すように、データ欠損画素に対応する画素から逆投影を行わない。
【0057】
〔ステップS09〕全画素処理判定
画像再構成部25は、再構成画像λの全画素jに対して画素値更新の有無の処理を行ったか否かを判定する。全画素jに対して画素値更新の有無の処理を行った場合は、ステップS10へ進む。全画素jに対して画素値更新の有無の処理を行っていない場合は、ステップS06に戻り、次の画素jの処理を行う。
【0058】
〔ステップS10〕更新回数判定
画像再構成部25は、再構成画像λの画素値更新が予め設定された回数が行われたか否かを判定する。再構成画像λに対して予め設定された回数の画素値更新が行われた場合は、ENDへ進む。予め設定された回数を満たさない場合は、ステップS06へ戻る。
【0059】
以上の動作により、X線断層画像生成部20は、X線断層画像を生成する。生成されたX線断層画像は、記憶部13に記憶されたり、表示部11に任意の裁断高さのX線断層画像が表示されたりする。
【0060】
本実施例に係るX線断層撮影装置1によれば、FPD4は、被検体Mに対して異なる方向からの複数の実投影データyを収集し、データ欠損抽出部21は、その実投影データyそれぞれからデータ欠損画素を抽出する。そして、画像再構成実行部37は、データ欠損画素を用いずにML−EM法(逐次近似画像再構成法)により再構成画像λの画素値を更新する(画像再構成の実行)。すなわち、実投影データyのデータ欠損画素を抽出し、抽出されたデータ欠損画素をML−EM法による画素値更新(画像再構成)に寄与しないようにしている。そのため、データ欠損画素に対応する画素以外の正常な画素iで画素値更新を行っているので、データ欠損に起因するアーチファクトを抑えることができる。
【0061】
また、画像再構成実行部37は、再構成画像λから順投影により算出投影データを算出する際に、データ欠損画素に対応する算出投影データの画素iに対して順投影を行わない。これにより、データ欠損画素に対応する画素iを除外した算出投影データを算出することができる。また、画像再構成実行部37は、データ欠損画素に対応する画素iから逆投影を行わない。これにより、データ欠損画素に対応する画素iを除外した正常な画素iを用いて逆投影することができる。
【0062】
また、投影数設定部23は、再構成画像λの画素jを再構成するために寄与するその画素jの検出確率の総和Σijを設定し、画素値更新判定部35は、検出確率の総和Σijが少ない画素jほど再構成画像λの画素値の更新を行わないように画素値を更新するか否かの判定を行っている。そのため、画像再構成に寄与する検出確率の総和Σijが少ない画素jほど画素値の更新を行わないようにしているので、再構成に寄与する検出確率の総和Σijが多い信頼性の高い画素jから優先的に画素値の更新を行うことになる。これにより、検出確率の総和Σijが少ない画素jの画素値の更新に起因するアーチファクトを抑えることができる。
【0063】
また、投影数設定部23は、各方向の実投影データyを収集する際に、投影線が再構成画像λの画素jを通過するときは、投影線が通過する各画素jで投影線の通過を計数し、実投影データyの画素iがデータ欠損画素であるときは、その実投影データyの画素iに到達する投影線が通過する再構成画像λの各画素jで投影線の通過を計数しない。これにより、投影線の通過を計数する画素jでも、実投影データyの画素iがデータ欠損画素であるときは、そのデータ欠損画素に到達する投影線が通過する再構成画像λの各画素jで投影線の通過を計数しない。そのため、検出確率の総和Σijが少なくなるので、検出確率の総和Σijが少ない画素jの画素値の更新に起因するアーチファクトを抑えることができる。
【0064】
また、画素値更新判定部35は、式(2)に示すように、検出確率の総和Σijと検出確率の総和の最大値maxΣijに基づく割合と乱数pを比較することにより判定している。これにより、画素値の更新を行わないタイミングを固定しないで可変(ランダム)にすることができる。
【0065】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0066】
(1)上述した実施例では、X線断層撮影装置1において、X線管3およびFPD4は、被検体Mの体軸axに沿って同期的かつ互いに逆方向に平行移動して実投影データを収集した。しかしながら、図7に示すように、同期的にかつ互いに逆方向に予め設定された角度で回転して収集してもよい。また、X線断層撮影装置1は、図11に示すX線CT装置であってもよい。この場合、X線CT装置は、被検体Mを挟んで対向配置されたX線管103とX線検出器104を備え、被検体Mの周りで回転させながら実投影データを収集する。
【0067】
(2)上述した実施例では、放射線としてX線を検出して実投影データを収集していた。しかしながら、放射線として被検体から放出されるγ線を検出して実投影データを収集してもよい。この場合、例えば、図8に示すように、装置は、被検体Mを挟んで配置された2つ(複数)のγ線検出器53,54を備え、被検体Mの周りを回転させて実投影データを取得するようにしてもよい。
【0068】
(3)上述した実施例では、逐次近似画像再構成法は、ML−EM法を用いていたがこれに限定されない。逐次近似画像再構成法として、例えば、シミュレーテッドアニーリング(simulated annealing)法やOS−EM(ordered subsets - expectation maximization)法、RAMLA(row-action maximum likelihood algorithm)法、DRAMA(dynamic RAMLA)法を用いてもよい。なお、シミュレーテッドアニーリング法では、順投影において上述した実施例を適用させることができる。
【0069】
(4)上述した実施例では、画素値更新判定部35は、式(2)の0.5×(1+Σij/maxΣij)により算出される0.5〜1の値と、乱数と比較して、画素値の更新を行わないタイミングを固定しないで可変にしていた。しかしながら、画素値の更新を行わないタイミングを乱数と比較せず固定にしてもよい。また、画素値更新判定部35は、画素値更新の2回目以降から画素値を更新するか否かの判定をしてもよい。
【0070】
(5)上述した実施例では、再構成画像λの画素値更新を予め設定された回数を行った。しかしながら、再構成画像λの前後を比較して各画素値の変化が所定値以下の場合で画素値更新を終了するように、収束するための判定を行ってもよい。
【0071】
(6)上述した実施例では、X線断層画像生成部20は、画像処理部8と個別に構成されていた。しかしながら、X線断層画像生成部20が画像処理部8に設けられていてもよい。
【0072】
(7)上述した実施例において、X線断層画像生成部20は、CPU等で構成される制御部と、入力部と、表示部と、ROMやRAM、ハードディスク等の記憶媒体で構成される記憶部と、等を備えたワークステーションやパーソナルコンピュータで構成してもよい。それらの記憶部に、上述のステップS02〜S10の動作をプログラムとして記憶させて、そのプログラムを制御部で実行することでX線断層画像を生成する。また、図1のX線断層撮影装置1の記憶部13に、上述のステップS02〜S10の動作がプログラムとして記憶させ、そのプログラムを主制御部9で実行してもよい。また、ステップS02〜S10の動作のプログラムは、LAN等のネットワークシステムでX線断層撮影装置1と接続されたワークステーションやパーソナルコンピュータ上でも実行できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 … X線断層撮影装置
3 … X線管
4 … フラットパネル型X線検出器(FPD)
9 … 主制御部
20 … X線断層画像生成部
21 … データ欠損抽出部
23 … 投影数設定部
25 … 画像再構成部
27 … 検出確率設定部
29 … 加算部
31 … 最大値設定部
33 … 乱数発生部
35 … 画素値更新判定部
37 … 画像再構成実行部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線断層画像を生成する放射線断層撮影装置であって、
被検体に対して異なる方向からの複数の実投影データを収集する実投影データ収集部と、
前記実投影データからデータ欠損画素を抽出するデータ欠損抽出部と、
前記データ欠損画素を用いずに逐次近似法による画像再構成を実行する画像再構成実行部と、
を備えていることを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線断層撮影装置において、
前記画像再構成実行部は、再構成画像から順投影により算出投影データを算出する際に、前記データ欠損画素に対応する前記算出投影データの画素に対して順投影を行わないことを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の放射線断層撮影装置において、
前記画像再構成実行部は、前記データ欠損画素に対応する画素から逆投影を行わないことを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の放射線断層撮影装置において、
再構成画像の画素を再構成するために寄与する投影数を設定する投影数設定部と、
前記投影数が少ない画素ほど前記再構成画像の画素値の更新を行わないように前記画素値を更新するか否かを判定する画素値更新判定部と、
を備えていることを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項5】
請求項4に記載の放射線断層撮影装置において、
前記投影数設定部は、前記各方向の実投影データを収集する際に、投影線が前記再構成画像の画素を通過するときは、投影線が通過する各画素で投影線の通過を計数し、前記実投影データの画素がデータ欠損画素であるときは、その実投影データの画素に到達する投影線が通過する前記再構成画像の各画素で投影線の通過を計数しないことを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の放射線断層撮影装置において、
前記投影数設定部は、前記投影数とその最大値を設定し、
前記画素値更新判定部は、前記投影数とその最大値に基づく割合により判定することを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項7】
請求項4から6のいずれかに記載の放射線断層撮影装置において、
前記画素値更新判定部は、前記投影数に基づく割合と乱数とを比較することにより判定することを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項8】
被検体に対して異なる方向から収集された複数の実投影データに基づいて放射線断層画像を生成する放射線断層画像生成処理装置であって、
前記実投影データからデータ欠損画素を抽出するデータ欠損抽出部と、
前記データ欠損画素を用いずに逐次近似法による画像再構成を実行する画像再構成実行部と、
を備えていることを特徴とする放射線断層画像生成処理装置。
【請求項9】
被検体に対して異なる方向から収集された複数の実投影データに基づいて放射線断層画像を生成する処理をコンピュータに実行させるための放射線断層画像生成プログラムであって、
前記実投影データからデータ欠損画素を抽出する工程と、
前記データ欠損画素を用いずに逐次近似法による画像再構成を実行する工程と、
を備えていることを特徴とする放射線断層画像生成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−85735(P2013−85735A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229413(P2011−229413)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】