説明

放射線検出器、放射線画像撮影装置、及び放射線画像撮影システム

【課題】、放射線画像の品質を維持したまま放射線の照射に関する検出を行うこができる、放射線検出器、放射線画像撮影装置、及び放射線画像撮影システムを提供する。
【解決手段】照射された放射線が変換された光に応じて電荷を発生するセンサ部103、センサ部103から読み出した電荷を信号配線3に出力するTFTスイッチ4、及び信号配線3と非接続の放射線検知用TFTスイッチ34を備えた画素20Aと、センサ部103、TFTスイッチ4、及び信号配線3と接続され、センサ部103から読み出した電荷を信号配線3に出力する放射線検知用TFTスイッチ34を備えた放射線検知用画素20Bと、を備える。放射線検知用TFTスイッチ34の制御端子は、放射線検知用走査配線109に接続されており、放射線検知用制御回路108から出力されたスキャン信号により、オン、オフが制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出器、放射線画像撮影装置、及び放射線画像撮影システムに係り、特に放射線画像を撮影するための放射線検出器、放射線画像撮影装置、及び放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療診断等を目的とした放射線画像の撮影を行うための放射線画像撮影装置に用いられる放射線検出器が知られている。当該放射線検出器は、放射線照射装置から照射され、被検体を透過した放射線を検出して放射線画像を撮影する。当該放射線検出器は、照射された放射線に応じて発生した電荷を収集して読み出すことにより放射線画像の撮影を行う。
【0003】
このような放射線検出器として、放射線または、放射線が変換された光が照射されることにより電荷を発生する光電変換素子等によるセンサ部と、センサ部で発生した電荷を読み出すスイッチング素子と、を備えた複数の画素から成る放射線検出器が知られている。
【0004】
当該放射線検出器において、放射線の照射開始等、放射線の照射に関する検出を行うために、短絡したスイッチング素子を備えた放射線検知用の画素を備える技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このような技術では、放射線検知用の画素では、スイッチング素子が短絡しているため、当該スイッチング素子の制御状態(ON/OFF)にかかわらず、電荷が読み出される。例えば、放射線検知用の画素から短絡されたスイッチング素子により読み出された電荷に応じた電気信号(電荷量)と、予め定められた閾値とを比較し、当該閾値を越えた場合に、放射線の照射が開始されたことを検出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−174908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1に記載の技術のように、放射線検知用の画素から読み出された電気信号に基づいて放射線の照射に関する検出を行う場合では、放射線検知用の画素から読み出された電気信号が流れる(放射線検知用の画素が接続された)信号配線(以下、検知ラインという)と、通常の画素から読み出された電気信号が流れる(放射線検知用の画素が接続されておらず、放射線検知用の画素から読み出された電気信号が流れない)信号配線(以下、通常ラインという)とでは、配線容量の差が非常に大きくなり、放射線画像の撮影を行う際に、放射線検知用の画素が接続された検知ラインの出力信号が低下し、通常ラインの出力信号と大きな差が生じる場合があった。
【0008】
このように検知ラインの出力信号と通常ラインの出力信号とで大きな差が生じる場合、撮影された放射線画像の画質が低下する場合があるという問題がある。
【0009】
これに対して、放射線画像の画質品位維持のために、検知ラインを欠陥ラインとして取り扱い、周囲の正常画素(通常の画素)の情報を元に画像補正をすることが行われるが、 しかながら、線欠陥の画像補正では、特異なパターンでは、補正アーティファクトが発生してしまい、放射線画像の画質品位の維持が困難になるという問題がある。
【0010】
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであり、放射線画像の品質を維持したまま放射線の照射に関する検出を行うこができる、放射線検出器、放射線画像撮影装置、及び放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の放射線検出器は、照射された放射線に応じて電荷を発生する第1センサ部、及び前記第1センサ部で発生した電荷を読み出して信号配線に出力する第1スイッチング素子を備えた複数の第1画素と、照射された放射線に応じて電荷を発生する第2センサ部、前記第2センサ部で発生した電荷を読み出して信号配線に出力する第2スイッチング素子、及び前記第2センサ部で発生した電荷を読み出して信号配線に出力する放射線検知用スイッチング素子を備えた複数の第2画素と、前記第1スイッチング素子の制御端子が接続され、前記第1スイッチング素子をスイッチングする制御信号が流れる走査配線、及び前記第2スイッチング素子の制御端子が接続され、前記第2スイッチング素子をスイッチングする制御信号が流れる走査配線から成る走査配線群、または、前記第1スイッチング素子の制御端子及び前記第2スイッチング素子の制御端子が接続され、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子をスイッチングする制御信号が流れる走査配線群のうちの少なくとも一方から成る複数の走査配線と、前記複数の走査配線のうち、予め定められた走査配線の間に設けられ、前記放射線検知用スイッチング素子の制御端子が接続され前記放射線検知用スイッチング素子をスイッチングする放射線検知用制御信号が流れる複数の放射線検知用走査配線と、を備えた。
【0012】
また、本発明は、請求項2に記載の放射線検出器のように、前記第1画素は、前記放射線検知用走査配線に制御端子が接続され、かつ信号配線に非接続の前記放射線検知用スイッチング素子を備えることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、請求項3に記載の放射線検出器のように、前記第1画素と、前記第2画素とは、前記放射線検知用走査配線を中心とした線対称形状を成して構成されていることが好ましい。
【0014】
また、本発明は、請求項4に記載の放射線検出器のように、前記複数の放射線検知用走査配線は、予め定められた本数毎に、前記放射線検知用制御信号が出力される放射線検知用制御回路に接続されているようにしてもよい。
【0015】
また、請求項5に記載の放射線画像撮影装置は、前記請求項1から前記請求項4のいずれか1項に記載の放射線検出器と、前記放射線検出器の前記放射線検知用スイッチング素子に前記放射線検知用制御信号を出力する放射線検知用制御回路と、前記第2画素の前記放射線検知用スイッチング素子により信号配線に出力された電荷に応じた電気信号に基づいて、予め定められた放射線の照射に関する検出を行う検出手段と、を備えた。
【0016】
また、本発明は、請求項6に記載の放射線画像撮影装置のように、前記検出手段により放射線の照射開始を検出する検出期間中は、前記走査配線には前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子をオフ状態にする制御信号が流れ、かつ、前記放射線検知用走査配線には、前記放射線検知用スイッチング素子をオン状態にする前記放射線検知用制御信号が流れるようにしてもよい。
【0017】
また、本発明は、請求項7に記載の放射線画像撮影装置のように、前記検出期間中に、予め定められた周期で、前記走査配線に前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子をオン状態にする制御信号を流すことにより前記第1画素及び前記第2画素に蓄積された電荷をリセットするリセット動作を繰り返すようにしてもよい。
【0018】
また、本発明は、請求項8に記載の放射線画像撮影装置のように、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子をオン状態にして、前記第1画素及び前記第2画素から、放射線画像撮影用の電荷を信号配線に出力させる場合は、前記放射線検知用スイッチング素子をオフ状態にすることが好ましい。
【0019】
請求項9に記載の放射線画像撮影システムは、放射線を照射する照射装置と、前記照射装置から照射された放射線を検出して、検出した放射線に応じた放射線画像を取得する、前記請求項5から前記請求項8のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置と、を備えた。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、放射線画像の品質を維持したまま放射線の照射に関する検出を行うこができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施の形態に係る放射線画像撮影システムの一例の概略構成を示す概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係る放射線検出器の全体構成の一例を示す構成図である。
【図3】本実施の形態に係る放射線検出器の構成の一例を示す平面図である。
【図4】図3に示した本実施の形態に係る放射線検出器の画素20Aの一例のA−A線断面図である。
【図5】図3に示した本実施の形態に係る放射線検出器の一例の画素20AのB−B線断面図である。
【図6】図3に示した本実施の形態に係る放射線検出器の一例の放射線検知用画素20BのC−C線断面図である。
【図7】本実施の形態に係る放射線検出器の信号検出回路の概略構成の一例を示す概略構成図である。
【図8】本実施の形態に係る放射線画像撮影装置の放射線画像を撮影する際の動作の流れを概略的に示した概略図である。
【図9】本実施の形態に係る放射線画像撮影装置の放射線画像を撮影する際の動作の流れの一例を詳細に示したタイムチャートである。
【図10】本実施の形態に係る放射線画像撮影装置の放射線画像を撮影する際の動作の流れのその他の例を詳細に示したタイムチャートである。
【図11】本実施の形態に係る放射線画像撮影装置において、ブロックごとに放射線の照射に関する検出を行う場合を説明する説明図である。
【図12】本実施の形態に係る放射線画像撮影装置において、ブロックごとに放射線の照射に関する検出を行う場合を説明する説明図である。
【図13】本実施の形態に係る放射線画像撮影装置の放射線の照射に関する検出(AEC)の際の動作の流れ一例を詳細に示したタイムチャートである。
【図14】本実施の形態に係る放射線検出器の全体構成のその他の例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、各図面を参照して本実施の形態の一例について説明する。
【0023】
まず、本実施の形態の放射線検出器を用いた放射線画像撮影システムの概略構成について説明する。図1は、本実施の形態の放射線画像撮影システムの一例の概略構成図である。
【0024】
放射線画像撮影システム200は、放射線(例えばエックス線(X線)等)を被検体206に照射する放射線照射装置204と、放射線照射装置204から照射され、被検体206を透過した放射線を検出する放射線検出器10を備えた放射線検出器100と、放射線画像の撮影を指示すると共に、放射線検出器100から放射画像を取得する制御装置202と、を備えて構成されている。制御装置202の制御に基づいたタイミングで、放射線照射装置204から照射され撮影位置に位置している被検体206を透過することで画像情報を担持した放射線は放射線検出器100に照射される。
【0025】
次に、本実施の形態の放射線検出器100の概略構成について説明する。本実施の形態では、X線等の放射線を一旦光に変換し、変換した光を電荷に変換する間接変換方式の放射線検出器10に本発明を適用した場合について説明する。本実施の形態では、放射線検出器100は、間接変換方式の放射線検出器10を備えて構成されている。なお、図2では、放射線を光に変換するシンチレータは省略している。
【0026】
放射線検出器10には、光を受けて電荷を発生し、発生した電荷を蓄積するセンサ部103と、センサ部103に蓄積された電荷を読み出すためのスイッチング素子であるTFTスイッチ4と、放射線の照射に関する検知に用いられる放射線検知用TFTスイッチ34と、を含んで構成される画素20が複数、マトリックス状に配置されている。本実施の形態では、シンチレータによって変換された光が照射されることにより、センサ部103が、電荷が発生する。
【0027】
画素20は、一方向(図2の横方向、以下「行方向」ともいう)及び当該行方向に対する交差方向(図2の縦方向、以下「列方向」ともいう)にマトリクス状に複数配置されている。図2では、画素20の配列を簡略化して示しているが、例えば、画素20は行方向及び列方向に1024個×1024個配置されている。
【0028】
本実施の形態では、複数の画素20のうち、放射線の照射に関する検知に用いられる放射線検知用画素20Bと、その他の画素(主に、放射線を検出して放射線が示す画像を生成するためにのみ用いられる画素)20Aとが予め定められている。なお、以下では、画素20A及び放射線検知用画素20Bを区別せず総称する場合は、単に画素20という。
【0029】
また、放射線検出器10には、基板1(図4〜図6参照)上に、TFTスイッチ4をON/OFFするための複数の走査配線101と、放射線検知用TFTスイッチ34をON/OFFするための複数の放射線検知用走査配線109と、が並行に設けられている。また、走査配線101及び放射線検知用走査配線109と、上記センサ部103に蓄積された電荷を読み出すための複数の信号配線3と、が互いに交差して設けられている。本実施の形態では、一方向の各画素列に信号配線3が1本ずつ設けられ、交差方向の各画素列に走査配線101が1本ずつ設けられており、例えば、画素20が行向及び列方向に1024個×1024個配置されている場合、信号配線3及び走査配線101は1024本ずつ設けられている。
【0030】
また、放射線検知用走査配線109は、図2に示すように、走査配線101と走査配線101との間に設けられており、放射線検知用走査配線109を中心として、隣接する行の画素20が線対称を成すように構成されている。そのため、本実施の形態では、例えば、上述のように、画素20が行向及び列方向に1024個×1024個配置されている場合、放射線検知用走査配線109は、1024本/2=512本設けられている。
【0031】
各放射線検知用走査配線109には、各放射線検知用走査配線109に放射線検知用TFTスイッチ34をON/OFFするためのスキャン信号を出力する放射線検知用制御回路108が接続されている。
【0032】
なお、本実施の形態では、放射線検知用走査配線109は、予め定められた本数毎に、まとめて(1本の放射線検知用走査配線109として)、放射線検知用制御回路108に接続されている。図2に示した場合では、走査配線101(G8)と走査配線101(G7)との間に設けられた放射線検知用走査配線109と、走査配線101(G6)と走査配線101(G5)との間に設けられた放射線検知用走査配線109と、が放射線検知用走査配線109(Ch1)として放射線検知用制御回路108に接続されている。また同様に、走査配線101(G4)と走査配線101(G3)との間に設けられた放射線検知用走査配線109と、走査配線101(G2)と走査配線101(G1)との間に設けられた放射線検知用走査配線109と、が放射線検知用走査配線109(Ch2)として放射線検知用制御回路108に接続されている。また、図2では、放射線検知用走査配線109に対して、放射線検知用画素20Bは、片側にしか配置されていないが、放射線検知用走査配線109に対して、両側に放射線検知用画素20Bを配置してもよい。その場合には、検出感度が倍増する。
【0033】
さらに、放射線検出器10には、各信号配線3と並列に共通電極配線25が設けられている。センサ部103は共通電極配線25に接続されており、共通電極配線25を介してバイアス電圧がバイアス電源(図示省略)から印加されている。
【0034】
走査配線101には、各TFTスイッチ4をスイッチングするためのスキャン信号が流れる。このようにスキャン信号が各走査配線101に流れることによって、各TFTスイッチ4がスイッチングされる。また、放射線検知用走査配線109には、各放射線検知用TFTスイッチ34をスイッチングするためのスキャン信号が流れる。このようにスキャン信号が各放射線検知用走査配線109に流れることによって、各放射線検知用TFTスイッチ34がスイッチングされる。
【0035】
信号配線3には、各画素20のTFTスイッチ4及び放射線検知用TFTスイッチ34のスイッチング状態に応じて、各画素20に蓄積された電荷に応じた電気信号が流れる。より具体的には、各信号配線3には、当該信号配線3に接続された画素20の何れかのTFTスイッチ4及び放射線検知用TFTスイッチ34がONされることにより蓄積された電荷量に応じた電気信号が流れる。
【0036】
各信号配線3には、各信号配線3に流れ出した電気信号を検出する信号検出回路105が接続されている。また、各走査配線101には、各走査配線101にTFTスイッチ4をON/OFFするためのスキャン信号を出力するスキャン信号制御回路104が接続されている。図2では、信号検出回路105及びスキャン信号制御回路104を1つに簡略化して示しているが、例えば、信号検出回路105及びスキャン信号制御回路104を複数設けて所定本(例えば、256本)毎に信号配線3または走査配線101を接続する。例えば、信号配線3及び走査配線101が1024本ずつ設けられている場合、スキャン信号制御回路104を4個設けて256本ずつ走査配線101を接続し、信号検出回路105も4個設けて256本ずつ信号配線3を接続する。
【0037】
信号検出回路105は、各信号配線3毎に、入力される電気信号を増幅する増幅回路(図7参照)を内蔵している。信号検出回路105では、各信号配線3より入力される電気信号を増幅回路により増幅し、ADC(アナログ・デジタル変換器)によりデジタル信号へ変換する(詳細後述)。
【0038】
この信号検出回路105、スキャン信号制御回路104、及び放射線検知用走査配線109には、制御部106が接続されている。制御部106は、信号検出回路105において変換されたデジタル信号に対してノイズ除去などの所定の処理を施すとともに、信号検出回路105に対して信号検出のタイミングを示す制御信号を出力し、スキャン信号制御回路104に対してスキャン信号の出力のタイミングを示す制御信号を出力する。
【0039】
本実施の形態の制御部106は、マイクロコンピュータによって構成されており、CPU(中央処理装置)、ROM及びRAM、フラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部を備えている。制御部106は、ROMに記憶されたプログラムをCPUで実行することにより、放射線画像の撮影のための制御を行う。
【0040】
図3には、本実施形態に係る間接変換方式の放射線検出器10の構造を示す平面図が示されており、図4には、図3の画素20AのA−A線断面図が示されており、図5には、図3の画素20AのB−B線断面図が示されており、図6には、図3の放射線検知用の画素20BのC−C線断面図が示されている。
【0041】
図4及び図5に示すように、放射線検出器10の画素20Aは、無アルカリガラス等からなる絶縁性の基板1上に、走査配線101(図3参照)、ゲート電極2が形成されており、走査配線101とゲート電極2は接続されている(図3参照)。この走査配線101、ゲート電極2が形成された配線層(以下、この配線層を「第1信号配線層」ともいう)は、Al若しくはCu、またはAl若しくはCuを主体とした積層膜を用いて形成されているが、これらに限定されるものではない。
【0042】
この第1信号配線層上には、一面に絶縁膜15が形成されており、ゲート電極2上に位置する部位がTFTスイッチ4におけるゲート絶縁膜として作用する。この絶縁膜15は、例えば、SiN 等からなっており、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)成膜により形成される。
【0043】
絶縁膜15上のゲート電極2上には、半導体活性層8が島状に形成されている。この半導体活性層8は、TFTスイッチ4のチャネル部であり、例えば、アモルファスシリコン膜からなる。
【0044】
これらの上層には、ソース電極9、及びドレイン電極13が形成されている。このソース電極9及びドレイン電極13が形成された配線層には、ソース電極9、ドレイン電極13とともに、信号配線3が形成されている。ソース電極9は信号配線3に接続されている(図3参照。)。ソース電極9、ドレイン電極13、及び信号配線3が形成された配線層(以下、この配線層を「第2信号配線層」ともいう)は、Al若しくはCu、またはAl若しくはCuを主体とした積層膜が用いて形成されるが、これらに限定されるものではない。当該ソース電極9及びドレイン電極13と半導体活性層8との間には不純物添加アモルファスシリコン等による不純物添加半導体層(図示省略)が形成されている。これらによりスイッチング用のTFTスイッチ4が構成される。なお、TFTスイッチ4は後述する下部電極11により収集、蓄積される電荷の極性によってソース電極9とドレイン電極13が逆となる。
【0045】
また、図5に示すように、画素20Aでは、上述のTFTスイッチ4と同様に、放射線検知用TFTスイッチ34が設けられている。なお、画素20Aでは、ソース電極9は、信号配線3と非接続(非接触)となるように形成されている。これにより、画素20Aでは、下部電極11に収集された電荷は、放射線検知用TFTスイッチ34のスイッチング状態に係わらず放射線検知用TFTスイッチ34を介して信号配線3に流れ出すことがない。
【0046】
これら第2信号配線層を覆い、基板1上の画素20が設けられた領域のほぼ全面(ほぼ全領域)には、TFTスイッチ4や信号配線3を保護するために、TFT保護膜層30が形成されている。このTFT保護膜層30は、例えば、SiN 等からなっており、例えば、CVD成膜により形成される。
【0047】
このTFT保護膜層30上には、塗布型の層間絶縁膜12が形成されている。この層間絶縁膜12は、低誘電率(比誘電率εr=2〜4)の感光性の有機材料(例えば、ポジ型感光性アクリル系樹脂:メタクリル酸とグリシジルメタクリレートとの共重合体からなるベースポリマーに、ナフトキノンジアジド系ポジ型感光剤を混合した材料など)により1〜4μmの膜厚で形成されている。
【0048】
本実施の形態に係る放射線検出器10では、この層間絶縁膜12によって層間絶縁膜12上層と下層に配置される金属間の容量を低く抑えている。また、一般的にこのような材料は平坦化膜としての機能も有しており、下層の段差が平坦化される効果も有する。本実施の形態に係る放射線検出器10では、この層間絶縁膜12及びTFT保護膜層30のドレイン電極13と対向する位置にコンタクトホール17が形成されている。
【0049】
層間絶縁膜12上には、コンタクトホール17を埋めつつ、画素領域を覆うようにセンサ部103の下部電極11が形成されており、この下部電極11は、TFTスイッチ4のドレイン電極13と接続されている。この下部電極11は、後述する半導体層21が1μm前後と厚い場合には導電性があれば材料に制限がほとんどない。このため、Al系材料、ITOなど導電性の金属を用いて形成すれば問題ない。
【0050】
一方、半導体層21の膜厚が薄い場合(0.2〜0.5μm前後)、半導体層21で光が吸収が十分でないため、TFTスイッチ4への光照射によるリーク電流の増加を防ぐため、遮光性メタルを主体とする合金、若しくは積層膜とすることが好ましい。
【0051】
下部電極11上には、フォトダイオードとして機能する半導体層21が形成されている。本実施の形態では、半導体層21として、n+層、i層、p+層(n+アモルファスシリコン、アモルファスシリコン、p+アモルファスシリコン)を積層したPIN構造のフォトダイオードを採用しており、下層からn+層21A、i層21B、p+層21Cを順に積層して形成する。i層21Bは、光が照射されることにより電荷(一対の自由電子と自由正孔)が発生する。n+層21A及びp+層21Cは、コンタクト層として機能し、下部電極11及び後述する上部電極22とi層21Bをと電気的に接続する。
【0052】
各半導体層21上には、それぞれ個別に上部電極22が形成されている。この上部電極22には、例えば、ITOやIZO(酸化亜鉛インジウム)などの光透過性の高い材料を用いている。本実施の形態に係る放射線検出器10では、上部電極22や半導体層21、下部電極11を含んでセンサ部103が構成されている。
【0053】
層間絶縁膜12、半導体層21及び上部電極22上には、上部電極22に対応する一部で開口27Aを持ち、各半導体層21を覆うように、塗布型の層間絶縁膜23が形成されている。
【0054】
この層間絶縁膜23上には、共通電極配線25がAl若しくはCu、またはAl若しくはCuを主体とした合金あるいは積層膜で形成されている。共通電極配線25は、開口27A付近にコンタクトパッド27が形成され、層間絶縁膜23の開口27Aを介して上部電極22と電気的に接続される。
【0055】
一方、図6に示すように、放射線検出器10の放射線検知用の画素20Bでは、ソース電極9と信号配線3とが接続(接触)するように放射線検知用TFTスイッチ34が形成されている。これにより、放射線検知用画素20Bでは、下部電極11に収集された電荷が放射線検知用TFTスイッチ34のスイッチング状態に応じて放射線検知用TFTスイッチ34を介して信号配線3に流れ出す。
【0056】
このように形成された放射線検出器10には、必要に応じてさらに光吸収性の低い絶縁性の材料により保護膜が形成されて、その表面に光吸収性の低い接着樹脂を用いてGOSやCsI等からなるシンチレータが貼り付けられる。
【0057】
次に、本実施の形態の信号検出回路105の概略構成について説明する。図7は、本実施の形態の信号検出回路105の一例の概略構成図である。本実施の形態の信号検出回路105は、増幅回路50、及びADC(アナログ・デジタル変換器)54を備えて構成されている。なお、図7では、図示を省略したが増幅回路50は、信号配線3毎に設けられている。すなわち、信号検出回路105は、放射線検出器10の信号配線3の数と同じ数の、複数の増幅回路50を備えて構成されている。
【0058】
増幅回路50は、チャージアンプ回路で構成されており、オペアンプ等のアンプ52と、アンプ52に並列に接続されたコンデンサCと、アンプ52に並列に接続された電荷リセット用のスイッチSW1と、を備えて構成されている。
【0059】
増幅回路50では、電荷リセット用のスイッチSW1がオフの状態で画素20のTFTスイッチ4または放射線検知用TFTスイッチ34により電荷(電気信号)が読み出され、コンデンサCにTFTスイッチ4または放射線検知用TFTスイッチ34により読み出された電荷が蓄積され、蓄積される電荷量に応じてアンプ52から出力される電圧値が増加するようになっている。
【0060】
また、制御部106は、電荷リセット用スイッチSW1に電荷リセット信号を印加して電荷リセット用のスイッチSW1のオン/オフを制御するようになっている。なお、電荷リセット用のスイッチSW1がオン状態とされると、アンプ52の入力側と出力側とが短絡され、コンデンサCの電荷が放電される。
【0061】
ADC54は、S/H(サンプルホールド)スイッチSWがオン状態において、増幅回路50から入力されたアナログ信号である電気信号をデジタル信号に変換する機能を有するものである。ADC54は、デジタル信号に変換した電気信号を制御部106に順次出力する。
【0062】
なお、本実施の形態のADC54には、信号検出回路105に備えられた全ての増幅回路50から出力された電気信号が入力される。すなわち、本実施の形態の信号検出回路105は、増幅回路50(信号配線3)の数にかかわらず、1つのADC54を備えている。
【0063】
本実施の形態では、放射線検知用の画素20Bの放射線検知用TFTスイッチ34が接続された信号配線3(図2では、D3、D4、D6)の電気信号を信号検出回路105の増幅回路50で検出し、制御部106が、信号検出回路105により変換されたデジタル信号の値を予め定めた放射線検知用の閾値と比較し、閾値以上となった否かにより放射線が照射されたか否か等、放射線の照射に関する検出を行うようにしており、制御装置202から制御信号を必要としない、いわゆる同期フリーとして構成している。なお、制御部106による放射線が照射されたか否かの検知は、放射線検知用の閾値と比較することに限らず、例えば、検知回数等、予め設定した条件に基づいて検知するようにしてもよい。
【0064】
なお、本実施の形態で電気信号の「検出」とは、電気信号をサンプリングすることを示している。
【0065】
次に、図8を用いて、上記構成の放射線画像撮影装置100による放射線画像を撮影する際の動作の流れについて簡単に説明する。
【0066】
本実施の形態の放射線検出器10は、放射線が照射されていない状態であっても暗電流等によって電荷が発生して各画素20に電荷が蓄積される。このため、放射線画像撮影装置100では、待機状態の間も放射線検出素子10の各画素20に蓄積された電荷を取り出して除去するリセット動作を繰り返し行っている。このリセット動作で読み出された電荷による情報は、暗電流等により放射線画像に発生するノイズ(オフセット)の補正に利用される。また、本実施の形態では、放射線検出器10(放射線画像撮影装置100)のパワーオフ状態を待機期間としている。
【0067】
放射線画像撮影装置100は、放射線の照射開始を検出して放射線検出素子10の各画素20で電荷の蓄積を開始することにより放射線画像を撮影するものとされている。放射線画像の撮影を行う際、放射線画像撮影装置100には、撮影モードへの移行が制御装置202から通知される。
【0068】
放射線画像撮影装置100は、撮影モードへの移行が通知されると、放射線の照射開始の検出を行う(放射線の照射の待機状態である)放射線検出期間に移行し、放射線の照射開始を検出すると放射線検出器10の各画素20で電荷を蓄積する蓄積期間に移行し、放射線の照射開始を検出してから所定時間後、または蓄積期間の完了を検出すると、蓄積された電荷を読み出す読出状態に移行し、電荷の読み出し終了後、再び待機状態に移行する。なお、電荷の読み出し終了後、続けてオフセット情報を取得するようにしてもよい。
【0069】
次に、本実施の形態に係る放射線画像撮影装置100により放射線画像を撮影する際の動作の流れを詳細に説明する。本実施の形態に係る放射線画像撮影装置100の放射線画像を撮影する際の動作の流れを詳細に示したタイムチャートを図9に示す。なお、図9は、上述した待機期間を終了し撮影モードに移行した後の放射線検出期間における動作の詳細を示したタイムチャートである。
【0070】
本実施の形態の放射線画像撮影装置100では、放射線検出期間では、スキャン信号制御回路104を制御して、スキャン信号制御回路104から各走査配線101(G1〜Gn)にゲート電位Vglのスキャン信号を出力させる。これにより、各画素20のTFTスイッチ4は、オフ状態を維持する。
【0071】
一方、放射線検知用制御回路108を制御して、放射線検知用制御回路108から各放射線検知用走査配線109(Ch1、Ch2)にゲート電位Vghのスキャン信号を出力させる。これにより放射線検出期間の間、各画素20の放射線検知用TFTスイッチ34は、オン状態を維持する。この際、画素20Aでは、放射線検知用TFTスイッチ34が信号配線3に接続されていないため、オン状態ではあるが、放射線検知用TFTスイッチ34を介して信号配線3に電荷が出力されない。一方、放射線検知用画素20Bでは、放射線検知用TFTスイッチ34が信号配線3に接続されているため、オン状態であるのに応じて、放射線検知用TFTスイッチ34を介して信号配線3に電荷が出力される。また、本実施の形態では、所定周期1Hで信号検出回路105の増幅回路(CA:チャージアンプ)50により信号配線3に流れる電気信号をデジタルデータに変換させてサンプリングを繰り返す。
【0072】
制御部106は、信号検出回路105により変換された放射線検知用画素20Bが接続された信号配線3のデジタルデータ値を予め定められた放射線の照射開始検出用閾値を比較し、当該閾値を越えたか否かにより、放射線の照射が開始されたか否かの検出を行う。当該閾値を越えた場合は、放射線の照射が開始されたことを検出し、上述の蓄積期間に移行する。
【0073】
蓄積期間では、放射線検知用制御回路108から各放射線検知用走査配線109(CH1、Ch2)にゲート電位Vglのスキャン信号を出力させる。これにより、各画素20の放射線検知用TFTスイッチ34は、オフ状態を維持する。このように、放射線検知用TFTスイッチ34をオフ状態にすることにより、放射線検知用画素20Bにおいても、蓄積期間の間、センサ部103に電荷が蓄積されるようにできる。従って、放射線検知用画素20Bから出力された電荷(電荷に応じた電気信号)も用いて放射線画像を生成することができる。
【0074】
なお、本実施の形態に係る放射線画像撮影装置100により放射線画像を撮影する際の動作の流れはこれに限らない。その他の例について図10を参照して説明する。なお、図10も、上述の図9と同様に、上述した待機期間を終了し撮影モードに移行した後の放射線検出期間における動作の詳細を示したタイムチャートである。
【0075】
図10に示した場合では、放射線検出期間では、スキャン信号制御回路104を制御して、スキャン信号制御回路104から各走査配線101(G1〜Gn)にリセット周期となる所定周期1Hで繰り返しゲート電位Vghのスキャン信号を出力させる。これにより、各画素20のTFTスイッチ4が、オン状態になり、各画素20の各々に蓄積された電荷を取り出すリセット動作がリセット周期1Hで繰り返し実行される。
【0076】
一方、各放射線検知用走査配線109(Ch1、Ch2)には、上述のように各走査配線101にリセット動作用のゲート電位Vghのスキャン信号が出力されている間は、放射線検知用制御回路108からゲート電位Vglのスキャン信号が出力される。これによりリセット動作の間は、各画素20の放射線検知用TFTスイッチ34はオフ状態になる。その後、各走査配線101に流れるスキャン信号のゲート電位Vglになり、TFTスイッチ4がオフ状態になると、放射線検知用走査配線109に、ゲート電位Vghのスキャン信号が放射線検知用制御回路108から出力され、各画素20の放射線検知用TFTスイッチ34がオン状態になる。上述と同様に、放射線検知用TFTスイッチ34がオン状態になるのに応じて、信号検出回路105の増幅回路(CA:チャージアンプ)50により信号配線3に流れる電気信号をデジタルデータに変換させてサンプリングを繰り返す。さらに、上述したように、制御部106により、信号検出回路105により変換された放射線検知用画素20Bが接続された信号配線3のデジタルデータ値と予め定められた放射線の照射開始検出用閾値とを比較し、当該閾値を越えた場合は、放射線の照射が開始されたことを検出し、蓄積期間に移行する。またさらに、この場合においても、蓄積期間では、放射線検知用制御回路108から各放射線検知用走査配線109(CH1、Ch2)にゲート電位Vglのスキャン信号を出力させることにより、放射線検知用画素20Bにおいても、蓄積期間の間、センサ部103に電荷が蓄積されるようにできる。従って、放射線検知用画素20Bから出力された電荷(電荷に応じた電気信号)も用いて放射線画像を生成することができる。
【0077】
なお、上記では、信号配線3毎に、電気信号をサンプリングして放射線の照射開始用の閾値を比較することにより放射線の照射開始を検出していたが、所定数の画素20により形成されるブロック毎に放射線の照射開始を検出するようにしてもよい。ブロック毎に検出を行う場合の一例を図11及び図12に示す。
【0078】
図11では、4本(4行)の放射線検知用走査配線109が1本の放射線検知用走査配線109(Ch)として放射線検知用制御回路108に接続されている場合を示している。1ブロック40は、1本の放射線検知用走査配線109(Ch)と、4本(4列)の信号配線3と、により構成される画素20としている。具体的には、図2に示した放射線画像撮影装置100(放射線検出器10)の場合、8行の画素20×4列の画素20=32個の画素20で1ブロック40が形成される。
【0079】
放射線の照射開始を検出する場合、放射線検知用制御回路108から放射線検知用走査配線109(Ch1〜Chm)に順次、放射線検知用TFTスイッチ34がオンとなるスキャン信号を出力する。信号検出回路105では、各ブロック40毎(CA1〜CAz)に増幅回路50で時分割で放射線検知用画素20Bが接続された信号配線3の平均電荷量(平均電荷量に応じた電気信号)を読み取ることにより、図12に示すように、各ブロック40毎に、照射された放射線に応じて発生した平均電荷量が得られる。なお、図12では、ブロック40の濃度が濃い程、平均電荷量が大きく、従って照射された放射線の線量が多いことを示している。
【0080】
制御部106は、各部録40毎に、読み取った平均電荷量の時でタルデータ値と放射線の照射開始検出用の閾値とを比較し、当該閾値を越えた場合に、放射線の照射開始を検出する。
【0081】
以上説明したように、本実施の形態の放射線画像撮影装置100の放射線検出器10では、照射された放射線が変換された光に応じて電荷を発生するセンサ部103、センサ部103から読み出した電荷を信号配線3に出力するTFTスイッチ4、及び信号配線3と非接続の放射線検知用TFTスイッチ34を備えた画素20Aと、センサ部103、TFTスイッチ4、及び信号配線3と接続され、センサ部103から読み出した電荷を信号配線3に出力する放射線検知用TFTスイッチ34を備えた放射線検知用画素20Bと、を備える。放射線検知用TFTスイッチ34の制御端子は、放射線検知用走査配線109に接続されており、放射線検知用制御回路108から出力されたスキャン信号により、オン、オフが制御される。
【0082】
このように、本実施の形態の放射線検出器10では、蓄積期間及び読み出し期間において、放射線検知用制御回路108から放射線検知用走査配線109にオフ信号を流すことにより、放射線検知用TFTスイッチ34をオフ状態にすることができる。これにより、放射線検知用画素20Bが接続されたことによる信号配線3の配線容量の増加を防止することができる。放射線検出器10に生じる寄生容量のうち、画素20の画素容量によるものが主体的である。例えば、1画素20あたり2pF前後で、放射線検知用画素20Bが100個接続されている場合、200pFも寄生容量が増加する。一方、信号配線3の信号配線容量は200pF前後であるため、放射線検知用画素20Bを設けることにより、配線容量(寄生容量)が2倍になってしまう。本実施の形態では、上述のように放射線検知用TFTスイッチ34をオフ状態にすることにより、こび放射線検知用画素20Bによる寄生容量の増加を防止することができる。
【0083】
放射線検知用画素20Bが接続されている信号配線3と、放射線検知用画素20Bが接続されておらず画素20Aのみが接続されている信号配線3との配線容量の差が大きくなるのを防止することができる。従って、放射線画像の品質を維持したまま放射線の照射に関する検出を行うこができる。
【0084】
また、本実施の形態では、放射線検知用画素20BにもTFTスイッチ4を備えるように構成しており、放射線検知用画素20Bから読み出した電荷情報(電気信号)を用いて放射線画像を生成できるため、放射線検知用画素20Bが点欠陥になるのを抑制することができ、生成される放射線画像の品質を維持することができる。
【0085】
また、本実施の形態では、2本の走査配線101の間に放射線検知用走査配線109を設けることにより、放射線検知用走査配線109を中心として、画素20Aと放射線検知用画素20Bとが線対称となるように、いわゆるミラー反転した画素パターンとしている。このように構成することにより、放射線検知用走査配線109の配線を、画素20の各行毎に設ける場合に比べて、1/2にすることができ、放射線検知用走査配線109の増加によるノイズの増加を抑制して、放射線画像の品質を維持することができると共に、歩留まりの低下を抑制することができる。
【0086】
また、本実施の形態では、放射線の検出期間に放射線検知用走査配線109に放射線検知用TFTスイッチ34をオン状態とするスキャン信号を出力させ、画素20を順次リセットしながら放射線の照射開始を検出するようにすることができる。このようにすることにより、リセットサイクルが変わることによるアーティファクトを防止することができるため、放射線画像の品質を維持することができる。
【0087】
また、本実施の形態では、画素20Aにも放射線検知用TFTスイッチ34を備えるように構成することにより、画素20Aと、放射線検知用画素20Bとを略同一の構成とすることができる。一般に、検査装置により放射線検出素子10の検査を行う場合、画素20Aとの形状(パタン)と放射線検知用画素20Bの形状との相違から放射線検知用画素20Bを不良(エラー)と検出してしまうのを防止することができる。従って、検査装置(例えば、光学的検査装置)の制約を回避することができる。また例えば、画素20Aの形状(パタン)と放射線検知用画素20Bの形状(パタン)とが大きく異なると、放射線検出素子10の製造に用いるマスクの繰り返しパタンが使用できなくなるため、製造しづらくなる場合があるが、マスクの繰り返しパタンを使用して製造を行うことができるため、製造し易くすることができる。
【0088】
なお、本実施の形態では、放射線の照射開始を検出する場合について詳細に説明したがこれに限らず、その他の放射線の照射に関する検出を行うようにしてもよい。例えば、図1における放射線の制御装置202と同期が取れる場合には、放射線照射制御に利用することができる。図13に示すように、放射線の照射開始の検出後の蓄積期間も所定周期1Hで信号検出回路105により放射線検知用画素20Bが接続された信号配線3に流れる電気信号をデジタルデータに変換させて放射線の検出を行うサンプリングを繰り返し、放射線検知用画素20Bが接続された信号配線3のデジタルデータの値を予め定めた放射線検知用の所定の閾値と比較し、積算量が閾値を越えるか、もしくは越える時間を予測し超えることが予測される時間で、放射線照射を停止させる。また、同様に、線量に応じた最適ゲインになるような、リアルタイムゲイン切替にも利用することができる。図7に示したような信号検出回路105において、チャージアンプのアンプ52のコンデンサCの容量を何段階(C1、C2、C3・・・)変更可能なものにおいて、放射線検知用画素20Bが接続された信号配線3のデジタルデータの値から、線量が低い場合には、S/N比が高くなるようにコンデンサの容量を変えてアンプの増幅率を上げ、高い場合には飽和しないように、アンプの増幅率を下げ、その後読み出される画素20Aからの信号の増幅率を最適になるように変える。
【0089】
また、本実施の形態の放射線検出器100の放射線検出器10(図2参照)では、放射線検知用の画素20Bが一部の信号配線3に接続されているがこれに限らず、全ての信号配線3に接続される位置に放射線検知用の画素20Bを設けるようにしてもよい。
【0090】
また、本実施の形態では、走査配線101が2本(2列の画素20に相当)毎に、1本の放射線検知用走査配線109を設けるように構成しているがこれに限らずその他の本数(その他の列数の画素20)毎に、1本の放射線検知用走査配線109を設けるように構成してもよい。また、本実施の形態では、2本(4列の画素20に相当)の放射線検知用走査配線109毎に、1本の放射線検知用走査配線109(Ch)として放射線検知用制御回路108に接続しているがこれに限らず、図11に示したようにその他の本数(その他の列数の画素20)毎に、1本の放射線検知用走査配線109(Ch)として放射線検知用制御回路108に接続するようにしてもよい。
【0091】
また、本実施の形態では、放射線検出器10の画素20Aも放射線検知用TFTスイッチ34を備えるように構成したが、例えば、図14に示すように、放射線検知用TFTスイッチ34を備えないように画素20Aを構成してもよい。図2に示した本実施の形態の放射線検出器10においても、画素20Aの放射線検知用TFTスイッチ34は信号配線3と非接続であり、放射線検知用TFTスイッチ34を介して電荷が読み出されることがないため、図14に示したように、画素20Aに放射線検知用TFTスイッチ34を設けない場合では、放射線の照射に関する検出に関しては、適切に行うことができる。
【0092】
また、本実施の形態では、照射された放射線がシンチレータにより変換された光に応じて電荷を発生する間接変換方式の場合について説明したがこれに限らず、放射線を直接、半導体層で電荷に変換して蓄積する直接変換方式の場合に適用してもよい。この場合、直接変換方式におけるセンサ部は、放射線が照射されることにより電荷を発生する。
【0093】
その他、本実施の形態で説明した放射線検出器100、放射線検出器10、画素20等の構成、動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることは言うまでもない。
【0094】
また、本実施の形態では、本発明の放射線は、特に限定されるものではなく、X線やγ線等を適用することができる。
【符号の説明】
【0095】
3 信号配線
4 TFTスイッチ
10 放射線検出素子
20 画素、20B 放射線検知用の画素
34 放射線検知用TFTスイッチ
100 放射線検出器
101(G1〜Gn) 走査配線
103 センサ部
105 信号検出回路
106 制御部
108 放射線検知用制御回路
109(Ch1〜Chm) 放射線検知用走査配線
200 放射線画像撮影システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射された放射線に応じて電荷を発生する第1センサ部、及び前記第1センサ部で発生した電荷を読み出して信号配線に出力する第1スイッチング素子を備えた複数の第1画素と、
照射された放射線に応じて電荷を発生する第2センサ部、前記第2センサ部で発生した電荷を読み出して信号配線に出力する第2スイッチング素子、及び前記第2センサ部で発生した電荷を読み出して信号配線に出力する放射線検知用スイッチング素子を備えた複数の第2画素と、
前記第1スイッチング素子の制御端子が接続され、前記第1スイッチング素子をスイッチングする制御信号が流れる走査配線、及び前記第2スイッチング素子の制御端子が接続され、前記第2スイッチング素子をスイッチングする制御信号が流れる走査配線から成る走査配線群、または、前記第1スイッチング素子の制御端子及び前記第2スイッチング素子の制御端子が接続され、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子をスイッチングする制御信号が流れる走査配線群のうちの少なくとも一方から成る複数の走査配線と、
前記複数の走査配線のうち、予め定められた走査配線の間に設けられ、前記放射線検知用スイッチング素子の制御端子が接続され前記放射線検知用スイッチング素子をスイッチングする放射線検知用制御信号が流れる複数の放射線検知用走査配線と、
を備えた放射線検出器。
【請求項2】
前記第1画素は、前記放射線検知用走査配線に制御端子が接続され、かつ信号配線に非接続の前記放射線検知用スイッチング素子を備えた、請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項3】
前記第1画素と、前記第2画素とは、前記放射線検知用走査配線を中心とした線対称形状を成して構成されている請求項1または請求項2に記載の放射線検出器。
【請求項4】
前記複数の放射線検知用走査配線は、予め定められた本数毎に、前記放射線検知用制御信号が出力される放射線検知用制御回路に接続されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項5】
前記請求項1から前記請求項4のいずれか1項に記載の放射線検出器と、
前記放射線検出器の前記放射線検知用スイッチング素子に前記放射線検知用制御信号を出力する放射線検知用制御回路と、
前記第2画素の前記放射線検知用スイッチング素子により信号配線に出力された電荷に応じた電気信号に基づいて、予め定められた放射線の照射に関する検出を行う検出手段と、
を備えた放射線画像撮影装置。
【請求項6】
前記検出手段により放射線の照射開始を検出する検出期間中は、前記走査配線には前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子をオフ状態にする制御信号が流れ、かつ、前記放射線検知用走査配線には、前記放射線検知用スイッチング素子をオン状態にする前記放射線検知用制御信号が流れる、請求項5に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項7】
前記検出期間中に、予め定められた周期で、前記走査配線に前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子をオン状態にする制御信号を流すことにより前記第1画素及び前記第2画素に蓄積された電荷をリセットするリセット動作を繰り返す、請求項5または請求項6に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項8】
前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子をオン状態にして、前記第1画素及び前記第2画素から、放射線画像撮影用の電荷を信号配線に出力させる場合は、前記放射線検知用スイッチング素子をオフ状態にする、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項9】
放射線を照射する照射装置と、
前記照射装置から照射された放射線を検出して、検出した放射線に応じた放射線画像を取得する、前記請求項5から前記請求項8のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置と、
を備えた放射線画像撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−115774(P2013−115774A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263016(P2011−263016)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】