説明

放射線検出性防護物品

放射線不透過性ポリマー物品を形成するための組成物および方法が開示される。一つの態様では、放射線検査装置および方法を使用してそのような放射線不透過性ポリマー物品の存在および属性を決定する。本発明の放射線不透過性ポリマー物品は、放射線不透過性材料、たとえばバリウム、ビスマス、タングステンまたはそれらの化合物を粉末化ポリマー、ペレット化ポリマーまたは溶媒もしくは水中のポリマー溶液、エマルションもしくは懸濁液と混合することによって作成することができる。本発明の放射線不透過性ポリマー材料は、放射線検出性物体を作成することに加えて、放射線防護物品、たとえば放射線防護服および爆弾格納容器を作成するために使用することもできる。また、ナノ材料の使用によって高められた放射線防護を達成することができる。本発明の原理は、火炎、化学的、生物学的および投射物の危険を含む他のタイプの危険に対して防護を提供するために使用することができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、放射線検出性防護物品に関する。本発明の放射線検出性物品は、X線および他の放射性放出の使用によって容易に検出することができる。そのような放射線検出性物品を製造する方法および組成物は、放射線および他のタイプの危険、たとえば火炎、化学的、生物学的および投射物の危険に対して防護する物品の作成にも適用することができる。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2004年12月20日出願の米国特許出願第11/019,952号の優先権を主張し(この出願の内容はすべての目的のために参照により本明細書に取り入れられる)、この出願は、2003年7月16日に出願され、「Multiple Hazard Protection Articles And Methods For Making Them」と題する米国特許第6,841,791号として発行された出願第10/620,954号の一部継続出願であり、この出願は、2002年9月9日に出願され、「Lightweight Radiation Protective Articles And Methods For Making Them」と題する米国特許第6,828,578号として発行され、2004年12月7日に米国特許第6,828,578 B2号として発行された出願第10/238,160号の一部継続出願であり、この出願そのものは、2001年8月27日に出願され、2002年10月1日に米国特許第6,459,091 B1号として発行された「Lightweight Radiation Protective Garments」と題する出願第09/940,681号の一部継続出願であり、この出願は、1998年12月7日に出願され、2001年8月28日に米国特許第6,281,515号として発行された「Lightweight Radiation Protective Garments」と題する出願第09/206,671号の一部継続出願である。これらの先願それぞれにおける開示が参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
放射線は人間によって数多くの方法で利用されてきた。もっとも周知の放射線の破壊的用途は原子爆弾である。原子爆弾によって放出される電磁放射線はヒト組織に深く浸透してヒト細胞を損傷させる。近年、テロリズムの増大およびテロリストが容易に入出可能な核廃棄物を使用して「汚い爆弾」を製造することができるという非常に現実的な可能性とともに、原子爆弾によって与えられる脅威が増大していることは疑う余地がない。そのような核爆弾の人類に対する破壊的脅威が、軽量な放射線防護服の必要性を含め、費用効果的な放射線防護の必要性を生じさせた。理想的には、そのような軽量の放射線防護服は、他のタイプの危険、たとえば火炎、化学的、生物学的、投射物の危険および他の形態の電磁放射線に対する防護をも同時に提供するであろう。このようにして、第一対応者、たとえば消防士、救急救命士、警察官または軍人は、一つの衣類を使用して、直面すると予測しうるあらゆるタイプの危険に対する防護を自らに提供することができる。このような「万能」防護服は、開示内容が参照により本明細書に組み入れられる「Multiple Hazard Protection Articles And Methods For Making Them」と題する2003年7月16日出願の本出願人の同時係属出願第10/620,954号(特許文献1)で取り上げられている。
【0004】
また、放射線を活用するための建設的使用が数多く開発されている。これらの建設的使用としては、医療用X線および原子力発電所がある。しかし、放射線の他の建設的使用はまだ発見されてはいない。たとえば、多くの産業では、製品を速やかかつ低廉に製造するために自動化された高速機械が使用されている。食品産業がそのような産業の一つである。たとえば、多くの人気ブランドの朝食シリアルの製造および包装は概ね機械が行う。この大量生産朝食シリアルを市販するため、朝食シリアルメーカは、シリアル箱の中におまけ品または「景品」、たとえば人気のあるスーパーヒーローの模型を含めることが多い。この景品は通常、包装工程中に機械によって挿入され、封止される。
【0005】
高速の自動化製造法が使用される場合、品質管理手順の必要性が生じる。箱入りシリアルの例に戻ると、箱入りシリアルのアセンブリ機が景品切れになる、またはその景品挿入装置が目詰まりするならば、多数のシリアル箱が景品なしで封止され、出荷され、販売されるかもしれない。子供用のシリアルの場合、箱入りシリアルは、その中の景品を目当てに買われることが多いため、メーカが景品をシリアル箱に詰めることができないと、顧客の怒りや失望を招きかねない。
【0006】
そのようなものとして、特に高速製造技術において、製造された製品が会社の製造規格(たとえば任意の景品を含めること)に完全に適合した状態で作られているかどうか、また、その製品が異物を含まないということを速やかに検査することができる必要がある。箱入りシリアルの場合、これは、景品を含むと考えられるシリアル箱のすべてが実際に景品を含み、最終アセンブリに偶発的に紛れ込むおそれのある異物、たとえば石や金属を含まないことを確認することを含む。
【0007】
品質管理を維持するために人間による目視検査がしばしば実施されるが、目視検査は、高速アセンブリラインで製造される製品に対して効果的に実施することは困難である。目視検査に伴う一つの課題は、製造工程を減速させることなく、適切な検査を実施するのに十分な時間を検査員に与えることである。シリアル箱の中の景品を検出しようとする場合、この課題は、シリアル箱が視覚的に不透明であり、そのため、シリアル箱の中にある、景品のような物品の目視検査には適さないという事実によって複雑化する。
【0008】
【特許文献1】米国特許出願10/620,954号
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
本発明は、放射線不透過性ポリマー物品を形成するための組成物および方法を含む。これらの放射性不透過性ポリマー物品が高速自動化製造法で使用される場合、放射線検査装置の使用によってそれらの属性および存在を容易に確認することができる。
【0010】
本発明の放射線不透過性ポリマー物品は、放射線不透過性材料、たとえばバリウム、ビスマス、タングステンまたはそれらの化合物を粉末化ポリマー、パレット化ポリマーまたは溶媒もしくは水中のポリマー溶液、エマルションもしくは懸濁液と混合することによって作成することができる。ポリマーは、有利には、非限定的にポリウレタン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、天然ラテックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル、ポリエステル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリル、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、アセタール、ポリテトラフルオロエチレン(TEFLON(商標))、イオノマー、セルロース、ポリエーテルケトン、シリコーン、エポキシ、エラストマー、ポリマーフォームおよび他のポリマー化合物をはじめとする広範囲のプラスチックから選択することができる。
【0011】
そして、放射線不透過性ポリマー混合物を使用して、多数の既存の工業的方法、たとえば射出成形、押出しおよび熱成形によって放射線不透過性ポリマー物品を形成することができる。たとえば、射出成形の場合、放射線不透過性ポリマー混合物を押出し機中で加熱したのち、型の中に、その型の形状を帯びるまで射出することができる。放射線不透過性ポリマー混合物が適切な成形形状に硬化したのち、それを型から取り出す。スーパーヒーロー模型の場合、成形された模型をセロファンに包み、景品としてシリアル箱に挿入することができる。
【0012】
また、放射線不透過性物品は、有利には、放射線不透過性の付着性混合物を既存の物品に吹付け、被着またはコートすることによって形成することもできる。たとえば、軽量の放射線不透過性材料を接着剤、たとえばガム接着剤または液状ポリマーと混合すると、放射線不透過性の接着性混合物を形成することができる。そして、その放射線不透過性の接着性混合物を物品に吹き付けるか、または物品をその放射線不透過性の接着性混合物中に浸漬することにより、放射線不透過性の接着性混合物を既存の物品に塗布することのいずれかができる。
【0013】
製造工程中、放射線検査装置を使用して、放射線不透過性ポリマー物品の存在および属性を検出することができる。一つの態様では、X線を、放射線不透過性ポリマー物品そのものまたは放射線不透過性ポリマー物品を収容した放射線透過性パッケージに通す。そして、X線検出器を放射線不透過性ポリマー物品の反対側に配置して、放射線が減衰したところおよび放射線が透過したところを検出する。このX線検出器により、放射線不透過性ポリマー物品の存在を確認することができ、望むならば、放射線不透過性ポリマー物品の属性(たとえば、正しい寸法、量、欠陥の有無など)を確かめることができる。このX検出器はまた、望まれない異物、たとえば石や金属くずが完成品に紛れ込んでいないことを確認することもできる。
【0014】
放射線不透過性の検出性物体を作成するために使用される多数の方法および組成物はまた、広範囲の電離放射線、たとえば中性子、紫外線、γ線および高周波に対する防護を提供するために使用することもできる。開示内容が参照により本明細書に組み入れられる本発明者らの同時継続中の先出願第10/620,954号では、本発明の放射線不透過性ポリマー化合物は、場合によっては他の危険(たとえば、火炎、化学的、生物学的、投射物など)に対する防護をも提供することができる放射線防護服を作成するために使用されている。同様に、放射線防護材料の付着性混合物を既存の物品に吹き付けてそれを放射線検出性にすることができるのと同じ方法で、同じタイプの混合物を衣類に吹き付けて放射線を減衰させることもできる。
【0015】
本発明のもう一つの部分として、ナノテクノロジーにおける近年の進歩を使用して、より良好な放射線検出性かつ放射線減衰性の物品を作成することができる。特定の態様では、これらの放射線減衰性物品もまた、他のタイプの危険、たとえば火炎、化学的、生物学的、投射物の危険および広範囲の電磁放射線エネルギーに対する防護を提供することができる。これらのナノ材料は、その小さなサイズおよび高い表面積対体積比のおかげで、特有の電気的、機械的および光学的性質を示している。本発明では、種々のナノ材料を使用して製品の機械的、熱的、減衰およびバリヤ防護性を高めることができる。
【0016】
本発明では、ナノ材料は少なくとも三つの異なる方法で使用される。一つの態様では、ナノ材料は、放射線防護を高めるため、またはさらなる防護、たとえば火炎、化学的、生物学的および/または投射物に対する防護を提供するためのいずれかのために、先に開示した放射線防護ポリマー材料に加えられる。第二の態様では、放射線不透過性材料(たとえばバリウム、ビスマス、タングステンなど)から形成されたナノ粒子が、同種または類似種の放射線不透過性材料のより嵩高い形態の代わり、放射線防護混合物中で使用される。そのような放射線不透過性ナノ材料の使用は、ポリマー混合物中の放射線不透過性材料のより均一な分散を可能にし、それに伴い、ポリマーが脆弱化する前に放射線不透過性材料のより高レベルの濃縮が可能になる。第三の態様では、ナノ材料は、別個のナノ材料層として形成される。このような別個のナノ材料層は、製品に加えることもできるし、独立した製品として形成することもできるいずれかである。
【0017】
本発明で使用するためのナノ材料としては、ナノ粒子、ナノチューブおよびナノプレートレットがある。ナノ粒子は、主として固形の粒として形成されるが、中空のナノ球体、ナノシェル、半球体、パラボラなどからなることもできる。ナノ粒子は、酸化物、硫化物およびセラミック粉末を含む種々の金属/非金属粉末で形成することができる。ナノプレートレットとは、天然ナノ粘土および合成ナノ粘土、たとえばケイ酸および遷移金属ジカルコゲニド(すなわち、リチウムと相互作用したタンタルジカルコゲニド)を含む層状のナノ材料である。ナノチューブとは、数ナノメートルの直径を有し、それでいて長さ数ミクロンであることができるチューブ様のナノ材料である。
【0018】
電波、紫外線および電離放射線のような電磁放射線を減衰させる場合には、ナノ粒子は、従来の放射線不透過性材料、たとえばタングステン、タンタル、バリウムまたはそれらの化合物、シェル構造、たとえば金属コート磁性粒子、たとえばFe2O3/Au、SiO2/Auまたは他のコートされた半導体粒子、たとえばPbS/CdSで形成されることができる。中空の金属、金属酸化物/硫化物ナノ球体または他の化合物のナノ球体;パラボラ、半球体およびシェルの構造を有するナノ粒子もまた本発明に使用することができる。付形ナノ粒子(たとえばナノパラボラ、ナノ半球体、ナノ球体など)は、鏡が光波を偏向、反射および捕捉する方法と同様なやり方で放射線を偏向、反射および捕捉すると考えられている。これらの付形ナノ粒子は、粉末化放射線不透過性ナノ粒子とは異なるふうに放射線を減衰させると考えられるため、これらの付形ナノ粒子は、放射線不透過性材料から形成される必要はなく、代わりに、金属/半導体ハイブリッド粒子のような材料から形成されてもよい。たとえば、ハイブリッドCdSコートされたAgナノ粒子は、レッドシフトしたプラズモン共鳴吸収を示す。金属ナノ粒子のこの共鳴吸収バンドは粒度の関数である。粒度が低下するにつれ、最大吸収強さの理論波長に近づくことができる。これらのナノ球体、ナノ半球体およびナノパラボラ構造を特定の形状および曲率で作成することにより、光学的性質を光のスペクトルの小さめの波長に対して使用して、電波、紫外線および電離放射線周波数の電磁放射線を減衰させることができる。電磁放射線は、重金属の場合のように吸収されるのではなく、効果的に方向転換、シフトまたは反射されて、そのエネルギーがより低いレベルまで減らされるか、熱に変換される。
【0019】
ポリマー混合物の化学的性質および難燃性を高めるためには、適当な組成のナノ材料をポリマー混合物中に均一に分散させることができる。たとえば、ナノ粘土は、ポリマー中に適切に分散すると、ポリマーマトリックス中に蛇行した経路を形成し、有害な化学物質、生物学的作用因子および他のガス、たとえば酸素がポリマーに浸透することを困難にすることにより、その化学的性質を高める。ポリマーの難燃性を高めるためには、2〜10%の範囲の小さな割合のナノ粘土または他のナノプレートレットを、ナノスケールまたはミクロン範囲の従来の難燃剤、たとえばアルミナ三水和物、水酸化マグネシウムまたは他の有機臭素化および有機塩素化化合物とともに加えることができる。ポリマー混合物の機械的性質、たとえば引張り強さ、可撓性、弾性率および電気伝導率を高めるためにはナノチューブを使用することができる。
【0020】
ナノ材料をポリマー混合物中に分散させるには三つの一般的な方法がある。第一の方法は、ポリマーとナノ材料との、別個の相としてのまたは溶液中でのいずれかの直接混合である。第二の方法は、ナノ材料の存在における現場重合であり、第三の方法は、ナノ材料の現場形成および現場重合を含む現場粒子加工である。また、ナノ材料は、蒸発、スパッタリング(グロー放電、イオンビーム、レーザ)、イオンめっき、化学蒸着(CVD)、プラズマ増強CVD、溶射、浸漬コーティング、流動床および噴霧液吹付けのようないくつかの技術によって多数の基材にコートすることもできる。
【0021】
また、ナノ材料は凝集してその表面積を減らす傾向にあり、したがって、ポリマーマトリックス中に適切に分散および分布させないならば、得られるナノ複合材の所望の性質を達成することができないことに留意すること。ナノ材料をポリマー中に分散させ、得られた混合物を標準の製造技術によって加工するためには、ナノ材料を表面改質することが好ましい。たとえば、ナノ粘土の場合、相溶化として知られる方法によって粘土表面を改質して、ナノ粘土が樹脂マトリックスに引き寄せられ、ひいては徹底的に分散するようにする。もっとも一般的な二つの公知の相溶化法は、オニウムイオン改質およびイオン双極子間相互作用である。
【0022】
ナノ材料を本発明のポリマー混合物に配合する、または高純度のナノ層を作成することにより、放射線防護シールドを作成して物品を放射線検出性、放射線防護性(紫外線、高周波、電磁放射線、X線またはγ線)または「万能」防護性(すなわち、一つまたは複数の危険、たとえば中性子放射線、火炎、化学的、生物学的または投射物の危険に対して防護性)のいずれかにすることができる。得られる放射線不透過性ポリマー混合物はさらに、ナノ材料を含むか含まないかにかかわらず、先に引用した特許出願に記載されている化学フィルム、対弾道布(織布または付織布)または難燃材に積層することができる。
【0023】
発明の詳細な説明
まず、図1を参照すると、本発明の放射線不透過性ポリマー物品10の例が示されている。この場合、放射線不透過性ポリマー物品10は、プラスチックのおもちゃ模型の形態にある、シリアルの箱に挿入することができる景品である。放射線不透過性ポリマー物品10は、好ましくは、一つまたは複数の放射線不透過性材料および一つまたは複数のポリマーを含むポリマー混合物から形成されている。一つまたは複数の放射線不透過性材料の配合はこのポリマー混合物にとって重要である。理由は、ポリマーそのものが多くの形態の放射線、たとえばX線に対して透過性であり、そのようなものとして、ポリマーだけを使用しても効果的な放射線不透過性ポリマー物品を製造することはできないからである。
【0024】
放射線不透過性材料としては、硫酸バリウム、タングステンおよびビスマスが、たとえば鉛と比較して、知られた健康危害が少ないため、本発明には好ましい選択である。バリウム、他のバリウム化合物(たとえば塩化バリウム)、タングステン化合物(たとえば炭化タングステンおよび酸化タングステン)、ビスマス化合物、タンタル、タンタル化合物、スズ、チタン、チタン化合物、ジアトリゾエートメグルミン(Diatrizoate Meglumine)(注射用) USP (Nycomed社により商品名HYPAQUE(商標)として販売)、アセトリゾエートナトリウム(Acetrizoate Sodium)、ホウ素、ホウ酸、酸化ホウ素、ホウ素塩類、他のホウ素化合物、ベリリウム、ベリリウム化合物、ブナミオジルナトリウム、ジアトリゾエートナトリウム、エチオダイズド油、イオベンザム酸、イオカルム酸、イオセタム酸、ヨージパミド(Iodipamide)、イオジキサノール、ヨード油(Iodized Oil)、ヨードアルフィオン酸(Iodoalphionic Acid)、o-ヨウ化ヒプル酸ナトリウム、ヨードフタレインナトリウム、ヨードピラセット、イオグリク酸、イオヘキソール、イオメグラム酸、イオパミドール、イオパノ酸、イオペントール、ヨーフェンジラート(Iophendylate)、ヨーフェノキシ酸(Iophenoxic Acid)、イオプロミド、イオプロン酸、イオピドール、イオピドン、イオタラム酸、イオトロラン、イオベルソル、イオキサグル酸、イオキシラン、イポデート、メグルミンアセトリゾエート、メグルミンジトリゾエートメチオダールナトリウム(Meglumine Ditrizoate Methiodal Sodium)、メトリザミド、メトリゾ酸、フェノブチオジル、フェンテチオタレインナトリウム(Phentetiothalein Sodium)、プロピリオドン、ヨードメタム酸ナトリウム(Sodium Iodomethamate)、ソゾヨード酸(Sozoiodolic Acid)、酸化トリウムおよびトリパノエートナトリウム(Trypanoate Sodium)をはじめとする他の放射線不透過性材料を使用することもできるが、これらに限定されない。これらの放射線不透過性材料は、多様な化学物質供給業者、たとえばFisher Scientific, P.O. Box 4829、Norcross、Georgia 30091 (電話(公序良俗違反につき、不掲載))、Aldrich Chemical Company, P.O. Box 2060, Milwaukee、Wisconsin (電話(公序良俗違反につき、不掲載))およびSigma, P.O. Box 14508, St. Louis、Missouri 63178 (電話(公序良俗違反につき、不掲載))から購入することができる。当業者は、同じ金属を配合した他の放射線不透過性材料を前記のものと互換的に使用することができることを容易に認めるであろう。
【0025】
本発明のポリマー混合物に使用されるポリマーは、好ましくは、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、天然ラテックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル、ポリエステル、ポリイソプレン、ポリスチレン、ポリスルホン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリル、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、アセタール、ポリテトラフルオロエチレン(TEFLON(商標))、イオノマー、セルロース、ポリエーテルケトン、シリコーン、エポキシ、エラストマー、ポリマーフォームおよび他のポリマー化合物をはじめとする広範囲のプラスチックから選択することができるが、これらに限定されない。
【0026】
従来の添加物をポリマー混合物に含めて、最終生成物の可撓性、強さ、耐久性または他の性質を改善したり、ならびに/またはポリマー混合物が適切な均一性および一貫性を有することを保証することを支援したりしてもよい。これらの添加物は、適切な場合には、可塑剤(たとえばエポキシ大豆油、エチレングリコール、プロピレングリコールなど)、乳化剤、界面活性剤、沈殿防止剤、均染剤、乾燥促進剤、接着剤、流れ改善剤および難燃剤であるかもしれない。
【0027】
これらの種々のポリマー混合物成分の割合は異なることができる。従来のサイズの放射線不透過性材料をより大きな割合で使用すると、一般に、放射線検出技術により、放射線不透過性ポリマー物品の存在および属性をより容易に確認することができる。それにもかかわらず、従来のサイズの放射線不透過性材料の割合がポリマーに比べて高すぎるならば、ポリマー混合物は、乾燥または冷却されたとき脆弱化し、容易に崩壊する。本発明者らは、自らの研究から、ポリマー混合物の50重量%超が硫酸バリウム、タングステン、ビスマスまたは他の従来のサイズの放射線防護材料であることができ、混合物の残り大部分がポリマーからなることができることを見いだした。
【0028】
一つの好ましい態様では、ポリマー混合物は、従来のサイズの放射線不透過性材料を約85重量%含有し、ポリマーを約15重量%含有する。この好ましい態様では、ポリマー混合物中に使用される放射線不透過性材料は、タングステン(75%)、硫酸バリウム(20%)およびビスマス(5%)である。現在この好ましい態様に好ましいポリマーは、エチレン酢酸ビニル(EVA)とポリエチレンとの混合物である。
【0029】
ポリマー混合物のための放射線不透過性材料の一つとして鉛の使用を考えることが適切であるかもしれない。その潜在的な健康危害のせいで、鉛は、先に挙げた他の放射線不透過性材料の多くほど好まれないであろうが、それでも、一部の放射線不透過性ポリマー混合物では役割を有するかもしれない。
【0030】
本発明の放射線不透過性ポリマー物品を形成するためには、多数の公知の製造法を有利に使用することができる。たとえば、本発明の放射線不透過性ポリマー混合物を、まず押出し機中で溶融させ、次いで、ピストンによって溶融形態で射出成形機の型に押し込むことができる。図2はそのような射出成形機20を示す。図2の態様では、放射線不透過性ポリマー混合物24がホッパ26に投入されている。そして、このホッパ26が放射線不透過性ポリマー材料24を押出し機30に送り、この押出し機が、押出しヒータ32の使用により、ポリマー混合物24をパン生地様の稠度まで溶融させる。押出しスクリュー34が溶融ポリマー混合物を型40に向けて移動させる。溶融ポリマー混合物は、押出し機30を離れると同時に、加圧下、押出しノズル36を通って型40の中に射出される。ポリマー混合物が型40の中で冷めると、それを完成形態で型40から取り出すことができる。射出成形装置および方法のさらなる例が、開示内容が参照により本明細書に組み入れられるWalterの米国特許第6,572,801号B1に記載されている。
【0031】
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂およびエラストマーをすべて射出成形することができる。型40への多数の入口(図示せず)を使用することにより、同時射出成形法が、異なる材料、色および/または形体を有する部品の成形を可能にする。そのうえ、射出成形品の形状、厚さ、重量範囲、許容差、表面粗さおよび経済的なバッチサイズに依存して他のタイプの成形技術を使用することができる。これら他のタイプの成形技術としては、大きな中空の密閉または半密閉構造のための回転成形法、吹込み成形法、発泡成形法、圧縮成形法、樹脂トランスファー成形法、ダイカスト法、砂型鋳造法、インベストメント鋳造法、ポリマー鋳造法、付形物圧延法、型鍛造法、押出し法、プレス成形法、ロール成形法、スピニング法、熱成形法、レイアップ法、粉末法、レーザ原型作成法および付着法があるが、これらに限定されない。
【0032】
本発明の放射線不透過性ポリマー物品を形成するためには、他にも多くの公知のプラスチック成形技術を使用することができる。たとえば、同じく本発明のポリマー混合物を再び押出し機のホッパに入れ、加熱し、この場合、溶融形態で薄膜としてコンベヤベルトに付着させることができる。そして、薄膜に減圧を加えて、溶融膜を金型キャビティと密接させるように引き付けて、薄膜をその所望の形状に成形する。このような真空成形技術は、開示内容が参照により本明細書に組み入れられるGilbertの米国特許第6,319,456 B1号でさらに詳細に記載されている。または、薄膜を真空型に引き込む代わりに、薄膜シートを単に所望の平面形状に切断することもできる。
【0033】
さらなる代替として、スーパーヒーローのような物品は、予備成形したのち、薄い放射線不透過性層の被着によって放射線不透過性にすることもできる。そのような場合、軽量の放射線不透過性材料を接着剤、たとえばガム接着剤または液状ポリマーと混合すると、有利にも、放射線不透過性層を形成することができる。そして、放射線不透過性の接着性混合物を、物品の外面に吹き付けることによるか、または物品を放射線不透過性の接着性混合物の溶液に浸漬することによるいずれかで、予備成形物品に被着させることができる。
【0034】
図2に示す射出成形法で使用される型は、たとえば、図1に示すスーパーヒーロー模型10の形状であるかもしれない。射出成形は、今日、景品に加えて、本発明の放射線不透過性ポリマー物品になることから利を得ることができる他多くのタイプのプラスチック物品を製造するために使用されている。たとえば、子供たちがジュースをこぼすことなく飲むことができるよう、プラスチックのストローが子供用ジュースのカートンに付いていることが多い。同様に、プラスチックの食器類、たとえばスプーンやフォークが、プラスチック容器に埋め込まれた状態で1食分の食品に付いていることもある。ストローまたは他の食器類が食品容器から欠けているならば、ユーザは、その製品を捨てなければならないか、容器から手で食べようとして、それにより、それに伴う汚れをどうにかしなければならないかのいずれかである。この例のストローまたは他の食器類が本発明の放射線不透過性ポリマーでできているならば、放射線検査装置を使用して、アセンブリラインを離れるすべての容器が付属の放射線不透過性ストローまたは他の食器類を有するということを確認することができる。
【0035】
この例のストローまたは他の食器類はユーザの口に触れるため、ポリマー混合物のためには、鉛のような毒性のある材料ではなく、非毒性の放射線不透過性材料、たとえば硫酸バリウム、ヨウ素、ビスマスまたはそれらもしくはそれらの化合物の組み合わせを選択することが重要であろう。適当な放射線不透過性材料を選択する際に考慮すべきさらなる要因は、材料が提供する放射線減衰の程度である。たとえば、ストローおよびジュース箱の例では、厚紙のジュース箱は放射線を自由に透過させる。そのため、ストローと箱との間で十分な放射線コントラストを生じさせるのに、強い減衰性を有する放射線不透過性化合物は要らない。より具体的には、ストローおよびジュース箱の例では、比較的弱い減衰性を有する放射線不透過性化合物、たとえばヨウ素化合物を使用することができ、強めの減衰性を有する放射線不透過性化合物、たとえばビスマス化合物は、低めの濃度で使用することができる。
【0036】
他の包装産業もまた、本発明の原理から利を得るであろう。使い捨て医療用製品では、装置の大部分がプラスチックでできており、内容物が欠けているならば、装置全体が故障する可能性が高い。本発明の放射線不透過性プラスチックを使用すると、工場でのシール済み医療パッケージのX線検査によって医療装置のすべての内容物が存在することを保証することができる。同じく医療の分野では、本発明の原理を使用する放射線不透過性材料でカテーテルを製造することができ、それが、人体へのカテーテル挿入をX線機を使用して入念にモニタすることを可能にするであろう。カテーテル挿入をそのようにモニタすることにより、医師は、カテーテルが患者体内の正しい位置に達することを保証することができるであろう。
【0037】
さらなる用途として、銃、ナイフおよび爆発物が今やプラスチックで製造されており、それらは、空港で使用されているX線スキャン機によって検出することができない。このようなプラスチック製の銃、ナイフおよび/または爆発物がテロリストの手に渡ろうものならば、航空機乗務員および乗客を脅かすために悪用されるおそれがある。本発明の原理を使用すると、政府は、すべてのプラスチック製の銃、ナイフおよび爆発物が本発明の一つまたは複数の放射線不透過性材料を配合するよう義務づけて、空港で使用されるX線スキャン機によって容易に検出可能にすることができるであろう。空港で銃、ナイフおよび爆発物を検出する重要性を考えると、政府は、高い減衰性を有する放射線不透過性化合物、たとえばビスマス化合物をこれらの用途に使用するよう義務づけることを望む可能性が高い。
【0038】
次に図3を参照すると、本発明の放射線不透過性ポリマー物品10を検出するための放射線検出装置50および方法が示されている。図3に示す方法では、高速製造工程で、放射線不透過性ポリマー物品10を収容した箱または他の容器52がコンベヤベルト60に沿って移動する。この好ましい態様では、箱または他の容器52の中の放射線不透過性ポリマー物品10の存在または非存在を検出するための放射線を生成するためにX線管70が使用されている。X線管70は、制御信号を高電圧発生装置74に送信するX線制御装置72によって制御される。高電圧発生装置74は、X線管70のアノードとカソードとの間に高電圧を印加してX線76を発生させる。スリット79のある鉛板78がX線管70と箱または他の容器52との間に配置されている。この鉛板79は、X線を検査される箱または他の容器52に集束させ、外部X線が製造作業員に害を及ぼすことを防ぐように働く。
【0039】
X線は、検査される箱または他の容器52を透過したのち、X線検出器80によって検出される。X線検出器80は、シンチレータおよび一つまたは複数のMOSイメージセンサを含むことができる。このような配設では、入射X線はシンチレータによって可視光に変換され、その可視光がMOSイメージセンサによって検出される。MOSイメージセンサは、他方、検出された入射X線の量に対応する特性を有する検出信号82を出力する。
【0040】
X線検出器80から受信された検出信号82を解析するためにデータプロセッサ84が使用されている。箱52そのものはX線を均一に透過させるため、不連続部のない検出信号が、放射線不透過性ポリマー物品10が箱52から欠けているということを示すであろう。対照的に、放射線不透過性ポリマー物品10は放射線の一部を遮断するため、鋭い不連続部のある検出信号は、通常、箱の中の放射線不透過性ポリマー物品10の存在を示すであろう。
【0041】
放射線不透過性ポリマー物品10が実際に箱52の中にあるというさらなる確認は、X線検出器80によって検出されたX線のレベルまたはパターンを計測することによって行うことができる。たとえば、放射線検出性物品10を有する箱52に関してX線検出器80によって検出された放射線の量を計測し、テンプレートとしてデータプロセッサ84のメモリにロードすることができる。すると、データプロセッサ84は、コンベヤ60上の後続の各箱52に関するレベルを記憶されたテンプレート値と比較し、二つの値が所定の許容差内で合致するならば、箱52は実際に放射線不透過性ポリマー物品10を含むとデータプロセッサ84は、結論づけることができる。対照的に、データプロセッサ84は、箱52が放射線不透過性ポリマー物品10を欠いていると結論づけるならば、アラーム86に信号を送って、担当者に対し、欠品のある箱12を警告することができる。または、データプロセッサ84は、オペレーションユニット88に指示して、アセンブリラインを停止させたり、または欠品のある箱をアセンブリラインからはじき出させたりいずれかをすることもできる。
【0042】
より高精度の検出のために、X線検出器80は、小さな画定区域におけるX線の透過をそれぞれが検出する検出画素のパターンを有することもできる。テンプレートを確立するためには、放射線不透過性ポリマー物品10が入っている箱52にX線を照射し、そのX線を画素のパターンによって検出する。そして、画素ごとに検出されたX線のレベルを将来の検査のためのテンプレートとしてデータプロセッサ84のメモリに記憶する。すると、データプロセッサ84は、画素ごとに、製造工程で検査された箱52ごとに検出された放射線のレベルを記憶されたテンプレートと比較して、まず、検査された箱52が放射線不透過性ポリマー物品10を含むかどうかを所定の許容差内で判定する。そして、詳細な検出画素から受信されたデータを使用して放射線不透過性ポリマー物品の形状(たとえば外側輪郭)を決定することができる。そのうえ、検出画素の使用はまた、放射線不透過性ポリマー物品10中に亀裂、切れ目または他の欠陥があるかどうかの解析を可能にする。物品中の亀裂または切れ目の存在を検出するための放射線検査装置における画素データの使用は、開示内容が参照により本明細書に組み入れられるSawadaの米国特許第6,574,303 B2号でさらに詳細に記載されている。
【0043】
図3に示す放射線検査装置50は、箱の中の所望の物体の存在および属性を検出することに加えて、それと同時またはそれに代えて、望まれない汚染物、たとえば石、泥または金属くずを検出することもできる。そのような汚染物質は、箱および放射線透過性ポリマー物品の両方とは異なるふうに放射線を減衰させる可能性が高いため、データプロセッサ84は、検出された放射線減衰における疑わしい差を使用して、アラーム86を鳴らしたり、またはオペレーションユニット88を使用してコンベヤ60を停止させたりすることのいずれかができる。
【0044】
ここまで、放射線不透過性の検出性物品を形成する方法および組成物を重点的に説明した。それにもかかわらず、同じ原理の多くを、紫外線、電磁、高周波、中性子、X線およびγ線を含む放射線ならびに他の危険(たとえば火炎、化学的、生物学的および投射物)の有害作用に対して防護する物品の製造に適用することができる。たとえば、開示内容が参照により本明細書に組み入れられる本発明者らの同時係属中の先出願第10/620,954号では、本発明の射線不透過性ポリマー化合物は、放射線および他の危険に対して防護する衣類を作成するために使用されている。同様に、先の例において軽量の放射線防護材料の接着性混合物を予備成形物体に吹付け、接着またはコートしてそれを放射線検出性にすることができるのと同じ方法で、その同じタイプの混合物を衣類に吹付け、接着またはコートしてそれを放射線防護性にすることができる。
【0045】
図4は、本発明の放射線防護ポリマー混合物から構築された全身スーツ100を示す。完全な表面防護を提供するため、全身スーツ100は、人体のあらゆる部分を覆う1ピースジャンプスーツであることが好ましい。弾性バンド112、114を手および足の区域の周囲に使用してタイトなフィットを保証しやすくすることができる。または、グローブ116、ブーツ118およびフード120が別々のピースであり、これらがジャンプスーツの残り部分と重なって皮膚表面の露出を残さないようにすることもできる。全身スーツ110はまた、ユーザが全身スーツ110に入りやすくするためにマジックテープ式ファスナまたはジッパーフラップ119を含むことができる。好ましくは、透明なアイシールド124が全身スーツ110に含まれて顔の防護を提供する。利便性のため、アイシールド124は、ユーザがシールド124を上下に旋回させることができるよう、たとえばコーナーリベット126によって蝶着されていることもできる。または、眼の防護は、独立した装置、たとえば安全めがね(図示せず)であってもよい。放射線防護を提供するため、アイシールド124は、好ましくは、鉛または放射線を減衰させることができる他の放射線不透過性化合物を配合したものである。
【0046】
図6を参照すると、物品に形成されると、放射線によって与えられる危険に加え、毒性化学物質、感染性生物学的作用因子、火炎および金属投射物の危険を含む、生命を脅かす数多くの危険に対して防護を提供することができる複合材料断面200が示されている。この多重危険防護複合材料の一部として、放射線防護ポリマー混合物206を間に挟んで有する二つの布層204、208が設けられることができる。これら3層204、206、208に、種々の危険に対して防護するためのさらなる層210、220、230を加えることができる。たとえば、無孔質の化学防護層210および/または220を三つの放射線防護層204、206、208に加えることができる。この無孔質化学層は、三つの放射線防護層204、206、208に積層されたポリマーフィルム210であることもできるし、および/または三つの放射線防護層に縫付けまたは他のやり方で接着された化学防護布220のいずれかであることもできる。
【0047】
この化学防護層210、220は、公知の化学防護ポリマーおよび/または布で構築されることができる。たとえば、一つの公知のクラスの化学防護布は、不織布、たとえばDuPontによって商品名Tyvek(登録商標)の下で販売されているフラッシュスパンポリエチレン布、ポリプロピレン布、たとえばKimberly-ClarkのKleenguard(商標)、KapplerのProshield 1(商標)、LakelandのSafeguard 76(商標)、ポリエチレンとポリプロピレンとの混紡布ならびにセルロース系の布、たとえばDuPontのSontara(商標)およびKimberly ClarkのPrevail(商標)である。同様なタイプの不織布は、プラスチックフィルムのクラスを不織布の片面または両面に積層したもの、たとえばDuPontのTyChem(登録商標)シリーズの布、Kimberly ClarkのHazardGard I, II(商標)布、KapplerのCPF(商標)およびResponderシリーズの布ならびにILC DoverのReady 1布(商標)であろう。これらの不織布は典型的には、縫合わせまたは他のやり方で布どうし付着させることによって三つの放射線防護層204、206、208と組み合わされる。
【0048】
化学防護はまた、ポリ塩化ビニルおよび/または塩素化ポリエチレンフィルム、たとえばILC DoverのChemturion(商標)を使用することによって付与することもできる。これらのフィルムは、三つの放射線防護層204、206、208に積層または押出しすることもできる。
【0049】
もう一つのクラスの化学防護層は、顕微鏡的細孔を有するポリマーフィルムを布に積層したもの、たとえばGore-tax(登録商標)またはポリプロピレン系布、たとえばDuPontのNexGen(商標)、Kimberly ClarkのKleenguard Ultra(商標)、LakelandのMicro-Max(商標)およびKapplerのProshield 2(商標)である。化学防護はさらに、吸収層を組み込んだ材料、たとえばBlucher GmbH and Lanxによって販売されている炭素/布組み合わせによって提供することができる。もう一つのクラスの化学防護布は、片面または両面をゴムまたはプラスチックでコートされた織布である。これらのコートされた化学防護布としては、ポリ塩化ビニル/ナイロン複合材、ポリウレタン/ナイロン複合材、ネオプレン/アラミド複合材、ブチル/ナイロン複合材、塩素化ポリエチレン/ナイロン複合材、ポリテトラフルオロエチレン(すなわちTeflon(登録商標))/ガラス繊維複合材およびクロロブチル/アラミド複合材がある。
【0050】
化学防護層210、220は、好ましくは無孔質であるため、感染性生物学的作用因子に対する防護をも提供する。
【0051】
図6に示す布は、一つまたは複数の化学防護層210、220を三つの放射線防護層204、206、208に加えるだけで幅広い程度の防護を提供することができるが、それにもかかわらず、さらなる危険に対して防護する、または熱放散を促進するため、さらなる層または代替の層210、220、230を選択することもできる。たとえば、化学防護層210がプラスチック積層体である場合、図6の層220は、もう一つの織布または不織布層であってもよく、層230は、火炎防護層、たとえばDuPont製のNomex(登録商標)耐火性アラミド布から製造された層であってもよい。他のタイプの耐火性材料としては、Nomex(登録商標)アラミド布とKevlar(登録商標)アラミド布との組み合わせ、たとえばSouthern Millsによって販売されているもの、メラミン樹脂とアラミド繊維との組み合わせ、ポリテトラフルオロエチレン(すなわちTeflon(登録商標))とアラミド繊維との組み合わせ、レーヨンとアラミド繊維との組み合わせ、ポリベンズイミダゾールとアラミド繊維との組み合わせ、ポリフェニレンベンゾビソキサゾールとアラミド繊維との組み合わせ、ポリイミドとアラミド繊維との組み合わせおよびMylar(商標)プラスチックフィルムがある。そのうえ、旧来の難燃性添加物としては、アルミニウム三水和物(ATH)、水酸化マグネシウムまたは有機臭素化もしくは塩素化化合物がある。または、層230は、銃弾を貫通させないアラミドおよび/またはポリエチレン繊維から製造された防弾または防榴散弾層であることもできる。
【0052】
または、熱放散材料の層230を形成することが賢明であるかもしれない。このような熱放散層を形成する一つの方法は、放射線防護層206を形成するために放射線防護材料をポリマーと混合するのと同じ方法で、高い熱伝導率の化合物、たとえば銀、銅、金、アルミニウム、ベリリウム、カルシウム、タングステン、マグネシウム、亜鉛、鉄、ニッケル、モリブデン、炭素および/またはスズをポリマーと混合する方法である。
【0053】
図6には6層型危険防護布200が示されているが、当業者は、6層よりも多いまたは少ない層を用いて多重危険防護布を作成することができることを容易に認識するであろう。たとえば、図6に示す織布または不織布層204、208は省くこともできる。また、種々の危険防護または熱放散層を一つの層に組み合わせることも可能である。たとえば、本発明の放射線防護層206は、それ自体で優れた熱放散性を提供することがわかっているが、強力な熱導体、たとえば銀、銅および/またはアルミニウムを放射線防護層206の放射線不透過性材料の混合物に加えることにより、これらの熱放散性を高めることができる。
【0054】
次に図7を参照すると、さらなる危険防護性を有する防弾ベスト300が示されている。防弾ベスト300の大部分は、開示内容が参照により本明細書に組み入れられるBorgeseの米国特許第4,989,266号に示されているものに類似した従来の設計である。防弾性は、主として、ポリエチレン繊維314および/またはアラミド繊維316の層によって提供される。防弾ベストに使用されている市販のポリエチレン布としては、HoneywellのSpectra(商標)シリーズ超高分子量ポリエチレン布およびガラス繊維をさらに含むHoneywellのSpectraguard(商標)超高分子量ポリエチレン布がある。防弾ベストで使用される市販のアラミド布としては、DuPontのKevlar(登録商標)シリーズアラミド布およびAkzoのTwaron(商標)シリーズアラミド布がある。この好ましい例では、防弾ベストは、一つまたは複数のアラミド繊維316をポリエチレン繊維314の層の間に挟んだものを有している。銃弾および榴散弾に対するより高レベルの防護を得るためには、典型的には、より多数のアラミド繊維314および/またはポリエチレン繊維316の層を作成する。防弾材料のプライを互いに90°の向きで敷設し、それらを熱可塑性樹脂の層の間に封入することにより、さらなる強さを生み出すことができる。セラミックスおよびプレートを加えるとさらに高レベルの防護を提供することができる。図7に示す防弾ベスト300は、好ましくは、布インサートケーシング312によって一体に保持される。
【0055】
図7に示す防弾ベスト300にさらなる危険防護を加えるために、さらなる層320を挿入することができる。このさらなる層320は、一つの態様では、放射線防護層であることができる。そのような放射線防護層を防弾ベストに加えることにより、防弾ベストは、銃弾および榴散弾だけでなく放射線に対しても防護を達成するであろう。同様に、図6に関連して記載したタイプの多重層材料を使用することにより、火炎、化学的および/または生物学的防護を付与することもできるであろう。放射線防護だけの場合、通常、放射線防護層の優れた熱放散性を利用するために、追加の層320をユーザの体の近くに位置させることが望まれるであろう。対照的に、火炎、化学的および/または生物学的防護を付与する布の場合、典型的には、そのような汚染物質が防弾ベスト300に浸透することを防ぐために、その層を防弾ベストの外側の近くに加えることが望まれるであろう。
【0056】
次に図8を参照すると、下着として使用することができるマルチピース防護服400が示されている。特定の用途では、防護服を装用しているという事実を隠すに超したことはない。たとえば、警察官または他の第一対応者は、放射線および他の危険に対して防護されながらもそのような危険が存在するかもしれないことを他の人たちに警告しないことを望むかもしれない。同様に、空港でX線検査機を操作する担当者は、一日中絶え間ない放射線への被曝に対して防護されながらも航空機の乗客が同じX線検査機との偶発的な接触に関してパニックを起こすことを望まないかもしれない。
【0057】
図8の態様では、このマルチピース防護服は、ベスト部410、2個の肩フラップ420、後方股間フラップ430、前方股間フラップ440および2個の大腿部フラップ450を含む。ベスト部410は、ヘッドホール412にユーザの頭を通して装着して、正面ベストパネル414がユーザの胸部を覆い、後面ベストパネル415がユーザの背中を覆うようにする。ぴったりと装着させるためには、ストラップ416を使用して正面ベストパネル414を後面ベストパネル415に取り付ける。ストラップ416は、スナップボタン、VELCRO(商標)ファスナ、タイストラップ、バックルなどを含む多数の周知の方法で締め付けることができる。後方股間フラップ430および前方股間フラップ440は、ユーザの腰回りおよび股間区域を防護するために使用される。後方股間フラップ430がユーザの臀部に装着され、前方股間フラップ440はユーザの股間に装着される。後方股間フラップ430および前方股間フラップ440をベスト部410の下部に取り付けてベストから吊り下げることができるよう、上ストラップ434、444が設けられている。ぴったりと装着させるため、下ストラップ432、442が両方の股間フラップ430、440に設けられて、それらを股の下に通して引くと対応する股間フラップ430、440からの下ストラップ432、442に接続することができる。ユーザの大腿部を防護するため、2本の大腿部フラップ450が設けられている。これらの大腿部フラップ450は、ユーザの左右の大腿部に巻き付くことができるようカーブしている。これらの大腿部フラップそれぞれに4本のストラップ452、454が設けられている。大腿部フラップ下ストラップ452はユーザの上脚部に巻き付き、対応する大腿部フラップ下ストラップ452に固着する。対照的に、大腿部フラップ上ストラップ454は、前方股間フラップ440の下部に固着させることもできるし、または大腿部フラップ下ストラップ452と同様に、ユーザの上脚部に巻き付き、対応する大腿部フラップ上ストラップ454に固着させるともできるかのいずれかである。ユーザの肩は肩フラップ420によって防護される。これらの肩フラップ420は、ベスト部410の上部418に取り付けられた状態でユーザの左右の肩を覆うために使用される。ベスト部410の脇を開放したまま残し、肩フラップ420アタッチメントを使用することにより、本発明のマルチピース防護服400は、生命維持に不可欠な器官の防護を提供しながらも自由な腕の動きを考慮している。同様に、ベスト部410を股間フラップ430、440および大腿部フラップ450から切り離すことにより、ユーザは、同じく生命維持に不可欠な器官の防護を得ながらも脚および胴部を自由に動かすことができる。
【0058】
マルチピース防護服400は、先に記載したものと同じタイプの放射線および危険防護材料から構築されている。放射線防護だけの場合には、同時係属出願第10/620,954号に記載されているようにして放射線防護ポリマーフィルムを布に被着させたのち、図8に示すような形状に裁断することができる。または、図6に示すタイプの多層材料または図7に示すタイプの多層複合材を図8に示す形状に裁断して、放射線、化学的、生物学的、火炎および投射物の危険を含む多数の危険に対する防護を提供することもできる。これらの同じ原理は、下着の他にも、危険防護ブランケット、「汚い」または核爆弾抑制ブランケット、ジャケット、ズボン、シャツ、ドレープ、X線エプロン、ベスト、帽子、グローブおよび類似した防護物品の製造に適用することもできる。これらの同じ原理はまた、乗り物、壁、船舶、航空機、宇宙航空機、住宅の基礎および容器のライナーまたはコーティングの製造に適用して、広範囲の電磁および電離放射線を遮断することもできる。
【0059】
図9は、マルチピース防護服400の部品を構築するための代替態様を示す。この態様では、後方股間フラップ530は、ポケットの形態の標準的な布から構築されている。そして、防護層は、ポケットの上部に嵌め込むことができるインサート540の形態に作られている。インサート540が挿入後にポケット530から抜け落ちることを防ぐため、布ポケット530の下部にストラップ536に縫い込まれている。このポケット530およびインサート540の手法は、予想される危険に応じて異なるタイプのインサートを使用することを可能にする。たとえば、ユーザが放射線のみの危険に遭遇する可能性が高いならば、放射線の危険のみに対して防護するインサートを使用することができる。他方、投射物、化学的または生物学的危険が同じく考えるならば、それらのさらなる危険に対して防護を提供するであろう、より分厚いインサートを使用することができる。このタイプのポケット530およびインサート540はまた、たとえば脊柱のためのさらなる防護を提供するため、またはベルトもしくはランバーサポートブレースを受けるためのベルトループとして、ベスト部410の背面(図8を参照)にポケットを形成するために使用することもできる。
【0060】
さらには、ナノテクノロジーにおける近年の進歩を使用して、より良好な放射線検出性防護物品を作成することができる。特定の態様では、これらの放射線減衰性物品は、他のタイプの危険、たとえば火炎、化学的、生物学的、投射物の危険および広範囲の電磁放射線エネルギーに対する防護を提供することもできる。
【0061】
ナノ材料とは、少なくとも一つの寸法に1〜100ナノメートルの範囲の構造形体(たとえば粒度または粒径)を有する材料である。これらの材料は、その小さなサイズおよび高い比表面積対体積比のおかげで、特有の機械的、電気的、電子的および光学的性質を示す。加えて、ナノ材料は、従来のミクロンサイズの材料とは違い、大きな応力集中を発生させる可能性が低く、それが他方でその降伏強さ、引張り強さおよびヤング率を高める。
【0062】
本発明では、ナノ材料は少なくとも三つの異なる方法で使用される。一つの態様では、ナノ材料は、放射線防護を高めるためか、またはさらなる防護、たとえば火炎、化学的、生物学的および/または投射物防護を提供するためのいずれかのため、先に開示した放射線防護ポリマー材料に加えられる。第二の態様では、放射線不透過性材料(たとえばバリウム、ビスマス、タングステンなど)または他の危険防護材料から形成されたナノ粒子が、同じまたは同種の防護材料のより嵩高い形態の代わりに、ポリマー混合物中で使用される。放射線不透過性ナノ材料の使用は、ポリマー混合物中の放射線不透過性材料のより均一な分散を可能にし、それに伴い、ポリマーが脆弱化する前に放射線不透過性材料のより高濃度の濃縮が可能になる。第三の態様では、ナノ材料は、別個のナノ材料層として形成される。このような別個のナノ材料層は、製品に加えることもできるし、または独立した製品として形成することもできるのいずれかである。
【0063】
本発明で使用されるナノ材料としては、ナノ粒子、ナノチューブおよびナノプレートレットがある。
【0064】
本発明で使用される第一のタイプのナノ材料はナノ粒子である。適当なナノ粒子としては、従来の放射線不透過性材料のナノ粉末、ナノセラミックス、ナノシェル、ナノ球体ならびに半球体およびパラボラの形状の他のナノ粒子がある。嵩高い放射線不透過性材料に代えて放射線不透過性ナノ粉末を用いることにより、またはナノサイズの放射線不透過性粉末とミクロンサイズの放射線不透過性粉末の両方との混合物を配合することにより、ポリマー混合物中の放射線不透過性材料の相対的割合を増すことができる。より大きな割合の放射線不透過性ナノ粉末をポリマー混合物に配合することにより、得られる生成物は、高められた電磁放射線減衰能力を有することができる。
【0065】
放射線不透過性材料のナノ粉末は市販されており、標準の配合技術を使用してポリマーに配合することができる。使用することができる放射線不透過性ナノ粉末のタイプとしては:タングステン、バリウム、ホウ素、鉛、スズ、ビスマス、劣化ウラン、セリウム、イットリウム、タンタル、ランタン、ネオジムおよびそれらの化合物がある。タングステン(APS:100nm)およびタンタル(APS:100nm)ナノ粉末は、たとえば、Argonide Nanomaterial Technologies、Sanford、Floridaから購入することができる。酸化セリウム、酸化イットリウムまたは酸化ネオジムの希土類放射線不透過性ナノ材料は、NanoProducts Corporation, Longmont, COで購入することができる。
【0066】
そのうえ、中空のナノ球体、ナノ半球体、ナノパラボラおよびナノシェルの形に形成されたナノ粒子を本発明で使用して、広範囲の電磁放射線の放射線不透過化および減衰を達成することもできる。これらの付形ナノ粒子は、鏡が光波を偏向、反射および捕捉するのと同様なやり方で放射線を偏向、反射および捕捉すると考えられている。これらの付形ナノ粒子は、粉末化放射線不透過性ナノ粒子とは異なるふうに放射線を減衰させると考えられるため、放射線不透過性材料から形成される必要はなく、代わりに、金属/半導体ハイブリッド粒子のような材料から形成されることもできる。たとえば、ハイブリッドCdSコートされた金ナノ粒子は、レッドシフトしたプラズモン共鳴吸収を示すことがわかっている。金属ナノ粒子のこの共鳴吸収バンドは粒度の関数である。粒度が低下するにつれ、最大吸収強さの理論波長に近づくことができる。これらの金属ナノ球体、半球体およびパラボラ構造を特定の形状および曲率で作成することにより、光学様性質を、電波、紫外線ならびに電離放射線、たとえばX線およびγ線を含む電磁スペクトルの小さめの波長に対して減衰させるために使用することができる。これらのナノ粒子は、電磁放射線を吸収または散乱させる従来の重金属とは異なり、電磁放射線を効果的に方向転換、シフトまたは反射して、その後、それをより低いエネルギーまたは熱に変換する。
【0067】
図5Aを参照すると、ナノ半球体の凹状内面134による放射線132の偏向が示されている。図5Bでは、放射線142は、ナノ球体140の凹状外面144を透過するが、内反射され、それによって同じナノ球体140の凹状内面146によって捕捉される。
【0068】
当技術分野で公知であるように、パラボラ形または半球形の共振アンテナは非常に鋭い指向特性を有する。同様に、ナノレベルの放射線に関して類似した共振特性を生じさせる場合、好ましくは、空間中のナノ材料を指向させて、特定方向(たとえば衣類の外側)から来る放射線を遮断する層を作成することが望まれるであろう。それにもかかわらず、ランダムに配置された粒子のコーティングを何百層にも被着させることにより、全方向からの遮蔽を効果的に達成することができる。より良い性能のためには、ナノ材料のそのようなコーティングは、最小限の空隙しか有しないべきである。そのようなものとして、ナノ材料とバインダとの混合物を作る場合、ナノ材料が、コーティングの大部分、たとえば70重量%超、より好ましくは85重量%〜95重量%であることが好ましい。
【0069】
また、セラミックナノ粒子を放射線不透過性ポリマー混合物に加えて、機械的強度、たとえば引張り強さおよびクリープ抵抗を高めるだけでなく、耐熱性、対弾道性、電磁波減衰および中性子放出減衰を高めることもできる。有利には、アルミニウム、ジルコニウム、シリコン、チタン、ムライトおよびスピネルの酸化物ならびに炭化物/窒化物、たとえば炭化ホウ素、炭化シリコン、炭化チタン、炭化タングステン、窒化ホウ素、窒化シリコン、二ホウ化チタン、二ホウ化ジルコニウムおよび他の金属間化合物、たとえばニッケルアルミナイド、チタンアルミナイドおよび二ケイ酸モリブデンをはじめとし、これらに限定されないが、セラミックナノ粒子をポリマー混合物に配合して、放射線減衰を提供することもできる。これらのセラミックナノ材料は、化学蒸着、パルスレーザ付着、従来の粉末処理(すなわち、ゾル・ゲル処理)、プラズマ合成、熱分解、炭素熱還元、熱水法、エマルション法、燃焼合成、NIST法、沈殿法、電気アークおよびボールミリングを含む多数の方法によって調製することができる。また、金属の第二相粒子をセラミックスに加えて機械的、熱的および電磁波減衰性質を高めることもできる。タングステン、モリブデン、ニッケル、銅、コバルトおよび鉄のような金属を、従来の冶金技術および溶液化学法、たとえばゾル・ゲルならびに共沈法を使用してセラミックスに加えることができる。
【0070】
または、ナノ粒子は、いくつかのさらなる技術によって合成することもできる。一つのそのような技術が、内側の除去可能なテンプレート粒子、たとえばシリカまたはポリマービーズを金属材料で多段コロイドまたは気相アセンブリにコートし、その後、除去して空の金属シェルを作成することができるコロイドテンプレート法である。コロイド自己集合によって粒子テンプレート上に均一なコーティングを作成することは、自己集合有機分子種の概念に基づく。接合される分子の二端は、テンプレートおよびコーティングを作るために使用されるクラスタとの特異的相互作用のために標的化することができる特異的官能基(すなわち、チオール、アミン、カルボキシル基)を有する。テンプレート周囲の分子の均一で稠密なパッキングが、多孔質ではあるが空間充填されたシェルをテンプレートの周囲に形成するクラスタの高密パッキングにつながる。SiO2/Au、Fe3O4/Au、NiO/Co、銀、白金、タンタル、タングステン、アルミニウムおよび銅またはコートされた半導体粒子、たとえばPbS/CdSを含む非相互作用性の金属コートされた磁性粒子がそのような複合粒子構造の例である。または、直径数ナノメートルであるPbSコートされたCdSナノ複合粒子を逆マイクロエマルション中でのイオン置換によって合成することができる。これらのナノ複合粒子における屈折非直線性は、光学シュタルク効果ならびに強い界面間およびナノ粒子間相互作用に起因することができる。
【0071】
中空のナノ球体は、ナノスケールのカーケンドール効果を利用することによって合成することもできる。コバルトのようなナノ結晶が硫黄に暴露されると、拡散に差が生じて、コバルト原子が硫黄原子よりも速く外側に移動して、それによって硫化コバルトの中空ナノ球体を作成する。また、この技術によって酸化コバルトおよびセレン化コバルトを合成することもできる。同様に、この技術を使用して他の金属、たとえば銀、金、白金、アルミニウム、銅およびタングステンを合成することが可能であるかもしれない。
【0072】
ナノ粒子はまた、現場粒子形成/現場重合によって作ることもできる。この方法では、ポリマーの存在で金属粒子の安定な懸濁液を調製する。ひとたび溶液化すると、複合材を注型するか、同じまたは異なるポリマータイプのさらなるモノマーを加えるかしてナノ複合材を形成することができる。反応は防護ポリマーの存在で起こり、それが得られるナノ複合材のサイズを制限する。粒度はまた、金属前駆体の選択および金属/ポリマー相互作用によって制御される。たとえば、PdCl2を(NH4)2PdCl4と比較すると、前者は、ハロゲンで橋渡しされた複合体を形成する傾向を示し、したがって、ナノ粒子の凝集塊を形成する傾向を示すが、後者はそのような傾向を示さない。金属前駆体とポリマーとの相互作用はまた、粒度を制御するのにも重要である。ポリマーが前駆体とでより強い相互作用を有するならば、金属前駆体は相分離を阻止されるため、粒度は低下する傾向にある。また、この技術を使用すると、両親媒性ブロックポリマーまたは架橋ゲル化マトリックスから形成されるミセルの使用によってナノ粒子を形成することもできる。ミセルを形成するためのコポリマーを使用しながら、そのミセルに浸透することができるか、またはミセルコロナ中で安定であるいずれかの金属塩を導入する。還元剤を加えると、ミセル内またはコロナ中に金属粒子が形成していくつかのモフォロジーを生じさせる。
【0073】
一般に、ナノ粒子サイズは、使用される合成技術に応じていくつかの方法で制御される。たとえば、気相では、合成粒度は、システムパラメータ、たとえば温度、ガス流量およびシステム圧を変化させることによって制御される。他の方法、たとえばゾル・ゲル技術では、粒度は、溶液の濃度および温度を変化させることによって変えることができる。機械的磨砕では、粒度はむしろ磨砕媒の速度および磨砕時間に依存する。
【0074】
中空のナノ結晶は、中空金属、金属酸化物/硫化物ナノ結晶の合成を専門に行うBerkeley CaliforniaのBerkeley National LaboratoryのMolecular Foundryから購入することができる。
【0075】
本発明で使用されるナノ材料の第二のタイプはナノチューブである。ナノチューブは典型的には、炭素から形成される。ポリマー混合物に添加されると、ナノチューブは、混合物の弾性率、耐薬品性、耐燃性、強度および電気伝導率のような機械的性質を高めるもう一つの方法を表す。カーボンナノチューブは、ナノチューブにおける電子伝導過程が半径方向に閉じ込められるため、特有の電気的性質を有し、その結果、電磁放射線を減衰させるためにも使用することができる。これらのナノチューブを製造する方法としては、触媒および炭化水素前駆体を使用してナノチューブを成長させる化学蒸着技術がある。ナノチューブはまた、電気アーク、レーザーアブレーション、化学蒸着および高圧一酸化炭素転換(HiPCO)によって作ることもできる。HiPCOは、鉄カルボニル触媒蒸気の存在における一酸化炭素ガスの高圧不均化を使用して純度80%のナノチューブを多量に製造する。他のタイプのナノチューブとしては、六角形窒化ホウ素ナノチューブ、ジカルコゲニドでできたナノチューブ(すなわちMoS2、WS2)、酸化物のナノチューブ(すなわちV2O、MoO3)、金ナノチューブおよび有機ナノチューブがある。ナノチューブは、Tucson、ArizonaのMaterials and Electrochemical Research Corporationから購入することができる。
【0076】
ひとたび製造されると、ナノチューブは、本発明の放射線不透過性ポリマー混合物に配合される前に精製処理を受けるべきである。精製および加工の方法としては、予備ろ過、溶解、マイクロろ過、沈降およびクロマトグラフィーがある。そして、得られたナノチューブ生成物は、好ましくは、界面活性剤、たとえばドデシル硫酸ナトリウムとともにポリマー混合物中に分散させる。
【0077】
放射線不透過性ポリマー混合物に加えることができるナノ材料の第三のタイプはナノプレートレット(すなわち、プレート様ナノ充填材)である。ナノプレートレットは、典型的には高いアスペクト比および約1nm程度の厚さを有する層状材料である。
【0078】
ナノプレートレットは、ポリマー混合物に多量に加えられると、混合物の化学的、弾道、火炎、電磁放射線および中性子抵抗を高めるであろう。ナノプレートレットとしては、ナノ粘土、たとえばモンモリロナイト粘土がある。モンモリロナイト粘土はスメクタイト族に属し、スメクタイト族はまた、ベントナイト、ヘクトライト、パイロフィライト、滑石、バーミュキライト、ソーコナイト、サポナイトおよびノントロナイトのような粘土、層状のケイ酸(すなわちカネマイトおよびマカタイト)ならびに層状複水酸化物を含む。また、他の族の粘土、たとえばカオリナイトおよび緑泥石ならびに他のフィロケイ酸塩、たとえば雲母を使用することもできる。また、遷移金属ジカルコゲニド(すなわち、リチウムとでインターカレートしたタンタルジカルコゲニド)をポリマー混合物中に分散させて、ナノ粘土様性質を有する混合物を提供するだけでなく(その類似した層状構造のおかげで)、電磁放射線減衰を高めることもできる。
【0079】
スメクタイト粘土のような天然ナノ粘土は、層状性が高く結合が弱い物質である。各層が2枚のシリカ四面体シートおよびアルミナまたはマグネシアのいずれかのエッジ共有八面体シートからなる。ケイ酸塩層へのアルミナまたはマグネシウムによるアルミニウムの同形置換のせいで、各単位格子は負電荷を有する。天然のナノ粘土層は、電荷補償性カチオン、たとえばリチウム(Li+)、ナトリウム(Na+)、カリウム(K+)およびカルシウム(Ca+)の層によって一体に保持されている。これらの電荷補償性カチオンは、ナノ粘土をポリマー中に分散させるために要する豊富なインターカレーション化学および表面改質への経路を提供する。ヒドロタルサイトのような合成粘土は正電荷をプレートレットに運ぶ。これらの層状ナノ粘土が放射線不透過性ポリマー混合物内で有用になるためには、層どうしが分離し、混合物内に正しく分散するべきである。ケイ酸塩粘土のようなナノ粘土の場合、それらは本質的に親水性であるが、ポリマーは疎水性である傾向が強い。これらの粘土のインターカレーションおよび剥脱を得るためには、これらの粘土の通路または層を開放しなければならず、得られる粘土の極性がポリマーの極性と合致してポリマーが層間にインターカレートするようにしなければならない。これは、無機カチオンを有機カチオンで交換することによって実施される。より大きな有機カチオンは層を膨潤させ、粘土の疎水性を高める。すると、有機改質された粘土はいくつかのルートでポリマーとインターカレートすることができる。正電荷を有する粘土、たとえばヒドロタルサイトの場合、アニオン性界面活性剤を使用することができる。ポリマーの選択に依存して他のタイプの粘土改質を使用することができる。そのようなものとしては、イオン双極子間相互作用、シランカップリング剤の使用およびブロックポリマーの使用がある。イオン双極子間相互作用の一例は、小さな分子、たとえばドデシルピロリドンの粘土へのインターカレーションである。粘土エッジとポリマーとの望ましくない相互作用は、シランカップリング剤を使用してエッジを改質することによって解消することができる。または、コポリマーの使用によって、コポリマーの一方の成分が粘土とで相溶性になり、コポリマーの他方の成分がポリマーとで相溶性になる、粘土とポリマーとの相溶化を実施することもできる。
【0080】
少量(約2〜5重量%)のナノ粘土をポリマー混合物に配合することにより、有害化学物質に対するポリマー混合物の抵抗を実質的に改善することもできる。しかし、耐薬品性改善のレベルは、ポリマー混合物中のナノプレートレットの剥脱の程度、ナノ材料充填材の割合、そのアスペクト比およびプレートレットの並び方のような多くの要因に依存する。ポリマー混合物内にナノ粘土を配合することにより、混合物中の酸素透過が特に低下し、すると、それが、樹脂の酸化を減らし、ひいてはその難燃性を高めることによってポリマー分解を減らす。加えて、無機相は、ポリマー鎖が分解することを防ぐためのシンクとして働くことができる。
【0081】
本発明のポリマー混合物の難燃性を高めるためには、多くの場合、旧来の難燃性添加物、たとえばアルミナ三水和物(ATH)、水酸化マグネシウムまたは有機臭素化および塩素化化合物が加えられる。それにもかかわらず、許容しうるレベルの難燃性(たとえばケーブルまたはワイヤの場合)を達成するためには、通常、これらの難燃性添加物が非常に高いレベルで必要である。これらの高い添加物レベルが製造工程をより困難にし、ひいてはポリマー最終生成物を脆弱化する。
【0082】
本発明では、ポリマー混合物中にナノ材料を使用してこの難燃剤脆弱化問題を解消することができる。より具体的には、少ない重量%(たとえば2〜10%)のナノ粘土を旧来の嵩高い難燃性添加物、たとえばATHまたは水酸化マグネシウムとともに添加すると、ポリマー混合物中に同じまたは改善されたレベルの耐火性を達成するために必要な添加物添加量を大幅に減らすことができる。ポリマー混合物に加えることができる他のナノサイズ難燃性添加物は、ナノ/ミクロンサイズの酸化物、たとえば酸化アンチモン、モリブデン、チタン、ジルコニウムおよび亜鉛のナノ/ミクロンサイズの化合物である。また、炭化シリコン、シリコンニトレート(silicon nitrate)、窒化アルミニウム、シリコンナノチューブ、炭素ナノチューブ、窒化ホウ素ナノチューブを使用してポリマーの耐火性を高めてもよい。そのうえ、従来の耐火性添加物、たとえばATHまたは水酸化マグネシウムをナノサイズ範囲で加えて、ポリマー混合物中で耐火性をより効果的に達成することもできる。これらのナノ材料の使用により、得られるポリマー混合物は、より強く軽くかつ可撓性になるであろう。
【0083】
ポリマー組成物中のナノ材料の使用における主要な制限の一つが加工である。より具体的には、ナノ材料は凝集してその表面積を減らす傾向にあり、したがって、ポリマーマトリックス中に適切に分散および分布させないならば、得られるナノ複合材の所望の性質を達成することはできない。ナノ材料をポリマー中に効果的に分散させ、得られた混合物を標準の製造技術によって加工するためには、ナノ材料を表面改質するべきである。たとえば、ナノ粘土の場合、相溶化として知られる方法によって粘土表面を改質して、ナノ粘土がポリマー樹脂マトリックスに引き寄せられ、ひいては徹底的に分散するようにすることができる。もっとも一般的な二つの公知の相溶化法は、オニウムイオン改質およびイオン双極子間相互作用である。
【0084】
ひとたびナノ材料凝集問題が解消されると、ナノ材料をポリマー混合物中に分散させるには三つの一般的な方法がある。第一の方法は、ポリマーとナノ材料との、別個の相としてのまたは溶液中いずれかでの直接混合である。第二の方法は、ナノ材料の存在における現場重合であり、第三の方法は、ナノ材料の現場形成および現場重合を含む現場粒子加工である。
【0085】
たとえば耐薬品火炎性のナノ複合材を調製するためには、エチル酢酸ビニル(EVA)のようなポリマーを、ナノプレートレット、たとえばナノ粘土、ケイ酸または遷移金属ジカルコゲニドと直接混合することができる。このような混合物は、従来の難燃剤、たとえばATHおよび水酸化マグネシウムを用いて作ることもできるし、用いずに作ることもできる。そして、得られたポリマー混合物を二軸スクリュー押出し機で加工し、吹込み成形または射出成形を使用して所望の製品に成形することができる。二軸スクリュー押出し機を用いる配合は多量の剪断力を発生させ、それがポリマー混合物中のナノ材料を剥脱させるのに役立つ。ナノ粘土またはナノチューブの添加はポリマー混合物の粘性を増大させるであろう。したがって、使用されるポリマーおよび充填材(すなわち、ナノ粘土またはナノチューブ)とで相溶性である流動性添加物を加えることにより、混合物のレオロジーを綿密にモニタし、制御するべきである。
【0086】
また、本発明の防護製品を製造するためには、ナノ材料を、ポリマー基材を含むいくつかの異なる基材にコートすることもできる。ナノ複合材は、公知の技術、たとえば蒸発、スパッタリング(グロー放電/イオンおよびビーム/レーザ)、イオンめっき、化学蒸着(CVD)、プラズマ増強CVD、溶射、浸漬コーティング、流動床および噴霧液吹付けを使用して、いくつかの異なる基材にコートすることができる。また、ナノ材料は、他の技術、たとえば単独での吹付け、高電圧電場を援用する吹付け、ロールストック、押出し、コーティングおよび同時押出しのような既存技術による液体コーティングにより、種々の基材上にコートとして被着させることもできる。
【0087】
または、ナノ材料を可撓性フィルムに被着させたのち、そのフィルムを感圧接着剤でコートして、遮蔽性を有する粘着性材料を製造することもできる。太陽の紫外線から人の皮膚を防護する場合には、たとえば、ナノ材料をバインダと混合して、皮膚に直接塗布するスプレーまたは軟膏を形成することができる。さらには、数百列のナノ材料の厚さが1マイクロメートル程度であるため、本発明のナノ遮蔽材料を可視光線に対して透過性にし、それにより、優れた光学的性質を有するゴーグルおよび他の透明なシールドの製造における使用を可能にすることができる。
【0088】
次に図10を参照すると、爆弾格納球部762、フロントハッチ764、ホイールアセンブリ766および爆弾トレー768を含む爆弾格納容器760が示されている。爆弾格納容器760の球部762およびフロントハッチ764は、硬質の耐爆性材料、たとえば硬化鋼で構築されている。既存の爆弾格納容器760は、従来の爆弾爆発を封じ込めるように構築されているが、核放射線、たとえばγおよび中性子放出または光線を閉じ込める、または減衰させるように設計されてはいない。しかし、本発明の原理を使用すると、爆弾格納容器760は、たとえば「汚い爆弾」または放射線爆弾によって生じる核の危険に対しても防護するように再構築することができる。
【0089】
好ましい態様では、放射線防護ポリマー層770が爆弾格納容器760の外側に被着される。前記と同様に、放射線防護ポリマー層770は、前述の放射線不透過性材料の一つまたは複数および前述のポリマーの一つまたは複数を含む混合物から形成される。図10に示す好ましい態様では、放射線不透過性ポリマー混合物は、カーブした放射線不透過性タイル772を形成するために使用されている。これらの放射線不透過性タイル772は、射出成形、押出し、真空成形、ドレープ成形、加圧成形およびプラグアシスト成形を含むいかなる数の公知の製造法によって形成することもできる。そして、放射線不透過性タイル772を爆弾格納容器760の外面および互いに被着させる。そして、爆弾格納容器760の外観を改善するため、滑らかな装飾層(図示せず)を放射線不透過性タイル772の上に被着させることができる。または、放射線不透過性ポリマー層を1ピースで形成することもできるし、接着剤吹付け、回転成形、射出成形、液浴への浸漬、塗装または他の公知のコーティングおよび射出成形法によって爆弾格納容器の外側または内部に均一にコートすることもできる。
【0090】
稼働中、爆弾格納容器760の硬化材料が爆弾の爆発力を封じ込め、本発明の放射線防護層770が爆弾によって放出される放射線を封じ込める。本発明の放射線防護層はまた、爆弾格納容器760の内側にも被着させることができるが、本発明者らは、爆発が放射線防護層770に対して加える損傷のせいで、さほど効果的にはならないと考える。
【0091】
前記明細書では、特定の好ましい態様および方法を参照して本発明を説明した。しかし、請求の範囲に述べる発明のより広い本質および範囲を逸することなく種々の改変および変更を加えることができることが当業者には明らかであろう。たとえば、当業者は、本発明の原理が、先に記載したおもちゃ、食器類、武器および医療装置の他にも多くのタイプの物品に適用されるということを認識するであろう。より具体的には、本発明の相対的に軽量な放射線不透過性材料は、事実上あらゆるタイプのプラスチック製品(たとえば、自動車部品、電話、貯蔵容器など)に配合されて、そのような製品の存在および/または属性をX線によって評価することを可能にする。さらには、本発明の原理は、プラスチック製品のための事実上あらゆるタイプの製造法に適用されるであろう。好ましい態様ではX線検査が記載されたが、他のタイプの放射線、たとえばα、βまたはγ線を代替的に使用して放射線不透過性ポリマー物品を検出することもできる。ナノ材料の場合、多くのナノ材料は最小限の毒性しか有しないことがわかっているため、ナノ複合材を静脈内または経口的に人体に添加して、X線撮影で使用する場合に高められた組織コントラストを提供することもできる。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で理解されるべきであり、本発明は請求の範囲のみによって限定される。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の放射線不透過性ポリマー物品の正面図である。
【図2】本発明の放射線不透過性ポリマー物品を作成するための射出成形装置の側面図である。
【図3】高速アセンブリライン上の放射線不透過性ポリマー物品の存在および属性を検出するための装置の斜視図である。
【図4】放射線防護全身スーツの正面図である。
【図5A】放射線を減衰させるためのナノ半球体の側面図である。
【図5B】放射線を減衰させるためのナノ球体の側面図である。
【図6】多数の形態の危険防護を提供することができる複合材料の断面図である。
【図7】多数の危険防護層で形成されたベストを示す図である。
【図8】下着として装着することができる防護服の分解図である。
【図9】ポケットおよびそのポケットのための危険防護インサートを示す図である。
【図10】放射線減衰性爆弾格納容器の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーを放射線不透過性材料と混合することによって放射線不透過性ポリマー混合物を作成するステップと、
該放射線不透過性ポリマー混合物を使用して放射線不透過性ポリマー物品を形成するステップと、
該放射線不透過性ポリマー物品を放射線源に暴露するステップと、
どれほど多くの該放射線が該放射線不透過性ポリマー物品を透過するのかを検出するステップと、
該検出された放射線を使用して該放射線不透過性ポリマー物品の存在および/または属性を決定するステップとを含む、
放射線不透過性ポリマー物品を検出する方法。
【請求項2】
ポリマーが、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、天然ラテックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリスチレン、ポリスルホン、エチレン酢酸ビニル、ポリエステル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリル、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、アセタール、ポリテトラフルオロエチレン、イオノマー、セルロース、ポリエーテルケトン、シリコーン、エポキシ、エラストマーおよびポリマーフォームからなる群より選択される、請求項1記載の検出方法。
【請求項3】
放射線不透過性材料が、バリウム、硫酸バリウム、塩化バリウム、他のバリウム化合物、タングステン、炭化タングステン、酸化タングステン、他のタングステン化合物、ビスマス、ビスマス化合物、タンタル、タンタル化合物、チタン、チタン化合物、ジアトリゾエートメグルミン(Diatrizoate Meglumine)(注射用)USP、アセトリゾエートナトリウム(Acetrizoate Sodium)、ホウ素、ホウ酸、酸化ホウ素、ホウ素塩類、他のホウ素化合物、ベリリウム、ベリリウム化合物、ブナミオジルナトリウム、ジアトリゾエートナトリウム、エチオダイズド油、イオベンザム酸、イオカルム酸、イオセタム酸、ヨージジパミド(Iodipamide)、イオジキサノール、ヨード油(Iodized Oil)、ヨードアルフィオン酸(Iodoalphionic Acid)、o-ヨウ化ヒプル酸ナトリウム、ヨードフタレインナトリウム、ヨードピラセット、イオグリク酸、イオヘキソール、イオメグラム酸、イオパミドール、イオパノ酸、イオペントール、ヨーフェンジラート(Iophendylate)、ヨーフェノキシ酸(Iophenoxic Acid)、イオプロミド、イオプロン酸、イオピドール、イオピドン、イオタラム酸、イオトロラン、イオベルソル、イオキサグル酸、イオキシラン、イポデート、メグルミンアセトリゾエート、メグルミンジトリゾエートメチオダールナトリウム(Meglumine Ditrizoate Methiodal Sodium)、メトリザミド、メトリゾ酸、フェノブチオジル、フェンテチオタレイン(Phentetiothalein)ナトリウム、プロピリオドン、ヨードメタム酸ナトリウム(Sodium Iodomethamate)、ソゾヨード酸(Sozoiodolic Acid)、酸化トリウムおよびトリパノエートナトリウム(Trypanoate Sodium)からなる群より選択される、請求項1記載の検出方法。
【請求項4】
ポリマー混合物が、可塑剤、乳化剤、界面活性剤、沈殿防止剤、均染剤、乾燥促進剤、接着剤および流れ改善剤からなる群より選択される一つまたは複数の添加物をさらに含む、請求項1記載の検出方法。
【請求項5】
ポリマー混合物が難燃剤をさらに含む、請求項1記載の検出方法。
【請求項6】
難燃剤が、アルミニウム三水和物、水酸化マグネシウム、有機臭素化化合物および有機塩素化化合物からなる群より選択される、請求項5記載の検出方法。
【請求項7】
ポリマー混合物がナノ材料をさらに含む、請求項1記載の検出方法。
【請求項8】
ナノ材料が、ナノ粒子、ナノチューブおよびナノプレートレットからなる群より選択される、請求項7記載の検出方法。
【請求項9】
放射線不透過性材料が鉛を含む、請求項1記載の検出方法。
【請求項10】
放射線不透過性材料がスズを含む、請求項1記載の検出方法。
【請求項11】
放射線不透過性ポリマー物品が押出しおよび射出成形によって形成される、請求項1記載の検出方法。
【請求項12】
放射線不透過性ポリマー物品が押出しおよび真空成形によって形成される、請求項1記載の検出方法。
【請求項13】
放射線不透過性ポリマー物品が、既存の物品に放射線不透過性コーティングを塗布することによって形成される、請求項1記載の検出方法。
【請求項14】
放射線源がX線を発生させる、請求項1記載の検出方法。
【請求項15】
遮断された放射線のレベルを計測することによって放射線不透過性ポリマー物品の存在を確認する、請求項1記載の検出方法。
【請求項16】
画素のパターンに配列された複数の放射線検出器をさらに含む、請求項1記載の検出方法。
【請求項17】
各画素によって検出された放射線の量を評価することによって放射線不透過性ポリマー物品の輪郭を決定する、請求項16記載の検出方法。
【請求項18】
汚染物質の存在または非存在をさらに検出する、請求項1記載の検出方法。
【請求項19】
各画素によって検出された放射線の量を評価することによって放射線不透過性ポリマー物品中の切れ目、亀裂または他の欠陥を特定する、請求項16記載の検出方法。
【請求項20】
放射線不透過性ポリマー物品が景品である、請求項1記載の検出方法。
【請求項21】
放射線不透過性ポリマー物品が武器または爆発物である、請求項1記載の検出方法。
【請求項22】
放射線不透過性ポリマー物品がストローまたは他の食器類である、請求項1記載の検出方法。
【請求項23】
放射線不透過性ポリマー物品が医療装置である、請求項1記載の検出方法。
【請求項24】
医療装置がカテーテルである、請求項23記載の検出方法。
【請求項25】
放射線不透過性ポリマー物品が箱または他の容器に収容されている、請求項1記載の検出方法。
【請求項26】
ポリマーを放射線不透過性材料と混合することによって放射線不透過性ポリマー混合物を作成するステップと、
該放射線不透過性ポリマー混合物を使用してポリマー物品を形成するステップと、
該物品を箱に入れるステップと、
該箱を放射線源に暴露するステップと、
どれほど多くの該放射線が該箱に透過するのかを検出するステップと、
該検出された放射線を使用して該放射線不透過性物品が該箱に収容されているかどうかを決定するステップとを含む、
箱に収容されたポリマー物品の存在を検出する方法。
【請求項27】
ポリマーが、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、天然ラテックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル、ポリエステル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリル、ポリカーボネート、ポリイソプレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリオキシメチレン、アセタール、ポリテトラフルオロエチレン、イオノマー、セルロース、ポリエーテルケトン、シリコーン、エポキシ、エラストマーおよびポリマーフォームからなる群より選択される、請求項26記載の検出方法。
【請求項28】
放射線不透過性材料が、バリウム、硫酸バリウム、塩化バリウム、他のバリウム化合物、タングステン、炭化タングステン、酸化タングステン、他のタングステン化合物、ビスマス、ビスマス化合物、タンタル、タンタル化合物、チタン、チタン化合物、ジアトリゾエートメグルミン(注射用)USP、アセトリゾエートナトリウム、ホウ素、ホウ酸、酸化ホウ素、ホウ素塩類、他のホウ素化合物、ベリリウム、ベリリウム化合物、ブナミオジルナトリウム、ジアトリゾエートナトリウム、エチオダイズド油、イオベンザム酸、イオカルム酸、イオセタム酸、ヨージパミド、イオジキサノール、ヨード油、ヨードアルフィオン酸、o-ヨウ化ヒプル酸ナトリウム、ヨードフタレインナトリウム、ヨードピラセット、イオグリク酸、イオヘキソール、イオメグラム酸、イオパミドール、イオパノ酸、イオペントール、ヨーフェンジラート、ヨーフェノキシ酸、イオプロミド、イオプロン酸、イオピドール、イオピドン、イオタラム酸、イオトロラン、イオベルソル、イオキサグル酸、イオキシラン、イポデート、メグルミンアセトリゾエート、メグルミンジトリゾエートメチオダールナトリウム、メトリザミド、メトリゾ酸、フェノブチオジル、フェンテチオタレインナトリウム、プロピリオドン、ヨードメタム酸ナトリウム、ソゾヨード酸、酸化トリウムおよびトリパノエートナトリウムからなる群より選択される、請求項26記載の検出方法。
【請求項29】
ポリマー混合物が、可塑剤、乳化剤、界面活性剤、沈殿防止剤、均染剤、乾燥促進剤、接着剤および流れ改善剤からなる群より選択される一つまたは複数の添加物をさらに含む、請求項26記載の検出方法。
【請求項30】
ポリマー混合物が難燃剤をさらに含む、請求項26記載の検出方法。
【請求項31】
難燃剤が、アルミナ三水和物、水酸化マグネシウム、有機臭素化化合物および有機塩素化化合物からなる群より選択される、請求項26記載の検出方法。
【請求項32】
ポリマー混合物がナノ材料をさらに含む、請求項26記載の検出方法。
【請求項33】
ナノ材料が、ナノ粒子、ナノチューブおよびナノプレートレットからなる群より選択される、請求項26記載の検出方法。
【請求項34】
中空の防爆性容器と、
爆弾を該容器に挿入し、爆弾挿入ののち該容器を封止することを可能にするための、該容器上のハッチと、
ポリマーおよび放射線不透過性材料を含む、該容器上の放射線不透過性ポリマー層とを含む、
放射線防護爆弾格納容器。
【請求項35】
ポリマーが、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、天然ラテックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル、ポリエステル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリル、ポリカーボネート、ポリイソプレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリオキシメチレン、アセタール、ポリテトラフルオロエチレン、イオノマー、セルロース、ポリエーテルケトン、シリコーン、エポキシ、エラストマーおよびポリマーフォームからなる群より選択される、請求項34記載の格納容器。
【請求項36】
放射線不透過性材料が、バリウム、硫酸バリウム、塩化バリウム、他のバリウム化合物、タングステン、炭化タングステン、酸化タングステン、他のタングステン化合物、ビスマス、ビスマス化合物、タンタル、タンタル化合物、チタン、チタン化合物、ジアトリゾエートメグルミン(注射用)USP、アセトリゾエートナトリウム、ホウ素、ホウ酸、酸化ホウ素、ホウ素塩類、他のホウ素化合物、ベリリウム、ベリリウム化合物、ブナミオジルナトリウム、ジアトリゾエートナトリウム、エチオダイズド油、イオベンザム酸、イオカルム酸、イオセタム酸、ヨージパミド、イオジキサノール、ヨード油、ヨードアルフィオン酸、o-ヨウ化ヒプル酸ナトリウム、ヨードフタレインナトリウム、ヨードピラセット、イオグリク酸、イオヘキソール、イオメグラム酸、イオパミドール、イオパノ酸、イオペントール、ヨーフェンジラート、ヨーフェノキシ酸、イオプロミド、イオプロン酸、イオピドール、イオピドン、イオタラム酸、イオトロラン、イオベルソル、イオキサグル酸、イオキシラン、イポデート、メグルミンアセトリゾエート、メグルミンジトリゾエートメチオダールナトリウム、メトリザミド、メトリゾ酸、フェノブチオジル、フェンテチオタレインナトリウム、プロピリオドン、ヨードメタム酸ナトリウム、ソゾヨード酸、酸化トリウムおよびトリパノエートナトリウムからなる群より選択される、請求項34記載の格納容器。
【請求項37】
ポリマー層が、可塑剤、乳化剤、界面活性剤、沈殿防止剤、均染剤、乾燥促進剤、接着剤および流れ改善剤からなる群より選択される一つまたは複数の添加物をさらに含む、請求項34記載の格納容器。
【請求項38】
ポリマー層が難燃剤をさらに含む、請求項34記載の格納容器。
【請求項39】
難燃剤が、アルミナ三水和物、水酸化マグネシウム、有機臭素化化合物および有機塩素化化合物からなる群より選択される、請求項38記載の格納容器。
【請求項40】
ポリマー層がナノ材料をさらに含む、請求項34記載の格納容器。
【請求項41】
ナノ材料が、ナノ粒子、ナノチューブおよびナノプレートレットからなる群より選択される、請求項40記載の格納容器。
【請求項42】
ポリマーおよび放射線不透過性ナノ材料を含む放射線不透過性ポリマー混合物。
【請求項43】
ナノ材料が、ナノ粒子、ナノチューブおよびナノプレートレットからなる群より選択される、請求項42記載の放射線不透過性ポリマー混合物。
【請求項44】
放射線不透過性ナノ材料が、タングステン、バリウム、ホウ素、タンタル、ビスマス、劣化ウラン、酸化セリウム(CeO2)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ランタン(La2O3)および酸化ネオジム(Nd2O3)の群より選択される物質から形成されている、請求項42記載の放射線不透過性ポリマー混合物。
【請求項45】
放射線不透過性ナノ材料が、鉛またはスズを含む物質から形成されている、請求項42記載の放射線不透過性ポリマー混合物。
【請求項46】
放射線不透過性ナノ材料が、遷移金属ジカルコゲニドを含む物質から形成されている、請求項42記載の放射線不透過性ポリマー混合物。
【請求項47】
ナノ材料が、ナノ球体、ナノ半球体およびナノパラボラからなる群より選択される、請求項42記載の放射線不透過性ポリマー混合物。
【請求項48】
ポリマーが、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、天然ラテックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル、ポリエステル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリル、ポリイソプレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、アセタール、ポリテトラフルオロエチレン、イオノマー、セルロース、ポリエーテルケトン、シリコーン、エポキシ、エラストマーおよびポリマーフォームからなる群より選択される、請求項42記載の放射線不透過性ポリマー混合物。
【請求項49】
難燃剤をさらに含む、請求項42記載の放射線不透過性ポリマー混合物。
【請求項50】
難燃剤が、酸化アンチモン、アンチモンペントキサイト(antimony pentoxite)、モリブデン化合物、チタン、ジルコニウム、亜鉛、炭化シリコン、シリコンニトレート(silicon nitrate)、窒化アルミニウム、アルミナ三水和物、水酸化マグネシウム、有機臭素化化合物、有機塩素化化合物、天然および合成のナノ粘土、パイロフィライト、緑泥石、スメクタイト、モンモリロナイト、パリゴルスカイト、滑石、バーミキュライト、ソーコナイト、サポナイト、ノントロナイトおよび雲母からなる群より選択される、請求項49記載の放射線不透過性ポリマー混合物。
【請求項51】
高められた化学的、生物学的または投射物防護を付与するための添加物をさらに含む、請求項42記載の放射線不透過性ポリマー混合物。
【請求項52】
添加物が、アルミナ酸化物、エアオニア(aironia)酸化物、フェライト酸化物、チアネート(tianate)酸化物、混合複合酸化物、炭化物粉末、窒化物粉末およびホウ化物粉末からなる群より選択される、請求項51記載の放射線不透過性ポリマー混合物。
【請求項53】
ナノ材料が、天然ナノ粘土、合成ナノ粘土、層状ケイ酸およびナノチューブからなる群より選択される、請求項42記載の放射線不透過性ポリマー混合物。
【請求項54】
ナノ材料がポリマー混合物中に広く分散している、請求項42記載の放射線不透過性ポリマー混合物。
【請求項55】
ポリマーと、
耐火性材料と、
放射線不透過性材料とを含む、
放射線および火炎の危険の両方に対して防護することができるポリマー混合物。
【請求項56】
放射線不透過性材料が、バリウム、硫酸バリウム、塩化バリウム、他のバリウム化合物、鉛、タングステン、炭化タングステン、酸化タングステン、他のタングステン化合物、ビスマス、ビスマス化合物、タンタル、タンタル化合物、チタン、チタン化合物、ジアトリゾエートメグルミン(注射用)USP、アセトリゾエートナトリウム、ホウ素、ホウ酸、酸化ホウ素、ホウ素塩類、他のホウ素化合物、ベリリウム、ベリリウム化合物、ブナミオジルナトリウム、ジアトリゾエートナトリウム、エチオダイズド油、イオベンザム酸、イオカルム酸、イオセタム酸、ヨージパミド、イオジキサノール、ヨード油、ヨードアルフィオン酸、o-ヨウ化ヒプル酸ナトリウム、ヨードフタレインナトリウム、ヨードピラセット、イオグリク酸、イオヘキソール、イオメグラム酸、イオパミドール、イオパノ酸、イオペントール、ヨーフェンジラート、ヨーフェノキシ酸、イオプロミド、イオプロン酸、イオピドール、イオピドン、イオタラム酸、イオトロラン、イオベルソル、イオキサグル酸、イオキシラン、イポデート、メグルミンアセトリゾエート、メグルミンジトリゾエートメチオダールナトリウム、メトリザミド、メトリゾ酸、フェノブチオジル、フェンテチオタレインナトリウム、プロピリオドン、ヨードメタム酸ナトリウム、ソゾヨード酸、酸化トリウムおよびトリパノエートナトリウムからなる群より選択される、請求項55記載のポリマー混合物。
【請求項57】
放射線不透過性材料が、鉛、スズ、タングステン、バリウム、ホウ素、タンタル、ビスマス、劣化ウラン、バリウム、酸化セリウム(CeO2)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ランタン(La2O3)および酸化ネオジム(Nd2O3)からなる群より選択されるナノ材料を含む、請求項55記載のポリマー混合物。
【請求項58】
放射線不透過性材料が、ナノ球体、ナノ半球体、ナノチューブまたはナノパラボラの形状に形成されたナノ材料を含む、請求項55記載のポリマー混合物。
【請求項59】
難燃剤が、ナノ粘土、ナノゼオライト、ゾル・ゲル誘導金属酸化物、炭化シリコン(SiC)、シリコンニトレート(SiN)、シリコンナノチューブ、フルオロポリマー、アルミナ三水和物、水酸化マグネシウム、臭素化化合物、酸化アンチモン、アンチモンペントキサイト、モリブデン化合物、チタン、ジルコニウム、亜鉛、炭化シリコン、シリコンニトレート、塩素化化合物、パイロフィライト、緑泥石、スメクタイト、モンモリロナイト、パリゴルスカイト、滑石、バーミキュライト、ソーコナイト、サポナイト、ノントロナイトおよび雲母からなる群より選択されるナノ材料を含む、請求項55記載のポリマー混合物。
【請求項60】
請求項42記載のポリマー混合物から形成された物品。
【請求項61】
衣類である、請求項60記載の物品。
【請求項62】
衣類が下着、ベスト、帽子、グローブ、全身スーツ、エプロン、シャツ、ズボン、ポケットまたは股間プロテクタである、請求項61記載の物品。
【請求項63】
爆弾抑制ブランケットである、請求項60記載の物品。
【請求項64】
乗り物、壁、船舶、航空機、宇宙航空機または容器のライナまたはコーティングである、請求項60記載の物品。
【請求項65】
請求項55記載のポリマー混合物から形成された物品。
【請求項66】
衣類である、請求項65記載の物品。
【請求項67】
衣類が下着、ベスト、帽子、グローブ、全身スーツ、エプロン、シャツ、ズボン、ポケットまたは股間プロテクタである、請求項66記載の物品。
【請求項68】
爆弾抑制ブランケットである、請求項65記載の物品。
【請求項69】
乗り物、壁、船舶、航空機、宇宙航空機または容器のライナまたはコーティングである、請求項65記載の物品。
【請求項70】
放射線不透過性ナノ材料の組成物を人体に注入するステップと、
放射線を使用して該人体中の細胞の形態を検出するステップとを含む、
放射線学的検出に対するヒト細胞のコントラストを高める方法。
【請求項71】
ポリマーと、
化学的または生物学的抵抗性材料と、
放射線不透過性材料とを含む、
放射線および化学的または生物学的危険の両方に対して防護することができるポリマー混合物。
【請求項72】
放射線不透過性材料が、鉛、スズ、バリウム、硫酸バリウム、塩化バリウム、他のバリウム化合物、タングステン、炭化タングステン、酸化タングステン、他のタングステン化合物、ビスマス、ビスマス化合物、タンタル、タンタル化合物、チタン、チタン化合物、ジアトリゾエートメグルミン(注射用)USP、アセトリゾエートナトリウム、ホウ素、ホウ酸、酸化ホウ素、ホウ素塩類、他のホウ素化合物、ベリリウム、ベリリウム化合物、ブナミオジルナトリウム、ジアトリゾエートナトリウム、エチオダイズド油、イオベンザム酸、イオカルム酸、イオセタム酸、ヨージパミド、イオジキサノール、ヨード油、ヨードアルフィオン酸、o-ヨウ化ヒプル酸ナトリウム、ヨードフタレインナトリウム、ヨードピラセット、イオグリク酸、イオヘキソール、イオメグラム酸、イオパミドール、イオパノ酸、イオペントール、ヨーフェンジラート、ヨーフェノキシ酸、イオプロミド、イオプロン酸、イオピドール、イオピドン、イオタラム酸、イオトロラン、イオベルソル、イオキサグル酸、イオキシラン、イポデート、メグルミンアセトリゾエート、メグルミンジトリゾエートメチオダールナトリウム、メトリザミド、メトリゾ酸、フェノブチオジル、フェンテチオタレインナトリウム、プロピリオドン、ヨードメタム酸ナトリウム、ソゾヨード酸、酸化トリウムおよびトリパノエートナトリウムからなる群より選択される、請求項71記載のポリマー混合物。
【請求項73】
放射線不透過性材料が、鉛、スズ、タングステン、バリウム、ホウ素、タンタル、ビスマス、劣化ウラン、バリウム、酸化セリウム(CeO2)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ランタン(La2O3)および酸化ネオジム(Nd2O3)からなる群より選択されるナノ材料を含む、請求項71記載のポリマー混合物。
【請求項74】
化学的または生物学的抵抗性材料が、ナノセラミックス、天然ナノ粘土、合成ナノ粘土、ナノチューブおよび層状ケイ酸からなる群より選択されるナノ材料を含む、請求項71記載のポリマー混合物。
【請求項75】
天然ナノ粘土が、モンモリロナイト、カオリン、スメクタイト、パリゴルスカイト、雲母、滑石、緑泥石およびバーミキュライトからなる群より選択される、請求項74記載のポリマー混合物。
【請求項76】
ポリマーが、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、天然ラテックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル、ポリイソプレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエステル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリル、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、アセタール、ポリテトラフルオロエチレン、イオノマー、セルロース、ポリエーテルケトン、シリコーン、エポキシ、エラストマーおよびポリマーフォームからなる群より選択される、請求項71記載のポリマー混合物。
【請求項77】
請求項71記載のポリマー混合物から形成された物品。
【請求項78】
衣類である、請求項77記載の物品。
【請求項79】
衣類が下着、ベスト、帽子、グローブ、全身スーツ、エプロン、シャツ、ズボン、ポケットまたは股間プロテクタである、請求項78記載の物品。
【請求項80】
爆弾抑制ブランケットである、請求項77記載の物品。
【請求項81】
乗り物、壁、船舶、航空機、宇宙航空機または容器のライナまたはコーティングである、請求項77記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−538136(P2008−538136A)
【公表日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547006(P2007−547006)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/045968
【国際公開番号】WO2006/069007
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により明細書の一部または全部を不掲載とする。
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(505086749)
【Fターム(参考)】