説明

放射線検出装置、放射線検出装置の製造方法および画像撮影装置

【課題】検出したアナログ信号を伝送する際に、アナログ信号に誘起されるノイズを減少させることで、高品質な画像を得ることができる放射線検出装置、放射線検出装置の製造方法および画像撮影装置を提供する。
【解決手段】放射線から可視光を発生するシンチレータ62と、可視光の強度に基づき電気信号を発生させる受光素子を有する光検出部70と、第1基板80と、光検出部70と第1基板80の第1面部を電気的に接続する第1電気接続構造部110と、第1基板80に対面して配置される第2基板90と、第1基板の第1面部とは反対側の第2面部82と、第2基板90の第1面部91とを電気的に接続する第2電気接続構造部130と、光検出部からの電気信号が第1電気接続構造部110と第1基板80と第2電気接続構造部130を通じて送られて電気信号を処理するデータ収集装置95を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線を被検体に照射して被写体の断層像を撮影するために用いられる放射線検出装置、放射線検出装置の製造方法および画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像撮影装置は画像診断撮影装置ともいい、画像撮影装置の一例であるX線CT(Computed Tomography:コンピュータ断層像撮影)装置は、病院等の医療施設において使用されている。X線CT装置の架台には、X線検出装置を備えている。X線管球で発生したX線ビームは、このX線管球の回転に伴って被検体に対して曝射され、この被検体を透過したX線ビームは、X線検出装置に入射されることで、被検体の断層像を取得するようになっている。
【0003】
X線検出装置では、入射したX線ビームが可視光に変換され、この可視光は配線基板に搭載されたフォトダイオードアレイにより電気信号に変換される。そして、この電気信号は増幅された後に、データ収集装置(データ収集部:DAS:Data Acquisition System)のアナログ/デジタル変換素子(A/D変換素子)によりデジタル信号に変換される。このデジタル化されたデータ信号は、データ収集装置からデータ伝送システムを用いてコンソール側に送出される。
【0004】
X線検出装置は検出器を有しており、この検出器は複数の検出器モジュールを二次元的に配列することで構成されている。被検体を載せた寝台は、被検体の体軸方向に沿って移動して、架台の開口部内に挿入されることが特許文献1に開示されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008―259733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えばマルチスライス方式のX線CT装置では、さらなる撮影の高速化と高精度化が進むと、より鮮明で高品質な断層像の画像が要求される。ところが、フォトダイオードアレイからA/D変換素子へ伝搬するアナログ信号は、外部からのノイズの影響を受けやすく、画像の品質に大きな影響を与える。
【0007】
フォトダイオードアレイが搭載された配線基板から、A/D変換素子が内蔵されたデータ収集装置までの間は、フレキシブル基板やフレキシブルケーブル等のフレキシブル配線部材で電気的に接続されている。このため、フレキシブル配線部材の配線長が長くなり、フレキシブル配線部材の配線長の静電容量が大きくなってしまい、他の部分からの微小な振動や電源系の電磁界の影響を受けて、ノイズが増大する。このために、高品質な画像が得られないという問題が発生していた。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、検出したアナログ信号をデータ収集装置まで伝送する際に、アナログ信号に誘起されるノイズを減少させることで、高品質な画像を得ることができる放射線検出装置、放射線検出装置の製造方法および画像撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の放射線検出装置は、放射線が入射することにより可視光を発生するシンチレータと、
前記シンチレータに配置されて前記可視光の強度に基づき電気信号を発生させる受光素子を有する光検出部と、
第1基板と、
前記光検出部と前記第1基板の第1面部を電気的に接続する第1電気接続構造部と、
前記第1基板に対面して配置される第2基板と、
前記第1基板の前記第1面部とは反対側の第2面部と、前記第2基板の第1面部とを電気的に接続する第2電気接続構造部と、
前記第2基板の前記第1面部とは反対側の第2面部に配置されて、前記光検出部からの前記電気信号が前記第1電気接続構造部と前記第1基板と前記第2電気接続構造部を通じて送られて前記電気信号を処理するデータ収集装置と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の放射線検出装置の製造方法は、前記可視光の強度に基づき電気信号を発生させる受光素子を有する光検出部を、第1基板の第1面部に対して第1電気接続構造部を介して電気的に接続して固定する光検出部固定工程と、
前記光検出部からの前記電気信号を処理するデータ収集装置を、第1面部と前記第1面部とは反対側の第2面部とを有する第2基板の前記第2面部に配置するデータ収集装置配置工程と、
放射線が入射することにより可視光を発生するシンチレータを前記光検出部に配置して、前記第1基板の前記第1面部とは反対側の第2面部と、前記第2基板の前記第1面部とを、第2電気接続構造部を介して電気的に接続して、前記光検出部からの前記電気信号を前記第1電気接続構造部と前記第1基板と前記第2電気接続構造部を通じて前記データ収集装置に対して送れるように組み立てる組み立て工程と、
を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の画像撮影装置は、上記の放射線検出装置と、放射線を被検体に対して発生する放射線発生源を備え、前記被検体を透過した前記放射線を前記放射線検出装置により検出することで前記被検体の撮影を行う画像撮影装置であって、
前記放射線検出装置と前記放射線発生源を回転可能に保持する架台を有し、
前記架台には、前記放射線検出装置と前記放射線発生源の間に、前記被検体を挿入する開口部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、検出したアナログ信号をデータ収集装置まで伝送する際に、アナログ信号に誘起されるノイズを減少させることで、高品質な画像を得ることができる放射線検出装置、放射線検出装置の製造方法および画像撮影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の画像撮影装置の一例である医用診断のために断層像の画像撮影を行うX線CT装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示すX線CT装置の内部構造例を示す図である。
【図3】図2に示す架台をB方向から見た正面図である。
【図4】放射線検出装置の検出器モジュールの好ましい構造例を示す図である。
【図5】図4の第1電気接続構造部の一部分を拡大して示す図である。
【図6】図4の第2電気接続構造部の一部分を拡大して示す図である。
【図7】セラミックス基板の第1面部に対して、光検出部をマウントしてアンダーフィルを塗布して、オーブン内で硬化させる光検出部固定工程を示す図である。
【図8】プリント基板の第2面部に、各種の電子部品と複数のデータ収集装置をマウントしてリフローを用いて硬化後、アンダーフィルを塗布してオーブンで硬化させるデータ収集装置配置工程を示す図である。
【図9】図7において組み立てたセラミックス基板と光検出部のユニットに対してシンチレータユニットを組み立て、しかも図8において組み立てたプリント基板を、セラミックス基板に対してシートコネクタを用いて電気的に接続する組み立て工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の画像撮影装置の一例である医用診断のために断層像の画像撮影を行うX線CT(Computed Tomography)装置を示す斜視図である。図2は、図1に示すX線CT装置の内部構造例を示す図である。
【0016】
図1に示すX線CT装置10は、架台(ガントリ)11と、寝台30を備えている。架台11と寝台30は、設置面12に設定されている。架台11の内部には、回転部13が設けられている。架台11の中心部であって回転部13の中心部には、円形状の開口部14が設けられている。この開口部14内には、検査や画像撮影時に寝台30の天板31とともにこの天板31に載せた被検体Mが、Z方向(開口部14の軸方向)に沿って移動して挿入され、必要に応じて位置決め可能である。
【0017】
ここで、図2を参照しながら、架台11の構成例をさらに詳しく説明する。
【0018】
図2に示すように、架台11は、本体カバー15と基台16を有しており、本体カバー15は基台16の上に設けられている。基台16は設置面12に設置されている。
【0019】
図2に示すように、本体カバー15の構造例を説明すると、本体カバー15は、前面カバー部17と、背面カバー部18と、表面カバー部19を有している。これらの前面カバー部17と背面カバー部18と表面カバー部19は、回転部13を覆っている。前面カバー部17と背面カバー部18は、開口部14を形成している。
【0020】
図2に示すように、回転部13は、放射線の一例であるX線の発生源としてのX線管球20と、X線管球20のX線ビームを検出する放射線検出装置50と、高電圧発生部20Pを備えており、X線管球20と放射線検出装置50は、開口部14の中心軸を中心として対向して配置されている。
【0021】
図2に例示するように、開口部14内には、寝台30の天板31とともに天板31に載せた被検体Mの例えば頭部HDが挿入される。そして、X線管球20は被検体Mの例えば頭部HDに対してX線ビームを曝射(投射)して、被検体Mの例えば頭部HDを透過したX線ビームは放射線検出装置50で検出されようになっている。これにより、放射線検出装置50は、検出したX線量を一旦可視光に変換して、さらにこの可視光を光―電気変換によりアナログの電気信号に変換する。そして、放射線検出装置50では、アナログの電気信号は、データ収集装置(DAS:Data Acquisition System)においてアナログ/デジタル変換されてしかも増幅されて、デジタルデータ(投影データ)に変換される。この放射線検出装置50の構造は、後ほど説明する。
【0022】
図2に示すデータ伝送部23は、放射線検出装置50からのコンソール24へ、上述のデジタルデータを非接触で伝送するものであり、デジタルデータは、回転部13側の送信部23Aから架台11の固定部側の受信部23Bへ送信されることで、データ伝送部23を通じてコンソール24側に伝送される。これにより、コンソール24は被検体Mの断層像の画像を取得することができる。
【0023】
また、回転部13には、スリップリング25が設けられており、スリップリング25はX線管球20に対して高電圧発生部20Pから高電圧を供給する。
【0024】
図2に示す寝台30は、天板31と台座部32を有しており、天板31の上には被検体Mを載置させる。台座部32は、天板31をY方向に沿って上下移動して高さ方向の位置決めができ、Z方向に沿って移動して水平方向の位置決めができる。Y方向とZ方向は直交している。このZ方向は被検体Mの体軸方向CLと平行である。
【0025】
次に、図3は、図2に示す架台11をB方向から見た正面図である。
【0026】
図3に示すように、X線管球20と放射線検出装置50とは、開口部14を挟んで対向して配置されている。図3では、開口部14内に被検体Mと天板31が位置されている様子を示している。破線で示す扇型の領域は、放射線の一例であるX線ビーム100の投射範囲の例を示している。このX線ビーム100は、放射線検出装置50に投射されている。図3では、一例として放射線検出装置50は、X方向とZ方向からなる平面に平行に位置されている。図2に示すX線管球20と放射線検出装置50を有する回転部13は、開口部14の周りを、図2に示す駆動部200の作動により回転するようになっている。
【0027】
図3に示すように、放射線検出装置50は、コリメータ4と検出器5とを重ねて組み合わせることで構成されている。この検出器5は、複数の検出器モジュール60により構成されている。これらの検出器モジュール60は、コリメータ4の裏側において、X方向とZ方向に沿って二次元アレイ状に配列されている。
【0028】
図4は、検出器5の各検出器モジュール60の好ましい構造例を示している。
【0029】
図4に示す検出器モジュール60は、コリメータ4の内側に配置された平板状のシンチレータユニット61と、平板状の光検出部70と、第1基板としてのセラミック基板80と、シートコネクタ85と、第2基板としてのプリント基板90と、プリント基板90に比べて小さく薄い複数のデータ収集装置95を有している。検出器モジュール60では、シンチレータユニット61と、光検出部70と、セラミックス基板80と、シートコネクタ85と、プリント基板90と、データ収集装置95は、積層方向Vに沿って積層されることでブロック化されている。
【0030】
図3に示すコリメータ4は、X線管球20から発生するX線ビーム100を、図4に示すシンチレータユニット61に効率良く曝射させるために設けられており、別の部分で反射したX線ビーム等のノイズを除去する。シンチレータユニット61は、基材63と、複数のシンチレータ62を有している。これらのシンチレータ62は、この基材63において、S方向とT方向に沿って、二次元アレイ状に並べて配置されている。S方向とT方向は、直交しており、S方向とT方向は、各要素の積層方向Vに対して直交している。各シンチレータ62は、X線ビーム100が入射することにより、可視光を発生する。
【0031】
図4に示すように、光検出部70は、基材72と、例えば複数の光検出素子の一例であるフォトダイオード71を有しており、これらのフォトダイオード71は、基材72の一方の面において、S方向とT方向に沿って二次元アレイ状に並べることで、フォトダイオードアレイを構成している。そして、各フォトダイオード71は、対応する各シンチレータ62に対応して配置されている。シンチレータユニット61と光検出部70は、感光面部99を構成している。各フォトダイオード71は、対応する各シンチレータ62が発生した可視光の強度に基づいて電気信号を発生する。これにより、シンチレータ62は、図3のコリメータ4を通過したX線ビーム100を可視光に変換して、この可視光を対応するフォトダイオード71に到達させることで、フォトダイオード71は可視光の強度に基づいて電気信号に変換することができる。
【0032】
図4に示すように、感光面部99は、セラミックス基板80の上に搭載されており、光検出部70は、セラミックス基板80の第1面部81に対して、第1電気接続構造部110を介して電気的にしかも機械的に接続されている。光検出部70とセラミックス基板80の間の第1電気接続構造部110について、図4と図5を参照して説明する。図5は、図4の第1電気接続構造部110の一部分109を拡大して示している。
【0033】
図4と図5に示すように、第1電気接続構造部110は、フォトダイオード71の電気接続端子111と、セラミックス基板80の電気接続端子112とを電気的にしかも機械的に接続するために、複数のバンプ(突起電極の一例)113と、導電性接着剤とアンダーフィル114とを有している。
【0034】
フォトダイオード71の電気接続端子111は、基材72の他方の面に配置されている。バンプ113はボールバンプであり、バンプ113は電気接続端子111と、セラミックス基板80の電気接続端子112とを電気的に接続している。導電性接着剤とアンダーフィル114は、基材72の他方の面とセラミックス基板80の第1面部81とを固定している。これにより、光検出部70は、セラミックス基板80の第1面部81側に対して、複数のバンプ113を介して、導電性接着剤を含むアンダーフィル114により固着されている。
【0035】
次に、図4に示すように、セラミックス基板80の第2面部82は、プリント基板90の第1面部91に対して、第2電気接続構造部120を介して電気的にしかも機械的に接続されている。セラミックス基板80の第2面部82とプリント基板90の第1面部91との間の第2電気接続構造部130について、図4と図6を参照して説明する。図6は、図4の第2電気接続構造部130の一部分140を拡大して示している。
【0036】
図4と図6に示す第2電気接続構造130は、セラミックス基板80の第2面部82の電極131と、プリント基板90の第1面部91の電極132とを電気的しかも機械的に接続するために、シートコネクタ85を有している。このシートコネクタ85は、複数の銀バンプ(突起電極の一例)150と、2枚の樹脂シート151,151と、接着シート152を有する。2枚の樹脂シート151,151は、各銀バンプ150を所定の間隔をおいて保持した状態で、接着シート152により接着されている。銀バンプ150は、セラミックス基板80の第2面部82の電極131とプリント基板90の電極132とを電気的しかも機械的に接続している。
【0037】
プリント基板90の第2面部92には、各種の電子部品、例えばコネクタ160やレーザダイオード161、そして複数のデータ収集装置95が搭載されている。
【0038】
これにより、図4に示す各検出器モジュール60は、被検体Mを透過したX線ビーム100を感知して、被検体Mを透過したX線ビーム100の線量を信号電流に変換するもので、各シンチレータ62がX線ビーム100を受けて蛍光を発生して、この可視光である蛍光は、フォトダイオード71により電気信号(電流信号)に変換している。各フォトダイオード71から出力された電気信号は、セラミックス基板80の第1面部81を介して、セラミックス基板80の第2面部82に導かれる。各フォトダイオード71から出力された電気信号は、セラミックス基板80の第2面部82から、シートコネクタ85の銀バンプ150を介して、プリント基板90に導かれて、データ収集装置95に送られるようになっている。
【0039】
データ収集装置95が各フォトダイオード71から出力された電気信号を受け取ると、信号処理を行い、処理された信号は、最終的にコンピュータで演算処理ができるようにA/D変換素子によりアナログデジタル変換されて、図1のコンソール24のコンピュータに送出される。なお、プリント基板90に配置されるデータ収集装置95の配置個数は、マルチスライスの数によって、適宜変更することができる。また、セラミックス基板80とプリント基板90とシートコネクタ85は、特殊な溶剤等を用いることなく、適宜交換することができることが好ましい。これにより、例えばセラミックス基板80とプリント基板90の少なくとも一方の不都合が生じた場合でも、不都合が生じた基板を簡単に交換することができる。
【0040】
検出器モジュール60は、入射するX線ビーム100の強さ、および被検体Mを透過したX線ビーム100の減衰を表す電気信号を出力する。X線投射データを収集するためにX線ビーム100を走査する間は、図3に示すようにX線管球20と放射線検出装置50は、開口部14の周りを回転する。データ収集装置95に送られてきたX線透過データに対して増幅処理やA/D変換処理等を施して、被検体Mの各スライス分のX線投影データを収集するようになっている。
【0041】
上述したように、検出器5は、上述した構造を有する複数の検出器モジュール60からなるが、次に、図7〜図9を参照して、検出器モジュール60の製造方法について説明する。
【0042】
図7は、セラミックス基板80の第1面部81に対して、光検出部70をマウントしてアンダーフィル114を塗布して、オーブン159内で硬化させる光検出部固定工程を示している。
【0043】
図8は、プリント基板90の第2面部92に、各種の電子部品、例えばコネクタ160等や、そして複数のデータ収集装置95をマウントしてリフロー179を用いて硬化後、アンダーフィル170を塗布してオーブン189で硬化させるデータ収集装置配置工程を示している。
【0044】
図9は、図7において組み立てたセラミックス基板80と光検出部70のユニットに対してシンチレータユニット61を組み立て、しかも図8において組み立てたプリント基板90を、セラミックス基板80に対してシートコネクタ85を用いて電気的にしかも機械的に接続する組み立て工程を示している。
【0045】
まず、図7に示すように、第1基板であるセラミックス基板80の第1面部81上には導電性接着剤としての導電ペーストを印刷し、第1面部81上に光検出部70をマウントする。そして、第1面部81と光検出部70にアンダーフィル114を塗布した後に、セラミックス基板80と光検出部70からなるユニットは、オーブン159内に入れて、例えば150℃で4時間加熱して、導電ペーストとアンダーフィル114を硬化させる。硬化後は、セラミックス基板80と光検出部70からなるユニットを検査工程に送って所定の検査を行う。
【0046】
一方、図8に示すように、プリント基板90の第2面部92にははんだを印刷して、例えばコネクタ160やレーザダイオード161、そして複数のデータ収集装置95をマウントして配置する。そして、複数のデータ収集装置95等をマウントしたプリント基板90は、リフロー179内で例えば250℃で10分間加熱してはんだをリフロー硬化させてはんだ接続をする。その後、各データ収集装置95に対してアンダーフィル170を塗布して、オーブン189内に入れて、例えば100℃で30分間加熱することで、アンダーフィル170を硬化させる。硬化後は、プリント基板90を検査工程に送って所定の検査を行う。
【0047】
最後に、図9に示すように、シンチレータユニット61を光検出部70に対して搭載して組み立てる。そして、セラミックス基板80とシンチレータユニット61と光検出部70からなるユニット220と、プリント基板90とを、シートコネクタ85を用いて電気的にしかも機械的に接続して、検出器5の検出器モジュール60が完成する。
【0048】
このように製造された検出器モジュール60は、図3に示すように、X方向とZ方向に沿って2次元アレイされて、平面型の検出器5が構成される。そして、この検出器5とコリメータ4が積層されることで、放射線検出装置50が完成する。
【0049】
従来のX線CT装置では、検出器モジュールからデータ収集装置へのアナログ信号の伝達は、伝達距離の長いフレキシブル基板のようなフレキシブル配線部材を介して送られていた。このため、データ収集装置においてアナログ信号がデジタル信号に変換される際に、ノイズの影響を受けていた。このノイズ対策としては、例えば信号配線の上下層にグランド配線パターンを配置したシールド構造を用いていたが、このシールド構造によってもフレキシブル配線部材による配線長が長いために、配線容量が大きくなることや、磁界に対しては効果が小さいこと等の問題が残っていた。
【0050】
これに対して、本発明の実施形態では、図4に示すように複数のフォトダイオード71を有する光検出部70が、セラミックス基板80の第1面部81に対して、第1電気接続構造部110を用いて実装されている。複数のデータ収集装置95が、プリント基板90の第2面部92に実装されている。そして、セラミックス基板80の第2面部82が、プリント基板90の第1面部91に対して、第2電気接続構造部130のシートコネクタ85を介して電気的にかつ機械的に接続されている。このため、各フォトダイオード71とデータ収集装置95の間の物理的な距離が極めて小さくなり、ノイズによる悪影響を受けることがなく、データ収集装置95においてアナログ信号をデジタル信号に変換する信号処理が良好に行える。
【0051】
本発明の放射線検出装置は、放射線が入射することにより可視光を発生するシンチレータと、前記シンチレータに配置されて前記可視光の強度に基づき電気信号を発生させる受光素子を有する光検出部と、第1基板と、前記光検出部と前記第1基板の第1面部を電気的に接続する第1電気接続構造部と、前記第1基板に対面して配置される第2基板と、前記第1基板の前記第1面部とは反対側の第2面部と、前記第2基板の第1面部とを電気的に接続する第2電気接続構造部と、前記第2基板の前記第1面部とは反対側の第2面部に配置されて、前記光検出部からの前記電気信号が前記第1電気接続構造部と前記第1基板と前記第2電気接続構造部を通じて送られて前記電気信号を処理するデータ収集装置と、
を備える。
【0052】
上記構成により、検出したアナログ信号をデータ収集装置まで伝送する際に、アナログ信号に誘起されるノイズを減少させることで、高品質な画像を得ることができる放射線検出装置を提供できる。
【0053】
本発明の放射線検出装置では、好ましくは前記光検出部は第1電気接続端子を有し、前記第1基板の前記第1面部は第2電気接続端子を有し、前記第1電気接続構造部は、前記第1電気接続端子と前記第2電気接続端子を電気的に接続する突起電極を有し、前記光検出部と前記第1基板の前記第1面部は、アンダーフィルにより固定されている。
【0054】
上記構成により、第1電気接続構造部を用いることで、光検出部は第1基板に対して電気的に接続して機械的に固定することができる。
【0055】
本発明の放射線検出装置では、好ましくは前記第2電気接続構造部は、複数の突起電極と、前記突起電極を保持する一対の電気絶縁シートと、前記一対の電気絶縁シートの間を接着する接着シートと、を有する。
【0056】
上記構成により、第2電気接続構造部を用いることで、第1基板の第2面部と、対面する第2基板の第1面部とを確実に電気的に接続することができる。
【0057】
また、本発明の放射線検出装置の製造方法は、放射線が入射することにより可視光を発生するシンチレータに配置されて前記可視光の強度に基づき電気信号を発生させる受光素子を有する光検出部を、第1基板の第1面部に対して第1電気接続構造部を介して電気的に接続して固定する光検出部固定工程と、
前記光検出部からの前記電気信号を処理するデータ収集装置を、第1面部と前記第1面部とは反対側の第2面部とを有する第2基板の前記第2面部に配置するデータ収集装置配置工程と、
放射線が入射することにより可視光を発生するシンチレータを前記光検出部に配置して、前記第1基板の前記第1面部とは反対側の第2面部と、前記第2基板の前記第1面部とを、第2電気接続構造部を介して電気的に接続して、前記光検出部からの前記電気信号を前記第1電気接続構造部と前記第1基板と前記第2電気接続構造部を通じて前記データ収集装置に対して送れるように組み立てる第2基板接続工程と、
を有する。
【0058】
上記構成により、検出したアナログ信号をデータ収集装置まで伝送する際に、アナログ信号に誘起されるノイズを減少させることで、高品質な画像を得ることができる放射線検出装置を提供できる。
さらに、M本発明の画像撮影装置は、上記の放射線検出装置と、放射線を被検体に対して発生する放射線発生源を備え、前記被検体を透過した前記放射線を前記放射線検出装置により検出することで前記被検体の撮影を行う画像撮影装置であって、前記放射線検出装置と前記放射線発生源を回転可能に保持する架台を有し、前記架台には、前記放射線検出装置と前記放射線発生源の間に、前記被検体を挿入する開口部が設けられていることを特徴とする。
【0059】
上記構成により、検出したアナログ信号をデータ収集装置まで伝送する際に、アナログ信号に誘起されるノイズを減少させることで、高品質な画像を得ることができる放射線検出装置を有する画像撮影装置を提供できる。
【0060】
本発明は、上記実施形態に限定されない。本発明を、図示した実施形態に基づいて説明したが、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に想到し得るものであり、それらの変更例および修正例は本発明の範囲に属するものと了解され、例えば次に述べるようにその要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。
【0061】
例えば図示例では、画像撮影装置の一例としてX線CT装置を挙げており、放射線の例としてはX線ビームを例にしている。しかしこれに限らず、例えば、本発明の画像撮影装置は、PET(Position Emission computed Tomography:陽電子放出コンピュータ断層撮影)装置としても適用できる。このPETの場合には、X線管球20からのX線ビーム100が被検体Mに対して曝射されて、X線ビーム100が被検体M内の薬剤に入射されると、その薬剤投与の部位からはガンマ線が発生して、このガンマ線がシンチレータに入射され、ガンマ線を光に変換して、光が光検出部に受光される。
【0062】
具体的な配線基板の例として、第1基板としてはセラミックス基板を採用し、第2基板としてはプリント基板を採用しているが、特に第1基板と第2基板の種類は限定されず、任意の種類の配線基板を採用できる。
【0063】
さらに、本発明の実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、本発明の実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0064】
4・・・コリメータ、5・・・検出器、10・・・X線CT装置、11・・・架台(ガントリ)、13・・・回転部、20・・・X線発生源(放射線発生源の一例)としてのX線管球、50・・・放射線検出装置、60・・・検出器モジュール、61・・・シンチレータユニット、62・・・シンチレータ、70・・・光検出部、71・・・フォトダイオード、80・・・セラミックス基板(第1基板の一例)、81・・・セラミックス基板の第1面部、82・・・セラミックス基板の第2面部、85・・・シートコネクタ、90・・・プリント基板(第2基板の一例)、95・・・データ収集装置(DAS)、100・・・X線ビーム、110・・・第1電気接続構造部、111,112・・・電気接続端子、113・・・バンプ(突起電極)、114・・・アンダーフィル、130・・・第2電気接続構造部、131,132・・・電極、150・・・銀バンプ(突起電極)、151・・・樹脂シート、152・・・接着シート、M・・・被検体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線が入射することにより可視光を発生するシンチレータと、
前記シンチレータに配置されて前記可視光の強度に基づき電気信号を発生させる受光素子を有する光検出部と、
第1基板と、
前記光検出部と前記第1基板の第1面部を電気的に接続する第1電気接続構造部と、
前記第1基板に対面して配置される第2基板と、
前記第1基板の前記第1面部とは反対側の第2面部と、前記第2基板の第1面部とを電気的に接続する第2電気接続構造部と、
前記第2基板の前記第1面部とは反対側の第2面部に配置されて、前記光検出部からの前記電気信号が前記第1電気接続構造部と前記第1基板と前記第2電気接続構造部を通じて送られて前記電気信号を処理するデータ収集装置と、
を備えることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項2】
前記光検出部は第1電気接続端子を有し、前記第1基板の前記第1面部は第2電気接続端子を有し、前記第1電気接続構造部は、前記第1電気接続端子と前記第2電気接続端子を電気的に接続する突起電極を有し、前記光検出部と前記第1基板の前記第1面部は、アンダーフィルにより固定されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項3】
前記第2電気接続構造部は、複数の突起電極と、前記突起電極を保持する一対の電気絶縁シートと、前記一対の電気絶縁シートの間を接着する接着シートと、を有することを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項4】
前記可視光の強度に基づき電気信号を発生させる受光素子を有する光検出部を、第1基板の第1面部に対して第1電気接続構造部を介して電気的に接続して固定する光検出部固定工程と、
前記光検出部からの前記電気信号を処理するデータ収集装置を、第1面部と前記第1面部とは反対側の第2面部とを有する第2基板の前記第2面部に配置するデータ収集装置配置工程と、
放射線が入射することにより可視光を発生するシンチレータを前記光検出部に配置して、前記第1基板の前記第1面部とは反対側の第2面部と、前記第2基板の前記第1面部とを、第2電気接続構造部を介して電気的に接続して、前記光検出部からの前記電気信号を前記第1電気接続構造部と前記第1基板と前記第2電気接続構造部を通じて前記データ収集装置に対して送れるように組み立てる組み立て工程と、
を有することを特徴とする放射線検出装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項3のいずれか1つの項に記載の放射線検出装置と、放射線を被検体に対して発生する放射線発生源を備え、前記被検体を透過した前記放射線を前記放射線検出装置により検出することで前記被検体の撮影を行う画像撮影装置であって、
前記放射線検出装置と前記放射線発生源を回転可能に保持する架台を有し、
前記架台には、前記放射線検出装置と前記放射線発生源の間に、前記被検体を挿入する開口部が設けられていることを特徴とする画像撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−191245(P2011−191245A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59151(P2010−59151)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】