説明

放射線治療で使用するための組織配置システム

本明細書では、スペーシング部材を含む近接照射治療装置を開示する。スペーシング部材は、機器を、感受性組織と接触する放射線量を制限し、それによって感受性組織を過熱もしくはホットスポットから保護し、および/または医療従事者または患者に近づく可能性のある他の人々に影響する可能性のある、患者体部の外側の放射線被曝から保護するのに有効である。特に、スペーシング器具は、手術切除部位に近接する感受性組織の外面に近接照射治療装置が近接することを制御するのに有効である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、増殖性組織障害の治療に使用するための方法および装置、ならびより具体的には放射線治療中に感受性組織を保護するための方法および装置に関する。
【0002】
関連出願についての相互参照
本出願は、2003年12月31日出願の同時係属の米国特許出願第10/750,921号の一部継続出願であり;同出願は、2001年6月15日出願の米国特許出願第09/882506号の係属出願であり、現在米国特許第6,673,006号である。両出願の内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
悪性腫瘍は、腫瘍を外科的に切除し、可能な限り多く腫瘍を取り除くことによって治療されることが多い。しかしながら、浸潤によって外科的治療が困難または不可能になり得るため、腫瘍を取り囲む正常組織への腫瘍細胞の浸潤は外科的切除の治療価値を制限する可能性がある。放射線治療を用いて、切除後の残存腫瘍縁部を標的とすることによって、そのサイズを縮小または安定化させることを目標に、外科的切除を補うことができる。放射線治療は、外部照射法、定位手術的照射法、および永久的もしくは一時的な近接照射治療を含む、複数の方法の一つまたはそれら方法の組み合わせにより施すことができる。本明細書で使用する用語「近接照射治療」とは、腫瘍もしくは他の増殖組織疾患部分そのものまたはその近くの体内に挿入された、空間的に限定された放射活性物質が行う放射線治療を指す。近接照射治療は、放射線源が近接することによって、標的組織局所に対しより限局化して線量を送達するという利点を提供する。
【0004】
近接照射治療は、放射線源を治療対象の組織内に直接埋め込むことによって行うことができる。組織内近接照射治療は、伝統的に125Iシードのような放射活性シードを用いて行われている。しかしながらこれらのシードは、発生する線量の分布が不均一である。組織の局所領域全体に最小処方線量を行き渡らせるためには、多数のシードを使用しなければならず、その結果、シードに近接する組織には非常に高い線量が送達されることとなり、これが健康組織に放射線壊死を引き起こすことがある。
【0005】
手術後近接照射治療を実施する別の方法としては、切除腔内への膨張式バルーンカテーテルシステムの埋め込みまたは挿入である。例えば、米国特許第5,913,813号(特許文献1)(参照により全体として本明細書に組み入れられる)は、放射線源に接近しすぎないように組織を押し離すことができるバルーンまたは膨張性リザーバを含む、二重壁バルーンカテーテルを開示している。これにより、照射される組織を浅部線量勾配の局所内に置くことができるようになり、結果として「ホットスポット」および放射線壊死のリスクが下がる。
【0006】
一般的には、医師が望む放射線量は、切除された腫瘍の縁から最大で約2センチメートルの局所に送達される特定の最小量である。放射線源からの最も遠い処方距離に最小処方線量が送達される一方で、放射線源にあるまたは放射線源に近接する組織に対する過剰被爆を防止するために、標的治療局所の組織に送達される放射線を狭い吸収線量範囲に維持することが望ましい。放射線量を調整して、感受性組織への放射線照射を完全に回避するかまたは患者の体部を外れた放射線の量を減らす一方で、少なくともいくつかの応用では、これらの利点を提供することも望ましい。
【0007】
したがって、例えば皮膚または臓器組織など、放射線近くに位置する感受性体組織を過剰被爆させずに、放射線を、放射線源からヒト体内の標的組織に、所望強度および放射線源から前もって決められた距離に送達させるのに使用できる機器が求められている。
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,913,813号
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
本発明は、位置付けまたはスペーシング部材を有する放射線装置、および放射線源を感受性組織からある距離に離して位置付けするために用いられる方法を提供する。スペーシング部材は、近接組織に接する放射線の量を制限するのに有効であり、それによって感受性組織が、それが安全に許容できる以上の放射線を受けないようにし、および/または医療従事者もしくは患者に接近する可能性のある他の人々に悪影響を及ぼす可能性のある、患者体部の外側の放射線被曝から保護するのに有効である。
【0010】
スペーシング部材は、任意の形状およびサイズでよいが、近接照射治療装置内の放射線源と近接組織との間(以後所望スペーシングと呼ぶ)に十分な量のスペースを提供するのに好ましく適合している。例えば、スペーシング部材は、感受性組織と近接照射治療装置内の放射線源との間にスペースを取ることができる。所望スペーシングは、健康組織細胞への損傷を防止すると同時に癌性細胞を破壊できるのに適していることが好ましい。スペーシング部材は、近接照射治療装置に結合するか、または連結して配置することができるか、あるいは近接照射治療装置の一体化部分として形成することができる。
【0011】
一つの態様では、スペーシング部材は、拡張式バルーン部材から形成される。バルーン部材は、閉鎖され、収縮された位置では、挿入部材の周囲に配置または折りたたまれており、挿入部材は開口部、例えば挿入シースを通して、手術切除部位の中に挿入することができる。一度挿入されると、バルーン部材は、開放位置に膨らますことができ、放射線源と手術切除部位周囲の組織との間に、予定の大きさのスペースを提供する。必要なスペーシングは、事前に決めることができるスペーシング部材の高さに等しい、即ち、高さは固定できおよび事前に決定できること、またはスペーシング部材は、使用時に選択することができる、可変の高さであり得ることが好ましい。バルーン部材は、膨らませた時にバルーン部材が放射線装置と近接組織との間に必要なスペーシングを提供するのに有効なように事前に形成された形状を有することができる。
【0012】
本発明の別の局面では、近位端および遠位端を有する挿入部材、挿入部材の近位端上に配置された第1拡張式バルーン、ならびに第1拡張式バルーンに近接して挿入部材の遠位端上に配置されたスペーシング部材を有する、近接照射治療装置が提供される。拡張式バルーンは、手術切除部位周囲の標的組織を治療するための放射線源を受けるのに有効であり、スペーシング部材は、拡張式バルーンを切除部位周囲の組織から一定距離離して位置付けするのに有効である。
【0013】
一つのこのような態様では、スペーシング部材は、組織と第1拡張式バルーンとの間のスペーシングに適合した第2拡張式バルーンである。例えば、近接照射治療装置は、別々に膨らますことができ、かつ異なる機能に適合した(即ち、スペーシング、および放射線源の収納)近位および遠位拡張式バルーンを含むことができる。
【0014】
別の態様では、単一の拡張式バルーンが、スペーシング部材および放射線収納部の両方を含む。例えば、近接照射治療装置は、複数のローブを有する、膨張可能な表面部材を含むことができる。使用時、一つのローブは組織にスペーシングを提供し、放射線源を収納している別のローブと感受性組織との間にスペースを取ることができる。
【0015】
さらに別の態様では、拡張式表面部材の非対称部分は、スペーシング部材として機能することができる。例えば、概ね円筒の形状をした拡張式表面部材は、概ね円筒の形状に適合しない、外向きに位置付けされた非対称スペーシング領域を含むことができる。使用時、非対称スペーシング領域は、感受性組織により広いスペーシングを提供することができる。例えば、非対称領域は、スペースが取られた組織が拡張式表面部材の円筒形部分に近接する組織が受ける等線量より少ない放射線量を受けるように、組織と拡張式表面部材内に位置付けされた放射線源との間に一定のスペースを取ることができる。
【0016】
より更なる態様では、拡張式表面部材は、非対称スペーシング領域に近接する組織と拡張式表面部材内の放射線源位置との間に、非対称スペーシング領域が縮小したスペーシングを提供するように、非対称形状を含む。一つの、このような例示的非対称スペーシング領域は、拡張式表面部材の概ね一様な形状には従わない、内向きに位置付けされた非対称スペーシング領域を含む。
【0017】
発明の概要
本発明は、感受性組織への放射線源の接近を制御するための方法および装置に関する。放射線治療は、腫瘍組織と近接する正常組織細胞との間の、固有の放射線感受性の違いを利用して、周辺の正常組織の破壊は最小限に留める一方で、癌性組織を破壊することが理想的である。高線量の放射線の場合、治療を生き延びる被爆細胞の割合は、放射線量の増加に比例して一次速度論的に減少する。細胞死の増加に伴い、高線量の放射線の治療を受けた健康な組織における壊死または組織死のリスクが上昇する。
【0018】
それゆえに、本発明は、近接照射装置内の放射線源などの放射線源を、感受性組織から一定の距離をあけて位置付けするための、スペーシング部材および使用方法を提供する。機器は、近接する組織と接する放射線の量を制限し、それによって感受性組織をホットスポットから保護し、および/または医療従事者もしくは患者に接近する可能性のある他の人々に悪影響を及ぼすことがある、患者体部の外側の放射線被曝から保護するのに有効である。
【0019】
本明細書で使用する用語「近接照射治療装置」とは、腫瘍もしくは他の増殖性組織の疾患部位またはその近くの体内に送達される放射線治療を指すものである。当業者は、このような近接照射治療装置が、例えば放射性同位元素、小型X線エミッタ(小型X線管)および近接照射治療装置に関連して位置付けできる他の放射線源などの、様々な放射線源を用いることができることを認識するだろう。例示的放射性同位元素は、ベータ放射体、ガンマ放射体およびX線放射体を含み得る。例えば、放射性同位元素がベータ放射体である場合には、それは90Y、188Re、32P、186Re、106Rhおよび89Srからなる群より選択できる;放射性同位元素が、ガンマ放射体である場合には、それは60Co、137Csおよび192Irからなる群より選択できる;あるいは放射性同位元素がX線放射体である場合には、それは、103Pd、109Cd、145Sm、149Pm、169Ybおよび125Iからなる群より選択できる。
【0020】
本発明のスペーシング部材と共に使用するのに好適な近接照射治療装置の非限定例は、全体として参照により本明細書に組み入れられる、1999年4月15日出願の米国特許第6,413,204号、名称「Interstitial Brachytherapy Apparatus and Method for the Treatment of Proliferative Tissue Diseases」に開示されている。これに加えてこの出願は、放射線量におよぼすスペーシングの効果に関する詳細な情報も提供する。上記出願は、本明細書に記載する本発明と一緒の使用に有用な、拡張式外表面(例えば膨張式バルーンなどの)と共に、表面内側に配置された放射線源を有する近接照射治療装置の例を提供するが、当業者は、他の近接照射装置の構成も本発明の精神の範囲内で使用できることを理解するだろう。
【0021】
また当業者は、本発明のスペーシング部材が提供するスペーシングが、近接照射装置の位置付けおよびスペーシングに限定されないことも認識しなければならない。開示するスペーシング部材は、任意のタイプの放射線装置または他の医療装置を、手術部位周囲の組織から一定距離隔てて位置付けするのに用いることができる。
【0022】
一般的には、本発明のスペーシング部材は、多様な形状およびサイズを取ることができ、かつ放射線源と感受性組織との間に、以後所望スペーシングと呼ぶ、十分なスペースを提供するのに好ましく適合している。所望スペーシングは、癌性組織の破壊を可能にする一方で、健康組織細胞への損傷を防止するのに好ましく適合している。
【0023】
スペーシング部材は、多くの異なる態様を持つ所望スペーシングを提供できる。一つの例示的態様では、スペーシング部材は、近接照射治療装置に関連して配置するための分離型構造であり得る。あるいは、スペーシング部材は、近接照射治療装置の一部と結合、または一緒に形成できる。例えば、スペーシング部材は、近接照射治療装置のカテーテル部材またはバルーン部材と結合できるか、あるいは、さらに別の態様では、スペーシング部材は、近接照射治療装置のバルーン部材と一体的に形成できる。
【0024】
図1Aおよび1Bは、分離型近接照射治療装置と一緒に使用するためのスペーシング部材12を含む装置10の一つの態様を描いている。一般的に、装置は、スペーシング部材12、ならびに近位端16および遠位端18を有する細長挿入部材14を含む。細長部材14は、場合によっては内ルーメン20を含んでよく、カテーテル、挿入シース、または同様の装置でよい。スペーシング部材12は、内ルーメン20内に配置することができ、細長部材14の遠位端18部分上に配置もしくは結合することもでき、あるいはそれらに代わって細長部材14と一体的に形成することができる。
【0025】
図1Bに示す様に、スペーシング部材12は、実質的に円盤形であり、高さhを含む。高さhは、近接組織と近接照射治療装置との間の所望スペーシングを画定する。高さhは、提供される放射線量、および放射線源と切除部位周辺の組織との間の距離に基づいて決定できる。スペーシング部材は、任意の高さhを取ることができるが、好ましくは、高さは、約1〜5ミリメータの間であり、より好ましくは約3ミリメータである。
【0026】
図1Bはまた、直径dを有し、細長部材14に対し実質的に垂直方向に延びるスペーシング部材12も描いている。スペーシング部材の直径dは変更可能であるが、好ましくは、スペーシング部材の使用目的に基づいて決定される。例えば、スペーシング部材は、組織の特定領域を保護またはシールドするのに適合でき、それゆえに直径は、保護対象となる表面の大きさ、および近接照射治療装置の構成に基づいて決定できる。好ましくは、直径dは、約20〜60ミリメータであり、より好ましくは約40ミリメータである。
【0027】
図1Bは、実質的に円盤形のスペーシング部材12を描いているが、当業者は、スペーシング部材12が、正方形、楕円形、長方形等の任意の形状でよいことを認識するだろう。これに加えて、スペーシング部材の直径寸法dは、円盤ではない形のスペーシング部材の、高さ以外の主要寸法を表すだろう。
【0028】
使用時、スペーシング部材12は、図1Aに示す、スペーシング部材12が細長部材14の周囲に実質的に配置されている閉鎖位置と、図1Bに示す、スペーシング部材12が細長部材14から細長部材14に対し実質的に垂直の方向に、外向きに拡張している開放もしくは展開位置との間を、動くことができる。図1Aに示すように、スペーシング部材12は、細長部材14の近位端16に向かって上向きに配置され、挿入シース(図示せず)の中に挿入されている間にスペーシング部材12が開くのを防いでいる。このことは、例えばスペーシング部材12内に作られたプリーツ、細長部材14の周囲にスペーシング装置12をねじるか、もしくは巻き付ける、またはその他同様の技術などの様々な技術によって達成できる。スペーシング部材12は、閉鎖位置においては、スペーシング部材12が細長部材14の周囲を包むことができ、かつ開放位置では細長部材14から外向きに拡張できるようにする弾性材料から形成することもできる。
【0029】
当業者は、スペーシング部材12が、閉鎖位置においては、遠位を向いた方向に配置できること、または装置が挿入シースを通して挿入してから開放位置に拡張できるような任意の様式で細長部材14の周囲もしくは中に配置できることに、容易に気づくだろう。
【0030】
分離型スペーシング部材12の別の態様では、スペーシング部材は、細長部材14と一体的に形成できる。非限定例として、図2Aは、細長部材28の遠位端18上に一体的に形成され、かつ形状記憶材料から形成されているスペーシング部材32を含む、装置30を描いている。形状記憶材料は、例えば、米国特許第4,665,906号(参照によって本明細書に組み入れられている)に開示されているような金属形状記憶材料、Nitinol(登録商標)(市販されているニッケルチタン合金形状記憶材料)、または形状記憶特性を有する合成高分子材料であり得る。スペーシング部材32は、スペーシング部材32が事前に形成された位置の細長部材28に対し実質的に垂直に延びるような形に、L字型を示している。使用時、図2Bに示すように、挿入シース34は、スペーシング部材32を、挿入シース34に挿入して通過させている間、細長部材28に近接させて保持する。または、スペーシング部材32は、実質的に直線である、完全に拡張した位置で挿入シースを通し、挿入することができる(図示せず)。図2Cに示すように、ひとたびスペーシング部材が挿入シースを通過し挿入されると、スペーシング部材32は、その事前形成形状を回復する(立体的拘束の開放または体内に置かれたことによる温度上昇のいずれかに起因している)。次に器具を収縮させて、スペーシング部材32を切除部位38近位の組織36近くに配置することができる。図2BにはL字型スペーシング部材32が描かれているが、当業者は、細長部材28の長手方向軸に対し垂直な平面として形成できる円形スペーシング部材を含め、様々な形状を用いることができることを理解するだろう。
【0031】
本発明のスペーシング部材32の開放および閉鎖位置間の運動は、様々な技術によって達成できる。例えば、器具は、場合によって、スペーシング部材32を細長部材28に近接する位置まで動かして、挿入シースを通して装置の挿入を可能にし、かつ/または一度挿入されたスペーシング部材32を開放位置に戻すのに有効なワイヤー、プリーアッセンブリ、レバーまたは同様の装置等の作動部材を含むことができる(図示せず)。当業者は、様々な種類の作動部材を用いて、スペーシング部材32を切除部位38内に位置付けできることを容易に認識するだろう。
【0032】
図3A〜3Cは、膨張式バルーン部材から形成されるスペーシング部材24、ならびに図1A〜1Bに関して論じた細長部材14と類似の目的および構造の細長部材14'を有する、本発明の分離型スペーシング部材のさらに別の態様を描いている。細長部材14'は、スペーシング部材24を膨張させる空気または液体を提供するための、通路を画定している内ルーメン20'、および内ルーメン20'と連絡する口26を含む。細長部材14'は、場合によって、近接照射治療装置を受けるための第2内ルーメン(図示せず)と連絡している遠位端口を含むことができる。
【0033】
スペーシング部材24は、細長部材14'の遠位端18上の口26を主として取り巻いて密封しており、かつ図3Cに示すように、膨張した時にバルーンが近接照射治療装置と切除部位に近接する組織との間に所望のスペーシングを提供するのに適した高さhを有するような、前もって決められ拡張時の形状を含むことができる。当業者は、スペーシング部材24は、スペーシング部材24が近接照射治療装置と切除部位に近接する組織との間に所望のスペーシングを提供するのに有効である限りにおいて、任意の形状、高さhおよび直径dを有することができることを容易に認識するだろう。スペーシング部材24の高さhおよび直径dは、図1Bに関し記載したスペーシング部材12の高さhおよび直径dと同一または同様であり得る。これに加えて、スペーシング部材24の高さhは、選択した高さを有するように、バルーンを所望レベルまで膨張させることによって治療中に選択することができる。
【0034】
本発明の別の態様では、図4Aおよび4Bに示すように、スペーシング部材は、近接照射治療装置と結合、または一体的に形成することができる。図4Aは、細長部材42、スペーシング部材44および放射線源を受けるための拡張式バルーン部材46を有する、近接照射治療装置40を描いている。拡張式バルーン部材46およびスペーシング部材44は、細長部材42の遠位端18上に配置され、スペーシング部材44はバルーン部材46の近位に配置される。細長部材42は、細長部材42の遠位端18内に形成された口26と連絡する、少なくとも一つの内ルーメン20を含む。内ルーメン20は、バルーン46を膨張させる、および/または放射線を切除部位に当てるために、放射線源および/または膨張源を拡張式バルーン部材46まで運ぶのに有効である。
【0035】
スペーシング部材44は、図4Aに示す閉鎖位置と図4Bに示す開放位置との間を動くことができることが好ましい。運動は、作動部材(図示せず)によって達成でき、またはスペーシング部材44を形状記憶材料から形成し、一度切除部位内に配置されたスペーシング部材44が、適切に位置付けできるようにしてもよい。一つの態様では、拡張式バルーン部材46は、図4Bに示すように、バルーン46が拡張した時、スペーシング部材44を開放位置に移動するのに有効である。
【0036】
別の態様では、スペーシング部材24は、第1および第2バルーン部材を別々に膨張させることができる分離型バルーン部材である。細長部材42は、好ましくは、分離型膨張源をスペーシング部材44まで運ぶための手段、および拡張式バルーン46を含む。使用時、スペーシング部材44が提供するスペーシングは、スペーシング部材の膨張圧を変化させることによって調節できる。
【0037】
スペーシング部材44は、その目的および構造については、図1A〜1B、および3A〜3Cに関係して記載したスペーシング部材12および24と同様である。したがってスペーシング部材44は、任意の形状およびサイズを有することができ、必要に応じて拡張式バルーンに対し位置付けができ(近位的、遠位的等)、細長部材42と一体的に形成でき、細長部材42の上、周囲もしくは中に配置された拡張式バルーン部材であり得、または近接照射治療装置を、切除部位に近接する感受性組織の表面から一定距離に位置付けするのに有効な、任意の他のタイプの構造であり得る。
【0038】
一つの態様では、スペーシング部材は、図5Aおよび5Bに示すように、近接照射装置の拡張式バルーン部材と一体的に形成される。描かれている近接照射装置60は、細長部材62およびその遠位端上に位置付けされた拡張式バルーン64を含む、典型的な近接照射治療装置を表している。しかしながら、拡張式バルーン64は、スペーシング部材66として動作する部分を含む。図5Bは、スペーシング部材66と一緒に膨張した拡張式バルーンを示している。好ましくは、拡張式バルーンの遠位部分は、放射線源を受け、一方スペーシング部材66は、放射線源と近接組織との間に追加のスペーシングを提供する。
【0039】
近接照射治療装置を切除腔内に位置付けする時、スペーシング部材は腔入り口に近接する感受性組織を保護できる。例えば、膨張したスペーシング部材66は、切除腔開口部周囲の皮膚組織を近接照射治療装置内の放射線源からスペースをあけて保つことができる。
【0040】
近接照射治療装置60の一つの局面では、拡張式バルーンおよびスペーシング部材の膨張に用いる膨張媒体は、拡張式バルーン64とスペーシング部材66との内部の間を自由に行き来できる。したがって、一つの膨張ルーメンが拡張式バルーン64およびスペーシング部材66の両方を膨張させることができる。しかしながら別の態様では、拡張式バルーン64およびスペーシング部材66は、別々に膨張させることができ、かつ近接照射治療装置60は、好ましくは、拡張式バルーン64およびスペーシング部材66を独立に操作するための、分離型膨張ルーメンを含む。
【0041】
分離して膨張させることが可能なスペーシング部材は、使用者が拡張式バルーンおよびスペーシング部材について異なる膨張媒体を選ぶことを可能にする。例えば、拡張式バルーン64は、食塩水などの、一般的な放射線透過性流体を用いて膨張させることができ、一方、スペーシング部材66は、造影流体などの放射線遮断性の流体を用いて膨張させることができる。結果として、スペーシング部材は、近接組織とのスペーシングによりかつ放射線放出を遮断することによって、放射線量を下げることができる。
【0042】
一体的に形成されたスペーシング部材を含む、様々な、他の近接照射治療バルーンも考察される。図6Aは、細長部材62、および拡張式バルーン内に非対称の膨らみを持たせたスペーシング部材66を含む拡張式バルーン部材64を備えた、近接照射治療装置を描いている。外向きに位置付けされた非対称のスペーシング領域は、放射線源72とスペーシング部材66に近接する組織との間の距離を大きくする。図6Bは、線A-Aに沿って、細長部材の軸に対し垂直方向に切った図6Aの装置の断面図を描いている。断面図は、スペーシング部材66が作り出す、拡張式バルーンの非同心形の周線を描いている。拡張式バルーン64は、スペーシング部材66を除いては、概ね均一な形状および断面を含むことが好ましい。その結果、スペーシング部材によってスペースが取られた組織は、拡張式バルーンの他の部分に近接する組織が受ける等線量に比べ少ない放射線量を受ける。
【0043】
別の態様では、拡張式表面部材は、非対称のスペーシング領域が、非対称スペーシング領域に隣接する組織と拡張式バルーン内の放射線源位置とのスペーシングを小さくするような非対称形状を含むことができる。一つの、このような例示的非対称スペーシング領域は、拡張式表面部材の概ね均一な形状には適合しない、内向きに位置付けされた非対称スペーシング領域を含む。スペーシング部材によってスペースが取られた組織は、拡張式バルーンの他の部分に隣接する組織が受ける等線量に比べ高い放射線量を受ける。
【0044】
近接照射治療装置の拡張式バルーン内への一体型スペーシング部材の作成は、様々な方法によって達成できる。一つの態様では、拡張式バルーンは、厚みを増した(または減じた)領域を含み、バルーン拡張時には厚みを増した領域はより小さく(または大きく)拡張する。その結果バルーンは非対称の形状を取り、放射線源と近接組織との間のスペーシングが広くなった領域を提供する。例えば、図5Aおよび5Bの領域68は、拡張式バルーン64が拡張時に、領域68がより遅い速度で拡張するように、厚みを増した領域であってよい。その結果、拡張式バルーンは近位および遠位ローブを含むようになる。放射線源を拡張式バルーンの遠位ローブに置くことによって、近位ローブはスペーシング部材を提供し、拡張式部材に近接する組織が、放射線源からスペースをあけられるようになる。
【0045】
厚みを変えることができる拡張式バルーン壁は、様々な方法で達成できる。例えば、成形バルーン(例えば成形シリコンバルーン)組立て中に、型厚を変えることができる。ポリウレタンの吹込成形などの別の製造工程では、成形型キャビティを用いて、型の一つの領域の圧力および/または温度差を変えること、ならびに/あるいは押出し穴を選択的に位置付けすることによって、型に変化を創り出すことができる。バルーンの壁厚に変化を創り出す、一次製造段階における他の変形も本発明の範囲内に含まれる。
【0046】
可変壁厚を持つ近接照射治療バルーンの壁厚は、特定の最小値より高く維持され、十分な材料強度および形状制御を保持することが好ましい。これら好ましい最小値は、選択した組立材料によって変わるだろう。一例を挙げると、主にシリコンから組立てられたバルーンの最小厚は、約0.01インチであり、より更に好ましくは0.018インチ未満ではない。同様に、形状に変化をもたらすのに必要な壁厚の変化も、組立材料に依存する。シリコンバルーンの場合、拡張式バルーンの近接部分間の壁厚の変化は、好ましくは約0.001〜0.04インチの範囲内、よりさらに好ましくは約0.02〜0.035インチの範囲内である。
【0047】
拡張式近接照射治療バルーンの中に一体的に形成されるスペーシング部材を組立てる別の方法も考察されている。一つの態様では、バルーンの形状は、バルーン周囲に位置付けされた拘束スリーブによって制御できる。スリーブは、バルーン膨張時にスリーブがバルーンの一部分全体の拡張量を拘束するように、バルーンの一部分の拡張速度を制御するのが好ましい。したがって拡張時、バルーンは、放射線源から比較的広いスペーシングの非拘束領域を含む。例えば、図5Aおよび5Bの領域68は、拡張式バルーン62の周囲に巻かれた拘束スリーブであってもよい。
【0048】
拡張式バルーンは、プラスチック、金属、合成材料等を含む様々な材料から組立てることができる。これに加え材料は、拡張式バルーンの使用に応じた様々な特性を有することができる。例えば、バルーンが弾性を必要としない場合には、拡張式バルーンは、最小限の弾性を有する、もしくは弾性を持たない材料から組立てることができる。放射線不透過性材料または放射線不透過コーティングも、スペーシング部材の全てまたは一部について考察される。好適な放射線不透過材料としては、例えば、バリウム、タングステン、ビスマス、タンタルおよびスズが挙げられる。
【0049】
本発明のスペーシング部材は、様々な悪性腫瘍の治療に用いることができ、特に脳および乳房の腫瘍の治療に有用である。悪性腫瘍については、手術および放射線治療が標準的な治療である。手術の最終目標は、可能な限り多くの腫瘍を、生組織を損傷することなしに取り除くことである。全ての悪性腫瘍を除去する能力は、近接する正常組織への悪性腫瘍の持つ浸潤傾向によって制限される。部分除去は、放射線治療により治療を受ける腫瘍の量を減らし、脳腫瘍のようないくつかの状況では、脳への圧力を下げることによって、症状の緩和にも役立つ。
【0050】
これら、および他の悪性疾患を治療するための一般的な方法は、腫瘍部位を手術的に切除して、癌性腫瘍の少なくとも一部を除去し、切除腔を創ることから始まる。腫瘍の切除に続いて、しかし手術部位を閉じる前に、外科医は、腫瘍切除腔内に近接照射治療カテーテル器具を手術中に置く。いくつかの例では、近接照射治療カテーテル器具は、手術完了後数ヶ月まで腫瘍切除腔内に埋め込む、または挿入することができる。近接照射治療カテーテルには、手術中または手術から回復した後のいずれかに、医学的に適切であれば、放射線源を装填することができる。放射線源は、放射線治療に処方された線量が送られるまで、カテーテルの中に留置されるか、または放射線源は、処方線量に達成するまで、日単位もしくは他のスケジュールを基に指定された期間挿入できる。その後、放射線源は抜去され、カテーテルは取り除かれる。放射線治療は、近接照射治療器具を除去することによって終了しても、または近接照射治療にさらに外部から放射線照射を追加してもよい。
【0051】
本明細書に記載のスペーシング部材は、切除部位に近接する感受性組織からある距離をおいて近接照射治療器具を位置付けするのに有用である。スペーシング部材は、近接照射治療器具と同じ手術入り口部位から挿入することができ、または別の入り口部位から挿入することもできる。当業者は、様々な方法を用いて近接照射治療装置を、切除部位に近接する組織の外面からある距離をおいて位置付けできることを認識するだろう。
【0052】
非限定的な例として、図7A〜7Dは、近接照射治療装置50を用いて乳ガンを治療している、図1A〜Bに関係して記載したスペーシング部材10を描いている。第1段階として、癌性腫瘍部位に手術的に到達し、腫瘍の塊を手術的に切除する。次にスペーサー10および近接照射治療装置50を展開して、残った癌細胞を治療する一方で、皮膚36のような感受性組織を保護する。
【0053】
一般的に、カテーテル56の遠位端に配置された放射線源を収納するための膨張式バルーン46を含む近接照射治療装置50は、そこから外科的治療を行って腫瘍を切除したか、または近接照射治療装置50を展開させるために特別に作られた開口である手術入り口部位52から切除腔38内に挿入される(図7A)。スペーシング部材10は、別の入り口部位54から、挿入シース34を通して切除腔38内に挿入することができる(図7B)。当業者は、スペーサー10および近接照射治療装置50は、切除腔38内に任意の順序で挿入できること、およびスペーサー10は、スペーサー10の構成により別個の入り口部位54もしくは手術入り口部位52のいずれかより挿入できることを認識するだろう。例えば、図2A〜2Dのスペーシング部材30は、その構成によって、手術入り口部位52または別個の入り口部位54のいずれからか挿入することができる。図7A〜7Dに描かれている例では、別個の入り口部位54が用いられている。
【0054】
スペーシング部材10を切除腔38内に完全に挿入したならば、スペーシング部材12は、図7Cに示す開放位置に移動される。それからスペーシング部材10は、収縮させることができるか、または近接照射治療装置50のバルーン部材46を膨張させて、切除腔38の外面に押しつけることができる。場合によっては、挿入シース34を取り除き、図7Dに示すようにスペーシング部材10を切除腔38の外面に隣接させ、近接照射治療装置を皮膚36から所望のスペーシングで維持することもできる。
【0055】
いくつかの例では、スペーサーが近接照射治療装置に接続しているため、スペーシング部材は、近接照射治療装置と同一の入り口部位から挿入しなければならない。図8は、切除腔38内に位置付けされ、膨張の準備ができた図5Aおよび5Bの近接照射治療装置60を描いている。ひとたび膨張させると、スペーシング部材66は、感受性組織、特に手術入り口部位52の周囲の組織との間にスペーシングを提供することができる。図4A、4B、6Aおよび6Bの近接照射治療装置も同様に、切除腔38内に挿入でき、同様の様式で使用できる。
【0056】
上記は発明の原理を例示に過ぎず、当業者は、発明の範囲および精神から逸脱することなしに、本明細書に見い出される異なる態様からの要素の組み合わせを含むが、これに限定されない様々な変更を実施できることが理解されるだろう。本明細書に引用した全ての参照は、参照により全体として、明白に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
発明の前記の特徴、目的および利点は、以下の好ましい態様の詳しい説明から、特に添付の図面と共に考案した時、当業者に明らかになるだろう。
【0058】
【図1A】本発明の一つの態様のスペーシング部材の透視図。
【図1B】開放、拡張位置における図1Aのスペーシング部材の透視図。
【図2A】形状記憶材料で形成された本発明のスペーシング部材の、追加の態様の透視図。
【図2B】挿入シース内に一部が挿入された、図2Aのスペーシング部材の透視図。
【図2C】挿入シースを通り切除部位内に完全に挿入された、図2Aのスペーシング部材の透視図。
【図2D】近接照射治療装置を切除部位に近接する感受性組織から、ある距離をあけてスペースを取るように位置付けする、図2Aのスペーシング部材の透視図。
【図3A】本発明の膨張式バルーン部材を有する、スペーシング部材の別の態様の透視図。
【図3B】部分的に膨張した位置におけるバルーン部材を描いた、図3Aのスペーシング部材の透視図。
【図3C】完全に膨張した位置におけるバルーン部材を描いた、図3Aのスペーシング部材の透視図。
【図4A】近接照射治療装置に配置されたスペーシング要素を有する、本発明のスペーシング部材のさらに別の態様の透視図。
【図4B】開放、拡張した位置における図4Aのスペーシング部材の図。
【図5A】近接照射治療装置のバルーン部材と一体的に形成されたスペーシング部材を有する本発明のスペーシング部材の別態様の側面図。
【図5B】膨張位置における図5Aの近接照射治療装置およびスペーシング部材を描いた図。
【図6A】スペーシング部材と共に拡張式バルーンを含む、本発明の別の態様の側面図。
【図6B】線A-Aに沿った、図6Aの切断図。
【図7A】手術切除部位内に配置された近接照射治療装置、および手術切除部位挿入前の、本発明の一態様のスペーシング部材を描いた図。
【図7B】手術切除部位に一部が挿入された、図5Aに示したスペーシング部材を描いた図。
【図7C】手術切除部位に完全に挿入された、図5Aのスペーシング部材を描いた図。
【図7D】開放位置に拡張して示されている図5Aのスペーシング部材によって、手術切除部位に近接する組織からある距離をあけて位置付けされている近接照射治療装置を描いた図。
【図8】本発明の一態様のスペーシング部材を含む、手術切除位置内に配置された近接照射治療装置を描いた図。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端および遠位末端を有する細長い本体部材と、
挿入部材の遠位末端上に配置され、放射線量で手術切除部位周囲の標的組織を治療するための放射線源を受けるのに有効である拡張式表面部材であって、概ね均一な形状に適合しない外向きに位置付けされた非対称スペーシング領域以外は概ね均一な形状を有する拡張式表面部材とを含み、
該非対称スペーシング領域が、スペースが取られた組織が該拡張式表面部材の均一形状領域に隣接する組織が受け取る等線量より少ない放射線量を受け取るように、組織と放射線源との間にスペースを取る、
近接照射治療装置。
【請求項2】
非対称スペーシング領域の高さが、非対称スペーシング領域に近接して位置する感受性組織に送達される放射線を有意に減らしながら、一方で拡張式表面部材の概ね均一な形状部分に近接する組織へは放射線源から治療的放射線量を送達することができる高さである、請求項1記載の装置。
【請求項3】
非対称スペーシング領域が、拡張式表面部材の中の厚みを減らした領域である、請求項1記載の装置。
【請求項4】
拡張式表面部材が、該拡張式表面部材の少なくとも一部分を拘束するためのスリーブを含む、請求項1記載の装置。
【請求項5】
拡張式表面部材が、一つより多い非対称スペーシング領域を含む、請求項1記載の装置。
【請求項6】
拡張式表面部材が、近位端および遠位端非対称スペーシング領域を含む、請求項5記載の装置。
【請求項7】
非対称スペーシング領域が、非対称スペーシング領域が細長い本体に近接して配置される閉鎖位置と、該非対称スペーシング領域が細長い本体部材から外向きに延びた開放位置との間を動くことができる、請求項1記載の装置。
【請求項8】
拡張式表面部材が拡張式バルーンを含む、請求項1記載の装置。
【請求項9】
概ね均一な形状が、球、楕円および円筒から成る群より選択される、請求項1記載の装置。
【請求項10】
近位端および遠位末端を有する挿入部材と、
該挿入部材の遠位末端上に配置され、手術切除部位周囲の標的組織を治療するための放射線源を受けるのに有効である拡張式表面部材であって、膨張圧力が該拡張式表面部材に加えられると、該拡張式表面部材の近接部分に比べ厚みを減じた領域をより大きな割合で拡大させるように、かつ膨張時に組織と放射線源との間にスペースを取るのに適した非対称形状の拡張式表面部材を創り出すように、厚みを減じた領域を含む拡張式表面部材とを含む、
近接照射治療装置。
【請求項11】
拡張式表面部材の断面が非対称性である、請求項10記載の装置。
【請求項12】
近位端および遠位末端を有する挿入部材と、
該挿入部材の遠位末端上に配置され、手術切除部位周囲の標的組織を治療するための放射線源を受けるのに有効である拡張式表面部材であって、膨張圧力が該拡張式表面部材に加えられると、該拡張式表面部材の近接部分に比べ厚みを増した領域を低下した割合で拡大させるように、かつ膨張時に組織と放射線源との間にスペースを取るのに適した非対称形状の拡張式表面部材を創り出すように、厚みを増した領域を含む拡張式表面部材とを含む、
近接照射治療装置。
【請求項13】
拡張時に拡張式表面が近位スペーシング領域を含む、請求項12記載の近接照射治療装置。
【請求項14】
拡張時に拡張式表面が遠位スペーシング領域を含む、請求項12記載の近接照射治療装置。
【請求項15】
近位端および遠位末端を有する挿入部材と、
該挿入部材の遠位末端上に配置され、手術切除部位周囲の標的組織を治療するための放射線源を受けるのに有効である拡張式表面部材と、
該拡張式表面上に配置されたスリーブとを含み、
該スリーブが、該拡張式表面部材の一部の拡張を減じ、かつ組織と放射線源との間にスペースを取るのに適したスペーシング部材を含む非対称形状の拡張式表面部材を創り出す、近接照射治療装置。
【請求項16】
スリーブが拡張式表面部材の周囲に巻き付けられている、請求項15記載の装置。
【請求項17】
スリーブが、遠位部分とスペースを取るために近位スペーシング部材を創り出すために位置付けされている、請求項15記載の装置。
【請求項18】
近位端および遠位末端を有する細長いカテーテル本体部材と、
該カテーテル本体部材の遠位末端近くで該カテーテル本体部材と結合している拡張式表面部材であって、膨張時に、部分的に非同心性の円周を有する拡張式表面部材とを含み、
該拡張式表面部材の部分的に非同心性の円周が、該カテーテル本体部材内に配置された放射線源と、該拡張式表面部材の表面上の領域との間により広いスペーシングの局所を提供する、
近接照射治療装置。
【請求項19】
非同心性の円周が拡張式表面の中心部分に在る、請求項18記載の装置。
【請求項20】
部分的に非同心性である円周が、細長いカテーテル本体部材の長手方向軸に対し垂直な断面に見いだされる、請求項18記載の装置。
【請求項21】
近位端および遠位末端を有する挿入部材と、
該挿入部材の遠位末端上に配置され、手術切除部位周囲の標的組織を治療するための放射線源を受けるのに有効な第1拡張式表面部材と、
該第1拡張表面部材に近接して該挿入部材の遠位末端上に配置され、組織と該第1拡張式表面部材との間にスペースを取るのに有効な第2拡張式表面部材とを含む、
近接照射治療装置。
【請求項22】
第2拡張式表面部材が分離して膨張することができる、請求項21記載の装置。
【請求項23】
第2拡張式表面部材の膨張圧を変えることにより該第2拡張式表面部材が提供するスペーシングを調節する、請求項22記載の装置。
【請求項24】
近位端および遠位末端を有する挿入部材と、
該挿入部材の遠位末端上に配置され、第1近位ローブおよび第2遠位ローブを含む、拡張式表面部材と、
遠位ローブに近接して位置付けされ、かつ組織と遠位ローブとの間にスペースを取るのに有効な該第1近位ローブと、
手術切除部位周囲の標的組織を治療するための放射線源を受けるのに有効な該第2遠位ローブとを含む、
近接照射治療装置。
【請求項25】
第1および第2ローブが拡張式表面部材の厚みを減じた領域を表す、請求項24記載の装置。
【請求項26】
拡張式表面部材が第1近位ローブと第2遠位ローブとの間で挿入部材と結合する、請求項24記載の装置。
【請求項27】
拡張式表面部材がローブ間の厚みを増した領域を含む、請求項24記載の装置。

【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−507344(P2008−507344A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522658(P2007−522658)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/025603
【国際公開番号】WO2006/014654
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(506002993)サイティック コーポレーション (12)
【Fターム(参考)】