放射線治療における患者自動位置決め装置及び方法並びに患者自動位置決め用プログラム
【課題】処理全体でのDRR作成枚数を削減し、計算コストを削減して処理の高速化を図る。
【解決手段】治療計画時に取得した3次元CT画像データと位置決め時に取得する2次元のX線透視像のレジストレーションを行う際に、3次元CT画像データと2次元X線透視像の位置合わせを行うために、コンピュータ上にX線撮影のジオメトリを再現し、CT画像データに対して仮想的に透視投影を行うことで、2次元DRRを得て、該DRRとX線透視像の一致度を評価する評価関数が最大となるように、CT画像データの回転・平行移動に関する透視投影パラメータを最適化し、患者の現在位置と治療計画時位置とのずれ量を算出するようにした放射線治療における患者自動位置決めに際して、前記透視投影パラメータの最適化を、画像の変化が大きい1方向でのみDRRと実透視像の一致度の評価値を算出して行う。
【解決手段】治療計画時に取得した3次元CT画像データと位置決め時に取得する2次元のX線透視像のレジストレーションを行う際に、3次元CT画像データと2次元X線透視像の位置合わせを行うために、コンピュータ上にX線撮影のジオメトリを再現し、CT画像データに対して仮想的に透視投影を行うことで、2次元DRRを得て、該DRRとX線透視像の一致度を評価する評価関数が最大となるように、CT画像データの回転・平行移動に関する透視投影パラメータを最適化し、患者の現在位置と治療計画時位置とのずれ量を算出するようにした放射線治療における患者自動位置決めに際して、前記透視投影パラメータの最適化を、画像の変化が大きい1方向でのみDRRと実透視像の一致度の評価値を算出して行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線治療における患者自動位置決め装置及び方法並びに患者自動位置決め用プログラムに係り、特に、DRR(Digital Reconstructed Radiography)作成に必要な計算コストを低減することで、全体の処理の高速化を図ることが可能な放射線治療における患者自動位置決め装置及び方法並びに患者自動位置決め用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線治療においては、通常、治療計画と照射が別に行われる。従って、治療計画時と照射時の患者体位の再現性を保つよう、治療の際に患者の位置決めを正確に行うことで治療精度が向上する。それ故、患者位置決めは放射線治療の過程では欠かせなくなっている。
【0003】
従来、レーザを使用して患者位置決めが行われていたが、最近では高精度化のためにX線画像を使用して患者位置決めを行う技術が開発されている(特許文献1、2)。
【0004】
放射線治療は、通常、分割して行われ、現在は、図1に示す如く、治療の度に技師によって手動による正確な位置決めが行われている。これを図2に示す如く自動化するため、治療計画時に取得した3次元CT画像データと位置決め時に取得する2次元X線透視像のレジストレーションが行われている(非特許文献1)。
【0005】
具体的には、3次元CT画像データと、2次元X線透視像の位置合わせを行うために、コンピュータ上にX線撮影のジオメトリを再現し、CT画像データに対して仮想的に透視投影を行うことで、2次元DRRを得る。DRRとX線透視像の一致度を評価する評価関数が最大となるように、CT画像データの回転・平行移動に関する透視投影パラメータを最適化し、患者の現在位置と治療計画時位置とのずれ量を算出する。
【0006】
更に、2方向X線画像と治療計画時CT画像データから、患者ずれ量を自動計算する方法も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−282877号公報
【特許文献2】特開2010−57810号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】G. P. Penney,J. Weese,et al.:A comparison of similarity measures for use in 2D-3D medical image registration,IEEE Trans. Inform Technol. Biomed.17,4,586−595,1998.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
非特許文献1に記載の方法では、パラメータの最適化のために、反復してDRRを作成する必要があるが、DRR作成は多大な計算コストを要するため、短時間で位置決めを行うことが困難であるという問題点を有していた。即ち、位置決めの高精度化と、それにかかる時間はトレードオフとなり、実際の位置決め時間に15〜30分かかっており、その間、同じ体位を維持する患者にとっては苦痛である。
【0010】
又、自動位置決めの従来技術は、1つの位置決めアルゴリズムにより位置ずれ量を算出していた。体の部位により、また患者による個人差により、最適な位置決めアルゴリズムは異なっている。これをユーザが判別することは難しい。従って、位置決め部位によっては、高い精度で計算結果を提示できなかった。
【0011】
又、従来は、自動位置決め計算により算出された結果を、治療台移動へ反映するときに考慮すべき種々の不確定要素まで考慮されていない。
【0012】
これにより、手動位置決めではユーザの指示誤差や、目視判断による精度低下が生じていた。
【0013】
又、従来の患者位置決め画像は静止画像を入力としていたため、特に呼吸性移動が影響する体幹部では、参照画像と位置決め画像の呼吸位相が異なり、本質的に患者形状が異なっていたことも問題であった。
【0014】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、DRR作成に必要な計算コストを削減することで、放射線治療における患者自動位置決めの高速化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
現状の患者位置決めは、X線透視像を直交する2方向で取得するため、DRRも同様に2方向で作成し、各方向の評価値を足し合わせることで全体の評価値としている。しかし、投影軸に沿った方向に対する平行移動量パラメータを変化させた場合は、投影面においてDRRが拡大・縮小という変化となり、画像の変化が小さい。これは評価値においても同様な変化が生じると考えられ、投影軸に対する平行移動量パラメータの最適化の際には、これに直交する1方向でのみDRRと実透視像の一致度を評価値の算出を行うことで、十分最適化可能ではないかと予想される。また、位置決め対象物体の、投影軸まわりの回転移動量パラメータを変化させた場合は、投影面においてもDRRが回転移動するため、画像に生じる変化が大きく、1方向でのみDRRと実透視像の一致度を評価値の算出を行うことで、十分最適化可能ではないかと予想される。
【0016】
又、CT画像とX線画像という異なるモダリティー間の画像レジストレーションは、相互情報量を用いたレジストレーションが用いられるが、最適化計算時にlocal minimaに落ちる場合がある。また、高吸収物である骨形状に注目し、比較的計算量の少ないエッジ検出アルゴリズムを用いてレジストレーションを行う場合もある。しかし、異なるモダリティーにより取得された画像間のレジストレーションにおいては、誤差量が多くなるという欠点がある。そこで、これら2つのアルゴリズムを用いて計算することで、計算時間と精度のバランスが取れた結果を出すことができる。このように、複数の評価関数で位置ずれ量を算出した場合、これらは独立に計算される。そのため、それぞれの評価関数による位置ずれ量が異なる値を示す場合もある。それぞれの評価関数ごとの結果に、重み付け処理を行い最終的な、位置ずれ量補正値を算出することができる。
【0017】
又、最近では、4次元CTや透視撮影により時系列のデータを取得できるようになった。そこで、本発明法を時間軸に展開することで、これら時系列のデータを入力させることで、時間位相もあわせることが可能となる。
【0018】
即ち、4次元CT撮影による時系列の参照CT画像、並びに透視装置による時系列の撮影画像を扱う場合が想定される。参照CT画像の位相を指定するか、撮影画像の位相を指定するかの2つが考えられるが、どちらの方法でも、静止画像の場合と同じプロセスに、位相パラメータを加えて、順次位相を変えながら、評価関数による計算を行えば良い。
【0019】
本発明は、このような知見に基づいてなされたもので、治療計画時に取得した3次元CT画像データと位置決め時に取得する2次元のX線透視像のレジストレーションを行う際に、3次元CT画像データと2次元X線透視像の位置合わせを行うために、コンピュータ上にX線撮影のジオメトリを再現し、CT画像データに対して仮想的に透視投影を行うことで、2次元DRRを得る手段と、該DRRとX線透視像の一致度を評価する評価関数が最大となるように、CT画像データの回転・平行移動に関する透視投影パラメータを最適化し、患者の現在位置と治療計画時位置とのずれ量を算出する手段とを備えた放射線治療における患者自動位置決め装置において、前記透視投影パラメータの最適化を、画像の変化が大きい1方向でのみDRRと実透視像の一致度の評価値を算出して行う手段を備えることにより、前記課題を解決したものである。
【0020】
ここで、投影軸に沿った方向に対する平行移動量パラメータの最適化を、これに直交する1方向でのみDRRと実透視像の一致度の評価値を算出して行うことができる。
【0021】
また、投影軸周りの回転移動量パラメータを、1方向でのみDRRと実透視像の一致度の評価値を算出して行うことができる。
【0022】
また、前記位置決めに際して、複数の位置決めアルゴリズムと評価関数を使用し、それぞれの算出結果を統合して、最終的な位置ずれ量を算出することができる。
【0023】
また、参照画像取得(治療フローでは、シミュレーションという)後の自動位置決め実行時に、ユーザが手動で画像位置調整を行う場合、照射時の自動位置決め計算結果に、参照画像とCT画像のずれ量を加える手段を備えることができる。
【0024】
また、前記位置決めに際して、静止画像の場合と同じプロセスに、位相パラメータを加えて、順次位相を変えながら、評価関数による計算を行うことにより、時間軸に拡張することができる。
【0025】
また、前処理としてダウンサンプリングを行う際に、段階的にダウンサンプリングレベルを変える手段を備えることができる。
【0026】
また、前記位置決めに際して、既に取得した位置決め結果データを、現在行っている位置決め結果へ複製する手段を備えることができる。
【0027】
本発明は、又、治療計画時に取得した3次元CT画像データと位置決め時に取得する2次元のX線透視像のレジストレーションを行う際に、3次元CT画像データと2次元X線透視像の位置合わせを行うために、コンピュータ上にX線撮影のジオメトリを再現し、CT画像データに対して仮想的に透視投影を行うことで、2次元DRRを得て、該DRRとX線透視像の一致度を評価する評価関数が最大となるように、CT画像データの回転・平行移動に関する透視投影パラメータを最適化し、患者の現在位置と治療計画時位置とのずれ量を算出するようにした放射線治療における患者自動位置決め方法において、前記透視投影パラメータの最適化を、画像の変化が大きい1方向でのみDRRと実透視像の一致度の評価値を算出して行うことを特徴とする放射線治療における患者自動位置決め方法を提供するものである。
【0028】
また、治療計画時に取得した3次元CT画像データと位置決め時に取得する2次元のX線透視像のレジストレーションを行う際に、3次元CT画像データと2次元X線透視像の位置合わせを行うために、コンピュータ上にX線撮影のジオメトリを再現し、CT画像データに対して仮想的に透視投影を行うことで、2次元DRRを得て、該DRRとX線透視像の一致度を評価する評価関数が最大となるように、CT画像データの回転・平行移動に関する透視投影パラメータを最適化し、患者の現在位置と治療計画時位置とのずれ量を算出するようにした放射線治療における患者自動位置決め方法をコンピュータに行なわせるための患者自動位置決め用プログラムであって、コンピュータに、前記透視投影パラメータの最適化を、画像の変化が大きい1方向でのみDRRと実透視像の一致度の評価値を算出して行わせるステップを備えたことを特徴とする放射線治療における患者自動位置決め用プログラムを提供するものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、最適化する軸に応じて1方向でのみDRR作成を行うことによって、処理全体でのDRR作成枚数を削減し、処理の高速化を図ることができる。従って、位置決め時間を短縮することにより、患者の苦痛を軽減させるだけでなく、患者数のスループットも向上させることができる。
【0030】
更に、前処理としてダウンサンプリングを行うことで、処理の高速化が見込まれるが、画像の情報量の減少による精度低下が見込まれる。ダウンサンプリングを行わない場合、高い精度は得られるが、位置決定までに時間がかかることが予想される。そこで、段階的にダウンサンプリングレベルを変えることで、精度を保持したまま、高速な位置決めの実現を図ることができる。
【0031】
又、位置決めアルゴリズムを、複数の評価関数を使用し、それぞれの算出結果を総合的に判断して、最終的な位置ずれ量を算出することで、計算精度を向上させることができる。
【0032】
又、本発明法を時間軸に展開することで、これら時系列のデータを入力させることで、時間位相を合わせることが可能となる。具体的には、前記位置決めに際して、静止画像の場合と同じプロセスに、位相パラメータを加えて、順次位相を変えながら、評価関数による計算を行うことにより、時間軸に拡張して、呼吸位相による誤差量を軽減することが可能となる。
【0033】
又、前記位置決めに際して、複数の位置決めアルゴリズムと評価関数を使用し、それぞれの算出結果を統合して、最終的な位置ずれ量を算出した場合には、従来の自動位置決め法よりも高精度化し、患者の患部に依存しない位置決めを行うことができる。
【0034】
更に、参照画像取得(治療フローでは、シミュレーションという)後の自動位置決め実行時に、ユーザが手動で画像位置調整を行う場合、照射時の自動位置決め計算結果に、参照画像とCT画像のずれ量を加えることにより、シミュレーション時の手動位置調整を考慮した、自動位置決めが可能となる。
【0035】
本発明手法の有効性を示すため、骨盤部ファントムを用いたシミュレーション実験を行った。まず、ファントムに対して透視投影を行い、基準となるDRRを2方向で取得する。これを位置決めの基準となる参照画像と仮定する。次に、ファントムを変換マトリクスT(各軸に対し5.0[mm]、2.0[deg]平行・回転移動)で変換後に透視投影を行い、DRRを作成する。これを初期位置決め時X線透視像と仮定する。初期位置決め時X線透視像と参照画像のずれ量を提案手法により計算し、精度、計算時間を比較した。DRR作成枚数を削減した場合、従来手法と比較して、約30%の計算コスト削減ができることを確認した。また、段階的処理を導入した場合、精度を保持したまま高速化が実現できることを確認した。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】従来の放射線治療の一例の手順を示すフローチャート
【図2】従来の放射線治療の他の例の手順を示すフローチャート
【図3】本発明が適用される放射線治療システムの実施形態の全体構成を示すブロック図
【図4】同じく患者周辺を示す断面図
【図5】同じく照射ポート周辺を示す側面図
【図6】同じく正面図
【図7】変形例のレンジシフタ周辺を示す側面図
【図8】前記実施形態で用いられているスキップ機能の概略を示す図
【図9】同じくコプラナ照射で180°治療台位置が異なる場合のスキップ機能を示す平面図
【図10】本発明の第1実施形態における自動位置決めの処理手順を示すフローチャート
【図11】同じく参照画像を取得している状態を示す正面図
【図12】同じくDRR計算方法を示す斜視図
【図13】同じく計算領域を示す図
【図14】本発明の第2実施形態における自動位置決めの処理手順を示すフローチャート
【図15】本発明の実施形態においてリハーサルを実施しない場合の参照画像の作成手順を示すフローチャート
【図16】同じくリハーサルを実施する場合の参照画像の作成手順を示すフローチャート
【図17】本発明の実施形態においてダウンサンプリング法の概略を示す図
【図18】同じく自動位置決め計算時の座標計算方法を示す図
【図19】同じく自動位置決め時のリハーサルずれ量補正方法を示す図
【図20】実施例における自動位置決め前の、参照DRR画像とX線画像の重畳表示を示す図
【図21】同じく正規化相互情報量を評価関数とした自動位置決め後、参照DRR画像とX線画像の(A)垂直方向、(B)水平方向を示す重畳表示図
【図22】同じくGradient Differenceを評価関数とした自動位置決め後、参照DRR画像とX線画像の(A)垂直方向、(B)水平方向を示す重畳表示図
【図23】同じく規格化総合情報量とGradient Differenceを評価関数とした自動位置決め後、参照DRR画像とX線画像の(A)垂直方向、(B)水平方向を示す重畳表示図
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0038】
本発明が適用される放射線治療システムの実施形態は、図3に示す如く、患者10が乗せられる患者ベッド12の、例えば側方及び上方にそれぞれ配設された、水平及び垂直治療ビームをそれぞれ照射するための水平及び垂直照射ポート20、22と、X線画像を取得するための、例えば患者ベッド12の側方及び下方にそれぞれ配置される水平方向X線管30及び垂直方向X線管32と、該X線管30、32の対向位置にそれぞれ配設される2次元検出器34、36と、予めCT画像を撮影するためのCT撮像装置50と、該CT撮像装置50の撮像結果に基づいて治療計画を行うための治療計画装置52と、患者データベース(DB)54と、患者ファイルサーバ56と、前記2次元検出器34、36の出力に基づいて位置決め計算を行う位置決め計算機60と、位置決め結果に基づいて機器を制御するための機器制御用計算機62とを備えている。
【0039】
ここで、前記垂直方向X線管32は、図4に示す如く、治療室40の床42に埋めることで、床上に突起物がなくなり、又、可働部分がなくなるようにすることができる。一方、前記水平方向X線管30は図の上下方向に移動可能とし、必要なときにのみ患者10の視野に入ってくるようにして、患者への不安を低減することができる。
【0040】
前記2次元検出器34、36は、例えばフラットパネル検出器(FDD)やイメージインテンシファイヤ(I.I.)とし、いずれも照射ポート20、22のカバー内に設置して、患者との距離を十分保つとともに、接触事故を防ぐようにすることができる。前記2次元検出器34、36は、図5(2次元検出器34の例)に詳細に示す如く、照射ポート内に設置されたレンジシフタ24の患者側に配設され、患者位置決め時は図6(a)に示す如く、照射口20Aの面を覆い、一方、治療時は図6(b)に示す如く、照射口20Aを開放して治療ビームの照射を妨げないようにされている。なお、この例では2次元検出器34がレンジシフタ24と独立して設けられているが、図7に示す変形例のように、レンジシフタ24の一番患者側に2次元検出器34を配設し、レンジシフタ24の駆動機構26を利用して出し入れするように構成することで、構成を簡略化することもできる。なお、2次元画像を取得できる物であれば、FDDやI.I.以外の2次元検出器を用いることも可能である。
【0041】
以下、本実施形態における処理を詳細に説明する。
【0042】
本実施形態においては、セットアップ番号が同じ場合など、すでに取得した位置決め結果データ(画像、UID、治療台位置、サムネイル画像)を、現在行っている位置決め結果へ複製する位置決めスキップを行う。
【0043】
ノンコプラナ照射時の例を図8に示す。図8(a)では、Beam1の位置決め画像と照射確認画像の取得が終了した状況を示している。次に(図8(b))、Beam2の位置決め画像取得時に、Beam1の位置決めスキップを実施すると、位置決め画像データ(バイナリファイル、情報ファイル)、DICOM(規格)データ、そして治療台位置情報(治療台位置1)が、Beam2の位置決め結果として作業フォルダにコピーされる。TMS(治療計画装置)通知コマンドは、作業フォルダに置いてあるDICOMファイルのUID(識別子)を取得送信するためDICOMデータもコピーしている。次に、照射確認画像取得時は、実際に撮影する必要がある。
【0044】
右側照射/左側照射のコプラナ照射では、それぞれの照射方向で位置決めを行っているが、2回目の照射方向の位置決めスキップへの対応も可能である。たとえば、Beam1における「位置決め画像」と「照射確認画像」取得が終了し(図9(a))、Beam2を開始する状況とする。Beam2は、コプラナ照射であるがBeam1の位置決め時天板座標値から180°回転したベッド天板(以下、単に天板とも称する)位置である。180°天板を回転させてから「位置決め画像」取得、「照射確認画像」取得を行う場合は問題ない(図9(b)(c))。しかし、「位置決め画像」取得に対してスキップ機能を実行した場合(図9(d))、Beam1の位置決め結果情報がBeam2の位置決め結果として登録される。次に、天板を180°回転させて(図9(e))、照射確認画像を取得する。
【0045】
次に、自動位置決め機能について説明する。
【0046】
2D−3Dレジストレーションは、位置決め参照画像と撮影画像のずれ量算出を自動計算で行うモードである。位置決め参照画像は、治療計画CT画像となる。
【0047】
自動レジストレーションを選択すると、CT画像データを読み込み、2方向参照画像を表示する。CT画像データは、1つのボリュームデータとなる。
【0048】
スクリーン構成は、例えば、左上:垂直参照画像、右上:垂直撮影画像、左下:水平参照画像、右下:水平撮影画像の構成とすることができる。
【0049】
2方向FPD画像を撮影するが、すでに撮影されていれば、その画像が表示される(モード切替時に自動読込)。
【0050】
レジストレーションプリセット(詳細後述)による簡便な設定値指定が可能である。
【0051】
以下、図10を参照して、自動位置決め手順を説明する。
【0052】
1.参照CT画像取得。これは、あらかじめ撮影しておいた基準となるCT画像データである。
【0053】
2.入室した時の患者を2方向からX線撮影を行い、X線2次元画像(以下、「撮影画像」と呼ぶ。それぞれの撮影画像を「撮影画像A」、「撮影画像B」と呼ぶ。)を取得する(図11)。この撮影画像は、イメージインテンシファイヤ(I.I.)やフラットパネル検出器(FPD)により取得される。
【0054】
3.参照CT画像を用いて、撮影画像1と撮影画像2を取得したX線照射角度と同じ方向から、2次元画像(Digital Reconstructed Radiography、以下「DRR」と呼ぶ。図12)を計算し、それぞれ「参照画像A」、「参照画像B」と呼ぶ。ここでは、X線管焦点から2次元検出器(Image detector)へ、X線パスに沿ってCTボクセル値を積算していく。
【0055】
4.自動位置決め計算に使用する画像領域を、参照画像A、B上に指定する(図13)。ここでは、腹部領域の画像を使用し、自動位置決め計算を実施した。
【0056】
5.A、Bそれぞれの参照画像と撮影画像に対して、評価関数の計算結果を算出する。
【0057】
6.CT画像を画像空間上で移動や回転を行い、参照画像を作成し、評価関数の計算結果を算出する。DRRを作成することで、擬似的に患者を移動回転することと、同じ状況を作っている。
【0058】
7.参照画像を計算する位置角度を変えつつ、評価関数の計算を行う。この計算結果が最小になるまで上記6を繰り返す。参照画像の計算方向は、それぞれの位置パラメータ(移動3軸、回転3軸)を総当りで計算すると、莫大な繰り返し数と時間がかかるため、評価関数計算結果が最小値になるような最短経路を探索しつつ(最適化処理と言われている)、位置パラメータを変えていく。評価関数計算結果が最小となるときの位置パラメータが、撮影画像と参照画像の位置ずれ量の計算値となる。
【0059】
8.この位置ずれ量補正値分、治療天板を移動させると、参照画像を撮影した位置と同じ位置に患者をセットすることができる。
【0060】
A.患者位置決め精度向上1
身体部位毎に、骨が多い領域や臓器が多い領域があるため、1つの評価関数ですべての部位の自動位置決め計算を行うと、部位により計算誤差が大きくなる場合がある。そこで、このため、評価関数のパラメータを調整するなどの方法もあるが、それだけでは、高精度なずれ量を計算することが難しい。そこで、複数の評価関数を使用することで、ずれ量誤差を軽減する。複数の評価関数で位置ずれ量を算出した場合、これらは独立に計算される。そのため、それぞれの評価関数による位置ずれ量が異なる値を示す場合もある。それぞれの評価関数ごとの結果に、重み付け処理を行い最終的な、位置ずれ量補正値を算出する(ずれ量補正計算)。
【0061】
B.患者位置決め精度向上2
本発明の「自動位置決め法」は、参照CT画像からDRR画像を作成し、X線画像とのずれ量を算出する方法である。一般に、患者位置決めに使用する参照画像は、一般には治療計画で使用したCTデータを元に作成した2次元画像(Digital Reconstructed Radiography: DRR)が一般的である。この場合、参照DRR画像は、元を正せばCT画像であるため、この状況で自動位置決め計算結果のずれ量分、治療台を移動することで、参照DRRとX線画像の位置関係がほぼ一致する。
【0062】
しかし、粒子線施設では、照射前(照射直前ではなく、多くは一日以上前に実施)に実施するリハーサルというプロセスにて、CT画像から作成したDRR画像を参照画像とし、X線画像を取得して位置決めを実施する。最終的に、リハーサルにて、DRR参照画像とそこで取得したX線画像を用いて位置決めが実施される。最終的に、この二つの画像の位置関係が一致するX線画像が作成され、これが照射時参照画像となる。照射時に自動位置決めを実行する場合の計算上の参照画像は、CT画像となる。この場合、自動位置決めは、参照CT画像と撮影X線画像を用いて、これらのずれ量を算出する。このずれ量分治療台を移動しても、参照X線画像と撮影X線画像は一致しない場合がある。これは、リハーサル時に自動位置決めを実施したときに、自動位置決め結果がユーザが納得いく結果でなかったか、またはユーザの判断により、手動微調整(これをΔRと呼ぶ)を実施したことが原因である。よって、照射時自動位置決めを実施する際には、このΔRを補正した自動位置決め結果を治療台移動量に反映することで、参照X線画像と位置関係を一致させることができる。
【0063】
C.計算時間短縮化
自動位置決め計算を行う際、数百から数千回のDRR画像作成を行う。また、このDRR画像計算は、計算量が多いため、画像1枚作成のための計算時間もかかる。また、複数の評価関数を実行させる場合、評価関数の計算量も増加する。そこで、高速計算させるために、以下の方法を用いた。
・最適化法(勾配法、凸最適化など)の最適化アルゴリズム
・Graphics Processing Unit(GPU)の使用によるマルチスレッド計算
【0064】
DRR画像作成が、位置決め計算の大幅を占めている。このDRR画像作成の高速化は上記GPUの利用で改善されるが、他のアプローチとして、画像作成数の減少の工夫があげられる。本発明では、画像面内の回転、並びに移動に関しては、DRR画像作成時間よりもかなり少ない計算時間であることから、1枚のDRR画像自体を回転、移動させることで、DRR画像作成枚数を減少させている。しかし、画像面内の移動に関しては、大幅に移動を行う場合には、X線焦点と被写体の位置関係がDRR画像に影響するため、DRR画像を再作成する必要が出てくる。計算最終段階では、DRR画像作成は、微小距離、微小角度回転であることから、画像面内の移動、回転に対してDRR画像再作成を行う必要がなくなり、更に計算時間を短縮化することが可能となる。
【0065】
D.時間軸への拡張
4次元CT撮影による時系列の参照CT画像、並びに透視装置による時系列の撮影画像を扱う場合が想定される。
【0066】
参照CT画像の位相を指定するか、撮影画像の位相を指定するかの2つが考えられるが、どちらの方法でも図10に示した、静止画像の場合と同じプロセスに、図14に示す第2実施形態のように位相パラメータを加えて、順次位相を変えながら、評価関数による計算を行う。
【0067】
計算した結果は次の通りである。
【0068】
図13に示した腹部領域の患者データを使用した。図13中、四角部分が、ずれ量の計算領域である。
【0069】
1.相互情報量アルゴリズムでずれ量計算
相互情報量の評価関数は、規格化相互情報量を用いた。
【0070】
2つの画像AとBの離散確率変数をH(A)とH(B)と表すと、
【数1】
pAとpBは、画像AとBにおける周辺確率を示す。ΩTA,Bは、画像AとBの重複領域を示す。
【0071】
このときの相互情報量は、次式で表せられる。
【数2】
pT(a,b)は、同時確率密度関数である。
【0072】
離散確率変数A,Bの同時分布関数H(A,B)で規格化した下式を規格化相互情報量という。
【0073】
【数3】
移動量(X軸:0.5mm, Y軸:-3.0mm, Z軸:5mm)、回転量(X軸:5.0度, Y軸:-5.5度, Z軸:11度)の誤差を含む。
【0074】
2.エッジ検出アルゴリズムでずれ量計算
1/(1+x)の微分値でエッジを強調させる。同様な物としてsobelフィルタ、robertsフィルタなどがある。
【0075】
移動量(X軸:0.2mm, Y軸:0.0mm, Z軸:0.0mm)、回転量(X軸:0.0度, Y軸:-0.1度, Z軸:0.1度)の誤差を含む。
【0076】
3.規格化相互情報量+エッジ検出アルゴリズムを併用し、ずれ量計算
移動量(X軸:0.0mm, Y軸:0.0mm, Z軸:0.0mm)、回転量(X軸:0.0度, Y軸:0.0度, Z軸:0.0度)の誤差を含む。
【0077】
評価関数部分を含まずDRR計算のみで、CPUとGPUを用いた場合の計算時間は、CPUで計算:116秒、GPUで計算:2.8秒となった。CTデータは、512×512×256マトリックスサイズとした。
【0078】
リハーサルを実施しない場合の参照画像の作成手順を図15に、リハーサルを実施する場合の参照画像の作成手順を図16に示す。
【0079】
次に、ダウンサンプリング法について説明する。
【0080】
画像レジストレーションの解を高速に求めるため、画像データを低解像度から高解像度へと順次上げていき、計算領域を限定していく。解像度を下げると情報量が減少するため、得られる精度も低下する。ダウンサンプリングを行わない場合、高い精度は得られるが、位置決定までに時間がかかることが想定される。精度を保持したまま、高速に位置決めを行うことができるアルゴリズムが求められる。最適化手法にステージ計算を導入することで、高精度かつ、高速に位置決め可能な手法を実現できる。最適化手法であるPowell法では、イタレーションを繰り返して徐々に最適解に近づけていく。その過程で、序盤のイタレーションでは大まかな位置合わせが行われ、終盤のイタレーションでは詳細な位置合わせが行われる。そこで、Powell法にステージ計算を導入し、図17に示す如く、序盤(ステージ1)では高いダウンサンプリングレベルでイタレーションを行い、ステージが進むごとにダウンサンプリングレベルを下げていくように改良を行った。本アプリケーションでは、DRR作成後にダウンサンプリングするのではなく、DRR作成時にダウンサンプリングして計算することで、計算コスト削減を行っている。
【0081】
次に、座標計算方法について説明する。
【0082】
手動位置決め時は、撮影画像を参照画像に一致するように、撮影画像を動かす計算を行う。一方、自動位置決め時は、撮影画像に合うように参照画像(CT画像データ)を動かすため、手動位置決め時と反対方向の画像合わせとなる。
【0083】
通常、部屋座標系で計算を行うとき、回転(部屋アイソセンタ=ターゲットアイソセンタ)→並進の順序である。しかし、自動位置決め時、参照先となる撮影画像は、患者の横たわる位置により、部屋アイソセンタにターゲットアイソセンタが位置しているとは限らない。それ故、回転を行ったときの回転中心が、部屋アイソセンタ=ターゲットアイソセンタの位置以外で行われることとなり、その結果並進値に誤差が出る。
【0084】
そこで、自動位置決めでは、図18に示す如く、並進→回転(並進先位置)とした。また、手動位置決め時と参照画像−撮影画像の参照元の関係が、反対であることから、回転順序は、θ→ψ→Φの順序の反対Φ→ψ→θの順序とする。
【0085】
このようにすることで、自動位置決め結果を反映するときの回転中心位置は、ターゲットアイソセンタ=部屋アイソセンタとなる。
【0086】
次に、参照CT画像データとのずれ量補正について説明する。
【0087】
手動位置決めでは、撮影画像を参照画像に合わせる作業を行う。この参照画像は多くはリハーサル時に取得した画像である。この画像は、DRR画像(治療計画CT画像データから作成)とX線画像の合わせ込みを行ったものである。ユーザは、DRR画像に限りなく近いX線画像を取得するが、CT撮影時とリハーサル時に患者の形状が全く同じではない(Interfractional change)。そして手動位置決めを実施している以上、人の指示誤差が影響することは避けられない(この誤差量をΔRと呼ぶ。)。一方、CT画像データを参照画像として使用する自動位置決めでは、CT画像をX線画像に合わせ込む計算を行っている。自動計算の結果を反映して、患者位置を変えX線画像を取得しても、このままでは参照画像と撮影画像は完全に一致しない。
【0088】
そこで、図19に示す如く、照射時の自動位置決め計算結果に、参照画像とCT画像のずれ量(ΔR)を加えることで、照射時自動位置決め結果を治療台に正確に返すことができる。
【実施例】
【0089】
骨盤領域の患者データを使用して、本件の実施例を示す。
【0090】
自動位置決め実施前の、参照DRR画像とX線撮影画像の位置関係を図20に示す。
【0091】
正規化相互情報量を評価関数として自動計算した結果を図21に示す。正面像側面像ともに、位置が合っていないことがわかる。
【0092】
Gradient Differenceを評価関数として自動位置決め計算を実施した結果を図22に記す。Gradient Differenceは、異なる画像モダリティー間のずれ量算出には不向きであるため、X線画像の輝度により、計算精度が影響する。
【0093】
規格化相互情報量とGradient Differenceを評価関数として自動位置決め計算を行った結果を図23に記す。参照画像とX線撮影画像ともに、位置関係が良好であることがわかる。
【0094】
本実施形態においては、2次元検出器を照射ポート内に設置したので、構成が簡略であるとともに、患者への心理的負担が少ない。なお、照射ポート以外の場所に2次元検出器を設けることも可能である。X線画像の撮影方向も垂直方向と水平方向に限定されない。角度も直交2方向に限定されず、任意で良い。
【0095】
又、前記実施形態においては、照射ポートが垂直方向と水平方向に固定されていたが、本発明の適用対象はこれに限定されず、回転ガントリ内を照射ポートが移動するようにされた放射線治療システムにも同様に適用できる。Dual energy X線による骨強調画像や組織強調画像にも適応可能である。放射線も、陽子線等の粒子線を含む。
【符号の説明】
【0096】
10…患者
12…患者ベッド
20、22…照射ポート
30、32…X線管
34、36…2次元検出器
50…CT撮像装置
52…治療計画装置
54…患者データベース
56…患者ファイルサーバ
60…位置決め計算機
62…機器制御用計算機
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線治療における患者自動位置決め装置及び方法並びに患者自動位置決め用プログラムに係り、特に、DRR(Digital Reconstructed Radiography)作成に必要な計算コストを低減することで、全体の処理の高速化を図ることが可能な放射線治療における患者自動位置決め装置及び方法並びに患者自動位置決め用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線治療においては、通常、治療計画と照射が別に行われる。従って、治療計画時と照射時の患者体位の再現性を保つよう、治療の際に患者の位置決めを正確に行うことで治療精度が向上する。それ故、患者位置決めは放射線治療の過程では欠かせなくなっている。
【0003】
従来、レーザを使用して患者位置決めが行われていたが、最近では高精度化のためにX線画像を使用して患者位置決めを行う技術が開発されている(特許文献1、2)。
【0004】
放射線治療は、通常、分割して行われ、現在は、図1に示す如く、治療の度に技師によって手動による正確な位置決めが行われている。これを図2に示す如く自動化するため、治療計画時に取得した3次元CT画像データと位置決め時に取得する2次元X線透視像のレジストレーションが行われている(非特許文献1)。
【0005】
具体的には、3次元CT画像データと、2次元X線透視像の位置合わせを行うために、コンピュータ上にX線撮影のジオメトリを再現し、CT画像データに対して仮想的に透視投影を行うことで、2次元DRRを得る。DRRとX線透視像の一致度を評価する評価関数が最大となるように、CT画像データの回転・平行移動に関する透視投影パラメータを最適化し、患者の現在位置と治療計画時位置とのずれ量を算出する。
【0006】
更に、2方向X線画像と治療計画時CT画像データから、患者ずれ量を自動計算する方法も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−282877号公報
【特許文献2】特開2010−57810号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】G. P. Penney,J. Weese,et al.:A comparison of similarity measures for use in 2D-3D medical image registration,IEEE Trans. Inform Technol. Biomed.17,4,586−595,1998.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
非特許文献1に記載の方法では、パラメータの最適化のために、反復してDRRを作成する必要があるが、DRR作成は多大な計算コストを要するため、短時間で位置決めを行うことが困難であるという問題点を有していた。即ち、位置決めの高精度化と、それにかかる時間はトレードオフとなり、実際の位置決め時間に15〜30分かかっており、その間、同じ体位を維持する患者にとっては苦痛である。
【0010】
又、自動位置決めの従来技術は、1つの位置決めアルゴリズムにより位置ずれ量を算出していた。体の部位により、また患者による個人差により、最適な位置決めアルゴリズムは異なっている。これをユーザが判別することは難しい。従って、位置決め部位によっては、高い精度で計算結果を提示できなかった。
【0011】
又、従来は、自動位置決め計算により算出された結果を、治療台移動へ反映するときに考慮すべき種々の不確定要素まで考慮されていない。
【0012】
これにより、手動位置決めではユーザの指示誤差や、目視判断による精度低下が生じていた。
【0013】
又、従来の患者位置決め画像は静止画像を入力としていたため、特に呼吸性移動が影響する体幹部では、参照画像と位置決め画像の呼吸位相が異なり、本質的に患者形状が異なっていたことも問題であった。
【0014】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、DRR作成に必要な計算コストを削減することで、放射線治療における患者自動位置決めの高速化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
現状の患者位置決めは、X線透視像を直交する2方向で取得するため、DRRも同様に2方向で作成し、各方向の評価値を足し合わせることで全体の評価値としている。しかし、投影軸に沿った方向に対する平行移動量パラメータを変化させた場合は、投影面においてDRRが拡大・縮小という変化となり、画像の変化が小さい。これは評価値においても同様な変化が生じると考えられ、投影軸に対する平行移動量パラメータの最適化の際には、これに直交する1方向でのみDRRと実透視像の一致度を評価値の算出を行うことで、十分最適化可能ではないかと予想される。また、位置決め対象物体の、投影軸まわりの回転移動量パラメータを変化させた場合は、投影面においてもDRRが回転移動するため、画像に生じる変化が大きく、1方向でのみDRRと実透視像の一致度を評価値の算出を行うことで、十分最適化可能ではないかと予想される。
【0016】
又、CT画像とX線画像という異なるモダリティー間の画像レジストレーションは、相互情報量を用いたレジストレーションが用いられるが、最適化計算時にlocal minimaに落ちる場合がある。また、高吸収物である骨形状に注目し、比較的計算量の少ないエッジ検出アルゴリズムを用いてレジストレーションを行う場合もある。しかし、異なるモダリティーにより取得された画像間のレジストレーションにおいては、誤差量が多くなるという欠点がある。そこで、これら2つのアルゴリズムを用いて計算することで、計算時間と精度のバランスが取れた結果を出すことができる。このように、複数の評価関数で位置ずれ量を算出した場合、これらは独立に計算される。そのため、それぞれの評価関数による位置ずれ量が異なる値を示す場合もある。それぞれの評価関数ごとの結果に、重み付け処理を行い最終的な、位置ずれ量補正値を算出することができる。
【0017】
又、最近では、4次元CTや透視撮影により時系列のデータを取得できるようになった。そこで、本発明法を時間軸に展開することで、これら時系列のデータを入力させることで、時間位相もあわせることが可能となる。
【0018】
即ち、4次元CT撮影による時系列の参照CT画像、並びに透視装置による時系列の撮影画像を扱う場合が想定される。参照CT画像の位相を指定するか、撮影画像の位相を指定するかの2つが考えられるが、どちらの方法でも、静止画像の場合と同じプロセスに、位相パラメータを加えて、順次位相を変えながら、評価関数による計算を行えば良い。
【0019】
本発明は、このような知見に基づいてなされたもので、治療計画時に取得した3次元CT画像データと位置決め時に取得する2次元のX線透視像のレジストレーションを行う際に、3次元CT画像データと2次元X線透視像の位置合わせを行うために、コンピュータ上にX線撮影のジオメトリを再現し、CT画像データに対して仮想的に透視投影を行うことで、2次元DRRを得る手段と、該DRRとX線透視像の一致度を評価する評価関数が最大となるように、CT画像データの回転・平行移動に関する透視投影パラメータを最適化し、患者の現在位置と治療計画時位置とのずれ量を算出する手段とを備えた放射線治療における患者自動位置決め装置において、前記透視投影パラメータの最適化を、画像の変化が大きい1方向でのみDRRと実透視像の一致度の評価値を算出して行う手段を備えることにより、前記課題を解決したものである。
【0020】
ここで、投影軸に沿った方向に対する平行移動量パラメータの最適化を、これに直交する1方向でのみDRRと実透視像の一致度の評価値を算出して行うことができる。
【0021】
また、投影軸周りの回転移動量パラメータを、1方向でのみDRRと実透視像の一致度の評価値を算出して行うことができる。
【0022】
また、前記位置決めに際して、複数の位置決めアルゴリズムと評価関数を使用し、それぞれの算出結果を統合して、最終的な位置ずれ量を算出することができる。
【0023】
また、参照画像取得(治療フローでは、シミュレーションという)後の自動位置決め実行時に、ユーザが手動で画像位置調整を行う場合、照射時の自動位置決め計算結果に、参照画像とCT画像のずれ量を加える手段を備えることができる。
【0024】
また、前記位置決めに際して、静止画像の場合と同じプロセスに、位相パラメータを加えて、順次位相を変えながら、評価関数による計算を行うことにより、時間軸に拡張することができる。
【0025】
また、前処理としてダウンサンプリングを行う際に、段階的にダウンサンプリングレベルを変える手段を備えることができる。
【0026】
また、前記位置決めに際して、既に取得した位置決め結果データを、現在行っている位置決め結果へ複製する手段を備えることができる。
【0027】
本発明は、又、治療計画時に取得した3次元CT画像データと位置決め時に取得する2次元のX線透視像のレジストレーションを行う際に、3次元CT画像データと2次元X線透視像の位置合わせを行うために、コンピュータ上にX線撮影のジオメトリを再現し、CT画像データに対して仮想的に透視投影を行うことで、2次元DRRを得て、該DRRとX線透視像の一致度を評価する評価関数が最大となるように、CT画像データの回転・平行移動に関する透視投影パラメータを最適化し、患者の現在位置と治療計画時位置とのずれ量を算出するようにした放射線治療における患者自動位置決め方法において、前記透視投影パラメータの最適化を、画像の変化が大きい1方向でのみDRRと実透視像の一致度の評価値を算出して行うことを特徴とする放射線治療における患者自動位置決め方法を提供するものである。
【0028】
また、治療計画時に取得した3次元CT画像データと位置決め時に取得する2次元のX線透視像のレジストレーションを行う際に、3次元CT画像データと2次元X線透視像の位置合わせを行うために、コンピュータ上にX線撮影のジオメトリを再現し、CT画像データに対して仮想的に透視投影を行うことで、2次元DRRを得て、該DRRとX線透視像の一致度を評価する評価関数が最大となるように、CT画像データの回転・平行移動に関する透視投影パラメータを最適化し、患者の現在位置と治療計画時位置とのずれ量を算出するようにした放射線治療における患者自動位置決め方法をコンピュータに行なわせるための患者自動位置決め用プログラムであって、コンピュータに、前記透視投影パラメータの最適化を、画像の変化が大きい1方向でのみDRRと実透視像の一致度の評価値を算出して行わせるステップを備えたことを特徴とする放射線治療における患者自動位置決め用プログラムを提供するものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、最適化する軸に応じて1方向でのみDRR作成を行うことによって、処理全体でのDRR作成枚数を削減し、処理の高速化を図ることができる。従って、位置決め時間を短縮することにより、患者の苦痛を軽減させるだけでなく、患者数のスループットも向上させることができる。
【0030】
更に、前処理としてダウンサンプリングを行うことで、処理の高速化が見込まれるが、画像の情報量の減少による精度低下が見込まれる。ダウンサンプリングを行わない場合、高い精度は得られるが、位置決定までに時間がかかることが予想される。そこで、段階的にダウンサンプリングレベルを変えることで、精度を保持したまま、高速な位置決めの実現を図ることができる。
【0031】
又、位置決めアルゴリズムを、複数の評価関数を使用し、それぞれの算出結果を総合的に判断して、最終的な位置ずれ量を算出することで、計算精度を向上させることができる。
【0032】
又、本発明法を時間軸に展開することで、これら時系列のデータを入力させることで、時間位相を合わせることが可能となる。具体的には、前記位置決めに際して、静止画像の場合と同じプロセスに、位相パラメータを加えて、順次位相を変えながら、評価関数による計算を行うことにより、時間軸に拡張して、呼吸位相による誤差量を軽減することが可能となる。
【0033】
又、前記位置決めに際して、複数の位置決めアルゴリズムと評価関数を使用し、それぞれの算出結果を統合して、最終的な位置ずれ量を算出した場合には、従来の自動位置決め法よりも高精度化し、患者の患部に依存しない位置決めを行うことができる。
【0034】
更に、参照画像取得(治療フローでは、シミュレーションという)後の自動位置決め実行時に、ユーザが手動で画像位置調整を行う場合、照射時の自動位置決め計算結果に、参照画像とCT画像のずれ量を加えることにより、シミュレーション時の手動位置調整を考慮した、自動位置決めが可能となる。
【0035】
本発明手法の有効性を示すため、骨盤部ファントムを用いたシミュレーション実験を行った。まず、ファントムに対して透視投影を行い、基準となるDRRを2方向で取得する。これを位置決めの基準となる参照画像と仮定する。次に、ファントムを変換マトリクスT(各軸に対し5.0[mm]、2.0[deg]平行・回転移動)で変換後に透視投影を行い、DRRを作成する。これを初期位置決め時X線透視像と仮定する。初期位置決め時X線透視像と参照画像のずれ量を提案手法により計算し、精度、計算時間を比較した。DRR作成枚数を削減した場合、従来手法と比較して、約30%の計算コスト削減ができることを確認した。また、段階的処理を導入した場合、精度を保持したまま高速化が実現できることを確認した。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】従来の放射線治療の一例の手順を示すフローチャート
【図2】従来の放射線治療の他の例の手順を示すフローチャート
【図3】本発明が適用される放射線治療システムの実施形態の全体構成を示すブロック図
【図4】同じく患者周辺を示す断面図
【図5】同じく照射ポート周辺を示す側面図
【図6】同じく正面図
【図7】変形例のレンジシフタ周辺を示す側面図
【図8】前記実施形態で用いられているスキップ機能の概略を示す図
【図9】同じくコプラナ照射で180°治療台位置が異なる場合のスキップ機能を示す平面図
【図10】本発明の第1実施形態における自動位置決めの処理手順を示すフローチャート
【図11】同じく参照画像を取得している状態を示す正面図
【図12】同じくDRR計算方法を示す斜視図
【図13】同じく計算領域を示す図
【図14】本発明の第2実施形態における自動位置決めの処理手順を示すフローチャート
【図15】本発明の実施形態においてリハーサルを実施しない場合の参照画像の作成手順を示すフローチャート
【図16】同じくリハーサルを実施する場合の参照画像の作成手順を示すフローチャート
【図17】本発明の実施形態においてダウンサンプリング法の概略を示す図
【図18】同じく自動位置決め計算時の座標計算方法を示す図
【図19】同じく自動位置決め時のリハーサルずれ量補正方法を示す図
【図20】実施例における自動位置決め前の、参照DRR画像とX線画像の重畳表示を示す図
【図21】同じく正規化相互情報量を評価関数とした自動位置決め後、参照DRR画像とX線画像の(A)垂直方向、(B)水平方向を示す重畳表示図
【図22】同じくGradient Differenceを評価関数とした自動位置決め後、参照DRR画像とX線画像の(A)垂直方向、(B)水平方向を示す重畳表示図
【図23】同じく規格化総合情報量とGradient Differenceを評価関数とした自動位置決め後、参照DRR画像とX線画像の(A)垂直方向、(B)水平方向を示す重畳表示図
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0038】
本発明が適用される放射線治療システムの実施形態は、図3に示す如く、患者10が乗せられる患者ベッド12の、例えば側方及び上方にそれぞれ配設された、水平及び垂直治療ビームをそれぞれ照射するための水平及び垂直照射ポート20、22と、X線画像を取得するための、例えば患者ベッド12の側方及び下方にそれぞれ配置される水平方向X線管30及び垂直方向X線管32と、該X線管30、32の対向位置にそれぞれ配設される2次元検出器34、36と、予めCT画像を撮影するためのCT撮像装置50と、該CT撮像装置50の撮像結果に基づいて治療計画を行うための治療計画装置52と、患者データベース(DB)54と、患者ファイルサーバ56と、前記2次元検出器34、36の出力に基づいて位置決め計算を行う位置決め計算機60と、位置決め結果に基づいて機器を制御するための機器制御用計算機62とを備えている。
【0039】
ここで、前記垂直方向X線管32は、図4に示す如く、治療室40の床42に埋めることで、床上に突起物がなくなり、又、可働部分がなくなるようにすることができる。一方、前記水平方向X線管30は図の上下方向に移動可能とし、必要なときにのみ患者10の視野に入ってくるようにして、患者への不安を低減することができる。
【0040】
前記2次元検出器34、36は、例えばフラットパネル検出器(FDD)やイメージインテンシファイヤ(I.I.)とし、いずれも照射ポート20、22のカバー内に設置して、患者との距離を十分保つとともに、接触事故を防ぐようにすることができる。前記2次元検出器34、36は、図5(2次元検出器34の例)に詳細に示す如く、照射ポート内に設置されたレンジシフタ24の患者側に配設され、患者位置決め時は図6(a)に示す如く、照射口20Aの面を覆い、一方、治療時は図6(b)に示す如く、照射口20Aを開放して治療ビームの照射を妨げないようにされている。なお、この例では2次元検出器34がレンジシフタ24と独立して設けられているが、図7に示す変形例のように、レンジシフタ24の一番患者側に2次元検出器34を配設し、レンジシフタ24の駆動機構26を利用して出し入れするように構成することで、構成を簡略化することもできる。なお、2次元画像を取得できる物であれば、FDDやI.I.以外の2次元検出器を用いることも可能である。
【0041】
以下、本実施形態における処理を詳細に説明する。
【0042】
本実施形態においては、セットアップ番号が同じ場合など、すでに取得した位置決め結果データ(画像、UID、治療台位置、サムネイル画像)を、現在行っている位置決め結果へ複製する位置決めスキップを行う。
【0043】
ノンコプラナ照射時の例を図8に示す。図8(a)では、Beam1の位置決め画像と照射確認画像の取得が終了した状況を示している。次に(図8(b))、Beam2の位置決め画像取得時に、Beam1の位置決めスキップを実施すると、位置決め画像データ(バイナリファイル、情報ファイル)、DICOM(規格)データ、そして治療台位置情報(治療台位置1)が、Beam2の位置決め結果として作業フォルダにコピーされる。TMS(治療計画装置)通知コマンドは、作業フォルダに置いてあるDICOMファイルのUID(識別子)を取得送信するためDICOMデータもコピーしている。次に、照射確認画像取得時は、実際に撮影する必要がある。
【0044】
右側照射/左側照射のコプラナ照射では、それぞれの照射方向で位置決めを行っているが、2回目の照射方向の位置決めスキップへの対応も可能である。たとえば、Beam1における「位置決め画像」と「照射確認画像」取得が終了し(図9(a))、Beam2を開始する状況とする。Beam2は、コプラナ照射であるがBeam1の位置決め時天板座標値から180°回転したベッド天板(以下、単に天板とも称する)位置である。180°天板を回転させてから「位置決め画像」取得、「照射確認画像」取得を行う場合は問題ない(図9(b)(c))。しかし、「位置決め画像」取得に対してスキップ機能を実行した場合(図9(d))、Beam1の位置決め結果情報がBeam2の位置決め結果として登録される。次に、天板を180°回転させて(図9(e))、照射確認画像を取得する。
【0045】
次に、自動位置決め機能について説明する。
【0046】
2D−3Dレジストレーションは、位置決め参照画像と撮影画像のずれ量算出を自動計算で行うモードである。位置決め参照画像は、治療計画CT画像となる。
【0047】
自動レジストレーションを選択すると、CT画像データを読み込み、2方向参照画像を表示する。CT画像データは、1つのボリュームデータとなる。
【0048】
スクリーン構成は、例えば、左上:垂直参照画像、右上:垂直撮影画像、左下:水平参照画像、右下:水平撮影画像の構成とすることができる。
【0049】
2方向FPD画像を撮影するが、すでに撮影されていれば、その画像が表示される(モード切替時に自動読込)。
【0050】
レジストレーションプリセット(詳細後述)による簡便な設定値指定が可能である。
【0051】
以下、図10を参照して、自動位置決め手順を説明する。
【0052】
1.参照CT画像取得。これは、あらかじめ撮影しておいた基準となるCT画像データである。
【0053】
2.入室した時の患者を2方向からX線撮影を行い、X線2次元画像(以下、「撮影画像」と呼ぶ。それぞれの撮影画像を「撮影画像A」、「撮影画像B」と呼ぶ。)を取得する(図11)。この撮影画像は、イメージインテンシファイヤ(I.I.)やフラットパネル検出器(FPD)により取得される。
【0054】
3.参照CT画像を用いて、撮影画像1と撮影画像2を取得したX線照射角度と同じ方向から、2次元画像(Digital Reconstructed Radiography、以下「DRR」と呼ぶ。図12)を計算し、それぞれ「参照画像A」、「参照画像B」と呼ぶ。ここでは、X線管焦点から2次元検出器(Image detector)へ、X線パスに沿ってCTボクセル値を積算していく。
【0055】
4.自動位置決め計算に使用する画像領域を、参照画像A、B上に指定する(図13)。ここでは、腹部領域の画像を使用し、自動位置決め計算を実施した。
【0056】
5.A、Bそれぞれの参照画像と撮影画像に対して、評価関数の計算結果を算出する。
【0057】
6.CT画像を画像空間上で移動や回転を行い、参照画像を作成し、評価関数の計算結果を算出する。DRRを作成することで、擬似的に患者を移動回転することと、同じ状況を作っている。
【0058】
7.参照画像を計算する位置角度を変えつつ、評価関数の計算を行う。この計算結果が最小になるまで上記6を繰り返す。参照画像の計算方向は、それぞれの位置パラメータ(移動3軸、回転3軸)を総当りで計算すると、莫大な繰り返し数と時間がかかるため、評価関数計算結果が最小値になるような最短経路を探索しつつ(最適化処理と言われている)、位置パラメータを変えていく。評価関数計算結果が最小となるときの位置パラメータが、撮影画像と参照画像の位置ずれ量の計算値となる。
【0059】
8.この位置ずれ量補正値分、治療天板を移動させると、参照画像を撮影した位置と同じ位置に患者をセットすることができる。
【0060】
A.患者位置決め精度向上1
身体部位毎に、骨が多い領域や臓器が多い領域があるため、1つの評価関数ですべての部位の自動位置決め計算を行うと、部位により計算誤差が大きくなる場合がある。そこで、このため、評価関数のパラメータを調整するなどの方法もあるが、それだけでは、高精度なずれ量を計算することが難しい。そこで、複数の評価関数を使用することで、ずれ量誤差を軽減する。複数の評価関数で位置ずれ量を算出した場合、これらは独立に計算される。そのため、それぞれの評価関数による位置ずれ量が異なる値を示す場合もある。それぞれの評価関数ごとの結果に、重み付け処理を行い最終的な、位置ずれ量補正値を算出する(ずれ量補正計算)。
【0061】
B.患者位置決め精度向上2
本発明の「自動位置決め法」は、参照CT画像からDRR画像を作成し、X線画像とのずれ量を算出する方法である。一般に、患者位置決めに使用する参照画像は、一般には治療計画で使用したCTデータを元に作成した2次元画像(Digital Reconstructed Radiography: DRR)が一般的である。この場合、参照DRR画像は、元を正せばCT画像であるため、この状況で自動位置決め計算結果のずれ量分、治療台を移動することで、参照DRRとX線画像の位置関係がほぼ一致する。
【0062】
しかし、粒子線施設では、照射前(照射直前ではなく、多くは一日以上前に実施)に実施するリハーサルというプロセスにて、CT画像から作成したDRR画像を参照画像とし、X線画像を取得して位置決めを実施する。最終的に、リハーサルにて、DRR参照画像とそこで取得したX線画像を用いて位置決めが実施される。最終的に、この二つの画像の位置関係が一致するX線画像が作成され、これが照射時参照画像となる。照射時に自動位置決めを実行する場合の計算上の参照画像は、CT画像となる。この場合、自動位置決めは、参照CT画像と撮影X線画像を用いて、これらのずれ量を算出する。このずれ量分治療台を移動しても、参照X線画像と撮影X線画像は一致しない場合がある。これは、リハーサル時に自動位置決めを実施したときに、自動位置決め結果がユーザが納得いく結果でなかったか、またはユーザの判断により、手動微調整(これをΔRと呼ぶ)を実施したことが原因である。よって、照射時自動位置決めを実施する際には、このΔRを補正した自動位置決め結果を治療台移動量に反映することで、参照X線画像と位置関係を一致させることができる。
【0063】
C.計算時間短縮化
自動位置決め計算を行う際、数百から数千回のDRR画像作成を行う。また、このDRR画像計算は、計算量が多いため、画像1枚作成のための計算時間もかかる。また、複数の評価関数を実行させる場合、評価関数の計算量も増加する。そこで、高速計算させるために、以下の方法を用いた。
・最適化法(勾配法、凸最適化など)の最適化アルゴリズム
・Graphics Processing Unit(GPU)の使用によるマルチスレッド計算
【0064】
DRR画像作成が、位置決め計算の大幅を占めている。このDRR画像作成の高速化は上記GPUの利用で改善されるが、他のアプローチとして、画像作成数の減少の工夫があげられる。本発明では、画像面内の回転、並びに移動に関しては、DRR画像作成時間よりもかなり少ない計算時間であることから、1枚のDRR画像自体を回転、移動させることで、DRR画像作成枚数を減少させている。しかし、画像面内の移動に関しては、大幅に移動を行う場合には、X線焦点と被写体の位置関係がDRR画像に影響するため、DRR画像を再作成する必要が出てくる。計算最終段階では、DRR画像作成は、微小距離、微小角度回転であることから、画像面内の移動、回転に対してDRR画像再作成を行う必要がなくなり、更に計算時間を短縮化することが可能となる。
【0065】
D.時間軸への拡張
4次元CT撮影による時系列の参照CT画像、並びに透視装置による時系列の撮影画像を扱う場合が想定される。
【0066】
参照CT画像の位相を指定するか、撮影画像の位相を指定するかの2つが考えられるが、どちらの方法でも図10に示した、静止画像の場合と同じプロセスに、図14に示す第2実施形態のように位相パラメータを加えて、順次位相を変えながら、評価関数による計算を行う。
【0067】
計算した結果は次の通りである。
【0068】
図13に示した腹部領域の患者データを使用した。図13中、四角部分が、ずれ量の計算領域である。
【0069】
1.相互情報量アルゴリズムでずれ量計算
相互情報量の評価関数は、規格化相互情報量を用いた。
【0070】
2つの画像AとBの離散確率変数をH(A)とH(B)と表すと、
【数1】
pAとpBは、画像AとBにおける周辺確率を示す。ΩTA,Bは、画像AとBの重複領域を示す。
【0071】
このときの相互情報量は、次式で表せられる。
【数2】
pT(a,b)は、同時確率密度関数である。
【0072】
離散確率変数A,Bの同時分布関数H(A,B)で規格化した下式を規格化相互情報量という。
【0073】
【数3】
移動量(X軸:0.5mm, Y軸:-3.0mm, Z軸:5mm)、回転量(X軸:5.0度, Y軸:-5.5度, Z軸:11度)の誤差を含む。
【0074】
2.エッジ検出アルゴリズムでずれ量計算
1/(1+x)の微分値でエッジを強調させる。同様な物としてsobelフィルタ、robertsフィルタなどがある。
【0075】
移動量(X軸:0.2mm, Y軸:0.0mm, Z軸:0.0mm)、回転量(X軸:0.0度, Y軸:-0.1度, Z軸:0.1度)の誤差を含む。
【0076】
3.規格化相互情報量+エッジ検出アルゴリズムを併用し、ずれ量計算
移動量(X軸:0.0mm, Y軸:0.0mm, Z軸:0.0mm)、回転量(X軸:0.0度, Y軸:0.0度, Z軸:0.0度)の誤差を含む。
【0077】
評価関数部分を含まずDRR計算のみで、CPUとGPUを用いた場合の計算時間は、CPUで計算:116秒、GPUで計算:2.8秒となった。CTデータは、512×512×256マトリックスサイズとした。
【0078】
リハーサルを実施しない場合の参照画像の作成手順を図15に、リハーサルを実施する場合の参照画像の作成手順を図16に示す。
【0079】
次に、ダウンサンプリング法について説明する。
【0080】
画像レジストレーションの解を高速に求めるため、画像データを低解像度から高解像度へと順次上げていき、計算領域を限定していく。解像度を下げると情報量が減少するため、得られる精度も低下する。ダウンサンプリングを行わない場合、高い精度は得られるが、位置決定までに時間がかかることが想定される。精度を保持したまま、高速に位置決めを行うことができるアルゴリズムが求められる。最適化手法にステージ計算を導入することで、高精度かつ、高速に位置決め可能な手法を実現できる。最適化手法であるPowell法では、イタレーションを繰り返して徐々に最適解に近づけていく。その過程で、序盤のイタレーションでは大まかな位置合わせが行われ、終盤のイタレーションでは詳細な位置合わせが行われる。そこで、Powell法にステージ計算を導入し、図17に示す如く、序盤(ステージ1)では高いダウンサンプリングレベルでイタレーションを行い、ステージが進むごとにダウンサンプリングレベルを下げていくように改良を行った。本アプリケーションでは、DRR作成後にダウンサンプリングするのではなく、DRR作成時にダウンサンプリングして計算することで、計算コスト削減を行っている。
【0081】
次に、座標計算方法について説明する。
【0082】
手動位置決め時は、撮影画像を参照画像に一致するように、撮影画像を動かす計算を行う。一方、自動位置決め時は、撮影画像に合うように参照画像(CT画像データ)を動かすため、手動位置決め時と反対方向の画像合わせとなる。
【0083】
通常、部屋座標系で計算を行うとき、回転(部屋アイソセンタ=ターゲットアイソセンタ)→並進の順序である。しかし、自動位置決め時、参照先となる撮影画像は、患者の横たわる位置により、部屋アイソセンタにターゲットアイソセンタが位置しているとは限らない。それ故、回転を行ったときの回転中心が、部屋アイソセンタ=ターゲットアイソセンタの位置以外で行われることとなり、その結果並進値に誤差が出る。
【0084】
そこで、自動位置決めでは、図18に示す如く、並進→回転(並進先位置)とした。また、手動位置決め時と参照画像−撮影画像の参照元の関係が、反対であることから、回転順序は、θ→ψ→Φの順序の反対Φ→ψ→θの順序とする。
【0085】
このようにすることで、自動位置決め結果を反映するときの回転中心位置は、ターゲットアイソセンタ=部屋アイソセンタとなる。
【0086】
次に、参照CT画像データとのずれ量補正について説明する。
【0087】
手動位置決めでは、撮影画像を参照画像に合わせる作業を行う。この参照画像は多くはリハーサル時に取得した画像である。この画像は、DRR画像(治療計画CT画像データから作成)とX線画像の合わせ込みを行ったものである。ユーザは、DRR画像に限りなく近いX線画像を取得するが、CT撮影時とリハーサル時に患者の形状が全く同じではない(Interfractional change)。そして手動位置決めを実施している以上、人の指示誤差が影響することは避けられない(この誤差量をΔRと呼ぶ。)。一方、CT画像データを参照画像として使用する自動位置決めでは、CT画像をX線画像に合わせ込む計算を行っている。自動計算の結果を反映して、患者位置を変えX線画像を取得しても、このままでは参照画像と撮影画像は完全に一致しない。
【0088】
そこで、図19に示す如く、照射時の自動位置決め計算結果に、参照画像とCT画像のずれ量(ΔR)を加えることで、照射時自動位置決め結果を治療台に正確に返すことができる。
【実施例】
【0089】
骨盤領域の患者データを使用して、本件の実施例を示す。
【0090】
自動位置決め実施前の、参照DRR画像とX線撮影画像の位置関係を図20に示す。
【0091】
正規化相互情報量を評価関数として自動計算した結果を図21に示す。正面像側面像ともに、位置が合っていないことがわかる。
【0092】
Gradient Differenceを評価関数として自動位置決め計算を実施した結果を図22に記す。Gradient Differenceは、異なる画像モダリティー間のずれ量算出には不向きであるため、X線画像の輝度により、計算精度が影響する。
【0093】
規格化相互情報量とGradient Differenceを評価関数として自動位置決め計算を行った結果を図23に記す。参照画像とX線撮影画像ともに、位置関係が良好であることがわかる。
【0094】
本実施形態においては、2次元検出器を照射ポート内に設置したので、構成が簡略であるとともに、患者への心理的負担が少ない。なお、照射ポート以外の場所に2次元検出器を設けることも可能である。X線画像の撮影方向も垂直方向と水平方向に限定されない。角度も直交2方向に限定されず、任意で良い。
【0095】
又、前記実施形態においては、照射ポートが垂直方向と水平方向に固定されていたが、本発明の適用対象はこれに限定されず、回転ガントリ内を照射ポートが移動するようにされた放射線治療システムにも同様に適用できる。Dual energy X線による骨強調画像や組織強調画像にも適応可能である。放射線も、陽子線等の粒子線を含む。
【符号の説明】
【0096】
10…患者
12…患者ベッド
20、22…照射ポート
30、32…X線管
34、36…2次元検出器
50…CT撮像装置
52…治療計画装置
54…患者データベース
56…患者ファイルサーバ
60…位置決め計算機
62…機器制御用計算機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療計画時に取得した3次元CT画像データと位置決め時に取得する2次元のX線透視像のレジストレーションを行う際に、3次元CT画像データと2次元X線透視像の位置合わせを行うために、コンピュータ上にX線撮影のジオメトリを再現し、CT画像データに対して仮想的に透視投影を行うことで、2次元DRRを得る手段と、
該DRRとX線透視像の一致度を評価する評価関数が最大となるように、CT画像データの回転・平行移動に関する透視投影パラメータを最適化し、患者の現在位置と治療計画時位置とのずれ量を算出する手段とを備えた放射線治療における患者自動位置決め装置において、
前記透視投影パラメータの最適化を、画像の変化が大きい1方向でのみDRRと実透視像の一致度の評価値を算出して行う手段を備えたことを特徴とする放射線治療における患者自動位置決め装置。
【請求項2】
投影軸に沿った方向に対する平行移動量パラメータの最適化を、これに直交する1方向でのみDRRと実透視像の一致度の評価値を算出して行うことを特徴とする請求項1に記載の放射線治療における患者自動位置決め装置。
【請求項3】
投影軸周りの回転移動量パラメータを、1方向でのみDRRと実透視像の一致度の評価値を算出して行うことを特徴とする請求項1に記載の放射線治療における患者自動位置決め装置。
【請求項4】
前記位置決めに際して、複数の位置決めアルゴリズムと評価関数を使用し、それぞれの算出結果を統合して、最終的な位置ずれ量を算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の放射線治療における患者自動位置決め装置。
【請求項5】
参照画像取得後の自動位置決め実行時に、ユーザが手動で画像位置調整を行う場合、照射時の自動位置決め計算結果に、参照画像とCT画像のずれ量を加える手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の放射線治療における患者自動位置決め装置。
【請求項6】
前記位置決めに際して、静止画像の場合と同じプロセスに、位相パラメータを加えて、順次位相を変えながら、評価関数による計算を行うことにより、時間軸に拡張することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の放射線治療における患者自動位置決め装置。
【請求項7】
前処理としてダウンサンプリングを行う際に、段階的にダウンサンプリングレベルを変える手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の放射線治療における患者自動位置決め装置。
【請求項8】
前記位置決めに際して、既に取得した位置決め結果データを、現在行っている位置決め結果へ複製する手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の放射線治療における患者自動位置決め装置。
【請求項9】
治療計画時に取得した3次元CT画像データと位置決め時に取得する2次元のX線透視像のレジストレーションを行う際に、3次元CT画像データと2次元X線透視像の位置合わせを行うために、コンピュータ上にX線撮影のジオメトリを再現し、CT画像データに対して仮想的に透視投影を行うことで、2次元DRRを得て、該DRRとX線透視像の一致度を評価する評価関数が最大となるように、CT画像データの回転・平行移動に関する透視投影パラメータを最適化し、患者の現在位置と治療計画時位置とのずれ量を算出するようにした放射線治療における患者自動位置決め方法において、
前記透視投影パラメータの最適化を、画像の変化が大きい1方向でのみDRRと実透視像の一致度の評価値を算出して行うことを特徴とする放射線治療における患者自動位置決め方法。
【請求項10】
治療計画時に取得した3次元CT画像データと位置決め時に取得する2次元のX線透視像のレジストレーションを行う際に、3次元CT画像データと2次元X線透視像の位置合わせを行うために、コンピュータ上にX線撮影のジオメトリを再現し、CT画像データに対して仮想的に透視投影を行うことで、2次元DRRを得て、該DRRとX線透視像の一致度を評価する評価関数が最大となるように、CT画像データの回転・平行移動に関する透視投影パラメータを最適化し、患者の現在位置と治療計画時位置とのずれ量を算出するようにした放射線治療における患者自動位置決め方法をコンピュータに行なわせるための患者自動位置決め用プログラムであって、
コンピュータに、前記透視投影パラメータの最適化を、画像の変化が大きい1方向でのみDRRと実透視像の一致度の評価値を算出して行わせるステップを備えたことを特徴とする放射線治療における患者自動位置決め用プログラム。
【請求項1】
治療計画時に取得した3次元CT画像データと位置決め時に取得する2次元のX線透視像のレジストレーションを行う際に、3次元CT画像データと2次元X線透視像の位置合わせを行うために、コンピュータ上にX線撮影のジオメトリを再現し、CT画像データに対して仮想的に透視投影を行うことで、2次元DRRを得る手段と、
該DRRとX線透視像の一致度を評価する評価関数が最大となるように、CT画像データの回転・平行移動に関する透視投影パラメータを最適化し、患者の現在位置と治療計画時位置とのずれ量を算出する手段とを備えた放射線治療における患者自動位置決め装置において、
前記透視投影パラメータの最適化を、画像の変化が大きい1方向でのみDRRと実透視像の一致度の評価値を算出して行う手段を備えたことを特徴とする放射線治療における患者自動位置決め装置。
【請求項2】
投影軸に沿った方向に対する平行移動量パラメータの最適化を、これに直交する1方向でのみDRRと実透視像の一致度の評価値を算出して行うことを特徴とする請求項1に記載の放射線治療における患者自動位置決め装置。
【請求項3】
投影軸周りの回転移動量パラメータを、1方向でのみDRRと実透視像の一致度の評価値を算出して行うことを特徴とする請求項1に記載の放射線治療における患者自動位置決め装置。
【請求項4】
前記位置決めに際して、複数の位置決めアルゴリズムと評価関数を使用し、それぞれの算出結果を統合して、最終的な位置ずれ量を算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の放射線治療における患者自動位置決め装置。
【請求項5】
参照画像取得後の自動位置決め実行時に、ユーザが手動で画像位置調整を行う場合、照射時の自動位置決め計算結果に、参照画像とCT画像のずれ量を加える手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の放射線治療における患者自動位置決め装置。
【請求項6】
前記位置決めに際して、静止画像の場合と同じプロセスに、位相パラメータを加えて、順次位相を変えながら、評価関数による計算を行うことにより、時間軸に拡張することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の放射線治療における患者自動位置決め装置。
【請求項7】
前処理としてダウンサンプリングを行う際に、段階的にダウンサンプリングレベルを変える手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の放射線治療における患者自動位置決め装置。
【請求項8】
前記位置決めに際して、既に取得した位置決め結果データを、現在行っている位置決め結果へ複製する手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の放射線治療における患者自動位置決め装置。
【請求項9】
治療計画時に取得した3次元CT画像データと位置決め時に取得する2次元のX線透視像のレジストレーションを行う際に、3次元CT画像データと2次元X線透視像の位置合わせを行うために、コンピュータ上にX線撮影のジオメトリを再現し、CT画像データに対して仮想的に透視投影を行うことで、2次元DRRを得て、該DRRとX線透視像の一致度を評価する評価関数が最大となるように、CT画像データの回転・平行移動に関する透視投影パラメータを最適化し、患者の現在位置と治療計画時位置とのずれ量を算出するようにした放射線治療における患者自動位置決め方法において、
前記透視投影パラメータの最適化を、画像の変化が大きい1方向でのみDRRと実透視像の一致度の評価値を算出して行うことを特徴とする放射線治療における患者自動位置決め方法。
【請求項10】
治療計画時に取得した3次元CT画像データと位置決め時に取得する2次元のX線透視像のレジストレーションを行う際に、3次元CT画像データと2次元X線透視像の位置合わせを行うために、コンピュータ上にX線撮影のジオメトリを再現し、CT画像データに対して仮想的に透視投影を行うことで、2次元DRRを得て、該DRRとX線透視像の一致度を評価する評価関数が最大となるように、CT画像データの回転・平行移動に関する透視投影パラメータを最適化し、患者の現在位置と治療計画時位置とのずれ量を算出するようにした放射線治療における患者自動位置決め方法をコンピュータに行なわせるための患者自動位置決め用プログラムであって、
コンピュータに、前記透視投影パラメータの最適化を、画像の変化が大きい1方向でのみDRRと実透視像の一致度の評価値を算出して行わせるステップを備えたことを特徴とする放射線治療における患者自動位置決め用プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2013−99431(P2013−99431A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244898(P2011−244898)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 掲載アドレス :https://plaza.umin.ac.jp/▲〜▼jsmp/101th/ 掲載年月日 :平成23年5月9日
【出願人】(301032942)独立行政法人放射線医学総合研究所 (149)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 掲載アドレス :https://plaza.umin.ac.jp/▲〜▼jsmp/101th/ 掲載年月日 :平成23年5月9日
【出願人】(301032942)独立行政法人放射線医学総合研究所 (149)
【Fターム(参考)】
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