説明

放射線治療のための方法及び装置

ラジウム−223,ラジウム−224,ラドン−219及びラドン−220からなる群から選択される放射性核種の予め決められた量を対象の腫瘍の近く及び/又はその内部に予め決められた時間、位置付けることを含む放射線治療方法。前記予め決められた量及び前記予め決められた時間は前記放射性核種が予め決められた治療線量の崩壊系列核及びアルファ粒子を前記腫瘍中に投与するのに十分なように選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線治療、特に放射性核種の崩壊系列核(decay chain nuclei)を使用する放射線治療のための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は現在の世界において主要な死因である。癌の有効的な治療は悪性腫瘍の早期発見後に最も容易に達成される。(化学療法以外の)癌を治療するために使用される技術のほとんどは脳、胸、卵巣、結腸などの器官の規定された腫瘍部位に対して向けられる。
【0003】
異常細胞の塊りが固化され、かつ十分に大きいとき、加熱、冷却、照射又は化学切除を使用する腫瘍塊の破壊、外科的除去が可能になる。なぜならばターゲットは容易に識別可能であり、限局化可能であるからである。しかしながら、原発部位で最初に起こった癌が異常細胞の拡散集団として隣接器官に転移して広がることは珍しいことではない。
【0004】
照射によって腫瘍を治療するための幾つかの方法が公知である。かかる方法の一つはレーザ光を使用することであり、それはレーザビームと組織の間の直線的な相互作用によって、又は組織に注射又は投与される光活性分子を使用する光化学反応の活性化によって望ましくない細胞を破壊することができる。例えば、光力学療法(PDT)として知られる方法では、迅速に分裂する細胞に結合する感光性薬剤が対象に投与される。続いて、感光性薬剤は狭幅レーザを使用して照射され、化学反応を誘導して反応生成物の生成を生じ、次いでそれが異常組織を破壊する。
【0005】
PDT技術は多数の欠点及び制限を有する。感光性薬剤を活性化するためには特定の波長で腫瘍に多量のレーザ照射を送出することが必要である。ほとんどの感光性薬剤は3センチメートル以下の組織を透過できるにすぎない波長で活性化される。従って、非又は最小侵襲性PDTは皮膚の表面上又はその近く、又は内部の器官の内層にある癌増殖に対して使用されることができる。
【0006】
放射線治療(radiation therapy,radiotherapy,又はtherapeutic radiology)は疾患の治療又は軽減における放射線源の使用である。放射線治療は典型的には、イオン化放射線、深い組織に透過する線を利用し、それは冒された細胞と物理的かつ化学的に反応してそれらを破壊することができる。各治療プログラムは各治療期間の放射線の種類及び量、治療期間の頻度及び期間の全回数によって規定される放射線量を有する。
【0007】
放射線治療は良く規定された空間的輪郭を有する固化した腫瘍を治療するために特に好適である。かかる腫瘍は胸、腎臓及び前立腺癌、並びに脳、肺及び肝臓における二次増殖において遭遇される。
【0008】
一般的に、放射線治療の主流はいわゆる外部照射による治療、即ち外部源(例えばガンマ線)の照射でヒト対象物において増殖した内部腫瘍を治療することに向けられている。あるいは、放射性源(典型的には電子放出源)が体内に挿入される。
【0009】
対象の健康的な領域に対する悪影響を避けるために、投与される線量を目標領域に対して最大とする(癌細胞を殺すことを確実にする)一方、他の領域への線量を最小にする(望ましくない損傷を避ける)。最も一般的には、放射線治療は補助的な使用方法として使用され、例えば人体の外科的開腹、悪性腫瘍の除去、及び身体部分の縫合後に外部源の放射線量にさらすことによって完全に除去されないレムナント腫瘍細胞を治療するか又は関連する身体部分の縫合前にレムナント腫瘍細胞に直接放射線量を照射する。
【0010】
様々な種類の放射線がそれらの殺細胞効率において幅広く異なることが良く知られている。ガンマ及びベータ線は相対的に低い効率を有する。対照的に、アルファ粒子並びに他の重荷電粒子は多量のエネルギーを移動させることができ、従って極めて効率的である。ある条件では、単一の重粒子によって移動されるエネルギーは細胞を破壊するのに十分である。さらに、目標細胞のまわりの正常組織の非特異的照射は大きく低減されるか又は存在しない。なぜならば重粒子は数個の細胞の直径の距離にわたって放射線を送出できるからである。
【0011】
他方、ヒト組織のそれらの範囲が0.1ミリメートル未満であるという事実は、重粒子を使用できる方法の回数を制限する。特に、アルファ粒子による従来の放射線治療は腫瘍が皮膚の表面上にあるときに外的に行なわれることが一般的である。
【0012】
従って、上記制限のない、放射性核種の崩壊系列核及びアルファ粒子を使用する放射線治療のための方法及び装置に対する必要性が広く認識されており、それらを持つことは極めて有利であるだろう。
【発明の開示】
【0013】
本発明の一側面によれば、ラジウム−223,ラジウム−224,ラドン−219及びラドン−220からなる群から選択される放射性核種の予め決められた量を対象の腫瘍の近く及び/又はその内部に予め決められた時間、位置付けることを含む放射線治療法であって、予め決められた量及び予め決められた時間は放射性核種が予め決められた治療線量の崩壊系列核及びアルファ粒子を腫瘍中に投与するのに十分なように選択される放射線治療法が提供される。
【0014】
以下に記載される本発明の好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、方法はいったん予め決められた治療線量の崩壊系列核及びアルファ粒子が投与されたら腫瘍の放射性核種を除去することをさらに含む。
【0015】
本発明の別の側面によれば、対象の身体に存在する腫瘍及びそのレムナントを除去する方法であって、(a)腫瘍の少なくとも一部をデバルキングし、腫瘍の周囲の組織を露出し;(b)ラジウム−223,ラジウム−224,ラドン−219及びラドン−220からなる群から選択される放射性核種の予め決められた量を周囲組織の近く及び/又はその内部に予め決められた時間、位置付け、予め決められた量及び予め決められた時間は放射性核種が予め決められた治療線量の崩壊系列核及びアルファ粒子を周囲組織に投与するのに十分なように選択されることを含む方法が提供される。
【0016】
以下に記載される本発明の好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、デバルキングは腹腔鏡で実施される。
【0017】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、デバルキングは内視鏡で実施される。
【0018】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、デバルキングは外科的に実施される。
【0019】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、デバルキングは切除的に(ablatively)実施される。
【0020】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、デバルキングはレーザビームによって実施される。
【0021】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、デバルキングは熱を腫瘍に適用することを含む。
【0022】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、デバルキングはマイクロ波アンテナによって実施される。
【0023】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、デバルキングは無線周波数電極によって実施される。
【0024】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、デバルキングは超音波装置によって実施される。
【0025】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、放射性核種の位置付けは表面を有する少なくとも一つの放射線治療装置によって行なわれ、その表面の真上又は真下に放射性核種がある。
【0026】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、放射線治療装置は針を含む。
【0027】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、放射線治療装置は少なくとも一つのビーズを含む。
【0028】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、放射性核種は溶質に溶解可能であり、さらに放射性核種を位置付けることは対象の腫瘍の近く及び/又はその内部に溶質中の放射性核種の溶液を投与することを含む。
【0029】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、方法はアルファ粒子の線量を記録することをさらに含む。
【0030】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、記録は光ルミネセント材料のシートによって行なわれる。
【0031】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、記録は光刺激性燐光体のシートによって行なわれる。
【0032】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、予め決められた時間は約10秒〜約10時間である。
【0033】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、予め決められた時間は数日である。
【0034】
本発明の別の側面によれば、対象の身体中に少なくとも部分的に導入されるように適応されたプローブ、及びラジウム−223及びラジウム−224からなる群から選択される放射性核種を含む放射線治療装置であって、放射性核種のアルファ粒子及び崩壊系列核がプローブの表面の外側に放射されるような方法でプローブの表面の真上又は真下にある放射線治療装置が提供される。
【0035】
以下に記載される本発明の好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、プローブは保護コートによって被覆される。
【0036】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、保護コートの材料及び厚さの少なくとも一つは崩壊系列核及びアルファ粒子の放射を妨げないように選択される。
【0037】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、プローブは内部の細長い部材と、その内部の細長い部材を収容するために構成された口区域を有する外部の管状部材を含み、内部の細長い部材は外部の管状部材内で移動可能であり、かつ遠位端及び近位端を有し、放射性核種が遠位端の表面の真上又は真下にある。
【0038】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、装置は内部の細長い部材の近位端に接続された操作ワイヤをさらに含む。
【0039】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、装置は放射性核種、崩壊系列核及びアルファ粒子を検出することができる検出器をさらに含む。
【0040】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、検出器はプローブと操作的に関連する。
【0041】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、検出器は口区域を通して挿入されるように適応される。
【0042】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、検出器は光ルミネセント材料を含む。
【0043】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、検出器は光刺激性燐光体を含む。
【0044】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、プローブはそこから放射性核種の少なくとも一部を放出することができ、それによって崩壊系列核及びアルファ粒子の放射前に放射性核種の分布を可能にする。
【0045】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、放射性核種の少なくとも一部の放出は体液によって行なわれる。
【0046】
本発明のさらに別の側面によれば、放射線治療装置の製造方法であって、(a)表面を有するプローブを提供し;(b)放射性核種の流束に表面を位置付け;そして(c)表面の真上又は真下の放射性核種の核を収集し、それによって放射線治療装置を製造することを含む方法が提供される。
【0047】
本発明の好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、収集は減圧下での直接埋込みによって行なわれる。
【0048】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、収集は表面を負の極性の電圧源に接続することによって行なわれる。
【0049】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、放射性核種の流束における表面の位置付けはガス環境で行なわれる。
【0050】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、ガス環境の圧力及び電圧源の電圧は核の速度が熱速度に低下されるように選択される。
【0051】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、工程(b)及び(c)は放射性核種の崩壊系列核及びアルファ粒子が表面の外側に放射されるような方法でなされる。
【0052】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、プローブは少なくとも一つの針を含む。
【0053】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、プローブは少なくとも一つのビーズを含む。
【0054】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、プローブは内視鏡の先端である。
【0055】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、プローブは腹腔鏡の先端である。
【0056】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、プローブは撮像装置の先端である。
【0057】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、プローブは内部の細長い部材と、その内部の細長い部材を収容するために構成された口区域を有する外部の管状部材を含み、内部の細長い部材は外部の管状部材内で移動可能であり、かつ遠位端及び近位端を有し、放射性核種が遠位端の表面の真上又は真下で収集される。
【0058】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、外部の管状部材はそれを通る内部の細長い部材の遠位端の突出を可能にするための少なくとも一つの窓を含む。
【0059】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、少なくとも一つの窓は外部の管状部材の側壁上にある。
【0060】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、外部の管状部材は崩壊系列核及びアルファ粒子を吸収できる材料から作られる。
【0061】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、内部の細長い部材及び外部の管状部材は各々独立して可撓性である。
【0062】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、方法は保護コートによって表面を被覆することをさらに含む。
【0063】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、保護コートの材料及び厚さの少なくとも一つは崩壊系列核及びアルファ粒子のプローブの表面からの放射を妨げないように選択される。
【0064】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、崩壊系列核の出て行く流束は約10〜約10原子/秒である。
【0065】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、放射性核種の表面密度は約1010〜約1013原子/cmである。
【0066】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、プローブは約100レム〜約100000レムの放射線を投与することができる。
【0067】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、プローブは約1000レム〜約10000レムの放射線を投与することができる。
【0068】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、放射性核種の活性は約10ナノキュリー〜約10マイクロキュリーである。
【0069】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、放射性核種の活性は約10ナノキュリー〜約1マイクロキュリーである。
【0070】
本発明のさらに別の側面によれば、放射性表面源の製造方法であって、(a)予め決められた量の放射性同位体を含有する溶液を与え;そして(b)金属表面上に溶液を分布して金属と溶液の混合物を与え、それによって放射性表面源を与えることを含む方法が提供される。
【0071】
以下に記載された本発明の好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、溶液は酸性溶液である。
【0072】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、放射性同位体はウラン−232を含む。
【0073】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、放射性同位体は塩化ウラニルを含む。
【0074】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、酸性溶液は塩酸を含む。
【0075】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、金属表面は支持体上に少なくとも一つの金属を蒸発することによって製造される。
【0076】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、金属表面はニッケル、モリブデン及びパラジウムからなる群から選択される少なくとも一つの金属を含む。
【0077】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、支持体はシリコンから作られる。
【0078】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、方法は酸性溶液の層を金属上に分布する前に金属を冷却することをさらに含む。
【0079】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、方法は酸性溶液の層の分布と実質的に同時に、金属上にガスの流れを適用することをさらに含む。
【0080】
記載された好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、ガスは空気である。
【0081】
本発明はアルファ放射線を使用する放射線治療を実施することができる方法及び装置を提供することによって現在知られている構成の欠点を首尾よく対処する。
【0082】
特に別の定義がない限り、本書で使用する全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の通常の熟練者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。本書に記載するのと同様または同等の方法および材料を、本発明の実施または試験に使用することができるが、適切な方法および材料を下述する。競合する場合、定義を含め本特許明細書が支配する。加えて、材料、方法、および実施例は単なる例証であって、限定を意図するものではない。
【0083】
本発明の方法およびシステムの実現は、選択されたタスクまたは工程を手動的に、自動的に、またはそれらの組合わせにより、実行または完遂することを含む。さらに、本発明の方法およびシステムの好適な実施形態の実際の計装および設備では、幾つかの選択された工程は、ハードウェアによって、または任意のファームウェアの任意のオペレーティングシステム上のソフトウェアによって、またはそれらの組合せによって実現することができる。例えば、ハードウェアとしては、本発明の選択された工程は、チップまたは回路として実現することができる。ソフトウェアとしては、本発明の選択された工程は、任意の適切なオペレーティングシステムを使用してコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実現することができる。いずれの場合も、本発明の方法およびシステムの選択された工程は、複数の命令を実行するためのコンピューティングプラットフォームのような、データプロセッサによって実行されると記載することができる。
【0084】
図面の簡単な記述
本発明を本書では、単なる実施例として、添付の図面に関連して説明する。今、特に図面の詳細について関連して、図示する細部は例であって、本発明の好適な実施形態の例証説明を目的としているにすぎず、発明の原理および概念的側面の最も有用かつ分かり易い記述であると信じられるものを提供するために提示することを強調しておく。これに関し、発明の構造上の詳細を発明の基本的理解に必要である以上に詳しく示そうとはせず、図面に照らした記述は、本発明の幾つかの形態をいかに実際に具現することができるかを、当業者に明らかにする。
【0085】
図1aは本発明の好ましい実施態様による放射線治療装置の概略図である。
図1bはビーズが使用される好ましい実施態様における放射線治療装置の概略図である。
図1cは内部の細長い部材と外部の管状部材を含む、好ましい実施態様における放射線治療装置の概略図である。
図1dは内部の細長い部材が外部の管状部材の壁に形成された窓を通って突出する、好ましい実施態様における図1cの放射線治療装置の概略図である。
図2a−cは本発明の好ましい実施態様による、静電力を使用して放射性核種が針上に埋め込まれる実験の実験構成を示す。
図3a−bは本発明の好ましい実施態様による、U−232の表面源が作られる実験におけるコレクタ(図3a)及び源(図3b)の放射能分布を示す。
図4a−dは本発明の好ましい実施態様による、LAPC4前立腺腫瘍を有するマウスでのインビボ実験に使用される検出プローブの概略図である。
図5は本発明の好ましい実施態様による、LAPC4前立腺腫瘍を有するマウスでのエクスビボ実験における腫瘍で作られたスライスの概略図である。
図6aは図4aの検出プローブによって記録された像である。
図6bは図6aの像に対応する放射線グラフである。
図7aは図4bの検出プローブによって記録された像である。
図7bは図7aの像に対応する放射線グラフである。
図8aは図4cの検出プローブによって記録された像である。
図8bは図8aの像に対応する放射線グラフである。
図9は図5のスライスの放射線パターンの像である。
図10a−fはB−16メラノーマを有するマウスでの実験における三つの連続放射線測定の像(図10a,10c及び10e)及び対応する放射線グラフ(それぞれ図10b,10d及び10f)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0086】
本発明は放射線治療に使用されることができる方法及び装置である。特に、本発明は、特に限定されないがラジウム−223,ラジウム−224,ラドン−219及びラドン−220の如き放射性核種の崩壊系列核を使用して侵襲的又は非侵襲的方法で腫瘍を局所的に破壊するために使用されることができる。
【0087】
本発明による放射線治療のための方法及び装置の原理及び操作は図面及び関連記載を参照してより良く理解されうる。
【0088】
本発明の少なくとも一つの実施態様を詳細に説明する前に、本発明はその適用において以下の記載に述べられた又は図面に示された構成要素の構成及び配置の詳細に限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施態様であることができ又は様々な方法で実施又は実践されることができる。また、本書で使用される語法及び用語は説明の目的のためであり、限定としてみなすべきではないことを理解しなければならない。
【0089】
放射線は放射性物質の核が崩壊工程を受けるときにその核によって放出されうる放射性原子又は原子の粒子又は波の流れである。典型的には、四種類の放射線がある:(i)アルファ粒子とも称される、ヘリウム核の形のアルファ放射線;(ii)電子又は陽電子の形のベータ放射線;(iii)電磁波又は光子の形のガンマ放射線;及び(iv)中性核子の形の中性子放射線。
【0090】
放射性物質の核が崩壊を受けて放射線を放射する速度は崩壊しうる物質中の放射性核の数に正比例する。従って、時間が経つにつれて、物質中の放射性核の数は減少し、崩壊速度は低下する。放射性物質の放射性核の数が1/2倍に減少する時間は物質の半減期と称される。一般に、放射性崩壊は波動関数によって支配される量子力学プロセスであり、その平方は確率として解釈される。短時間では、各放射性核は特定の崩壊確率を有するが、それが実際に行なわれるかどうかは無秩序な確率によって決定される。放射性核が一つより多い崩壊経路を有するとき、特定の経路の崩壊確率は経路の分岐比と称される。
【0091】
アルファ放射体としても知られるアルファ粒子を放射する核は典型的には、陽子に対する中性子の比が極めて低い、重い核である。かかる核からのアルファ粒子(二つの陽子及び二つの中性子)の放射後、比は増大され、核はより安定する。原子の核における陽子の数が元素を決定するので、アルファ粒子の損失は実際にその元素を異なる元素に変化する。例えば、ポロニウム−210(Po)は3:2の比に相当する、126個の中性子及び84個の陽子を有する。Po−210の原子がアルファ粒子を放射するとき、比は約1%増加され、それは124個の中性子及び82個の陽子を有する安定した鉛−206(Pb)原子を生じる。
【0092】
上記四種の放射線のうち、アルファ粒子が最も重く、電子の質量の約7000倍であり、ヒトの組織の最も短い範囲を有し、0.1ミリメートル未満である。それゆえ、アルファ粒子による従来の放射線治療方法は皮膚の表面上又はその真下の腫瘍にだけ有効である。
【0093】
本発明を考えて仮説を立て本発明を実行に移している時、アルファ放射線による放射線治療が体内の深い腫瘍に対しても使用できることが実現された。
【0094】
従って、本発明の一側面によれば、予め決められた量の放射性核種が予め決められた時間、対象の腫瘍の近く及び/又はその内部に位置付けられる放射線治療法が提供される。
【0095】
本明細書中で使用される「腫瘍の近く」は放射性核種の崩壊系列核又はアルファ粒子が腫瘍に到達できるために十分な距離に関する。好ましくは、放射性核種と腫瘍の間の距離は0.1mm以下、より好ましくは0.05mm以下、最も好ましくは0.001mm以下である。
【0096】
本発明の好ましい実施態様によれば、予め決められた量の放射性核種及び予め決められた時間は放射性核種が予め決められた治療線量の崩壊系列核及びアルファ粒子を腫瘍中に投与するのに十分であるように選択されることが好ましい。
【0097】
放射性核種は特に限定されないが、ラジウム−223、ラジウム−224、ラドン−219、ラドン−220などの相対的に短命の放射性同位体であることが好ましい。ラジウム223が使用されるとき、以下の崩壊系列がそこから放出される:
Ra−223はアルファ崩壊によって11.4dの半減期でRn−219に崩壊する:
Rn−219はアルファ崩壊によって4sの半減期でPo−215に崩壊する;
Po−215はアルファ崩壊によって1.8msの半減期でPb−211に崩壊する;
Pb−211はベータ崩壊によって36mの半減期でBi−211に崩壊する;
Bi−211はアルファ崩壊によって2.1mの半減期でTl−207に崩壊する;
Tl−207はベータ崩壊によって4.8mの半減期でPb−207に崩壊する。
【0098】
上記の崩壊系列から理解されうるように、Rn−219が放射性核種として使用されるとき、崩壊系列はRn−219からPo−215への崩壊で始まり、Pb−211,Bi−211,Tl−207及びPb−207に続く。
【0099】
ラジウム224が使用されるとき、以下の崩壊系列がそこから放出される:
Ra−224はアルファ崩壊によって3.7dの半減期でRn−220に崩壊する;
Rn−220はアルファ崩壊によって56sの半減期でPo−216に崩壊する;
Po−216はアルファ崩壊によって0.15sの半減期でPb−212に崩壊する;
Pb−212はベータ崩壊によって10.6hの半減期でBi−212に崩壊する;
Bi−212はアルファ崩壊によって1hの半減期でTl−208に(36%分岐比)、又はベータ崩壊によってPo−212に崩壊する(64%分岐比)。
Tl−208はベータ崩壊によって3mの半減期で安定したPb−208に崩壊する;
Po−212はアルファ崩壊によって0.3μsの半減期で安定したPb−208に崩壊する。
上記の崩壊系列から理解されうるように、Rn−220が放射性核種として使用されるとき、崩壊系列はRn−220からPo−216への崩壊で始まり、Pb−212,Bi−212,Tl−208(又はPo−212)及びPb−208に続く。
【0100】
とにかく放射性核種が腫瘍の近く及び/又はその内部に位置付けられるとき、複数の短命原子が周囲環境中に放出され、熱拡散によって及び/又は体液による運搬によってそこに分散される。短命の原子及びそれらの大量の崩壊生成物(即ち、アルファ粒子及び娘核)は腫瘍の細胞と相互作用するか又はより小さい質量粒子を生成することによって崩壊系列を続ける。当業者によって認識されているように、放射性核種と腫瘍の間の接近、及び各系列で生成される多数の粒子は、問題の細胞を損傷する確率を有意に増大し、従って腫瘍に対する十分な治療を可能にする。
【0101】
本発明の方法は独立した方法又は腫瘍を外科的に除去又は切除するための従来のデバルキング方法に対する補助的な方法として使用されることができる。典型的な従来のデバルキング方法では、いったん腫瘍が除去されたら、腫瘍のレムンナントは外科的に除去又は切除された領域の周囲の組織になお存在しうる。従って、本発明の好ましい実施態様によれば、放射性核種は崩壊系列核及びアルファ粒子を周囲の組織に投与するように、予め決められた時間、再び周囲の組織の近く又はその内部に位置付けることができる。
【0102】
この実施態様は完全に侵襲的な方法、腹腔鏡的な方法及び内視鏡的な方法を含む制限されない公知のデバルキング方法に続いて又はそれと同時に使用されることができる。腫瘍をデバルキングする多くの方法が考えられる。例えば、ある実施態様では、デバルキング方法は例えば従来の外科用メス又は他の機械的手段を使用して腫瘍又は周囲の組織を切り裂くことによって外科的に実施され;別の実施態様では、デバルキング方法は例えばレーザ又は超音波放射線によって腫瘍を加熱又は照射することによって切除的に実施される。上記及び他の方法はレーザ装置、マイクロ波アンテナ、無線周波数電極、超音波装置などの使用を含んでもよい。
【0103】
本発明の好ましい実施態様によれば、放射性核種は対象の身体内に挿入され、一つより多い方法によって腫瘍の近く及び/又はその内部に位置付けることができる。
【0104】
従って、ある実施態様では、放射性核種は溶質に可溶であり、放射性核種の位置付けは溶質における放射性核種の溶液を対象の腫瘍の近く及び/又はその内部に投与することによって行なわれる。別の実施態様では、放射性核種の位置付けは少なくとも一つの放射線治療装置によって行なわれ、放射性核種は装置の表面の真上又は真下である。放射性核種を有する表面を製造する方法は以下に与えられ、続く実施例で詳細に説明する。
【0105】
図を参照すると、図1a−dは本発明の好ましい実施態様による放射線治療装置を示す。図1aに示された実施態様では、装置10は好ましくはプローブ12であり、放射性核種16がプローブ12の表面14の真上又は真下にある。プローブ12は例えば針、又は対象の身体中に少なくとも部分的に導入されるために適応された他の装置であることができる。代表例は限定されないが、内視鏡の先端、腹腔鏡の先端及び撮像装置の先端を含む。
【0106】
別の実施態様の図1bを参照すると、装置10は一つ以上のビーズ18を含み、放射性核種16がビーズ18の表面20の真上又は真下にある。ビーズ18は例えば注射によって又は侵襲的方法の時に腫瘍に又はその近くに分布されることができる。
【0107】
追加の実施態様の図1c−dを参照すると、装置10は内部の細長い部材22及び外部の管状部材24を含み、各々が独立して剛く又は柔らかくすることができる。管状部材24は内部部材22を収容するように構成された口区域26を伴って製造されることが好ましい。内部部材22は管状部材24内で長手方向に又は回転可能に移動できることが好ましい。放射性核種16は内部部材22の遠位端32の表面28の真上又は真下にある。内部部材22が管状部材24の窓34から外に突出するとき、放射性核種16を腫瘍に近接するように対象の身体内の多くの位置に到達することができる。図1dに示されているように、窓34は装置10の回転移動を容易にし、内部部材22が身体の様々な部分に到達するように管状部材24の側壁36に形成されることができる。
【0108】
本発明の好ましい実施態様によれば、装置10は内部部材22の近位端40に接続された操作ワイヤ38も含むことができる。ワイヤ38は対象の身体を通って装置10を操作するために作用する。特に、ワイヤ38は操作者によって内部部材22にその長手方向及び/又は回転移動を与えるために使用されることができる。
【0109】
管状部材24は、内部部材22の遠位端32が窓34を通して突出しないとき、放射線が少なくとも部分的にブロックされるように、放射性核種16の崩壊系列核及びアルファ粒子を吸収する材料から作られることができる。この実施態様は例えば腫瘍への装置10の送出時に装置10から対象の身体への放射線の放射を一時的に止めること、又は放射線治療方法と同時に実施されてもよい特定の測定との干渉を防止することが望ましいときに特に有用である。
【0110】
放射性核種16を位置付けるための装置10を使用する利点は、放射性核種16が装置10に閉じ込められるとき、放射性材料の腫瘍から離れた運搬が実質的に防止されることである。当業者は、放射性核種16によって放射される崩壊系列核の小さな部分は原則として体液によって健康な領域に輸送されうるが、健康な組織に対するこの部分の影響は最小にされることが認識されるだろう。大きな容積に分布されるとき、輸送された部分は極めて小さいエネルギー/質量比のために極めて影響が少ない。従って、上記の崩壊系列に関して、装置10が例えばRa−224を含むとき、Ra−224原子は他の崩壊系列核及びアルファ粒子がそこから放射されるとき装置10に残ることが好ましい。主要な放射線源がRa−224であるとき、装置10へのRa−224の閉じ込めは装置10の周囲の組織の予め決められた容量を照射することを可能にしながら、予め決められた容量を越える領域の損傷を実質的に防止する。
【0111】
本発明の範囲を装置10に閉じ込められる放射性核種にだけに制限することを意図しないことを理解すべきである。本発明のある実施態様では、いったん放射性核種16が予め決められた位置に送出されると、それは例えば体液が装置10から放射性核種16を洗い流すことを可能にすることによって装置10から解放されることができる。
【0112】
本発明の好ましい実施態様によれば、装置10はアルファ粒子、放射性核種16又はその崩壊系列核を検出するための検出器42を含むことができる。この実施態様は対象の身体の各部分に送出された放射線の量を監視又は記録することが望ましいときに特に有用である。検出器42は管状部材24又は内部部材22に接続されることができ、その場合において検出器42は口区域26を通って挿入されるように適応されることが好ましい。あるいは、検出器42は身体中への検出器42の別個の分離を可能とするように、管状部材24又は内部部材22から脱着することができる。検出器42は例えば貯蔵燐光体(それに限定されない)の如き光ルミネセント材料のシートであることができる。
【0113】
光刺激性燐光体としても知られる貯蔵燐光体は放射線治療で一般に使用される。一般に、貯蔵燐光体はフィルムに類似する放射線の二次元パターンに露出されるときに潜像を保持する。像は、光刺激性燐光体の分子を放射線に露出し、それによってそれらを長寿命の異性体の状態に励起することによって貯蔵される。放射線への露出後、潜像は光の刺激ビームを検出器42に向けることによって読み出されることができる。刺激ビームはさらに分子をより高い状態に励起し、そこからそれらは光子を放出することによって崩壊する。放出された光子は次に、好適な装置、例えばさらなる処理のための光増倍管(図示せず)によって電子形態に変換されることができる。以下の実施例にさらに説明されるように、検出器42は個々のアルファ粒子を検出することができる。
【0114】
述べたように、対象の身体中に挿入される放射性核種16の量、及び放射性核種16が放射線を放射する時間は、予め決められた治療線量の崩壊系列核及びアルファ粒子を腫瘍に投与するのに十分なように選択されることが好ましい。放射線量は単位質量における放射線によって蓄積されるエネルギーの蓄積量を反映する。典型的には、放射線量はラドの単位で測定され、そこでは1ラドは100ergs/grに等しい。放射線治療ではレムの単位で放射線量を測定することが一般的であり、それは放射線によって組織に生じた損傷を反映する。アルファ粒子について、1ラドは約20レムに等しい。
【0115】
放射性核種16を与えられた放射線の量は約100レム〜約100000レム、より好ましくは約1000〜約10000レムであることが好ましい。粒子流束に関して、放射性核種16の崩壊系列核の出て行く流束は約10〜約10原子/秒、より好ましくは約10〜約10原子/秒である。
【0116】
明細書で使用される「約」という用語は±10%に関する。
【0117】
本発明の好ましい実施態様によれば、上述の線量及び流束は一つより多い時間スケールでなされることができる。従って、ある実施態様では、放射性核種16は対象の身体中に挿入され、その場で完全に崩壊される。
【0118】
明細書で使用される放射性核種の「完全崩壊」は少なくとも98%のその活性減少に関する。
【0119】
放射性核種16が完全に崩壊する実施態様は例えば、上でさらに詳述したように装置10がビーズ18を含むとき、又は放射性核種16が溶液に可溶性であるときに実行されることができる。あるいは、この実施態様は、腫瘍に接近して又はその近くに放射性核種16を有する針の先端(例えば図1a参照)を一時的に埋め込み、放射性核種16を完全に崩壊させることによって実行されることができる。続いて、埋め込みが除去されることができる。
【0120】
放射性核種16を完全に崩壊させる利点はこの実施態様では治療線量の崩壊系列核及びアルファ粒子が相対的に長い期間にわたって送出され、その間放射線の時間依存は放射性核種16の半減期を特徴とする崩壊指数の典型的な形状を有することである。例えば、もし放射性核種16がRa−224であるなら、時間依存は3.7日の半減期を特徴とし、もし放射性核種16がRa−223であるなら、時間依存は11.4日の半減期を特徴とする。
【0121】
本発明の好ましい実施態様によれば、放射性核種16がその場で完全に崩壊するとき、処理の全時間は約4時間から約70日であり、例えば4時間、3日、20日などである。
【0122】
別の実施態様では、放射性核種16は対象の腫瘍の近く及び/又はその内部に位置付けられ、その崩壊系列核及びアルファ粒子を放射させ、予め決められた時間後、対象の身体から、好ましくは放射性核種16の完全崩壊前に除去される。この実施態様は例えば装置10又は望むように挿入及び抽出されうる他の医療装置を使用して実行されることができる。この実施態様のための装置10の好適な形状は限定されないが、十分に長い針又は図1a,1c及び1dに示された構成のいずれかを含む。さらに、装置10は上でさらに詳述したように、内視鏡の先端、腹腔鏡の先端、撮像装置の先端などを含むことができる。
【0123】
この実施態様の利点は、放射性核種16が身体中にある間、装置10は再位置付けされることができ、それによって破壊される細胞に関して処理をより敏感にさせることである。装置10が腫瘍の近く又はその内側に置かれるとき、放射線速度は放射性核種16の崩壊速度によって支配され、それゆえ実質的に一定である。いったん抽出されたら装置10から放射された崩壊系列核は身体中に残り、崩壊しつづける。抽出された放射線の時間依存は最も長い寿命の崩壊系列核の半減期を特徴とする崩壊指数の典型的な形状を有する。例えば、もし放射性核種16がRa−224であるなら、時間依存はPb−212の半減期(10.6時間)を特徴とし、もし放射性核種16がRa−223であるなら、時間依存はPb−211の半減期(36分)を特徴とする。
【0124】
本発明の好ましい実施態様によれば、放射性核種16が身体中に一時的に挿入されるとき、処理の全時間は10秒から数時間、例えば1分、10分、20分などである。
【0125】
放射性核種16がその完全崩壊前に除去されるか又はその場で完全に崩壊されるかどうかにかかわらず、その活性は腫瘍中への上述の治療線量の投与を可能とするように選択される。放射性核種16の活性と投与された線量の間の関係は腫瘍の種類及びサイズ、放射性核種16が挿入される位置の数(例えば一つより多い放射線治療装置が使用されるとき)、放射性核種16と腫瘍の間の距離などの限定されない多くの要因に依存してもよい。放射性核種16の典型的な活性は限定されないが、約10ナノキュリーから約10マイクロキュリー、より好ましくは約10ナノキュリーから約1マイクロキュリーである。
【0126】
本発明の方法及び装置は多くの腫瘍を破壊するために使用されることができる。典型的な腫瘍は限定されないが、胸部腫瘍、脳腫瘍、神経芽、甲状腺腫瘍、妊娠性栄養膜腫瘍、子宮内腫、カルチノイド腫瘍、結腸癌、食道癌、肝細胞癌、肝臓癌、リンパ腫、形質細胞腫瘍、中皮腫、胸腺腫、蜂窩性軟部肉腫、血管肉腫、類上皮肉腫、骨外性軟骨肉腫、線維肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、悪性線維性組織球種、悪性血管内皮腫、悪性間葉腫、悪性神経鞘腫、滑膜肉腫、黒色腫、神経上皮腫、骨肉腫、平滑筋肉腫、ユーイング肉腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、血管腫、粘液肉腫、中皮腫(例えば肺中皮腫)、顆粒膜細胞腫、莢膜細胞腫及びセルトリ−ライデッヒ腫瘍を含む。
【0127】
従って、本発明の方法及び装置は膣癌、外陰癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵巣癌、肛門癌、唾液腺癌、喉頭癌、鼻咽頭癌、多くの肺転移及び急性又は慢性の白血病(例えばリンパ性、骨髄性、線毛細胞)の如き限定されない多くの種類の癌を治療するために使用されることができる。
【0128】
本発明の追加の側面によれば、放射線治療装置、例えば装置10を製造する方法が提供される。その方法は第一工程において表面を有するプローブが提供され、第二工程において表面が放射性核種、例えば放射性核種16の流束に位置付けられ、第三工程において放射性核種の核が表面の真上又は真下で収集される方法工程を含む。
【0129】
本発明の好ましい実施態様によれば、プローブ上の放射性核種の収集は放射性核種の娘核の自然の反跳エネルギー(典型的には100keVのオーダ)が娘核がプローブの表面から逃避することができるように十分に大きいような方法でなされる。これは典型的には約10ナノメートルのオーダの深さでプローブの表面の真上又は真下に放射性核種を埋め込むことによってなされることができる。所望により、かつ好ましくは、プローブの外部層は逃避の確率を増大するように多孔質材料から作られることができる。
【0130】
述べたように、放射性核種16は数日の半減期を有する相対的に短命の放射性同位体(例えばRa−224又はRa−223)であることが好ましい。従って、本発明の好ましい実施態様によれば、プローブ上の放射性核種の収集はその適用前に最小の崩壊でなされる。これは例えば流束生成表面源の利用によって達成されることができる。例えば、放射性核種がRa−224であるとき、その流束はTh−228の表面源によって生成されることができる。Th−228の表面源は例えばU−232の親表面源から放射されたTh−228原子を収集することによって作られることができる。かかる親表面源は例えば金属上にU−232を含有する酸の薄い層を広げることによって作られることができる。U−232からTh−228の表面源を作る代表例は以下の実施例において与えられる。
【0131】
あるいは、Th−228の表面源は39秒の半減期を有するFr−228のビームを収集することによって得られることができる。Fr−228は次にRa−228に崩壊する。Ra−228は5.75年の半減期でAc−228に崩壊し、Ac−228は次に6時間の半減期でベータ崩壊によってTh−228に崩壊する。全崩壊系列、Fr−228,Ra−228,Ac−228及びTh−228はベータ崩壊による。Th−228の集団は数年のオーダの期間にわたってゆっくりと作られ、Ra−228と放射性平衡に近づく。従って、得られたTh−228表面源はそれ自身の1.9年の半減期よりむしろRa−228の5.75年の半減期を特徴とする。
【0132】
放射性核種がRa−223であるとき、その流束はAc−227の表面源によって生成されることができ、それはTh−227と放射性平衡にある。Ac−227表面源は数十keVのエネルギーを有するFr−227イオンのビームを分離し、数ナノメータの深さで箔にFr−227イオンを埋め込むことによって得られることができる。二つの短い半減期のベータ崩壊の連続によって、Fr−227イオンはAc−227に崩壊し、それによって所望のAc−227表面源を与える。
【0133】
Fr−227又はFr−228を分離するための利用可能な同位体セパレータは限定されないが、CERN,GenevaのISOLDE又はTRIUMF,VancouverのISACを含む。
【0134】
プローブの表面の真上又は真下の放射性核種の収集は一つより多い方法でなされることができる。例えば、ある実施態様では、収集は減圧での直接埋め込みによる。この実施態様では、放射性核種の流束を発生する表面源はプローブに接近して減圧で置かれる。表面源から反跳する核は減圧間隙を横切り、プローブの表面に埋め込まれる。
【0135】
別の実施態様では、収集は静電力によってなされる。表面源から脱着する原子は(崩壊自体によって及び表面源材料の層の通過の結果として)正に帯電されるので、表面源とプローブの間の好適な負の電圧の適用によって、放射性核種の脱着核はプローブの外側表面上に収集されることができる。本発明の好ましい実施態様によれば、収集は好適なガス圧力下でなされ、かくして核の速度は熱速度までゆっくりになり、従ってプローブのそれらの収集を容易にする。本発明の好ましい実施態様によれば、プローブの面積は表面源の面積より実質的に小さい。プローブと脱着する原子の間の静電力によって、表面源から脱着される実質的に全ての原子はプローブの表面上に捕獲される。当業者はプローブの面積が表面源の面積より小さいので、プローブ上の高濃度の放射性核種を達成できることを認識するだろう。さらに、小さいサイズのプローブは特に最小の侵襲的医療方法では有利である。好ましくは、プローブ上の放射性核種の表面密度は約1010〜約1013原子/cmである。
【0136】
さらに別の実施態様では、放射性核種はまた、放射性核種の十分にエネルギーのあるビーム(例えばRa−223のビーム又はRa−224のビーム)を分離し、放射性核種ビームをプローブ上に向けるか又はプローブを放射性核種ビームの経路に位置させ、放射性核種をプローブの表面に埋め込むことによって収集されることができる。放射性核種ビームは例えば上述の同位体セパレータのいずれかを使用することによって得られることができる。
【0137】
プローブの表面の真上又は真下で放射性核種を収集するために使用される方法にかかわらず、プローブは保護被覆によって被覆されることが好ましい。保護被覆は例えばチタンの薄い(例えば厚さ数ナノメータ、例えば5ナノメータ)の層であってもよい。保護被覆はプローブが身体と物理的に接触するときにプローブからの放射性核種の損失を最小にするために作用する。保護被覆はプローブの表面から崩壊系列核及びアルファ粒子の放射を妨げないように選択されることが好ましい。
【0138】
この特許の存続中、多くの関連する放射線治療装置が開発されることが期待され、放射線治療装置の用語の範囲は全てのかかる新しい技術を演繹的に含むことを意図される。
【0139】
本発明の追加の目的、利点及び新規な特徴は、下記実施例を考察すれば、当業者には明らかになるであろう。なお、これら実施例は本発明を限定するものではない。さらに、先に詳述されかつ本願の特許請求の範囲の項に特許請求されている本発明の各種実施態様と側面は各々、下記実施例の実験によって支持されている。
【実施例】
【0140】
下記実施例を参照されたい。実施例は上記説明とともに限定されない方式で本発明を例示する
【0141】
実施例1
針上の放射性核種の静電的実施態様
以下は224Ra原子が針上に静電的に収集された典型的な実験の記載である。
【0142】
0.45mm直径のニッケルめっきされたステンレス鋼の針をTh−228の1マイクロキュリー表面源から約1cmの距離で保持した。Th−228からのRa−224の脱着確率は約10%であった。静電的な収集の前に、針は20分間、超音波浴においてアセトンで清浄された。
【0143】
実験構成は図2a−cに示される。図2aはTh−228表面源を示す。図2bは静電的な収集室の内側に装着されたTh−228源の平面図である。図2cはTh−228源の前に位置された垂直電極上に装着された針を示す。針とTh−228源の間の電位差は1000Vであり、静電的な収集室は雰囲気圧の空気で満たされていた。
【0144】
Th−228はアルファ放射によって空気中に放射されるために十分な動力学エネルギーを有するRa−224のイオン化原子に崩壊された。Ra−224原子と空気分子の間の原子衝突によって、動力学エネルギーは迅速に減少され、結果として針の先端の方向の電界線に沿ったRa−224原子の移動を生じた。針に衝突すると、Ra−224原子はニッケルから電子を吸収し、その表面上に残った。実験の時間は10日であり、約40ナノキュリーの蓄積されたRa−224活性を生じた。
【0145】
針は続いてスパッタリングによってチタンの約50Åの層で被覆された。いったん被覆されたら、針のアルファ粒子スペクトルは標準的なソリッドステート検出器を使用して測定された。約15%の脱着確率は被覆された表面から反跳する220Rn原子について測定された。
【0146】
被覆された針の安定性を実証するために、1分間の脱イオン水でのリンス、続いて1分間の乾燥Nでの洗浄の数サイクルを実施した。活性は複数のかかるサイクル下でその初期値の60%で安定しているようであった。
【0147】
実施例2
U−232の製造
この実施例では、U−232表面源はウラニウム塩の微小量を含有する酸性溶液から製造された。U−232表面源は例えばTh−228、例えば実施例1に使用されるTh−228表面源を製造する目的のために使用されることができる。
【0148】
主要な材料は1マイクロリッターあたり1マイクロキュリーの活性密度で塩化ウラニルを含有する2M塩化水素酸である。活性材料自体は1グラムあたり0.5キュリーの活性を有し、それは約1:40の活性な材料対安定な材料の比に相当した。純粋な2M塩化水素酸と塩化ウラニルの混合はより低い濃度の活性材料を与えた。
【0149】
高純度(99.999%)ニッケルの約200ナノメータの層をシリコンの2.5×2.5cm研磨ウエハ上に蒸着させた。上記材料の使用は限定としてみなすべきではないこと及び他の材料又は組成を使用できることを理解すべきである。例えば、ニッケルはモリブデン及びパラジウムの如き限定されない他のわずかに可溶性の金属によって置換されることができる。シリコンは約2ナノメートルの自然の酸化物の薄い層を持っていた。酸とニッケルの間の反応の速度は典型的には小さいが、ウエハは反応速度をさらに低下するように数度の摂氏度の温度に冷却された。
【0150】
いったん冷却されたら、酸の約1マイクロリッターのアリコートをニッケル表面上に付着させ、ウエハの表面積の約80%上に実質的に均一にすぐに分布させた。
【0151】
全分布作業時に乾燥空気の流れを表面に適用し、酸除去の工程を加速し、酸とニッケルの間の相互作用を最小にした。付着された液体は表面積にわたって簡単にかつ実質的に均一に分布され、塩化ウラニルと混合した塩化ニッケルの薄い層を生じた。層の厚さはアルファ崩壊から生じる核のかなり大きい部分が表面から反跳できるように十分に小さかった。溶液中の固体材料の量は(1ナノメートル未満の平均厚さに相当する)希釈されていない形の一次溶液に対してであっても、塩化ニッケルの層と比較して無視できることに注意されたい。
【0152】
U−232源からの付着確率を試験するために、以下の連続した測定を行なった。
【0153】
源は減圧下でコレクタ表面に接近して、それらの間の物理的接触を防ぎながら置かれた。源からの反跳は約50時間、コレクタ表面によって収集され、源及びコレクタの両方のアルファ粒子スペクトルが測定された。数パーセントの高い統計学的精度が確立された。脱着確率は次いで源上の親核(Th−228)及びコレクタ上の娘核(Ra−224)の測定されたアルファ粒子スペクトルから測定された。短時間の収集のため、(源上のU−232の崩壊から生じる)コレクタ上のTh−228のアルファ粒子スペクトルを正確に測定することは実行できなかった。源及びコレクタ表面の活性分布は源に対して10分、コレクタに対して57分の露光時間でFuji imaging plate(商標)を使用してさらに測定された。
【0154】
図3a−bはFuji plate(商標)の測定を示し、図3aはコレクタの活性分布を示し、図3bは源の活性分布を示す。示すように、コレクタ及び源の両方に対して均一な活性分布が得られた。
【0155】
試験された最も希釈された溶液(1マイクロリッターあたり約7.5ナノキュリー)について測定された脱着確率は約35%であった。この結果は、50%である、ゼロ深さ付着での、(理論的な)最大脱着確率と比較されなければならない。高密度溶液(1マイクロリッターあたり1マイクロキュリー)に対して約25%の脱着確率が得られた。
【0156】
実施例3
LAPC4前立腺腫瘍を有するマウスでの実験
以下はヒトLAPC4前立腺腫瘍を有する二匹のマウスについての実験の記載である。実験の目的は生存している腫瘍の内側の放射線治療装置によって放出される短命のアルファ放射原子の移動範囲を評価することである。
【0157】
材料及び方法
実験の全ての部分に使用された放射線治療装置は先端の表面上にRa−224原子を吸着させたニッケル被覆針であった。放射線治療装置の製造は実施例1の記載に従い、Th−228の1.2マイクロキュリー源に対する69時間露光を伴い、約50ナノキュリーの針活性を生じた。この実験では、針は露光後に被覆されなかった。
【0158】
針上のRa−224原子はアルファ崩壊(3.7日の半減期)及び環境中への短命原子:Rn−220(56秒の半減期)、Po−216(0.15秒の半減期)及びPb−212(10.6時間の半減期)の放出によって崩壊された。短命原子は体液及び熱拡散による移動によって放射線治療装置のすぐ周囲に分散され、アルファ崩壊によって崩壊された。照射された領域のサイズ及び形状は短命原子の崩壊前の特定の軌道に依存する。
【0159】
放射線治療装置から放射された放射線及びその短命の崩壊生成物はFuji imaging plate(商標)を使用して測定された。像形成プレートの光刺激性燐光体は組織中の範囲が数ミリメートルのオーダであるベータ崩壊電子、及び範囲が数十ミクロンであるアルファ粒子の両方を記録する。Ra−224崩壊系列は二つのベータ崩壊を含む。従って、光刺激性燐光体から作られた像形成検出プローブが腫瘍中に挿入されるとき、ベータ放射線に対する有効な検出容積はアルファ放射線の有効検出容積よりかなり大きい。
【0160】
アルファ粒子の短い範囲のため、その検出は崩壊する核の正確な位置を示す。それゆえ、この実験における主な関心は背景ベータ放射線からアルファ放射線の読みを分離することである。分離は像形成材料の活性部分の内側のアルファ及びベータ粒子の範囲の差に基づいた。特に、アルファ粒子によって作られた圧痕は典型的には1〜2ピクセルにわたって広がる局在化されたホットスポットの形であり(各ピクセルの面積は約200×200μmである)、ベータ崩壊電子によって作られた圧痕は多くのピクセル上で「汚され」、より低い強度を有していた。この相違は特にすぐ周囲からの像形成材料に到着するアルファ粒子に関連し、一般に全放射線強度が低いときに適用可能である。
【0161】
実験は四つのインビボ測定を含み、そこでは源及び検出プローブは数分間腫瘍中に挿入された。さらに、実験は長い工程を含み、そこでは源は3日間、生存するマウスの腫瘍の内側に維持された。長い工程の分析はエクスビボでなされた。
【0162】
インビボ測定:
四つの短時間の測定が第一マウスに行なわれた。各測定に対して、異なる像形成検出プローブが使用された。
【0163】
図4a−dはこの実験で使用される検出プローブの概略図であり、それらはここではそれぞれ検出プローブ1−検出プローブ4として言及される。特に、検出プローブ1は幅約3ミリメートルの三角形形状を有し、検出プローブ2は幅約2ミリメートルの三角形形状を有し、検出プローブ3は幅約3ミリメートルの矢状の細長い五角形形状を有し、検出プローブ4は幅約0.7ミリメートルの針状形状を有していた。
【0164】
以下の表1は各検出プローブに使用される方法を要約する。

【0165】
全ての場合において、検出プローブはその軸に沿って後方に引き抜かれ、HBSS溶液でリンスされ、乾燥され、薄いステンレス鋼プレートに取り付けられ、光密ボックス中に置かれた。その後、検出プローブは走査装置を使用して光の刺激ビームによって走査された。
【0166】
エクスビボ測定:
第二のマウスは単一の実験に供した。第一マウスでの上記実験に使用される針は第二のマウスの腫瘍中に挿入され、その先端領域が腫瘍に残るように整形された。皮膚は針の先端上で縫い付けられ、源は3日間、生存するマウスの内側に維持された。腫瘍は次いで除去され、七つのスライスにスライスされた。
【0167】
図5は除去された腫瘍の1〜7で数えられる七つのスライスの概略図である。スライス1〜4は同じメスを使用して切断された。スライス5と6の間の境界、スライス6と7の間の境界、及びスライス7の後側は清浄なメスで切断された。図5には腫瘍が切り裂かれたときの針の近くに観察される血液で満たされた腔も示されている。
【0168】
以下の表2はスライス1〜7の寸法及び位置を要約する。数値は±10%に近似される。

【0169】
スライスは針に近い側が上方に面するような方法で燐光体像形成プレート上に置かれた。各スライスは一片の燐光体像形成プレートによってカバーされた。燐光体像形成プレートとスライスは約0℃の温度を維持するために氷中に維持された。走査装置はスライスのカバーから2時間及び13時間で二つの測定をとるために使用された。底プレートは23時間、スライスの活性を記録した。
スライス1,2,3,4及び6は2時間の測定中、約2〜3mm位置がずれた。13時間の測定中、位置のずれは起こらなかった。
【0170】
結 果
インビボ測定:
検出プローブ1によって記録される像(図6a)及び対応する放射線グラフ(図6b)を示す図6a−bを参照されたい。測定された信号は検出プローブ1からの半径距離の関数として対数目盛で図6bに示される。図6a−bに示されるように、検出プローブ1と針の間の物理的接触のため、接触点で集中した強い信号が観察された。図6bを参照すると、最大信号(接触点から約0.5mm)は周囲の信号より大きさが約3桁大きい。強い信号は半径約3mmの半径方向に減衰する「ハロ」によって包囲され、それは走査装置の光学装置の結果であり、実際の放射線パターンを表わさない。半径方向に減衰する「ハロ」に加えて、軸方向に減衰するパターンが接触点で開始して約5mmの長さで検出プローブ1に沿って観察され、それは主にベータ崩壊から生じた。アルファ粒子圧痕は軸方向に減衰するパターン上でいつ果てるとも知れない。
【0171】
図7a−bは検出プローブ2によって記録された像(図7a)及び対応する放射線グラフ(図7b)を示す。検出プローブ2と針の間の物理的接触の不足のため、最大信号は検出プローブ1における最大信号よりかなり小さい(約35倍小さい、図6b及び7b参照)。検出プローブ2の幾何学的形状(図4b参照)は針から約1.5mmの距離で最大信号の発生を生じた。検出プローブ1と同様に、測定されたパターンは針から約4〜5mmまでの距離で低下する。
【0172】
図8a−bは検出プローブ3によって記録される像(図8a)及び対応する放射線グラフ(図8b)を示す。述べたように、検出プローブ3は針の引き抜き直後に挿入された。これは針によって放出された電子を記録しないようになされ、それによってRn−220原子によって放出された放射線に集束された。図8aに示されるように、検出プローブ3の経路は針の挿入点で交差し(図8aで矢印によって示される)、約3〜4mm内方に続いた。図8bを参照すると、放射線強度は相対的に弱く、アルファ粒子の圧痕に対応する多数の分離したピークを有していた。単一アルファ粒子の圧痕の代表例は図8aの「アルファ」という言葉によって示される。検出プローブ1及び2と同様に、放射線強度は針の位置から約5mmまでの距離で低下する。最も遠いピークは挿入点から5.1mmで観察された。
【0173】
健康な精巣で述べたように使用された検出プローブ4によって記録された放射線強度は弱すぎて分析できなかった。
【0174】
エクスビボ測定:
図9はスライス1〜7、及び清浄な参照プレート(「参照」として示す)の記録された放射線パターンを示す。最も強い信号はスライス4で記録され、そこでは直径約1−2mmの暗いスポット及び直径3−4mmの周囲ハロが観察された。相対的に強い信号は直径約6−7mmのスライス3で記録された。クリアであるが少し弱い信号は針から約2−3mmのスライス5で記録された。極めて弱いが統計的に有効な信号は針から約5−6mmのスライス6で記録された。スライス7で信号は記録されなかった。
【0175】
底像形成プレートは針から約5−6mmのスライス5の後側で弱い信号を記録した。この発見はスライス6で見出された弱い信号より有意なものではない。なぜならばそれはスライス5の部分から到達する電子の結果でありうるからである。
【0176】
討 論
針の活性の粗い測定は腫瘍からのその引き抜き後に1分あたり約60000から約20000カウントへの低下を示した。かかる低下は述べたように実験で被覆されていない針のRa原子の除去によって説明される。針の残留活性は主にその調製時に針上に吸着されるPb−212原子から来るものであった。それは針上のRa−224集団が実質的に3より大きい倍率で低下したことを意味する。針からのRa−224の除去の結果として、Ra−224原子の大部分は第一マウスに残り、第二マウスでの長時間エクスビボ実験で記録された放射線パターンはより弱かった。
【0177】
第一マウスにおける強いRa−224の除去にかかわらず、第二マウスの腫瘍中への同じ針の挿入は挿入点のまわりに2−3mmの腔を生じた。かかる形成は、挿入自体によって生じる単純な「機械的」損傷がなお除外されないが、放射線による一貫した細胞破壊である。エクスビボ実験においてスライス6で記録された弱い信号は針から約5−6mmの範囲へのアルファ放射原子の移動を示す。針から約5mmの検出プローブ3によって記録されるアルファ粒子の圧痕はかかる移行の証拠と考えることもできる。
【0178】
実施例4
B−16メラノーマを有するマウスでの実験
以下はB−16メラノーマ細胞で処理されたC57B1/6近交系に属する二匹のマウスでの実験の記載である(一匹のマウスあたり0.1mlのHBSS緩衝液で約100000細胞)。放射線治療は腫瘍の接種後16日間実施され、その時点の腫瘍サイズは第一マウスに対して19.5mm、第二マウスに対して17.2mmであった。
【0179】
材料及び方法
二つの名目上同一の放射能源を調製した(各マウスに対して一つ)。各源はRa−224を減圧下で反跳植え込みされた0.45mm直径のニッケルめっきされたステンレス鋼針からなった。減圧植え込み後、両針は脱イオン水でリンスされ、乾燥Nの流れ中で洗浄され、挿入後表面からのRa原子の放出を最小にした。挿入時の224Ra活性は各場合において約1〜2ナノキュリーであった。
【0180】
針上のRa−224原子は上でさらに詳述したようにアルファ崩壊によって崩壊した(例えば実施例3参照)。
【0181】
針は各腫瘍中に約5mmの深さで皮下挿入され、その後外側を整形された。マウスは挿入後2日間生存しつづけ、その時点で腫瘍は除去され、源から測定された距離で手で切り取られた(挿入点に向かって周囲で始まり、二次汚染を避けるために各切除ごとに異なるメスを使用した)。一連の試料(それぞれ容量約1mm)は切除部分からとられ、第一マウスから五つ、第二マウスから四つとられた。各試料はガラス顕微鏡スライドと7μm Mylar(登録商標)箔の間で平坦にされ、約2〜4cmの表面積をカバーした。
【0182】
全ての試料は試料とプレートの間の物理的分離のためにMylar(登録商標)箔を使用してFuji(商標)プレート上に置かれた。三つの連続的な測定がとられた。第一測定はΔT=5時間の期間でt=0で開始し、第二測定はΔT=17.1時間の期間でt=6.75時間で開始し、第三測定はΔT=5時間の期間でt=25時間で開始した。
【0183】
結 果
第一マウスにおいて源から2mm及び11mm、第二マウスにおいて源から0.5mm,6mm及び15mmでとられた試料における全ての三つの測定にクリアな信号が出現した。測定された強度の時間依存はRa−224の半減期(3.66日)と相互に関連した。他の試料について認識しうる信号は検出されなかった。
【0184】
図10a−fは第一マウスの針から約11mmでとられた三つの連続する測定の像(図10a,10c及び10e)及び対応する放射線グラフ(それぞれ図10b,10d及び10f)を示す。図10a−bは第一測定に対応し、図10c−dは第二測定に対応し、図10e−fは第三測定に対応する。図10a−fに示されるように、信号の強度は時間とともに低下する。
【0185】
分かりやすくするため別個の実施態様で説明されている本発明の幾つもの特徴は、組み合わせて単一の実施態様にして提供することもできることは分かるであろう。逆に、簡略化するため単一の実施態様で説明されている本発明の各種特徴は、別個に又は適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
【0186】
本発明を、その具体的実施態様とともに説明してきたが、多くの変形と変更が当業者には明らかであることは明白である。したがって、本発明は、本願の特許請求の範囲の精神と広い範囲内に入っているこのような変形と変更をすべて含むことを意図される。本明細書に記載のすべての刊行物、特許及び特許願は、あたかも、個々の刊行物、特許又は特許願各々が、本願に具体的にかつ個々に参照して示されているように、本願に援用するものである。さらに、本願における任意の文献の引用もしくは確認は、このような文献が本発明に対する従来技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】図1aは本発明の好ましい実施態様による放射線治療装置の概略図である。図1bはビーズが使用される好ましい実施態様における放射線治療装置の概略図である。図1cは内部の細長い部材と外部の管状部材を含む、好ましい実施態様における放射線治療装置の概略図である。図1dは内部の細長い部材が外部の管状部材の壁に形成された窓を通って突出する、好ましい実施態様における図1cの放射線治療装置の概略図である。
【図2】本発明の好ましい実施態様による、静電力を使用して放射性核種が針上に埋め込まれる実験の実験構成を示す。
【図3】本発明の好ましい実施態様による、U−232の表面源が作られる実験におけるコレクタ(図3a)及び源(図3b)の放射能分布を示す。
【図4】本発明の好ましい実施態様による、LAPC4前立腺腫瘍を有するマウスでのインビボ実験に使用される検出プローブの概略図である。
【図5】本発明の好ましい実施態様による、LAPC4前立腺腫瘍を有するマウスでのエクスビボ実験における腫瘍で作られたスライスの概略図である。
【図6】図6aは図4aの検出プローブによって記録された像である。図6bは図6aの像に対応する放射線グラフである。
【図7】図7aは図4bの検出プローブによって記録された像である。図7bは図7aの像に対応する放射線グラフである。
【図8】図8aは図4cの検出プローブによって記録された像である。図8bは図8aの像に対応する放射線グラフである。
【図9】図5のスライスの放射線パターンの像である。
【図10】B−16メラノーマを有するマウスでの実験における三つの連続放射線測定の像(図10a,10c及び10e)及び対応する放射線グラフ(それぞれ図10b,10d及び10f)である。





【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジウム−223,ラジウム−224,ラドン−219及びラドン−220からなる群から選択される放射性核種の予め決められた量を対象の腫瘍の近く及び/又はその内部に予め決められた時間、位置付けることを含む放射線治療方法であって、前記予め決められた量及び前記予め決められた時間は前記放射性核種が予め決められた治療線量の崩壊系列核及びアルファ粒子を前記腫瘍中に投与するのに十分なように選択される放射線治療方法。
【請求項2】
いったん前記予め決められた治療線量の崩壊系列核及びアルファ粒子が投与されたら前記腫瘍の前記放射性核種を除去することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記放射性核種の前記位置付けは表面を有する少なくとも一つの放射線治療装置によって行なわれ、前記表面の真上又は真下に放射性核種がある請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも一つの放射線治療装置は針を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも一つの放射線治療装置は少なくとも一つのビーズを含む請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記放射性核種は溶質に溶解可能であり、さらに前記放射性核種の前記位置付けは対象の前記腫瘍の近く及び/又はその内部に前記溶質中の前記放射性核種の溶液を投与することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記アルファ粒子の線量を記録することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記記録は光ルミネセント材料のシートによって行なわれる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記記録は光刺激性燐光体のシートによって行なわれる請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記予め決められた治療線量の前記崩壊系列核及び前記アルファ粒子は約100〜約100000レムである請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記予め決められた治療線量の前記崩壊系列核及び前記アルファ粒子は約1000〜約10000レムである請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記予め決められた量の前記放射性核種は約10ナノキュリー〜約10マイクロキュリーである請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記予め決められた量の前記放射性核種は約10ナノキュリー〜約1マイクロキュリーである請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記予め決められた時間は約10秒〜約10時間である請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記予め決められた時間は数日である請求項1に記載の方法。
【請求項16】
対象の身体中に少なくとも部分的に導入されるように適応されたプローブ、及びラジウム−223及びラジウム−224からなる群から選択される放射性核種を含む放射線治療装置であって、前記放射性核種のアルファ粒子及び崩壊系列核が前記プローブの表面の外側に放射されるような方法で前記プローブの表面の真上又は真下にある放射線治療装置。
【請求項17】
前記プローブは少なくとも一つの針を含む請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記プローブは少なくとも一つのビーズを含む請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記プローブは内視鏡の先端である請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記プローブは腹腔鏡の先端である請求項16に記載の装置。
【請求項21】
前記プローブは撮像装置の先端である請求項16に記載の装置。
【請求項22】
前記プローブは保護コートによって被覆される請求項16に記載の装置。
【請求項23】
前記保護コートの材料及び厚さの少なくとも一つは前記崩壊系列核及び前記アルファ粒子の前記放射を妨げないように選択される請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記放射性核種、前記崩壊系列核及び前記アルファ粒子を検出することができる検出器をさらに含む請求項16に記載の装置。
【請求項25】
前記検出器は前記プローブと操作的に関連する請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記検出器は光ルミネセント材料を含む請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記検出器は光刺激性燐光体を含む請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記プローブは内部の細長い部材と、前記内部の細長い部材を収容するために構成された口区域を有する外部の管状部材を含み、前記内部の細長い部材は前記外部の管状部材内で移動可能であり、かつ遠位端及び近位端を有し、前記放射性核種が前記遠位端の表面の真上又は真下にある請求項16に記載の装置。
【請求項29】
前記外部の管状部材はそれを通る前記内部の細長い部材の前記遠位端の突出を可能にするための少なくとも一つの窓を含む請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記少なくとも一つの窓は前記外部の管状部材の側壁上にある請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記内部の細長い部材の前記近位端に接続された操作ワイヤをさらに含む請求項28に記載の装置。
【請求項32】
前記外部の管状部材は前記崩壊系列核及び前記アルファ粒子を少なくとも部分的に吸収できる材料から作られる請求項28に記載の装置。
【請求項33】
前記内部の細長い部材及び前記外部の管状部材は各々独立して可撓性である請求項28に記載の装置。
【請求項34】
前記放射性核種、前記崩壊系列核及び前記アルファ粒子を検出することができる検出器をさらに含む請求項28に記載の装置。
【請求項35】
前記検出器は前記口区域を通して挿入されるように適応される請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記検出器は光ルミネセント材料を含む請求項34に記載の装置。
【請求項37】
前記検出器は光刺激性燐光体を含む請求項34に記載の装置。
【請求項38】
前記プローブはそこから前記放射性核種の少なくとも一部を放出することができ、それによって前記崩壊系列核及びアルファ粒子の前記放射前に前記放射性核種の分布を可能にする請求項16に記載の装置。
【請求項39】
前記放射性核種の前記少なくとも一部の放出は体液によって行なわれる請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記崩壊系列核の出て行く流束は約10〜約10原子/秒である請求項16に記載の装置。
【請求項41】
前記崩壊系列核の出て行く流束は約10〜約10原子/秒である請求項16に記載の装置。
【請求項42】
前記放射性核種の表面密度は約1010〜約1013原子/cmである請求項16に記載の装置。
【請求項43】
前記プローブは約100レム〜約100000レムの放射線量を投与することができる請求項16に記載の装置。
【請求項44】
前記プローブは約1000レム〜約10000レムの放射線量を投与することができる請求項16に記載の装置。
【請求項45】
前記放射性核種の活性は約10ナノキュリー〜約10マイクロキュリーである請求項16に記載の装置。
【請求項46】
前記放射性核種の活性は約10ナノキュリー〜約1マイクロキュリーである請求項16に記載の装置。
【請求項47】
放射線治療装置の製造方法であって、
(a)表面を有するプローブを提供し;
(b)放射性核種の流束に前記表面を位置付け;そして
(c)前記表面の真上又は真下の前記放射性核種の核を収集し、それによって放射線治療装置を製造すること
を含む方法。
【請求項48】
前記収集は減圧下での直接埋込みによって行なわれる請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記収集は前記表面を負の極性の電圧源に接続することによって行なわれる請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記放射性核種の前記流束における前記表面の前記位置付けはガス環境で行なわれる請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記ガス環境の圧力及び前記電圧源の電圧は核の速度が熱速度に低下されるように選択される請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記工程(b)及び(c)は前記放射性核種の崩壊系列核及びアルファ粒子が前記表面の外側に放射されるような方法でなされる請求項47に記載の方法。
【請求項53】
前記崩壊系列核の出て行く流束は約10〜約10原子/秒である請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記崩壊系列核の出て行く流束は約10〜約10原子/秒である請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記表面の真上又は真下の前記核の前記収集は前記放射性核種の表面密度が約1010〜約1013原子/cmであるようになされる請求項47に記載の方法。
【請求項56】
前記プローブは少なくとも一つの針を含む請求項47に記載の方法。
【請求項57】
前記プローブは少なくとも一つのビーズを含む請求項47に記載の方法。
【請求項58】
前記プローブは内視鏡の先端である請求項47に記載の方法。
【請求項59】
前記プローブは腹腔鏡の先端である請求項47に記載の方法。
【請求項60】
前記プローブは撮像装置の先端である請求項47に記載の方法。
【請求項61】
前記プローブは内部の細長い部材と、前記内部の細長い部材を収容するために構成された口区域を有する外部の管状部材を含み、前記内部の細長い部材は前記外部の管状部材内で移動可能であり、かつ遠位端及び近位端を有し、前記放射性核種が前記遠位端の表面の真上又は真下で収集される請求項47に記載の方法。
【請求項62】
前記外部の管状部材はそれを通る前記内部の細長い部材の前記遠位端の突出を可能にするための少なくとも一つの窓を含む請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記少なくとも一つの窓は前記外部の管状部材の側壁上にある請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記内部の細長い部材の前記近位端に操作ワイヤを接続することをさらに含む請求項61に記載の方法。
【請求項65】
前記外部の管状部材は前記崩壊系列核及び前記アルファ粒子を少なくとも部分的に吸収できる材料から作られる請求項61に記載の方法。
【請求項66】
前記内部の細長い部材及び前記外部の管状部材は各々独立して可撓性である請求項61に記載の方法。
【請求項67】
保護コートによって前記表面を被覆することをさらに含む請求項47に記載の方法。
【請求項68】
前記保護コートの材料及び厚さの少なくとも一つは崩壊系列核及びアルファ粒子の前記プローブの前記表面からの放射を妨げないように選択される請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記プローブは約100レム〜約100000レムの放射線量を投与することができる請求項47に記載の方法。
【請求項70】
前記プローブは約1000レム〜約10000レムの放射線量を投与することができる請求項47に記載の方法。
【請求項71】
前記放射性核種の活性は約10ナノキュリー〜約10マイクロキュリーである請求項47に記載の方法。
【請求項72】
前記放射性核種の活性は約10ナノキュリー〜約1マイクロキュリーである請求項47に記載の方法。
【請求項73】
対象の身体に存在する腫瘍及びそのレムナントを除去する方法であって、
(a)腫瘍の少なくとも一部をデバルキングし、腫瘍の周囲の組織を露出し;
(b)ラジウム−223,ラジウム−224,ラドン−219及びラドン−220からなる群から選択される放射性核種の予め決められた量を前記周囲組織の近く及び/又はその内部に予め決められた時間、位置付け、前記予め決められた量及び前記予め決められた時間は前記放射性核種が予め決められた治療線量の崩壊系列核及びアルファ粒子を前記周囲組織に投与するのに十分なように選択されること
を含む方法。
【請求項74】
前記デバルキングは腹腔鏡で実施される請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記デバルキングは内視鏡で実施される請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記デバルキングは外科的に実施される請求項73に記載の方法。
【請求項77】
前記デバルキングは切除的に実施される請求項73に記載の方法。
【請求項78】
前記デバルキングはレーザビームによって実施される請求項73に記載の方法。
【請求項79】
前記デバルキングは熱を腫瘍に適用することを含む請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記デバルキングはマイクロ波アンテナによって実施される請求項77に記載の方法。
【請求項81】
前記デバルキングは無線周波数電極によって実施される請求項77に記載の方法。
【請求項82】
前記デバルキングは超音波装置によって実施される請求項77に記載の方法。
【請求項83】
前記放射性核種の前記位置付けは表面を有する放射線治療装置によって行なわれ、前記表面の真上又は真下に前記放射性核種がある請求項73に記載の方法。
【請求項84】
前記放射線治療装置は針を含む請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記アルファ粒子の線量を記録することをさらに含む請求項73に記載の方法。
【請求項86】
前記記録は光ルミネセント材料のシートによって行なわれる請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記記録は光刺激性燐光体のシートによって行なわれる請求項85に記載の方法。
【請求項88】
前記予め決められた治療線量の前記崩壊系列核及び前記アルファ粒子は約100レム〜約100000レムである請求項73に記載の方法。
【請求項89】
前記予め決められた治療線量の前記崩壊系列核及び前記アルファ粒子は約1000レム〜約10000レムである請求項73に記載の方法。
【請求項90】
前記予め決められた量の前記放射性核種は約10ナノキュリー〜約10マイクロキュリーである請求項73に記載の方法。
【請求項91】
前記予め決められた量の前記放射性核種は約10ナノキュリー〜約1マイクロキュリーである請求項73に記載の方法。
【請求項92】
前記予め決められた時間は約10秒〜約10時間である請求項73に記載の方法。
【請求項93】
前記予め決められた時間は数日である請求項73に記載の方法。
【請求項94】
放射性表面源の製造方法であって、
(a)予め決められた量の放射性同位体を含有する溶液を与え;そして
(b)金属表面上に前記溶液を分布して前記金属と前記溶液の混合物を与え、それによって前記放射性表面源を与えること
を含む方法。
【請求項95】
前記溶液は酸性溶液である請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記放射性同位体はウラン−232を含む請求項94に記載の方法。
【請求項97】
前記放射性同位体は塩化ウラニルを含む請求項95に記載の方法。
【請求項98】
前記酸性溶液は塩酸を含む請求項95に記載の方法。
【請求項99】
前記金属表面はニッケル、モリブデン及びパラジウムからなる群から選択される少なくとも一つの金属を含む請求項94に記載の方法。
【請求項100】
前記金属表面は支持体上に少なくとも一つの金属を蒸発することによって製造される請求項94に記載の方法。
【請求項101】
前記少なくとも一つの金属はニッケル、モリブデン及びパラジウムからなる群から選択される請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記支持体はシリコンから作られる請求項100に記載の方法。
【請求項103】
前記酸性溶液の前記層を前記金属上に分布する前に前記金属を冷却することをさらに含む請求項94に記載の方法。
【請求項104】
前記酸性溶液の前記層の前記分布と実質的に同時に、前記金属上にガスの流れを適用することをさらに含む請求項94に記載の方法。
【請求項105】
前記ガスは空気である請求項94に記載の方法。

【図5】
image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

【図9】
image rotate

image rotate


【公表番号】特表2007−536940(P2007−536940A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507616(P2006−507616)
【出願日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000363
【国際公開番号】WO2004/096293
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(503255958)ラモト アット テル アヴィヴ ユニヴァーシティ リミテッド (14)
【Fターム(参考)】