説明

放射線治療のための照準装置

放射線治療装置は、ビーム軸に沿って向けられる放射線ビームを生成するとともに、ビーム軸と交差する第1および第2方向における幅を有する手段と、少なくとも第1方向においてビームの幅を選択的に制限するマルチリーフ照準器と、少なくとも第2方向においてビームの幅を選択的に制限するブロック照準器と、を備えている。ブロック照準器は、ビームの内外に移動可能なダイヤフラムであって、変化するビーム軸の方向において所定の厚さを有するダイヤフラムを含んでいる。ダイヤフラムは、フロントエッジを有し、当該フロントエッジは、少なくともフロントエッジの背後にある1つの領域よりも大きな厚さを有していてもよい。また、ダイヤフラムは、その後部から、フロントエッジに向かって延びる突起領域を有していてもよく、当該フロントエッジは、突起領域に対して側方に配置された少なくとも1つの領域よりも大きな厚さを有していてもよい。また、これらは、動的に移動するMLCによって十分には遮蔽されていない領域を覆っていてもよい。マルチリーフ照準器のための制御手段であって、ダイヤフラムの比較的に薄い部分によって遮蔽されているビームの領域を遮蔽するためにマルチリーフ照準器のリーフを拡張させる制御手段が設けられていてもよい。このことは、以下の場合に容易化される。突起領域がダイヤフラムの最も後方の部分から延びている場合、突起領域がダイヤフラムのフロントエッジまで延びている場合、突起領域が真っ直ぐになっている場合、突起領域がダイヤフラムの中心領域となっている場合、および、突起領域の幅がダイヤフラムのフロントエッジに向かって増加する場合である。本発明はまた、マルチリーフ照準器とブロック照準器とを備え、ブロック照準器が、可変の厚さを有するダイヤフラムを含んでいる、放射線治療装置に関連している。本発明はまた、ビームの内外に移動可能なダイヤフラムであって、変化するビーム軸の方向において所定の厚さを有するダイヤフラムを含む、放射線治療装置用のブロック照準器に関連している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線治療のための照準装置に関する。
【0002】
放射線治療の技術は、殺傷性のある高エネルギーの放射線からなるビームを腫瘍に対して向けることを含んでいる。放射線は、腫瘍細胞に対する損傷を引き起こし、また、時間の経過に伴って、がんを破壊する。ビームは殺傷性を有しているので、健康な組織に対して加えられる放射線量を制限する必要がある。一方、同時に、腫瘍に対して加えられる放射線量を維持する必要がある。従って、放射線ビームの範囲を定め、これによって、そのサイズが、必要な又は達成可能なサイズより大きくならないよう、何らかの手段が設けられる必要がある。初期の放射線治療装置は、図1に(ビームの視点に沿って)図示されているように、照準システムを使用していた。当該照準システムにおいては、移動可能な遮蔽ブロックの2つのセット(ダイヤフラム(diaphragms)として知られている)が、相互に直交する方向xおよびyにおいて移動する。これらの軸は、放射線ビーム(z)に対して直交している。従って、第1のペアであるブロック10,12は、ビームの横断幅を制限するようx方向において移動する(図1参照)。第2のペアであるブロック14.16は、y軸においてビームの幅を制限するよう、y方向において移動する。このようにして、任意に選択された矩形サイズのビームであって、最大達成可能サイズまでのビームが使用可能となっていた。
【0003】
しかしながら、腫瘍は、概して矩形ではない。結果として、今日では、いわゆる“マルチリーフ照準器(multi leaf collimator)”を使用するのが一般的である。マルチリーフ照準器は、タングステンなどの高い原子番号の材料からなる、別個の薄い“複数のリーフ(leaves)”から構成されており、各リーフは、ビームを遮るため、ビーム経路の内外で独立して移動できる。図2は、図1のy照準器を置き換える、汎用のマルチリーフ照準器を示している。x照準器10および12は残っている。従って、マルチリーフ照準器16は、第1バンク18と第2バンク20とからなっており、各バンクは、多数の薄いリーフ22を備えている。リーフ22は、ビームに対して横断するx方向において、狭くなっている。またリーフ22は、ビームに対して横断するy方向、およびビームに対して平行なz方向において、比較的に長くなっている。リーフ22のz方向における長さは、効果的な遮蔽効果を達成するよう、x線またはその他のビームに対する十分な不透明性をもたらす。また、リーフ22のy方向における長さは、リーフ22に、y方向において、ビームの中へ、およびビームから拡張されることを可能にしており、これによって、任意に選択された形状を画定することができる。
【0004】
図3に示すように、いくつかの場合において、ダイヤフラム10,12の残っているペアがどちらも不要にされる。この場合、(例えば)リーフ24の場合に示されているように、複数のリーフが、重複すること、またはビームを横切って通ることにより、ビームを完全に遮蔽するよう、十分に長く構成されている。向かい合うリーフ24,26の間の結合は、両方がオフセット遮蔽ストリップ28(図3参照)の下に配置されていてもよい。または、z方向から見た場合、2つのリーフ24,26が重複するよう、z軸に沿って異なる点にリーフを配置することにより達成されていてもよい。しかしながら、このような配置は、x方向におけるビームの幅が、リーフの幅の整数倍のみをとり得ることを意味している。図2に示されている配置は、ビーム幅の様々な寸法を可能にしている。なぜなら、x照準器が要求に応じて移動可能となっているからである。
【0005】
MLCの発達に先行して、存在する照準器の配置が許される限りにおいて、ビームは、腫瘍の形状に対して範囲を定められていた。マルチリーフ照準器が利用可能となると、原体振子放射線治療などの、治療の新規な形態が可能となった。原体振子放射線治療において、ビームの形状は、いつでも、ビームの瞬間的な軸線に沿って投影された腫瘍の形状に適合している。このことは、腫瘍の両側において、健康な組織への放射線量を最小にする。また、様々な方向の範囲から患者に対してビームを向けることができる、回転する放射線源との組合せにおいて、腫瘍の内側に非常に高い放射線量をもたらすとともに、腫瘍の外側に非常に小さい放射線量をもたらすことができる。
【0006】
しかしながら、原体振子放射線治療は、凸形状の放射線量を加えるのみである。すなわち、放射線量は、放射線量の中心から離れるにつれて、だんだん減少する。マルチリーフ照準器の利用における更なる発達は、強度が調整された放射線治療(IMRT)などの技術、および、マルチリーフ照準器により生成されるより複雑な形状により、非凸形状の放射線量分布が時間の経過とともに形成され得るその他の技術を含んできた。そのような技術において、一般に、MLCは、腫瘍全体を連続的に放射線で治療するものではない。また、別のやり方で、困難ではあるが有用な放射線量の形状が発達させられ得る。例えば、患者のヒップの形状に適合する円筒形の放射線量である。この場合、(例えば)骨の腫瘍は照射をうけるが、ヒップの内側にある敏感な器官はほとんど照射されないままにされる。これらのことにより、図4に図示されているように、中心から外れた放射線領域の必要が生じる。放射線領域30は、ビームの中心軸から移される。また、このために、この1つのx照準器12が、中心軸32を越えてビームと交差するよう拡張される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
照準器におけるビームの穴が40cmとなっている場合、図2に示されているようなビーム形状は、十分に引きこもった(または、“20cm開放された”)位置から、ビームの中心軸まで延びる0cmの位置まで横切るx照準器10,12を必要とする。図4に示されているようなビーム形状をもたらすため、さらなる15cmまたはそれ以上の拡張がまた必要とされる。これは、1つのダイヤフラムのみによっては、ビームの完全な遮蔽にはならないが、一般に、このことは、臨床的には必要とされない。ビームの中心軸を超える15cmのオフセットが、大抵の臨床的に有用な形状にとって十分である。
【0008】
しかしながら、十分なビームを遮蔽するために、ダイヤフラムが、8cmオーダーの厚さの固体タングステン材料からなるのが求められるということを覚えておく必要がある。8cmの厚さのタングステンにおける、この追加の15cmは、顕著な重量負荷をダイヤフラムに課す。同様に、著しく大きな重量のダイヤフラムを移動するのに必要となるメカニズムは、従って、それ自体が重くなる。これらはともに、治療ヘッド全体の重量を増加させ、また、装置構造のたわみをさらに引き起こし、これによって、治療の正確さが劣化する。大抵の臨床用の加速装置は、治療ヘッドが患者の周りで回転可能となるよう、治療ヘッドを、回転可能な支持体(support)に取り付けられたロングアームの端部に配置しているということを考える必要がある。治療ヘッドが患者の周りでアーク(arc)を横切るとき、アームの端部における追加の重量が、(治療ヘッドに対して)変化する方向においてアームを変形させる。本発明は、従って、(必要であれば)穴の大きな比率にわたって、放射線ビームの必要な遮蔽をもたらすことができ、また、最小の重量を有する、ダイヤフラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、従って、ビーム軸に沿って向けられる放射線ビームを生成するとともに、ビーム軸と交差する第1および第2方向における幅を有する手段と、少なくとも第1方向においてビームの幅を選択的に制限するマルチリーフ照準器と、少なくとも第2方向においてビームの幅を選択的に制限するブロック照準器と、を備え、ブロック照準器が、ビームの内外に移動可能なダイヤフラムであって、変化するビーム軸の方向において所定の厚さを有するダイヤフラムを含む、放射線治療装置を提供する。
【0010】
ダイヤフラムは、フロントエッジを有し、このフロントエッジは、少なくともフロントエッジの背後にある1つの領域よりも大きな厚さを有していてもよい。ダイヤフラムはまた、その後部から、フロントエッジに向かって延びる突起領域を有していてもよく、ここで突起領域は、突起領域に対して側方に配置された少なくとも1つの領域よりも大きな厚さを有している。また、これらは、動的に移動するMLCによって十分には遮蔽されていない領域を覆っていてもよい。
【0011】
マルチリーフ照準器のための制御手段であって、ダイヤフラムの比較的に薄い部分によって遮蔽されているビームの領域を遮蔽するためにマルチリーフ照準器のリーフを拡張させる制御手段が設けられていてもよい。このことは、以下の場合に容易化される。突起領域がダイヤフラムの最も後方の部分から延びている場合、突起領域がダイヤフラムのフロントエッジまで延びている場合、突起領域が真っ直ぐになっている場合、突起領域がダイヤフラムの中心領域となっている場合、および、突起領域の幅がダイヤフラムのフロントエッジに向かって増加する場合である。
【0012】
一般に、第1および第2方向は相互に交差している。
【0013】
本発明はまた、マルチリーフ照準器とブロック照準器とを備え、ブロック照準器が、可変の厚さを有するダイヤフラムを含んでいる、放射線治療装置に関連している。
【0014】
さらなる側面において、本発明は、ビームの内外に移動可能なダイヤフラムであって、変化するビーム軸の方向において所定の厚さを有するダイヤフラムを含む、放射線治療装置用のブロック照準器を提供する。
【0015】
さらなる側面において、本発明は、ビーム軸に沿って向けられる放射線ビームを生成するとともに、ビーム軸と交差する第1および第2方向における幅を有する手段と、少なくとも第1方向においてビームの幅を選択的に制限するマルチリーフ照準器と、少なくとも第2方向においてビームの幅を選択的に制限するブロック照準器と、を備え、ブロック照準器が、ビームの内外に移動可能なダイヤフラムであって、移動方向と交差する方向で変化する幅を有するダイヤフラムを含む、放射線治療装置を提供する。従って、ダイヤフラムの一部が、中心突起領域と、好ましくは第1方向においてビームのほぼ全幅と交差して延びるより広いフロントエッジとを残したまま、本質的にゼロ厚さまで削減されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の一形態が、付随する図を参照して、例として記述される。
【図1】図1は、周知のブロック照準器の構成を、ビーム視点で示す図。
【図2】図2は、周知のマルチリーフ照準器およびブロック照準器の構成を、ビーム視点で示す図。
【図3】図3は、周知のマルチリーフ照準器の構成を、ビーム視点で示す図。
【図4】図4は、本発明で達成される所望の照準効果を示す図。
【図5】図5は、本発明によるマルチリーフ照準器およびブロック照準器の構成を、ビーム視点で示す図。
【図6】図6は、ビーム軸に沿って、ビームと、マルチリーフ照準器の複数のリーフとを示す一部分、および、ブロック照準器を通る一部分、を示す図。
【図7】図7は、ブロック照準器のダイヤフラムを示す斜視図。
【図8】図8は、その他の形態の一部分をビーム軸に沿って示す図。
【図9】図9は、図8のダイヤフラムを、下方からの斜視で示す図。
【図10】図10は、さらなるその他の形態の一部分をビーム軸に沿って示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ビーム軸100に沿った視点による図5に示すように、ダイヤフラム102は、X軸104に沿って内外に移動可能となっており、これによって、ビームを所望の程度だけ選択的に遮蔽することができる。右側のダイヤフラム102のみが図5に示されている。他側には、対応する左側のダイヤフラムが存在する場合があり、この形態においては、左側のダイヤフラムが同様の構造からなっている。しかしながら、必ずしも同様の構造である必要はない。
【0018】
マルチリーフ照準器106は、Y軸において作動する。マルチリーフ照準器106(MLC)は、ダイヤフラム軸104に直交するy軸に沿って、ビームの中に、またはビームから拡張され得る多数の別個のリーフ108を備えている。各リーフは、110で示されているような、選択された曲線状の外形にビームを形付けるよう、所望の距離だけ選択的に移動させられる。x軸における曲線110の先端112は、ダイヤフラム102に接している。これは、リーフ108間における不可避の小さな程度の漏れを覆い、かつ、先端112がリーフの端部と一致していないとうい可能性を許容する。普通は、ダイヤフラム102のフロントエッジ114の背後にあるリーフ108は、余分なものであり、また、(図4に示すように)引っ込められていてもよい。
【0019】
図5のダイヤフラム102は、中心突起領域116と、フロントエッジ118とを備えている。突起領域116は、ダイヤフラム102の中心に配置されるものとして示されている。これは、真っ直ぐな配置であり、また、バランスのとれたダイヤフラムを提供する。しかし、このことは、本質的なことではない。突起116およびフロントエッジ118は、ブロック照準器のためのダイヤフラムに一般に関連する十分な厚さまで比較的に増大された厚さからなっている。典型的には、これは、8cmのオーダーの厚さからなる。中心突起領域116は、ダイヤフラムの最も後方のエッジ120から、その中心軸104に沿って、ダイヤフラムのフロントエッジ118に到達するまで延びている。ダイヤフラムの長さに沿って約半分の距離のところで、突起領域116は122で拡がり始め、それが、より厚いフロントエッジ118に出くわす点におけるダイヤフラムの幅の約80−90パーセントになるまでだんだんと拡がっていく。この厚くされた、ダイヤフラム102の “Y”形状の領域は、両側において、概して薄い領域124,126と境を接している。これらの概して薄い領域は、突起およびフロントエッジの厚みの一部にすぎず、典型的には1−3cmとなっており、好ましくは約2cmとなっている。これは、治療用のビームを完全にブロックするほどには十分に厚くなっていないが、これは、MLCリーフ間の漏れを十分に覆う程度に厚くなっている。従って、放射線治療装置に組み込まれた適切な制御手段による制御のもと、MLCのリーフ108は、より小さい厚みからなるダイヤフラムの領域124,126を覆うとともに、(示されているように)突起領域116にわずかに重複するよう前進させられている。従って、十分な影(shadow)が、照準される領域の全てにわたってビーム内に投げかけられる。
【0020】
ダイヤフラム102が前方に移動するとき、突起116の拡がっていく部分122は、MLCのリーフ108が“追いつく(catch up)”のを許容する。一般に、リーフ108は、ダイヤフラム102の正面において、かなりの部分が引きこめられている。従って、完全なリーフを超えて延びるよう、ダイヤフラム102が前方に移動するにつれて、リーフは、ブロック照準器の中心軸104に到達するよう、合理的な横断距離を有する。この横断にはいくらかの時間がかかる。従って、図5に示されているように、領域112における突起116の比較的に大きな幅が、これを許容する。
【0021】
一方、より薄い部分124,126は、著しく削減された重量からなっており、これによって、ダイヤフラムの重量を、許容可能なレベルにまで削減している。一方、ビームの中心軸100を著しく超えてのダイヤフラムの拡張がまだ許容されている。
【0022】
図6は、図5のVI−VI線に沿って、ビーム軸に沿った部分を示している。マルチリーフ照準器のリーフ108は、(この形態においては、)対向するリーフの最小接近距離に対応するより狭い部分130に向かって下方にビーム128の照準をあわせるよう、延びている。リーフは、リーフが接触して損傷するのを防ぐため、より近接するよう移動することを許されていない。より薄い領域124,126は、全体的に、MLCのリーフ108の影の内側にある。
【0023】
図7は、ダイヤフラム102を斜視で示している。湾曲したフロントエッジ114は、一般に周知の方法によって、ダイヤフラム102の位置によらず(従って、放射線の入射角によらず)、最小の周縁部(penumbra)を可能としている。しかしながら、平坦なフロント面を使用し、周縁部が容認され、または、フロント面がビーム方向に並んだままとなるよう、ダイヤフラムが弧状の経路に従っている、その他の構成が可能である。厚くされたフロントエッジ118は、ダイヤフラム102の全部の幅を横切って延びており、また、突起領域106は、真っ直ぐな線によって、ダイヤフラム102の後部から、フロントエッジ114へ、ダイヤフラム102の中心軸に沿って延びている。ダイヤフラム102に沿っての約半分の距離で、突起領域106が厚くされたフロントエッジ118に到達する場所においてそれがダイヤフラムの幅の約80−90パーセントとなるよう、それは、線形的に、領域122において広くなっている。中心突起領域106の両側にある、より薄い領域124,126は、相当の重量の削減を可能にしている。
【0024】
図8は、その他のデザインを示している。これは、多くのMLCシステムが、キャリッジ(carriage)132によってリーフ108を支持し、キャリッジ132が、リーフの上方および下方で延び、かつその上端および下端を支持している、という事実に依存している。キャリッジ132は、リーフを前方へ運ぶとともに、ビーム領域の中への、および/またはビーム領域と交差してのリーフのより大きな拡張を可能とするよう、ビーム領域の中へ、およびビーム領域から移動するが、それ自体は、ビームの中心まで延びていない。しかしながら、キャリッジは、ビーム方向134において、所定の厚みを有している。このことは、リーフ108の上端と、ダイヤフラム102の下面との間に、対応する空間136があることを意味している。
【0025】
しかしながら、キャリッジ132が領域の中心まで延びていないので、突起116が中心に配置されている場合、この空間136は、突起116の下にある領域において不要となっている。突起116がダイヤフラムに対して中心となっていない場合、空間の有効性は、キャリッジ132の位置または移動範囲に対して突起が配置されている場所に依存する。従って、この形態において、突起116はまた、ダイヤフラムの下面の下方に138で突き出ている。このことは、より多くの材料が突起領域に配置され、ダイヤフラムシステムの不透明性を改善することを意味している。または、対応する量の材料が、突起の上端から取り除かれ、これによって、照準器システムおよび放射線ヘッドの全体的な深さを削減し、また、装置の適応性を全体として改善する。
【0026】
図9は、図8のダイヤフラムの下方からの斜視を示す図である。ダイヤフラムの湾曲したフロント面114から、突起116の下にある後端部へ後方に延びる、突起116の下方突起138が明確に認められる。下方突起は、MLCのキャリッジ132の配置および様々な移動範囲に依存して、広がっていく領域122に部分的にまたは完全に対応する追加部分を含んでいてもよい。
【0027】
図10は、さらなる形態を示している。突起116の両側の、より薄い領域124,126の目的は、拡張されたMLCリーフ108の背後に、予備のシールドを提供することである。これは、MLCのリーフを介して、例えばリーフ間に、なんらかのトランスミッションが存在してもよいということに対応している。しかしながら、試みは、そのような漏れの源を取り除くよう構成されており、また、そのような予備は不要と考えることもできる。そのような場合、より薄い領域を完全に取り除き、かつ図10に示すデザインを採用することにより、さらなる重量の削減が達成される。ダイヤフラム102は、単に、フロントエッジ118と突起116と、その間の広がっていく部分122とからなっており、ビーム軸に沿って見る場合、Y形状を画定している。
【0028】
MLCリーフの移動速度が十分であると想定される場合、または、ダイヤフラムの意図されている速度が十分に小さい場合、潜在的には、単純なT形状のダイヤフラムが残るよう、広がっていく部分122が省略されてもよい。
【0029】
付随する図においては、1つの突起のみが示されている。しかしながら、多数の突起を有するダイヤフラムを予想することも可能である。このことは、対向するリーフをどこに置くかに関する場所の選択をもたらす。このさらなる対応性は、臨床の状況において有用となり得るが、しかしながら、それは、本発明によって得られる重量削減をわずかに減少させる。
【0030】
上述の形態に対して、本発明の思想から逸脱することなく、様々な変形がなされ得るということが、当然に理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーム軸に沿って向けられる放射線ビームを生成するとともに、ビーム軸と交差する第1および第2方向における幅を有する手段と、
少なくとも第1方向において前記ビームの幅を選択的に制限するマルチリーフ照準器と、
少なくとも第2方向において前記ビームの幅を選択的に制限するブロック照準器と、を備え、
前記ブロック照準器は、ビームの内外に移動可能なダイヤフラムであって、変化するビーム軸の方向において所定の厚さを有するダイヤフラムを含むことを特徴とする放射線治療装置。
【請求項2】
前記ダイヤフラムは、フロントエッジを有し、
当該フロントエッジは、少なくともフロントエッジの背後にある1つの領域よりも大きな厚さを有していることを特徴とする請求項1に記載の放射線治療装置。
【請求項3】
前記ダイヤフラムは、その後部から、フロントエッジに向かって延びる突起領域を有し、
当該突起領域は、突起領域に対して側方に配置された少なくとも1つの領域よりも大きな厚さを有していることを特徴とする請求項1または2に記載の放射線治療装置。
【請求項4】
前記突起領域は、ダイヤフラムの最も後方の部分から延びていることを特徴とする請求項3に記載の放射線治療装置。
【請求項5】
前記突起領域は、ダイヤフラムのフロントエッジまで延びていることを特徴とする請求項3または4に記載の放射線治療装置。
【請求項6】
前記突起領域は、真っ直ぐになっていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の放射線治療装置。
【請求項7】
前記突起領域は、ダイヤフラムの中心領域となっていることを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載の放射線治療装置。
【請求項8】
前記突起領域の幅は、ダイヤフラムのフロントエッジに向かって増加することを特徴とする請求項3乃至7のいずれかに記載の放射線治療装置。
【請求項9】
第1および第2方向は、相互に交差していることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の放射線治療装置。
【請求項10】
マルチリーフ照準器とブロック照準器とを備え、
前記ブロック照準器は、可変の厚さを有するダイヤフラムを含んでいることを特徴とする放射線治療装置。
【請求項11】
前記マルチリーフ照準器のための制御手段であって、
前記ダイヤフラムの比較的に薄い部分によって遮蔽されているビームの領域を遮蔽するために前記マルチリーフ照準器のリーフを拡張させる制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の放射線治療装置。
【請求項12】
放射線治療装置用のブロック照準器であって、
ビームの内外に移動可能なダイヤフラムであって、変化するビーム軸の方向において所定の厚さを有するダイヤフラムを含むことを特徴とするブロック照準器。
【請求項13】
前記ダイヤフラムは、フロントエッジを有し、
当該フロントエッジは、少なくともフロントエッジの背後にある1つの領域よりも大きな厚さを有していることを特徴とする請求項12に記載のブロック照準器。
【請求項14】
前記ダイヤフラムは、その後部から、フロントエッジに向かって延びる突起領域を有し、
当該突起領域は、突起領域に対して側方に配置された少なくとも1つの領域よりも大きな厚さを有していることを特徴とする請求項12または13に記載のブロック照準器。
【請求項15】
前記突起領域は、ダイヤフラムの最も後方の部分から延びていることを特徴とする請求項14に記載のブロック照準器。
【請求項16】
前記突起領域は、ダイヤフラムのフロントエッジまで延びていることを特徴とする請求項14または15に記載のブロック照準器。
【請求項17】
前記突起領域は、真っ直ぐになっていることを特徴とする請求項14乃至16のいずれかに記載のブロック照準器。
【請求項18】
前記突起領域は、ダイヤフラムの中心領域となっていることを特徴とする請求項14乃至17のいずれかに記載のブロック照準器。
【請求項19】
前記突起領域の幅は、ダイヤフラムのフロントエッジに向かって増加することを特徴とする請求項14乃至18のいずれかに記載のブロック照準器。
【請求項20】
ビーム軸に沿って向けられる放射線ビームを生成するとともに、ビーム軸と交差する第1および第2方向における幅を有する手段と、
少なくとも第1方向においてビームの幅を選択的に制限するマルチリーフ照準器と、
少なくとも第2方向においてビームの幅を選択的に制限するブロック照準器と、を備え、
前記ブロック照準器は、ビームの内外に移動可能なダイヤフラムであって、移動方向と交差する方向で変化する幅を有するダイヤフラムを含む、放射線治療装置。
【請求項21】
中心突起領域と、より広いフロントエッジと、を備えたことを特徴とする請求項20に記載の放射線治療装置。
【請求項22】
前記より広いフロントエッジは、第1方向においてビームのほぼ全幅と交差して延びていることを特徴とする請求項21に記載の放射線治療装置。
【請求項23】
例として記載されている、および/または付随する図に示されている放射線治療装置。
【請求項24】
例として記載されている、および/または付随する図に示されているブロック照準器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−527664(P2010−527664A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508708(P2010−508708)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004625
【国際公開番号】WO2008/141667
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(500321704)エレクタ、アクチボラグ (18)
【氏名又は名称原語表記】ELEKTA AB
【Fターム(参考)】