説明

放射線治療システム及び他の用途に用いる患者支持システム

放射線治療及び他の用途において患者を支持する装置。一実施例における装置は、支持構造物と、該支持構造物によって担持されたパネルとを有し得る。支持構造物は、実質的には誘電体材料を含む剛性ある桁或は他の構造物等である第1及び第2支持部材を有し得る。パネルもまた、実質的には誘電体材料を含む剛性ある構造物である。このパネルは、電離放射線ビームと互換性ある、通り抜け領域或は他のタイプの領域を更に含み得る。例えばこのパネルは、ビーム汚染を和らげるグリッド或は中実な低密度構造物を有し得る。支持構造物及びパネルは共に、患者に移植された磁気マーカをナビゲーション領域内に配置するよう構成され、そのナビゲーション領域内においては、マーカから伝達される磁場が、従来の患者システムの台座或は片持ち支持構造物における導電性構成要素或は導電性材のループによって影響をされない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、電離放射線ビームで照射しながら身体内のターゲットを正確に位置決めして追跡する位置決めシステムと互換性ある(compatible)患者支持システムと関連する。
【背景技術】
【0002】
放射線治療は局在化された癌を処置すべく現行使用されている。典型的な用途において、放射線送出システムは可動架台に取り付けられた電離放射線装置を有する。この放射線送出システムは放射線装置の運動を制御して、電離放射線ビームを「マシン・アイソセンタ(Machine isocenter)」と一般に呼称される空間内の特定点に指向させる。放射線治療の1つの局面は、その腫瘍がマシン・アイソセンタに位置決めされるように患者を配置することである。カリプソ・メディカル・テクノロジーズ・インク(Calypso Medical Technologies, Inc)社は患者内部のターゲットを正確に位置決めして追跡するシステム及び方法を開発した。このカリプソ・システムは患者準備処置中或は電離放射線ビームが患者にリアルタイムで照射されている間、マシン・アイソセンタに対して腫瘍の場所に関する客観的情報を提供できる(例えば測定を行ってから2秒以内且つ5秒以内毎の間隔)。
【0003】
電離放射線ビームを活性化しながら患者内部の腫瘍を位置決めし追跡する1つの難題は、腫瘍が移動し得ることである。処置中の腫瘍移動の共通するソースは、呼吸作用、消化管の機能、及び、筋肉移動を含む。カリプソ・メディカル・テクノロジーズ・インク社によって開発された位置決め及び追跡システムは、患者の腫瘍或は他のターゲットを追跡して、その腫瘍がマシン・アイソセンタに対して所望の位置に位置決めされることを保証する。位置決め及び追跡システムは、それ故に、正確なデータを提供して、ターゲットに隣接する健康な組織の照射を和らげることが必要とされている。
【0004】
腫瘍を位置決めする1つの局面は、放射線治療用の従来の患者支持システムが位置決めシステムの精度を損ない得ることである。従来の患者支持システムは、台座、該台座に取り付けられた片持ち支持構造物、及び、その片持ち支持構造物によって担持されるインサートを典型的には有する。このインサートはカーボングラスファイバ・グリッドを有する通り抜け領域を含み、片持ち支持構造物は、一般に、このインサートを支持する2つの梁を一般的に有する。グリッドは電離放射ビームと互換性あって、患者の重さに耐える充分な支持を提供するように設計されている。幾つかの異なる支持システム及びインサートは、下記の特許文献1乃至4に記載されており、それらの全ては引用することでここに合体させる。これら特許に記載された従来の患者支持システムは電離放射線ビームと互換性あるが、腫瘍を追跡すべく磁場或は他のタイプの信号を用いる位置決め及び追跡システム用にそれらは充分に適合していない。
【0005】
他の用途に用いる従来の患者支持システムも位置決めシステムの精度を損ない得る。例えば、カリプソ・メディカル・テクノロジーズ・インク社によって開発された位置決め及び追跡システムは、外科的処置、患者モニタリング、及び、診断用途のために、患者における腫瘍或は他のターゲットを追跡できる。それら他の用途のための従来の患者支持システムも位置決め及び追跡システムの精度を損ない得る。それ故に、外科的処置或は他の用途のための従来の患者支持システムは有用ではあり得るが、患者のターゲットを追跡すべく、磁場或は他のタイプの信号を用いる位置決め及び追跡システム用にそれらも充分に適合するものではない。
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,778,047号
【特許文献2】米国特許第5,806,116号
【特許文献3】米国特許第5,537,454号
【特許文献4】米国特許第6,161,237号
【特許文献5】米国特許出願第09/877,498号
【特許文献6】米国特許出願第10/334,700号
【特許文献7】米国特許出願第09/954,700号
【特許文献8】米国特許出願第10/027,675号
【特許文献9】米国特許出願第10/044,056号
【特許文献10】米国特許出願第10/213,980号
【特許文献11】米国特許出願第10/679,801号
【特許文献12】米国特許出願第10/382,123号
【特許文献13】米国特許出願第10/334,698号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(詳細な説明)
以下の記載は、放射線治療処置、画像化処置、外科的処置、患者モニタリング、及び/或は、他の用途に用いる位置決め及び追跡システムと互換性ある患者支持システムの幾つかの実施例を記載するものである。患者支持システムは、電離放射線を含む用途、或は、電離放射線(例えば手術)を含まない用途で使用可能である。患者支持システムの幾つかの実施例は、励磁場に応じて磁場を発する移植可能マーカを用いる位置決めシステムの精度を増大する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の幾つかの実施例は、従来の患者支持システムを位置決めのために使用される磁場(例えば、移植されたマーカによって発生された磁場)と互換性あるように変更する装置に向けられている。その装置は従来のテーブルの上部に載せられたオーバーレイ或は従来のテーブル用のインサートであり得る。一実施例における装置は、支持構造物と、該支持構造物によって担持されたパネルとを有し得る。支持構造物は、実質的には誘電体材料を含む剛性ある桁或は他の構造物等である第1及び第2の支持部材を有し得る。パネルもまた、実質的には誘電体材料を含む剛性ある構造物である。このパネルは、電離放射線ビームと互換性ある、通り抜け領域或は他のタイプの領域を更に含み得る。例えばこのパネルは、ビーム汚染を和らげる、グリッド或は中実低密度構造物を有し得る。支持構造物及びパネルは共に、患者に移植された磁気マーカをナビゲーション領域内に配置し、そのナビゲーション領域内においては、そのマーカから伝達される磁場が、従来の患者支持システムの台座或は片持ち支持構造物における導電性構成要素或は導電性材のループによって影響されない。
【0009】
本発明の別の実施例は、患者を電離放射線ビーム処置或は他の非電離的処置での処置用の患者支持システムに向けられている。この患者支持システムは台座及び片持ち支持構造物を含み得る。片持ち支持構造物は、台座に取り付けられた固定具と、該固定具から突出する複数の梁とを有し得る。患者支持システムは、固定具によって担持される下方本体区分と、片持ち支持構造物の梁によって担持された胴体区分と、を有するプラットフォームをも含み得る。胴体区分は、実質的に誘電体である第1桁、実質的に誘電体である第2桁、及び、それらの第1及び第2桁によって担持された実質的に誘電体であるパネルを備える。
【0010】
動作中、マーカが移植された患者の部位は実質的に誘電体である材料を含む構成要素によって支持される。適切な実質誘電体材は何等かの導電性を有し得るが、それら材料の導電性はカーボンファイバ複合材のもの未満である。例えば、少なくとも実質的に誘電体である適切な材料は、フェノール材、フォーム、ケブラー(登録商標)、グラスファイバ等々を含む。
【0011】
従来の患者支持システムを本発明に従って変更する装置及び患者支持システムの幾つかの実施例は図1乃至図5と対応するテキストに詳述されて、本発明の特定の実施例の完全な理解を提供する。しかしながら、本発明は付加的な実施例を有し得ること、或は、本発明は図1乃至図5に示される実施例の幾つかの詳細無しで実施され得ることが、当業者には理解されるであろう。加えて、ターゲットを位置決め及び追跡するための適合するシステムは、以下の特許文献5乃至13に記載されており、それらの全ては引用することでそれら全体をここに合体させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、ベース・アセンブリ10と、該ベース・アセンブリ10に取り付けられるように構成された変換装置100とを図示する組立分解斜視図である。変換装置100は、患者に移植された磁気マーカによって発せられる磁場と互換性あるように患者を支持する。ベース・アセンブリ10は、台座12、金属取付構造物14、及び、片持ち支持構造物16を含む。この片持ち支持構造物16は、金属取付構造物14に取り付けられた下方本体区分20と、その下方本体区分20から突出する自由区分22とを含む。この自由区分22は、複数の梁24(図1には1つのみが示されている)と、それら梁24に取り付けられたヘッド・プレート26とを含む。梁24は下方本体区分20に固定され得るか、或は、下方本体区分20はレール27を含むことができ、そのレールに沿って梁が横に移動できる(矢印L)。ベース・アセンブリ10は、ヘッド・プレート26に取り付けられ得るヘッドレスト28を更に含む。
【0013】
この実施例におけるベース・アセンブリ10は、材料の導電性を懸念すること無しに構成要素が金属或は他の材料から形成されている点で、従来のベース・アセンブリと同様であり得る。従来の用途において、カーボンファイバ・インサートは、片持ち支持構造物16の自由区分22における梁24上方に配置されている。しかしながらこの実施例において、カーボンファイバ・インサートは使用されていない。
【0014】
変換装置100はベース・アセンブリ10を変更して、患者内の腫瘍を位置決め及び追跡すべく磁場を発する移植された磁気マーカ用に適合するように為す。この実施例において、変換装置100は、ベース・アセンブリ10の金属構成要素或は導電性ループが患者に移植された磁気マーカによって発せられる磁場に悪影響しないように、患者をベース・アセンブリ10に対して配置するように構成されている。より詳細には、変換装置100は厚みTを有し、その厚みが、ベース・アセンブリ10内の金属構成要素のそうした移植磁気マークによって発生させられた磁場に対しての効果を減ずる距離だけ、患者をベース・アセンブリ10上方に上昇させる。以下により詳細に説明されるように、変換装置100は、患者内に移植されたマーカをベース・アセンブリ10内の金属から更に引き離すべく、片持ち支持構造物16の自由区分22を超えて更に外側に患者を配置することもできる。
【0015】
変換装置100は胴体区分102を含むことができ、該胴体区分は電離放射線ビームと互換性あるように構成された通り抜け領域104を有すると共に、当該胴体区分102に周辺装置を取り付ける複数の索引要素106を有する。この胴体区分102は片持ち支持構造物16と係合する足場108を、さもなければ自由区分22に配置されることになるインサートに取って代わるように更に含む。変換装置100は下方本体区分110を更に含むことができ、それが下方本体区分20上に載る。下方本体区分110は、下方本体区分20における凹部114内に受け入れられるように構成されたタブ112を含むことができて、それら2つの下方本体区分110及び20を相互に整列させる。
【0016】
図2Aは図1における切断面A-Aに沿って切り取られた胴体区分102の断面図であり、そして、図2Bは図1における切断面B-Bに沿って切り取られた胴体区分102の断面図である。変換装置100のこの実施例において、胴体区分102は少なくとも第1桁120a及び第2桁120bを含む。これら第1及び第2桁120a,120bは、梁24(図1)の方向に延在する長手方向支持部材である。第1及び第2桁120a,120bは、各々、コア124及び被覆126を含み得る。コアとしては、フォーム(発泡体)、ハニカム、或は、少なくとも実質的に誘電体である別の適合材料であり得る。特定の実施例において、コア124はフェノール材であることが可能であるが、この材料は相対的に高密度であるので通り抜け領域104の区域には使用され得ない。被覆126は、中でも、ケブラー(登録商標)の1枚或はそれ以上のシート、グラスファイバ、或は、他の誘電体材を含み得る。被覆126は、硬化剤或は他の適切な結着剤を伴う樹脂を用いて、コア124に典型的に重ね合わされる。
【0017】
胴体区分102は、パネル130と、複数の横断方向桁132a乃至132d(図2Bに最も明瞭に示されている)とを更に含む。パネル130は、桁120a,120bと同一材料から成る被覆を有するコアを含むことができる。加えて、桁132a及び132dは1つのタイプの材料から形成され得て、そして、桁132b,132cはそれとは異なるタイプの材料から形成され得る。桁132a,132dは、例えば、被覆にカバーされたフェノール材から形成可能であり、そして、桁132b,132cは被覆によってカバーされたフォーム或はハニカムから形成可能である。パネル130の特定の複数の区分は横断方向桁と一体的に形成可能である。
【0018】
通り抜け領域104は電離放射線ビームに影響しない低密度区域を提供する。パネル区分104は複数の横断部材140を有する剛性グリッドであり得る。一実施例において、この横断部材140はケブラー(登録商標)及び/或はグラスファイバの重ね合わせられた複数層から形成される。以下により詳細に説明されるように、通り抜け領域は電離放射線ビームと互換性ある他の低密度構成、メッシュではなく、低密度パネル等を有し得る。
【0019】
図2Bを参照すると、胴体区分102は、下方本体区分20(図1)のチャネル152(図1)内に受け入れられる取付要素150を更に含む。この取付要素150はヘッドとステム(幹)を有し、それらがチャネル152の対応する構造物内に受け入れられて、胴体区分102を片持ち支持構造物16(図1)に保持させる。胴体区分102は、異なる取付機構を伴う異なるシステムを用いて、下方本体区分20に取り付けられる。
【0020】
変換装置100は、患者内及び/或は患者上に移植されたマーカからの信号に悪影響する金属構成要素及び/或は導電性ループを伴う従来の患者支持システムを変更すべく、従来のインサートを置き換える。そのようなことで、従来の患者支持システムは、マーカの磁場に基づき患者内に移植された磁気マーカの箇所を計算する位置決めシステム用に互換性あるように変換され得る。変換装置100の1つの局面は、それが患者をベース・アセンブリ10上方に胴体区分102及び下方本体区分110の厚みTだけ上昇させることである。加えて、胴体区分102は通り抜け区分104を台座12から長手方向に遠ざけるように離間させることができて、腫瘍近辺の患者に移植されたマーカとベース・アセンブリ10の金属構成要素との間の距離を更に増大する。1つの用途において、変換装置は患者を約7cmだけ上昇させ、該患者をベース・アセンブリから長手方向へ離すように約7cmだけ離間させる。そうすることで、変換装置100はナビゲーション体積Nを提供し、その中で、患者内に移植されたマーカが、ベース・アセンブリ10内の金属構成要素或は導電性ループによって位置決めシステムの精度が仕様以内ではなくなる程度まで影響されること無しに動作し得る。
【0021】
変換装置100の幾つかの実施例は、放射線治療のための装置の非導電性局面と低密度通り抜け領域を更に組み合わせる。装置の誘電体特質は、ベース支持アセンブリの導電性材料或は導電性ループによって生ずる不精密性を和らげるか或は削除し、そして低密度通り抜け領域は高強度の電離放射線ビームの汚染を和らげる。そのようなことで、図1乃至図2Bを参照して図示され且つ記載された実施例の幾つかは、非電離位置決めシステム及び放射線処置設備用に充分に適合する。
【0022】
図3は、本発明の別の実施例に従った患者支持システムの組立分解斜視図である。この実施例において、患者支持システムは相互に対して一体的である胴体区分202及び下方本体区分210を有する変換装置200を含む。変換装置200は、図1乃至図2Bに関して先に記載された変換装置100と同様に動作することが予想される。
【0023】
図4は、本発明の別の実施例に従った変換装置300の組立分解斜視図である。この実施例において、変換装置300は胴体区分302及び下方本体区分310を有する。この変換装置300は、その胴体区分302が、従来のインサート320が片持ち支持構造物16に取り付けられているシステムに使用されるように構成されていることで、従来の変換装置100とは異なっている。胴体区分302は、こうして、変換ユニット100の足場108(図1)を有することがない。
【0024】
図5は、磁場を発する移植された磁気マーカを有する位置決めシステム用に互換性ある患者支持システム500の組立分解斜視図である。患者支持システム500は、ベース502を含み得ると共に、該ベース502に取り付けられた下方本体区分506と下方本体区分506から突出する梁508(図5には1つのみの梁508が示されている)とを有する片持ち支持構造物504を含み得る。ベース502及び片持ち支持構造物504は先に記載された同一要素と類似し得るが、ベース502及び片持ち支持構造物504は、少なくとも実質的に誘電体である材料から、少なくとも部分的に構成される構成要素を含み得る。ベース502も従来の同等構成要素よりも少ない導電性ループを含み得る。例えば、下方本体支持区分506及び梁508は、先に記載された構造物と同様の実質的に誘電体材を含む。患者支持システム500は通り抜け区分522を有するインサート520を更に含む。このインサート520は図1に関して先に記載された胴体区分102と同様であり得る。このインサート520は、それに応じて、複数の索引要素524を含み得る。
【0025】
図6は、本発明の別の実施例に従った位置決めシステムに用いる患者支持を変更するための装置700を図示する斜視図であり、図7は切断面7-7に沿って切り取られた装置700の断面図である。装置700の幾つかの特徴は図1乃至図2Bを参照して先に記載された装置100と同様である。例えば、装置700は厚みTを有する胴体区分710を有して、位置決めシステムに用いられる移植可能な磁気マーカによって発生させられる磁場に対するベース支持アセンブリ10における金属構成要素の効果を和らげるために充分な距離だけ、患者をベース支持アセンブリ10上方に上昇させる。この実施例において、装置700は足場720及び開口部722を更に含む。理解して頂けるように、足場720は、装置700が図6に示される片持ち支持構造物に取り付けられる際に用いられる任意選択的な特徴である。胴体区分710及び足場720は、ケブラー(登録商標)で包まれたフォーム・コア、プラスチック、高密度ポリプロピレン、グラスファイバで包まれたコア、及び、他の適切な材料等の誘電体材料から構成される。
【0026】
装置700は開口部722内に通り抜け領域730を更に含む。この実施例における通り抜け領域730は、電離放射線ビーム用に適合する低密度材料から成るパネルを含む。例えばパネルは、ケブラー(登録商標)、グラスファイバ、或は、他の材料で包まれた低密度フォームから構成され得る。被覆は樹脂及び硬化剤を用いてコアに重ね合わされる。取り抜け領域730は、独自でか或は他の材料で包まれた際に患者を充分に支持できるハニカム・コア、或は、グラスファイバ、セルロースに基づく製品、プラスチック、或は、他の適合材料から構成された他のタイプのコアを代替的には有し得る。一実施例において、通り抜け領域730の質量密度は、該通り抜け領域730の厚みを通じての平方センチメートル柱内の質量によって測定される。通り抜け領域730は、過剰な汚染ビーム無しに放射線治療の患者への送出中、放射線ビーム内に存在させることを可能とする低質量密度を有するように一般的には構築される。図示の実施例において、通り抜け領域730の質量密度は、約0.3グラム/cm2或はそれ以下等の約1.0グラム/cm2或はそれ以下の範囲内である。通り抜け領域730は放射線ビームを約0.5%或はそれ以下だけ減衰させるように構成されるべきである。他の実施例において、取り抜け領域730は異なる質量密度を有し得るか、或は放射線ビームを0.5%以上減衰し得る。
【0027】
図8は、位置決め及び追跡システム用に患者を支持する装置800の別の実施例を図示する斜視図である。この実施例において、装置800はベース810及びパネル820に取り付けられるか、或は、さもなければそれらに支持される誘電体テーブルの天板である。装置800は、ベース810及びパネル820内の金属構成要素から患者を遠ざけるように隔てる厚みTを有する。装置800は適切な表皮で包まれた誘電体コアから構成され得て、パネル820上に実質的に剛性あるスペーサを提供する。例えばコアは独立気泡フォーム、ハニカム構造物、或は、他の適切な誘電体材料であり得て、表皮はケブラー(登録商標)、グラスファイバ、或は、他の誘電体材料から成る1つ或はそれ以上のシートであり得る。表皮又は被覆は硬化剤或は他の適切な結着剤を伴う樹脂を用いてコアに重ね合わせができる。他の実施例において、装置800は、コア周りを包み込む外側被覆を有しない必須厚みTを有する別の誘電体構造物であることが可能である。装置800は、外科的用途、或は、放射線治療で用いられる放射線ビームに適合する低密度通り抜け領域を必ずしも必要としない他の用途に特に適合する。
【0028】
以上の記載から、理解して頂けるように、本発明の特定の実施例は例示的目的でここに記載されたが、様々な変更が発明の精神及び範囲から逸脱すること無しに為され得る。例えば患者支持システムは、少なくとも実質的に誘電体である材料から形成されたアクセサリーのみが、変換装置或はインサートに取り付け可能となるように構成された取付要素等の付加的な特徴を更に含むことができる。加えて、他の材料或は寸法が先に記載されたものの代わりに使用可能であり、そして、実質誘電体から構成されるように先に記載された構成要素の内の幾つかは追加の構造物的強度のため導電性材料から形成される小さな特徴を含み得る。胴体区分も先に詳述された他の構成を有し得る(例えば、グリッド無しの低密度材料から成る中実パネル)。従って、本発明は各種請求項によって実証されるような以上の記載によって限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施例に従った患者支持システムの組立分解斜視図である。
【図2】図2Aは図1における切断面A-Aに沿って切り取られた患者支持システムの一部の断面図であり、図2Bは図1における切断面B-Bに沿って切り取られた患者支持システムの一部の断面図である。
【図3】本発明の別の実施例に従った患者支持システムを図示する組立分解斜視図である。
【図4】本発明の更に別の実施例に従った患者支持システムの斜視図である。
【図5】本発明の更に別の実施例に従った患者支持システムの組立分解斜視図である。
【図6】本発明の別の実施例に従った患者支持システムの組立分解斜視図である。
【図7】図6における切断面7-7に沿って切り取られた患者支持システムの一部の断面図である。
【図8】本発明の更に別の実施例に従った患者支持システムの斜視図である。
【図9】位置決め及び追跡システム用の患者を支持する装置の別の実施例を図示する斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電離放射線ビームを用いて患者内のターゲットを処置する設備において、患者支持システムを位置決め用の磁場と互換性ある(compatible)ように変更する装置であって、
第1支持部材及び第2支持部材を有する支持構造物であり、それら第1及び第2支持部材が、剛性があって、少なくとも実質的に誘電体である材料を含むと共に、前記患者支持システムによって担持されるように構成されていることから成る支持構造物と、
前記第1及び第2支持部材によって担持されたパネルであり、少なくとも実質的に誘電体である材料を含むと共に電離放射線ビームと互換性ある領域を有するパネルと、を備え、
前記支持構造物及び前記パネルが、マーカから伝達される信号が前記患者支持システムの導電性構成要素によって許容できない度合いまで影響されることがないナビゲーション領域内に、患者内に移植された前記マーカを配置するように構成されていることから成る装置。
【請求項2】
前記第1及び第2支持部材が、それぞれ、熱硬化性樹脂から構成された第1及び第2桁を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1及び第2支持部材が、それぞれ、フェノール材料から構成された第1及び第2桁を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1及び第2支持部材が、それぞれ、第1及び第2長手方向桁であり、前記支持構造物がそれら第1及び第2長手方向桁の間に延在する横断方向の第3桁を更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記パネルが、低密度コアと該コアに重ね合わされた被覆とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記被覆が、ケブラー(登録商標)及び/或はグラスファイバを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記被覆が、樹脂によって、前記コア及び支持構造物に重ね合わされた誘電体シートを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記コアが、誘電体フォーム及び/或は誘電体ハニカムを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記被覆がケブラー(登録商標)及び/或はガラスファイバを含み、前記コアが誘電体フォーム及び/或は誘電体ハニカムを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記支持構造物及び前記パネルが、患者支持システムの電気的な導電性構成要素によって誘導される誤差を低減するに充分な距離だけ、ナビゲーション領域をベースから遠ざけるように離間させる、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記支持構造物及び前記パネルが、ナビゲーション領域を上昇させるように、前記患者支持システムのインサート上方に配置されるように構成されたオーバーレイを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記支持構造物及び前記パネルが、ナビゲーション領域を上昇させるように、前記支持システム及びレールの間のインサート無しに、前記患者支持システムのレール上方に配置されるように構成されたオーバーレイを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記支持構造物及び前記パネルが、前記患者支持システムの従来の導電性インサートを置き換えるように構成されたインサートを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記患者に対して複数のアクセサリーを位置決めすべく基準システムを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
実質的に誘電体のアクセサリー及びサイド・レールだけを前記患者支持システムに取り付けられるようにする選択的な取付要素を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
下方本体支持構造物を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
電離放射線ビームで患者を処置するために用いる患者支持システムであって、
台座と、
前記台座に取り付けられた固定具と、該固定具から突出する複数の梁とを有する片持ち支持構造物と、
前記片持ち支持構造物の前記固定具によって担持された下方本体区分と、前記梁によって担持された胴体区分とを有するプラットフォームであり、前記胴体区分が、実質的に誘電体の第1支持部材、実質的に誘電体の第2支持部材、及び、それら第1及び第2支持部材によって担持された実質的に誘電体であるパネルを含むことから成るプラットフォームと、
を備える患者支持システム。
【請求項18】
主要梁が実質的に誘電体である材料から構成されている、請求項17に記載の患者支持体。
【請求項19】
前記第1及び第2支持部材が、それぞれ、熱硬化性樹脂から構成される第1及び第2桁を含む、請求項17に記載の患者支持体。
【請求項20】
前記第1及び第2支持部材が、それぞれ、フェノール材料から構成された第1及び第2桁を含む、請求項17に記載の患者支持体。
【請求項21】
前記支持構造物が、前記第1及び第2長手方向桁の間に延在する横断方向の第3桁を更に含む、請求項20に記載の患者支持体。
【請求項22】
前記パネルが、低密度コアと該コアに重ね合わされた被覆とを含む、請求項17に記載の患者支持体。
【請求項23】
前記被覆が、ケブラー(登録商標)及び/或はグラスファイバを含む、請求項22に記載の患者支持体。
【請求項24】
前記被覆が、樹脂によって、前記コア及び前記支持構造物に重ね合わされた誘電体シートを含む、請求項22に記載の患者支持体。
【請求項25】
前記コアが、誘電体フォーム及び/或は誘電体ハニカムを含む、請求項22に記載の患者支持体。
【請求項26】
前記被覆がケブラー(登録商標)及び/或はグラスファイバを含み、前記コアが誘電体フォーム及び/或は誘電体ハニカムを含む、請求項22に記載の患者支持体。
【請求項27】
磁場を発するマーカを用いてターゲットを位置決め及び追跡するためのシステムにおいて、患者を担持する患者支持体であって、
誘電体材料から構成されると共に患者を保持するように構成された剛性支持構造物と、
前記支持構造物上及び/或は前記支持構造物内の通り抜け部材であり、誘電体材料から構成されると共に高エネルギー電離放射線ビームと互換性あるように構成された剛性構造物である通り抜け部材と、
を備える患者支持体。
【請求項28】
前記通り抜け部材が剛性グリッドである、請求項27に記載の患者支持体。
【請求項29】
前記通り抜け部材がパネルを含む、請求項27に記載の患者支持体。
【請求項30】
前記パネルが被覆で包まれたコアを含む、請求項29に記載の患者支持体。
【請求項31】
前記通り抜け部材が、約1.0グラム/cm2未満の質量密度を有する、請求項27に記載の患者支持体。
【請求項32】
前記通り抜け部材が、約0.3グラム/cm2以下の質量密度を有する、請求項27に記載の患者支持体。
【請求項33】
前記通り抜け部材が、約0.5%以下だけ高エネルギー電離放射線ビームを減衰するように構成されている、請求項27に記載の患者支持体。
【請求項34】
前記支持構造物が、第1支持部材及び第2支持部材を含み、それら第1及び第2支持部材がそれぞれ剛性ある桁である、請求項27に記載の患者支持体。
【請求項35】
患者内のターゲットの位置決め及び/或は追跡をするための設備において、患者を担持する患者支持体が、マーカから伝達される磁場が前記支持構造物下方のベース内の電気的な導電性構成要素によって許容できない度合いまで影響されることがないナビゲーション領域内に、患者内に移植された前記マーカを配置するように構成された誘電体支持構造物を備えることから成る患者支持体。
【請求項36】
前記支持構造物が、前記マーカから発生させられる磁場に対する前記電気的な導電性材の効果を和らげる所定の最小距離だけ、前記ナビゲーション領域を前記ベース内の電気的な導電性構成要素から分離するように構成されている、請求項35に記載の患者支持体。
【請求項37】
前記支持構造物が、約7cmだけ前記患者を前記ベース構造物の前記導電性構成要素上方に離間させる高さを有する、請求項35に記載の患者支持体。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−514461(P2007−514461A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535437(P2006−535437)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/034523
【国際公開番号】WO2005/037167
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(504233731)カリプソー メディカル テクノロジーズ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】