放射線治療支援システム
【課題】信頼性の高い最新の治療データに基づき治療計画の立案を補助できる放射線治療支援システムを得ることを目的とする。
【解決手段】診断情報と治療計画情報を含む患者ごとの医療情報を記録する医療情報記録部2と、あらかじめ定めた評価項目にもとづいて前記記録された患者ごとの医療情報に重みづけ評価を行う医療情報評価部3と、前記重みづけ評価を行った患者ごとの医療情報を統計処理し、疾患ごとの診断情報の各項目と治療計画情報の各項目との関連性情報を生成する関連性情報生成部5と、入力された疾患ごとの診断情報と前記関連性情報に基づいて、対応する患者ごとの医療情報を前記記録された医療情報の中から検索する医療情報検索部7と、を備えた。
【解決手段】診断情報と治療計画情報を含む患者ごとの医療情報を記録する医療情報記録部2と、あらかじめ定めた評価項目にもとづいて前記記録された患者ごとの医療情報に重みづけ評価を行う医療情報評価部3と、前記重みづけ評価を行った患者ごとの医療情報を統計処理し、疾患ごとの診断情報の各項目と治療計画情報の各項目との関連性情報を生成する関連性情報生成部5と、入力された疾患ごとの診断情報と前記関連性情報に基づいて、対応する患者ごとの医療情報を前記記録された医療情報の中から検索する医療情報検索部7と、を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実績のある医療データのなかから、診断結果に対応する有用なデータを提供することにより、放射線治療計画の立案を容易にする放射線治療支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
放射線治療では、腫瘍への最適な線量を照射し、腫瘍周辺部の正常組織に対する被爆を最小限にするために、治療に先立って、放射線の種類、ビーム入射方向、照射回数・門数などを定めた放射線治療計画を立案する。治療計画の立案ではPET/CTやCT画像などの臨床画像を利用して、標的腫瘍と周辺のリスク臓器の位置関係を正確に把握し、ビーム入射方向、照射回数・門数、線量分布計算が行われている。
【0003】
しかし、これらの判断は、放射線腫瘍医、放射線技師、医学物理士などの経験に基づき行われるものであるため、最適な治療計画を立案できる医療従事者が限られてしまい、多くの患者に対して適切な治療計画を立案することは困難であった。
【0004】
そこで、経験の浅い医療従事者でも治療計画を立案できるよう、データベースに登録された症例情報の中から、類似する症例で行われた治療に関する情報を検索する計画立案システム(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。さらに、治療計画と過去の放射線量を関連付けて蓄積し、検索の際に検索項目に重み付けを加えることで検索率が向上する放射線治療管理システムが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−287027号公報(段落0042〜0050、図6、図8)
【特許文献2】特開2006−167117号公報(段落0047〜0052、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、放射線治療においては治療方法の進歩が早く、これまで実績のあった治療方法や推奨されてきた治療方法が必ずしも最善な治療方法であるとは言えない。そのため、上記のような治療計画の立案に際しては、絶えず、最新の治療実績を参照していく必要があった。また、治療実績については医師や施設についてのばらつきが大きく、最新の治療実績であっても必ずしも有用な治療実績であるとは限らない。そのため、上記のように単に過去の医療データからキーワードを使って検索した情報では、適切な治療計画を立案することが困難であった。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、信頼性の高い最新の治療データに基づき治療計画の立案を補助できる放射線治療支援システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の放射線治療支援システムは、診断情報と治療計画情報を含む患者ごとの医療情報を記録する医療情報記録部と、あらかじめ定めた評価項目にもとづいて前記記録された患者ごとの医療情報に重みづけ評価を行う医療情報評価部と、前記重みづけ評価を行った患者ごとの医療情報を統計処理し、疾患の種類ごとに前記診断情報の診断項目と前記治療計画情報の治療計画項目との関連性を評価し、評価結果を関連性情報として生成する関連性情報生成部と、治療対象患者の診断情報の入力を受け付ける入出力端末を有し、前記関連性情報に基づいて、前記記録された医療情報の中から入力された治療対象患者の診断情報との関連性の高い医療情報を検索する医療情報検索部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の放射線治療支援システムによれば、最新の診断情報、照射情報から臨床的に重要な情報の関連性を評価し、評価した関連性情報に基づいて入力した診断情報との関連性の高い医療情報を検索できるので、診断結果に最適な医療情報を検索し、治療計画の立案を補助することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムのデータ処理の概略を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムの概略を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムを構成する放射線治療計画データセンターの概略を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムにおける各施設からデータセンターに送信される診断サマリ、粒子線治療サマリを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムにおける自動データ変換ツールにより構造化文書形式に変換された診断サマリ、粒子線治療サマリを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムにおける構造化文書形式の診断サマリ、粒子線治療サマリから抽出された診断情報と治療計画情報の関連性データを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムにおける1次データと信頼性評価後の医療情報を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムにおける医師・施設による信頼度重み付け機能を有した学習機能ツールを示す図である。
【図9】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムにおける前立腺癌での診断情報と治療計画情報の関連性データを示す図である。
【図10】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムを構成する治療計画支援システムで検索画面を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムを構成する治療計画支援システムの検索画面を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムを構成する治療計画支援システムの検索画面を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムを構成する放射線治療支援システムの処理手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1〜図13は、本発明の実施の形態1にかかる放射線治療支援システムを説明するためのもので、図1は放射線治療支援システムの主な構成を示すブロック図、図2は放射線治療支援システムを構成する放射線治療計画データセンターと各医療機関とのつながりを示す図、図3は放射線治療支援システムを構成する放射線治療システムデータセンターと医療機関でのデータの流れを説明するための図、図4〜6は診断情報と治療計画情報との関連性情報について説明するための図、図7〜8は医療情報の重みづけ評価について説明するための図、図9は診断情報と治療計画情報との関連性情報に医療情報の重みづけ評価でより最新かつ信頼性の高い医療情報を説明するための図、図10〜12は医療情報を検索する際の画面構成を示す図、図13は放射線治療支援システムにおけるデータ処理のフローを示す図である。
【0012】
図1に示すように、本実施の形態1に示す放射線治療支援システムは、各医療機関20A、20B、20C、・・・から医療情報収集部1を介して提供される診断情報と治療計画情報を含む症例(患者)ごとの医療情報の実績を記録する医療情報記録部2と、評価項目設定部4によりあらかじめ定めた評価項目にもとづいて記録された医療情報に重みづけ評価を行う医療情報評価部3と、重みづけ評価を行った患者ごとの医療情報を統計処理し、疾患の種類ごとに診断情報の診断項目と治療計画情報の治療計画項目との関連性を評価し、評価結果を関連性情報として生成する関連性情報生成部5と、治療計画の立案対象となる治療対象患者の診断情報の入力を受け付ける入出力端末8CA,8CB,・・・を有し、関連性情報に基づいて、記録された医療情報の中から入力された治療対象患者の診断情報との関連性の高い医療情報を検索する医療情報検索部7と、を備えている。
【0013】
上記構成のうち、医療情報の提供や関連付けを行った医療情報をもとに必要な治療計画情報の呼び出しを行うための端末8A,8B,・・・は、各医療機関20A、20B、20C、・・・に設けられ、各医療機関からの医療情報を収集する医療情報収集部1をはじめとして上述した医療情報記録部2〜医療情報検索部7を備えた放射線治療支援システムの主たる構成は、放射線治療計画データセンター10に設けられている。そして、放射線治療計画データセンター10と、各医療機関20A、20B、20C、・・・との間は図2に示すようにインターネットなどの公衆回線網に暗号化された仮想回線のSSL−VPN(Secure Socket Layer Virtual Private Network)を利用して接続している。
【0014】
各医療機関のうち、例えば、A粒子線医療センター20Aは、図2に示すように、治療計画装置23A、画像診断装置24A、粒子線加速器25A、情報端末8Aとなるデータ送信用サーバ26Aを保有し、B病院20Bは、治療計画装置23B、画像診断装置24B、粒子線加速器25B、情報端末8Bとなるデータ送信用サーバ26Bを保有している。
【0015】
そして、放射線治療計画データセンター10は、A粒子線医療センター20Aや、B病院20Bといった医療機関で実際に行われた治療に関する診断情報と治療計画データを含む症例(患者)ごとの実績データである医療情報を各医療機関の情報端末8A,8B,・・・からインターネットなどの公衆回線網に暗号化された仮想回線のSSL−VPNを利用して送信し、送信されたデータは放射線治療計画データセンター10内でデータ処理した後に保存する。
【0016】
放射線治療計画データセンター10は、図3に示すようにA粒子線医療センター20Aで発生した医療情報である患者ごと(同じ患者であっても治療対象部位や疾患が異なり、区別する必要がある場合は別の患者として扱う)の文書による診断情報DDL1、画像診断情報DDI1、治療計画画像情報DPI1、治療計画の文書情報である治療計画レポート情報DPL1を放射線治療計画データセンター10内の医療情報収集部であるデータ受信用サーバ1で受信する。受信した医療情報のうち、画像データである画像診断情報DDI1、治療計画画像情報DPI1は直接、医療情報記録部2である治療計画データベース13の画像診断情報DDI2、治療計画画像情報DPI2として格納される。
【0017】
一方、文書情報である診断情報DDL1と治療計画文書情報DPL1は、自動データ変換ツール12で国際標準規格文書形式、例えば、HL7 CDA R2(Health Level Seven, Clinical Document Architecture, Release Two)、DICOM SR(Digital Imaging and Communications in Medicine Structured Reporting)のような構造化文書形式に自動変換される。そして自動変換された文書はXML(Extensible Markup Language)準拠で出力され、出力されたデータは治療計画データベース13内に診断情報DDL2、治療計画文書情報DPL2として格納される。なお、図示しないが、文書情報と画像情報に分かれる前の元の医療情報のIDは、後述する関連付けデータDASの一つとして記録されている。なお、文章/画像、変換前後を問わず、診断情報としてはDD、治療計画情報としてはDPと総称する。
【0018】
関連性情報生成部5として機能する治療計画オントロジーシステム14は、医療情報記録部2である治療計画データベース13内に格納された診断情報DDL2、治療計画文書情報DPL2をオントロジーとして使われているRDF(Resource Description Framework)、OWL(Web Ontology Language)などを利用して関連性と頻度情報をマッピングする。上記は2004年、W3C(World Wide Web Consortium)で勧告されたセマンティックウェブのためのデータモデルで、RDFではリソース関係を主語、プロパティ、目的語という3つの要素(トリプル)で表現している。述語は主語の特徴や主語と目的語との関係を示す。目的語は主語との関係のある物や述語の値を示す。診断情報DDL2、治療計画文書情報DPL2間の要素の関連性を3つの要素で表現するためにRDFでプログラミングし、このRDFデータDRDFを処理し利用するためのさまざまな機能を提供しているのがデータ処理ツール15である。ここではオントロジーデータDRDFの読み込み、出力、そしてデータ間の推論、検証を行う。
【0019】
さらに、本実際の形態1にかかる治療計画オントロジーシステム14は、医療情報評価部3として機能する学習機能ツール16を有することにより、医療情報を提供した医師や提供者の所属機関等の入力者に関する項目、医療情報の入力時期、または治療成績といったあらかじめ設定した評価項目と評価基準に基づいて、記録された医療情報の信頼度についての評価を行う。つまり、治療実績が豊富な施設や経験豊富な放射線治療の専門医が行った信頼性の高い医療情報の重みづけを他の医療情報より高くすることで、RDFのような統計的処理に基づく機械的な関連付けであっても、治療実績が豊富な施設や経験豊富な放射線治療の専門医が行った信頼性の高い最新の医療情報をもとに、診断情報と治療計画情報間の要素関連性が付与されることになる。そのため、機械的に関連付けられたRDFデータDRDFの信頼度・精度を保障することができる。
【0020】
ここで、治療計画オントロジーシステム14における医療情報の具体的な重みづけや関連性付与の詳細について述べる前に、関連付けを行った後の一連の動作について説明しておく。
【0021】
上記のように医療情報に関連性を付与した際の関連性情報DASは、関連性情報記録部6として機能する治療計画データベース13に記録される。あるいは、支援情報呼び出し部8CA,8CB,・・・として機能する各医療機関20A,20B,・・・の情報端末8A,8B,・・・から入力された治療部位のデータに基づいて関連付けされた場合、直接、操作された情報端末に対して出力される。このとき、医療情報検索部6として機能するアプリケーション16により、各医療機関の情報端末において、治療計画オントロジーシステム14で関連付けられたRDFデータDRDFを後述するようにグラフ構造で表示し、必要な情報の検索を容易にする。
【0022】
例えば、B病院20Bにおいて知りたい症例の参考となる治療計画を検索したい場合、情報端末8Bであるデータ送信用サーバ26Bを操作して、画面表示例のように「治療計画支援システム」にログインすることで、放射線治療計画支援システムを利用できる状態になる。そして、治療部位を入力することにより、参考にしたい治療計画を検索するために必要な診断項目や治療項目(例えば、診断名、患者の年齢、TNM分類の値、照射情報)などが医療情報検索部7として機能するアプリケーション16により治療計画データベース13に格納された診断情報DDL2、治療計画文書情報DPL2と、関連付けデータDASに基づいて抽出される。抽出された項目が情報端末8Bに提示されるので、提示された項目に対して、選択や数値または文字入力することで、さらに必要な項目が絞られる。これらを順次実行するだけで、参考にしたい信頼性のある医療情報を検索することが可能になる。医療情報が絞り込まれれば、その医療情報のIDに基づいて、PET/CT、PET/MRなどの類似画像や治療計画レポート情報DPL2、線量結果情報DDDといった検索医療情報DSRを表示することができる。また、自動変換前の診断情報DDL1、治療計画レポート情報DPL1を治療計画データベース13に記録しておけば、医療機関から提供された状態での医療情報も検索医療情報DSRとして表示することもできる。
【0023】
このとき、疾患部分の詳細な情報を入力することにより、プロトコール、照射方法の違いに対応した最適な線量計算アルゴリズムを検索し、放射線治療計画データセンター10側の線量計算シミュレーションサーバ15で線量計算アルゴリズムによる計算によるシミュレーション結果である線量分布情報DSMを表示することができる。
【0024】
また、放射線腫瘍医、医学物理士の治療経験不足または人数不足の医療機関の支援を目的にした遠隔治療計画支援サービスSSPを実施することもできる。例えば、各放射線治療で実施されたPET/CTなどの診断画像を放射線治療計画データセンター10に送信して、放射線治療計画データセンター10内の、または放射線治療計画データセンター10を経由して他の医療機関の経験豊富な医師、医学物理士が送信された診断画像を基に送信元の医療機関の施設・照射条件などを考慮し、治療計画を立てることもできる。
【0025】
<関連性付与について>
図4〜図6は本発明の実施の形態1にかかる放射線治療支援システムにおける医療情報の関連付けを説明するためのもので、図4は各医療機関から提供された診断サマリ、粒子線治療サマリを、図5はその医療情報を自動データ変換ツール12により階層構造化された診断情報DDL2と治療計画文書情報DPL2からなる患者ごとの医療情報の例を、図6はオントロジーにより関連付けた診断情報と治療計画情報との関連性の例を表示している。
【0026】
図4に示すような各医療機関から提供された患者(症例)ごとの医療情報に含まれる診断情報は、テキスト、CSV(Comma Separated Values)形式など情報提供者毎の異なるフォーマットや形式で診断内容や所見が記載されたものであり、そのままでは統計的な処理等が実行できない。そこで、各医療機関から提供された医療情報のうち、文書情報に当たる診断情報DDL1やDPL1は、自動データ変換ツール12により、図5に示すような構造化文書形式に変換される。しかし、こうした階層構造化しただけの医療情報に含まれる診断情報は、図4に示すように雑多な項目ごとの評価値や所見が対応しただけとなっている。また、治療計画情報も様々な項目に対して方法や値が対応しただけとなっている。したがって、このような状態のデータベースに対し、治療対象となる患者の診断結果に基づいて参照すべき最適な治療計画を検索することは、経験の少ない医療従事者には困難である。
【0027】
そこで、本実施の形態1にかかる放射線治療支援システムでは、オントロジーにより、治療対象部位を上位として、治療計画との関連性が高い診断項目や診断結果との関連付けを行っていく。そして、医療情報を検索する際に、治療対象部位から参照すべき治療計画を検索するための関連性の高い項目を順次提示していくことにより、経験の少ない医療従事者でも容易に最適な治療計画例を参照できるようにする。
【0028】
そのため、図6においては雑多な情報であった診断項目や値が、オントロジーを利用することで、例えば前立腺がんに対して、最も関連性の高い診断項目であるPSAが提示され、さらに診断項目の値により例えば値がPSA≦10の場合は次に必要な項目がTNM分類になり、一方値がTNM分類のcT1,T2aの場合は次に必要な項目がGS値2−6という風に変化していく。上記の診断項目のうち、一般的な医療指針に沿って考えると必須の項目であっても、その値により治療計画に差が生じないような場合は、治療計画を検索する上で何の役にも立たない、一方、一般的な医療指針から見ればさほど重要でない項目であっても、その値により、あるいは他の診断項目の結果によっては、その診断項目が治療計画に大きな影響を及ぼす場合がある。例えば、エネルギー、レンジシフタ厚のような場合である。そのような例はとくに、治療技術の進歩が急な放射線治療においては顕著であり、従来なら必須の項目が最新の技術では不要になる場合がある。例えば、スキャニングビームを使用する場合、今後コリメータ等を使用しない方向に進んでいる。
【0029】
こうした、放射線治療では、従来のようにいわゆる医療指針や経験に頼って検索しようとした場合、真に最適な治療計画を検索することは経験のある医療従事者であっても困難であり、とくに経験の浅い医療従事者にとっては至難の業ともいえる。しかし、本実施の形態のように診断情報の各項目と治療計画情報の各項目との関連性情報を生成し、入力された疾患の部位に応じて検索に必要な診断項目を表示するので治療計画支援ができる。
【0030】
これら関連付けは、順次蓄積される医療情報の数が所定数を超えるたびに、あるいは定期的に行うとよく、後述する医療情報の評価基準を更新した際にも行うとよい。
【0031】
<医療情報の評価について>
上記のように、雑多な診断項目と治療計画との関連性を付与することにより、治療計画に関連するあるいは影響する診断項目や診断結果の入力を促し、容易に検索ができるようになる。しかし、関連付けるデータが必ずしも信頼性の高いデータで有るとは限らない。上述したように放射線治療の分野では、技術の進歩が目覚ましく、真に最適な治療計画を立案できる医療従事者は限られてくる。そのため、治療経験が乏しくあるいは旧来の方法しか習得していないような医療従事者が立案した治療計画に関する医療データの場合、誤った診断項目を誘導してしまう可能性がある。
【0032】
そこで、本実施の形態1にかかる放射線治療支援システムでは、提供された医療情報に対し、あらかじめ設定した、評価項目及び評価基準に従い重みづけ評価を行い、信頼性を確保するようにした。図7ではオントロジーにより関連付けられた一次データに対して、信頼性評価を加味した場合、そのデータからいくつかに絞られる。図8(a)〜(d)(総称して図8)は医療情報評価部3(図1)において、提供された医療情報毎の重み付け設定を示す図である。上記関連付けを単に提供された医療情報に対して統計的にした場合、どこの施設からの治療計画情報であるかまたはどの専門の医師であるかが関係なく、検索結果として表示されてしまう。つまり、データに関する信頼度・精度を保障することができない。
【0033】
図8では本実施形態である医師・施設による信頼度重み付け機能を有した学習機能ツール16を示す図である。医師重み付け機能801では例えば、放射線治療の経験が豊富な放射線治療専門医、放射線腫瘍認定では重み付けが高く、放射線診断が専門の核医学専門医では重み付けは低い。つまり、放射線治療の専門医に対して、専門度が高いほど重み付けの数字が大きく、重要度が高い。また、出所(治療施設)重み付け機能802では例えば、治療実績が豊富なA粒子線医療センターでは重み付けが高く、新規治療施設として設立したB病院では重み付けは低い。つまり、放射線治療の治療実績が豊富な施設に対して、治療実績が高いほど重み付けの数字が大きく、重要度が高い。この機能を反映させたデータを利用することにより治療実績が豊富な施設や経験豊富な放射線治療の専門医が行った治療計画の信頼度・精度が高まる。
【0034】
このような重みづけにより、例えば、最大値で規格化して、重みづけ評価が5の場合はその医療情報は1件、重みづけ評価が1の場合はその医療情報は0.2件であるとみなして統計的に診断情報の各項目と治療計画情報の各項目との組合せの頻度を評価すれば、信頼性のある医療情報に基づいた関連性付与が実施できる。
【0035】
なお、上記の重みづけは、医療情報の中の入力情報に基づいて行っている例について示したが、例えば、治療部位ごとにその評価は異なっていてもよく、例えば、直腸がんの場合はB病院の重みづけは4に、C大学病院は2にと逆転するような場合もありうる。
【0036】
本実施形態である入力時期別評価と治療成績評価による信頼度重み付け機能を有した学習機能ツール16を示す図である。入力時期別評価803(数字が大きいほど重要度が高い)では例えば、入力時期が最新であればそれぞれの症例に対して、最新のプロトコールを利用している治療計画情報を参照できる。また、それぞれの症例ごとにプロトコールが反映された時期が異なる場合はそれぞれの症例ごとにも入力時期の重み付けを変えることができる。治療成績評価重み付け804は治療完遂度を評価するために広く使われている5年生存率などを評価対象に用いて、それぞれの症例に対して、治療後の評価として完治、5年生存率>50%以上などは治療効果があると判断して重み付けの数字を大きくし、改善なしなどは重み付けの数字を小さくした。
【0037】
つまり、この機能を反映させたデータを利用することにより治療実績が豊富な施設や経験豊富な放射線治療の専門医が行った治療計画の信頼度・精度が高まる。これにより、より信頼度・精度の高い過去の治療計画情報が取得され、治療実績の少ない施設の医師が本システムを利用することにより最新の放射線治療を行うことができる。
【0038】
これらの重みづけ評価は、基本的に評価項目や評価基準が更新される都度、記録された前データに対して再評価を行い関連付けも再構築する。
【0039】
図9は本実施形態におけるオントロジーを利用した患者の診断情報、治療計画情報の関係性を示す図である。右図はオントロジーを利用した診断情報と治療計画情報との関連性情報により導き出された従来例であり、左図は従来例に医療情報の重みづけ評価でより最新かつ信頼性の高い情報により導き出された最新例を示す。右図において、前立腺癌の症例において、「TNM分類」の「T」902が「3」903であって、「Gleason's score」904が「8」905であれば、治療計画情報の「核種」906のうち、診断情報と治療計画情報のオントロジーによる関係より、「陽子」909において、一番関連性が高くなるであろう。しかし、これは医学的な関係性より導かれているだけであり、今後、関連付けるデータが必ずしも信頼性の高いデータで有るとは限らない。つまり、放射線治療の分野では、技術の進歩が目覚ましく、例えば、炭素照射による技術精度が増し、従来、陽子による治療と考えられていた前立腺癌では、炭素照射の方が良い治療成績が得られる結果になるかもしれない。つまり、従来の治療方針ではなく、診断情報と治療計画情報との関連性情報に医療情報の重みづけ評価でより最新かつ信頼性の高い医療情報を提供できるようになり、左図のように治療計画情報の「核種」906のうち、最新の治療方針である「炭素」907が選ばれる。
【0040】
<検索時の表示画面について>
図10〜12は本実施形態である治療計画支援システムの検索画面の一連の流れを示す図である。例えば、前立腺癌の放射線治療を実施したい場合、診断情報である「TNM」、「Gleason’s score」の数値を基に照射する核種を決め、その治療に関連した治療計画画像、治療計画情報を知りたいとする。まず、図10、11において、TNMがT3で、GS値が8の場合、「TNM」1002の「T3」1005、「Gleason’s score」1003の「GS≧8」を選択すると、図12において最新かつ信頼性の高い情報が関連付けられて、「核種」1004の「炭素」1007が一番頻度の高い要素として強調表示され、情報が得られる。その結果、治療計画検索結果でA病院またはC病院で行われた治療計画結果1009,1010が表示され、類似画像が参照可能になる。また、最初に治療計画情報である「核種」1004の「X線」1011を選択し、「Gleason’s score」1003の数値を選択した場合でも、「TNM」のどのレベルで治療しているのか強調表示される。
【0041】
図13は、本実施形態における放射線治療支援システムの処理手順を示すフロー図である。なお、以下で述べる各ステップのうち、放射線治療計画データセンター10にて実行するステップが、本発明の実施形態として、医療情報管理プログラムを構成するものである。よって、各医療機関(A粒子線医療センター20A、B病院20B)で実行されるステップは、本実施形態の説明のため補足的に述べたものである。
【0042】
まずA粒子線医療センター20AあるいはB病院20Bにおいて、放射線治療を行い、放射線治療計画データセンター10に送信可能な患者情報を既存システムで選択する(ステップS2S10)。選択した患者の診断情報・画像情報を出力し、データ送信用サーバ106Aから送信する(ステップS2S20)。
【0043】
インターネットなどの公衆回線網に暗号化された仮想回線のSSL-VPNを利用し、放射線治療計画データセンター10にあるデータ受信用サーバ1でデータを受信する(ステップS1010)。
【0044】
受信した情報は画像データであるかテキストなどの形式の情報であるかで分けられる。(ステップS1020)。
【0045】
診断情報、治療計画文書情報は放射線治療計画データセンター10において、自動データ変換ツール12により、HL7 CDA R2 あるいはDICOM SRに変換する(ステップS1030)。
【0046】
画像データである画像診断情報DDI1、治療計画画像情報DPI1は直接、医療情報記録部2である治療計画データベース13の画像診断情報DDI2、治療計画画像情報DPI2として格納される。一方、自動変換された文書はXML(Extensible Markup Language)準拠で出力され、出力されたデータは治療計画データベース13内に診断情報DDL2、治療計画文書情報DPL2として格納される。(ステップS1040)。
【0047】
診断情報、治療計画文書情報をオントロジーにより臨床的に重要な情報間の関連性を持たせ、データ処理ツールにより、推論・検証を行う (ステップS1050)。
【0048】
オントロジーにより関連性付けられたデータに学習機能ツール16の施設・医師による信頼度重み付けを反映させてデータの精度を上げる。(ステップS1060)。
【0049】
抽出した情報を治療計画支援システムで利用(ステップS1070)。
【0050】
B病院で類似症例の検索をするために利用(ステップS2C10)。
【0051】
診断情報、治療計画情報(例えば、診断名、TNM、照射情報)などの条件から項目を選択することで知りたい症例の治療計画を検索する(ステップS2C20)。PET/CT、CTなどの類似画像・治療計画データを表示することができる(ステップS2C30)。
【0052】
治療計画支援システムでプロトコール、照射方法の違いに対応した最適な線量計算アルゴリズムを検索する(ステップS2C40)。データセンター側のサーバで線量計算アルゴリズムによる計算により、線量分布がシミュレーションされる(ステップS2C80)。線量計算結果を表示し、医師・医学物理士による治療計画を立てる上で参考症例になり、各施設のサーバの負荷が減り、サーバ購入費用も抑制することができる。これにより、医師・医学物理士による治療計画を立てる上で参考症例になり、日常の診療支援になる。また、治療が開始されて間もない施設はこのシステムを利用することで症例ごとの治療計画支援、また、経験年数の浅い研修医、医学物理士の教育用の1つのツールになる(ステップS2C50)。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0054】
以上のように、本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムによれば、診断情報DDと治療計画情報DPを含む患者ごとの医療情報を記録する医療情報記録部2と、あらかじめ定めた評価項目にもとづいて記録された患者ごとの医療情報に重みづけ評価を行う医療情報評価部3と、重みづけ評価を行った患者ごとの医療情報を統計処理し、疾患の種類ごとに診断情報の診断項目と治療計画情報の治療計画項目との関連性を評価し、評価結果を関連性情報DASとして生成する関連性情報生成部5と、治療対象患者の診断情報の入力を受け付ける入出力端末8CA,8CB,・・・を有し、関連性情報DASに基づいて、記録された医療情報の中から入力された治療対象患者の診断情報との関連性の高い医療情報を検索する医療情報検索部7と、を備えるように構成したので、信頼性の高い最新の治療データに基づき最も適した治療計画データを検索し、治療計画の立案を補助することができる放射線治療支援システムを得ることを目的とする。
【符号の説明】
【0055】
1 医療情報収集部、 2 医療情報記録部、 3 医療情報評価部、 5 関連性情報生成部、 7 医療情報検索部、
DAS 関連性情報、 DD 診断情報、 DP 治療計画情報。
【技術分野】
【0001】
本発明は、実績のある医療データのなかから、診断結果に対応する有用なデータを提供することにより、放射線治療計画の立案を容易にする放射線治療支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
放射線治療では、腫瘍への最適な線量を照射し、腫瘍周辺部の正常組織に対する被爆を最小限にするために、治療に先立って、放射線の種類、ビーム入射方向、照射回数・門数などを定めた放射線治療計画を立案する。治療計画の立案ではPET/CTやCT画像などの臨床画像を利用して、標的腫瘍と周辺のリスク臓器の位置関係を正確に把握し、ビーム入射方向、照射回数・門数、線量分布計算が行われている。
【0003】
しかし、これらの判断は、放射線腫瘍医、放射線技師、医学物理士などの経験に基づき行われるものであるため、最適な治療計画を立案できる医療従事者が限られてしまい、多くの患者に対して適切な治療計画を立案することは困難であった。
【0004】
そこで、経験の浅い医療従事者でも治療計画を立案できるよう、データベースに登録された症例情報の中から、類似する症例で行われた治療に関する情報を検索する計画立案システム(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。さらに、治療計画と過去の放射線量を関連付けて蓄積し、検索の際に検索項目に重み付けを加えることで検索率が向上する放射線治療管理システムが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−287027号公報(段落0042〜0050、図6、図8)
【特許文献2】特開2006−167117号公報(段落0047〜0052、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、放射線治療においては治療方法の進歩が早く、これまで実績のあった治療方法や推奨されてきた治療方法が必ずしも最善な治療方法であるとは言えない。そのため、上記のような治療計画の立案に際しては、絶えず、最新の治療実績を参照していく必要があった。また、治療実績については医師や施設についてのばらつきが大きく、最新の治療実績であっても必ずしも有用な治療実績であるとは限らない。そのため、上記のように単に過去の医療データからキーワードを使って検索した情報では、適切な治療計画を立案することが困難であった。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、信頼性の高い最新の治療データに基づき治療計画の立案を補助できる放射線治療支援システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の放射線治療支援システムは、診断情報と治療計画情報を含む患者ごとの医療情報を記録する医療情報記録部と、あらかじめ定めた評価項目にもとづいて前記記録された患者ごとの医療情報に重みづけ評価を行う医療情報評価部と、前記重みづけ評価を行った患者ごとの医療情報を統計処理し、疾患の種類ごとに前記診断情報の診断項目と前記治療計画情報の治療計画項目との関連性を評価し、評価結果を関連性情報として生成する関連性情報生成部と、治療対象患者の診断情報の入力を受け付ける入出力端末を有し、前記関連性情報に基づいて、前記記録された医療情報の中から入力された治療対象患者の診断情報との関連性の高い医療情報を検索する医療情報検索部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の放射線治療支援システムによれば、最新の診断情報、照射情報から臨床的に重要な情報の関連性を評価し、評価した関連性情報に基づいて入力した診断情報との関連性の高い医療情報を検索できるので、診断結果に最適な医療情報を検索し、治療計画の立案を補助することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムのデータ処理の概略を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムの概略を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムを構成する放射線治療計画データセンターの概略を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムにおける各施設からデータセンターに送信される診断サマリ、粒子線治療サマリを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムにおける自動データ変換ツールにより構造化文書形式に変換された診断サマリ、粒子線治療サマリを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムにおける構造化文書形式の診断サマリ、粒子線治療サマリから抽出された診断情報と治療計画情報の関連性データを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムにおける1次データと信頼性評価後の医療情報を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムにおける医師・施設による信頼度重み付け機能を有した学習機能ツールを示す図である。
【図9】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムにおける前立腺癌での診断情報と治療計画情報の関連性データを示す図である。
【図10】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムを構成する治療計画支援システムで検索画面を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムを構成する治療計画支援システムの検索画面を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムを構成する治療計画支援システムの検索画面を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムを構成する放射線治療支援システムの処理手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1〜図13は、本発明の実施の形態1にかかる放射線治療支援システムを説明するためのもので、図1は放射線治療支援システムの主な構成を示すブロック図、図2は放射線治療支援システムを構成する放射線治療計画データセンターと各医療機関とのつながりを示す図、図3は放射線治療支援システムを構成する放射線治療システムデータセンターと医療機関でのデータの流れを説明するための図、図4〜6は診断情報と治療計画情報との関連性情報について説明するための図、図7〜8は医療情報の重みづけ評価について説明するための図、図9は診断情報と治療計画情報との関連性情報に医療情報の重みづけ評価でより最新かつ信頼性の高い医療情報を説明するための図、図10〜12は医療情報を検索する際の画面構成を示す図、図13は放射線治療支援システムにおけるデータ処理のフローを示す図である。
【0012】
図1に示すように、本実施の形態1に示す放射線治療支援システムは、各医療機関20A、20B、20C、・・・から医療情報収集部1を介して提供される診断情報と治療計画情報を含む症例(患者)ごとの医療情報の実績を記録する医療情報記録部2と、評価項目設定部4によりあらかじめ定めた評価項目にもとづいて記録された医療情報に重みづけ評価を行う医療情報評価部3と、重みづけ評価を行った患者ごとの医療情報を統計処理し、疾患の種類ごとに診断情報の診断項目と治療計画情報の治療計画項目との関連性を評価し、評価結果を関連性情報として生成する関連性情報生成部5と、治療計画の立案対象となる治療対象患者の診断情報の入力を受け付ける入出力端末8CA,8CB,・・・を有し、関連性情報に基づいて、記録された医療情報の中から入力された治療対象患者の診断情報との関連性の高い医療情報を検索する医療情報検索部7と、を備えている。
【0013】
上記構成のうち、医療情報の提供や関連付けを行った医療情報をもとに必要な治療計画情報の呼び出しを行うための端末8A,8B,・・・は、各医療機関20A、20B、20C、・・・に設けられ、各医療機関からの医療情報を収集する医療情報収集部1をはじめとして上述した医療情報記録部2〜医療情報検索部7を備えた放射線治療支援システムの主たる構成は、放射線治療計画データセンター10に設けられている。そして、放射線治療計画データセンター10と、各医療機関20A、20B、20C、・・・との間は図2に示すようにインターネットなどの公衆回線網に暗号化された仮想回線のSSL−VPN(Secure Socket Layer Virtual Private Network)を利用して接続している。
【0014】
各医療機関のうち、例えば、A粒子線医療センター20Aは、図2に示すように、治療計画装置23A、画像診断装置24A、粒子線加速器25A、情報端末8Aとなるデータ送信用サーバ26Aを保有し、B病院20Bは、治療計画装置23B、画像診断装置24B、粒子線加速器25B、情報端末8Bとなるデータ送信用サーバ26Bを保有している。
【0015】
そして、放射線治療計画データセンター10は、A粒子線医療センター20Aや、B病院20Bといった医療機関で実際に行われた治療に関する診断情報と治療計画データを含む症例(患者)ごとの実績データである医療情報を各医療機関の情報端末8A,8B,・・・からインターネットなどの公衆回線網に暗号化された仮想回線のSSL−VPNを利用して送信し、送信されたデータは放射線治療計画データセンター10内でデータ処理した後に保存する。
【0016】
放射線治療計画データセンター10は、図3に示すようにA粒子線医療センター20Aで発生した医療情報である患者ごと(同じ患者であっても治療対象部位や疾患が異なり、区別する必要がある場合は別の患者として扱う)の文書による診断情報DDL1、画像診断情報DDI1、治療計画画像情報DPI1、治療計画の文書情報である治療計画レポート情報DPL1を放射線治療計画データセンター10内の医療情報収集部であるデータ受信用サーバ1で受信する。受信した医療情報のうち、画像データである画像診断情報DDI1、治療計画画像情報DPI1は直接、医療情報記録部2である治療計画データベース13の画像診断情報DDI2、治療計画画像情報DPI2として格納される。
【0017】
一方、文書情報である診断情報DDL1と治療計画文書情報DPL1は、自動データ変換ツール12で国際標準規格文書形式、例えば、HL7 CDA R2(Health Level Seven, Clinical Document Architecture, Release Two)、DICOM SR(Digital Imaging and Communications in Medicine Structured Reporting)のような構造化文書形式に自動変換される。そして自動変換された文書はXML(Extensible Markup Language)準拠で出力され、出力されたデータは治療計画データベース13内に診断情報DDL2、治療計画文書情報DPL2として格納される。なお、図示しないが、文書情報と画像情報に分かれる前の元の医療情報のIDは、後述する関連付けデータDASの一つとして記録されている。なお、文章/画像、変換前後を問わず、診断情報としてはDD、治療計画情報としてはDPと総称する。
【0018】
関連性情報生成部5として機能する治療計画オントロジーシステム14は、医療情報記録部2である治療計画データベース13内に格納された診断情報DDL2、治療計画文書情報DPL2をオントロジーとして使われているRDF(Resource Description Framework)、OWL(Web Ontology Language)などを利用して関連性と頻度情報をマッピングする。上記は2004年、W3C(World Wide Web Consortium)で勧告されたセマンティックウェブのためのデータモデルで、RDFではリソース関係を主語、プロパティ、目的語という3つの要素(トリプル)で表現している。述語は主語の特徴や主語と目的語との関係を示す。目的語は主語との関係のある物や述語の値を示す。診断情報DDL2、治療計画文書情報DPL2間の要素の関連性を3つの要素で表現するためにRDFでプログラミングし、このRDFデータDRDFを処理し利用するためのさまざまな機能を提供しているのがデータ処理ツール15である。ここではオントロジーデータDRDFの読み込み、出力、そしてデータ間の推論、検証を行う。
【0019】
さらに、本実際の形態1にかかる治療計画オントロジーシステム14は、医療情報評価部3として機能する学習機能ツール16を有することにより、医療情報を提供した医師や提供者の所属機関等の入力者に関する項目、医療情報の入力時期、または治療成績といったあらかじめ設定した評価項目と評価基準に基づいて、記録された医療情報の信頼度についての評価を行う。つまり、治療実績が豊富な施設や経験豊富な放射線治療の専門医が行った信頼性の高い医療情報の重みづけを他の医療情報より高くすることで、RDFのような統計的処理に基づく機械的な関連付けであっても、治療実績が豊富な施設や経験豊富な放射線治療の専門医が行った信頼性の高い最新の医療情報をもとに、診断情報と治療計画情報間の要素関連性が付与されることになる。そのため、機械的に関連付けられたRDFデータDRDFの信頼度・精度を保障することができる。
【0020】
ここで、治療計画オントロジーシステム14における医療情報の具体的な重みづけや関連性付与の詳細について述べる前に、関連付けを行った後の一連の動作について説明しておく。
【0021】
上記のように医療情報に関連性を付与した際の関連性情報DASは、関連性情報記録部6として機能する治療計画データベース13に記録される。あるいは、支援情報呼び出し部8CA,8CB,・・・として機能する各医療機関20A,20B,・・・の情報端末8A,8B,・・・から入力された治療部位のデータに基づいて関連付けされた場合、直接、操作された情報端末に対して出力される。このとき、医療情報検索部6として機能するアプリケーション16により、各医療機関の情報端末において、治療計画オントロジーシステム14で関連付けられたRDFデータDRDFを後述するようにグラフ構造で表示し、必要な情報の検索を容易にする。
【0022】
例えば、B病院20Bにおいて知りたい症例の参考となる治療計画を検索したい場合、情報端末8Bであるデータ送信用サーバ26Bを操作して、画面表示例のように「治療計画支援システム」にログインすることで、放射線治療計画支援システムを利用できる状態になる。そして、治療部位を入力することにより、参考にしたい治療計画を検索するために必要な診断項目や治療項目(例えば、診断名、患者の年齢、TNM分類の値、照射情報)などが医療情報検索部7として機能するアプリケーション16により治療計画データベース13に格納された診断情報DDL2、治療計画文書情報DPL2と、関連付けデータDASに基づいて抽出される。抽出された項目が情報端末8Bに提示されるので、提示された項目に対して、選択や数値または文字入力することで、さらに必要な項目が絞られる。これらを順次実行するだけで、参考にしたい信頼性のある医療情報を検索することが可能になる。医療情報が絞り込まれれば、その医療情報のIDに基づいて、PET/CT、PET/MRなどの類似画像や治療計画レポート情報DPL2、線量結果情報DDDといった検索医療情報DSRを表示することができる。また、自動変換前の診断情報DDL1、治療計画レポート情報DPL1を治療計画データベース13に記録しておけば、医療機関から提供された状態での医療情報も検索医療情報DSRとして表示することもできる。
【0023】
このとき、疾患部分の詳細な情報を入力することにより、プロトコール、照射方法の違いに対応した最適な線量計算アルゴリズムを検索し、放射線治療計画データセンター10側の線量計算シミュレーションサーバ15で線量計算アルゴリズムによる計算によるシミュレーション結果である線量分布情報DSMを表示することができる。
【0024】
また、放射線腫瘍医、医学物理士の治療経験不足または人数不足の医療機関の支援を目的にした遠隔治療計画支援サービスSSPを実施することもできる。例えば、各放射線治療で実施されたPET/CTなどの診断画像を放射線治療計画データセンター10に送信して、放射線治療計画データセンター10内の、または放射線治療計画データセンター10を経由して他の医療機関の経験豊富な医師、医学物理士が送信された診断画像を基に送信元の医療機関の施設・照射条件などを考慮し、治療計画を立てることもできる。
【0025】
<関連性付与について>
図4〜図6は本発明の実施の形態1にかかる放射線治療支援システムにおける医療情報の関連付けを説明するためのもので、図4は各医療機関から提供された診断サマリ、粒子線治療サマリを、図5はその医療情報を自動データ変換ツール12により階層構造化された診断情報DDL2と治療計画文書情報DPL2からなる患者ごとの医療情報の例を、図6はオントロジーにより関連付けた診断情報と治療計画情報との関連性の例を表示している。
【0026】
図4に示すような各医療機関から提供された患者(症例)ごとの医療情報に含まれる診断情報は、テキスト、CSV(Comma Separated Values)形式など情報提供者毎の異なるフォーマットや形式で診断内容や所見が記載されたものであり、そのままでは統計的な処理等が実行できない。そこで、各医療機関から提供された医療情報のうち、文書情報に当たる診断情報DDL1やDPL1は、自動データ変換ツール12により、図5に示すような構造化文書形式に変換される。しかし、こうした階層構造化しただけの医療情報に含まれる診断情報は、図4に示すように雑多な項目ごとの評価値や所見が対応しただけとなっている。また、治療計画情報も様々な項目に対して方法や値が対応しただけとなっている。したがって、このような状態のデータベースに対し、治療対象となる患者の診断結果に基づいて参照すべき最適な治療計画を検索することは、経験の少ない医療従事者には困難である。
【0027】
そこで、本実施の形態1にかかる放射線治療支援システムでは、オントロジーにより、治療対象部位を上位として、治療計画との関連性が高い診断項目や診断結果との関連付けを行っていく。そして、医療情報を検索する際に、治療対象部位から参照すべき治療計画を検索するための関連性の高い項目を順次提示していくことにより、経験の少ない医療従事者でも容易に最適な治療計画例を参照できるようにする。
【0028】
そのため、図6においては雑多な情報であった診断項目や値が、オントロジーを利用することで、例えば前立腺がんに対して、最も関連性の高い診断項目であるPSAが提示され、さらに診断項目の値により例えば値がPSA≦10の場合は次に必要な項目がTNM分類になり、一方値がTNM分類のcT1,T2aの場合は次に必要な項目がGS値2−6という風に変化していく。上記の診断項目のうち、一般的な医療指針に沿って考えると必須の項目であっても、その値により治療計画に差が生じないような場合は、治療計画を検索する上で何の役にも立たない、一方、一般的な医療指針から見ればさほど重要でない項目であっても、その値により、あるいは他の診断項目の結果によっては、その診断項目が治療計画に大きな影響を及ぼす場合がある。例えば、エネルギー、レンジシフタ厚のような場合である。そのような例はとくに、治療技術の進歩が急な放射線治療においては顕著であり、従来なら必須の項目が最新の技術では不要になる場合がある。例えば、スキャニングビームを使用する場合、今後コリメータ等を使用しない方向に進んでいる。
【0029】
こうした、放射線治療では、従来のようにいわゆる医療指針や経験に頼って検索しようとした場合、真に最適な治療計画を検索することは経験のある医療従事者であっても困難であり、とくに経験の浅い医療従事者にとっては至難の業ともいえる。しかし、本実施の形態のように診断情報の各項目と治療計画情報の各項目との関連性情報を生成し、入力された疾患の部位に応じて検索に必要な診断項目を表示するので治療計画支援ができる。
【0030】
これら関連付けは、順次蓄積される医療情報の数が所定数を超えるたびに、あるいは定期的に行うとよく、後述する医療情報の評価基準を更新した際にも行うとよい。
【0031】
<医療情報の評価について>
上記のように、雑多な診断項目と治療計画との関連性を付与することにより、治療計画に関連するあるいは影響する診断項目や診断結果の入力を促し、容易に検索ができるようになる。しかし、関連付けるデータが必ずしも信頼性の高いデータで有るとは限らない。上述したように放射線治療の分野では、技術の進歩が目覚ましく、真に最適な治療計画を立案できる医療従事者は限られてくる。そのため、治療経験が乏しくあるいは旧来の方法しか習得していないような医療従事者が立案した治療計画に関する医療データの場合、誤った診断項目を誘導してしまう可能性がある。
【0032】
そこで、本実施の形態1にかかる放射線治療支援システムでは、提供された医療情報に対し、あらかじめ設定した、評価項目及び評価基準に従い重みづけ評価を行い、信頼性を確保するようにした。図7ではオントロジーにより関連付けられた一次データに対して、信頼性評価を加味した場合、そのデータからいくつかに絞られる。図8(a)〜(d)(総称して図8)は医療情報評価部3(図1)において、提供された医療情報毎の重み付け設定を示す図である。上記関連付けを単に提供された医療情報に対して統計的にした場合、どこの施設からの治療計画情報であるかまたはどの専門の医師であるかが関係なく、検索結果として表示されてしまう。つまり、データに関する信頼度・精度を保障することができない。
【0033】
図8では本実施形態である医師・施設による信頼度重み付け機能を有した学習機能ツール16を示す図である。医師重み付け機能801では例えば、放射線治療の経験が豊富な放射線治療専門医、放射線腫瘍認定では重み付けが高く、放射線診断が専門の核医学専門医では重み付けは低い。つまり、放射線治療の専門医に対して、専門度が高いほど重み付けの数字が大きく、重要度が高い。また、出所(治療施設)重み付け機能802では例えば、治療実績が豊富なA粒子線医療センターでは重み付けが高く、新規治療施設として設立したB病院では重み付けは低い。つまり、放射線治療の治療実績が豊富な施設に対して、治療実績が高いほど重み付けの数字が大きく、重要度が高い。この機能を反映させたデータを利用することにより治療実績が豊富な施設や経験豊富な放射線治療の専門医が行った治療計画の信頼度・精度が高まる。
【0034】
このような重みづけにより、例えば、最大値で規格化して、重みづけ評価が5の場合はその医療情報は1件、重みづけ評価が1の場合はその医療情報は0.2件であるとみなして統計的に診断情報の各項目と治療計画情報の各項目との組合せの頻度を評価すれば、信頼性のある医療情報に基づいた関連性付与が実施できる。
【0035】
なお、上記の重みづけは、医療情報の中の入力情報に基づいて行っている例について示したが、例えば、治療部位ごとにその評価は異なっていてもよく、例えば、直腸がんの場合はB病院の重みづけは4に、C大学病院は2にと逆転するような場合もありうる。
【0036】
本実施形態である入力時期別評価と治療成績評価による信頼度重み付け機能を有した学習機能ツール16を示す図である。入力時期別評価803(数字が大きいほど重要度が高い)では例えば、入力時期が最新であればそれぞれの症例に対して、最新のプロトコールを利用している治療計画情報を参照できる。また、それぞれの症例ごとにプロトコールが反映された時期が異なる場合はそれぞれの症例ごとにも入力時期の重み付けを変えることができる。治療成績評価重み付け804は治療完遂度を評価するために広く使われている5年生存率などを評価対象に用いて、それぞれの症例に対して、治療後の評価として完治、5年生存率>50%以上などは治療効果があると判断して重み付けの数字を大きくし、改善なしなどは重み付けの数字を小さくした。
【0037】
つまり、この機能を反映させたデータを利用することにより治療実績が豊富な施設や経験豊富な放射線治療の専門医が行った治療計画の信頼度・精度が高まる。これにより、より信頼度・精度の高い過去の治療計画情報が取得され、治療実績の少ない施設の医師が本システムを利用することにより最新の放射線治療を行うことができる。
【0038】
これらの重みづけ評価は、基本的に評価項目や評価基準が更新される都度、記録された前データに対して再評価を行い関連付けも再構築する。
【0039】
図9は本実施形態におけるオントロジーを利用した患者の診断情報、治療計画情報の関係性を示す図である。右図はオントロジーを利用した診断情報と治療計画情報との関連性情報により導き出された従来例であり、左図は従来例に医療情報の重みづけ評価でより最新かつ信頼性の高い情報により導き出された最新例を示す。右図において、前立腺癌の症例において、「TNM分類」の「T」902が「3」903であって、「Gleason's score」904が「8」905であれば、治療計画情報の「核種」906のうち、診断情報と治療計画情報のオントロジーによる関係より、「陽子」909において、一番関連性が高くなるであろう。しかし、これは医学的な関係性より導かれているだけであり、今後、関連付けるデータが必ずしも信頼性の高いデータで有るとは限らない。つまり、放射線治療の分野では、技術の進歩が目覚ましく、例えば、炭素照射による技術精度が増し、従来、陽子による治療と考えられていた前立腺癌では、炭素照射の方が良い治療成績が得られる結果になるかもしれない。つまり、従来の治療方針ではなく、診断情報と治療計画情報との関連性情報に医療情報の重みづけ評価でより最新かつ信頼性の高い医療情報を提供できるようになり、左図のように治療計画情報の「核種」906のうち、最新の治療方針である「炭素」907が選ばれる。
【0040】
<検索時の表示画面について>
図10〜12は本実施形態である治療計画支援システムの検索画面の一連の流れを示す図である。例えば、前立腺癌の放射線治療を実施したい場合、診断情報である「TNM」、「Gleason’s score」の数値を基に照射する核種を決め、その治療に関連した治療計画画像、治療計画情報を知りたいとする。まず、図10、11において、TNMがT3で、GS値が8の場合、「TNM」1002の「T3」1005、「Gleason’s score」1003の「GS≧8」を選択すると、図12において最新かつ信頼性の高い情報が関連付けられて、「核種」1004の「炭素」1007が一番頻度の高い要素として強調表示され、情報が得られる。その結果、治療計画検索結果でA病院またはC病院で行われた治療計画結果1009,1010が表示され、類似画像が参照可能になる。また、最初に治療計画情報である「核種」1004の「X線」1011を選択し、「Gleason’s score」1003の数値を選択した場合でも、「TNM」のどのレベルで治療しているのか強調表示される。
【0041】
図13は、本実施形態における放射線治療支援システムの処理手順を示すフロー図である。なお、以下で述べる各ステップのうち、放射線治療計画データセンター10にて実行するステップが、本発明の実施形態として、医療情報管理プログラムを構成するものである。よって、各医療機関(A粒子線医療センター20A、B病院20B)で実行されるステップは、本実施形態の説明のため補足的に述べたものである。
【0042】
まずA粒子線医療センター20AあるいはB病院20Bにおいて、放射線治療を行い、放射線治療計画データセンター10に送信可能な患者情報を既存システムで選択する(ステップS2S10)。選択した患者の診断情報・画像情報を出力し、データ送信用サーバ106Aから送信する(ステップS2S20)。
【0043】
インターネットなどの公衆回線網に暗号化された仮想回線のSSL-VPNを利用し、放射線治療計画データセンター10にあるデータ受信用サーバ1でデータを受信する(ステップS1010)。
【0044】
受信した情報は画像データであるかテキストなどの形式の情報であるかで分けられる。(ステップS1020)。
【0045】
診断情報、治療計画文書情報は放射線治療計画データセンター10において、自動データ変換ツール12により、HL7 CDA R2 あるいはDICOM SRに変換する(ステップS1030)。
【0046】
画像データである画像診断情報DDI1、治療計画画像情報DPI1は直接、医療情報記録部2である治療計画データベース13の画像診断情報DDI2、治療計画画像情報DPI2として格納される。一方、自動変換された文書はXML(Extensible Markup Language)準拠で出力され、出力されたデータは治療計画データベース13内に診断情報DDL2、治療計画文書情報DPL2として格納される。(ステップS1040)。
【0047】
診断情報、治療計画文書情報をオントロジーにより臨床的に重要な情報間の関連性を持たせ、データ処理ツールにより、推論・検証を行う (ステップS1050)。
【0048】
オントロジーにより関連性付けられたデータに学習機能ツール16の施設・医師による信頼度重み付けを反映させてデータの精度を上げる。(ステップS1060)。
【0049】
抽出した情報を治療計画支援システムで利用(ステップS1070)。
【0050】
B病院で類似症例の検索をするために利用(ステップS2C10)。
【0051】
診断情報、治療計画情報(例えば、診断名、TNM、照射情報)などの条件から項目を選択することで知りたい症例の治療計画を検索する(ステップS2C20)。PET/CT、CTなどの類似画像・治療計画データを表示することができる(ステップS2C30)。
【0052】
治療計画支援システムでプロトコール、照射方法の違いに対応した最適な線量計算アルゴリズムを検索する(ステップS2C40)。データセンター側のサーバで線量計算アルゴリズムによる計算により、線量分布がシミュレーションされる(ステップS2C80)。線量計算結果を表示し、医師・医学物理士による治療計画を立てる上で参考症例になり、各施設のサーバの負荷が減り、サーバ購入費用も抑制することができる。これにより、医師・医学物理士による治療計画を立てる上で参考症例になり、日常の診療支援になる。また、治療が開始されて間もない施設はこのシステムを利用することで症例ごとの治療計画支援、また、経験年数の浅い研修医、医学物理士の教育用の1つのツールになる(ステップS2C50)。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0054】
以上のように、本発明の実施の形態にかかる放射線治療支援システムによれば、診断情報DDと治療計画情報DPを含む患者ごとの医療情報を記録する医療情報記録部2と、あらかじめ定めた評価項目にもとづいて記録された患者ごとの医療情報に重みづけ評価を行う医療情報評価部3と、重みづけ評価を行った患者ごとの医療情報を統計処理し、疾患の種類ごとに診断情報の診断項目と治療計画情報の治療計画項目との関連性を評価し、評価結果を関連性情報DASとして生成する関連性情報生成部5と、治療対象患者の診断情報の入力を受け付ける入出力端末8CA,8CB,・・・を有し、関連性情報DASに基づいて、記録された医療情報の中から入力された治療対象患者の診断情報との関連性の高い医療情報を検索する医療情報検索部7と、を備えるように構成したので、信頼性の高い最新の治療データに基づき最も適した治療計画データを検索し、治療計画の立案を補助することができる放射線治療支援システムを得ることを目的とする。
【符号の説明】
【0055】
1 医療情報収集部、 2 医療情報記録部、 3 医療情報評価部、 5 関連性情報生成部、 7 医療情報検索部、
DAS 関連性情報、 DD 診断情報、 DP 治療計画情報。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断情報と治療計画情報を含む患者ごとの医療情報を記録する医療情報記録部と、
あらかじめ定めた評価項目にもとづいて前記記録された患者ごとの医療情報に重みづけ評価を行う医療情報評価部と、
前記重みづけ評価を行った患者ごとの医療情報を統計処理し、疾患の種類ごとに前記診断情報の診断項目と前記治療計画情報の治療計画項目との関連性を評価し、評価結果を関連性情報として生成する関連性情報生成部と、
治療対象患者の診断情報の入力を受け付ける入出力端末を有し、前記関連性情報に基づいて、前記記録された医療情報の中から入力された治療対象患者の診断情報との関連性の高い医療情報を検索する医療情報検索部と、
を備えたことを特徴とする放射線治療支援システム。
【請求項2】
前記関連性情報生成部は、疾患の部位ごとに前記診断項目と前記治療計画項目との関連性を評価し、
前記医療情報検索部は、入力された診断情報中の疾患の部位に応じて前記医療情報の検索に必要な診断項目を表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の放射線治療支援システム。
【請求項3】
前記関連性情報生成部は、オントロジーにより前記関連性を評価することを特徴とする請求項1または2に記載の放射線治療支援システム。
【請求項4】
前記医療情報評価部は、前記医療情報に付随した入力者の専門医資格情報に対してあらかじめ定められた評価基準により前記重みづけ評価を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の放射線治療支援システム。
【請求項5】
前記医療情報評価部は、前記医療情報に付随した入力者の所属する医療機関情報に対してあらかじめ定められた評価基準により前記重みづけ評価を行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の放射線治療支援システム。
【請求項6】
前記医療情報評価部は、前記医療情報が入力された時期に基づいて前記重みづけ評価を行うことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の放射線治療支援システム。
【請求項7】
前記医療情報評価部は、当該医療情報中の治療成績に基づいて前記重みづけ評価を行うことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の放射線治療支援システム。
【請求項1】
診断情報と治療計画情報を含む患者ごとの医療情報を記録する医療情報記録部と、
あらかじめ定めた評価項目にもとづいて前記記録された患者ごとの医療情報に重みづけ評価を行う医療情報評価部と、
前記重みづけ評価を行った患者ごとの医療情報を統計処理し、疾患の種類ごとに前記診断情報の診断項目と前記治療計画情報の治療計画項目との関連性を評価し、評価結果を関連性情報として生成する関連性情報生成部と、
治療対象患者の診断情報の入力を受け付ける入出力端末を有し、前記関連性情報に基づいて、前記記録された医療情報の中から入力された治療対象患者の診断情報との関連性の高い医療情報を検索する医療情報検索部と、
を備えたことを特徴とする放射線治療支援システム。
【請求項2】
前記関連性情報生成部は、疾患の部位ごとに前記診断項目と前記治療計画項目との関連性を評価し、
前記医療情報検索部は、入力された診断情報中の疾患の部位に応じて前記医療情報の検索に必要な診断項目を表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の放射線治療支援システム。
【請求項3】
前記関連性情報生成部は、オントロジーにより前記関連性を評価することを特徴とする請求項1または2に記載の放射線治療支援システム。
【請求項4】
前記医療情報評価部は、前記医療情報に付随した入力者の専門医資格情報に対してあらかじめ定められた評価基準により前記重みづけ評価を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の放射線治療支援システム。
【請求項5】
前記医療情報評価部は、前記医療情報に付随した入力者の所属する医療機関情報に対してあらかじめ定められた評価基準により前記重みづけ評価を行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の放射線治療支援システム。
【請求項6】
前記医療情報評価部は、前記医療情報が入力された時期に基づいて前記重みづけ評価を行うことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の放射線治療支援システム。
【請求項7】
前記医療情報評価部は、当該医療情報中の治療成績に基づいて前記重みづけ評価を行うことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の放射線治療支援システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−147593(P2011−147593A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10933(P2010−10933)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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