説明

放射線治療用CT装置

【課題】計画CT像をとった時と、その後の放射線処理時との間での患者のミスアライメントを測定、修正するための手段を提供する。
【解決手段】第1ポジションにある患者に対する第1の複数の放射線撮影投射を含む計画断層撮影投射セットを得、ついで電子計算機を用いて、蓄積プログラムに従って、第1の患者のポジションに関して放射線ビームの少なくとも1つの方向性を描く放射線処理計画を作成して、患者に所望の処置を提供する。第2ポジションにある患者に対する第2の複数の放射線撮影投射を含む、後の確認投射セットを得、ついで電子計算機を用いて、蓄積プログラムに従って、第2の複数の放射線撮影投射を第1の放射線撮影投射セットの対応する投射と比較し、第1ポジションと第2ポジションの間での患者の移動量を測定する。電子計算機によって測定された移動量に従って患者の処置を変える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、腫瘍などの処置用の放射線治療機器に関し、さらに詳細には、予じめ準備した放射線処理計画において患者をアライン(align)するためのコンピュータ化した方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線治療用の医療機器は、高エネルギー放射線で腫瘍組織を処置する。放射線の線量とその位置(placement)は、正確に制御して、腫瘍が破壊されるのに十分な放射線を受けること、並びに周囲の、および隣接する非腫瘍組織に対する損傷を最小にすることの両方を確実にしなくてはならない。
外部給源放射線治療では、患者の外部の放射線給源が内部の腫瘍を処置する。通常、外部給源は腫瘍部位に対してのみビームを向けるためコリメート(collimate)される。高エネルギー放射線の給源はX線、2〜25MeVの範囲にある直線加速装置からの電子、または1.25MeVのエネルギーを有するCo60給源のような高焦点放射性同位元素からのγ線であってもよい。
典型的には数種の異なった角度から適当に調整された強度及び型のビームで、腫瘍が処置される。腫瘍部位に集束する多数のビームを用いる目的は、周囲の非腫瘍組織の部分への線量を減少させることである。腫瘍が照射される角度は、腫瘍部位の近くの特に感受性が高い構造への照射をもたらす角度をさけて選択される。特定の腫瘍へのビームの角度と強度はその腫瘍に対する処理(治療)計画を形成する。
【0003】
患者への線量を制御する特に正確な方法の1つでは、その強度がそれぞれ独立に制御されうる多数の個々の光線からなるファンビームを生ずる放射線給源を用いる。そのファンビームは、患者のスライス(slice)を照射する平面内で患者の回りの軌道を回り、一方、ファンビームの各光線の強度はその角度の関数として調節される。異なった角度でのビーム強度を適切に選択することで、そのスライス内の複雑な領域が正確に照射される。1994年5月31日に発行され本願と同一の譲受人に譲渡された米国特許第5,317,616号(特許文献1)には、このような機械の構造、及び必要なビーム強度を角度の関数として計算する方法が記載されている。
このような放射線治療システムによって提供される線量位置の改良された正確さの利点を得るために、放射線治療計画は患者のコンピュータ断層撮影(『CT』)像に基づいていてもよい。本件技術分野で知られているように、CT像は、患者についての異なった角度から得られた多数の投射像の算術的再構築によって得られる。典型的なファンビームCTの取得物においては、投射は、患者の『スライス』によるファンビームの減衰を示す一次元の線画像である。スライスの二次元断層撮影像の再構築後、それ自体では理解できない投射データはもはや用いられたり使用者によりアクセスされることはない。
【0004】
CT像を用いて、放射線医学者は腫瘍の範囲を観察し、腫瘍を処置するために用いる(腫瘍像に関して同定された)ビーム角度と強度を決定する。自動化システムでは、医師が腫瘍範囲と処置のための上限及び下限線量限界とを確認した後、コンピュータプログラムがビーム角度と強度を選択する。
通常、患者のCT像は、処理計画が準備されるための時間を与えるために、放射線処理の前に実質的に得られる。その結果、患者は、CT像をとった時と、放射線処理との間に、そのポジションを移動していることがある。このことは、長時間にわたる多数の異なった処理時間中にその処理を行う場合にもまた同様に起こりうるであろう。
最初のCT像に関する患者のポジションの不確実さは、処理計画にCT像を用いることから期待される正確さの増大の大部分を損なわせることがある。
【特許文献1】米国特許第5,317,616号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は放射線処理の際に患者についてあらかじめ準備された処理計画を正確に記録する方法を提供することであり、ここでその方法は、治療プロセスにおいて付加的な遅延をもたらす放射線撮影投射からの容量の再構築よりはむしろ放射線撮影投射を直接用いる。
【0006】
本発明の別の目的は、放射線治療の際に、例えば断層撮影像を比較するために必要であるような患者の十分な断層撮影投射セットを得る必要性を制限することである。投射データを直接比較する能力は、患者をとるべき投射の数を制限することを可能にする。例えば、各X、Y及びZ軸に沿った単独の投射は正確にX、Y及びZオフセット(offset)を決定することができる。
【0007】
本発明の別の目的は、患者の回転、並進、及びひねりの複雑な組合せに適応することができる記録方法を提供することである。計画投射セット及び確認投射セットの間で比較された投射は、ファンビームによって得られた単一の投射線であってもよい。複数の線の複数の比較は、全体として患者の位置の複雑な変化を検知するために分析しうる異なったオフセットのシリーズ(series)を提供する。
本発明の前記およびほかの目的並びに利点は、以下の説明から明らかとなろう。説明は、添付の図面を参照するものであり、添付の図面は、説明の一部であり、本発明の好ましい実施態様を例示的に示すものである。そのような実施態様は、本発明のすべての範囲を必ずしも表すものではなく、したがって、本発明の範囲を述べる特許請求の範囲を参照することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的は、以下の手段により達成された。
すなわち本発明は、以下の方法を提供するものである。
(1)患者に対して、一定の方向に制御可能な少なくとも1つの放射線ビームを発する放射線治療用CT装置であって、
(a)第1ポジションにある患者の患者内の放射線処理容積の、患者に対する第1の複数の放射線撮影投射データからなる、スライスの断層撮影像再構築前の計画シノグラムを得る手段、
(b)計画シノグラムを受け取る電子計算機を用いて、蓄積プログラムに従って作動させることにより、第1のシノグラムである計画シノグラムに基づいて第1の患者のポジションに関して放射線ビームの少なくとも1つの方向を示す放射線治療計画を作成して、患者に所望の放射線処置を提供する手段、
(c)第2ポジションにある患者の患者内の放射線処理容積の、患者に対する第2の複数の放射線撮影投射データからなる後のシノグラムである、スライスの断層撮影像再構築前の確認シノグラムを得る手段、
(d)計画シノグラム及び確認シノグラムを受け取る電子計算機を用いて、蓄積プログラムに従って作動させることにより、第2の複数の放射線撮影投射データを第1のシノグラムにおける対応する投射データと比較し、第1ポジションと第2ポジションの間での患者の移動量を測定する手段、及び
(e)電子計算機によって測定された移動量に従って患者の放射線処置の調整を行う手段
の各手段を含んでなることを特徴とする放射線治療用CT装置。
(2)手段(e)で、電子計算機によって測定された移動量に基づいて放射線治療計画の放射線ビームの方向を変化させる(1)項記載の放射線治療用CT装置。
(3)手段(d)で、電子計算機によって測定された移動量に基づいて患者を移動させる(1)項記載の放射線治療用CT装置。
(4)計画シノグラム及び確認シノグラムがそれぞれ、所定の単一の方向軸に沿ってとられた少なくとも1つの投射データを含み、ここで、
手段(d)で、所定の単一方向でとられた投射データ同士が互いに比較されて、投射の軸に垂直な軸に沿う第1ポジションと第2ポジションの間の患者の移動量が測定される(1)項記載の放射線治療用CT装置。
(5)患者が水平ポジションでテーブル上に支持されており、ここで所定の単一方向における投射の軸が患者テーブル上の患者に対する前後の軸及び横方向の軸からなる群の1つである(1)項記載の放射線治療用CT装置。
(6)手段(d)で、投射の軸が患者テーブル上の患者に対する前後の投射である場合の横方向の変位及び投射の軸が患者テーブル上の患者に対する横方向の投射である場合の前後の変位が測定される(5)項記載の放射線治療用CT装置。
(7)手段(e)で、計算された変位に基づいて患者を移動させる(5)項記載の放射線治療用CT装置。
(8)手段(a)のシノグラムが患者のヘリカル走査から得られ、そして、ここで投射データが患者についてヘリックスに従って続けてとられる(1)項記載の放射線治療用CT装置。
(9)手段(a)のシノグラムが患者のスライス毎の走査から得られ、そして、ここで投射データが患者について複数の並行な円軌道に従って続けてとられる(1)項記載の放射線治療用CT装置。
(10)患者に対して、一定の方向に制御可能な少なくとも1つの放射線ビームを発する放射線治療用CT装置であって、
(a)第1ポジションにある患者の患者内の放射線処理容積の計画シノグラムであって、患者に対する相互に直交する軸に沿って間隔をおいたデータを含む第1の、第2の及び第3の計画投射データからなる、スライスの断層撮影像再構築前の計画シノグラムを得る手段、
(b)計画シノグラムを受け取る電子計算機を用いて、蓄積プログラムに従って作動させることにより、第1のシノグラムである計画シノグラムに基づいて患者に関して放射線ビームの少なくとも1つの方向を示す放射線治療計画を作成して、患者に所望の放射線処置を提供する手段、
(c)第2ポジションにある患者の患者内の放射線処理容積の、後の確認シノグラムであって、患者に対する相互に直交する軸に沿って間隔をおいたデータを含む第1の、第2の及び第3の確認投射データからなる、スライスの断層撮影像再構築前の確認シノグラムを得る手段、
(d)計画シノグラム及び確認シノグラムを受け取る電子計算機を用いて、蓄積プログラムに従って作動させることにより、対応する第1の、第2の及び第3の計画投射データと確認投射データとを比較して、直交する軸に沿った第1ポジションと第2ポジションの間の患者の第1の、第2の及び第3の変位を作成する手段、及び
(e)電子計算機によって測定された第1の、第2の及び第3の変位に従って患者の放射線処置の調整を行う手段
の各手段を含んでなることを特徴とする放射線治療用CT装置。
(11)患者に対して、一定の方向に制御可能な少なくとも1つの放射線ビームを発する放射線治療用CT装置であって、
(a)第1ポジションにある患者の患者内の放射線処理容積の計画シノグラムを電子計算機に入力し、前記シノグラムは患者に対する第1の複数の放射線撮影投射データからなり、前記計画断層撮影投射データは、第1の計画シノグラムに基づいて第1の患者ポジションについて放射線ビームの少なくとも1つの方向を表す放射線治療計画を作成して、そして患者に所望の放射線処置を提供する手段、
(b)第2ポジションにある患者の患者内の放射線処理容積の、患者に対する第2の複数の放射線撮影投射データからなる、スライスの断層撮影像再構築前の確認シノグラムを電子計算機に入力する手段、
(c)電子計算機を作動させて、第2の複数の放射線撮影投射データと第1のシノグラムにおける対応する投射データとを比較し、第1ポジションと第2ポジションの間の患者の移動量を測定する手段、
(d)電子計算機によって測定された移動量に従って、電子計算機を作動させて患者の放射線処置における変化が測定される手段、及び
(e)手段(d)で測定された患者の放射線処置における変化を出力する手段
の各手段を含んでなることを特徴とする放射線治療用CT装置。
(12)患者の複数の断層撮影像を整列する放射線治療用CT装置であって、
(a)第1ポジションにある患者の患者内の所定容積の第1のシノグラムであって、患者に対する第1の複数の放射線撮影投射データからなる、スライスの断層撮影像再構築前のシノグラムを電子計算機に入力する手段、
(b)第2ポジションにある患者の患者内の所定容積の確認シノグラムであって、患者に対する第2の複数の放射線撮影投射データからなる、スライスの断層撮影像再構築前の確認シノグラムを電子計算機に入力する手段、
(c)電子計算機を作動させて、第2の複数の放射線撮影投射データと第1のシノグラムにおける対応する投射データとを比較し、第1ポジションと第2ポジションの間の患者の移動量を測定する手段、及び
(d)第1の及び第2の複数の放射線撮影投射データから再構築された断層撮影像を、電子計算機によって測定された移動量に従って整列するようにシフトする手段
の各手段を含んでなることを特徴とする放射線治療用CT装置。
【0009】
本発明は、放射線治療の直前に患者をとった1つ以上の放射線撮影投射を計画CT像を基礎とする投射から選ばれたものと比較することにより、計画CT像の時と放射線治療との間の患者のミスアライメント(misalignment、不一致)を修正する方法を提供するものである。CT像からの生の投射データを用いることで、むしろ再構築された像そのものよりも、その比較は迅速にかつ追加の時間を浪費する断層撮影再構築なしになされる。患者の線型変位、回転及びねじり(以下、『移動(movement、動き)』と総称する)、これらはすべて検知されて、放射線処理計画を修正するかまたは患者を再配置することで補正することができる。
【0010】
詳しくは、前記方法では、患者の処理容積の計画断層撮影投射セットを得る。後の、処理容積の確認投射セット(confirmation projection set)もまた、第2ポジションを有する患者について得られる。電子計算機(コンピュータ)が計画断層撮影投射セットから放射線処理計画を作成し、その処理計画は患者についての放射線ビームの少なくとも1つの方向性を描くものであり、それにより患者に所望の処置を提供する。コンピュータはまた確認投射セット(典型的には後の時期において)を受け取り、次いで計画断層撮影投射セットからの放射線撮影投射と確認投射セットからの放射線撮影投射とを比較し、第1ポジションと第2ポジションとの間における患者の変位を測定する。患者の処置は、次いで電子計算機によって測定された変位に従って変えられる。投射の比較は、所定の軸に沿った投射の間での簡単な相関関係であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、計画CT像をとった時と、その後の放射線処理時との間における患者のミスアライメント、つまり患者のポジション(位置)が変化していることを迅速に測定、修正することができるので、それにより、照射線量とその照射位置を正確に制御して放射線治療を施すことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいてさらに詳細に説明する。
まず図1を参照して説明すると、本発明で用いられるのに適した放射線治療装置10は、片持頭部14を有する放射線透過性(radiotranslucent)のテーブル12を具備してなる。テーブル頭部14は、直角座標システム22のZ軸に沿って伸びる軌道16に沿ったテーブル12の移動により、装置10の環状ハウシング20のボア18内に入れられる。
テーブル12はまた、(座標システム22のX軸で示された)横方向の水平ポジション及び(座標システム22のY軸で示された)垂直ポジションで頭部14を調整する内部軌道アセンブリ及びエレベータ(図示せず)を含む。X、Y方向への動きはボア18の直径によって制限される。
【0013】
回転ガントリ24は、ボア18と同軸でハウジング20内に位置し、その内部表面にX線給源26と高エネルギー放射線給源28を支持する。X線給源26と放射線給源28は、テーブル頭部14がボア18内に位置するとき、患者テーブル12の頭部の近くで、回転の中心64の回りをガントリ24とともに回転する。
X線給源26はコリメート(collimate)されて、通常はX−Y平面内にあってかつボア18とそれによりテーブル頭部14がボア18内に位置する時にテーブル頭部14とを横切るファンビーム30を生ずる。ファンビーム30は、ガントリ24の位置によってその角度が制御される中心軸31から広がる。軸31を、以下で、投射軸と呼ぶ。
【0014】
テーブル頭部14を退去した後、ファンビーム30を、放射線給源28からは対向して位置した線型アレイ検知器(linear array detector)32で受ける。このように、回転ガントリ24により、テーブル頭部14上の患者のファンビーム放射線撮影投射を患者についてさまざまな角度qで得ることができる。
放射線給源28は、ファンビーム30と同様に、高エネルギー放射線のファンビーム34を投射するように、しかし放射線検知器36によってガントリ24のもう一方の側に受け止められるように適当な角度でファンビーム30を横切るように、据え付けられる。高エネルギー放射線のファンビーム34は、ビーム内に集束されかつ投射軸31に垂直な照射線軸から広がる。
【0015】
放射線給源28は、その放射線給源の前に設置されたコリメータ38を有し、高エネルギー放射線のファンビーム34をその強度を独立に制御しうる多数の隣接した光線に分割する。このタイプのコリメータは本件の譲受人に譲渡された米国特許第5,317,616号に記載されており、この特許はここに参照してその記載を明細書の一部となす。放射線給源28とX線給源26の位置が正確に特徴づけられるので、放射線給源28から得た像を放射線給源28に向けて用いてもよい。
【0016】
コンピュータ40はディスプレイスクリーン42とユーザー入力用マウス及びキーボード44とを有し本件技術分野で良くられたものであり、放射線治療装置10に接続されて、テーブル12の動きを制御し、ガントリ24の操作を放射線給源28とX線給源26とともに調整し、また、本件技術分野で良く知られている方法に従って患者の走査の間に線型アレイ検知器32からのデータを修正する。
【0017】
次に図2を参照して説明すると、X−Y平面に沿ってとられ、像として描かれた対象のスライス50は、高減衰物質である2つの包含物(inclusion)54を有する低減衰物質52を含む。スライス50を(垂直の又は前/後『AP』の角度で)通ってビーム軸31に沿って通過する放射線は、ビーム軸31に垂直な単一の線に沿ったスライス50を通過するX線の減衰を記録する投影56を生ずる。投影軸に垂直なこの線に沿った距離をtと示す。包含物54は垂直角度で別々に分析されてもよく、そのため投影56中に2つの減衰ピーク58が存在する。
対照的に垂直からの角度qで投影軸31’に沿う第2の投影で、包含物54は、投影56’が1つの減衰ピーク58’を示すようにアラインされる。
【0018】
次に図3を参照して説明すると、360°にわたる異なった角度qでの投射は、結合されて、データの行列としてコンピュータ40内に一時的にたくわえられるシノグラム(sinogram)60を形成することができる。図示したようにこのデータの行列は、異なった角度qを表すそれぞれの列(row)、及び投射に沿った異なった距離tのそれぞれの行(column)で配列される。コンピュータ40に数値としてたくわえられた減衰の値は、影を付して示した曲線62として示される。
本技術分野でよく理解されているように、描かれたスライス50の最大の横断幅に広がっているt値及び360°にわたるq値を有するシノグラムは、例えばフィルタ逆投射法(filtered back projection)によってスライスの断層撮影像を再構築するのに十分なものである。このような投射の集合を断層撮影投射セットと呼ぶ。シノグラム60のパターンは、通常、正弦曲線62(以下この名称)と重なるパターンであり、各曲線62はさまざまな角度qで投射がとられるようにガントリ回転64の中央の回りの軌道内で包含物54の明らかな移動の結果として、360°のqに基本的な周期を有する。一般に、ガントリの回転軸64近くの対象はより小さい振幅の正弦曲線を描き、一方で回転64の中心から離れた包含物54はより大きな振幅の正弦曲線を描く。正弦曲線の位相は、通常、q=0での第1の投射に関して包含物54の最初のポジションに依存する。
【0019】
従来のCT収集法では、図3のシノグラム60がスライス50の断層撮影像に再構築され、次いでシノグラム60は捨てられている。
図3のシノグラムの表現は同様に放射線処理計画を表わしうる。ここで、シノグラム60内の各位置(t、q)での値はX線放射の減衰を表わすのではなく、患者を通して伝えられる高エネルギーファンビーム34のファンビームの多重隣接光線の1つの強度を表わす。先に参照した米国特許第5,317,616号で議論されているように、シノグラム60に従う高強度放射線ビームのこのような制御は、コンピュータ40(図1に示した)の制御の下でコリメータ38によって行ってもよく、患者内に非常に正確に線量を与えることができる。
例えば、図2の包含物54が腫瘍であるならば、放射線処理計画は通常、種々の異なった角度qで包含物54を横切る高強度放射線のビームを生ずる曲線62によく従うものであり、包含物54では累積する高線量をその他の部位では低線量を生ずることができる。
【0020】
再び図1を参照すると、シノグラム60から作られた断層撮影像は、その断層撮影像に正確に関係付けられた放射線処理計画を作成するために用いられるということになる。1995年6月7日出願の米国特許出願番号第08/477,055号(ここに参照してその記載を明細書の一部とする)は、断層撮影像に基づいてシノグラム60の形で処理計画をたてるための相互作用法一般を記載している。
次に図4を参照すると、『スライス毎(slice-by-slice)』の収集では、描かれた対象51はZ軸に沿って分けられた複数のスライス70に分割され、投射の収集は、通常矢印72によって示された描かれた対象51の回りを回転するような単一の面に限られたビーム軸31によって得られる。360°の回転が終わると、対象は、次のスライスがビーム軸31とアラインするまでテーブル12を動かすことにより、Z軸に沿って動かされる。
【0021】
『ヘリカル走査』といわれる別の収集方法では、投射軸は描かれた対象51に対するヘリカル通路に従い、角度qの変化にともなってテーブル12のZが少しずつ増加される。
前者のスライス毎の収集においては一連のシノグラム60’が生成され、各シノグラムは、図3について記載されたものと同一であり、典型的には360°にわたるガントリの動作を包含する。異なったスライス70は、それぞれ異なっているが一定のZ値を有する各シノグラム60’が一連のシノグラムを反映するように描かれた対象51についてZ軸情報を提供する。
対照的に、ヘリカル収集では、シノグラム60”の各行がqとZのそれぞれ異なる増加を表わすシノグラム60”を生ずる。
図4に示した実施例において、高減衰包含物54は低減衰包含物52に含まれるが、最初の2つのスライス70にだけ広がっている。そこで、図5では、最初の2つのシノグラム60’だけが包含物54からの減衰正弦曲線62を示す。同様に図6のヘリカルに得られたシノグラム60”においては、シノグラム60”の最初の720°だけが減衰正弦曲線62を示す。
【0022】
次に図7を参照すると、12時と3時の位置にありそれぞれA、Bと示した高減衰物質である円形包含物54を有する単一の低減衰物質52の円形横断面を有する描かれた対象51’は、走査されてシノグラム60を生じる。回転の中心64が描かれた対象51’の円形領域内で中心であるときは、ボディAとボディBはそれぞれ振幅80を有する一周期の正弦曲線62を描き、互いに関係する位相差は90°である(すなわちボディAはqのサイン関数を描き、ボディBは反対に角度qのコサイン関数を描く)。
【0023】
次に図8を参照すると、ボディBと同一の水平面内であってボディAの垂直アライメントが左へ動くように、描かれた対象51’内で回転の中心64が左方向にシフトすると、正弦曲線通路(path)AとBは、正弦曲線通路A’とB’にシフトする。ここで、正弦曲線通路B’は、正弦曲線通路Bと同じ位相であるがより大きな振幅を有し、正弦曲線通路A’は、通路Aに関して、振幅と位相の進行の両者ともに増加する。
【0024】
図9を参照すると、対照的にスライス50’の上方へのシフトは、通路AとBの異なった変化を生じる。特に新しい通路A”は通路Aと位相は同じだが振幅が増加する。一方、通路B”は通路Bに対して、振幅が多少増加するが、位相も後ろに下がる。
したがって、処理計画が、図7のシノグラムから再構築された画像に従って準備されると、図8及び9で患者の実質的なシフトは再構築された像を生成することなしにシノグラム60の60’又は60”との比較によって容易に検出することができることがわかる。ここで後者(再構築された像の生成)は、時間を浪費し、多量の計算を必要とする激しい仕事である。
【0025】
次に図10を参照すると、本発明の最初の工程は、関心とする患者102の所定容積の一連のシノグラムからなる断層撮影投射セット100を得ることである。シノグラムは計画断層撮影投射セットを形成し、これは画像に再構築されてもよく、また、シノグラム100を提供するのと同一の方法で位置した患者に対する放射線処理計画を描く第2のシノグラム(図示せず)を定義するのに用いられてもよい。
【0026】
後の段階で、放射線治療を始めるとき、図11に示したように患者102は、計画断層撮影投射セット100の時の患者のポジションから勝手にシフトするかもしれない。この後の時に確認投射セット104を得る。
確認投射セット104は同じ患者102のものであるけれども、テーブル頭部14に関する患者102のシフトによって、確認投射セット104のシノグラムは異なって見える。
【0027】
図12もまた参照すると、プロセスブロック120でシノグラム100とシノグラム104をZ軸について互いに関係付ける(相関させる)。図示したようにヘリカル状に得られた図10及び11のシノグラムの場合には、Z軸は単に列(カラム)の広がり(次元)であり、その相関は、各行に沿ってシノグラムのすべての値を合計し、次いでシノグラム100の1つの列の和をシノグラム104の1つの列の和と互いに関係づけることで行われる。その行に沿ったシノグラムの合計は計算を簡単にし、この第1の工程における患者の横方向への変位の効果を除くのにも役立つ。スライス毎の収集においては、一定のZの各シノグラムの選ばれた行が合計され、その相関は、異なったZ値に対するシノグラムの対応する行の間にあってもよい。
どちらの場合にも、前記2つのシノグラムが最も相関する点は、シノグラム100の計画断層撮影投射セットの時と、確認投射セット104の投射の間における患者102のZ軸変位を生じさせる。シノグラム100のスタートに対応するシノグラム104のスタートを矢印122によって示した。矢印122とシノグラム100の先端との間の差が患者のZ軸変位を表わし、これは将来の使用のために記録される。
【0028】
プロセスブロック124では、AP(q=0°及びq=180°)及び横方向(q=90°及びq=270°)におけるシノグラム100における投射が確認され、またシノグラム100の投射に最も近いシノグラム104において対応するAP投射及び横方向の投射もまた確認され、これらはそれぞれシノグラム100及び104における所定の行である。これらの投射の角度は放射線治療装置10についてのものであり、シノグラム中のポジションのデータから容易に決定される。シノグラム104内の確認された投射は典型的には、シノグラム104のスタート122についていかなる決まった関係をも有しないであろう。
【0029】
プロセスブロック126では、確認投射セット104におけるこれらの角度での投射が、計画断層撮影投射セット100と同一の角度での対応する投射と関係づけられる。最大相関値は、特定の投射軸に垂直な軸に沿った患者102の変位に対応する。このように、計画断層撮影投射セット100と確認投射セット104との間のq=0°での投射に対する最大相関値は、X軸に沿った左又は右への患者の横方向へのシフトを示す。
相関のピーク値がシノグラム100と104の特定の行の中央にあれば、シフトがなかったことを意味する。もしそれが左側にあれば、左へのシフトがあったことを、またもし中央の右側にあれば右へのシフトがあったことをそれぞれ意味する。
同様に、患者の垂直方向へのシフト(Y軸に沿って)は、q=90°又はq=270°の角度での投射の相関によって検出することができる。
【0030】
スライス毎の走査では、所定のシノグラム100又は102に対向するガントリ角度への投射、例えばq=0°及びq=180°は、他方のシノグラムの投射と相関する前に平均化される。ヘリカル走査に対しては、qの増加がZ軸変位の増加に対応する場合、対抗投射(opposing projection)が別々に扱われて、Z軸変位の異なった値に対する患者の異なったX及びYオフセット値が提供される。Zの関数としてのこのようなX及びY変位の変化は、テーブル頭部14に沿って患者がアラインされない場合に生ずることがある。
本技術において通常の知識を有する者は、シノグラム100と102中で90°毎に同様な相関がなされて種々のオフセットが得られること、さらには、それらのオフセットを互いに比較することにより、回転の任意の中心についての患者の回転を含む患者の他のタイプの移動を検出することができることを理解するであろう。そこで、例えば、シノグラムの初めの方の行が患者の下方への変位を示し、それが次第に明らか(positive)な変位になるまでその大きさを減少すれば、垂直平面内での回転が推測される。
【0031】
再び図12を参照すると、プロセスブロック120と126で計算されたオフセットを、プロセスブロック130で示したように放射線治療に適合(調整)させるために用いることができる。最も簡単な調整では、患者のポジションが検出されたオフセットを補償するために移動させられる。これは、上記変位で示された所定量のX、Y又はZ軸に沿ったテーブルの調整によってなされる。
別法として、放射線処理計画は患者の移動を補償するために調整される。放射線処理計画がシノグラムの形で得られると、この調整には、測定されたオフセット(以下に述べる)に対する直接の比率でのシノグラムのシフトが単に必要とされる:Zオフセットはシノグラムの各行を1つ以上の行でシフトさせ;X及びYオフセットは、その行の角度q及びXもしくはYオフセットに応じた1つ以上の列でシノグラムの行をシフトすることを必要とする。通常、シフトされた列の数は、qの正弦を乗じたX変位にqの余弦を乗じたY変位を足した和となるであろう。
投射シノグラムの生の投射データを用いて患者の記録及び適切なアライメントを検知できることがいったん認められれば、本技術分野における通常の知識を有する者には、シノグラム100と104を比較する他の方法、例えば相関前又は後のシノグラムの範囲を平均する方法、又は図7〜9について述べた位相シフトもしくは振幅シフトを確認するようなより複雑な統計学的平均化のための道具などを含む方法が用いられることが理解されるであろう。
【0032】
上記記載は、本発明の好ましい実施態様について述べたものである。この技術を実施する者によれば、本発明の精神と範囲から離れることなしに多くの修正がなされうるであろう。例えば、確認投射セットは明らかに断層撮影投射セットである必要はない(すなわち断層撮影像へ再構築されることが可能である)が、関心とされる角度での投射が選択されてもよい。また、計画断層撮影投射セットは放射線治療装置とは別のCT装置上でも得られる。確認投射セットもまた、別の単一目的のCT装置や、患者に付いて移動できる患者支持体を用いて放射線治療装置上に位置した患者について得られる。
【0033】
CT投射セット間の投射データを直接比較する本技術はまた、放射線処理以外の目的で患者の初めのCT像を後のCT像と整合させる実際的な方法をも提供するものである。異なる時期にとれれた2つの画像を整合することで、治療によって生じた体重損失や腫瘍収縮などの傾向がよりよく分析される。整合され又はアラインされた像に適用されたヒストグラム法や他の分析技術は、このような傾向を定量するために用いることができる。2つの画像がCT装置からのものである必要はなく、この技術を、異なった投射像形成様式(物理療法)からの像を整合することに一般に適用することができることは注目に値することである。
最後に、異なった複数の患者から又は1人の患者及び比較もしくは調査目的の標準患者モデルからとられた投射セットを整合することも時には望ましい。
本発明の範囲内に入いる種々の実施態様を広く知らしめるために、添付の特許請求の範囲を示す。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】放射線投射の取得及び高エネルギー放射線治療ビームの生成を提供し、その上部に患者を支持する患者テーブルを示す、放射線治療装置の一部切欠斜視図である。
【図2】対象、例えば患者のスライスの簡略説明図であり、2つの角度qでとられた対象の線投影を、各投影の垂直軸で示された次元tに沿った減衰Aとともに示すものである。
【図3】影を付して示した投射の減衰とともに角度qが360°にわたる、例えば図2で得られる複数の線投影で形成されるシノグラムである。
【図4】ヘリカル及びスライス毎の走査通路を示す、走査される簡略化された対象の透視図である。
【図5】スライス毎の走査で得られるような、図4の対象のシノグラムのセットである。
【図6】ヘリカル走査で得られるような、図4の対象のシノグラムである。
【図7】一様な横断面を有する図2と同様に像として描かれた対象の模式図と、その下に示した、同じ対象の簡略化されたシノグラムである。
【図8】図7と同様の図であり、走査の中心について右方向へ変位された同一の対象を示し、そのシフトによって生ずるシノグラム中での変化を示すものである。
【図9】図7と同様の図であり、走査の中心について上方向へ変位された同一の対象を示し、そのシフトによって生ずるシノグラム中での変化を示すものである。
【図10】図7と同様の図であり、任意の像として描かれた対象の簡略図、及び矢印で示した垂直方向の投影についてのそのシノグラムを示すものである。
【図11】図10と同様の図であり、任意に変位した対象を示し、そのシノグラムの図10のシノグラムに対応する部分の同定結果を示すものである。
【図12】本発明の方法における主要工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
10 放射線治療装置
12 テーブル
18 ボア
20 ハウジング
24 ガントリ
26 X線給源
28 放射線給源
30 X線のファンビーム
32 線型アレイ検知器
34 高エネルギー放射線のファンビーム
36 放射線検知器
38 コリメータ
40 コンピュータ
50、50’、70 スライス
51、51’ 描かれた対象
52 低減衰物質
54 包含物(高減衰物質)
60、60’、60” シノグラム
62 正弦曲線
100 計画断層撮影投射セット
104 確認投射セット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に対して、一定の方向に制御可能な少なくとも1つの放射線ビームを発する放射線治療用CT装置であって、
(a)第1ポジションにある患者の患者内の放射線処理容積の、患者に対する第1の複数の放射線撮影投射データからなる、スライスの断層撮影像再構築前の計画シノグラムを得る手段、
(b)計画シノグラムを受け取る電子計算機を用いて、蓄積プログラムに従って作動させることにより、第1のシノグラムである計画シノグラムに基づいて第1の患者のポジションに関して放射線ビームの少なくとも1つの方向を示す放射線治療計画を作成して、患者に所望の放射線処置を提供する手段、
(c)第2ポジションにある患者の患者内の放射線処理容積の、患者に対する第2の複数の放射線撮影投射データからなる後のシノグラムである、スライスの断層撮影像再構築前の確認シノグラムを得る手段、
(d)計画シノグラム及び確認シノグラムを受け取る電子計算機を用いて、蓄積プログラムに従って作動させることにより、第2の複数の放射線撮影投射データを第1のシノグラムにおける対応する投射データと比較し、第1ポジションと第2ポジションの間での患者の移動量を測定する手段、及び
(e)電子計算機によって測定された移動量に従って患者の放射線処置の調整を行う手段
の各手段を含んでなることを特徴とする放射線治療用CT装置。
【請求項2】
手段(e)で、電子計算機によって測定された移動量に基づいて放射線治療計画の放射線ビームの方向を変化させる請求項1記載の放射線治療用CT装置。
【請求項3】
手段(d)で、電子計算機によって測定された移動量に基づいて患者を移動させる請求項1項記載の放射線治療用CT装置。
【請求項4】
計画シノグラム及び確認シノグラムがそれぞれ、所定の単一の方向軸に沿ってとられた少なくとも1つの投射データを含み、ここで、
手段(d)で、所定の単一方向でとられた投射データ同士が互いに比較されて、投射の軸に垂直な軸に沿う第1ポジションと第2ポジションの間の患者の移動量が測定される請求項1記載の放射線治療用CT装置。
【請求項5】
患者が水平ポジションでテーブル上に支持されており、ここで所定の単一方向における投射の軸が患者テーブル上の患者に対する前後の軸及び横方向の軸からなる群の1つである請求項1記載の放射線治療用CT装置。
【請求項6】
手段(d)で、投射の軸が患者テーブル上の患者に対する前後の投射である場合の横方向の変位及び投射の軸が患者テーブル上の患者に対する横方向の投射である場合の前後の変位が測定される請求項5記載の放射線治療用CT装置。
【請求項7】
手段(e)で、計算された変位に基づいて患者を移動させる請求項5記載の放射線治療用CT装置。
【請求項8】
手段(a)のシノグラムが患者のヘリカル走査から得られ、そして、ここで投射データが患者についてヘリックスに従って続けてとられる請求項1記載の放射線治療用CT装置。
【請求項9】
手段(a)のシノグラムが患者のスライス毎の走査から得られ、そして、ここで投射データが患者について複数の並行な円軌道に従って続けてとられる請求項1記載の放射線治療用CT装置。
【請求項10】
患者に対して、一定の方向に制御可能な少なくとも1つの放射線ビームを発する放射線治療用CT装置であって、
(a)第1ポジションにある患者の患者内の放射線処理容積の計画シノグラムであって、患者に対する相互に直交する軸に沿って間隔をおいたデータを含む第1の、第2の及び第3の計画投射データからなる、スライスの断層撮影像再構築前の計画シノグラムを得る手段、
(b)計画シノグラムを受け取る電子計算機を用いて、蓄積プログラムに従って作動させることにより、第1のシノグラムである計画シノグラムに基づいて患者に関して放射線ビームの少なくとも1つの方向を示す放射線治療計画を作成して、患者に所望の放射線処置を提供する手段、
(c)第2ポジションにある患者の患者内の放射線処理容積の、後の確認シノグラムであって、患者に対する相互に直交する軸に沿って間隔をおいたデータを含む第1の、第2の及び第3の確認投射データからなる、スライスの断層撮影像再構築前の確認シノグラムを得る手段、
(d)計画シノグラム及び確認シノグラムを受け取る電子計算機を用いて、蓄積プログラムに従って作動させることにより、対応する第1の、第2の及び第3の計画投射データと確認投射データとを比較して、直交する軸に沿った第1ポジションと第2ポジションの間の患者の第1の、第2の及び第3の変位を作成する手段、及び
(e)電子計算機によって測定された第1の、第2の及び第3の変位に従って患者の放射線処置の調整を行う手段
の各手段を含んでなることを特徴とする放射線治療用CT装置。
【請求項11】
患者に対して、一定の方向に制御可能な少なくとも1つの放射線ビームを発する放射線治療用CT装置であって、
(a)第1ポジションにある患者の患者内の放射線処理容積の計画シノグラムを電子計算機に入力し、前記シノグラムは患者に対する第1の複数の放射線撮影投射データからなる、スライスの断層撮影像再構築前のシノグラムであり、前記計画断層撮影投射データは、第1のシノグラムである計画シノグラムに基づいて第1の患者ポジションについて放射線ビームの少なくとも1つの方向を示す放射線治療計画を作成して、そして患者に所望の放射線処置を提供する手段、
(b)第2ポジションにある患者の患者内の放射線処理容積の、患者に対する第2の複数の放射線撮影投射データからなる、スライスの断層撮影像再構築前の確認シノグラムを電子計算機に入力する手段、
(c)電子計算機を作動させて、第2の複数の放射線撮影投射データと第1のシノグラムにおける対応する投射データとを比較し、第1ポジションと第2ポジションの間の患者の移動量を測定する手段、及び
(d)電子計算機によって測定された移動量に従って、電子計算機を作動させて患者の放射線処置における変化が測定される手段、
(e)手段(d)で測定された患者の放射線処置における変化を出力する手段
の各手段を含んでなることを特徴とする放射線治療用CT装置。
【請求項12】
患者の複数の断層撮影像を整列する放射線治療用CT装置であって、
(a)第1ポジションにある患者の患者内の所定容積の第1のシノグラムであって、患者に対する第1の複数の放射線撮影投射データからなる、スライスの断層撮影像再構築前のシノグラムを電子計算機に入力する手段、
(b)第2ポジションにある患者の患者内の所定容積の確認シノグラムであって、患者に対する第2の複数の放射線撮影投射データからなる、スライスの断層撮影像再構築前の確認シノグラムを電子計算機に入力する手段、
(c)電子計算機を作動させて、第2の複数の放射線撮影投射データと第1のシノグラムにおける対応する投射データとを比較し、第1ポジションと第2ポジションの間の患者の移動量を測定する手段、及び
(d)第1の及び第2の複数の放射線撮影投射データから再構築された断層撮影像を、電子計算機によって測定された移動量に従って整列するようにシフトする手段
の各手段を含んでなることを特徴とする放射線治療用CT装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−29887(P2008−29887A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274278(P2007−274278)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【分割の表示】特願平9−167979の分割
【原出願日】平成9年6月10日(1997.6.10)
【出願人】(390023641)ウイスコンシン アラムナイ リサーチ フオンデーシヨン (61)
【氏名又は名称原語表記】WISCONSIN ALUMNI RESEARCH FOUNDATION
【Fターム(参考)】