説明

放射線治療監視装置

【課題】放射線治療監視装置において放射線治療の監視精度の向上を図ることにある。
【解決手段】被治療部位への放射線の照射による治療状況を監視するための放射線治療監視装置は、被治療部位を透過した放射線を少なくとも2箇所で検出する検出部33と、2箇所における透過放射線の相対値を基準相対値に比較する比較部42と、相対値が基準相対値を超過したとき、放射線の照射を停止するための制御信号を発生する制御信号発生部43とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌等の病巣部に放射線を照射することにより病巣部を治療する放射線治療の状況を即時的に監視する放射線治療監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、癌などの病変部に放射線を照射する放射線治療が臨床の場で行われており、その有効性が認められている。この放射線治療を行う放射線治療装置としては、リニア・アクセラレ−タ(以下、リニアックという)が使われている。このリニアックは、治療台に横たわった患者の患部に放射線を照射するものである。このような放射線治療装置を利用して治療するには、事前の種々の準備作業が必要になる。まず、X線コンピュータ断層撮影装置等の映像化装置により疾患部の画像を取得し、その画像を用いて患部にできるだけ限局して放射線を照射できるように視野、角度、門数などを計画する。
【0003】
近年、癌治療に対する種々のアプロ−チがなされている中で、根治療法として放射線治療の意義が見直されてきており、このような放射線治療の機会増加に伴って、より高精度の治療監視体制を構築して、放射線治療の質的向上と高い安全性を図ることが要求されつつある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、放射線治療監視装置において放射線治療の監視精度の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1局面は、被治療部位への放射線の照射による治療状況を監視するための放射線治療監視装置において、前記被治療部位を透過した放射線を少なくとも2箇所で検出する検出部と、前記2箇所における透過放射線の相対値を基準相対値に比較する比較部と、前記相対値が前記基準相対値を超過したとき、前記放射線の照射を停止するための制御信号を発生する制御信号発生部とを具備する。
【0006】
本発明の第2局面は、被治療部位への放射線の照射による治療状況を監視するための放射線治療監視装置において、前記放射線の照射範囲内の少なくとも2箇所における射出線量の比と、差の絶対値との少なくとも一方を基準値として、計画された線量分布に基づいて計算する基準値計算部と、前記被治療部位を透過した放射線を検出する検出部と、前記検出部の出力に基づいて、前記2箇所における射出線量の比と差の絶対値との少なくとも一方を実測値として計算する実測値計算部と、前記実測値を前記基準値に比較する比較部と、前記実測値を前記基準値に比較した結果に応じた制御信号を出力する制御信号出力部とを具備する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、放射線治療監視装置において放射線治療の監視精度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明の実施形態による放射線治療監視装置を説明する。
図1に放射線治療監視装置3を3次元治療計画装置1及びリニアック(放射線治療装置)2とともに示している。なお、放射線治療監視装置3は3次元治療計画装置1及びリニアック2とともに放射線治療システムを構成する。3次元治療計画装置1は、計画した治療計画に基づいて照射線量分布を計算し、X線コンピュータ断層撮影装置等の診断画像発生装置で発生した2次元又は3次元の画像上に重ねる機能を備えている。リニアック2は、図2に例示するように、電子銃や加速管等を収容している放射線を照射するためのヘッド21を有する。ヘッド21には照射野を成形するためのコリメータ25が取り付けられている。ヘッド21は、略L字形の回転アーム22を介して床置きスタンド23に支持されている。
【0009】
回転アーム22にはヘッド21に対向してフラットパネルデテクタ33が取り付けられている。フラットパネルデテクタ33は、被検体を透過(射出)した放射線を直接的に電気信号(電荷)に変換する2次元状に配列された複数の検出素子を有する。それにより射出線量分布が測定され得る。フラットパネルデテクタ33はヘッド21に対向する位置に固定されていても良いし、図2に示すように開閉自在に設けても良い。なお、フラットパネルデテクタ33は、図3に示すように、蛍光板51、光学系52、CCDカメラ53の組み合わせに代替えされ得る。しかし、空間分解能、感度、均一性、歪み、入射放射線強度に対する信号強度の直線性等の観点でフラットパネルデテクタ33が優位である。
【0010】
放射線治療監視装置3は、3次元治療計画装置1及びリニアック2に接続される。放射線治療監視装置3は、治療状況を監視する、つまり照射線量が照射部位における計画線量および耐用線量を超過したか否かを、治療期間中に即時的に監視するために設けられている。実際には、照射線量を、測定可能な射出線量(透過放射線量)から推定するが、その場合、射出線量が放射線照射野に対する体動による患者の位置のずれ等の不安定因子により変動する。その変動をできるだけ許容して、監視精度を向上するために、本実施形態では照射中心の射出線量を、典型的には被曝影響をできるだけ回避すべき低照射線量予定の危険領域内等に設定した比較位置の射出線量で規格化し、その規格化した指標を予め決定した基準値に比較することで治療状況を監視するものとしている。また、この基準値を治療計画による線量分布から決定することで、治療の質的向上をさらに図ることができるものである。さらに、照射線量や吸収線量ではなく、射出線量を用いて監視することで、フラットパネルデテクタ33の検出値をほぼそのまま治療監視処理に用いることができ、治療監視の即時性を向上している。
【0011】
放射線治療監視装置3は、システム制御部31を制御中枢として、キーボードやマウス等の操作部32、フラットパネルデテクタ33、表示部34を有する。
【0012】
また、放射線治療監視装置3は、治療状況の適否判定のための基準値を決定するためのユニットとして、標的中心位置/比較観察位置特定部35、計画射出線量計算部36、計画射出線量比/差の絶対値計算部37を有している。標的中心位置/比較観察位置特定部35は、3次元治療計画装置1で計画された照射線量分布に基づいて、基準値を計算するための位置としての標的中心位置と比較観察位置を特定する。計画射出線量計算部36は、標的中心位置/比較観察位置特定部35で特定された標的中心位置における計画上の射出線量(CTCD)と、比較観察位置における計画上の射出線量(CRD)を、3次元治療計画装置1からの照射線量分布に基づいて計算する。計画射出線量比/差の絶対値計算部37は、標的中心位置と比較観察位置各々における計画された射出線量の比(IRR=CTCD/CRD)と、それらの差の絶対値(IRS=|CTCD−CRD|)を計算する。
【0013】
これら2箇所の計画射出線量比(IRR)と差の絶対値(IRS)は、基準相対値と称される。治療監視期間中は、基準相対値に対して、実測相対値が比較される。この比較により放射線治療期間中の放射線治療動作が計画通り正常に進行しているか否かを判定することができる。実測相対値には、、実測射出線量から求めた射出線量比(ARR)と、差の絶対値(ARS)とが含まれる。
【0014】
これら基準値としての計画射出線量の比(IRR)のデータと、差の絶対値(IRS)のデータは、計画射出線量(CTCD、CRD)のデータとともに、治療識別コードを関連付けられてデータ記憶部38に記憶される。
【0015】
さらに、放射線治療監視装置3は、放射線治療期間中の監視ユニットとして、標的中心位置/比較観察位置指定部39、射出線量実測部40、実測射出線量比/差の絶対値計算部41、比較部42、インターロッキング制御信号発生部43、再検討症例メッセージ出力部44を有している。つまり、当該ユニットでは、標的中心位置と比較観察位置と解剖学的に略同一の位置(以下説明の便宜上、標的中心位置と比較観察位置という)について射出線量を実測し、その実測値から射出線量の比(ARR)と差の絶対値(ARS)を計算して、基準値と比較することにより、放射線治療動作が計画に従って正常に進行しているか否かを判定する。
【0016】
放射線治療に際しては、治療計画時に標的中心位置/比較観察位置特定部35により特定した標的中心位置及び比較観察位置と解剖学的に略同一の位置が典型的には操作部32を介して手動で指定される。それら位置情報は標的中心位置/比較観察位置指定部39を介して入力される。射出線量実測部40は、放射線治療期間中において、フラットパネルデテクタ33から所定周期で繰り返し出力される射出線量分布を表すデータに基づいて、指定された標的中心位置及び比較観察位置各々の射出線量(ATCD、ARD)を実測し、それを所定周期で繰り返す。実測射出線量比/差の絶対値計算部41は、実測された標的中心位置の射出線量(ATCD)と比較観察位置の射出線量(ARD)との比(ARR=ATCD/ARD)と、それらの差の絶対値(ARS=|ATCD−ARD|)を計算する。これら実測値としての計画射出線量の比(ARR)のデータと、差の絶対値(ARS)のデータは、実測の射出線量(ATCD、ARD)のデータとともに、治療識別コード及び治療開始から経過時間を表すタイムコードを関連付けられてデータ記憶部38に記憶される。比較部42は、実測された標的中心位置と比較観察位置との射出線量比(ARR)を基準値としての計画射出線量の比(IRR)に対して比較し、また実測された標的中心位置と比較観察位置との射出線量の差の絶対値(ARS)を基準値としての差の絶対値(IRS)に対して比較する。
【0017】
実測の射出線量比(ARR)が、計画の射出線量比(IRR)に対して不一致のとき、放射線治療動作が計画通りに正常に進行していない可能性がある。ここでは、特に、実測の射出線量比(ARR)が、計画の射出線量比(IRR)を超過しているときに、放射線治療動作が患者の位置ずれや照射線量変動等を要因として正常に進行していない異常な状況が比較的高確率で生じているものと判定している。なお、実測の射出線量比(ARR)が高くなるとは、つまり、比較観察位置に比較して標的中心位置を通る軸において射出線量が増加しているという状況が生じているか、または標的中心位置に比較して比較観察位置(典型的には被曝を低く抑えたい危険部位に設定される)を通る軸において射出線量が低下するという状況が生じていることを表している。
【0018】
また、実測の射出線量の差の絶対値(ARS)が、計画の射出線量の差の絶対値(IRS)に対して不一致のとき、放射線治療動作が正常に進行していない可能性がある。ここでは、特に、実測の射出線量の差の絶対値(ARS)が、計画の射出線量の差の絶対値(IRS)を超過しているときに、高確率で異常な状況が生じているものと判定している。なお、実測の射出線量の差の絶対値(ARS)が高くなるとは、比較観察位置を通る軸と標的中心位置を通る軸との少なくとも一方で射出線量が、計画された射出線量に対して過大に変動しているという状況が生じていることを表している。
【0019】
インターロッキング制御信号発生部43は、実測の射出線量比(ARR)が計画の射出線量比(IRR)を超過している判定結果と、実測の射出線量の差の絶対値(ARS)が、計画の射出線量の差の絶対値(IRS)を超過している判定結果との少なくとも一方が生じているときに、患者に対する放射線の照射を停止するためのインターロッキング制御信号を発生する。リニアック2はインターロッキング制御信号の受信を契機として放射線の発生を停止する。
【0020】
再検討症例メッセージ出力部44は、実測の射出線量比(ARR)が計画の射出線量比(IRR)を超過している判定結果と、実測の射出線量の差の絶対値(ARS)が、計画の射出線量の差の絶対値(IRS)を超過している判定結果との少なくとも一方が生じているときに、治療を緊急停止し、治療の再検討を促すためのメッセージを表示部34に表示するための制御信号を発生する。
【0021】
図4には、本実施形態による監視動作の手順を示している。放射線治療監視装置3は3次元治療計画装置1から、計画された照射線量分布(線量分布)のデータを入力する(S1)。線量分布は線量の空間的な分布を例えば図5に例示するように等高線で表すものである。標的中心位置/比較観察位置特定部35では、標的中心位置と比較観察位置が特定される(S2)。まず、治療計画では治療対象部位を中心として放射線を好適な多くの方向から照射することを計画する。その放射線中心軸の集束点が標的中心位置である。その標的中心位置を通る軸上の吸収線量の総和を、線量分布から得られる当該位置への照射線量から引き算することで標的中心位置の射出線量(CTCD)が計画射出線量計算部36において計算される(S3)。なお、標的中心位置とは異なる位置について、射出線量(CTCD)を求めることが、監視精度向上に有利な場合もある。例えば、操作者が操作部32を介して指定した位置で射出線量(CTCD)を求めてもよいし、または標的中心位置を中心として所定半径の局所領域を規定し、その局所領域内における最小線量を示す位置を特定し、その位置で射出線量(CTCD)を求めてもよい。同様に比較観察位置としては、好ましくは被曝に対して危険性の高い領域内に設定される。例えば、操作者が操作部32を介して点として指定してもよいし、または操作者が操作部32を介して範囲指定した危険領域に対応する比較観察領域内における最大線量を示す位置を探索し、その位置を比較観察位置として特定しても良い。この特定した比較観察位置で射出線量(CRD)が計画射出線量計算部36において計算される(S3)。
【0022】
計画射出線量計算部36で計算された標的中心位置の射出線量(CTCD)と比較観察位置の射出線量(CRD)とから、それらの射出線量比(IRR=CTCD/CRD)と、それらの差の絶対値(IRS=|CTCD−CRD|)とがそれぞれ基準値として計画射出線量比/差の絶対値計算部37において計算される(S4)。治療計画上の2点間の射出線量比(IRR)のデータと2点間の差の絶対値(IRS)のデータは、標的中心位置の射出線量(CTCD)のデータと比較観察位置の射出線量(CRD)のデータとともに、治療識別コードを関連付けられてデータ記憶部38に記憶される(S5)。
【0023】
以上の準備完了後であって治療開始トリガが押された適当な時期に、治療計画に沿って放射線治療が開始される。この放射線治療の期間中に、フラットパネルデテクタ33の出力に基づいて、基準値計算に用いた標的中心位置と比較観察位置と解剖学的に略同一の2箇所において、即時的に実測の射出線量(ATCD、ARD)を繰り返し求め、それらの射出線量から比(ARR)と差の絶対値(ARS)を計算し、これらを基準値としての射出線量比(IRR)と差の絶対値(IRS)にそれぞれ比較することで、治療状況を監視するものである。以下詳細に説明する。
【0024】
治療に際しては、例えばフラットパネルデテクタ33の出力による画像上で、操作部32を介して、S2で特定した標的中心位置と比較観察位置にそれぞれ相当する位置が指定される(S6)。射出線量実測部40において、フラットパネルデテクタ33の出力に基づいて、S6で指定された標的中心位置と比較観察位置それぞれの射出線量(ATCD、ARD)が測定される(S7)。測定された標的中心位置の射出線量(ATCD)と比較観察位置の射出線量(ARD)とから実測の射出線量比(ARR=ATCD/ARD)と、それらの差の絶対値(ARS=|ATCD−ARD|)とが、実測射出線量比/差の絶対値計算部41で計算される(S8)。これら実測の射出線量比(ARR)のデータと、差の絶対値(ARS)のデータは、実測の射出線量(ATCD、ARD)のデータとともに、治療識別コード及び治療開始から経過時間を表すタイムコードを関連付けられてデータ記憶部38に記憶される(S9)。
【0025】
実測された標的中心位置と比較観察位置との射出線量比(ARR)は、基準値としての計画射出線量の比(IRR)に対して比較部42において比較される(S10)。同様に、実測された標的中心位置と比較観察位置との射出線量の差の絶対値(ARS)は、基準値としての計画射出線量の差の絶対値(IRS)に対して比較部42において比較される(S11)。
【0026】
実測の射出線量比(ARR)が計画の射出線量比(IRR)を超過している判定結果と、実測の射出線量の差の絶対値(ARS)が、計画の射出線量の差の絶対値(IRS)を超過している判定結果との少なくとも一方が生じているとき、治療に異常が生じている可能性が高いものと判定して、インターロッキング制御信号発生部43から、患者に対する放射線の照射を停止するためのインターロッキング制御信号が発生され(S14)、また再検討症例メッセージ出力部44から、治療を緊急停止したことを表記し、治療の再検討を促すためのメッセージを表示部34に表示するための制御信号が発生される(S15)。それにより患者に対して放射線の照射が停止され、また術者は、治療が緊急停止されたこと、および治療の再検討が必要であることを認識することができる。
【0027】
実測の射出線量比(ARR)が計画の射出線量比(IRR)を超過していない、しかも実測の射出線量の差の絶対値(ARS)が、計画の射出線量の差の絶対値(IRS)を超過していないとき、計画通りに正常に治療が進行しているものと判定して、計画された治療終了条件を満たすまで(S12、S13)、上記S7乃至S11の処理が繰り返される。
【0028】
以上の通り、本実施形態によると、治療状況を高精度でしかも即時的に監視することができる。つまり、照射中心の射出線量と比較位置の射出線量との比や差の絶対値を指標として基準値との比較により治療状況を監視することにより、またこの基準値を治療計画による線量分布から決定することで、上記効果を奏することができ、それにより治療の質的向上を図ることができる。さらに、照射線量や吸収線量ではなく、射出線量を用いて監視することで、フラットパネルデテクタ33の検出値をほぼそのまま用いることができ、治療監視の即時性も向上させることができる。
【0029】
なお、上述では、標的中心位置と比較観察位置との2点間の相対値を計算し、その相対値で治療状況を監視したが、3点間の相対比を計算し、その相対比で治療状況を監視するようにしても良い。例えば、図6Aに例示するように、標的部位領域内の位置Tと、標的部位領域外であって、放射線に対して比較的感受性の強いクリティカル部位内の位置Cと、被検体外部の位置(参照位置)Sとが設定される。典型的には、位置T、C、Sは、直線状に配置される。FPD33で実測された標的位置Tの線量をDT、クリティカル位置Cの線量をDC、外部位置Sの線量をDSとすると、実測の線量比ARRは典型的には次のように計算される。
ARR=|DT/DS−DC/DS|
つまり、実測の線量比ARRは、外部位置Sの線量DSに対する標的位置Tの線量DTの比と、外部位置Sの線量DSに対するクリティカル位置Cの線量DCの比との差の絶対値として計算される。この3点に関する実測の線量比ARRを、同じ3点に関する計画上の線量比IRRに比較することにより当該監視を高精度で行い得る。
【0030】
また、図6Bに示すように、標的部位領域内の線量平均値をDTとして計算し、クリティカル部位内の線量平均値をDCとして計算し、上記式によりIRR及びARRを計算するようにしても良い。
【0031】
本実施形態は、乳がん患者に対し、FPD33を使ってセットアップエラーを防ぐリアルタイム線量監視デバイスであり、1)日々の患者セットアップ精度の向上、2)不正な照射を回避することができる。絶対線量を使うのではなく各点間の比を用いることが特徴的である。
【0032】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る放射線治療監視装置の構成を示す図。
【図2】図2は、図1のリニアックとフラットパネルデテクタを示す図。
【図3】図3は、図2のフラットパネルデテクタの代替えされ得るCCDカメラ方式を示す図。
【図4】図4は、本発明の実施形態において、放射線治療の監視動作手順を示す流れ図。
【図5】図5は、図4のS2,S6の補足図。
【図6A】図6Aは、図4のS2,S6の変形例としての標的位置とクリティカル位置と外部位置との3点を示す図。
【図6B】図6Bは、図4のS2,S6の変形例としての標的部位領域とクリティカル部位領域と外部位置とを示す図。
【符号の説明】
【0034】
1…3次元治療計画装置、2…リニアック、3…放射線治療監視装置、21…ヘッド、22…回転アーム、23…床置きスタンド、25…コリメータ、31…システム制御部、32…操作部、34…表示部、33…フラットパネルデテクタ、35…標的中心位置/比較観察位置特定部、36…計画射出線量計算部、37…計画射出線量比/差の絶対値計算部、38…データ記憶部、39…標的中心位置/比較観察位置指定部、40…射出線量実測部、41…実測射出線量比/差の絶対値計算部、42…比較部、43…インターロッキング制御信号発生部、44…再検討症例メッセージ出力部、51…蛍光板、52…光学系、53…CCDカメラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被治療部位への放射線の照射による治療状況を監視するための放射線治療監視装置において、
前記被治療部位を透過した放射線を少なくとも2箇所で検出する検出部と、
前記2箇所における透過放射線の相対値を基準相対値に比較する比較部と、
前記相対値が前記基準相対値を超過したとき、前記放射線の照射を停止するための制御信号を発生する制御信号発生部とを具備することを特徴とする放射線治療監視装置。
【請求項2】
前記検出部は、フラットパネルデテクタであることを特徴とする請求項1記載の放射線治療監視装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記放射線を電気信号に直接的に変換することを特徴とする請求項1記載の放射線治療監視装置。
【請求項4】
前記2箇所には、前記被治療部位内の位置が含まれることを特徴とする請求項1記載の放射線治療監視装置。
【請求項5】
前記2箇所には、前記被治療部位内の位置と前記被治療部位外の位置とが含まれることを特徴とする請求項1記載の放射線治療監視装置。
【請求項6】
前記相対値は、前記2箇所の透過線量の比と差の絶対値との少なくとも一方であることを特徴とする請求項1記載の放射線治療監視装置。
【請求項7】
前記制御信号発生部は、前記透過線量の比と、前記差の絶対値との少なくとも一方がそれぞれの基準相対値を超過したとき、前記制御信号を発生することを特徴とする請求項6記載の放射線治療監視装置。
【請求項8】
前記相対値は、、前記被治療部位内の位置の線量をDT、前記被治療部位外であって、放射線に対して比較的感受性の強いクリティカル部位内の位置の線量をDC、前記被検体の外部位置の線量をDSとすると、
|DT/DS−DC/DS|
により計算されることを特徴とする請求項1記載の放射線治療監視装置。
【請求項9】
前記制御信号は、治療計画の再検討を促すためのメッセージの表示に対応することを特徴とする請求項1記載の放射線治療監視装置。
【請求項10】
被治療部位への放射線の照射による治療状況を監視するための放射線治療監視装置において、
前記放射線の照射範囲内の少なくとも2箇所における射出線量の比と、差の絶対値との少なくとも一方を基準値として、計画された線量分布に基づいて計算する基準値計算部と、
前記被治療部位を透過した放射線を検出する検出部と、
前記検出部の出力に基づいて、前記2箇所における射出線量の比と差の絶対値との少なくとも一方を実測値として計算する実測値計算部と、
前記実測値を前記基準値に比較する比較部と、
前記実測値を前記基準値に比較した結果に応じた制御信号を出力する制御信号出力部とを具備することを特徴とする放射線治療監視装置。
【請求項11】
前記制御信号は放射線照射の緊急停止に対応することを特徴とする請求項10記載の放射線治療監視装置。
【請求項12】
前記制御信号は治療計画の再検討を促すためのメッセージの表示に対応することを特徴とする請求項10記載の放射線治療監視装置。
【請求項13】
前記2箇所の一方は標的中心位置に設定され、前記2箇所の他方は比較観察位置領域内に設定されることを特徴とする請求項10記載の放射線治療監視装置。
【請求項14】
前記2箇所の一方は標的中心位置領域内において照射線量が最小を示す場所であり、前記2箇所の他方は比較観察位置領域内において照射線量が最大を示す場所である請求項10記載の放射線治療監視装置。
【請求項15】
前記2箇所を操作者が指定操作するための操作部をさらに備えることを特徴とする請求項10記載の放射線治療監視装置。
【請求項16】
前記制御信号出力部は、前記実測値計算部により計算された射出線量の比が前記基準値計算部により計算された射出線量の比を超過したとき、前記制御信号を発生することを特徴とする請求項10記載の放射線治療監視装置。
【請求項17】
前記制御信号出力部は、前記実測値計算部により計算された射出線量の差の絶対値が前記基準値計算部により計算された射出線量の差の絶対値を超過したとき、前記制御信号を発生することを特徴とする請求項10記載の放射線治療監視装置。
【請求項18】
前記制御信号出力部は、前記実測値計算部により計算された射出線量の比が前記基準値計算部により計算された射出線量の比を超過した状態と、前記実測値計算部により計算された射出線量の差の絶対値が前記基準値計算部により計算された射出線量の差の絶対値を超過した状態との少なくとも一方が生起したとき、前記制御信号を発生することを特徴とする請求項10記載の放射線治療監視装置。
【請求項19】
前記検出部は、前記放射線を直接的に電気信号に変換するための2次元状に配列された複数の検出素子を有することを特徴とする請求項10記載の放射線治療監視装置。
【請求項20】
前記実測値のデータを測定日時とともに記憶するデータ記憶部をさらに備えることを特徴とする請求項10記載の放射線治療監視装置。
【請求項21】
被治療部位への放射線の照射による治療の状況を監視するための放射線治療監視装置において、
前記治療部位を透過した放射線を検出する検出部と、
前記検出部の出力に基づいて、前記放射線の照射範囲内の少なくとも2箇所における射出線量の比と差の絶対値との少なくとも一方を実測値として計算する計算部と、
前記実測値を所定値に比較する比較部と、
前記所定値に対する前記実測値の比較結果に応じた制御信号を出力する信号出力部とを具備することを特徴とする放射線治療監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2007−130448(P2007−130448A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−257836(P2006−257836)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(505384737)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】