説明

放射線治療装置の回転ガントリー

【課題】照射精度を良好に維持しつつ、素早く制動することができる。
【解決手段】回転ガントリー3を回転自在に支持する複数のローラ22を支持するリンクフレーム25と、エアが供給されるとローラ22に対する制動力を開放し、エアが排出されるとローラ22に対し制動力を付与するブレーキ装置31と、閉じることによりブレーキ装置31に供給されたエアを封入し、開くことによりブレーキ装置31からエアを排出する電磁弁32とを備え、上記電磁弁32をリンクフレーム25に設けた電磁弁支持部材55で支持することにより、電磁弁32をブレーキ装置31の直近に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線治療に使用する回転ガントリーに係り、特に、陽子及び炭素イオン等のイオンビームを患部に照射して治療する粒子線治療装置に適用するのに好適な回転ガントリーに関する。
【背景技術】
【0002】
癌などの患者の患部にアイソセンタ(照射目標中心)を設定して陽子、炭素イオン等のイオンビームを照射する治療方法が知られている。例えば、この治療に用いる粒子線治療装置は、イオンビーム発生装置、ビーム輸送系、及び回転ガントリーに設置された照射装置を備えている。イオンビーム発生装置で加速されたイオンビームは、ビーム輸送系を経て照射装置に達し、照射装置から患者の患部に照射される。この際、照射装置は回転ガントリーの回転に伴って患者の回りを回転し、治療計画で定められた照射角度に基づいて患部にイオンビームを照射することが可能である。
【0003】
一般に、回転ガントリーは、フロントリング、リアリング、及びこれらフロントリングとリアリングとを周方向複数箇所において直線状のブレスで接続するガントリー胴部から構成される。この回転ガントリーは、フロントリング及びリアリングがそれぞれ複数の回転自在なローラによって支持されることにより、フロントリング及びリアリングの周方向に回転可能となっている。照射装置が設けられるガントリー胴部の周囲にはトラス構造の補強部材が設けられ、これによりガントリー胴部の強度を増大する構造となっている。また、上記複数のローラは、台座に設けたブラケットに対し回動可能に設けた親リンク部材、及びこの親リンク部材に対して回動可能に設けた2つの子リンク部材からなるリンクフレームによって、フロントリング及びリアリングの外周面(円周面)に沿うように配置されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】米国特許第4917344号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術の回転ガントリーでは、トラス構造の補強部材を設けてはいるもののガントリー胴部の剛性が十分でなく、照射装置からアイソセンタに照射する際の照射位置の三次元的な振れ回り精度(アイソセンタ精度)が、回転ガントリーの回転に伴い数mm程度のばらつきを持っていた。その結果、治療照射の際に照射角度によっては患者の位置決めに多大な時間を要するという問題があった。
【0006】
このような背景から、近年、フロントリングとリアリングをつなぐガントリー胴部をシリンダー構造とした回転ガントリー装置が提案されている。これにより、ガントリー胴部の剛性をアップすることができ、アイソセンタ精度を1mm程度のばらつきに抑制することを可能としている。
【0007】
しかしながら、上記構成の回転ガントリーは、ガントリー胴部をシリンダー構造として剛性をアップさせることにより照射精度の向上を図れるものの、複数のブレスで構成されるガントリー胴部とトラス構造の補強部材を有する従来の回転ガントリーに比べて質量が大きくなる。その結果、回転ガントリーの慣性モーメントが増大し、緊急停止角度(設定速度の回転状態において緊急停止をかけてからブレーキ装置による制動力が100%発揮されるまでの回転ガントリーの回転角度)が増大する。緊急停止は、例えば回転ガントリーの誤作動による回転により照射装置と患者が搭載される治療台等が接触しそうになった場合や、患者の容態が急変した場合等に行われるが、安全上の観点からも、緊急停止角度を剛性アップ以前の回転ガントリーと同等に維持することが好ましい。そのためには、回転ガントリーに制動力を付与するブレーキ装置の応答性を向上させる必要がある。
【0008】
ここで、特許文献1には明示されていないが、一般に、回転ガントリーのフロントリング及びリアリングを支持する複数のローラは、モータと接続され回転ガントリーを回転させるための駆動用ローラと、ブレーキ装置と接続され回転ガントリーの緊急停止等を行うためのブレーキ用ローラとを備えている。ブレーキ用ローラに接続されるブレーキ装置には、通常、電源の供給が断ち切られても安全に制動力を作用させることができるようにフェールセーフ構造が採用されている。すなわち、回転ガントリーの回転駆動時にはブレーキ装置にエアが供給され、ブレーキ装置の外部に設けた電磁弁が閉じられてブレーキ装置にエアが封入される。これにより、ブレーキ用ローラから回転ガントリーに伝えられる制動力が開放され、駆動用ローラによる回転ガントリーの回転駆動が可能となる。一方、緊急停止時等にはブレーキ装置の外部に設けた電磁弁が開かれてブレーキ装置からエアが排出される。これにより、ブレーキ装置内に設けられたバネによってブレーキ用ローラを制動する歯車部材が押圧され、その結果、ブレーキ用ローラから回転ガントリーに制動力が与えられる。
【0009】
このような構造のブレーキ装置を出来るだけ高応答に動作させるためには、ブレーキ装置からエアをいち早く排出する必要がある。本願発明者等は、種々の検討により、エアの排出時間の遅れに最も影響する要因が、ブレーキ装置と電磁弁との設置距離にあることを認識するに到った。すなわち、従来の回転ガントリーにおいては、ブレーキ装置と電磁弁の設置位置が比較的離れていたため、ブレーキ装置と電磁弁を結ぶ配管内に封入されるエア量が多く、エアの排気に時間がかかっていた。このため、ブレーキ装置の応答性が悪く、制動力が作用するまでに時間を要することを発明者等は見出した。
【0010】
本発明の目的は、より短時間に制動させることができる放射線治療装置の回転ガントリーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した目的を達成する本発明の特徴は、ガントリー胴部と、前記ガントリー胴部の軸方向両側にそれぞれ設けたリング部材と、前記両方のリング部材を回転自在に支持する複数のローラと、前記複数のローラを支持するローラ支持部材と、前記複数のローラのうちの少なくとも1つのローラに接続され、エアが供給されると前記ローラに対する制動力を開放し、エアが排出されると前記ローラに対し制動力を付与するブレーキ装置と、閉じることにより前記ブレーキ装置に供給されたエアを封入し、開くことにより前記ブレーキ装置からエアを排出する電磁弁と、前記ローラ支持部材に設けられ、前記電磁弁を支持する電磁弁支持部材とを備えたことにある。
【0012】
本発明においては、開閉することによりブレーキ装置へのエアの供給(封入)・排出を行う電磁弁を、ローラ支持部材に設けた電磁弁支持部材によって支持することによって、電磁弁をブレーキ装置の直近に配置することが可能となる。これにより、ブレーキ装置と電磁弁を結ぶ配管内に封入されるエア量を少なくすることができ、ブレーキ装置からエアをいち早く排出することができる。その結果、ブレーキ装置の応答性を向上させることができるので、回転ガントリーの制動時間を短縮することができる。特に、照射精度を向上するために剛性をアップさせて質量が大きくなった回転ガントリーであっても、より短時間に制動することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、放射線治療装置の回転ガントリーをより短時間に制動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の粒子線治療装置の回転ガントリーの一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0015】
本発明の好適な一実施形態である粒子線治療装置を図1を用いて説明する。本実施形態の粒子線治療装置1は、イオンビーム発生装置2、回転ガントリー3(図2、図3参照)、イオンビーム照射装置(以下、照射装置という)4及び治療台5を備える。本実施形態の粒子線治療装置1は、具体的にはがん治療装置である。イオンビーム発生装置2は、イオン源(図示せず)、前段加速器7及びシンクロトロン8を有する。イオン源で発生したイオン(例えば、陽イオンまたは炭素イオン)は前段加速器(例えば直線加速器)7で加速される。このイオンビームは前段加速器7から低エネルギビーム輸送系6を経てシンクロトロン8に入射される。本実施形態ではイオンビームとして陽子ビームが用いられる。イオンビームであるそのイオンビームは、シンクロトロン8で加速され、設定エネルギー(通常100〜200MeV)までに高められた後、出射用デフレクタ9から出射される。
【0016】
シンクロトロン8から出射されたイオンビームは、高エネルギビーム輸送系10を経て照射装置4に達する。照射装置4、及び高エネルギビーム輸送系10の一部である逆U字状のビーム輸送装置11は回転ガントリー3のガントリー胴部18(図2参照)に設置され、回転ガントリー3の回転に伴って回転する。イオンビームはビーム輸送装置11を通って照射装置4のスノート4a(図4及び図5参照)から治療台5の治療用ベッド(以下、ベッドという)13に横たわっている患者14の患部15(図4参照)に照射される。
【0017】
図2及び図3に示すように、回転ガントリー3は、略円筒形状のガントリー胴部18、このガントリー胴部18のフロント側(治療室側、図2中右側)端部に設けたフロントリング(リング部材)19、及びガントリー胴部18のリア側端部に設けたリアリング(リング部材)20を有している。ガントリー胴部18はシリンダー構造となっており、前述した複数のブレスで構成されたガントリー胴部とトラス構造の補強部材を有する従来の回転ガントリーに比べて剛性がアップされ照射精度を向上させている。ガントリー胴部18は、その内部にイオンビームを患者14の患部15に照射するための治療ケージ(治療室)16(図4及び図5参照)を有する。この治療ケージ16内に、ビーム輸送装置11を経て輸送されたイオンビームを患者14に照射する照射装置4が配置されている。照射装置4は、ガントリー胴部18に設置される。ガントリー胴部18の外周には、逆U字状のビーム輸送装置11、及び照射装置4と反対側に位置し、回転ガントリー3の回転アンバランスを除去するためのカウンタバランスウエイト21等が設けられている。
【0018】
フロントリング19及びリアリング20は、回転可能な複数のサポートローラ(ローラ)22によって支持される。これら複数のサポートローラ22は、建屋基礎23に設置された支持装置(台座)24上に設けられたリンクフレーム(ローラ支持部材)25に回転自在に取り付けられる。このリンクフレーム25は、支持装置24に設けたブラケット26、ブラケット26に対し回動可能に設けた親リンク部材27、及び親リンク部材27に対して回動可能に設けた2つの子リンク部材28を有する。リンクフレーム25により複数のサポートローラ22はフロントリング19及びリアリング20の外周面(円周面)に沿うように配置されている。本実施形態では、回転ガントリー3のフロント側及びリア側にそれぞれ1基の支持装置24が設置される。これら支持装置24上にそれぞれ2つずつのリンクフレーム25が設置される。これら2つのリンクフレームによって支持される8つのサポートローラ22によって、フロントリング19及びリアリング20が回転可能に支持されている。
【0019】
リア側に配置された8つのサポートローラ22のうち、2つのサポートローラ22には図示しない減速装置を介してガントリー回転モータ30がそれぞれ接続されている。回転ガントリー3は、ガントリー回転モータ30の回転駆動力がリアリング20とサポートローラ22の摩擦によって伝えられることで回転する。一方、リア側に配置された8つのサポートローラ22のうち、残りの6つのサポートローラ22にはブレーキ装置31が接続されている。ブレーキ装置31は、回転ガントリー3の回転駆動時にはエアが供給されてサポートローラ22に対する制動力を開放しており、緊急停止時等にはエアが排出されてサポートローラ22に対し制動力を付与する。その制動力がリアリング20とサポートローラ22の摩擦によってリアリング20に伝えられることで回転ガントリー3を停止させる。このブレーキ装置31へのエアの供給・排出の切り替えは、電磁弁32により行われる。電磁弁32が閉じるとブレーキ装置31に供給されたエアが封入され、開くとブレーキ装置31からエアが排出される(詳細は後述)。
【0020】
本実施形態では、上記ガントリー回転モータ30が接続された2つのサポートローラ22と、上記ブレーキ装置31が接続された6つのサポートローラとが、回転ガントリー3の軸方向から見てそれぞれ左右対称となるように配置されており、ガントリー回転モータ30の回転駆動力及びブレーキ装置31の制動力がバランスよく回転ガントリー3に伝わるようになっている。また、ガントリー回転モータ30、ブレーキ装置31及び電磁弁32が、回転ガントリー3の反治療室側であるリア側に配置されることにより、メンテナンス性や、将来的なブレーキ能力のアップに伴うブレーキ装置全体の大型化等にも対応が可能であるように配慮されている。
【0021】
回転ガントリー3の回転駆動は、建屋側に設けたペンダントスイッチ33を用いて医療技師34等により行われる。
【0022】
図4及び図5に示すように、建屋基礎23には治療台5が取付けられる。治療台5のベッド13は、治療台5の駆動装置により、回転ガントリー3の回転軸上にベッド13上の患者14が位置するように移動される。そして、医療技師34等が回転ガントリー3のフロント側に支持装置35により吊り下げ支持されたペンダントスイッチ33を操作することにより、回転ガントリー3がベッド13に横たわった患者14の周りを回転駆動する。このようにして、照射装置4が、所定の方向から患部15を向くように設定される。このため、照射装置4により照射野を形成されたイオンビームが所定方向から患部に照射できる。また、照射装置4の先端には患者14方向に伸縮自在のスノート4aが設けられており、個々の患者に合ったイオンビームが照射できるようにその長さが調整される。これらベッド13の移動、回転ガントリー3の回転、及びスノート4aの伸縮等が治療計画情報に基づいて行われ、患者14の位置決めが完了する。なお、スノート4aの伸縮は、回転ガントリー3及びベッド13が停止している時でないと動作しないようインターロック制御がとられている。
【0023】
ブレーキ装置31は、図6に示すように、ブレーキ支持部材36、ハブ39、ディスク支持部材41、ギヤ(歯車部材)42、環状のフリクションディスク43、環状のラバーチューブ(エア袋)46及びラバーチューブ支持部材47を備える。ブレーキ支持部材36は、リンクフレーム25の子リンク部材28に直接固定される。スプライン軸状のハブ39は、子リンク部材28に軸受37を介して回転自在に支持され、ブレーキ支持部材36を貫通して設けられたサポートローラ22のローラ軸38に直結固定され、外周面に歯が形成されている。略円筒状のディスク支持部材41は、ブレーキ支持部材36にボルト40により固定され、その内周側に後述するフリクションディスク43を支持すると共に内周面に歯が形成されている。ギヤ42は、ハブ39の外周面の歯に噛み合い、ローラ軸38の周方向に複数及び軸方向に3段設けられている。フリクションディスク43は、ディスク支持部材41によりその内周側に支持され、各ギヤ42を挟むように配置されている。バネ45は、フリクションディスク43がギヤ42を挟み込んで押圧するようにフリクションディスク43を押し付け部材44を介して押し付ける。ラバーチューブ46は、エアが供給されると膨張し、バネ45の付勢力に抗して押し付け部材44をギヤ側と反対側(図6中左側)に移動させてフリクションディスク43によるギヤ42への押圧力を開放する。ラバーチューブ支持部材47は、押し付け部材44に固定され、ラバーチューブ46を支持する。
【0024】
さらに、ブレーキ装置31は、ブレーキ支持部材36に固定され、ブレーキ装置31の各部材(ハブ39、ディスク支持部材41、ギヤ42、フリクションディスク43、押し付け部材44、バネ45、ラバーチューブ46等)を包むように設けられた防音カバー(カバー部)50を備える。この防音カバー50は、ブレーキ支持部材36に固定され、複数のピースがボルト51等により接合されることによりブレーキ装置31全体を覆うように形成された鋼板材(補強部材)52と、この鋼板材52の内周側にブレーキ装置31の騒音を低減するために設けた防音材(吸音材でもよい)53とを有する。なお、鋼板材52は後述する電磁弁32を支持する電磁弁支持部材(支持部)55を片持ち梁状に支持するための強度を持たせるために設けたものであり、必要な強度を有する材料であれば鋼板でなくとも例えば強化プラスチック等の材料でもよい。また、この鋼板材52は、ブレーキ装置31の全体を覆うように設けられているので、上記補強部材としてのみでなく、防音材53の防音効果をさらに高める効果をも有している。
【0025】
電磁弁32は、防音カバー50の鋼板材52にサポートローラ22と反対方向(図6中左方向)に突出して設けた電磁弁支持部材55により支持されている。その結果、電磁弁32は、リンクフレーム25の子リンク部材28に直接設けたブレーキ支持部材36、防音カバー50及び電磁弁支持部材55を介し、子リンク部材28に支持されているとも言える。
【0026】
この電磁弁32には、エアを供給するための供給配管56及びエアを排出するための排出配管57が接続されている。また、電磁弁32の図示しない給排気口とブレーキ装置31のラバーチューブ46とは、柔軟性を有するフレキシブルホース58により例えば急速排気弁等の弁装置を介すことなく直接接続されている。このフレキシブルホース58は、防音カバー50に設けられたホース貫通用の貫通孔59を介してラバーチューブ46の適宜の箇所(本実施形態では2箇所)に接続されている。なお、本実施形態では、排気の際に大量のエアが急速に流れ込むことにより配管に加わる衝撃を緩和することを目的として、排出配管57についてもフレキシブルホースを用いている。一方、供給配管56については、鋼管を用いてもフレキシブルホースを用いてもどちらでもよい。
【0027】
上記構成により、回転ガントリー3の回転駆動時には、電磁弁32が開いて供給配管56とフレキシブルホース58とが連通され、供給配管56から供給されたエアがフレキシブルホース58を経てラバーチューブ46に供給される。これにより膨張したラバーチューブ46は、押し付け部材44をバネ45の付勢力に抗してリンクフレーム25と反対側(図6中左側)に移動させる。その結果、各フリクションディスク43と各ギヤ42との間に間隙が生じ、ローラ軸38に対する制動力が開放される。このとき、電磁弁32が閉じてエアがフレキシブルホース58及びラバーチューブ46内に封入され、ローラ軸38に対する制動力が開放された状態に保持される。なお、エアは押し付け部材44をバネ45の付勢力に抗してギヤ側と反対側に移動させうる規定圧以上の状態で封入される。
【0028】
一方、緊急停止時等の回転ガントリー3の停止時には、電磁弁32が開いて排出配管57とフレキシブルホース58とが連通され、フレキシブルホース58及びラバーチューブ46内に封入されたエアが排出される。これにより、押し付け部材44がバネ45の付勢力によってリンクフレーム25側(図6中右側)に移動し、各ギヤ42がその両側のフリクションディスク43により押圧される。その結果、ローラ軸38に制動力が付与される。
【0029】
なお、上記エアの供給・排気によりラバーチューブ46が膨張・縮小するに伴い、ラバーチューブ支持部材47がローラ軸38の軸方向(図6中左右方向)に移動するが、本実施形態では電磁弁32とラバーチューブ46を柔軟性のあるフレキシブルホース58で接続しているので、その移動を吸収できるようになっている。
【0030】
また、フレキシブルホース58の長さは、フレキシブルホース58を構成する図示しない口金、ホース及び継手などの部品長さ、及び電磁弁32及びブレーキ装置31に外力を与えないような所定の曲げ半径を設けた長さを考慮して設定されなければならないため、物理的に決定され、通常0.4〜1.0m程度である。本実施形態では0.6m程度としている(図9参照)。また、フレキシブルホース58のサイズは、3/4インチを用いている(図9参照)。なお、フレキシブルホース58の長さ及びサイズはこの値に限るものではなく、例えば長さについて上記条件を満たした上でさらに短くすることが可能であれば、さらに短くしてもよい。
【0031】
また本願発明者等は、排出配管57の配管サイズについて検討を行った。すなわち、後述の図9に示すような系統モデルを作成し、ブレーキ装置31が内蔵するラバーチューブ46から電磁弁32までのフレキシブルホース58内に一定圧で封入されたエア全てが大気に放出されるものとして、配管サイズと排出時間の関係を断熱変化の理論式を用いて計算した。その際、排出時間は配管サイズを大きくすることにより短縮されるが、不必要に配管サイズを大きくすることは経済的に好ましくないため、もっとも効果的なサイズを採用することとした。計算の結果、1.25インチ以下の配管サイズでは排出時間の短縮に効果が見られたが、1.25インチ以上の配管サイズでは効果が見られなかった。そのため、本実施形態においては1.25インチを適用することとした。
【0032】
次に、上記構成の本実施形態の粒子線治療装置の回転ガントリー3の動作を説明する。
【0033】
患者14の治療照射をする際には、まず、患者14が横たわったベッド13を、回転ガントリー3の治療ケージ16内の所定の位置まで移動させる。このベッド13の移動は、医療技師34等によるペンダントスイッチ33の操作により治療計画に基づいて行われる。このようにして大まかな位置調整が済むと、イオンビームの進行方向及びこれに直角な方向において、患者14の患部15付近のX線撮影を行う。これにより撮影された画像と、治療計画時に撮影されたX線CT画像より作成された断層画像とが図示しない制御装置により比較され、座標のずれが算出される。このずれをなくすようにベッド13が再び移動され、さらに詳細な位置調整が行われる。
【0034】
次に、医療技師34等は、ペンダントスイッチ33を操作して回転ガントリー3を回転させ、治療計画で定められた照射角度に基づいて患部15にイオンビームを照射できるように照射装置4を位置させる。また、スノート4aを伸縮させてその長さを調整する。
【0035】
このようにして、ベッド13の位置決めが完了すると、図示しない治療制御室のコンソールから照射開始指示がなされる。これにより、イオン源で発生したイオンが前段加速器7で加速されてシンクロトロン8に入射され、シンクロトロン8で加速されて設定エネルギーまでに高められたイオンビームは、シンクロトロン8から出射されて高エネルギビーム輸送系10を経て照射装置4に達し、照射装置4のスノート4aから位置決めされたベッド13上の患者14の患部15に照射される。
【0036】
以上のようにして行われる患者14の治療照射前の準備作業において、回転ガントリー3の回転駆動中に、例えば照射装置4のスノート4aと患者14が搭載されるベッド13が接触しそうになった場合や、患者14の容態の急変が生じた場合等には、回転ガントリー3の緊急停止が行われる。この緊急停止は、医療技師34等がペンダントスイッチ33を操作することにより行われる。緊急停止が実行されると、電磁弁32が開いて排出配管57とフレキシブルホース58とが連通され、フレキシブルホース58及びラバーチューブ46内に封入されたエアが排出される。これにより、押し付け部材44がバネ45の付勢力によってギヤ側(図6中右側)に移動され、各ギヤ42がその両側のフリクションディスク43により押圧されてローラ軸38の回転を制動する。その結果、ブレーキ装置31が接続された6つのサポートローラ22から回転ガントリー3に制動力が付与され、回転ガントリー3が停止する。
【0037】
以上説明した本実施形態により得られる効果をその項目ごとに説明する。なお、効果をわかりやすくするために、適宜以下の比較例を用いて説明する。
【0038】
図7は比較例である回転ガントリーのブレーキ装置近傍の構造を本実施形態と比較しつつ示す側面図及びリア側から見た正面図である。この図7に示すように、比較例の回転ガントリーにおいては、電磁弁32が建屋基礎23に設置された支持装置24に設けられ、そのためにブレーキ装置31と電磁弁32とを接続する接続配管58’の長さが比較的長くなっている(ここでは3.0mとする。図9参照)。また、接続配管58’には、排気を急速に行うための急速排気弁60が設けられている。この他の構成については本実施形態と同様である。
(1)回転ガントリーの緊急停止角度の低減効果
回転ガントリーの緊急停止角度とは、一定速度(例えば1r/min)の回転状態において緊急停止をかけてからブレーキ装置による制動力が100%発揮されるまでの回転ガントリーの回転角度のことである。図8にこの緊急停止角度の定義を示す。この図8に示すように、回転ガントリー3の緊急停止角度Tは、医療技師34等によりペンダントスイッチ33の緊急停止スイッチが押された後、エアが実際に排出されるまでの動作遅れ時間taの間に回転ガントリー3が定常回転する角度と、実際にエアの排出が開始されてから、排出が終了してブレーキ装置31による制動トルクが100%発揮されるまでのエアの排出時間tbの間に回転ガントリー3が回転する角度の和で定義される。
【0039】
この図8に示すように、本実施形態によれば、上記比較例に比べ動作遅れ時間ta及び排出時間tbの双方を短縮することができ、その結果、回転ガントリー3の緊急停止角度Tを大幅に低減することが可能である。以下、この緊急停止角度Tの低減効果について、その手段ごとに説明する。
【0040】
(i)電磁弁をブレーキ装置の近傍に設けたことによる緊急停止角度の低減効果
一般に、エアの排出時間は、断熱変化の理論式より、封入されたエアの容量と構成する配管部品の有効断面積の商に比例することが論じられている。すなわち、封入されたエアの容量を少なくすればそれに比例して排出時間を短縮することができる。
【0041】
本実施形態では、前述したように、電磁弁32を、リンクフレーム25の子リンク部材28に直接設けたブレーキ装置31の防音カバー50に取り付けた電磁弁支持部材55により支持する。このような構造とすることにより、電磁弁32をブレーキ装置31の直近に配置することができ、その結果、電磁弁32とブレーキ装置31(ラバーチューブ46)とを接続するフレキシブルホース58の配管長さを極力短くすることができる。したがって、ブレーキ装置31と電磁弁32の間に封入されるエア量、すなわち排気しなければならないエアの絶対量を少なくすることができ、エアの排出時間tbを短縮することができる。その結果、回転ガントリー3の緊急停止角度Tを低減することができる。
【0042】
(ii)排気配管のサイズの適性化による緊急停止角度の低減効果
本実施形態では、前述したように、排出配管57の配管サイズについて系統モデルを作成し、配管サイズと排出時間の関係を上記した断熱変化の理論式を用いて検討を行った。その結果、1.25インチ以下の配管サイズでは排出時間の短縮に効果が見られたが、1.25インチ以上の配管サイズでは効果が見られなかった。そのため、本実施形態においては1.25インチを適用することとした。 図9はこの検討の際に作成した比較例と本実施形態の系統モデルである。ここでは、比較例においてはブレーキ装置31と電磁弁32とを接続する配管58’の長さを3.0m、配管サイズを3/4インチとし、排出配管57’のサイズを1/2インチとしている。この場合、配管58’内に封入されるエア量は0.88Lとなり、断熱変化の理論式を用いて排出時間tbを計算すると、0.20secとなった。これに対し、本実施形態においては、上記(i)に記載したような手段により電磁弁32をブレーキ装置31の直近に配置することができるので、ブレーキ装置31と電磁弁32とを接続するフレキシブルホース58の長さは例えば0.6mとすることができる。なお、フレキシブルホース58のサイズは比較例と同じく3/4インチである。また排出配管57のサイズは上記したように検討の末1.25インチを採用している。この場合、フレキシブルホース58内に封入されるエア量は0.68Lとなり、断熱変化の理論式を用いて排出時間tbを計算すると、0.12secとなった。この計算結果からも、本実施形態によればエアの排出時間tbを比較例のような構造に比べて確実に短縮できることがわかる。その結果、回転ガントリー3の緊急停止角度を低減することができる。
【0043】
(iii)動作遅れ時間の短縮による緊急停止角度の低減効果
本願発明者等の分析によれば、動作遅れ時間taは、ブレーキ装置31及びフレキシブルホース58内のエアを電気的に給排気制御する電磁弁32に電気信号が伝わりエアが実際に排出されるまでの時間と、例えば上記比較例の構造においては急速排気弁60がブレーキ装置31と電磁弁32とを接続する配管58’内に差圧が生じたことを感知して作動し始めるまでの時間が支配的であると考えられる。本実施形態では、ブレーキ装置31と電磁弁32とをフレキシブルホース58で直接接続し、急速排気弁60を設けない構成としたので、上記動作遅れ時間の2要因のうちの1つである急速排気弁60の作動遅れ時間を0にすることができる。これにより、比較例に比べて動作遅れ時間taを短縮することができる。その結果、緊急停止角度Tを低減することができる。
【0044】
以上の(i)(ii)(iii)が本実施形態の比較例に対する緊急停止角度低減の観点における優位点である。すなわち、図8に示したように、比較例よりも動作遅れ時間ta及びエア排出時間tbを短縮することができ、その結果、緊急停止角度Tを低減することができる。
【0045】
さらに本実施形態によれば、以下の手段によっても緊急停止角度の低減効果を得ることができる。
(iv)フレキシブルホースの採用による緊急停止角度の低減効果
本実施形態では、電磁弁32とブレーキ装置31とを接続する配管として柔軟性のあるフレキシブルホース58を採用する。これにより、例えば接続配管として鋼製パイプの配管を用いる場合に比べて屈曲部を少なくできるため、ブレーキ装置31と電磁弁14の配管長さを短くすることができる。これにより、エアの排出時間tbを短縮することができる。さらに、フレキシブルホース58を採用して屈曲部を少なくできることから、排出されるエアが屈曲部により受ける抵抗を低減することができ、これによっても排出時間tbの短縮効果を得ることができる。以上の結果、回転ガントリー3の緊急停止角度を低減することができる。
【0046】
(v)ラバーチューブを用いたことによる緊急停止角度の低減効果
本実施形態では、ブレーキ装置31に環状のラバーチューブ46を内蔵し、このラバーチューブ46内にエアを給排気することで制動力を開放及び付与する構造としている。このように、エアを供給する容器を収縮力を有するラバー性としたことにより、排気の際にはラバーチューブ46自身がもつ収縮力により排気時間の短縮に貢献することができ、これによっても排出時間tbの短縮効果を得ることができる。なお、環状のラバーチューブ46を用いることにより、ブレーキ装置31自体の動作に必要なエア容量をより小さくできるという効果をも得ることができる。
【0047】
以上(i)乃至(v)で説明したように、本実施形態によれば回転ガントリー3の緊急停止角度を大幅に低減することができる。したがって、回転ガントリー3の制動時間を短縮することができる。特に、本実施形態のガントリー胴部18のように質量の大きいシリンダー構造であっても、より短時間に制動させることができる。また、ガントリー胴部18は、略円筒形状、具体的にはシリンダー構造を有しており、剛性が向上している。このため、イオンビームの患部への照射精度が向上する。したがって、回転ガントリー3は、照射精度を良好に維持しつつ、素早く制動することができる。
【0048】
(2)騒音低減効果
本実施形態では、ブレーキ装置31の周囲を鋼板材52及び防音材53からなる防音カバー50により覆う構造としている。これにより、ブレーキ装置31の騒音、特に排気の際に大量のエアが急激にフレキシブルホース58から排出配管57に抜ける際に発生する騒音や、例えばブレーキ装置31を構成する部品が衝突もしくは振動することにより発する騒音を低減することができる。したがって、ブレーキ装置31に何もカバーを設けない上記比較例のような構造に比べ、ブレーキ装置31の騒音を大幅に低減することができる。
【0049】
また、上記(iii)で述べたように、本実施形態では比較例のように急速排気弁60を設けず、ブレーキ装置31と電磁弁32とをフレキシブルホース58で直接接続する構造としている。一般に、急速排気弁を用いた場合、ブレーキ装置を作動させるのに必要な大量のエアが排出される際に急速排気弁が絞りとなり、その通過の際に騒音を発生するが、本実施形態では急速排気弁を設けないことによりこの騒音をなくすことができる。したがって、本実施形態によれば、上記比較例の回転ガントリーと比べて、さらに騒音を低減することができる。なお、騒音低減効果を得ることのみ考慮すれば、比較例の構造にサイレンサーを設けることが考えられるが、このサイレンサーを含む構成部品がエアの排出の際に抵抗となるために、エアの排出時間tbの増大につながり、好ましくない。
【0050】
以上が本実施形態の比較例に対する騒音低減の観点における優位点である。
さらに本実施形態によれば、以下の特徴によっても騒音低減効果を得ることができる。
【0051】
すなわち本実施形態では、上記(1)の(iv)で述べたように、電磁弁32とブレーキ装置31とを接続する配管として柔軟性のあるフレキシブルホース58を採用したことにより、例えば鋼製パイプの配管を用いる場合に比べて屈曲部を少なくできる。これにより、エアが配管の屈曲部にあたって発生する騒音についても低減することができる。これによっても騒音低減効果を得ることができる。
【0052】
以上説明した騒音低減効果により、本実施形態の回転ガントリー3によれば、騒音による患者に与える不快感を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の好適な一実施形態である粒子線治療装置の全体構造を表す図である。
【図2】図1に示す粒子線治療装置に備えられた回転ガントリーの全体構造を表す側面図である。
【図3】図2の回転ガントリーをリア側から見た正面図である。
【図4】医療技師がペンダントスイッチを操作する様子を示す、回転ガントリーの側面図である。
【図5】医療技師がペンダントスイッチを操作する様子を示す、回転ガントリーをリア側から見た正面図である。
【図6】ブレーキ装置及び電磁弁の詳細構造を一部断面で表す部分断面図である。
【図7】比較例の構造を本実施形態と比較しつつ示す、ブレーキ装置及び電磁弁近傍の側面図及び正面図である。
【図8】回転ガントリーの緊急停止角度の定義を表す図である。
【図9】排出配管のサイズ検討の際に作成した比較例と本実施形態の系統モデルを表す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 粒子線治療装置
3 回転ガントリー
16 治療ケージ(治療室)
18 ガントリー胴部
19 フロントリング(リング部材)
20 リアリング(リング部材)
22 サポートローラ(ローラ)
24 支持装置(台座)
25 リンクフレーム(ローラ支持部材)
26 ブラケット
27 親リンク部材
28 子リンク部材
31 ブレーキ装置
32 電磁弁
42 ギヤ(歯車部材)
45 バネ
46 ラバーチューブ(エア袋)
50 防音カバー(カバー部)
52 鋼板材(補強部材)
53 防音材
55 電磁弁支持部材(支持部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガントリー胴部と、
前記ガントリー胴部の軸方向両側にそれぞれ設けたリング部材と、
前記両方のリング部材をそれぞれ回転自在に支持する複数のローラと、
前記複数のローラを支持するローラ支持部材と、
前記複数のローラのうちの少なくとも1つのローラに接続され、エアが供給されると前記ローラに対する制動力を開放し、エアが排出されると前記ローラに対し制動力を付与するブレーキ装置と、
閉じることにより前記ブレーキ装置に供給されたエアを封入し、開くことにより前記ブレーキ装置からエアを排出する電磁弁と、
前記ローラ支持部材に設けられ、前記電磁弁を支持する電磁弁支持部材とを備えたことを特徴とする粒子線治療装置の回転ガントリー。
【請求項2】
前記ローラ支持部材に設けられ前記電磁弁を覆うカバー部と、前記カバー部に設けられ前記電磁弁を支持する支持部とを有する前記電磁弁支持部材を備えたことを特徴とする請求項1記載の粒子線治療装置の回転ガントリー。
【請求項3】
前記電磁弁を覆うように設けた防音材と、前記防音材を覆って前記支持部が固定される補強部材とを有する前記カバー部を備えたことを特徴とする請求項2記載の粒子線治療装置の回転ガントリー。
【請求項4】
台座に設けたブラケットに対し回動可能に設けた親リンク部材、及び前記親リンク部材に対して回動可能に設けた2つの子リンク部材を含むリンクフレームを有する前記ローラ支持部材を備え、前記電磁弁支持部材は前記子リンク部材に設けられたことを特徴とする請求項1記載の粒子線治療装置の回転ガントリー。
【請求項5】
押圧されることにより前記少なくとも1つのローラのローラ軸に制動力を付与する歯車部材と、前記歯車部材を押圧するバネと、エアを供給されることにより前記バネによる前記歯車部材への押圧力を開放するエア袋とを有する前記ブレーキ装置を備えたことを特徴とする請求項1記載の粒子線治療装置の回転ガントリー。
【請求項6】
前記エア袋は収縮力を有する材料で構成されていることを特徴とする請求項5記載の粒子線治療装置の回転ガントリー。
【請求項7】
前記ブレーキ装置と前記電磁弁とは、弁装置を介さずに接続されていることを特徴とする請求項1記載の粒子線治療装置の回転ガントリー。
【請求項8】
前記ブレーキ装置と前記電磁弁とは、柔軟性を有する材料で構成された配管により接続されていることを特徴とする請求項7記載の粒子線治療装置の回転ガントリー。
【請求項9】
荷電粒子ビームを照射する治療室を有する粒子線治療装置の回転ガントリーにおいて、
ガントリー胴部と、
前記ガントリー胴部の軸方向両側にそれぞれ設けたリング部材と、
前記両方のリング部材を回転自在に支持する複数のローラと、
前記複数のローラを支持するローラ支持部材と、
前記複数のローラのうちの少なくとも1つのローラに接続され、エアが供給されると前記ローラに対する制動力を開放し、エアが排出されると前記ローラに対し制動力を付与するブレーキ装置と、
閉じることにより前記ブレーキ装置に供給されたエアを封入し、開くことにより前記ブレーキ装置からエアを排出する電磁弁と、
前記ローラ支持部材に設けられ、前記電磁弁を支持する電磁弁支持部材とを備えたことを特徴とする粒子線治療装置の回転ガントリー。
【請求項10】
ガントリー胴部と、
前記ガントリー胴部の軸方向両側にそれぞれ設けたリング部材と、
前記両方のリング部材を回転自在に支持する複数のローラと、
前記複数のローラを支持するローラ支持部材と、
前記複数のローラのうちの少なくとも一つのローラに接続され、エアが供給されると前記ローラに対する制動力を開放し、エアが排出されると前記ローラに対し制動力を付与するブレーキ装置と、
前記ブレーキ装置の近傍に設けられ、閉じることにより前記ブレーキ装置に供給されたエアを封入し、開くことにより前記ブレーキ装置からエアを排出する電磁弁とを備えたことを特徴とする粒子線治療装置の回転ガントリー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−230721(P2006−230721A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−50062(P2005−50062)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(390006127)日立設備エンジニアリング株式会社 (12)
【Fターム(参考)】