説明

放射線治療装置制御装置および放射線照射方法

【課題】被検体の一部分をより確実に照射し、かつ、その被検体に照射される放射線の線量をより低減させる治療用放射線照射装置を提供する。
【解決手段】被検体の一部分に治療用放射線を照射する治療用放射線照射装置と、被検体を透過する放射線を用いないで被検体の運動を検出する運動検出装置と、被検体に対して治療用放射線照射装置を移動させる駆動装置とを備えている放射線治療装置を制御する放射線治療装置制御装置2は、運動集合を位置集合に対応付ける患部位置データベース51と、運動を運動検出装置4から収集する運動収集部61と、位置集合のうちの運動に対応する位置に治療用放射線が照射されるように治療用放射線照射装置を移動させる照射位置制御部62とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線治療装置制御装置および放射線照射方法に関し、特に、患部に放射線を照射することにより患者を治療するときに利用される放射線治療装置制御装置および放射線照射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患部(腫瘍)に放射線を照射することにより患者を治療する放射線治療が知られている。その放射線治療は、治療効果が高いことが望まれ、その放射線は、患部の細胞に照射される線量に比較して、正常な細胞に照射される線量がより小さいことが望まれている。診断用のX線を照射して撮像される透過画像に基づいて患部の位置を追尾し、その位置に治療用の放射線を照射する放射線治療装置が知られている。その診断用のX線は、患者に照射される線量がより小さいことが望まれている。
【0003】
特許第3746747号公報には、放射線の照射治療中においても、リアルタイムに治療野の状態をモニタすることが可能な放射線治療装置が開示されている。その放射線治療装置は、被検体の治療野へ治療用放射線を照射する放射線照射ヘッドと、前記被検体の前記治療野に診断用X線を照射するX線源と、前記被検体を透過した前記診断用X線の透過X線を検出して、診断画像データとして出力するセンサアレイと、を具備し、前記センサアレイは、前記放射線照射ヘッドの移動に連動して動く。
【0004】
特開2004−121406号公報には、放射線の照射対象を放射線照射範囲内に容易に位置決めすることのできる放射線治療装置が開示されている。その放射線治療装置は、放射線とレーザ光線とを同軸に出射する放射線発生装置と、前記放射線と前記レーザ光線が同軸に出射される照射軸が1点で交わるようにアイソセンタを中心に所定の半径の軌道に沿って前記放射線発生装置を移動させるガイドと、前記アイソセンタを通る傾倒軸を中心に前記ガイドを回転させる支持部材と、互いに交差する2つの回動軸で前記放射線発生装置を枢支して前記ガイドに沿って移動する可動部材と、前記アイソセンタとこの近傍に配置される前記放射線の照射対象とを含む範囲の透視画像の情報を検出する検出器と、前記検出器が複数の方位でそれぞれ検出した複数の前記透視画像の情報と前記アイソセンタに対して前記透視画像を検出した方位の情報とを基に前記アイソセンタの位置と前記照射対象の位置との相対位置関係を演算する解析装置と、前記相対位置関係を基に前記放射線発生装置を移動させる制御装置とを備えることを特徴としている。
【0005】
特許第3053389号公報には、体幹部内で動き回る腫瘍の位置を実時間で、かつ自動的に算出し、機構系の絶対精度に依存せずに実質必要な精度を確保することができる動体追跡照射装置が開示されている。その動体追跡照射装置は、腫瘍に治療ビームを照射するライナックと、腫瘍近傍に埋め込まれた腫瘍マーカと、前記腫瘍マーカを第1の方向から撮像する第1のX線透視装置と、前記腫瘍マーカを第2の方向から前記第1のX線透視装置と同時に撮像する第2のX線透視装置と、前記第1及び第2のX線透視装置から出力される第1及び第2の透視映像をデジタイズする第1及び第2の画像入力部と、前記第1及び第2の画像入力部によってデジタイズされた画像情報に予め登録された腫瘍マーカのテンプレート画像を作用させた濃淡正規化相互相関法によるテンプレートマッチングを所定フレームレートの実時間レベルで実行し、前記腫瘍マーカの第1及び第2の2次元座標を求める第1及び第2の認識処理部と、前記第1及び第2の認識処理部で算出された第1及び第2の2次元座標より前記腫瘍マーカの3次元座標を計算する中央演算処理部と、前記求めた腫瘍マーカの3次元座標により前記ライナックの治療ビーム照射を制御する照射制御部とを備えたことを特徴としている。
【0006】
特許第3432268号公報には、放射線治療を行うときに被検体の体動に因る照射計画の精度低下を解消することができる放射線治療システムが開示されている。その放射線治療システムは、放射線を被検体に照射して放射線治療を行う放射線治療システムにおいて、前記被検体のCT画像の取得と並行して検出される当該被検体の体動変化に応じた生体データと前記CT画像との両位相を対応付ける位相特定手段と、この位相特定手段により前記生体データの位相に対応付けられる前記CT画像に基づき、前記放射線の照射野を調整するためのコリメータの開閉データを含む治療計画データを作成する計画データ作成手段と、前記CT画像の位相に対応付けられた前記生体データと前記放射線治療を行うときに得られる前記被検体の体動変化に応じた生体データとの間の相関性を判定する判定手段と、この判定手段により判定結果に応じて前記開閉データに基づく前記コリメータの開閉制御を行うコリメータ制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0007】
特許第3326597号公報には、PSDを活用して生体の呼吸位相を簡単に精度良く安定して検出しこの検出信号を種々の機器の制御信号に変換して送出し得る呼吸同期制御装置が開示されている。その呼吸同期制御装置は、呼吸と連動する生体表皮の変動に対応して光源の位置あるいは光線の方向が変動する光源部と、この光源部からの光を前記生体表皮の変動位置信号として受光してこれを前記呼吸の周期位相に対応した電気信号に変換する半導体位置検出素子と、この電気信号を基に他の被制御機器の作動制御信号を送出する制御回路を含むことを特徴としている。
【0008】
【特許文献1】特許第3746747号公報
【特許文献2】特開2004−121406号公報
【特許文献3】特許第3053389号公報
【特許文献4】特許第3432268号公報
【特許文献5】特許第3326597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、運動する被検体の一部分に放射線をより確実に照射する放射線治療装置制御装置および放射線照射方法を提供することにある。
本発明の他の課題は、透過画像に撮像されにくく運動する被検体の一部分に放射線をより確実に照射する放射線治療装置制御装置および放射線照射方法を提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、運動する被検体の一部分をより確実に照射し、かつ、その被検体に照射される放射線の線量をより低減させる放射線治療装置制御装置および放射線照射方法を提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、透過画像に撮像されにくく運動する被検体の一部分に放射線をより確実に照射し、かつ、その被検体に照射される放射線の線量をより低減させる放射線治療装置制御装置および放射線照射方法を提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、運動する被検体の一部分に放射線を照射する放射線治療装置の規模を低減する放射線治療装置制御装置および放射線照射方法を提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、運動する被検体の一部分に放射線を照射するための放射線治療システムの規模を低減する放射線治療装置制御装置および放射線照射方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下に、発明を実施するための最良の形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための最良の形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0011】
本発明による放射線治療装置制御装置(2)は、被検体(43)の一部分に治療用放射線(23)を照射する治療用放射線照射装置(16)と、被検体(43)の運動を検出する運動検出装置(4、16、24、25、31、32、33)と、被検体(43)に対して治療用放射線照射装置(16)を移動させる駆動装置(11、15、42)とを備えている放射線治療装置(3)を制御する。本発明による放射線治療装置制御装置(2)は、運動集合(73、74、75、76)を位置集合(78)に対応付ける患部位置データベース(51)と、運動を運動検出装置(4、16、24、25、31、32、33)から収集する運動収集部(61、57)と、位置集合(78)のうちの運動に対応する位置に治療用放射線(23)が照射されるように、駆動装置(11、15、42)を用いて治療用放射線照射装置(16)を移動させる照射位置制御部(62)とを備えていることが好ましい。たとえば、放射線治療装置制御装置(2)は、被検体(43)の一部分に連動して運動する部位に埋め込まれたランドマークの運動に対応する位置に治療用放射線(23)が照射されるように、駆動装置(11、15、42)を用いて治療用放射線照射装置(16)を移動させる。または、放射線治療装置制御装置(2)は、被検体(43)の一部分の運動に連動する他の運動(たとえば、呼吸、心拍、寝返り)に対応する位置に治療用放射線(23)が照射されるように、駆動装置(11、15、42)を用いて治療用放射線照射装置(16)を移動させる。このような動作によれば、被検体(43)の一部分が透過画像に撮像されにくい場合であっても、被検体(43)の一部分の位置を同定することができ、被検体(43)の一部分に治療用放射線(23)を確実に照射することができる。
【0012】
その運動は、被検体(43)を透過する放射線を用いないで検出される測定値を示している。このとき、放射線治療装置制御装置(2)は、被検体(43)を透過する放射線で撮像される透過画像に基づいてその一部分を同定することより、被検体(43)に照射される放射線の線量を低減させることができ、好ましい。その測定値は、被検体(43)が呼吸するときに変化する変化量を示していることが好ましい。その測定値は、被検体(43)が備えている心臓が拍動するときに変化する変化量を示していることが好ましい。その測定値は、被検体(43)の血圧を示していることが好ましい。運動検出装置(4、16、24、25、31、32、33)は、被検体(43)を画像に撮像するカメラを含んでいる。このとき、測定値は、被検体(43)の一部が画像に映し出される位置を示していることが好ましい。その測定値は、被検体(43)に関する複数の変化量を示していることが好ましい。
【0013】
その運動は、放射線治療装置(3)が備えるイメージャ(16、24、25、31、32、33)を用いて被検体(43)を透過した放射線により撮像される透過画像に被検体(43)の内部に配置されるランドマークが映し出されるランドマーク位置を示していることが好ましい。照射位置制御部(62)は、そのランドマークを被検体(43)の一部分に連動して運動する部位に埋め込んだときに、患部位置データベース(51)を参照して、位置集合のうちのランドマーク位置に更に対応する位置に治療用放射線(23)が照射されるように、駆動装置(11、15、42)を用いて治療用放射線照射装置(16)を移動させる。このような動作は、被検体(43)の一部分が透過画像に撮像されにくい場合であっても、被検体(43)の一部分の位置を同定することができ、被検体(43)の一部分に治療用放射線(23)を確実に照射することができる。このような動作は、被検体(43)を透過する放射線を用いないで検出される測定値にさらに基づいて被検体(43)の一部分の位置を同定するときに、被検体(43)の一部分に治療用放射線(23)をより確実に照射することができる。
【0014】
患部位置データベース(51)は、平均変化率集合を位置集合(78)にさらに対応付けている。このとき、照射位置制御部(62)は、位置集合(78)のうちのさらに運動の平均変化率に対応する位置に治療用放射線(23)が照射されるように、駆動装置(11、15、42)を用いて治療用放射線照射装置(16)を移動させることが好ましい。その時間区間は、その運動が測定された2つの時刻の間を示している。
【0015】
照射位置制御部(62)は、運動が所定範囲に含まれないときに、治療用放射線照射装置(16)が治療用放射線(23)を放射することを停止させることが好ましい。
【0016】
本発明による放射線治療装置制御装置(2)は、放射線治療装置(3)が備えている出力装置(7)に呼吸に関する指示を出力させる出力装置制御部(60)をさらに備えていることが好ましい。
【0017】
本発明による放射線治療装置制御装置(2)は、放射線治療装置(3)と別個に設けられる3次元撮像装置(5)により生成される被検体(43)の3次元データの変化と、運動検出装置(4、16、24、25、31、32、33)により検出される運動の変化とに基づいて患部位置データベース(51)を作成する患部位置テーブル作成部(54)をさらに備えていることが好ましい。
【0018】
本発明による放射線治療装置制御装置(2)は、放射線治療装置(3)が備えているイメージャ(16、24、25、31、32、33)を用いて被検体(43)を透過する透過放射線により撮影された画像を用いて生成される被検体(43)の3次元データの変化と、運動検出装置(4、16、24、25、31、32、33)により検出される運動の変化とに基づいて患部位置データベース(51)を作成する患部位置テーブル作成部(54)をさらに備えていることが好ましい。その透過放射線は、治療用放射線(23)が被検体(43)を透過することにより生成されることが好ましい。このとき、その3次元データの変化を生成するための装置を放射線治療装置(3)と別個に設ける必要がなく、放射線治療システム(1)の規模を低減することができ、コストを低減し、設置するスペースを低減することができる。
【0019】
本発明による放射線治療装置制御装置(2)は、治療用放射線(23)を放射する治療用放射線照射装置(16)と、被検体(43)の運動を検出する運動検出装置(4、16、24、25、31、32、33)と、被検体(43)に対して治療用放射線照射装置(16)を移動させる駆動装置(11、15、42)とを備える放射線治療装置(3)を制御する。本発明による放射線治療装置制御装置(2)は、平均変化率集合(73、74、75、76、79)を位置集合(78)に対応付ける患部位置データベース(51)と、運動を運動検出装置(4、16、24、25、31、32、33)から収集する運動収集部(61、57)と、位置集合(78)のうちの運動の平均変化率に対応する位置に治療用放射線(23)が照射されるように、駆動装置(11、15、42)を用いて治療用放射線照射装置(16)を移動させる照射位置制御部(62)とを備えていることが好ましい。
【0020】
本発明による放射線治療装置制御装置(2)は、治療用放射線(23)を放射する治療用放射線照射装置(16)と、被検体(43)の運動を検出する運動検出装置(4、16、24、25、31、32、33)とを備える放射線治療装置(3)を制御する。本発明による放射線治療装置制御装置(2)は、平均変化率集合(73、74、75、76)を位置集合(78)に対応付ける患部位置データベース(51)と、運動を運動検出装置(4、16、24、25、31、32、33)から収集する運動収集部(61、57)と、位置集合(73、74、75、76、79)のうちの運動の平均変化率に対応する位置が所定の範囲に含まれるときに治療用放射線照射装置(16)を用いて治療用放射線(23)を放射させる治療用放射線照射部(63)とを備えていることが好ましい。
【0021】
本発明による放射線治療システム(1)は、本発明による放射線治療装置制御装置(2)と、放射線治療装置(3)とを備えていることが好ましい。
【0022】
本発明による放射線照射方法は、被検体(43)の一部分に治療用放射線(23)を照射する治療用放射線照射装置(16)と、被検体(43)の運動を検出する運動検出装置(4、16、24、25、31、32、33)と、被検体(43)に対して治療用放射線照射装置(16)を移動させる駆動装置(11、15、42)とを備えている放射線治療装置(3)を制御する放射線照射方法である。本発明による放射線照射方法は、運動を運動検出装置(4、16、24、25、31、32、33)から収集するステップと、運動集合(73、74、75、76)を位置集合(78)に対応付ける患部位置データベース(51)を参照して、位置集合(78)のうちの運動に対応する位置に治療用放射線(23)が照射されるように、駆動装置(11、15、42)を用いて治療用放射線照射装置(16)を移動させるステップとを備えていることが好ましい。たとえば、本発明による放射線照射方法は、被検体(43)の一部分に連動して運動する部位に埋め込まれたランドマークの運動に対応する位置に治療用放射線(23)が照射されるように、駆動装置(11、15、42)を用いて治療用放射線照射装置(16)を移動させる。または、本発明による放射線照射方法は、被検体(43)の一部分の運動に連動する他の運動(たとえば、呼吸、心拍、寝返り)運動に対応する位置に治療用放射線(23)が照射されるように、駆動装置(11、15、42)を用いて治療用放射線照射装置(16)を移動させる。このような動作によれば、被検体(43)の一部分が透過画像に撮像されにくい場合であっても、被検体(43)の一部分の位置を同定することができ、被検体(43)の一部分に治療用放射線(23)を確実に照射することができる。
【0023】
その運動は、被検体(43)を透過する放射線を用いないで検出される測定値を示している。その測定値は、被検体(43)が呼吸するときに変化する変化量を示していることが好ましい。その測定値は、被検体(43)が備えている心臓が拍動するときに変化する変化量を示していることが好ましい。その測定値は、被検体(43)の血圧を示していることが好ましい。運動検出装置(4、16、24、25、31、32、33)は、被検体(43)を画像に撮像するカメラを含んでいる。このとき、測定値は、被検体(43)の一部が画像に映し出される位置を示していることが好ましい。その測定値は、被検体(43)に関する複数の変化量を示していることが好ましい。
【0024】
その運動は、放射線治療装置(3)が備えるイメージャ(16、24、25、31、32、33)を用いて被検体(43)を透過した放射線により撮像される透過画像に被検体(43)の内部に配置されるランドマークが映し出されるランドマーク位置を示していることが好ましい。治療用放射線照射装置(16)は、そのランドマークを被検体(43)の一部分に連動して運動する部位に埋め込んだときに、患部位置データベース(51)を参照して、位置集合のうちのランドマーク位置に更に対応する位置に治療用放射線(23)が照射されるように、駆動装置(11、15、42)を用いて移動される。このような動作は、被検体(43)の一部分が透過画像に撮像されにくい場合であっても、被検体(43)の一部分の位置を同定することができ、被検体(43)の一部分に治療用放射線(23)を確実に照射することができる。このような動作は、被検体(43)を透過する放射線を用いないで検出される測定値にさらに基づいて被検体(43)の一部分の位置を同定するときに、被検体(43)の一部分に治療用放射線(23)をより確実に照射することができる。
【0025】
患部位置データベース(51)は、平均変化率集合を位置集合(78)にさらに対応付けている。このとき、その位置は、運動の平均変化率にさらに対応していることが好ましい。
【0026】
本発明による放射線照射方法は、運動が所定範囲に含まれないときに、治療用放射線照射装置(16)が治療用放射線(23)を放射することを停止させるステップをさらに備えていることが好ましい。
【0027】
本発明による放射線照射方法は、放射線治療装置(3)が備えている出力装置(7)に呼吸に関する指示を出力させるステップをさらに備えていることが好ましい。
【0028】
本発明による放射線照射方法は、放射線治療装置(3)と別個に設けられる3次元撮像装置(5)により生成される被検体(43)の3次元データの変化と、運動検出装置(4、16、24、25、31、32、33)により検出される運動の変化とに基づいて患部位置データベース(51)を作成するステップをさらに備えていることが好ましい。
【0029】
本発明による放射線照射方法は、放射線治療装置(3)が備えているイメージャ(16、24、25、31、32、33)を用いて被検体(43)を透過する透過放射線により撮影された画像を用いて生成される被検体(43)の3次元データの変化と、運動検出装置(4、16、24、25、31、32、33)により検出される運動の変化とに基づいて患部位置データベース(51)を作成するステップをさらに備えていることが好ましい。。その透過放射線は、治療用放射線(23)が被検体(43)を透過することにより生成されることが好ましい。このとき、その3次元データの変化を生成するための装置を放射線治療装置(3)と別個に設ける必要がなく、放射線治療システム(1)の規模を低減することができ、コストを低減し、設置するスペースを低減することができる。
【0030】
本発明による放射線照射方法は、治療用放射線(23)を放射する治療用放射線照射装置(16)と、被検体(43)の運動を検出する運動検出装置(4、16、24、25、31、32、33)と、被検体(43)に対して治療用放射線照射装置(16)を移動させる駆動装置(11、15、42)とを備える放射線治療装置(3)を制御する。本発明による放射線照射方法は、運動を運動検出装置(4、16、24、25、31、32、33)から収集するステップと、平均変化率集合(73、74、75、76、79)を位置集合(78)に対応付ける患部位置データベース(51)を参照して、位置集合(78)のうちの運動の平均変化率に対応する位置に治療用放射線(23)が照射されるように、駆動装置(11、15、42)を用いて治療用放射線照射装置(16)を移動させるステップとを備えていることが好ましい。
【0031】
本発明による放射線照射方法は、治療用放射線(23)を放射する治療用放射線照射装置(16)と、被検体(43)の運動を検出する運動検出装置(4、16、24、25、31、32、33)とを備える放射線治療装置(3)を制御する。本発明による放射線照射方法は、運動を運動検出装置(4、16、24、25、31、32、33)から収集するステップと、平均変化率集合(73、74、75、76)を位置集合(78)に対応付ける患部位置データベース(51)を参照して、位置集合(73、74、75、76、79)のうちの運動の平均変化率に対応する位置が所定の範囲に含まれるときに治療用放射線照射装置(16)を用いて治療用放射線(23)を放射させるステップとを備えていることが好ましい。
【0032】
本発明によるコンピュータプログラムは、本発明による放射線照射方法をコンピュータ(2)に実行させることが好ましい。
【発明の効果】
【0033】
本発明による放射線治療装置制御装置および放射線照射方法は、運動する被検体の一部分に放射線をより確実に照射することができる。
本発明による放射線治療装置制御装置および放射線照射方法は、透過画像に撮像されにくく運動する被検体の一部分に放射線をより確実に照射することができる。
本発明による放射線治療装置制御装置および放射線照射方法は、運動する被検体の一部分のみをより確実に照射し、かつ、その被検体に照射される放射線の線量をより低減させることができる。
本発明による放射線治療装置制御装置および放射線照射方法は、透過画像に撮像されにくく運動する被検体の一部分に放射線をより確実に照射し、かつ、その被検体に照射される放射線の線量をより低減させることができる。
本発明による放射線治療装置制御装置および放射線照射方法は、運動する被検体の一部分に放射線を照射する放射線治療装置の規模を低減することができる。
本発明による放射線治療装置制御装置および放射線照射方法は、運動する被検体の一部分に放射線を照射するための放射線治療システムの規模を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図面を参照して、本発明による放射線治療システムの実施の形態を記載する。その放射線治療システム1は、図1に示されているように、放射線治療装置制御装置2と放射線治療装置3と運動検出装置4とCT(コンピュータ断層撮影装置)5と出力装置7とを備えている。放射線治療装置制御装置2は、パーソナルコンピュータに例示されるコンピュータである。放射線治療装置制御装置2は、双方向に情報を伝送することができるように放射線治療装置3に接続され、双方向に情報を伝送することができるように運動検出装置4とCT5と出力装置7とに接続されている。
【0035】
運動検出装置4は、人体を透過する放射線を用いないでその人体の運動を検出する装置から形成されている。その装置は、呼吸計6−1と心電図計6−2と脈拍計6−3と血圧計6−4とカメラ6−5とから形成されている。呼吸計6−1は、患者の呼吸量を測定する。その呼吸量は、患者が呼吸することにより変化する量を示し、たとえば、患者の肺に貯められる空気の量を示している。心電図計6−2は、患者の心電図を作成する装置であり、患者の心臓の活動量を測定する。脈拍計6−3は、患者の脈拍を測定する。血圧計6−4は、患者の血圧を測定する。カメラ6−5は、患者を映像に撮像する。
【0036】
CT5は、各方向からX線を人体に透過させて複数の透過画像を撮影し、その複数の透過画像をコンピュータで画像処理してその人体の断面の画像を生成し、その複数の透過画像をコンピュータで画像処理してその人体の内部の状態を示す3次元データを生成する。なお、CT5は、人体の内部の3次元の状態を測定する他の装置に置換することでき、たとえば、MRI装置に置換することができる。そのMRI装置は、核磁気共鳴を利用して人体の細胞が有する磁気を検出し、その磁気をコンピュータにより画像化し、その人体の内部の状態を示す3次元データを生成する。
【0037】
出力装置7は、その患者に見える位置に配置されるディスプレイであり、放射線治療装置制御装置2により生成される画面をその患者に認識可能に表示する。
【0038】
図2は、放射線治療装置3を示している。放射線治療装置3は、旋回駆動装置11とOリング12と走行ガントリ14と首振り機構15と治療用放射線照射装置16とを備えている。旋回駆動装置11は、回転軸17を中心に回転可能にOリング12を土台に支持し、放射線治療装置制御装置2により制御されて回転軸17を中心にOリング12を回転させる。回転軸17は、鉛直方向に平行である。Oリング12は、回転軸18を中心とするリング状に形成され、回転軸18を中心に回転可能に走行ガントリ14を支持している。回転軸18は、鉛直方向に垂直であり、回転軸17に含まれるアイソセンタ19を通る。回転軸18は、さらに、Oリング12に対して固定され、すなわち、Oリング12が回転軸18を中心に走行ガントリ14を回転させるとともに、回転軸18を中心に回転する。走行ガントリ14は、回転軸18を中心とするリング状に形成され、Oリング12のリングと同心円になるように配置されている。放射線治療装置3は、さらに、図示されていない走行駆動装置を備えている。その走行駆動装置は、放射線治療装置制御装置2により制御されて回転軸18を中心に走行ガントリ14を回転させる。
【0039】
首振り機構15は、走行ガントリ14のリングの内側に固定され、治療用放射線照射装置16を走行ガントリ14に支持している。首振り機構15は、パン軸21及びチルト軸22を有している。パン軸21は、走行ガントリ14に対して固定され、回転軸18に交差しないで回転軸18に平行である。チルト軸22は、走行ガントリ14に対して固定され、パン軸21に直交している。首振り機構15は、放射線治療装置制御装置2により制御されて、パン軸21を中心に治療用放射線照射装置16を回転させ、チルト軸22を中心に治療用放射線照射装置16を回転させる。治療用放射線照射装置16は、放射線治療装置制御装置2により制御されて、治療用放射線23を放射する。
【0040】
治療用放射線23は、このように治療用放射線照射装置16が走行ガントリ14に支持されることにより、首振り機構15で治療用放射線照射装置16がアイソセンタ19に向かうように一旦調整されると、旋回駆動装置11によりOリング12が回転し、または、その走行駆動装置により走行ガントリ14が回転しても、常に概ねアイソセンタ19を通る。
【0041】
放射線治療装置3は、さらに、複数のイメージャシステムを備えている。すなわち、放射線治療装置3は、線源駆動装置37、38と診断用X線源24、25とセンサアレイ駆動装置27、28とセンサアレイ32、33とを備えている。線源駆動装置37は、走行ガントリ14のリングの内側に固定され、診断用X線源24を走行ガントリ14に支持し、放射線治療装置制御装置2により制御されて診断用X線源24を走行ガントリ14に対して移動させる。診断用X線源24は、走行ガントリ14のリングの内側に配置され、アイソセンタ19から診断用X線源24を結ぶ線分とアイソセンタ19から治療用放射線照射装置16を結ぶ線分とがなす角が鋭角になるような位置に配置されている。診断用X線源24は、放射線治療装置制御装置2により制御されてアイソセンタ19に向けて診断用X線35を放射する。診断用X線35は、診断用X線源24が有する1点から放射され、その1点を頂点とする円錐状のコーンビームである。線源駆動装置38は、走行ガントリ14のリングの内側に固定され、診断用X線源25を走行ガントリ14に支持し、放射線治療装置制御装置2により制御されて診断用X線源24を走行ガントリ14に対して移動させる。診断用X線源25は、走行ガントリ14のリングの内側に配置され、アイソセンタ19から診断用X線源25を結ぶ線分とアイソセンタ19から治療用放射線照射装置16を結ぶ線分とがなす角が鋭角になるような位置に配置されている。診断用X線源25は、放射線治療装置制御装置2により制御されてアイソセンタ19に向けて診断用X線36を放射する。診断用X線36は、診断用X線源25が有する1点から放射され、その1点を頂点とする円錐状のコーンビームである。
【0042】
センサアレイ駆動装置27は、走行ガントリ14のリングの内側に固定され、センサアレイ32を走行ガントリ14に支持し、放射線治療装置制御装置2により制御されてセンサアレイ32を走行ガントリ14に対して移動させる。センサアレイ駆動装置28は、走行ガントリ14のリングの内側に固定され、センサアレイ33を走行ガントリ14に支持し、放射線治療装置制御装置2により制御されてセンサアレイ33を走行ガントリ14に対して移動させる。センサアレイ32は、診断用X線源24により放射されてアイソセンタ19の周辺の被写体を透過した診断用X線35を受光して、その被写体の透過画像を生成する。センサアレイ33は、診断用X線源25により放射されてアイソセンタ19の周辺の被写体を透過した診断用X線36を受光して、その被写体の透過画像を生成する。センサアレイ32、33としては、FPD(Flat Panel Detector)、X線II(Image Intensifier)が例示される。
【0043】
このようなイメージャシステムによれば、センサアレイ32、33は、それぞれ、線源駆動装置37、38により診断用X線源24、25が移動されてもセンサアレイ駆動装置27、28により適宜移動されてアイソセンタ19を中心とする透過画像を生成することができる。
【0044】
放射線治療装置3は、さらに、センサアレイ駆動装置26とセンサアレイ31とを備えている。センサアレイ駆動装置26は、走行ガントリ14のリングの内側に固定され、センサアレイ31を走行ガントリ14に支持し、放射線治療装置制御装置2により制御されてセンサアレイ31を走行ガントリ14に対して移動させる。センサアレイ31は、治療用放射線照射装置16により放射されてアイソセンタ19の周辺の被写体を透過した治療用放射線23を受光して、その被写体の透過画像を生成する。センサアレイ31としては、FPD(Flat Panel Detector)、X線II(Image Intensifier)が例示される。このとき、センサアレイ31は、首振り機構15により治療用放射線照射装置16が移動されても、センサアレイ駆動装置26により適宜移動されてアイソセンタ19を中心とする透過画像を生成することができる。
【0045】
なお、診断用X線源24は、アイソセンタ19から診断用X線源24を結ぶ線分とアイソセンタ19から治療用放射線照射装置16を結ぶ線分とがなす角が鈍角になるような位置に配置されることもできる。すなわち、センサアレイ32は、アイソセンタ19からセンサアレイ32を結ぶ線分とアイソセンタ19から治療用放射線照射装置16を結ぶ線分とがなす角が鋭角になるような位置に配置される。診断用X線源25は、アイソセンタ19から診断用X線源25を結ぶ線分とアイソセンタ19から治療用放射線照射装置16を結ぶ線分とがなす角が鈍角になるような位置に配置されることもできる。すなわち、センサアレイ33は、アイソセンタ19からセンサアレイ33を結ぶ線分とアイソセンタ19から治療用放射線照射装置16を結ぶ線分とがなす角が鋭角になるような位置に配置される。このとき、センサアレイ32、33は、治療用放射線照射装置16から放射される治療用放射線23に照射されにくく、好ましい。
【0046】
なお、線源駆動装置37、38は、それぞれ、診断用X線源24、25を治療用放射線照射装置16に支持することもできる。このとき、放射線治療装置3は、首振り機構15により治療用放射線照射装置16が移動されたときでも、治療用放射線照射装置16との相対位置が一定になり、診断用X線源24、25の位置を制御することがより容易になり、好ましい。
【0047】
放射線治療装置3は、さらに、カウチ41とカウチ駆動装置42とを備えている。カウチ41は、放射線治療システム1により治療される患者43が横臥することに利用される。カウチ41は、図示されていない固定具を備えている。その固定具は、その患者が動かないように、その患者をカウチ41に固定する。カウチ駆動装置42は、カウチ41を土台に支持し、放射線治療装置制御装置2により制御されてカウチ41を移動させる。
【0048】
図3は、放射線治療装置制御装置2を示している。放射線治療装置制御装置2は、コンピュータであり、図示されていないCPUと記憶装置と入力装置と出力装置とインターフェースとを備えている。そのCPUは、放射線治療装置制御装置2にインストールされるコンピュータプログラムを実行して、その記憶装置と入力装置と出力装置とを制御する。その記憶装置は、そのコンピュータプログラムを記録し、そのCPUに利用される情報を記録し、そのCPUにより生成される情報を記録する。その入力装置は、ユーザに操作されることにより生成される情報をそのCPUに出力する。その入力装置としては、キーボード、マウスが例示される。その出力装置は、そのCPUにより生成された情報をユーザに認識可能に出力する。その出力装置としては、ディスプレイが例示される。そのインターフェースは、放射線治療装置制御装置2に接続される外部機器により生成される情報をそのCPUに出力し、そのCPUにより生成された情報をその外部機器に出力する。
【0049】
放射線治療装置制御装置2は、コンピュータプログラムである患部位置データベース51と3次元データ収集部52と治療計画部53と患部位置テーブル作成部54とイメージャ位置制御部55とDRR画像作成部56と透過画像作成部57と参照画像作成部58と患部位置制御部59と出力装置制御部60と運動収集部61と照射位置制御部62と治療用放射線照射部63とを備えている。
【0050】
患部位置データベース51は、患者の運動と患部の位置との関係を示す患部位置テーブルを他のコンピュータプログラムにより検索可能に、かつ、変更可能に記憶装置に記録する。
【0051】
3次元データ収集部52は、CT5により生成された患者43の患部とその患部の周辺の臓器と位置関係を示す3次元データをCT5から収集して、その3次元データを患者43の識別情報に対応付けて記憶装置に記録する。なお、3次元データ収集部52は、各方向からX線を患者43に透過させて撮影された複数の透過画像をCT5から収集し、その複数の透過画像をコンピュータで画像処理して患者43の断面の画像を生成し、その複数の透過画像をコンピュータで画像処理して患者43の内部の状態を示す3次元データを生成することもできる。
【0052】
治療計画部53は、3次元データ収集部52により収集された3次元データとユーザ(医者)により入力された情報とに基づいて、治療計画を作成して、その治療計画を患者43の識別情報に対応付けて記憶装置に記録する。その治療計画は、患者43の患部に治療用放射線23を照射する照射角度と、その各照射角度から照射する治療用放射線23の線量および性状とを示している。その治療計画は、さらに、治療用放射線23を各照射角度から照射するときに、診断用X線35、36が患者43を透過して撮像される透過画像が患者43の患部をより詳細に映し出すような診断用X線35、36を照射する撮像角度を示している。なお、その撮像角度は、その治療計画が示さなくてもよく、その治療計画と別途に放射線治療装置制御装置2に入力されることもできる。このとき、その撮像角度は、その医者と異なるユーザにより決定されてもよい。
【0053】
イメージャ位置制御部55は、治療計画部53により作成された治療計画により示される撮像角度で診断用X線35が患者43に照射されるように、線源駆動装置37を制御して診断用X線源24を移動させ、診断用X線35による透過画像が患者43の患部を中心に映し出すように、センサアレイ駆動装置27を制御してセンサアレイ32を移動させる。イメージャ位置制御部55は、さらに、その治療計画により示される撮像角度で診断用X線36が患者43に照射されるように、線源駆動装置38を制御して診断用X線源25を移動させ、診断用X線36による透過画像が患者43の患部を中心に映し出すように、センサアレイ駆動装置28を制御してセンサアレイ33を移動させる。イメージャ位置制御部53は、さらに、その撮像角度で診断用X線36が患者43に照射されるように、線源駆動装置38を制御して診断用X線源25を移動させ、診断用X線36による透過画像が患者43の患部を中心に映し出すように、センサアレイ駆動装置28を制御してセンサアレイ33を移動させる。イメージャ位置制御部53は、さらに、その治療計画が示す撮像角度で治療用放射線23が患者43に照射されるように、首振り機構15を制御して治療用放射線照射装置16を移動させ、治療用放射線23による透過画像が患者43の患部を中心に映し出すように、センサアレイ駆動装置26を制御してセンサアレイ31を移動させる。
【0054】
DRR画像作成部56は、3次元データ収集部52により収集された3次元データに基づいて、DRR画像を算出して、そのDRR画像を患者43の識別情報に対応付けて記憶装置に記録する。そのDRR画像は、治療計画部53により作成された治療計画により示される撮像角度からX線を透過したときに撮像される2次元画像を示している。DRR画像作成部56は、さらに、ユーザ(医者)により入力された情報に基づいて、そのDRR画像における患者43の特徴点が映し出される位置に印を付加する。
【0055】
透過画像作成部57は、診断用X線源24を用いて診断用X線35を放射し、センサアレイ32を用いて診断用X線35に基づいて生成される患者43の透過画像を撮像する。透過画像作成部57は、さらに、診断用X線源25を用いて診断用X線36を放射し、センサアレイ33を用いて診断用X線36に基づいて生成される患者43の透過画像を撮像する。透過画像撮像部57は、さらに、その透過画像を患者43の識別情報に対応付けて記憶装置に記録する。このように撮像された複数の透過画像によれば、患者43の特徴点の3次元位置を算出することができる。その特徴点としては、患者43の内臓のうちの透過画像に写りやすい部位(骨など)、患者43の患部に連動して動く部位に埋め込まれた金マーカが例示される。なお、透過画像作成部57は、さらに、治療用放射線照射装置16を用いて治療用放射線23を放射し、センサアレイ31を用いて治療用放射線23に基づいて生成される患者43の透過画像を撮像することができる。治療用放射線23による透過画像をさらに用いることによれば、患者43の特徴点の3次元位置をより高精度に算出することができる。なお、透過画像撮像部57は、診断用X線35、36のうちの1つのX線による透過画像と治療用放射線23による透過画像とだけを撮像することもできる。このときも、この2つの透過画像を用いて患者43の特徴点の3次元位置を算出することができる。なお、透過画像撮像部57は、診断用X線35、36と治療用放射線23とのうちの1つのX線による透過画像だけを撮像することもできる。このとき、患者43の特徴点の3次元位置を算出することができない。
【0056】
参照画像作成部58は、透過画像作成部57により撮像された透過画像を記憶装置から収集し、その透過画像に基づいて参照画像を作成する。その参照画像に作成される基となる透過画像は、その参照画像を用いて実行される治療動作より過去に撮像された透過画像であり、たとえば、以前の治療動作で患者43の患部が治療用放射線23に照射されるように配置されたときに透過画像作成部57により撮像された撮像された透過画像である。参照画像作成部58は、さらに、ユーザ(医者)により入力された情報に基づいて、その参照画像のうちの患者43の特徴点が映し出される位置に印を付加する。
【0057】
患部位置制御部59は、透過画像作成部57により撮像される透過画像とDRR画像作成部56により生成されたDRR画像とを比較して、患者43の患部が治療用放射線23に照射されるかどうかを判別する。患部位置制御部59は、さらに、透過画像撮像部57により撮像される透過画像とDRR画像作成部56により生成されたDRR画像とを比較して、患者43の患部が治療用放射線23に照射されるようなカウチ41のカウチ位置を算出する。たとえば、そのカウチ位置は、患者43の患部がアイソセンタ19に配置されるときのカウチ41の位置である。そのカウチ位置は、そのDRR画像に付加される印の位置とその透過画像に映し出される特徴点の位置とに基づいて算出されることができる。患部位置制御部57は、カウチ駆動装置42を用いて、カウチ41をその算出された位置に移動することにより患者43を移動させる。すなわち、患部位置制御部59は、患者43の患部が治療用放射線23に照射されるようにカウチ駆動装置42を用いて患者43を移動させる。たとえば、患部位置制御部59は、透過画像作成部57により撮像される透過画像がDRR画像作成部56により生成されたDRR画像に一致するように、カウチ駆動装置42を用いて患者43を移動させる。たとえば、患部位置制御部59は、その透過画像に映し出される特徴点の位置とそのDRR画像に映し出される特徴点の位置との差異を算出する。たとえば、その差異は、その透過画像とそのDRR画像とを重ねたときに、その透過画像の特徴点に対するそのDRR画像の特徴点の方向と2つの特徴点の距離とを示している。患部位置制御部59は、その差異に基づいて患者43を移動させる方向と距離とを算出し、その方向と距離とに基づいてカウチ41を移動させる。
【0058】
患部位置制御部59は、さらに、透過画像作成部55により撮像される透過画像と参照画像作成部58により生成された参照画像とを比較して、患者43の患部が治療用放射線23に照射されるようなカウチ41のカウチ位置を算出する。そのカウチ位置は、その参照画像に付加される印の位置とその透過画像に映し出される特徴点の位置とに基づいて算出されることができる。たとえば、患者43の患部は、治療法放射線照射装置16に対するイメージャシステムの相対位置がその参照画像が撮像されたときとその透過画像が撮像されたときとで一致し、かつ、その透過画像における特徴点の位置がその参照画像における特徴点の位置に一致しているときに、治療用放射線23に照射される。患部位置制御部59は、カウチ駆動装置42を用いて、カウチ41をその算出された位置に移動することにより患者43を移動させる。すなわち、患部位置制御部59は、患者43の患部が治療用放射線23に照射されるようにカウチ41を移動させる。たとえば、患部位置制御部59は、治療用放射線照射装置16に対するイメージャシステムの位置がその参照画像が撮像されたときとその透過画像が撮像されるときとで一致している場合に、透過画像作成部57により撮像される透過画像が参照画像作成部58により生成された参照画像に一致するように、カウチ駆動装置42を用いて患者43を移動させる。たとえば、患部位置制御部59は、その透過画像に映し出される特徴点の位置とその参照画像に映し出される特徴点の位置との差異を算出する。たとえば、その差異は、その透過画像とその参照画像とを重ねたときに、その透過画像の特徴点に対するその参照画像の特徴点の方向と2つの特徴点の距離とを示している。患部位置制御部59は、その差異に基づいて患者43を移動させる方向と距離とを算出し、その方向と距離とに基づいてカウチ41を移動させる。
【0059】
なお、患部位置制御部59は、ユーザにより入力された情報に基づいてカウチ駆動装置42を用いて患者43を移動させることもできる。このとき、患部位置制御部59は、透過画像撮像部57により撮像される透過画像とDRR画像作成部56により生成されたDRR画像とをディスプレイに表示する。そのユーザは、その透過画像とそのDRR画像とを比較して、患者43を移動させる方向と距離とを放射線治療装置制御装置2に入力する。患部位置制御部59は、その入力された情報に基づいてカウチ駆動装置42を用いて患者43を移動させる。さらに、患部位置制御部59は、透過画像撮像部57により撮像される透過画像と参照画像作成部58により作成された参照画像とをディスプレイに表示する。そのユーザは、その透過画像とその参照画像とを比較して、患者43を移動させる方向と距離とを放射線治療装置制御装置2に入力する。患部位置制御部59は、その入力された情報に基づいてカウチ駆動装置42を用いて患者43を移動させる。
【0060】
なお、患部位置制御部59は、旋回駆動装置11または回転軸18を中心に走行ガントリ14を回転させる走行駆動装置または首振り機構15を用いて治療用放射線23に対する患者43の相対位置を制御することもできる。このとき、患部位置制御部59は、旋回駆動装置11またはその走行駆動装置または首振り機構15を、カウチ駆動装置42より優先して用いる。このような移動は、患者43の移動に関する負担を軽減することができ、好ましい。
【0061】
出力装置制御部60は、呼吸計6−1により測定された呼吸量を示す画面を出力装置7に表示して、所定の呼吸をすることを患者43に指示する。なお、出力装置制御部60は、患者43に要求する呼吸量を示す画面を出力装置7に表示して患者43に指示することもできる。このような指示は、患者43の呼吸の周期を一定にし、その呼吸の各周期の呼吸量の変動を少なくすることができ、好ましい。
【0062】
運動収集部61は、運動検出装置4により測定された量を運動検出装置4から収集する。すなわち、運動収集部61は、呼吸計6−1により測定された患者の呼吸量を呼吸計6−1から収集し、心電図計6−2により測定された患者の心臓の活動量を心電図計6−2から収集し、脈拍計6−3により測定された患者の脈拍を脈拍計6−3から収集し、血圧計6−4により測定された患者の血圧を血圧計6−4から収集し、カメラ6−5により撮像された患者の映像をカメラ6−5から収集する。
【0063】
患部位置テーブル作成部54は、運動収集部61により収集される量と3次元データ収集部52により収集される3次元データとに基づいて、患部位置データベース51により記録される患部位置テーブルを作成する。
【0064】
照射位置制御部62は、患部位置データベース51により記憶装置に記録される患部位置テーブルを参照して、運動収集部61により収集される量に対応する患部位置を算出し、治療用放射線23がその3次元位置を透過するように、首振り機構15を用いて治療用放射線照射装置16を移動させる。照射位置制御部62は、さらに、透過画像作成部57により撮像される透過画像に映し出される患部の位置に基づいて患部の3次元位置を算出し、治療用放射線23がその3次元位置を透過するように、首振り機構15を用いて治療用放射線照射装置16を移動させる。なお、照射位置制御部62は、治療用放射線23がその3次元位置を透過するように、旋回駆動装置11または回転軸18を中心に走行ガントリ14を回転させる走行駆動装置またはカウチ駆動装置42をさらに用いて、治療用放射線照射装置16を移動させることもできる。このとき、照射位置制御部62は、カウチ駆動装置42より、旋回駆動装置11または回転軸18を中心に走行ガントリ14を回転させる走行駆動装置または首振り機構15を優先して用いる。このような移動は、患者43の移動に関する負担を軽減することができ、好ましい。
【0065】
治療用放射線照射部63は、照射位置制御部62により治療用放射線照射装置16が移動させた後に、治療用放射線照射装置16を用いて治療用放射線23をその患部に照射する。
【0066】
なお、放射線治療装置制御装置2は、互いに双方向に情報を伝送することができるように接続される複数のコンピュータから形成されることもできる。このとき、患部位置データベース51と3次元データ収集部52と治療計画部53と患部位置テーブル作成部54とイメージャ位置制御部55とDRR画像作成部56と透過画像作成部57と参照画像作成部58と患部位置制御部59と出力装置制御部60と運動収集部61と照射位置制御部62と治療用放射線照射部63とは、それぞれ、その複数のコンピュータのうちのいずれかに備えられている。このとき、複数のユーザが別個の場所で放射線治療に関して作業することができる。たとえば、ユーザ(医者)が治療計画を作成するコンピュータと別のユーザ(技士)が放射線治療装置3を操作するコンピュータとを別個にすることができる。
【0067】
図4は、患部位置データベース51により記憶装置に記録される患部位置テーブルを示している。その患部位置テーブル71は、付随情報72を運動情報に対応付け、その運動情報を患部位置78に対応付けている。その運動情報は、呼吸量73と心筋活動量74と血圧75と外部マーカ位置76と内部マーカ位置79とから形成されている。付随情報72は、患者43と患者43の運動に関して撮影した状況とを識別し、患者43の氏名と性別と体重と生年月日とカルテ番号と対象患部名称と撮影年月日と撮影角度と撮影X線条件と経時情報とを示している。その経時情報は、治療計画用撮影時または撮影時以前の撮影時からの患部性状と患部の位置に関する情報とを示している。呼吸量73は、付随情報72により識別される患者に関して呼吸計6−1により測定される呼吸量と平均変化率との組み合わせを示している。その平均変化率は、その呼吸量が測定された2つの時刻の間の区間におけるその呼吸量の平均変化率を示している。なお、呼吸量73は、呼吸計6−1により測定される呼吸量に基づいて算出される呼吸位相をさらに示すこともできる。その呼吸位相の算出方法は、周知であり、たとえば、特許第3326597号公報に開示されている。心筋活動量74は、付随情報72により識別される患者に関して心電図計6−2により測定される活動量と平均変化率との組み合わせを示している。その平均変化率は、その活動量が測定された2つの時刻の間の区間におけるその活動量の平均変化率を示している。血圧75は、付随情報72により識別される患者に関して血圧計6−4により測定される血圧と平均変化率との組み合わせを示している。その平均変化率は、その血圧が測定された2つの時刻の間の区間におけるその血圧の平均変化率を示している。外部マーカ位置76は、付随情報72により識別される患者がカメラ6−5により映像に撮像されたときにその患者の体表面に付けられた印がその映像に映し出される位置を示す量と平均変化率との組み合わせを示している。その平均変化率は、その位置が測定された2つの時刻の間の区間におけるその位置の平均変化率を示している。内部マーカ位置79は、付随情報72により識別される患者がイメージャシステムにより映像に撮像されたときにその患者の体内のランドマークがその映像に映し出される位置を示す量とその量の平均変化率との組み合わせを示している。そのランドマークとしては、その患者の骨(肋骨)、横隔膜、膀胱、その患部と連動して運動するようにその患者の体内に埋め込まれた物体が例示される。その物体は、イメージャシステムにより検出されるものであり、金から形成される球である金マーカが例示される。その平均変化率は、その位置が測定された2つの時刻の間の区間におけるその位置の平均変化率を示している。患部位置78は、付随情報72により識別される患者が、呼吸量73と心筋活動量74と血圧75と外部マーカ位置76と内部マーカ位置79とにより示される状況を示す瞬間にその患者の患部が配置される位置を示している。
【0068】
すなわち、患部位置テーブル作成部54は、呼吸計6−1と心電図計6−2と脈拍計6−3と血圧計6−4とカメラ6−5とそのイメージャシステム(診断用X線源24、25とセンサアレイ32、33と治療用放射線照射装置16とセンサアレイ31と)とにより運動に関する複数の量がそれぞれ測定される瞬間に撮像された複数の透過画像に基づいて生成される3次元データとを対応付けて患部位置テーブル71を作成する。
【0069】
照射位置制御部62は、患部位置テーブル71を参照して、運動収集部61により収集される量とその量の平均変化率とに対応する患部位置を算出し、治療用放射線23がその3次元位置を透過するように、首振り機構15を用いて治療用放射線照射装置16を移動させる。なお、照射位置制御部62は、呼吸量73と心筋活動量74と血圧75と外部マーカ位置76と内部マーカ位置79とにより示される状況の一部を用いて治療用放射線照射装置16を移動させることもできる。さらに、照射位置制御部62は、運動検出装置4により測定される量だけを用いて治療用放射線照射装置16を移動させることもでき、または、その量の平均変化率だけを用いて治療用放射線照射装置16を移動させることもできる。
【0070】
照射位置制御部62は、さらに、ユーザにより作成される許容範囲テーブルに基づいて治療用放射線照射装置16を制御する。図5は、その許容範囲テーブル81を示している。許容範囲テーブル81は、種類82を許容範囲83に対応付けている。種類82は、運動検出装置4により検出される量の種類を識別し、呼吸量とその呼吸量の平均変化率と活動量とその活動量の平均変化率と脈拍とその脈拍の平均変化率と血圧とその血圧の平均変化率と体表面に付けられた印の位置を示す量とその量の平均変化率とのうちのいずれかを示している。許容範囲83は、種類82により識別される量が取り得る範囲を示している。
【0071】
このとき、照射位置制御部62は、許容範囲テーブル81を参照して、運動収集部61により収集される量が許容範囲を外れているときに、治療用放射線照射装置16が治療用放射線23を放射することを停止させ、運動収集部61により収集される量の平均変化率が許容範囲を外れているときに、治療用放射線照射装置16が治療用放射線23を放射することを停止させる。
【0072】
図6は、呼吸計6−1により測定される呼吸量の変化を示している。その変化85は、通常に呼吸したときの呼吸量を示し、変化86は、通常に呼吸したときの呼吸量を示している。変化85、86は、それぞれ、時間の経過ともに周期的に変化している。呼吸計6−1は、間欠的に呼吸量を測定している。すなわち、呼吸計6−1は、時刻t1に呼吸量を測定したときに、時刻t1から所定の時間だけ経過した時刻t2に呼吸量を測定する。変化85は、時刻t1で呼吸量V1を示し、時刻t2で呼吸量V2を示している。変化86は、時刻t1で呼吸量v1を示し、時刻t2で呼吸量v2を示している。このとき、変化85に関して時刻t2における呼吸量の平均変化率は、次式:
(V2−V1)÷(t2−t1)
により表現される。変化86に関して時刻t2における呼吸量の平均変化率は、次式:
(v2−v1)÷(t2−t1)
により表現される。
【0073】
患者43の患部は、呼吸量だけでなく、このような平均変化率に対応する位置に移動する。照射位置制御部62が平均変化率にも基づいて治療用放射線照射装置16を移動させることは、患者43の患部をより確実に照射することができる点で好ましい。
【0074】
図7は、出力装置7に表示される画面を示している。その画面には、長方形状のインディケータ91が表示されている。インディケータ91は、互いに合同である複数の長方形状のインディケータ92−1〜92−n(n=2,3,4,…)に分割されている。複数のインディケータ92−1〜92−nは、インディケータ91の長手方向に1列に並べられ、インディケータ91を隙間なく埋めている。複数のインディケータ92−1〜92−nは、それぞれ、呼吸量が取り得る値の範囲に対応し、その範囲は、互いに重なりがない。このとき、出力装置制御部60は、患者43に要求する呼吸量を含む範囲が1つのインディケータ92−i(i=1,2,3,…,n)に対応するときに、インディケータ92−1〜92−iを1つの色で表示し、インディケータ92−(i+1)〜92−nを他の1つの色で表示する。このような表示は、患者43に理解されやすく、好ましい。
【0075】
本発明による放射線照射方法の実施の形態は、放射線治療システム1により実行され、治療計画を作成する動作と、患部位置テーブルを作成する動作と、治療する動作とを備えている。
【0076】
その治療計画を作成する動作では、まず、ユーザは、CT5を用いて患者43の患部とその患部の周辺の部位との3次元データを採取して、その3次元データを患者43の識別情報に対応付けて記憶装置に記録する。放射線治療装置制御装置2は、CT5により生成された3次元データに基づいて、患者43の患部とその患部の周辺の臓器とを示す画像を生成する。ユーザは、放射線治療装置制御装置2を用いてその画像を閲覧し、その患部の位置を特定する。ユーザは、さらに、その画像に基づいて治療計画部53を活用して治療計画を作成し、その治療計画を放射線治療装置制御装置2に入力する。その治療計画は、患者43の患部に治療用放射線23を照射する照射角度と、その各照射角度から照射する治療用放射線23の線量および性状とを示している。その治療計画は、さらに、治療用放射線23を各照射角度から照射するときに、診断用X線35、36を照射する撮像角度を示している。その撮像角度は、診断用X線35、36が患者43を透過して撮像される透過画像が患者43の患部をより詳細に映し出すように算出される。放射線治療装置制御装置2は、その治療計画を患者43の識別情報に対応付けて記憶装置に記録する。
【0077】
患部位置テーブルを作成する動作では、ユーザは、運動検出装置4を用いて患者43の運動を測定しながら、CT5を用いて患者43の患部とその患部の周辺の部位との3次元データを採取する。放射線治療装置制御装置2は、運動検出装置4により測定される量とCT5により測定される3次元データとに基づいて、患部位置テーブル71を作成する。ユーザは、さらに、放射線治療装置3のイメージャシステムを用いて、その患者43の内部のランドマークが透過画像に映し出される位置を記録しながら、患者43の患部とその患部の周辺の部位との3次元データを採取する。ユーザは、さらに、そのランドマークとして金マーカを用いるときに、患者43の患部に連動して移動する部位にその金マーカを埋め込んだ後に、放射線治療装置3のイメージャシステムを用いて、その金マーカが透過画像に映し出される位置を記録しながら、患者43の患部とその患部の周辺の部位との3次元データを採取する。放射線治療装置制御装置2は、そのランドマークが映し出される位置とその患部の3次元データとに基づいて、患部位置テーブル71を作成する。
【0078】
その治療する動作では、まず、ユーザは、CT5または放射線治療装置3のイメージャシステムにより3次元データを採取したときと同様の姿勢に放射線治療装置3のカウチ41に患者43を固定する。放射線治療装置制御装置2は、治療計画を作成する動作で収集された3次元データに基づいて、DRR画像を算出する。そのDRR画像は、その治療計画により示される撮像角度で診断用X線35、36が照射されるときに撮像される透過画像を示している。ユーザは、放射線治療装置制御装置2を用いて、そのDRR画像に映し出される患者43の特徴点が認識することができるように、DRR画像のその特徴点が映し出されている位置に印を付加する。
【0079】
放射線治療装置制御装置2は、次いで、患者43の位置合わせ動作を実行する。すなわち、放射線治療装置制御装置2は、その治療計画により示される撮像角度で診断用X線35が患者43に照射されるように、線源駆動装置37を制御して診断用X線源24を移動させ、診断用X線35による透過画像が患者43の患部を中心に映し出すように、センサアレイ駆動装置27を制御してセンサアレイ32を移動させる。放射線治療装置制御装置2は、さらに、その治療計画により示される撮像角度で診断用X線36が患者43に照射されるように、線源駆動装置38を制御して診断用X線源25を移動させ、診断用X線36による透過画像が患者43の患部を中心に映し出すように、センサアレイ駆動装置28を制御してセンサアレイ33を移動させる。放射線治療装置制御装置2は、さらに、その治療計画が示す撮像角度で治療用放射線23が患者43に照射されるように、旋回駆動装置11または走行駆動装置を制御して治療用放射線照射装置16を移動させ、治療用放射線23による透過画像が患者43の患部を中心に映し出すように、センサアレイ駆動装置26を制御してセンサアレイ31を移動させる。
【0080】
放射線治療装置制御装置2は、診断用X線源24を用いて診断用X線35を放射し、センサアレイ32を用いて診断用X線35に基づいて生成される患者43の透過画像を撮像する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、診断用X線源25を用いて診断用X線36を放射し、センサアレイ33を用いて診断用X線36に基づいて生成される患者43の透過画像を撮像する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、治療用放射線照射装置16を用いて治療用放射線23を放射し、センサアレイ31を用いて治療用放射線23に基づいて生成される患者43の透過画像を撮像する。放射線治療装置制御装置2は、その透過画像とそのDRR画像とを比較して患者43の患部が治療用放射線23に照射されるかどうかを判別する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、その透過画像とそのDRR画像とを比較してカウチ41のカウチ位置を算出する。たとえば、放射線治療装置制御装置2は、その透過画像に映し出される特徴点の位置とそのDRR画像に映し出される特徴点の位置との差異に基づいて患者43を移動させる方向と距離とを算出し、その方向と距離とに基づいてカウチ41を移動させる。または、ユーザは、放射線治療装置制御装置2を用いて、ディスプレイを見ながらその撮像された透過画像がそのDRR画像に概ね一致するように、カウチ駆動装置42を制御して患者43を移動させる。放射線治療装置制御装置2は、その撮像画像を患者43の識別情報に対応付けて記憶装置に記録する。
【0081】
放射線治療装置制御装置2は、次いで、追尾動作と照射動作とを繰り返して実行する。その追尾動作では、放射線治療装置制御装置2は、出力装置7を用いて、所定の呼吸をするように患者43に指示する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、運動検出装置4により測定される量と放射線治療装置3のイメージャシステムにより検出されたランドマークの位置とに基づいて患部位置を算出する。たとえば、放射線治療装置制御装置2は、患部位置テーブル71を参照して、運動検出装置4により測定される量に対応する患部位置を算出し、放射線治療装置3のイメージャシステムにより検出されたランドマークの位置に対応する患部位置を算出する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、運動検出装置4により測定される量に基づいて算出される患部位置がイメージャシステムにより検出されるランドマークの位置に基づいて算出される患部位置から大きく離れているかどうかを判別する。放射線治療装置制御装置2は、その2つの患部位置の差異が小さいときに、治療用放射線23がその患部位置を透過するように、首振り機構15を用いて治療用放射線照射装置16を移動させる。放射線治療装置制御装置2は、その2つの患部位置の差異が大きいときに、放射線治療装置3のイメージャシステムにより検出されたランドマークの位置に対応する患部位置を治療用放射線23が透過するように、首振り機構15を用いて治療用放射線照射装置16を移動させる。このような追尾動作は、放射線治療装置3のイメージャシステムが患者43の患部を直接に検出し難いときにも、患部位置を算出することができる。運動検出装置4により測定される量と患部位置との対応関係は、時間の経過ともに変化し、放射線治療装置3のイメージャシステムにより検出されたランドマーク(特に金マーカ)の位置と患部位置との対応関係は、比較的変化しない。このような追尾動作は、さらに、その対応関係の経時変化により、算出される患部位置が不適切になることを防止することができる。
【0082】
または、放射線治療装置制御装置2は、その2つの患部位置の差異が大きいときに、治療する動作を停止する。このような追尾動作は、さらに、運動検出装置4と放射線治療装置3のイメージャシステムとのうちのいずれかが故障・誤作動等をしたときに、患者43の患部以外を照射することを防止することができ、好ましい。
【0083】
このとき、放射線治療装置制御装置2は、運動検出装置4の測定の頻度より低い頻度で複数のイメージャシステムにより透過画像を撮像し、その透過画像に映し出される患部の位置に基づいて患部の3次元位置を算出し、治療用放射線23がその3次元位置を透過するように首振り機構15を用いて治療用放射線照射装置16を移動させる。このような診断用X線の照射によれば、患者43の被ばく線量を低減することができる。
【0084】
なお、放射線治療装置制御装置2は、患部位置テーブル71を参照して、運動検出装置4により測定される量と放射線治療装置3のイメージャシステムにより検出されたランドマークの位置とに対応する患部位置を算出することもできる。
【0085】
その照射動作では、放射線治療装置制御装置2は、その追尾動作により治療用放射線照射装置16が移動した直後に治療用放射線照射装置16を用いて治療用放射線23をその患部に照射する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、許容範囲テーブル81を参照して、運動検出装置4により測定される量が許容範囲を外れているときに、治療用放射線照射装置16が治療用放射線23を放射することを停止させ、その量の平均変化率が許容範囲を外れているときに、治療用放射線照射装置16が治療用放射線23を放射することを停止させる。このような追尾動作と照射動作とによれば、放射線治療装置3は、患部がイメージャシステムにより検出されにくいときでもその患部を高精度に同定することができ、呼吸などで移動する患部のみをより確実に照射することができ、その結果、より高精度の治療をすることができる。
【0086】
なお、放射線治療装置制御装置2は、その追尾動作で、放射線治療装置3のイメージャシステムにより検出されたランドマークの位置を用いないで、運動検出装置4により測定される量を用いて患部位置を算出することもできる。このような放射線照射方法によれば、精度が低下するが、呼吸などで移動する患部のみを照射することができ、かつ、患者43に照射されるX線の線量を低減することができ、その結果、より高精度の治療をすることができる。ランドマークとして金マーカが用いられるときに、その金マーカの埋め込みは、患者43への侵襲的処理であり、患者43の負担になる。すなわち、金マーカを用いない放射線照射方法によれば、患者43の侵襲による負担を軽減することができる。
【0087】
なお、放射線治療装置制御装置2は、その追尾動作で、運動検出装置4により測定される量を用いないで、放射線治療装置3のイメージャシステムにより検出された金マーカの位置を用いて患部位置を算出することもできる。放射線治療装置3は、患者43に照射されるX線の線量を低減することができないが、患部がイメージャシステムにより検出されにくいときでもその患部を高精度に同定することができ、呼吸などで移動する患部のみをより確実に照射することができ、その結果、より高精度の治療をすることができる。
【0088】
本発明による放射線治療装置制御装置の実施の他の形態は、コンピュータプログラムである3次元データ作成部をさらに備えている。その3次元データ作成部は、放射線治療装置3の走行駆動装置を用いて回転軸18を中心に走行ガントリ14を回転させながら、放射線治療装置3の放射線治療装置3のイメージャシステムを用いて患者43の透過画像を撮像し、各方向からX線を人体に透過させて生成される複数の透過画像を生成する。その3次元データ作成部は、その複数の透過画像をコンピュータで画像処理してその人体の断面の画像を生成し、その人体の内部の状態を示す3次元データを生成する。このような画像処理は、周知である。
【0089】
本発明による放射線照射方法の実施の他の形態は、このような放射線治療装置制御装置が適用される放射線治療システム1により実行され、既述の放射線照射方法における治療計画を作成する動作が他の動作に置換され、患部位置テーブルを作成する動作が他の動作に置換されている。
【0090】
その治療計画を作成する動作では、まず、ユーザは、放射線治療装置3のカウチ41に患者43を固定して、放射線治療装置3のイメージャシステム(治療用放射線照射装置16とセンサアレイ31と、または、診断用X線源24とセンサアレイ32と)を用いて患者43の患部とその患部の周辺の部位との3次元データを採取する。放射線治療装置制御装置2は、その3次元データに基づいて、患者43の患部とその患部の周辺の臓器とを示す画像を生成する。ユーザは、放射線治療装置制御装置2を用いてその画像を閲覧し、その患部の位置を特定する。ユーザは、さらに、その画像に基づいて治療計画を作成し、その治療計画を放射線治療装置制御装置2に入力する。その治療計画は、患者43の患部に治療用放射線23を照射する照射角度と、その各照射角度から照射する治療用放射線23の線量および性状とを示している。その治療計画は、さらに、治療用放射線23を各照射角度から照射するときに、診断用X線35、36を照射する撮像角度を示している。
【0091】
その患部位置テーブルを作成する動作では、ユーザは、運動検出装置4を用いて患者43の運動を測定しながら、放射線治療装置3のイメージャシステム(治療用放射線照射装置16とセンサアレイ31と、または、診断用X線源24とセンサアレイ32と)を用いて患者43の患部とその患部の周辺の部位との3次元データを採取する。放射線治療装置制御装置2は、運動検出装置4により測定される量と放射線治療装置3のイメージャシステムにより測定される3次元データとに基づいて、患部位置テーブル71を作成する。
【0092】
このような放射線照射方法によれば、放射線治療システム1は、CT5を備える必要がなく、規模を小さくすることができ、より小さいスペースに設置することができ、より低コストに製造することができる。
【0093】
本発明による放射線照射方法の実施のさらに他の形態は、既述の実施の形態における治療する動作が他の動作に置換されている。
【0094】
その治療する動作では、まず、ユーザは、CT5により3次元データを採取したときと同様の姿勢に放射線治療装置3のカウチ41に患者43を固定する。放射線治療装置制御装置2は、治療計画を作成する動作で収集された3次元データに基づいて、DRR画像を算出する。そのDRR画像は、その治療計画により示される撮像角度で診断用X線35、36が照射されるときに撮像される透過画像を示している。ユーザは、放射線治療装置制御装置2を用いて、そのDRR画像に映し出される患者43の特徴点が認識することができるように、DRR画像のその特徴点が映し出されている位置に印を付加する。
【0095】
放射線治療装置制御装置2は、その治療計画により示される撮像角度で診断用X線35が患者に照射されるように、線源駆動装置37を制御して診断用X線源24を移動させ、診断用X線35による透過画像が患者43の患部を中心に映し出すように、センサアレイ駆動装置27を制御してセンサアレイ32を移動させる。放射線治療装置制御装置2は、さらに、その治療計画により示される撮像角度で診断用X線36が患者に照射されるように、線源駆動装置38を制御して診断用X線源25を移動させ、診断用X線36による透過画像が患者43の患部を中心に映し出すように、センサアレイ駆動装置28を制御してセンサアレイ33を移動させる。
【0096】
放射線治療装置制御装置2は、診断用X線源24を用いて診断用X線35を放射し、センサアレイ32を用いて診断用X線35に基づいて生成される患者43の透過画像を撮像する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、診断用X線源25を用いて診断用X線36を放射し、センサアレイ33を用いて診断用X線36に基づいて生成される患者43の透過画像を撮像する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、治療用放射線照射装置16を用いて治療用放射線23を放射し、センサアレイ31を用いて治療用放射線23に基づいて生成される患者43の透過画像を撮像する。ユーザは、放射線治療装置制御装置2を用いて、その撮像された透過画像がそのDRR画像に概ね一致するように、カウチ駆動装置42を制御して患者43を移動させる。
【0097】
放射線治療装置制御装置2は、次いで、患者43に要求する呼吸量を示す画面を出力装置7に表示して患者43に指示する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、患部位置テーブル71を参照して、運動検出装置4により測定される量に対応する患部位置を算出し、運動検出装置4により測定される量の平均変化率を算出する。放射線治療装置制御装置2は、その平均変化率が所定の範囲(たとえば、0の近傍)に含まれている期間に、治療用放射線23がその患部位置を透過するように、首振り機構15を用いて治療用放射線照射装置16を移動させて、治療用放射線照射装置16を用いて治療用放射線23をその患部に照射する。
【0098】
このような動作によれば、既述の実施の形態における治療する動作より時間がかかるが、患部は、動きが小さいときだけ治療用放射線23に照射され、放射線治療装置3は、呼吸などで移動する患部のみをより確実に照射することができ、かつ、患者43に照射されるX線の線量を低減することができ、その結果、より高精度の治療をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】図1は、放射線治療システムの実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図2は、放射線治療装置を示す斜視図である。
【図3】図3は、放射線治療装置制御装置の実施の形態を示すブロック図である。
【図4】図4は、患部位置テーブルを示す図である。
【図5】図5は、許容範囲テーブルを示す図である。
【図6】図6は、呼吸量の変化を示すグラフである。
【図7】図7は、出力装置に表示される画面を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
1 :放射線治療システム
2 :放射線治療装置制御装置
3 :放射線治療装置
4 :運動検出装置
5 :CT(コンピュータ断層撮影装置)
6−1:呼吸計
6−2:心電図計
6−3:脈拍計
6−4:血圧計
6−5:カメラ
7 :出力装置
11:旋回駆動装置
12:走行ガントリ
14:Oリング
15:首振り機構
16:治療用放射線照射装置
17:回転軸
18:回転軸
19:アイソセンタ
21:パン軸
22:チルト軸
23:治療用放射線
24:診断用X線源
25:診断用X線源
26:センサアレイ駆動装置
27:センサアレイ駆動装置
28:センサアレイ駆動装置
31:センサアレイ
32:センサアレイ
33:センサアレイ
35:診断用X線
36:診断用X線
37:線源駆動装置
38:線源駆動装置
41:カウチ
42:カウチ駆動装置
43:患者
51:患部位置データベース
52:3次元データ収集部
53:治療計画部
54:患部位置テーブル作成部
55:イメージャ位置制御部
56:DRR画像作成部
57:透過画像作成部
58:参照画像作成部
59:患部位置制御部
60:出力装置制御部
61:運動収集部
62:照射位置制御部
63:治療用放射線照射部
71:患部位置テーブル
72:付随情報
73:呼吸量
74:心筋活動量
75:血圧
76:外部マーカ位置
79:内部マーカ位置
78:患部位置
81:許容範囲テーブル
82:種類
83:許容範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の一部分に治療用放射線を照射する治療用放射線照射装置と、
前記被検体の運動を検出する運動検出装置と、
前記被検体に対して前記治療用放射線照射装置を移動させる駆動装置とを備える放射線治療装置を制御する放射線治療装置制御装置であり、
運動集合を位置集合に対応付ける患部位置データベースと、
前記運動を前記運動検出装置から収集する運動収集部と、
前記位置集合のうちの前記運動に対応する位置に前記治療用放射線が照射されるように、前記駆動装置を用いて前記治療用放射線照射装置を移動させる照射位置制御部
とを具備する放射線治療装置制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記運動は、前記被検体を透過する放射線を用いないで検出される測定値を示す
放射線治療装置制御装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記測定値は、前記被検体が呼吸するときに変化する変化量を示す
放射線治療装置制御装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3のいずれかにおいて、
前記測定値は、前記被検体が備える心臓が拍動するときに変化する変化量を示す
放射線治療装置制御装置。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれかにおいて、
前記測定値は、前記被検体の血圧を示す
放射線治療装置制御装置。
【請求項6】
請求項2〜請求項5のいずれかにおいて、
前記運動検出装置は、前記被検体を画像に撮像するカメラを含み、
前記測定値は、前記被検体の一部が前記画像に映し出される位置を示す
放射線治療装置制御装置。
【請求項7】
請求項2において、
前記測定値は、前記被検体に関する複数の変化量を示す
放射線治療装置制御装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれかにおいて、
前記運動は、前記放射線治療装置が備えるイメージャを用いて前記被検体を透過した放射線により撮像される透過画像に前記被検体の内部に配置されるランドマークが映し出されるランドマーク位置を示す
放射線治療装置制御装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれかにおいて、
前記患部位置データベースは、平均変化率集合を前記位置集合に更に対応付け、
前記照射位置制御部は、前記位置集合のうちの更に前記運動の平均変化率に対応する位置に前記治療用放射線が照射されるように、前記駆動装置を用いて前記治療用放射線照射装置を移動させる
放射線治療装置制御装置。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれかにおいて、
前記照射位置制御部は、前記運動が所定範囲に含まれないときに、前記治療用放射線照射装置が前記治療用放射線を放射することを停止させる
放射線治療装置制御装置。
【請求項11】
請求項1〜請求項10のいずれかにおいて、
前記放射線治療装置が備える出力装置に呼吸に関する指示を出力させる出力装置制御部
を更に具備する放射線治療装置制御装置。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のいずれかにおいて、
前記放射線治療装置と別個に設けられる3次元撮像装置により生成される前記被検体の3次元データの変化と、前記運動検出装置により検出される運動の変化とに基づいて前記患部位置データベースを作成する患部位置テーブル作成部
を更に具備する放射線治療装置制御装置。
【請求項13】
請求項1〜請求項11のいずれかにおいて、
前記放射線治療装置が備えるイメージャを用いて前記被検体を透過する透過放射線により撮影された画像を用いて生成される前記被検体の3次元データの変化と、前記運動検出装置により検出される運動の変化とに基づいて前記患部位置データベースを作成する患部位置テーブル作成部
を更に具備する放射線治療装置制御装置。
【請求項14】
請求項13において、
前記透過放射線は、前記治療用放射線が前記被検体を透過することにより生成される
放射線治療装置制御装置。
【請求項15】
治療用放射線を放射する治療用放射線照射装置と、
前記被検体の運動を検出する運動検出装置と、
前記被検体に対して前記治療用放射線照射装置を移動させる駆動装置とを備える放射線治療装置を制御する放射線治療装置制御装置であり、
平均変化率集合を位置集合に対応付ける患部位置データベースと、
前記運動を前記運動検出装置から収集する運動収集部と、
前記位置集合のうちの前記運動の平均変化率に対応する位置に前記治療用放射線が照射されるように、前記駆動装置を用いて前記治療用放射線照射装置を移動させる照射位置制御部
とを具備する放射線治療装置制御装置。
【請求項16】
治療用放射線を放射する治療用放射線照射装置と、
前記被検体の運動を検出する運動検出装置とを備える放射線治療装置を制御する放射線治療装置制御装置であり、
前記運動を前記運動検出装置から収集する運動収集部と、
前記平均変化率が所定の範囲に含まれる期間に前記治療用放射線照射装置を用いて前記治療用放射線を放射させ、前記平均変化率が前記所定範囲に含まれない期間に前記治療用放射線照射装置が前記治療用放射線を放射することを停止させる治療用放射線照射部
とを具備する放射線治療装置制御装置。
【請求項17】
請求項1〜請求項16のいずれかに記載される放射線治療装置制御装置と、
前記放射線治療装置
とを具備する放射線治療システム。
【請求項18】
被検体の一部分に治療用放射線を照射する治療用放射線照射装置と、
前記被検体の運動を検出する運動検出装置と、
前記被検体に対して前記治療用放射線照射装置を移動させる駆動装置とを備える放射線治療装置を用いて前記一部分に前記治療用放射線を照射する放射線照射方法であり、
前記運動を前記運動検出装置から収集するステップと、
運動集合を位置集合に対応付ける患部位置データベースを参照して、前記位置集合のうちの前記運動に対応する位置に前記治療用放射線が照射されるように、前記駆動装置を用いて前記治療用放射線照射装置を移動させるステップ
とを具備する放射線照射方法。
【請求項19】
請求項18において、
前記運動は、前記被検体を透過する放射線を用いないで検出される測定値を示す
放射線照射方法。
【請求項20】
請求項18において、
前記測定値は、前記被検体が呼吸するときに変化する変化量を示す
放射線照射方法。
【請求項21】
請求項18または請求項20のいずれかにおいて、
前記測定値は、前記被検体が備える心臓が拍動するときに変化する変化量を示す
放射線照射方法。
【請求項22】
請求項18〜請求項21のいずれかにおいて、
前記測定値は、前記被検体の血圧を示す
放射線照射方法。
【請求項23】
請求項18〜請求項22のいずれかにおいて、
前記運動検出装置は、前記被検体を画像に撮像するカメラを含み、
前記測定値は、前記被検体の一部が前記画像に映し出される位置を示す
放射線照射方法。
【請求項24】
請求項18において、
前記測定値は、前記被検体に関する複数の変化量を示す
放射線照射方法。
【請求項25】
請求項18〜請求項24のいずれかにおいて、
前記運動は、前記放射線治療装置が備えるイメージャを用いて前記被検体を透過した放射線により撮像される透過画像に前記被検体の内部に配置されるランドマークが前記透過画像に映し出されるランドマーク位置を示す
放射線照射方法。
【請求項26】
請求項18〜請求項25のいずれかにおいて、
前記患部位置データベースは、平均変化率集合を前記位置集合に更に対応付け、
前記位置は、前記運動の平均変化率に更に対応する
放射線照射方法。
【請求項27】
請求項18〜請求項25のいずれかにおいて、
前記運動が所定範囲に含まれないときに、前記治療用放射線照射装置が前記治療用放射線を放射することを停止させるステップ
を更に具備する放射線照射方法。
【請求項28】
請求項18〜請求項27のいずれかにおいて、
前記放射線治療装置が備える出力装置に呼吸に関する指示を出力させるステップ
を更に具備する放射線照射方法。
【請求項29】
請求項18〜請求項28のいずれかにおいて、
前記放射線治療装置と別個に設けられる3次元撮像装置により生成される前記被検体の3次元データの変化と、前記運動検出装置により検出される運動の変化とに基づいて前記患部位置データベースを作成するステップ
を更に具備する放射線照射方法。
【請求項30】
請求項18〜請求項28のいずれかにおいて、
前記放射線治療装置が備えるイメージャを用いて前記被検体を透過する透過放射線により撮影された画像を用いて生成される前記被検体の3次元データの変化と、前記運動検出装置により検出される運動の変化とに基づいて前記患部位置データベースを作成するステップ
を更に具備する放射線照射方法。
【請求項31】
請求項30において、
前記透過放射線は、前記治療用放射線が前記被検体を透過することにより生成される
放射線照射方法。
【請求項32】
治療用放射線を放射する治療用放射線照射装置と、
前記被検体の運動を検出する運動検出装置と、
前記被検体に対して前記治療用放射線照射装置を移動させる駆動装置とを備える放射線治療装置を制御する放射線治療装置制御装置であり、
前記運動を前記運動検出装置から収集するステップと、
平均変化率集合を位置集合に対応付ける患部位置データベースを参照して、前記位置集合のうちの前記運動の平均変化率に対応する位置に前記治療用放射線が照射されるように、前記駆動装置を用いて前記治療用放射線照射装置を移動させるステップ
とを具備する放射線照射方法。
【請求項33】
治療用放射線を放射する治療用放射線照射装置と、
前記被検体の運動を検出する運動検出装置とを備える放射線治療装置を制御する放射線治療装置制御装置であり、
前記運動を前記運動検出装置から収集するステップと、
前記運動の平均変化率が所定の範囲に含まれる期間に前記治療用放射線照射装置を用いて前記治療用放射線を放射させるステップと、
前記平均変化率が前記所定範囲に含まれない期間に前記治療用放射線照射装置が前記治療用放射線を放射することを停止させるステップ
とを具備する放射線照射方法。
【請求項34】
請求項18〜請求項33のいずれかに記載される放射線照射方法をコンピュータに実行させる
コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−236760(P2007−236760A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−65708(P2006−65708)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「基盤技術研究促進事業(民間基盤技術研究支援制度)/高精度四次元放射線治療システムに関する開発研究」、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】