説明

放射線測定システム

【課題】環境β線の影響を受けることなく測定対象のβ線を高感度かつ高精度で安定して測定できる放射線測定システムを得る。
【解決手段】被測定体1側から順に、被測定体1から放射される放射線および環境γ線と反応する第1のシンチレーションファイバー層21a、被測定体1から放射されるβ線を遮断する第1のβ線遮蔽体層22a、環境γ線と反応する第2のシンチレーションファイバー層21b、第2のシンチレーションファイバー層21bへの環境β線を遮断する第2のβ線遮蔽体層22bの順に配列し、第2のシンチレーションファイバー層21bで検出された放射線の測定結果に基づきγ線の影響を推定し、第1のシンチレーションファイバー層21aで検出された放射線の測定結果から上記γ線の影響を補償して被測定体から放出されるβ線を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、放射線測定システム、特に、放射性物質を取り扱う原子炉施設、核燃料施設、加速器利用施設、廃炉等で放射線計測と放射線管理に利用可能な放射線モニタまたは放射能汚染検査装置などの放射線測定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
測定対象の放射線を高感度で測定するためには、その放射線の線質およびエネルギーに対して検出感度が高いとともに、妨害放射線に対しては検出感度が低い特性の放射線検出器を選定する必要がある。
測定対象の放射線がβ線である場合、放射線センサとしては安価で入手し易いプラスチックシンチレータを使用することが多い。一般的に妨害放射線は環境γ線であり、プラスチックシンチレータは原子番号が低い元素で構成されかつ薄くできるため、環境γ線の検出感度を抑制する点で好適である。放射線検出器にプラスチックシンチレータを使用し、高感度の放射線モニタまたは放射能汚染検査装置を提供するため、プラスチックシンチレータの厚みをできるだけ薄くするとともに、放射線検出器を鉛で遮蔽する手法が長い間採用されてきたが、近年、複数のシンチレータ層を有する放射線検出器と、それぞれのシンチレータ層が放射線に反応した結果として出力されるパルス信号の同時計数をβ線とみなして測定し、反応断面積が小さく同時計数の確率が低い環境γ線を排除する手法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−13250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、2層のシンチレータ層がβ線に同時に反応した結果のパルス信号を同時計数することにより測定対象のβ線を測定するようにしているので、散乱しながらエネルギーが吸収されるβ線が同時計数される割合はβ線のエネルギーが低いほど確率が低くなり、低エネルギーのβ線の検出感度の改善が課題であった。また、シンチレータ層に吸収されるエネルギーが2分割されるため、β線エネルギーの測定下限が必然的に押し上げられ、低エネルギーのβ線が測定できないという問題があった。
【0005】
この発明は、環境β線の影響を受けることなく測定対象のβ線を高感度かつ高精度で安定して測定できる放射線測定システムを得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る放射線測定システムは、被測定体から放射される放射線および環境γ線と反応する第1の反応体、被測定体から放射されるβ線を遮断する第1のβ線遮蔽体、被測定体から放射される放射線を前記第1のβ線遮蔽体を介して受け環境γ線と反応する第2の反応体、前記第2の反応体への環境β線を遮断する第2のβ線遮蔽体、前記第1の反応体および第2の反応体が放射線に反応した結果をそれぞれ計数用信号に変換する変換部、前記変換部により変換された計数用信号を入力して演算し出力信号に変換して出力する測定部を備え、前記測定部には、第2の反応体で検出された放射線の測定結果に基づきβ線の影響を受けることなく被測定体から放射されるγ線および環境γ線との反応結果に比例したγ線の影響度を導出するγ線影響度導出手段と、第1の反応体で検出された放射線の測定結果に基づきこの測定結果に前記γ線影響度導出手段で導出されたγ線影響度を補償して被測定体から放出されるβ線を測定するβ線測定手段とを設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、環境β線の影響を受けることなく測定対象のβ線を高感度かつ高精度で安定して測定できる放射線測定システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明による実施の形態1に係わる放射線モニタまたは放射能汚染検査装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明による実施の形態1に係わる検出部の構成を示すブロック図である。
【図3】この発明による実施の形態1に係わる帯状シンチレーションファイバーの構成を示すブロック図である。
【図4】この発明による実施の形態2に係わる検出部の構成を示すブロック図である。
【図5】この発明による実施の形態3に係わる放射線モニタの構成を示すブロック図である。
【図6】この発明による実施の形態4に係わる検出部の構成を示すブロック図である。
【図7】この発明による実施の形態5に係わる放射能汚染検査装置の構成を示す上面図および側面図である。
【図8】この発明による実施の形態6に係わる放射能汚染検査装置の構成を示す側面図である。
【図9】この発明による実施の形態7に係わる放射線モニタを示すブロック図である。
【図10】この発明による実施の形態8に係わる放射線モニタを示すブロック図である。
【図11】この発明による実施の形態9に係わる放射線モニタを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
この発明による実施の形態1を図1から図3までについて説明する。図1は実施の形態1に係わる放射線モニタまたは放射能汚染検査装置の構成を示すブロック図である。図2は実施の形態1に係わる検出部の構成を示すブロック図である。図3は実施の形態1に係わる帯状シンチレーションファイバーの構成を示すブロック図である。
【0010】
図1は、この発明に係わる放射線モニタまたは放射能汚染検査装置の構成を示すもので、検出部2は被測定体1から放出される放射線を検出して電圧パルス信号を出力する。測定部3は該電圧パルス信号を入力して工学値に変換して出力する。測定部3には1台以上の検出部2の出力が入力される。ここで、被測定体1は、試料ガス、試料ガス中のダストを捕集したろ紙、放射性固体廃棄物等である。
【0011】
図2は、検出部2の構成と構造を示すもので、β線遮蔽体22は、金属板あるいは可撓性が必要な場合はTi等の原子番号の大きい金属粉を練りこんだプラスチック材料で形成された板材等のプラスチック部材であり、被測定体1側に第1の帯状シンチレーションファイバー21aが固定され、反対側に第2の帯状シンチレーションファイバー21bが固定され、該端部はそれぞれ第1の光電子増倍管23a、第2の光電子増倍管23bに光接合される。更に、第1の光電子増倍管23a、第2の光電子増倍管23bの出力は、それぞれ第1の前置増幅器24a、第2の前置増幅器24bに入力される。
β線遮蔽体22に固定される第1の帯状シンチレーションファイバー21aと第2の帯状シンチレーションファイバー21bの組み合わせの数は、必要とする検出感度あるいは被測定体1の面積に応じて決められる。
なお、放射線モニタまたは放射能汚染検査装置を常設し、環境γ線に方向性がある場合は、第1の帯状シンチレーションファイバー21aの台数に対して第2の帯状シンチレーションファイバー21bの台数を少なくしても良い。
【0012】
図3は、帯状シンチレーションファイバーの構成と構造を示すもので、帯状シンチレーションファイバー21は、プラスチックシンチレーションファイバー211a,211b,211c…211nを可撓性の基板212上に、U字型に曲げて順次ずらして平面的に配列され、半円に曲げられた部位cp以外の直線部spは平行になるようにして接着され、端部epは束ねられ、その端面は光学接合するために平面に加工され、端面を除いて全体を遮光膜213で覆われている。プラスチックシンチレーションファイバー211a,211b,211c…211nは、外径0.3mm以下のものを使用すると折損しないで基板212上に自動配線することが可能で、市販されている外径0.3mmおよび外径0.25mmのものを使用できる。
【0013】
次に、動作について説明する。第1の帯状シンチレーションファイバー21aを構成するシンチレーションファイバー211に放射線が入射した結果として発する蛍光は、その内部を屈折しながら端面に伝達して第1の光電子増倍管23aに入射する。第1の光電子増倍管23aに蛍光が入射すると電子が放出され、該電子は増倍されて電流パルスに変換される。第1の前置増幅器24aは、該電流パルスを電圧パルスに変換して出力する。
同様に、第2の帯状シンチレーションファイバー21bを構成するシンチレーションファイバー211に放射線が入射した結果として発する蛍光は、その内部を屈折しながら端面に伝達して第2の光電子増倍管23bに入射し、電流パルスに変換され、第2の前置増幅器24bは、該電流パルスを電圧パルスに変換して出力する。
【0014】
第1の帯状シンチレーションファイバー21aは、被測定体1から放射されたβ線およびγ線、更に、環境から入射したγ線を検出する。この時、γ線を検出する確率はβ線を検出する確率に対して1/100以下と低い。第2の帯状シンチレーションファイバー21bは、被測定体1から放射されたγ線、更に、環境から入射したγ線を検出する。被測 定体1から放射されたβ線は、β線遮蔽体22で遮断される。また、第1の帯状シンチレーションファイバー21aのシンチレーションファイバー211相互の谷間に入射したβ線の一部は、遮蔽体22で後方散乱して再び第1の帯状シンチレーションファイバー21aに入射することにより計数に寄与する。
【0015】
第1の前置増幅器24aから出力された電圧信号パルスおよび第2の前置増幅器24bから出力された電圧パルスは、それぞれ測定部3に入力されて定周期で計数され、測定部3に設けられた演算装置により演算されて第1の帯状シンチレーションファイバー21aが検出した放射線に対応する計数率nと第2の帯状シンチレーションファイバー21bが検出した放射線に対応する計数率nが求められる。
第1の帯状シンチレーションファイバー21aが検出した放射線に対応する計数率nは、被測定体1から放射されたβ線による計数率n(β)と被測定体1から放射されたγ線による計数率n(γ)と環境から入射したγ線による計数率n(γ)を合計したものである。
第2の帯状シンチレーションファイバー21bが検出した放射線に対応する計数率nは、被測定体1から放射されたγ線による計数率n(γ)および環境から入射したγ線による計数率n(γ)の合計である。
したがって、正味計数率n=n(β)は、次の(1)式で示される。
(β)=n−n(γ)−n(γ)=n−{k×n(γ)+k ×n(γ)}………(1)式
ここで、第1の帯状シンチレーションファイバー21aが検出した被測定体1から放射されたγ線による計数率n(γ)は、第2の帯状シンチレーションファイバー21bが検出した被測定体1から放射されたγ線による計数率n(γ)に比例し、比例計数をkとすると、次の(3)式で示されるものである。
(γ)=k×n(γ)………(2)式
また、第1の帯状シンチレーションファイバー21aが検出した環境から入射したγ線による計数率n(γ)は、第2の帯状シンチレーションファイバー21bが検出した環境から入射したγ線による計数率n(γ)に比例し、比例係数をkとすると、次の(3)式で示されるものである。
(γ)=k×n(γ)………(3)式
=k=kとすると、被測定体1から放射されたβ線による計数率n(β)は、次の(4)式で示される。
(β)=n−k×n………(4)式
このように、計算または実験的に係数kを求めておけば、(4)式におけるk×nを算出することができ、このk×nを計数率nから減算すれば計数率n(β)を算出できて、被測定体1から放射されたβ線を測定することができる。
【0016】
ここで、前記(4)式におけるk×nは、第2の帯状シンチレーションファイバー21bが検出した放射線に対応する計数率nにより導出されるγ線影響度を示し、γ線影響度k×nを導出する測定部3の演算装置はγ線影響度導出手段を構成する。
そして、このγ線影響度k×nを第1の帯状シンチレーションファイバー21aが検出した放射線に対応する計数率nに対して補償し被測定体1から放射されたβ線による計数率n(β)を算定する測定部3の演算装置はβ線測定手段を構成する。
【0017】
以上のように、放射線モニタまたは放射能汚染検査装置の検出部2について、被測定体1から順に第1の帯状シンチレーションファイバー21a、β線遮蔽体22、第2の帯状シンチレーションファイバー21bの順に配列し、第2の帯状シンチレーションファイバー21bで検出された放射線の測定結果に基づきγ線の影響を推定し、第1の帯状シンチレーションファイバー21aで検出された放射線の測定結果から上記γ線の影響を補償するようにしたので、放射線モニタまたは放射能汚染検査装置を移動することにより環境γ線が変化しても、また、被測定体1の表面から放射されるβ線と内部から放射されるγ線の比率が変化しても、測定対象のβ線を高感度かつ高精度で測定できる。
【0018】
また、原子番号の大きい物質にβ線が入射すると後方散乱が大きくなることを利用し、β線遮蔽体22として金属板、あるいは可撓性が必要な場合はTi等の金属粉を練りこんだプラスチックの板等を使用することにより、第2の帯状シンチレーションファイバー21aのシンチレーションファイバー211a,211b,211c…211n相互の谷間に入射したβ線の一部は、遮蔽体22で後方散乱して再び第1の帯状シンチレーションファイバー21aに入射して計数に寄与するため、測定対象の検出感度がアップする。
【0019】
さらに、第1の帯状シンチレーションファイバー21aおよび第2の帯状シンチレーションファイバー21bについて、可撓性の遮光基板212に0.3mm以下の細径のプラスチックシンチレーションファイバー211a,211b,211c…211nをU字型に曲げて順次ずらして密着して貼り付けることにより、折損なくプラスチックシンチレーションファイバー211a,211b,211c…211nを自動で配線することができ、製造コストを従来の1/3以下に低減できる。手作業で配線したいときは、細径のプラスチックシンチレーションファイバー211a,211b,211c…211nは作業量の増加および作業性低下のため、細径のものを避けて最小径は1mmが一般的であったが、自動化により細径のものを使用できるようになり、γ感度を抑制できるため、β線を高感度に測定できる。
【0020】
(1A)この発明による実施の形態1によれば、被測定体1から放射される放射線および環境γ線と反応する帯状シンチレーションファイバー層21aからなる第1の反応体、被測定体から放射されるβ線を遮断するβ線遮蔽体、被測定体から放射される放射線を前記β線遮蔽体を介して受け環境γ線と反応するシンチレーションファイバー層21bからなる第2の反応体、前記第1の反応体および第2の反応体が放射線に反応した結果をそれぞれパルス信号からなる計数用信号に変換する検出部2からなる変換部、前記変換部により変換された計数用信号を入力して演算し工学値に変換して出力する測定部3を備え、前記測定部3には、前記第2の反応体で検出された放射線の測定結果に基づきγ線の影響度を導出するγ線影響度導出手段と、前記第1の反応体で検出された放射線の測定結果に基づきこの測定結果にγ線影響度導出手段で導出されたγ線影響度を補償して被測定体から放出されるβ線を測定するβ線測定手段とを設けたことを特徴とする放射線モニタまたは放射能汚染検査装置としての放射線測定システムを構成したので、放射線モニタまたは放射能汚染検査装置を移動することにより環境γ線が変化しても、また、被測定体1の表面から放射されるβ線と内部から放射されるγ線の比率が変化しても、測定対象のβ線を高感度かつ高精度で測定できる放射線モニタまたは放射能汚染検査装置としての放射線測定システムを得ることができる。
【0021】
(1B)この発明による実施の形態1によれば、前記(1A)項における構成において、シンチレーションファイバー層21a,21bからなる第1および第2の反応体は、可撓性の遮光基板212にプラスチックシンチレーションファイバー211a,211b,211c…211nをU字型に曲げて順次ずらし、密着して貼り付け、プラスチックシンチレーションファイバー211a,211b,211c…211nを遮光膜213で覆ったものであることを特徴とする放射線モニタまたは放射能汚染検査装置としての放射線測定システムを構成したので、放射線モニタまたは放射能汚染検査装置を移動することにより環境γ線が変化しても、また、被測定体1の表面から放射されるβ線と内部から放射されるγ線の比率が変化しても、測定対象のβ線を高感度かつ高精度で測定できる小型かつ簡素な構成の放射線モニタまたは放射能汚染検査装置としての放射線測定システムを得ることができる。
【0022】
(1C)この発明による実施の形態1によれば、前記(1B)項における構成において、シンチレーションファイバー層21a,21bからなる第1および第2の反応体を構成するプラスチックシンチレーションファイバー211a,211b,211c…211nの外径を0.3mm以下としたので、自動化によるシンチレーションファイバー211a,211b,211c…211nの配線作業が可能となり、自動化により細径のものを使用できγ感度を抑制できるため、β線を高感度に測定できる放射線モニタまたは放射能汚染検査装置としての放射線測定システムを得ることができる。
【0023】
(1D)この発明による実施の形態1によれば、前記(1A)から前記(1C)項までのいずれかの構成において、β線遮蔽体として金属または金属を練りこんだプラスチック部材を使用したので、β線の検出感度を向上しβ線をより高感度に測定できる放射線モニタまたは放射能汚染検査装置としての放射線測定システムを得ることができる。
【0024】
実施の形態2.
この発明による実施の形態2を図4について説明する。図4は実施の形態2に係わる検出部の構成を示すブロック図である。
この実施の形態2において、ここで説明する特有の構成以外の構成については、先に説明した実施の形態1における構成と同一の構成内容を具備し、同様の作用を奏するものである。図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
【0025】
上記実施の形態1では、放射線モニタまたは放射能汚染検査装置の検出部2について、被測定体1側から順に第1の帯状シンチレーションファイバー21a、β線遮蔽体22、第2の帯状シンチレーションファイバー21bの順に配列したが、この実施の形態2では、図4に示すように被測定体1側から順に第1の帯状シンチレーションファイバー21a、第1のβ線遮蔽体22a、第2の帯状シンチレーションファイバー21b、第2のβ線遮蔽体22bの順に配列したので、検出部2が設置されている室内のコンクリートから天然のラドン・トロンガスが放出されて、その子孫核種を含むダストが検出部2に付着しても第2のβ線遮蔽体22bで前記ダストから放出されるβ線を遮断するため、前記ダストから放射されるβ線で第2の帯状シンチレーションファイバー21bが誤動作するという従来の事象がなくなり、測定対象のβ線を安定した精度で測定できる。
【0026】
(2A)この発明による実施の形態2によれば、被測定体1から放射される放射線および環境γ線と反応する帯状シンチレーションファイバー層21aからなる第1の反応体、被測定体から放射されるβ線を遮断する第1のβ線遮蔽体22a、被測定体から放射される放射線を前記β線遮蔽体を介して受け環境γ線と反応するシンチレーションファイバー層21bからなる第2の反応体、前記シンチレーションファイバー層21bからなる第2の反応体への環境β線を遮断する第2のβ線遮蔽体22b、前記第1の反応体および第2の反応体が放射線に反応した結果をそれぞれパルス信号からなる計数用信号に変換する検出部2からなる変換部、前記変換部により変換された計数用信号を入力して演算し工学値に変換して出力する測定部3を備え、前記測定部3には、前記第2の反応体で検出された放射線の測定結果に基づきγ線の影響度を導出するγ線影響度導出手段と、前記第1の反応体で検出された放射線の測定結果に基づきこの測定結果に前記γ線影響度導出手段で導出されたγ線影響度を補償して被測定体から放出されるβ線を測定するβ線測定手段とを設けたことを特徴とする放射線モニタまたは放射能汚染検査装置としての放射線測定システムを構成したので、放射線モニタまたは放射能汚染検査装置を移動することにより環境γ線が変化しても、また、被測定体1の表面から放射されるβ線と内部から放射されるγ線の比率が変化しても、測定対象のβ線を高感度かつ高精度で測定でき、しかも測定対象のβ線を安定した精度で測定できる放射線モニタまたは放射能汚染検査装置としての放射線測定システムを得ることができる。
【0027】
実施の形態3.
この発明による実施の形態3を図5について説明する。図5は実施の形態3に係わる放射線モニタの構成を示すブロック図である。
この実施の形態3において、ここで説明する特有の構成以外の構成については、先に説明した実施の形態1または実施の形態2における構成と同一の構成内容を具備し、同様の作用を奏するものである。図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
【0028】
上記実施の形態2では、放射線モニタの検出部2について、被測定体1側から順に帯状シンチレーションファイバー21a、第1のβ線遮蔽体22a、第2の帯状シンチレーションファイバー21b、第2のβ線遮蔽体22aの順に配列したが、この実施の形態3では、図5に示すようにサンプリング部4を備え、被測定体1は放射能を含む試料ガスで、第1のβ線遮蔽体22a(図4参照)の代わりにβ線を遮断する筒状の試料容器25に該試料ガスを導入し、第1の帯状シンチレーションファイバー21aの代わりに該試料容器25内に配置された板状シンチレータ26が、上記放射能から放出されたβ線とγ線および環境γ線と反応した結果としてのパルス信号を出力し、該試料容器25と同じ厚みで同じ材質のものまたは環境γ線の減衰が同等のものとしてのカバー27で覆った第2の帯状シンチレーションファイバー21bを、上記板状シンチレータ26と面平行となるように配置している。第2の帯状シンチレーションファイバー21bを板状シンチレータ26と面平行となるように配置すると、環境γ線に方向性がある場合にも環境γ線の影響を正確に補償することができる。
サンプリング部4は、フィルタ41とポンプ42を備え、ポンプ42により測定点sからサンプリングされた被測定体1としての試料ガスは、フィルタ41でダストを除去され、試料容器25に導入され、ポンプ42により排気される。
カバー27で覆われた第2の帯状シンチレーションファイバー21bで検出された放射線の測定結果に基づき環境γ線の影響を推定し、板状シンチレータ26で検出された放射線の測定結果から上記γ線の影響を補償して試料ガスから放射されるβ線およびγ線を測定する。
なお、この場合、試料ガスから放射されるγ線をβ線とみなして測定することになるが、測定の障害とはならない。むしろ、試料ガスから放出されるβ線とγ線を測定対象とすることにより感度向上となる。
【0029】
以上のように構成することにより、安価なプラスチック板材を用いた板状シンチレータ26を使用した放射線モニタについて、容易にバックグラウンド補償を追加することができ、高感度で高精度の放射線モニタを低コストで実現できる。
【0030】
(3A)この発明による実施の形態3によれば、放射能を含むガスからなる被測定体1を内部に通すとともに前記被測定体1の放射能から放出されるβ線を遮断するβ線遮断材料で形成された容器25、前記容器25内に配置されて前記被測定体1から放射される放射線および環境γ線を受ける平面を有し前記放射線および環境γ線と反応するプラスチック板材で構成される板状シンチレータ26からなる第1の反応体、前記容器25の外部に配置されて前記容器25と環境γ線の減衰度が同等のカバー27からなる被包部材で覆われ前記第1の反応部の平面と平行する面で環境γ線を受け前記環境γ線と反応する第2の帯状シンチレーションファイバー21bからなる第2の反応体、前記第1の反応体および第2の反応体が放射線に反応した結果をそれぞれ計数用信号に変換する変換部、前記変換部により変換された計数用信号を入力して演算し工学値に変換して出力する測定部3を備え、前記測定部3には、第2の反応体で検出された放射線の測定結果に基づきγ線の影響度を導出するγ線影響度導出手段と、第1の反応体で検出された放射線の測定結果に基づき前記γ線影響度導出手段で導出されたγ線影響度を補償して被測定体から放出されるβ線を測定するβ線測定手段とを設けたので、放射線モニタまたは放射能汚染検査装置を移動することにより環境γ線が変化しても、また、被測定体1の表面から放射されるβ線と内部から放射されるγ線の比率が変化しても、測定対象のβ線を高感度かつ高精度で測定でき、しかもバックグラウンド補償が追加された安価な放射線モニタとしての放射線測定システムを得ることができる。
【0031】
実施の形態4.
この発明による実施の形態4を図6について説明する。図6は実施の形態4に係わる検出部の構成を示すブロック図である。
この実施の形態4において、ここで説明する特有の構成以外の構成については、先に説明した実施の形態1または実施の形態2における構成と同一の構成内容を具備し、同様の作用を奏するものである。図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
【0032】
上記実施の形態1および2では、放射線モニタまたは放射能汚染検査装置の検出部2について、第1の帯状シンチレーションファイバー21aおよび第2の帯状シンチレーションファイバー21bの端部がそれぞれ第1の光電子増倍管23a、第2の光電子増倍管23bに光接合されるが、この実施の形態4では、図6に示すように第1の帯状シンチレーションファイバー21aはシンチレーションファイバー211の両端でそれぞれ第1の光電子増倍管23a、第3の光電子増倍管23cに光学接合され対応する第1の前置増幅器24a、第3の前置増幅器24cに接続されそれぞれの出力は同時計数回路28で同時にパルス信号が入力されたときにデジタルパルスを出力する。
同様に、第2の帯状シンチレーションファイバー21bはシンチレーションファイバー211の両端でそれぞれ第2の光電子増倍管23b、第4の光電子増倍管23dに光学接合され、対応する第2の前置増幅器24b、第4の前置増幅器24dに接続されそれぞれの出力は同時計数回路28で同時にパルス信号が入力されたときにデジタルパルスを出力する。それぞれのデジタルパルスは測定部3に入力されて定周期で計数され、実施の形態1と同様にして測定対象のβ線が測定される。
【0033】
以上のように、放射線モニタまたは放射能汚染検査装置の検出部を構成することにより、シンチレーションファイバー211に放射線が反応して発した蛍光を、2本の光電子増倍管に同時に入射し、その結果としての同時計数回路28のデジタルパルス信号を計数し、光電子増倍管のノイズパルスの同時計数の確率が稀であることを利用し、光電子増倍管のノイズ領域に入り込んでパルス信号を計数することができるので、低エネルギーのβ線まで高感度で測定できる。
【0034】
(4A)この発明による実施の形態4によれば、実施の形態1における前記(1A)〜(1D)項および実施の形態2における前記(2A)項ならびに実施の形態3における前記(3A)項のいずれかの構成において、帯状シンチレーションファイバー21a,21bからなる帯状に形成された第1および第2の反応体と、前記第1および第2の反応体を構成する各帯状反応体の両端でそれぞれ受光され出力された計数用信号を同時計数する同時計数回路28からなる同時計数手段と、前記同時計数手段の出力に応じて放射線を測定する測定部3(図1参照)とを設けたので、放射線モニタまたは放射能汚染検査装置を移動することにより環境γ線が変化しても、また、被測定体1の表面から放射されるβ線と内部から放射されるγ線の比率が変化しても、測定対象のβ線を高感度かつ高精度で測定でき、しかも低エネルギーのβ線まで高感度で測定できる安価な放射線モニタまたは放射能汚染検査装置としての放射線測定システムを得ることができる。
【0035】
実施の形態5.
この発明による実施の形態5を図7について説明する。図7(a)は実施の形態5に係わる放射能汚染検査装置の構成を示す上面図である。図7(b)は実施の形態5に係わる放射能汚染検査装置の構成を示す側面図である。
この実施の形態5において、ここで説明する特有の構成以外の構成については、先に説明した実施の形態1または実施の形態2における構成と同一の構成内容を具備し、同様の作用を奏するものである。図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
【0036】
上記実施の形態1および2では、放射能汚染検査装置の検出部2が固定されている場合について述べたが、この実施の形態5では、図7に示すように、検出部移動装置6を備え、架台5に載せられた被測定体であるドラム缶11の上端面の上を覆うように平板状の検出部2Aを水平に移動させる上部移動機構61と、ドラム缶11の下端面の下を覆うようにもう一つの平板状の検出部2Bを水平に移動させる下部移動機構62と、ドラム缶11の周面における左側面を覆うように半割り円筒状の検出部2Cを移動させる左部移動機構63と、ドラム缶11の周面における右側面を覆うようにもう一つの半割り円筒状の検出部2Dを移動させる右部移動機構64を備えている。
【0037】
図7(a)における図示状態は測定準備状態を示している。被測定体であるドラム缶11は架台5に載せられた状態となっている。
測定状態へ移行するには、まず、ドラム缶11を挟んでドラム缶11の周面に対向する半割り円筒状の図示右部検出部2Cと図示左部検出部2Dが左部移動機構63および右部移動機構64によってドラム缶11の周面へ近接する方向へ移動され、ドラム缶11の周面と所定の間隔を保った所定測定位置で停止される。
次に、ドラム缶11の上下端面にそれぞれ対向する平板状の検出部2A,2Bが上部移動機構61および下部移動機構62によってドラム缶11の上下端面と所定の間隔を保った所定測定位置で停止される。
この測定状態では、ドラム缶11の周面はドラム缶11の周面と所定の間隔を保った検出部2C,2Dで覆われ、ドラム缶11の上下端面はドラム缶11の上下端と所定の間隔を保った検出部2A,2Bで覆われて、ドラム缶11の全体を覆う検出部2A,2B,2C,2Dによって測定が行われる。
【0038】
以上のように構成することにより、ドラム缶内の放射性物質から放射されるγ線の影響を排除してドラム缶表面の放射能汚染を高感度で精度よく測定することができる。また、遠隔操作で測定することにより被爆を低減できる。
【0039】
(5A)この発明による実施の形態5によれば、実施の形態1における前記(1A)項から前記(1D)項まで、ならびに、実施の形態2における前記第(2A)項におけるいずれかの構成において、ドラム缶11からなる筒状をなす被測定体の周面を囲むように前記被測定体の両側に配設されそれぞれ第1および第2の帯状シンチレーションファイバー21a,21b(図2参照)からなる前記第1および第2の反応体およびβ線遮蔽体22(図2参照)で構成される第1および第2の検出部2C,2Dを前記ドラム缶11からなる被測定体の周面における所定の測定位置へ移動させる第1および第2の移動機構63,64と、前記ドラム缶11からなる被測定体の端面の両側に配設されそれぞれ第1および第2の帯状シンチレーションファイバー21a,21b(図2参照)からなる前記第1および第2の反応体およびβ線遮蔽体22(図2参照)で構成される第3および第4の検出部2A,2Bを前記被測定体1の端面に対向する所定の測定位置へ移動させる第3および第4の移動機構61,62と、前記第1および第2の検出部2C,2Dならびに前記第3および第4の検出部2A,2Bの所定測定位置への移動状態で前記被測定体を覆うようにして前記第1および第2の検出部ならびに前記第3および第4の検出部から出力される計数用信号により測定部3(図1参照)で放射線を測定して前記被測定体の放射能表面汚染を検査するようにしたので、ドラム缶11のような筒状をなす被測定体内の放射性物質から放射されるγ線の影響を排除して筒状をなす被測定体表面の放射能汚染を高感度で精度よく測定することができる放射能汚染検査装置としての放射線測定システムを得ることができる。
【0040】
実施の形態6.
この発明による実施の形態6を図8について説明する。図8は実施の形態6に係わる放射能汚染検査装置の構成を示す側面図である。
この実施の形態6において、ここで説明する特有の構成以外の構成については、先に説明した実施の形態1における構成と同一の構成内容を具備し、同様の作用を奏するものである。図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
【0041】
上記実施の形態1および2では、放射能汚染検査装置の検出部2が固定された場合について述べたが、この実施の形態6では、図8に示すように、床面を走行する自動走行ロボット7に検出部2と測定部3と自己位置測定装置8を搭載し、自己位置測定装置8で自動走行ロボット7の位置を測定し、第1および第2の帯状シンチレーションファイバー21a,21bおよびβ線遮蔽体22(図2参照)を有する検出部2で床面の放射能から放射されるβ線を検出し、測定部3でコンクリートから放出されるK−40によるγ線およびラドン・トロンの子孫核種によるγ線を補償して床面の放射能汚染を自動で測定し、記録装置3Aに記録して、記録された測定結果を画像処理しマップ上に表示するようにしたので、測定作業を迅速かつ的確に行え、測定作業による被爆を低減することができる。
【0042】
(6A)この発明による実施の形態6によれば、第1および第2の帯状シンチレーションファイバー21a,21bおよびβ線遮蔽体22(図2参照)を有する検出部2と測定部3を搭載して床面を自動走行する自動走行ロボット7からなる自動走行手段と、前記自動走行手段の位置を特定する自己位置測定装置8からなる位置同定手段と、測定位置と測定結果を記録する記録装置3Aからなる記録手段を備え、前記位置同定手段により前記自動走行手段の位置を特定しながら前記記録手段によって測定位置と測定結果を記録し床面の表面汚染を自動検査するようにしたので、床面の放射能汚染を自動測定し記録して測定作業を被爆の影響を受けることなく迅速かつ的確に行える放射能汚染検査装置としての放射線測定システムを得ることができる。
【0043】
実施の形態7.
この発明による実施の形態7を図9について説明する。図9は実施の形態7に係わる放射線モニタを示すブロック図である。
この実施の形態7において、ここで説明する特有の構成以外の構成については、先に説明した実施の形態1から実施の形態3までのいずれかにおける構成と同一の構成内容を具備し、同様の作用を奏するものである。図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
【0044】
実施の形態3の放射線モニタの検出部2は、該試料容器25内に配置された板状シンチレータ26で試料ガスの放射線を検出し、該試料容器25外にカバー27で覆った第2の帯状シンチレーションファイバー21bを、上記板状シンチレータと面平行となるように配置しているが、この実施の形態7では、図9に示すように板状シンチレータ26(図5参照)の代わりにβ線遮蔽体からなる試料容器25の内面に第1の帯状シンチレーションファイバー21aを、試料容器25外にカバー27で覆った第2の帯状シンチレーションファイバー21b(図5参照)の代わりに試料容器25の外面に第2の帯状シンチレーションファイバー21bを設置したので、検出部2が小型かつ簡素になり低価格の持ち運び可能な放射線モニタが実現できる。
【0045】
ここで、ポンプ42により測定点sからサンプリングされた被測定体1としての試料ガスは、フィルタ41でダストを除去され、試料容器25に導入され、ポンプ42により排気される。
試料容器25に導入された被測定体1としての試料ガスについての放射線測定は、試料容器25の外面に設けられた第2の帯状シンチレーションファイバー21bで検出された放射線の測定結果に基づき環境γ線の影響を推定し、試料容器25の内面に設けられた第1の帯状シンチレーションファイバー21aで検出された放射線の測定結果から上記γ線の影響を補償して試料ガスから放射されるβ線およびγ線を測定する。
【0046】
(7A)この発明による実施の形態7によれば、実施の形態1の前記(1A)〜(1D)項および実施の形態2の前記(2A)項ならびに実施の形態4の前記(4A)項のいずれかにおける構成において、被測定体1としての試料ガスが内部に通されるβ線遮蔽材料からなる容器25を備え、前記容器25を前記β線遮蔽体層または第1のβ線遮蔽体層として構成し、前記容器25の内面に第1の帯状シンチレーションファイバー21aからなる前記第1の反応体を設けるとともに、前記容器の外面に第2の帯状シンチレーションファイバー21bからなる前記第2の反応体を前記第1の反応体と対向位置に互いに平行状態で設けたので、検出部2が小型かつ簡素になり低価格の持ち運び可能な放射線モニタとしての放射線測定システムが実現できる。
【0047】
実施の形態8.
この発明による実施の形態8を図10について説明する。図10は実施の形態8に係わる放射線モニタを示すブロック図である。
この実施の形態8において、ここで説明する特有の構成以外の構成については、先に説明した実施の形態1から実施の形態3までおよび実施の形態7における構成と同一の構成内容を具備し、同様の作用を奏するものである。図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
【0048】
実施の形態7の放射線モニタは、ポンプ42で試料ガスを試料容器25に導入するが、この実施の形態8では、図10に示すように、ポンプ42の代わりに送風ファン9で周辺の試料ガスを該試料容器25に導入するようにしたので、放射線モニタの構成が簡単になり、室(図示せず)内の空気中の放射能を測定する用途において、また、グローブボックス(図示せず)内の空気の放射能を測定する用途において、検出部2が小型かつ簡素になり、高感度かつ低コストの放射線モニタが実現できる。
【0049】
(8A)この発明による実施の形態8によれば、実施の形態7における前記(7A)項における構成において、前記容器25に被測定体1としての試料ガスを送風する送風ファン9を備え、前記送風ファン9により前記容器25の内部へ送風された試料ガス中の放射能濃度を測定するようにしたので、検出部2が小型かつ簡素になり、高感度かつ低コストの放射線モニタとしての放射線測定システムが実現できる。
【0050】
実施の形態9.
この発明による実施の形態9を図11について説明する。図11は実施の形態9に係わる放射線モニタを示す側面図である。
この実施の形態9において、ここで説明する特有の構成以外の構成については、先に説明した実施の形態1から実施の形態3までおよび実施の形態7における構成と同一の構成内容を具備し、同様の作用を奏するものである。図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
【0051】
実施の形態8の放射線モニタは、送風ファン9で試料ガスを試料容器25に導入するが、この実施の形態9では、図11に示すように、試料容器25の片側に送風ファン9を接続し、反対側に蛇腹ダクト10を接続したものであり、送風ファン9は換気と試料ガス導入の機能を兼ねるため、高感度かつ低コストの放射線モニタが実現できる。
この蛇腹ダクト10は、屈曲可能で軸方向に伸縮可能な排気ダクトを構成するものであり、試料容器25の内部空間を屋外の外部空間に連通し、送風ファン9により試料容器25へ導入されて放射線を測定された試料ガスを外部空間へ排出するとともに、試料容器25が設けられた室内の換気をも行うものである。
なお、既存の設備に蛇腹ダクトと送風ファンがある場合、既存設備の送風ファンを送風ファン9として利用したり、既存設備の蛇腹ダクトを蛇腹ダクト10として利用できることは言うまでもない。
【0052】
(9A)この発明による実施の形態9によれば、実施の形態7における前記(7A)項における構成において、前記容器25の内部に通された被測定体1としての試料ガスを排出し換気する蛇腹ダクト10からなる屈曲可能で軸方向に伸縮可能な排気ダクトを設けたので、換気と試料ガス導入の機能を兼ねることができ、高感度かつ低コストの放射線モニタとしての放射線測定システムが実現できる。
【符号の説明】
【0053】
1 被測定体、11 ドラム缶、2 検出部、21 帯状シンチレーションファイバー、21a 第1の帯状シンチレーションファイバー、21b 第2の帯状シンチレーションファイバー、211 シンチレーションファイバー、212 可撓性の基板、213 遮光膜、22 β線遮蔽体、22a 第1のβ線遮蔽体、22b、23 光電子増倍管、23a 第1の光電子増倍管、23b 第2の光電子増倍管、23c 第3の光電子増倍管、23d 第4の光電子増倍管、24 前置増幅器、24a 第1の前置増幅器、24b 第2の前置増幅器、24c 第3の前置増幅器、24d 第4の前置増幅器、25 試料容器、26 板状シンチレータ、27 カバー、28 同時計数回路、3 測定部、4 サンプリング部、41 フィルタ、42 ポンプ、5 架台、6 検出部移動装置、61 上部移動機構、62 下部移動機構、63 左部移動機構、64右部移動機構、7 自動走行ロボット、8 自己位置測定装置、9 送風ファン、10 蛇腹ダクト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定体から放射される放射線および環境γ線と反応する第1の反応体、被測定体から放射されるβ線を遮断する第1のβ線遮蔽体、被測定体から放射される放射線を前記第1のβ線遮蔽体を介して受け環境γ線と反応する第2の反応体、前記第2の反応体への環境β線を遮断する第2のβ線遮蔽体、前記第1の反応体および第2の反応体が放射線に反応した結果をそれぞれ計数用信号に変換する変換部、前記変換部により変換された計数用信号を入力して演算し出力信号に変換して出力する測定部を備え、前記測定部には、第2の反応体で検出された放射線の測定結果に基づきβ線の影響を受けることなく被測定体から放射されるγ線および環境γ線との反応結果に比例したγ線の影響度を導出するγ線影響度導出手段と、第1の反応体で検出された放射線の測定結果に基づきこの測定結果に前記γ線影響度導出手段で導出されたγ線影響度を補償して被測定体から放出されるβ線を測定するβ線測定手段とを設けたことを特徴とする放射線測定システム。
【請求項2】
前記第1および第2の反応体および前記第1および第2のβ線遮蔽体で構成される検出部と測定部を搭載して床面を自動走行する自動走行手段と、前記自動走行手段の位置を特定する位置同定手段と、測定位置と測定結果を記録する記録手段とを備え、前記位置同定手段により前記自動走行手段の位置を特定しながら前記記録手段によって測定位置と測定結果を記録し床面の表面汚染を自動検査することを特徴とする請求項1に記載の放射線測定システム。
【請求項3】
前記第1および第2の反応体を構成するシンチレーションファイバー層は、可撓性の遮光基板にプラスチックシンチレーションファイバーをU字型に曲げて順次ずらし、密着して貼り付け、前記プラスチックシンチレーションファイバーを遮光膜で覆ったものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線測定システム。
【請求項4】
前記プラスチックシンチレーションファイバーの外径を0.3mm以下としたことを特徴とする請求項3に記載の放射線モニタまたは放射能汚染検査装置。
【請求項5】
前記第1および第2のβ線遮蔽体として金属または金属を練りこんだプラスチック部材を使用したことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の放射線測定システム。
【請求項6】
帯状に形成された第1および第2の反応体と、前記第1および第2の反応体を構成する各帯状反応体の両端でそれぞれ受光され出力された計数用信号を同時計数する同時計数手段と、前記同時計数手段の出力に応じて放射線を測定する測定部とを設けたことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の放射線測定システム。
【請求項7】
被測定体としての試料ガスが内部に通されるβ線遮蔽材料からなる容器を備え、前記容器を前記第1のβ線遮蔽体として構成し、前記容器の内面に前記第1の反応体を設けるとともに、前記容器の外面に前記第2の反応体を設けたことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載の放射線測定システム。
【請求項8】
前記容器に被測定体としての試料ガスを送風する送風ファンを備え、前記送風ファンにより送風された試料ガス中の放射能濃度を測定することを特徴とする請求項7に記載の放射線測定システム。
【請求項9】
前記容器の内部に通された被測定体としての試料ガスを排出し換気する排気ダクトを設けたことを特徴とする請求項7に記載の放射線測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−237232(P2010−237232A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171241(P2010−171241)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【分割の表示】特願2006−8184(P2006−8184)の分割
【原出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】