放射線測定装置

【課題】K40とK40以外の放射性物質を含有した土壌で栽培された農作物の放射線量を同時に測定して、手間及びコスト高を回避しうる放射線測定装置を提供する。
【解決手段】カリウム40(K40)とK40以外の放射性物質からの放射線が入射することにより光を発生するシンチレータ,及びこのシンチレータにおいて発生する光を検出して検出信号を出力するフォトダイオードを有した放射線検出部1と、前記フォトダイオードの出力を増幅する主増幅器6と、この主増幅器に接続され,K40とK40以外の放射性物質からの放射線の夫々のエネルギーに対する強度を判定する第1・第2のコンパレータ7,8と、これらのコンパレータに接続され,デジタル化したK40とK40以外の放射性物質の放射線量とスペクトルの特性を表す表示データを生成する制御部9と、この制御部に接続され,前記表示データを表示する表示部10とを具備することを特徴とする放射線測定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然界に元々存在するカリウム40(K40)とK40以外の放射性物質の放射線量を同時に検出する放射線測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2011年3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震に起因する原子力発電所での水素爆発等により、セシウム137(Cs137)等の放射性物質が大気中や海水中に放出し、農業被害や漁業被害、あるいは人体への悪影響をもたらしつつある。一般に、大気中に放出された放射性物質は、農耕地等の土壌に蓄積されるため、Cs137等の放射性物質で汚染された土壌で栽培された野菜等の農作物にも放射性物質が含まれている可能性が大きい。
【0003】
そこで、原子力発電所での水素爆発以降、原子力発電所の周辺地土壌で栽培された農作物の出荷前に、農作物中に含まれる放射線量検査が行われている。ところで、土壌には土壌の栄養3成分の一つである天然放射性核種のK40がもともと含まれているため、放射線量測定の際にK40の放射線量が与える影響が大きく、Cs137等の放射性物質の放射線量のみを正確に測定することが困難であった。そのため、今までCs137等の放射線量とK40の放射線量は別々の装置で測定されていた。従来、放射性物質を測定する技術としては、例えば特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−281441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、Cs137等の放射線量とK40の放射線量を別々の装置で測定することは、手間がかかるとともに、コスト高を招くという課題があった。
本発明はこうした事情を考慮してなされたもので、K40とK40以外の放射性物質を含有した土壌で栽培された農作物中の放射線量とK40の放射線量を同時に測定可能で、手間及びコスト高を回避しうる放射線測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の放射線測定装置は、カリウム40とカリウム40以外の放射性物質からの放射線が入射することにより光を発生するシンチレータ,及びこのシンチレータにおいて発生する光を検出して検出信号を出力するフォトダイオードを有した放射線検出部と、前記フォトダイオードの出力を増幅する増幅器と、この増幅器に接続され,カリウム40とカリウム40以外の放射性物質の夫々のエネルギーに対する強度を判定する第1・第2のコンパレータと、これらのコンパレータに接続され,デジタル化したカリウム40とカリウム40以外の放射性物質の放射線量とスペクトルの特性を表す表示データを生成する制御部と、この制御部に接続され,前記表示データを表示する表示部とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、K40とK40以外の放射性物質を含有した土壌で栽培された農作物中の放射性物質の放射線量を同時に測定して、手間及びコスト高を回避しうる放射線測定装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る放射線測定装置の構成図。
【図2】図1の放射線測定装置の一構成要素である放射線検出部の概略的な説明図。
【図3】図1の放射線測定装置によるエネルギーと強度との関係を示す特性図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の放射線測定装置について説明する。但し、本発明は下記に述べる実施形態に限定されない。
(実施形態)
本実施形態に係る放射線測定装置について図1及び図2を参照して説明する。
図中の符号1は放射線検出部を示す。この放射線検出部1は、図2に示すように、Cs137とK40が入射することにより光2を発生するシンチレータ3と、このシンチレータ3で発生する光2を検出して検出信号を出力するフォトダイオード4とから構成されている。前記シンチレータ3は、ヨウ化セシウムの結晶で、Cs137とK40が入射すると、その放射線エネルギーが吸収されて蛍光現象を発する。フォトダイオード4は、その光2を捕らえて発生した信号の数を測定する。
【0010】
前記放射線検出部1には、前置増幅器5、主増幅器6が順次接続されている。前置増幅器5によりフォトダイオード4からの波形が成形され、主増幅器6によりフォトダイオード4の出力が増幅される。主増幅器6には、Cs137及びK40以外の放射性物質の放射線量を合算したものとK40の夫々のパルス波形を形成する第1のコンパレータ7,第2のコンパレータ8が夫々並列に接続されている。これらのコンパレータ7,8には、デジタル化したCs137及びK40以外の放射性物質の放射線量を合算したものとK40の夫々の放射線量とスペクトルの特性を表す表示データを生成する制御部9が接続されている。
【0011】
例えば、第1のコンパレータ7からはCs137及びK40以外の放射性物質の放射線量を合算したものである判定結果を表すパルス信号が制御部9に送られ、第2のコンパレータ8からはK40である判定結果を表すパルス信号が制御部9に送られる。前記制御部9には、この制御部9で生成された表示データを表示する表示部10が接続されている。第1のコンパレータ7でパルス波形を形成するときのしきい値は150KeV〜1500KeV(前者)に設定され、第2のコンパレータ8でパルス波形を形成するときのしきい値は1460KeV〜1500KeV(後者)に設定されている。
【0012】
図3は、上記放射線測定装置によるK40とK40以外の放射線物質の夫々の放射線のエネルギーと強度との関係を示すスペクトル図を示す。図3より、1460KeV〜1500KeVは大半がK40のため、150KeV〜1500KeVのカウント/分から1460KeV〜1500KeVのカウント/分を差し引くことにより、安全なK40を除くCs137及びK40以外の放射性物質の放射線量を合算したものの放射線量を多重波高解析器を使用せずに検出することができる。なお、図3において、Cs137は661.6KeVでピークを持ち、K40は1460.8KeVでピークを持つ。
【0013】
上記実施形態によれば、放射線検出部1のフォトダイオード4の出力を主増幅器6により増幅し、コンパレータ7,8により形成したパルス波形に基づいてデジタル化したCs137及びK40以外の放射性物質の放射線量を合算したものとK40の夫々の放射線量とスペクトルを夫々表示部10に表示する構成であるため、K40を含有した土壌で栽培された農作物のCs137及びK40以外の放射性物質の放射線量を合算したものとK40の放射線量を同時に測定することができる。従って、従来のようにCs137及びK40以外の放射性物質の放射線量を合算したものとK40の放射線量を夫々個別に測定することがないので測定の手間を少なくすることができるとともに、安全なK40を除くCs137及びK40以外の放射性物質の放射線量を合算したものの放射線量を多重波高解析器を使用せずに検出することができるのでコスト低減化を図ることができる。
【0014】
なお、上記実施形態では、K40とCs137及びK40以外の放射性物質の放射線量を合算したものの放射性物質の放射線量を同時に測定する場合について述べたが、これに限らず、K40とCs137以外の放射性物質(例えばセシウム134)を同時に測定する場合にも適用できる。また、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。更に、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0015】
1…放射線検出部、3…シンチレータ、4…フォトダイオード、5…前置増幅器、6…主増幅器、7…第1のコンパレータ、8…第2のコンパレータ、9…制御部、10…表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カリウム40とカリウム40以外の放射性物質が入射することにより光を発生するシンチレータ,及びこのシンチレータにおいて発生する光を検出して検出信号を出力するフォトダイオードを有した放射線検出部と、
前記フォトダイオードの出力を増幅する増幅器と、
この増幅器に接続され,カリウム40とカリウム40以外の放射性物質の夫々のエネルギーに対する強度を判定する第1・第2のコンパレータと、
これらのコンパレータに接続され,デジタル化したカリウム40とカリウム40以外の放射性物質の放射線量とスペクトルの特性を表す表示データを生成する制御部と、
この制御部に接続され,前記表示データを表示する表示部とを
具備することを特徴とする放射線測定装置。
【請求項2】
前記第1・第2のコンパレータでパルス波形を形成するときのしきい値は、150KeV〜1500KeVと1460KeV〜1500KeVであることを特徴とする請求項1記載の放射線測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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