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放射線滅菌された成形体
説明

放射線滅菌された成形体

【課題】放射線滅菌処理を施しても、内容液への溶出量少なく、機械特性の低下が少なく、透明性、耐熱性、柔軟性に優れた放射線滅菌された成形体を提供する。
【解決手段】シンジオタクティックプロピレン重合体(A)100〜10重量部と、プロピレン・α-オレフィン共重合体(B)0〜90重量部(ただし、(A)および(B)の
合計を100重量部とする。)とを含むプロピレン系重合体組成物からなる放射線滅菌された成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シンジオタクティックプロピレン重合体からなる放射線滅菌された成形体、ならびにシンジオタクティックプロピレン重合体およびプロピレン・α-オレフィン共重
合体を含むプロピレン系重合体組成物からなる放射線滅菌された成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポリプロピレンなどのポリオレフィンからなる成形品を医療器具、衛生用具および食品包装材などに使用する場合、オートクレーブ滅菌およびエチレンオキサイドガス(EOG)滅菌の他に、γ線または電子線などの放射線を照射して滅菌することが行われている。オートクレーブ滅菌は容器変形が問題となることが多く、耐熱性が必要とされる。また、EOG滅菌は、残留ガスの発ガン性が指摘され、その利用は減少傾向にある。そのためγ線または電子線による放射線滅菌が注目されている。しかしながら、ポリプロピレン系重合体はその分子構造上、放射線により分子鎖が切断されやすく、通常、滅菌線量の目安とされる20kGy程度の放射線照射によって、分解および劣化が著しく進行し、伸びおよび耐衝撃性などの機械的物性が低下する。さらに、これら医療器具、衛生用具および食品包装材では、誤投与および誤飲・誤食の防止のために内容物の視認性が求められ、実装材料には、透明性が要求されるが、分解によって生じる低分子量成分が内容物に溶出し、内容液の変色および変質を生じる危険性がある。
【0003】
放射線照射によってポリオレフィン系材料で生ずる上記の問題を解決することを目的として、以下のような種々のポリオレフィン組成物が提案されている。
【0004】
特許文献1には、プロピレン単独重合体またはプロピレン・エチレンランダム共重合体の混合物をラジカル発生剤により減成したもの100重量部に対して、ソルビトール系造核剤0.10〜0.5重量部を混合して得られる、成形性、透明性および耐衝撃性に優れた樹脂組成物が開示されている。
【0005】
特許文献2には、ポリプロピレン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体の混合物またはこれらの樹脂混合物100重量部に対し、リン系酸化防止剤0.01〜0.125重量部、ヒンダードアミン系化合物0.01〜0.1重量部およびステアリン酸カルシウム0.01〜0.1重量部を混合して得られる、押出成形性および外観に優れ、また臭気の少ない樹脂組成物が開示されている。
【0006】
特許文献1および2には、アイソタクティックポリプロピレンからなる樹脂組成物および成形体が報告されている。しかしながら、アイソタクティック構造を持つため酸素存在下では、放射線照射によりラジカルに酸素が反応し、パーオキシラジカルから発生する分子鎖の切断が多く発生する。そのため、機械物性が低下するほか、低分子量成分の発生が起こり、内容物への溶出が発生する。さらに、結晶サイズが大きいため、透明性も内容物の確認のためには不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3339033号公報
【特許文献2】特開2007−231036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、放射線滅菌処理を施しても、透明で、分解により発生した低分子量成分の溶出が少なく、機械物性の低下が小さい成形体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のシンジオタクティックプロピレン重合体からなる放射線滅菌された成形体、または、特定のシンジオタクティックプロピレン重合体およびプロピレン・α-オレフィン共重合体を含むプロピレン系
重合体組成物からなる放射線滅菌された成形体が透明で、容器等に用いる場合に低分子量成分の内容液への溶出が少なく、また、機械物性の低下も小さいことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明には以下の事項が含まれる。
【0011】
〔1〕シンジオタクティックプロピレン重合体(A)100〜10重量部と、プロピレン・α-オレフィン共重合体(B)0〜90重量部(ただし、(A)と(B)との合計を
100重量部とする。)とを含むプロピレン系重合体組成物からなる放射線滅菌された成形体であって、
該シンジオタクティックプロピレン重合体(A)が下記要件(a)を充足し、該プロピレン・α-オレフィン共重合体(B)が下記要件(b)を充足することを特徴とする放射
線滅菌された成形体。
【0012】
(a):13C-NMRにより測定されるシンジオタクティックペンタッド分率(rrrr分
率)が85%以上であり、DSCより求められる融点(Tm)が145℃以上であり、プロピレンから導かれる構成単位を90モル%(ただし、該シンジオタクティックプロピレン重合体(A)中の構成単位の全量を100モル%とする。)を超える量で含有する。
【0013】
(b):プロピレンから導かれる構成単位を55〜90モル%の量で含有し、炭素原子数2〜20のα-オレフィン(プロピレンを除く)から導かれる構成単位を10〜45モ
ル%(ただし、プロピレンから導かれる構成単位と炭素原子数2〜20のα−オレフィン(プロピレンを除く)から導かれる構成単位との合計を100モル%とする。)の量で含有し、JIS K 6721に準拠して230℃、2.16kg荷重にて測定したMFRが
0.01〜100g/10分の範囲にあり、かつ下記要件(b−1)および(b−2)のいずれか一つ以上を満たす。
【0014】
(b−1):13C-NMR法により測定したシンジオタクティックトライアッド分率(rr分率)が60%以上である。
【0015】
(b−2):135℃デカリン中で測定した極限粘度[η](dL/g)と前記MFR(g/10分、230℃、2.16kg荷重)とが下記の関係式を満たす。
【0016】
1.50×MFR(-0.20)≦[η]≦2.65×MFR(-0.20)
〔2〕前記プロピレン系重合体組成物の(1)JIS K 7196に準拠して測定した針進入温度が100〜175℃であることを特徴とする〔1〕に記載の放射線滅菌された成形体。
【0017】
〔3〕前記プロピレン系重合体組成物の(1)JIS K 7196に準拠して測定した針進入温度が100〜175℃であり、(2)JIS K 6301に準拠して測定した引張弾性率が10〜2000MPaの範囲にあり、(3)1mm厚プレスシートの内部ヘイズ値が30%以下であることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の放射線滅菌された成形体。
【0018】
〔4〕前記シンジオタクティックプロピレン重合体(A)の135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1〜10dL/gの範囲にあり、示差走査熱量計(DSC)により求めた融解熱量(ΔH)が40mJ/mg以上であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の放射線滅菌された成形体。
【0019】
〔5〕前記プロピレン・α-オレフィン重合体(B)のゲルパーミエーションクロマト
グラフィー(GPC)により求めた分子量分布(Mw/Mn)が3.5以下であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の放射線滅菌された成形体。
【0020】
〔6〕〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の放射線滅菌された成形体を用いて得られた医療用器具。
【0021】
〔7〕〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の放射線滅菌された成形体を少なくとも一層含むことを特徴とする積層体からなる医療用器具。
【0022】
〔8〕〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の放射線滅菌された成形体を用いて得られた衛生用具。
【0023】
〔9〕〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の放射線滅菌された成形体を少なくとも一層含むことを特徴とする積層体からなる衛生用具。
【0024】
〔10〕〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の放射線滅菌された成形体を用いて得られた食品包装材料。
【0025】
〔11〕〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の放射線滅菌された成形体を少なくとも一層含むことを特徴とする積層体からなる食品包装材料。
【発明の効果】
【0026】
本発明の放射線滅菌された成形体は、放射線滅菌による分解および劣化が進行しにくいため、分解により発生した低分子量成分の溶出を抑制でき、機械物性の低下も抑制でき、かつ、透明性にも優れる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の放射滅菌された成形体は、シンジオタクティックプロピレン重合体(A)100〜10重量部と、プロピレン・α-オレフィン共重合体(B)0〜90重量部(ただし
、(A)および(B)の合計を100重量部とする。)とを含むプロピレン系重合体組成物からなり、
該シンジオタクティックプロピレン重合体(A)が下記要件(a)を充足し、該プロピレン・α-オレフィン共重合体(B)が下記要件(b)を充足することを特徴としている

【0028】
(a):13C-NMRにより測定されるシンジオタクティックペンタッド分率(rrrr分
率)が85%以上であり、DSCより求められる融点(Tm)が145℃以上であり、プロピレンから導かれる構成単位を90モル%(ただし、該シンジオタクティックプロピレン重合体(A)中の構成単位の全量を100モル%とする。)を超える量で含有する。
【0029】
(b):プロピレンから導かれる構成単位を55〜90モル%の量で含有し、炭素原子数2〜20のα-オレフィン(プロピレンを除く)から導かれる構成単位を10〜45モ
ル%(ただし、プロピレンから導かれる構成単位と炭素原子数2〜20のα−オレフィン
(プロピレンを除く)から導かれる構成単位との合計を100モル%とする。)の量で含有し、JIS K 6721に準拠して230℃、2.16kg荷重にて測定したMFRが
0.01〜100g/10分の範囲にあり、かつ下記要件(b−1)および(b−2)のいずれか一つ以上を満たす。
【0030】
(b−1):13C-NMR法により測定したシンジオタクティックトライアッド分率(rr分率)が60%以上である。
【0031】
(b−2):135℃デカリン中で測定した極限粘度[η](dL/g)と前記MFR(g/10分、230℃、2.16kg荷重)とが下記の関係式を満たす。
【0032】
1.50×MFR(-0.20)≦[η]≦2.65×MFR(-0.20)
以下、本発明の放射線滅菌された成形体について具体的に説明する。
【0033】
[シンジオタクティックプロピレン重合体(A)]
本発明に係るシンジオタクティックプロピレン重合体(A)は、ホモポリプロピレンであってもよいし、プロピレンおよび炭素原子数2〜20のα-オレフィン(プロピレンを
除く)のランダム共重合体またはブロック共重合体であってもよいが、好ましくはホモポリプロピレンあるいはプロピレンおよび炭素原子数2〜20のα-オレフィン(プロピレ
ンを除く)のランダム共重合体であり、より好ましくはホモポリプロピレンあるいはプロピレンおよび炭素原子数2〜10のα-オレフィン(プロピレンを除く)のランダム共重
合体であり、特に好ましくはホモポリプロピレンあるいはプロピレン、エチレンおよび炭素原子数4〜10のα-オレフィンのランダム共重合体であり、最も好ましくは、耐熱性
などの点からホモポリプロピレンである。
【0034】
ここで、プロピレン以外の炭素原子数2〜20のα-オレフィンとしては、エチレン、
1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン
、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンおよび1-エイコセンなどが挙げられる。
【0035】
プロピレンから導かれる構成単位は、シンジオタクティックプロピレン重合体(A)中の構成単位の合計100モル%中、90モル%を超える量、好ましくは91モル%以上含まれている。また、シンジオタクティックプロピレン重合体(A)がプロピレン・α-オ
レフィンランダム共重合体である場合には、炭素原子数2〜20のα-オレフィン(プロ
ピレンを除く)から導かれる構成単位を通常0.3〜7モル%、好ましくは0.3〜6モル%、より好ましくは0.3〜5モル%の量で含有している。
【0036】
前記シンジオタクティックプロピレン重合体(A)は、NMR法により測定したシンジオタクティックペンタッド分率(rrrr分率、ペンタッドシンジオタクティシティー)が85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは93%以上、特に好ましくは94%以上である。rrrr分率が上記の範囲にあると、シンジオタクティックプロピレン重合体(A)は、成形性、耐熱性および透明性に優れ、結晶性ポリプロピレンとしての特性が良好なものとなる。なおrrrr分率の上限は特にはないが、通常は、例えば99%以下である。
【0037】
また、シンジオタクティックプロピレン重合体(A)を用いることで、結晶化が抑制され、低結晶化および微細球晶化が起こるため、得られる本発明の成形体は透明性の高いものとなる。さらに、シンジオタクティックプロピレン重合体(A)を用いて得られる本発明の放射線滅菌された成形体は、シンジオタクティックプロピレン重合体(A)の立体構造の特徴から、放射線による滅菌処理を持続的に行うことによる分解および劣化が進行しにくく、分解により発生した低分子量成分の溶出や機械物性の低下も抑制されたものとな
る。
【0038】
このシンジオタクティックペンタッド分率(rrrr分率)は、以下のようにして測定される。
【0039】
rrrr分率は、13C-NMRスペクトルにおけるPrrrr(プロピレン単位が5単位連続し
てシンジオタクティック結合した部位における第3単位目のメチル基に由来する吸収強度)およびPw(プロピレン単位の全メチル基に由来する吸収強度)の吸収強度から下記式(1)により求められる。
【0040】
rrrr分率(%)=100×Prrrr/Pw…(1)
NMR測定は、例えば、次のようにして行われる。すなわち、試料0.35gをヘキサクロロブタジエン2.0mlに加熱溶解させる。この溶液をグラスフィルター(G2)で濾過した後、重水素化ベンゼン0.5mlを加え、内径10mmのNMRチューブに装入する。そして日本電子製GX-500型NMR測定装置を用い、120℃で13C-NMR測定を行う。積算回数は10,000回以上とする。
【0041】
シンジオタクティックプロピレン重合体(A)を135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]は、好ましくは0.1〜10dL/g、より好ましくは0.5〜10dL/g、さらに好ましくは0.5〜8dL/g、よりさらに好ましくは0.95〜8dL/g、特に好ましくは1〜8、さらに特に好ましくは1.4〜8dL/g、最も好ましくは1.4〜5dL/gである。極限粘度[η]値が上記の範囲にあると、シンジオタクティックプロピレン重合体(A)は、良好な流動性を示すため、他の成分と配合して、得られる本発明の成形体を機械強度に優れたものとすることができる。
【0042】
さらに、シンジオタクティックプロピレン重合体(A)の示差走査熱量計(DSC)測定により得られる融点(Tm)は、145℃以上、好ましくは147℃以上であり、より好ましくは150℃以上であり、さらに好ましくは155℃以上であり、特に好ましくは156℃以上である。なお、Tmの上限は特にはないが、通常は、例えば170℃以下である。また、シンジオタクティックプロピレン重合体(A)の示差走査熱量計(DSC)測定により得られる融解熱量(ΔH)は、好ましくは40mJ/mg以上、より好ましく
は45mJ/mg以上、さらに好ましくは50mJ/mg以上、特に好ましくは52mJ/
mg以上、最も好ましくは55mJ/mg以上である。
【0043】
示差走査熱量計(DSC)測定は、例えば、次のようにして行われる。試料5.00m
g程度を専用アルミパンに詰め、パーキンエルマー社製DSCPyris1またはDSC
7を用い、30℃から200℃までを320℃/minで昇温し、200℃で5分間保持した後、200℃から30℃までを10℃/minで降温し、30℃でさらに5分間保持した後、次いで10℃/minで昇温する際の吸熱曲線から融点(Tm)および融解熱量(ΔH)を求める。なお、DSC測定時に、複数のピークが検出される場合は、最も高温側で検出されるピークを、融点(Tm)と定義する。
【0044】
融点(Tm)および融解熱量(ΔH)が上記の範囲にあるシンジオタクティックプロピレン重合体(A)は、成形性、耐熱性および機械特性に優れ、結晶性のポリプロピレンとしての特性が良好である。融点(Tm)が上記の範囲にあるシンジオタクティックプロピレン重合体(A)は、後述するシンジオタクティックプロピレン重合体(A)の製造方法において触媒系および重合条件を設定することにより製造される。
【0045】
シンジオタクティックプロピレン重合体(A)は、架橋メタロセン化合物を重合触媒として使用した重合方法によって製造することができる。具体的には、国際公開第2006
/123759号パンフレットに記載された方法により製造することができる。
【0046】
本発明に係るシンジオタクティックプロピレン重合体(A)は、シンジオタクティックプロピレン重合体(A)およびプロピレン・α-オレフィン共重合体(B)の合計100
重量部中、100〜10重量部、好ましくは100〜15重量部、特に好ましくは100〜20重量部含まれる。シンジオタクティックプロピレン重合体(A)の含有量が上記の範囲にあると、耐熱性および機械強度の観点から好ましい。
【0047】
また、シンジオタクティックプロピレン重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した標準ポリスチレン換算の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.5以下である。
【0048】
[プロピレン・α-オレフィン共重合体(B)]
本発明に係るプロピレン・α-オレフィン共重合体(B)はプロピレンから導かれる構
成単位を55〜90モル%の量で含有し、炭素原子数2〜20のα-オレフィン(プロピ
レンを除く)から導かれる構成単位を10〜45モル%の量で含有する。
【0049】
具体的には、シンジオタクティックプロピレン重合体(A)が(A)および(B)の合計100重量部中、50重量部以上含まれる場合、プロピレン・α-オレフィン共重合体
(B)はプロピレンから導かれる構成単位を55〜90モル%、好ましくは55〜85モル%、より好ましくは60〜85モル%、炭素原子数2〜20のα-オレフィン(プロピ
レンを除く)から導かれる構成単位を10〜45モル%、好ましくは15〜45モル%、より好ましくは15〜40モル%含有する。一方、シンジオタクティックプロピレン重合体(A)の含有量が(A)および(B)の合計100重量部中、10重量部以上50重量部未満である場合、プロピレン・α-オレフィン共重合体(B)はプロピレンから導かれ
る構成単位を55〜90モル%、好ましくは65〜85モル%、より好ましくは70〜85モル%、炭素原子数2〜20のα-オレフィン(プロピレンを除く)から導かれる構成
単位を10〜45モル%、好ましくは15〜35モル%、より好ましくは15〜30モル%含有する。ただし、プロピレンから導かれる構成単位と、炭素原子数2〜20のα-オ
レフィン(プロピレンを除く)から導かれる構成単位との合計は100モル%である。
【0050】
炭素原子数2〜20のα-オレフィン(プロピレンを除く)としては、エチレン、3-メチル-1-ブテン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-
オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデ
センおよび1-エイコセンなどが挙げられる。このうち、エチレン、1-ブテン、1-ヘキ
セン、4-メチル-1-ペンテンおよび1-オクテンが好ましく、エチレンがより好ましい。
【0051】
上述したように、プロピレン・α-オレフィン共重合体(B)としては、プロピレン・
エチレン共重合体を用いるのが好ましいが、プロピレン・エチレン共重合体以外に、プロピレンから導かれる構成単位と、エチレンから導かれる構成単位と、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテンおよび1-オクテンの中から選ばれる少なくとも1種のモノマー(以下「HAOコモノマー」ともいう。)から導かれる構成単位とからなり、エチレンから導かれる構成単位の割合(モル%)がHAOコモノマーから導かれる構成単位の割合(モル%)よりも多いプロピレン・エチレン・HAO共重合体を用いてもよい。この場合、プロピレン・エチレン・HAO共重合体は、プロピレンから導かれる構成単位を好ましくは55〜85モル%、より好ましくは60〜85モル%、エチレンおよびHAOコモノマーから導かれる構成単位を好ましくは15〜45モル%、より好ましくは15〜40モル%含有する。なお、プロピレンから導かれる構成単位ならびにエチレンおよびHAOコモノマーから導かれる構成単位の合計は100モル%である。
【0052】
プロピレン・α-オレフィン共重合体(B)を構成する成分が上記の範囲にあるとき、
本発明に係るプロピレン系重合体組成物は、耐熱性、透明性および耐衝撃性のバランスに特に優れる。
【0053】
本発明に係るプロピレン・α-オレフィン共重合体(B)は、JIS K 6721に準
拠して230℃、2.16kg荷重にて測定したMFRが0.01〜100g/分、好ま
しくは0.02〜100g/10分の範囲にあり、かつ下記要件(b−1)および(b−2)のいずれか一つ以上を満たす。
【0054】
(b−1):13C-NMR法により測定したシンジオタクティックトライアッド分率(rr)が60%以上である。
【0055】
(b−2):135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η](dL/g)と、JIS
K 6721に準拠して230℃、2.16kg荷重にて測定したMFR(g/10分)
とが下記の関係式を満たす。
【0056】
1.50×MFR(-0.20)≦[η]≦2.65×MFR(-0.20)
まず、要件(b−1)について以下に説明する。
【0057】
(b−1):プロピレン・α-オレフィン共重合体(B)の13C−NMR法により測定
したシンジオタクティックトライアッド分率(rr分率、トライアッドシンジオタクティシティー)は60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上である。rr分率が上記の範囲にあるとき、プロピレン・α-オレフィン共重合体(B)は、シンジ
オタクティックプロピレン重合体(A)との相溶性が良好なものとなる。また、プロピレン・α-オレフィン共重合体(B)のrr分率が上記の範囲にあると、放射線による滅菌
処理を持続的に行っても分解および劣化が進行しにくく、分解により発生する低分子量成分の溶出を抑制でき、機械物性の低下も抑制でき、透明性の高い放射線滅菌された成形体を得ることができる。
【0058】
要件(b−1)を満たす重合体は、例えば、シンジオタクティックプロピレン重合体(A)を製造可能な触媒の存在下でプロピレンとα−オレフィンとを共重合して製造することもできるし、後述する国際公開第2006/123759号パンフレットに記載された方法を用いて製造することもできる。
【0059】
rr分率は、13C-NMRスペクトルにおけるPrr(プロピレン単位が3単位連続して
シンジオタクティック結合した部位における第2単位目のメチル基に由来する吸収強度)およびPw(プロピレン単位の全メチル基に由来する吸収強度)の吸収強度から下記式(
2)により求められる。
【0060】
rr分率(%)=100×Prr/Pw …(2)
ここで、mr由来の吸収(プロピレン単位が3単位のうち、少なくともシンジオタクティック結合およびアイソタクティック結合の両方に由来する吸収;Pmr(吸収強度)の決定に用いる)、rr由来の吸収(プロピレン単位が3単位連続してシンジオタクティック結合した部位における第2単位目のメチル基に由来する吸収;Prr(吸収強度)の決定に用いる)またはmm由来の吸収(プロピレン単位が3単位連続してアイソタクティック結合した部位における第2単位目のメチル基に由来する吸収;Pmm(吸収強度)の決定に用いる)と、コモノマーに由来する吸収とが重なる場合には、コモノマー成分の寄与を差し引かずにそのまま算出する。
【0061】
具体的には、特開2002-097325号公報の[0018]〜[0031]段落に
記載された「シンジオタクティシティパラメータ(SP値)」の求め方の記載のうち、[
0018]〜[0023]段落に記載された、第1領域、第2領域および第3領域のシグナ
ルの積算強度から上記式(2)を用いて計算することにより求める。
【0062】
なお、本発明では、rr1値、具体的には、特開2002-097325号公報の[0018]〜[0031]段落に記載された「シンジオタクティシティパラメータ(SP値)」の求め方に従って求めた値が、60%以上、好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上である。rr1値とは、前記rr値の計算において、mr由来の吸収、rr由来
の吸収またはmm由来の吸収と、コモノマーに由来する吸収とが重なる場合には、コモノマー成分の寄与を差し引いたものである。
【0063】
rr値およびrr1値の測定において、13C−NMR測定は、例えば、次のようにして
行われる。すなわち、試料0.35gをヘキサクロロブタジエン2.0mlに加熱溶解させる。この溶液をグラスフィルター(G2)で濾過した後、重水素化ベンゼン0.5mlを加え、内径10mmのNMRチューブに装入する。そして日本電子製GX-400型N
MR測定装置を用い、温度120℃、積算回数8,000回以上の条件で13C-NMR測定を行う。
【0064】
次に要件(b−2)について説明する。
【0065】
(b−2):プロピレン・α-オレフィン共重合体(B)は、135℃、デカリン中で
測定した極限粘度[η](dL/g)と、JIS K 6721に準拠して230℃、2.
16kg荷重にて測定したMFR(g/10分)とが下記の関係式を満たす。
【0066】
1.50×MFR(-0.20)≦[η]≦2.65×MFR(-0.20)
好ましくは下記の関係式を満たす。
【0067】
1.80×MFR(-0.20)≦[η]≦2.50×MFR(-0.19)
上記の関係式を充足するプロピレン・α-オレフィン共重合体(B)は、シンジオタク
ティックプロピレン重合体(A)との相溶性が良好なため好ましい。
【0068】
上記式を満たすプロピレン・α-オレフィン共重合体(B)は、例えば、シンジオタク
ティックプロピレン重合体(A)を製造可能な触媒を使用してプロピレンとα−オレフィンとを共重合してもよいし、その他の触媒を用いて重合してもよい。このようにして得られたプロピレン・α-オレフィン共重合体(B)はシンジオタクティックプロピレン重合
体(A)との相溶性が良好なものとなる。
【0069】
要件(b−2)を満たすプロピレン・α-オレフィン共重合体(B)は、従来のアイソ
タクティックプロピレン系共重合体と比べて、極限粘度[η]は同一であるが、MFR値が高い。
【0070】
これは、「Macromolecules」1998年、第31巻、p.1335−1340に記載されるように、アイソタクティックポリプロピレンの絡み合い点間分子量(論文では、Me=6900(g/mol)と報告されている)と、シンジオタクティックポリプロピレンの絡み合い点間分子量(論文では、Me=2170(g/mol)と報告されている)との違いに起因すると考えられる。すなわち、[η]が同一の場合、シンジオタクティック構造を持つことによって、アイソタクティック構造を有する材料と比べて絡み合い点が多くなり、MFR値が高くなると考えられる。
【0071】
以上のように、要件(b−1)および(b−2)のうち、いずれか一つ以上を満たすプロピレン・α−オレフィン共重合体(B)は、アイソタクティック構造とは異なった立体規則性であるシンジオタクティック構造を有するものと考えられる。このためにプロピレン・α-オレフィン共重合体(B)はシンジオタクティックプロピレン重合体(A)と良
好な相溶性を示すものと考えられる。
【0072】
なお、プロピレン・α-オレフィン共重合体(B)の好ましい態様であるプロピレン・
エチレン共重合体やプロピレン・エチレン・HAO共重合体においては、上記要件(b−1)および(b−2)のいずれも満たすことが好ましい。
【0073】
プロピレン・α-オレフィン共重合体(B)の135℃、デカリン中で測定した極限粘
度[η]は、通常0.1〜10dL/g、好ましくは0.5〜10dL/g、より好ましくは0.5〜7.0dL/gである。
【0074】
このプロピレン・α-オレフィン共重合体(B)は、単一のガラス転移温度を有し、示
差走査熱量計(DSC)測定により得られるガラス転移温度(Tg)が0℃以下であることが好ましい。プロピレン・α-オレフィン共重合体(B)のガラス転移温度(Tg)が
上記の範囲にあると、プロピレン系重合体組成物は耐寒性および低温特性に優れる。
【0075】
示差走査熱量測定は、例えば次のようにして行われる。試料10.00mg程度を専用
アルミパンに詰め、セイコーインスツルメント社製DSCRDC220を用い、30℃から200℃までを200℃/分で昇温し、200℃で5分間保持した後、200℃から−100℃までを10℃/分で降温し、−100℃でさらに5分間保持した後、次いで10℃/分で昇温する際の吸熱曲線よりガラス転移温度(Tg)を求める。
【0076】
また、このプロピレン・α-オレフィン共重合体(B)のゲルパーミエーションクロマ
トクラフィー(GPC)により測定した標準ポリスチレン換算の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.5以下である。
【0077】
前記プロピレン・α-オレフィン共重合体(B)は、架橋メタロセン化合物を重合触媒
として使用した重合方法によって製造することができる。具体的には、国際公開第2006/123759号パンフレットに記載された方法により製造することができる。
【0078】
本発明で用いられるプロピレン・α-オレフィン共重合体(B)は、シンジオタクティ
ックプロピレン重合体(A)およびプロピレン・α-オレフィン共重合体(B)の合計1
00重量部中、0〜90重量部、好ましくは0〜85重量部、より好ましくは0〜80重量部含まれる。プロピレン・α-オレフィン共重合体(B)の含有量が上記の範囲にある
と、耐熱性および機械強度の観点から好ましい。
【0079】
[アイソタクティックポリプロピレン]
本発明に係るシンジオタクティックプロピレン重合体(A)およびプロピレン・α-オ
レフィン共重合体(B)を含むプロピレン系重合体組成物には、必要に応じてアイソタクティックポリプロピレンが含まれてもよい。アイソタクティックポリプロピレンを含有させることにより、本発明の放射線滅菌された成形体の機械強度を高くすることができる。
【0080】
アイソタクティックポリプロピレンとしては、商業的に入手できるものなどを特に制限なく使用することができるが、13C−NMR法により測定したアイソタクティックペンタッド分率が通常0.9以上、好ましくは0.95以上のポリプロピレンを使用することが好ましい。
【0081】
アイソタクティックポリプロピレンの具体例としては、プロピレン単独重合体あるいはプロピレンと炭素原子数が2〜20のα−オレフィン(プロピレンを除く)との共重合体などが挙げられる。炭素原子数が2〜20のα−オレフィン(プロピレンを除く)としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンなどが挙げられる。なかでも、エチレンおよび炭素原子数が4〜10のα−オレフィンが好ましい。これらのα−オレフィンは、プロピレンとランダム共重合体を形成してもよく、ブロック共重合体を形成してもよい。これらのα−オレフィンから導かれる構成単位は、アイソタクティックポリプロピレン中に通常40モル%以下、好ましくは20モル%以下の割合で含まれる。
【0082】
アイソタクティックポリプロピレンのASTM D 1238に準拠して230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)は通常0.01〜1000g/10分、好ましくは0.05〜500g/10分の範囲である。
【0083】
なお、このアイソタクティックポリプロピレンは、例えば(a)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分、(b)有機アルミニウム化合物、および(c)電子供与体からなるチーグラー触媒系を用いて重合することにより製造することができる。また、メタロセン触媒を用いて同様に製造することもできる。
【0084】
本発明で用いられるアイソタクティックポリプロピレンとしては、チーグラー触媒で製造されたポリプロピレン共重合体の中では、耐白化性および耐衝撃性のバランスに優れるプロピレン・エチレンランダム共重合体およびプロピレン・エチレンブロック共重合体が特に好ましい。
【0085】
[その他の成分]
本発明に係るプロピレン系重合体組成物には、必要に応じて、耐候安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、核剤、滑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤および酸化防止剤等の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合してもよい。
【0086】
[プロピレン系重合体組成物]
上述のようにして得られたプロピレン系重合体組成物は、成形性、耐熱性、透明性および柔軟性に優れ、さらに耐傷付き性に優れる。
【0087】
ここで、成形性に優れるとは、射出、インフレーション、ブロー、押出またはプレス等の成形を行う場合、溶融状態から固化するまでの時間が短いことを示す。すなわち、成形性がよい場合、成形サイクル性、形状安定性および長期生産性などに優れる。
【0088】
本発明に係るプロピレン系重合体組成物のJIS K 7196に準拠して測定した針進入温度(TMAにより求められる軟化点ともいう。)(以下「物性(1)」ともいう。)は好ましくは100〜175℃、より好ましくは105〜165℃、特に好ましくは110〜165℃である。以下に針進入温度の測定方法を示す。
【0089】
セイコー社製SS−120またはTA Instrument社製Q−400を用いて、昇温速度5℃/分の条件下で、1.8mmφの平面圧子を圧力2Kgf/cm2で1m
m厚プレスシート試験片に押し付け、TMA曲線から針進入温度(℃)を求めた。
【0090】
物性(1)を満たすとき、本発明の放射線滅菌された成形体は、優れた耐熱性を有する。
【0091】
本発明に係るプロピレン系重合体組成物のJIS K 6301に準拠して測定した引張弾性率(以下「物性(2)」ともいう。)は好ましくは10〜2000MPa、より好ましくは15〜1500MPa、特に好ましくは200〜1000MPaである。以下に引張弾性率の測定方法を示す。
【0092】
JIS K 6301に準拠して、1mm厚プレスシートより、ダンベル状JIS3号試験片を打ち抜き、評価試料とした。測定には、例えば、インストロン社製引張試験機Inston1123を用いて、23℃で、スパン間:30mm、引張り速度30mm/minで測定し、3回の平均値をとった。
【0093】
本発明に係るプロピレン系重合体組成物の内部ヘイズ値(以下「物性(3)」は、好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下である。以下に内部ヘイズの測定方法を示す。
【0094】
1mm厚プレスシート試験片を日本電色工業(株)製のデジタル濁度計「NDH-20
D」にて測定し、2回の平均値をとった。
【0095】
物性(1)、物性(2)および物性(3)を同時に満たすとき、本発明の放射線滅菌された成形体は、優れた耐熱性および透明性を有するので、より好ましい。
【0096】
なお、針進入温度、引張弾性率および内部ヘイズ値の測定で使用したプレスシート試験片は、プレス成形機にて200℃で5〜10分余熱後、10MPa加圧下で1〜2分で成形した後、10MPaの加圧下で20℃に冷却して得たものである。
【0097】
上記のプロピレン系重合体組成物の場合、示差走査熱量計(DSC)により110℃における等温結晶化測定から求められる半結晶化時間(t1/2)(以下「物性(4)」とも
いう。)は通常1000sec以下、好ましくは500sec以下である。本発明に係るプロピレン系重合体組成物は、特定のシンジオタクティックプロピレン重合体(A)およびプロピレン・α−オレフィン共重合体(B)を含むことにより、t1/2が従来と比べて
飛躍的に向上しており、通常用いられるアイソタクティックポリプロピレンなどと同様の成形法で成形することができる。
【0098】
なお、等温結晶化測定により求められる半結晶化時間(t1/2)とは、等温結晶化過程
でのDSC熱量曲線とベースラインとの間の面積を全熱量とした場合、50%熱量に到達した時間である(新高分子実験講座8高分子の物性(共立出版株式会社)参照)。半結晶化時間(t1/2)測定は次のようにして行われる。すなわち、試料5.00mg程度を専用アルミパンに詰め、パーキンエルマー社製DSCPyris1またはDSC7を用い、3
0℃から200℃までを320℃/分で昇温し、200℃で5分間保持した後、200℃から等温結晶化温度110℃までを320℃/分で降温し、110℃に温度を保持して得られたDSC曲線から得たものである。半結晶化時間(t1/2)は110℃の等温結晶化
過程開始時間(200℃から110℃に到達した時刻)をt=0として求める。本発明では、上述したようにプロピレン系重合体組成物の半結晶化時間(t1/2)を求めるが、1
10℃で結晶化しない場合、便宜的に110℃以下の等温結晶化温度で測定を数点実施し、その外挿値よりt1/2を求める。
【0099】
前述の物性(1)〜(3)に加えて、物性(4)を満たすとき、本発明の放射線滅菌された成形体は、優れた耐熱性、透明性および成形性を有するので、特に好ましい。
【0100】
〔放射線滅菌された成形体〕
本発明の放射線滅菌された成形体は、シンジオタクティックプロピレン重合体(A)、プロピレン・α-オレフィン共重合体(B)および必要に応じてアイソタクティックポリ
プロピレンや各種添加剤を含むプロピレン系重合体組成物を用いてフィルム、積層フィルム、パイプ、ホース、チューブおよびシリンジなどの成形体を得た後、放射線滅菌処理することにより得られる。
【0101】
本発明で用いられる成形体は、上記プロピレン系重合体組成物を押出成形、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、プレス成形、真空成形、カレンダー成形および発泡成形などの公知の熱成形方法で成形することにより得られる。また、例えば、押出成形または射出成形は、従来公知の押出装置および射出装置を用いて一般的な成形条件で行うことができる。
【0102】
上記成形体としては、例えば、押出成形体または射出成形体の場合、製品の形状および種類に特に限定されることなく、シート、未延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム、パイプ、ホース、チューブ、インフレーションフィルムおよびシリンジなどが挙げられ、好ましくはシート、未延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム、チューブ、インフレーションフィルムおよびシリンジなどが挙げられる。上記フィルムは単層フィルムであってもよいし、性質の異なる2種類以上のフィルムが積層した積層フィルムであってもよい。積層フィルムの場合、各層を形成するフィルムは、要求される性能に応じて種々の組み合わせで用いられる。
【0103】
本発明で用いられる成形体の製造方法は以下の通りである。まず、バンバリーミキサーなどのミキサーを用いて、シンジオタクティックプロピレン重合体(A)、プロピレン・α-オレフィン共重合体(B)および必要に応じてアイソタクティックポリプロピレンや
各種添加剤を含む混合物を80〜170℃の温度で3〜10分間混練した後、オープンロールなどのロール類を用い、ロール温度40〜80℃で5〜30分間混練し、分出し、リボン状またはシート状のプロピレン系重合体組成物を調製する。あるいは、シンジオタクティックプロピレン重合体(A)、プロピレン・α-オレフィン共重合体(B)および必
要に応じてアイソタクティックポリプロピレンや各種添加剤をポリ袋などに入れ、ブレンドすることによりプロピレン系重合体組成物を調製する。次いでプロピレン系重合体組成物を上記成形方法で所望の形状に成形するか、または押出機でストランド状に押し出してカッターで粉砕するなどしてペレットを得る。
【0104】
本発明で用いられる成形体の放射線照射滅菌方法としては、電子線滅菌、γ線滅菌、紫外線滅菌および高周波滅菌などの方法が挙げられる。
【0105】
ここで、本発明における「滅菌」とは、ISO11137に準拠した統計的に完全な無菌状態にすることをいい、細菌の存在確率を初期の混入濃度の100万分の1以下にすることをいう。一般に医療用容器の滅菌に必要な放射線の照射量は20〜50kGy(キログレイ)であり、従来のアイソタクティックポリプロピレン組成物と同様な照射量で、本発明のシンジオタクティックポリプロピレン重合体および組成物も無菌状態にすることができる。しかし、このような量で放射線を照射すると、従来のアイソタクティックポリプロピレン組成物、本発明で用いられるシンジオタクティックプロピレン重合体(B)および組成物よりも低融点のシンジオタクティックプロピレン系重合体を含む組成物では、分解および劣化が起こり、分解により発生した低分子量成分が溶出し内容物を汚染する。
【0106】
本発明で用いられる成形体は透明性が高く、また、従来のアイソタクティックポリプロピレン組成物などと比べて放射線照射に対して優れた耐性を有しており、放射線による滅
菌処理を持続的に行っても分解および劣化が進行しにくい。したがって、本発明で用いられる成形体は放射線滅菌処理しても、機械物性の低下が抑制され、分解により生じる低分子量成分の内容液への溶出が十分に抑制される。
【0107】
例えば、電子線照射は、上記成形体に照射するだけでもよいし、プロピレン系重合体組成物のペレットに一度照射した後、各種成形方法により得られた成形体に再度照射してもよい。電子線の照射は、通常0.1〜10MeV(メガエレクトロンボルト)、好ましくは0.3〜5MeVのエネルギーを有する電子を、吸収線量が通常20〜150kGy、好ましくは20〜100kGyになるように行う。
【0108】
γ線照射は、電子線照射と比べてプロピレン系重合体組成物に対する透過度が高く、特にプロピレン系重合体組成物をペレット形状にしたものに照射する場合、電子線照射ではその表面部分のみしか照射効果が期待できないが、γ線では少量を直接照射するだけでペレット内部まで十分に滅菌することができる。γ線の照射は、プロピレン系重合体組成物にγ線照射量が通常20〜100kGy、好ましくは20〜70kGyになるように行う。
【0109】
本発明で用いられる成形体が包装体である場合、内容物を装入し、ヒートシールして内容物を密封した後、放射線滅菌処理してもよい。
【0110】
本発明に係るシンジオタクティックプロピレン重合体(A)およびプロピレン系重合体組成物は、シンジオタクティックプロピレン重合体(A)の立体構造の特徴から、その三級炭素に発生したラジカルに酸素分子が反応して生成するパーオキシラジカルが、隣接する三級炭素に結合する水素原子を引き抜くβ水素脱離を起こしにくいため、上記照射量で放射線滅菌処理を行ってもラジカル発生後の分子量の低下が抑制され、溶出成分の発生および機械特性の低下を抑制することができる。
【0111】
上述のようにして得られた本発明の放射線滅菌された成形体の表面張力は、通常30〜85mN/m、好ましくは30〜80mN/mであり、成形体の照射面の表面張力が高い。このため、インクなどで成形体表面へ印字することが可能である。
【0112】
さらに、本発明の放射線滅菌された成形体の引張伸び(EBb)は、通常50〜3000%、好ましくは100〜2000%である。また、放射線滅菌前の上記成形体の引張伸び(EBa)は、通常60〜3500%、好ましくは120〜2300%である。また、放射線滅菌前の引張伸び(EBa)と放射線滅菌後の引張伸び(EBb)とは、通常
EBb / EBa ≧ 0.85、
好ましくは
EBb / EBa ≧ 0.87
の関係を満たす。なお、EBb / EBaの上限は特にはないが、通常は、例えば2.0以下である。
【0113】
〔用途〕
本発明の放射線滅菌された成形体は、透明性および耐熱性に優れ、耐摩耗性および寸法安定性などの機械特性の低下が少なく、放射線滅菌処理をしても低分子量成分の溶出量が少ないため、医療用器具、衛生用具および食品包装材料など様々な産業用途へ適用することができる。
【0114】
医療用器具としては、具体的には、輸液バッグ、輸液チューブ、注射器、シリンジ、薬品充填済みシリンジ、ガーゼ、ピンセット、メスおよび試験管などが挙げられる。
【0115】
衛生用具としては、具体的には、歯ブラシおよびくしなどが挙げられる。
【0116】
食品包装材料としては、具体的には、透明レトルトパウチ・カップ、漬物または液体スープなどの水物を入れ滅菌する多層フィルムおよびスナック菓子用包装材料などが挙げられる。
【0117】
その他の成形体としては、乳児用の哺乳瓶などのブロー成形容器、乳児用の玩具、家庭用雑貨などで滅菌が必要なものが挙げられる。
【実施例】
【0118】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例において各物性は以下のように測定した。
【0119】
〔物性測定法〕
<極限粘度[η]>
デカリン溶媒を用いて135℃で測定した。すなわち重合パウダー、ペレットまたは樹脂塊約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定する。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求めた(下式参照)。
【0120】
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
<n−デカン可溶部量>
シンジオタクティックプロピレン重合体(A)のサンプル5gにn−デカン200mlを加え、該重合体(A)を145℃で30分間加熱溶解した。得られた溶液を約3時間かけて、20℃まで冷却させ、30分間放置した。その後、析出物(n−デカン不溶部)をろ別した。ろ液を約3倍量のアセトン中に入れ、n−デカン中に溶解していた成分を析出させた。析出物をアセトンからろ別し、その後乾燥した。なお、ろ液側を濃縮乾固しても残渣は認められなかった。n−デカン可溶部量は、以下の式によって求めた。
【0121】
n−デカン可溶部量(wt%)=[析出物重量/サンプル重量]×100
<分子量分布(Mw/Mn)>
分子量分布(Mw/Mn)は、Waters社製ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC−2000型を用い、以下のようにして測定した。分離カラムは、TSKgel GNH6− HTを2本およびTSKgel GNH6− HTLを2本であり、カラムサイズはいずれも直径7.5mm、長さ300mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo−ジクロロベンゼン(和光純薬工業)および酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025重量%を用い、1.0ml/分で移動させ、試料濃度は15mg/10mLとし、試料注入量は500μLとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準
ポリスチレンは、分子量がMw<1000およびMw>4×106の範囲については東ソ
ー社製を用い、1000≦Mw≦4×106の範囲についてはプレッシャーケミカル社製
を用いた。
【0122】
<ポリマー中のエチレン、プロピレンおよびα-オレフィン含量>
エチレン、プロピレンおよびα-オレフィン含量の定量は日本電子(株)製JNM G
X-400型NMR測定装置を用いて、下記のように測定した。試料0.35gをヘキサ
クロロブタジエン2.0mlに加熱溶解させる。この溶液をグラスフィルター(G2)で濾過した後、重水素化ベンゼン0.5mlを加え、内径10mmのNMRチューブに装入して、120℃で13C-NMR測定を行う。積算回数は8,000回以上とする。得られた13C-NMRスペクトルにより、エチレン、プロピレンおよびα-オレフィンの組成を定量
した。
【0123】
<成分(A)の融点(Tm)および融解熱量(ΔH)>
パーキンエルマー社製DSCPyris1またはDSC7を用い、窒素雰囲気下(20
ml/分)、約5mgの試料を200℃まで昇温、10分間保持した後、10℃/分で30℃まで冷却した。30℃で5分間保持した後、10℃/分で200℃まで昇温させた時の結晶溶融ピークのピーク頂点から融点を、ピークの積算値から融解熱量を計算した。
【0124】
なお、実施例に記載したプロピレン系重合体において2本のピークが観測された場合、低温側ピークをTm1、高温側ピークをTm2とする。
【0125】
本願請求項1の(a)で規定するTmはTm2である。
【0126】
<成分(B)のガラス点移転(Tg)および融点(Tm)>
セイコーインスツルメンツ社製DSCを用い、測定用アルミパンに約5mgの試料を詰めて、100℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、10℃/分で−150℃まで降温し、次いで10℃/分で200℃まで昇温した吸熱曲線より求めた。
【0127】
<立体規則性rrrr>
立体規則性(rrrr)は13C−NMRスペクトル測定から計算した。
【0128】
<針進入温度(TMA測定による軟化温度)>
JIS K 7196に準拠し、プロピレン系重合体組成物の1.0mm厚のプレスシートを用いて、昇温速度5℃/minで1.8mmφの平面圧子に2kgf/cm2の圧力
をかけ、TMA曲線より、軟化温度(℃)を求めた。
【0129】
なお、プレスシートの作製は、200℃に設定した神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、10MPaの圧力でシート成形した。0.5〜3mm厚のシート(スペーサー形
状; 240×240×2mm厚の板に80×80×0.5〜3mm、4個取り)の場合、
5分程度余熱し、10MPaで1〜2分間加圧した後、20℃に設定した別の神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、10MPaで圧縮し、5分程度冷却して測定用試験片を作製した。なお、熱板は5mm厚の真鍮板を用いた。
【0130】
<引張弾性率および引張伸び>
JIS K 6301に準拠して、プロピレン系重合体組成物の1mm厚のプレスシートよりJIS3号ダンベルを打ち抜き、評価用試験片に供した。23℃で、スパン間:30mm、引張り速度30mm/minで測定した。
【0131】
<内部ヘイズ(%)>
フィルムの電子線滅菌前後に、日本電色工業(株)製のデジタル濁度計「NDH−20D」にて測定した。
【0132】
<フィルムインパクト試験>
ASTM D 3420に準拠し、フィルムよりサンプルを切り出し、評価用試験片に供した。23℃、ハンマー3.0J、ハンマー先端径1.0インチで測定した。
【0133】
<溶出量>
電子線滅菌前後のフィルムより50cm角で100gのサンプルを採取し、模擬溶液として濃度95%のエタノール溶液500mlに浸漬し、100℃で2時間煮沸し、前後の重量変化より95%エタノール中への溶出量を算出した。
【0134】
電子線滅菌処理条件
日本電子線照射サービス株式会社所有の電子線照射設備を用いて、加速電圧2MeV、照射線量20kGyの照射条件にて、約50μm厚フィルムに電子線を照射し電子線滅菌プロピレン系重合体組成物を得た。照射線量については、約50μm厚フィルムの上下に酸化セルローストリアセテートのフィルムを貼り、照射試験後にそのフィルムの280nmでの吸光度を測定し、照射線量を求めた。照射線量は、フィルムの上下ともに20kGyであり、フィルムに均一に電子線が照射されていた。
【0135】
〔触媒合成例〕
<合成例1>
ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジ
ルコニウムジクロリドは、特開2004-189666号公報の合成例3に記載された方
法で製造した。
【0136】
<合成例2>
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドは、特開2007−321102号公報の合成例3に記載された方法で製造した。
【0137】
〔重合例〕
<重合例1>シンジオタクティックプロピレン重合体(A−1)の製造
十分に窒素置換した内容量500mlのガラス製オートクレーブにトルエン250mlを装入し、プロピレンを150リットル/時間、水素を0.3リットル/時間の量で流通させ、25℃で20分間保持した。一方、十分に窒素置換した内容量30mlの枝付きフラスコにマグネティックスターラーを入れ、これにメチルアルミノキサンを5.00mmol含むトルエン溶液(Al=1.53mol/l)を3.26ml、次いでジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウ
ムジクロリドを5.0μmol含むトルエン溶液を5.0ml加え、20分間撹拌した。この溶液を、プロピレンおよび水素を流通させておいたガラス製オートクレーブのトルエンに加え、重合を開始した。プロピレンガスを150リットル/時間、水素を0.3リットル/時間の量で連続的に供給し、常圧下、25℃で45分間重合を行った後、少量のメタノールを添加し重合を停止した。ポリマー溶液を大過剰のメタノールに加え、ポリマーを析出させ、80℃で12時間、減圧乾燥を行った結果、ポリマー5.77gが得られた。重合活性は1.25kg-PP/mmol-Zr・hrであり、得られたポリマーの極限粘度[η]は1.5dl/g、Tm1=152℃、Tm2=158℃であり、rrrr=94%であり、Mw/Mn=1.9であった。この操作を繰り返して、必要量のポリマーを得て実施例で使用した。
【0138】
結果を表1に示す。
【0139】
シンジオタクティックプロピレン重合体(A−2)
Total社製シンジオタクティックポリプロピレン(商品名:FINAPLAS1471、MFR=5.0g/10分)を比較例で用いた。
【0140】
<重合例2>プロピレン・α-オレフィン共重合体(B−1)の製造
十分に窒素置換した2000mlの重合装置に、833mlの乾燥ヘキサン、1-ブテ
ン120gおよびトリイソブチルアルミニウム(1.0mmol)を常温で仕込んだ後、重合装置内温度を60℃に昇温し、プロピレンで系内の圧力を0.33MPaになるように加圧した後に、エチレンで、系内圧力を0.63MPaに調整した。次いで、ジ(p−
クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド0.002mmolとアルミニウム換算で0.6mmolのメチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム社製)を接触させたトルエン溶液を重合器内に添加し、内温60℃、系内圧力を0.63MPaにエチレンで保ちなが
ら20分間重合し、20mlのメタノールを添加し重合を停止した。脱圧後、2リットルのメタノール中で重合溶液からポリマーを析出し、真空下130℃、12時間乾燥した。得られたポリマーは97gであり、135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]は2.2dl/gであった。
【0141】
結果を表1に示す。
【0142】
<重合例3>プロピレン・α-オレフィン共重合体(C−1)の製造
十分に窒素置換した2000mlの重合装置に、833mlの乾燥ヘキサン、1−ブテン300gおよびトリイソブチルアルミニウム(1.0mmol)を常温で仕込んだ後、重合装置内温度を40℃に昇温し、プロピレンで系内の圧力を0.77MPaになるように加圧した後に、エチレンで、系内圧力を0.8MPaに調整した。次いで、ジメチルメチレン(3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリド0.001mmolとアルミニウム換算で0.3mmolのメチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム社製)を接触させたトルエン溶液を重合器内に添加し、内温40℃、系内圧力を0.8MPaにエチレンで保ちながら20分間重合し、20mlのメタノールを添加し重合を停止した。脱圧後、2リットルのメタノール中で重合溶液からポリマーを析出し、真空下、130℃で12時間乾燥した。得られたポリマーは41.4g
であり、極限粘度[η]は2.1dl/gであった。この操作を繰り返して、必要量のポリマーを得て比較例で用いた。
【0143】
結果を表1に示す。
【0144】
アイソタクティックプロピレン重合体(F−1)
(株)プライムポリマー製アイソタクティックポリプロピレン(商品名:F−107P、MFR=7.0g/10分)を比較例で用いた。
【0145】
[実施例1]
重合例1で得られたシンジオタクティックポリプロピレン(A−1)80重量部と、重合例2で得られたプロピレン・α−オレフィン共重合体(B−1)20重量部に対して、トリ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートを0.2重量部配合する。その
後、(株)プラスチック工学研究所製二軸押出機BT−30(スクリュー径30mm、L/D=46)を用い、設定温度230℃、樹脂押出量3kg/hrで造粒してペレットとした。得られた造粒ペレットをコートハンガー式T型ダイス(リップ形状;270×0.8mm)を装着したサーモ・プラスチック株式会社製単軸押出機(スクリュー径20mmφ・L/D=28)に投入し、ダイス温度230℃、ロール温度30℃、巻き取り速度1.
0m/minで成形を行い、48μm厚フィルムを得て、電子線滅菌処理を施した。
【0146】
結果を表2に示す。
【0147】
[実施例2]
重合例1で得られたシンジオタクティックポリプロピレン(A−1)50重量部と、重合例2で得られたプロピレン・α−オレフィン共重合体(B−1)50重量部に対して、トリ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートを0.2重量部配合する。その
後、(株)プラスチック工学研究所製二軸押出機BT−30(スクリュー径30mm、L/D=46)を用い、設定温度230℃、樹脂押出量3kg/hrで造粒してペレットとし
た。得られた造粒ペレットをコートハンガー式T型ダイス(リップ形状;270×0.8mm)を装着したサーモ・プラスチック株式会社製単軸押出機(スクリュー径20mmφ・L/D=28)に投入し、ダイス温度230℃、ロール温度30℃、巻き取り速度1.
0m/minで成形を行い、52μm厚フィルムを得て、電子線滅菌処理を施した。
【0148】
結果を表2に示す。
【0149】
[実施例3]
重合例1で得られたシンジオタクティックポリプロピレン(A−1)20重量部と、重合例2で得られたプロピレン・α−オレフィン共重合体(B−1)80重量部に対して、トリ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートを0.2重量部配合する。その
後、(株)プラスチック工学研究所製二軸押出機BT−30(スクリュー径30mm、L/D=46)を用い、設定温度230℃、樹脂押出量3kg/hrで造粒してペレットとした。得られた造粒ペレットをコートハンガー式T型ダイス(リップ形状;270×0.8mm)を装着したサーモ・プラスチック株式会社製単軸押出機(スクリュー径20mmφ・L/D=28)に投入し、ダイス温度230℃、ロール温度30℃、巻き取り速度1.
0m/minで成形を行い、51μm厚フィルムを得て、電子線滅菌処理を施した。
【0150】
結果を表2に示す。
【0151】
[実施例4]
重合例1で得られたシンジオタクティックポリプロピレン(A−1)100重量部に対して、トリ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートを0.2重量部配合する
。その後、(株)プラスチック工学研究所製二軸押出機BT−30(スクリュー径30mm、L/D=46)を用い、設定温度230℃、樹脂押出量3kg/hrで造粒してペレットとした。得られた造粒ペレットをコートハンガー式T型ダイス(リップ形状;270×0.8mm)を装着したサーモ・プラスチック株式会社製単軸押出機(スクリュー径20mmφ・L/D=28)に投入し、ダイス温度230℃、ロール温度30℃、巻き取り速度1.0m/minで成形を行い、55μm厚フィルムを得て、電子線滅菌処理を施した

【0152】
結果を表2に示す。
【0153】
[比較例1]
シンジオタクティックポリプロピレン(A−2)100重量部に対して、トリ(2,4
−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートを0.2重量部配合する。その後、(株)プラスチック工学研究所製二軸押出機BT−30(スクリュー径30mm、L/D=46)を用い、設定温度230℃、樹脂押出量3kg/hrで造粒してペレットとした。得られた造粒ペレットをコートハンガー式T型ダイス(リップ形状;270×0.8mm)を装着したサーモ・プラスチック株式会社製単軸押出機(スクリュー径20mmφ・L/D=28)に投入し、ダイス温度230℃、ロール温度30℃、巻き取り速度1.0m/min
で成形を行い、51μm厚フィルムを得て、電子線滅菌処理を施した。
【0154】
結果を表2に示す。
【0155】
[比較例2]
(株)プライムポリマー製アイソタクティックポリプロピレン(商品名:F−107P、MFR=7.0g/10分)(F−1)100重量部に対して、トリ(2,4−ジ−t
−ブチルフェニル)フォスフェートを0.2重量部配合する。その後、(株)プラスチック工学研究所製二軸押出機BT−30(スクリュー径30mm、L/D=46)を用い、設
定温度230℃、樹脂押出量3kg/hrで造粒してペレットとした。得られた造粒ペレットをコートハンガー式T型ダイス(リップ形状;270×0.8mm)を装着したサーモ・プラスチック株式会社製単軸押出機(スクリュー径20mmφ・L/D=28)に投入し、ダイス温度230℃、ロール温度80℃、巻き取り速度1.0m/minで成形を
行い、53μm厚フィルムを得て、電子線滅菌処理を施した。
【0156】
結果を表2に示す。
【0157】
[比較例3]
(株)プライムポリマー製アイソタクティックポリプロピレン(商品名:F−107P、MFR=7.0g/10分)(F−1)20重量部と、重合例3で得られたプロピレン・α−オレフィン共重合体(C−1)80重量部に対して、トリ(2,4−ジ−t−ブチ
ルフェニル)フォスフェートを0.2重量部配合する。その後、(株)プラスチック工学研究所製二軸押出機BT−30(スクリュー径30mm、L/D=46)を用い、設定温度230℃、樹脂押出量3kg/hrで造粒してペレットとした。得られた造粒ペレットをコートハンガー式T型ダイス(リップ形状;270×0.8mm)を装着したサーモ・プラスチック株式会社製単軸押出機(スクリュー径20mmφ・L/D=28)に投入し、ダイス温度230℃、ロール温度80℃、巻き取り速度1.0m/minで成形を行い、
52μm厚フィルムを得て、電子線滅菌処理を施した。
【0158】
結果を表2に示す。
【0159】
[比較例4]
重合例2で得られたプロピレン・α−オレフィン共重合体(B−1)100重量部に対して、トリ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートを0.2重量部配合する
。その後、(株)プラスチック工学研究所製二軸押出機BT−30(スクリュー径30mm、L/D=46)を用い、設定温度230℃、樹脂押出量3kg/hrで造粒してペレットとした。得られた造粒ペレットをコートハンガー式T型ダイス(リップ形状;270×0.8mm)を装着したサーモ・プラスチック株式会社製単軸押出機(スクリュー径20mmφ・L/D=28)に投入し、ダイス温度230℃、ロール温度80℃、巻き取り速度1.0m/minで成形を行ったが、フィルムを得ることができなった。
【0160】
結果を表2に示す。
【0161】
【表1】

【0162】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンジオタクティックプロピレン重合体(A)100〜10重量部と、
プロピレン・α-オレフィン共重合体(B)0〜90重量部(ただし、(A)と(B)
との合計を100重量部とする。)と
を含むプロピレン系重合体組成物からなる放射線滅菌された成形体であって、
該シンジオタクティックプロピレン重合体(A)が下記要件(a)を充足し、該プロピレン・α-オレフィン共重合体(B)が下記要件(b)を充足することを特徴とする放射
線滅菌された成形体。
(a):13C-NMRにより測定されるシンジオタクティックペンタッド分率(rrrr分
率)が85%以上であり、DSCより求められる融点(Tm)が145℃以上であり、プロピレンから導かれる構成単位を90モル%(ただし、該シンジオタクティックプロピレン重合体(A)中の構成単位の全量を100モル%とする。)を超える量で含有する。
(b):プロピレンから導かれる構成単位を55〜90モル%の量で含有し、炭素原子数2〜20のα-オレフィン(プロピレンを除く)から導かれる構成単位を10〜45モ
ル%(ただし、プロピレンから導かれる構成単位と炭素原子数2〜20のα−オレフィン(プロピレンを除く)から導かれる構成単位との合計を100モル%とする。)の量で含有し、JIS K 6721に準拠して230℃、2.16kg荷重にて測定したMFRが
0.01〜100g/10分の範囲にあり、かつ下記要件(b−1)および(b−2)のいずれか一つ以上を満たす。
(b−1):13C-NMR法により測定したシンジオタクティックトライアッド分率(rr分率)が60%以上である。
(b−2):135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η](dL/g)と前記MFR(g/10分、230℃、2.16kg荷重)とが下記の関係式を満たす。
1.50×MFR(-0.20)≦[η]≦2.65×MFR(-0.20)
【請求項2】
前記プロピレン系重合体組成物の
(1)JIS K 7196に準拠して測定した針進入温度が100〜175℃である
ことを特徴とする請求項1に記載の放射線滅菌された成形体。
【請求項3】
前記プロピレン系重合体組成物の
(1)JIS K 7196に準拠して測定した針進入温度が100〜175℃であり、
(2)JIS K 6301に準拠して測定した引張弾性率が10〜2000MPaの範囲にあり、
(3)1mm厚プレスシートの内部ヘイズ値が30%以下である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の放射線滅菌された成形体。
【請求項4】
前記シンジオタクティックプロピレン重合体(A)の135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1〜10dL/gの範囲にあり、示差走査熱量計(DSC)により求めた融解熱量(ΔH)が40mJ/mg以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放射線滅菌された成形体。
【請求項5】
前記プロピレン・α-オレフィン重合体(B)のゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィー(GPC)により求めた分子量分布(Mw/Mn)が3.5以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の放射線滅菌された成形体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の放射線滅菌された成形体を用いて得られた医療用器具。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の放射線滅菌された成形体を少なくとも一層含むことを
特徴とする積層体からなる医療用器具。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかに記載の放射線滅菌された成形体を用いて得られた衛生用具。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれかに記載の放射線滅菌された成形体を少なくとも一層含むことを特徴とする積層体からなる衛生用具。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれかに記載の放射線滅菌された成形体を用いて得られた食品包装材料。
【請求項11】
請求項1〜5のいずれかに記載の放射線滅菌された成形体を少なくとも一層含むことを特徴とする積層体からなる食品包装材料。

【公開番号】特開2010−189475(P2010−189475A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32667(P2009−32667)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】