説明

放射線照射装置

【課題】取り扱いが容易で、作業性に優れ、所望の放射線フラックス分布形状を実現できる医療用γ線・中性子線照射装置を提供する。
【解決手段】被照射体に放射線を照射する照射線源部30と、原子炉10と、原子炉10内に設置した中性子照射キャプセル20と、照射線源部30と中性子照射キャプセル20とを連結し放射性同位元素含有溶液を中性子照射キャプセル20に導入する導入配管40と、照射線源部30と中性子照射キャプセル20とを連結し中性子照射キャプセル20から中性子照射後の放射性同位元素含有溶液を導出する導出配管50と、を具備し、導入配管40を介して、原子炉10内で中性子照射された放射性同位元素含有溶液を照射線源部30まで搬送し被照射体108に放射線照射する照射線源として使用し、その後、導出配管50を介して放射性同位元素含有溶液を中性子キャプセル20内に戻して再び中性子照射することを特徴とする放射線照射装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線照射装置に関し、特に医療用放射線照射装置として有用な中性子照射した放射性同位元素含有溶液を照射用線源として直接利用する放射線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放射性同位元素(ラジオアイソトープ、以下「RI」とも称する)は、工業的用途、医療用途、研究開発などの幅広い分野で使われており、これらのうち、コバルト60(60Co)やイリジウム192(192Ir)などの比較的長寿命のRIは、固体ターゲット(金属ペレット)を原子炉で照射して製造されている(非特許文献1)。これら原子炉照射によるRI製造は、ターゲット金属ペレット数個毎に個別に行われており、多数のターゲット金属ペレットを1回の原子炉照射で製造することはできなかった。また、原子炉内でターゲット金属ペレットに中性子を照射する際には、できるだけ均一な放射能を有するRIを製造するため、中性子束が高い垂直方向の炉心位置の一部しか利用できなかった。
【0003】
このため、製造したRIを使って所望の放射線フラックス分布を実現するためには、複数回に分けて個別に原子炉内で中性子照射した異なる放射能を有するRIを1個ずつ密封容器に封入した後、基板上に配列する必要があり、取り扱いが煩雑で、作業時間が長くなり、作業者の被曝量が増えるという問題があった。また、個別に密封容器に封入する作業は、小さなペレット状の個別のRIを取り扱うために、管理が煩雑で紛失の危険性があった。
【0004】
たとえば、頭部がん治療に使われているガンマナイフでは、201個のRI(60Co:たとえば円柱状8mm径、長さ27mm)が半球状ヘルメットに装着されている。201個のRIの放射能を均等にするためには、Co金属ターゲットに対する中性子照射条件を同一としなければならない。従来の原子炉照射による方法で同一の中性子照射条件を実現するためには、炉心位置の限定された一部だけを利用しなければならなかったため、一度の中性子照射で201個のRIを製造することはできず、数個のCo金属ターゲットを照射容器に封入して、個別または複数回に分けて原子炉内で中性子照射を行っていた。この場合、中性子照射により得られた60Co[(1.11TBq(30Ci)/個)]201個を個別に密封容器に封入し、ガンマナイフのヘルメットに1個ずつ配列していた。このため、作業が繁雑な上、作業者の被曝量コントロールが問題であった。
【0005】
また、非破壊検査用RIなどに広く使われている192Irの製造手順を下記に示す。
1)たとえば、2mm径、長さ2mmの円柱状のIr金属及びアルミニウムスペーサを交互に試料ホルダーに封入した後、インナーキャプセルにセットする。
2)インナーキャプセルをアルミバスケットキャプセルに入れて、原子炉内に導入し、中性子照射に供する。このとき、目的の線量を得るために、インナーキャプセルへの中性子照射は1度に1個程度である。
3)アルミバスケットキャプセルを原子炉から取り出し、同キャプセルの機械的ロックを外して、インナーキャプセルを取り出す。
4)RI製造施設にインナーキャプセルを輸送した後、インナーキャプセルを解体し、Ir金属の放射能を測定する。
5)特殊な装置を使ってIr金属を個々に密封容器に封入して、品質のチェックを行う。
【0006】
RIは、ほとんどが点状や棒状の固定線源として利用されている。移動線源の利用としては、RI線源を高精度のロボットアーム等で移動させながら病巣に集中的に照射し、正常組織への照射を極力減らす医療照射等がある。しかし、面線源として利用できるようなRIを単一の操作で製造することはなされていない。
【0007】
本発明者らは、原子炉内でMo水溶液に中性子照射して98Moを放射化して99Moに変換させた後、99Moを含むMo水溶液を回収する方法を提案した(特許文献1)。しかし、中性子照射した液体を直接、医療用線源として利用する方法及び装置は未だ提案されていない。
【0008】
また、医療用放射線照射装置としては、ガンマナイフや重粒子・陽子線治療装置などがある。
【0009】
ガンマナイフは、Co金属などを原子炉内で中性子照射して得られる60Co(1.11TBq(30Ci)/個)を多数個、照射線源部に配置してなる。特に頭部照射用ガンマナイフはヘルメット型であり、60Coを1個ずつ、総数で201個の60Coをヘルメット内側に取り付けてなり、ヘルメットの中心位置で約200Sv/hの照射量が得られる。しかし、多量の60Coの放射化量を等しく製造するためには、同じ照射条件で製造することが必要であり、限定された炉心位置での照射が必要であった。また、患部への積算照射量を十分な量(40〜70Gy)とするためには、約20分と長い患部への照射時間が必要であるが、長時間の放射線照射は患者にとって負担となる。また、照射位置精度を上げるために、患者に麻酔をかけてヘルメットを固定する特殊な治具をボルトで頭部に固定する必要があり、患者に負担となっていた。
【0010】
重粒子・陽子線治療装置は、炭素等の重粒子線や陽子線のブラックピークを利用して体内深層部の患部にまで大きな線量での照射を可能とする。しかし、患部の形状に合わせてボーラス(ビームの成形を行う治具)を製作する必要があること、ビームを複数に分割して3人程度の照射ができるが、それ以上分割すると強度が下がってしまい、より多くの患者を同時治療できないこと、体表面近傍部には適応しにくい等の問題がある。また、重粒子・陽子線治療装置の建設費は数百億円規模と非常に高価であり、結果的に治療費も高価になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−102078号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】「アイソトープ製造35年誌」アイソトープ製造35年誌編集委員会編、日本原子力研究所東海研究所アイソトープ部発行、平成7年3月31日
【非特許文献2】新エネルギー・産業技術総合開発機構(委託先 財団法人化学物質評価研究機構、委託先 独立行政法人製品評価技術基盤機構)、マンガン及びその化合物、有害性評価書Ver.1.0,No.116、化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-311
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、取り扱いが容易で、作業性に優れ、所望の放射線照射速度を実現できる医療用γ線・中性子線照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解消すべく鋭意検討した結果、原子炉内で中性子照射したRI溶液を医療用線源として直接利用する装置構成とすることで上記目的を達成しうることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明によれば、原子炉内で中性子照射したRI溶液を放射線源として直接利用する放射線照射装置が提供される。
【0016】
本発明による放射線照射装置は、
被照射体に放射線を照射する照射線源部と、
原子炉と、
当該原子炉内に設置した中性子照射キャプセルと、
当該照射線源部と当該中性子照射キャプセルとを流体連通状態に連結し、放射性同位元素含有溶液を当該中性子照射キャプセルに導入する導入配管と、
当該照射線源部と当該中性子照射キャプセルとを流体連通状態に連結し、当該中性子照射キャプセルから、中性子照射後の当該放射性同位元素含有溶液を導出する導出配管と、
を具備し、
当該導入配管及び当該導出配管を介して、当該原子炉内で中性子照射された放射性同位元素含有溶液を当該照射線源部まで搬送し、当該放射性同位元素含有溶液を被照射体に放射線照射する照射線源として使用し、その後、当該放射性同位元素含有溶液を当該照射線源部から再び当該中性子キャプセル内に戻して中性子照射することを特徴とする。
【0017】
前記照射線源部は、シャッター付遮蔽体の間に、前記中性子照射された放射性同位元素含有溶液が流通する配管を配置し、当該シャッター付遮蔽体のシャッター開閉によって被照射体への放射線照射を制御することが好ましい。
【0018】
また、前記照射線源部は、前記中性子照射された放射性同位元素含有溶液が流通する配管を複数の小径短長の配管とし、各配管の一端部が被照射体に面するように直列に配列してなる構成とすることが好ましい。具体的には、たとえば直径2mm高さ10cmの小径短長の配管を複数本直列に配列し、当該配管の端部とシャッターとの位置を合わせる。被照射体への放射線量は、シャッターの開閉によって調節することができる。放射性同位元素含有溶液を流通させる配管が長すぎるとγ線が減衰して被照射体に到達する照射量が少なくなり、一方、配管が短すぎると流通させる溶液量が少なくなりγ線照射量が少なくなる。
【0019】
さらに、前記中性子照射された放射性同位元素含有溶液が流通する配管と、前記シャッター付遮蔽体のシャッターとの間に、ベリリウムからなるコリメータ窓部を具備し、前記中性子照射された放射性同位元素含有溶液から放射されるγ線を中性子線に変換する構成でもよい。
【0020】
本発明の放射線照射装置において使用する前記放射性同位元素含有溶液は、Mn、Na、Al、K、Moから選択される短半減期放射性同位元素を含むことが好ましい。たとえば、MnCl水溶液、NaCl水溶液、KMoO水溶液を好ましく利用することができる。これらの短半減期放射性同位元素を利用するため、原子炉内での中性子照射を短時間で行うことができると共に、短時間で減衰するので取り扱いが容易となる。
【0021】
本発明の放射線照射装置において、照射線源量は、配管の配列及びシャッターの開閉の他に、放射性同位元素含有溶液中の放射性同位元素の濃度を調節することによっても制御可能である。照射時間を短くするためには、放射性同位元素の濃度は可能な限り高いことが好ましいが、沈殿などによる配管の目詰まりを回避するために、80〜90wt%程度の濃度であることがより好ましい。
【0022】
本発明の放射線照射装置において使用する配管は、耐腐食性の高いステンレス鋼、チタン等の金属及びこれらを主成分とする合金などから製造されていることが好ましい。また、放射性溶液の漏洩を防止するために二重構造の配管を用いることがより好ましい。
【0023】
また、原子炉1基に対して複数の照射線源部を連結する構成とすることもできる。この場合、多数の被照射体に同時に放射線照射を行うことができる。
【0024】
さらに、原子炉内の中性子照射キャプセルに撹拌装置を設けてもよい。撹拌装置としては、中性子照射キャプセルの流路内に乱流を付与する邪魔板を設けることが好ましい。この場合、中性子照射キャプセル内で放射性同位元素溶液は撹拌しながら中性子照射されるので、均質な放射性同位元素含有溶液を得ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の放射線照射装置によれば、原子炉内で中性子照射した放射性同位元素含有溶液を直接照射用線源として利用するので、従来の放射性同位元素を利用する場合のように原子炉外部に取り出す必要がないため、作業者が被曝する危険性を最小限にとどめることができ、取り扱いが容易である。また、放射性同位元素の生産と照射利用をほぼ同時に実現することができる。さらに、放射性同位元素含有溶液中の放射性同位元素の濃度を調節することによって、照射速度を容易に調節することができる。
【0026】
照射線源部は、放射性同位元素含有溶液を流通させる配管と、当該配管と被照射体との間に設けられたシャッターと、の簡易な構造であるため、メンテナンスが容易である。また、このような構成の照射線源部であるから、配管の配置及びシャッターの開閉作業によって、所望の放射線フラックス分布形状を容易に実現可能で且つ容易に調節可能である。
【0027】
放射性同位元素として短半減期元素を利用するため、短時間の中性子照射によって多量の短寿命放射性同位元素含有溶液を調製することができ、強力な照射用線源が利用できる。さらに、本装置で利用する放射性同位元素は短寿命であるために数日間で減衰するので、装置のメンテナンスが容易である。
【0028】
原子炉1基に対して複数の照射線源部を連結する構成とすることによって、同時に多数の被照射体への放射線照射を行うことができる。従来の重粒子線照射を利用する重粒子加速医療照射装置等の場合には3被照射体への同時照射が限度であったが、本発明の装置によれば従来の重粒子加速医療照射装置等に用いられている加速器より格段に大きな照射体積を確保できる原子炉の特長を生かして10〜20被照射体への同時照射が可能となる。
【0029】
また、従来の重粒子線照射の場合には、照射が望ましくない体表面部分の線量を低く抑制することができなかったが、本発明の装置では、体内の任意の場所に存在する患部のみに照射し、正常組織部の線量を低減することができる(図3参照)。
【0030】
また、コリメータの窓部にベリリウム又はベリリウムを含む合金を取り付けることによって、(γ、n)反応によってγ線から中性子線への放射線種の変更もできる。中性子線に放射線種を変更することで、ホウ素中性子捕捉量法への適用が可能となる。すなわち、ホウ素を含む腫瘍マーカーを用いることで、腫瘍部分にデリバリされたホウ素に中性子線を照射することができ、α線により癌細胞のみ死滅させることができる。
【0031】
本発明は、種々用途に用いることができるが、特に医療用ガンマ線・中性子線照射装置などの医療用用途などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の放射線照射装置の概略構成を示す構成図である。
【図2】図2は、本発明の放射線照射装置の線源部の構造を示す構成図である。
【図3】図3は、各放射線種の身体表面からの深度と相対線量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
本発明の放射線照射装置を医療用治療装置に応用した例の装置構成を図1に示す。本実施形態の医療用放射線照射装置1は、原子炉10と、原子炉10内に設けられている中性子照射キャプセル20と、被照射体(本実施形態においては患者)108に放射線を照射する照射線源部30と、を具備する。当該照射線源部30と当該中性子照射キャプセル20との間には、両者を流体連通状態に連結し、放射性同位元素含有溶液を当該中性子照射キャプセル20に導入する導入配管40、及び当該中性子照射キャプセル20から中性子照射後の当該放射性同位元素含有溶液を導出する導出配管50が設けられている。照射線源部30は、シャッター開口部107aを具備するシャッター付遮蔽体107、及び当該シャッター付遮蔽体107の間に配置されている配管106を具備する。当該配管106には、導入配管40及び導出配管50が連結されている。照射線源部30は、γカメラやMRI、X線CT等の病理部位の位置確認用手段105をさらに具備する。
【0035】
図1上段は集中型照射装置の例であり、図1下段は均一型照射装置の例である。図1上段に示す集中型照射装置の例は、患者108を乗せる載置台110と、載置台110をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動させる移動台111と、載置台110の所定位置において載置台110の下側及び上側を覆うように配置され、患者が通過できるように貫通穴が設けられた放射線照射ユニットである。照射線源部30は、患者108の照射患部に集中して照射できるように構成されている。図1下段に示す均一型照射装置の例は、照射線源部30が載置台110内に埋め込まれ、患者108の下方向から全身に照射できるように構成されている。
【0036】
本実施形態において、原子炉10は、熱中性子束2×1018n/m・s、高速中性子束1×1018n/m・sで照射できる原子炉(JMTR)であり、J−12の照射位置を使用する。1gのMnを含有する放射性同位元素含有溶液(MnCl飽和水溶液)を中性子照射キャプセル20に導入して、56Mnの半減期(2.579時間)より十分長い1日間照射した後、中性子照射キャプセル20から導出配管50を介して照射線源部30に送る。本実施形態では、中性子照射キャプセル20から照射線源部30までの搬送時間を6分に設定した。この条件で、28.1TBq/g(759Ci/g)の56Mnを含む放射性同位元素含有溶液(MnCl飽和水溶液;MnCl773g/水 1kg)が調製できる。照射線源部30から0.6m離れた被照射体(患者)108へのこの放射性同位元素含有溶液の線量当量率は18Sv/h(RASCコードによる計算)となる。本実施形態では、図2(a)に示すように、照射線源部30に、直径2mm、高さ10cmの小径短長の配管106を直列に配置し、照射線源部30全体での照射面積を3.0144mとし、約100mgMnに相当する量のMnCl水溶液を流したので、30144×0.1=3014gのMnに相当する量の放射性同位元素からの線量当量18Sv/h×3014となる。この値は、従来のガンマナイフ装置と比較して289倍である。また、従来のガンマナイフ装置では照射時間が20分であったところ、本発明の装置では約4秒という非常に短時間で照射が完了した。照射後の放射性同位元素含有溶液は、導入配管40を介して再び中性子照射キャプセル20内に戻され、原子炉10内で中性子照射に供される。
【0037】
また、図2(b)に示すように、小径短長の配管106の一端部が面するシャッター開口107aと配管106との間に、10cm〜15cm程度の厚みを有するベリリウム窓を設けて、γ線を中性子線に変換して照射することもできる。ベリリウム窓が薄すぎると中性子発生量が小さくなり、逆に厚すぎると被照射体を収容するスペースがなくなってしまう。
【0038】
本発明の放射線照射装置は、従来のガンマナイフと異なり、原子炉内で中性子照射した放射性同位元素をそのまま直接照射線源として利用できるので、取り扱いが容易で、作業者の被曝の危険性が少ない。また、従来のガンマナイフよりRI線源の数が桁違いに多く、短時間の照射時間で十分な放射線量を照射することができ、レントゲン撮影の所要時間と同程度であるので患者への負担も少ない。また、患部だけへの照射量を調節することができるので、従来の治療方法では非患部への被曝を考慮して使用できなかった照射量でも照射することができるので、従来法では死滅しなかった癌も死滅させることができる。さらに、従来のガンマナイフでは半球面状の照射であるのに対して、本発明の放射線照射装置では、全球面状に近い状態で照射できることから、体表面近くの正常組織への被曝線量を抑え、がん等の腫瘍に高い線量を与えることができる。また、従来のガンマナイフでは頭部に限定されていたが、人体のどの位置でも照射が可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照射体に放射線を照射する照射線源部と、
原子炉と、
当該原子炉内に設置した中性子照射キャプセルと、
当該照射線源部と当該中性子照射キャプセルとを流体連通状態に連結し、放射性同位元素含有溶液を当該中性子照射キャプセルに導入する導入配管と、
当該照射線源部と当該中性子照射キャプセルとを流体連通状態に連結し、当該中性子照射キャプセルから、中性子照射後の当該放射性同位元素含有溶液を導出する導出配管と、
を具備し、
当該導入配管及び当該導出配管を介して、当該原子炉内で中性子照射された放射性同位元素含有溶液を当該照射線源部まで搬送し、当該放射性同位元素含有溶液を被照射体に放射線照射する照射線源として使用し、その後、当該放射性同位元素含有溶液を当該照射線源部から再び当該中性子キャプセル内に戻して中性子照射することを特徴とする、放射線照射装置。
【請求項2】
前記照射線源部は、シャッター付遮蔽体の間に、前記中性子照射された放射性同位元素含有溶液が流通する配管を配置し、当該シャッター付遮蔽体のシャッター開閉によって被照射体への放射線照射を制御することを特徴とする、請求項1に記載の放射線照射装置。
【請求項3】
前記照射線源部は、前記中性子照射された放射性同位元素含有溶液が流通する配管を複数の小径短長の配管とし、各配管の一端部が被照射体に面するように直列に配列してなることを特徴とする、請求項2に記載の放射線照射装置。
【請求項4】
前記中性子照射された放射性同位元素含有溶液が流通する配管と、前記シャッター付遮蔽体のシャッターとの間に、ベリリウムからなるコリメータ窓部をさらに具備し、前記中性子照射された放射性同位元素含有溶液から放射されるγ線を中性子線に変換することを特徴とする、請求項2又は3に記載の放射線照射装置。
【請求項5】
前記放射性同位元素含有溶液は、Mn、Na、Al、K、Moから選択される短半減期放射性同位元素を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の放射線照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−7733(P2011−7733A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153749(P2009−153749)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(505374783)独立行政法人 日本原子力研究開発機構 (727)
【出願人】(000140627)株式会社化研 (27)
【Fターム(参考)】