説明

放射線照射野限定装置及び線状部材駆動装置

【課題】高精細な放射線照射野を形成可能な放射線照射野限定装置と、細い線状部材を駆動可能な線状部材駆動装置とを提供する。
【解決手段】厚さ方向に複数配列され外周部に溝部20fを有する絞り羽根20と、その一端側の端部30aが絞り羽根20に固定され溝部20fに係合する線状部材30と、絞り羽根20を駆動方向に移動可能に保持する支持部材5〜7とを設け、2本を隔てた線状部材30を駆動する線状部材駆動装置4A〜4Cを、絞り羽根20の厚さ方向Tから見た場合に異なる位置に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線の照射範囲を限定する放射線照射野限定装置及び線状部材の駆動に適した線状部材駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、病巣部の形状に合わせて放射線の照射野を形成する放射線照射野限定装置が広く使用されている(例えば、特許文献1)。
放射線照射野限定装置は、放射線を遮蔽する絞り羽根の外周部等に線状の部材や棒状の部材等を固定し、これらの部材を軸線方向に駆動することにより、絞り羽根を駆動している。
【0003】
しかし、放射線照射野限定装置は、複数の線状の部材や棒状の部材等を軸線方向に独立して駆動する必要があるため、絞り羽根の厚さ方向に駆動装置を配置するスペースを設ける必要がある。このため、放射線照射野限定装置は、絞り羽根を相当の厚みにする必要があり、高精細な放射線照射範囲を形成するには限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−10282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、高精細な放射線照射野を形成可能な放射線照射野限定装置と、細い線状部材を駆動可能な線状部材駆動装置とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により、課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【0007】
第1の発明は、厚さ方向に移動しないようにかつ前記厚さ方向とは略直交する方向である駆動方向に移動可能に規制をされ前記厚さ方向に配列された複数の絞り羽根を備え、放射線源から放射される放射線を遮蔽し、前記放射線の照射野を所望の範囲に限定する放射線照射野限定装置において、少なくとも1つの前記絞り羽根は、縁部に溝部を有する支持絞り羽根であり、一端側が前記支持絞り羽根の前記縁部に固定され、前記溝部に係合する線状部材と、前記線状部材を前記溝部との間に挟み込んで、前記支持絞り羽根を前記規制をする規制部とを備えること、を特徴とする放射線照射野限定装置である。
第2の発明は、第1の発明の放射線照射野限定装置において、前記規制部は、外周に前記溝部が設けられ、前記支持絞り羽根の前記駆動方向に回転可能に支持されたローラを備えること、を特徴とする放射線照射野限定装置である。
第3の発明は、第2の発明の放射線照射野限定装置において、隣合う前記絞り羽根同士を、互いに前記厚さ方向に移動しないようにかつ前記駆動方向に移動可能に接続する絞り羽根接続部を備え、前記複数の絞り羽根は、前記支持絞り羽根と、隣合う前記規制部が規制する2枚の前記支持絞り羽根の間に配置された少なく1つの前記絞り羽根である中間絞り羽根とを備え、前記隣合う前記規制部は、前記2枚の前記支持絞り羽根と前記絞り羽根接続部とを介して、前記中間絞り羽根を前記規制をすること、を特徴とする放射線照射野限定装置である。
第4の発明は、第3の発明の放射線照射野限定装置において、前記絞り羽根接続部は、前記隣合う前記絞り羽根の間に配置された転動部と、前記隣合う前記絞り羽根のうち少なくとも1つに設けられ、前記転動部を収容する収容部とを備えること、を特徴とする放射線照射野限定装置である。
第5の発明は、第1の発明の放射線照射野限定装置において、前記線状部材は、自由状態で、前記固定された一端側から前記固定された一端側とは異なる他端側に至るに従って前記縁部から離れる方向にフォーミングされた第1フォーミング部と、前記第1フォーミング部からさらに前記他端側に至るに従って前記縁部に近づく方向にフォーミングされた第2フォーミング部とを有すること、を特徴とする放射線照射野限定装置である。
第6の発明は、第1の発明の放射線照射野限定装置において、前記各線状部材の前記固定された一端側とは異なる他端側を、前記各線状部材の軸線方向に駆動する各単位駆動装置を積層した線状部材駆動装置が、前記厚さ方向から見た場合に異なる位置に複数配置されていること、を特徴とする放射線照射野限定装置である。
第7の発明は、第6の発明の放射線照射野限定装置において、前記各線状部材駆動装置は、前記厚さ方向に並べて配列された前記線状部材のうち、所定本数隔てて配列された前記線状部材を1群として駆動すること、を特徴とする放射線照射野限定装置である。
第8の発明は、第6の発明の放射線照射野限定装置において、前記単位駆動装置は、回転駆動する駆動部を備え、前記駆動部と少なくとも1つの他の前記単位駆動装置の駆動部とは、駆動軸の中心軸が略同心であること、を特徴とする放射線照射野限定装置である。
第9の発明は、第8の発明の放射線照射野限定装置において、前記駆動部の駆動力を前記線状部材に伝達する駆動力伝達部を備え、前記駆動力伝達部は、前記線状部材が接続された駆動ワイヤ又は駆動ベルトと、前記駆動ワイヤ又は前記駆動ベルトが巻き掛けられた複数のプーリとを備え、前記駆動部は、前記複数のプーリのうち1つを回転駆動すること、を特徴とする放射線照射野限定装置である。
第10の発明は、第9の発明の放射線照射野限定装置において、前記単位駆動装置は、前記駆動ワイヤ又は前記駆動ベルトを押圧して前記駆動ワイヤ又は前記駆動ベルトの張力を調整する張力調整部を備えること、を特徴とする放射線照射野限定装置である。
第11の発明は、第9の発明の放射線照射野限定装置において、前記絞り羽根が所定以上移動しないように規制するストッパと、前記ストッパに前記絞り羽根が規制された状態で伝達された駆動力を検出する駆動力検出部と、前記ストッパに前記絞り羽根が規制された状態で駆動力が伝達されることにより、前記駆動ワイヤ又は前記駆動ベルトと前記プーリとが滑動をしているか否かを検出する滑動検出部と、前記駆動力検出部及び前記滑動検出部の検出を出力する出力部とを備えること、を特徴とする放射線照射野限定装置である。
第12の発明は、第9の発明の放射線照射野限定装置において、前記駆動ワイヤ又は前記駆動ベルトは、前記線状部材が所定の引っ張り力を受けることにより、前記プーリとの接触面を滑動すること、を特徴とする放射線照射野限定装置である。
第13の発明は、第6の発明の放射線照射野限定装置において、前記線状部材の駆動位置の検出方法が互いに異なる少なくとも2つの検出部と、前記少なくとも2つの検出部の出力を比較し、それらの間に所定の差が有る場合に、前記線状部材の駆動速度の減速、駆動方向の反転及び駆動停止のうち少なくも1つをする制御部とを備えること、を特徴とする放射線照射野限定装置である。
第14の発明は、第13の発明の放射線照射野限定装置において、前記少なくとも2つの検出部は、前記線状部材の絶対位置を検出する絶対位置センサと、所定位置からの前記線状部材の駆動量を検出する相対位置センサとを備えること、を特徴とする放射線照射野限定装置である。
【0008】
第15の発明は、第11の発明の放射線照射野限定装置の調整方法であって、前記ストッパで前記絞り羽根を規制する規制工程と、前記規制工程において前記絞り羽根が規制された状態で、駆動力を伝達する駆動力伝達工程と、前記駆動力伝達工程において伝達された駆動力を、前記駆動力検出部よって検出する駆動力検出工程と、前記駆動力検出工程において検出した駆動力が規定範囲外であるか否かを、前記出力部への出力を確認して判定する規定駆動力判定工程と、前記駆動力伝達工程において伝達された駆動力によって、前記駆動ワイヤ又は前記駆動ベルトと前記プーリとが滑動しているか否かを、前記滑動検出部によって検出する滑動検出工程と、前記滑動検出工程において検出した前記駆動ワイヤ又は前記駆動ベルトと前記プーリとが滑動しているか否かを、前記出力部への出力に基づいて判定する滑動判定工程と、前記駆動ワイヤ又は前記駆動ベルトの張力を調整する調整工程とを備え、前記調整工程は、前記規定駆動力判定工程において駆動力が前記規定範囲の上限以上と判定し、かつ前記滑動判定工程において前記滑動をしていないと判定した場合に、前記張力を減らすように調整する張力減少工程と、前記規定駆動力判定工程において駆動力が前記規定範囲の下限以下と判定し、かつ前記滑動判定工程において前記滑動をしていると判定した場合に、前記張力を増やすように調整する張力増加工程とを備えること、を特徴とする放射線照射野限定装置の調整方法である。
第16の発明は、第15の発明の放射線照射野限定装置の調整方法であって、前記駆動力検出工程は、前記駆動力検出部と前記絞り羽根とを機械的に接続して駆動力を検出すること、を特徴とする放射線照射野限定装置の調整方法である。
【0009】
第17の発明は、複数の線状部材を前記線状部材の軸線方向に駆動する線状部材駆動装置において、前記各線状部材を駆動する複数の積層された単位駆動装置を備え、前記単位駆動装置は、回転駆動する駆動部を備え、前記駆動部と少なくとも1つの他の前記単位駆動装置の駆動部とは、駆動軸の中心軸が略同心であること、を特徴とする線状部材駆動装置である。
第18の発明は、第17の発明の線状部材駆動装置において、前記駆動部の駆動力を前記線状部材に伝達する駆動力伝達部を備え、前記駆動力伝達部は、前記線状部材が接続された駆動ワイヤ又は駆動ベルトと、前記駆動ワイヤ又は前記駆動ベルトが巻き掛けられた複数のプーリとを備え、前記駆動部は、前記複数のプーリのうち1つを回転駆動すること、を特徴とする線状部材駆動装置である。
第19の発明は、第18の発明の線状部材駆動装置において、前記駆動ワイヤ又は前記駆動ベルトを押圧して前記駆動ワイヤ又は前記駆動ベルトの張力を調整する張力調整部を備えること、を特徴とする線状部材駆動装置である。
第20の発明は、第18の発明の線状部材駆動装置において、前記駆動ワイヤ又は前記駆動ベルトは、前記線状部材が所定の引っ張り力を受けることにより、前記プーリとの接触面を滑動すること、を特徴とする線状部材駆動装置である。
第21の発明は、第17の発明の線状部材駆動装置において、前記線状部材の駆動位置の検出方法が互いに異なる少なくとも2つの検出部と、前記少なくとも2つの検出部の出力を比較し、それらの間に所定の差が有る場合に、前記線状部材の駆動を停止する制御部とを備えること、を特徴とする線状部材駆動装置である。
第22の発明は、第21の発明の線状部材駆動装置において、前記少なくとも2つの検出部は、前記線状部材の絶対位置を検出する絶対位置センサと、所定位置からの前記線状部材の駆動量を検出する相対位置センサとを備えること、を特徴とする線状部材駆動装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明は、線状部材の一端側を絞り羽根に固定しているので、線状部材をその軸線方向に移動することにより絞り羽根を駆動することができる。また、線状部材が支持絞り羽根を駆動するとともに厚さ方向への移動を規制するので、絞り羽根を保持するための構成を簡単にすることができる。
【0011】
(2)本発明は、規制部が、外周に溝部が設けられローラを備えるので、絞り羽根を駆動するための駆動力を小さくできるため、絞り羽根を安定して駆動することができる。また、線状部材の駆動にともなってローラが回転するので、線状部材が摺動することがないため、線状部材の耐久性を向上できる。
【0012】
(3)本発明は、隣合う規制部が、2枚の支持絞り羽根と絞り羽根接続部とを介して、中間絞り羽根を規制をするので、各規制部が、複数の絞り羽根のうち、支持絞り羽根及び中間絞り羽根からなる1組みのみを支持すればよい。これにより、各規制部に過大な負荷がかかることを防止できるので、絞り羽根を安定して駆動することができる。
【0013】
(4)本発明は、隣合う絞り羽根の間に配置された転動部と、転動部を収容する収容部とを備えるので、支持絞り羽根の間に配置された中間絞り羽根を規制をすることができる。
【0014】
(5)本発明は、第1フォーミング部を有しているので、線状部材を絞り羽根の外周部に付勢力によって当て付けて、絞り羽根を安定して駆動することができる。
【0015】
(6)本発明は、単位駆動装置を積層した複数の線状部材駆動装置を備えるので、所定数の線状部材群を他の所定数の線状部材群とは異なる線状部材駆動装置で駆動することができる。これにより、線状部材駆動装置は、線状部材を駆動する単位駆動装置を配置するためのスペースを、厚さ方向に確保することができるので、絞り羽根を薄くでき高精細な放射線照射野を形成し、小さい病巣の照射をすることができる。
【0016】
(7)本発明は、各線状部材駆動装置が所定本数隔てて配列された線状部材を1群として駆動するので、単位駆動装置を配置するために、所定数分の絞り羽根のスペースを厚さ方向に確保することができる。
【0017】
(8)本発明は、単位駆動装置の駆動部と少なくとも1つの他の単位駆動装置の駆動部とが、駆動軸の中心軸が略同心であるので、1軸上で2つ以上の線状部材を駆動でき、装置の小型化を図ることができる。
【0018】
(9)本発明は、駆動力伝達部が、薄型化に適している駆動ベルト等とプーリとを備えている。これによって、装置全体を小型にすることができる。
【0019】
(10)本発明は、駆動ワイヤ又は駆動ベルトの張力を調整する張力調整部を備えるので、経年変化等により駆動ワイヤ又は駆動ベルトに伸びが発生しても適切な張力を維持することができる。
【0020】
(11)本発明は、絞り羽根がストッパによって規制された状態で駆動力を伝達したときに、駆動ワイヤ又は駆動ベルトとプーリとが滑動をしているか否かを検出するので、作業者は、この検出を確認しながら張力調整部を操作することができ、この調整の作業性を向上することができる。また、本発明は、駆動ベルト等の張力の調整によって、過剰な駆動力が加われた場合に駆動ベルト等を滑動できるため、線状部材への過剰負荷を防止できる。これにより、線状部材への過剰負荷を防止する円盤クラッチ等が必要なく、構成を簡単にすることができる。
【0021】
(12)本発明は、線状部材が所定の引っ張り力を受けることにより、駆動ワイヤ又は駆動ベルトがプーリとの接触面を滑動するので、線状部材に過剰な負荷が加わることを防止できるため、装置の損傷を防止することができる。
【0022】
(13)本発明は、少なくとも2つの検出部の出力に基づいて線状部材の駆動位置を判定し、判定した駆動位置に所定の差が有る場合に線状部材の駆動速度の減速、駆動方向の反転、駆動停止の少なくも1つをするので、耐久性を向上し、また、絞り羽根を安全に駆動することができる。
【0023】
(14)本発明は、絶対位置センサと相対位置センサとを備えているので、絶対位置の検出及び相対位置の検出という2通りの異なる方法により、絞り羽根の駆動位置を判定することができる。
【0024】
(15)本発明は、張力減少工程において、駆動力が規定範囲の上限以上でありかつ駆動ベルト等とプーリとが滑動をしていないと判定したときに、ベルト等の張力を減らすように調整し、張力増加工程において、駆動力が規定範囲の下限以下でありかつ駆動ベルト等とプーリとが滑動をしていると判定したときに、ベルト等の張力を増やすように調整する。作業者は、このような簡単な調整作業によって、規定範囲内の駆動力で駆動ベルト等とプーリとが滑動をするように、確実に調整することができる。
【0025】
(16)本発明は、駆動力検出部と絞り羽根とを機械的に接続して駆動力を検出するので、実際の駆動力を検出することができるため、精度のよい調整をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態の放射線照射野限定装置の一部分の斜視図である。
【図2】第1実施形態の放射線照射野限定装置を絞り羽根の厚さ方向Tから見た図である。
【図3】第1実施形態の絞り羽根ユニットの駆動方向から見た断面図(図2に示すIII−III部断面図)である。
【図4】第1実施形態の線状部材が案内された状態を説明する図である。
【図5】第1実施形態の線状部材が縛り羽根に取り付けられたときの自由状態の図である。
【図6】図3のVI部の拡大図である。
【図7】第1実施形態の線状部材駆動装置の分解斜視図である。
【図8】第1実施形態の線状部材駆動装置の断面図(図7のVIII−VIII部断面図)である。
【図9】第1実施形態の単位駆動装置を厚さ方向Tから見た図、リニアセンサを示す図である。
【図10】第1実施形態の放射線照射野限定装置のスリップ駆動力の調整方法1における構成を説明する図、駆動電圧V1と駆動力測定値F1との関係を説明するグラフである。
【図11】第1実施形態のスリップ駆動力の調整方法1を説明するフローチャートである。
【図12】第1実施形態の放射線照射野限定装置のスリップ駆動力の調整方法2における構成を説明する図、駆動電圧V2と駆動力計算値F2との関係を説明するグラフである。
【図13】第1実施形態のスリップ駆動力の調整方法2を説明するフローチャートである。
【図14】第2実施形態の絞り羽根ユニットの駆動方向から見た断面図(第1実施形態の図3に相当する図)である。
【図15】図14の2点鎖線部の拡大図である。
【図16】第3実施形態の放射線照射野限定装置を絞り羽根の厚さ方向Tから見た図である(第1実施形態の図2に相当する図)である。
【図17】第3実施形態の絞り羽根ユニットの駆動方向から見た断面図(図16に示すXVII-XVII部断面図)、ローラの斜視図である。
【図18】第3実施形態の支持部材306近傍を駆動方向から見た断面図であり、図17のXVIII部の拡大図である。
【図19】第3実施形態の支持部材305近傍を駆動方向から見た断面図であり、図17のXIX部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態をあげて、さらに詳しく説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の放射線照射野限定装置1の一部分の斜視図である。
図2は、第1実施形態の放射線照射野限定装置1を絞り羽根20の厚さ方向T(T1)から見た図である。
図3は、第1実施形態の絞り羽根ユニット2Aを駆動方向から見た断面図(図2に示すIII−III部断面図)である。
図4は、第1実施形態の線状部材30が案内された状態を説明する図である。
図5は、第1実施形態の線状部材30が縛り羽根20に取り付けられたときの自由状態の図、線状部材30が縛り羽根20を閉じ方向に送り出した状態の図である。
【0028】
図1、図2に示すように、放射線照射野限定装置1は、放射線源Oから放射される放射線を遮蔽し、放射線の照射野Aを所望の範囲に限定するため装置である。放射線照射野限定装置1は、放射線を遮蔽するために対向配置された絞り羽根ユニット2A,2Bと、線状部材30(31A〜36A,31B〜36B,31C〜36C)と、この線状部材30を駆動する3つの線状部材駆動装置4A〜4Cと、ガイドローラR1〜R6と、支持部材5〜7等とを備えている。
なお、以下の説明において、絞り羽根ユニット2A側の構成を説明するが、絞り羽根2B側も同様な構成である。
【0029】
図3に示すように、絞り羽根ユニット2Aは、その厚さ方向Tに配列された18枚の絞り羽根20(21A〜26A,21B〜26B,21C〜26C)から構成される。なお、絞り羽根20は、断面形状がほぼ平行四辺形であるが、厚さ方向Tは、駆動方向Cに直交する方向として説明する。
絞り羽根20は、薄い板状の部材であり、図2に示すように、厚さ方向Tから見た場合に扇型の形状である。絞り羽根20は、後述する支持部材5〜7等により、放射線源Oを中心に回転可能に支持されている。この回転方向が、絞り羽根20の駆動方向Cである。絞り羽根20は、放射線源Oから放射される放射線を遮蔽するためにタングステン等の材料が用いられる。
絞り羽根20は、図1中手前側(厚さ方向T2側)から奥側(厚さ方向T2側)に向けて、絞り羽根21C,21B,21A,22C,22B,22A,23C,23B,23A,24C,24B,24A,25C,25B,25A,26C,26B,26Aの順に配置されている。隣合う絞り羽根20は、微細な隙間を形成するように配置され、この隙間から放射線が通過しないように、段部20h(図6)が形成されている。
【0030】
図1に示すように、線状部材30は、絞り羽根20を駆動する18本のワイヤである。線状部材30は、図1中手前側から奥側に向けて、線状部材31C,31B,31A,32C,32B,32A,33C,33B,33A,34C,34B,34A,35C,35B,35A,36C,36B,36Aの順に並べて配置されている。線状部材30は、配置された順に絞り羽根20を駆動するように配置されている。つまり、例えば、線状部材31Aが絞り羽根21Aを駆動し、線状部材31Bが絞り羽根21Bを駆動し、線状部材31Cが絞り羽根21Cを駆動する。線状部材30は、一端側の端部30aが絞り羽根20の外周の固定部20aに接線方向に固定され、その軸線方向(矢印D1〜D3方向)に駆動されることにより絞り羽根20を駆動する。
線状部材30の他端側(前述した一端側とは異なる他端側)は、線状部材駆動装置4A〜4Cに接続され、その軸線方向に駆動される。線状部材30は、弾性変形しながら絞り羽根20を駆動するため、弾性部材(例えば、連続した金属線であるワイヤ、ワイヤをより合わせたワイヤロープ、その内部が中空であるパイプ等)等から構成される。
【0031】
図2に示すように、線状部材駆動装置4A〜4Cは、厚さ方向T1から見た場合に異なる位置に配置されており、詳しくは、線状部材30を繰り出す方向がほぼ固定部20aの方向を向くような状態で、略放射状に配置されている。線状部材駆動装置4A〜4Cのうち線状部材駆動装置4Aが線状部材31A〜36Aを駆動し、線状部材駆動装置4Bが線状部材31B〜36Bを駆動し、線状部材駆動装置4Cが線状部材31C〜36Cを駆動する。
図1、図4に示すように、線状部材30を駆動する線状部材駆動装置4A〜4Cと、2本隔てた線状部材30を駆動する線状部材駆動装置4A〜4Cとは同一である。つまり、線状部材駆動装置4A〜4Cは、厚さ方向Tに並べて配列された線状部材30のうち、2本隔てて配列された線状部材31A〜36A,31B〜36B,31C〜36Cをそれぞれ1群として駆動する。
このため、線状部材駆動装置4A〜4Cは、線状部材30を駆動するための装置(後述する単位駆動装置51〜56等)を配置するために、2枚分の絞り羽根20のスペースを、厚さ方向Tに確保することができる。これにより、放射線照射野限定装置1は、隣り合う線状部材30間のピッチを小さくできるので、より薄い絞り羽根20を駆動することができるため、照射野Aの輪郭を高精細に形成することができる。
なお、線状部材駆動装置4A〜4Cの内部構造については、後述する。
【0032】
図2に示すように、ガイドローラR1〜R3は、線状部材31C〜36Cが、線状部材31A〜36A,31B〜36Bよりも、絞り羽根20の外周から先に離れるよう案内する。同様に、ガイドローラR4〜R6は、線状部材31B〜36Bを、線状部材31A〜36Aよりも、絞り羽根20の外周から先に離れるよう案内する。図3に示すように、例えば、ガイドローラR3は、外周にV字溝が設けられ厚さ方向Tの軸回りに回転自在に支持されたローラR31,R32から構成され、ローラR31,R32が線状部材31C〜36Cを挟み込むように対向配置される。他のガイドローラも同様な構成である。
【0033】
これにより、ガイドローラR1〜R6は、線状部材31B〜36B,31C〜36Cを案内し、また、線状部材31B〜36B,31C〜36Cを弾性変形させながら軸線方向に移動可能に保持することができる。さらに、ガイドローラR1〜R6は、線状部材31B〜36B,31C〜36Cが駆動時に軸線方向に荷重を受けたときに、絞り羽根20から離れる位置20b,20cと線状部材駆動装置4B,4Cとの間における、線状部材31B〜36B,31C〜36Cの座屈を防止できる。
なお、線状部材31A〜36Aには、ガイドローラが設けられていない。線状部材31A〜36Aは、絞り羽根20から離れる位置20dと線状部材駆動装置4Aとの距離が小さいので、ガイドローラによる座屈防止、案内が必要ないためである。
但し、設計条件等に応じてこの距離を大きくする必要がある場合には、線状部材31A〜36Aの座屈防止、案内等のために、線状部材31A〜36Aにガイドローラを設けてもよい。
【0034】
また、図5(a)に示すように、線状部材30は、ガイドローラに案内されない自由状態において、縛り羽根20に固定された一端側(矢印30b方向)の端部30aから他端側(矢印30c方向)に至るに従って外周部20e(縁部)から離れる方向にフォーミングされた第1フォーミング部30dと、第1フォーミング部30dからさらに他端側に至るに従って外周部20eに近づく方向にフォーミングされた第2フォーミング部30eとを有する。第1フォーミング部30dは、外周部20eに外接するような略円弧状であり、第2フォーミング部30eは、第1フォーミング部30dとは反対側に曲げられた略円弧状である。
【0035】
第1フォーミング部30dの作用によって、線状部材30は、ガイドローラR1〜R6により案内された場合に、付勢力によって絞り羽根20の外周部20eに当て付けられるので、外周部20eからの浮き上がり等が防止され、絞り羽根20を安定して駆動することができる。
【0036】
なお、本発明者は、第1フォーミング部30dに加えて第2フォーミング部30eを設けることにより、この浮き上がりをより一層効果的に防止できることを、試作により確認済みである。
【0037】
次に、図2、図3、図6を参照し絞り羽根20の支持構造について説明する。
図6は、第1実施形態の支持部材7近傍を駆動方向Cから見た断面図であり、図3のVI部の拡大図である。
図2に示すように、絞り羽根20は、内周側に設けられた支持部材5と、外周側に設けられた2つの支持部材6,7とによって支持される。
【0038】
図3に示すように、絞り羽根20は、外周部(縁部)及び内周部に周方向に沿って溝部20f,20gが形成されている。溝部20fは、外周部を径方向内側及び外側に窪ませて形状であり、一方、溝部20gは、内周部を径方向外側に窪ませて形状である。溝部20f,20gは、それぞれ、外周部(縁部)及び内周部に平行な底面を有し、この底面に直交する内側面を有し、例えばエンドミル等の刃物を用いて加工される。
溝部20fには、線状部材30が固定部20a(図1参照)から絞り羽根20の離れる位置20b〜20d(図2参照)まで係合している。
【0039】
支持部材5は、溝部20gに係合するように周方向に沿って形成された凸部5aを有し、絞り羽根20を径方向内側及び厚さ方向Tに移動しないように規制し、かつ、駆動方向Cに移動可能に規制している。
図示は省略するが、支持部材6は、支持部材5の凸部5aとは向きの異なる凸部を有し、溝部20fに係合して絞り羽根20の径方向外側及び厚さ方向Tに移動しないように規制し、かつ、駆動方向Cに移動可能に規制している。
【0040】
同様に、図6に示すように、支持部材7は、凸部5aとは向きの異なる凸部7b,7cが設けられ、さらに、凸部7b,7cよりも突出量が小さい規制部7aが設けられている。規制部7aは、線状部材36Aを溝部20fとの間に挟み込んで、絞り羽根26Aの径方向外側及び厚さ方向T(駆動方向に対して直交する方向)に移動しないように規制し、かつ、駆動方向Cに移動可能に規制している。
支持部材7には、規制部7a及び凸部7b,7cを1組みとする形状が厚さ方向Tに6組み形成されており、6つの規制部7aと線状部材31A〜36Aとが、絞り羽根21A〜26A(支持絞り羽根)を支持するとともに駆動方向Cに案内している。
このように、線状部材31A〜36Aは、絞り羽根21A〜26Aを駆動するとともに、規制部7aと協働して絞り羽根21A〜26Aの径方向外側及び厚さ方向Tに移動しないように規制するので、絞り羽根21A〜26Aを駆動、保持するための構成を簡単にすることができる。
【0041】
次に、線状部材駆動装置4Aの構造について説明する。なお、線状部材駆動装置4B,4Cは、線状部材駆動装置4Aと同様な構成であるので説明を省略する。
図7は、第1実施形態の線状部材駆動装置4Aの分解斜視図である。
図8は、第1実施形態の線状部材駆動装置4Aの断面図(図7のVIII−VIII部断面図)である。
図9(a)は、第1実施形態の単位駆動装置56を厚さ方向T1から見た図、図9(b)は、リニアセンサ80を示す図(図9(a)に示す矢印B方向から見た図)である。
図7に示すように、線状部材駆動装置4Aは、駆動部40と、6つの単位駆動装置51〜56とを備えている。
【0042】
駆動部40は、6つのモータ41〜46と、これらに接続された駆動軸等とから構成される。
モータ46は、例えばステップモータであり、図8に示すように、回転軸が直接駆動軸461に接続され、回転力が駆動軸461に伝達される。また、モータ45は、回転軸45aがギア451、アイドルギア452を介してギア部453aを有する駆動軸453に接続され、回転力が駆動軸453に伝達される。
駆動軸453は、駆動軸461を囲むような中空の円筒状に形成され、駆動軸461と同心に配置されている。このため、線状部材駆動装置4Aは、1軸上で2つのモータ45,46の駆動力を2つの単位駆動装置55,56に独立して伝達し、図7に示すように、2つの線状部材35A,36Aを独立して駆動することができる。
同様に、モータ41,42の駆動力は、2つの単位駆動装置51,52に独立して伝達され、モータ43,44の駆動力は、2つの単位駆動装置53,54に独立して伝達される。
【0043】
このように、線状部材駆動装置4Aは、3軸上で6つの単位駆動装置51〜56を独立して駆動できるので、厚さ方向Tに対して垂直な平面において、形状の小型化を図ることができる。
【0044】
次に、単位駆動装置51〜56について説明する。
各単位駆動装置51〜56は、それぞれが1本の線状部材31A〜36Aを独立して駆動するための駆動装置であり、図7に示すように、厚さ方向Tの厚さの薄い箱状の装置である。線状部材駆動装置4Aは、6つの単位駆動装置51〜56が厚さ方向Tに積層される。
【0045】
なお、前述したように、線状部材駆動装置4Aは、各単位駆動装置51〜56を配置するために、厚さ方向Tに、2枚分の絞り羽根20のスペースを余分に確保することができる。本発明の発明者は、実際に放射線照射野限定装置を作製し、単位駆動装置51〜56の厚みを約5mm程度まで薄くして、絞り羽根20の厚みを約1.6mm程度まで薄くできることを確認済みである。
【0046】
図9に示すように、単位駆動装置56は、ケース56aと、駆動力伝達部60と、張力調整部70と、リニアセンサ80とを備えている。なお、他の単位駆動装置51〜55も同様な構成であるので説明を省略する。
駆動力伝達部60は、駆動ベルト61と、この駆動ベルト61が巻き掛けられた6つのプーリ62〜67とから構成される。
駆動ベルト61は、例えばステンレススチールベルト等の平ベルト等である。駆動ベルト61には、線状部材36Aの他端側(矢印30c方向)の端部が鑞付け等により固定されている。なお、駆動ベルト61には、線状部材36Aを、線状部材36Aの端部が図中右側にはみ出すように固定されてもよい。すなわち、駆動ベルト61には、線状部材36Aの他端側の一部が固定されていればよい。
【0047】
各プーリ62〜67は、円環状に形成されており、円環状の転がり軸受68を介しケース56aに対して厚さ方向Tの軸回りに回転可能に支持されている。6つのプーリ62〜67のうちプーリ64は、駆動部40のモータ46と駆動軸461により回転駆動され(図8参照)、駆動ベルト61を回転させる。この駆動用のプーリ64の外周面(つまり駆動ベルト61との接触面)には、駆動時における駆動ベルト61のスリップを防止し効率よく駆動力を伝達するために、微細な凹凸が設けられている。
【0048】
ただし、駆動ベルト61は平ベルトであるので、線状部材31Aが所定の引っ張り力を受けることにより、プーリ64の接触面を滑動する。これにより、線状部材駆動装置4Aは、線状部材36Aに過剰な負荷が加わった場合の装置の損傷を防止することができる。
【0049】
張力調整部70は、張力調整プーリ71と、支持アーム72と、ばね73と、ばね受け部材74と、ねじ75とを備えている。
張力調整プーリ71は、回転軸71aを中心に回転可能に支持アーム72により保持されている。
支持アーム72は、軸72aを中心に回転可能に(矢印θ参照)ケース56aに支持されている。
ばね73は、支持アーム72とばね受け部材74との間に配置された圧縮コイルばねである。なお、ばね73は、圧縮コイルばねに限らず、設置スペース等に応じて、ねじりコイルばね、板ばね等を用いてもよい。
ばね受け部材74は、図中上下方向に移動可能にケース56aに支持されている。
ねじ75は、ケース56aに設けられた雌ねじ部56bに螺合して、ケース56aを貫通するように設けられた雄ねじであり、ねじ先端75aがばね受け部材74に当接することによりばね受け部材74の位置を調整する。
以上の構成により、張力調整部70は、ばね73の伸張する力を支持アーム72に伝達し、支持アーム72に図中時計回りへの回転力を発生させ、張力調整プーリ71を駆動ベルト61に押圧させ、駆動ベルト61の張力を調整する。
【0050】
このように、線状部材駆動装置4Aは、駆動ベルト61の張力を調整する張力調整部70を備えるので、経年変化等により駆動ベルト61に伸びが発生しても適切な張力を維持することができる。
また、長さの異なる駆動ベルト61を使用するために、必要に応じて駆動ベルト61の巻き掛け方を変更するときにも(図7に示す2点鎖線参照)、駆動ベルト61の長さの違い等を吸収することができる。
さらに、ねじ75は、頭部75bがケース56aの外部に露出しているので、張力の調整をケース56aの外部から容易に行うことができる。
【0051】
次に、線状部材36A、すなわち絞り羽根26Aの駆動位置の検出方法及び制御方法について説明する。
図9に示すように、単位駆動装置56は、制御部90に接続されたリニアセンサ80を有している。
リニアセンサ80は、単位駆動装置56に設けられた絶対位置センサである。リニアセンサ80は、線状部材36Aの駆動方向に平行に配置され抵抗値が長さに比例して大きくなる2本の抵抗線81,82と、線状部材36Aに固定され線状部材36Aの駆動にともなって抵抗線81,82の上を摺動するショートバー83とから構成される。
【0052】
抵抗線81,82は、制御部90に対して電気的に接続されている。制御部90は、線状部材36Aの移動に追従してショートバー83が移動すると、抵抗値の変化を感知してショートバー83の位置、つまり線状部材36A及び絞り羽根26Aの駆動位置を判定する。リニアセンサ80の両端部には、接点84,85がそれぞれ設けられており、抵抗値は、ショートバー83が接点84に近づく程、すなわち線状部材36Aが繰り出される程大きくなり、一方、ショートバー83が接点85に近づく程、すなわち線状部材36Aが繰り込まれる程小さくなる。
また、ショートバー83が、接点84,85に接すると短絡状態になり、検出される抵抗値が零となる。制御部90は、抵抗値が零となった場合、線状部材36Aが駆動範囲の限界位置に存在すると判断して、モータ46(図8参照)の回転を停止する。
【0053】
なお、図9(c−1)に示すように、銅線181と、抵抗線182とを設け、抵抗線182の先端の接点184をグランドGnd(電位0)に接続してもよい。この場合、銅線181の抵抗値は0である。
この構成で、抵抗線182を入力電圧Vin側、銅線181を出力電圧Vout側、抵抗線182の全長を全長L、抵抗線182の接点184からショートバー83までの長さを長さxとすれば、
Vout=Vin×x/L
となる(図9(c−2)参照)。
従って、入力電圧Vin側に定電圧を入力し、出力電圧Voutを測定すれば、制御部90は、簡単に長さxつまりショートバー83の位置を求めることができる。
【0054】
モータ46(図8参照)には、駆動軸461の回転角を検出するためにエンコーダ41a(図10参照)が設けられている。エンコーダ41aは、所定位置からの線状部材36Aの駆動量を、リニアセンサ80よりも高分解能に検出可能な相対位置センサである。エンコーダ41aは、例えばLED(発光ダイオード)と、受光素子と、駆動軸461と一体で回転するコードホイールとから構成される。エンコーダ41aは、LEDが発光した光を、コードホイールが反射し受光素子が検出することにより、この光の明暗をパルス信号に変換して制御部90に出力する。
【0055】
エンコーダ41aの分解能の例として、駆動軸461が1回転した場合に、出力するパルス数が256パルスであり線状部材が1mm移動する場合、エンコーダは、1/256mm(すなわち、3.9μm)の線状部材36Aの駆動量を検出可能である。
例えば、制御部90は、絞り羽根26Aを所定の駆動量だけ駆動するときは、リニアセンサ80の出力から線状部材36Aの所定位置を判定し、また、駆動量に対応したパルスをカウントするまでモータ46を駆動する。例えば、上記の例で駆動量を1mmに設定した場合、制御部90は、エンコーダ41aが256パルス出力するまで、モータ46を駆動すればよい。
なお、この所定位置は、リニアセンサ80を用いなくても、線状部材36Aの駆動位置を検出するために所定間隔毎にリミットスイッチを設け、その出力に基づいて判定してもよい。
このように、線状部材駆動装置4Aは、リニアセンサ80とエンコーダ41aとを用いることにより、絞り羽根26Aを高精度に駆動して、放射線の照射野Aを高精度に形成することができる。
【0056】
なお、制御部90は、エンコーダ41aのパルス信号に基づいて線状部材36Aの駆動位置を判定している場合にも、リニアセンサ80の出力に基づいて線状部材36Aの駆動位置を判定している。つまり、制御部90は、線状部材36Aの駆動位置を相対位置検出及び絶対位置検出という測定方法の異なる2つの検出部の出力に基づいて、線状部材36Aの駆動位置を2通り判定する。そして、制御部90は、判定したこれら2つの駆動位置に所定の差が有る場合に、モータ46を停止させて線状部材36Aの駆動を停止する。
このように、2つの駆動位置の判定に差が生じる場合の例としては、対向する絞り羽根20間に異物が挟み込まれ、駆動ベルト61とプーリ62とが滑動してモータ46が空転する場合等が考えられる。このような場合には、構成部品の各所に負荷がかかり故障の原因になったり、放射線源Oから放射線を所望の光量に絞り込むことができない等の問題が生じる。
これに対して、線状部材駆動装置4Aは、判定した2つの駆動位置に所定の差が有る場合に線状部材36Aの駆動を停止することにより、装置の耐久性を向上し、また、絞り羽根26Aを安全に駆動することができる。
【0057】
ところで、モータ41、ギア等から構成される駆動ユニットは、通常、バックラッシュ等のガタが存在する。このため、モータ46の回転方向を変更する場合等には、エンコーダ41aのパルス信号に基づいて制御部90によって判定された線状部材36Aの駆動位置と、実際の駆動位置との間に誤差が生じる場合がある。
第1実施形態の線状部材駆動装置4Aは、バックラッシュにともなう駆動精度の低下を、以下のような制御を行うことにより防止する。
【0058】
最初に、制御部90は、モータ46を所定方向に回転(以下「正転」という)させ、その後その逆方向に回転(以下「逆転」という)させた場合に、リニアセンサ80の出力が変化するまでのエンコーダ41aのパルス数をカウントする。同様に、制御部90は、モータ46を逆転させた後に正転させて、エンコーダ41aのパルス数をカウントする。制御部90は、測定の精度を向上するためにこれらの測定を複数回行ってメモリ(図示せず)に記憶させておき、その平均値を半分にして、バックラッシュの量に応じたパルス数を判定することができる。
そして、制御部90は、モータ46の回転方向を変更する場合等に、バックラッシュの量に応じたパルス数を反映して線状部材36Aの駆動位置を判定することにより、線状部材36Aの駆動精度を向上することができる。つまり、例えば、バックラッシュに応じたパルス数が2パルスであれば、制御部90は、通常よりも2パルス多くカウントするまでモータ46を回転して線状部材36Aを駆動する。
【0059】
なお、バックラッシュの量は、線状部材36Aの駆動位置に応じて異なる可能性がある。このため、制御部90は、バックラッシュの量に応じたパルス数を、線状部材36Aの駆動範囲の両端側、中央部等、複数箇所測定し、そして、線状部材36Aの駆動位置に応じて、バックラッシュに応じたパルス数を使い分けてもよい。
【0060】
以上説明したように、第1実施形態の放射線照射野限定装置1は、線状部材30をその軸線方向に移動することにより、絞り羽根20の厚みを薄くすることができるので、高精細な放射線の照射野Aを形成することができる。
また、線状部材31A〜36Aが絞り羽根21A〜26Aを駆動するとともに絞り羽根21A〜26Aの移動を規制するので、絞り羽根21A〜26Aを保持するための構成を簡単にすることができる。
【0061】
さらに、線状部材駆動装置4A〜4Cは、線状部材30を2本隔ててそれぞれ駆動するので、厚さ方向Tに、2枚分の絞り羽根20のスペースを余計に確保し、細い線状部材30を駆動することができる。
さらにまた、線状部材駆動装置4A〜4Cは、1軸上で2本の線状部材30を駆動でき、装置の小型化を図ることができる。
【0062】
(スリップ駆動力の調整方法)
次に、第1実施形態の放射線照射野限定装置1のスリップ駆動力の調整方法について説明する。
なお、スリップ駆動力とは、絞り羽根20が移動できないように保持された状態で、絞り羽根20に加える駆動力を徐々に増加させた場合に、駆動ベルト61とプーリ62〜67とが滑動し始める駆動力をいう。
放射線照射野限定装置1は、以下のスリップ駆動力の調整方法1,2の2通りの異なる方法によって、スリップ駆動力を調整することができる。
【0063】
(スリップ駆動力の調整方法1)
図10は、第1実施形態の放射線照射野限定装置1のスリップ駆動力の調整方法1における構成を説明する図、駆動電圧V1と駆動力測定値F1との関係を説明するグラフである。
図10(a)に示すように、放射線照射野限定装置1は、エンコーダ41a〜46aと、記憶部91と、モニタ92(出力部)と、入力装置93と、ロードセル94(駆動力検出部)とを備えている。
なお、線状部材駆動装置4B,4Cは、線状部材駆動装置4Aと同様な構成であるので説明を省略する。
【0064】
エンコーダ41a〜46aは、各モータ41〜46(図7参照)の駆動軸の回転角を検出するセンサである。
記憶部91は、放射線照射野限定装置1の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶装置である。制御部90は、この記憶部91に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、前述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
モニタ92は、液晶表示装置等の表示装置である。モニタ92は、エンコーダ41a〜46a、ロードセル94の出力、モータ41〜46の駆動電圧V1等が表示される。
【0065】
入力装置93は、キーボード等の入力装置である。
ロードセル94は、圧電素子を備え、絞り羽根20の閉じ方向への駆動力を測定する測定器である。ロードセル94は、絞り羽根20に測定面64aが押圧される圧力つまり絞り羽根20の駆動力を測定する。また、ロードセル94は、絞り羽根20の閉じ方向の面に当接するように配置されており、絞り羽根20が閉じ方向に移動しないように規制する規制部として機能する。ロードセル94が測定した駆動力を、以下、駆動力測定値F1とする。
【0066】
図10(b)に示すように、モータ41〜46にDCモータを使用した場合、駆動電圧V1を増加させると、線形的に駆動力測定値F1が増加する。
図10(b)に示す規定範囲Range1は、例えば、線状部材31A〜36Aの駆動するために必要な駆動力や、線状部材31A〜36Aの座屈防止等の設計上の強度等を考慮して、予め決められた駆動力の範囲である。規定範囲Range1は、上限値F1−H、下限値F1−Lである。
【0067】
図11は、第1実施形態のスリップ駆動力の調整方法1を説明するフローチャートである。
ステップS(以下単に「S」という)10おいて、作業者は、入力装置93を操作して、絞り羽根21Aを駆動して、絞り羽根21Aの先端をロードセル94に当て付ける(規制工程)。これによって、絞り羽根21Aとロードセル94とが機械的に接続される。
S20において、作業者は、入力装置93を操作して、駆動電圧を上昇させて駆動力を上昇させる(駆動力伝達工程)。
制御部90は、ロードセル94による駆動力の測定を開始する(駆動力検出工程)。
エンコーダ41aは、モータ41の回転状態を検出する(滑動検出工程)。モータ41の回転状態は、モニタ92に出力される。
S30において、作業者は、ロードセル94の出力をモニタ92で確認しながら、測定駆動力F1が上限値F1−H以上か否かを判定する(規定駆動力判定工程)。測定駆動力F1が上限値F1−H以上である場合(S30:YES)、S31に進み、一方、測定駆動力F1が上限値F1−Hよりも小さい場合(S30:NO)、S40に進む。
【0068】
S31において、作業者は、入力装置93を操作して、駆動停止する。
作業者は、駆動ベルト61(図9参照)の張力を減らすように、ねじ75(図9参照)を操作する。つまり、駆動ベルト61の張力を減らすことよって、駆動ベルト61とプーリ62〜67との摩擦力を減少させて、スリップ駆動力を低下させる(張力減少工程)。その後、S10からの操作を繰り返す。
【0069】
S40において、作業者は、エンコーダ41aの出力をモニタ92で確認しながら、駆動ベルト61とプーリ62〜67とが滑動(スリップ)したか否かを判定する(滑動判定工程)。滑動した場合には、エンコーダ41aの出力が上昇しないのにモータ41が回転する。これにより、作業者は、エンコーダ41aの出力を確認することによって、滑動したか否かを判定することができる。
駆動ベルト61とプーリ62〜67とが滑動した場合(S40:YES)、S50に進み、一方、駆動ベルト61とプーリ62〜67とが滑動していない場合(S40:NO)の場合、S20からの処理を繰り返す。
S50において、作業者は、モニタ92へのロードセル94の出力に基づいて、測定駆動力F1が下限値F1−L以下か否かを判定する(規定駆動力判定工程)。
測定駆動力F1が下限値F1−L以下の場合(S50:YES)、S51に進み、一方、測定駆動力F1が下限値F1−Lよりも大きい場合(S50:NO)の場合、S60に進む。
【0070】
S51において、作業者は、入力装置93を操作して、駆動停止する。作業者は、駆動ベルト61(図9参照)の張力を増やすように、ねじ75(図9参照)を操作する(張力増加工程)。つまり、駆動ベルト61の張力を増やすことよって、駆動ベルト61とプーリ62〜67との摩擦力を増加させて、スリップ駆動力を向上させる。その後、S10からの操作を繰り返す。
上限値F1−Hと下限値F1−Lとの間で滑動した場合に、このS60に進む。作業者は、入力装置93を操作して、駆動電圧を入力する。制御部90は、入力された駆動電圧を記憶部91に記憶する。そして、S70に進んで、調整工程を終了する。
作業者は、絞り羽根22A〜26Aについても同様な調整を行う。
【0071】
放射線照射野限定装置1は、例えば、摺動部に異物が入り込み摺動が妨げられた状態で、過剰な駆動電圧がかけられた場合には、線状部材30に過剰な負荷がかかる。このため、異物が入り込むことが、装置の損傷の原因になることがある。
しかし、放射線照射野限定装置1は、前述した調整方法を行うことによって、駆動ベルト61とプーリ62〜67とが滑動するので、装置の損傷を防止し、また安全性を向上することができる。
【0072】
また、放射線照射野限定装置1は、使用時において、S60において記憶された駆動電圧よりも、所定以上(例えば20%以上)の過剰な駆動電圧がかかったときには、制御部90が、その絞り羽根21A〜26Aに対応したモータ41〜46の駆動を停止するようになっている。これによって、放射線照射野限定装置1は、仮に、駆動ベルト61とプーリ62〜67とが滑動しなかった場合にも装置の損傷を防止することができ、安全性を向上することができる。
【0073】
(スリップ駆動力の調整方法2)
図12は、第1実施形態の放射線照射野限定装置1のスリップ駆動力の調整方法2における構成を説明する図、駆動電圧V2と駆動力計算値F2との関係を説明するグラフである。
なお、以下の説明及び図面において、前述したスリップ駆動力の調整方法1と同様の機能、処理を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図12(a)に示すように、放射線照射野限定装置1は、ロードセル94の代わりストッパ95を備えている。
【0074】
前述したように、モータ41〜46にDCモータを使用した場合、駆動電圧を増加させると、駆動力が線形的に増加する。
図12(b)に示すように、従って、駆動電圧V2に基づいて演算することによって。駆動力計算値F2を求めることができる。
また、駆動力の規定範囲Range2は、規定範囲Range1と同様に予め決められている。規定範囲Range2の上限値F2−H及び下限値F2−Lに対応した駆動電圧V2の上限値V2−H及び下限値V2−Lは、予め演算で求めることができる。
【0075】
従って、絞り羽根21〜26の駆動力は、ロードセル94を利用しなくても、モータ41〜46の駆動電圧V2によって駆動力計算値F2を求めれば、間接的に検出できる。
また、駆動力が規定範囲Range2の上限値F2−H及び下限値F2−Lであるか否かは、駆動電圧V2が上限値V2−H及び下限値V2−Lであるか否かを確認すれば、判定することできる。
【0076】
図13は、第1実施形態のスリップ駆動力の調整方法2を説明するフローチャートである。
S120において、制御部90は、モータ41にかける駆動電圧V2によって駆動力を、間接的に検出する。例えば、駆動電圧V2は、電圧計の数値を、作業者がモニタ92で確認すればよい。
S130において、作業者は、駆動電圧が上限値V2−H以下であるか否かによって、駆動力が上限値であるか否かを判定する。
S150において、作業者は、駆動電圧が下限値V2−L以下であるか否かによって、駆動力が下限値であるか否かを判定する。
【0077】
スリップ駆動力の調整方法1と調整方法2とは、以下のような作用、効果を奏するので、作業者は、調整の目的、調整時間の都合等に応じて、いずれかの方法を選択すればよい。
スリップ駆動力の調整方法1は、実際に絞り羽根21〜26の駆動力を測定するので、モータ41〜46のばらつき等の影響を受けないため、精密な調整をできる。
スリップ駆動力の調整方法2は、装置の構成を簡単することができるし、ロードセル94の設置作業がないので、調整作業が簡便である。
【0078】
(第2実施形態)
次に、本発明を適用した放射線照射野限定装置の第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図14は、第2実施形態の放射線照射野限定装置201の絞り羽根ユニット202Aの駆動方向から見た断面図(第1実施形態の図3に相当する図)である。
図15は、図14の2点鎖線部の拡大図である。
図14に示すように、径方向内側及び厚さ方向Tへの移動を規制するために、絞り羽根220は、内周部に周方向に沿って凸部220gが形成されている。支持部205は、凸部220gに係合するように周方向に沿って形成された溝部205aを有する。絞り羽根220は、タングステン等の材料等を切削加工等して形成される。凸部220gは、絞り羽根220から突出しているので、溝部20g(図3参照)よりも加工が容易である。
【0079】
一方、径方向外側及び厚さ方向Tへの移動を規制するために、絞り羽根220は、外周部(縁部)に周方向に沿って溝部220fが形成されている。
【0080】
図15に示すように、溝部220fは、エンドミル等を用いた加工性を向上するために、第1実施形態の溝部20f(図6参照)よりも浅く形成されている。
支持部材207は、規制部207a〜207cを備えている。
規制部207aは、線状部材36Aに係合し、線状部材36Aを径方向外側及び厚さ方向Tに移動しないように規制する溝207dを備えている。また、この線状部材36Aは、絞り羽根226Aの溝部220fに係合して、絞り羽根226Aを径方向外側及び厚さ方向Tに移動しないように規制する。
一方、規制部207b,207cは、第1実施形態と同様に、絞り羽根226Aの溝部220fに直接係合するようになっている。
【0081】
すなわち、支持部材207は、線状部材36Aを介する6枚の絞り羽根221A〜226Aを、規制部207aが線状部材36Aを介して支持して間接的に規制し、一方、6枚の絞り羽根221B〜226B及び6枚の絞り羽根221C〜226Cを、規制部207b,207cが直接支持している。
【0082】
これによって、第2実施形態の放射線照射野限定装置201は、溝部220fが浅くても絞り羽根220を規制できるとともに、絞り羽根220の加工性を向上することができる。
【0083】
(第3実施形態)
次に、本発明を適用した放射線照射野限定装置の第3実施形態について説明する。
図16は、第3実施形態の放射線照射野限定装置301を絞り羽根320の厚さ方向Tから見た図である(第1実施形態の図2に相当する図)である。
図17は、第3実施形態の絞り羽根ユニット302Aの駆動方向Cから見た断面図(図16に示すXVII-XVII部断面図)、ローラ307aの斜視図である。
図18は、第3実施形態の支持部材306近傍を駆動方向Cから見た断面図であり、図17のXVIII部の拡大図である。
図19は、第3実施形態の支持部材305近傍を駆動方向Cから見た断面図であり、図17のXIX部の拡大図である。
【0084】
図16、図17に示すように、放射線照射野限定装置301は、絞り羽根及び線状部材が、第1実施形態の放射線照射野限定装置1よりも1つずつ少ない構成であり、17枚の絞り羽根320(321A〜321C,322A〜322C,323A〜323C,324A〜324C,325A〜325C,326B,326C)と、17本の線状部材330(331A〜331C,332A〜332C,333A〜333C,334A〜334C,335A〜335C,336B,336C)とを備えている。
【0085】
放射線照射野限定装置301は、線状部材330を駆動する構成が、線状部材駆動装置4A(図1参照)が5本の線状部材331A〜335Aを駆動するようになっている。一方、線状部材駆動装置4B,4C(図1参照)が、第1実施形態と同様に、それぞれ6本の線状部材331B〜336B,331C〜336Cを駆動するようになっている。
【0086】
放射線照射野限定装置301は、絞り羽根接続部325と、支持部材305と、支持部材306と、支持部材307と、両端支持部308A,308Bとを備えている。
【0087】
図17に示すように、絞り羽根320は、外周部(縁部)及び内周部に周方向に沿って溝部320f,320gが形成されている。溝部320f,320gは、外周部、内周部を、断面が半円になるように窪んだ形状である。なお、断面の形状は、これに限定されず、例えば第1実施形態と同様に、外周部、内周部に平行な底面を有するように形成してもよい。
【0088】
絞り羽根接続部325は、隣合う絞り羽根320を互いに移動可能に支持し、接続するための部分である。絞り羽根接続部325は、ボール326(転動部)と、ボール収容部327とを備えている
ボール326は、隣合う絞り羽根320の間に配置されている。
ボール収容部327は、ボール326を収容する溝である。ボール収容部327は、隣合う絞り羽根320の厚さ方向Tの側面をそれぞれ窪ませて溝を設け、断面形状が円形の空間になるように形成されている。図示は省略するが、ボール収容部327は、厚さ方向Tから見ると、絞り羽根320の駆動ストロークに応じた長さの円弧状であり、1つのボール収容部327には、複数のボール326が円弧状に並べて収容されている。ボール収容部327は、断面形状の円形の径がボール326の径とほぼ同一であり、隣合う絞り羽根がボール326を挟み込むように収容するとともに、隣合う絞り羽根320がそれぞれボール326に係合できるようになっている。なお、ボール収容部327は、断面形状が円形に限定されず、ボール326を収容しボール326に係合できればよく、例えばV字溝であってもよい。
隣合う絞り羽根320は、ボール収容部327がボール326に係合することによって、微細な隙間L1(図18参照)を形成するように配置され、径方向外側及び厚さ方向Tに移動しないように互いに規制され、かつ、駆動方向Cに移動可能に互いに規制される。
【0089】
図17、図18に示すように、支持部材307は、厚み方向Tに配置した、5つのローラ307a(規制部)と、5対の軸受け307dと備えている。5つのローラ307a及び5対の軸受け307dは、同様な構成であるので、図18に示す絞り羽根322A(支持絞り羽根)を支持するローラ307a及び軸受け307dについて、主に説明する。
【0090】
ローラ307aは、円柱形状であり、中心軸307bが厚さ方向Tになるように配置される。ローラ307aは、軸受け307dを用いて、中心軸307b回りに回転可能に保持されている。つまりローラ307aは、絞り羽根322Aの駆動方向Cに回転可能に支持されている。
ローラ307aは、側面全周に溝部307cが設けられている(図18に示す斜視図参照)。
溝部307cは、駆動方向Cから見た断面形状が半円形状であり、線状部材332Aに係合するように、その半円形状の径が線状部材332Aの径とほぼ同一である。そして、ローラ307aのこの溝部307cと、前述した絞り羽根322Aの溝部320fとが、線状部材332Aを挟み込む。これにより、ローラ307aは、線状部材332Aを、径方向外側及び厚さ方向Tに移動できないように規制する。そして、線状部材332Aは、絞り羽根320を、径方向外側及び厚さ方向Tに移動できないように規制する。
つまり、支持部材307は、ローラ307aが線状部材332Aを介して、絞り羽根322Aを間接的に規制しているわけである。
【0091】
ローラ307aは、駆動方向Cに回転可能であるので、線状部材332Aの駆動にともなって回転するため、線状部材332Aは、ローラ307aに対して摺動することがない。これにより、ローラ307aは、駆動に必要な力を、第2実施形態の規制部207aよりも少なくすることができ、また、線状部材332Aの耐久性を向上することができる。
軸受け307dは、後述するように、放射線照射方向を変えるときに、絞り羽根320等と一体で移動可能に、放射線照射野限定装置301の筐体に固定されている。
【0092】
なお、支持部材307が5つのローラ307aのみを備える理由は、放射線の照射野の輪郭をより精細に形成するために、絞り羽根320の厚さを薄くしているためである。つまり、放射線の照射野の輪郭をより精細に形成するために、厚さ方向Tのスペースが制限され、全ての絞り羽根320を直接支持するローラ307aを設置するスペースを確保できないためである。
【0093】
図16に示す支持部材306の構成は、支持部材307の構成と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0094】
図19に示すように、支持部材305は、ローラ305aと、軸受け305dとを備えている。
ローラ305aは、凸部305cを備えている。
凸部305cは、駆動方向Cから見た断面形状が半円形状であり、溝部320gに直接係合するように構成されている。ローラ305aの他の構成は、ローラ307aと同様であり、軸受け305dを用いて、回転可能に保持されている。
ローラ305aは、凸部305cが溝部320gに係合することによって、絞り羽根320が径方向内側及び厚さ方向Tに移動できないように、かつ、駆動方向Cに移動可能に規制する。
【0095】
5枚の絞り羽根321A〜325A(支持絞り羽根)は、以上の構成により、支持部材305〜307によって、径方向及び厚さ方向Tに移動できないように、かつ、駆動方向Cに移動可能に規制される。
【0096】
次に、ローラ307aが規制する2枚の絞り羽根321A〜325Aの間に配置された絞り羽根320の支持について説明する。
図18に示すように、絞り羽根322A,321Aは、絞り羽根322B,322C(中間絞り羽根)を挟み込むように配置されている。絞り羽根322A,322C,322B,321Aの間には、ボール326(図17参照)が収容されているので、絞り羽根322A,321Aが支持されることによって、絞り羽根322B,322Cは、径方向外側及び厚さ方向Tに移動しないように互いに規制され、かつ、駆動方向Cに移動可能に互いに規制される。
このように、隣合うローラ307aは、絞り羽根322A,323A及びボール326を介して、絞り羽根322B,322Cを間接的に支持している。
【0097】
図17に示すように、両端支持部308A,308Bは、両端に配置された絞り羽根321C,326Bの外側に配置され、絞り羽根321C,326Bを厚さ方向Tの外側から押さえるように支持する部材である。
両端支持部308Aは、ボール326を介して絞り羽根321Cを厚さ方向T1から支持する。また、絞り羽根321Aは、支持部材305〜307によって支持されている。このため、両端支持部308A及び支持部材305〜307は、両端支持部308A及び絞り羽根321Aの間に配置された絞り羽根321B,321Cを、厚さ方向T及び径方向に移動しないように、かつ、駆動方向Cに移動可能に規制する。
同様に、両端支持部308B及び絞り羽根325Aを支持する支持部材305〜307は、絞り羽根326B,326Cを規制する。
【0098】
次に、放射線照射野限定装置301の放射線照射方向の変更について説明する。
放射線照射野限定装置301は、駆動機構(図示せず)により、放射線照射方向を変えることができるようになっている。これは、例えば、被検者が仰向けの体勢の場合、その体勢を維持した状態で、患部に対して様々な方向から放射線を照射できるようにするためである。この駆動機構は、17枚の絞り羽根320、17本の線状部材330、両端支持部308A,308B、線状部材駆動装置4A〜4C、支持部材305〜307等を一体で、放射線照射野限定装置301内で移動、回転する。この場合、絞り羽根320は、厚さ方向Tが水平方向から傾いたり、鉛直方向になったりする。
放射線照射野限定装置301は、このように放射線照射方向を変えた場合に、17枚の絞り羽根320の荷重を、前述したローラ305a,307a等を用いることによって、分散して支持することができる。
【0099】
例えば、図18において、放射線照射方向を変えたことによって、絞り羽根320は、厚さ方向Tが鉛直方向になるように配置され、厚さ方向T1が下側かつ厚さ方向T2が上側になるよう配置されたとする。この場合、羽根322Aを支持するローラ307aは、3枚の絞り羽根322A〜322Cのみの荷重がかかり、絞り羽根321A及びこれよりも上側(厚さ方向T2側)に配置された他の絞り羽根321B等の荷重がかかることがない。
これにより、放射線照射野限定装置301は、ローラ307aにかかる負荷を少なくでき、かつ、絞り羽根320を駆動するための駆動部4A〜4Cの駆動力の変化を少なくできるので、絞り羽根320を安定して駆動することができる。
【0100】
なお、1枚の絞り羽根320毎に1つのローラ307aを設ける構成にすることもできるが、前述したように、照射野の輪郭を高精細に形成しようとする場合には、厚さ方向Tのスペースが制限されるため、1枚の絞り羽根320に1つのローラ307aを配置することができない。
つまり、放射線照射野限定装置301は、照射野の輪郭を高精細に形成するために、絞り羽根320を薄く形成し、かつ、絞り羽根320を安定して駆動するために、2枚の絞り羽根320を隔てて配置してスペースを確保して、ローラ305a,307a等を配置している。そして、2枚の322A,321A等の間に配置された絞り羽根322B,322C等を、ローラ305a,307aが、絞り羽根322A,321A及びボール326を介して支持するような構成にしているわけである。
【0101】
なお、本実施形態では、2枚の絞り羽根322A,321A等の間に配置される絞り羽根320の枚数は、2枚である例を説明したが、これに限定されない。この枚数は、例えば、照射野の精度、絞り羽根320の厚み、ローラ305a,307a等の設置スペース等に応じて、適宜設定することができる。
【0102】
(変形形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0103】
(変形形態)
(1)実施形態において、絞り羽根の形状は、それぞれ扇形である例を示したが、これに限定されない。例えば、絞り羽根の形状は、矩形にしてもよい。
【0104】
(2)実施形態において、単位駆動装置は、線状部材を駆動するために、駆動ベルト(平ベルト)を用いた例を示したが、これに限定されない。例えば、駆動ベルトの代わりに、ワイヤ状の部材(駆動ワイヤ)を用いてもよく、あるいは、シンクロベルト、チェーン等を用いてもよい。
【0105】
(3)実施形態において、線状部材駆動装置は、1軸で2本の線状部材を駆動する例を示したが、これに限定されない。例えば、駆動軸を、3以上の多重の軸とすることにより、3本以上の線状部材を駆動でき、装置の更なる小型が可能である。
【0106】
(4)実施形態において、モータにエンコーダを設け、制御部がエンコーダの出力に基づいて線状部材の駆動位置を判定する例を示したが、これに限定されない。例えば、制御部は、ステッピングモータに入力するパルス数に基づいて、線状部材の駆動位置を判定してもよい。
【0107】
(5)実施形態において、スリップ駆動力を駆動電圧によって駆動力の制御をする例を示したが、これに限定されない。例えば、駆動電流値によって駆動力の制御をしてもよい。
【0108】
(6)第1実施形態において、スリップ駆動力の調整方法は、絞り羽根の閉じ方向の移動を規制する例を示したが、これに限定されない。必要に応じて、絞り羽根の開き方向の移動を規制してもよい。
【0109】
(7)実施形態において、絞り羽根の溝は、外周部、内周部に平行な底面を有し、この底面に直交する内側面を有する例、又は断面が半円形状である例を説明したが、これに限定されない。例えば、絞り羽根の溝は、断面形状が、外周部、内周部に平行な底部を有し、開口部に至る程、台形状に広がるような辺を有するものであってもよく、又は、V字溝であってもよい。
【0110】
(8)実施形態において、絞り羽根を支持する構造は、絞り羽根が溝部を有し、支持部材(又はローラ)がこの溝部に係合する凸部を有する例を示したが、これに限定されない。例えば、絞り羽根を支持する構造は、これとは反対に、絞り羽根が凸部を有し、支持部材(又はローラ)がこの凸部に係合する溝部を有していてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1,201,301 放射線照射野限定装置
2A,2B 絞り羽根ユニット
30,31A〜36A,31B〜36B,31C〜36C,330,321A〜321C,322A〜322C,323A〜323C,324A〜324C,325A〜325C,326B,326C 線状部材
4A〜4C 線状部材駆動装置
5〜7,305〜307 支持部材
7a 規制部
7b,7c 凸部
20,21A〜26A,21B〜26B,21C〜26C 絞り羽根
20f,20g,320f,320g 溝部
40 駆動部
41〜46 モータ
51〜56 単位駆動装置
60 駆動力伝達部
61 駆動ベルト
62〜67 プーリ
70 張力調整部
71 張力調整プーリ
73 ばね
75 ねじ
80 リニアセンサ
81,82 抵抗線
83 ショートバー
90 制御部
202A 絞り羽根ユニット
205 支持部
205a 溝部
220 絞り羽根
220g 凸部
307a ローラ
307d 軸受け
326 ボール
453 駆動軸
461 駆動軸
A 照射野
O 放射線源
R1〜R6 ガイドローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向に移動しないようにかつ前記厚さ方向とは略直交する方向である駆動方向に移動可能に規制をされ前記厚さ方向に配列された複数の絞り羽根を備え、放射線源から放射される放射線を遮蔽し、前記放射線の照射野を所望の範囲に限定する放射線照射野限定装置において、
少なくとも1つの前記絞り羽根は、縁部に溝部を有する支持絞り羽根であり、
一端側が前記支持絞り羽根の前記縁部に固定され、前記溝部に係合する線状部材と、
前記線状部材を前記溝部との間に挟み込んで、前記支持絞り羽根を前記規制をする規制部とを備えること、
を特徴とする放射線照射野限定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線照射野限定装置において、
前記規制部は、外周に前記溝部が設けられ、前記支持絞り羽根の前記駆動方向に回転可能に支持されたローラを備えること、
を特徴とする放射線照射野限定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の放射線照射野限定装置において、
隣合う前記絞り羽根同士を、互いに前記厚さ方向に移動しないようにかつ前記駆動方向に移動可能に接続する絞り羽根接続部を備え、
前記複数の絞り羽根は、前記支持絞り羽根と、隣合う前記規制部が規制する2枚の前記支持絞り羽根の間に配置された少なく1つの前記絞り羽根である中間絞り羽根とを備え、
前記隣合う前記規制部は、前記2枚の前記支持絞り羽根と前記絞り羽根接続部とを介して、前記中間絞り羽根を前記規制をすること、
を特徴とする放射線照射野限定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の放射線照射野限定装置において、
前記絞り羽根接続部は、
前記隣合う前記絞り羽根の間に配置された転動部と、
前記隣合う前記絞り羽根のうち少なくとも1つに設けられ、前記転動部を収容する収容部とを備えること、
を特徴とする放射線照射野限定装置。
【請求項5】
請求項1に記載の放射線照射野限定装置において、
前記線状部材は、自由状態で、前記固定された一端側から前記固定された一端側とは異なる他端側に至るに従って前記縁部から離れる方向にフォーミングされた第1フォーミング部と、前記第1フォーミング部からさらに前記他端側に至るに従って前記縁部に近づく方向にフォーミングされた第2フォーミング部とを有すること、
を特徴とする放射線照射野限定装置。
【請求項6】
請求項1に記載の放射線照射野限定装置において、
前記各線状部材の前記固定された一端側とは異なる他端側を、前記各線状部材の軸線方向に駆動する各単位駆動装置を積層した線状部材駆動装置が、前記厚さ方向から見た場合に異なる位置に複数配置されていること、
を特徴とする放射線照射野限定装置。
【請求項7】
請求項6に記載の放射線照射野限定装置において、
前記各線状部材駆動装置は、前記厚さ方向に並べて配列された前記線状部材のうち、所定本数隔てて配列された前記線状部材を1群として駆動すること、
を特徴とする放射線照射野限定装置。
【請求項8】
請求項6に記載の放射線照射野限定装置において、
前記単位駆動装置は、
回転駆動する駆動部を備え、
前記駆動部と少なくとも1つの他の前記単位駆動装置の駆動部とは、駆動軸の中心軸が略同心であること、
を特徴とする放射線照射野限定装置。
【請求項9】
請求項8に記載の放射線照射野限定装置において、
前記駆動部の駆動力を前記線状部材に伝達する駆動力伝達部を備え、
前記駆動力伝達部は、
前記線状部材が接続された駆動ワイヤ又は駆動ベルトと、
前記駆動ワイヤ又は前記駆動ベルトが巻き掛けられた複数のプーリとを備え、
前記駆動部は、前記複数のプーリのうち1つを回転駆動すること、
を特徴とする放射線照射野限定装置。
【請求項10】
請求項9に記載の放射線照射野限定装置において、
前記単位駆動装置は、
前記駆動ワイヤ又は前記駆動ベルトを押圧して前記駆動ワイヤ又は前記駆動ベルトの張力を調整する張力調整部を備えること、
を特徴とする放射線照射野限定装置。
【請求項11】
請求項9に記載の放射線照射野限定装置において、
前記絞り羽根が所定以上移動しないように規制するストッパと、
前記ストッパに前記絞り羽根が規制された状態で伝達された駆動力を検出する駆動力検出部と、
前記ストッパに前記絞り羽根が規制された状態で駆動力が伝達されることにより、前記駆動ワイヤ又は前記駆動ベルトと前記プーリとが滑動をしているか否かを検出する滑動検出部と、
前記駆動力検出部及び前記滑動検出部の検出を出力する出力部とを備えること、
を特徴とする放射線照射野限定装置。
【請求項12】
請求項9に記載の放射線照射野限定装置において、
前記駆動ワイヤ又は前記駆動ベルトは、前記線状部材が所定の引っ張り力を受けることにより、前記プーリとの接触面を滑動すること、
を特徴とする放射線照射野限定装置。
【請求項13】
請求項6に記載の放射線照射野限定装置において、
前記線状部材の駆動位置の検出方法が互いに異なる少なくとも2つの検出部と、
前記少なくとも2つの検出部の出力を比較し、それらの間に所定の差が有る場合に、前記線状部材の駆動速度の減速、駆動方向の反転及び駆動停止のうち少なくも1つをする制御部とを備えること、
を特徴とする放射線照射野限定装置。
【請求項14】
請求項13に記載の放射線照射野限定装置において、
前記少なくとも2つの検出部は、
前記線状部材の絶対位置を検出する絶対位置センサと、
所定位置からの前記線状部材の駆動量を検出する相対位置センサとを備えること、
を特徴とする放射線照射野限定装置。
【請求項15】
請求項11に記載の放射線照射野限定装置の調整方法であって、
前記ストッパで前記絞り羽根を規制する規制工程と、
前記規制工程において前記絞り羽根が規制された状態で、駆動力を伝達する駆動力伝達工程と、
前記駆動力伝達工程において伝達された駆動力を、前記駆動力検出部よって検出する駆動力検出工程と、
前記駆動力検出工程において検出した駆動力が規定範囲外であるか否かを、前記出力部への出力を確認して判定する規定駆動力判定工程と、
前記駆動力伝達工程において伝達された駆動力によって、前記駆動ワイヤ又は前記駆動ベルトと前記プーリとが滑動しているか否かを、前記滑動検出部によって検出する滑動検出工程と、
前記滑動検出工程において検出した前記駆動ワイヤ又は前記駆動ベルトと前記プーリとが滑動しているか否かを、前記出力部への出力に基づいて判定する滑動判定工程と、
前記駆動ワイヤ又は前記駆動ベルトの張力を調整する調整工程とを備え、
前記調整工程は、
前記規定駆動力判定工程において駆動力が前記規定範囲の上限以上と判定し、かつ前記滑動判定工程において前記滑動をしていないと判定した場合に、前記張力を減らすように調整する張力減少工程と、
前記規定駆動力判定工程において駆動力が前記規定範囲の下限以下と判定し、かつ前記滑動判定工程において前記滑動をしていると判定した場合に、前記張力を増やすように調整する張力増加工程とを備えること、
を特徴とする放射線照射野限定装置の調整方法。
【請求項16】
請求項15に記載の放射線照射野限定装置の調整方法であって、
前記駆動力検出工程は、前記駆動力検出部と前記絞り羽根とを機械的に接続して駆動力を検出すること、
を特徴とする放射線照射野限定装置の調整方法。
【請求項17】
複数の線状部材を前記線状部材の軸線方向に駆動する線状部材駆動装置において、
前記各線状部材を駆動する複数の積層された単位駆動装置を備え、
前記単位駆動装置は、
回転駆動する駆動部を備え、
前記駆動部と少なくとも1つの他の前記単位駆動装置の駆動部とは、駆動軸の中心軸が略同心であること、
を特徴とする線状部材駆動装置。
【請求項18】
請求項17に記載の線状部材駆動装置において、
前記駆動部の駆動力を前記線状部材に伝達する駆動力伝達部を備え、
前記駆動力伝達部は、
前記線状部材が接続された駆動ワイヤ又は駆動ベルトと、
前記駆動ワイヤ又は前記駆動ベルトが巻き掛けられた複数のプーリとを備え、
前記駆動部は、前記複数のプーリのうち1つを回転駆動すること、
を特徴とする線状部材駆動装置。
【請求項19】
請求項18に記載の線状部材駆動装置において、
前記駆動ワイヤ又は前記駆動ベルトを押圧して前記駆動ワイヤ又は前記駆動ベルトの張力を調整する張力調整部を備えること、
を特徴とする線状部材駆動装置。
【請求項20】
請求項18に記載の線状部材駆動装置において、
前記駆動ワイヤ又は前記駆動ベルトは、前記線状部材が所定の引っ張り力を受けることにより、前記プーリとの接触面を滑動すること、
を特徴とする線状部材駆動装置。
【請求項21】
請求項17に記載の線状部材駆動装置において、
前記線状部材の駆動位置の検出方法が互いに異なる少なくとも2つの検出部と、
前記少なくとも2つの検出部の出力を比較し、それらの間に所定の差が有る場合に、前記線状部材の駆動を停止する制御部とを備えること、
を特徴とする線状部材駆動装置。
【請求項22】
請求項21に記載の線状部材駆動装置において、
前記少なくとも2つの検出部は、
前記線状部材の絶対位置を検出する絶対位置センサと、
所定位置からの前記線状部材の駆動量を検出する相対位置センサとを備えること、
を特徴とする線状部材駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−136038(P2011−136038A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298045(P2009−298045)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(500400205)株式会社ライト製作所 (17)
【Fターム(参考)】