放射線画像撮影システム、画像処理装置および放射線画像撮影装置
【課題】放射線画像撮影装置のゲートドライバーに非接続の端子が存在する場合でも、読み出された画像データに基づいて、輝度の段差のない放射線画像を生成することが可能な放射線画像撮影システムを提供する。
【解決手段】放射線画像撮影システム50は、ゲートドライバー15bに走査線5が接続されていない非接続の端子pを備える放射線画像撮影装置1と、放射線画像撮影装置1から送信された画像データDに基づいて放射線画像Iを生成する画像処理装置58とを備え、画像処理装置58は、放射線画像撮影装置1における画像データDの読み出し処理の際に、当該放射線画像撮影装置1のゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される前に読み出された画像データD、またはゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加された後に読み出された画像データDの少なくとも一方を補正して、放射線画像Iを生成する。
【解決手段】放射線画像撮影システム50は、ゲートドライバー15bに走査線5が接続されていない非接続の端子pを備える放射線画像撮影装置1と、放射線画像撮影装置1から送信された画像データDに基づいて放射線画像Iを生成する画像処理装置58とを備え、画像処理装置58は、放射線画像撮影装置1における画像データDの読み出し処理の際に、当該放射線画像撮影装置1のゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される前に読み出された画像データD、またはゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加された後に読み出された画像データDの少なくとも一方を補正して、放射線画像Iを生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影システム、画像処理装置および放射線画像撮影装置に係り、特に、放射線画像撮影装置で取得された画像データに基づいて画像処理装置で放射線画像を生成する放射線画像撮影システム、画像処理装置および放射線画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照射されたX線等の放射線の線量に応じて検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接型の放射線画像撮影装置や、照射された放射線をシンチレーター等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換され照射された電磁波のエネルギーに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて電気信号(すなわち画像データ)に変換するいわゆる間接型の放射線画像撮影装置が種々開発されている。なお、本発明では、直接型の放射線画像撮影装置における検出素子や、間接型の放射線画像撮影装置における光電変換素子を、あわせて放射線検出素子という。
【0003】
このタイプの放射線画像撮影装置はFPD(Flat Panel Detector)として知られており、従来は支持台と一体的に形成された、いわゆる専用機型として構成されていたが(例えば特許文献1参照)、近年、放射線検出素子等を筐体内に収納し、持ち運び可能とした可搬型の放射線画像撮影装置が開発され、実用化されている(例えば特許文献2、3参照)。
【0004】
このような放射線画像撮影装置では、例えば後述する図7等に示すように、通常、複数の放射線検出素子7が、検出部P上に二次元状(マトリクス状)に配列され、各放射線検出素子7にそれぞれ薄膜トランジスター(Thin Film Transistor。以下、TFTという。)8で形成されたスイッチ手段が接続されて構成される。
【0005】
各TFT8のゲート電極8g(図7ではGと記載されている。)には、走査駆動手段15のゲートドライバー15bから延びる走査線5の各ラインL1〜Lxがそれぞれ接続されており、ゲートドライバー15bから各走査線5に印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替えることにより各TFT8がオン状態とされたりオフ状態とされたりするようになっている。
【0006】
放射線画像撮影の際には、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加して全てのTFT8をオフ状態とした状態で、被写体を介して放射線画像撮影装置に放射線が照射される。すると、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷が各放射線検出素子7内に蓄積される。
【0007】
そして、放射線の照射終了後、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、各TFT8を順次オン状態として、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生して蓄積された電荷を各信号線6に順次放出させて、各読み出し回路17で画像データDとしてそれぞれ読み出す画像データDの読み出し処理が行われる。
【0008】
このようにして放射線画像撮影装置で撮影された放射線検出素子7ごとの各画像データDは、画像処理装置に送信され、画像処理が行われて、最終的な放射線画像が生成される。その際、例えば、放射線画像撮影の際に放射線源から放射線画像撮影装置に対して照射される放射線が一様でなく、ある照射特性を有する状態で照射される場合がある。
【0009】
その場合、生成される放射線画像には、放射線源の照射特性に起因する濃淡(ムラ)が現れる状態になる。そこで、このような放射線源の照射特性に起因して放射線画像に生じる濃淡を、放射線画像生成のための画像処理の際に除去する技術が、例えば特許文献4に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−73144号公報
【特許文献2】特開2006−058124号公報
【特許文献3】特開平6−342099号公報
【特許文献4】特開平8−117213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、本発明者らの研究では、このように放射線画像中に濃淡が現れる原因として、上記のような放射線源側の照射特性だけではなく、放射線画像撮影装置側の構成に起因して濃淡が現れる場合があることが分かってきた。そして、そのような原因のうちの1つとして、後述する図9に示すように、ゲートドライバー15bに走査線5が接続されていない非接続の端子pが存在する場合に、放射線画像中に濃淡が現れる場合があることが分かってきた。
【0012】
すなわち、上記の画像データDの読み出し処理の際、従来の放射線画像撮影装置では、走査線5の最初のラインL1から順にラインL1、L2、…、Lxの順番(或いは走査線5の最後のラインLxから順にラインLx、Lx-1、…、L1の順番で)ゲートドライバー15bからオン電圧を印加する走査線5をシフトさせながら、各放射線検出素子7から画像データDが読み出されていた。
【0013】
しかし、例えば図27に示すように、走査線5のラインLn+1(以下、このような走査線5を読み出し開始ラインという。)から順にラインLn+1、Ln+2、…、Lxの順番でオン電圧を印加する走査線5をシフトさせながら各放射線検出素子7から画像データDを読み出した後、オン電圧を印加するゲートドライバー15bの非接続の端子pをシフトさせる。そして、その後、走査線5のラインL1から順にラインL1、L2、…、Lnのオン電圧を印加する走査線5をシフトさせながら、各放射線検出素子7から画像データDを読み出す。
【0014】
このように構成した場合、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される前に読み出された、走査線5のラインLn+1〜Lxに接続されている各放射線検出素子の画像データDよりも、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加された後に読み出された、走査線5のラインL1〜Lnに接続されている各放射線検出素子の画像データDの方が、値が若干大きくなることが分かった。
【0015】
このような現象が生じる理由は、現時点では判明していない。しかし、このような現象を放置すると、図28に示すように、読み出し開始ライン(上記の例では走査線5のラインLn+1)を境界として、読み出される画像データDや、それに基づいて生成される放射線画像I中に輝度の段差が生じてしまう。
【0016】
そのため、放射線画像Iが見づらくなるとともに、例えば放射線画像Iを医療における診断用等に用いる場合、患者の病変部が輝度の段差の部分と重なると、医師による病変部の有無やその状態の判断等に支障を来たしてしまう虞れがある。
【0017】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、放射線画像撮影装置のゲートドライバーに非接続の端子が存在する場合でも、読み出された画像データに基づいて、輝度の段差のない放射線画像を生成することが可能な放射線画像撮影システム、画像処理装置および放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影システムは、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備える検出部と、
前記各走査線に対して印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えるゲートドライバーを備える走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
外部装置との間で信号の送受信を行い、前記画像データを送信するための通信手段と、
を備える放射線画像撮影装置と、
前記放射線画像撮影装置から送信された前記画像データに基づいて放射線画像を生成する画像処理装置と、
を備え、
前記放射線画像撮影装置の前記ゲートドライバーは、前記走査線が接続されていない非接続の端子を備えており、
前記画像処理装置は、前記放射線画像撮影装置における前記画像データの読み出し処理の際に、当該放射線画像撮影装置の前記ゲートドライバーの前記非接続の端子にオン電圧が印加される前または前記非接続の端子がアクティブな状態とされる前に読み出された前記画像データ、または当該放射線画像撮影装置の前記ゲートドライバーの前記非接続の端子にオン電圧が印加された後または前記非接続の端子がアクティブな状態とされた後に読み出された前記画像データの少なくとも一方を補正して、放射線画像を生成することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の画像処理装置は、放射線画像撮影装置で取得された画像データのうち、前記放射線画像撮影装置における前記画像データの読み出し処理の際に、当該放射線画像撮影装置のゲートドライバーの非接続の端子にオン電圧が印加される前または前記非接続の端子がアクティブな状態とされる前に読み出された前記画像データ、または当該放射線画像撮影装置の前記ゲートドライバーの前記非接続の端子にオン電圧が印加された後または前記非接続の端子がアクティブな状態とされた後に読み出された前記画像データの少なくとも一方を補正して、放射線画像を生成することを特徴とする。
【0020】
さらに、本発明の放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備える検出部と、
前記各走査線に対して印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えるゲートドライバーを備える走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記画像データの読み出し処理の際に、前記ゲートドライバーの前記非接続の端子にオン電圧が印加される前または前記非接続の端子がアクティブな状態とされる前に読み出された前記画像データ、または当該放射線画像撮影装置の前記ゲートドライバーの前記非接続の端子にオン電圧が印加された後または前記非接続の端子がアクティブな状態とされた後に読み出された前記画像データの少なくとも一方を補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明のような方式の放射線画像撮影システムおよび画像処理装置によれば、放射線画像撮影装置のゲートドライバーに非接続の端子pが存在し、それにオン電圧が印加される前後で読み出される画像データDに濃淡すなわち輝度の段差が現れる場合であっても、ゲートドライバーの非接続の端子pにオン電圧が印加される前後(或いは非接続の端子pがアクティブな状態とされる前後)に読み出された画像データDの少なくとも一方を補正するように画像データDの補正処理を行うことで、ゲートドライバーの非接続の端子pにオン電圧が印加される前に読み出された画像データDに対する、ゲートドライバーの非接続の端子pにオン電圧が印加された後に読み出された画像データDの増加率や増加分の影響が排除され、両者の間の輝度の段差を解消させることが可能となる。
【0022】
また、本発明のような方式の放射線画像撮影装置によれば、上記と同様に画像データDの補正処理を放射線画像撮影装置で行って、ゲートドライバーの非接続の端子pにオン電圧が印加される前に読み出された画像データDに対する、ゲートドライバーの非接続の端子pにオン電圧が印加された後に読み出された画像データDの増加率や増加分の影響が排除され、両者の間の輝度の段差を解消させることが可能となる。
【0023】
そのため、上記のいずれの場合も、輝度の段差が解消された画像データDに基づいて画像処理装置で放射線画像Iを生成するため、輝度の段差のない放射線画像Iを生成することが可能となる。そのため、少なくとも輝度の段差の点で放射線画像Iが見づらくなることはなく、例えば放射線画像Iを医療における診断用等に用いる場合、患者の病変部が輝度の段差の部分と重なって医師による病変部の有無やその状態の判断等に支障を来たす事態が生じることを的確に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1におけるX−X線に沿う断面図である。
【図3】放射線画像撮影装置のコネクターにケーブルのコネクターを接続した状態を表す斜視図である。
【図4】放射線画像撮影装置の基板の構成を示す平面図である。
【図5】図4の基板上の小領域に形成された放射線検出素子とTFT等の構成を示す拡大図である。
【図6】フレキシブル回路基板やPCB基板等が取り付けられた基板を説明する側面図である。
【図7】放射線画像撮影装置の等価回路を表すブロック図である。
【図8】検出部を構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【図9】ゲートドライバーに存在する非接続の端子を説明する図である。
【図10】各放射線検出素子のリセット処理における電荷リセット用スイッチやTFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図11】画像データの読み出し処理における電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図12】撮影室等に構築された本実施形態に係る放射線画像撮影システムの構成例を示す図である。
【図13】回診車上に構築された本実施形態に係る放射線画像撮影システムの構成例を示す図である。
【図14】TFTを介して各放射線検出素子からリークした各電荷がリークデータとして読み出されることを説明する図である。
【図15】リークデータの読み出し処理における電荷リセット用スイッチやTFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図16】放射線画像撮影前にリークデータの読み出し処理と各放射線検出素子のリセット処理を交互に行うように構成した場合の電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図17】検出方法1において各走査線にオン電圧を印加するタイミング等を説明するタイミングチャートである。
【図18】読み出されるリークデータの時間的推移の例を表すグラフである。
【図19】検出方法2において放射線画像撮影前に画像データの読み出し処理が繰り返し行われる際の各走査線にオン電圧を順次印加するタイミングを表すタイミングチャートである。
【図20】放射線画像撮影前に画像データの読み出し処理における電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングおよびオン時間ΔTを表すタイミングチャートである。
【図21】検出方法2において各走査線にオン電圧を印加するタイミング等を説明するタイミングチャートである。
【図22】検出部が4つの領域に分割され、各領域に読み出しICがそれぞれ割り当てられた状態を表す図である。
【図23】(A)検出ラインが走査線のラインLnである場合、および(B)検出ラインが走査線のラインLnとは別のラインLmである場合における画像データ中の輝度の段差の位置と画像データの平均値をプロットしたグラフを表す図である。
【図24】図23(A)、(B)の各ライン番号kにおける平均値同士の比αを表す図である。
【図25】ゲートドライバーの非接続の端子が放射線画像撮影装置の検出部の末端部分ではない途中の部分に設けられている場合を説明する図である。
【図26】図25のように構成された場合に画像データ中に生じる輝度の段差を表すグラフである。
【図27】読み出し開始ラインLn+1から順にオン電圧を印加する走査線をシフトさせながら画像データの読み出し処理を行う状態を表す図である。
【図28】画像データや放射線画像に読み出し開始ラインを境界として輝度の段差が生じることを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る放射線画像撮影システム、画像処理装置および放射線画像撮影装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0026】
なお、以下では、放射線画像撮影装置として、シンチレーター等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレーター等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
【0027】
また、本発明は、本実施形態で説明する、いわゆる可搬型の放射線画像撮影装置のみならず、例えば支持台等と一体的に形成された専用機型の放射線画像撮影装置に対しても適用することが可能である。
【0028】
さらに、以下では、放射線画像撮影システム50全体をコントロールするコンソール58(後述する図12や図13参照)が画像処理装置として機能するように構成されている場合について説明するが、放射線画像を生成するための画像処理装置を、コンソール58とは別体の装置として構成することも可能である。
【0029】
[放射線画像撮影装置]
図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1のX−X線に沿う断面図である。放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体2内にシンチレーター3や基板4等で構成されるセンサーパネルSPが収納されている。
【0030】
本実施形態では、筐体2のうち、放射線入射面Rを有する中空の角筒状の筐体本体部2Aは、放射線を透過するカーボン板やプラスチック等の材料で形成されており、筐体本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで筐体2が形成されている。また、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や切替スイッチ38、コネクター39、バッテリー状態や放射線画像撮影装置1の稼働状態等を表示するLED等で構成されたインジケーター40等が配置されている。
【0031】
本実施形態では、コネクター39は、例えば図3に示すように、ケーブルCaの先端に設けられたコネクターCが接続されることにより、例えば外部のコンソール58(後述する図12や図13参照)等の装置との間でケーブルCaを介して信号等を送受信したり画像データD等を送信したりする際の有線方式の通信手段として機能するようになっている。
【0032】
また、図示を省略するが、例えば筐体2の反対側の蓋部材2C等に、アンテナ装置41(後述する図7参照)が例えば蓋部材2Cに埋め込む等して設けられており、本実施形態では、このアンテナ装置41が、放射線画像撮影装置1とコンソール58等との間で信号等の無線方式で送受信する場合の通信手段として機能するようになっている。
【0033】
図2に示すように、筐体2の内部には、基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置され、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33やバッテリー24等が取り付けられている。また、基板4やシンチレーター3の放射線入射面Rには、それらを保護するためのガラス基板34が配設されている。また、本実施形態では、センサーパネルSPと筐体2の側面との間に緩衝材35が設けられている。
【0034】
シンチレーター3は、基板4の後述する検出部Pに対向する位置に設けられるようになっている。本実施形態では、シンチレーター3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
【0035】
また、本実施形態では、基板4は、ガラス基板で構成されており、図4に示すように、基板4のシンチレーター3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。また、基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
【0036】
このように、走査線5と信号線6で区画された各小領域rに二次元状に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた小領域rの全体、すなわち図4に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
【0037】
放射線検出素子7は、放射線画像撮影装置1の筐体2の放射線入射面Rから放射線が入射し、シンチレーター3で放射線から変換された可視光等の電磁波が照射されると、その内部で電子正孔対を発生させる。放射線検出素子7は、このようにして、照射された放射線(本実施形態ではシンチレーター3で放射線から変換された電磁波)を電荷に変換するようになっている。
【0038】
本実施形態では、放射線検出素子7としてフォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスター等を用いることも可能である。各放射線検出素子7は、図4の拡大図である図5に示すように、スイッチ手段であるTFT8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
【0039】
そして、TFT8は、後述する走査駆動手段15から走査線5を介してゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となり、ソース電極8sやドレイン電極8dを介して放射線検出素子7内に蓄積されている電荷を信号線6に放出させるようになっている。また、TFT8は、接続された走査線5を介してゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、放射線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、放射線検出素子7内に電荷を蓄積させるようになっている。
【0040】
本実施形態では、図5に示すように、それぞれ列状に配置された複数の放射線検出素子7に1本のバイアス線9が接続されており、図4に示すように、各バイアス線9はそれぞれ信号線6に平行に配設されている。また、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で結線10に結束されている。
【0041】
図4に示すように、本実施形態では、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう。)11に接続されている。
【0042】
各入出力端子11には、図6に示すように、後述する読み出しIC16や走査駆動手段15のゲートドライバー15bを構成するゲートIC15c等のチップがフィルム上に組み込まれたフレキシブル回路基板(Chip On Film等ともいう。)12が、異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
【0043】
そして、フレキシブル回路基板12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。このようにして、放射線画像撮影装置1のセンサーパネルSPが形成されている。なお、図6では、電子部品32等の図示が省略されている。
【0044】
ここで、放射線画像撮影装置1の回路構成について説明する。図7は本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の等価回路を表すブロック図であり、図8は検出部Pを構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【0045】
前述したように、基板4の検出部Pの各放射線検出素子7は、その第2電極7bにそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の第2電極7bにそれぞれ逆バイアス電圧(すなわち放射線検出素子7の第1電極7a側にかかる電圧以下の電圧)を印加するようになっている。
【0046】
走査駆動手段15は、配線15dを介してゲートドライバー15bにオン電圧とオフ電圧を供給する電源回路15aと、走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えて各TFT8のオン状態とオフ状態とを切り替えるゲートドライバー15bとを備えている。本実施形態では、ゲートドライバー15bは、複数の前述したゲートIC15c(図6や後述する図9参照)が並設されて構成されている。
【0047】
本実施形態では、図9に示すように、ゲートドライバー15bの各端子には、走査線5の各ラインL1〜Lxがそれぞれ接続されているが、走査線5が接続されていない、いわゆる非接続の端子pが存在する。
【0048】
なお、これらの非接続の端子pは、図9に示すように、走査線5の最初のラインL1側に設けられている場合もあるが、図示を省略するが、走査線5の最終ラインLx(図7参照)側に設けられている場合もある。また、後述する図22に示すように、検出部Pが複数の領域Pa等に分割されている場合には、図22では図示を省略したゲートドライバー15bの各読み出しIC16に近いそれぞれの側に非接続の端子pが設けられている場合もある。
【0049】
図7や図8に示すように、各信号線6は、読み出しIC16内に内蔵された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。読み出し回路17は、増幅回路18と相関二重サンプリング回路19等で構成されている。読み出しIC16内には、さらに、アナログマルチプレクサー21と、A/D変換器20とが設けられている。なお、図7や図8中では、相関二重サンプリング回路19はCDSと表記されている。また、図8中では、アナログマルチプレクサー21は省略されている。
【0050】
本実施形態では、増幅回路18は、オペアンプ18aと、オペアンプ18aにそれぞれ並列にコンデンサー18bおよび電荷リセット用スイッチ18cが接続され、オペアンプ18a等に電力を供給する電源供給部18dを備えたチャージアンプ回路で構成されている。また、増幅回路18のオペアンプ18aの入力側の反転入力端子には信号線6が接続されており、増幅回路18の入力側の非反転入力端子には基準電位V0が印加されるようになっている。
【0051】
また、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cは、制御手段22に接続されており、制御手段22によりオン/オフが制御されるようになっている。また、オペアンプ18aと相関二重サンプリング回路19との間には、電荷リセット用スイッチ18cと連動して開閉するスイッチ18eが設けられており、スイッチ18eは、電荷リセット用スイッチ18cがオン/オフ動作と連動してオフ/オン動作するようになっている。
【0052】
放射線画像撮影装置1で、各放射線検出素子7内に残存する電荷を除去するための各放射線検出素子7のリセット処理を行う際には、図10に示すように、電荷リセット用スイッチ18cがオン状態(およびスイッチ18eがオフ状態)とされた状態で、各TFT8がオン状態とされる。
【0053】
そして、オン状態とされた各TFT8を介して各放射線検出素子7から電荷が信号線6に放出され、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cを通過して、オペアンプ18aの出力端子側からオペアンプ18a内を通り、非反転入力端子から出てアースされたり、電源供給部18dに流れ出す。このようにして、各放射線検出素子7のリセット処理が行われるようになっている。
【0054】
一方、各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理の際には、図11に示すように、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cがオフ状態(およびスイッチ18eがオン状態)とされた状態で、オン状態とされた各TFT8を介して各放射線検出素子7から電荷が信号線6に放出されると、電荷が増幅回路18のコンデンサー18bに蓄積される。
【0055】
増幅回路18では、コンデンサー18bに蓄積された電荷量に応じた電圧値がオペアンプ18aの出力側から出力されるようになっており、増幅回路18により、各放射線検出素子7から流出した電荷が電荷電圧変換されるようになっている。
【0056】
そして、増幅回路18の出力側に設けられた相関二重サンプリング回路(CDS)19は、各放射線検出素子7から電荷が流出する前に制御手段22からパルス信号Sp1(図11参照)が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持し、上記のように各放射線検出素子7から流出した電荷が増幅回路18のコンデンサー18bに蓄積された後で、制御手段22からパルス信号Sp2が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持する。
【0057】
そして、相関二重サンプリング回路19は、それらの電圧値の差分Vfi−Vinを算出し、算出した差分Vfi−Vinをアナログ値の画像データDとして下流側に出力するようになっている。そして、相関二重サンプリング回路19から出力された各放射線検出素子7の画像データDは、アナログマルチプレクサー21を介して順次A/D変換器20に送信され、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データDに変換されて記憶手段23に出力されて順次保存されるようになっている。
【0058】
制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピューターや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。そして、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各部材の動作等を制御するようになっている。また、図7等に示すように、制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)等で構成される記憶手段23が接続されている。
【0059】
また、本実施形態では、制御手段22には、前述したアンテナ装置41が接続されており、さらに、検出部Pや走査駆動手段15、読み出し回路17、記憶手段23、バイアス電源14等の各部材に電力を供給するためのバッテリー24が接続されている。また、バッテリー24には、図示しない充電装置からバッテリー24に電力を供給してバッテリー24を充電する際の接続端子25が取り付けられている。
【0060】
前述したように、制御手段22は、走査駆動手段15や読み出し回路17等を制御して画像データDの読み出し処理や各放射線検出素子7のリセット処理等を行わせるなど、放射線画像撮影装置1の各機能部の動作を制御するようになっている。
【0061】
なお、本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、装置自体で放射線の照射開始を検出するようになっているが、そのための制御構成等については、本実施形態に係る放射線画像撮影システムの構成等を説明した後で説明する。
【0062】
[放射線画像撮影システム]
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50について説明する。図12は、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50の構成例を示す図である。図12では、放射線画像撮影システム50が撮影室R1内等に構築されている場合が示されている。
【0063】
撮影室R1には、ブッキー装置51が設置されており、ブッキー装置51は、そのカセッテ保持部(カセッテホルダともいう。)51aに上記の放射線画像撮影装置1を装填して用いることができるようになっている。なお、図12では、ブッキー装置51として、立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bが設置されている場合が示されているが、例えば一方のブッキー装置51のみが設けられていてもよい。
【0064】
図12に示すように、撮影室R1には、被写体を介してブッキー装置51に装填された放射線画像撮影装置1に放射線を照射する放射線源52Aが少なくとも1つ設けられている。本実施形態では、放射線源52Aの位置を移動させたり、放射線の照射方向を変えることで、立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bのいずれにも放射線を照射することができるようになっている。
【0065】
撮影室R1には、撮影室R1内の各装置等や撮影室R1外の各装置等の間の通信等を中継するための中継器(基地局等ともいう。)54が設けられている。なお、本実施形態では、中継器54には、放射線画像撮影装置1が無線方式で画像データDや信号等の送受信を行うことができるように、無線アンテナ(アクセスポイントともいう。)53が設けられている。
【0066】
また、中継器54は、放射線発生装置55やコンソール58と接続されており、中継器54には、放射線画像撮影装置1やコンソール58等から放射線発生装置55に送信するLAN(Local Area Network)通信用の信号等を放射線発生装置55用の信号等に変換し、また、その逆の変換も行う図示しない変換器が内蔵されている。
【0067】
前室(操作室等ともいう。)R2には、本実施形態では、放射線発生装置55の操作卓57が設けられており、操作卓57には、放射線技師等の操作者が操作して放射線発生装置55に対して放射線の照射開始等を指示するための曝射スイッチ56が設けられている。
【0068】
放射線発生装置55は、放射線源52を所定の位置に移動させたり、その放射方向を調整したり、放射線画像撮影装置1の所定の領域内に放射線が照射されるように図示しない絞りやコリメーター等を調整したり、或いは、適切な線量の放射線が照射されるように放射線源52を調整する等の種々の制御を行うようになっている。
【0069】
図12に示すように、本実施形態では、コンピューター等で構成されたコンソール58が前室R2に設けられている。なお、コンソール58を撮影室R1や前室R2の外側や別室等に設けるように構成することも可能であり、適宜の場所に設置される。
【0070】
また、コンソール58には、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等を備えて構成される表示部58aが設けられており、また、図示しないマウスやキーボード等の入力手段を備えている。また、コンソール58には、HDD(Hard Disk Drive)等で構成された記憶手段59が接続され、或いは内蔵されている。
【0071】
一方、放射線画像撮影装置1は、図13に示すように、ブッキー装置51には装填されずに、いわば単独の状態で用いることもできるようになっている。例えば、患者Hが病室R3のベッドBから起き上がれず、撮影室R1に行くことができないような場合には、図13に示すように、放射線画像撮影装置1を病室R3内に持ち込み、ベッドBと患者の身体との間に差し込んだり患者の身体にあてがったりして用いることができる。
【0072】
また、放射線画像撮影装置1を病室R3等で用いる場合、前述した撮影室R1に据え付けられた放射線発生装置55に代えて、図13に示すように、いわゆるポータブルの放射線発生装置55が例えば回診車71に搭載される等して病室R3に持ち込まれる。この場合、ポータブルの放射線発生装置55の放射線52Pは、任意の方向に放射線を照射できるように構成されており、ベッドBと患者の身体との間に差し込まれたり患者の身体にあてがわれたりした放射線画像撮影装置1に対して、適切な距離や方向から放射線を照射することができるようになっている。
【0073】
また、この場合、無線アンテナ53が設けられた中継器54が放射線発生装置55内に内蔵されており、上記と同様に、中継器54が放射線発生装置55とコンソール58との間の通信や、放射線画像撮影装置1とコンソール58との間の通信や画像データDの送信等を中継するようになっている。
【0074】
なお、図12に示したように、放射線画像撮影装置1を、撮影室R1の臥位撮影用のブッキー装置51B上に横臥した患者の身体と臥位撮影用のブッキー装置51Bとの間に差し込んだり、臥位撮影用のブッキー装置51B上で患者の身体にあてがったりして用いることも可能であり、その場合は、ポータブルの放射線52Pや、撮影室R1に据え付けられた放射線源52Aのいずれを用いることも可能である。
【0075】
本実施形態では、コンソール58は、放射線画像撮影装置1からプレビュー画像用のデータが送信されてくると、それに基づいてプレビュー画像を生成して表示部58a上に表示させるようになっている。そして、放射線技師はこのプレビュー画像を確認することで、被写体が正常な位置に撮影されているか否かや再撮影の要否等を判断するようになっている。
【0076】
また、本実施形態では、前述したように、コンソール58は画像処理装置としても機能するようになっており、放射線画像撮影装置1から画像データD等が送信されてくると、画像データD等に基づいて放射線画像Iを生成するようになっている。なお、この点については後で詳しく説明する。
【0077】
[放射線画像撮影装置における放射線の照射開始の検出の制御構成について]
次に、上記のように構成された放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出処理の制御構成について説明する。
【0078】
本実施形態では、前述したように、放射線画像撮影装置1自体で、放射線発生装置55の放射線源52(図12や図13参照)から放射線が照射されたことを検出するようになっている。以下、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1で行われる放射線の照射開始の検出の仕方について説明する。
【0079】
なお、以下の検出方法は、本発明者らの研究により新たに見出された検出方法であり、例えば、下記の2つの検出方法のいずれかを採用することが可能である。
【0080】
[検出方法1]
例えば、放射線画像撮影において放射線画像撮影装置1に放射線が照射される前に、リークデータdleakの読み出し処理を繰り返し行うように構成することも可能である。ここで、リークデータdleakとは、図14に示すように、各走査線5にオフ電圧を印加した状態で、オフ状態になっている各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷qの信号線6ごとの合計値に相当するデータである。
【0081】
そして、リークデータdleakの読み出し処理では、図10に示した各放射線検出素子7のリセット処理や図11に示した画像データDの読み出し処理の場合と異なり、図15に示すように、走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加して各TFT8をオフ状態とした状態で、制御手段22から各読み出し回路17の相関二重サンプリング回路19(図7や図8のCDS参照)にパルス信号Sp1、Sp2を送信するようになっている。
【0082】
相関二重サンプリング回路19は、制御手段22からパルス信号Sp1が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持する。そして、増幅回路18のコンデンサー18bに各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷qが蓄積されて増幅回路18から出力される電圧値が上昇し、制御手段22からパルス信号Sp2が送信されると、相関二重サンプリング回路19は、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持する。
【0083】
そして、相関二重サンプリング回路19が電圧値の差分Vfi−Vinを算出して出力した値が、リークデータdleakとなる。リークデータdleakが、その後、A/D変換器20でデジタル値に変換されることは、前述した画像データDの読み出し処理の場合と同様である。
【0084】
ところで、リークデータdleakの読み出し処理のみを繰り返し行うように構成すると、各TFT8がオフ状態のままとなってしまい、各放射線検出素子7内で発生した暗電荷が各放射線検出素子7内に蓄積され続ける状態になってしまう。
【0085】
そのため、上記のように、放射線画像撮影前に、リークデータdleakの読み出し処理を繰り返し行うように構成する場合には、図16に示すように、各走査線5にオフ電圧を印加した状態で行うリークデータdleakの読み出し処理と、走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して行う各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返し行うように構成することが望ましい。なお、図16や後述する図17等のTやτ、Tacについては後で説明する。
【0086】
このように放射線画像撮影前にリークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返して行うように構成した場合、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されると、シンチレーター3(図2参照)で放射線から変換された電磁波が、各TFT8に照射される。そして、それにより、各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷q(図16参照)がそれぞれ増加することが本発明者らの研究で分かった。
【0087】
そして、例えば図17に示すように、放射線画像撮影前にリークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返して行う場合、図18に示すように、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始された時点(時刻t1参照)で読み出されたリークデータdleakが、それ以前に読み出されたリークデータdleakよりも格段に大きな値になる。
【0088】
なお、図17および図18では、図17で走査線5のラインL4にオン電圧が印加されてリセット処理が行われた後の4回目の読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが、図18の時刻t1におけるリークデータdleakに対応する。また、図17において「R」は各放射線検出素子7のリセット処理を表し、「L」はリークデータdleakの読み出し処理を表す。
【0089】
そこで、放射線画像撮影装置1の制御手段22で、放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理で読み出されたリークデータdleakを監視するように構成し、読み出されたリークデータdleakが、例えば予め設定された所定の閾値dleak_th(図18参照)を越えた時点で、放射線の照射が開始されたことを検出するように構成することができる。なお、上記の走査線5のラインL4のように、放射線の照射が開始された際或いはその直前にオン電圧が印加された走査線5を、以下、検出ラインという。
【0090】
[検出方法2]
また、上記の検出方法1のように、放射線画像撮影前にリークデータdleakの読み出し処理を行うように構成する代わりに、放射線画像撮影前に、図19に示すように、走査駆動手段15のゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、各放射線検出素子7からの画像データdの読み出し処理を繰り返し行うように構成することも可能である。
【0091】
なお、前述したように、放射線の照射後に行われる上記の本画像としての画像データDと区別して、以下、この放射線画像撮影前に放射線の照射開始の検出用に読み出される画像データを、照射開始検出用の画像データd(或いは単に画像データd)という。
【0092】
また、照射開始検出用の画像データdの読み出し処理における読み出し回路17の増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cのオン/オフや、相関二重サンプリング回路19へのパルス信号Sp1、Sp2の送信等は、図20に示すように、図11に示した画像データDの読み出し処理における処理と同様に行われる。なお、図20等におけるTやΔTについては後で説明する。
【0093】
上記のように放射線画像撮影前に照射開始検出用の画像データdの読み出し処理を行うように構成した場合、図21に示すように、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されると、その時点で読み出された画像データd(図21では走査線5のラインLnにオン電圧が印加されて読み出された画像データd)が、前述した図18に示したリークデータdleakの場合と同様に、それ以前に読み出された画像データdよりも格段に大きな値になる。
【0094】
そこで、放射線画像撮影装置1の制御手段22で、放射線画像撮影前の読み出し処理で読み出された画像データdを監視するように構成し、読み出された画像データdが予め設定された所定の閾値dthを越えた時点で、放射線の照射が開始されたことを検出するように構成することができる。なお、図21中のΔTやτ、Tacについては以下で説明する。また、図21の場合は、走査線5のラインLnが検出ラインとなる。
【0095】
[検出感度を向上させるための処理について]
また、上記の検出方法1において、放射線画像撮影前の各放射線検出素子7のリセット処理で、ある走査線5に対するオン電圧の印加を開始してから次の走査線5に対するオン電圧の印加を開始するまでの周期τ(図16や図17等参照)を長くして、リークデータdleakの読み出し処理において制御手段22から送信する2回のパルス信号Sp1、Sp2の送信間隔Tを長くすると、1回のリークデータdleakの読み出し処理で読み出されるリークデータdleakの値が大きくなる。そのため、放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出感度が向上する。
【0096】
また、上記の検出方法2において、放射線画像撮影前の照射開始検出用の画像データdの読み出し処理において、各TFT8をオン状態とする時間ΔT(図20や図21参照)、すなわち走査駆動手段15のゲートドライバー15bから走査線5にオン電圧を印加してからオフ電圧に切り替えるまでの時間ΔT(以下、オン時間ΔTという。)を長くすると、1回の画像データdの読み出し処理で読み出される画像データdの値が大きくなる。そのため、やはり放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出感度が向上する。
【0097】
なお、この場合も、ある走査線5に対するオン電圧の印加を開始してから次の走査線5に対するオン電圧の印加を開始するまでの周期τ(図21参照)や、制御手段22から送信する2回のパルス信号Sp1、Sp2の送信間隔T(図20参照)が長くなる。
【0098】
このように、上記の検出方法1や検出方法2を採用する場合には、放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出感度を向上させるために、放射線画像撮影前の各放射線検出素子7のリセット処理や照射開始検出用の画像データdの読み出し処理における上記の周期τや、制御手段22から送信する2回のパルス信号Sp1、Sp2の送信間隔T、或いはオン時間ΔTを長くする等の処理が適宜行われる。
【0099】
なお、図22に示すように、例えば、検出部P(図4や図7等参照)が4つの領域Pa〜Pdに分割されるなど、検出部Pが複数の領域に分割されるように構成される場合がある。このような場合、検出部Pの各領域Pa〜Pdごとに、上記の検出方法1や検出方法2を用いて放射線の照射開始を検出するように構成することが可能である。
【0100】
そして、このように構成すれば、例えば、放射線が放射線画像撮影装置1に対して照射野が狭められて照射され、検出部Pの複数の領域Pa〜Pdのうち1つ或いはいくつかの領域のみに放射線が照射される状態になる場合があるが、そのような場合でも、放射線の照射開始を的確に検出することが可能となる。
【0101】
[電荷蓄積状態への移行]
次に、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、上記のようにして、放射線の照射が開始されたことを検出すると、図17(検出方法1の場合)や図21(検出方法2の場合)に示したように、放射線の照射開始を検出した時点で各走査線5へのオン電圧の印加を停止して、ゲートドライバー15bから走査線5の全てのラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させ、各TFT8をオフ状態にする。
【0102】
このように、各TFT8がオフ状態とされると、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されることにより各放射線検出素子7内で発生した電荷が、各放射線検出素子7内に蓄積される状態になる。放射線画像撮影装置1の制御手段22は、放射線の照射開始を検出すると、このようにして、電荷蓄積状態に移行させるようになっている。
【0103】
[本画像としての画像データDの読み出し処理]
そして、例えば放射線の照射開始を検出してから所定時間が経過した時点で、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、本画像としての画像データDの読み出し処理を行わせるようになっている。
【0104】
具体的には、本実施形態では、制御手段22は、放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理で放射線の照射が開始されたことを検出した時点の直前のリセット処理でオン電圧が印加された走査線5(図17の場合は走査線5のラインL4。すなわち検出ライン)の次にオン電圧を印加すべき走査線5(図17の場合は走査線5のラインL5。すなわち読み出し開始ライン)からオン電圧の印加を開始し、各走査線5にオン電圧を順次印加させて、画像データDの読み出し処理を行うようになっている。
【0105】
また、検出方法2の場合も同様に、図21に示すように、制御手段22は、放射線の照射開始を検出してから所定時間が経過すると、放射線画像撮影前の照射開始検出用の画像データdの読み出し処理で放射線の照射が開始されたことを検出した時点でオン電圧が印加されていた走査線5(図21の場合は走査線5のラインLn。すなわち検出ライン)の次にオン電圧を印加すべき走査線5(図21の場合は走査線5のラインLn+1。すなわち読み出し開始ライン)からオン電圧の印加を開始し、各走査線5にオン電圧を順次印加させて、画像データDの読み出し処理を行うようになっている。
【0106】
このように、本実施形態では、画像データDの読み出し処理では、制御手段22は、前述した検出ラインの次にゲートドライバー15bからオン電圧を印加すべき走査線5(すなわち読み出し開始ライン)からオン電圧の印加を開始するようになっている。
【0107】
そして、このように構成されているため、本実施形態では、読み出し開始ラインは、検出部P(図4や図7参照)やその領域Pa等(図22参照)の末端側の走査線5(すなわち走査線5のラインL1やラインLx)ではなく、通常、検出部P等の途中の走査線5(すなわち上記の例では走査線5のラインL5やラインLn+1)になる。なお、上記の例においても、読み出し開始ラインが走査線5のラインL1やラインLxになる場合もあり得る。
【0108】
なお、本実施形態では、画像データDの読み出し処理の際に、ゲートドライバー15bから各走査線5にオン電圧を印加する周期が、放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理と交互に行われる各放射線検出素子7のリセット処理(検出方法1の場合。図17等参照)や照射開始検出用の画像データdの読み出し処理(検出方法2の場合。図21参照)における周期τと同じ周期になるように、各走査線5にオン電圧を順次印加するようになっている。
【0109】
このように構成すると、画像データDの読み出し処理前の電荷蓄積状態への移行前に走査線5に印加したオン電圧をオフ電圧に切り替えてから、電荷蓄積状態を経て画像データDの読み出し処理で当該走査線5に印加したオン電圧をオフ電圧に切り替えるまでの時間Tac(図17や図21参照)が、各走査線5で同じ時間になる等のメリットがある。
【0110】
[画像データDの読み出し処理後の検出動作について]
上記のようにして本画像としての画像データDの読み出し処理が行われると、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、前述したように、アンテナ装置41等の通信手段を介してコンソール58にプレビュー画像用のデータを送信するようになっている。そして、コンソール58では、送信されてきたプレビュー画像用のデータに基づいてプレビュー画像を生成して表示部58a上に表示させるようになっているが、この点については説明を省略する。
【0111】
そして、図示を省略するが、本実施形態では、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、その後、オフセットデータOの読み出し処理を行わせるようになっている。
【0112】
各放射線検出素子7内では、各放射線検出素子7自体の熱(温度)による熱励起等により、いわゆる暗電荷(暗電流等ともいう。)が常時発生している。そして、上記の画像データDの読み出し処理の際に読み出される画像データDには、それ以前にTFT8がオフ状態とされている間(すなわち上記の時間Tacの間)に発生し蓄積された暗電荷に起因するオフセット分が重畳されている。
【0113】
そこで、この暗電荷に起因するオフセット分をオフセットデータOとして読み出すオフセットデータOの読み出し処理が、通常、画像データDの読み出し処理の前や後に行われるのである。本実施形態では、図17や図21に示した画像データDの読み出し処理までの処理シーケンスと同じ処理シーケンスを繰り返して、オフセットデータOの読み出し処理を行うようになっている。なお、オフセットデータOの読み出し処理では、放射線画像撮影装置1には放射線は照射されない。
【0114】
このようにしてオフセットデータOの読み出し処理を行うことにより、画像データDの読み出し処理前に各TFT8がオフ状態とされている時間Tacと、オフセットデータOの読み出し処理前に各TFT8がオフ状態とされる時間とが同じ時間になり、各放射線検出素子7内に蓄積される暗電荷の量が、画像データDの読み出し処理の場合とオフセットデータOの読み出し処理の場合とで同じになる。
【0115】
そのため、上記のようにオフセットデータOの読み出し処理を行うことにより、画像データDに重畳されている暗電荷に起因するオフセット分と同じ大きさのデータとしてオフセットデータOを各放射線検出素子7ごとに読み出すことが可能となる。
【0116】
放射線画像撮影装置1の制御手段22は、このようにしてオフセットデータOの読み出し処理を終了すると、各画像データDと各オフセットデータOとをコンソール58に送信するようになっている。
【0117】
また、後述する画像処理装置としてのコンソール58での処理で必要となるため、制御手段22は、上記の検出ラインや読み出し開始ラインの情報、すなわち例えば検出ラインや読み出し開始ラインである走査線5のライン番号をコンソール58に送信するようになっている。
【0118】
すなわち、例えば検出ラインの情報を送信する場合には、上記の図17や図21の場合は検出ラインがそれぞれ走査線5のラインL4、Lnであるから、例えばそのライン番号「4」や「n」をコンソール58に送信するようになっている。
【0119】
[画像処理装置における一般的な画像処理について]
本実施形態における画像処理装置としてのコンソール58は、上記のようにして、放射線画像撮影装置1から各画像データDと各オフセットデータOとが送信されてくると、まず、各放射線検出素子7ごとに、下記(1)式に従って画像データDからオフセットデータOを減算処理して、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷のみに基づく、いわゆる真の画像データD*を算出するようになっている。
D*=D−O …(1)
【0120】
そして、このようにして算出した真の画像データD*に対してゲイン補正や欠陥画素補正、撮影部位に応じた階調処理等の精密な画像処理を行って、最終的な放射線画像Iを生成するようになっている。
【0121】
[ゲートドライバーに非接続の端子が存在する場合の問題点]
前述した図9に示したように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1では、ゲートドライバー15bには、走査線5の各ラインL1〜Lxがそれぞれ接続されている端子だけでなく、走査線5が接続されていない非接続の端子pが存在している。
【0122】
そのため、図17や図21に示した検出方法1や検出方法2を採用した場合のタイミングチャートでは、画像データDの読み出し処理において、走査線5の最終ラインLxにオン電圧を印加した後、次のタイミングで走査線5の最初のラインL1にオン電圧を印加するように記載されているが、実際には、走査線5の最終ラインLxにオン電圧を印加した後、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が順次印加され、その後、走査線5の最初のラインL1からのオン電圧の印加が始まる。
【0123】
なお、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が順次印加されるタイミングで、非接続の端子pにオン電圧を印加する代わりに、非接続の端子pがアクティブな状態とされるだけの場合もある。
【0124】
すなわち、本実施形態では、ゲートドライバー15bでは、各端子にオン電圧を印加する場合、アクティブな状態とされている端子にのみオン電圧が印加されるようになっている。そのため、「端子がアクティブな状態とされる」とは、ゲートドライバー15bからオン電圧を印加する端子として当該端子が選択された状態、すなわちゲートドライバー15bから当該端子にオン電圧が印加される直前の状態をいう。
【0125】
本実施形態では、上記のように、読み出し開始ラインから走査線5の最終ラインLxまでオン電圧を順次印加して画像データDを読み出し、非接続の端子pにオン電圧を順次印加し或いはそれらを順次アクティブな状態とした後、走査線5の最初のラインL1から検出ラインまでオン電圧を順次印加して画像データDを読み出す。
【0126】
このような場合、前述した図28に示したように、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等する前に読み出された、読み出し開始ラインから走査線5の最終ラインLxまでの各走査線5に接続されている各放射線検出素子7の画像データDよりも、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等した後に読み出された、走査線5の最初のラインL1から検出ラインまでの各走査線5に接続されている各放射線検出素子7の画像データDの方が、値が若干大きくなる。
【0127】
そのため、図28に示すように、検出ライン(図17の例では走査線5のラインL4、図21の例では走査線5のLn)とその次の読み出し開始ラインとを境界として、読み出される画像データDや、それに基づいて生成される放射線画像I中に輝度の段差が生じるという問題があった。
【0128】
そこで、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50では、放射線画像撮影装置1における画像データDの読み出し処理の際に、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加され、或いは非接続の端子pがアクティブな状態とされる前と後に読み出された画像データDのうちの少なくとも一方を補正するようになっている。
【0129】
[画像データの補正処理の原理]
以下、このような画像データDの補正処理の原理について説明する。上記の検出方法1や検出方法2を採用する放射線画像撮影装置1に対して、いま仮に、被写体が介在しない状態で(被写体が介在していてもよい。)放射線源52(図12や図13参照)から放射線を照射し、放射線画像撮影装置1の制御手段22が、例えば走査線5のラインLn(すなわち検出ラインLn)にオン電圧を印加して読み出した照射開始検出用の画像データdやその直後に読み出したリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始を検出したとする。
【0130】
すると、放射線画像撮影装置1では、図17や図21に示したように電荷蓄積状態を経た後、読み出し開始ラインLn+1からオン電圧の印加が開始されて、画像データDの読み出し処理が行われる。なお、後述するように、画像データDの読み出し処理が再度行われるため、この時点で読み出された画像データDを、画像データD1とする。そして、放射線画像撮影装置1から画像処理装置であるコンソール58に、読み出した各画像データD1が送信される。
【0131】
そして、放射線画像撮影装置1からコンソール58に送信されてきた画像データD1には、前述した図28と同様に、図23(A)に示すように、検出ラインLnやその次の読み出し開始ラインLn+1とを境界として、画像データD1中に輝度の段差が生じている。
【0132】
そこで、例えば、送信されてきた画像データD1のうち、放射線画像撮影装置1の各走査線5ごとに、同じ走査線5に接続されている各放射線検出素子7から読み出された画像データD1の平均値D1ave(k)(kは走査線5のライン番号1〜x)を、各走査線5ごとに算出し、それらをグラフ上にプロットする。
【0133】
すると、図23(A)の右側のグラフのように、平均値D1ave(k)(kは走査線5のライン番号1〜x)のプロファイルの、検出ラインLnや読み出し開始ラインLn+1に相当する部分、すなわちグラフ中のn、n+1の部分に輝度の段差が生じる。
【0134】
なお、図23(A)、(B)のグラフにおいて、画像データD1、D2の平均値D1ave(k)、D2ave(k)の全体的なプロファイルが傾斜しているのは、前述したように、放射線源52の照射特性に起因する濃淡(ムラ)が生じているためである。また、上記および以下では、画像データDのみを用いて処理を行う場合が示されているが、上記のように、放射線画像撮影装置1からコンソール58に画像データDとオフセットデータOとを送信させ、上記(1)式に従って算出される真の画像データD*を用いて処理を行うように構成することも可能である。
【0135】
一方、上記と同じ処理を、放射線画像撮影装置1に再度放射線を照射して行う。すると、放射線画像撮影装置1では、今度は、図23(B)に示すように、上記の検出ラインLnとは異なる検出ラインLmにオン電圧を印加した時点で放射線の照射開始が検出される。そして、上記と同様にして、読み出し開始ラインLm+1からオン電圧の印加を開始して画像データD2の読み出し処理を行い、読み出した画像データD2を画像処理装置であるコンソール58に送信する。
【0136】
コンソール58では、同様にして、送信されてきた画像データD2のうち、放射線画像撮影装置1の各走査線5ごとに、同じ走査線5に接続されている各放射線検出素子7から読み出された画像データD2の平均値D2ave(k)を、各走査線5ごとに算出し、それらをグラフに上プロットする。
【0137】
すると、図23(B)の右側のグラフのように、平均値D2ave(k)のプロファイル中に、今度は、検出ラインLmや読み出し開始ラインLm+1に相当する部分、すなわちグラフ中のm、m+1の部分に輝度の段差が生じる。そこで、これらの平均値D1ave(k)、D2ave(k)を用いて、例えば以下のようにして輝度の段差を生じている画像データDを補正するように構成することができる。
【0138】
[補正方法]
このようにして算出された平均値D2ave(k)を、例えば各走査線5ごとに平均値D1ave(k)で除算すると、図24に示すように、平均値D1ave(k)に対する平均値D2ave(k)の比α(k)(すなわちα(k)=D2ave(k)/D1ave(k))は、この場合は、1回目の読み出し開始ラインLn+1と2回目の検出ラインLmとの間の部分で1よりも有意に大きな値α*になる。
【0139】
なお、上記の値α*は、例えば、1回目の読み出し開始ラインLn+1と2回目の検出ラインLmとの間の各走査線5ごとに算出された値α*(k)の平均値等として算出される。
【0140】
このα*は、放射線画像撮影装置1における画像データDの読み出し処理の際に、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等する前に読み出された画像データDに対する、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等した後に読み出された画像データDの増加率であると考えられる。
【0141】
そこで、この増加率α*を補正係数として用い、例えば、
(1)ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等した後に読み出された画像データDを補正係数α*で除算する、
(2)ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等する前に読み出された画像データDに補正係数α*で乗算する、
或いは、
(3)補正係数α*に基づいて、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等する前に読み出された画像データDを所定倍して増加させるとともに、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等した後に読み出された画像データDを所定の割合で減少させる、
等の方法で、画像データDを補正することが可能である。
【0142】
このようにして画像データDを補正すれば、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等する前に読み出された画像データDに対する、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等した後に読み出された画像データDの増加率の影響が排除され、両者の間の輝度の段差を解消させることが可能となる。
【0143】
そこで、本実施形態では、上記の補正方法を用いて、画像データDの補正処理を行うようになっている。以下、このような画像データDの補正処理を、画像処理装置としてのコンソール58で行う場合と放射線画像撮影装置1で行う場合とに分けて、それぞれ説明する。
【0144】
なお、前述したように、画像データDに輝度の段差が生じる原因が不明であるため、上記の補正方法の(1)〜(3)等のうちのいずれを採用すべきかは決め難い。そのため、現時点では、各放射線画像撮影装置1における輝度の段差の現れ方等に応じて適切な補正方法が採用されることが望ましい。
【0145】
[第1の実施の形態]
[画像処理装置における画像データの補正処理について]
本発明の第1の実施形態では、上記の画像データDの補正処理を、画像処理装置としてのコンソール58で行う場合について説明する。
【0146】
この場合、コンソール58は、各放射線画像撮影装置1ごとに、当該放射線画像撮影装置1が施設に導入された際や、当該放射線画像撮影装置1のメンテナンス時にキャリブレーションを行う等して、各放射線画像撮影装置1ごとに、予め、上記の画像データDを補正するために画像データに乗算する(除算する場合を含む。)補正係数α*を算出しておく。
【0147】
各放射線画像撮影装置1の工場出荷時等に、上記の補正係数α*の算出処理を行い、その補正係数α*をコンソール58が有しておくように構成することも可能である。そして、画像データDの補正処理に必要な放射線画像撮影装置1ごとの補正係数α*を、予め、例えばコンソール58の記憶手段59(図12参照。図13では図示省略)に保存しておく。
【0148】
そして、コンソール58は、放射線画像撮影が終了して、上記のように放射線画像撮影装置1から画像データD等や検出ラインの情報(すなわち例えばライン番号)が送信されてくると、上記の補正方法の(1)〜(3)のうちの予め設定された方法に基づいて、画像データDを補正する。
【0149】
すなわち、コンソール58は、例えば、上記の補正方法の(1)の方法に従って画像データDの補正処理を行うように設定されている場合には、記憶手段59から当該放射線画像撮影装置1に関する補正係数α*を読み出す。
【0150】
そして、送信されてきた検出ラインLnの情報に基づいて、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等した後に読み出された画像データD、すなわち上記の場合には走査線5の最初のラインL1から検出ラインLnの各走査線5に接続されている各放射線検出素子7から読み出された画像データDを補正係数α*で除算する。
【0151】
そして、走査線5の最初のラインL1から検出ラインLnの各走査線5に接続されている各放射線検出素子7から読み出された補正された画像データDと、読み出し開始ラインLn+1から走査線5の最終ラインLxの各走査線5に接続されている各放射線検出素子7から読み出された補正されていない画像データD(すなわちゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等する前に読み出された画像データD)とに対して、上記のようにオフセットデータOを減算したり、ゲイン補正や階調処理等の精密な画像処理を行って、最終的な放射線画像Iを生成するように構成される。
【0152】
上記の補正方法における他の方法(すなわち上記の(2)、(3))に従って画像データDの補正処理を行うように設定されている場合には、上記と同様にして記憶手段59から必要な補正係数α*を読み出し、設定されている方法に基づいて画像データDの補正処理を行い、それらに基づいて最終的な放射線画像Iを生成するように構成される。
【0153】
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50や画像処理装置58(本実施形態の場合はコンソール58)によれば、放射線画像撮影装置1における画像データDの読み出し処理の際に、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される(或いは非接続の端子pがアクティブな状態とされる。以下同じ)前に読み出された画像データDや、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加された後に読み出された画像データDの少なくとも一方を補正して、放射線画像Iを生成する。
【0154】
そのため、放射線画像撮影装置1のゲートドライバー15bに非接続の端子pが存在し、それにオン電圧が印加される前後で読み出される画像データDに濃淡すなわち輝度の段差が現れる場合であっても、上記のように画像データDの補正処理を行うことで、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される前に読み出された画像データDに対する、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加された後に読み出された画像データDの増加率α*の影響が排除され、両者の間の輝度の段差を解消させることが可能となる。
【0155】
そして、輝度の段差が解消された画像データDに基づいて放射線画像Iを生成するため、輝度の段差のない放射線画像Iを生成することが可能となる。そのため、少なくとも輝度の段差の点で放射線画像Iが見づらくなることはなく、例えば放射線画像Iを医療における診断用等に用いる場合、患者の病変部が輝度の段差の部分と重なって医師による病変部の有無やその状態の判断等に支障を来たす事態が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0156】
[第2の実施の形態]
上記の第1の実施の形態では、画像処理装置であるコンソール58で画像データDの補正処理を行う場合について説明した。しかし、上記の画像データDの補正処理を、放射線画像撮影装置1で行うように構成することも可能である。
【0157】
すなわち、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、当該放射線画像撮影における検出ラインLnの情報を有している。そのため、例えばCPUのメモリー中に、上記の補正方法の(1)〜(3)のうちの予め設定された方法で行う画像データDの補正処理に必要な補正係数α*を予め保存しておけば、上記と同様にして、メモリーから必要な補正係数α*を読み出して、画像データDの補正処理を行うことが可能である。
【0158】
この場合、必要な補正係数α*の算出処理は、放射線画像撮影装置1自体で行うように構成してもよく、また、上記のように画像処理装置で行い、それを放射線画像撮影装置1に送信して放射線画像撮影装置1のCPUのメモリー等に書き込んでおくように構成することも可能である。
【0159】
そして、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、放射線画像撮影後、画像データD等を画像処理装置(本実施形態ではコンソール58)に送信する前に、上記と同様にして画像データDの補正処理を行う。そして、補正された画像データDを含む画像データDと、オフセットデータOとを、画像処理装置に送信するように構成される。
【0160】
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、上記の第1の実施形態と全く同様に、放射線画像撮影装置1のゲートドライバー15bに非接続の端子pが存在し、それにオン電圧が印加される前後で読み出される画像データDに濃淡すなわち輝度の段差が現れる場合であっても、放射線画像撮影装置1で上記のように画像データDの補正処理を行って、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される前に読み出された画像データDに対する、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加された後に読み出された画像データDの増加率α*の影響が排除され、両者の間の輝度の段差を解消させることが可能となる。
【0161】
そして、このように補正された画像データD等を画像処理装置に送信し、画像処理装置で、輝度の段差が解消された画像データDに基づいて放射線画像Iを生成することが可能となる。そのため、輝度の段差のない放射線画像Iを生成することが可能となり、少なくとも輝度の段差の点で放射線画像Iが見づらくなることはなく、例えば放射線画像Iを医療における診断用等に用いる場合、患者の病変部が輝度の段差の部分と重なって医師による病変部の有無やその状態の判断等に支障を来たす事態が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0162】
なお、上記の各実施形態における画像データDの補正処理を、放射線画像撮影装置1からプレビュー画像用のデータを送信する前に放射線画像撮影装置1で行い(第2の実施形態の場合)、或いは放射線画像撮影装置1から送信されてきたプレビュー画像用のデータに対して行う(第1の実施形態の場合)ように構成することも可能である。
【0163】
また、上記の各実施形態では、放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射開始を検出するように構成したため、読み出し開始ラインが、検出部P(図4や図7参照)やその領域Pa等(図22参照)の末端側の走査線5(すなわち走査線5のラインL1やラインLx)ではなく、検出部P等の途中の走査線5になった。なお、上記の各実施形態においても、読み出し開始ラインが走査線5のラインL1やラインLxになる場合もあり得ることは前述した通りである。
【0164】
しかし、放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射開始を検出するように構成しない場合でも、放射線画像撮影装置1が、検出部Pの途中の走査線5(すなわち読み出し開始ライン)から走査線5の最終ラインLxまで画像データDを読み出す走査線5をシフトさせた後、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧を印加する等し、その後、走査線5の最初のラインL1から画像データDを読み出す走査線5をシフトさせて、各放射線検出素子7から画像データDを読み出すように構成されている場合があり得る。
【0165】
そして、このような場合には、上記の各実施形態の場合と同様に、読み出される画像データDや、画像データDに基づいて生成させる放射線画像Iに、図28に示したように輝度の段差が生じる場合がある。
【0166】
そのため、このように構成されている放射線画像撮影装置1やそれを備える放射線画像撮影システム50に対しても、本発明を適用することが可能である。そして、本発明を適用することにより、輝度の段差のない放射線画像Iを生成することが可能となる。
【0167】
さらに、上記の各実施形態では、例えば図9に示したように、ゲートドライバー15bの非接続の端子pが、走査線5の最初のラインL1側(図9の場合)や走査線5の最終ラインLx側(図示省略)等の、放射線画像撮影装置1の検出部Pの末端部分に設けられている場合について説明した。
【0168】
しかし、例えば図25に示すように、ゲートドライバー15bの非接続の端子pが、放射線画像撮影装置1の検出部Pの末端部分ではない途中の部分に設けられている場合もある。
【0169】
そして、このような場合も、画像データDの読み出し処理では、読み出し開始ラインから走査線5のラインLs(図25参照)までオン電圧が順次印加された後、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が順次印加され或いはそれらが順次アクティブな状態とされ、その後、走査線5のラインLs+1から検出ラインまでオン電圧が順次印加されて、各放射線検出素子7から画像データDが読み出される状態になる。
【0170】
そのため、この場合も、上記の各実施形態の場合(図23等参照)と同様に、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等する前にオン電圧が印加された読み出し開始ラインからラインLsまでの各走査線5に接続されている各放射線検出素子7から読み出された画像データDよりも、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等した後にオン電圧が印加されたラインLs+1から検出ラインまでの各走査線5に接続されている各放射線検出素子7から読み出された画像データDの方が、値が大きくなる現象が生じ得る。
【0171】
すなわち、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等する前後で、読み出される画像データDの値が変わる現象が生じ得る。そのため、図25に示したように、ゲートドライバー15bの非接続の端子pが放射線画像撮影装置1の検出部Pの末端部分ではない途中の部分に設けられている場合にも、本発明を適用することが可能である。
【0172】
そして、この場合も、図24に示した方法と同様の方法を用いて算出した補正係数α*を用いる等して、読み出し開始ラインから走査線5のラインLsまでの各画像データD、或いは走査線5のラインLs+1から検出ラインまでの各画像データDの少なくとも一方を、上記の補正方法を用いる等して、的確に補正することが可能となる。
【0173】
そして、このようにして画像データDを的確に補正して画像データD中から輝度の段差を解消させることが可能となるため、そのような画像データDに基づいて輝度の段差のない放射線画像Iを生成することが可能となる。
【0174】
一方、上記の各実施形態や変形例では、放射線画像撮影装置1自体で放射線源52からの放射線の照射が開始されたことを検出するように構成されているため、放射線画像撮影ごとに、検出部P上での検出ラインが変わる(すなわち検出ラインのライン番号nが変わる。)。そのため、検出部P上で検出ラインに隣接する読み出し開始ラインも変わる(すなわち読み出し開始ラインのライン番号n+1も変わる。)場合について説明した。
【0175】
しかし、放射線画像撮影ごとに検出ラインが変わっても、画像データDの読み出し処理では、走査線5の最初のラインL1(図7等参照)からオン電圧の印加を開始し、走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して読み出し処理を行うように構成することも可能である。すなわち、読み出し開始ラインを走査線5の最初のラインL1に固定することも可能である。
【0176】
また、上記のように放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射が開始されたことを検出するように構成せず、従来の放射線画像撮影装置のように、放射線画像撮影装置1と放射線発生装置55(図12や図13参照)との間で信号等をやり取りし、それらが連携を取りながら放射線画像撮影を行うように構成される場合もある。
【0177】
そして、放射線画像撮影システム50がこのように構成されている場合には、画像データDの読み出し処理では、通常の場合、上記と同様に、読み出し開始ラインが走査線5の最初のラインL1に固定されている。
【0178】
これらの場合に、図25に示したように、ゲートドライバー15bの非接続の端子pが放射線画像撮影装置1の検出部Pの末端部分ではない途中の部分に設けられていると、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等する前後で、読み出される画像データDの値が変わる現象が生じ得る。
【0179】
そのため、上記のように、放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射が開始されたことを検出するように構成される場合は勿論、従来の放射線画像撮影装置のように放射線発生装置55と連携して放射線画像撮影を行う場合でも、画像データDの読み出し処理を走査線5の最初のラインL1からオン電圧の印加を開始して行い、しかも、ゲートドライバー15bの非接続の端子pが図25に示したように検出部Pの末端部分ではない途中の部分に設けられている場合には、本発明を適用することが可能である。
【0180】
そして、この場合は、読み出し開始ラインすなわち走査線5の最初のラインL1と、ゲートドライバー15bの非接続の端子pが設けられている位置が固定されているため、仮に放射線画像撮影装置1に一様の放射線を照射した場合に、読み出される画像データDの各走査線5ごとの平均値Dave(k)は、図26に示すように、走査線5のラインL1〜Lsでは小さく、走査線5のラインLs+1〜Lxでは若干大きくなる。
【0181】
この場合、これが画像データDに生じる輝度の段差になる。なお、図26では、図23(A)、(B)のように放射線源52の照射特性に起因する濃淡(ムラ)がない、すなわち濃淡によるプロファイルの傾斜がない場合が示されている。
【0182】
そのため、このようなプロファイルに基づいて、上記と同様に、走査線5のラインL1〜Lsに接続されている各放射線検出素子7から読み出された画像データDに対する、走査線5のラインLs+1〜Lxに接続されている各放射線検出素子7から読み出された画像データDの増加率や増加分を算出し、それを補正係数とする等して、画像データDを補正するように構成することができる。
【0183】
そして、画像データDをそのように補正することにより、画像データDを的確に補正して画像データD中から輝度の段差を解消させることが可能となる。また、そのため、そのような画像データDに基づいて輝度の段差のない放射線画像Iを生成することが可能となる。
【0184】
なお、本発明が上記の各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0185】
1 放射線画像撮影装置
5 走査線
6 信号線
7 放射線検出素子
8 TFT(スイッチ手段)
15 走査駆動手段
15b ゲートドライバー
17 読み出し回路
22 制御手段
39 コネクター(通信手段)
41 アンテナ装置(通信手段)
50 放射線画像撮影システム
58 コンソール(画像処理装置)
D 画像データ
d 照射開始検出用の画像データ
dleak リークデータ
dleak_th 閾値
dth 閾値
I 放射線画像
L4、Ln 検出ライン
L5、Ln+1 読み出し開始ライン
P 検出部
p 非接続の端子
q 電荷
r 小領域
α* 補正係数
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影システム、画像処理装置および放射線画像撮影装置に係り、特に、放射線画像撮影装置で取得された画像データに基づいて画像処理装置で放射線画像を生成する放射線画像撮影システム、画像処理装置および放射線画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照射されたX線等の放射線の線量に応じて検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接型の放射線画像撮影装置や、照射された放射線をシンチレーター等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換され照射された電磁波のエネルギーに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて電気信号(すなわち画像データ)に変換するいわゆる間接型の放射線画像撮影装置が種々開発されている。なお、本発明では、直接型の放射線画像撮影装置における検出素子や、間接型の放射線画像撮影装置における光電変換素子を、あわせて放射線検出素子という。
【0003】
このタイプの放射線画像撮影装置はFPD(Flat Panel Detector)として知られており、従来は支持台と一体的に形成された、いわゆる専用機型として構成されていたが(例えば特許文献1参照)、近年、放射線検出素子等を筐体内に収納し、持ち運び可能とした可搬型の放射線画像撮影装置が開発され、実用化されている(例えば特許文献2、3参照)。
【0004】
このような放射線画像撮影装置では、例えば後述する図7等に示すように、通常、複数の放射線検出素子7が、検出部P上に二次元状(マトリクス状)に配列され、各放射線検出素子7にそれぞれ薄膜トランジスター(Thin Film Transistor。以下、TFTという。)8で形成されたスイッチ手段が接続されて構成される。
【0005】
各TFT8のゲート電極8g(図7ではGと記載されている。)には、走査駆動手段15のゲートドライバー15bから延びる走査線5の各ラインL1〜Lxがそれぞれ接続されており、ゲートドライバー15bから各走査線5に印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替えることにより各TFT8がオン状態とされたりオフ状態とされたりするようになっている。
【0006】
放射線画像撮影の際には、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加して全てのTFT8をオフ状態とした状態で、被写体を介して放射線画像撮影装置に放射線が照射される。すると、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷が各放射線検出素子7内に蓄積される。
【0007】
そして、放射線の照射終了後、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、各TFT8を順次オン状態として、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生して蓄積された電荷を各信号線6に順次放出させて、各読み出し回路17で画像データDとしてそれぞれ読み出す画像データDの読み出し処理が行われる。
【0008】
このようにして放射線画像撮影装置で撮影された放射線検出素子7ごとの各画像データDは、画像処理装置に送信され、画像処理が行われて、最終的な放射線画像が生成される。その際、例えば、放射線画像撮影の際に放射線源から放射線画像撮影装置に対して照射される放射線が一様でなく、ある照射特性を有する状態で照射される場合がある。
【0009】
その場合、生成される放射線画像には、放射線源の照射特性に起因する濃淡(ムラ)が現れる状態になる。そこで、このような放射線源の照射特性に起因して放射線画像に生じる濃淡を、放射線画像生成のための画像処理の際に除去する技術が、例えば特許文献4に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−73144号公報
【特許文献2】特開2006−058124号公報
【特許文献3】特開平6−342099号公報
【特許文献4】特開平8−117213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、本発明者らの研究では、このように放射線画像中に濃淡が現れる原因として、上記のような放射線源側の照射特性だけではなく、放射線画像撮影装置側の構成に起因して濃淡が現れる場合があることが分かってきた。そして、そのような原因のうちの1つとして、後述する図9に示すように、ゲートドライバー15bに走査線5が接続されていない非接続の端子pが存在する場合に、放射線画像中に濃淡が現れる場合があることが分かってきた。
【0012】
すなわち、上記の画像データDの読み出し処理の際、従来の放射線画像撮影装置では、走査線5の最初のラインL1から順にラインL1、L2、…、Lxの順番(或いは走査線5の最後のラインLxから順にラインLx、Lx-1、…、L1の順番で)ゲートドライバー15bからオン電圧を印加する走査線5をシフトさせながら、各放射線検出素子7から画像データDが読み出されていた。
【0013】
しかし、例えば図27に示すように、走査線5のラインLn+1(以下、このような走査線5を読み出し開始ラインという。)から順にラインLn+1、Ln+2、…、Lxの順番でオン電圧を印加する走査線5をシフトさせながら各放射線検出素子7から画像データDを読み出した後、オン電圧を印加するゲートドライバー15bの非接続の端子pをシフトさせる。そして、その後、走査線5のラインL1から順にラインL1、L2、…、Lnのオン電圧を印加する走査線5をシフトさせながら、各放射線検出素子7から画像データDを読み出す。
【0014】
このように構成した場合、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される前に読み出された、走査線5のラインLn+1〜Lxに接続されている各放射線検出素子の画像データDよりも、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加された後に読み出された、走査線5のラインL1〜Lnに接続されている各放射線検出素子の画像データDの方が、値が若干大きくなることが分かった。
【0015】
このような現象が生じる理由は、現時点では判明していない。しかし、このような現象を放置すると、図28に示すように、読み出し開始ライン(上記の例では走査線5のラインLn+1)を境界として、読み出される画像データDや、それに基づいて生成される放射線画像I中に輝度の段差が生じてしまう。
【0016】
そのため、放射線画像Iが見づらくなるとともに、例えば放射線画像Iを医療における診断用等に用いる場合、患者の病変部が輝度の段差の部分と重なると、医師による病変部の有無やその状態の判断等に支障を来たしてしまう虞れがある。
【0017】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、放射線画像撮影装置のゲートドライバーに非接続の端子が存在する場合でも、読み出された画像データに基づいて、輝度の段差のない放射線画像を生成することが可能な放射線画像撮影システム、画像処理装置および放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影システムは、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備える検出部と、
前記各走査線に対して印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えるゲートドライバーを備える走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
外部装置との間で信号の送受信を行い、前記画像データを送信するための通信手段と、
を備える放射線画像撮影装置と、
前記放射線画像撮影装置から送信された前記画像データに基づいて放射線画像を生成する画像処理装置と、
を備え、
前記放射線画像撮影装置の前記ゲートドライバーは、前記走査線が接続されていない非接続の端子を備えており、
前記画像処理装置は、前記放射線画像撮影装置における前記画像データの読み出し処理の際に、当該放射線画像撮影装置の前記ゲートドライバーの前記非接続の端子にオン電圧が印加される前または前記非接続の端子がアクティブな状態とされる前に読み出された前記画像データ、または当該放射線画像撮影装置の前記ゲートドライバーの前記非接続の端子にオン電圧が印加された後または前記非接続の端子がアクティブな状態とされた後に読み出された前記画像データの少なくとも一方を補正して、放射線画像を生成することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の画像処理装置は、放射線画像撮影装置で取得された画像データのうち、前記放射線画像撮影装置における前記画像データの読み出し処理の際に、当該放射線画像撮影装置のゲートドライバーの非接続の端子にオン電圧が印加される前または前記非接続の端子がアクティブな状態とされる前に読み出された前記画像データ、または当該放射線画像撮影装置の前記ゲートドライバーの前記非接続の端子にオン電圧が印加された後または前記非接続の端子がアクティブな状態とされた後に読み出された前記画像データの少なくとも一方を補正して、放射線画像を生成することを特徴とする。
【0020】
さらに、本発明の放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備える検出部と、
前記各走査線に対して印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えるゲートドライバーを備える走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記画像データの読み出し処理の際に、前記ゲートドライバーの前記非接続の端子にオン電圧が印加される前または前記非接続の端子がアクティブな状態とされる前に読み出された前記画像データ、または当該放射線画像撮影装置の前記ゲートドライバーの前記非接続の端子にオン電圧が印加された後または前記非接続の端子がアクティブな状態とされた後に読み出された前記画像データの少なくとも一方を補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明のような方式の放射線画像撮影システムおよび画像処理装置によれば、放射線画像撮影装置のゲートドライバーに非接続の端子pが存在し、それにオン電圧が印加される前後で読み出される画像データDに濃淡すなわち輝度の段差が現れる場合であっても、ゲートドライバーの非接続の端子pにオン電圧が印加される前後(或いは非接続の端子pがアクティブな状態とされる前後)に読み出された画像データDの少なくとも一方を補正するように画像データDの補正処理を行うことで、ゲートドライバーの非接続の端子pにオン電圧が印加される前に読み出された画像データDに対する、ゲートドライバーの非接続の端子pにオン電圧が印加された後に読み出された画像データDの増加率や増加分の影響が排除され、両者の間の輝度の段差を解消させることが可能となる。
【0022】
また、本発明のような方式の放射線画像撮影装置によれば、上記と同様に画像データDの補正処理を放射線画像撮影装置で行って、ゲートドライバーの非接続の端子pにオン電圧が印加される前に読み出された画像データDに対する、ゲートドライバーの非接続の端子pにオン電圧が印加された後に読み出された画像データDの増加率や増加分の影響が排除され、両者の間の輝度の段差を解消させることが可能となる。
【0023】
そのため、上記のいずれの場合も、輝度の段差が解消された画像データDに基づいて画像処理装置で放射線画像Iを生成するため、輝度の段差のない放射線画像Iを生成することが可能となる。そのため、少なくとも輝度の段差の点で放射線画像Iが見づらくなることはなく、例えば放射線画像Iを医療における診断用等に用いる場合、患者の病変部が輝度の段差の部分と重なって医師による病変部の有無やその状態の判断等に支障を来たす事態が生じることを的確に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1におけるX−X線に沿う断面図である。
【図3】放射線画像撮影装置のコネクターにケーブルのコネクターを接続した状態を表す斜視図である。
【図4】放射線画像撮影装置の基板の構成を示す平面図である。
【図5】図4の基板上の小領域に形成された放射線検出素子とTFT等の構成を示す拡大図である。
【図6】フレキシブル回路基板やPCB基板等が取り付けられた基板を説明する側面図である。
【図7】放射線画像撮影装置の等価回路を表すブロック図である。
【図8】検出部を構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【図9】ゲートドライバーに存在する非接続の端子を説明する図である。
【図10】各放射線検出素子のリセット処理における電荷リセット用スイッチやTFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図11】画像データの読み出し処理における電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図12】撮影室等に構築された本実施形態に係る放射線画像撮影システムの構成例を示す図である。
【図13】回診車上に構築された本実施形態に係る放射線画像撮影システムの構成例を示す図である。
【図14】TFTを介して各放射線検出素子からリークした各電荷がリークデータとして読み出されることを説明する図である。
【図15】リークデータの読み出し処理における電荷リセット用スイッチやTFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図16】放射線画像撮影前にリークデータの読み出し処理と各放射線検出素子のリセット処理を交互に行うように構成した場合の電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図17】検出方法1において各走査線にオン電圧を印加するタイミング等を説明するタイミングチャートである。
【図18】読み出されるリークデータの時間的推移の例を表すグラフである。
【図19】検出方法2において放射線画像撮影前に画像データの読み出し処理が繰り返し行われる際の各走査線にオン電圧を順次印加するタイミングを表すタイミングチャートである。
【図20】放射線画像撮影前に画像データの読み出し処理における電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングおよびオン時間ΔTを表すタイミングチャートである。
【図21】検出方法2において各走査線にオン電圧を印加するタイミング等を説明するタイミングチャートである。
【図22】検出部が4つの領域に分割され、各領域に読み出しICがそれぞれ割り当てられた状態を表す図である。
【図23】(A)検出ラインが走査線のラインLnである場合、および(B)検出ラインが走査線のラインLnとは別のラインLmである場合における画像データ中の輝度の段差の位置と画像データの平均値をプロットしたグラフを表す図である。
【図24】図23(A)、(B)の各ライン番号kにおける平均値同士の比αを表す図である。
【図25】ゲートドライバーの非接続の端子が放射線画像撮影装置の検出部の末端部分ではない途中の部分に設けられている場合を説明する図である。
【図26】図25のように構成された場合に画像データ中に生じる輝度の段差を表すグラフである。
【図27】読み出し開始ラインLn+1から順にオン電圧を印加する走査線をシフトさせながら画像データの読み出し処理を行う状態を表す図である。
【図28】画像データや放射線画像に読み出し開始ラインを境界として輝度の段差が生じることを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る放射線画像撮影システム、画像処理装置および放射線画像撮影装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0026】
なお、以下では、放射線画像撮影装置として、シンチレーター等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレーター等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
【0027】
また、本発明は、本実施形態で説明する、いわゆる可搬型の放射線画像撮影装置のみならず、例えば支持台等と一体的に形成された専用機型の放射線画像撮影装置に対しても適用することが可能である。
【0028】
さらに、以下では、放射線画像撮影システム50全体をコントロールするコンソール58(後述する図12や図13参照)が画像処理装置として機能するように構成されている場合について説明するが、放射線画像を生成するための画像処理装置を、コンソール58とは別体の装置として構成することも可能である。
【0029】
[放射線画像撮影装置]
図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1のX−X線に沿う断面図である。放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体2内にシンチレーター3や基板4等で構成されるセンサーパネルSPが収納されている。
【0030】
本実施形態では、筐体2のうち、放射線入射面Rを有する中空の角筒状の筐体本体部2Aは、放射線を透過するカーボン板やプラスチック等の材料で形成されており、筐体本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで筐体2が形成されている。また、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や切替スイッチ38、コネクター39、バッテリー状態や放射線画像撮影装置1の稼働状態等を表示するLED等で構成されたインジケーター40等が配置されている。
【0031】
本実施形態では、コネクター39は、例えば図3に示すように、ケーブルCaの先端に設けられたコネクターCが接続されることにより、例えば外部のコンソール58(後述する図12や図13参照)等の装置との間でケーブルCaを介して信号等を送受信したり画像データD等を送信したりする際の有線方式の通信手段として機能するようになっている。
【0032】
また、図示を省略するが、例えば筐体2の反対側の蓋部材2C等に、アンテナ装置41(後述する図7参照)が例えば蓋部材2Cに埋め込む等して設けられており、本実施形態では、このアンテナ装置41が、放射線画像撮影装置1とコンソール58等との間で信号等の無線方式で送受信する場合の通信手段として機能するようになっている。
【0033】
図2に示すように、筐体2の内部には、基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置され、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33やバッテリー24等が取り付けられている。また、基板4やシンチレーター3の放射線入射面Rには、それらを保護するためのガラス基板34が配設されている。また、本実施形態では、センサーパネルSPと筐体2の側面との間に緩衝材35が設けられている。
【0034】
シンチレーター3は、基板4の後述する検出部Pに対向する位置に設けられるようになっている。本実施形態では、シンチレーター3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
【0035】
また、本実施形態では、基板4は、ガラス基板で構成されており、図4に示すように、基板4のシンチレーター3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。また、基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
【0036】
このように、走査線5と信号線6で区画された各小領域rに二次元状に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた小領域rの全体、すなわち図4に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
【0037】
放射線検出素子7は、放射線画像撮影装置1の筐体2の放射線入射面Rから放射線が入射し、シンチレーター3で放射線から変換された可視光等の電磁波が照射されると、その内部で電子正孔対を発生させる。放射線検出素子7は、このようにして、照射された放射線(本実施形態ではシンチレーター3で放射線から変換された電磁波)を電荷に変換するようになっている。
【0038】
本実施形態では、放射線検出素子7としてフォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスター等を用いることも可能である。各放射線検出素子7は、図4の拡大図である図5に示すように、スイッチ手段であるTFT8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
【0039】
そして、TFT8は、後述する走査駆動手段15から走査線5を介してゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となり、ソース電極8sやドレイン電極8dを介して放射線検出素子7内に蓄積されている電荷を信号線6に放出させるようになっている。また、TFT8は、接続された走査線5を介してゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、放射線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、放射線検出素子7内に電荷を蓄積させるようになっている。
【0040】
本実施形態では、図5に示すように、それぞれ列状に配置された複数の放射線検出素子7に1本のバイアス線9が接続されており、図4に示すように、各バイアス線9はそれぞれ信号線6に平行に配設されている。また、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で結線10に結束されている。
【0041】
図4に示すように、本実施形態では、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう。)11に接続されている。
【0042】
各入出力端子11には、図6に示すように、後述する読み出しIC16や走査駆動手段15のゲートドライバー15bを構成するゲートIC15c等のチップがフィルム上に組み込まれたフレキシブル回路基板(Chip On Film等ともいう。)12が、異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
【0043】
そして、フレキシブル回路基板12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。このようにして、放射線画像撮影装置1のセンサーパネルSPが形成されている。なお、図6では、電子部品32等の図示が省略されている。
【0044】
ここで、放射線画像撮影装置1の回路構成について説明する。図7は本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の等価回路を表すブロック図であり、図8は検出部Pを構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【0045】
前述したように、基板4の検出部Pの各放射線検出素子7は、その第2電極7bにそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の第2電極7bにそれぞれ逆バイアス電圧(すなわち放射線検出素子7の第1電極7a側にかかる電圧以下の電圧)を印加するようになっている。
【0046】
走査駆動手段15は、配線15dを介してゲートドライバー15bにオン電圧とオフ電圧を供給する電源回路15aと、走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えて各TFT8のオン状態とオフ状態とを切り替えるゲートドライバー15bとを備えている。本実施形態では、ゲートドライバー15bは、複数の前述したゲートIC15c(図6や後述する図9参照)が並設されて構成されている。
【0047】
本実施形態では、図9に示すように、ゲートドライバー15bの各端子には、走査線5の各ラインL1〜Lxがそれぞれ接続されているが、走査線5が接続されていない、いわゆる非接続の端子pが存在する。
【0048】
なお、これらの非接続の端子pは、図9に示すように、走査線5の最初のラインL1側に設けられている場合もあるが、図示を省略するが、走査線5の最終ラインLx(図7参照)側に設けられている場合もある。また、後述する図22に示すように、検出部Pが複数の領域Pa等に分割されている場合には、図22では図示を省略したゲートドライバー15bの各読み出しIC16に近いそれぞれの側に非接続の端子pが設けられている場合もある。
【0049】
図7や図8に示すように、各信号線6は、読み出しIC16内に内蔵された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。読み出し回路17は、増幅回路18と相関二重サンプリング回路19等で構成されている。読み出しIC16内には、さらに、アナログマルチプレクサー21と、A/D変換器20とが設けられている。なお、図7や図8中では、相関二重サンプリング回路19はCDSと表記されている。また、図8中では、アナログマルチプレクサー21は省略されている。
【0050】
本実施形態では、増幅回路18は、オペアンプ18aと、オペアンプ18aにそれぞれ並列にコンデンサー18bおよび電荷リセット用スイッチ18cが接続され、オペアンプ18a等に電力を供給する電源供給部18dを備えたチャージアンプ回路で構成されている。また、増幅回路18のオペアンプ18aの入力側の反転入力端子には信号線6が接続されており、増幅回路18の入力側の非反転入力端子には基準電位V0が印加されるようになっている。
【0051】
また、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cは、制御手段22に接続されており、制御手段22によりオン/オフが制御されるようになっている。また、オペアンプ18aと相関二重サンプリング回路19との間には、電荷リセット用スイッチ18cと連動して開閉するスイッチ18eが設けられており、スイッチ18eは、電荷リセット用スイッチ18cがオン/オフ動作と連動してオフ/オン動作するようになっている。
【0052】
放射線画像撮影装置1で、各放射線検出素子7内に残存する電荷を除去するための各放射線検出素子7のリセット処理を行う際には、図10に示すように、電荷リセット用スイッチ18cがオン状態(およびスイッチ18eがオフ状態)とされた状態で、各TFT8がオン状態とされる。
【0053】
そして、オン状態とされた各TFT8を介して各放射線検出素子7から電荷が信号線6に放出され、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cを通過して、オペアンプ18aの出力端子側からオペアンプ18a内を通り、非反転入力端子から出てアースされたり、電源供給部18dに流れ出す。このようにして、各放射線検出素子7のリセット処理が行われるようになっている。
【0054】
一方、各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理の際には、図11に示すように、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cがオフ状態(およびスイッチ18eがオン状態)とされた状態で、オン状態とされた各TFT8を介して各放射線検出素子7から電荷が信号線6に放出されると、電荷が増幅回路18のコンデンサー18bに蓄積される。
【0055】
増幅回路18では、コンデンサー18bに蓄積された電荷量に応じた電圧値がオペアンプ18aの出力側から出力されるようになっており、増幅回路18により、各放射線検出素子7から流出した電荷が電荷電圧変換されるようになっている。
【0056】
そして、増幅回路18の出力側に設けられた相関二重サンプリング回路(CDS)19は、各放射線検出素子7から電荷が流出する前に制御手段22からパルス信号Sp1(図11参照)が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持し、上記のように各放射線検出素子7から流出した電荷が増幅回路18のコンデンサー18bに蓄積された後で、制御手段22からパルス信号Sp2が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持する。
【0057】
そして、相関二重サンプリング回路19は、それらの電圧値の差分Vfi−Vinを算出し、算出した差分Vfi−Vinをアナログ値の画像データDとして下流側に出力するようになっている。そして、相関二重サンプリング回路19から出力された各放射線検出素子7の画像データDは、アナログマルチプレクサー21を介して順次A/D変換器20に送信され、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データDに変換されて記憶手段23に出力されて順次保存されるようになっている。
【0058】
制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピューターや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。そして、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各部材の動作等を制御するようになっている。また、図7等に示すように、制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)等で構成される記憶手段23が接続されている。
【0059】
また、本実施形態では、制御手段22には、前述したアンテナ装置41が接続されており、さらに、検出部Pや走査駆動手段15、読み出し回路17、記憶手段23、バイアス電源14等の各部材に電力を供給するためのバッテリー24が接続されている。また、バッテリー24には、図示しない充電装置からバッテリー24に電力を供給してバッテリー24を充電する際の接続端子25が取り付けられている。
【0060】
前述したように、制御手段22は、走査駆動手段15や読み出し回路17等を制御して画像データDの読み出し処理や各放射線検出素子7のリセット処理等を行わせるなど、放射線画像撮影装置1の各機能部の動作を制御するようになっている。
【0061】
なお、本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、装置自体で放射線の照射開始を検出するようになっているが、そのための制御構成等については、本実施形態に係る放射線画像撮影システムの構成等を説明した後で説明する。
【0062】
[放射線画像撮影システム]
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50について説明する。図12は、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50の構成例を示す図である。図12では、放射線画像撮影システム50が撮影室R1内等に構築されている場合が示されている。
【0063】
撮影室R1には、ブッキー装置51が設置されており、ブッキー装置51は、そのカセッテ保持部(カセッテホルダともいう。)51aに上記の放射線画像撮影装置1を装填して用いることができるようになっている。なお、図12では、ブッキー装置51として、立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bが設置されている場合が示されているが、例えば一方のブッキー装置51のみが設けられていてもよい。
【0064】
図12に示すように、撮影室R1には、被写体を介してブッキー装置51に装填された放射線画像撮影装置1に放射線を照射する放射線源52Aが少なくとも1つ設けられている。本実施形態では、放射線源52Aの位置を移動させたり、放射線の照射方向を変えることで、立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bのいずれにも放射線を照射することができるようになっている。
【0065】
撮影室R1には、撮影室R1内の各装置等や撮影室R1外の各装置等の間の通信等を中継するための中継器(基地局等ともいう。)54が設けられている。なお、本実施形態では、中継器54には、放射線画像撮影装置1が無線方式で画像データDや信号等の送受信を行うことができるように、無線アンテナ(アクセスポイントともいう。)53が設けられている。
【0066】
また、中継器54は、放射線発生装置55やコンソール58と接続されており、中継器54には、放射線画像撮影装置1やコンソール58等から放射線発生装置55に送信するLAN(Local Area Network)通信用の信号等を放射線発生装置55用の信号等に変換し、また、その逆の変換も行う図示しない変換器が内蔵されている。
【0067】
前室(操作室等ともいう。)R2には、本実施形態では、放射線発生装置55の操作卓57が設けられており、操作卓57には、放射線技師等の操作者が操作して放射線発生装置55に対して放射線の照射開始等を指示するための曝射スイッチ56が設けられている。
【0068】
放射線発生装置55は、放射線源52を所定の位置に移動させたり、その放射方向を調整したり、放射線画像撮影装置1の所定の領域内に放射線が照射されるように図示しない絞りやコリメーター等を調整したり、或いは、適切な線量の放射線が照射されるように放射線源52を調整する等の種々の制御を行うようになっている。
【0069】
図12に示すように、本実施形態では、コンピューター等で構成されたコンソール58が前室R2に設けられている。なお、コンソール58を撮影室R1や前室R2の外側や別室等に設けるように構成することも可能であり、適宜の場所に設置される。
【0070】
また、コンソール58には、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等を備えて構成される表示部58aが設けられており、また、図示しないマウスやキーボード等の入力手段を備えている。また、コンソール58には、HDD(Hard Disk Drive)等で構成された記憶手段59が接続され、或いは内蔵されている。
【0071】
一方、放射線画像撮影装置1は、図13に示すように、ブッキー装置51には装填されずに、いわば単独の状態で用いることもできるようになっている。例えば、患者Hが病室R3のベッドBから起き上がれず、撮影室R1に行くことができないような場合には、図13に示すように、放射線画像撮影装置1を病室R3内に持ち込み、ベッドBと患者の身体との間に差し込んだり患者の身体にあてがったりして用いることができる。
【0072】
また、放射線画像撮影装置1を病室R3等で用いる場合、前述した撮影室R1に据え付けられた放射線発生装置55に代えて、図13に示すように、いわゆるポータブルの放射線発生装置55が例えば回診車71に搭載される等して病室R3に持ち込まれる。この場合、ポータブルの放射線発生装置55の放射線52Pは、任意の方向に放射線を照射できるように構成されており、ベッドBと患者の身体との間に差し込まれたり患者の身体にあてがわれたりした放射線画像撮影装置1に対して、適切な距離や方向から放射線を照射することができるようになっている。
【0073】
また、この場合、無線アンテナ53が設けられた中継器54が放射線発生装置55内に内蔵されており、上記と同様に、中継器54が放射線発生装置55とコンソール58との間の通信や、放射線画像撮影装置1とコンソール58との間の通信や画像データDの送信等を中継するようになっている。
【0074】
なお、図12に示したように、放射線画像撮影装置1を、撮影室R1の臥位撮影用のブッキー装置51B上に横臥した患者の身体と臥位撮影用のブッキー装置51Bとの間に差し込んだり、臥位撮影用のブッキー装置51B上で患者の身体にあてがったりして用いることも可能であり、その場合は、ポータブルの放射線52Pや、撮影室R1に据え付けられた放射線源52Aのいずれを用いることも可能である。
【0075】
本実施形態では、コンソール58は、放射線画像撮影装置1からプレビュー画像用のデータが送信されてくると、それに基づいてプレビュー画像を生成して表示部58a上に表示させるようになっている。そして、放射線技師はこのプレビュー画像を確認することで、被写体が正常な位置に撮影されているか否かや再撮影の要否等を判断するようになっている。
【0076】
また、本実施形態では、前述したように、コンソール58は画像処理装置としても機能するようになっており、放射線画像撮影装置1から画像データD等が送信されてくると、画像データD等に基づいて放射線画像Iを生成するようになっている。なお、この点については後で詳しく説明する。
【0077】
[放射線画像撮影装置における放射線の照射開始の検出の制御構成について]
次に、上記のように構成された放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出処理の制御構成について説明する。
【0078】
本実施形態では、前述したように、放射線画像撮影装置1自体で、放射線発生装置55の放射線源52(図12や図13参照)から放射線が照射されたことを検出するようになっている。以下、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1で行われる放射線の照射開始の検出の仕方について説明する。
【0079】
なお、以下の検出方法は、本発明者らの研究により新たに見出された検出方法であり、例えば、下記の2つの検出方法のいずれかを採用することが可能である。
【0080】
[検出方法1]
例えば、放射線画像撮影において放射線画像撮影装置1に放射線が照射される前に、リークデータdleakの読み出し処理を繰り返し行うように構成することも可能である。ここで、リークデータdleakとは、図14に示すように、各走査線5にオフ電圧を印加した状態で、オフ状態になっている各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷qの信号線6ごとの合計値に相当するデータである。
【0081】
そして、リークデータdleakの読み出し処理では、図10に示した各放射線検出素子7のリセット処理や図11に示した画像データDの読み出し処理の場合と異なり、図15に示すように、走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加して各TFT8をオフ状態とした状態で、制御手段22から各読み出し回路17の相関二重サンプリング回路19(図7や図8のCDS参照)にパルス信号Sp1、Sp2を送信するようになっている。
【0082】
相関二重サンプリング回路19は、制御手段22からパルス信号Sp1が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持する。そして、増幅回路18のコンデンサー18bに各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷qが蓄積されて増幅回路18から出力される電圧値が上昇し、制御手段22からパルス信号Sp2が送信されると、相関二重サンプリング回路19は、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持する。
【0083】
そして、相関二重サンプリング回路19が電圧値の差分Vfi−Vinを算出して出力した値が、リークデータdleakとなる。リークデータdleakが、その後、A/D変換器20でデジタル値に変換されることは、前述した画像データDの読み出し処理の場合と同様である。
【0084】
ところで、リークデータdleakの読み出し処理のみを繰り返し行うように構成すると、各TFT8がオフ状態のままとなってしまい、各放射線検出素子7内で発生した暗電荷が各放射線検出素子7内に蓄積され続ける状態になってしまう。
【0085】
そのため、上記のように、放射線画像撮影前に、リークデータdleakの読み出し処理を繰り返し行うように構成する場合には、図16に示すように、各走査線5にオフ電圧を印加した状態で行うリークデータdleakの読み出し処理と、走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して行う各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返し行うように構成することが望ましい。なお、図16や後述する図17等のTやτ、Tacについては後で説明する。
【0086】
このように放射線画像撮影前にリークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返して行うように構成した場合、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されると、シンチレーター3(図2参照)で放射線から変換された電磁波が、各TFT8に照射される。そして、それにより、各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷q(図16参照)がそれぞれ増加することが本発明者らの研究で分かった。
【0087】
そして、例えば図17に示すように、放射線画像撮影前にリークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返して行う場合、図18に示すように、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始された時点(時刻t1参照)で読み出されたリークデータdleakが、それ以前に読み出されたリークデータdleakよりも格段に大きな値になる。
【0088】
なお、図17および図18では、図17で走査線5のラインL4にオン電圧が印加されてリセット処理が行われた後の4回目の読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが、図18の時刻t1におけるリークデータdleakに対応する。また、図17において「R」は各放射線検出素子7のリセット処理を表し、「L」はリークデータdleakの読み出し処理を表す。
【0089】
そこで、放射線画像撮影装置1の制御手段22で、放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理で読み出されたリークデータdleakを監視するように構成し、読み出されたリークデータdleakが、例えば予め設定された所定の閾値dleak_th(図18参照)を越えた時点で、放射線の照射が開始されたことを検出するように構成することができる。なお、上記の走査線5のラインL4のように、放射線の照射が開始された際或いはその直前にオン電圧が印加された走査線5を、以下、検出ラインという。
【0090】
[検出方法2]
また、上記の検出方法1のように、放射線画像撮影前にリークデータdleakの読み出し処理を行うように構成する代わりに、放射線画像撮影前に、図19に示すように、走査駆動手段15のゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、各放射線検出素子7からの画像データdの読み出し処理を繰り返し行うように構成することも可能である。
【0091】
なお、前述したように、放射線の照射後に行われる上記の本画像としての画像データDと区別して、以下、この放射線画像撮影前に放射線の照射開始の検出用に読み出される画像データを、照射開始検出用の画像データd(或いは単に画像データd)という。
【0092】
また、照射開始検出用の画像データdの読み出し処理における読み出し回路17の増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cのオン/オフや、相関二重サンプリング回路19へのパルス信号Sp1、Sp2の送信等は、図20に示すように、図11に示した画像データDの読み出し処理における処理と同様に行われる。なお、図20等におけるTやΔTについては後で説明する。
【0093】
上記のように放射線画像撮影前に照射開始検出用の画像データdの読み出し処理を行うように構成した場合、図21に示すように、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されると、その時点で読み出された画像データd(図21では走査線5のラインLnにオン電圧が印加されて読み出された画像データd)が、前述した図18に示したリークデータdleakの場合と同様に、それ以前に読み出された画像データdよりも格段に大きな値になる。
【0094】
そこで、放射線画像撮影装置1の制御手段22で、放射線画像撮影前の読み出し処理で読み出された画像データdを監視するように構成し、読み出された画像データdが予め設定された所定の閾値dthを越えた時点で、放射線の照射が開始されたことを検出するように構成することができる。なお、図21中のΔTやτ、Tacについては以下で説明する。また、図21の場合は、走査線5のラインLnが検出ラインとなる。
【0095】
[検出感度を向上させるための処理について]
また、上記の検出方法1において、放射線画像撮影前の各放射線検出素子7のリセット処理で、ある走査線5に対するオン電圧の印加を開始してから次の走査線5に対するオン電圧の印加を開始するまでの周期τ(図16や図17等参照)を長くして、リークデータdleakの読み出し処理において制御手段22から送信する2回のパルス信号Sp1、Sp2の送信間隔Tを長くすると、1回のリークデータdleakの読み出し処理で読み出されるリークデータdleakの値が大きくなる。そのため、放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出感度が向上する。
【0096】
また、上記の検出方法2において、放射線画像撮影前の照射開始検出用の画像データdの読み出し処理において、各TFT8をオン状態とする時間ΔT(図20や図21参照)、すなわち走査駆動手段15のゲートドライバー15bから走査線5にオン電圧を印加してからオフ電圧に切り替えるまでの時間ΔT(以下、オン時間ΔTという。)を長くすると、1回の画像データdの読み出し処理で読み出される画像データdの値が大きくなる。そのため、やはり放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出感度が向上する。
【0097】
なお、この場合も、ある走査線5に対するオン電圧の印加を開始してから次の走査線5に対するオン電圧の印加を開始するまでの周期τ(図21参照)や、制御手段22から送信する2回のパルス信号Sp1、Sp2の送信間隔T(図20参照)が長くなる。
【0098】
このように、上記の検出方法1や検出方法2を採用する場合には、放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出感度を向上させるために、放射線画像撮影前の各放射線検出素子7のリセット処理や照射開始検出用の画像データdの読み出し処理における上記の周期τや、制御手段22から送信する2回のパルス信号Sp1、Sp2の送信間隔T、或いはオン時間ΔTを長くする等の処理が適宜行われる。
【0099】
なお、図22に示すように、例えば、検出部P(図4や図7等参照)が4つの領域Pa〜Pdに分割されるなど、検出部Pが複数の領域に分割されるように構成される場合がある。このような場合、検出部Pの各領域Pa〜Pdごとに、上記の検出方法1や検出方法2を用いて放射線の照射開始を検出するように構成することが可能である。
【0100】
そして、このように構成すれば、例えば、放射線が放射線画像撮影装置1に対して照射野が狭められて照射され、検出部Pの複数の領域Pa〜Pdのうち1つ或いはいくつかの領域のみに放射線が照射される状態になる場合があるが、そのような場合でも、放射線の照射開始を的確に検出することが可能となる。
【0101】
[電荷蓄積状態への移行]
次に、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、上記のようにして、放射線の照射が開始されたことを検出すると、図17(検出方法1の場合)や図21(検出方法2の場合)に示したように、放射線の照射開始を検出した時点で各走査線5へのオン電圧の印加を停止して、ゲートドライバー15bから走査線5の全てのラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させ、各TFT8をオフ状態にする。
【0102】
このように、各TFT8がオフ状態とされると、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されることにより各放射線検出素子7内で発生した電荷が、各放射線検出素子7内に蓄積される状態になる。放射線画像撮影装置1の制御手段22は、放射線の照射開始を検出すると、このようにして、電荷蓄積状態に移行させるようになっている。
【0103】
[本画像としての画像データDの読み出し処理]
そして、例えば放射線の照射開始を検出してから所定時間が経過した時点で、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、本画像としての画像データDの読み出し処理を行わせるようになっている。
【0104】
具体的には、本実施形態では、制御手段22は、放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理で放射線の照射が開始されたことを検出した時点の直前のリセット処理でオン電圧が印加された走査線5(図17の場合は走査線5のラインL4。すなわち検出ライン)の次にオン電圧を印加すべき走査線5(図17の場合は走査線5のラインL5。すなわち読み出し開始ライン)からオン電圧の印加を開始し、各走査線5にオン電圧を順次印加させて、画像データDの読み出し処理を行うようになっている。
【0105】
また、検出方法2の場合も同様に、図21に示すように、制御手段22は、放射線の照射開始を検出してから所定時間が経過すると、放射線画像撮影前の照射開始検出用の画像データdの読み出し処理で放射線の照射が開始されたことを検出した時点でオン電圧が印加されていた走査線5(図21の場合は走査線5のラインLn。すなわち検出ライン)の次にオン電圧を印加すべき走査線5(図21の場合は走査線5のラインLn+1。すなわち読み出し開始ライン)からオン電圧の印加を開始し、各走査線5にオン電圧を順次印加させて、画像データDの読み出し処理を行うようになっている。
【0106】
このように、本実施形態では、画像データDの読み出し処理では、制御手段22は、前述した検出ラインの次にゲートドライバー15bからオン電圧を印加すべき走査線5(すなわち読み出し開始ライン)からオン電圧の印加を開始するようになっている。
【0107】
そして、このように構成されているため、本実施形態では、読み出し開始ラインは、検出部P(図4や図7参照)やその領域Pa等(図22参照)の末端側の走査線5(すなわち走査線5のラインL1やラインLx)ではなく、通常、検出部P等の途中の走査線5(すなわち上記の例では走査線5のラインL5やラインLn+1)になる。なお、上記の例においても、読み出し開始ラインが走査線5のラインL1やラインLxになる場合もあり得る。
【0108】
なお、本実施形態では、画像データDの読み出し処理の際に、ゲートドライバー15bから各走査線5にオン電圧を印加する周期が、放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理と交互に行われる各放射線検出素子7のリセット処理(検出方法1の場合。図17等参照)や照射開始検出用の画像データdの読み出し処理(検出方法2の場合。図21参照)における周期τと同じ周期になるように、各走査線5にオン電圧を順次印加するようになっている。
【0109】
このように構成すると、画像データDの読み出し処理前の電荷蓄積状態への移行前に走査線5に印加したオン電圧をオフ電圧に切り替えてから、電荷蓄積状態を経て画像データDの読み出し処理で当該走査線5に印加したオン電圧をオフ電圧に切り替えるまでの時間Tac(図17や図21参照)が、各走査線5で同じ時間になる等のメリットがある。
【0110】
[画像データDの読み出し処理後の検出動作について]
上記のようにして本画像としての画像データDの読み出し処理が行われると、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、前述したように、アンテナ装置41等の通信手段を介してコンソール58にプレビュー画像用のデータを送信するようになっている。そして、コンソール58では、送信されてきたプレビュー画像用のデータに基づいてプレビュー画像を生成して表示部58a上に表示させるようになっているが、この点については説明を省略する。
【0111】
そして、図示を省略するが、本実施形態では、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、その後、オフセットデータOの読み出し処理を行わせるようになっている。
【0112】
各放射線検出素子7内では、各放射線検出素子7自体の熱(温度)による熱励起等により、いわゆる暗電荷(暗電流等ともいう。)が常時発生している。そして、上記の画像データDの読み出し処理の際に読み出される画像データDには、それ以前にTFT8がオフ状態とされている間(すなわち上記の時間Tacの間)に発生し蓄積された暗電荷に起因するオフセット分が重畳されている。
【0113】
そこで、この暗電荷に起因するオフセット分をオフセットデータOとして読み出すオフセットデータOの読み出し処理が、通常、画像データDの読み出し処理の前や後に行われるのである。本実施形態では、図17や図21に示した画像データDの読み出し処理までの処理シーケンスと同じ処理シーケンスを繰り返して、オフセットデータOの読み出し処理を行うようになっている。なお、オフセットデータOの読み出し処理では、放射線画像撮影装置1には放射線は照射されない。
【0114】
このようにしてオフセットデータOの読み出し処理を行うことにより、画像データDの読み出し処理前に各TFT8がオフ状態とされている時間Tacと、オフセットデータOの読み出し処理前に各TFT8がオフ状態とされる時間とが同じ時間になり、各放射線検出素子7内に蓄積される暗電荷の量が、画像データDの読み出し処理の場合とオフセットデータOの読み出し処理の場合とで同じになる。
【0115】
そのため、上記のようにオフセットデータOの読み出し処理を行うことにより、画像データDに重畳されている暗電荷に起因するオフセット分と同じ大きさのデータとしてオフセットデータOを各放射線検出素子7ごとに読み出すことが可能となる。
【0116】
放射線画像撮影装置1の制御手段22は、このようにしてオフセットデータOの読み出し処理を終了すると、各画像データDと各オフセットデータOとをコンソール58に送信するようになっている。
【0117】
また、後述する画像処理装置としてのコンソール58での処理で必要となるため、制御手段22は、上記の検出ラインや読み出し開始ラインの情報、すなわち例えば検出ラインや読み出し開始ラインである走査線5のライン番号をコンソール58に送信するようになっている。
【0118】
すなわち、例えば検出ラインの情報を送信する場合には、上記の図17や図21の場合は検出ラインがそれぞれ走査線5のラインL4、Lnであるから、例えばそのライン番号「4」や「n」をコンソール58に送信するようになっている。
【0119】
[画像処理装置における一般的な画像処理について]
本実施形態における画像処理装置としてのコンソール58は、上記のようにして、放射線画像撮影装置1から各画像データDと各オフセットデータOとが送信されてくると、まず、各放射線検出素子7ごとに、下記(1)式に従って画像データDからオフセットデータOを減算処理して、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷のみに基づく、いわゆる真の画像データD*を算出するようになっている。
D*=D−O …(1)
【0120】
そして、このようにして算出した真の画像データD*に対してゲイン補正や欠陥画素補正、撮影部位に応じた階調処理等の精密な画像処理を行って、最終的な放射線画像Iを生成するようになっている。
【0121】
[ゲートドライバーに非接続の端子が存在する場合の問題点]
前述した図9に示したように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1では、ゲートドライバー15bには、走査線5の各ラインL1〜Lxがそれぞれ接続されている端子だけでなく、走査線5が接続されていない非接続の端子pが存在している。
【0122】
そのため、図17や図21に示した検出方法1や検出方法2を採用した場合のタイミングチャートでは、画像データDの読み出し処理において、走査線5の最終ラインLxにオン電圧を印加した後、次のタイミングで走査線5の最初のラインL1にオン電圧を印加するように記載されているが、実際には、走査線5の最終ラインLxにオン電圧を印加した後、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が順次印加され、その後、走査線5の最初のラインL1からのオン電圧の印加が始まる。
【0123】
なお、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が順次印加されるタイミングで、非接続の端子pにオン電圧を印加する代わりに、非接続の端子pがアクティブな状態とされるだけの場合もある。
【0124】
すなわち、本実施形態では、ゲートドライバー15bでは、各端子にオン電圧を印加する場合、アクティブな状態とされている端子にのみオン電圧が印加されるようになっている。そのため、「端子がアクティブな状態とされる」とは、ゲートドライバー15bからオン電圧を印加する端子として当該端子が選択された状態、すなわちゲートドライバー15bから当該端子にオン電圧が印加される直前の状態をいう。
【0125】
本実施形態では、上記のように、読み出し開始ラインから走査線5の最終ラインLxまでオン電圧を順次印加して画像データDを読み出し、非接続の端子pにオン電圧を順次印加し或いはそれらを順次アクティブな状態とした後、走査線5の最初のラインL1から検出ラインまでオン電圧を順次印加して画像データDを読み出す。
【0126】
このような場合、前述した図28に示したように、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等する前に読み出された、読み出し開始ラインから走査線5の最終ラインLxまでの各走査線5に接続されている各放射線検出素子7の画像データDよりも、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等した後に読み出された、走査線5の最初のラインL1から検出ラインまでの各走査線5に接続されている各放射線検出素子7の画像データDの方が、値が若干大きくなる。
【0127】
そのため、図28に示すように、検出ライン(図17の例では走査線5のラインL4、図21の例では走査線5のLn)とその次の読み出し開始ラインとを境界として、読み出される画像データDや、それに基づいて生成される放射線画像I中に輝度の段差が生じるという問題があった。
【0128】
そこで、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50では、放射線画像撮影装置1における画像データDの読み出し処理の際に、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加され、或いは非接続の端子pがアクティブな状態とされる前と後に読み出された画像データDのうちの少なくとも一方を補正するようになっている。
【0129】
[画像データの補正処理の原理]
以下、このような画像データDの補正処理の原理について説明する。上記の検出方法1や検出方法2を採用する放射線画像撮影装置1に対して、いま仮に、被写体が介在しない状態で(被写体が介在していてもよい。)放射線源52(図12や図13参照)から放射線を照射し、放射線画像撮影装置1の制御手段22が、例えば走査線5のラインLn(すなわち検出ラインLn)にオン電圧を印加して読み出した照射開始検出用の画像データdやその直後に読み出したリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始を検出したとする。
【0130】
すると、放射線画像撮影装置1では、図17や図21に示したように電荷蓄積状態を経た後、読み出し開始ラインLn+1からオン電圧の印加が開始されて、画像データDの読み出し処理が行われる。なお、後述するように、画像データDの読み出し処理が再度行われるため、この時点で読み出された画像データDを、画像データD1とする。そして、放射線画像撮影装置1から画像処理装置であるコンソール58に、読み出した各画像データD1が送信される。
【0131】
そして、放射線画像撮影装置1からコンソール58に送信されてきた画像データD1には、前述した図28と同様に、図23(A)に示すように、検出ラインLnやその次の読み出し開始ラインLn+1とを境界として、画像データD1中に輝度の段差が生じている。
【0132】
そこで、例えば、送信されてきた画像データD1のうち、放射線画像撮影装置1の各走査線5ごとに、同じ走査線5に接続されている各放射線検出素子7から読み出された画像データD1の平均値D1ave(k)(kは走査線5のライン番号1〜x)を、各走査線5ごとに算出し、それらをグラフ上にプロットする。
【0133】
すると、図23(A)の右側のグラフのように、平均値D1ave(k)(kは走査線5のライン番号1〜x)のプロファイルの、検出ラインLnや読み出し開始ラインLn+1に相当する部分、すなわちグラフ中のn、n+1の部分に輝度の段差が生じる。
【0134】
なお、図23(A)、(B)のグラフにおいて、画像データD1、D2の平均値D1ave(k)、D2ave(k)の全体的なプロファイルが傾斜しているのは、前述したように、放射線源52の照射特性に起因する濃淡(ムラ)が生じているためである。また、上記および以下では、画像データDのみを用いて処理を行う場合が示されているが、上記のように、放射線画像撮影装置1からコンソール58に画像データDとオフセットデータOとを送信させ、上記(1)式に従って算出される真の画像データD*を用いて処理を行うように構成することも可能である。
【0135】
一方、上記と同じ処理を、放射線画像撮影装置1に再度放射線を照射して行う。すると、放射線画像撮影装置1では、今度は、図23(B)に示すように、上記の検出ラインLnとは異なる検出ラインLmにオン電圧を印加した時点で放射線の照射開始が検出される。そして、上記と同様にして、読み出し開始ラインLm+1からオン電圧の印加を開始して画像データD2の読み出し処理を行い、読み出した画像データD2を画像処理装置であるコンソール58に送信する。
【0136】
コンソール58では、同様にして、送信されてきた画像データD2のうち、放射線画像撮影装置1の各走査線5ごとに、同じ走査線5に接続されている各放射線検出素子7から読み出された画像データD2の平均値D2ave(k)を、各走査線5ごとに算出し、それらをグラフに上プロットする。
【0137】
すると、図23(B)の右側のグラフのように、平均値D2ave(k)のプロファイル中に、今度は、検出ラインLmや読み出し開始ラインLm+1に相当する部分、すなわちグラフ中のm、m+1の部分に輝度の段差が生じる。そこで、これらの平均値D1ave(k)、D2ave(k)を用いて、例えば以下のようにして輝度の段差を生じている画像データDを補正するように構成することができる。
【0138】
[補正方法]
このようにして算出された平均値D2ave(k)を、例えば各走査線5ごとに平均値D1ave(k)で除算すると、図24に示すように、平均値D1ave(k)に対する平均値D2ave(k)の比α(k)(すなわちα(k)=D2ave(k)/D1ave(k))は、この場合は、1回目の読み出し開始ラインLn+1と2回目の検出ラインLmとの間の部分で1よりも有意に大きな値α*になる。
【0139】
なお、上記の値α*は、例えば、1回目の読み出し開始ラインLn+1と2回目の検出ラインLmとの間の各走査線5ごとに算出された値α*(k)の平均値等として算出される。
【0140】
このα*は、放射線画像撮影装置1における画像データDの読み出し処理の際に、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等する前に読み出された画像データDに対する、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等した後に読み出された画像データDの増加率であると考えられる。
【0141】
そこで、この増加率α*を補正係数として用い、例えば、
(1)ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等した後に読み出された画像データDを補正係数α*で除算する、
(2)ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等する前に読み出された画像データDに補正係数α*で乗算する、
或いは、
(3)補正係数α*に基づいて、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等する前に読み出された画像データDを所定倍して増加させるとともに、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等した後に読み出された画像データDを所定の割合で減少させる、
等の方法で、画像データDを補正することが可能である。
【0142】
このようにして画像データDを補正すれば、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等する前に読み出された画像データDに対する、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等した後に読み出された画像データDの増加率の影響が排除され、両者の間の輝度の段差を解消させることが可能となる。
【0143】
そこで、本実施形態では、上記の補正方法を用いて、画像データDの補正処理を行うようになっている。以下、このような画像データDの補正処理を、画像処理装置としてのコンソール58で行う場合と放射線画像撮影装置1で行う場合とに分けて、それぞれ説明する。
【0144】
なお、前述したように、画像データDに輝度の段差が生じる原因が不明であるため、上記の補正方法の(1)〜(3)等のうちのいずれを採用すべきかは決め難い。そのため、現時点では、各放射線画像撮影装置1における輝度の段差の現れ方等に応じて適切な補正方法が採用されることが望ましい。
【0145】
[第1の実施の形態]
[画像処理装置における画像データの補正処理について]
本発明の第1の実施形態では、上記の画像データDの補正処理を、画像処理装置としてのコンソール58で行う場合について説明する。
【0146】
この場合、コンソール58は、各放射線画像撮影装置1ごとに、当該放射線画像撮影装置1が施設に導入された際や、当該放射線画像撮影装置1のメンテナンス時にキャリブレーションを行う等して、各放射線画像撮影装置1ごとに、予め、上記の画像データDを補正するために画像データに乗算する(除算する場合を含む。)補正係数α*を算出しておく。
【0147】
各放射線画像撮影装置1の工場出荷時等に、上記の補正係数α*の算出処理を行い、その補正係数α*をコンソール58が有しておくように構成することも可能である。そして、画像データDの補正処理に必要な放射線画像撮影装置1ごとの補正係数α*を、予め、例えばコンソール58の記憶手段59(図12参照。図13では図示省略)に保存しておく。
【0148】
そして、コンソール58は、放射線画像撮影が終了して、上記のように放射線画像撮影装置1から画像データD等や検出ラインの情報(すなわち例えばライン番号)が送信されてくると、上記の補正方法の(1)〜(3)のうちの予め設定された方法に基づいて、画像データDを補正する。
【0149】
すなわち、コンソール58は、例えば、上記の補正方法の(1)の方法に従って画像データDの補正処理を行うように設定されている場合には、記憶手段59から当該放射線画像撮影装置1に関する補正係数α*を読み出す。
【0150】
そして、送信されてきた検出ラインLnの情報に基づいて、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等した後に読み出された画像データD、すなわち上記の場合には走査線5の最初のラインL1から検出ラインLnの各走査線5に接続されている各放射線検出素子7から読み出された画像データDを補正係数α*で除算する。
【0151】
そして、走査線5の最初のラインL1から検出ラインLnの各走査線5に接続されている各放射線検出素子7から読み出された補正された画像データDと、読み出し開始ラインLn+1から走査線5の最終ラインLxの各走査線5に接続されている各放射線検出素子7から読み出された補正されていない画像データD(すなわちゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等する前に読み出された画像データD)とに対して、上記のようにオフセットデータOを減算したり、ゲイン補正や階調処理等の精密な画像処理を行って、最終的な放射線画像Iを生成するように構成される。
【0152】
上記の補正方法における他の方法(すなわち上記の(2)、(3))に従って画像データDの補正処理を行うように設定されている場合には、上記と同様にして記憶手段59から必要な補正係数α*を読み出し、設定されている方法に基づいて画像データDの補正処理を行い、それらに基づいて最終的な放射線画像Iを生成するように構成される。
【0153】
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50や画像処理装置58(本実施形態の場合はコンソール58)によれば、放射線画像撮影装置1における画像データDの読み出し処理の際に、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される(或いは非接続の端子pがアクティブな状態とされる。以下同じ)前に読み出された画像データDや、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加された後に読み出された画像データDの少なくとも一方を補正して、放射線画像Iを生成する。
【0154】
そのため、放射線画像撮影装置1のゲートドライバー15bに非接続の端子pが存在し、それにオン電圧が印加される前後で読み出される画像データDに濃淡すなわち輝度の段差が現れる場合であっても、上記のように画像データDの補正処理を行うことで、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される前に読み出された画像データDに対する、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加された後に読み出された画像データDの増加率α*の影響が排除され、両者の間の輝度の段差を解消させることが可能となる。
【0155】
そして、輝度の段差が解消された画像データDに基づいて放射線画像Iを生成するため、輝度の段差のない放射線画像Iを生成することが可能となる。そのため、少なくとも輝度の段差の点で放射線画像Iが見づらくなることはなく、例えば放射線画像Iを医療における診断用等に用いる場合、患者の病変部が輝度の段差の部分と重なって医師による病変部の有無やその状態の判断等に支障を来たす事態が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0156】
[第2の実施の形態]
上記の第1の実施の形態では、画像処理装置であるコンソール58で画像データDの補正処理を行う場合について説明した。しかし、上記の画像データDの補正処理を、放射線画像撮影装置1で行うように構成することも可能である。
【0157】
すなわち、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、当該放射線画像撮影における検出ラインLnの情報を有している。そのため、例えばCPUのメモリー中に、上記の補正方法の(1)〜(3)のうちの予め設定された方法で行う画像データDの補正処理に必要な補正係数α*を予め保存しておけば、上記と同様にして、メモリーから必要な補正係数α*を読み出して、画像データDの補正処理を行うことが可能である。
【0158】
この場合、必要な補正係数α*の算出処理は、放射線画像撮影装置1自体で行うように構成してもよく、また、上記のように画像処理装置で行い、それを放射線画像撮影装置1に送信して放射線画像撮影装置1のCPUのメモリー等に書き込んでおくように構成することも可能である。
【0159】
そして、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、放射線画像撮影後、画像データD等を画像処理装置(本実施形態ではコンソール58)に送信する前に、上記と同様にして画像データDの補正処理を行う。そして、補正された画像データDを含む画像データDと、オフセットデータOとを、画像処理装置に送信するように構成される。
【0160】
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、上記の第1の実施形態と全く同様に、放射線画像撮影装置1のゲートドライバー15bに非接続の端子pが存在し、それにオン電圧が印加される前後で読み出される画像データDに濃淡すなわち輝度の段差が現れる場合であっても、放射線画像撮影装置1で上記のように画像データDの補正処理を行って、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される前に読み出された画像データDに対する、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加された後に読み出された画像データDの増加率α*の影響が排除され、両者の間の輝度の段差を解消させることが可能となる。
【0161】
そして、このように補正された画像データD等を画像処理装置に送信し、画像処理装置で、輝度の段差が解消された画像データDに基づいて放射線画像Iを生成することが可能となる。そのため、輝度の段差のない放射線画像Iを生成することが可能となり、少なくとも輝度の段差の点で放射線画像Iが見づらくなることはなく、例えば放射線画像Iを医療における診断用等に用いる場合、患者の病変部が輝度の段差の部分と重なって医師による病変部の有無やその状態の判断等に支障を来たす事態が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0162】
なお、上記の各実施形態における画像データDの補正処理を、放射線画像撮影装置1からプレビュー画像用のデータを送信する前に放射線画像撮影装置1で行い(第2の実施形態の場合)、或いは放射線画像撮影装置1から送信されてきたプレビュー画像用のデータに対して行う(第1の実施形態の場合)ように構成することも可能である。
【0163】
また、上記の各実施形態では、放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射開始を検出するように構成したため、読み出し開始ラインが、検出部P(図4や図7参照)やその領域Pa等(図22参照)の末端側の走査線5(すなわち走査線5のラインL1やラインLx)ではなく、検出部P等の途中の走査線5になった。なお、上記の各実施形態においても、読み出し開始ラインが走査線5のラインL1やラインLxになる場合もあり得ることは前述した通りである。
【0164】
しかし、放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射開始を検出するように構成しない場合でも、放射線画像撮影装置1が、検出部Pの途中の走査線5(すなわち読み出し開始ライン)から走査線5の最終ラインLxまで画像データDを読み出す走査線5をシフトさせた後、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧を印加する等し、その後、走査線5の最初のラインL1から画像データDを読み出す走査線5をシフトさせて、各放射線検出素子7から画像データDを読み出すように構成されている場合があり得る。
【0165】
そして、このような場合には、上記の各実施形態の場合と同様に、読み出される画像データDや、画像データDに基づいて生成させる放射線画像Iに、図28に示したように輝度の段差が生じる場合がある。
【0166】
そのため、このように構成されている放射線画像撮影装置1やそれを備える放射線画像撮影システム50に対しても、本発明を適用することが可能である。そして、本発明を適用することにより、輝度の段差のない放射線画像Iを生成することが可能となる。
【0167】
さらに、上記の各実施形態では、例えば図9に示したように、ゲートドライバー15bの非接続の端子pが、走査線5の最初のラインL1側(図9の場合)や走査線5の最終ラインLx側(図示省略)等の、放射線画像撮影装置1の検出部Pの末端部分に設けられている場合について説明した。
【0168】
しかし、例えば図25に示すように、ゲートドライバー15bの非接続の端子pが、放射線画像撮影装置1の検出部Pの末端部分ではない途中の部分に設けられている場合もある。
【0169】
そして、このような場合も、画像データDの読み出し処理では、読み出し開始ラインから走査線5のラインLs(図25参照)までオン電圧が順次印加された後、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が順次印加され或いはそれらが順次アクティブな状態とされ、その後、走査線5のラインLs+1から検出ラインまでオン電圧が順次印加されて、各放射線検出素子7から画像データDが読み出される状態になる。
【0170】
そのため、この場合も、上記の各実施形態の場合(図23等参照)と同様に、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等する前にオン電圧が印加された読み出し開始ラインからラインLsまでの各走査線5に接続されている各放射線検出素子7から読み出された画像データDよりも、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等した後にオン電圧が印加されたラインLs+1から検出ラインまでの各走査線5に接続されている各放射線検出素子7から読み出された画像データDの方が、値が大きくなる現象が生じ得る。
【0171】
すなわち、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等する前後で、読み出される画像データDの値が変わる現象が生じ得る。そのため、図25に示したように、ゲートドライバー15bの非接続の端子pが放射線画像撮影装置1の検出部Pの末端部分ではない途中の部分に設けられている場合にも、本発明を適用することが可能である。
【0172】
そして、この場合も、図24に示した方法と同様の方法を用いて算出した補正係数α*を用いる等して、読み出し開始ラインから走査線5のラインLsまでの各画像データD、或いは走査線5のラインLs+1から検出ラインまでの各画像データDの少なくとも一方を、上記の補正方法を用いる等して、的確に補正することが可能となる。
【0173】
そして、このようにして画像データDを的確に補正して画像データD中から輝度の段差を解消させることが可能となるため、そのような画像データDに基づいて輝度の段差のない放射線画像Iを生成することが可能となる。
【0174】
一方、上記の各実施形態や変形例では、放射線画像撮影装置1自体で放射線源52からの放射線の照射が開始されたことを検出するように構成されているため、放射線画像撮影ごとに、検出部P上での検出ラインが変わる(すなわち検出ラインのライン番号nが変わる。)。そのため、検出部P上で検出ラインに隣接する読み出し開始ラインも変わる(すなわち読み出し開始ラインのライン番号n+1も変わる。)場合について説明した。
【0175】
しかし、放射線画像撮影ごとに検出ラインが変わっても、画像データDの読み出し処理では、走査線5の最初のラインL1(図7等参照)からオン電圧の印加を開始し、走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して読み出し処理を行うように構成することも可能である。すなわち、読み出し開始ラインを走査線5の最初のラインL1に固定することも可能である。
【0176】
また、上記のように放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射が開始されたことを検出するように構成せず、従来の放射線画像撮影装置のように、放射線画像撮影装置1と放射線発生装置55(図12や図13参照)との間で信号等をやり取りし、それらが連携を取りながら放射線画像撮影を行うように構成される場合もある。
【0177】
そして、放射線画像撮影システム50がこのように構成されている場合には、画像データDの読み出し処理では、通常の場合、上記と同様に、読み出し開始ラインが走査線5の最初のラインL1に固定されている。
【0178】
これらの場合に、図25に示したように、ゲートドライバー15bの非接続の端子pが放射線画像撮影装置1の検出部Pの末端部分ではない途中の部分に設けられていると、ゲートドライバー15bの非接続の端子pにオン電圧が印加される等する前後で、読み出される画像データDの値が変わる現象が生じ得る。
【0179】
そのため、上記のように、放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射が開始されたことを検出するように構成される場合は勿論、従来の放射線画像撮影装置のように放射線発生装置55と連携して放射線画像撮影を行う場合でも、画像データDの読み出し処理を走査線5の最初のラインL1からオン電圧の印加を開始して行い、しかも、ゲートドライバー15bの非接続の端子pが図25に示したように検出部Pの末端部分ではない途中の部分に設けられている場合には、本発明を適用することが可能である。
【0180】
そして、この場合は、読み出し開始ラインすなわち走査線5の最初のラインL1と、ゲートドライバー15bの非接続の端子pが設けられている位置が固定されているため、仮に放射線画像撮影装置1に一様の放射線を照射した場合に、読み出される画像データDの各走査線5ごとの平均値Dave(k)は、図26に示すように、走査線5のラインL1〜Lsでは小さく、走査線5のラインLs+1〜Lxでは若干大きくなる。
【0181】
この場合、これが画像データDに生じる輝度の段差になる。なお、図26では、図23(A)、(B)のように放射線源52の照射特性に起因する濃淡(ムラ)がない、すなわち濃淡によるプロファイルの傾斜がない場合が示されている。
【0182】
そのため、このようなプロファイルに基づいて、上記と同様に、走査線5のラインL1〜Lsに接続されている各放射線検出素子7から読み出された画像データDに対する、走査線5のラインLs+1〜Lxに接続されている各放射線検出素子7から読み出された画像データDの増加率や増加分を算出し、それを補正係数とする等して、画像データDを補正するように構成することができる。
【0183】
そして、画像データDをそのように補正することにより、画像データDを的確に補正して画像データD中から輝度の段差を解消させることが可能となる。また、そのため、そのような画像データDに基づいて輝度の段差のない放射線画像Iを生成することが可能となる。
【0184】
なお、本発明が上記の各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0185】
1 放射線画像撮影装置
5 走査線
6 信号線
7 放射線検出素子
8 TFT(スイッチ手段)
15 走査駆動手段
15b ゲートドライバー
17 読み出し回路
22 制御手段
39 コネクター(通信手段)
41 アンテナ装置(通信手段)
50 放射線画像撮影システム
58 コンソール(画像処理装置)
D 画像データ
d 照射開始検出用の画像データ
dleak リークデータ
dleak_th 閾値
dth 閾値
I 放射線画像
L4、Ln 検出ライン
L5、Ln+1 読み出し開始ライン
P 検出部
p 非接続の端子
q 電荷
r 小領域
α* 補正係数
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備える検出部と、
前記各走査線に対して印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えるゲートドライバーを備える走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
外部装置との間で信号の送受信を行い、前記画像データを送信するための通信手段と、
を備える放射線画像撮影装置と、
前記放射線画像撮影装置から送信された前記画像データに基づいて放射線画像を生成する画像処理装置と、
を備え、
前記放射線画像撮影装置の前記ゲートドライバーは、前記走査線が接続されていない非接続の端子を備えており、
前記画像処理装置は、前記放射線画像撮影装置における前記画像データの読み出し処理の際に、当該放射線画像撮影装置の前記ゲートドライバーの前記非接続の端子にオン電圧が印加される前または前記非接続の端子がアクティブな状態とされる前に読み出された前記画像データ、または当該放射線画像撮影装置の前記ゲートドライバーの前記非接続の端子にオン電圧が印加された後または前記非接続の端子がアクティブな状態とされた後に読み出された前記画像データの少なくとも一方を補正して、放射線画像を生成することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項2】
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバーから前記各走査線にオフ電圧を印加して前記各スイッチ手段をオフ状態とした状態で前記各スイッチ手段を介して前記各放射線検出素子からリークした前記電荷をリークデータに変換するリークデータの読み出し処理と、前記走査駆動手段から前記各走査線にオン電圧を順次印加して行う前記各放射線検出素子のリセット処理とを交互に繰り返し行わせ、読み出した前記リークデータが閾値を越えた時点で放射線の照射が開始されたことを検出し、
前記画像データの読み出し処理では、放射線の照射が開始されたことを検出した前記リークデータの読み出し処理の直前の前記各放射線検出素子のリセット処理でオン電圧が印加された前記走査線である検出ラインの次にオン電圧を印加すべき前記走査線である読み出し開始ラインからオン電圧の印加を開始して、前記ゲートドライバーから前記各走査線にオン電圧を順次印加して前記各放射線検出素子から前記画像データをそれぞれ読み出すとともに、
前記画像データの読み出し処理中に、前記ゲートドライバーの前記非接続の端子にオン電圧が印加される期間または前記非接続の端子がアクティブな状態とされる期間を有し、
前記画像処理装置は、前記放射線画像撮影装置における前記画像データの読み出し処理の際に、前記期間の前にオン電圧が印加された前記読み出し開始ラインを含む前記各走査線にそれぞれ接続されている前記各放射線検出素子から読み出された前記画像データ、または前記期間の後にオン電圧が印加された前記検出ラインを含む前記各走査線にそれぞれ接続されている前記各放射線検出素子から読み出された前記画像データの少なくとも一方を補正して、放射線画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項3】
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバーから前記各走査線にオン電圧を順次印加して照射開始検出用の画像データの読み出し処理を行わせ、読み出した前記照射開始検出用の画像データが閾値を越えた時点で放射線の照射が開始されたことを検出し、
前記画像データの読み出し処理では、放射線の照射が開始されたことを検出した前記照射開始検出用の画像データの読み出し処理でオン電圧が印加された前記走査線である検出ラインの次にオン電圧を印加すべき前記走査線である読み出し開始ラインからオン電圧の印加を開始して、前記ゲートドライバーから前記各走査線にオン電圧を順次印加して前記各放射線検出素子から前記画像データをそれぞれ読み出すとともに、
前記画像データの読み出し処理中に、前記ゲートドライバーの前記非接続の端子にオン電圧が印加される期間または前記非接続の端子がアクティブな状態とされる期間を有し、
前記画像処理装置は、前記放射線画像撮影装置における前記画像データの読み出し処理の際に、前記期間の前にオン電圧が印加された前記読み出し開始ラインを含む前記各走査線にそれぞれ接続されている前記各放射線検出素子から読み出された前記画像データ、または前記期間の後にオン電圧が印加された前記検出ラインを含む前記各走査線にそれぞれ接続されている前記各放射線検出素子から読み出された前記画像データの少なくとも一方を補正して、放射線画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記画像処理装置は、前記放射線画像撮影装置ごとに、予め、前記画像データを補正するために前記画像データに乗算する補正係数を備えており、当該補正係数に基づいて前記画像データを補正することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記画像処理装置は、前記放射線画像撮影装置に対して放射線を照射し、前記放射線画像撮影装置の前記各走査線ごとに、読み出された前記画像データの前記走査線の延在方向の平均値をそれぞれ算出し、再度、前記放射線画像撮影装置に対して放射線を照射して同じ処理を行い、前記各走査線ごとに、一方の前記平均値を他方の前記平均値で除算し、一方の前記検出ラインまたは前記読み出し開始ラインと、他方の前記読み出し開始ラインまたは前記検出ラインとの間の前記各走査線の部分に算出される1よりも有意に大きな値を、前記画像データに乗算する補正係数として予め算出して備えておくことを特徴とする請求項4に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項6】
放射線画像撮影装置で取得された画像データのうち、前記放射線画像撮影装置における前記画像データの読み出し処理の際に、当該放射線画像撮影装置のゲートドライバーの非接続の端子にオン電圧が印加される前または前記非接続の端子がアクティブな状態とされる前に読み出された前記画像データ、または当該放射線画像撮影装置の前記ゲートドライバーの前記非接続の端子にオン電圧が印加された後または前記非接続の端子がアクティブな状態とされた後に読み出された前記画像データの少なくとも一方を補正して、放射線画像を生成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備える検出部と、
前記各走査線に対して印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えるゲートドライバーを備える走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記画像データの読み出し処理の際に、前記ゲートドライバーの前記非接続の端子にオン電圧が印加される前または前記非接続の端子がアクティブな状態とされる前に読み出された前記画像データ、または当該放射線画像撮影装置の前記ゲートドライバーの前記非接続の端子にオン電圧が印加された後または前記非接続の端子がアクティブな状態とされた後に読み出された前記画像データの少なくとも一方を補正することを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項8】
前記制御手段は、予め、前記画像データを補正するために前記画像データに乗算する補正係数を備えており、当該補正係数に基づいて前記画像データを補正することを特徴とする請求項7に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項1】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備える検出部と、
前記各走査線に対して印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えるゲートドライバーを備える走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
外部装置との間で信号の送受信を行い、前記画像データを送信するための通信手段と、
を備える放射線画像撮影装置と、
前記放射線画像撮影装置から送信された前記画像データに基づいて放射線画像を生成する画像処理装置と、
を備え、
前記放射線画像撮影装置の前記ゲートドライバーは、前記走査線が接続されていない非接続の端子を備えており、
前記画像処理装置は、前記放射線画像撮影装置における前記画像データの読み出し処理の際に、当該放射線画像撮影装置の前記ゲートドライバーの前記非接続の端子にオン電圧が印加される前または前記非接続の端子がアクティブな状態とされる前に読み出された前記画像データ、または当該放射線画像撮影装置の前記ゲートドライバーの前記非接続の端子にオン電圧が印加された後または前記非接続の端子がアクティブな状態とされた後に読み出された前記画像データの少なくとも一方を補正して、放射線画像を生成することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項2】
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバーから前記各走査線にオフ電圧を印加して前記各スイッチ手段をオフ状態とした状態で前記各スイッチ手段を介して前記各放射線検出素子からリークした前記電荷をリークデータに変換するリークデータの読み出し処理と、前記走査駆動手段から前記各走査線にオン電圧を順次印加して行う前記各放射線検出素子のリセット処理とを交互に繰り返し行わせ、読み出した前記リークデータが閾値を越えた時点で放射線の照射が開始されたことを検出し、
前記画像データの読み出し処理では、放射線の照射が開始されたことを検出した前記リークデータの読み出し処理の直前の前記各放射線検出素子のリセット処理でオン電圧が印加された前記走査線である検出ラインの次にオン電圧を印加すべき前記走査線である読み出し開始ラインからオン電圧の印加を開始して、前記ゲートドライバーから前記各走査線にオン電圧を順次印加して前記各放射線検出素子から前記画像データをそれぞれ読み出すとともに、
前記画像データの読み出し処理中に、前記ゲートドライバーの前記非接続の端子にオン電圧が印加される期間または前記非接続の端子がアクティブな状態とされる期間を有し、
前記画像処理装置は、前記放射線画像撮影装置における前記画像データの読み出し処理の際に、前記期間の前にオン電圧が印加された前記読み出し開始ラインを含む前記各走査線にそれぞれ接続されている前記各放射線検出素子から読み出された前記画像データ、または前記期間の後にオン電圧が印加された前記検出ラインを含む前記各走査線にそれぞれ接続されている前記各放射線検出素子から読み出された前記画像データの少なくとも一方を補正して、放射線画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項3】
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバーから前記各走査線にオン電圧を順次印加して照射開始検出用の画像データの読み出し処理を行わせ、読み出した前記照射開始検出用の画像データが閾値を越えた時点で放射線の照射が開始されたことを検出し、
前記画像データの読み出し処理では、放射線の照射が開始されたことを検出した前記照射開始検出用の画像データの読み出し処理でオン電圧が印加された前記走査線である検出ラインの次にオン電圧を印加すべき前記走査線である読み出し開始ラインからオン電圧の印加を開始して、前記ゲートドライバーから前記各走査線にオン電圧を順次印加して前記各放射線検出素子から前記画像データをそれぞれ読み出すとともに、
前記画像データの読み出し処理中に、前記ゲートドライバーの前記非接続の端子にオン電圧が印加される期間または前記非接続の端子がアクティブな状態とされる期間を有し、
前記画像処理装置は、前記放射線画像撮影装置における前記画像データの読み出し処理の際に、前記期間の前にオン電圧が印加された前記読み出し開始ラインを含む前記各走査線にそれぞれ接続されている前記各放射線検出素子から読み出された前記画像データ、または前記期間の後にオン電圧が印加された前記検出ラインを含む前記各走査線にそれぞれ接続されている前記各放射線検出素子から読み出された前記画像データの少なくとも一方を補正して、放射線画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記画像処理装置は、前記放射線画像撮影装置ごとに、予め、前記画像データを補正するために前記画像データに乗算する補正係数を備えており、当該補正係数に基づいて前記画像データを補正することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記画像処理装置は、前記放射線画像撮影装置に対して放射線を照射し、前記放射線画像撮影装置の前記各走査線ごとに、読み出された前記画像データの前記走査線の延在方向の平均値をそれぞれ算出し、再度、前記放射線画像撮影装置に対して放射線を照射して同じ処理を行い、前記各走査線ごとに、一方の前記平均値を他方の前記平均値で除算し、一方の前記検出ラインまたは前記読み出し開始ラインと、他方の前記読み出し開始ラインまたは前記検出ラインとの間の前記各走査線の部分に算出される1よりも有意に大きな値を、前記画像データに乗算する補正係数として予め算出して備えておくことを特徴とする請求項4に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項6】
放射線画像撮影装置で取得された画像データのうち、前記放射線画像撮影装置における前記画像データの読み出し処理の際に、当該放射線画像撮影装置のゲートドライバーの非接続の端子にオン電圧が印加される前または前記非接続の端子がアクティブな状態とされる前に読み出された前記画像データ、または当該放射線画像撮影装置の前記ゲートドライバーの前記非接続の端子にオン電圧が印加された後または前記非接続の端子がアクティブな状態とされた後に読み出された前記画像データの少なくとも一方を補正して、放射線画像を生成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備える検出部と、
前記各走査線に対して印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えるゲートドライバーを備える走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記画像データの読み出し処理の際に、前記ゲートドライバーの前記非接続の端子にオン電圧が印加される前または前記非接続の端子がアクティブな状態とされる前に読み出された前記画像データ、または当該放射線画像撮影装置の前記ゲートドライバーの前記非接続の端子にオン電圧が印加された後または前記非接続の端子がアクティブな状態とされた後に読み出された前記画像データの少なくとも一方を補正することを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項8】
前記制御手段は、予め、前記画像データを補正するために前記画像データに乗算する補正係数を備えており、当該補正係数に基づいて前記画像データを補正することを特徴とする請求項7に記載の放射線画像撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2013−85014(P2013−85014A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221509(P2011−221509)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】
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