放射線画像撮影システムおよび放射線画像撮影装置
【課題】放射線画像撮影装置で動きのある被写体等を準動画として撮影し、放射線画像撮影装置で撮影した準動画を再生させることを可能とする放射線画像撮影システムを提供する。
【解決手段】放射線画像撮影システム50は、放射線画像撮影装置1と、放射線源52を備える放射線発生装置55と、画像データに基づいて放射線画像を生成するコンソール58とを備え、放射線画像撮影装置1の制御手段は、一連の複数の放射線画像撮影が行われる際に、各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔をそれぞれ計測し、当該一連の複数の放射線画像撮影で得られた各画像データをコンソール58に送信する際に、各時間間隔の情報を対応する各画像データに対応付けて送信し、コンソール58は、生成した各放射線画像に各時間間隔の情報をそれぞれ対応付ける。
【解決手段】放射線画像撮影システム50は、放射線画像撮影装置1と、放射線源52を備える放射線発生装置55と、画像データに基づいて放射線画像を生成するコンソール58とを備え、放射線画像撮影装置1の制御手段は、一連の複数の放射線画像撮影が行われる際に、各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔をそれぞれ計測し、当該一連の複数の放射線画像撮影で得られた各画像データをコンソール58に送信する際に、各時間間隔の情報を対応する各画像データに対応付けて送信し、コンソール58は、生成した各放射線画像に各時間間隔の情報をそれぞれ対応付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影システムおよび放射線画像撮影装置に係り、特に、放射線画像撮影装置でいわゆる準動画を撮影する放射線画像撮影システムおよびそれに用いられる放射線画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照射されたX線等の放射線の線量に応じて検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接型の放射線画像撮影装置や、照射された放射線をシンチレーター等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換され照射された電磁波のエネルギーに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる間接型の放射線画像撮影装置が種々開発されている。なお、本発明では、直接型の放射線画像撮影装置における検出素子や、間接型の放射線画像撮影装置における光電変換素子を、あわせて放射線検出素子という。
【0003】
このタイプの放射線画像撮影装置はFPD(Flat Panel Detector)として知られており、従来は支持台等と一体的に形成されていたが(例えば特許文献1参照)、近年、放射線検出素子等をハウジングに収納した可搬型の放射線画像撮影装置が開発され、実用化されている(例えば特許文献2、3参照)。
【0004】
ところで、このような放射線画像撮影装置は、通常の場合、静止画像としての放射線画像を撮影するように構成されており、動画を撮影するようには構成されていない。しかし、このような放射線画像撮影装置を用いて医療における診断用の放射線画像を撮影する場合、例えば、呼吸により膨張したり収縮したりする肺等の呼吸器や、心臓の鼓動を含む血流等の動く臓器等を動画的に撮影したいという医療現場からの要望もある。トモシンセシス撮影のように1つの被写体を多方向から放射線を複数回連続して照射して撮影を行いたいという要望もある。
【0005】
そこで、例えば特許文献4では、可搬型の放射線画像撮影装置の筐体内に、付加機能モジュールを着脱可能に接続できる構成とし、付加機能モジュールが接続されると、放射線画像撮影装置の撮影モードが静止画撮影から動画撮影に切り替わり、付加機能モジュールを外すと、撮影モードが動画撮影から静止画撮影に切り替わるような可搬型の放射線画像撮影装置の発明が開示されている。
【0006】
そして、付加機能モジュールが接続されていない状態の放射線画像撮影装置では、動画撮影は困難であるが、接続される付加機能モジュールに、動画撮影に必要な種々の機能部を設けておくことにより、このような放射線画像撮影装置でも動画撮影を行うことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−73144号公報
【特許文献2】特開2006−058124号公報
【特許文献3】特開平6−342099号公報
【特許文献4】特開2008−83031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、医療現場では、可搬型の放射線画像撮影装置を、撮影室R1(後述する図11参照)に既設のブッキー装置51に装填して用いる場合もあるが、既設のブッキー装置51は、従来のCR(Computed Radiography)カセッテを装填するように構成されているものが少なくない。そして、CRカセッテは、従来のスクリーンフィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズ(対応する国際規格はIEC 60406)に準拠して、少なくともその厚さが15mm+1mm〜15mm−2mmの範囲内になるように形成されていた。
【0009】
そのため、可搬型の放射線画像撮影装置にも、このようなCRカセッテと同様に上記のJIS規格サイズに準拠した寸法で形成されることが要請される場合がある。しかし、このようなサイズの制約の中で、上記のように放射線画像撮影装置の筐体内に付加機能モジュールを収納できるように構成することは必ずしも容易ではない。
【0010】
一方、上記のような可搬型の放射線画像撮影装置に限らず、一般に、放射線画像撮影装置で呼吸器の膨張・収縮や心臓の鼓動を含む血流等を動画的に撮影したりトモシンセシス撮影を行う場合、それらを通常の動画のように1秒間に30フレームで撮影して肉眼的にはその動きが連続して見えるように撮影する必要は必ずしもなく、複数の静止画像が、例えば1秒間に数フレーム或いは数秒に1フレームの割合で、時系列的に間欠的に撮影される、いわゆる準動画として撮影されればよい場合も多い。
【0011】
そして、この場合、医師等が、準動画として撮影された膨張・収縮する呼吸器等の複数の画像を再生表示する場合、準動画を構成する複数の静止画像を1枚ごと再生させる場合もあるが、複数の静止画像を、撮影した際の実際の時間間隔で再生して表示させることもある。そのため、各静止画像を撮影した際の各撮影間の各時間間隔の情報が、準動画を再生表示する画像表示装置に対して的確に伝達されることが必要となる。
【0012】
この場合、放射線源52(後述する図11や図12参照)から被写体を介して放射線画像撮影装置に放射線を照射したタイミングすなわち上記の時間間隔の情報を放射線発生装置55から入手するように構成することも可能ではあるが、施設に既設の放射線発生装置55は、放射線を照射するごとに前回放射線を照射してからの時間間隔を計測するように構成されていない場合も多い。
【0013】
そのような場合に、放射線発生装置55を改造して上記の時間間隔を計測するように構成するとコストがかかる等の問題が生じる場合がある。そこで、放射線発生装置55ではなく、放射線画像撮影装置側で、上記の時間間隔を計測するように構成することが望ましい。
【0014】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、放射線画像撮影装置で動きのある被写体等を準動画として撮影し、放射線画像撮影装置で準動画を構成する複数の静止画像を撮影した各撮影ごとの時間間隔を計測可能な放射線画像撮影装置、および計測された時間間隔に基づいて一連の静止画像を準動画として再生させることを可能とする放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【0015】
また、その際、従来の静止画像のみを撮影する放射線画像撮影装置における制御構成や、放射線画像撮影装置からコンソール58(後述する図11や図12参照)に画像データD等を送信する際のデータ構成等に大きな変更を加えることなく、上記の時間間隔の情報を送信することができるように構成すれば、放射線画像撮影装置やコンソール58における処理に大きな変更を加えずに上記の目的を達成できるため望ましい。
【0016】
そこで、本発明は、上記のように、放射線画像撮影装置で動きのある被写体を準動画として撮影する際、従来の静止画像のみを撮影する放射線画像撮影装置における制御構成や画像データ等をコンソールに送信する際のデータ構成等に大きな変更を加えることなく、上記の目的を達成することが可能な放射線画像撮影装置や放射線画像撮影システムを提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影システムおよび放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
前記各走査線にオン電圧またはオフ電圧を印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
外部装置と通信可能な通信手段と、
を備える放射線画像撮影装置と、
前記放射線画像撮影装置に対して放射線を照射する放射線源を備える放射線発生装置と、
前記放射線画像撮影装置から送信されてきた前記画像データに基づいて放射線画像を生成するコンソールと、
を備え、
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、一連の複数の放射線画像撮影が行われる際に、各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔をそれぞれ計測し、当該一連の複数の放射線画像撮影で得られた前記各画像データを前記コンソールに送信する際に、前記各時間間隔の情報を対応する前記各画像データに対応付けて前記コンソールに送信し、
前記コンソールは、前記放射線画像撮影装置から送信されてきた前記画像データに基づいて生成した前記各放射線画像に、前記各画像データに対応付けられた前記各時間間隔の情報をそれぞれ対応付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明のような方式の放射線画像撮影システムおよび放射線画像撮影装置によれば、従来の放射線画像撮影装置のように動画を撮影するための付加機能モジュールを筐体内に設けなくても、制御手段で一連の放射線画像における各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔を計測するだけで、一連の撮影で得られた各放射線画像すなわち各静止画像を準動画的に表示する際の表示の時間間隔の情報を的確に取得することが可能となる。
【0019】
そのため、従来の静止画像のみを撮影する放射線画像撮影装置を用いて、動きのある被写体等を的確に準動画として撮影することが可能となる。また、放射線発生装置側に、時間間隔を計測するような改造を施す必要がなくなり、放射線画像撮影装置側で時間間隔を計測することが可能となる。
【0020】
また、コンソールで、各回の放射線画像撮影で得られた画像データ等に基づいて生成した各放射線画像すなわち各静止画像に時間間隔の情報をそれぞれ対応付けるため、一連の撮影で得られた各静止画像を準動画的に再生する画像表示装置は、各静止画像に対応付けられた時間間隔に従って各静止画像を再生することで、膨張したり収縮したりする肺等の臓器の動きを、放射線画像撮影装置が撮影した時間間隔で再生することが可能となる。そのため、一連の放射線画像撮影で得られた各静止画像を的確に準動画的に表示させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1におけるX−X線に沿う断面図である。
【図3】ケーブルを接続した状態の放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。
【図4】放射線画像撮影装置の基板の構成を示す平面図である。
【図5】図4の基板上の小領域に形成された放射線検出素子とTFT等の構成を示す拡大図である。
【図6】フレキシブル回路基板やPCB基板等が取り付けられた基板を説明する側面図である。
【図7】放射線画像撮影装置の等価回路を表すブロック図である。
【図8】検出部を構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【図9】各放射線検出素子のリセット処理における電荷リセット用スイッチやTFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図10】画像データの読み出し処理における電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図11】撮影室等に構築された本実施形態に係る放射線画像撮影システムの構成例を示す図である。
【図12】回診車上に構築された本実施形態に係る放射線画像撮影システムの構成例を示す図である。
【図13】1面分のリセット処理におけるタイミングチャートである。
【図14】連携方式における照射開始信号の送信、リセット処理の終了および電荷蓄積状態への移行、インターロック解除信号の送信、および放射線の照射のタイミングを表すタイミングチャートである。
【図15】連携方式における各走査線にオン電圧を順次印加するタイミングを表すタイミングチャートである。
【図16】非連携方式の検出方法1において放射線画像撮影前に画像データの読み出し処理が繰り返し行われる際の各走査線にオン電圧を順次印加するタイミングを表すタイミングチャートである。
【図17】検出方法1の場合に放射線の照射開始を検出した時点で画像データの読み出し処理を停止するように構成された場合の各走査線にオン電圧を順次印加するタイミングの例を表すタイミングチャートである。
【図18】放射線画像撮影前から行われる読み出し処理で読み出される画像データを時系列的にプロットしたグラフである。
【図19】TFTを介して各放射線検出素子からリークした各電荷がリークデータとして読み出されることを説明する図である。
【図20】リークデータの読み出し処理における電荷リセット用スイッチやTFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図21】放射線画像撮影前にリークデータの読み出し処理と各放射線検出素子のリセット処理を交互に行うように構成した場合の電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図22】検出方法2で放射線画像撮影前にリークデータの読み出し処理とリセット処理を交互に行い、電荷蓄積状態でリークデータの読み出し処理を行う場合に各走査線にオン電圧を印加するタイミングを説明するタイミングチャートである。
【図23】一連の放射線画像撮影において放射線画像撮影装置で行われる処理の手順および各撮影ごとの時間間隔を説明する図である。
【図24】各放射線検出素子から読み出された画像データを表す図である。
【図25】画像データ中から抽出される間引きデータの例を表す図である。
【図26】各回の放射線画像撮影で得られた各画像データの所定の画素部分に時間間隔の情報を書き込むことを説明する図である。
【図27】画像データの出現頻度の分布の例を表すヒストグラムである。
【図28】図27とは別の撮影部位を撮影した場合の画像データの出現頻度の分布の例を表すヒストグラムである。
【図29】画像データの出現頻度の分布について想定された正規分布状の分布の例を表すヒストグラムである。
【図30】信号線方向等に隣接する放射線検出素子の画像データの各差分の出現頻度の分布を示すヒストグラムである。
【図31】仮想的にまとめられたプレビュー画像用のデータを表す図である。
【図32】同一の放射線検出素子について各回の撮影で得られた画像データDの差分が算出されることを説明する図である。
【図33】画像データの読み出し処理までの一連の処理シーケンスが繰り返されてオフセットデータの読み出し処理が行われることを説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る放射線画像撮影システムおよび放射線画像撮影装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
なお、以下では、放射線画像撮影装置として、シンチレーター等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレーター等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
【0024】
また、本発明は、本実施形態で説明する、いわゆる可搬型の放射線画像撮影装置のみならず、例えば支持台等と一体的に形成された専用機型の放射線画像撮影装置に対しても適用することが可能である。
【0025】
[放射線画像撮影装置]
図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1のX−X線に沿う断面図である。本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体状のハウジング2内にシンチレーター3や基板4等で構成されるセンサーパネルSPが収納されている。
【0026】
本実施形態では、筐体2のうち、放射線入射面Rを有する中空の角筒状のハウジング本体部2Aは、放射線を透過するカーボン板やプラスチック等の材料で形成されており、ハウジング本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで筐体2が形成されている。
【0027】
また、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や切替スイッチ38、コネクター39、バッテリー状態や放射線画像撮影装置1の稼働状態等を表示するLED等で構成されたインジケーター40等が配置されている。
【0028】
図3に示すように、本実施形態では、コネクター39には、ケーブルCaの先端に設けられたコネクターCが接続できるようになっている。そして、ケーブルCaと接続されることにより、例えば後述するコンソール58(図11や図12参照)との間で信号等を送受信したり、コンソール58に画像データD等を送信することができるようになっている。
【0029】
また、図示を省略するが、例えば筐体2の反対側の蓋部材2C等に、アンテナ装置41(後述する図7参照)が例えば蓋部材2Cに埋め込む等して設けられている。このように、本実施形態では、コネクター39やアンテナ装置41が、放射線画像撮影装置1とコンソール58等との間で信号を送受信し、コンソール58に画像データD等を送信するための通信手段として機能するようになっている。
【0030】
図2に示すように、筐体2の内部には、基台31の上面側に図示しない鉛の薄板等を介して基板4が配置され、また、基台31の下面側には、電子部品32等が配設されたPCB基板33やバッテリー24等が取り付けられている。また、基板4やシンチレーター3の放射線入射面Rには、それらを保護するためのガラス基板34が配設されている。また、本実施形態では、基台31や基板4等と筐体2の側面との間に、それらがぶつかり合うことを防止するための緩衝材35が設けられている。
【0031】
シンチレーター3は、基板4の後述する検出部Pに対向する位置に設けられるようになっている。本実施形態では、シンチレーター3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
【0032】
基板4は、本実施形態では、ガラス基板で構成されており、図4に示すように、基板4のシンチレーター3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
【0033】
このように、走査線5と信号線6で区画された各小領域rに二次元状に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた小領域r全体、すなわち図4に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
【0034】
本実施形態では、放射線検出素子7としてフォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスター等を用いることも可能である。各放射線検出素子7は、図4の拡大図である図5に示すように、スイッチ手段であるTFT8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
【0035】
放射線検出素子7は、放射線画像撮影装置1の筐体2の放射線入射面Rから放射線が入射し、シンチレーター3で放射線から変換された可視光等の電磁波が照射されると、その内部で電子正孔対を発生させる。放射線検出素子7は、このようにして、照射された放射線(本実施形態ではシンチレーター3で放射線から変換された電磁波)を電荷に変換するようになっている。
【0036】
そして、TFT8は、後述する走査駆動手段15から走査線5を介してゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となり、ソース電極8sやドレイン電極8dを介して放射線検出素子7内に蓄積されている電荷を信号線6に放出させるようになっている。また、TFT8は、接続された走査線5を介してゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、放射線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、放射線検出素子7内に電荷を蓄積させるようになっている。
【0037】
本実施形態では、図5に示すように、それぞれ列状に配置された複数の放射線検出素子7に1本のバイアス線9が接続されており、図4に示すように、各バイアス線9はそれぞれ信号線6に平行に配設されている。また、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で結線10に結束されている。
【0038】
本実施形態では、図4に示すように、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう。)11に接続されている。
【0039】
そして、各入出力端子11には、図6に示すように、後述する走査駆動手段15のゲートドライバー15bを構成するゲートIC15c等のチップがフィルム上に組み込まれたフレキシブル回路基板(Chip On Film等ともいう。)12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
【0040】
フレキシブル回路基板12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。このようにして、放射線画像撮影装置1のセンサーパネルSPが形成されている。なお、図6では、電子部品32等の図示が省略されている。
【0041】
ここで、放射線画像撮影装置1の回路構成について説明する。図7は本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の等価回路を表すブロック図であり、図8は検出部Pを構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【0042】
前述したように、基板4の検出部Pの各放射線検出素子7は、その第2電極7bにそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の第2電極7bにそれぞれバイアス電圧を印加するようになっている。また、バイアス電源14は、後述する制御手段22に接続されており、制御手段22により、バイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧が制御されるようになっている。
【0043】
図7や図8に示すように、本実施形態では、バイアス電源14からは、放射線検出素子7の第2電極7bにバイアス線9を介してバイアス電圧として放射線検出素子7の第1電極7a側にかかる電圧以下の電圧(すなわちいわゆる逆バイアス電圧)が印加されるようになっている。
【0044】
走査駆動手段15は、配線15dを介してゲートドライバー15bにオン電圧とオフ電圧を供給する電源回路15aと、走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えて各TFT8のオン状態とオフ状態とを切り替えるゲートドライバー15bとを備えている。
【0045】
図7や図8に示すように、各信号線6は、読み出しIC16内に内蔵された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。読み出し回路17は、増幅回路18と相関二重サンプリング回路19等で構成されている。読み出しIC16内には、さらに、アナログマルチプレクサー21と、A/D変換器20とが設けられている。なお、図7や図8中では、相関二重サンプリング回路19はCDSと表記されている。また、図8中では、アナログマルチプレクサー21は省略されている。
【0046】
本実施形態では、増幅回路18は、オペアンプ18aと、オペアンプ18aにそれぞれ並列にコンデンサー18bおよび電荷リセット用スイッチ18cが接続され、オペアンプ18a等に電力を供給する電源供給部18dを備えたチャージアンプ回路で構成されている。増幅回路18のオペアンプ18aの入力側の反転入力端子には信号線6が接続されており、増幅回路18の入力側の非反転入力端子には基準電位V0が印加されるようになっている。なお、基準電位V0は適宜の値に設定され、本実施形態では、例えば0[V]が印加されるようになっている。
【0047】
また、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cは、制御手段22に接続されており、制御手段22によりオン/オフが制御されるようになっている。また、オペアンプ18aと相関二重サンプリング回路19との間には、電荷リセット用スイッチ18cと連動して開閉するスイッチ18eが設けられており、スイッチ18eは、電荷リセット用スイッチ18cがオン/オフ動作と連動してオフ/オン動作するようになっている。
【0048】
放射線画像撮影装置1で、各放射線検出素子7内に残存する電荷を除去するための各放射線検出素子7のリセット処理を行う際には、図9に示すように、電荷リセット用スイッチ18cがオン状態(およびスイッチ18eがオフ状態)とされた状態で、各TFT8がオン状態とされる。
【0049】
すると、各TFT8を介して各放射線検出素子7から電荷が信号線6に放出され、電荷が増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cを通過して、オペアンプ18aの出力端子側からオペアンプ18a内を通り、非反転入力端子から出てアースされたり、電源供給部18dに流れ出す。このようにして、各放射線検出素子7のリセット処理が行われるようになっている。
【0050】
一方、各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理や、後述する照射開始検出用の画像データdの読み出し処理の際には、図10に示すように、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cがオフ状態(およびスイッチ18eがオン状態)とされた状態で、オン状態とされた各TFT8を介して各放射線検出素子7から電荷が信号線6に放出されると、電荷が増幅回路18のコンデンサー18bに蓄積される。
【0051】
増幅回路18では、コンデンサー18bに蓄積された電荷量に応じた電圧値がオペアンプ18aの出力側から出力されるようになっている。相関二重サンプリング回路(CDS)19は、各放射線検出素子7から電荷が流出する前に制御手段22からパルス信号Sp1(図10参照)が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持する。
【0052】
そして、各放射線検出素子7から流出した電荷が増幅回路18のコンデンサー18bに蓄積された後、制御手段22からパルス信号Sp2が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持する。そして、電圧値の差分Vfi−Vinを算出し、算出した差分Vfi−Vinをアナログ値の画像データDとして下流側に出力する。
【0053】
相関二重サンプリング回路19から出力された各放射線検出素子7の画像データDは、アナログマルチプレクサー21を介して順次A/D変換器20に送信され、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データDに変換されて記憶手段23に出力されて順次保存されるようになっている。
【0054】
なお、1回の画像データDの読み出し処理が終了すると、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cがオン状態とされ(図10参照)、コンデンサー18bに蓄積された電荷が放電されて、上記と同様に、放電された電荷がオペアンプ18aの出力端子側からオペアンプ18a内を通り、非反転入力端子から出てアースされたり、電源供給部18dに流れ出す等して、増幅回路18がリセットされる。
【0055】
制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピューターや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。
【0056】
そして、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各部材の動作等を制御するようになっている。また、図7等に示すように、制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)等で構成される記憶手段23が接続されている。
【0057】
また、本実施形態では、制御手段22には、前述したアンテナ装置41が接続されており、さらに、検出部Pや走査駆動手段15、読み出し回路17、記憶手段23、バイアス電源14等の各部材に電力を供給するためのバッテリー24が接続されている。また、バッテリー24は、前述したコネクター39に接続されており、バッテリー24の充電の際にはコネクター39を介して図示しない充電装置から電力が供給されるようになっている。
【0058】
前述したように、制御手段22は、バイアス電源14を制御してバイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧を設定したり可変させたりするなど、放射線画像撮影装置1の各機能部の動作を制御するようになっている。
【0059】
[放射線画像撮影システム]
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50について説明する。図11は、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50の構成例を示す図である。図11では、放射線画像撮影システム50が撮影室R1内等に構築されている場合が示されている。
【0060】
撮影室R1には、ブッキー装置51が設置されており、ブッキー装置51は、そのカセッテ保持部(カセッテホルダともいう。)51aに上記の放射線画像撮影装置1を装填して用いることができるようになっている。なお、図11では、ブッキー装置51として、立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bが設置されている場合が示されているが、例えば、立位撮影用のブッキー装置51Aのみ、或いは、臥位撮影用のブッキー装置51Bのみが設けられていてもよい。
【0061】
本実施形態では、図3に示したように、放射線画像撮影装置1のコネクター39と、ケーブルCaの先端に設けられたコネクターCとが接続された状態で、放射線画像撮影装置1をブッキー装置51に装填することができるようになっている。なお、ブッキー装置51のカセッテ保持部51a内にコネクターCを設けておき、放射線画像撮影装置1が装填されると自動的にコネクター39とコネクターCとが接続されるように構成することも可能であり、適宜に構成される。
【0062】
図11に示すように、撮影室R1には、被写体を介してブッキー装置51に装填された放射線画像撮影装置1に放射線を照射する放射線源52Aが少なくとも1つ設けられている。本実施形態では、放射線源52Aの位置を移動させたり、放射線の照射方向を変えることで、立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bのいずれにも放射線を照射することができるようになっている。
【0063】
撮影室R1には、撮影室R1内の各装置等や撮影室R1外の各装置等の間の通信等を中継するための中継器(基地局等ともいう。)54が設けられている。なお、本実施形態では、中継器54には、放射線画像撮影装置1が無線方式で画像データDや信号等の送受信を行うことができるように、無線アンテナ(アクセスポイントともいう。)53が設けられている。
【0064】
また、中継器54は、放射線発生装置55やコンソール58と接続されており、中継器54には、放射線画像撮影装置1やコンソール58等から放射線発生装置55に送信するLAN(Local Area Network)通信用の信号等を放射線発生装置55用の信号等に変換し、また、その逆の変換も行う図示しない変換器が内蔵されている。
【0065】
前室(操作室ともいう。)R2には、本実施形態では、放射線発生装置55の操作卓57が設けられており、操作卓57には、放射線技師等の操作者が操作して放射線発生装置55に対して放射線の照射開始等を指示するための曝射スイッチ56が設けられている。
【0066】
放射線発生装置55は、放射線源52を所定の位置に移動させたり、その放射方向を調整したり、放射線画像撮影装置1の所定の領域内に放射線が照射されるように図示しない絞りやコリメーター等を調整したり、或いは、適切な線量の放射線が照射されるように放射線源52を調整する等の種々の制御を行うようになっている。
【0067】
また、本実施形態では、放射線発生装置55は、放射線の照射開始から、設定された時間が経過した時点で、放射線源52からの放射線の照射を終了させるようになっている。
【0068】
図11に示すように、本実施形態では、コンピューター等で構成されたコンソール58が前室R2に設けられている。なお、コンソール58を撮影室R1や前室R2の外側や別室等に設けるように構成することも可能であり、コンソール58の設置場所は適宜決められる。
【0069】
また、コンソール58には、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等を備えて構成される表示部58aが設けられており、また、HDD(Hard Disk Drive)等で構成された記憶手段59が接続、或いは内蔵されている。
【0070】
本実施形態では、コンソール58は、後述するように、放射線画像撮影装置1から間引きデータDtが送信されてくると、それに基づいて表示部58a上にプレビュー画像p_preを表示するようになっている。
【0071】
また、コンソール58は、後述するように、放射線画像撮影装置1から画像データD等が送信されてくると、画像データD等に基づいて放射線画像pを生成するようになっている。
【0072】
一方、放射線画像撮影装置1は、図12に示すように、ブッキー装置51には装填されずに、いわば単独の状態で用いることもできるようになっている。例えば、患者Hが病室R3のベッドBから起き上がれず、撮影室R1に行くことができないような場合、図12に示すように、放射線画像撮影装置1を病室R3内に持ち込み、ベッドBと患者の身体との間に差し込んだり患者の身体にあてがったりして用いることができる。
【0073】
放射線画像撮影装置1をこのようにして用いる場合、例えば図3に示したように、放射線画像撮影装置1のコネクター39にケーブルCを接続して用いると、ケーブルCが放射線技師の作業の邪魔になる場合が多いため、本実施形態では、放射線画像撮影装置1を単独の状態で用いる場合には、コネクター39にケーブルCを接続せずに使用される。
【0074】
また、放射線画像撮影装置1を病室R3等で用いる場合、前述した撮影室R1に据え付けられた放射線発生装置55や放射線源52Aを病室R3に持ち込むことができないため、図12に示すように、いわゆるポータブルの放射線発生装置55が例えば回診車71に搭載される等して病室R3に持ち込まれる。
【0075】
この場合、ポータブルの放射線発生装置55の放射線52Pは、任意の方向に放射線を照射できるように構成される。そして、ベッドBと患者の身体との間に差し込まれたり患者の身体にあてがわれたりした放射線画像撮影装置1に対して、適切な距離や方向から放射線を照射することができるようになっている。
【0076】
なお、図11に示したように、放射線画像撮影装置1を、撮影室R1の臥位撮影用のブッキー装置51B上に横臥した患者の身体と臥位撮影用のブッキー装置51Bとの間に差し込んだり、臥位撮影用のブッキー装置51B上で患者の身体にあてがったりして用いることも可能であり、その場合は、ポータブルの放射線52Pや、撮影室R1に据え付けられた放射線源52Aのいずれを用いることも可能である。
【0077】
また、図12に示した回診車71上に構築された放射線画像撮影システム50の場合、コンソール58では、後述する表示部58a上でのプレビュー画像p_preの表示処理までを行い、最終的な放射線画像pの生成等については生成処理機能を有する別のコンソール58で行うように構成することも可能である。
【0078】
[放射線画像撮影装置における画像データDの読み出し処理までの処理について]
ここで、放射線画像撮影システム50において、放射線画像撮影装置1に対して放射線が照射され、各放射線検出素子7からそれぞれ画像データDが読み出されるまでの放射線画像撮影装置1や放射線発生装置50等における処理について説明する。
【0079】
図11に示したように、放射線画像撮影システム50が撮影室R1内等に構築されているような場合には、放射線画像撮影装置1と放射線発生装置55とが中継器54を介して信号のやり取りを行い、放射線画像撮影装置1と放射線発生装置55と連携をとりながら放射線画像撮影を行うことができる。以下、このような撮影方式を連携方式という。
【0080】
また、図12に示したように、放射線画像撮影システム50が回診車71上に構築されている場合のように、放射線画像撮影装置1と放射線発生装置55とが信号のやり取りを行うことができないような場合には、放射線画像撮影装置1自体で放射線が照射されたことを検出することが必要となる。以下、このような撮影方式を非連携方式という。
【0081】
そして、本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、状況に応じて、連携方式と非連携方式のいずれの方式でも放射線画像撮影を行うことができるようになっているが、連携方式或いは非連携方式のいずれかの方式でしか放射線画像撮影を行うことができない放射線画像撮影装置についても、本発明を適用することが可能である。
【0082】
[連携方式の場合の処理について]
本実施形態では、放射線画像撮影が連携方式で行われる場合、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、放射線画像撮影前に、まず、各放射線検出素子7のリセット処理を行うようになっている。各放射線検出素子7のリセット処理では、図9に示した処理が走査線5の各ラインL1〜Lxについてそれぞれ行われる。
【0083】
具体的には、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、例えば図13に示すように、走査駆動手段15のゲートドライバー15b(図7参照)から走査線5の各ラインL1〜Lxに対してオン電圧を順次印加させ、各TFT8のゲート電極8gにオン電圧を順次印加させてTFT8をオン状態として、各放射線検出素子7内に残存する電荷をそれぞれ信号線6に放出させる。
【0084】
制御手段22は、このようにして、走査線5の最初のラインL1から最終ラインLxまで順次オン電圧を印加して行う1面分のリセット処理Rmを繰り返すようになっている。
【0085】
この場合、1面分のリセット処理Rmを所定の回数だけ繰り返した時点で、各放射線検出素子7のリセット処理を終了し、その後は、走査線5の全てのラインL1〜Lxにオフ電圧を印加し、全TFT8をオフ状態とした状態で、放射線の照射開始を待つように構成することも可能である。
【0086】
また、このように全TFT8をオフ状態としたまま放射線の照射開始を待つ場合、放射線の照射が開始されるまでの時間が長くなると、各放射線検出素子7内に蓄積される暗電荷の量が多くなってしまう。そこで、暗電荷等の各放射線検出素子7に残存する電荷がより少ない状態で撮影を行うという観点から、放射線の照射開始の直前まで各放射線検出素子7のリセット処理を繰り返すように構成することも可能である。
【0087】
この場合、例えば図14に示すように、1面分のリセット処理Rmの最中に、放射線技師により放射線発生装置55で曝射スイッチ56(図11や図12参照)が操作されて、放射線発生装置55から放射線画像撮影装置1に照射開始信号が送信されてくると、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、照射開始信号が送信されてきた時点で行っている1面分のリセット処理Rmが完了した時点で、各放射線検出素子7のリセット処理を終了させる。
【0088】
そして、走査駆動手段15から走査線5の全てのラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させて全TFT8をオフ状態として、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷を各放射線検出素子7内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させる。
【0089】
制御手段22は、それと同時に、上記のように1面分のリセット処理Rmが完了した時点で、放射線発生装置55に対してインターロック解除信号を送信する。放射線発生装置55は、中継器54を介して放射線画像撮影装置1からインターロック解除信号を受信すると、放射線源52から放射線を照射させる。
【0090】
連携方式では、放射線画像撮影装置1と放射線発生装置55との間で照射開始信号やインターロック解除信号等のやり取りを行いながら、放射線画像撮影装置1に対して放射線が照射されるようになっている。
【0091】
また、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、上記のようにインターロック解除信号を送信すると、所定時間の間、電荷蓄積状態を維持する。そして、所定時間が経過した後、図15に示すように、走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、各放射線検出素子7から画像データDをそれぞれ読み出すようになっている。なお、図15中の斜線は、その期間に放射線が照射されたことを表す。
【0092】
なお、この場合、放射線源52からの放射線の照射を終了した時点で、放射線発生装置55から放射線画像撮影装置1に終了信号を送信するように構成し、放射線画像撮影装置1は、終了信号を受信するとすぐに電荷蓄積状態から画像データDの読み出し処理に移行するように構成することも可能である。
【0093】
[非連携方式の場合の処理について]
次に、放射線画像撮影が非連携方式で行われる場合の処理について説明する。この場合、前述したように、放射線画像撮影装置1と放射線発生装置55との間で信号のやり取りが行われないため、放射線画像撮影装置1自体で放射線が照射されたことを検出することが必要となる。
【0094】
この場合、放射線画像撮影装置1内に新たに放射線の照射開始を検出するためのセンサーや手段を設けることも可能である。しかし、前述したように、放射線画像撮影装置1における筐体2のサイズの制約や、従来の静止画像のみを撮影する放射線画像撮影装置1の構成等に大きな変更を加えないことを考えた場合、放射線画像撮影装置1に既設の各機能部を用いて、例えば以下のようにして放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射開始を検出するように構成することができる。
【0095】
以下、放射線画像撮影装置1に既設の各機能部を用いて放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射を検出する方法として、2つの検出方法を例に挙げて説明する。
【0096】
[検出方法1]
例えば、上記の連携方式の場合のように、放射線画像撮影前に各放射線検出素子7のリセット処理(図13等参照)を行う代わりに、図16に示すように、放射線画像撮影前に、走査駆動手段15のゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、各放射線検出素子7からの画像データdの読み出し処理を繰り返し行うように構成することが可能である。
【0097】
なお、撮影直後に読み出される本画像としての画像データDと区別して、以下、この放射線画像撮影前の読み出し処理で読み出される画像データを照射開始検出用の画像データdという。また、本画像としての画像データDを、単に本画像データDという。
【0098】
また、照射開始検出用の画像データdの読み出し処理における読み出し回路17の増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cのオン/オフや、相関二重サンプリング回路19へのパルス信号Sp1、Sp2の送信等は、図10に示した本画像データDの読み出し処理における処理と同様に行われる。
【0099】
このように放射線画像撮影前に照射開始検出用の画像データdの読み出し処理を行うように構成した場合、図17に示すように、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されると、その時点で読み出された画像データd(図17では走査線5のラインLnにオン電圧が印加されて読み出された画像データd)が、図18に示すように、それ以前に読み出された画像データdよりも格段に大きな値になる(図18の時刻t1参照)。
【0100】
そこで、制御手段22で放射線画像撮影前の読み出し処理で読み出された照射開始検出用の画像データdを監視するように構成し、読み出された画像データdが、例えば図18に示すように予め設定された所定の閾値dthを越えた時点で、放射線の照射が開始されたことを検出するように構成することができる。
【0101】
そして、制御手段22は、上記のようにして放射線の照射が開始されたことを検出すると、図17に示したように、その時点で各走査線5へのオン電圧の印加を停止して、ゲートドライバー15bから走査線5の全てのラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させ、各TFT8をオフ状態にして、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷を各放射線検出素子7内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させる。
【0102】
そして、放射線の照射開始を検出してから所定時間が経過した後、制御手段22は、放射線画像撮影前の画像データdの読み出し処理で放射線の照射が開始されたことを検出した時点またはその直前にオン電圧が印加された走査線5(図17の場合は走査線5のラインLn)の次にオン電圧を印加すべき走査線5(図17の場合は走査線5のラインLn+1)からオン電圧の印加を開始し、各走査線5にオン電圧を順次印加させて、本画像データDの読み出し処理を行うように構成される。
【0103】
なお、本画像データDの読み出し処理を、例えば走査線5の最初のラインL1等からオン電圧の印加を開始して行うように構成することも可能である。
【0104】
また、上記の検出方法1における放射線画像撮影前の照射開始検出用の画像データdの読み出し処理において、走査線5の各ラインL1〜Lxにそれぞれオン電圧を印加する時間、すなわちある走査線5に対してオン電圧の印加を開始してから印加する電圧をオフ電圧に切り替えるまでの時間を長くする等して、照射開始検出用の画像データdの検出感度を上げる等の改良を適宜行うことが可能である。
【0105】
[検出方法2]
また、上記の検出方法1のように、放射線画像撮影前に照射開始検出用の画像データdの読み出し処理を行うように構成する代わりに、放射線画像撮影前に、リークデータdleakの読み出し処理を繰り返し行うように構成することも可能である。
【0106】
ここで、リークデータdleakとは、図19に示すように、各走査線5にオフ電圧を印加した状態で、オフ状態になっている各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷qの信号線6ごとの合計値に相当するデータである。
【0107】
そして、リークデータdleakの読み出し処理では、図20に示すように、走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加して各TFT8をオフ状態とした状態で、制御手段22から各読み出し回路17の相関二重サンプリング回路19(図7、8のCDS参照)にパルス信号Sp1、Sp2を送信する。
【0108】
照射開始検出用の画像データdの読み出し処理の場合と同様に、相関二重サンプリング回路19は、制御手段22からパルス信号Sp1が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持する。そして、増幅回路18のコンデンサー18bに各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷qが蓄積されて増幅回路18から出力される電圧値が上昇し、制御手段22からパルス信号Sp2が送信されると、相関二重サンプリング回路19は、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持する。
【0109】
そして、相関二重サンプリング回路19が電圧値の差分Vfi−Vinを算出して出力した値が、リークデータdleakとなる。リークデータdleakが、その後、A/D変換器20でデジタル値に変換されることは、画像データdの場合と同様である。
【0110】
ところで、リークデータdleakの読み出し処理のみを繰り返し行うように構成すると、各TFT8がオフ状態のままとなってしまい、各放射線検出素子7内で発生した暗電荷が各放射線検出素子7内に蓄積され続ける状態になる。
【0111】
そこで、上記のように、放射線画像撮影前に、リークデータdleakの読み出し処理を繰り返し行うように構成する場合には、図21に示すように、各走査線5にオフ電圧を印加した状態で行うリークデータdleakの読み出し処理と、走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して行う各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返し行うように構成することが望ましい。
【0112】
このように放射線画像撮影前にリークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返して行うように構成した場合、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されると、各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷q(図19参照)がそれぞれ増加する。
【0113】
そのため、図22に示すように、その時点で読み出されたリークデータdleak(図22では走査線5のラインL4にオン電圧が印加されてリセット処理が行われた後の4回目の読み出し処理で読み出されたリークデータdleak)が、図示を省略するが、画像データdの場合の図18と同様に、それ以前に読み出されたリークデータdleakよりも大きな値になる。なお、図22において「R」は各放射線検出素子7のリセット処理を表し、「L」はリークデータdleakの読み出し処理を表す。
【0114】
そこで、制御手段22で放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理で読み出されたリークデータdleakを監視するように構成し、読み出されたリークデータdleakが、例えば予め設定された所定の閾値dleak_thを越えた時点で、放射線の照射が開始されたことを検出するように構成することができる。
【0115】
そして、この場合、制御手段22は、上記のようにして、放射線の照射が開始されたことを検出すると、図22に示したように、その時点で各走査線5へのオン電圧の印加を停止して、ゲートドライバー15bから走査線5の全てのラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させ、各TFT8をオフ状態にして、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷を各放射線検出素子7内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させる。
【0116】
そして、放射線の照射開始を検出してから所定時間が経過した後、制御手段22は、放射線画像撮影前の画像データdの読み出し処理で放射線の照射が開始されたことを検出した時点またはその直前にオン電圧が印加された走査線5(図22の場合は走査線5のラインL4)の次にオン電圧を印加すべき走査線5(図22の場合は走査線5のラインL5)からオン電圧の印加を開始し、各走査線5にオン電圧を順次印加させて、本画像データDの読み出し処理を行うように構成される。
【0117】
なお、図22に示した場合においても、本画像データDの読み出し処理を、例えば走査線5の最初のラインL1等からオン電圧の印加を開始して行うように構成することが可能である。
【0118】
また、上記の検出方法2におけるリークデータdleakの読み出し処理において、相関二重サンプリング回路19に送信するパルス信号Sp1、Sp2の送信間隔を長くする等して、リークデータdleakの検出感度を上げる等の改良を適宜行うことが可能である。
【0119】
[一連の複数の放射線画像撮影における放射線画像撮影装置での処理について]
次に、上記のようにして静止画像(すなわち個々の放射線画像p。以下同じ。)を撮影する放射線画像撮影装置1の構成の下で、前述した呼吸器の膨張や収縮のように動きがある臓器等に対して一連の複数の放射線画像撮影を行い、準動画的に撮影する場合の放射線画像撮影装置1における処理について説明する。また、以下、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1や放射線画像撮影システム50の作用についてもあわせて説明する。
【0120】
一連の複数の放射線画像撮影を準動画的に行う場合、本実施形態では、コンソール58(図11や図12参照)から放射線画像撮影装置1に対して、撮影が連続的(すなわち準動画的)に行われる旨を表す信号と放射線の照射回数の情報とが送信されるようになっている。なお、コンソール58から撮影が連続的に行われる旨を表す信号のみを送信し、一連の撮影が終了した時点で、コンソール58から放射線画像撮影装置1に撮影が終了した旨を表す信号を送信するように構成することも可能である。
【0121】
放射線画像撮影装置1は、単独の撮影の場合、上記のようにして本画像データDの読み出し処理を終えると、即座に後述するオフセットデータOの読み出し処理を行うモードに入るようになっているが、上記のように撮影が連続的に行われることを表す信号等を受信した場合には、撮影後、即座にオフセットデータOの読み出し処理を行わず、以下のように処理を行うようになっている。
【0122】
すなわち、図23に示すように、放射線画像撮影装置1では、上記の連携方式の場合には放射線画像撮影前に各放射線検出素子7のリセット処理を行い、上記の非連携方式の場合には放射線画像撮影前に照射開始検出用の画像データdやリークデータdleakの読み出し処理を行う。そして、1回目の放射線の照射が開始されると電荷蓄積状態に移行し、その後、本画像データDの読み出し処理を行う。
【0123】
そして、本画像データDの読み出し処理を終了すると、後述するオフセットデータOの読み出し処理を行わずに、各放射線検出素子7のリセット処理(連携方式の場合)や照射開始検出用の画像データdやリークデータdleakの読み出し処理(非連携方式の場合)を再開する。そして、2回目の放射線の照射が行われると、電荷蓄積状態を経て2回目の本画像データDの読み出し処理が行われる。
【0124】
このようにして、各回の撮影ごとに、連携方式の場合には各放射線検出素子7のリセット処理→電荷蓄積状態→本画像データDの読み出し処理の各処理が、また、非連携方式の場合には画像データdまたはリークデータdleakの読み出し処理→電荷蓄積状態→本画像データDの読み出し処理の各処理が、所定回数の放射線照射が終了するまで連続して行われる。
【0125】
そして、本実施形態では、一連の複数の放射線画像撮影が終了した後で、各回の撮影で得られた本画像データDが、放射線画像撮影装置1からコンソール58に送信されるようになっている。
【0126】
なお、本画像データDを、各回の撮影終了後ごとにコンソール58に送信するように構成することも可能である。この点については後で説明する。また、その際、後述するように、本実施形態では本画像データDは可逆的に圧縮されて送信されるが、圧縮の仕方等についても後で説明する。
【0127】
さらに、本実施形態では、1回目の撮影後にプレビュー画像用のデータが送信され、また、一連の放射線画像撮影後にオフセットデータOの読み出し処理が行われるが、これらの点についても後で説明する。
【0128】
一方、一連の撮影で得られた各静止画像を、画像表示装置(或いはコンソール58の表示部58a)上に準動画として再生するためには、放射線画像撮影装置1で各静止画像を撮影した際の各回の放射線画像撮影ごとの実際の時間間隔ΔTを的確に計測することが必要となる。
【0129】
そして、本実施形態では、前述した特許文献4に記載されている付加機能モジュール等の新たな手段や装置を放射線画像撮影装置1内に設けることはせず、放射線画像撮影装置1に既設の機能部、すなわち具体的には制御手段22を用いて、各経過時間を計測するようになっている。
【0130】
その際、各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔ΔTを計測するために、各撮影ごとの基準となる時点を設定することが必要となる。そこで、例えば、上記のように撮影が連携方式で行われる場合には、放射線画像撮影装置1から放射線発生装置55にインターロック解除信号を送信して電荷蓄積状態に移行させた時点としたり、或いは撮影が非連携方式で行われる場合には、放射線画像撮影装置1の制御手段22が、読み出された照射開始検出用の画像データdやリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始を検出した時点に設定することが可能である。
【0131】
すなわち、一連の放射線画像撮影における各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔ΔTとして、各回の放射線画像撮影において電荷蓄積状態に移行させた時点同士の時間間隔ΔTや、放射線の照射開始を検出した時点同士の時間間隔ΔTをそれぞれ計測するように構成することが可能である。なお、非連携方式では、放射線の照射開始を検出するとすぐに電荷蓄積状態に移行させるため、それらの時点はほぼ同時になる。すなわち、非連携方式においても、電荷蓄積状態に移行させた時点同士の時間間隔ΔTをそれぞれ計測するように構成することが可能である。
【0132】
また、本実施形態では、上記のように、撮影を連携方式と非連携方式のいずれの方式でも行うことができるように構成されており、いずれの方式においても本画像データDの読み出し処理が必ず行われる。そのため、いずれの方式においても各回の放射線画像撮影が行われた時点を統一して把握できるようにするために、本実施形態では、図23に示すように、各回の放射線画像撮影において本画像データDの読み出し処理を開始した時点を、各回の放射線画像撮影が行われた時点として設定するようになっている。
【0133】
このように構成する場合、本画像データDの読み出し処理を開始した時点は、正確には放射線画像撮影装置1に対して放射線が照射された時点とは異なる。しかし、上記のように放射線の照射が開始された後、電荷蓄積状態に移行して、所定時間後に本画像データDの読み出し処理が開始される。そのため、ある回の撮影後に本画像データDの読み出し処理が開始されてから、次の回の撮影後に本画像データDの読み出し処理が開始されるまでの時間間隔ΔTが、当該回の撮影時に放射線の照射が開始されてから当該次の回の撮影時に放射線の照射が開始されるまでの時間間隔と同じ時間間隔になる。
【0134】
そのため、本実施形態のように、各回の放射線画像撮影において本画像データDの読み出し処理を開始した時点を各回の放射線画像撮影が行われた時点として設定しても、放射線画像撮影装置1で各静止画像を撮影した際の各撮影ごとの実際の時間間隔ΔTを正確に計測することが可能となる。
【0135】
そこで、本実施形態では、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、各回の放射線画像撮影において本画像データDの読み出し処理を開始した時点を起点とし、各回の撮影における当該時点同士の時間間隔ΔTをそれぞれ計測するようになっている。
【0136】
具体的には、制御手段22は、1回目の放射線画像撮影で本画像データDの読み出し処理を開始する時点でカウンターのリセットし、その時点からの経過時間に対応するカウント数の計測を開始する。そして、制御手段22は、例えば所定のクロック数ごとに1ずつカウンターのカウント数を増加させていく。
【0137】
そして、制御手段22は、2回目の放射線画像撮影で本画像データDの読み出し処理を開始する直前に、1回目と2回目の撮影間の時間間隔ΔT1,2としてカウンターのカウント数をメモリーに記憶させる。そして、カウンターをリセットし、2回目の撮影での本画像データDの読み出し処理を開始する。そして、その時点からの経過時間に対応するカウント数の計測を再開する。
【0138】
本実施形態では、制御手段22は、このようにして、本画像データDの読み出し処理を開始する時点ごとに、前回(k−1回目)の撮影から今回(k回目)の撮影までの時間間隔ΔTk-1,kをそれぞれメモリーに保存していくようになっている。
【0139】
このように構成すれば、放射線画像撮影装置1に新たに付加機能モジュール等を設けなくても、放射線画像撮影装置1で、呼吸するたびに膨張したり収縮したりする肺等のように動きのある被写体を、準動画として的確に撮影することが可能となる。また、放射線画像撮影装置1で準動画を構成する複数の静止画像を撮影した各撮影ごとの時間間隔ΔTk-1,kを的確に計測することが可能となる。
【0140】
なお、上記のように、一連の放射線画像撮影における各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔ΔTとして、本画像データDの読み出し処理を開始した時点同士の時間間隔ΔTを計測する代わりに、本画像データDの読み出し処理を終了した時点同士の時間間隔ΔTを計測するように構成することも可能である。
【0141】
このように構成しても、上記と同様に、撮影を連携方式と非連携方式のいずれの方式でも行う場合でも必ず行われる本画像データDの読み出し処理を基準として各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔ΔTを的確に計測することが可能となり、放射線画像撮影装置1で準動画を構成する複数の静止画像を撮影した各撮影ごとの時間間隔ΔTを的確に計測することが可能となる。
【0142】
[プレビュー画像用のデータの送信等について]
なお、上記のようにして放射線画像撮影が行われても、被写体が的確に撮影されていない可能性がある。そして、被写体が的確に撮影されていないにもかかわらず、一連の複数の放射線画像撮影が続行されると、被写体である患者に対して照射された複数回の放射線の照射が無駄になる。そして、再撮影が必要になるため、患者に対して、再度、放射線を複数回照射して一連の撮影を行わなければならなくなり、患者の被曝線量が増大してしまう。
【0143】
また、放射線画像撮影装置1では、被写体が的確に撮影されていないにもかかわらず、一連の放射線画像撮影で本画像データDの読み出し処理を繰り返す等して、無駄な処理が続行される状態になり、バッテリー24(図7等参照)の電力が消耗してしまうといった問題が生じる。
【0144】
そこで、本実施形態では、図23では図示を省略したが、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、上記の一連の複数の放射線画像撮影のうち、1回目の放射線画像撮影で読み出された本画像データDに基づいてプレビュー画像用のデータを作成してコンソール58に送信するようになっている。なお、2回目以降の撮影で読み出された本画像データDについては、プレビュー画像用のデータの作成、送信は行わない。
【0145】
具体的には、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、一連の複数の放射線画像撮影のうち、1回目の放射線画像撮影で各放射線検出素子7から本画像データDが読み出されると、それらの中から所定の割合でデータを間引いて、間引きデータDtを作成する。
【0146】
例えば図24に示すように、検出部P(図4や図7参照)のm行、n列目の放射線検出素子7(m,n)から読み出された本画像データDをD(m,n)で表すとすると、制御手段22は、1回目の撮影で読み出された本画像データD(m,n)の中から、例えば図25に斜線を付して示すように、予め所定本数(図25の場合は4本)の走査線5の各ラインL1〜Lxごとに1本の割合で指定された走査線5に接続されている各放射線検出素子7から読み出された本画像データD(m,n)を抽出して、間引きデータDtとする。
【0147】
そして、制御手段22は、抽出した間引きデータDtをプレビュー画像用のデータとしてコンソール58に送信するようになっている。
【0148】
この場合、例えば全ての本画像データDを読み出して記憶手段23(図7等参照)に記憶させた後、間引きデータDtのみを記憶手段23から読み出して送信するように構成してもよい。また、本画像データDの読み出し処理において走査線5の各ラインL1〜Lxごとに本画像データDを読み出して記憶手段23に記憶させる時点で、上記の指定された走査線5についてそれらの本画像データDを記憶手段23に記憶させると同時にコンソール58に送信するように構成することも可能である。
【0149】
なお、この場合も、間引きデータDtをプレビュー画像用のデータとしてコンソール58に送信する際も、間引きデータDtが圧縮されて送信されるが、この点については後で説明する。
【0150】
一方、本実施形態では、コンソール58は、上記のように放射線画像撮影装置1からプレビュー画像用のデータが送信されてくると、それに基づいてプレビュー画像p_preを生成し、生成したプレビュー画像p_preを表示部58a上に表示させるようになっている。
【0151】
そして、表示されたプレビュー画像p_preを見た放射線技師が、画像中に被写体が適切に撮影されておらず再撮影が必要であると判断し、コンソール58に対して当該プレビュー画像p_preを否認する操作(すなわちプレビュー画像p_preを承認しないことを表す操作)を行った場合には、コンソール58は、当該放射線画像撮影装置1に対して、現在行っている上記の一連の複数の放射線画像撮影における一連の処理(図23参照)を停止させるようになっている。
【0152】
放射線画像撮影装置1は、コンソール58からの停止信号を受信すると、一連の処理を停止し、読み出された本画像データDを破棄する等して、初期状態に戻る。すなわち、図23における最も左側に記載されている各放射線検出素子7のリセット処理(連携方式の場合)或いは照射開始検出用の画像データdやリークデータdleakの読み出し処理(非連携方式の場合)を行う状態に戻るようになっている。
【0153】
このように構成することで、放射線画像撮影装置1では無駄な本画像データDの読み出し処理が繰り返されてバッテリー24が消耗したり、また、患者の被曝線量が増大して患者の負担が増大することを的確に防止することが可能となる。
【0154】
なお、本実施形態では、プレビュー画像p_preを見た放射線技師によりプレビュー画像p_preを承認する操作(具体的には画面上に表示された「OK」ボタンをクリックする等の操作)が行われた場合には、コンソール58は、当該放射線画像撮影装置1に対しては特に何らの制御も行わない。そして、放射線画像撮影装置1は、現在行っている一連の複数の放射線画像撮影における一連の処理(図23参照)を続行するようになっている。
【0155】
[一連の放射線画像撮影後の処理について]
上記のようにして、一連の複数の放射線画像撮影が行われると(図23参照)、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、当該一連の複数の放射線画像撮影で得られた各回の撮影ごとの本画像データDをコンソール58に送信する。その際、本実施形態では、各回の撮影ごとに計測してメモリーに保存した時間間隔ΔTを読み出して、各時間間隔ΔTk-1,kの情報を対応する各本画像データDに対応付けてコンソール58に送信するようになっている。
【0156】
すなわち、k回目の撮影で得られた本画像データDに、k−1回目の撮影からk回目の撮影までの時間間隔ΔTk-1,kをそれぞれ対応付けてコンソール58に送信するようになっている。
【0157】
時間間隔ΔTを、対応する本画像データDに対応付ける手法としては、例えば以下の2つの方法のいずれかを採用することが可能である。
【0158】
[対応付けの手法1]
例えば、本画像データD(実際には後述するように圧縮された本画像データD。以下同じ。)をコンソール58に送信する際に、時間間隔ΔTの情報を、対応する本画像データDのヘッダ部分にそれぞれ書き込んでコンソール58に送信するように構成することが可能である。
【0159】
下記の対応付けの手法2の場合も同様であるが、この場合、時間間隔ΔTの情報としては、制御手段22が計測した上記のカウンターのカウント数(すなわち上記の場合はクロック数)をそのままヘッダ部分に書き込むように構成することも可能であり、また、カウンターのカウント数を秒単位に変換し、変換した秒数をヘッダ部分に書き込むように構成することも可能である。
【0160】
[対応付けの手法2]
また、上記のように放射線画像撮影装置1で診断用の放射線画像pを撮影する場合、病変部等の重要な被写体部分は、通常、放射線画像pの中央部分等に撮影される。逆の言い方をすれば、放射線画像pの周縁部分には、通常、病変部等の重要な被写体部分は撮影されないことが多い。
【0161】
そこで、図26に示すように、例えば、k回目の放射線画像撮影で得られた各本画像データDのうち、放射線画像pの周縁部分に対応する画素(すなわち放射線検出素子7)部分等の所定の画素部分の本画像データDを削除し、その画素部分に時間間隔ΔTk-1,kの情報を書き込んでコンソール58に送信するように構成することが可能である。
【0162】
このように構成しても、ほとんどの場合、病変部が撮影されている画素部分の本画像データDが削除されることはなく、病変部等の重要な被写体情報に悪影響を与えずに、コンソール58に時間間隔ΔTの情報を伝達することが可能となる。
【0163】
なお、上記の対応付けの手法1、2のように、時間間隔ΔTの情報を、ヘッダ部分に書き込んだり、放射線画像pの周縁部分等の所定の画素部分にあたかも本画像データDであるかの如く書き込んでコンソール58に送信するように構成することで、従来の静止画像のみを撮影する放射線画像撮影装置1における制御構成や本画像データD等をコンソール58に送信する際のデータ構成等に大きな変更を加えることなく、上記の時間間隔ΔTの情報をコンソール58に送信することが可能となる。
【0164】
[画像データDの圧縮処理について]
ここで、放射線画像撮影装置1からコンソール58に画像データDを送信する際の画像データDの圧縮処理について説明する。
【0165】
上記のように、放射線画像撮影装置1で診断用の放射線画像pを撮影する場合、本画像データDを非可逆圧縮してコンソール58に送信すると、放射線画像pに撮影されている病変部等の重要な被写体部分が完全に復元されず、診断に支障をきたす虞れがある。そこで、本実施形態では、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、本画像データDを可逆圧縮(ロスレス圧縮等ともいう。)してコンソール58に送信するようになっている。
【0166】
可逆圧縮の方法としては、例えば、ハフマン符号化やLZ78、算術符号化等の方法を用いることが可能である。
【0167】
また、例えば、ある回の撮影で各放射線検出素子7(m,n)からそれぞれ読み出された本画像データD(m,n)(図24参照)の分布を調べるために、各本画像データD(m,n)をヒストグラムに投票する。すると、各本画像データDの出現頻度Fの分布は、例えば図27や図28に示すように、通常、撮影部位(すなわち被写体である患者の身体部位)ごとに分布の形状が異なる状態になる。
【0168】
そして、このような分布を有する本画像データD(m,n)を、例えばハフマン符号化により可逆圧縮する場合、それらの本画像データD(m,n)に対して、例えば図29に示す正規分布状の分布を想定し、それに基づいて作成されたハフマン辞書(すなわちハフマンコードのテーブル。コード化辞書等ともいう。)を適用し、各本画像データDに対してそれぞれハフマンコードHcを割り当てても、必ずしも圧縮率が高くならない。
【0169】
すなわち、読み出された各本画像データD(m,n)の中で比較的長いハフマンコードHcが割り当てられる本画像データDの割合が多くなるため、本画像データDを圧縮せずにそのまま送信する場合と比較して、送信するデータ量がさほど少なくならない場合がある。そのため、本画像データDに対してハフマンコードHcを割り当ててハフマン符号化を行う場合、本画像データDを圧縮せずにそのまま送信する場合に比べて、データの送信時間が必ずしも短縮されない場合がある。
【0170】
一方、本願発明者らの研究で、本画像データD(m,n)同士の差分ΔDを算出し、それらの差分ΔDに対してハフマン符号化により圧縮処理を行うことで、データの圧縮率を高め、データの送信時間を短縮することができることが分かった。以下、そのような手法による具体的な圧縮処理について、2つの手法を挙げて説明する。
【0171】
[圧縮手法1]
まず、1つの目の圧縮手法である圧縮手法1について説明する。なお、この圧縮手法1は、圧縮処理として、本願出願人が先に提出した国際公開第2011/010480号パンフレットや特開2011−87727号公報等に詳述されている圧縮手法を用いる場合であり、詳しくはそれらの公報等を参照されたい。以下、簡単に説明する。
【0172】
圧縮手法1では、まず、図24に示したようにある回の撮影で各放射線検出素子7(m,n)からそれぞれ読み出された本画像データD(m,n)について、信号線6の延在方向(図24では縦方向。以下、信号線方向という。)や走査線5の延在方向(図24では横方向。以下、走査線方向という。)に互いに隣接する各放射線検出素子7(m,n)からそれぞれ読み出された本画像データD(m,n)同士の差分ΔDを算出する。
【0173】
すなわち、信号線方向の差分ΔDを算出するように構成する場合、
ΔD(m,n)=D(m,n)−D(m−1,n) …(1)
により差分ΔDを算出し、また、走査線方向の差分ΔDを算出するように構成する場合には、
ΔD(m,n)=D(m,n)−D(m,n−1) …(2)
により差分ΔDを算出する。
【0174】
このようにして算出した、信号線方向や走査線方向に隣接する各本画像データD(m,n)同士の各差分ΔDをヒストグラムに投票すると、図30に示すように、各差分ΔDの出現頻度Fの分布は、図27や図28に示した本画像データDの場合と異なり、撮影部位によらず、ΔD=0を中心とした比較的狭い範囲の正規分布状の分布になる。
【0175】
そこで、予め例えば図30に示した正規分布状の分布に基づいてハフマン辞書を作成しておく。そして、各撮影で得られた本画像データDに対して上記(1)式或いは(2)式に従って各差分ΔDを算出する。そして、算出した各差分ΔDに対してハフマン辞書を適用してそれぞれハフマンコードHcを割り当てる。
【0176】
すると、上記のように差分ΔDの出現頻度Fの分布は図30に示したような分布になり、短いハフマンコードHcが割り当てられる差分ΔDの出現頻度Fが大きく、長いハフマンコードHcが割り当てられる差分ΔDの出現頻度Fが小さい状態になるため、データの圧縮率が高くなる。
【0177】
そのため、本画像データDを圧縮せずにそのまま送信する場合に比べて、圧縮された各差分ΔDすなわち各ハフマンコードHcを送信することで、データの送信時間を的確に短縮することが可能となる。
【0178】
なお、上記(1)式や(2)式の場合、差分ΔD(1,n)や差分ΔD(m,1)を算出する場合、図24を見れば分かるように、本画像データDとしてD(0,n)やD(m,0)の値が存在しないため、上記の演算を行うことができない。そこで、本実施形態では、D(0,n)やD(m,0)の値として、予め所定の値がそれぞれ割り当てられるようになっている。
【0179】
また、上記のように、1回目の撮影で読み出された本画像データDの中から例えば図25に示したように所定の割合でデータを間引いて作成した間引きデータDtをプレビュー画像用のデータとしてコンソール58に送信する場合にも、この圧縮手法1を用いてプレビュー画像用のデータを圧縮して送信することが可能である。
【0180】
すなわち、例えば図25に示したようにして抽出されたプレビュー画像用のデータを仮想的にまとめると、図31に示す状態になる。そして、この状態で信号線方向(図中の縦方向)或いは走査線方向(図中の横方向)に隣接するプレビュー画像用のデータ同士の差分ΔDを算出する。
【0181】
そして、算出した各差分ΔDに対して、上記と同様のハフマン辞書、或いはプレビュー画像用のデータ用に作成したハフマン辞書を適用して、各差分ΔDにハフマンコードHcを割り当てる。このようにしてプレビュー画像用のデータを圧縮して送信すれば、上記と同様にプレビュー画像用のデータの送信時間を的確に短縮することが可能となる。
【0182】
[圧縮手法2]
上記の圧縮手法1では、1回の撮影で読み出された1フレーム分(すなわち各放射線検出素子7(m,n)が配置された検出部P(図4や図7参照)の1面分)の本画像データDの中で、信号線方向や走査線方向に隣接する各放射線検出素子7(m,n)の本画像データD(m,n)同士の差分ΔDを算出した。
【0183】
一方、個々の放射線検出素子7ごとに、一連の複数の放射線画像撮影でそれぞれ読み出された本画像データD同士の差分ΔDk-1,kを算出し、それらの差分ΔDk-1,kに対してハフマン辞書を適用するように構成することも可能である。
【0184】
すなわち、図32に示すように、例えば放射線検出素子7(m*,n*)について見た場合、k−1回目の撮影で読み出された本画像データDk-1(m*,n*)とk回目の撮影で読み出された本画像データDk(m*,n*)との差分ΔDk-1,k(m*,n*)が、
ΔDk-1,k(m*,n*)=Dk(m*,n*)−Dk-1(m*,n*)…(3)
により算出される。
【0185】
そして、この(3)式の演算を、各放射線検出素子7(m,n)ごとに、各回の撮影で読み出された本画像データD(m,n)とその前の回の撮影で読み出された本画像データD(m,n)との間で行う。
【0186】
このようにして算出される各差分ΔDk-1,kをヒストグラムに投票すると、各差分ΔDk-1,kの出現頻度Fの分布は、図30に示した上記の差分ΔDの分布と同様の分布になり、撮影部位によらず、ΔDk-1,k=0を中心とした比較的狭い範囲の正規分布状の分布になる。そのため、このような分布に基づいて予めハフマン辞書を作成しておき、それを算出した各差分ΔDk-1,kに適用するように構成することで、データの圧縮率を高め、データの送信時間を短縮することが可能となる。
【0187】
なお、この場合、1回目の撮影で読み出された本画像データD1(m,n)についてはその前の回の撮影というものが想定できないため、差分ΔD0,1(m,n)を算出することができない。そのため、この圧縮手法2を採用する場合には、少なくとも1回目の撮影で読み出された本画像データD1(m,n)については、例えば上記の圧縮手法1を用いて信号線方向等に隣接する放射線検出素子7の本画像データD同士の差分ΔDを圧縮してコンソール58に送信するように構成される。
【0188】
また、上記の[対応付けの手法1]を採用して、時間間隔ΔT(図23参照)の情報を、対応するデータのヘッダ部分にそれぞれ書き込んでコンソール58に送信するように構成する場合、上記の圧縮手法1や圧縮手法2で圧縮された差分ΔDや差分ΔDk-1,kのヘッダ部分に、それぞれ時間間隔ΔTが書き込まれて送信される。
【0189】
さらに、上記の[対応付けの手法2]を採用する場合、本画像データDの所定の画素部分に書き込まれた時間間隔ΔTの情報(図26参照)についても、上記の圧縮手法1により隣接する画素(放射線検出素子7)の本画像データDとの差分ΔDを算出したり、上記の圧縮手法2により前回の撮影の本画像データD中に書き込んだ前回の時間間隔ΔTとの差分ΔDk-1,kを算出したりしてそれらを圧縮して送信するように構成することが可能である。
【0190】
また、本画像データDの所定の画素部分に書き込んだ時間間隔ΔTの情報については、差分ΔDや差分ΔDk-1,kを算出せず、圧縮せずにコンソール58に送信するように構成してもよい。
【0191】
[各回の撮影ごとにデータを送信する場合について]
一方、本実施形態では、前述したように、一連の複数の放射線画像撮影が終了した後で、各回の撮影で読み出された各本画像データDについて、上記のように可逆圧縮して放射線画像撮影装置1からコンソール58に送信される。
【0192】
しかし、一連の放射線画像撮影で行われる撮影の回数(すなわち放射線画像pの枚数)や検出部Pに配置される各放射線検出素子7の数(すなわち画素数)等と、記憶手段23(図7等参照)の記憶容量との関係で、一連の放射線画像撮影で読み出された本画像データDを全て記憶手段23に保存できない場合もあり得る。
【0193】
そこで、そのような場合には、一連の放射線画像撮影において、各撮影で本画像データDが読み出されるごとに、上記の圧縮手法1や圧縮手法2により差分ΔD、ΔDk-1,kの圧縮処理を行って、圧縮された差分ΔD、ΔDk-1,kをコンソール58に送信するように構成することが可能である。
【0194】
この場合、後の回の撮影で読み出された本画像データDが、記憶手段23中の先の回の撮影で読み出された本画像データD上に上書き保存される。このように構成すれば、記憶手段23は、数フレーム分の本画像データDを保存できる程度の記憶容量があれば十分となる。
【0195】
[オフセットデータの読み出し処理について]
また、本実施形態では、一連の放射線画像撮影が終了すると、その後で、オフセットデータOの読み出し処理が行われるようになっている。そして、本実施形態では、オフセットデータOの読み出し処理は、一連の放射線画像撮影における1回分の処理シーケンスと同じ処理シーケンスにより行われるようになっている。
【0196】
具体的には、本実施形態では、前述したように、連携方式(図15等参照)或いは非連携方式(図17等に示した検出方法1や図22等に示した検出方法2参照)で各放射線画像撮影がそれぞれ行われる。
【0197】
そして、例えば各放射線画像撮影を連携方式で行った場合、図33に示すように、最後の回の本画像データDの読み出し処理が終了した後、オフセットデータOの読み出し処理が行われる。そして、オフセットデータOの読み出し処理では、放射線画像撮影前の各放射線検出素子7のリセット処理から電荷蓄積状態を経て本画像データDの読み出し処理が行われるまでの一連の処理シーケンス(図15等参照)と同じ処理シーケンスを繰り返してオフセットデータOの読み出し処理が行われるようになっている。
【0198】
なお、以下の非連携方式の場合も同様であるが、この場合、電荷蓄積状態では、放射線画像撮影装置1に対して放射線は照射されない。
【0199】
また、図示を省略するが、例えば各放射線画像撮影を非連携方式で行った場合も同様に、最後の回の本画像データDの読み出し処理が終了した後、オフセットデータOの読み出し処理が行われる。
【0200】
そして、オフセットデータOの読み出し処理では、放射線画像撮影前の照射開始検出用の画像データdの読み出し処理(図17等参照)や、リークデータdleakの読み出し処理および各放射線検出素子7のリセット処理(図22等参照)が行われた後、電荷蓄積状態を経て本画像データDの読み出し処理が行われるまでの処理シーケンスと同じ処理シーケンスを繰り返して、オフセットデータOの読み出し処理が行われるようになっている。
【0201】
そして、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、オフセットデータOの読み出し処理で各放射線検出素子7ごとに読み出された各オフセットデータOに対して、例えば上記の圧縮手法1により信号線方向等に隣接する放射線検出素子7のオフセットデータO同士の差分ΔOを算出し、各差分ΔOをハフマン符号化等により可逆圧縮して、コンソール58に送信するようになっている。
【0202】
[コンソールでの処理について]
次に、コンソール58における処理について説明する。
【0203】
本実施形態では、コンソール58は、前述したように、放射線画像撮影装置1からプレビュー画像用のデータとしての間引きデータDt(図25や図31参照)に関する圧縮された各差分(すなわちハフマンコードHc)が送信されてくると、それを伸長し、図31に示したような各間引きデータDtを復元する。
【0204】
そして、復元した間引きデータDtに基づいてプレビュー画像p_preを生成して、生成したプレビュー画像p_preを表示部58a(図11や図12参照)上に表示するようになっている。なお、表示部58a上に表示されたプレビュー画像p_preに基づいて放射線技師がそれを承認する操作や否認する操作を行うこと、および操作がなされた際のコンソール58等における処理については前述した通りである。
【0205】
一方、コンソール58は、放射線画像撮影装置1から、圧縮された差分ΔDや圧縮された差分ΔDk-1,k(すなわちハフマンコードHc)が送信されてくると、それらの圧縮された各差分ΔD等を伸長して、元の各差分ΔD等を復元する。なお、そのため、コンソール58には、放射線画像撮影装置1が有するハフマン辞書と同じハフマン辞書が備えられている。
【0206】
そして、コンソール58は、伸長して復元された元の差分ΔD等と、既に復元した本画像データDとを加算して、元の本画像データDを復元していくようになっている。
【0207】
具体的には、例えば放射線画像撮影装置1の制御手段22が上記の圧縮手法1により信号線方向の差分ΔDを算出して圧縮した場合、コンソール58は、まず、予め所定値が割り当てられたD(0,n)と、伸長した差分ΔD(1,n)とを、上記(1)式の逆演算である下記(4)式に従って加算して、元の本画像データD(1,n)を復元する。
D(1,n)=D(0,n)+ΔD(1,n) …(4)
【0208】
続いて、差分ΔD(2,n)を伸長すると、上記のように復元した元の本画像データD(1,n)と伸長した差分ΔD(2,n)とを、上記と同様にして加算して、元の本画像データD(2,n)を復元する。
【0209】
このようにして、差分ΔD(m,n)を伸長するごとに、復元した元の本画像データD(m−1,n)と伸長した差分ΔD(m,n)とを、上記(1)式の逆演算である下記(5)式に従って加算して、元の本画像データD(m,n)を復元していくように構成される。
D(m,n)=D(m−1,n)+ΔD(m,n) …(5)
【0210】
また、例えば放射線画像撮影装置1の制御手段22が上記の圧縮手法1により走査線方向の差分ΔDを算出して圧縮した場合にも同様にして、コンソール58は、予め所定値が割り当てられたD(m,0)や、上記(2)式の逆演算である下記(6)式に従って、既に復元した元の本画像データD(m,n−1)(或いはD(m,0))と伸長した差分ΔD(m,n)とを次々と加算して、元の本画像データD(m,n)を復元していくように構成される。
D(m,n)=D(m,n−1)+ΔD(m,n) …(6)
【0211】
また、例えば放射線画像撮影装置1の制御手段22が上記の圧縮手法2により差分ΔDk-1,kを算出して圧縮した場合には、コンソール58は、1回目の撮影で得られた各本画像データD(m,n)については、上記のようにして元の本画像データD(m,n)を復元する。
【0212】
そして、コンソール58は、2回目以降のk回目の撮影で得られた本画像データDk(m,n)については、各放射線検出素子7(m,n)ごとに、伸長した差分ΔDk-1,kと、既に復元したk−1回目の撮影で得られた本画像データDk-1(m,n)とを、上記(3)式の逆演算である下記(7)式に従って加算して、元の本画像データDk(m,n)を復元していくように構成される。
Dk(m,n)=Dk-1(m,n)+ΔDk-1,k(m,n) …(7)
【0213】
また、コンソール58は、放射線画像撮影装置1から送信されてきたオフセットデータOに関する圧縮されたデータ(すなわち上記の各差分ΔO)についても同様に伸長処理および復元処理を行って、各放射線検出素子7ごとに元のオフセットデータOを復元するようになっている。
【0214】
そして、コンソール58は、復元した各回の各本画像データDについて、本画像データDからオフセットデータOを減算していわゆる真の画像データD*をそれぞれ算出し、算出した真の画像データD*に対してゲイン補正やオフセット補正、欠陥画素補正、撮影部位に応じた諧調処理等の処理を行って、一連の放射線画像撮影の各回の撮影ごとに、最終的な放射線画像pを生成するようになっている。
【0215】
一方、本実施形態では、コンソール58は、以上のようにして、一連の放射線画像撮影の各回の撮影ごとに放射線画像pを生成すると、生成した各放射線画像pに対して、その基となった各本画像データDに対応付けられた時間間隔ΔTの情報をそれぞれ対応付けるようになっている。
【0216】
すなわち、コンソール58は、一連の複数の放射線画像撮影でk回目に撮影された放射線画像pに対して、その基となったk回目の本画像データDに対応付けられていた時間間隔ΔTk-1,k(図23や図26参照)を対応付けるようになっている。
【0217】
その際、例えば、上記の[対応付けの手法1]の場合と同様に、各放射線画像pのヘッダ部分にそれぞれ対応する時間間隔ΔTの情報を書き込むように構成してもよい。また、例えば、上記の[対応付けの手法2]の場合と同様に、各放射線画像pの周縁部分等の所定の画素部分に時間間隔ΔTの情報を書き込むように構成することも可能である。
【0218】
いずれにせよ、具体的な対応付けの仕方については、一連の撮影で得られた各放射線画像pすなわち各静止画像を準動画的に再生する画像表示装置(或いはコンソール58)側が要求する方式に従って対応付けられる。
【0219】
そして、このようにして各静止画像に時間間隔ΔTを対応付けることで、画像表示装置は、各静止画像に対応付けられた時間間隔ΔTに従って各静止画像を再生することで、膨張したり収縮したりする肺等の臓器の動きを、放射線画像撮影装置1が撮影した時間間隔ΔTで再生することが可能となり、一連の放射線画像撮影で得られた各静止画像を的確に準動画的に表示することが可能となる。
【0220】
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50によれば、放射線画像撮影装置1の制御手段22で、一連の複数の放射線画像撮影が行われる際の各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔ΔTをそれぞれ計測し、計測した各時間間隔ΔTの情報を、対応する各本画像データD或いはその差分ΔDの圧縮データに対応付けてコンソール58に送信する。また、コンソール58では、本画像データDに基づいて生成した各放射線画像pに、各本画像データDに対応付けられた各時間間隔ΔTの情報をそれぞれ対応付ける。
【0221】
そのため、従来の放射線画像撮影装置のように、動画を撮影するための付加機能モジュールを筐体2内に設けなくても、制御手段22で各撮影の時間間隔ΔTを計測するだけで、一連の撮影で得られた各放射線画像pすなわち各静止画像を準動画的に表示する際の表示の時間間隔ΔTの情報を的確に取得することが可能となる。
【0222】
そのため、従来の静止画像のみを撮影する放射線画像撮影装置1を用いて、動きのある被写体等を的確に準動画として撮影することが可能となる。また、放射線発生装置55(図11や図12参照)側に、時間間隔ΔTを計測するような改造を施す必要がなくなり、放射線画像撮影装置1側で時間間隔ΔTを計測することが可能となる。
【0223】
また、コンソール58で、各回の放射線画像撮影で得られた本画像データD等に基づいて生成した各放射線画像pすなわち各静止画像に、各放射線画像pの基となった本画像データDに対応付けられていた時間間隔ΔTの情報をそれぞれ対応付ける。
【0224】
そのため、一連の撮影で得られた各放射線画像pすなわち各静止画像を準動画的に再生する画像表示装置(或いはコンソール58)は、各静止画像に対応付けられた時間間隔ΔTに従って各静止画像を再生することで、膨張したり収縮したりする肺等の臓器の動きを、放射線画像撮影装置1が撮影した時間間隔ΔTで再生することが可能となる。
【0225】
そのため、コンソール58で各静止画像に時間間隔ΔTの情報をそれぞれ対応付けることで、画像表示装置に、一連の放射線画像撮影で得られた各静止画像を的確に準動画的に表示させることが可能となる。
【0226】
なお、準動画を撮影するために放射線発生装置55の放射線源52(図11や図12参照)から放射線を照射させる際に、放射線技師が毎回、曝射スイッチ56を操作して放射線を照射させてもよく、また、放射線発生装置55が自動的に所定のタイミングで放射線源52から放射線を照射させるように構成することも可能である。
【0227】
上記の実施形態に係る放射線画像撮影装置1では、これらのいずれの場合においても、放射線画像撮影装置1で、一連の放射線画像撮影における各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔ΔTが的確に計測される。
【符号の説明】
【0228】
1 放射線画像撮影装置
5 走査線
6 信号線
7、(m,n) 放射線検出素子
8 TFT(スイッチ手段)
15 走査駆動手段
17 読み出し回路
22 制御手段
39 コネクター(通信手段)
41 アンテナ装置(通信手段)
50 放射線画像撮影システム
52 放射線源
55 放射線発生装置
58 コンソール
58a 表示部
D 本画像データ(画像データ)
d 照射開始検出用の画像データ
dleak リークデータ
dleak_th 閾値
Dt 間引きデータ
dth 閾値
P 検出部
p 放射線画像
p_pre プレビュー画像
q 電荷
r 小領域
ΔD、ΔDk-1,k 差分
ΔT 時間間隔
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影システムおよび放射線画像撮影装置に係り、特に、放射線画像撮影装置でいわゆる準動画を撮影する放射線画像撮影システムおよびそれに用いられる放射線画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照射されたX線等の放射線の線量に応じて検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接型の放射線画像撮影装置や、照射された放射線をシンチレーター等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換され照射された電磁波のエネルギーに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる間接型の放射線画像撮影装置が種々開発されている。なお、本発明では、直接型の放射線画像撮影装置における検出素子や、間接型の放射線画像撮影装置における光電変換素子を、あわせて放射線検出素子という。
【0003】
このタイプの放射線画像撮影装置はFPD(Flat Panel Detector)として知られており、従来は支持台等と一体的に形成されていたが(例えば特許文献1参照)、近年、放射線検出素子等をハウジングに収納した可搬型の放射線画像撮影装置が開発され、実用化されている(例えば特許文献2、3参照)。
【0004】
ところで、このような放射線画像撮影装置は、通常の場合、静止画像としての放射線画像を撮影するように構成されており、動画を撮影するようには構成されていない。しかし、このような放射線画像撮影装置を用いて医療における診断用の放射線画像を撮影する場合、例えば、呼吸により膨張したり収縮したりする肺等の呼吸器や、心臓の鼓動を含む血流等の動く臓器等を動画的に撮影したいという医療現場からの要望もある。トモシンセシス撮影のように1つの被写体を多方向から放射線を複数回連続して照射して撮影を行いたいという要望もある。
【0005】
そこで、例えば特許文献4では、可搬型の放射線画像撮影装置の筐体内に、付加機能モジュールを着脱可能に接続できる構成とし、付加機能モジュールが接続されると、放射線画像撮影装置の撮影モードが静止画撮影から動画撮影に切り替わり、付加機能モジュールを外すと、撮影モードが動画撮影から静止画撮影に切り替わるような可搬型の放射線画像撮影装置の発明が開示されている。
【0006】
そして、付加機能モジュールが接続されていない状態の放射線画像撮影装置では、動画撮影は困難であるが、接続される付加機能モジュールに、動画撮影に必要な種々の機能部を設けておくことにより、このような放射線画像撮影装置でも動画撮影を行うことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−73144号公報
【特許文献2】特開2006−058124号公報
【特許文献3】特開平6−342099号公報
【特許文献4】特開2008−83031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、医療現場では、可搬型の放射線画像撮影装置を、撮影室R1(後述する図11参照)に既設のブッキー装置51に装填して用いる場合もあるが、既設のブッキー装置51は、従来のCR(Computed Radiography)カセッテを装填するように構成されているものが少なくない。そして、CRカセッテは、従来のスクリーンフィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズ(対応する国際規格はIEC 60406)に準拠して、少なくともその厚さが15mm+1mm〜15mm−2mmの範囲内になるように形成されていた。
【0009】
そのため、可搬型の放射線画像撮影装置にも、このようなCRカセッテと同様に上記のJIS規格サイズに準拠した寸法で形成されることが要請される場合がある。しかし、このようなサイズの制約の中で、上記のように放射線画像撮影装置の筐体内に付加機能モジュールを収納できるように構成することは必ずしも容易ではない。
【0010】
一方、上記のような可搬型の放射線画像撮影装置に限らず、一般に、放射線画像撮影装置で呼吸器の膨張・収縮や心臓の鼓動を含む血流等を動画的に撮影したりトモシンセシス撮影を行う場合、それらを通常の動画のように1秒間に30フレームで撮影して肉眼的にはその動きが連続して見えるように撮影する必要は必ずしもなく、複数の静止画像が、例えば1秒間に数フレーム或いは数秒に1フレームの割合で、時系列的に間欠的に撮影される、いわゆる準動画として撮影されればよい場合も多い。
【0011】
そして、この場合、医師等が、準動画として撮影された膨張・収縮する呼吸器等の複数の画像を再生表示する場合、準動画を構成する複数の静止画像を1枚ごと再生させる場合もあるが、複数の静止画像を、撮影した際の実際の時間間隔で再生して表示させることもある。そのため、各静止画像を撮影した際の各撮影間の各時間間隔の情報が、準動画を再生表示する画像表示装置に対して的確に伝達されることが必要となる。
【0012】
この場合、放射線源52(後述する図11や図12参照)から被写体を介して放射線画像撮影装置に放射線を照射したタイミングすなわち上記の時間間隔の情報を放射線発生装置55から入手するように構成することも可能ではあるが、施設に既設の放射線発生装置55は、放射線を照射するごとに前回放射線を照射してからの時間間隔を計測するように構成されていない場合も多い。
【0013】
そのような場合に、放射線発生装置55を改造して上記の時間間隔を計測するように構成するとコストがかかる等の問題が生じる場合がある。そこで、放射線発生装置55ではなく、放射線画像撮影装置側で、上記の時間間隔を計測するように構成することが望ましい。
【0014】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、放射線画像撮影装置で動きのある被写体等を準動画として撮影し、放射線画像撮影装置で準動画を構成する複数の静止画像を撮影した各撮影ごとの時間間隔を計測可能な放射線画像撮影装置、および計測された時間間隔に基づいて一連の静止画像を準動画として再生させることを可能とする放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【0015】
また、その際、従来の静止画像のみを撮影する放射線画像撮影装置における制御構成や、放射線画像撮影装置からコンソール58(後述する図11や図12参照)に画像データD等を送信する際のデータ構成等に大きな変更を加えることなく、上記の時間間隔の情報を送信することができるように構成すれば、放射線画像撮影装置やコンソール58における処理に大きな変更を加えずに上記の目的を達成できるため望ましい。
【0016】
そこで、本発明は、上記のように、放射線画像撮影装置で動きのある被写体を準動画として撮影する際、従来の静止画像のみを撮影する放射線画像撮影装置における制御構成や画像データ等をコンソールに送信する際のデータ構成等に大きな変更を加えることなく、上記の目的を達成することが可能な放射線画像撮影装置や放射線画像撮影システムを提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影システムおよび放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
前記各走査線にオン電圧またはオフ電圧を印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
外部装置と通信可能な通信手段と、
を備える放射線画像撮影装置と、
前記放射線画像撮影装置に対して放射線を照射する放射線源を備える放射線発生装置と、
前記放射線画像撮影装置から送信されてきた前記画像データに基づいて放射線画像を生成するコンソールと、
を備え、
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、一連の複数の放射線画像撮影が行われる際に、各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔をそれぞれ計測し、当該一連の複数の放射線画像撮影で得られた前記各画像データを前記コンソールに送信する際に、前記各時間間隔の情報を対応する前記各画像データに対応付けて前記コンソールに送信し、
前記コンソールは、前記放射線画像撮影装置から送信されてきた前記画像データに基づいて生成した前記各放射線画像に、前記各画像データに対応付けられた前記各時間間隔の情報をそれぞれ対応付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明のような方式の放射線画像撮影システムおよび放射線画像撮影装置によれば、従来の放射線画像撮影装置のように動画を撮影するための付加機能モジュールを筐体内に設けなくても、制御手段で一連の放射線画像における各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔を計測するだけで、一連の撮影で得られた各放射線画像すなわち各静止画像を準動画的に表示する際の表示の時間間隔の情報を的確に取得することが可能となる。
【0019】
そのため、従来の静止画像のみを撮影する放射線画像撮影装置を用いて、動きのある被写体等を的確に準動画として撮影することが可能となる。また、放射線発生装置側に、時間間隔を計測するような改造を施す必要がなくなり、放射線画像撮影装置側で時間間隔を計測することが可能となる。
【0020】
また、コンソールで、各回の放射線画像撮影で得られた画像データ等に基づいて生成した各放射線画像すなわち各静止画像に時間間隔の情報をそれぞれ対応付けるため、一連の撮影で得られた各静止画像を準動画的に再生する画像表示装置は、各静止画像に対応付けられた時間間隔に従って各静止画像を再生することで、膨張したり収縮したりする肺等の臓器の動きを、放射線画像撮影装置が撮影した時間間隔で再生することが可能となる。そのため、一連の放射線画像撮影で得られた各静止画像を的確に準動画的に表示させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1におけるX−X線に沿う断面図である。
【図3】ケーブルを接続した状態の放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。
【図4】放射線画像撮影装置の基板の構成を示す平面図である。
【図5】図4の基板上の小領域に形成された放射線検出素子とTFT等の構成を示す拡大図である。
【図6】フレキシブル回路基板やPCB基板等が取り付けられた基板を説明する側面図である。
【図7】放射線画像撮影装置の等価回路を表すブロック図である。
【図8】検出部を構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【図9】各放射線検出素子のリセット処理における電荷リセット用スイッチやTFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図10】画像データの読み出し処理における電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図11】撮影室等に構築された本実施形態に係る放射線画像撮影システムの構成例を示す図である。
【図12】回診車上に構築された本実施形態に係る放射線画像撮影システムの構成例を示す図である。
【図13】1面分のリセット処理におけるタイミングチャートである。
【図14】連携方式における照射開始信号の送信、リセット処理の終了および電荷蓄積状態への移行、インターロック解除信号の送信、および放射線の照射のタイミングを表すタイミングチャートである。
【図15】連携方式における各走査線にオン電圧を順次印加するタイミングを表すタイミングチャートである。
【図16】非連携方式の検出方法1において放射線画像撮影前に画像データの読み出し処理が繰り返し行われる際の各走査線にオン電圧を順次印加するタイミングを表すタイミングチャートである。
【図17】検出方法1の場合に放射線の照射開始を検出した時点で画像データの読み出し処理を停止するように構成された場合の各走査線にオン電圧を順次印加するタイミングの例を表すタイミングチャートである。
【図18】放射線画像撮影前から行われる読み出し処理で読み出される画像データを時系列的にプロットしたグラフである。
【図19】TFTを介して各放射線検出素子からリークした各電荷がリークデータとして読み出されることを説明する図である。
【図20】リークデータの読み出し処理における電荷リセット用スイッチやTFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図21】放射線画像撮影前にリークデータの読み出し処理と各放射線検出素子のリセット処理を交互に行うように構成した場合の電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図22】検出方法2で放射線画像撮影前にリークデータの読み出し処理とリセット処理を交互に行い、電荷蓄積状態でリークデータの読み出し処理を行う場合に各走査線にオン電圧を印加するタイミングを説明するタイミングチャートである。
【図23】一連の放射線画像撮影において放射線画像撮影装置で行われる処理の手順および各撮影ごとの時間間隔を説明する図である。
【図24】各放射線検出素子から読み出された画像データを表す図である。
【図25】画像データ中から抽出される間引きデータの例を表す図である。
【図26】各回の放射線画像撮影で得られた各画像データの所定の画素部分に時間間隔の情報を書き込むことを説明する図である。
【図27】画像データの出現頻度の分布の例を表すヒストグラムである。
【図28】図27とは別の撮影部位を撮影した場合の画像データの出現頻度の分布の例を表すヒストグラムである。
【図29】画像データの出現頻度の分布について想定された正規分布状の分布の例を表すヒストグラムである。
【図30】信号線方向等に隣接する放射線検出素子の画像データの各差分の出現頻度の分布を示すヒストグラムである。
【図31】仮想的にまとめられたプレビュー画像用のデータを表す図である。
【図32】同一の放射線検出素子について各回の撮影で得られた画像データDの差分が算出されることを説明する図である。
【図33】画像データの読み出し処理までの一連の処理シーケンスが繰り返されてオフセットデータの読み出し処理が行われることを説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る放射線画像撮影システムおよび放射線画像撮影装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
なお、以下では、放射線画像撮影装置として、シンチレーター等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレーター等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
【0024】
また、本発明は、本実施形態で説明する、いわゆる可搬型の放射線画像撮影装置のみならず、例えば支持台等と一体的に形成された専用機型の放射線画像撮影装置に対しても適用することが可能である。
【0025】
[放射線画像撮影装置]
図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1のX−X線に沿う断面図である。本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体状のハウジング2内にシンチレーター3や基板4等で構成されるセンサーパネルSPが収納されている。
【0026】
本実施形態では、筐体2のうち、放射線入射面Rを有する中空の角筒状のハウジング本体部2Aは、放射線を透過するカーボン板やプラスチック等の材料で形成されており、ハウジング本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで筐体2が形成されている。
【0027】
また、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や切替スイッチ38、コネクター39、バッテリー状態や放射線画像撮影装置1の稼働状態等を表示するLED等で構成されたインジケーター40等が配置されている。
【0028】
図3に示すように、本実施形態では、コネクター39には、ケーブルCaの先端に設けられたコネクターCが接続できるようになっている。そして、ケーブルCaと接続されることにより、例えば後述するコンソール58(図11や図12参照)との間で信号等を送受信したり、コンソール58に画像データD等を送信することができるようになっている。
【0029】
また、図示を省略するが、例えば筐体2の反対側の蓋部材2C等に、アンテナ装置41(後述する図7参照)が例えば蓋部材2Cに埋め込む等して設けられている。このように、本実施形態では、コネクター39やアンテナ装置41が、放射線画像撮影装置1とコンソール58等との間で信号を送受信し、コンソール58に画像データD等を送信するための通信手段として機能するようになっている。
【0030】
図2に示すように、筐体2の内部には、基台31の上面側に図示しない鉛の薄板等を介して基板4が配置され、また、基台31の下面側には、電子部品32等が配設されたPCB基板33やバッテリー24等が取り付けられている。また、基板4やシンチレーター3の放射線入射面Rには、それらを保護するためのガラス基板34が配設されている。また、本実施形態では、基台31や基板4等と筐体2の側面との間に、それらがぶつかり合うことを防止するための緩衝材35が設けられている。
【0031】
シンチレーター3は、基板4の後述する検出部Pに対向する位置に設けられるようになっている。本実施形態では、シンチレーター3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
【0032】
基板4は、本実施形態では、ガラス基板で構成されており、図4に示すように、基板4のシンチレーター3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
【0033】
このように、走査線5と信号線6で区画された各小領域rに二次元状に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた小領域r全体、すなわち図4に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
【0034】
本実施形態では、放射線検出素子7としてフォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスター等を用いることも可能である。各放射線検出素子7は、図4の拡大図である図5に示すように、スイッチ手段であるTFT8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
【0035】
放射線検出素子7は、放射線画像撮影装置1の筐体2の放射線入射面Rから放射線が入射し、シンチレーター3で放射線から変換された可視光等の電磁波が照射されると、その内部で電子正孔対を発生させる。放射線検出素子7は、このようにして、照射された放射線(本実施形態ではシンチレーター3で放射線から変換された電磁波)を電荷に変換するようになっている。
【0036】
そして、TFT8は、後述する走査駆動手段15から走査線5を介してゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となり、ソース電極8sやドレイン電極8dを介して放射線検出素子7内に蓄積されている電荷を信号線6に放出させるようになっている。また、TFT8は、接続された走査線5を介してゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、放射線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、放射線検出素子7内に電荷を蓄積させるようになっている。
【0037】
本実施形態では、図5に示すように、それぞれ列状に配置された複数の放射線検出素子7に1本のバイアス線9が接続されており、図4に示すように、各バイアス線9はそれぞれ信号線6に平行に配設されている。また、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で結線10に結束されている。
【0038】
本実施形態では、図4に示すように、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう。)11に接続されている。
【0039】
そして、各入出力端子11には、図6に示すように、後述する走査駆動手段15のゲートドライバー15bを構成するゲートIC15c等のチップがフィルム上に組み込まれたフレキシブル回路基板(Chip On Film等ともいう。)12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
【0040】
フレキシブル回路基板12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。このようにして、放射線画像撮影装置1のセンサーパネルSPが形成されている。なお、図6では、電子部品32等の図示が省略されている。
【0041】
ここで、放射線画像撮影装置1の回路構成について説明する。図7は本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の等価回路を表すブロック図であり、図8は検出部Pを構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【0042】
前述したように、基板4の検出部Pの各放射線検出素子7は、その第2電極7bにそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の第2電極7bにそれぞれバイアス電圧を印加するようになっている。また、バイアス電源14は、後述する制御手段22に接続されており、制御手段22により、バイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧が制御されるようになっている。
【0043】
図7や図8に示すように、本実施形態では、バイアス電源14からは、放射線検出素子7の第2電極7bにバイアス線9を介してバイアス電圧として放射線検出素子7の第1電極7a側にかかる電圧以下の電圧(すなわちいわゆる逆バイアス電圧)が印加されるようになっている。
【0044】
走査駆動手段15は、配線15dを介してゲートドライバー15bにオン電圧とオフ電圧を供給する電源回路15aと、走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えて各TFT8のオン状態とオフ状態とを切り替えるゲートドライバー15bとを備えている。
【0045】
図7や図8に示すように、各信号線6は、読み出しIC16内に内蔵された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。読み出し回路17は、増幅回路18と相関二重サンプリング回路19等で構成されている。読み出しIC16内には、さらに、アナログマルチプレクサー21と、A/D変換器20とが設けられている。なお、図7や図8中では、相関二重サンプリング回路19はCDSと表記されている。また、図8中では、アナログマルチプレクサー21は省略されている。
【0046】
本実施形態では、増幅回路18は、オペアンプ18aと、オペアンプ18aにそれぞれ並列にコンデンサー18bおよび電荷リセット用スイッチ18cが接続され、オペアンプ18a等に電力を供給する電源供給部18dを備えたチャージアンプ回路で構成されている。増幅回路18のオペアンプ18aの入力側の反転入力端子には信号線6が接続されており、増幅回路18の入力側の非反転入力端子には基準電位V0が印加されるようになっている。なお、基準電位V0は適宜の値に設定され、本実施形態では、例えば0[V]が印加されるようになっている。
【0047】
また、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cは、制御手段22に接続されており、制御手段22によりオン/オフが制御されるようになっている。また、オペアンプ18aと相関二重サンプリング回路19との間には、電荷リセット用スイッチ18cと連動して開閉するスイッチ18eが設けられており、スイッチ18eは、電荷リセット用スイッチ18cがオン/オフ動作と連動してオフ/オン動作するようになっている。
【0048】
放射線画像撮影装置1で、各放射線検出素子7内に残存する電荷を除去するための各放射線検出素子7のリセット処理を行う際には、図9に示すように、電荷リセット用スイッチ18cがオン状態(およびスイッチ18eがオフ状態)とされた状態で、各TFT8がオン状態とされる。
【0049】
すると、各TFT8を介して各放射線検出素子7から電荷が信号線6に放出され、電荷が増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cを通過して、オペアンプ18aの出力端子側からオペアンプ18a内を通り、非反転入力端子から出てアースされたり、電源供給部18dに流れ出す。このようにして、各放射線検出素子7のリセット処理が行われるようになっている。
【0050】
一方、各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理や、後述する照射開始検出用の画像データdの読み出し処理の際には、図10に示すように、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cがオフ状態(およびスイッチ18eがオン状態)とされた状態で、オン状態とされた各TFT8を介して各放射線検出素子7から電荷が信号線6に放出されると、電荷が増幅回路18のコンデンサー18bに蓄積される。
【0051】
増幅回路18では、コンデンサー18bに蓄積された電荷量に応じた電圧値がオペアンプ18aの出力側から出力されるようになっている。相関二重サンプリング回路(CDS)19は、各放射線検出素子7から電荷が流出する前に制御手段22からパルス信号Sp1(図10参照)が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持する。
【0052】
そして、各放射線検出素子7から流出した電荷が増幅回路18のコンデンサー18bに蓄積された後、制御手段22からパルス信号Sp2が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持する。そして、電圧値の差分Vfi−Vinを算出し、算出した差分Vfi−Vinをアナログ値の画像データDとして下流側に出力する。
【0053】
相関二重サンプリング回路19から出力された各放射線検出素子7の画像データDは、アナログマルチプレクサー21を介して順次A/D変換器20に送信され、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データDに変換されて記憶手段23に出力されて順次保存されるようになっている。
【0054】
なお、1回の画像データDの読み出し処理が終了すると、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cがオン状態とされ(図10参照)、コンデンサー18bに蓄積された電荷が放電されて、上記と同様に、放電された電荷がオペアンプ18aの出力端子側からオペアンプ18a内を通り、非反転入力端子から出てアースされたり、電源供給部18dに流れ出す等して、増幅回路18がリセットされる。
【0055】
制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピューターや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。
【0056】
そして、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各部材の動作等を制御するようになっている。また、図7等に示すように、制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)等で構成される記憶手段23が接続されている。
【0057】
また、本実施形態では、制御手段22には、前述したアンテナ装置41が接続されており、さらに、検出部Pや走査駆動手段15、読み出し回路17、記憶手段23、バイアス電源14等の各部材に電力を供給するためのバッテリー24が接続されている。また、バッテリー24は、前述したコネクター39に接続されており、バッテリー24の充電の際にはコネクター39を介して図示しない充電装置から電力が供給されるようになっている。
【0058】
前述したように、制御手段22は、バイアス電源14を制御してバイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧を設定したり可変させたりするなど、放射線画像撮影装置1の各機能部の動作を制御するようになっている。
【0059】
[放射線画像撮影システム]
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50について説明する。図11は、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50の構成例を示す図である。図11では、放射線画像撮影システム50が撮影室R1内等に構築されている場合が示されている。
【0060】
撮影室R1には、ブッキー装置51が設置されており、ブッキー装置51は、そのカセッテ保持部(カセッテホルダともいう。)51aに上記の放射線画像撮影装置1を装填して用いることができるようになっている。なお、図11では、ブッキー装置51として、立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bが設置されている場合が示されているが、例えば、立位撮影用のブッキー装置51Aのみ、或いは、臥位撮影用のブッキー装置51Bのみが設けられていてもよい。
【0061】
本実施形態では、図3に示したように、放射線画像撮影装置1のコネクター39と、ケーブルCaの先端に設けられたコネクターCとが接続された状態で、放射線画像撮影装置1をブッキー装置51に装填することができるようになっている。なお、ブッキー装置51のカセッテ保持部51a内にコネクターCを設けておき、放射線画像撮影装置1が装填されると自動的にコネクター39とコネクターCとが接続されるように構成することも可能であり、適宜に構成される。
【0062】
図11に示すように、撮影室R1には、被写体を介してブッキー装置51に装填された放射線画像撮影装置1に放射線を照射する放射線源52Aが少なくとも1つ設けられている。本実施形態では、放射線源52Aの位置を移動させたり、放射線の照射方向を変えることで、立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bのいずれにも放射線を照射することができるようになっている。
【0063】
撮影室R1には、撮影室R1内の各装置等や撮影室R1外の各装置等の間の通信等を中継するための中継器(基地局等ともいう。)54が設けられている。なお、本実施形態では、中継器54には、放射線画像撮影装置1が無線方式で画像データDや信号等の送受信を行うことができるように、無線アンテナ(アクセスポイントともいう。)53が設けられている。
【0064】
また、中継器54は、放射線発生装置55やコンソール58と接続されており、中継器54には、放射線画像撮影装置1やコンソール58等から放射線発生装置55に送信するLAN(Local Area Network)通信用の信号等を放射線発生装置55用の信号等に変換し、また、その逆の変換も行う図示しない変換器が内蔵されている。
【0065】
前室(操作室ともいう。)R2には、本実施形態では、放射線発生装置55の操作卓57が設けられており、操作卓57には、放射線技師等の操作者が操作して放射線発生装置55に対して放射線の照射開始等を指示するための曝射スイッチ56が設けられている。
【0066】
放射線発生装置55は、放射線源52を所定の位置に移動させたり、その放射方向を調整したり、放射線画像撮影装置1の所定の領域内に放射線が照射されるように図示しない絞りやコリメーター等を調整したり、或いは、適切な線量の放射線が照射されるように放射線源52を調整する等の種々の制御を行うようになっている。
【0067】
また、本実施形態では、放射線発生装置55は、放射線の照射開始から、設定された時間が経過した時点で、放射線源52からの放射線の照射を終了させるようになっている。
【0068】
図11に示すように、本実施形態では、コンピューター等で構成されたコンソール58が前室R2に設けられている。なお、コンソール58を撮影室R1や前室R2の外側や別室等に設けるように構成することも可能であり、コンソール58の設置場所は適宜決められる。
【0069】
また、コンソール58には、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等を備えて構成される表示部58aが設けられており、また、HDD(Hard Disk Drive)等で構成された記憶手段59が接続、或いは内蔵されている。
【0070】
本実施形態では、コンソール58は、後述するように、放射線画像撮影装置1から間引きデータDtが送信されてくると、それに基づいて表示部58a上にプレビュー画像p_preを表示するようになっている。
【0071】
また、コンソール58は、後述するように、放射線画像撮影装置1から画像データD等が送信されてくると、画像データD等に基づいて放射線画像pを生成するようになっている。
【0072】
一方、放射線画像撮影装置1は、図12に示すように、ブッキー装置51には装填されずに、いわば単独の状態で用いることもできるようになっている。例えば、患者Hが病室R3のベッドBから起き上がれず、撮影室R1に行くことができないような場合、図12に示すように、放射線画像撮影装置1を病室R3内に持ち込み、ベッドBと患者の身体との間に差し込んだり患者の身体にあてがったりして用いることができる。
【0073】
放射線画像撮影装置1をこのようにして用いる場合、例えば図3に示したように、放射線画像撮影装置1のコネクター39にケーブルCを接続して用いると、ケーブルCが放射線技師の作業の邪魔になる場合が多いため、本実施形態では、放射線画像撮影装置1を単独の状態で用いる場合には、コネクター39にケーブルCを接続せずに使用される。
【0074】
また、放射線画像撮影装置1を病室R3等で用いる場合、前述した撮影室R1に据え付けられた放射線発生装置55や放射線源52Aを病室R3に持ち込むことができないため、図12に示すように、いわゆるポータブルの放射線発生装置55が例えば回診車71に搭載される等して病室R3に持ち込まれる。
【0075】
この場合、ポータブルの放射線発生装置55の放射線52Pは、任意の方向に放射線を照射できるように構成される。そして、ベッドBと患者の身体との間に差し込まれたり患者の身体にあてがわれたりした放射線画像撮影装置1に対して、適切な距離や方向から放射線を照射することができるようになっている。
【0076】
なお、図11に示したように、放射線画像撮影装置1を、撮影室R1の臥位撮影用のブッキー装置51B上に横臥した患者の身体と臥位撮影用のブッキー装置51Bとの間に差し込んだり、臥位撮影用のブッキー装置51B上で患者の身体にあてがったりして用いることも可能であり、その場合は、ポータブルの放射線52Pや、撮影室R1に据え付けられた放射線源52Aのいずれを用いることも可能である。
【0077】
また、図12に示した回診車71上に構築された放射線画像撮影システム50の場合、コンソール58では、後述する表示部58a上でのプレビュー画像p_preの表示処理までを行い、最終的な放射線画像pの生成等については生成処理機能を有する別のコンソール58で行うように構成することも可能である。
【0078】
[放射線画像撮影装置における画像データDの読み出し処理までの処理について]
ここで、放射線画像撮影システム50において、放射線画像撮影装置1に対して放射線が照射され、各放射線検出素子7からそれぞれ画像データDが読み出されるまでの放射線画像撮影装置1や放射線発生装置50等における処理について説明する。
【0079】
図11に示したように、放射線画像撮影システム50が撮影室R1内等に構築されているような場合には、放射線画像撮影装置1と放射線発生装置55とが中継器54を介して信号のやり取りを行い、放射線画像撮影装置1と放射線発生装置55と連携をとりながら放射線画像撮影を行うことができる。以下、このような撮影方式を連携方式という。
【0080】
また、図12に示したように、放射線画像撮影システム50が回診車71上に構築されている場合のように、放射線画像撮影装置1と放射線発生装置55とが信号のやり取りを行うことができないような場合には、放射線画像撮影装置1自体で放射線が照射されたことを検出することが必要となる。以下、このような撮影方式を非連携方式という。
【0081】
そして、本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、状況に応じて、連携方式と非連携方式のいずれの方式でも放射線画像撮影を行うことができるようになっているが、連携方式或いは非連携方式のいずれかの方式でしか放射線画像撮影を行うことができない放射線画像撮影装置についても、本発明を適用することが可能である。
【0082】
[連携方式の場合の処理について]
本実施形態では、放射線画像撮影が連携方式で行われる場合、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、放射線画像撮影前に、まず、各放射線検出素子7のリセット処理を行うようになっている。各放射線検出素子7のリセット処理では、図9に示した処理が走査線5の各ラインL1〜Lxについてそれぞれ行われる。
【0083】
具体的には、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、例えば図13に示すように、走査駆動手段15のゲートドライバー15b(図7参照)から走査線5の各ラインL1〜Lxに対してオン電圧を順次印加させ、各TFT8のゲート電極8gにオン電圧を順次印加させてTFT8をオン状態として、各放射線検出素子7内に残存する電荷をそれぞれ信号線6に放出させる。
【0084】
制御手段22は、このようにして、走査線5の最初のラインL1から最終ラインLxまで順次オン電圧を印加して行う1面分のリセット処理Rmを繰り返すようになっている。
【0085】
この場合、1面分のリセット処理Rmを所定の回数だけ繰り返した時点で、各放射線検出素子7のリセット処理を終了し、その後は、走査線5の全てのラインL1〜Lxにオフ電圧を印加し、全TFT8をオフ状態とした状態で、放射線の照射開始を待つように構成することも可能である。
【0086】
また、このように全TFT8をオフ状態としたまま放射線の照射開始を待つ場合、放射線の照射が開始されるまでの時間が長くなると、各放射線検出素子7内に蓄積される暗電荷の量が多くなってしまう。そこで、暗電荷等の各放射線検出素子7に残存する電荷がより少ない状態で撮影を行うという観点から、放射線の照射開始の直前まで各放射線検出素子7のリセット処理を繰り返すように構成することも可能である。
【0087】
この場合、例えば図14に示すように、1面分のリセット処理Rmの最中に、放射線技師により放射線発生装置55で曝射スイッチ56(図11や図12参照)が操作されて、放射線発生装置55から放射線画像撮影装置1に照射開始信号が送信されてくると、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、照射開始信号が送信されてきた時点で行っている1面分のリセット処理Rmが完了した時点で、各放射線検出素子7のリセット処理を終了させる。
【0088】
そして、走査駆動手段15から走査線5の全てのラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させて全TFT8をオフ状態として、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷を各放射線検出素子7内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させる。
【0089】
制御手段22は、それと同時に、上記のように1面分のリセット処理Rmが完了した時点で、放射線発生装置55に対してインターロック解除信号を送信する。放射線発生装置55は、中継器54を介して放射線画像撮影装置1からインターロック解除信号を受信すると、放射線源52から放射線を照射させる。
【0090】
連携方式では、放射線画像撮影装置1と放射線発生装置55との間で照射開始信号やインターロック解除信号等のやり取りを行いながら、放射線画像撮影装置1に対して放射線が照射されるようになっている。
【0091】
また、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、上記のようにインターロック解除信号を送信すると、所定時間の間、電荷蓄積状態を維持する。そして、所定時間が経過した後、図15に示すように、走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、各放射線検出素子7から画像データDをそれぞれ読み出すようになっている。なお、図15中の斜線は、その期間に放射線が照射されたことを表す。
【0092】
なお、この場合、放射線源52からの放射線の照射を終了した時点で、放射線発生装置55から放射線画像撮影装置1に終了信号を送信するように構成し、放射線画像撮影装置1は、終了信号を受信するとすぐに電荷蓄積状態から画像データDの読み出し処理に移行するように構成することも可能である。
【0093】
[非連携方式の場合の処理について]
次に、放射線画像撮影が非連携方式で行われる場合の処理について説明する。この場合、前述したように、放射線画像撮影装置1と放射線発生装置55との間で信号のやり取りが行われないため、放射線画像撮影装置1自体で放射線が照射されたことを検出することが必要となる。
【0094】
この場合、放射線画像撮影装置1内に新たに放射線の照射開始を検出するためのセンサーや手段を設けることも可能である。しかし、前述したように、放射線画像撮影装置1における筐体2のサイズの制約や、従来の静止画像のみを撮影する放射線画像撮影装置1の構成等に大きな変更を加えないことを考えた場合、放射線画像撮影装置1に既設の各機能部を用いて、例えば以下のようにして放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射開始を検出するように構成することができる。
【0095】
以下、放射線画像撮影装置1に既設の各機能部を用いて放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射を検出する方法として、2つの検出方法を例に挙げて説明する。
【0096】
[検出方法1]
例えば、上記の連携方式の場合のように、放射線画像撮影前に各放射線検出素子7のリセット処理(図13等参照)を行う代わりに、図16に示すように、放射線画像撮影前に、走査駆動手段15のゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、各放射線検出素子7からの画像データdの読み出し処理を繰り返し行うように構成することが可能である。
【0097】
なお、撮影直後に読み出される本画像としての画像データDと区別して、以下、この放射線画像撮影前の読み出し処理で読み出される画像データを照射開始検出用の画像データdという。また、本画像としての画像データDを、単に本画像データDという。
【0098】
また、照射開始検出用の画像データdの読み出し処理における読み出し回路17の増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cのオン/オフや、相関二重サンプリング回路19へのパルス信号Sp1、Sp2の送信等は、図10に示した本画像データDの読み出し処理における処理と同様に行われる。
【0099】
このように放射線画像撮影前に照射開始検出用の画像データdの読み出し処理を行うように構成した場合、図17に示すように、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されると、その時点で読み出された画像データd(図17では走査線5のラインLnにオン電圧が印加されて読み出された画像データd)が、図18に示すように、それ以前に読み出された画像データdよりも格段に大きな値になる(図18の時刻t1参照)。
【0100】
そこで、制御手段22で放射線画像撮影前の読み出し処理で読み出された照射開始検出用の画像データdを監視するように構成し、読み出された画像データdが、例えば図18に示すように予め設定された所定の閾値dthを越えた時点で、放射線の照射が開始されたことを検出するように構成することができる。
【0101】
そして、制御手段22は、上記のようにして放射線の照射が開始されたことを検出すると、図17に示したように、その時点で各走査線5へのオン電圧の印加を停止して、ゲートドライバー15bから走査線5の全てのラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させ、各TFT8をオフ状態にして、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷を各放射線検出素子7内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させる。
【0102】
そして、放射線の照射開始を検出してから所定時間が経過した後、制御手段22は、放射線画像撮影前の画像データdの読み出し処理で放射線の照射が開始されたことを検出した時点またはその直前にオン電圧が印加された走査線5(図17の場合は走査線5のラインLn)の次にオン電圧を印加すべき走査線5(図17の場合は走査線5のラインLn+1)からオン電圧の印加を開始し、各走査線5にオン電圧を順次印加させて、本画像データDの読み出し処理を行うように構成される。
【0103】
なお、本画像データDの読み出し処理を、例えば走査線5の最初のラインL1等からオン電圧の印加を開始して行うように構成することも可能である。
【0104】
また、上記の検出方法1における放射線画像撮影前の照射開始検出用の画像データdの読み出し処理において、走査線5の各ラインL1〜Lxにそれぞれオン電圧を印加する時間、すなわちある走査線5に対してオン電圧の印加を開始してから印加する電圧をオフ電圧に切り替えるまでの時間を長くする等して、照射開始検出用の画像データdの検出感度を上げる等の改良を適宜行うことが可能である。
【0105】
[検出方法2]
また、上記の検出方法1のように、放射線画像撮影前に照射開始検出用の画像データdの読み出し処理を行うように構成する代わりに、放射線画像撮影前に、リークデータdleakの読み出し処理を繰り返し行うように構成することも可能である。
【0106】
ここで、リークデータdleakとは、図19に示すように、各走査線5にオフ電圧を印加した状態で、オフ状態になっている各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷qの信号線6ごとの合計値に相当するデータである。
【0107】
そして、リークデータdleakの読み出し処理では、図20に示すように、走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加して各TFT8をオフ状態とした状態で、制御手段22から各読み出し回路17の相関二重サンプリング回路19(図7、8のCDS参照)にパルス信号Sp1、Sp2を送信する。
【0108】
照射開始検出用の画像データdの読み出し処理の場合と同様に、相関二重サンプリング回路19は、制御手段22からパルス信号Sp1が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持する。そして、増幅回路18のコンデンサー18bに各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷qが蓄積されて増幅回路18から出力される電圧値が上昇し、制御手段22からパルス信号Sp2が送信されると、相関二重サンプリング回路19は、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持する。
【0109】
そして、相関二重サンプリング回路19が電圧値の差分Vfi−Vinを算出して出力した値が、リークデータdleakとなる。リークデータdleakが、その後、A/D変換器20でデジタル値に変換されることは、画像データdの場合と同様である。
【0110】
ところで、リークデータdleakの読み出し処理のみを繰り返し行うように構成すると、各TFT8がオフ状態のままとなってしまい、各放射線検出素子7内で発生した暗電荷が各放射線検出素子7内に蓄積され続ける状態になる。
【0111】
そこで、上記のように、放射線画像撮影前に、リークデータdleakの読み出し処理を繰り返し行うように構成する場合には、図21に示すように、各走査線5にオフ電圧を印加した状態で行うリークデータdleakの読み出し処理と、走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して行う各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返し行うように構成することが望ましい。
【0112】
このように放射線画像撮影前にリークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返して行うように構成した場合、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されると、各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷q(図19参照)がそれぞれ増加する。
【0113】
そのため、図22に示すように、その時点で読み出されたリークデータdleak(図22では走査線5のラインL4にオン電圧が印加されてリセット処理が行われた後の4回目の読み出し処理で読み出されたリークデータdleak)が、図示を省略するが、画像データdの場合の図18と同様に、それ以前に読み出されたリークデータdleakよりも大きな値になる。なお、図22において「R」は各放射線検出素子7のリセット処理を表し、「L」はリークデータdleakの読み出し処理を表す。
【0114】
そこで、制御手段22で放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理で読み出されたリークデータdleakを監視するように構成し、読み出されたリークデータdleakが、例えば予め設定された所定の閾値dleak_thを越えた時点で、放射線の照射が開始されたことを検出するように構成することができる。
【0115】
そして、この場合、制御手段22は、上記のようにして、放射線の照射が開始されたことを検出すると、図22に示したように、その時点で各走査線5へのオン電圧の印加を停止して、ゲートドライバー15bから走査線5の全てのラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させ、各TFT8をオフ状態にして、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷を各放射線検出素子7内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させる。
【0116】
そして、放射線の照射開始を検出してから所定時間が経過した後、制御手段22は、放射線画像撮影前の画像データdの読み出し処理で放射線の照射が開始されたことを検出した時点またはその直前にオン電圧が印加された走査線5(図22の場合は走査線5のラインL4)の次にオン電圧を印加すべき走査線5(図22の場合は走査線5のラインL5)からオン電圧の印加を開始し、各走査線5にオン電圧を順次印加させて、本画像データDの読み出し処理を行うように構成される。
【0117】
なお、図22に示した場合においても、本画像データDの読み出し処理を、例えば走査線5の最初のラインL1等からオン電圧の印加を開始して行うように構成することが可能である。
【0118】
また、上記の検出方法2におけるリークデータdleakの読み出し処理において、相関二重サンプリング回路19に送信するパルス信号Sp1、Sp2の送信間隔を長くする等して、リークデータdleakの検出感度を上げる等の改良を適宜行うことが可能である。
【0119】
[一連の複数の放射線画像撮影における放射線画像撮影装置での処理について]
次に、上記のようにして静止画像(すなわち個々の放射線画像p。以下同じ。)を撮影する放射線画像撮影装置1の構成の下で、前述した呼吸器の膨張や収縮のように動きがある臓器等に対して一連の複数の放射線画像撮影を行い、準動画的に撮影する場合の放射線画像撮影装置1における処理について説明する。また、以下、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1や放射線画像撮影システム50の作用についてもあわせて説明する。
【0120】
一連の複数の放射線画像撮影を準動画的に行う場合、本実施形態では、コンソール58(図11や図12参照)から放射線画像撮影装置1に対して、撮影が連続的(すなわち準動画的)に行われる旨を表す信号と放射線の照射回数の情報とが送信されるようになっている。なお、コンソール58から撮影が連続的に行われる旨を表す信号のみを送信し、一連の撮影が終了した時点で、コンソール58から放射線画像撮影装置1に撮影が終了した旨を表す信号を送信するように構成することも可能である。
【0121】
放射線画像撮影装置1は、単独の撮影の場合、上記のようにして本画像データDの読み出し処理を終えると、即座に後述するオフセットデータOの読み出し処理を行うモードに入るようになっているが、上記のように撮影が連続的に行われることを表す信号等を受信した場合には、撮影後、即座にオフセットデータOの読み出し処理を行わず、以下のように処理を行うようになっている。
【0122】
すなわち、図23に示すように、放射線画像撮影装置1では、上記の連携方式の場合には放射線画像撮影前に各放射線検出素子7のリセット処理を行い、上記の非連携方式の場合には放射線画像撮影前に照射開始検出用の画像データdやリークデータdleakの読み出し処理を行う。そして、1回目の放射線の照射が開始されると電荷蓄積状態に移行し、その後、本画像データDの読み出し処理を行う。
【0123】
そして、本画像データDの読み出し処理を終了すると、後述するオフセットデータOの読み出し処理を行わずに、各放射線検出素子7のリセット処理(連携方式の場合)や照射開始検出用の画像データdやリークデータdleakの読み出し処理(非連携方式の場合)を再開する。そして、2回目の放射線の照射が行われると、電荷蓄積状態を経て2回目の本画像データDの読み出し処理が行われる。
【0124】
このようにして、各回の撮影ごとに、連携方式の場合には各放射線検出素子7のリセット処理→電荷蓄積状態→本画像データDの読み出し処理の各処理が、また、非連携方式の場合には画像データdまたはリークデータdleakの読み出し処理→電荷蓄積状態→本画像データDの読み出し処理の各処理が、所定回数の放射線照射が終了するまで連続して行われる。
【0125】
そして、本実施形態では、一連の複数の放射線画像撮影が終了した後で、各回の撮影で得られた本画像データDが、放射線画像撮影装置1からコンソール58に送信されるようになっている。
【0126】
なお、本画像データDを、各回の撮影終了後ごとにコンソール58に送信するように構成することも可能である。この点については後で説明する。また、その際、後述するように、本実施形態では本画像データDは可逆的に圧縮されて送信されるが、圧縮の仕方等についても後で説明する。
【0127】
さらに、本実施形態では、1回目の撮影後にプレビュー画像用のデータが送信され、また、一連の放射線画像撮影後にオフセットデータOの読み出し処理が行われるが、これらの点についても後で説明する。
【0128】
一方、一連の撮影で得られた各静止画像を、画像表示装置(或いはコンソール58の表示部58a)上に準動画として再生するためには、放射線画像撮影装置1で各静止画像を撮影した際の各回の放射線画像撮影ごとの実際の時間間隔ΔTを的確に計測することが必要となる。
【0129】
そして、本実施形態では、前述した特許文献4に記載されている付加機能モジュール等の新たな手段や装置を放射線画像撮影装置1内に設けることはせず、放射線画像撮影装置1に既設の機能部、すなわち具体的には制御手段22を用いて、各経過時間を計測するようになっている。
【0130】
その際、各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔ΔTを計測するために、各撮影ごとの基準となる時点を設定することが必要となる。そこで、例えば、上記のように撮影が連携方式で行われる場合には、放射線画像撮影装置1から放射線発生装置55にインターロック解除信号を送信して電荷蓄積状態に移行させた時点としたり、或いは撮影が非連携方式で行われる場合には、放射線画像撮影装置1の制御手段22が、読み出された照射開始検出用の画像データdやリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始を検出した時点に設定することが可能である。
【0131】
すなわち、一連の放射線画像撮影における各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔ΔTとして、各回の放射線画像撮影において電荷蓄積状態に移行させた時点同士の時間間隔ΔTや、放射線の照射開始を検出した時点同士の時間間隔ΔTをそれぞれ計測するように構成することが可能である。なお、非連携方式では、放射線の照射開始を検出するとすぐに電荷蓄積状態に移行させるため、それらの時点はほぼ同時になる。すなわち、非連携方式においても、電荷蓄積状態に移行させた時点同士の時間間隔ΔTをそれぞれ計測するように構成することが可能である。
【0132】
また、本実施形態では、上記のように、撮影を連携方式と非連携方式のいずれの方式でも行うことができるように構成されており、いずれの方式においても本画像データDの読み出し処理が必ず行われる。そのため、いずれの方式においても各回の放射線画像撮影が行われた時点を統一して把握できるようにするために、本実施形態では、図23に示すように、各回の放射線画像撮影において本画像データDの読み出し処理を開始した時点を、各回の放射線画像撮影が行われた時点として設定するようになっている。
【0133】
このように構成する場合、本画像データDの読み出し処理を開始した時点は、正確には放射線画像撮影装置1に対して放射線が照射された時点とは異なる。しかし、上記のように放射線の照射が開始された後、電荷蓄積状態に移行して、所定時間後に本画像データDの読み出し処理が開始される。そのため、ある回の撮影後に本画像データDの読み出し処理が開始されてから、次の回の撮影後に本画像データDの読み出し処理が開始されるまでの時間間隔ΔTが、当該回の撮影時に放射線の照射が開始されてから当該次の回の撮影時に放射線の照射が開始されるまでの時間間隔と同じ時間間隔になる。
【0134】
そのため、本実施形態のように、各回の放射線画像撮影において本画像データDの読み出し処理を開始した時点を各回の放射線画像撮影が行われた時点として設定しても、放射線画像撮影装置1で各静止画像を撮影した際の各撮影ごとの実際の時間間隔ΔTを正確に計測することが可能となる。
【0135】
そこで、本実施形態では、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、各回の放射線画像撮影において本画像データDの読み出し処理を開始した時点を起点とし、各回の撮影における当該時点同士の時間間隔ΔTをそれぞれ計測するようになっている。
【0136】
具体的には、制御手段22は、1回目の放射線画像撮影で本画像データDの読み出し処理を開始する時点でカウンターのリセットし、その時点からの経過時間に対応するカウント数の計測を開始する。そして、制御手段22は、例えば所定のクロック数ごとに1ずつカウンターのカウント数を増加させていく。
【0137】
そして、制御手段22は、2回目の放射線画像撮影で本画像データDの読み出し処理を開始する直前に、1回目と2回目の撮影間の時間間隔ΔT1,2としてカウンターのカウント数をメモリーに記憶させる。そして、カウンターをリセットし、2回目の撮影での本画像データDの読み出し処理を開始する。そして、その時点からの経過時間に対応するカウント数の計測を再開する。
【0138】
本実施形態では、制御手段22は、このようにして、本画像データDの読み出し処理を開始する時点ごとに、前回(k−1回目)の撮影から今回(k回目)の撮影までの時間間隔ΔTk-1,kをそれぞれメモリーに保存していくようになっている。
【0139】
このように構成すれば、放射線画像撮影装置1に新たに付加機能モジュール等を設けなくても、放射線画像撮影装置1で、呼吸するたびに膨張したり収縮したりする肺等のように動きのある被写体を、準動画として的確に撮影することが可能となる。また、放射線画像撮影装置1で準動画を構成する複数の静止画像を撮影した各撮影ごとの時間間隔ΔTk-1,kを的確に計測することが可能となる。
【0140】
なお、上記のように、一連の放射線画像撮影における各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔ΔTとして、本画像データDの読み出し処理を開始した時点同士の時間間隔ΔTを計測する代わりに、本画像データDの読み出し処理を終了した時点同士の時間間隔ΔTを計測するように構成することも可能である。
【0141】
このように構成しても、上記と同様に、撮影を連携方式と非連携方式のいずれの方式でも行う場合でも必ず行われる本画像データDの読み出し処理を基準として各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔ΔTを的確に計測することが可能となり、放射線画像撮影装置1で準動画を構成する複数の静止画像を撮影した各撮影ごとの時間間隔ΔTを的確に計測することが可能となる。
【0142】
[プレビュー画像用のデータの送信等について]
なお、上記のようにして放射線画像撮影が行われても、被写体が的確に撮影されていない可能性がある。そして、被写体が的確に撮影されていないにもかかわらず、一連の複数の放射線画像撮影が続行されると、被写体である患者に対して照射された複数回の放射線の照射が無駄になる。そして、再撮影が必要になるため、患者に対して、再度、放射線を複数回照射して一連の撮影を行わなければならなくなり、患者の被曝線量が増大してしまう。
【0143】
また、放射線画像撮影装置1では、被写体が的確に撮影されていないにもかかわらず、一連の放射線画像撮影で本画像データDの読み出し処理を繰り返す等して、無駄な処理が続行される状態になり、バッテリー24(図7等参照)の電力が消耗してしまうといった問題が生じる。
【0144】
そこで、本実施形態では、図23では図示を省略したが、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、上記の一連の複数の放射線画像撮影のうち、1回目の放射線画像撮影で読み出された本画像データDに基づいてプレビュー画像用のデータを作成してコンソール58に送信するようになっている。なお、2回目以降の撮影で読み出された本画像データDについては、プレビュー画像用のデータの作成、送信は行わない。
【0145】
具体的には、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、一連の複数の放射線画像撮影のうち、1回目の放射線画像撮影で各放射線検出素子7から本画像データDが読み出されると、それらの中から所定の割合でデータを間引いて、間引きデータDtを作成する。
【0146】
例えば図24に示すように、検出部P(図4や図7参照)のm行、n列目の放射線検出素子7(m,n)から読み出された本画像データDをD(m,n)で表すとすると、制御手段22は、1回目の撮影で読み出された本画像データD(m,n)の中から、例えば図25に斜線を付して示すように、予め所定本数(図25の場合は4本)の走査線5の各ラインL1〜Lxごとに1本の割合で指定された走査線5に接続されている各放射線検出素子7から読み出された本画像データD(m,n)を抽出して、間引きデータDtとする。
【0147】
そして、制御手段22は、抽出した間引きデータDtをプレビュー画像用のデータとしてコンソール58に送信するようになっている。
【0148】
この場合、例えば全ての本画像データDを読み出して記憶手段23(図7等参照)に記憶させた後、間引きデータDtのみを記憶手段23から読み出して送信するように構成してもよい。また、本画像データDの読み出し処理において走査線5の各ラインL1〜Lxごとに本画像データDを読み出して記憶手段23に記憶させる時点で、上記の指定された走査線5についてそれらの本画像データDを記憶手段23に記憶させると同時にコンソール58に送信するように構成することも可能である。
【0149】
なお、この場合も、間引きデータDtをプレビュー画像用のデータとしてコンソール58に送信する際も、間引きデータDtが圧縮されて送信されるが、この点については後で説明する。
【0150】
一方、本実施形態では、コンソール58は、上記のように放射線画像撮影装置1からプレビュー画像用のデータが送信されてくると、それに基づいてプレビュー画像p_preを生成し、生成したプレビュー画像p_preを表示部58a上に表示させるようになっている。
【0151】
そして、表示されたプレビュー画像p_preを見た放射線技師が、画像中に被写体が適切に撮影されておらず再撮影が必要であると判断し、コンソール58に対して当該プレビュー画像p_preを否認する操作(すなわちプレビュー画像p_preを承認しないことを表す操作)を行った場合には、コンソール58は、当該放射線画像撮影装置1に対して、現在行っている上記の一連の複数の放射線画像撮影における一連の処理(図23参照)を停止させるようになっている。
【0152】
放射線画像撮影装置1は、コンソール58からの停止信号を受信すると、一連の処理を停止し、読み出された本画像データDを破棄する等して、初期状態に戻る。すなわち、図23における最も左側に記載されている各放射線検出素子7のリセット処理(連携方式の場合)或いは照射開始検出用の画像データdやリークデータdleakの読み出し処理(非連携方式の場合)を行う状態に戻るようになっている。
【0153】
このように構成することで、放射線画像撮影装置1では無駄な本画像データDの読み出し処理が繰り返されてバッテリー24が消耗したり、また、患者の被曝線量が増大して患者の負担が増大することを的確に防止することが可能となる。
【0154】
なお、本実施形態では、プレビュー画像p_preを見た放射線技師によりプレビュー画像p_preを承認する操作(具体的には画面上に表示された「OK」ボタンをクリックする等の操作)が行われた場合には、コンソール58は、当該放射線画像撮影装置1に対しては特に何らの制御も行わない。そして、放射線画像撮影装置1は、現在行っている一連の複数の放射線画像撮影における一連の処理(図23参照)を続行するようになっている。
【0155】
[一連の放射線画像撮影後の処理について]
上記のようにして、一連の複数の放射線画像撮影が行われると(図23参照)、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、当該一連の複数の放射線画像撮影で得られた各回の撮影ごとの本画像データDをコンソール58に送信する。その際、本実施形態では、各回の撮影ごとに計測してメモリーに保存した時間間隔ΔTを読み出して、各時間間隔ΔTk-1,kの情報を対応する各本画像データDに対応付けてコンソール58に送信するようになっている。
【0156】
すなわち、k回目の撮影で得られた本画像データDに、k−1回目の撮影からk回目の撮影までの時間間隔ΔTk-1,kをそれぞれ対応付けてコンソール58に送信するようになっている。
【0157】
時間間隔ΔTを、対応する本画像データDに対応付ける手法としては、例えば以下の2つの方法のいずれかを採用することが可能である。
【0158】
[対応付けの手法1]
例えば、本画像データD(実際には後述するように圧縮された本画像データD。以下同じ。)をコンソール58に送信する際に、時間間隔ΔTの情報を、対応する本画像データDのヘッダ部分にそれぞれ書き込んでコンソール58に送信するように構成することが可能である。
【0159】
下記の対応付けの手法2の場合も同様であるが、この場合、時間間隔ΔTの情報としては、制御手段22が計測した上記のカウンターのカウント数(すなわち上記の場合はクロック数)をそのままヘッダ部分に書き込むように構成することも可能であり、また、カウンターのカウント数を秒単位に変換し、変換した秒数をヘッダ部分に書き込むように構成することも可能である。
【0160】
[対応付けの手法2]
また、上記のように放射線画像撮影装置1で診断用の放射線画像pを撮影する場合、病変部等の重要な被写体部分は、通常、放射線画像pの中央部分等に撮影される。逆の言い方をすれば、放射線画像pの周縁部分には、通常、病変部等の重要な被写体部分は撮影されないことが多い。
【0161】
そこで、図26に示すように、例えば、k回目の放射線画像撮影で得られた各本画像データDのうち、放射線画像pの周縁部分に対応する画素(すなわち放射線検出素子7)部分等の所定の画素部分の本画像データDを削除し、その画素部分に時間間隔ΔTk-1,kの情報を書き込んでコンソール58に送信するように構成することが可能である。
【0162】
このように構成しても、ほとんどの場合、病変部が撮影されている画素部分の本画像データDが削除されることはなく、病変部等の重要な被写体情報に悪影響を与えずに、コンソール58に時間間隔ΔTの情報を伝達することが可能となる。
【0163】
なお、上記の対応付けの手法1、2のように、時間間隔ΔTの情報を、ヘッダ部分に書き込んだり、放射線画像pの周縁部分等の所定の画素部分にあたかも本画像データDであるかの如く書き込んでコンソール58に送信するように構成することで、従来の静止画像のみを撮影する放射線画像撮影装置1における制御構成や本画像データD等をコンソール58に送信する際のデータ構成等に大きな変更を加えることなく、上記の時間間隔ΔTの情報をコンソール58に送信することが可能となる。
【0164】
[画像データDの圧縮処理について]
ここで、放射線画像撮影装置1からコンソール58に画像データDを送信する際の画像データDの圧縮処理について説明する。
【0165】
上記のように、放射線画像撮影装置1で診断用の放射線画像pを撮影する場合、本画像データDを非可逆圧縮してコンソール58に送信すると、放射線画像pに撮影されている病変部等の重要な被写体部分が完全に復元されず、診断に支障をきたす虞れがある。そこで、本実施形態では、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、本画像データDを可逆圧縮(ロスレス圧縮等ともいう。)してコンソール58に送信するようになっている。
【0166】
可逆圧縮の方法としては、例えば、ハフマン符号化やLZ78、算術符号化等の方法を用いることが可能である。
【0167】
また、例えば、ある回の撮影で各放射線検出素子7(m,n)からそれぞれ読み出された本画像データD(m,n)(図24参照)の分布を調べるために、各本画像データD(m,n)をヒストグラムに投票する。すると、各本画像データDの出現頻度Fの分布は、例えば図27や図28に示すように、通常、撮影部位(すなわち被写体である患者の身体部位)ごとに分布の形状が異なる状態になる。
【0168】
そして、このような分布を有する本画像データD(m,n)を、例えばハフマン符号化により可逆圧縮する場合、それらの本画像データD(m,n)に対して、例えば図29に示す正規分布状の分布を想定し、それに基づいて作成されたハフマン辞書(すなわちハフマンコードのテーブル。コード化辞書等ともいう。)を適用し、各本画像データDに対してそれぞれハフマンコードHcを割り当てても、必ずしも圧縮率が高くならない。
【0169】
すなわち、読み出された各本画像データD(m,n)の中で比較的長いハフマンコードHcが割り当てられる本画像データDの割合が多くなるため、本画像データDを圧縮せずにそのまま送信する場合と比較して、送信するデータ量がさほど少なくならない場合がある。そのため、本画像データDに対してハフマンコードHcを割り当ててハフマン符号化を行う場合、本画像データDを圧縮せずにそのまま送信する場合に比べて、データの送信時間が必ずしも短縮されない場合がある。
【0170】
一方、本願発明者らの研究で、本画像データD(m,n)同士の差分ΔDを算出し、それらの差分ΔDに対してハフマン符号化により圧縮処理を行うことで、データの圧縮率を高め、データの送信時間を短縮することができることが分かった。以下、そのような手法による具体的な圧縮処理について、2つの手法を挙げて説明する。
【0171】
[圧縮手法1]
まず、1つの目の圧縮手法である圧縮手法1について説明する。なお、この圧縮手法1は、圧縮処理として、本願出願人が先に提出した国際公開第2011/010480号パンフレットや特開2011−87727号公報等に詳述されている圧縮手法を用いる場合であり、詳しくはそれらの公報等を参照されたい。以下、簡単に説明する。
【0172】
圧縮手法1では、まず、図24に示したようにある回の撮影で各放射線検出素子7(m,n)からそれぞれ読み出された本画像データD(m,n)について、信号線6の延在方向(図24では縦方向。以下、信号線方向という。)や走査線5の延在方向(図24では横方向。以下、走査線方向という。)に互いに隣接する各放射線検出素子7(m,n)からそれぞれ読み出された本画像データD(m,n)同士の差分ΔDを算出する。
【0173】
すなわち、信号線方向の差分ΔDを算出するように構成する場合、
ΔD(m,n)=D(m,n)−D(m−1,n) …(1)
により差分ΔDを算出し、また、走査線方向の差分ΔDを算出するように構成する場合には、
ΔD(m,n)=D(m,n)−D(m,n−1) …(2)
により差分ΔDを算出する。
【0174】
このようにして算出した、信号線方向や走査線方向に隣接する各本画像データD(m,n)同士の各差分ΔDをヒストグラムに投票すると、図30に示すように、各差分ΔDの出現頻度Fの分布は、図27や図28に示した本画像データDの場合と異なり、撮影部位によらず、ΔD=0を中心とした比較的狭い範囲の正規分布状の分布になる。
【0175】
そこで、予め例えば図30に示した正規分布状の分布に基づいてハフマン辞書を作成しておく。そして、各撮影で得られた本画像データDに対して上記(1)式或いは(2)式に従って各差分ΔDを算出する。そして、算出した各差分ΔDに対してハフマン辞書を適用してそれぞれハフマンコードHcを割り当てる。
【0176】
すると、上記のように差分ΔDの出現頻度Fの分布は図30に示したような分布になり、短いハフマンコードHcが割り当てられる差分ΔDの出現頻度Fが大きく、長いハフマンコードHcが割り当てられる差分ΔDの出現頻度Fが小さい状態になるため、データの圧縮率が高くなる。
【0177】
そのため、本画像データDを圧縮せずにそのまま送信する場合に比べて、圧縮された各差分ΔDすなわち各ハフマンコードHcを送信することで、データの送信時間を的確に短縮することが可能となる。
【0178】
なお、上記(1)式や(2)式の場合、差分ΔD(1,n)や差分ΔD(m,1)を算出する場合、図24を見れば分かるように、本画像データDとしてD(0,n)やD(m,0)の値が存在しないため、上記の演算を行うことができない。そこで、本実施形態では、D(0,n)やD(m,0)の値として、予め所定の値がそれぞれ割り当てられるようになっている。
【0179】
また、上記のように、1回目の撮影で読み出された本画像データDの中から例えば図25に示したように所定の割合でデータを間引いて作成した間引きデータDtをプレビュー画像用のデータとしてコンソール58に送信する場合にも、この圧縮手法1を用いてプレビュー画像用のデータを圧縮して送信することが可能である。
【0180】
すなわち、例えば図25に示したようにして抽出されたプレビュー画像用のデータを仮想的にまとめると、図31に示す状態になる。そして、この状態で信号線方向(図中の縦方向)或いは走査線方向(図中の横方向)に隣接するプレビュー画像用のデータ同士の差分ΔDを算出する。
【0181】
そして、算出した各差分ΔDに対して、上記と同様のハフマン辞書、或いはプレビュー画像用のデータ用に作成したハフマン辞書を適用して、各差分ΔDにハフマンコードHcを割り当てる。このようにしてプレビュー画像用のデータを圧縮して送信すれば、上記と同様にプレビュー画像用のデータの送信時間を的確に短縮することが可能となる。
【0182】
[圧縮手法2]
上記の圧縮手法1では、1回の撮影で読み出された1フレーム分(すなわち各放射線検出素子7(m,n)が配置された検出部P(図4や図7参照)の1面分)の本画像データDの中で、信号線方向や走査線方向に隣接する各放射線検出素子7(m,n)の本画像データD(m,n)同士の差分ΔDを算出した。
【0183】
一方、個々の放射線検出素子7ごとに、一連の複数の放射線画像撮影でそれぞれ読み出された本画像データD同士の差分ΔDk-1,kを算出し、それらの差分ΔDk-1,kに対してハフマン辞書を適用するように構成することも可能である。
【0184】
すなわち、図32に示すように、例えば放射線検出素子7(m*,n*)について見た場合、k−1回目の撮影で読み出された本画像データDk-1(m*,n*)とk回目の撮影で読み出された本画像データDk(m*,n*)との差分ΔDk-1,k(m*,n*)が、
ΔDk-1,k(m*,n*)=Dk(m*,n*)−Dk-1(m*,n*)…(3)
により算出される。
【0185】
そして、この(3)式の演算を、各放射線検出素子7(m,n)ごとに、各回の撮影で読み出された本画像データD(m,n)とその前の回の撮影で読み出された本画像データD(m,n)との間で行う。
【0186】
このようにして算出される各差分ΔDk-1,kをヒストグラムに投票すると、各差分ΔDk-1,kの出現頻度Fの分布は、図30に示した上記の差分ΔDの分布と同様の分布になり、撮影部位によらず、ΔDk-1,k=0を中心とした比較的狭い範囲の正規分布状の分布になる。そのため、このような分布に基づいて予めハフマン辞書を作成しておき、それを算出した各差分ΔDk-1,kに適用するように構成することで、データの圧縮率を高め、データの送信時間を短縮することが可能となる。
【0187】
なお、この場合、1回目の撮影で読み出された本画像データD1(m,n)についてはその前の回の撮影というものが想定できないため、差分ΔD0,1(m,n)を算出することができない。そのため、この圧縮手法2を採用する場合には、少なくとも1回目の撮影で読み出された本画像データD1(m,n)については、例えば上記の圧縮手法1を用いて信号線方向等に隣接する放射線検出素子7の本画像データD同士の差分ΔDを圧縮してコンソール58に送信するように構成される。
【0188】
また、上記の[対応付けの手法1]を採用して、時間間隔ΔT(図23参照)の情報を、対応するデータのヘッダ部分にそれぞれ書き込んでコンソール58に送信するように構成する場合、上記の圧縮手法1や圧縮手法2で圧縮された差分ΔDや差分ΔDk-1,kのヘッダ部分に、それぞれ時間間隔ΔTが書き込まれて送信される。
【0189】
さらに、上記の[対応付けの手法2]を採用する場合、本画像データDの所定の画素部分に書き込まれた時間間隔ΔTの情報(図26参照)についても、上記の圧縮手法1により隣接する画素(放射線検出素子7)の本画像データDとの差分ΔDを算出したり、上記の圧縮手法2により前回の撮影の本画像データD中に書き込んだ前回の時間間隔ΔTとの差分ΔDk-1,kを算出したりしてそれらを圧縮して送信するように構成することが可能である。
【0190】
また、本画像データDの所定の画素部分に書き込んだ時間間隔ΔTの情報については、差分ΔDや差分ΔDk-1,kを算出せず、圧縮せずにコンソール58に送信するように構成してもよい。
【0191】
[各回の撮影ごとにデータを送信する場合について]
一方、本実施形態では、前述したように、一連の複数の放射線画像撮影が終了した後で、各回の撮影で読み出された各本画像データDについて、上記のように可逆圧縮して放射線画像撮影装置1からコンソール58に送信される。
【0192】
しかし、一連の放射線画像撮影で行われる撮影の回数(すなわち放射線画像pの枚数)や検出部Pに配置される各放射線検出素子7の数(すなわち画素数)等と、記憶手段23(図7等参照)の記憶容量との関係で、一連の放射線画像撮影で読み出された本画像データDを全て記憶手段23に保存できない場合もあり得る。
【0193】
そこで、そのような場合には、一連の放射線画像撮影において、各撮影で本画像データDが読み出されるごとに、上記の圧縮手法1や圧縮手法2により差分ΔD、ΔDk-1,kの圧縮処理を行って、圧縮された差分ΔD、ΔDk-1,kをコンソール58に送信するように構成することが可能である。
【0194】
この場合、後の回の撮影で読み出された本画像データDが、記憶手段23中の先の回の撮影で読み出された本画像データD上に上書き保存される。このように構成すれば、記憶手段23は、数フレーム分の本画像データDを保存できる程度の記憶容量があれば十分となる。
【0195】
[オフセットデータの読み出し処理について]
また、本実施形態では、一連の放射線画像撮影が終了すると、その後で、オフセットデータOの読み出し処理が行われるようになっている。そして、本実施形態では、オフセットデータOの読み出し処理は、一連の放射線画像撮影における1回分の処理シーケンスと同じ処理シーケンスにより行われるようになっている。
【0196】
具体的には、本実施形態では、前述したように、連携方式(図15等参照)或いは非連携方式(図17等に示した検出方法1や図22等に示した検出方法2参照)で各放射線画像撮影がそれぞれ行われる。
【0197】
そして、例えば各放射線画像撮影を連携方式で行った場合、図33に示すように、最後の回の本画像データDの読み出し処理が終了した後、オフセットデータOの読み出し処理が行われる。そして、オフセットデータOの読み出し処理では、放射線画像撮影前の各放射線検出素子7のリセット処理から電荷蓄積状態を経て本画像データDの読み出し処理が行われるまでの一連の処理シーケンス(図15等参照)と同じ処理シーケンスを繰り返してオフセットデータOの読み出し処理が行われるようになっている。
【0198】
なお、以下の非連携方式の場合も同様であるが、この場合、電荷蓄積状態では、放射線画像撮影装置1に対して放射線は照射されない。
【0199】
また、図示を省略するが、例えば各放射線画像撮影を非連携方式で行った場合も同様に、最後の回の本画像データDの読み出し処理が終了した後、オフセットデータOの読み出し処理が行われる。
【0200】
そして、オフセットデータOの読み出し処理では、放射線画像撮影前の照射開始検出用の画像データdの読み出し処理(図17等参照)や、リークデータdleakの読み出し処理および各放射線検出素子7のリセット処理(図22等参照)が行われた後、電荷蓄積状態を経て本画像データDの読み出し処理が行われるまでの処理シーケンスと同じ処理シーケンスを繰り返して、オフセットデータOの読み出し処理が行われるようになっている。
【0201】
そして、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、オフセットデータOの読み出し処理で各放射線検出素子7ごとに読み出された各オフセットデータOに対して、例えば上記の圧縮手法1により信号線方向等に隣接する放射線検出素子7のオフセットデータO同士の差分ΔOを算出し、各差分ΔOをハフマン符号化等により可逆圧縮して、コンソール58に送信するようになっている。
【0202】
[コンソールでの処理について]
次に、コンソール58における処理について説明する。
【0203】
本実施形態では、コンソール58は、前述したように、放射線画像撮影装置1からプレビュー画像用のデータとしての間引きデータDt(図25や図31参照)に関する圧縮された各差分(すなわちハフマンコードHc)が送信されてくると、それを伸長し、図31に示したような各間引きデータDtを復元する。
【0204】
そして、復元した間引きデータDtに基づいてプレビュー画像p_preを生成して、生成したプレビュー画像p_preを表示部58a(図11や図12参照)上に表示するようになっている。なお、表示部58a上に表示されたプレビュー画像p_preに基づいて放射線技師がそれを承認する操作や否認する操作を行うこと、および操作がなされた際のコンソール58等における処理については前述した通りである。
【0205】
一方、コンソール58は、放射線画像撮影装置1から、圧縮された差分ΔDや圧縮された差分ΔDk-1,k(すなわちハフマンコードHc)が送信されてくると、それらの圧縮された各差分ΔD等を伸長して、元の各差分ΔD等を復元する。なお、そのため、コンソール58には、放射線画像撮影装置1が有するハフマン辞書と同じハフマン辞書が備えられている。
【0206】
そして、コンソール58は、伸長して復元された元の差分ΔD等と、既に復元した本画像データDとを加算して、元の本画像データDを復元していくようになっている。
【0207】
具体的には、例えば放射線画像撮影装置1の制御手段22が上記の圧縮手法1により信号線方向の差分ΔDを算出して圧縮した場合、コンソール58は、まず、予め所定値が割り当てられたD(0,n)と、伸長した差分ΔD(1,n)とを、上記(1)式の逆演算である下記(4)式に従って加算して、元の本画像データD(1,n)を復元する。
D(1,n)=D(0,n)+ΔD(1,n) …(4)
【0208】
続いて、差分ΔD(2,n)を伸長すると、上記のように復元した元の本画像データD(1,n)と伸長した差分ΔD(2,n)とを、上記と同様にして加算して、元の本画像データD(2,n)を復元する。
【0209】
このようにして、差分ΔD(m,n)を伸長するごとに、復元した元の本画像データD(m−1,n)と伸長した差分ΔD(m,n)とを、上記(1)式の逆演算である下記(5)式に従って加算して、元の本画像データD(m,n)を復元していくように構成される。
D(m,n)=D(m−1,n)+ΔD(m,n) …(5)
【0210】
また、例えば放射線画像撮影装置1の制御手段22が上記の圧縮手法1により走査線方向の差分ΔDを算出して圧縮した場合にも同様にして、コンソール58は、予め所定値が割り当てられたD(m,0)や、上記(2)式の逆演算である下記(6)式に従って、既に復元した元の本画像データD(m,n−1)(或いはD(m,0))と伸長した差分ΔD(m,n)とを次々と加算して、元の本画像データD(m,n)を復元していくように構成される。
D(m,n)=D(m,n−1)+ΔD(m,n) …(6)
【0211】
また、例えば放射線画像撮影装置1の制御手段22が上記の圧縮手法2により差分ΔDk-1,kを算出して圧縮した場合には、コンソール58は、1回目の撮影で得られた各本画像データD(m,n)については、上記のようにして元の本画像データD(m,n)を復元する。
【0212】
そして、コンソール58は、2回目以降のk回目の撮影で得られた本画像データDk(m,n)については、各放射線検出素子7(m,n)ごとに、伸長した差分ΔDk-1,kと、既に復元したk−1回目の撮影で得られた本画像データDk-1(m,n)とを、上記(3)式の逆演算である下記(7)式に従って加算して、元の本画像データDk(m,n)を復元していくように構成される。
Dk(m,n)=Dk-1(m,n)+ΔDk-1,k(m,n) …(7)
【0213】
また、コンソール58は、放射線画像撮影装置1から送信されてきたオフセットデータOに関する圧縮されたデータ(すなわち上記の各差分ΔO)についても同様に伸長処理および復元処理を行って、各放射線検出素子7ごとに元のオフセットデータOを復元するようになっている。
【0214】
そして、コンソール58は、復元した各回の各本画像データDについて、本画像データDからオフセットデータOを減算していわゆる真の画像データD*をそれぞれ算出し、算出した真の画像データD*に対してゲイン補正やオフセット補正、欠陥画素補正、撮影部位に応じた諧調処理等の処理を行って、一連の放射線画像撮影の各回の撮影ごとに、最終的な放射線画像pを生成するようになっている。
【0215】
一方、本実施形態では、コンソール58は、以上のようにして、一連の放射線画像撮影の各回の撮影ごとに放射線画像pを生成すると、生成した各放射線画像pに対して、その基となった各本画像データDに対応付けられた時間間隔ΔTの情報をそれぞれ対応付けるようになっている。
【0216】
すなわち、コンソール58は、一連の複数の放射線画像撮影でk回目に撮影された放射線画像pに対して、その基となったk回目の本画像データDに対応付けられていた時間間隔ΔTk-1,k(図23や図26参照)を対応付けるようになっている。
【0217】
その際、例えば、上記の[対応付けの手法1]の場合と同様に、各放射線画像pのヘッダ部分にそれぞれ対応する時間間隔ΔTの情報を書き込むように構成してもよい。また、例えば、上記の[対応付けの手法2]の場合と同様に、各放射線画像pの周縁部分等の所定の画素部分に時間間隔ΔTの情報を書き込むように構成することも可能である。
【0218】
いずれにせよ、具体的な対応付けの仕方については、一連の撮影で得られた各放射線画像pすなわち各静止画像を準動画的に再生する画像表示装置(或いはコンソール58)側が要求する方式に従って対応付けられる。
【0219】
そして、このようにして各静止画像に時間間隔ΔTを対応付けることで、画像表示装置は、各静止画像に対応付けられた時間間隔ΔTに従って各静止画像を再生することで、膨張したり収縮したりする肺等の臓器の動きを、放射線画像撮影装置1が撮影した時間間隔ΔTで再生することが可能となり、一連の放射線画像撮影で得られた各静止画像を的確に準動画的に表示することが可能となる。
【0220】
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50によれば、放射線画像撮影装置1の制御手段22で、一連の複数の放射線画像撮影が行われる際の各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔ΔTをそれぞれ計測し、計測した各時間間隔ΔTの情報を、対応する各本画像データD或いはその差分ΔDの圧縮データに対応付けてコンソール58に送信する。また、コンソール58では、本画像データDに基づいて生成した各放射線画像pに、各本画像データDに対応付けられた各時間間隔ΔTの情報をそれぞれ対応付ける。
【0221】
そのため、従来の放射線画像撮影装置のように、動画を撮影するための付加機能モジュールを筐体2内に設けなくても、制御手段22で各撮影の時間間隔ΔTを計測するだけで、一連の撮影で得られた各放射線画像pすなわち各静止画像を準動画的に表示する際の表示の時間間隔ΔTの情報を的確に取得することが可能となる。
【0222】
そのため、従来の静止画像のみを撮影する放射線画像撮影装置1を用いて、動きのある被写体等を的確に準動画として撮影することが可能となる。また、放射線発生装置55(図11や図12参照)側に、時間間隔ΔTを計測するような改造を施す必要がなくなり、放射線画像撮影装置1側で時間間隔ΔTを計測することが可能となる。
【0223】
また、コンソール58で、各回の放射線画像撮影で得られた本画像データD等に基づいて生成した各放射線画像pすなわち各静止画像に、各放射線画像pの基となった本画像データDに対応付けられていた時間間隔ΔTの情報をそれぞれ対応付ける。
【0224】
そのため、一連の撮影で得られた各放射線画像pすなわち各静止画像を準動画的に再生する画像表示装置(或いはコンソール58)は、各静止画像に対応付けられた時間間隔ΔTに従って各静止画像を再生することで、膨張したり収縮したりする肺等の臓器の動きを、放射線画像撮影装置1が撮影した時間間隔ΔTで再生することが可能となる。
【0225】
そのため、コンソール58で各静止画像に時間間隔ΔTの情報をそれぞれ対応付けることで、画像表示装置に、一連の放射線画像撮影で得られた各静止画像を的確に準動画的に表示させることが可能となる。
【0226】
なお、準動画を撮影するために放射線発生装置55の放射線源52(図11や図12参照)から放射線を照射させる際に、放射線技師が毎回、曝射スイッチ56を操作して放射線を照射させてもよく、また、放射線発生装置55が自動的に所定のタイミングで放射線源52から放射線を照射させるように構成することも可能である。
【0227】
上記の実施形態に係る放射線画像撮影装置1では、これらのいずれの場合においても、放射線画像撮影装置1で、一連の放射線画像撮影における各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔ΔTが的確に計測される。
【符号の説明】
【0228】
1 放射線画像撮影装置
5 走査線
6 信号線
7、(m,n) 放射線検出素子
8 TFT(スイッチ手段)
15 走査駆動手段
17 読み出し回路
22 制御手段
39 コネクター(通信手段)
41 アンテナ装置(通信手段)
50 放射線画像撮影システム
52 放射線源
55 放射線発生装置
58 コンソール
58a 表示部
D 本画像データ(画像データ)
d 照射開始検出用の画像データ
dleak リークデータ
dleak_th 閾値
Dt 間引きデータ
dth 閾値
P 検出部
p 放射線画像
p_pre プレビュー画像
q 電荷
r 小領域
ΔD、ΔDk-1,k 差分
ΔT 時間間隔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
前記各走査線にオン電圧またはオフ電圧を印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
外部装置と通信可能な通信手段と、
を備える放射線画像撮影装置と、
前記放射線画像撮影装置に対して放射線を照射する放射線源を備える放射線発生装置と、
前記放射線画像撮影装置から送信されてきた前記画像データに基づいて放射線画像を生成するコンソールと、
を備え、
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、一連の複数の放射線画像撮影が行われる際に、各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔をそれぞれ計測し、当該一連の複数の放射線画像撮影で得られた前記各画像データを前記コンソールに送信する際に、前記各時間間隔の情報を対応する前記各画像データに対応付けて前記コンソールに送信し、
前記コンソールは、前記放射線画像撮影装置から送信されてきた前記画像データに基づいて生成した前記各放射線画像に、前記各画像データに対応付けられた前記各時間間隔の情報をそれぞれ対応付けることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項2】
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、
前記放射線発生装置の前記放射線源から放射線が照射されている間は、前記走査駆動手段から前記各走査線にオフ電圧を印加して放射線の照射により発生した電荷を前記各放射線検出素子内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させ、その後、前記各放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせるように構成されており、
前記各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔として、各回の放射線画像撮影において前記画像データの読み出し処理を開始した時点同士または前記画像データの読み出し処理を終了した時点同士の時間間隔、または、各回の放射線画像撮影において前記電荷蓄積状態に移行させた時点同士の時間間隔をそれぞれ計測することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項3】
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、前記各時間間隔の情報を、対応する前記各画像データのヘッダ部分にそれぞれ書き込んで前記コンソールに送信し、
前記コンソールは、送信されてきた前記各画像データのヘッダ部分にそれぞれ書き込まれた前記時間間隔の情報を読み出し、読み出した前記各時間間隔の情報をそれぞれ生成した前記各放射線画像に対応付けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、前記各時間間隔の情報を、対応する前記各画像データの所定の画素部分に書き込んで前記コンソールに送信し、
前記コンソールは、送信されてきた前記各画像データの前記所定の画素部分にそれぞれ書き込まれた前記時間間隔の情報を読み取り、読み取った前記各時間間隔の情報をそれぞれ生成した前記各放射線画像に対応付けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、前記一連の複数の放射線画像撮影における各放射線画像撮影ごとに、
放射線画像撮影の前に、前記走査駆動手段から前記各走査線にオフ電圧を印加して前記各スイッチ手段をオフ状態とした状態で前記各スイッチ手段を介して前記各放射線検出素子からリークした前記電荷をリークデータに変換するリークデータの読み出し処理と、前記走査駆動手段から前記各走査線にオン電圧を順次印加して行う前記各放射線検出素子のリセット処理とを交互に行わせ、
読み出した前記リークデータが閾値を越えた時点で放射線の照射が開始されたことを検出すると、前記走査駆動手段から前記各走査線にオフ電圧を印加して放射線の照射により発生した電荷を前記各放射線検出素子内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行した後、前記各放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項6】
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、前記一連の複数の放射線画像撮影における各放射線画像撮影ごとに、
放射線画像撮影前に、前記走査駆動手段から前記各走査線にオン電圧を順次印加して照射開始検出用の前記画像データの読み出し処理を行わせ、
読み出した前記画像データが閾値を越えた時点で放射線の照射が開始されたことを検出すると、前記走査駆動手段から前記各走査線にオフ電圧を印加して放射線の照射により発生した電荷を前記各放射線検出素子内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行した後、前記各放射線検出素子からの本画像としての前記画像データの読み出し処理を行わせることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項7】
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、前記一連の複数の放射線画像撮影が行われる際に、前記各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔として、前記放射線画像撮影前のリークデータの読み出し処理または照射開始検出用の画像データの読み出し処理において放射線の照射が開始されたことを検出した時点同士の時間間隔をそれぞれ計測することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項8】
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、前記一連の複数の放射線画像撮影のうち、1回目の放射線画像撮影で読み出された前記画像データの中から所定の割合でデータを間引いた間引きデータを、プレビュー画像用のデータとして前記コンソールに送信し、
前記コンソールは、前記間引きデータに基づいて表示部上にプレビュー画像を表示し、当該プレビュー画像が否認された場合には、前記放射線画像撮影装置に、前記一連の複数の放射線画像撮影における一連の処理を停止させることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項9】
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、個々の前記各放射線検出素子について、前記一連の複数の放射線画像撮影のうち、ある回の放射線画像撮影で読み出された前記画像データと次の回の放射線画像撮影で読み出された前記画像データとの差分をそれぞれ算出し、算出した前記各放射線検出素子ごとの前記各差分を可逆圧縮して前記コンソールに送信し、
前記コンソールは、前記放射線画像撮影装置から送信されてきた圧縮された前記各差分を伸長し、個々の前記各放射線検出素子について、復元したある回の放射線画像撮影での前記画像データに、伸長した前記差分を加算することで、次の回の放射線画像撮影での前記画像データを復元するようにして、前記一連の複数の放射線画像撮影で前記各放射線検出素子ごとに読み出された前記各画像データを復元することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項10】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
前記各走査線にオン電圧またはオフ電圧を印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
外部装置と通信可能な通信手段と、
を備え、
前記制御手段は、一連の複数の放射線画像撮影が行われる際に、各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔をそれぞれ計測し、当該一連の複数の放射線画像撮影で得られた前記各画像データをコンソールに送信する際に、前記各時間間隔の情報を対応する前記各画像データに対応付けて前記コンソールに送信することを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項1】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
前記各走査線にオン電圧またはオフ電圧を印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
外部装置と通信可能な通信手段と、
を備える放射線画像撮影装置と、
前記放射線画像撮影装置に対して放射線を照射する放射線源を備える放射線発生装置と、
前記放射線画像撮影装置から送信されてきた前記画像データに基づいて放射線画像を生成するコンソールと、
を備え、
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、一連の複数の放射線画像撮影が行われる際に、各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔をそれぞれ計測し、当該一連の複数の放射線画像撮影で得られた前記各画像データを前記コンソールに送信する際に、前記各時間間隔の情報を対応する前記各画像データに対応付けて前記コンソールに送信し、
前記コンソールは、前記放射線画像撮影装置から送信されてきた前記画像データに基づいて生成した前記各放射線画像に、前記各画像データに対応付けられた前記各時間間隔の情報をそれぞれ対応付けることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項2】
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、
前記放射線発生装置の前記放射線源から放射線が照射されている間は、前記走査駆動手段から前記各走査線にオフ電圧を印加して放射線の照射により発生した電荷を前記各放射線検出素子内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させ、その後、前記各放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせるように構成されており、
前記各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔として、各回の放射線画像撮影において前記画像データの読み出し処理を開始した時点同士または前記画像データの読み出し処理を終了した時点同士の時間間隔、または、各回の放射線画像撮影において前記電荷蓄積状態に移行させた時点同士の時間間隔をそれぞれ計測することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項3】
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、前記各時間間隔の情報を、対応する前記各画像データのヘッダ部分にそれぞれ書き込んで前記コンソールに送信し、
前記コンソールは、送信されてきた前記各画像データのヘッダ部分にそれぞれ書き込まれた前記時間間隔の情報を読み出し、読み出した前記各時間間隔の情報をそれぞれ生成した前記各放射線画像に対応付けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、前記各時間間隔の情報を、対応する前記各画像データの所定の画素部分に書き込んで前記コンソールに送信し、
前記コンソールは、送信されてきた前記各画像データの前記所定の画素部分にそれぞれ書き込まれた前記時間間隔の情報を読み取り、読み取った前記各時間間隔の情報をそれぞれ生成した前記各放射線画像に対応付けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、前記一連の複数の放射線画像撮影における各放射線画像撮影ごとに、
放射線画像撮影の前に、前記走査駆動手段から前記各走査線にオフ電圧を印加して前記各スイッチ手段をオフ状態とした状態で前記各スイッチ手段を介して前記各放射線検出素子からリークした前記電荷をリークデータに変換するリークデータの読み出し処理と、前記走査駆動手段から前記各走査線にオン電圧を順次印加して行う前記各放射線検出素子のリセット処理とを交互に行わせ、
読み出した前記リークデータが閾値を越えた時点で放射線の照射が開始されたことを検出すると、前記走査駆動手段から前記各走査線にオフ電圧を印加して放射線の照射により発生した電荷を前記各放射線検出素子内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行した後、前記各放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項6】
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、前記一連の複数の放射線画像撮影における各放射線画像撮影ごとに、
放射線画像撮影前に、前記走査駆動手段から前記各走査線にオン電圧を順次印加して照射開始検出用の前記画像データの読み出し処理を行わせ、
読み出した前記画像データが閾値を越えた時点で放射線の照射が開始されたことを検出すると、前記走査駆動手段から前記各走査線にオフ電圧を印加して放射線の照射により発生した電荷を前記各放射線検出素子内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行した後、前記各放射線検出素子からの本画像としての前記画像データの読み出し処理を行わせることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項7】
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、前記一連の複数の放射線画像撮影が行われる際に、前記各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔として、前記放射線画像撮影前のリークデータの読み出し処理または照射開始検出用の画像データの読み出し処理において放射線の照射が開始されたことを検出した時点同士の時間間隔をそれぞれ計測することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項8】
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、前記一連の複数の放射線画像撮影のうち、1回目の放射線画像撮影で読み出された前記画像データの中から所定の割合でデータを間引いた間引きデータを、プレビュー画像用のデータとして前記コンソールに送信し、
前記コンソールは、前記間引きデータに基づいて表示部上にプレビュー画像を表示し、当該プレビュー画像が否認された場合には、前記放射線画像撮影装置に、前記一連の複数の放射線画像撮影における一連の処理を停止させることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項9】
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、個々の前記各放射線検出素子について、前記一連の複数の放射線画像撮影のうち、ある回の放射線画像撮影で読み出された前記画像データと次の回の放射線画像撮影で読み出された前記画像データとの差分をそれぞれ算出し、算出した前記各放射線検出素子ごとの前記各差分を可逆圧縮して前記コンソールに送信し、
前記コンソールは、前記放射線画像撮影装置から送信されてきた圧縮された前記各差分を伸長し、個々の前記各放射線検出素子について、復元したある回の放射線画像撮影での前記画像データに、伸長した前記差分を加算することで、次の回の放射線画像撮影での前記画像データを復元するようにして、前記一連の複数の放射線画像撮影で前記各放射線検出素子ごとに読み出された前記各画像データを復元することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項10】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
前記各走査線にオン電圧またはオフ電圧を印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
外部装置と通信可能な通信手段と、
を備え、
前記制御手段は、一連の複数の放射線画像撮影が行われる際に、各回の放射線画像撮影ごとの時間間隔をそれぞれ計測し、当該一連の複数の放射線画像撮影で得られた前記各画像データをコンソールに送信する際に、前記各時間間隔の情報を対応する前記各画像データに対応付けて前記コンソールに送信することを特徴とする放射線画像撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2013−372(P2013−372A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134806(P2011−134806)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】
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