説明

放射線画像撮影方法、放射線画像撮影システム及び放射線画像撮影用プログラム

【課題】 放射線撮影の対象の患者の体型に合わせる等のために放射線画像検出器を撮影直前に選択した場合でも患者と放射線画像検出器とを正確に対応づけることが可能な放射線画像撮影方法、放射線画像撮影システム及び放射線画像撮影用プログラムを提供する。
【解決手段】 この放射線画像撮影方法は、被写体である患者に対する放射線撮影による放射線画像を放射線画像検出器で検出し、前記放射線画像検出器から放射線画像情報を制御装置が受信するものであり、患者情報を入力するステップS01と、撮影対象の患者を選択するステップS03と、患者に対する放射線画像の撮影後に放射線画像検出器で放射線画像を生成し、その生成した放射線画像を制御装置に送るステップS08と、制御装置で受信した放射線画像を選択された患者の患者情報と対応付けるステップS09と、を含む

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影による放射線画像を放射線画像検出器で検出する放射線画像撮影方法、放射線画像撮影システム及び放射線画像撮影用プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、X線やγ線等の放射線源から放射線を医療検査等のために人体等の被写体に照射し、被写体の透過線量に応じた放射線画像を得ている。例えば、被写体の透過線量に応じて蛍光板などの波長変換体で受光部の感光波長域に波長変換し、これを受光素子により電気信号に変換して、電気情報として画像情報を得るようにした撮像装置が公知である(下記特許文献1参照)。かかる撮像装置は、放射線画像撮影用カセッテと同様のフラットパネル状に構成される場合には、放射線画像検出器の一種としてFPD(フラットパネルディテクタ)とも称される。
【0003】
上述のFPD等で生成された放射線画像情報は制御装置に転送されて画像処理等が行われる。病院施設や検査施設等では、通常、下記特許文献2のように患者の登録を撮影室の制御装置で行うが、多数の患者の放射線撮影を行うときに患者の体型が異なる場合があり、使用するFPD等の大きさが撮影の直前まで決まらないことがあり、直前になって変更されることがある。このため、多数の患者を多数のFPD等を用いて撮影する場合、撮影された放射線画像と被写体を間違えるおそれが生じてしまう。
【特許文献1】特開平11−345956号公報
【特許文献2】特開2000−245719公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、放射線撮影の対象の被写体の体型に合わせる等のために放射線画像検出器を撮影直前に選択した場合でも被写体と放射線画像検出器とを正確に対応づけることが可能な放射線画像撮影方法、放射線画像撮影システム及び放射線画像撮影用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明による第1の放射線画像撮影方法は、被写体に対する放射線撮影による放射線画像を放射線画像検出器で検出し、前記放射線画像検出器から放射線画像情報を制御装置が受信する放射線画像撮影方法であって、被写体情報を入力するステップと、撮影対象の被写体を選択するステップと、前記被写体に対する放射線画像の撮影後に前記放射線画像検出器で放射線画像を生成し、その生成した放射線画像を前記制御装置に送るステップと、前記制御装置で受信した放射線画像を前記選択された被写体の被写体情報と対応付けるステップと、を含むことを特徴とする。
【0006】
この第1の放射線画像撮影方法によれば、入力された被写体情報から撮影対象の被写体を選択すると、その被写体に対する放射線画像の撮影後に放射線画像検出器で生成した放射線画像を制御装置に送り、制御装置において受信した放射線画像を選択された被写体の被写体情報と対応付けるので、放射線撮影の対象の被写体の体型に合わせるため等の理由で放射線画像検出器を撮影直前に選択した場合でも、被写体と放射線画像検出器とを正確に対応づけることができ、撮影された放射線画像と被写体を間違えるおそれは生じない。
【0007】
本発明による第2の放射線画像撮影方法は、被写体に対する放射線撮影による放射線画像を放射線画像検出器で検出し、前記放射線画像検出器から放射線画像情報を制御装置が受信する放射線画像撮影方法であって、複数の被写体情報を外部から受信するステップと、撮影対象の被写体を選択するステップと、前記被写体に対する放射線画像の撮影後に前記放射線画像検出器で放射線画像を生成し、その生成した放射線画像を前記制御装置に送るステップと、前記制御装置で受信した放射線画像を前記選択された被写体の被写体情報と対応付けるステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
この第2の放射線画像撮影方法によれば、外部から受信した被写体情報から撮影対象の被写体を選択すると、その被写体に対する放射線画像の撮影後に放射線画像検出器で生成した放射線画像を制御装置に送り、制御装置において受信した放射線画像を選択された被写体の被写体情報と対応付けるので、放射線撮影の対象の被写体の体型に合わせるため等の理由で放射線画像検出器を撮影直前に選択した場合でも、被写体と放射線画像検出器とを正確に対応づけることができ、撮影された放射線画像と被写体を間違えるおそれは生じない。
【0009】
上記第1及び第2の放射線画像撮影方法において前記生成した放射線画像は、前記制御装置に受信されるまでは前記被写体情報と対応付けられていないようにする。
【0010】
また、前記被写体の選択を前記被写体情報から前記制御装置で被写体を指定することで行うと、前記制御装置がその選択された被写体の放射線画像の受信待機の状態となるようにすることが好ましい。このように、制御装置側で被写体を指定し、制御装置がその被写体の放射線画像の受信待ちの状態となることで、制御装置で受信した放射線画像を選択された被写体の被写体情報と対応付けることができる。
【0011】
また、前記被写体の選択は、被写体の有する非接触記憶媒体から読み取られた被写体情報に基づいて行われるようにしてもよい。
【0012】
また、前記放射線画像検出器がカセッテタイプである場合、多数のカセッテタイプの放射線画像検出器があっても、放射線撮影の対象の多数の被写体と放射線画像検出器とを正確に対応づけることができるので、対象の被写体の放射線撮影を行う放射線画像検出器を間違えるおそれがない。
【0013】
本発明による第1の放射線画像撮影システムは、被写体に対する放射線撮影による放射線画像を検出する放射線画像検出器と、前記放射線画像検出器と接続可能である制御装置と、を含み、前記放射線画像検出器は、生成した放射線画像を前記制御装置に転送する手段を備え、前記制御装置は、被写体情報を入力する手段と、撮影対象の被写体を選択する手段と、前記放射線画像検出器から転送されてきた放射線画像を前記選択された被写体の被写体情報と対応付ける手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
この第1の放射線画像撮影システムによれば、入力された被写体情報から撮影対象の被写体を選択すると、その被写体に対する放射線画像の撮影後に放射線画像検出器で生成した放射線画像を制御装置に送り、制御装置において受信した放射線画像を選択された被写体の被写体情報と対応付けるので、放射線撮影の対象の被写体の体型に合わせるため等の理由で放射線画像検出器を撮影直前に選択した場合でも、被写体と放射線画像検出器とを正確に対応づけることができ、撮影された放射線画像と被写体を間違えるおそれは生じない。
【0015】
本発明による第2の放射線画像撮影システムは、被写体に対する放射線撮影による放射線画像を検出する放射線画像検出器と、前記放射線画像検出器と接続可能である制御装置と、を含み、前記放射線画像検出器は、生成した放射線画像を前記制御装置に転送する手段を備え、前記制御装置は、複数の被写体情報を外部から受信する手段と、撮影対象の被写体を選択する手段と、前記放射線画像検出器から転送されてきた放射線画像を前記選択された被写体の被写体情報と対応付ける手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
この第2の放射線画像撮影システムによれば、外部から受信した被写体情報から撮影対象の被写体を選択すると、その被写体に対する放射線画像の撮影後に放射線画像検出器で生成した放射線画像を制御装置に送り、制御装置において受信した放射線画像を選択された被写体の被写体情報と対応付けるので、放射線撮影の対象の被写体の体型に合わせるため等の理由で放射線画像検出器を撮影直前に選択した場合でも、被写体と放射線画像検出器とを正確に対応づけることができ、撮影された放射線画像と被写体を間違えるおそれは生じない。
【0017】
上記第1及び第2の放射線画像撮影システムにおいて、前記制御装置は前記被写体情報から被写体が指定されることで被写体の選択を行うことで、その選択された被写体の放射線画像の受信待機の状態となるように構成されることが好ましい。このように、制御装置側で被写体を指定し、制御装置がその被写体の放射線画像の受信待ちの状態となることで、制御装置で受信した放射線画像を選択された被写体の被写体情報と対応付けることができる。
【0018】
また、被写体の有する非接触記憶媒体から被写体情報を読み取る手段を備え、前記読み取られた被写体情報に基づいて被写体の選択が行われるように構成してもよい。
影システム。
【0019】
また、前記放射線画像検出器がカセッテタイプである場合、多数のカセッテタイプの放射線画像検出器があっても、放射線撮影の対象の多数の被写体と放射線画像検出器とを正確に対応づけることができるので、対象の被写体の放射線撮影を行う放射線画像検出器を間違えるおそれがない。
【0020】
本発明による第1のプログラムは、被写体に対する放射線撮影による放射線画像を放射線画像検出器で検出し、前記放射線画像検出器から放射線画像情報を受信する制御装置が備えるコンピュータのためのプログラムであって、被写体情報を入力するステップと、撮影対象の被写体を選択するステップと、前記被写体に対する放射線画像の撮影後に前記放射線画像検出器で放射線画像を生成し、その生成した放射線画像を前記制御装置に送るステップと、前記制御装置で受信した放射線画像を前記選択された被写体の被写体情報と対応付けるステップと、を前記コンピュータに実行させるための放射線画像撮影用プログラムである。
【0021】
この第1の放射線画像撮影用プログラムによれば、入力された被写体情報から撮影対象の被写体を選択すると、その被写体に対する放射線画像の撮影後に放射線画像検出器で生成した放射線画像を制御装置に送り、制御装置において受信した放射線画像を選択された被写体の被写体情報と対応付けるので、放射線撮影の対象の被写体の体型に合わせるため等の理由で放射線画像検出器を撮影直前に選択した場合でも、被写体と放射線画像検出器とを正確に対応づけることができ、撮影された放射線画像と被写体を間違えるおそれは生じない。
【0022】
本発明による第2のプログラムは、被写体に対する放射線撮影による放射線画像を放射線画像検出器で検出し、前記放射線画像検出器から放射線画像情報を受信する制御装置が備えるコンピュータのためのプログラムであって、複数の被写体情報を外部から受信するステップと、撮影対象の被写体を選択するステップと、前記被写体に対する放射線画像の撮影後に前記放射線画像検出器で放射線画像を生成し、その生成した放射線画像を前記制御装置に送るステップと、前記制御装置で受信した放射線画像を前記選択された被写体の被写体情報と対応付けるステップと、を前記コンピュータに実行させるための放射線画像撮影用プログラムである。
【0023】
この第2の放射線画像撮影用プログラムによれば、外部から受信した被写体情報から撮影対象の被写体を選択すると、その被写体に対する放射線画像の撮影後に放射線画像検出器で生成した放射線画像を制御装置に送り、制御装置において受信した放射線画像を選択された被写体の被写体情報と対応付けるので、放射線撮影の対象の被写体の体型に合わせるため等の理由で放射線画像検出器を撮影直前に選択した場合でも、被写体と放射線画像検出器とを正確に対応づけることができ、撮影された放射線画像と被写体を間違えるおそれは生じない。
【0024】
上記第1及び第2の放射線画像撮影用プログラムにおいて前記生成した放射線画像は、前記制御装置に受信されるまでは前記被写体情報と対応付けられていないようにする。
【0025】
また、前記被写体の選択を前記被写体情報から前記制御装置で被写体を指定することで行うと、前記制御装置がその選択された被写体の放射線画像の受信待機の状態となるようにすることが好ましい。このように、制御装置側で被写体を指定し、制御装置がその被写体の放射線画像の受信待ちの状態となることで、制御装置で受信した放射線画像を選択された被写体の被写体情報と対応付けることができる。
【0026】
また、前記被写体の選択は、患者の有する非接触記憶媒体から読み取られた被写体情報に基づいて行われるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の放射線画像撮影方法、放射線画像撮影システム及び放射線画像撮影用プログラムによれば、放射線撮影の対象の被写体の体型に合わせる等のために放射線画像検出器を撮影直前に選択した場合でも、被写体と放射線画像検出器とを正確に対応づけることができ、撮影された放射線画像と被写体を間違えるおそれは生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。図1は本実施の形態による放射線画像撮影システムにおいて選択された患者と放射線画像検出器とを対応付ける様子を説明するための模式図である。図5は図1で選択した放射線画像検出器で放射線撮影を行う放射線画像撮影システムを概略的に示す図である。図6は図1の放射線画像撮影システムを概略的に示すブロック図である。
【0029】
図1に示すように、本実施の形態による放射線画像撮影システムは、放射線撮影や放射線画像に関する各種制御を行うためのパーソナルコンピュータ(パソコン)からなる制御装置1を撮影室に備え、また、フラットパネル状の放射線画像検出器5として、複数のFPD(フラットパネルディテクタ)5a,5b,5c,5d,5e,5fが用意されている。
【0030】
制御装置1は、液晶デスプレイやCRT等からなる画面3に各種情報や画像を表示する表示部2と、無線で外部のFPD等と通信を行うPC通信部4と、マウス等のポインティングデバイスやキーボード等の入力装置(図示省略)と、を備える。各FPD5a〜5fは、制御装置1のPC通信部4と無線通信が可能な検出器通信部35(図3参照)を備える。制御装置1は、図1の破線で示すように、撮影室の外に設置され、PC通信部4は撮影室内に設置されている。
【0031】
受付で登録した患者が撮影室に来ると、放射線技師は患者名を確認する。患者名等の患者情報は、予め制御装置1に入力しておくことができるが、撮影室に来たときに入力するようにしてもよい。入力された放射線撮影予定の患者名の一覧を図1のように画面3に表示させ、画面3上で放射線撮影を行う患者(例えば、○山△夫)を選択し制御装置1に入力する。これにより、制御装置1は、選択した患者(例えば、○山△夫)についてFPDで生成した放射線画像の受信待機状態となるように構成され、この受信待機状態では患者とFPDの対応付けは未だ行われない。
【0032】
放射線技師は、その患者の体型や撮影部位等に合わせて放射線撮影用のFPDを選択し、例えば、図1のように複数のFPD5a〜5fの中からFPD5aを選択し、FPD5aでその患者の放射線撮影を行い、その後、FPD5aで生成した放射線画像をデータ無線信号mとして制御装置1に転送することで、受信した制御装置1は、その放射線画像とその患者とを対応付けることができるように構成されている。
【0033】
なお、FPD5aから放射線画像を転送する場合、FPDの検出器識別信号も転送するので、制御装置1が患者の放射線画像を受信すると、例えば、画面3の患者名(例えば、○山△夫)の隣りに、その検出器識別信号に基づいてFPD5aに対応するFPDの照合番号である「FPD001」を表示できる。
【0034】
また、放射線技師の患者名の確認及び入力は、例えば患者のIDカードやカルテや衣類の一部や腕輪等に備え付けた無線ICタグから患者情報を図1の破線で示す無線ICタグ読取部1aで読み取ることで、自動的に行うようにでき、図1のように、画面3にその患者名が自動的に表示されるように構成してもよい。
【0035】
図5の放射線画像撮影システムは、ベット110上で臥位状態にある放射線撮影の被写体の患者Pとベット110との間に放射線画像検出器5として図1のFPD5aを挟むようにして配置し、患者Pに対し放射線発生制御装置102で制御された放射線源101から放射線(X線)100を照射し、患者Pの撮影対象部位を透過した透過放射線がベット110と患者Pとの間のFPD5aにより検出されるようになっている。
【0036】
なお、放射線源101は、一般に固定陽極あるいは回転陽極X線管が用いられ、X線管は陽極の負荷電圧が医療の場合は、例えば20kVから150kVとされる。
【0037】
図5,図6のように、放射線画像検出器5(FPD5a〜5e)は、その透過放射線の検出結果に基づいて放射線画像データを生成し、メモリ部31に保存するとともに、その生成した放射線画像データをデータ無線信号mとして検出器通信部35から無線で転送先の制御装置1に転送するようになっている。
【0038】
図5のように、制御装置1は、例えば病院内のネットワーク50を介して、液晶デスプレイやCRT等からなる画像表示部を有する画像表示装置51,画像データを保存し管理するデータベースサーバ52,フィルムに画像を可視像化して出力するプリンタ53及びHIS(病院情報システム)/RIS(放射線部情報システム)54,全体の管理のために各制御装置1の制御を行うホスト制御装置55と接続されている。放射線撮影の行う患者は、その撮影情報がその患者情報とともにHIS/RIS54に登録され、登録された患者情報・撮影情報を制御装置1が受信可能となっている。
【0039】
また、制御装置1は、図5,図6のように、放射線画像検出器5からの放射線画像データのデータ無線信号mをPC通信部4で受信し、表示部2の画面3にその放射線画像を表示するとともに、画像処理部7で所定の周波数処理や階調処理等の画像処理を行い、画像処理後の放射線画像データをメモリ部9に保存し、また、出力部8から診察室の画像表示装置51やデータベースサーバ52やプリンタ53等に出力するようになっている。
【0040】
また、患者名等の患者情報は、撮影室の外部のHIS/RIS54から患者情報・撮影情報を送信し、その患者情報等を制御装置1が受信することで、入力し登録でき、図1の画面3のように登録された患者名を表示することができる。
【0041】
上述のようにして、図1の放射線画像撮影システムでは、制御装置に入力され登録された患者について放射線撮影を行い、その放射線撮影による患者Pの放射線画像を放射線画像検出器5で検出し生成し制御装置1に転送し、制御装置1で画像処理し、診断可能な状態にして出力したり保存することができる。また、放射線画像検出器5で検出し生成した放射線画像をホスト制御装置55に転送し、ホスト制御装置55で画像処理し、診断可能な状態にして出力し保存することも可能である。
【0042】
なお、図1,図5の検出器通信部35とPC通信部4との間の無線通信は、電波を用いるが、本発明はこれに限定されず、赤外線通信や光通信を用いてもよい。
【0043】
次に、上述の図1の放射線画像検出器5について図2乃至図4を参照して説明する。図2は図1の放射線画像検出器を示すために部分的に破断して内部を見た斜視図である。図3は図2の放射線画像検出器の回路構成を示す図である。図4は図2の撮像パネルの一部断面図である。
【0044】
放射線画像検出器5は、フラットパネル状に可搬性に構成されたFPD(フラットパネルディテクタ)であり、放射線画像取得装置を構成するが、本発明者が先に特開2000−250152公報で開示した構成例を参照して説明する。
【0045】
図2に示すように、放射線画像検出器5は、撮像パネル21と、放射線画像検出器5の動作を制御する制御回路30と、フラッシュメモリ等による書き換え可能な読み出し専用メモリを用いて撮像パネル21から出力された画像信号を記憶するメモリ部31と、撮像パネル21を駆動して画像信号を得るために必要とされる電力を供給する電源部34と、放射線画像検出器5と図1のPC通信部4との間で無線により通信を行うための検出器通信部35と、を備え、これらが扁平な矩形状の筐体40内に収容されている。
【0046】
また、図2のように、筐体40の外表面には、放射線画像検出器5の動作を切り換えるための操作部32と、放射線画像の撮影準備の完了やメモリ部31に所定量の画像信号が書き込まれたことや患者名等の患者情報を表示する表示部33と、発光ダイオード等から構成される点灯部33aと、が配置されている。
【0047】
図3のように、撮像パネル21は、照射された放射線の強度に応じて蓄積された電気エネルギーを読み出す走査駆動回路25と、蓄積された電気エネルギーを画像信号として出力する信号選択回路27と、を有する。
【0048】
筐体40は、外部からの衝撃に耐えかつ重量ができるだけ軽い素材であるアルミニウムやアルミニウム合金から外形を構成することが好ましく、筐体40の放射線入射面側は、放射線を透過し易い非金属例えばカーボン繊維などを用いて構成する。また、放射線入射面とは逆である背面側においては、放射線が放射線画像検出器5を透過してしまうことを防ぐ目的や放射線画像検出器5を構成する素材が放射線を吸収することで生ずる2次放射線からの影響を防ぐために、放射線を効果的に吸収する材料例えば鉛板などを用いる。
【0049】
また、筐体40の内部では、走査駆動回路25、信号選択回路27、制御回路30、メモリ部31等は、放射線遮蔽部材(図示省略)で覆われており、筐体40の内部で放射線の散乱を生じたり、各回路に放射線が照射されることが防止される。電源部34は、例えばマンガン電池、ニッケル・カドミウム電池、水銀電池、鉛電池などの一次電池、充電可能なニッケルポリマー二次電池やリチウムイオンポリマー電池等の二次電池であってよく、この電池は、FPDを薄型化できるように平板状の形態が好ましい。
【0050】
図3のように、撮像パネル21には、シンチレータにより変換された可視光を検出し、この可視光を被写体の放射線画像を担持する画像信号に光電変換する光電変換素子412-(1,1)〜412-(m,n)が2次元配置されている。光電変換素子412間には走査線421-1〜421-mと信号線422-1〜422-nが例えば直交するように配設される。光電変換素子412-(1,1)には、1つのトランジスタ423-(1,1)が接続されている。このトランジスタ423-(1,1)は、例えば電界効果トランジスタが用いられており、ドレイン電極あるいはソース電極が光電変換素子412-(1,1)に接続されるとともに、ゲート電極は走査線421-1と接続される。ドレイン電極が光電変換素子412-(1,1)に接続されるときにはソース電極が信号線422-1と接続され、ソース電極が光電変換素子412-(1,1)に接続されるときにはドレイン電極が信号線422-1と接続される。このようにして1つの画素が形成される。
【0051】
他の光電変換素子412にも同様にトランジスタ423が接続されており、トランジスタ423のゲート電極には走査線421が接続されるとともに、ソース電極あるいはドレイン電極には信号線422が接続される。
【0052】
図4のように、光電変換素子412は、基板411の上にパターン成形した導電膜からなる信号線413とアモルファスシリコン層414と透明電極415とからなるフォトダイオードで構成されている。信号線413は、基板411上に形成された薄膜トランジスタ423のドレイン電極423d(またはソース電極423s)と接続される。また、薄膜トランジスタ423のゲート電極423gは走査線が接続され、ソース電極423s(またはドレイン電極423d)は信号線422と接続される。なお、ソース電極423s及びドレイン電極423dとゲート電極423g間にはゲート絶縁膜424と半導体層425が設けられている。
【0053】
光電変換素子412上には、蛍光体層(シンチレータ層)430が形成されており、場合によってはその裏面(X線源側)に支持体431が設けられている。なお、蛍光体層430の表面には後述するように保護層432が設けられており、蛍光体層430が光電変換素子412上に貼り付けられたときには、光電変換素子412と蛍光体層430間に保護層432が介在される。
【0054】
図3に示すように、撮像パネル21の走査線421-1〜421-mは、走査駆動回路25と接続されているとともに、信号線422-1〜422-nは電荷検出器425-1〜425-nと接続されている。ここで、走査駆動回路25から走査線421-1〜421-mのうちの1つ走査線421-p(pは1〜mのいずれかの値)に電荷読出信号RSが供給されると、この走査線421-pに接続されたトランジスタ423-(p,1)〜425-(p,n)がオン状態とされて、光電変換素子412-(p,1)〜412-(p,n)で発生された信号電荷が信号線422-1〜422-nを介して電荷検出器425-1〜425-nに供給される。電荷検出器425-1〜425-nでは信号線422-1〜422-nを介して供給された電荷量に比例する電圧信号SV-1〜SV-nが生成される。この電荷検出器425-1〜425-nから出力された電圧信号SV-1〜SV-nが信号選択回路27に供給される。
【0055】
信号選択回路27は、レジスタ45aとA/D変換器45bを用いて構成されており、レジスタ45aには電荷検出器425-1〜425-nから電圧信号が供給される。レジスタ45aでは、供給された電圧信号が順次選択されて、A/D変換器45bでディジタルのデータとされる。このデータは制御回路30に供給される。
【0056】
制御回路30は、制御装置1(図1)から通信部35を介して受信した無線信号nに含まれる制御信号CTDに基づいて走査制御信号RCや出力制御信号SCが生成される。この走査制御信号RCが走査駆動回路25に供給されて、走査制御信号RCに基づき走査線421-1〜421-mに対しての電荷読出信号RSの供給が行われる。また、出力制御信号SCが信号選択回路27に供給されて、レジスタ45aに蓄えられている電荷検出器425-1〜425-nからの電圧信号の選択動作が制御されるとともに選択された電圧信号がデータ信号に変換されて、画像データDTとして信号選択回路27から制御回路30に供給される。
【0057】
制御回路30では、この画像データDTを通信部35を介して制御装置1(図1)に無線信号mとして送信される。なお、画像データDTを制御装置1に供給する際に画像データの対数変換処理を行うものとすれば、制御装置1における画像データの処理を簡単とすることができる。また、上記の対数変換を読み出された電荷量を電荷検出器425で電圧信号SVに変換するときに同時に行っても良い。こうして対数変換後にA/D変換器45bでディジタルデータとすることにより、電圧信号SVが小さい領域での放射線情報の分解能を高くすることができる。
【0058】
図4の撮像パネル21の蛍光体層430は、蛍光体と結合剤とからなる蛍光体塗料を支持体に塗布して蛍光体層を形成した後、蛍光体層を光電変換素子側にして貼り付ける方法が用いられる。なお、蛍光体塗料を仮支持体に塗布してから乾燥させて剥離することによりシート状の蛍光体層を形成し、それを貼り付けたり、蛍光体塗料を吹き付けて蛍光体層を形成したり、直接または保護層を介して蛍光体塗料を光電変換素子に塗布するものとしてもよい。
【0059】
この蛍光体層430を形成するためには、まず、適当な有機溶媒中に、結合剤と蛍光体を添加し、ディスパーザーやボールミルを使用し、撹拌混合して結合剤中に蛍光体が均一に分散した蛍光体塗料を調製する。
【0060】
蛍光体としては、タングステン酸塩系蛍光体(CaWO、MgWO、CaWO:Pb等)、テルビウム賦活希土類酸硫化物系蛍光体[YS:Tb、GdS:Tb、LaS:Tb、(Y,Gd)S:Tb、(Y,Gd)OS:Tb,Tm等]、テルビウム賦活希土類燐酸塩系蛍光体(YPO:Tb、GdPO:Tb、LaPO:Tb等)、テルビウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体(LaOBr:Tb、LaOBr:Tb,Tm、LaOCl:Tb、LaOCl:Tb,Tm、LaOCl:Tb,Tm、LaOBr:Tb、GdOBr:Tb、GdOCl:Tb等)、ツリウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体(LaOBr:Tm、LaOCl:Tm等)、硫酸バリウム系蛍光体[BaSO:Pb、BaSO:Eu2+、(Ba,Sr)SO:Eu2+等]、2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属燐酸塩系蛍光体[(BaPO:Eu2+、(BaPO)2:Eu2+等]、2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体[BaFCl:Eu2+、BaFBr:Eu2+、BaFCl:Eu2+,Tb、BaFBr:Eu2+,Tb、BaF・BaCl・KCl:Eu2+、(Ba・Mg)F・BaCl・KCl:Eu2+等]、沃化物系蛍光体(CsI:Na、CsI:Tl、NaI、KI:Tl等)、硫化物系蛍光体[ZnS:Ag(Zn,Cd)S:Ag、(Zn,Cd)S:Cu、(Zn,Cd)S:Cu,Al等]、燐酸ハフニウム系蛍光体(HfP:Cu等)、タンタル酸塩系蛍光体(YTaO、YTaO:Tm、YTaO:Nb、[Y,Sr]TaO4−X:Nb、LuTaO、LuTaO:Nb、[Lu,Sr]TaO4−X:Nb、GdTaO:Tm、Gd・Ta・B:Tb等)が用いられ、特に、GdS:Tb、CsI:Tlが望ましい。
【0061】
ただし、蛍光体は、上述のものに限定されるものではなく、放射線の照射により可視領域の発光を示し、この発光波長に光電変換素子が感度をもつものであれば使用できる。
【0062】
ここで、蛍光体の平均粒子径は蛍光体層内の蛍光体の充填率を高くして、高精細な発光が可能であるとともに、蛍光体層内での蛍光体の発光の散乱を低減できるように0.5μm以上10μm以下、好ましくは1μm以上5μm以下とする。
【0063】
蛍光体塗料調製用の溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどの低級アルコール、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩素原子含有炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、トルエン、ベンゼン、シクロへキサン、シクロヘキサノン、キシレンなどの芳香族化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコールモノメチルエステルなどのエーテル及びそれらの混含物を挙げることができる。
【0064】
なお、蛍光体塗料には塗料中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、又は形成後の蛍光体層中における結含剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤など種々の添加剤が混合されてもよい。
【0065】
分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチルなどのフタル酸エステル、グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタルブチルなどのグリコール酸エステル、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールと琥珀酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。
【0066】
上記のようにして調整された蛍光体と結合剤とを含有する蛍光体塗料を、支持体若しくはシート形成用の仮支持体の表面に均一に塗布することにより塗料の塗膜を形成する。
【0067】
蛍光体層430の厚さは、十分な輝尽発光光量を得るとともに、蛍光体層内での光の散乱を少ないものとするため、20〜150μmであることが好ましく、20〜100μmであることが望ましい。
【0068】
この塗布手段としては、例えばドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター、押し出しコーターなどを用いることにより行うことができる。
【0069】
図4の支持体431としては、例えばガラス、ウール、コットン、紙、金属などの種々の素材から作られたものが使用され得るが、情報記録材料としての取り扱い上、可撓性のあるシート或いはロールに加工できるものが好ましい。この点から、例えばセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフイルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスティックフィルム、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔などの金属シート、一般紙及び例えば写真用原紙、コート紙、若しくはアート紙のような印刷用原紙、バライタ紙、レジンコート紙、べルギー特許784,615号明細書に記載されているようなポリサッカライド等でサイジングされた紙、二酸化チタンなどの顔料を含むピグメント紙、ポリビニールアルコールでサイジングした紙等の加工紙が特に好ましい。
【0070】
支持体431と蛍光体層430の結合を強化するため支持体表面にポリエステル又はゼラチンなどの高分子物貿を塗布して接着性を付与する下塗り層を設けたり、画質(鮮鋭度、粒状性)を向上せしめるためにカーボンブラックなどの光吸収物質からなる光吸収層などが設けてシンチレータからの発光の少なくとも一部を吸収するものとしてもよい。それらの構成は目的、用途などに応じて任意に選択することができるが、カーボンブラック含有黒色ポリエチレンテレフタレート支持体などが好ましい。
【0071】
また、蛍光体層430には、前述した支持体431に接する側と反対側表面を物理的、化学的に保護するための保護層432が設けられる。保護層432は、例えば酢酸セルロース、ニトロセルロースなどのセルロース誘導体、或いはポリメチールメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニルコポリマーなどの合成高分子物質を適当な溶剤に溶解して調製した溶液を蛍光体層の表面に塗布する方法により形成することができる。これらの高分子物質は、単独でも混合しても使用できる。また、保護層432を塗布で形成する場合は塗布の直前に架橋剤を添加することが望ましい。或いはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドなどからなるプラスチックシートを接着剤を用いて接着するなどの方法で形成することができる。
【0072】
また、有機溶媒に可溶性の弗素系樹脂を含む塗布膜により形成されることが好ましい。弗素系樹脂とは、弗素を含むオレフィン(フルオロオレフィン)の重合体、若しくは弗素を含むオレフィンを共重合体成分として含む共重合体をいう。弗素系樹脂の塗布膜により形成された保護層は架橋されていてもよい。また、膜強度の改良等の目的で、弗素系樹脂と他の高分子物質を混合してもよい。
【0073】
このような保護層432は、厚さ0.5μm以上10μm以下、好ましくは1μm以上3μm以下であることが好ましい。このような薄い保護層432を用いることにより、蛍光体層430と光電変換素子との間隔が小さいものとされることから、蛍光体層430で発光された光が保護層432で散乱されることなく直ちに光電変換素子に入射されるので得られる放射線画像の鮮鋭度の向上に寄与することになる。
【0074】
ここで、蛍光体層430及び保護層432の少なくとも一方を着色することで、蛍光体層内での蛍光体の発光の散乱による鮮鋭度の低下を低減できる。着色剤としては、蛍光体の発光波長領域の光を少なくとも一部吸収するような着色剤であり、蛍光体の発光波長に吸収がある色として青色乃至赤色の着色剤が適宜使用される。
【0075】
例えば緑色領域に発光を示す蛍光体に使用される黄色乃至赤色の着色剤(染料及び顔料)の例としては、アゾ染料、アクリジン染料、キノリン染料、チアゾール染料、ニトロ染料などの各種染料;及びモリブデンオレンジ、カドミウム黄、黄鉛(クロムイエロー)、ジンククロメート、カドミウム黄、鉛丹などの各種顔料を挙げることができる。着色剤の含有量は、目的とする蛍光体層の用途、着色される部分、着色剤の種類などによって異なるが、一般的には、着色剤が染料である場合には10:1乃至10:1(蛍光体:着色剤、重量比)の範囲から選ばれる。また着色剤が顔料であるときには1:10乃至10:1(蛍光体:着色剤、重量比)の範囲から選ばれる。
【0076】
また、緑色領域に発光を示す蛍光体を使用する場合には、420乃至540nmの波長域に吸収スペクトルの主ピークを有する着色剤を用いて着色するものとしてもよい。さらに、蛍光体の発光のピーク波長よりも長波長の発光領域における平均吸収率がピーク波長よりも短波長の発光領域における平均吸収率よりも高い着色剤を用いて着色するものとしてもよい。
【0077】
ところで、蛍光体層の形成では、蛍光体塗料を支持体に均一に塗布することにより形成するものとしたが、気相法、例えば蒸着による方法でも形成することができる。この蛍光体層を柱状結晶構造とすれば、光ガイド効果により蛍光体の発光の蛍光体層中における散乱を抑制することができる。
【0078】
図2,図3のように、放射線画像検出器5は、電源部34の電源スイッチ34aのオン・オフで電源がオン・オフする。また、制御回路30にはメモリ部31や操作部32や表示部33や通信部35が接続されており、操作部32からの操作信号PSや制御装置1からの無線信号nに基づいて放射線画像検出器5の動作が制御される。
【0079】
操作部32は複数のスイッチが設けられており、操作部32からのスイッチ操作に応じた操作信号PSまたは制御装置1からの無線信号nに基づいて撮像パネル21の初期化や放射線画像の画像信号の生成が行われる。また、メモリ部31の記憶容量は複数の画像データを保存可能な容量である。また、操作部32のスイッチ操作で検出器信号を通信部35から外部に送信することができる。
【0080】
また、制御回路30は、生成した画像信号をメモリ部31に記憶させる処理を行うとともに、検出器通信部35から図1,図5のPC通信部4に対しデータ無線信号mとして無線で転送する。
【0081】
上述のように、図2〜図4の放射線画像検出器5は、撮像パネルや電源部やメモリ部等を一体化してフラットパネル型の可搬構造に構成したので、放射線画像の撮影を簡単に行うことができる。
【0082】
なお、図3,図4で説明した放射線画像検出器5の撮像パネル21は、他の構成であってもよく、例えば、特開平9−294229号公報の図16(B)、特開2004−6781号公報、特開2000−61823号公報の図4(B)の各構成を採用してもよい。
【0083】
上述の図3,図4の撮像パネル21は無機物による光電変換素子であるが、有機物による光電変換素子であってもよく、かかる構成の撮像パネルについて本発明者が先に他の発明者とともに特開2003−344545公報で開示した構成例を参照して説明する。図9は有機物による光電変換素子を含む撮像パネルから構成された放射線画像検出器の回路構成を示す図である。図10は図9の撮像パネルの一部断面図である。
【0084】
図9のように、撮像パネル21には照射された放射線の強度に応じて蓄積された電気エネルギーを読み出すための収集電極220が2次元状に配置されており、この収集電極220がコンデンサ221の一方の電極とされて、電気エネルギーがコンデンサ221に蓄えられる。1つの収集電極220は放射線画像の1画素に対応する。
【0085】
画素間には走査線223-1〜223-mと信号線224-1〜224-nが例えば直交するように配設される。コンデンサ221-(1,1)には、シリコン積層構造あるいは有機半導体で構成されたトランジスタ222-(1,1)が接続されている。このトランジスタ222-(1,1)は、例えば電界効果トランジスタであり、ドレイン電極あるいはソース電極が収集電極220-(1,1)に接続されるとともに、ゲート電極は走査線223-1と接続される。ドレイン電極が収集電極220-(1,1)に接続されるときにはソース電極が信号線224-1と接続され、ソース電極が収集電極220-(1,1)に接続されるときにはドレイン電極が信号線224-1と接続される。また、他の画素の収集電極220やコンデンサ221及びトランジスタ222も同様に走査線223や信号線224が接続される。
【0086】
図10の撮像パネル21の一部断面図に示すように、放射線の照射面側には、入射された放射線の強度に応じて発光を行うシンチレータ層である第1層211が設けられている。ここで、第1層211には例えば波長が1Å(1×10−10m)程度である人体等を透過する電磁波であるX線(放射線)が図1の放射線源101から照射される。
【0087】
第1層211は、蛍光体を主たる成分とするものであり、入射した放射線に基づいて、波長が300nmから800nmの電磁波、すなわち、可視光線を中心に紫外光から赤外光にわたる電磁波(光)を出力する。第1層211で用いられる蛍光体は、タングステン酸塩系蛍光体、テルビウム賦活希土類酸硫化物系蛍光体、テルビウム賦活希土類燐酸塩系蛍光体、テルビウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、ヨウ化セシウム等から構成できるが、これらに限定されるものではなく、放射線の照射によって可視または紫外または赤外領域などの、受光素子が感度を持つ領域の電磁波を出力する蛍光体であればよい。
【0088】
次に、第1層211の放射線照射面側とは逆の面側に、第1層から出力された電磁波(光)を電気エネルギーに変換する第2層212が形成される。第2層212は、第1層211側から、隔膜212a、透明電極膜212b、正孔伝導層212c、電荷発生層212d、電子伝導層212e、導電層212fが設けられている。ここで、電荷発生層212dは、光電変換可能な即ち電磁波(光)によって電子や正孔を発生し得る有機化合物を含有し、光電変換を円滑に行うために、いくつかの機能分離された層を有することが好ましく、例えば図10に示すように第2層が構成される。
【0089】
隔膜212aは、第1層211と他の層を分離するためのものであり、例えばOxi-nitrideなどが用いられる。透明電極膜212bは、例えばインジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnOなどの導電性透明材料を用いて形成される。透明電極膜212bの形成では、蒸着やスパッタリング等の方法を用いて薄膜を形成できる。また、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいは高いパターン精度を必要としない場合(100μm以上程度)は、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
【0090】
電荷発生層212dでは、第1層211から出力された電磁波(光)によって電子と正孔を発生される。ここで発生した正孔は正孔伝導層212cに集められ、電子は電子伝導層212eに集められる。なお、本構造において、正孔伝導層212cと電子伝導層212eは必ずしも必須なものではない。
【0091】
導電層212fは、例えばクロムなどで生成されている。また、一般の金属電極若しくは前記透明電極の中から選択可能であるが、良好な特性を得るためには仕事関数の小さい(4.5eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましい。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム等が挙げられるが、これらに限定されない。導電層212fは、これらの電極物質を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて生成できる。
【0092】
次に、電荷発生層212dは、シアニン色素の会合体やJ凝集体を形成する有機化合物を用いて構成する。シアニン色素はハロゲン化銀写真の分光増感剤として広く使用されている。J凝集体は可視光を吸収して色素分子を構成する電子が励起状態となって、その励起電子がハロゲン化銀粒子に移動することで、ハロゲン化銀粒子が感光する。このシアニン色素は一般にハロゲン化銀粒子上では色素分子会合体を形成しているといわれる。色素分子が会合体を形成することにより、色素分子自体が安定化する。
【0093】
次に、第2層212の放射線照射面側とは逆の面側には、第2層212で得られた電気エネルギーの蓄積及び蓄積された電気エネルギーに基づく信号の出力を行う第3層213が形成されている。第3層213は、第2層212で生成された電気エネルギーを画素毎に蓄えるコンデンサ221と、蓄えられた電気エネルギーを信号として出力するためのスイッチング素子であるトランジスタ222を用いて構成されている。なお第3層は、スイッチング素子を用いるものに限られるものではなく、例えば蓄えられた電気エネルギーのエネルギーレベルに応じた信号を生成して出力する構成とすることもできる。
【0094】
トランジスタ222は、例えばTFT(薄膜トランジスタ)を用いる。このTFTは、液晶ディスプレイ等に使用されている無機半導体系のものでも、有機半導体を用いたものでも良く、好ましくはプラスチックフィルム上に形成されたTFTである。プラスチックフィルム上に形成されたTFTとしては、アモルファスシリコン系のものが知られている。
【0095】
スイッチング素子であるトランジスタ222には、図9及び図10に示すように、第2層212で生成された電気エネルギーを蓄積するとともに、コンデンサ221の一方の電極となる収集電極220が接続されている。このコンデンサ221には第2層212で生成された電気エネルギーが蓄積されるとともに、この蓄積された電気エネルギーはトランジスタ222を駆動することで読み出される。即ち、スイッチング素子を駆動することで放射線画像を画素毎の信号を生成することができる。なお、図10において、トランジスタ222は、ゲート電極222a、ソース電極(ドレイン電極)222b、ドレイン電極(ソース電極)222c、有機半導体層222d、絶縁層222eで構成されている。
【0096】
第4層214は、撮像パネル21の基板である。第4層214として好ましく用いられる基板は、プラスチックフィルムであり、プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。このように、プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
【0097】
更に、第4層214の第3層側面とは反対面側に、電源部34、例えばマンガン電池、ニッケル・カドミウム電池、水銀電池、鉛電池などの一次電池、充電可能なニッケルポリマー二次電池やリチウムイオンポリマー電池等の二次電池を設ける構成としてもよく、この電池は、FPDを薄型化できるように平板状の形態が好ましい。
【0098】
また、図9のように、撮像パネル21では、信号線224-1〜224-nに、例えばドレイン電極が接続された初期化用のトランジスタ232-1〜232-nが設けられている。このトランジスタ232-1〜232-nのソース電極は接地されている。また、ゲート電極はリセット線231と接続される。
【0099】
撮像パネル21の走査線223-1〜223-mとリセット線231は、図9に示すように、走査駆動回路25と接続されている。走査駆動回路25から走査線223-1〜223-mのうちの1つ走査線223-p(pは1〜mのいずれかの値)に読出信号RSが供給されると、この走査線223-pに接続されたトランジスタ222-(p,1)〜222-(p,n)がオン状態とされて、コンデンサ221-(p,1)〜221-(p,n)に蓄積された電気エネルギーが信号線224-1〜224-nにそれぞれ読み出される。信号線224-1〜224-nは、信号選択回路27の信号変換器271-1〜271-nに接続されており、信号変換器271-1〜271-nでは信号線224-1〜224-n上に読み出された電気エネルギー量に比例する電圧信号SV-1〜SV-nを生成する。この信号変換器271-1〜271-nから出力された電圧信号SV-1〜SV-nはレジスタ272に供給される。
【0100】
レジスタ272では、供給された電圧信号が順次選択されて、A/D変換器273で(例えば、12ビット乃至14ビットの)1つの走査線に対するディジタルの画像信号とされ、制御回路30は、走査線223-1〜223-mの各々に、走査駆動回路25を介して読出信号RSを供給して画像走査を行い、走査線毎のディジタル画像信号を取り込んで、放射線画像の画像信号の生成を行う。この画像信号は制御回路30に供給される。
【0101】
また、走査駆動回路25からリセット信号RTをリセット線231に供給してトランジスタ232-1〜232-nをオン状態とするとともに、走査線223-1〜223-mに読出信号RSを供給してトランジスタ222-(1,1)〜222-(m,n)をオン状態とすると、コンデンサ221-(1,1)〜221-(m,n)に蓄えられた電気エネルギーがトランジスタ232-1〜232-nを介して放出されることで、撮像パネル21の初期化を行うことができる。
【0102】
図9の制御回路30にはメモリ部31や操作部32や表示部33や通信部35が接続されており、更に点灯部33aが接続されており、また、電源部34は電源スイッチ34aでオン・オフされる。これらの各部分は制御回路30により図3と同様に制御される。
【0103】
上述のように、図2、図9,図10の放射線画像検出器5は、図3,図4と同様に撮像パネルや電源部やメモリ部等を一体化してフラットパネル型の可搬構造に構成したので、放射線画像の撮影を簡単に行うことができる。
【0104】
次に、図1〜図6の放射線画像撮影システムによる放射線画像撮影方法の各ステップS01〜S10について図7のフローチャートを参照して説明する。
【0105】
図7を参照して、放射線撮影を行う患者名が制御装置1に入力される(S01)。このとき、その患者の撮影履歴があれば、表示部2に表示して今回の撮影条件の参考にするとともに、デフォルトで前回の撮影条件が放射線発生制御装置102側に入力される。そして、患者が撮影室に来ると、技師は患者名を確認する(S02)。なお、患者の無線ICタグを図1の読取部1aで読み取ることで確認してもよい。
【0106】
次に、放射線技師は、図1の画面3において複数の患者から放射線撮影を行う患者(例えば、○山△夫)を選択し制御装置1に入力する(S03)。これにより、制御装置1は、選択した患者(例えば、○山△夫)についてFPDで生成した放射線画像の受信待機状態となる(S04)。この受信待機状態では患者とFPDの対応付けは未だ行われない。
【0107】
次に、その患者の放射線撮影用として多数のFPDの中から例えば図1のFPD5aを選択し(S05)、その患者についてFPD5aを用いて、図5のように、放射線発生制御装置102の制御の下で放射線源101から放射線100を照射することで放射線撮影を行い(S06)、FPD5aで放射線画像の画像信号を生成し(S07)、生成された画像データが無線信号mで制御装置1に転送される(S08)。
【0108】
上述の画像データを受信待ちの制御装置1が受信すると、その受信した画像データを上記ステップS03で選択した患者と対応付ける(S09)。このように、制御装置1が待機状態のときに放射線撮影されて生成された画像データが制御装置1で待機状態にした患者の画像データとなるので、患者と画像データの対応関係が正確になる。なお、この受信のとき、制御装置1は検出器識別信号も受信するので、例えば、図1のように、画面3の患者名(例えば、○山△夫)の隣りに、その検出器識別信号に基づいてFPD5aに対応するFPDの照合番号である「FPD001」を表示することで、放射線技師は、その患者(○山△夫)とFPD5aとの対応付けを画面3上で認識できる。
【0109】
次に、その受信した画像データについて制御装置1の画面3上で画像確認を行い、必要な画像処理を行ってから、その画像データが対応する患者のものとしてネットワーク50を介してデータベースサーバ52に転送され、保存される(S10)。
【0110】
なお、予め予約時に設定しておくことで、データベースサーバ52への転送・保存後に、その画像データを指定先の例えば依頼元の医師の画像表示装置51やプリンタ53に自動的に転送するようにできる。また、データベースサーバ52への転送と同時に画像表示装置51やプリンタ53に自動的に転送するように設定してもよい。また、かかる設定をしない場合には、データベースサーバ52への転送・保存後に、医師が必要に応じてデータベースサーバ52から画像データを読み出し、画像表示装置51に表示させることができる。
【0111】
次に、図1〜図6の放射線画像撮影システムによる別の放射線画像撮影方法の各ステップS11〜S22について図8のフローチャートを参照して説明する。
【0112】
図8を参照して、まず、図5のHIS/RIS54や診察室の画像表示装置51等から放射線撮影を行う患者の患者情報を入力する(S11)。そして、その患者情報を図5のHIS/RIS54等からネットワーク50を介して制御装置1に送信し(S12)、これを撮影室の制御装置1が受信することにより(S13)、予約した患者の患者情報が撮影室の制御装置1に入力され登録され、例えば、図1の画面3のように、複数の患者名が表示される。
【0113】
以下、ステップS14乃至S22は、図7のステップS02乃至S10に対応して同様の工程であるので、簡単に説明すると、患者が撮影室に来ると、技師は患者名を確認し(S14)、次に、放射線技師は、図1の画面3において複数の患者から放射線撮影を行う患者を選択し制御装置1に入力することにより(S15)、制御装置1は、選択した患者についてFPDで生成した放射線画像の受信待機状態となる(S16)。この受信待機状態では患者とFPDの対応付けは未だ行われない。次に、その患者の放射線撮影用として図1のFPD5aを選択し(S17)、その患者についてFPD5aを用いて、図5のように、放射線撮影を行い(S18)、FPD5aで放射線画像の画像信号を生成し(S19)、生成された画像データが制御装置1に転送される(S20)。
【0114】
上述の画像データを受信待ちの制御装置1が受信すると、その受信した画像データを上記ステップS15で選択した患者と対応付ける(S21)。次に、その受信した画像データについて制御装置1の画面3上で画像確認を行い、必要な画像処理を行ってから、その画像データが対応する患者のものとしてネットワーク50を介してデータベースサーバ52に転送され、保存される(S22)。
【0115】
図1,図5,図6の制御装置1は、パーソナルコンピュータから構成されるが、その記憶装置には図7の動作や図8の動作を実行させるためのプログラムが格納されており、装置のスタータアップ(起動)のときに、記憶装置から読み出され、そのプログラムに従って各動作が制御される。パーソナルコンピュータの記憶装置としては、内蔵または外付けのハードディスク記憶装置等であってよいが、これに限定されず、内蔵または外付けの記憶媒体読取装置であってもよい。この記憶媒体としては、CDやDVD等の光ディスク、磁気ディスクまたは磁気テープ等の各種の可搬性等の記憶媒体を使用でき、プログラムが1つの記憶媒体に記憶され、または複数の記憶媒体に分割されて記憶されていてよい。
【0116】
以上のように、図7,図8の放射線画像撮影システムの放射線画像撮影方法によれば、外部のHIS/RIS54から受信等することで入力された患者情報から撮影対象の患者を選択し制御装置1に入力すると、制御装置1がその患者の画像データの受信待ちの状態となり、その患者に対する放射線撮影のためのFPDを選択し、放射線撮影後にFPDで生成した放射線画像を制御装置1に送り、制御装置1において受信した放射線画像を選択された患者の患者情報と対応付けるので、放射線撮影の対象の患者の体型に合わせるため等の理由でFPDを撮影直前に選択した場合でも、患者とFPDを正確に対応づけることができ、撮影された放射線画像と患者を間違えるおそれは生じない。
【0117】
上述のように、図7,図8の放射線画像撮影方法では、制御装置1で患者を選択し、そのときに放射線撮影された画像がその患者の画像データとなるので、患者の体型などにより、使用するFPDの大きさが直前まで決まらずに直前に変更になる場合であっても、患者に合わせたFPDを放射線撮影の直前に選択できる。なお、制御装置が複数ある場合には、各FPDには生成した画像データを転送する制御装置を予め設定しておくことが好ましい。
【0118】
以上のように本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、図2〜図4のカセッテタイプの放射線画像検出器5は、放射線をシンチレータなどの蛍光体で光に変換し、この光を光検出器で読み取り、放射線画像データを生成する構成(間接変換型)であるが、本発明はこれに限定されず、放射線を直接に電荷に変換しその電荷をコンデンサなどで読み取って画像データを生成する構成(直接変換型)であってもよい。また、放射線画像検出器は、カセッテタイプではなく、FPDを挿入可能にした立位式放射線撮影装置であってもよい。
【0119】
また、図5,図6では、検出器通信部35とPC通信部4との間の通信は無線によるが、本発明はこれに限定されずに、接続ケーブルによる有線で行ってもよいことは勿論である。例えば、図2のように放射線画像検出器5の筐体40の側面にコネクタ35aを設け、コネクタ35aと制御装置1とを接続ケーブルで接続し、同様にして信号の通信を行うことができる。
【0120】
また、本実施の形態では、非接触記憶媒体としてICタグを用いたが、かかるICタグとしては、例えば、密に結合した電磁誘導作用を利用した電磁結合方式による公知のICタグがあるが、本発明では、これに限定されず他の種類のICタグを用いてもよく、例えば、静電気結合方式、電磁誘導方式、マイクロ波方式等による公知のものを利用できる。また、ICタグ以外のものであってもよく、例えば磁気タグを用いることができる。また、上述の各非接触タグ以外でも、患者本人を認識できるものであれば使用可能であり、IDカードやカルテに貼ってあるバーコード等から読み取るように構成してもよい。
【0121】
また、制御装置1は、パソコンから構成したが、これに限定されず、例えば、PDA(携帯用端末)から構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本実施の形態による放射線画像撮影システムにおいて選択された患者と放射線画像検出器とを対応付ける様子を説明するための模式図である。
【図2】図1の放射線画像検出器を示すために部分的に破断して内部を見た斜視図である。
【図3】図2の放射線画像検出器の回路構成を示す図である。
【図4】図2の撮像パネルの一部断面図である。
【図5】図1で選択した放射線画像検出器で放射線撮影を行う放射線画像撮影システムを概略的に示す図である。
【図6】図1の放射線画像撮影システムを概略的に示すブロック図である。
【図7】図1〜図6の放射線画像撮影システムによる放射線画像撮影方法の各ステップS01〜S10を説明するためのフローチャートである。
【図8】図1〜図6の放射線画像撮影システムによる別の放射線画像撮影方法の各ステップS11〜S22を説明するためのフローチャートである。
【図9】有機物による光電変換素子を含む撮像パネルから構成された放射線画像検出器の回路構成を示す図である。
【図10】図9の撮像パネルの一部断面図である。
【符号の説明】
【0123】
1 制御装置
2 表示部
3 画面
4 通信部
5 放射線画像検出器
5a〜5f FPD
30 制御回路
35 検出器通信部
50 ネットワーク
53 HIS/RIS
m 無線信号
n 無線信号
P 患者(被写体)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に対する放射線撮影による放射線画像を放射線画像検出器で検出し、前記放射線画像検出器から放射線画像情報を制御装置が受信する放射線画像撮影方法であって、
被写体情報を入力するステップと、
撮影対象の被写体を選択するステップと、
前記被写体に対する放射線画像の撮影後に前記放射線画像検出器で放射線画像を生成し、その生成した放射線画像を前記制御装置に送るステップと、
前記制御装置で受信した放射線画像を前記選択された被写体の被写体情報と対応付けるステップと、を含むことを特徴とする放射線画像撮影方法。
【請求項2】
被写体に対する放射線撮影による放射線画像を放射線画像検出器で検出し、前記放射線画像検出器から放射線画像情報を制御装置が受信する放射線画像撮影方法であって、
複数の被写体情報を外部から受信するステップと、
撮影対象の被写体を選択するステップと、
前記被写体に対する放射線画像の撮影後に前記放射線画像検出器で放射線画像を生成し、その生成した放射線画像を前記制御装置に送るステップと、
前記制御装置で受信した放射線画像を前記選択された被写体の被写体情報と対応付けるステップと、を含むことを特徴とする放射線画像撮影方法。
【請求項3】
前記生成した放射線画像は、前記制御装置に受信されるまでは前記被写体情報と対応付けられていないことを特徴とする請求項1または2に記載の放射線画像撮影方法。
【請求項4】
前記被写体の選択を前記被写体情報から前記制御装置で被写体を指定することで行うと、前記制御装置がその選択された被写体の放射線画像の受信待機の状態となることを特徴とする請求項1,2または3に記載の放射線画像撮影方法。
【請求項5】
前記被写体の選択は、被写体の有する非接触記憶媒体から読み取られた被写体情報に基づいて行われることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか11項に記載の放射線画像撮影方法。
【請求項6】
前記放射線画像検出器がカセッテタイプであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の放射線画像撮影方法。
【請求項7】
被写体に対する放射線撮影による放射線画像を検出する放射線画像検出器と、
前記放射線画像検出器と接続可能である制御装置と、を含み、
前記放射線画像検出器は、生成した放射線画像を前記制御装置に転送する手段を備え、
前記制御装置は、被写体情報を入力する手段と、撮影対象の被写体を選択する手段と、前記放射線画像検出器から転送されてきた放射線画像を前記選択された被写体の被写体情報と対応付ける手段と、を備えることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項8】
被写体に対する放射線撮影による放射線画像を検出する放射線画像検出器と、
前記放射線画像検出器と接続可能である制御装置と、を含み、
前記放射線画像検出器は、生成した放射線画像を前記制御装置に転送する手段を備え、
前記制御装置は、複数の被写体情報を外部から受信する手段と、撮影対象の被写体を選択する手段と、前記放射線画像検出器から転送されてきた放射線画像を前記選択された被写体の被写体情報と対応付ける手段と、を備えることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項9】
前記制御装置は前記被写体情報から被写体が指定されることで被写体の選択を行うことで、その選択された被写体の放射線画像の受信待機の状態となるように構成されることを特徴とする請求項7または8に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項10】
被写体の有する非接触記憶媒体から被写体情報を読み取る手段を備え、前記読み取られた被写体情報に基づいて被写体の選択が行われることを特徴とする請求項7,8または9に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項11】
前記放射線画像検出器がカセッテタイプであることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項12】
被写体に対する放射線撮影による放射線画像を放射線画像検出器で検出し、前記放射線画像検出器から放射線画像情報を受信する制御装置が備えるコンピュータのためのプログラムであって、
被写体情報を入力するステップと、
撮影対象の被写体を選択するステップと、
前記被写体に対する放射線画像の撮影後に前記放射線画像検出器で放射線画像を生成し、その生成した放射線画像を前記制御装置に送るステップと、
前記制御装置で受信した放射線画像を前記選択された被写体の被写体情報と対応付けるステップと、を前記コンピュータに実行させるための放射線画像撮影用プログラム。
【請求項13】
被写体に対する放射線撮影による放射線画像を放射線画像検出器で検出し、前記放射線画像検出器から放射線画像情報を受信する制御装置が備えるコンピュータのためのプログラムであって、
複数の被写体情報を外部から受信するステップと、
撮影対象の被写体を選択するステップと、
前記被写体に対する放射線画像の撮影後に前記放射線画像検出器で放射線画像を生成し、その生成した放射線画像を前記制御装置に送るステップと、
前記制御装置で受信した放射線画像を前記選択された被写体の被写体情報と対応付けるステップと、を前記コンピュータに実行させるための放射線画像撮影用プログラム。
【請求項14】
前記生成した放射線画像は、前記制御装置に受信されるまでは前記被写体情報と対応付けられていないことを特徴とする請求項12または13に記載の放射線画像撮影用プログラム。
【請求項15】
前記被写体の選択を前記被写体情報から前記制御装置で被写体を指定することで行うと、前記制御装置がその選択された被写体の放射線画像の受信待機の状態となることを特徴とする請求項12,13または14に記載の放射線画像撮影用プログラム。
【請求項16】
前記被写体の選択は、被写体の有する非接触記憶媒体から読み取られた被写体情報に基づいて行われることを特徴とする請求項12,13または14に記載の放射線画像撮影用プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−25831(P2006−25831A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204598(P2004−204598)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】