説明

放射線画像撮影装置、放射線画像撮影装置の製造方法、及び放射線画像撮影システム

【課題】フレキシブル基板の振動、変形を抑制する放射線画像撮影装置を提供する。
【解決手段】放射線画像撮影装置10は、照射された放射線を電気信号に変換する放射線検出パネル14と、信号処理を行う信号処理基板18と、信号処理基板18を保持する保持基材16と、一端が放射線検出パネル14に接続され、他端が信号処理基板18に接続されたフレキシブル基板20と、フレキシブル基板20に張力を掛ける張力付与手段32a、32bと、放射線検出パネル14、信号処理基板18、保持基材16、フレキシブル基板20及び張力付与手段32a、32bが内蔵される筐体12と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出パネルと信号処理基板がフレキシブル基板によって接続された放射線画像撮影装置、放射線画像撮影装置の製造方法、及び放射線画像撮影装置を使用した放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス基板上に放射線感応層を配置し、放射線を直接デジタルデータに変換することができるFPD(Flat Panel Detector)を用いた放射線検出器が実用化されている。
これに伴い、FPDを採用し、薄型化、軽量化が図られて持ち運びが可能な放射線画像撮影装置(以下、電子カセッテと記す。)が普及している。
【0003】
可搬型の電子カセッテに伴う問題の一つに、電子カセッテが衝撃や振動を受けたとき、接続部以外のフレキシブル基板が振動したり変形したりして、周囲の部品と接触するという問題がある。フレキシブル基板の振動や周囲の部品との接触により、フレキシブル基板に静電容量の変化等に基づくノイズが発生し、電子カセッテの画像品位が低下する。
【0004】
この問題は、放射線の照射開始を電子カセッテにより判断して撮影を開始する、いわゆるX線同期フリー機能を備えた電子カセッテにおいて、下記理由により特に顕著となる。
即ち、放射線を受けて放射線検出パネルで発生された電気信号(=アナログ電荷)はノイズの影響を受け易く、アナログ電荷がチャージアンプ回路で電圧に変換されるまでの経路が、最もノイズの影響を受け易い部位となる。
【0005】
ここに、チャージアンプ回路は放射線検出パネルに熱圧着されたフレキシブル基板に実装される形態が一般的であり、放射線検出パネルからチャージアンプ回路までのフレキシブル基板が最もノイズの影響を受け易い部位となる。一方、フレキシブル基板の配線部(=振動などで容易に摺動する部分)には、上述したように、振動等に伴う帯電量の変化に起因してノイズが発生する。
【0006】
いわゆるX線同期フリー機能を備えた電子カセッテにおいて、ノイズによる誤検出が生じた場合、放射線が照射されているにも係わらず、放射線検出パネルの電荷蓄積モードへの移行が遅れてしまう。
このため、フレキシブル基板におけるノイズの発生を防止する技術が求められている。
【0007】
この問題を解決すべく、可搬型の電子カセッテの衝撃や振動の影響を受けにくくしたフレキシブル基板が提案されている(特許文献1)。
【0008】
特許文献1に記載のX線画像撮影装置は、照射されたX線を電気信号に変換するプリント回路基板と、プリント回路基板から入力された電気信号を処理する信号処理基板とを、信号処理基板を支持する基台を間に挟んで対向配置させ、プリント回路基板と信号処理基板をフレキシブル回路基板で接続した構成である。このとき、フレキシブル回路基板をコ字状に折り曲げ、中央部をネジで基台の端面に固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−158341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1の発明は、接続部以外のフレキシブル回路基板の振動や変形を制限する手段として、フレキシブル回路基板の中央部を基台の端面にネジで固定している。
このため、X線画像撮影装置が衝撃や振動を受けたとき、フレキシブル回路基板の両端部の接続部と、中央部のネジで固定された部位以外の部位、即ち、フレキシブル回路基板の中間部分であり拘束されていない部分が、衝撃や振動の影響を受けて振動や変形を生じる可能性がある。この振動や変形が大きい場合には、周囲の部品との接触等が生じてノイズが発生する。更に、基台は電磁シールドが目的であって、衝撃や振動に耐える強度は保証されていない。
【0011】
本発明は上記事実に鑑み、フレキシブル基板の振動や変形を抑制する放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明に係る放射線画像撮影装置は、照射された放射線を電気信号に変換する光電変換素子を有する放射線検出パネルと、入力された電気信号に対して予め定められた信号処理を行う信号処理基板と、前記放射線検出パネルと前記信号処理基板の間に設けられ、前記信号処理基板を保持する保持基材と、一端が前記放射線検出パネルに接続され、他端が前記信号処理基板に接続されたフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板に張力を掛ける張力付与手段と、前記放射線検出パネル、前記信号処理基板、前記保持基材、前記フレキシブル基板及び前記張力付与手段が内蔵される筐体と、を有することを特徴としている。
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、光電変換素子を有する放射線検出パネルにより、照射された放射線が電気信号に変換され、信号処理基板により、入力された電気信号に対して予め定められた信号処理が行なわれる。また、放射線検出パネルと信号処理基板の間に設けられた保持基材により、信号処理基板が保持され、フレキシブル基板により、放射線検出パネルと信号処理基板が接続される。また、張力付与手段により、フレキシブル基板に張力が掛けられる。
【0014】
ここに、フレキシブル基板には、張力付与手段により張力が掛けられているので、放射線画像撮影装置が衝撃や振動を受けても、フレキシブル基板の振動や変形が張力により抑制される。また、フレキシブル基板の振動や変形が抑制されるので、振動や周囲の部品との接触によるフレキシブル基板のノイズの発生を抑制できる。
この結果、放射線画像撮影装置が振動を受けても、張力付与手段により、フレキシブル基板の振動、変形を抑制する放射線画像撮影装置を提供することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の放射線画像撮影装置において、前記張力付与手段は、前記フレキシブル基板に当接して前記フレキシブル基板の幅方向へ延出され、前記フレキシブル基板に前記張力を掛けるたわみが予め設けられた複数の棒状部材であることを特徴としている。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、フレキシブル基板に当接された複数の棒状部材には予めたたわみが設けられており、たわみの復元力により、フレキシブル基板に張力が付与される。このとき、棒状部材は、フレキシブル基板の幅方向に、信号処理基板、保持基材及び放射線検出パネルの端面から離れる方向の張力を掛けており、これらとフレキシブル基板との接触を抑制することができる。
これにより、放射線画像撮影装置が振動を受けても、棒状部材の張力により、フレキシブル基板の振動や変形を抑制することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の放射線画像撮影装置において、前記放射線検出パネルと接続された前記フレキシブル基板の一端には、前記棒状部材により、前記放射線検出パネルの基板表面と平行な方向に前記張力が掛けられ、前記信号処理基板と接続された前記フレキシブル基板の他端には、前記信号処理基板の基板表面と平行な方向に前記張力が掛けられていることを特徴としている。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、放射線検出パネルに接続されたフレキシブル基板の一端には、張力付与手段により、放射線検出パネルの基板表面と平行な方向へ張力が掛けられており、信号処理基板に接続されたフレキシブル基板の他端には、張力付与手段により、信号処理基板の基板表面と平行な方向へ張力が掛けられている。
【0019】
この結果、放射線画像撮影装置が振動を受けても、棒状部材からの張力により、フレキシブル基板の振動や変形が制限される。更に、フレキシブル基板による接続部の接続を剥がす方向の引張力の発生が抑制され、接続部の接触不良が抑制される。
なお、張力の一部を、フレキシブル基板の接続部を放射線検出パネル側へ押え付ける方向へ向ければ、フレキシブル基板の接続部に生じる、接続部の接続を剥がす方向の引張力を抑制する効果を増大させることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の放射線画像撮影装置において、前記棒状部材は、前記筐体の内壁間に架け渡され、固定されていることを特徴としている。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、筐体の内壁に両端面が固定され、筐体の対面する内壁間に架け渡された棒状部材により、フレキシブル基板に張力が掛けられる。
これにより、棒状部材を安定して固定することができる。また、棒状部材でフレキシブル基板に張力を掛けることができる。更に、1つの棒状部材で複数のフレキシブル基板に一括して、張力を加えることができる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、請求項2又は3に記載の放射線画像撮影装置において、前記棒状部材は、前記保持基材の端面に沿って配置され、両端部は、前記保持基材に固定されていることを特徴としている。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、保持基材に両端部が固定され、保持基材の端面に沿って配置された棒状部材により、フレキシブル基板に張力が掛けられる。
これにより、1つの棒状部材で複数のフレキシブル基板に、一括して張力を加えることができる。また、棒状部材の固定に筐体を利用していないので、保持基材と筐体の振動モードが相違していても、常にフレキシブル基板に張力を掛けることができる。更に、フレームレスのモノコック構造においても、本構成を採用することができる。
【0024】
請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置において、前記棒状部材の表面又は前記フレキシブル基板の表面には、前記棒状部材と前記フレキシブル基板の当接部の滑りを防止する滑り防止処理がされていることを特徴としている。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、棒状部材又はフレキシブル基板の表面に設けられた滑り防止処理により、棒状部材とフレキシブル基板の当接部における滑りを防止することができる。この結果、フレキシブル基板に、当接部のズレに伴うノイズが発生するのを抑制することができる。
【0026】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の放射線画像撮影装置において、前記張力付与手段は、円形部の外周面が前記フレキシブル基板に当接する弾性半円柱体であることを特徴としている。
【0027】
請求項7に記載の発明によれば、弾性体で形成された弾性半円柱体の円形部により、フレキシブル基板に張力が付与される。また、信号処理基板、保持基材及び放射線検出パネルの端面とフレキシブル基板との間に弾性体が存在するので、これらの端面とフレキシブル基板との接触が制限される。
この結果、フレキシブル基板の振動や変形が抑制され、フレキシブル基板でのノイズの発生を抑制することができる。
【0028】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の放射線画像撮影装置において、前記弾性半円柱体の平板部が、前記信号処理基板、前記保持基材及び前記放射線検出パネルの端面の少なくともいずれか1つと接合されていることを特徴としている。
これにより、弾性半円柱体を安定して固定し、弾性半円柱体の円形部でフレキシブル基板に張力を掛けることができる。
【0029】
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の放射線画像撮影装置において、前記張力付与手段は、円形部の外周面が前記フレキシブル基板に当接するエアバッグであることを特徴としている。
【0030】
請求項9に記載の発明によれば、エアバッグの円形部の外周面でフレキシブル基板に張力を掛けることができる。また、フレキシブル基板と放射線検出パネル、信号処理基板及び保持基材の端面との間にエアバッグが位置しているので、フレキシブル基板と放射線検出パネル、信号処理基板及び保持基材の端面との接触を制限することができる。
【0031】
なお、エアバッグは、使用時にのみ空気を供給する構成とすることにより、不使用時には、フレキシブル基板に張力を掛けることなく、使用時にのみフレキシブル基板に張力を掛けることができる。この構成とすることにより、フレキシブル基板に張力を加える時間が低減され、フレキシブル基板の耐久性を向上させることができる。
【0032】
請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の放射線画像撮影装置において、前記張力付与手段は、平面部が前記フレキシブル基板に当接し前記保持基材に他の平面部が固定された第1弾性体であり、前記フレキシブル基板と前記筐体の内壁との間には、前記内壁に固定され、前記第1弾性体とで、前記フレキシブル基板を挟持する第2弾性体を有することを特徴としている。
【0033】
請求項10に記載の発明によれば、第1弾性体は、平面部がフレキシブル基板に当接され、フレキシブル基板に張力を掛ける。このとき、第1弾性体の他の平面部は保持基材に固定されている。また、フレキシブル基板と筐体の内壁との間に設けられた第2弾性体と第1弾性体とでフレキシブル基板を挟持している。このとき、第1弾性体の張力は第2弾性体の張力より大きくされ、第2弾性体の他の平面部は内壁に固定されている。
【0034】
この構成とすることにより、第1弾性体により、フレキシブル基板に保持基材の端面から離れる方向の張力を掛けることができる。また、第1弾性体と第2弾性体で挟持された部分以外のフレキシブル基板の両端部にも張力を掛けることができる。
この結果、フレキシブル回路基板の振動、変形を抑制することができ、フレキシブル回路基板のノイズの発生を抑制できる。
【0035】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の放射線画像撮影装置において、前記第1弾性体、前記第2弾性体及び前記フレキシブル基板の少なくともいずれか1つの表面には、前記第1弾性体、前記第2弾性体と前記フレキシブル基板との当接部の滑りを防止する滑り防止処理がされていることを特徴としている。
【0036】
請求項11に記載の発明によれば、第1拘束部材又はフレキシブル基板の少なくともいずれか1つの表面に滑り防止処理が設けられている。これにより、第1拘束部材とフレキシブル基板の当接部、又は第2拘束部材とフレキシブル基板の当接部のいずれかの間で滑りが防止される。この結果、第1拘束部材とフレキシブル基板、及び第2拘束部材とフレキシブル基板の当接部のズレに伴うノイズの発生を抑制できる。
【0037】
請求項12に記載の発明は、請求項1に記載の放射線画像撮影装置において、前記張力付与手段は、平面部が前記フレキシブル基板に接着され前記保持基材に他の平面部が当接された第3弾性体であり、前記フレキシブル基板と前記筐体の内壁との間には、平面部が前記フレキシブル基板と接着され、前記第3弾性体とで、前記フレキシブル基板を挟持し、他の平面部が前記内壁に当接された第4弾性体を有することを特徴としている。
【0038】
請求項12に記載の発明によれば、フレキシブル基板が張力付与手段である第3弾性体と挟持手段である第4弾性体により両側から接着されている。このとき、第3弾性体がフレキシブル基板に保持基材から離れる方向の張力を掛けている。
これにより、第3弾性体と第4弾性体に挟持された範囲以外のフレキシブル基板の両端部においても、フレキシブル基板に張力を掛けることができる。
この結果、フレキシブル基板の振動、変形を抑制することができ、フレキシブル基板のノイズの発生を抑制することができる。
【0039】
請求項13に記載の発明は、請求項1に記載の放射線画像撮影装置において、前記張力付与手段は、平面部を前記筐体の内壁側から前記フレキシブル基板に当接させ前記フレキシブル基板を前記保持基材とで挟持し、他の平面部が前記内壁に固定された第5弾性体であり、前記第5弾性体と当接されていない前記フレキシブル基板の接続部側には、前記フレキシブル基板の延出方向を180度変え、前記第5弾性体と前記保持基材とで挟持されたとき、前記張力が掛かるクランク部が予め設けられていることを特徴としている。
【0040】
請求項13に記載の発明によれば、フレキシブル基板が、第5弾性体の平面部により第5弾性体と保持基材の間で挟持される。このとき、第5弾性体と当接されていないフレキシブル基板の接続部側のクランク部には、フレキシブル基板が挟持されたとき張力が掛けられる。
【0041】
本構成とすることにより、第5弾性体と保持基材の間で挟持されたフレキシブル基板の振動、変形を抑制することができる。更に、第5弾性体と当接されていない、張力が掛けられたフレキシブル基板のクランク部の振動、変形を抑制することができる。
これにより、フレキシブル基板のノイズの発生を抑制することができる。
【0042】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の放射線画像撮影装置において、前記第5弾性体及び前記フレキシブル基板の少なくともいずれか1つの表面には、前記第5弾性体と前記フレキシブル基板との当接部の滑りを防止する滑り防止処理がされていることを特徴としている。
【0043】
請求項14に記載の発明によれば、滑り防止処理により、第5弾性体とフレキシブル基板の当接部における滑りを防止することができる。この結果、フレキシブル基板に、当接部のズレに伴うノイズが発生するのを抑制することができる。
【0044】
請求項15に記載の発明は、請求項10〜14のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置において、前記第1弾性体〜前記第4弾性体の幅は、前記フレキシブル基板の幅に応じて設けられていることを特徴としている。
【0045】
これにより、隣のフレキシブル基板の振動や変形の影響を受けずに、フレキシブル基板を両側から挟持した状態で、フレキシブル基板に張力を加えることができる。また、隣接するフレキシブル基板間には弾性体は不要となるので、弾性体の量を減らすことができ、放射線画像撮影装置の軽量化が図れる。
【0046】
請求項16に記載の発明に係る放射線画像撮影システムは、請求項1〜13のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置、放射線を発生させる放射線発生装置、及び放射線画像撮影装置と放射線発生装置を制御する撮影制御手段を有し、前記撮影制御手段の制御下で、前記放射線発生装置で発生させ被写体を透過した放射線を前記放射線画像撮影装置が撮像することを特徴としている。
これにより、請求項1〜13のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置を使用した放射線画像撮影システムを提供できる。
【0047】
請求項17に記載の発明に係る放射線画像撮影装置の製造方法は、照射された放射線を電気信号に変換する光電変換素子を有する放射線検出パネルに、フレキシブル基板の一端を熱圧着させる工程と、前記放射線検出パネルと接合された保持基材の端面に、弾性半円柱体の平板部を接着する工程と、前記弾性半円柱体を前記平板部の方向へ押圧して前記弾性半円柱体の外周面を前記フレキシブル基板で覆い、信号処理基板の接続端子に、前記フレキシブル基板の他端に設けられたコネクタを接続する工程と、前記弾性半円柱体への押圧を解除して、前記フレキシブル基板に張力を掛ける工程と、を有することを特徴としている。
【0048】
請求項17に記載の放射線画像撮影装置の製造方法は、先ず、フレキシブル基板の一端を熱圧着させる工程により、照射された放射線を電気信号に変換する光電変換素子を有する放射線検出パネルに、フレキシブル基板の一端を熱圧着させる。次に、平板部を接着する工程により、放射線検出パネルと接合された保持基材の端面に、弾性半円柱体の平板部を接着させる。次に、コネクタを接続する工程により、弾性半円柱体を前記平板部の方向へ押圧して弾性半円柱体の外周面をフレキシブル基板で覆い、信号処理基板の接続端子に、フレキシブル基板の他端に設けられたコネクタを接続する。最後に、張力を掛ける工程により、弾性半円柱体への押圧を解除して、フレキシブル基板に張力を掛ける。
以上の製造方法を実行することにより、放射線画像撮影装置を製造することができる。
【発明の効果】
【0049】
本発明は、上記構成としてあるので、フレキシブル基板の振動、変形を抑制する放射線画像撮影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】(A)は本発明の第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の基本構成を示す平面部分断面図であり、(B)は図1(A)のX−X線鉛直断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置を使用した放射線画像撮影システムの基本構成を示す概念図である。
【図3】は本発明の第2の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の基本構成を示す水平部分断面図である。
【図4】は本発明の第3の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の基本構成を示す図1(A)のX−X線鉛直断面図である。
【図5】は本発明の第4の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の基本構成を示す図1(A)のX−X線鉛直断面図である。
【図6】は本発明の第5の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の基本構成を示す図1(A)のX−X線鉛直断面図である。
【図7】(A)は本発明の第5の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の製造方法を示す図1(A)のX−X線鉛直断面図であり、(B)は弾性部材の体積を押圧して縮減させた状態を示す断面図である。
【図8】は本発明の第6の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の基本構成を示す図1(A)のX−X線鉛直断面図である。
【図9】は本発明の第7の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の基本構成を示す図1(A)のX−X線鉛直断面図である。
【図10】(A)は本発明の第8の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の基本構成を示す平面部分断面図であり、(B)は図9(A)のX−X線鉛直断面図である。
【図11】(A)は本発明の第9の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の基本構成を示す平面部分断面図であり、(B)は図10(A)のX−X線鉛直断面図である。
【図12】は本発明の第10の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の基本構成を示す図1(A)のX−X線鉛直断面図である。
【図13】は本発明の第11の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の基本構成を示す図1(A)のX−X線鉛直断面図である。
【図14】は本発明の第12の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の基本構成を示す平面図であり、図1のY−Y線部視図の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
(第1の実施の形態)
図1(A)の平面部分断面図、図1(B)のX−X線拡大断面図に示すように、第1の実施の形態に係る電子カセッテ10は、中空平板状の筐体12を有し、筐体12の内部には後述するX線画像撮影用の部品類が収納されている。
筐体12は、互いに対向する平面12A、12B、及び12C、12Dにより矩形断面形状とされている。電子カセッテ10の使用時には、矢印22の方向からX線が照射される。筐体12は持ち運び可能な寸法及び形状とされ、樹脂材料や金属材料等で形成されている。
【0052】
筐体12の内部には、フラットパネルセンサー部14が設けられている。フラットパネルセンサー部14は、センサ基板27と、シンチレータ28、30を有している。
センサ基板27は、X線が照射される側の平板12Aに面して配置され、平面12Aの筐体12の内部側のほぼ全面を覆う大きさを有している。センサ基板27の平板12A側の面は、図示しない接合部材で平板12Aと接合されている。
センサ基板27は、X線を電気信号に変換する図示しない光電変換素子を有しており、照射され被写体を通過したX線を電気信号に変換して出力する。
【0053】
センサ基板27の平板12Aと反対側の面には、シンチレータ28、30が設けられている。シンチレータ28、30は、入射してくるX線を光に変換して発光する蛍光体を成膜したものである。シンチレータ30は柱状に成膜され、シンチレータ28は非柱状(平板状)に成膜されている。
柱状とされたシンチレータ30の一端は、シンチレータ28の一方の表面と接合され、シンチレータ30の他端は、センサ基板27と接合されている。シンチレータ28の他方の表面はアルミ蒸着基板26と接合されている。
【0054】
電子基板18を保持する保持基材25は、アルミ製のシャーシ16、カーボン補強板24及びアルミ蒸着基板26を有している。アルミ蒸着基板26は、カーボン補強板24の一方の表面に設けられており、カーボン補強板24の他方の表面には、アルミ製のシャーシ16が接合されている。ここに、アルミ蒸着基板26、カーボン補強板24及びシャーシ16は、フラットパネルセンサー部14とほぼ同じ表面積で形成され、保持基材25のフラットパネルセンサー部14と反対側には、電子基板18が保持されている。
【0055】
筐体12の内部には、平板12Bに面して電子基板18が設けられている。電子基板18は、シャーシ16の平板12B側の面に取り付けられている。電子基板18の長手方向は、フラットパネルセンサー部14の長手方向と平行に配置されている。シャーシ16は電子基板18より広い面積で形成され、シャーシ16の平板12B側の面には、電子基板18以外の電子基板19も取り付けられている。
電子基板18には、フラットパネルセンサー部14から入力される電気信号を、予め定められた信号処理を行う図示しない処理回路が設けられている。
【0056】
電子カセッテ10の側壁12Cの内部側には、フレキシブル基板20が設けられている。フレキシブル基板20は、帯状(幅W1)の導通ケーブルであり、一端がフラットパネルセンサー部14のセンサ基板27と接続部20Aで接続され、他端が電子基板18に接続部20Bで接続されている。
これにより、センサ基板27と電子基板18が電気的に導通され、センサ基板27から電子基板18へ、照射されたX線を変換した電気信号が送られる。
【0057】
ここに、接続部20Aは、例えば加熱状態で加圧して当接面同士を接合させる熱圧着で接合されており、接続部20Bは、信号処理基板に設けられた端子台90にフレキシブル基板20に設けられたコネクタ92を差し込むコネクタ接続とされている。
【0058】
また、接続部20Aと接続部20B以外のフレキシブル基板20は、電子基板18、保持基材25、フラットパネルセンサー部14の各端面と接触しないようコ字状にこれらを囲み、これらとフレキシブル基板20で囲み空間34を形成している。
囲み空間34には、コ字状とされた角部に2本のワイヤ32a、32bが挿入され、フレキシブル基板20と張力を加えた状態で当接されている。ワイヤ32a、32bは、フレキシブル基板20に、電子基板18、保持基材25及びフラットパネルセンサー部14の端面から離れた位置において張力P1、P2を掛けている。
【0059】
このとき、ワイヤ32aは、フレキシブル基板20の接続部20A側の端部を矢印P1の方向へ圧力を掛け、フレキシブル基板20にセンサ基板27の表面と平行な方向、及びセンサ基板27の表面と直交する方向の張力を付与している。この結果、センサ基板27の表面と交差する方向の張力が抑制され、接続部20Aの接続(熱圧着)を剥がす方向の引張力の発生が抑制される。
【0060】
更に、フレキシブル基板20と、センサ基板27、電子基板18及び保持基材25の端面との接触が制限され、フレキシブル基板20のノイズの発生を抑制できる。
また、ワイヤ32bは、フレキシブル基板20の接続部20B側の端部を矢印P2の方向へ押して、フレキシブル基板20に、電子基板18の表面と平行な方向、及び電子基板18の表面と直交する方向に張力を加えている。
これにより、接続部20Aとワイヤ32aの間、ワイヤ32aとワイヤ32bの間、及びワイヤ32bと接続部20Bとの間に張力を掛けることができる。
【0061】
ワイヤ32a、32bは、筐体12の対面する内壁12E、12F間に架け渡されている。このとき、ワイヤ32a、32bには、フレキシブル基板20に張力を掛けるたわみが予め形成されている。ワイヤ32a、32bの両端部は、ワイヤ32a、32bの中間部を撓ませた状態で、筐体の内壁12E、12Fに固定金具36で固定されている。
これにより、ワイヤ32a、32bでフレキシブル基板20に張力を掛けることができる。また、ワイヤ32a、32bを安定して内壁12E、12Fに固定でき、複数のフレキシブル基板20に一括して、張力を加えることができる。
【0062】
このとき、ワイヤ32a、32bの表面には、凹凸部等の滑りを防止する処理を施すのが望ましい。例えば図1に示すように、ワイヤ32a、32bを8角形に形成してもよい。これらの滑りを防止する処理により、ワイヤ32a、32bとフレキシブル基板20の当接部において、滑りを防止することができ、滑りに伴うフレキシブル基板20のノイズの発生が抑制される。
なお、滑り防止処理は、フレキシブル基板20の表面側に設けられていてもよい。
【0063】
以上説明した構成とすることにより、フレキシブル基板20にワイヤ32a、32bにより電子基板18、保持基材25及びフラットセンサパネル部14の端面から離れる方向へ張力が掛けられているので、接続部20A、20Bを除いた、フレキシブル基板20の中間部の振動、変形が抑制される。
【0064】
更に、本実施の形態に係る電子カセッテ10においては、矢印22の方向からX線が照射された場合、光電変換素子を有するフラットパネルセンサー部14により、照射されたX線が電気信号に変換される。この電気信号は、フレキシブル基板20を介してフラットパネルセンサー部14と対向して設けられた電子基板18に送られる。そして、電子基板18に送られた電気信号は、電子基板18により予め定められた信号処理が行なわれる。
【0065】
以上説明したように、本実施の形態によれば、電子カセッテ10が振動を受けても、ワイヤ32a、32bによりフレキシブル基板20に掛けられた張力により、フレキシブル基板20の振動、変形が抑制される。この結果、フレキシブル基板20のノイズの発生を抑制できる。
【0066】
また、フレキシブル基板20がワイヤ32a、32bにより張力を受けて振動や変形が制限されるので、フレキシブル基板と周囲の部品との接触が制限され、接触によるノイズの発生を抑制できる。更に、フレキシブル基板20が周囲の部品と既に接触している場合においては、接触状態が維持されるので、接触状態が変化することによるノイズの発生を抑制できる。即ち、フレキシブル基板20の振動、変形を抑制する電子カセッテ10を提供することができる。
【0067】
次に、本実施の形態の電子カセッテ10の使用例について説明する。
図2のシステム概念図に示すように、電子カセッテ10は、放射線画像撮影システム80に組み込まれて使用される。
電子カセッテ10は、X線を発生させるX線発生装置82と対向して配置され、電子カセッテ10とX線発生装置82との間に被写体88を挟んで使用される。電子カセッテ10とX線発生装置82は、コンソール84でそれぞれ制御される。
【0068】
電子カセッテ10とコンソール84の間は、通信ケーブル86又は無線信号Sで接続されて情報の授受が行われる。また、放射線発生装置82とコンソール84の間は、通信ケーブル87で接続されて情報の授受が行われる。ここに、X線発生装置82とコンソール84は、一般的に用いられている市販機器であり、説明は省略する。
【0069】
このシステム構成とすることにより、コンソール84からの制御指令を受けて、X線発生装置82によりX線が照射され、被写体88を通過したX線を電子カセッテ10で撮像することができる。
ここに照射されるX線は放射線の一例であり、使用目的に応じてX線以外のα線、β線、γ線、中性子線等の各種放射線であってもよい。
【0070】
(第2の実施の形態)
図3の部分断面図に示すように、第2の実施の形態に係る電子カセッテ40は、第1の実施の形態と、フレキシブル基板20に張力を掛けるワイヤの固定方法が相違する。第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0071】
本実施の形態においては、ワイヤ33a、33bは、保持基材25の端面25Eに沿って配置されている。ここに、ワイヤ33a、33bには、フレキシブル基板20に張力を掛けるためのたわみが予め形成されている。ワイヤ33a、33bの両端面は、保持基材25の端面25Eから突出して設けられた固定金具38で両端部が固定されている。
これにより、ワイヤ33a、33bで一括して、電子基板18、保持基材25及びフラットセンサパネル部14の端面から離れた位置において、複数のフレキシブル基板20に張力を加えることができる。
【0072】
本実施の形態においては、ワイヤ33a、33bの固定に筐体12を利用しないので、保持基材25と筐体12の振動モードが相違していても、常にフレキシブル基板20に張力を掛けることができる。
更に、ワイヤ33a、33bの固定に筐体12を利用しないので、筐体12をフレームレスのモノコック構造とした場合においても採用することができる。
他の構成は、第1の実施の形態と同じであり説明は省略する。
【0073】
(第3の実施の形態)
図4の部分断面図に示すように、第3の実施の形態に係る電子カセッテ44は、第1の実施の形態と、フレキシブル基板20に張力を掛けるワイヤの構成が相違する。第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0074】
本実施の形態においては、張力付与手段が3本のワイヤ46a、46b、46cで構成されている。フレキシブル基板20はコ字状に形成され、ワイヤ46a、46b、46cは、いずれも、電子基板18、保持基材25及びフラットパネルセンサー部14の各端面とフレキシブル基板20で囲まれた囲み空間34の中に配置されている。
【0075】
ワイヤ46aは、フレキシブル基板20の一方の折り曲げ位置であり、フラットパネルセンサー部14とフレキシブル基板20の接続部20Aから、フレキシブル基板20をフラットパネルセンサー部14の表面と平行な方向に張力を加える位置に配置されている。
ワイヤ46cは、フレキシブル基板20の他方の折り曲げ位置であり、電子基板18とフレキシブル基板20の接続部20Bから、フレキシブル基板20を電子基板18の表面と平行な方向に張力を加える位置に配置されている。
【0076】
また、ワイヤ46bは、ワイヤ46aとワイヤ46cの間に配置され、かつ、ワイヤ46aとワイヤ46bを結ぶ直線より、筐体12の側壁12C側へ突き出させて配置されている。
これにより、フレキシブル基板20に張力を掛けることができる。このとき、ワイヤ46bに、ワイヤ46aとワイヤ46cに加わる張力の一部を分担させ、ワイヤ46bで張力を調整できる。更に、それぞれのワイヤに加わる引張力を低減させることができる。
【0077】
この構成によれば、電子カセッテ44が振動を受けても、フレキシブル基板20が張力を掛けられているので、フレキシブル基板20の振動や変形を張力により抑制できる。また、フレキシブル基板20の接合部20Aにおいては、フラットパネルセンサー部14の表面と平行な方向に張力を加えるので、接合部20Aの熱圧着を剥がす方向の引張力の発生を抑制できる。
【0078】
なお、3本のワイヤ46a、46b、46cのうち、ワイヤ46a、46cにはたわみを設けなくて、ワイヤ46bにのみ予めたわみを設ける構成でも、フレキシブル基板20に張力を掛けることができる。
更に、3本のワイヤ46a、46b、46cとフレキシブル基板20の当接部には、第1の実施の形態で説明した滑り防止処理をするのが望ましい。
他の構成は、第1の実施の形態と同じであり説明は省略する。
【0079】
(第4の実施の形態)
図5の部分断面図に示すように、第4の実施の形態に係る電子カセッテ45は、第1の実施の形態と、フレキシブル基板20に張力を掛けるワイヤの構成が相違する。第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0080】
本実施の形態においては、フレキシブル基板20が側面視でコ字状に形成され、張力付与手段が3本のワイヤ46a、46c、46dで構成されている。ワイヤ46a、46cは、フレキシブル基板20と、電子基板18、保持基材25及びフラットパネルセンサー部14の各端面とで囲まれた囲み空間34の中に配置されている。一方、ワイヤ46dは囲み空間34の外に配置され、張力調整部材としての機能を有している。
【0081】
ワイヤ46aは、フレキシブル基板20の一方の角部であり、フラットパネルセンサー部14とフレキシブル基板20の接続部20Aから、フレキシブル基板20をフラットパネルセンサー部14の表面と平行な方向に張力を加える位置に配置されている。
また、ワイヤ46cは、フレキシブル基板20の他方の角部であり、電子基板18とフレキシブル基板20の接続部20Bから、フレキシブル基板20を電子基板18の表面と平行な方向に張力を加える位置に配置されている。
【0082】
また、ワイヤ46dは、ワイヤ46aとワイヤ46cの間に配置され、かつ、ワイヤ46aとワイヤ46cを結ぶ直線よりフラットパネルセンサー部14等の端面側へ突き出して配置されている。このワイヤ46dの突出し量により、フレキシブル基板20の張力を調整することができる。
これにより、上述の第3の実施の形態と異なり、ワイヤ46dが筐体12側に突き出るのを抑制した状態でフレキシブル基板20に掛ける張力を調整することができ、筐体12の外径をコンパクトにできる。
【0083】
この構成によれば、フレキシブル基板20に張力を掛けることができる。更に、電子カセッテ45が振動を受けても、フレキシブル基板20の両端面がフラットパネルセンサー部14の表面と平行な方向に張力を掛けるので、フレキシブル基板20の接合部20Aの熱圧着を剥がす方向の引張力の発生を抑制できる。
なお、3本のワイヤ46a、46c、46dとフレキシブル基板20の当接部は、第1の実施の形態で説明した滑り防止処理をするのが望ましい。
他の構成は、第1の実施の形態と同じであり説明は省略する。
【0084】
(第5の実施の形態)
図6の断面図に示すように、第5の実施の形態に係る電子カセッテ50は、第1の実施の形態とフレキシブル基板20に張力を掛ける張力付与手段が相違する。第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0085】
本実施の形態においては、張力付与手段がゴム等の弾性部材で形成された弾性半円柱体52とされている。弾性半円柱体52は、断面形状が半円形状に形成され、電子基板18、保持基材25及びフラットパネルセンサー部14の各端面とフレキシブル基板21で囲まれた囲み空間34に取り付けられている。
フレキシブル基板21には折り曲げ部は形成されてなく、フレキシブル基板21が弾性半円柱体52の表面52Rに沿って湾曲して当接される。フレキシブル基板21は、半円柱体52の表面52Rから矢印P3、P4で示す張力を受ける。
【0086】
ここに、弾性半円柱体52は、接合部20Aの熱圧着を押さえ付ける方向(矢印P3の方向)にも張力を掛ける構成とするのが望ましい。これにより、接続部20Aの熱圧着を押さえる方向に力が作用させることができる。
また、フレキシブル基板21と、センサ基板27、電子基板18及び保持基材25の端面との間に弾性半円柱体52が位置しているので、フレキシブル基板21とこれらの接触を抑制することができる。
【0087】
また、弾性半円柱体52の平板部52Fが、保持基材25の端面と接合されている。これにより、弾性半円柱体52を安定して固定することができる。
この結果、フレキシブル基板21に張力を掛けることができる。また、フレキシブル基板21の振動や変形を抑制することができる。
この結果、フレキシブル基板21のノイズの発生を抑制できる。他の構成は、第1の実施の形態と同じであり説明は省略する。
【0088】
次に、図7の断面図を用いて本実施の形態における電子カセッテ50の製造方法について説明する。なお、それぞれの構成部材は説明済みであり、詳細な説明は省略する。
【0089】
先ず、フレキシブル基板21の一端を熱圧着させる工程を実行する。即ち、照射された放射線を電気信号に変換する光電変換素子を有するフラットパネルセンサー部14の接続部21Aに、フレキシブル基板21の一端を熱圧着する。このとき、フレキシブル基板21の他端側(コネクタ92側)は2点鎖線で示すように開放しておく。
【0090】
次に、弾性半円柱体を接着する工程を実行する。即ち、弾性半円柱体52の平板部52Fを、フラットパネルセンサー部14と接合された保持基材25の端面25E等に接着する。このとき、フレキシブル基板21の他端側は開放されており、接着作業の邪魔になることはない。
【0091】
次に、コネクタを接続する工程を実行する。即ち、図7(B)の断面図に示すように、弾性半円柱体52の表面52R(外周面)を平板部52Fの方向へ押圧し体積を小さくした状態で、弾性半円柱体52の表面52Rをフレキシブル基板21で覆う。その状態で電子基板18の接続端子90に、フレキシブル基板21の他端に設けられたコネクタ92を接続する。
【0092】
最後に、張力を掛ける工程を実行する。即ち、弾性半円柱体52への押圧を解除して、弾性半円柱体52の体積を復元させ、フレキシブル基板21に弾性半円柱体52の張力を掛ける。これにより、フレキシブル基板21に張力を掛けることができる。
また、フラットパネルセンサー部14、電子基板18及び保持基材25の端面とフレキシブル基板21の間に弾性半円柱体52が存在するため、フレキシブル基板21とこれらが接触するのが抑制される。
【0093】
更に、矢印P3の方向の力が接続部21Aに加えられる構成とすることにより、接続部20Aの熱圧着の剥がれを抑制することができる。
以上の製造方法を実行することにより、フレキシブル基板21に張力を掛け、張力により、フレキシブル基板21の振動や変形を抑制する電子カセッテ50を製造することができる。
【0094】
(第6の実施の形態)
図8の断面図に示すように、第6の実施の形態に係る電子カセッテ100は、第1の実施の形態とフレキシブル基板104に張力を掛ける張力付与手段が相違する。第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0095】
本実施の形態においては、張力付与手段が弾性部材で形成された弾性半円柱体102とされている。弾性半円柱体102は、断面形状が略半円形状に形成され、平板部102Fが筐体12Cの内壁12Nに接合され、円形部102Rが保持基材25の端面25E側に向けて突出されている。
【0096】
フレキシブル基板104の一端104Aはセンサ基板27の端部に熱圧着され、フレキシブル基板104の他端104Bは、電子基板18側の接続端子にコネクタ接続されている。接続部104A、104Bを除くフレキシブル基板104の中間部は、弾性半円柱体102の円形部102Rに沿って湾曲して当接され、弾性半円柱体102の円形部102Rから矢印P5で示す張力を受けている。
【0097】
また、弾性半円柱体102の平板部102Fが、筐体12の内壁12Nと接合されている。これにより、弾性半円柱体102を安定して固定することができる。また、フレキシブル基板104の延出方向(保持基材25の端面25Eの方向)に張力を掛けているので、接続部104Aの熱圧着部を剥がす方向の力が作用するのを抑制できる。
【0098】
ここに、弾性半円柱体102は、接合部104Aの熱圧着を押さえ付ける方向(矢印P3の方向)にも張力を掛ける構成とするのが望ましい。これにより、接続部104Aの熱圧着を押さえる方向に力が作用させることができる。
この結果、フレキシブル基板104に張力を掛けることができ、フレキシブル基板104の振動や変形を抑制することができる。この結果、フレキシブル基板104のノイズの発生を抑制できる。
他の構成は、第1の実施の形態と同じであり説明は省略する。
【0099】
(第7の実施の形態)
図9の断面図に示すように、第7の実施の形態に係る電子カセッテ58は、第1の実施の形態とフレキシブル基板21に張力を掛ける張力付与手段が相違する。第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0100】
本実施の形態においては、張力付与手段が弾性部材で形成された膨張、収縮(縮小)可能なエアバッグ56とされている。
エアバッグ56は、折り畳んだ状態で、フレキシブル基板20と、電子基板18、保持基材25及びフラットパネルセンサー部14の各端面とで囲まれた囲み空間34に取り付けられている。エアバッグ56は、使用時には、図示しないエア注入手段からエアを注入して膨張させる。注入されたエアの圧力PAでエアバッグ56の表面である円形部56Rが、フレキシブル基板21と当接されフレキシブル基板21に張力を掛ける。
【0101】
エアバッグ56の膨張は、フレキシブル基板21に急激な張力が加わるのを避けるため、エアの注入開始から数秒かけて徐々に膨らませるのが望ましい。また、膨張方向は、エアバッグ56の一部を、接続部21Aの周囲のフレキシブル基板20を矢印PSの方向へ押圧し、センサ基板27の表面に押さえつけるように膨らませるのが望ましい。
【0102】
これにより、フレキシブル基板21に張力を掛けることができる。また、接続部21Aを押さえつける方向の力が作用し、接続部21Aにおける熱圧着の剥がれが抑制される。
更に、フレキシブル基板20と、電子基板18、保持基材25及びフラットパネルセンサー部14の各端面との間にエアバッグ56が存在しているので、フレキシブル基板21と、センサ基板27、電子基板18及び保持基材25の端面との接触を抑制することができる。
この結果、フレキシブル基板21のノイズの発生を抑制することができる。
【0103】
更に、本構成とすることにより、使用時にのみ、フレキシブル基板21に張力を加えることができる。この結果、フレキシブル基板20に張力を掛ける時間を低減することができ、フレキシブル基板20の張力による劣化防止を図ることができる。
他の構成は、第1の実施の形態と同じであり説明は省略する。
【0104】
(第8の実施の形態)
図10の断面図に示すように、第8の実施の形態に係る電子カセッテ60は、第1の実施の形態とフレキシブル基板20に張力を掛ける張力付与手段が相違する。第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0105】
本実施の形態においては、フレキシブル基板20が側面視でコ字状に形成され(図10(B)参照)、フレキシブル基板20の直状とされたほぼ中央部に、張力付与手段である第1緩衝材62が設けられている。
第1緩衝材62は、例えば発泡材、ゴム、エアバッグ等で直方体に形成され、第1緩衝材62と挟持部材である第2緩衝材64とでフレキシブル基板20を挟む構成である。
【0106】
ここに、第2弾性体62も、例えば発泡材、ゴム、エアバッグ等で形成されている。第1緩衝材62と第2弾性体62は、いずれも同じ素材であってもよく、異なる素材であってもよい。
電子カセッテ60において、第1緩衝材62と第2緩衝材64は、複数のフレキシブル基板20を連続して覆う幅で形成され、フレキシブル基板20と当接して配置されている。第1緩衝材62と第2緩衝材64の高さH1は、接合部間の直線部距離H2の半分以上確保するのが望ましい。
【0107】
第1緩衝材62は、電子基板18、保持基材25及びフラットパネルセンサー部14の各端面25Eと、フレキシブル基板20で囲まれた囲み空間34に配置されている。第1緩衝材62の一つの平面が保持基材25の端面25Eに接合され、他の平面がフレキシブル基板20に当接し、第1圧力P1でフレキシブル基板20を押圧する。
【0108】
一方、第2緩衝材64は、フレキシブル基板20と筐体12Cの間に配置され、第1緩衝材62とフレキシブル基板20を挟んでいる。第2緩衝材64の一端は筐体12の内壁12Gに接合され、他端は第2圧力P2でフレキシブル基板20を押圧する。ここに、第1圧力P1が第2圧力P2より大きくされている(P1>P2)。
これにより、第1緩衝材62でフレキシブル基板20に張力を掛けることができる。また、第1緩衝材62と第2緩衝材64により、フレキシブル基板20の両側からフレキシブル基板20を挟持し、フレキシブル基板20の振動や変形を抑制することができる。
【0109】
更に、第1圧力P1が第2圧力P2より大きいため、保持基材25の端面25Eから離れる方向へ、フレキシブル基板20に張力を加えることができる。この結果、フレキシブル基板20の第1緩衝材62と第2緩衝材64で挟持されていない部分においても、保持基材25の端面25Eから離れる方向へ張力を掛けることができる。
【0110】
更に、第1緩衝材62と第2緩衝材64により、接続部20Aの延出方向へ張力を掛けることができるので、フレキシブル基板20の熱圧着の剥がれが抑制される。
また、フレキシブル基板20と、センサ基板27、電子基板18及び保持基材25の端面25Eとの間に第1緩衝材62が存在しているので、フレキシブル基板20とセンサ基板27、電子基板18及び保持基材25の端面25Eとの接触を抑制することができる。
【0111】
なお、図示は省略するが、第1緩衝材62と第2緩衝材64のいずれか一方のフレキシブル基板20と当接する面に、例えば凹凸部等の滑り防止手段を設け、当接部における滑りを防止するのが望ましい。滑り防止用の凹凸部は、第1緩衝材62と第2緩衝材64に限定されることなく、フレキシブル基板20の表面に形成してもよい。
他の構成は、第1の実施の形態と同じであり説明は省略する。
【0112】
(第9の実施の形態)
図11の断面図に示すように、第9の実施の形態に係る電子カセッテ64は、第1の実施の形態とフレキシブル基板20の周囲に設けられた張力付与手段が異なる。第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0113】
本実施の形態においては、フレキシブル基板20が側面視でコ字状に形成され(図11(B)参照)、フレキシブル基板20の直状とされた略中央部に張力付与手段である第6緩衝材68が設けられている。
第6緩衝材68は、例えば発泡材、ゴム、エアバッグ等で直方体に形成され、第6緩衝材68と挟持部材である第7緩衝材70とでフレキシブル基板20を挟む構成である。
ここに、第7弾性体70も、例えば発泡材、ゴム、エアバッグ等で形成され、両者は、同じ素材であっても、異なる素材であってもよい。
【0114】
電子カセッテ64において、第6緩衝材68及び第7弾性体70は、個々のフレキシブル基板20の幅ごとに切断されている。即ち、第6緩衝材68及び第7弾性体70は、分離された状態で配置され、それぞれのフレキシブル基板20と当接されている。第6緩衝材68と第7弾性体70の幅W1は、フレキシブル基板20の幅W2と同等程度が望ましい。また、第6緩衝材68と第7弾性体70の高さH1は、接合部間の直線部の距離H2の半分以上確保するのが望ましい。
【0115】
即ち、第6緩衝材68は、フレキシブル基板20と、電子基板18、保持基材25及びフラットパネルセンサー部14の各端面とで囲まれた囲み空間34に配置されている。第6緩衝材68の一端は保持基材25の端面25Eに接合され、他端が、第6圧力P6でフレキシブル基板20を押圧する。
【0116】
一方、第7弾性体70は、フレキシブル基板20を挟んで、フレキシブル基板20と筐体12Cの間に配置され、一端が筐体12の内壁12Gに接合され、他端は第7圧力P7でフレキシブル基板20を押圧する。ここに、第6圧力P6が第7圧力P7より大きくされている(P6>P7)。
これにより、第6緩衝材68でフレキシブル基板20に張力を掛けることができる。また、第6緩衝材68と第7弾性体70により、フレキシブル基板20の両側から、フレキシブル基板20を挟持して、フレキシブル基板20を押し当てて固定することができる。
【0117】
このとき、第6圧力P6が第7圧力P7より大きいため、フレキシブル基板20に、保持基材25の端面25Eから離れる方向へ張力を加えることができる。このとき、フレキシブル基板20と、センサ基板27、電子基板18及び保持基材25の端面25Eとの間に第6緩衝材68が存在するため、フレキシブル基板20と、センサ基板27、電子基板18及び保持基材25の端面25Eとの接触を抑制することができる。
【0118】
更に、この構成とすることにより、隣接するフレキシブル基板20の影響を受けずに、フレキシブル基板20の振動、変形を抑制できる。また、隣接するフレキシブル基板20の間には弾性体を設けないので、弾性体の量を減らすことができ、電子カセッテ64の軽量化が図れる。
他の構成は、第1の実施の形態と同じであり説明は省略する。
【0119】
(第10の実施の形態)
図12の断面図に示すように、第10の実施の形態に係る電子カセッテ72は、第1の実施の形態とフレキシブル基板20の周囲に設けられた張力付与手段が異なる。第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0120】
本実施の形態においては、フレキシブル基板20は側面視がコ字状に形成され、張力付与手段が第3緩衝材74であり、挟持部材である第4緩衝材76とでフレキシブル基板20のほぼ中央部の直線部を挟持している。
ここに、第3緩衝材74と第4緩衝材76は、例えば発泡材、ゴム、エアバッグ等で直方体に形成され、両者は、同じ素材であっても、異なる素材であってもよい。
【0121】
電子カセッテ72において、第3緩衝材74と第4緩衝材76は、複数のフレキシブル基板20のコ字状に形成された中央部を連続して覆う幅で形成されている。第3緩衝材74と第4緩衝材76は、フレキシブル基板20を押圧した状態でフレキシブル基板20に当接されている。第3緩衝材74と第4緩衝材76の高さH1は、接合部間の距離H2の半分以上を確保するのが望ましい。
【0122】
ここに、第3緩衝材74は、電子基板18、保持基材25及びフラットパネルセンサー部14の各端面とフレキシブル基板20で囲まれた囲み空間34に配置され、第3緩衝材74の一端はフレキシブル基板20に接合され、他端が保持基材25の端面25Eに当接され、第3圧力P3でフレキシブル基板20を押圧している。
【0123】
一方、第4緩衝材76は、フレキシブル基板20と筐体12Cの間に配置され、一端がフレキシブル基板20に接合され、他端が筐体12Cの壁面12Gに当接されている。第4緩衝材76は、第4圧力P4で壁面12Gを押圧する。ここに、第3圧力P3が第46圧力P4より大きくされている(P3>P4)。
これにより、第3緩衝材74でフレキシブル基板20に張力を掛けることができる。また、第3緩衝材74と第4緩衝材76により、フレキシブル基板20の両側からフレキシブル基板20に異なる大きさの圧力を加え、フレキシブル基板20を押し当てて固定することができる。
【0124】
このとき、第3圧力P3が第4圧力P4より大きいため、保持基材25の端面25Eから離れる方向へ、フレキシブル基板20に張力を加えることができる。また、第3緩衝材74と第4緩衝材76で挟持された部分以外の両端部のフレキシブル基板20にも張力を掛けることができる。これにより、フレキシブル基板20の振動や変形を抑制できる。
【0125】
また、フレキシブル基板20と、センサ基板27、電子基板18及び保持基材25の端面25Eとの間に第3緩衝材74が存在するので、フレキシブル基板20と、センサ基板27、電子基板18及び保持基材25の端面25Eとの接触を抑制できる。
更に、フレキシブル基板20の接合部20Aにフレキシブル基板20の延出方向の張力を掛けることができるので、熱圧着の剥がれを抑制することができる。
【0126】
なお、第3緩衝材74及び第4緩衝材76の幅は、第8の実施の形態で説明したように、フレキシブル基板20の幅に対応させて、フレキシブル基板20の幅と同程度に形成してもよい。これにより、電子カセッテ72の軽量化を図ることができる。
他の構成は、第1の実施の形態と同じであり説明は省略する。
【0127】
(第11の実施の形態)
図13の断面図に示すように、第11の実施の形態に係る電子カセッテ110は、第1の実施の形態とフレキシブル基板114の周囲に設けられた張力付与手段が異なる。第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0128】
本実施の形態においては、張力付与手段が弾性部材で形成された第5緩衝材112である。第5緩衝材112は、直方体とされ、1つの平面部を筐体12の内壁側からフレキシブル基板114に当接させ、フレキシブル基板114を保持基材25の端面25Eに押し当て、保持基材25の端面25Eとの間でフレキシブル基板114を挟持している。第5緩衝材112の他の平面部は、筐体12の内壁12Gに固定されている。
【0129】
第5緩衝材112と当接されていないフレキシブル基板114の接続部側には、フレキシブル基板112の延出方向を180度変えるクランク部114Cが予め設けられている。
クランク部114Cは、3箇所の折り曲げ部を有し、フレキシブル基板114を180度折り曲げて、更にフレキシブル基板112の延出方向と直交する方向にフレキシブル基板114を折り曲げられている。
クランク部114Cは、この押し曲げ部において、フレキシブル基板114が第5緩衝材112と保持基材25とで挟持されたとき、クランク部114Cに張力が掛かる位置で予め折り曲げられている。
【0130】
即ち、第5緩衝材112と保持基材25とでフレキシブル基板114を挟持する前に、保持基材25の端面25Eとフレキシブル基板114の間に予め所定の隙間を形成しておき、第5緩衝材112でフレキシブル基板114が保持基材25の端面25Eに押し付けられたとき、クランク部114Cに隙間分だけの移動によりクランク部114Cに張力を掛けることができる。
【0131】
ここに、第5緩衝材112は、例えば発泡材、ゴム、バネ、エアバッグ等で形成され、第5緩衝材112及びフレキシブル基板114の少なくともいずれか1つの表面には、例えば凹凸加工等の滑り防止処理がされているのが望ましい。これにより、第5緩衝材112とフレキシブル基板114との当接部の滑りを防止することができる。
また、第5緩衝材112は、複数のフレキシブル基板114の中央部を連続して覆う幅で形成され、フレキシブル基板114を押圧した状態でフレキシブル基板114に当接している。第5弾性体5弾性体76の高さH1は、接合部間の距離H2の半分以上を確保するのが望ましい。
【0132】
本構成とすることにより、第5緩衝材112と当接されていないフレキシブル基板のクランク部114Cに張力を掛かることができる。この結果、第5緩衝材112と保持基材25の間で挟持されたフレキシブル基板114、及び張力が掛けられた第5緩衝材112と当接されていないフレキシブル基板のクランク部114Cの振動、変形を抑制することができ、フレキシブル基板114のノイズ発生を抑制できる。
他の構成は、第1の実施の形態と同じであり説明は省略する。
【0133】
(第12の実施の形態)
図14の部分拡大図に示すように、第12の実施の形態に係る電子カセッテ67は、第1の実施の形態で説明したフレキシブル基板20に代えて、フレキシブル回路基板78を採用した構成である。第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0134】
本実施の形態に係るフレキシブル回路基板78は、既述のフレキシブル基板20と同じ幅W1で形成され、フレキシブル回路基板78の導通ケーブル部96の途中に、アンプ94を実装した構成である。アンプ94は、例えばチャージアンプ等であり、入力された電気信号を増幅して出力する。
【0135】
本構成によれば、実装されたアンプ94により、フレキシブル回路基板78において入力された電気信号を増幅させて出力させることができる。これにより、別途、電子基板18にアンプ94を取り付ける必要がなくなり、電子基板18のコンパクト化を図ることができる。
なお、本実施の形態のフレキシブル回路基板78は、第1の実施の形態のみならず、第2の実施の形態〜第11の実施の形態に係る各電子カセッテに適用することができる。
【符号の説明】
【0136】
10 電子カセッテ(放射線画像撮影装置)
12 筐体
14 フラットパネルセンサー部(放射線検出パネル)
16 シャーシ(保持基材)
18 電子基板(信号処理基板)
20 フレキシブル基板
24 カーボン補強板(保持基材)
32 ワイヤ(棒状部材、張力付与手段)
33 ワイヤ(棒状部材、張力付与手段)
52 弾性半円柱体(張力付与手段)
56 エアバッグ(張力付与手段)
62 第1緩衝材(第1弾性体、張力付与手段)
64 第2緩衝材(第2弾性体、張力付与手段)
68 第6緩衝材(第6弾性体、張力付与手段)
70 第7緩衝材(第7弾性体、張力付与手段)
74 第3緩衝材(第3弾性体、張力付与手段)
76 第4緩衝材(第4弾性体、張力付与手段)
80 放射線画像撮影システム
82 X線発生装置(放射線発生装置)
84 コンソール(撮影制御手段)
112 第5緩衝材(第5弾性体、張力付与手段)
114C クランク部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射された放射線を電気信号に変換する光電変換素子を有する放射線検出パネルと、
入力された電気信号に対して予め定められた信号処理を行う信号処理基板と、
前記放射線検出パネルと前記信号処理基板の間に設けられ、前記信号処理基板を保持する保持基材と、
一端が前記放射線検出パネルに接続され、他端が前記信号処理基板に接続されたフレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板に張力を掛ける張力付与手段と、
前記放射線検出パネル、前記信号処理基板、前記保持基材、前記フレキシブル基板及び前記張力付与手段が内蔵される筐体と、
を有する放射線画像撮影装置。
【請求項2】
前記張力付与手段は、前記フレキシブル基板に当接して前記フレキシブル基板の幅方向へ延出され、前記フレキシブル基板に前記張力を掛けるたわみが予め設けられた複数の棒状部材である請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記放射線検出パネルと接続された前記フレキシブル基板の一端には、前記棒状部材により、前記放射線検出パネルの基板表面と平行な方向に前記張力が掛けられ、前記信号処理基板と接続された前記フレキシブル基板の他端には、前記信号処理基板の基板表面と平行な方向に前記張力が掛けられている請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記棒状部材は、前記筐体の内壁間に架け渡され、固定されている請求項2又は3に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項5】
前記棒状部材は、前記保持基材の端面に沿って配置され、両端面は、前記保持基材に固定されている請求項2又は3に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項6】
前記棒状部材の表面又は前記フレキシブル基板の表面には、前記棒状部材と前記フレキシブル基板の当接部の滑りを防止する滑り防止処理がされている請求項2〜5のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項7】
前記張力付与手段は、円形部の外周面が前記フレキシブル基板に当接する弾性半円柱体である請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項8】
前記弾性半円柱体の平板部が、前記放射線検出パネル、前記信号処理基板及び前記保持基材の端面の少なくともいずれか1つと接合されている請求項7に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項9】
前記張力付与手段は、円形部の外周面が前記フレキシブル基板に当接するエアバッグである請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項10】
前記張力付与手段は、平面部が前記フレキシブル基板に当接し前記保持基材に他の平面部が固定された第1弾性体であり、前記フレキシブル基板と前記筐体の内壁との間には、前記内壁に固定され、前記第1弾性体とで前記フレキシブル基板を挟持する第2弾性体を有している請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項11】
前記第1弾性体、前記第2弾性体及び前記フレキシブル基板の少なくともいずれか1つの表面には、前記第1弾性体、前記第2弾性体と前記フレキシブル基板との当接部の滑りを防止する滑り防止処理がされている請求項10に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項12】
前記張力付与手段は、平面部が前記フレキシブル基板に接着され前記保持基材に他の平面部が当接された第3弾性体であり、前記フレキシブル基板と前記筐体の内壁との間には、平面部が前記フレキシブル基板と接着され、前記第3弾性体とで前記フレキシブル基板を挟持し、他の平面部が前記内壁に当接された第4弾性体を有している請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項13】
前記張力付与手段は、平面部を前記筐体の内壁側から前記フレキシブル基板に当接させ前記フレキシブル基板を前記保持基材とで挟持し、他の平面部が前記内壁に固定された第5弾性体であり、
前記第5弾性体と当接されていない前記フレキシブル基板の接続部側には、前記フレキシブル基板の延出方向を180度変え、前記第5弾性体と前記保持基材とで挟持されたとき、前記張力が掛かるクランク部が予め設けられている請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項14】
前記第5弾性体及び前記フレキシブル基板の少なくともいずれか1つの表面には、前記第5弾性体と前記フレキシブル基板との当接部の滑りを防止する滑り防止処理がされている請求項13に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項15】
前記第1弾性体〜前記第5弾性体の幅は、前記フレキシブル基板の幅に応じて設けられている請求項10〜14のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置、放射線を発生させる放射線発生装置、及び放射線画像撮影装置と放射線発生装置を制御する撮影制御手段を有し、前記撮影制御手段の制御下で、前記放射線発生装置で発生させ被写体を透過した放射線を前記放射線画像撮影装置が撮像する放射線画像撮影システム。
【請求項17】
照射された放射線を電気信号に変換する光電変換素子を有する放射線検出パネルに、フレキシブル基板の一端を熱圧着させる工程と、
前記放射線検出パネルと接合された保持基材の端面に、弾性半円柱体の平板部を接着する工程と、
前記弾性半円柱体を前記平板部の方向へ押圧して前記弾性半円柱体の外周面を前記フレキシブル基板で覆い、信号処理基板の接続端子に、前記フレキシブル基板の他端に設けられたコネクタを接続する工程と、
前記弾性半円柱体への押圧を解除して、前記フレキシブル基板に張力を掛ける工程と、
を有する放射線画像撮影装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図14】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−88294(P2013−88294A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229269(P2011−229269)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】