説明

放射線画像撮影装置

【課題】放射線画像撮影装置自体で放射線が照射されたことを的確に検出することが可能で、真の画像データDに段差が生じることを的確に防止することが可能な放射線画像撮影装置を提供する。
【解決手段】放射線画像撮影装置1の制御手段22は、放射線画像撮影前に、リークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に行わせ、リークデータdleakが閾値dleak_thを越えた時点で放射線の照射開始を検出すると、電荷蓄積後、画像データDの読み出し処理を行わせるとともに、画像データDの読み出し処理後、放射線の照射開始検出前のリークデータdleakの読み出し処理等と同じ周期τでリークデータdleakの読み出し処理Lと各放射線検出素子7のリセット処理Rとを交互に行わせ、電荷蓄積状態に移行した後、画像データDの読み出し処理と同じ周期でオフセットデータOの読み出し処理を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影装置に係り、特に、放射線画像撮影装置が自ら放射線の照射を検出して放射線画像撮影を行う放射線画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照射されたX線等の放射線の線量に応じて検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接型の放射線画像撮影装置や、照射された放射線をシンチレーター等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換され照射された電磁波のエネルギーに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて電気信号(すなわち画像データ)に変換するいわゆる間接型の放射線画像撮影装置が種々開発されている。なお、本発明では、直接型の放射線画像撮影装置における検出素子や、間接型の放射線画像撮影装置における光電変換素子を、あわせて放射線検出素子という。
【0003】
このタイプの放射線画像撮影装置はFPD(Flat Panel Detector)として知られており、従来は支持台(或いはブッキー装置)と一体的に形成されていたが(例えば特許文献1参照)、近年、放射線検出素子等をハウジングに収納し、持ち運び可能とした可搬型の放射線画像撮影装置が開発され、実用化されている(例えば特許文献2、3参照)。
【0004】
このような放射線画像撮影装置では、例えば後述する図6等に示すように、通常、複数の放射線検出素子7が、検出部P上に二次元状(マトリクス状)に配列され、各放射線検出素子7にそれぞれ薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor。以下、TFTという。)8で形成されたスイッチ手段が接続されて構成される。そして、走査駆動手段15のゲートドライバー15bから各走査線5にオン電圧やオフ電圧が印加され、各TFT8のオン/オフ動作が行われて、各放射線検出素子7内への電荷の蓄積や、各放射線検出素子7から各信号線6への電荷の放出等が行われる。
【0005】
ところで、放射線画像は、放射線発生装置の放射線源から放射線画像撮影装置に対して被写体を介して放射線を照射することにより行われる。そして、例えば放射線画像撮影装置と放射線発生装置の製造元が同じであれば、放射線画像撮影装置と放射線発生装置との間で信号や情報等のやり取りを行いながら撮影を行うように構成することができる。
【0006】
しかし、放射線画像撮影装置と放射線発生装置の製造元が異なっているような場合には、上記のように両者の間で信号等のやり取りを的確に行うことができない場合がある。そして、そのような場合には、放射線画像撮影装置自体で放射線が照射されたことを検出することが必要となる。
【0007】
そこで、近年、このような放射線画像撮影装置と放射線発生装置との間のインターフェースによらずに、放射線が照射されたことを自ら検出するように構成された放射線画像撮影装置が種々開発されている。
【0008】
例えば、特許文献4や特許文献5では、放射線画像撮影装置に対する放射線の照射が開始されて各放射線検出素子7内に電荷が発生すると、各放射線検出素子7から、各放射線検出素子7に接続されているバイアス線9(後述する図6等参照)に電荷が流れ出してバイアス線9を流れる電流が増加することを利用して、バイアス線9に電流検出手段を設けてバイアス線9内を流れる電流の電流値を検出し、その電流値に基づいて放射線の照射の開始等を検出することが提案されている。
【0009】
しかし、本発明者らの研究で、上記の手法は、バイアス線9が各放射線検出素子7の電極に接続されているため、電流検出手段で発生したノイズがバイアス線9を介して各放射線検出素子7に伝わり、放射線検出素子7から読み出される画像データDにノイズとして重畳される場合があるなど、必ずしも解決が容易でない問題があることが分かってきた。
【0010】
そして、本発明者らは、放射線画像撮影装置自体で放射線が照射されたことを検出する別の手法について種々研究を重ねた結果、放射線画像撮影装置自体で放射線が照射されたことを的確に検出することが可能ないくつかの手法を見出すことができた。
【0011】
ところで、後述するように、本発明者らが見出した新たな放射線の照射開始の検出方法では、放射線画像撮影前に、走査駆動手段15から各走査線5にオフ電圧を印加して各TFT8をオフ状態とした状態で読み出し回路17に読み出し動作を行わせ、TFT8を介して放射線検出素子7からリークした電荷q(後述する図10参照)をリークデータdleakに変換するリークデータdleakの読み出し処理を行うように構成される。
【0012】
そして、放射線画像撮影装置に放射線が照射されると、読み出されるリークデータdleakの値が上昇する。そのため、それを利用して、読み出されたリークデータdleakの値に基づいて放射線画像撮影装置に対する放射線の照射が開始されたことを検出するように構成される。なお、この場合、各TFT8をオフ状態にしたままであると各放射線検出素子7内に暗電荷が蓄積されてしまうため、後述するように、リークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とが交互に行われるように構成される。
【0013】
また、本発明者らが見出した別の新たな放射線の照射開始の検出方法では、放射線画像撮影前に、走査駆動手段15から走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して画像データdの読み出し処理を行う。なお、以下では、撮影直後に行われる本画像としての画像データDと区別して、この放射線画像撮影前に放射線の照射開始の検出用に読み出される照射開始検出用の画像データを、画像データdという。
【0014】
そして、この場合も、放射線画像撮影装置に放射線が照射されると、読み出される画像データdの値が上昇することを利用して、読み出された画像データdの値に基づいて放射線画像撮影装置に対する放射線の照射が開始されたことを検出するように構成される。
【0015】
そして、上記のように構成すれば、放射線画像撮影装置と放射線発生装置との間でインターフェースが構築できないような場合でも、読み出されたリークデータdleakや画像データdの値に基づいて、放射線画像撮影装置自体で放射線が照射されたことを的確に検出することが可能となることが分かっている。
【0016】
放射線画像撮影装置では、上記のようにして放射線画像撮影装置に対する放射線の照射が開始されたことを検出すると、走査駆動手段15から各走査線5にオフ電圧が印加されて各TFT8がオフ状態とされ、放射線の照射により発生した電荷を各放射線検出素子7内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行する。そして、その後、走査駆動手段15から各走査線5にオン電圧を順次印加して、各放射線検出素子7からの本画像としての画像データDの読み出し処理が行われる。
【0017】
その際、各TFT8がオフ状態とされる電荷蓄積状態では、放射線検出素子7自体の熱(温度)による熱励起等により常時発生している、いわゆる暗電荷が各放射線検出素子7内に蓄積される状態になる。そして、この暗電荷によるオフセット分が、読み出される画像データDに重畳される。
【0018】
そこで、この暗電荷によるオフセット分をオフセットデータOとして読み出すオフセットデータOの読み出し処理を、本画像としての画像データDの読み出し処理後に行うように構成される場合が多い。後の画像処理で、読み出されたオフセットデータOを読み出された画像データDから減算して真の画像データDを算出することにより、真の画像データDを、暗電荷によるオフセット分を含まず、放射線の照射により発生した電荷にのみ起因するデータとすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開平9−73144号公報
【特許文献2】特開2006−058124号公報
【特許文献3】特開平6−342099号公報
【特許文献4】米国特許第7211803号明細書
【特許文献5】特開2009−219538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
ところで、上記のオフセットデータOの読み出し処理を行うように構成する際、上記の減算処理で、オフセットデータOが、本画像としての画像データDに重畳されている暗電荷等によるオフセット分と的確に相殺される値になるように、種々の条件が設定される。
【0021】
すなわち、例えば、本画像としての画像データDを読み出した後、各放射線検出素子7内には画像データDの読み残し分が残存する状態になる。そこで、例えば、画像データDの読み出し処理後、読み残し分を除去するために各放射線検出素子7のリセット処理を繰り返し行った後で、オフセットデータOの読み出し処理を行うように構成される。
【0022】
しかしながら、前述した本発明者らが見出した新たな放射線の照射開始の検出方法を採用した場合、上記のように、従来、当然のごとく行っていたオフセットデータOの読み出し処理の仕方では、本画像としての画像データDに重畳されている暗電荷等によるオフセット分とオフセットデータOとが適切に相殺されなくなる場合があることが分かってきた。
【0023】
以下、具体的に説明する。なお、本来、放射線源と放射線画像撮影装置との間に被写体が介在する状態で放射線画像撮影装置に放射線が照射して撮影が行われるが、ここでは上記の現象を分かり易く説明するために、被写体が介在しない状態で放射線画像撮影装置の各放射線検出素子7に一様に放射線を照射する状態を考える。
【0024】
すなわち、放射線画像撮影装置に放射線を照射しない状態で、例えば図27に示すように走査駆動手段15のゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、各放射線検出素子7から照射開始検出用の画像データdを読み出す。そして、放射線画像撮影装置に一様に放射線を照射し、走査線5のラインLnにオン電圧を印加した際に読み出された画像データdに基づいて放射線の照射開始が検出されたものとする。
【0025】
この場合、その時点で、ゲートドライバー15bから各走査線5へのオン電圧の印加が停止され、各走査線5にオフ電圧が印加されて電荷蓄積状態に移行する。そして、この電荷蓄積状態において、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷が各放射線検出素子7内に蓄積される。
【0026】
そして、この電荷蓄積状態を所定時間維持した後、例えば走査線5のラインLn+1からオン電圧の印加を再開し、走査線5のラインLn+1〜Lx、L1〜Lnにオン電圧を順次印加して、各走査線5に接続されている各放射線検出素子7から本画像としての画像データDをそれぞれ読み出す。
【0027】
続いて、各放射線検出素子7内に残存する読み残し分を除去するために、走査線5のラインLn+1〜Lx、L1〜Lnにオン電圧を順次印加して行う各放射線検出素子7のリセット処理を繰り返し行った後、走査線5のラインLn+1〜Lx、L1〜Lnにオン電圧を順次印加して上記の照射開始検出用の画像データdの読み出し処理を行う。なお、照射開始検出用の画像データdの読み出し処理の代わりに、それに相当する各放射線検出素子7のリセット処理を行ってもよい。
【0028】
その後、上記の電荷蓄積状態と同じ時間だけ走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加した状態で放射線画像撮影装置を放置し(ただしこの場合には放射線は照射されない。)、走査線5のラインLn+1からオン電圧の印加を再開し、走査線5のラインLn+1〜Lx、L1〜Lnにオン電圧を順次印加して、各走査線5に接続されている各放射線検出素子7からオフセットデータOをそれぞれ読み出す。
【0029】
上記のような実験を行えば、本画像として読み出された画像データDに重畳されている暗電荷等によるオフセット分と、その後で読み出されたオフセットデータOとが、各放射線検出素子7ごとに同じ値になるはずである。そのため、画像データDからオフセットデータOを減算して真の画像データDを算出することで、画像データDに重畳されているオフセット分とオフセットデータOとが相殺されるはずである。そのため、真の画像データDは、各放射線検出素子7で同じ値になるはずである。
【0030】
しかし、実際には、図28に示すように、放射線の照射開始を検出した走査線5のラインLnと、画像データD等の読み出しを開始した走査線5のラインLn+1との間で、真の画像データDにいわゆる段差が生じる場合があることが分かってきた。なお、図28では、真の画像データDの大小を明暗で表現しており、図を見易くするために、その大小(明暗)の差が実際よりも大きく強調されて表現されている。
【0031】
この真の画像データDにおける段差は、被写体を介して撮影を行った場合にも現れる。そして、上記のように真の画像データDに段差が生じると、例えば、放射線画像撮影装置で撮影した放射線画像を医療における診断用等に用いる場合、真の画像データDに段差に対応する画像部分にスジが現れた状態になり、放射線画像が見づらくなる。また、このスジ状の画像部分と患者の病変部とが放射線画像上で重なると、病変部が見づらくなり、病変部が見落とされてしまう等の虞れがある。
【0032】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、放射線画像撮影装置自体で放射線が照射されたことを的確に検出することが可能であり、しかも、真の画像データDに段差が生じることを的確に防止することが可能な放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
前記各走査線にオン電圧またはオフ電圧を印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
放射線画像撮影前に、前記走査駆動手段から前記各走査線にオフ電圧を印加して前記各スイッチ手段をオフ状態とした状態で前記各スイッチ手段を介して前記各放射線検出素子からリークした前記電荷をリークデータに変換するリークデータの読み出し処理と、前記走査駆動手段から前記各走査線にオン電圧を順次印加して行う前記各放射線検出素子のリセット処理とを交互に行わせ、
読み出した前記リークデータが閾値を越えた時点で放射線の照射が開始されたことを検出すると、前記走査駆動手段から前記各走査線にオフ電圧を印加して放射線の照射により発生した電荷を前記各放射線検出素子内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行した後、前記各放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせるとともに、
前記画像データの読み出し処理後、放射線の照射開始検出前に行わせた前記リークデータの読み出し処理および前記各放射線検出素子のリセット処理と同じ周期で前記リークデータの読み出し処理と前記各放射線検出素子のリセット処理とを交互に行わせ、前記電荷蓄積状態と同じ時間だけ前記走査駆動手段から前記各走査線にオフ電圧を印加した後、前記画像データの読み出し処理と同じ周期で前記各放射線検出素子からのオフセットデータの読み出し処理を行わせることを特徴とする。
【0034】
また、本発明の放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
前記各走査線にオン電圧またはオフ電圧を印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
放射線画像撮影前に、前記走査駆動手段から前記各走査線にオン電圧を順次印加して照射開始検出用の前記画像データの読み出し処理を行わせ、
読み出した前記画像データが閾値を越えた時点で放射線の照射が開始されたことを検出すると、前記走査駆動手段から前記各走査線にオフ電圧を印加して放射線の照射により発生した電荷を前記各放射線検出素子内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行した後、前記各放射線検出素子からの本画像としての前記画像データの読み出し処理を行わせるとともに、
前記本画像としての画像データの読み出し処理後、放射線の照射開始検出前に行わせた前記照射開始検出用の画像データの読み出し処理と同じ周期で前記照射開始検出用の画像データの読み出し処理を行わせ、前記電荷蓄積状態と同じ時間だけ前記走査駆動手段から前記各走査線にオフ電圧を印加した後、前記本画像としての画像データの読み出し処理と同じ周期で前記各放射線検出素子からのオフセットデータの読み出し処理を行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明のような方式の放射線画像撮影装置によれば、放射線画像撮影前に、リークデータdleakや照射開始検出用の画像データdを読み出し、それに基づいて放射線の照射が開始されたことを検出するため、放射線画像撮影装置1自体で放射線が照射されたことを的確に検出することが可能となる。
【0036】
また、本画像としての画像データD中に含まれる暗電荷によるオフセット分や各放射線検出素子7からリークした電荷qの合計値によるオフセット分と、オフセットデータO中に含まれるそれらのオフセット分とを、各放射線検出素子7ごとに、それぞれ同じ値とすることが可能となる。
【0037】
そのため、本画像としての画像データDからオフセットデータOを減算することにより、暗電荷によるオフセット分同士やリークした電荷qの合計値によるオフセット分同士がそれぞれ的確に相殺されるようになり、本画像としての画像データDに重畳されているオフセット分とオフセットデータOとが的確に相殺される。
【0038】
そのため、本画像データDからオフセットデータOを減算することにより各放射線検出素子7ごとに算出される真の画像データDに段差(図28参照)が生じることを的確に防止することが可能となる。そして、放射線画像撮影装置1で撮影した放射線画像を医療における診断用等に用いるような場合に、放射線画像中にスジが現れたり、スジと患者の病変部とが放射線画像上で重なって病変部を見落とす等の問題が生じることを的確に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1におけるX−X線に沿う断面図である。
【図3】放射線画像撮影装置の基板の構成を示す平面図である。
【図4】図3の基板上の小領域に形成された放射線検出素子とTFT等の構成を示す拡大図である。
【図5】フレキシブル回路基板やPCB基板等が取り付けられた基板を説明する側面図である。
【図6】放射線画像撮影装置の等価回路を表すブロック図である。
【図7】検出部を構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【図8】各放射線検出素子のリセット処理における電荷リセット用スイッチやTFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図9】画像データの読み出し処理における電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図10】TFTを介して各放射線検出素子からリークした各電荷がリークデータとして読み出されることを説明する図である。
【図11】リークデータの読み出し処理における電荷リセット用スイッチやTFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図12】放射線画像撮影前にリークデータの読み出し処理と各放射線検出素子のリセット処理を交互に行うように構成した場合の電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図13】検出方法1において各走査線にオン電圧を印加するタイミング等を説明するタイミングチャートである。
【図14】読み出されるリークデータを時系列的にプロットしたグラフである。
【図15】通常の各放射線検出素子のリセット処理において各走査線にオン電圧を印加するタイミング等を説明するタイミングチャートである。
【図16】検出方法2において照射開始検出用の画像データの読み出し処理が繰り返し行われる際の各走査線にオン電圧を順次印加するタイミングを表すタイミングチャートである。
【図17】照射開始検出用の画像データの読み出し処理における電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングおよびオン時間ΔTを表すタイミングチャートである。
【図18】検出方法2において各走査線にオン電圧を印加するタイミング等を説明するタイミングチャートである。
【図19】図13に示した処理シーケンスを繰り返してオフセットデータの読み出し処理を行う場合に各走査線にオン電圧を印加するタイミング等を説明するタイミングチャートである。
【図20】(A)各放射線検出素子7のリセット処理のみを行った場合、および(B)リークデータの読み出し処理とリセット処理を交互に行った場合の信号線の電位の推移等を表すグラフである。
【図21】(A)本画像データの読み出し処理時、および(B)オフセットデータの読み出し処理時における信号線の電位の推移と実効蓄積時間との関係等を表す図である。
【図22】(A)本画像データに重畳される暗電荷によるオフセット分および(B)オフセットデータを各走査線ごとにプロットしたグラフである。
【図23】本画像データに重畳される暗電荷によるオフセット分とオフセットデータとが相殺されなくなり段差が生じる状態を表すグラフである。
【図24】本画像データの読み出し動作中に読み出したリーク合計値を時系列的にプロットしたグラフである。
【図25】通常の各放射線検出素子のリセット処理後に読み出したリーク合計値を時系列的にプロットしたグラフである。
【図26】本画像データ中に含まれるリーク合計値からオフセットデータ中に含まれるリーク合計値を減算した差分値を各走査線ごとにプロットしたグラフである。
【図27】各走査線にオン電圧を順次印加して各放射線検出素子から照射開始検出用の画像データを読み出す状態等を説明する図である。
【図28】真の画像データに生じる段差を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明に係る放射線画像撮影装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0041】
なお、以下では、放射線画像撮影装置として、シンチレーター等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレーター等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
【0042】
また、本発明は、本実施形態で説明する、いわゆる可搬型の放射線画像撮影装置のみならず、例えば支持台等と一体的に形成された固定式(専用機型ともいう。)の放射線画像撮影装置に対しても適用することが可能である。
【0043】
図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1のX−X線に沿う断面図である。本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体状のハウジング2内にシンチレーター3や基板4等で構成されるセンサーパネルSPが収納されている。
【0044】
本実施形態では、筐体2のうち、放射線入射面Rを有する中空の角筒状のハウジング本体部2Aは、放射線を透過するカーボン板やプラスチック等の材料で形成されており、ハウジング本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで筐体2が形成されている。
【0045】
また、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や切替スイッチ38、コネクター39、バッテリー状態や放射線画像撮影装置1の稼働状態等を表示するLED等で構成されたインジケーター40等が配置されている。
【0046】
図示を省略するが、本実施形態では、コネクター39には、ケーブルの先端に設けられたコネクターが接続できるようになっている。そして、ケーブルと接続されることにより、例えば図示しないコンソール等との間で信号等を送受信したり、コンソールに画像データD等を送信することができるようになっている。
【0047】
また、図示を省略するが、例えば筐体2の反対側の蓋部材2C等に、アンテナ装置41(後述する図6参照)が例えば蓋部材2Cに埋め込む等して設けられており、本実施形態では、このアンテナ装置41が、放射線画像撮影装置1とコンソール等との間で信号等の無線方式で送受信する場合の通信手段として機能するようになっている。
【0048】
図2に示すように、筐体2の内部には、基台31の上面側に図示しない鉛の薄板等を介して基板4が配置され、また、基台31の下面側には、電子部品32等が配設されたPCB基板33やバッテリー24等が取り付けられている。また、基板4やシンチレーター3の放射線入射面Rには、それらを保護するためのガラス基板34が配設されている。また、本実施形態では、基台31や基板4等と筐体2の側面との間に、それらがぶつかり合うことを防止するための緩衝材35が設けられている。
【0049】
シンチレーター3は、基板4の後述する検出部Pに対向する位置に設けられるようになっている。本実施形態では、シンチレーター3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
【0050】
基板4は、本実施形態では、ガラス基板で構成されており、図3に示すように、基板4のシンチレーター3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。このように、走査線5と信号線6で区画された各小領域rに二次元状に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた小領域r全体、すなわち図3に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
【0051】
本実施形態では、放射線検出素子7としてフォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスター等を用いることも可能である。各放射線検出素子7は、図3の拡大図である図4に示すように、スイッチ手段であるTFT8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
【0052】
放射線検出素子7は、放射線画像撮影装置1の筐体2の放射線入射面Rから放射線が入射し、シンチレーター3で放射線から変換された可視光等の電磁波が照射されると、その内部で電子正孔対を発生させる。放射線検出素子7は、このようにして、照射された放射線(本実施形態ではシンチレーター3で放射線から変換された電磁波)を電荷に変換するようになっている。
【0053】
そして、TFT8は、後述する走査駆動手段15から走査線5を介してゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となり、ソース電極8sやドレイン電極8dを介して放射線検出素子7内に蓄積されている電荷を信号線6に放出させるようになっている。また、TFT8は、接続された走査線5を介してゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、放射線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、放射線検出素子7内に電荷を蓄積させるようになっている。
【0054】
本実施形態では、図4に示すように、それぞれ列状に配置された複数の放射線検出素子7に1本のバイアス線9が接続されており、図3に示すように、各バイアス線9はそれぞれ信号線6に平行に配設されている。また、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で結線10に結束されている。
【0055】
本実施形態では、図3に示すように、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう。)11に接続されている。
【0056】
そして、各入出力端子11には、図5に示すように、後述する走査駆動手段15のゲートドライバー15bを構成するゲートIC15c等のチップがフィルム上に組み込まれたフレキシブル回路基板(Chip On Film等ともいう。)12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
【0057】
フレキシブル回路基板12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。このようにして、放射線画像撮影装置1のセンサーパネルSPが形成されている。なお、図5では、電子部品32等の図示が省略されている。
【0058】
ここで、放射線画像撮影装置1の回路構成について説明する。図6は本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の等価回路を表すブロック図であり、図7は検出部Pを構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【0059】
前述したように、基板4の検出部Pの各放射線検出素子7は、その第2電極7bにそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の第2電極7bにそれぞれバイアス電圧を印加するようになっている。また、バイアス電源14は、後述する制御手段22に接続されており、制御手段22により、バイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧が制御されるようになっている。
【0060】
図6や図7に示すように、本実施形態では、バイアス電源14からは、放射線検出素子7の第2電極7bにバイアス線9を介してバイアス電圧として放射線検出素子7の第1電極7a側にかかる電圧以下の電圧(すなわちいわゆる逆バイアス電圧)が印加されるようになっている。
【0061】
走査駆動手段15は、配線15dを介してゲートドライバー15bにオン電圧とオフ電圧を供給する電源回路15aと、走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えて各TFT8のオン状態とオフ状態とを切り替えるゲートドライバー15bとを備えている。
【0062】
図6や図7に示すように、各信号線6は、読み出しIC16内に内蔵された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。読み出し回路17は、増幅回路18と相関二重サンプリング回路19等で構成されている。読み出しIC16内には、さらに、アナログマルチプレクサー21と、A/D変換器20とが設けられている。なお、図6や図7中では、相関二重サンプリング回路19はCDSと表記されている。また、図7中では、アナログマルチプレクサー21は省略されている。
【0063】
本実施形態では、増幅回路18は、オペアンプ18aと、オペアンプ18aにそれぞれ並列にコンデンサー18bおよび電荷リセット用スイッチ18cが接続され、オペアンプ18a等に電力を供給する電源供給部18dを備えたチャージアンプ回路で構成されている。増幅回路18のオペアンプ18aの入力側の反転入力端子には信号線6が接続されており、増幅回路18の入力側の非反転入力端子には基準電位Vが印加されるようになっている。なお、基準電位Vは適宜の値に設定され、本実施形態では、例えば0[V]が印加されるようになっている。
【0064】
また、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cは、制御手段22に接続されており、制御手段22によりオン/オフが制御されるようになっている。また、オペアンプ18aと相関二重サンプリング回路19との間には、電荷リセット用スイッチ18cと連動して開閉するスイッチ18eが設けられており、スイッチ18eは、電荷リセット用スイッチ18cがオン/オフ動作と連動してオフ/オン動作するようになっている。
【0065】
放射線画像撮影装置1で、各放射線検出素子7内に残存する電荷を除去するための各放射線検出素子7のリセット処理を行う際には、図8に示すように、電荷リセット用スイッチ18cがオン状態(およびスイッチ18eがオフ状態)とされた状態で、各TFT8がオン状態とされる。
【0066】
すると、各TFT8を介して各放射線検出素子7から電荷が信号線6に放出され、電荷が増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cを通過して、オペアンプ18aの出力端子側からオペアンプ18a内を通り、非反転入力端子から出てアースされたり、電源供給部18dに流れ出す。このようにして、各放射線検出素子7のリセット処理が行われるようになっている。
【0067】
一方、各放射線検出素子7からの本画像としての画像データDの読み出し処理や、後述する照射開始検出用の画像データdの読み出し処理の際には、図9に示すように、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cがオフ状態(およびスイッチ18eがオン状態)とされた状態で、オン状態とされた各TFT8を介して各放射線検出素子7から電荷が信号線6に放出されると、電荷が増幅回路18のコンデンサー18bに蓄積される。
【0068】
増幅回路18では、コンデンサー18bに蓄積された電荷量に応じた電圧値がオペアンプ18aの出力側から出力されるようになっている。相関二重サンプリング回路(CDS)19は、各放射線検出素子7から電荷が流出する前に制御手段22からパルス信号Sp1(図9参照)が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持する。
【0069】
そして、各放射線検出素子7から流出した電荷が増幅回路18のコンデンサー18bに蓄積された後、制御手段22からパルス信号Sp2が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持する。そして、電圧値の差分Vfi−Vinを算出し、算出した差分Vfi−Vinをアナログ値の画像データDとして下流側に出力する。
【0070】
相関二重サンプリング回路19から出力された各放射線検出素子7の画像データDは、アナログマルチプレクサー21を介して順次A/D変換器20に送信され、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データDに変換されて記憶手段23に出力されて順次保存されるようになっている。
【0071】
なお、1回の画像データDの読み出し処理が終了すると、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cがオン状態とされ(図9参照)、コンデンサー18bに蓄積された電荷が放電されて、上記と同様に、放電された電荷がオペアンプ18aの出力端子側からオペアンプ18a内を通り、非反転入力端子から出てアースされたり、電源供給部18dに流れ出す等して、増幅回路18がリセットされる。
【0072】
制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピューターや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。
【0073】
そして、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各部材の動作等を制御するようになっている。また、図6等に示すように、制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)等で構成される記憶手段23が接続されている。
【0074】
また、本実施形態では、制御手段22には、前述したアンテナ装置41が接続されており、さらに、検出部Pや走査駆動手段15、読み出し回路17、記憶手段23、バイアス電源14等の各部材に電力を供給するためのバッテリー24が接続されている。また、バッテリー24には、図示しない充電装置からバッテリー24に電力を供給してバッテリー24を充電する際に用いられる接続端子25が取り付けられている。
【0075】
前述したように、制御手段22は、バイアス電源14を制御してバイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧を設定したり可変させたりするなど、放射線画像撮影装置1の各機能部の動作を制御するようになっている。
【0076】
[放射線の照射開始の検出の構成について]
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1において本発明者らが見出した新たな放射線の照射開始の検出方法を実現するための検出処理の基本的な構成について説明する。
【0077】
本実施形態では、放射線画像撮影装置1と図示しない放射線発生装置との間でインターフェースが構築されず、放射線画像撮影装置1自体で放射線が照射されたことを検出するように構成されている。以下、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1で行われる放射線の照射開始の検出の仕方について説明する。
【0078】
なお、本実施形態に係る検出方法は、本発明者らの研究により新たに見出された検出方法であり、前述した特許文献4や特許文献5に記載されているように、装置内に電流検出手段を設けて電流検出手段からの出力値に基づいて放射線の照射開始等を検出する手法は採用されていない。本発明者らの研究により新たに見出された検出方法としては、例えば、下記の2つの検出方法のいずれかを採用することが可能である。
【0079】
[検出方法1]
例えば、放射線画像撮影において放射線画像撮影装置1に放射線が照射される前に、リークデータdleakの読み出し処理を繰り返し行うように構成することも可能である。ここで、リークデータdleakとは、図10に示すように、各走査線5にオフ電圧を印加した状態で、オフ状態になっている各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷qの信号線6ごとの合計値に相当するデータである。
【0080】
そして、リークデータdleakの読み出し処理では、図9に示した画像データDの読み出し処理の場合と異なり、図11に示すように、走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加して各TFT8をオフ状態とした状態で、制御手段22から各読み出し回路17の相関二重サンプリング回路19(図6や図7のCDS参照)にパルス信号Sp1、Sp2を送信するようになっている。
【0081】
相関二重サンプリング回路19は、制御手段22からパルス信号Sp1が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持する。そして、増幅回路18のコンデンサー18bに各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷qが蓄積されて増幅回路18から出力される電圧値が上昇し、制御手段22からパルス信号Sp2が送信されると、相関二重サンプリング回路19は、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持する。
【0082】
そして、相関二重サンプリング回路19が電圧値の差分Vfi−Vinを算出して出力した値が、リークデータdleakとなる。リークデータdleakが、その後、A/D変換器20でデジタル値に変換されること等は、前述した画像データDの読み出し処理の場合と同様である。
【0083】
しかし、リークデータdleakの読み出し処理のみを繰り返し行うように構成すると、各TFT8がオフ状態のままとなり、各放射線検出素子7内で発生した暗電荷が各放射線検出素子7内に蓄積され続ける状態になる。
【0084】
そのため、この検出方法1では、図12に示すように、各走査線5にオフ電圧を印加した状態で行うリークデータdleakの読み出し処理と、走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して行う各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に行うように構成することが望ましい。なお、図12や後述する図13等のTやτについては後で説明する。
【0085】
なお、以下では、このリークデータdleakの読み出し処理と交互に行われる各放射線検出素子7のリセット処理を「リークデータの読み出し処理dleakと交互に行う各放射線検出素子7のリセット処理」といい、それに対して、後述する図15に示すように、リークデータdleakの読み出し処理を伴わず走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して行われる通常の各放射線検出素子7のリセット処理を「通常の各放射線検出素子7のリセット処理」或いは「リークデータdleakの読み出し処理を伴わない各放射線検出素子7のリセット処理」という。本実施形態では、このように、各放射線検出素子7のリセット処理を区別して記載する。
【0086】
上記のように放射線画像撮影前にリークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に行うように構成した場合、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されると、シンチレーター3(図2参照)で放射線から変換された電磁波が、各TFT8に照射される。そして、それにより、各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷q(図10参照)がそれぞれ増加することが本発明者らの研究で分かった。
【0087】
そして、例えば図13に示すように、放射線画像撮影前にリークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に行う場合、図14に示すように、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始された時点で読み出されたリークデータdleakが、それ以前に読み出されたリークデータdleakよりも格段に大きな値になる。
【0088】
なお、図13および図14では、図13で走査線5のラインL4にオン電圧が印加されてリセット処理が行われた後の4回目の読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが、図14の時刻t1におけるリークデータdleakに対応する。また、図13において「R」は各放射線検出素子7のリセット処理を表し、「L」はリークデータdleakの読み出し処理を表す。なお、図13中のTacについては後で説明する。
【0089】
そこで、放射線画像撮影装置1の制御手段22で、放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理で読み出されたリークデータdleakを監視するように構成し、読み出されたリークデータdleakが、例えば予め設定された所定の閾値dleak_th(図14参照)を越えた時点で、放射線の照射が開始されたことを検出するように構成することが可能である。
【0090】
なお、通常の各放射線検出素子7のリセット処理は、図15に示すように、走査駆動手段15から走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧が順次印加されて行われる。
【0091】
これと図12とを比べて分かるように、この検出方法1で、リークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に行うように構成した場合(図12参照)、通常の各放射線検出素子7のリセット処理の場合(図15参照)よりも、リークデータdleakの読み出し処理を行う分だけ、ある走査線5にオン電圧を印加してから次の走査線5にオン電圧を印加するまでの周期τが長周期になるという特徴がある。
【0092】
また、読み出されるリークデータdleakの感度を向上させるために、上記の周期τや、パルス信号Sp1、Sp2の送信間隔T(図12参照)が長くなるように設定される場合がある。このような場合には、上記の周期τが、通常の各放射線検出素子7のリセット処理よりもさらに長周期になる。
【0093】
一方、制御手段22は、上記のようにして、放射線の照射が開始されたことを検出すると、図13に示したように、その時点で各走査線5へのオン電圧の印加を停止して、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させ、各TFT8をオフ状態にして、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷を各放射線検出素子7内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させる。
【0094】
そして、放射線の照射開始を検出してから所定時間が経過した後、制御手段22は、例えば、放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理で放射線の照射が開始されたことを検出した時点の直前のリセット処理でオン電圧が印加された走査線5(図13の場合は走査線5のラインL4)の次にオン電圧を印加すべき走査線5(図13の場合は走査線5のラインL5)からオン電圧の印加を開始し、各走査線5にオン電圧を順次印加させて、本画像としての画像データDの読み出し処理を行うように構成される。
【0095】
なお、以下、放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理で放射線の照射が開始されたことを検出した時点の直前のリセット処理でオン電圧が印加された走査線5(図13の場合は走査線5のラインL4)を、検出ラインといい、本画像としての画像データDの読み出し処理が開始される際にオン電圧が印加される走査線5(図13の場合は走査線5のラインL5)を読み出し開始ラインという。
【0096】
また、読み出し開始ラインを、上記のように走査線5の検出ライン(図13の場合は走査線5のラインL4)の次のライン(図13の場合は走査線5のラインL5)とする代わりに、例えば走査線5の最初のラインL1等とするように構成することも可能である。
【0097】
[検出方法2]
また、上記の検出方法1のように、放射線画像撮影前にリークデータdleakの読み出し処理を行うように構成する代わりに、放射線画像撮影前に、図16に示すように、走査駆動手段15のゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、各放射線検出素子7からの画像データdの読み出し処理を行うように構成することも可能である。
【0098】
なお、前述したように、撮影直後に行われる上記の本画像としての画像データDと区別して、以下、この放射線画像撮影前に放射線の照射開始の検出用に読み出される照射開始検出用の画像データを、画像データdという。また、以下では、本画像としての画像データDを、本画像データDという。
【0099】
また、画像データdの読み出し処理における読み出し回路17の増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cのオン/オフや、相関二重サンプリング回路19へのパルス信号Sp1、Sp2の送信等は、図17に示すように、図9に示した画像データDの読み出し処理における処理と同様に行われる。なお、図17等におけるΔTについては後で説明する。
【0100】
上記のように放射線画像撮影前に画像データdの読み出し処理を行うように構成した場合、図18に示すように、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されると、その時点で読み出された画像データd(図18では走査線5のラインLnにオン電圧が印加されて読み出された画像データd)が、前述した図14に示したリークデータdleakの場合と同様に、それ以前に読み出された画像データdよりも格段に大きな値になる。
【0101】
そこで、放射線画像撮影装置1の制御手段22で、放射線画像撮影前の読み出し処理で読み出された画像データdを監視するように構成し、読み出された画像データdが予め設定された所定の閾値dthを越えた時点で、放射線の照射が開始されたことを検出するように構成することが可能である。
【0102】
そして、この場合、制御手段22は、上記のようにして、放射線の照射が開始されたことを検出すると、図18に示すように、その時点で各走査線5へのオン電圧の印加を停止して、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させ、各TFT8をオフ状態にして、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷を各放射線検出素子7内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させる。
【0103】
そして、例えば放射線の照射開始を検出してから所定時間が経過した後、制御手段22は、放射線画像撮影前の画像データdの読み出し処理で放射線の照射が開始されたことを検出した時点にオン電圧が印加された走査線5(図18の場合は走査線5のラインLn。すなわち検出ラインLn)の次にオン電圧を印加すべき走査線5(図18の場合は走査線5のラインLn+1。すなわち読み出し開始ラインLn+1)からオン電圧の印加を開始し、各走査線5にオン電圧を順次印加させて、本画像データDの読み出し処理を行うように構成される。
【0104】
なお、図18に示した場合においても、読み出し開始ラインを、上記のように走査線5の検出ライン(図18の場合は走査線5のラインLn)の次のライン(図18の場合は走査線5のラインLn+1)とする代わりに、例えば走査線5の最初のラインL1等とするように構成することも可能である。また、図18中のΔT等については以下で説明する。
【0105】
この検出方法2の場合、照射開始検出用の画像データdの読み出し処理における電荷リセット用スイッチ18cのオン/オフ制御(図17参照)やパルス信号Sp1、Sp2の送信間隔、走査線5の各ラインL1〜Lxに対するオン電圧の印加時間(以下、オン時間という。)ΔTを、本画像データDの読み出し処理の場合と同じ条件で行うように構成することが可能である。
【0106】
また、読み出される画像データdの感度を向上させるために、図18に示す上記のオン時間ΔTや、ある走査線5にオン電圧を印加してから次の走査線5にオン電圧を印加するまでの周期τが長くなるように設定される場合がある。このような場合には、上記のオン時間ΔTや周期τが、本画像データDの読み出し処理の場合よりも長周期になる。
【0107】
[オフセットデータの読み出し処理について]
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1において、本画像データDの読み出し処理の後に行われるオフセットデータOの読み出し処理について説明する。
【0108】
前述したように、制御手段22は、上記のようにして放射線の照射開始を検出すると(図13や図18等参照)、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させて電荷蓄積状態に移行させる。そして、その後、各走査線5にオン電圧を順次印加させて、本画像データDの読み出し処理を行う。
【0109】
そして、制御手段22は、本画像データDの読み出し処理を行うと、引き続き、オフセットデータOの読み出し処理を行うようになっている。
【0110】
本実施形態では、オフセットデータOの読み出し処理は、放射線の照射開始検出前の処理シーケンス(図13や図18参照)と同じ処理シーケンスを繰り返して行われるようになっている。ただし、この場合、放射線画像撮影装置1には放射線は照射されない。
【0111】
すなわち、オフセットデータOの読み出し処理では、本画像データDの読み出し処理後に、例えば上記の検出方法1の場合について示す図19に示すように、放射線の照射開始検出前に行ったリークデータdleakの読み出し処理および各放射線検出素子7のリセット処理(図13参照)と同じ周期で、リークデータdleakの読み出し処理(図19中の「L」参照)と各放射線検出素子7のリセット処理(図19中の「R」参照)が交互に各走査線について少なくとも1回行われる。
【0112】
そして、放射線の照射開始検出前の電荷蓄積状態(図13参照)と同じ時間だけ走査駆動手段15から各走査線5にオフ電圧を印加(図19中の「電荷蓄積状態」参照)した後、本画像データDの読み出し処理(図13参照)と同じ周期で、各放射線検出素子7からのオフセットデータOの読み出し処理が行われるようになっている。
【0113】
検出方法2の場合も同様に、オフセットデータOの読み出し処理を、放射線の照射開始検出前の処理シーケンス(図18参照)と同じ処理シーケンスを繰り返して行うように構成される。
【0114】
[真の画像データDに段差が生じないようにするための構成等について]
以下、図28に示したように、真の画像データDに段差が生じる問題について、その原因について考察するとともに、真の画像データDに段差が生じないようにするための構成等について説明する。また、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の作用についてもあわせて説明する。
【0115】
なお、以下では、まず、放射線の照射開始の検出方法として上記の検出方法1を採用した場合を例に挙げて説明する。
【0116】
[構成1]
上記の本実施形態のように、オフセットデータOの読み出し処理(図19参照)を、放射線の照射開始検出前の処理シーケンス(図13参照)と同じ処理シーケンスを繰り返して行われるように構成する。
【0117】
すなわち、例えば図13に示したようにして本画像データDの読み出し処理を終了した後、放射線の照射開始検出前に行ったリークデータdleakの読み出し処理および各放射線検出素子7のリセット処理と同じ周期τでリークデータdleakの読み出し処理(図19の「L」参照)と各放射線検出素子7のリセット処理(図19の「R」参照)とを交互に行い、電荷蓄積状態(図13参照)と同じ時間だけ走査駆動手段15から各走査線5にオフ電圧を印加した後、本画像データDの読み出し処理と同じ周期で各走査線5にオン電圧を順次印加して、各放射線検出素子7からのオフセットデータOの読み出し処理を行うように構成する。
【0118】
[原因1−1]
各放射線検出素子7から読み出される暗電荷の量は、当該放射線検出素子7に接続されているTFT8がオフ状態とされていた時間、すなわち図13における時間Tac(以下、実効蓄積時間Tacという。)に応じて変化する。その際、本発明者らの研究によれば、各放射線検出素子7から読み出される暗電荷の量と実効蓄積時間Tacとの関係は必ずしも線形にならないことが分かっている。
【0119】
すなわち、各放射線検出素子7から読み出される暗電荷の量は、少なくとも実効蓄積時間Tacが短い時間領域では実効蓄積時間Tacに必ずしも比例しない。しかし、実効蓄積時間Tacが同じ時間であれば、各放射線検出素子7から読み出される暗電荷の量は同じ量になる。
【0120】
そこで、上記のように、オフセットデータOの読み出し処理を、本画像データDの読み出し処理までの処理シーケンスと同じ処理シーケンスを繰り返して行うように構成することで、本画像データDの読み出し処理における実効蓄積時間Tac(図13参照)と、オフセットデータOの読み出し処理における実効蓄積時間Tac(図19参照)とが、少なくとも各走査線5ごとに同じ時間になる。
【0121】
上記のように構成することで、各走査線5ごとに、各放射線検出素子7から読み出される暗電荷の量が、本画像データDの読み出し処理の場合とオフセットデータOの読み出し処理の場合とで同じ量になる。
【0122】
そのため、読み出された本画像データDに重畳されている暗電荷によるオフセット分と、読み出されたオフセットデータOとが、各放射線検出素子7ごとに同じ値になる。そのため、本画像データDからオフセットデータOを減算することで、両者に含まれる暗電荷によるオフセット分が相殺されるため、減算処理により算出される真の画像データDが、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷のみに起因するデータになる。
【0123】
そのため、真の画像データDに段差が生じない状態とすることが可能となり、真の画像データDに段差が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0124】
[原因1−2]
また、上記の[構成1]で特徴的なもう1つの点は、本画像データDの読み出し処理後、オフセットデータOの読み出し処理前に、各放射線検出素子7のリセット処理と交互にリークデータdleakの読み出し処理を行う点にある。
【0125】
前述したように、オフセットデータOの読み出し処理の際に放射線画像撮影装置1には放射線が照射されないため、オフセットデータOの読み出し処理では、放射線の照射開始を検出するためのリークデータdleakの読み出し処理を行う必要はない。
【0126】
そのため、本画像データDの読み出し処理の後、オフセットデータOの読み出し処理の前には、リークデータdleakの読み出し処理を行わず、各放射線検出素子7のリセット処理のみを、放射線の照射開始検出前にリークデータdleakの読み出し処理と交互に行った各放射線検出素子7のリセット処理と同じ周期τで行うように構成しても、上記の[原因1−1]の場合と同様に、本画像データDの読み出し処理とオフセットデータOの読み出し処理とで実効蓄積時間Tacが各走査線5ごとに同じ時間になる。
【0127】
そのため、本画像データDの読み出し処理の後、オフセットデータOの読み出し処理の前に、リークデータdleakの読み出し処理を行わず、上記のように各放射線検出素子7のリセット処理のみを行うように構成してもよいように思われる。
【0128】
そこで、以下、上記の[構成1]のように、本画像データDの読み出し処理後、オフセットデータOの読み出し処理前に、各放射線検出素子7のリセット処理と交互に、読み出し回路17(図6や図7参照)を駆動させてリークデータdleakの読み出し処理を行うように構成する根拠となる現象や原因等について説明する。
【0129】
まず、前提となる現象について説明する。上記の構成の放射線画像撮影装置1では、各放射線検出素子7のリセット処理が行われる際の各信号線6の電位Vが、リークデータdleakの読み出し処理(画像データD、dの読み出し処理の場合も同様。)が行われる場合の各信号線6の電位V(すなわち前述した基準電位V)よりも低くなることが分かっている。
【0130】
前述したように、読み出し処理が行われる際に各読み出し回路17の増幅回路18のオペアンプ18a(図7参照)を介して各信号線6に基準電位Vが印加されるが、この基準電位Vを種々変化させても、上記のように、各放射線検出素子7のリセット処理の際の各信号線6の電位Vが、リークデータdleak等の読み出し処理の際の各信号線6の電位Vよりも低くなる現象が生じる。しかし、このような現象が生じる原因は、現時点では判明していない。
【0131】
このような現象(前提となる現象)が生じると、上記のように、本画像データDの読み出し処理の後に、リークデータdleakの読み出し処理を行わずに各放射線検出素子7のリセット処理のみを行った場合には、図20(A)に示すように、各信号線6の電位Vは、リセット処理(図中の「R」参照)から電荷蓄積状態に移行した時点で、比較的低い電位から基準電位Vに上昇する状態になる。
【0132】
なお、図20(A)、(B)では、基準電位Vが[V]に設定されている場合が示されている。また、グラフ中の放射線検出素子7の第1電極7aの電位V7aについては後で説明する。
【0133】
一方、上記の[構成1]のように、本画像データDの読み出し処理の後に、リークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に行うように構成した場合、図20(B)に示すように、各信号線6の電位Vは、基準電位Vから各放射線検出素子7のリセット処理のみを行った場合(図20(A)参照)ほど大きくは下がらなくなる。
【0134】
これは、リークデータdleakの読み出し処理(図中の「L」参照)と各放射線検出素子7のリセット処理(図中の「R」参照)が短時間で繰り返し行われるため、信号線6の電位Vの変動がいわば平坦化され、各放射線検出素子7のリセット処理のみを行った場合の信号線6の電位V(図20(A)のグラフの左側の低い電位)と、読み出し処理を行う場合や電荷蓄積状態における信号線6の電位V(すなわち基準電位V)との中間の値になるためである。
【0135】
なお、図20(B)では、リークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理が短時間で繰り返し行われる期間の信号線6の電位Vが一定の電位になるように記載されているが、若干或いは比較的大きく上下動するようになる場合もある。
【0136】
そして、図20(B)の場合、すなわち上記の[構成1]のように、本画像データDの読み出し処理の後に、リークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に行うように構成した場合も、電荷蓄積状態に移行すると、各信号線6の電位Vは基準電位Vに上昇する。
【0137】
信号線6の電位Vと、放射線検出素子7の第1電極7a(図6や図7参照)の電位V7aとの電位差が大きいほど、TFT8内に形成される電位勾配が急になり、TFT8を介して放射線検出素子7から信号線6にリークする電荷qの量が多くなる。そして、放射線検出素子7から信号線6にリークする電荷qが多くなると、放射線検出素子7内の電荷はその分だけ減少する。
【0138】
図20(A)、(B)のいずれの場合も、電荷蓄積状態に移行して信号線6の電位Vが基準電位Vになった後は、信号線6の電位Vと放射線検出素子7の第1電極7aの電位V7aとの電位差が同じになるため、TFT8を介して放射線検出素子7から信号線6にリークする電荷qの量は同じになる。
【0139】
しかし、電荷蓄積状態に移行する前の状態では、図20(A)に示した状態の方が、図20(B)に示した上記の[構成1]の状態よりも、信号線6の電位Vと放射線検出素子7の第1電極7aの電位V7aとの電位差が相対的に小さくなり、電荷qがリークしにくくなる。そのため、図20(A)に示した状態では、放射線検出素子7内に残存する暗電荷の量が多くなる。
【0140】
それに対し、図20(B)に示した状態では、信号線6の電位Vと放射線検出素子7の第1電極7aの電位V7aとの電位差が、図20(A)に示した状態よりも相対的に大きくなり、電荷qがリークし易くなる。そのため、放射線検出素子7内に残存する暗電荷の量が少なくなる。
【0141】
本画像データDの読み出し処理の後にリークデータdleakの読み出し処理を行わずに各放射線検出素子7のリセット処理のみを行う場合(図20(A)参照)と、上記の[構成1]のように本画像データDの読み出し処理の後にリークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に行う場合(図20(B)参照)とでは、生じる現象に、上記のような差異が生じる。
【0142】
次に、このような現象が生じると、図28に示したように真の画像データDに段差が生じることについて説明する。
【0143】
本実施形態では、図21(A)に示すように、本画像データDの読み出し処理前に、リークデータdleakの読み出し処理(L)と各放射線検出素子7のリセット処理(R)が交互に行われる。そして、上記のように、電荷蓄積状態に移行するまでの期間は、信号線6の電位Vが低く、電荷蓄積状態に移行すると、信号線6の電位Vが基準電位Vに上昇する。
【0144】
そのため、信号線6の電位Vと放射線検出素子7の第1電極7aの電位V7aとの電位差が、電荷蓄積状態に移行するまでの期間ではある程度小さく、各放射線検出素子7から信号線6にリークする電荷qの量は少ないが、電荷蓄積状態に移行した後は、電位差が大きくなり、各放射線検出素子7から信号線6にリークする電荷qの量が多くなる。
【0145】
そして、走査線5の各ラインL1〜Lxごとの実効蓄積時間Tacについて見た場合、電荷蓄積状態に移行するまでの期間が、走査線5の各ラインL1〜Lxごとに異なる。すなわち、電荷蓄積状態に移行するまでの期間は、走査線5の検出ラインL4で最も短く、走査線5のラインL3、L2、…の順で長くなっていき、走査線5の読み出し開始ラインL5で最も長くなる。
【0146】
そのため、例えば走査線5の検出ラインL4では、実効蓄積時間Tac内において電荷蓄積状態に移行するまでの期間が短く、電荷蓄積状態に移行した後の期間が長いため、検出ラインL4に接続されている各放射線検出素子7から信号線6にリークする電荷qの量が多くなる。そのため、検出ラインL4に接続されている各放射線検出素子7内に残存する暗電荷の量は少なくなる。
【0147】
また、例えば走査線5の読み出し開始ラインL5では、実効蓄積時間Tac内において電荷蓄積状態に移行するまでの期間が長く、電荷蓄積状態に移行した後の期間が短いため、読み出し開始ラインL5に接続されている各放射線検出素子7から信号線6にリークする電荷qの量は少なくなる。そのため、読み出し開始ラインL5に接続されている各放射線検出素子7内に残存する暗電荷の量は多くなる。
【0148】
そのため、各放射線検出素子7内に残存する暗電荷の量、すなわち本画像データDの読み出し処理で読み出された本画像データDに重畳される暗電荷によるオフセット分Odは、図22(A)に示すように、走査線5の検出ラインLnで最も小さくなり、読み出し開始ラインLn+1で最も大きくなる。なお、図22(A)、(B)では、走査線5の検出ラインがLn、読み出し開始ラインがLn+1と一般化されて表されている。
【0149】
一方、上記のように、本画像データDの読み出し処理の後、リークデータdleakの読み出し処理を行わずに各放射線検出素子7のリセット処理のみを行って、オフセットデータOの読み出し処理を行うように構成する場合も、図21(B)に示すように、同じ状況が生じる。
【0150】
すなわち、走査線5の検出ラインL4では、実効蓄積時間Tac内において電荷蓄積状態に移行するまでの期間が短いため、各放射線検出素子7内に残存する暗電荷の量は少なくなる。また、走査線5の読み出し開始ラインL5では、実効蓄積時間Tac内において電荷蓄積状態に移行するまでの期間が長いため、各放射線検出素子7内に残存する暗電荷の量が多くなる。
【0151】
しかし、図21(B)の場合は、電荷蓄積状態に移行するまでの期間では、信号線6の電位Vと放射線検出素子7の第1電極7aの電位V7aとの電位差が、図21(A)の場合よりも相対的に小さい。そのため、各放射線検出素子7から信号線6にほとんど電荷qがリークしない状態になる。
【0152】
そのため、図22(B)に示すように、読み出されるオフセットデータOは、図22(A)のオフセット分Odの場合と同様に、走査線5の検出ラインLnで最も小さくなり、読み出し開始ラインLn+1で最も大きくなるが、オフセットデータOが変動する幅が、図22(A)のオフセット分Odの場合よりも大きくなる。
【0153】
すなわち、概略的に言えば、図21(A)の状態では、電荷蓄積状態に移行する前後で、信号線6の電位Vと放射線検出素子7の第1電極7aの電位V7aとの電位差はさほど変わらないため、図22(A)に示すように、本画像データDの読み出し処理で読み出された本画像データDに重畳される暗電荷によるオフセット分Odは、電荷蓄積状態に移行する前後でさほど変動しない。
【0154】
しかし、図21(B)の状態では、電荷蓄積状態に移行する前後で、信号線6の電位Vと放射線検出素子7の第1電極7aの電位V7aとの電位差が大きく変わり、各放射線検出素子7からリークする電荷qの量が大きく変わる。すなわち、各放射線検出素子7内に残存する暗電荷の量が大きく変動する。そのため、図22(B)に示すように、読み出されたオフセットデータOが、電荷蓄積状態に移行する前後で、すなわち検出ラインLnと読み出し開始ラインLn+1を境界として比較的大きく変動するようになる。
【0155】
このように、本画像データDの読み出し処理の後に、リークデータdleakの読み出し処理を行わずに各放射線検出素子7のリセット処理のみを行って、オフセットデータOの読み出し処理を行うように構成すると、図22(A)、(B)に示したように、本画像データDに重畳される暗電荷によるオフセット分Odの変動幅と、オフセットデータOの読み出し処理で読み出されるオフセットデータOの変動幅が異なる状態になる。
【0156】
そのため、本画像データDからオフセットデータOを減算しても、図23に示すように、本画像データDに重畳される暗電荷によるオフセット分OdとオフセットデータOとが相殺されなくなり、真の画像データDに段差が生じてしまうと考えられる。
【0157】
それに対し、上記の[構成1]のように、本画像データDの読み出し処理後、オフセットデータOの読み出し処理前に、各放射線検出素子7のリセット処理と交互にリークデータdleakの読み出し処理を行うように構成すると、本画像データDの読み出し処理までの状況は、図21(A)や図22(A)に示した状況と同じ状況になる。
【0158】
また、本画像データDの読み出し処理後も、各放射線検出素子7のリセット処理と交互にリークデータdleakの読み出し処理を行うため、信号線6の電位Vは、図21(B)ではなく図21(A)と同じ状況が繰り返される。そのため、読み出されるオフセットデータOは、図22(B)のグラフではなく、やはり図22(A)のグラフに示したように変動する。
【0159】
すなわち、上記の[構成1]のように構成した場合、本画像データDに重畳されている暗電荷によるオフセット分Odも、その後に読み出されるオフセットデータOも、ともに図22(A)に示したように変動する。そのため、本画像データDからオフセットデータOを減算すると、本画像データDに重畳されている暗電荷によるオフセット分OdとオフセットデータOとが的確に相殺される。
【0160】
そのため、オフセット分OdとオフセットデータOとの差分Od−Oが、走査線5の各ラインL1〜Lxに接続された各放射線検出素子7でほぼ0(或いはほぼ一定の所定値)になる。そのため、上記の[構成1]のように構成した場合には、真の画像データDに段差が生じなくなる。
【0161】
このように、上記の[構成1]のように構成すれば、真の画像データDに段差が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0162】
[構成1における変形例]
なお、上記の[原因1−2]における前提となる現象、すなわち、放射線画像撮影装置1において、各放射線検出素子7のリセット処理が行われる際の各信号線6の電位Vが、リークデータdleakの読み出し処理等が行われる際の各信号線6の電位Vとは異なる電位になるといった現象が生じない場合には、図20(A)〜図22(B)に示したような現象は生じない。
【0163】
そのため、上記の[構成1]の下で、本画像データDの読み出し処理後、オフセットデータOの読み出し処理前に行うリークデータdleakの読み出し処理および各放射線検出素子7のリセット処理を、上記のように各放射線検出素子7のリセット処理のみを行うように変えることも可能である。
【0164】
すなわち、本画像データDの読み出し処理後、放射線の照射開始検出前にリークデータdleakの読み出し処理と交互に行った各放射線検出素子7のリセット処理と同じ周期τで各放射線検出素子7のリセット処理を行う。そして、本画像データDの読み出し処理前の電荷蓄積状態と同じ時間だけ走査駆動手段15ら各走査線5にオフ電圧を印加した後、本画像データDの読み出し処理と同じ周期で各放射線検出素子15からのオフセットデータOの読み出し処理を行うように構成することが可能である。
【0165】
このように構成すれば、上記の[構成1]において少なくとも[原因1−1]で考察した条件が満たされるため、真の画像データDに段差が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0166】
[構成2]
次に、前述したように、通常の場合、本画像データDの読み出し処理(図13参照)の後、オフセットデータOの読み出し処理(図19参照)を行う前に、例えば本画像データDの読み残し分を除去するために、リークデータdleakの読み出し処理を伴わない通常の各放射線検出素子7のリセット処理(図15参照)を繰り返し行うことが考えられる。
【0167】
しかし、このように構成すると、前述したように、本画像データDに重畳されている暗電荷によるオフセット分Odと、その後のオフセットデータOの読み出し処理で読み出されるオフセットデータOとが同じ値にならず、図28に示したように真の画像データDに段差が発生するという問題が生じ得る。
【0168】
以下、このような現象が生じる原因について考察するとともに、真の画像データDに段差(図28参照)が生じないようにするための構成等について説明する。
【0169】
なお、オフセットデータOの読み出し処理における電荷蓄積状態に移行する前のリークデータdleakの読み出し処理と交互に行う各放射線検出素子7のリセット処理において、図19に示したように、走査線5の各ラインL5〜Lx、L1〜L4にオン電圧を1回ずつ印加して行われる各放射線検出素子7のリセット処理を、検出部Pに設けられた1面分の各走査線5について1回ずつ行うという意味で、1フレーム分のリセット処理という。
【0170】
すなわち、一般的に言えば、本画像データDの読み出し処理で読み出しを開始した走査線5のラインLn+1すなわち読み出し開始ラインLn+1から、その1本上側の走査線5のラインLnすなわち検出ラインLnまでの各走査線5にオン電圧を1回ずつ印加して行われる各放射線検出素子7のリセット処理を、1フレーム分のリセット処理という。
【0171】
そして、このリセット処理を、例えば各走査線5ごとに2回ずつオン電圧を印加して行う場合、すなわち、走査線5の読み出し開始ラインLn+1から検出ラインLnにオン電圧を順次印加した後、再度、走査線5の読み出し開始ラインLn+1から検出ラインLnにオン電圧を順次印加して各放射線検出素子7のリセット処理を行う場合、2フレーム分のリセット処理ということになる。
【0172】
[原因2]
本発明者らの研究によると、上記のような問題が生じる原因は、リークデータdleakの読み出し処理を伴わない通常の各放射線検出素子7のリセット処理(図15参照)を行うと、TFT8を介して各放射線検出素子7から信号線6にリークする電荷qの量が変わるためであると考えられている。以下、具体的に説明する。
【0173】
前述したように、オフ状態になっている各TFT8を介して各放射線検出素子7から電荷qがリークして信号線6に流れ込む(図10参照)。これは、リークデータdleakの読み出し処理の際だけでなく常時生じている現象であり、本画像データDの読み出し処理やオフセットデータOの読み出し処理の際にも生じている。
【0174】
そのため、ある放射線検出素子7について読み出されるオフセットデータOには、当該放射線検出素子7内に蓄積された暗電荷によるオフセット分Od(上記の[構成1]参照)だけでなく、当該放射線検出素子7が接続されている信号線6に接続されている他の放射線検出素子7から各TFT8を介してリークした電荷qの合計値によるオフセット分も含まれている。
【0175】
以下、他の放射線検出素子7から各TFT8を介してリークした電荷qの合計値、簡単にリーク合計値Qという。また、このリーク合計値Qによるオフセット分を、オフセット分Oqという。
【0176】
また、当該放射線検出素子7について読み出される本画像データDにも、放射線の照射により当該放射線検出素子7内で発生した電荷に起因するデータ(すなわち真の画像データDに相当するデータ)のほかに、オフセット分として、当該放射線検出素子7内に蓄積された暗電荷によるオフセット分やリーク合計値Qによるオフセット分Oqが含まれている。
【0177】
そして、理想的には、本画像データDからオフセットデータOを減算すれば、両者に含まれる暗電荷によるオフセット分とリーク合計値Qによるオフセット分とがそれぞれ相殺されて、放射線の照射により当該放射線検出素子7内で発生した電荷に起因する真の画像データDのみが残るはずである。
【0178】
しかし、本発明者らの研究では、上記のように、本画像データDの読み出し処理後に通常の各放射線検出素子7のリセット処理(図15参照)を繰り返し行うと、オフセットデータO中に含まれるリーク合計値Qによるオフセット分Oqが、本画像データD中に含まれるリーク合計値Qによるオフセット分Oqよりも大きくなる場合があることが分かった。
【0179】
具体的に言うと、例えば、図13に示したように、リークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理を交互に繰り返し行い、電荷蓄積状態に移行した後で本画像データDの読み出し処理を行う場合に、仮に、本画像データDの読み出し処理時にリーク合計値Qを読み出す。
【0180】
すなわち、例えば、本画像データDの各読み出し動作の間にリークデータdleakの読み出し処理を行って、リーク合計値Qを読み出す。すると、図24に示すように、検出ラインLnや読み出し開始ラインLn+1を含む各走査線5ごとに各リーク合計値Qが得られる。
【0181】
なお、図24や後述する図25等のグラフでは、横軸は時間tであり、本画像データDの読み出し処理時に走査線5の各ラインL1、Ln、Ln+1、Lx等にオン電圧が印加される時刻が「L1」、「Ln」、「Ln+1」、「Lx」等として示されている。また、図24では、リーク合計値Qが各走査線5でほぼ同じ値になる場合が示されているが、放射線画像撮影装置1によっては各走査線5ごとに異なる値になる場合もある。
【0182】
それに対し、本画像データDの読み出し処理後に、通常の各放射線検出素子7のリセット処理(図15参照)を繰り返し行った場合、図25に示すように、その直後に各放射線検出素子7のリセット処理と交互に行われるリークデータdleakの読み出し処理で読み出されるリーク合計値Q(すなわちリークデータdleak)が、非常に大きな値になる。
【0183】
そして、リーク合計値Qは、リークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理を交互に繰り返すうちに、次第に減衰していくように推移することが分かった。
【0184】
そして、通常の各放射線検出素子7のリセット処理直後にリーク合計値Qが非常に大きな値になることの影響は、電荷蓄積状態を経た後のオフセットデータOの読み出し処理まで残る場合がある。そして、図25に示すように、走査線5の読み出し開始ラインLn+1やそれ以降の各走査線5では、オフセットデータO中に含まれるリーク合計値Qが、本画像データD中に含まれるリーク合計値Q(図中の破線参照。図24参照)より大きくなる場合がある。
【0185】
そのため、本画像データD中に含まれるリーク合計値QからオフセットデータO中に含まれるリーク合計値Q(以下、後者をリーク合計値Qdという。)を減算した差分値Q−Qdを各走査線5ごとにプロットすると、図26に示すように、走査線5の検出ラインLnと読み出し開始ラインLn+1との間で、差分値Q−Qdに段差が現れる場合があることが分かった。
【0186】
上記の[構成1]で説明したように、本画像データDに重畳されている暗電荷によるオフセット分OdとオフセットデータOは、本画像データDの読み出し処理までの処理シーケンスとオフセットデータOの読み出し処理までの処理シーケンスとを同じ処理シーケンスとし、各走査線5ごとの実効蓄積時間Tacを本画像データDの読み出し処理とオフセットデータOの読み出し処理とで同じ時間とすることで、同じ値とすることができる。そのため、本画像データDからオフセットデータOを減算すれば相殺される。
【0187】
しかし、上記のように、本画像データDの読み出し処理の後、オフセットデータOの読み出し処理(図19参照)を行う前に、リークデータdleakの読み出し処理を伴わない通常の各放射線検出素子7のリセット処理(図15参照)を行うと、本画像データDに含まれるリーク合計値Qによるオフセット分Oqと、オフセットデータOに含まれるリーク合計値Qdによるオフセット分Oqが、上記のように異なる値になるため(図25参照)、それらを減算しても相殺されず、段差が生じる状態になる(図26参照)。
【0188】
これが、オフセットデータOの読み出し処理で読み出されるオフセットデータOが、本画像データDに重畳されているオフセット分と同じ値にならない1つの原因であり、真の画像データD中に段差(図28参照)が現れる原因の1つと考えられている。
【0189】
このような現象が生じることを回避するためには、オフセットデータOの読み出し処理を行う際のリーク合計値Qd(図25参照)によるオフセット分Oqが、本画像データDの読み出し処理を行う際のリーク合計値Q(図24参照)によるオフセット分Oqと、各走査線5ごとに同じ値になるように構成すればよい。
【0190】
以下、上記の目的を達成するための構成の例について説明する。
【0191】
[構成2−1]
上記の目的を達成するための1つの構成としては、例えば、本画像データDの読み出し処理の後、オフセットデータOの読み出し処理(図19参照)を行う前に、リークデータdleakの読み出し処理を伴わない通常の各放射線検出素子7のリセット処理(図15参照)を行わないように構成することが可能である。
【0192】
このように構成すれば、図25に示したように、通常の各放射線検出素子7のリセット処理の後でリーク合計値Qが非常に大きな値になることがなくなり、オフセットデータOの読み出し処理の際のリーク合計値Qdが、図24に示した本画像データDの読み出し処理の際のリーク合計値Qと同じように推移する状態になる。
【0193】
そのため、各放射線検出素子7ごと(或いは各走査線5ごと)に、オフセットデータOの読み出し処理を行う際のリーク合計値Qdによるオフセット分Oqが、本画像データDの読み出し処理を行う際のリーク合計値Qによるオフセット分Oqとほとんど同じ値になる。
【0194】
そのため、本画像データDからオフセットデータOを減算することで、本画像データDに含まれるリーク合計値Qによるオフセット分Oqと、オフセットデータOに含まれるリーク合計値Qdによるオフセット分Oqが相殺され、真の画像データDに段差が生じない状態とすることが可能となる。
【0195】
なお、前述したように、上記の検出方法1では、リークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に行うように構成した場合(図12参照)、リークデータdleakの読み出し処理を行う分だけ、通常の各放射線検出素子7のリセット処理の場合(図15参照)よりも、ある走査線5にオン電圧を印加してから次の走査線5にオン電圧を印加するまでの周期τが長周期になる。
【0196】
このように構成した場合に、いま仮に、例えば、本画像データDの読み出し処理後に、上記のように通常の各放射線検出素子7のリセット処理(図15参照)を行わないように構成するだけでなく、さらに図19に示したようなリークデータdleakの読み出し処理および各放射線検出素子7のリセット処理をも行わないように構成し、本画像データDの読み出し処理後にただちに電荷蓄積状態に移行するように構成する場合を考える。
【0197】
この場合、本画像データDの読み出し処理の際には、上記のように長周期のリセット処理を行った後、電荷蓄積状態を経て本画像データDの読み出し処理が行われる。一方、オフセットデータOの読み出し処理では、上記の長周期のリセット処理に比べて短周期で行われる本画像データDを行った後、電荷蓄積状態を経てオフセットデータOの読み出し処理が行われるようになる。そのため、各走査線5ごとに、前述した実効蓄積時間Tacが、本画像データDの読み出し時とオフセットデータOの読み出し時で異なる時間になる。
【0198】
すると、上記の[原因1−1]で説明したように、本画像データDに重畳される暗電荷によるオフセット分Odと、オフセットデータO中に含まれる暗電荷によるオフセット分とが異なる値になってしまい、本画像データDからオフセットデータOを減算しても、それらのオフセット分が相殺されなくなる。
【0199】
そのため、上記の[構成2−1]のように構成する場合も、本画像データDの読み出し処理の後、オフセットデータOの読み出し処理を行う前に、図19に示したように、リークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理を交互に少なくとも1フレーム分(すなわち各走査線5について少なくとも1回)行うように構成される。
【0200】
このように構成すれば、本画像データDの読み出し処理においても、オフセットデータOの読み出し処理においても、いずれも、電荷蓄積状態の前に、リークデータdleakの読み出し処理とともに長周期の各放射線検出素子7のリセット処理が行われる状態になり、各走査線5ごとに、前述した実効蓄積時間Tacを、本画像データDの読み出し時とオフセットデータOの読み出し時とで同じ時間にすることが可能となる。
【0201】
[構成2−1における変形例]
なお、上記の[原因1−2]における前提となる現象、すなわち、放射線画像撮影装置1において、各放射線検出素子7のリセット処理が行われる際の各信号線6の電位Vが、リークデータdleakの読み出し処理等が行われる際の各信号線6の電位Vとは異なる電位になるといった現象が生じない場合には、上記の[構成1における変形例]の場合と同じ理由で、[構成1における変形例]の場合と同じように構成を変形することが可能である。
【0202】
すなわち、上記の[構成2−1]の下で、本画像データDの読み出し処理後にリークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理を交互に行う代わりに、それと同じ周期τで各放射線検出素子7のリセット処理のみを行うように構成することが可能である。
【0203】
また、本画像データDの読み出し処理では、上記のように、各放射線検出素子7内に読み残し分が残存するが、上記の[構成2−1]ではリークデータdleakの読み出し処理と交互に行われる各放射線検出素子7のリセット処理で、また、上記の[変形例]では各放射線検出素子7のリセット処理で、それぞれ各放射線検出素子7内から読み残し分がほとんど除去される。
【0204】
そのため、上記のように、リークデータdleakの読み出し処理を伴わない通常の各放射線検出素子7のリセット処理(図15参照)を行わないように構成しても、本画像データDの読み残し分による悪影響は発生しないことが分かっている。
【0205】
[構成2−2]
一方、前述した目的を達成するためのもう1つの構成としては、例えば、本画像データDの読み出し処理の後、オフセットデータOの読み出し処理(図19参照)を行う前に、リークデータdleakの読み出し処理を伴わない通常の各放射線検出素子7のリセット処理(図15参照)を行った後、リークデータdleakの読み出し処理および各放射線検出素子7のリセット処理を複数フレーム分(すなわち各走査線5について複数回)行うように構成することが可能である。
【0206】
図25に示したように、本画像データDの読み出し処理後に、通常の各放射線検出素子7のリセット処理(図15参照)を行うと、リーク合計値Qが非常に大きな値になり、その後、リークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理を交互に繰り返すうちに、次第に減衰していくように推移する。
【0207】
そのため、本画像データDの読み出し処理の後に通常の各放射線検出素子7のリセット処理(図15参照)を行ってリーク合計値Qが大きな値になっても、リークデータdleakの読み出し処理および各放射線検出素子7のリセット処理を複数フレーム分行えば、リーク合計値Qdは、図24に示した本画像データDの読み出し処理の際のリーク合計値Qと同じように推移する状態に戻る。
【0208】
そのため、上記の[構成2−2]のように構成すれば、各放射線検出素子7ごと(或いは各走査線5ごと)に、オフセットデータOの読み出し処理を行う際のリーク合計値Qdによるオフセット分Oqが、本画像データDの読み出し処理を行う際のリーク合計値Qによるオフセット分Oqとほとんど同じ値になる。
【0209】
そのため、本画像データDからオフセットデータOを減算することで、本画像データDに含まれるリーク合計値Qによるオフセット分Oqと、オフセットデータOに含まれるリーク合計値Qdによるオフセット分Oqが相殺され、真の画像データDに段差が生じない状態とすることが可能となる。
【0210】
[構成2−2における変形例]
なお、この[構成2−2]においても、上記の[原因1−2]における前提となる現象が生じない場合には、上記の[構成1における変形例]や[構成2−1における変形例]の場合と同じ理由で、[構成1における変形例]等の場合と同じように構成を変形することが可能である。
【0211】
すなわち、上記の[構成2−2]の下で、本画像データDの読み出し処理後にリークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理を交互に行う代わりに、それと同じ周期τで各放射線検出素子7のリセット処理のみを行うように構成することが可能である。
【0212】
[検出方法2を採用した場合について]
ここまでは、放射線の照射開始の検出方法として上記の検出方法1を採用した場合について説明した。そして、放射線の照射開始の検出方法として、上記の検出方法2を採用した場合についても、上記の[構成1]や[構成2−1]、[構成2−2]、或いはそれらの変形例と全く同様に構成することが可能である。
【0213】
そして、図示を省略するが、オフセットデータOの読み出し処理においては、放射線の照射開始検出前の処理シーケンス(図18参照)と同じ処理シーケンスを繰り返して行われるように構成される。
【0214】
すなわち、例えば図18に示したようにして本画像データDの読み出し処理を終了した後、放射線の照射開始検出前に行わせた照射開始検出用の画像データdの読み出し処理と同じ周期τで画像データdの読み出し処理を行い、電荷蓄積状態(図18参照)と同じ時間だけ走査駆動手段15から各走査線5にオフ電圧を印加した後、本画像データDの読み出し処理と同じ周期で各放射線検出素子7からのオフセットデータOの読み出し処理を行うように構成される。
【0215】
また、上記の[原因1−2]における前提となる現象、すなわち、放射線画像撮影装置1において、各放射線検出素子7のリセット処理が行われる際の各信号線6の電位Vが、画像データD、dの読み出し処理等が行われる際の各信号線6の電位Vとは異なる電位になるといった現象が生じない場合には、本画像データDの読み出し処理後に画像データdの読み出し処理を行う代わりに、同じ周期τで各放射線検出素子7のリセット処理を行うように構成することも可能である。
【0216】
以上のように構成すれば、放射線の照射開始の検出方法として上記の検出方法2を採用した場合でも、真の画像データDに段差が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0217】
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、上記の検出方法1や検出方法2を採用して、放射線画像撮影前に、リークデータdleakや照射開始検出用の画像データdを読み出し、それに基づいて放射線の照射が開始されたことを検出するため、放射線画像撮影装置1自体で放射線が照射されたことを的確に検出することが可能となる。
【0218】
また、本画像データD中に含まれる暗電荷によるオフセット分Odやリーク合計値Qによるオフセット分Oqと、オフセットデータO中に含まれる暗電荷によるオフセット分Odやリーク合計値Qによるオフセット分Oqとを、各放射線検出素子7ごとに、それぞれ同じ値とすることが可能となる。
【0219】
そのため、本画像データDからオフセットデータOを減算することにより、暗電荷によるオフセット分Od同士やリーク合計値Qによるオフセット分Oq同士がそれぞれ的確に相殺されるようになり、本画像データDに重畳されているオフセット分とオフセットデータOとが的確に相殺される。
【0220】
そのため、本画像データDからオフセットデータOを減算することにより各放射線検出素子7ごとに算出される真の画像データDに段差(図28参照)が生じることを的確に防止することが可能となる。そして、放射線画像撮影装置1で撮影した放射線画像を医療における診断用等に用いるような場合に、放射線画像中にスジが現れたり、スジと患者の病変部とが放射線画像上で重なって病変部を見落とす等の問題が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0221】
なお、本発明が上記の実施形態に限定されず、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0222】
1 放射線画像撮影装置
5 走査線
6 信号線
7 放射線検出素子
8 TFT(スイッチ手段)
15 走査駆動手段
17 読み出し回路
22 制御手段
D 本画像としての画像データ
d 照射開始検出用の画像データ
dleak リークデータ
dleak_th 閾値
dth 閾値
O オフセットデータ
P 検出部
q 電荷
r 小領域
τ 周期

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
前記各走査線にオン電圧またはオフ電圧を印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
放射線画像撮影前に、前記走査駆動手段から前記各走査線にオフ電圧を印加して前記各スイッチ手段をオフ状態とした状態で前記各スイッチ手段を介して前記各放射線検出素子からリークした前記電荷をリークデータに変換するリークデータの読み出し処理と、前記走査駆動手段から前記各走査線にオン電圧を順次印加して行う前記各放射線検出素子のリセット処理とを交互に行わせ、
読み出した前記リークデータが閾値を越えた時点で放射線の照射が開始されたことを検出すると、前記走査駆動手段から前記各走査線にオフ電圧を印加して放射線の照射により発生した電荷を前記各放射線検出素子内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行した後、前記各放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせるとともに、
前記画像データの読み出し処理後、放射線の照射開始検出前に行わせた前記リークデータの読み出し処理および前記各放射線検出素子のリセット処理と同じ周期で前記リークデータの読み出し処理と前記各放射線検出素子のリセット処理とを交互に行わせ、前記電荷蓄積状態と同じ時間だけ前記走査駆動手段から前記各走査線にオフ電圧を印加した後、前記画像データの読み出し処理と同じ周期で前記各放射線検出素子からのオフセットデータの読み出し処理を行わせることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記画像データの読み出し処理後、前記リークデータの読み出し処理を伴わない前記各放射線検出素子のリセット処理を行わずに、前記リークデータの読み出し処理と交互に行う前記各放射線検出素子のリセット処理を前記各走査線について少なくとも1回行わせるようにして前記リークデータの読み出し処理と前記各放射線検出素子のリセット処理とを交互に行わせることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記画像データの読み出し処理後に、前記リークデータの読み出し処理を伴わない前記各放射線検出素子のリセット処理を行った後、前記リークデータの読み出し処理と交互に行う前記各放射線検出素子のリセット処理を前記各走査線について複数回行わせるようにして前記リークデータの読み出し処理と前記各放射線検出素子のリセット処理とを交互に行わせることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記画像データの読み出し処理後、
放射線の照射開始検出前に行わせた前記リークデータの読み出し処理および前記各放射線検出素子のリセット処理と同じ周期で前記リークデータの読み出し処理と前記各放射線検出素子のリセット処理とを交互に行わせる代わりに、
前記リークデータの読み出し処理を伴わない前記各放射線検出素子のリセット処理を行わずに、放射線の照射開始検出前に前記リークデータの読み出し処理と交互に行った前記各放射線検出素子のリセット処理と同じ周期で前記各放射線検出素子のリセット処理のみを前記各走査線について少なくとも1回行わせることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記画像データの読み出し処理後、
放射線の照射開始検出前に行わせた前記リークデータの読み出し処理および前記各放射線検出素子のリセット処理と同じ周期で前記リークデータの読み出し処理と前記各放射線検出素子のリセット処理とを交互に行わせる代わりに、
前記リークデータの読み出し処理を伴わない前記各放射線検出素子のリセット処理を行った後、放射線の照射開始検出前に前記リークデータの読み出し処理と交互に行った前記各放射線検出素子のリセット処理と同じ周期で前記各放射線検出素子のリセット処理のみを前記各走査線について複数回行わせることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項6】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
前記各走査線にオン電圧またはオフ電圧を印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
放射線画像撮影前に、前記走査駆動手段から前記各走査線にオン電圧を順次印加して照射開始検出用の前記画像データの読み出し処理を行わせ、
読み出した前記画像データが閾値を越えた時点で放射線の照射が開始されたことを検出すると、前記走査駆動手段から前記各走査線にオフ電圧を印加して放射線の照射により発生した電荷を前記各放射線検出素子内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行した後、前記各放射線検出素子からの本画像としての前記画像データの読み出し処理を行わせるとともに、
前記本画像としての画像データの読み出し処理後、放射線の照射開始検出前に行わせた前記照射開始検出用の画像データの読み出し処理と同じ周期で前記照射開始検出用の画像データの読み出し処理を行わせ、前記電荷蓄積状態と同じ時間だけ前記走査駆動手段から前記各走査線にオフ電圧を印加した後、前記本画像としての画像データの読み出し処理と同じ周期で前記各放射線検出素子からのオフセットデータの読み出し処理を行わせることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記本画像としての画像データの読み出し処理後、前記各放射線検出素子のリセット処理を行わずに、放射線の照射開始検出前に行わせた前記照射開始検出用の画像データの読み出し処理と同じ周期で前記照射開始検出用の画像データの読み出し処理を前記各走査線について少なくとも1回行わせることを特徴とする請求項6に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記本画像としての画像データの読み出し処理後に、前記各放射線検出素子のリセット処理を行った後、放射線の照射開始検出前に行わせた前記照射開始検出用の画像データの読み出し処理と同じ周期で前記照射開始検出用の画像データの読み出し処理を前記各走査線について複数回行わせることを特徴とする請求項6に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記本画像としての画像データの読み出し処理後、
放射線の照射開始検出前に行わせた前記照射開始検出用の画像データの読み出し処理と同じ周期で前記照射開始検出用の画像データの読み出し処理を行わせる代わりに、
放射線の照射開始検出前に行わせた前記照射開始検出用の画像データの読み出し処理と同じ周期で前記各放射線検出素子のリセット処理を前記各走査線について少なくとも1回行わせることを特徴とする請求項6に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記本画像としての画像データの読み出し処理後、
放射線の照射開始検出前に行わせた前記照射開始検出用の画像データの読み出し処理と同じ周期で前記照射開始検出用の画像データの読み出し処理を行わせる代わりに、
前記各放射線検出素子のリセット処理を行った後、さらに、放射線の照射開始検出前に行わせた前記照射開始検出用の画像データの読み出し処理と同じ周期で前記各放射線検出素子のリセット処理を前記各走査線について複数回行わせることを特徴とする請求項6に記載の放射線画像撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2013−5066(P2013−5066A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131753(P2011−131753)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】