説明

放射線画像撮影装置

【課題】電磁ノイズの影響を抑制しつつ、フレキシブル基板の移動による接触や擦れに伴う帯電を抑制することができる放射線画像撮影装置を提供する。
【解決手段】放射線画像撮影装置において、放射線画像検出器14は、放射線検出パネル142と、信号処理基板144と、放射線検出パネル142に一端を電気的に接続し、信号処理基板144に他端を電気的に接続するフレキシブル基板182、184と、放射線検出パネル142及び信号処理基板144を収納するとともに、フレキシブル基板182を内壁から離間状態において収納する筐体140と、フレキシブル基板182の移動によってフレキシブル基板182の筐体140に接触する領域に配設された導電体186とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影装置に関し、特に放射線検出パネルと信号処理基板とをフレキシブル基板によって接続する放射線画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス基板上に放射線感応層を配置し、放射線を直接デジタルデータに変換することができるFPD(Flat Panel Detector)等の放射線検出器が実用化されている。この放射線検出器を用いた放射線画像撮影装置においては、従来のX線フィルムやイメージングプレートを用いた放射線画像撮影装置に比べて、即時に画像を確認することができる特徴がある。また、連続的に放射線画像の撮影を行う透視撮影(動画撮影)を行うことができる特徴がある。
【0003】
この種の放射線検出器には種々のタイプが提案されている。例えば、間接変換方式を採用する放射線検出器は、シンチレータを用いて放射線を光に変換し、変換された光をフォトダイオード等のセンサ部によって電荷に変換し、この電荷を蓄積する。蓄積された電荷はX線撮影によって得られた撮影画像情報である。シンチレータにはCsI:Tl、GOS(GdS:Tb)等が使用されている。放射線画像撮影装置においては、放射線検出器に蓄積された電荷がアナログ信号として読み出され、このアナログ信号はアンプによって増幅された後にアナログデジタル(A/D)変換部によってデジタルデータに変換される。
【0004】
下記特許文献1には、故障の発生を防止可能なカセッテ型放射線画像検出器が開示されている。このカセッテ型放射線画像検出器はセンサパネル、基台及びフレキシブルケーブルを備える画像検出部をハウジング内に内蔵している。センサパネルは光電変換手段及び入射された放射線を光に変換するシンチレータを有する。基台は、センサパネルに対向して配置され、光電変換手段に関連する回路を設けている。フレキシブルケーブルは、光電変換手段と回路とを電気的に接続し、集積回路素子等を実装したCOF(Chip On Film)等である。ハウジングのフレキシブルケーブルに対向する側面部はフレキシブルケーブルの折り返し形状に合わせて曲面状に形成されている。集積回路素子等の動作に伴い発せられる熱を放出するため、フレキシブルケーブルはハウジングの側面部の曲面状の内壁部に面接触をなしている。ハウジングのハウジング本体は熱伝導率が高いカーボン繊維を用いて形成されている。
【0005】
このように構成されるカセッテ型放射線画像検出器においては、ハウジングの側面部がフレキシブルケーブルの折り返しの曲率と略同一の曲率を有する曲面状に形成されている。このため、フレキシブルケーブルは、振動しても、側面部の曲面状によって振動を阻まれ、側面部からのずれを生じない。従って、ハウジングの側面部とフレキシブルケーブルとの擦れを防止することができるので、擦れに起因するフレキシブルケーブルの配線の切断等の故障を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−257914号公報
【特許文献2】特開2010−264250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に開示されたカセッテ型放射線画像検出器はハウジングのハウジング本体に導電性を有し、ハウジング本体は電磁シールドとして機能する。つまり、カセッテ型放射線画像検出器においては外部からの電磁ノイズを防止することができる。しかしながら、ハウジング本体の内壁部とセンサパネルや基台に設けられた回路とは数mm程度の非常に狭い離間寸法しか確保することができない。X線撮影中やその直前に、被検体(患者)の位置調整や姿勢調整に伴い、被検体とカセッテ型放射線画像検出器とが接触や衝突を生じると、ハウジング本体とセンサパネルの一部或いは回路の一部とに接触が生じる。
【0008】
上記特許文献2には、放射線の照射の開始や停止等を検出し、放射線の発生タイミングに対する同期制御を必要としないX線撮影装置が開示されている。このようなX線撮影装置においては、ハウジング本体に電磁ノイズ等が乗った場合には、ハウジング本体とセンサパネルの一部或いは回路の一部とに接触が生じると、電磁ノイズがセンサパネルや回路のアナログ信号に変化を及ぼす。アナログ信号の変化はX線撮影画像情報の誤検出を誘発する。
【0009】
また、特許文献1に開示されたカセッテ型放射線画像検出器においては、集積回路素子等の動作に伴い発せられる熱を放出しつつ擦れを防止するために、ハウジング本体の側面部の内壁部にフレキシブルケーブルが面接触をなしている。前述と同様に、ハウジング本体に電磁ノイズ等が乗った場合、電磁ノイズは、フレキシブルケーブルの配線において伝送されるアナログ信号に変化を及ぼし、X線撮影画像情報の誤検出を誘発する。
【0010】
このような電磁ノイズによるX線撮影画像情報の誤検出を回避するために、カセッテ型放射線画像撮影装置のハウジング本体は絶縁体により製作し、ハウジング本体の側面部の内壁部とフレキシブルケーブルとの間は離間させることが有効である。しかしながら、絶縁体を用いてハウジング本体を製作すれば電磁ノイズ対策に対して有効であるものの、前述のような接触や衝突が加わったときに、ハウジング本体の内壁部にフレキシブルケーブルが接触し又は擦れ、フレキシブルケーブル内の配線に帯電が生じ、カウンター(補償)電荷が生じる。
【0011】
X線撮影画像情報の誤検出を防止する方法としては、電荷量の経時変化に基づきX線かノイズかを判定する処理ソフトを利用する方法が挙げられる。このような処理ソフトによる判定を行えば、ノイズ発生時にX線との誤検出によるリスクを低減することが可能である。ところが、処理ソフトの処理時間が増加すれば、ワークフローの低下や、X線照射中のX線情報のロスの増大等が生じる。このため、ノイズの発生自体を抑制する技術が望まれている。
【0012】
また、放射線の発生タイミングに対する同期制御を必要とするX線撮影装置においても同様であり、フレキシブルケーブル内の配線に帯電が生じると、X線撮影画像情報の読み出し時のアナログ信号に変化が生じる。このアナログ信号の変化はX線撮影画像のノイズになる。このようなノイズはX線撮影画像のパターンから判別可能であり、処理ソフトを用いて補正することが可能である。ところが、処理ソフトの処理時間が増加すれば、放射線画像情報を表示するまでに時間を要する等、ワークフローの低下を生じる。
【0013】
本発明は、上記事実を考慮し、電磁ノイズの影響を抑制しつつ、フレキシブル基板の移動による接触や擦れに伴う帯電を抑制することができる放射線画像撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の放射線画像撮影装置は、放射線を電気信号に変換する光電変換素子を有する放射線検出パネルと、放射線検出パネルに対向して配設され、放射線検出パネルによって得られた電気信号に対して信号処理を行う信号処理基板と、放射線検出パネルに一端を電気的に接続し、信号処理基板に他端を電気的に接続するフレキシブル基板と、放射線検出パネル及び信号処理基板を収納するとともに、フレキシブル基板を内壁から離間状態において収納する筐体と、フレキシブル基板の移動によってフレキシブル基板の筐体に接触する領域に配設された第1の導電体と、を備える。
【0015】
請求項1に記載された放射線画像撮影装置においては、外力に伴い移動(変形)したフレキシブル基板と筐体の内壁との接触又は擦れによって生じる電荷を第1の導電体によって減少することができるので、フレキシブル基板の帯電に起因するノイズの発生を抑制することができる。加えて、フレキシブル基板に第1の導電体を備え、フレキシブル基板の機械的強度を第1の導電体によって補い、フレキシブル基板の外力に伴う移動を抑制することができるので、フレキシブル基板と筐体の内壁との接触又は擦れを抑え、帯電すること自体を抑制することができる。更に、フレキシブル基板は外力が生じないときに第1の導電体は筐体から離間されているので、筐体に偶発的にノイズが発生しても、ノイズがフレキシブル基板に乗ることを抑制することができる。
【0016】
請求項2に記載の放射線画像撮影装置は、請求項1に記載の放射線画像撮影装置において、第1の導電体は固定電位に接続されていることを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の放射線画像撮影装置においては、請求項1に記載の放射線画像撮影装置によって得られる作用効果に加えて、外力に伴い移動したフレキシブル基板と筐体の内壁との接触又は擦れによって生じる電荷を第1の導電体を通じて固定電位に吸収することができる。
【0018】
請求項3に記載の放射線画像撮影装置は、請求項2に記載の放射線画像撮影装置において、第1の導電体は筐体の内壁側においてフレキシブル基板の表面上に配設されていることを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の放射線画像撮影装置においては、請求項2に記載の放射線画像撮影装置によって得られる作用効果に加えて、第1の導電体はフレキシブル基板の筐体の内壁に接触する側に配設されているので、外力に伴い移動したフレキシブル基板と筐体の内壁との接触又は擦れによって生じる電荷を第1の導電体を通じて固定電位に吸収することができる。
【0020】
請求項4に記載の放射線画像撮影装置は、請求項3に記載の放射線画像撮影装置において、放射線検出パネルと信号処理基板との間に補強部材を備え、筐体の内壁側とは反対側においてフレキシブル基板の移動によってフレキシブル基板の補強部材に接触する領域に第2の導電体が配設されていることを特徴とする。
【0021】
請求項4に記載の放射線画像撮影装置においては、請求項3に記載の放射線画像撮影装置によって得られる作用効果に加えて、第2の導電体がフレキシブル基板の筐体の内壁側とは反対側に配設されているので、外力に伴い移動したフレキシブル基板と筐体の内壁側とは反対側の補強部材との接触又は擦れによって生じる電荷も第2の導電体を通じて固定電位に吸収することができる。
【0022】
請求項5に記載の放射線画像撮影装置は、請求項1に記載の放射線画像撮影装置において、第1の導電体は、筐体の内壁側においてフレキシブル基板の表面上に配設され、帯電防止体により製作されていることを特徴とする。
【0023】
請求項5に記載の放射線画像撮影装置においては、請求項1に記載の放射線画像撮影装置によって得られる作用効果に加えて、第1の導電体は帯電防止体により製作されているので、外力に伴い移動したフレキシブル基板と筐体の内壁との接触又は擦れによって生じる電荷を中和することができる。
【0024】
請求項6に記載の放射線画像撮影装置は、請求項5に記載の放射線画像撮影装置において、放射線検出パネルと信号処理基板との間に補強部材を備え、筐体の内壁側とは反対側においてフレキシブル基板の移動によってフレキシブル基板の補強部材に接触する領域に第2の導電体が配設され、第2の導電体は帯電防止体により製作されていることを特徴とする。
【0025】
請求項6に記載の放射線画像撮影装置においては、請求項5に記載の放射線画像撮影装置によって得られる作用効果に加えて、第2の導電体は帯電防止体により製作され、第2の導電体はフレキシブル基板の筐体の内壁に接触する側に配設されているので、外力に伴い移動したフレキシブル基板と筐体の内壁との接触又は擦れによって生じる電荷を中和することができる。
【0026】
請求項7に記載の放射線画像撮影装置は、請求項5又は請求項6に記載の放射線画像撮影装置において、帯電防止体は持続型帯電防止体により製作されていることを特徴とする。
【0027】
請求項7に記載の放射線画像撮影装置においては、請求項5又は請求項6に記載の放射線画像撮影装置によって得られる作用効果に加えて、帯電防止体が持続型帯電防止体によって製作されているので、短時間に帯電した電荷を中和することができる。
【0028】
請求項8に記載の放射線画像撮影装置は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置において、放射線検出パネルと信号処理基板との間に補強部材を備え、筐体の内壁側とは反対側においてフレキシブル基板の移動によってフレキシブル基板の補強部材に接触する領域に第2の導電体が配設され、第2の導電体は帯電防止体により製作されていることを特徴とする。
【0029】
請求項8に記載の放射線画像撮影装置においては、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置によって得られる作用効果に加えて、フレキシブル基板の筐体の内壁側とは反対側の第2の導電体は帯電防止体により製作されているので、外力に伴い移動したフレキシブル基板と筐体の内壁側とは反対側の補強部材との接触又は擦れによって生じる電荷を中和することができる。
【0030】
請求項9に記載の放射線画像撮影装置は、請求項5に記載の放射線画像撮影装置において、放射線検出パネルと信号処理基板との間に補強部材を備え、筐体の内壁側とは反対側においてフレキシブル基板の移動によってフレキシブル基板の補強部材に接触する領域に固定電位に接続される第2の導電体が配設されていることを特徴とする。
【0031】
請求項9に記載の放射線画像撮影装置においては、請求項5に記載の放射線画像撮影装置によって得られる作用効果に加えて、外力に伴い移動したフレキシブル基板と筐体の内壁側とは反対側の補強部材との接触又は擦れによって生じる電荷を第2の導電体を通じて固定電位に吸収することができる。
【0032】
請求項10に記載の放射線画像撮影装置は、請求項4、請求項6、請求項8又は請求項9に記載の放射線画像撮影装置において、フレキシブル基板の延伸方向において第1の導電体の長さは第2の導電体の長さに比べて大きく設定されていることを特徴とする。
【0033】
請求項10に記載の放射線画像撮影装置においては、請求項4、請求項6、請求項8又は請求項9に記載の放射線画像撮影装置によって得られる作用効果に加えて、第1の導電体の長さが大きく設定されているので、筐体の内壁の広い範囲に渡って接触又は擦れに伴いフレキシブル基板に発生する電荷を抑制することができる。更に、第2の導電体の長さが小さく設定されているので、フレキシブル基板の機械的強度を補いつつ、フレキシブル基板を筐体の内壁側に湾曲し易くなっている。
【0034】
請求項11に記載の放射線画像撮影装置は、請求項4に記載の放射線画像撮影装置において、第1の導電体及び第2の導電体はフィルム、箔、コーティング、めっきのいずれかにより製作されていることを特徴とする。
【0035】
請求項11に記載の放射線画像撮影装置においては、請求項4に記載の放射線画像撮影装置によって得られる作用効果に加えて、フィルム、箔、コーティング、めっきのいずれかにより簡易に導電体を製作することができる。
【0036】
請求項12に記載の放射線画像撮影装置は、請求項4、請求項6、請求項8、請求項9又は請求項10に記載の放射線画像撮影装置において、フレキシブル基板の厚さに対して導電体の厚さは薄く設定されていることを特徴とする。
【0037】
請求項12に記載の放射線画像撮影装置においては、請求項4、請求項6、請求項8、請求項9又は請求項10に記載の放射線画像撮影装置によって得られる作用効果に加えて、フレキシブル基板の厚さに対して導電体の厚さは薄く設定されているので、フレキシブル基板のフレキシブル性を損なうことなく、機械的強度を補強することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明は上記構成としたので、電磁ノイズの影響を抑制しつつ、フレキシブル基板の移動による接触や擦れに伴う帯電を抑制することができる放射線画像撮影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施例1に係る放射線画像撮影装置の全体構成を説明する概念図である。
【図2】実施例1に係る放射線画像撮影装置の放射線画像検出器(電子カセッテ)の筐体の一部を便宜的に取り除いた斜視図である。
【図3】実施例1に係る放射線画像撮影装置の全体のブロック回路図である。
【図4】図3に示す放射線検出パネルの検出素子及び信号処理部の要部の回路図である。
【図5】図3に示す放射線検出パネルの要部(光電変換素子及び蛍光体)の装置構造を示す模式的断面図である。
【図6】図3に示す放射線検出パネルの他の要部(TFT及び光電変換素子)の装置構造を示す模式的断面図である。
【図7】図2に示す放射線画像検出器の具体的な構造を示す断面図である。
【図8】(A)は実施例1に係るフレキシブル基板に配設された導電体の放電特性を示すグラフ、(B)は実施例1に係る、放射線照射前後にフレキシブル基板の配線に流れる電荷量と、フレキシブル基板に帯電した電荷量との関係を示すグラフである。
【図9】(A)−(C)は実施例1に係る放射線画像検出器の筐体の構造を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施例2に係る放射線画像撮影装置の放射線画像検出器の具体的な構造を示す断面図である。
【図11】本発明の実施例3に係る放射線画像撮影装置の放射線画像検出器の具体的な構造を示す断面図である。
【図12】実施例3の変形例に係る放射線画像撮影装置の放射線画像検出器の具体的な構造を示す断面図である。
【図13】本発明の実施例4に係る放射線画像撮影装置の放射線画像検出器の具体的な構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る実施例を説明する。なお、図面において同一機能を有する構成要素には同一符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0041】
(実施例1)
本発明の実施例1は放射線画像撮影装置を構築する可搬型の放射線画像検出器(電子カセッテ)に本発明を適用した例を説明するものである。
【0042】
[放射線画像撮影装置の全体構成]
図1に示すように、実施例1に係る放射線画像撮影装置10は、放射線照射装置12と、放射線画像検出器(電子カセッテ)14と、コンソール16とを備えて構築されている。放射線照射装置12は、放射線Rを発生し、被検体(例えば、放射線画像を撮影する患者)18に放射線Rを照射する。放射線画像検出器14は被検体18を透過した放射線Rによって得られる放射線画像情報を生成する。放射線画像検出器14は持ち運び自在な可搬型である。コンソール16は、放射線照射装置12及び放射線画像検出器14の動作制御を司り、放射線画像検出器14において生成された放射線画像情報を記憶し、放射線画像情報を表示する等の機能を有する。
【0043】
なお、実施例1において、放射線画像検出器14は、放射線画像情報を記憶する機能を備えていても、又備えていなくてもよい。
【0044】
[放射線画像検出器の外観構成]
図2に示すように、放射線画像検出器14は放射線Rの照射方向に所定の厚みを持つ平板形状を有する筐体140を備えている。筐体140は、放射線照射装置12に対面する側の表面に照射面140Aを有し、この照射面140Aを少なくとも放射線Rを透過する材料によって製作している。
【0045】
筐体140の内部には放射線検出パネル142及び信号処理基板144が収納されている。放射線検出パネル142は、照射面140A側つまり放射線照射装置12に対面する側に配設され、信号処理基板144は照射面140Aに対向する非照射面140B側に配設される。放射線検出パネル142は、放射線照射装置12から照射され被検体18を透過した放射線Rから放射線画像情報を生成する機能を有する。信号処理基板144は、放射線検出パネル142の動作制御を司り、放射線検出パネル142において生成された放射線画像情報のコンソール16への送信を行う機能を有する。
【0046】
[放射線画像検出器のシステム構成]
1.放射線検出パネルのシステム構成
図3に示すように、放射線画像検出器14の放射線検出パネル142はTFTマトリックス基板116を備えている。TFTマトリックス基板116は、行方向に延在し列方向に一定間隔において複数本配列されたゲート線110と、列方向に延在し行方向に一定間隔において複数本配列されたデータ線112とを備えている。ゲート線110とデータ線112との交差部には検出素子100が配置されている。検出素子100は、放射線Rから変換された光(放射線画像情報)を検出し、この光を電気信号に変換した後に一時的に蓄積する(記憶する)。
【0047】
検出素子100は、TFT(薄膜トランジスタ)102と光電変換素子106とを備え、TFT102と光電変換素子106との直列回路により構成されている。TFT102は、一方の主電極(ドレイン電極。図6中、符号102E)をデータ線112に接続し、他端(ソース電極。図6中、符号102D)を光電変換素子106の一方の電極(図5中、符号106A)に接続する。TFT102のゲート電極(図6中、符号102A)はゲート線112に接続される。TFT102は、ゲート電極に供給される駆動信号に従って導通動作(ON)と非導通動作(OFF)との切換えを行うスイッチング素子である。光電変換素子106の他方の電極(図5中、符号106E)は固定電位に接続されている。光電変換素子106は、放射線Rから変換された放射線画像情報としての光信号を電気信号に変換し、この電荷として変換された放射線画像情報を一時的に蓄積する。
【0048】
2.信号処理基板のシステム構成
放射線画像検出器14の信号処理基板144は、ゲート線ドライバ部200と、信号処理部202と、温度センサ204と、画像メモリ206と、検出器制御部208と、通信部210と、電源部212と、を備えている。
【0049】
ゲート線ドライバ部200は、TFTマトリックス基板116を延在するゲート線110に接続され、ゲート線110にTFT102の駆動信号を供給する。ゲート線ドライバ部200は、図3中、作図上、TFTマトリックス基板116の一辺(ここでは左辺)に沿ってそれよりも外側に配設されている。実際には、放射線検出パネル142に対向して信号処理基板144が配設されているので、ゲート線ドライバ部200は、TFTマトリックス基板116の一辺に沿ってその非照射面140B側にTFTマトリックス基板116と重複して配設されている。
【0050】
信号処理部202は、TFTマトリックス基板116を延在するデータ線112に接続され、検出素子100から読み出される放射線画像情報をデータ線112を通して取得する。ゲート線ドライバ部200と同様に、信号処理部202は、図3中、作図上、TFTマトリックス基板116の一辺に隣接する他の一辺(ここでは下辺)に沿ってそれよりも外側に配設されている。実際には、放射線検出パネル142に対向して信号処理基板144が配設されているので、信号処理部202は、TFTマトリックス基板116の他の一辺に沿ってその非照射面140B側にTFTマトリックス基板116と重複して配設されている。ゲート線ドライバ部200、信号処理部202以外においても、信号処理基板144に搭載された素子、回路及びシステムは、TFTマトリックス基板116に重複して配設されている。
【0051】
放射線画像が撮影され、放射線検出パネル142に放射線画像情報が蓄積されると、まずゲート線ドライバ部200を用いて1本のゲート線110が選択され、このゲート線110に駆動信号が供給される。駆動信号の供給によってこのゲート線110に接続されたすべての検出素子100のTFT102が導通状態になり、光電変換素子106に一時的に蓄積された放射線画像情報がデータ線112を通して信号処理部202に読み出される。信号処理部202においては、1本のデータ線112毎に対応して設けられたサンプルホールド回路(チャージアンプ。図4中、符号220。)に電荷が蓄積される。
【0052】
信号処理部202は、行方向において順次サンプルホールド回路220を選択し、サンプルホールド回路220に蓄積された放射線画像情報を順次読み出す。1本の選択されたゲート線110に接続されたすべての検出素子100に蓄積された放射線画像情報が読み出されると、ゲート線ドライバ部200は列方向の次段の1本のゲート線110を選択する。同様の処理手順において、信号処理部202は、サンプルホールド回路220を順次選択し、選択されたゲート線110に接続された検出素子100に蓄積された放射線画像情報の読み出しを行う。放射線検出パネル142に蓄積されたすべての放射線画像情報が読み出されると、撮影された二次元の放射線画像が電気信号(電子情報)として取得可能となる。
【0053】
図4に示すように、信号処理部202はサンプルホールド回路220、マルチプレクサ230、アナログデジタル(A/D)変換器232を備えている。サンプルホールド回路220は、データ配線112毎に配設され、オペアンプ220A、コンデンサ220B及びスイッチ220Cを備えている。検出素子100からデータ配線112を通して伝送された放射線画像情報(電荷信号)はサンプルホールド回路220に保持される。サンプルホールド回路220はオペアンプ220A及びコンデンサ220Bによって電荷信号をアナログ信号(電圧信号:放射線画像情報)に変換する。つまり、サンプルホールド回路220は検出素子100に蓄積された電荷を電圧に変換するチャージアンプとしての機能を有する。サンプルホールド回路220のスイッチ220Cは、コンデンサ220Bの電極間に電気的に並列に接続されており、コンデンサ220Bに蓄積された電荷信号の放電を行うリセット回路として使用される。
【0054】
サンプルホールド回路220において変換されたアナログ信号(出力信号)はマルチプレクサ230にシリアルに入力される。このマルチプレクサ230はアナログデジタル変換器232にアナログ信号をシリアルに出力する。アナログデジタル変換器232において、シリアルに入力されたアナログ信号は順次デジタル信号(放射線画像情報)に変換される。
【0055】
図3に示すように、信号処理部202は画像メモリ206に接続されている。信号処理部202のアナログデジタル変換器232においてデジタル信号に変換された放射線画像情報は画像メモリ206にシリアルに記憶される。画像メモリ206は所定枚数分の放射線画像情報を記憶可能な記憶容量を備え、放射線画像の撮影が行われる毎に撮影によって得られた放射線画像情報が画像メモリ206に順次記憶される。
【0056】
検出器制御部208は、ゲート線ドライバ部200、信号処理部202、温度センサ204、画像メモリ206、通信部210、電源部212に接続され、これらの制御を司る。検出器制御部208はマイクロコンピュータを備え、このマイクロコンピュータはCPU(中央演算処理ユニット)208A、メモリ208B及び記憶部208Cを備えて構築されている。メモリ208Bは、放射線画像検出器14の制御を実行する処理プログラム等を格納するROM(Read Only Memory)、各種処理プログラムや処理中のデータ等を一時的に格納するRAM(Random Access Memory)を備えている。記憶部208Cは、画像メモリ206に格納された放射線画像情報等のデータを記憶する不揮発性のフラッシュメモリ等によって構築されている。
【0057】
温度センサ204は放射線画像検出器14の温度、実施例1においては蛍光体148の下面(非照射面140B側の面)の中央部分の温度を測定する。温度センサ204において測定された温度の情報は検出器制御部208に送られる。
【0058】
通信部210は、検出器制御部208からの制御に基づき、外部機器との間において各種情報の送受信を行う。実施例1に係る通信部210は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a/b/g等に代表される無線LAN(Local Area Network)規格に対応した無線通信部であり、無線通信によって各種情報の伝送を行う。具体的には、通信部210は、検出器制御部208とコンソール16との間において放射線画像の撮影に関する制御を行う各種情報の送受信、検出器制御部208からコンソール16への放射線画像情報の送信等を行う。
【0059】
電源部212はゲート線ドライバ部200、信号処理部202、画像メモリ206、検出器制御部208、通信部210の各種回路に電力を供給する。実施例1において、電源部212は放射線画像検出器14の可搬性を高めるためにバッテリ(充電可能な二次電池)を内蔵する。各種回路にはこのバッテリから電力が供給される。バッテリィは、放射線画像検出器14の非使用時等に、図示しない充電器を通して電源に接続され、充電を行う。
【0060】
実施例1に係る放射線画像検出器14は、放射線画像の撮影の開始に同期させてコンソール16から制御信号を受信し動作を開始するのではなく、放射線発生装置12から照射される放射線Rを感知して自動的に動作制御を開始する非同期型(同期フリー型)を採用している。放射線Rの感知には、検出素子100の配列中に埋め込まれこの検出素子100と同一構造を有する感知センサの出力、又は検出素子100の配列外に配置された感知センサの出力に基づき行われる。また、放射線Rの感知は、放射線Rから変換された光を検出するフォトセンサを使用し、このフォトセンサの出力に基づき行ってもよい。なお、本発明は、非同期型を採用する放射線画像検出器14に限定されるものではなく、放射線画像の撮影の開始に同期させてコンソール16から制御信号を受信し動作を開始する同期型を採用する放射線画像検出器14に適用してもよい。
【0061】
[コンソールのシステム構成]
図3に示すように、コンソール16は、サーバコンピュータとして構築され、ディスプレイ161及び操作パネル162を備えている。ディスプレイ161は放射線画像撮影装置10の操作メニュー、撮影された放射線画像等を表示するモニターである。操作パネル162は、複数の操作キー、スイッチ等を備え、各種情報や操作指示の入力を行う。コンソール16は、CPU163と、ROM164と、RAM165と、ハードディスクドライブ(HDD)166と、ディスプレイドライバ168と、操作入力検出部169と、通信部167とを備えている。
【0062】
CPU163はコンソール16の全体の動作の制御を司る。ROM164はコンソール16の動作を制御する制御プログラムを含む各種プログラム等を格納する。RAM165は各種データを一時的に記憶する。ハードディスクドライブ166は各種データを記憶し保持する。ディスプレイドライバ168はディスプレイ161の各種情報の表示の制御を行う。操作入力検出部169は操作パネル162に対する操作状態の検出を行う。通信部167は、放射線発生装置12との間において曝射条件等の各種情報の送受信を行うとともに、放射線画像検出器14との間において放射線画像情報等の各種情報の送受信を行う。通信部167は、放射線画像検出器14の通信部210と同様に、無線通信によってデータの送受信を行う。
【0063】
コンソール16において、CPU163、ROM164、RAM165、HDD166、ディスプレイドライバ168、操作入力検出部169及び通信部167はシステムバス(共通バス配線)170を通して相互に接続されている。従って、CPU163はシステムバス170を通してROM164、RAM165、HDD166のそれぞれにアクセスを行える。また、CPU163は、システムバス170及びディスプレイドライバ168を通してディスプレイ161において各種情報の表示の制御を行える。また、CPU163は、操作入力検出部169及びシステムバス170を通して操作パネル162に対するユーザの操作状態を把握可能である。更に、CPU163は、システムバス170及び通信部167を通して、放射線発生装置12、放射線画像検出器14のそれぞれとの間において、各種情報の送受信の制御を行える。
【0064】
[放射線発生装置のシステム構成]
図3に示すように、放射線発生装置12は、放射線源121と、線源制御部122と、通信部123とを備えている。通信部123はコンソール16との間において曝射条件等の各種情報の送受信を行う。線源制御部122は通信部123を通して受信された曝射条件に基づいて放射線源121の制御を行う。
【0065】
線源制御部122は前述の放射線画像検出器14の検出器制御部208と同様にマイクロコンピュータを備えている。このマイクロコンピュータのメモリには通信部123を通して受信された曝射条件等の情報が格納される。曝射条件には例えば管電圧、管電流、曝射期間を含む情報が少なくとも含まれている。この曝射条件に基づいて、線源制御部122は放射線源121から放射線Rを照射する。
【0066】
[放射線検出パネルの装置構造]
1.放射線検出パネルの全体構造
実施例1に係る放射線画像検出器14の放射線検出パネル142は、図5に示すように、TFTマトリックス基板116と、同図5中、TFTマトリックス基板116上に配設された蛍光体(シンチレータ)148とを備えている。ここでは、便宜的に1個の検出部が図示されている。TFTマトリックス基板116には検出素子100が配設されている。1つの検出素子100は最小の解像度の単位になる1画像である。検出素子100は、絶縁性基板116Aに配設され、この絶縁性基板116A上に配設されたTFT102上に光電変換素子106を積層した構造を備えている。
【0067】
2.蛍光体(シンチレータ)の構造
図5に示すように、TFTマトリックス基板116の最上層には透明絶縁膜116Cが配設され、この透明絶縁膜116C上に蛍光体148が配設されている。蛍光体148はTFTマトリックス基板116の略全域に配設されている。蛍光体148は、光電変換素子106上に透明絶縁膜116Cを介して配設されているので、蛍光体148側(図5中、上側)から入射される放射線Rを吸収し光に変換可能であるとともに、絶縁性基板116A側(図5中、下側)から入射される放射線Rも吸収し光に変換可能である。
【0068】
蛍光体148が発する光の波長域は光電変換素子106の受光感度により設定される。一例として、一般的に用いられるアモルファスシリコン(a−Si)を用いたフォトダイオードやMIS(Metal Insulator Semiconductor)トランジスタを光電変換素子106に採用した場合には、a−Siの受光感度特性から可視光域(波長360nm〜830nm)に設定される。放射線画像検出器14において、放射線画像の撮影を可能とするためには、a−Siを光電変換素子106に採用した場合には、蛍光体148が発する光にa−Siの受光感度が最大となる緑色の波長域を含むことが好ましい。
【0069】
放射線RとしてX線を使用しX線画像を撮影する場合、蛍光体148にはヨウ化セシウム(CsI)を含むものが好ましい。更に、蛍光体148にはX線照射時の発光スペクトルが420nm〜600nmの波長域にあるタリウムが添加されたヨウ化セシウムCsI(Tl)、酸硫化ガドリウムGOS(GdS:Tb)等を用いることが特に好ましい。CsI(Tl)の可視光域における発光ピーク波長は565nmである。なお、本発明において、放射線Rは、X線に限定されるものではなく、少なくとも医療に利用されるγ線、電子線、中性子線、陽子線、重粒子線等の放射線を含む意味において使用されている。
【0070】
ここで、実施例1において、蛍光体148は、基本的にはTFTマトリックス基板116つまり放射線検出パネル142に対して別部材(別部品)として製作されている。蛍光体148は、放射線画像検出器14の製作過程(組立工程)において、放射線検出パネル142に装着される。
【0071】
3.光電変換素子の構造
図5及び図6に示すように、実施例1に係る検出素子100には、PIN構造を有し、間接変換方式を採用する光電変換素子106が使用されている。光電変換素子106は、TFTマトリックス基板116の絶縁性基板116A上に配設され、一方の電極(下部電極)106Aと、第1の半導体層106Bと、第2の半導体層106Cと、第3の半導体層106Dと、他方の電極(上部電極)106Eとを順次積層して構成されている。
【0072】
電極106Aは、絶縁性基板116A上に絶縁膜116Bを介在して配設され、検出素子100毎(検出部毎又は画素部毎)に分割されている。絶縁膜116Bは、実施例1において、図6に示すように、TFT保護膜116B1と、その上層に形成された平坦化膜116B2との積層膜により構成されている。TFT保護膜116B1は例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により成膜されたSiN膜である。平坦化膜116B2は、低誘電率を有する感光性の有機材料により成膜された塗布型絶縁膜である。
【0073】
電極106Aは、第1の半導体層106B〜第3の半導体層106Dの膜厚が1μm前後と厚い場合には導電性を有する材料ではあれば透明性、不透明性の制限を殆ど受けない。従って、電極106Aには透明又は不透明な導電性材料を使用することができる。透明導電性材料には、例えば酸化錫インジウム(ITO:Indium Tin Oxide)等を使用することができる。不透明な導電性材料には、例えばアルミニウム膜、アルミニウム合金膜、銀膜等を使用することができる。一方、第1の半導体層106B〜第3の半導体層106Dの膜厚が薄い場合(例えば、0.2μm〜0.5μm)、第1の半導体層106B〜第3の半導体層106Dにおいて光を十分に吸収することができない。この光はTFT102に照射され、TFT102の主電極102D、102E間のリーク電流が増加してしまうので、電極106Aには不透明性つまり遮光性のある導電性材料又はその積層膜を使用することが好ましい。
【0074】
第1の半導体層106Bは電極106A上に配設され、第2の半導体層106Cは第1の半導体層106B上に配設され、第3の半導体層106Dは第2の半導体層106C上に配設されている。実施例1に係る光電変換素子106はPIN構造を採用しており、第1の半導体層106Bはn+型a−Si層により構成されている。第2の半導体層106Cはi型a−Si層により構成されている。第3の半導体層106Dはp+型a−Si層により構成されている。第2の半導体層106Cは、蛍光体148により変換された光から電荷(一対の自由電子と自由正孔)を発生させる。第1の半導体層106Bは、コンタクト層として使用され、電極106Aに電気的に接続される。第3の半導体層106Dは、同様にコンタクト層として使用され、電極106Eに電気的に接続される。
【0075】
電極106Eは第3の半導体層106E上において個別に配設されている。電極106Eには、透明性が高い、例えばITO、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性材料を使用することができる。図5及び図6において図示を省略しているが、電極106Eには固定電位を供給する配線が接続されている。
【0076】
実施例1においては、第1の半導体層106B〜第3の半導体層106Dに加えて電極106A及び106Eを含み、光電変換素子106が構築されている。また、光電変換素子106は、MIS構造を採用してもよい。
【0077】
4.TFTの構造
図6に示すように、検出素子100のTFT102は、光電変換素子106の電極106Aに対応したその下方の領域であって、絶縁性基板116A上に配設されている。TFT102は、絶縁性基板116Aの表面に対して鉛直方向から見た平面視において、光電変換素子106の電極106Aに重複する領域に配設されている。つまり、TFT102と光電変換素子106とは絶縁性基板116A上に立体的に積層しているので、検出素子100の絶縁性基板116Aの表面と同一平面方向において検出素子100の占有面積を縮小することができる。
【0078】
TFT102は、ゲート電極102Aと、ゲート絶縁膜102Bと、活性層(チャネル層)102Cと、一方の主電極(ドレイン電極)102E及び他方の主電極(ソース電極)102Dとを備えている。ゲート電極102Aは絶縁性基板116Aの表面上に配設されている。ゲート電極102Aは、実施例1において、ゲート線110と同一導電層において同一導電性材料によって形成されている。ゲート絶縁膜102Bは、絶縁性基板116Aの表面上の略全域にゲート電極102Aを介して配設されている。活性層102Cは、ゲート絶縁膜102Bの表面上において、ゲート電極102Aに重複して配設されている。主電極102D及び102Eは、活性層102C上に配設され、ゲート電極102A上において互いに離間されている。主電極102D及び102Eは、実施例1において、同一導電層において同一導電性材料によって形成されている。
【0079】
実施例1に係る放射線画像検出器14において、TFT102の活性層102Cはa−Siにより構成されている。また、活性層102Cは非晶質酸化物により形成してもよい。非晶質酸化物にはIn、Ga及びZnのうちの少なくとも1つを含む酸化物(例えばIn−O系)を使用することができる。また、非晶質酸化物には、In、Ga及びZnのうちの少なくとも2つを含む酸化物(例えばIn−Zn−O系、In−Ga系若しくはGa−Zn−O系)を使用することが好ましく、更により好ましくはIn、Ga及びZnを含む酸化物が使用される。具体的には、In−Ga−Zn−O系非晶質酸化物であって、結晶状態における組成がInGaO(ZnO)(mは6未満の自然数)で表される非晶質酸化物が好ましく、特に、InGaZnOがより好ましい。活性層102Cが非晶質酸化物により形成されたTFT102は、X線等の放射線Rを吸収せず、又は吸収したとしても極めて微量に留まるので、ノイズの発生を効果的に抑えられる。
【0080】
実施例1において、絶縁性基板116Aには液晶用としての無アルカリガラスが使用されている。ここで、前述のTFT102の活性層102Cに非晶質酸化物を採用し、光電変換素子106の第1の半導体層106B〜第3の半導体層106Dに代えて有機光電変換材料を採用した場合、活性層102C及び有機光電変換材料はいずれも低温プロセスにおいて成膜が可能である。従って、絶縁性基板116Aには、半導体基板、石英基板、ガラス基板等の耐熱性の高い基板に限定されず、プラスチック等の可撓性基板、アラミド(全芳香族ポリアミド)、バイオナノファイバ等を使用することができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の可撓性基板が絶縁性基板116Aとして使用可能である。このようなプラスチック製の可撓性基板を採用すれば、放射線画像検出器14の軽量化を図ることができ、例えば持ち運び、取り扱い等の可搬性が高まる。
【0081】
また、絶縁性基板116Aには、絶縁性を確保するための絶縁層、水分や酸素の透過を抑制するためのガスバリア層、平坦性或いは電極等との密着性を向上するためのアンダーコート層等を配設することができる。
【0082】
一方、絶縁性基板116Aとして使用可能なアラミドは、200度以上の温度の高温プロセスを採用することができるので、透明電極材料を高温度において硬化させ、透明電極材料の低抵抗化を図れる。また、200度以上の高温度の半田リフロー工程を含む、ゲート線ドライブ部200を構築するドライバICの自動実装プロセスにも対応することができる。また、ITOやガラス基板の熱膨張係数に対して、アラミドの熱膨張係数は近いので、製造プロセス終了後の絶縁性基板116Aの反りが少なく、絶縁性基板116Aに割れが生じ難い。また、アラミドは、ガラス基板等の機械的強度に対して高い機械的強度を持つので絶縁性基板116Aの薄型化を図れる。なお、絶縁性基板116Aは、単層基板構造に限定されるものではなく、超薄型ガラス基板にアラミドを積層した複合基板構造を採用してもよい。
【0083】
また、絶縁性基板116Aとして使用可能なバイオナノファイバはバクテリア(酢酸菌:Acetobacter Xylinum)により産出されるセルロースミクロフィブリル束(バクテリアセルロース)と透明樹脂との複合物である。セルロースミクロフィブリル束は、例えば可視光波長に対して1/10程度の50nmの微細な幅サイズを有し、かつ高強度、高弾性及び低熱膨張を有する。バクテリアセルロースにアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸させ硬化させることによって、繊維を60〜70%も含有しながら、波長500nmにおいて約90%の光透過率を示すバイオナノファイバを得ることができる。バイオナノファイバは、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数(3ppm〜7ppm)を有し、鋼鉄並の強度(460MPa)及び高弾性(30GPa)を有し、かつフレキシブル性を備えている。従って、ガラス基板等に比べて、絶縁性基板116Aの薄型化を図ることができる。
【0084】
TFT102の主電極102D及び102Eを含む絶縁性基板116A上の全域には層間絶縁膜116Bが配設されている。層間絶縁膜116Bに配設された接続孔116Hを通して光電変換素子106の電極106Aが主電極102Dに電気的に接続されている。
【0085】
[放射線検出器の装置構造]
1.放射線画像検出器の全体の概略構造
図7に示すように、放射線画像検出器14は、放射線検出パネル142と、信号処理基板144と、放射線検出パネル142に一端を電気的に接続し、信号処理基板144に他端を電気的に接続するフレキシブル基板182及び184と、放射線検出パネル142及び信号処理基板144を収納するとともに、フレキシブル基板182及び184を内壁から離間して収納する筐体140と、フレキシブル基板182及び184の移動によってフレキシブル基板182及び184の筐体140に接触する領域に配設された導電体186とを備えている。
【0086】
実施例1に係る放射線画像検出器14は放射線Rから変換された光を放射線Rの照射面140A側から読み取るISS(Irradiation Side Sampling;TFT基板面入射)方式を採用する。従って、筐体140の内部において、放射線検出パネル142は、図5及び図6に示す絶縁性基板116Aを照射面140A側に向け、蛍光体148を非照射面140B側に向けて、照射面140Aの裏側になる天板内面に装着される。装着には例えば両面粘着テープが使用されている。なお、放射線画像検出器14は、ISS方式に限定されるものではなく、放射線Rから変換された光を放射線Rの照射面140Aとは反対の非照射面140B側から読み取るシンチレータ面入射方式を採用してもよい。
【0087】
実施例1に係る放射線画像検出器14は筐体140の内部に補強部材180を備えている。補強部材180は主に筐体140の機械的強度を高める機能を有する。補強部材180は、筐体140の厚さ方向の中央部分に配設され、筐体140の照射面140A及び非照射面140Bに対して略平行に配設され、照射面140A及び非照射面140Bに対して一回り小さい面積を有する板状部材である。
【0088】
補強部材180は、実施例1において、シャーシ180Aと、補強板180Bと、蒸着基板180Cとを備え、これらを非照射面140Bから照射面140Aに向かって順次積層した3層構造により構成されている。シャーシ180Aは、例えばアルミニウムシャーシであり、0.3mm〜0.5mmの厚さに設定されている。補強板180Bは、例えばカーボン補強板であり、1.1mm〜1.3mmの厚さに設定されている。蒸着基板180Cは、例えばアルミニウム蒸着基板であり、0.2mm〜0.4mmの厚さに設定されている。
【0089】
放射線検出パネル142は補強部材180の照射面140A側に蛍光体148を介して配設されている。ここで、放射線検出パネル142の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば0.6mm〜0.8mmに設定されている。また、蛍光体148の厚さは例えば0.5mm〜0.7mmに設定されている。
【0090】
一方、信号処理基板144は補強部材180の非照射面140B側に配設されている。信号処理基板144は、図7において、模式的に1つの構成要素(部品)として記載されているが、実際には前述の図3に示すゲート線ドライバ部200、信号処理部202、温度センサ204、画像メモリ206、検出器制御部208、通信部210、電源部212のそれぞれを構築する回路を実装した配線基板である。回路は集積回路(IC)、抵抗素子、容量素子、コンデンサ等を含む。また、配線基板には例えばプリント配線基板が使用されている。なお、回路は複数枚の配線基板に分散して実装されていてもよい。
【0091】
2.筐体の構造
図7に示すように、筐体140は、天板となる照射面140Aと、それに離間され対向する底板となる非照射面140Bと、照射面140A及び非照射面140Bの周縁に沿って配設された側部(側板)とを有する中空直方体である。実施例1に係る放射線画像検出器14においては、外部からの電磁ノイズの影響を最小限に留めるために、筐体140の少なくとも外側表面及び内側表面が絶縁体である。ここで、少なくとも表面が絶縁体とは、筐体140の全体が絶縁体である場合、筐体140の母体を導電体としてその表面を絶縁体とした(表面に絶縁処理を施した)場合のいずれも含む意味において使用されている。例えば、前者の例としては、絶縁性樹脂によって製作された筐体140が該当する。後者の例としては、例えばアルミニウム製母体の表面に酸化性被膜を形成し製作した筐体140、同母体の表面に絶縁性塗料のコーティングを行って製作した筐体140等が該当する。
【0092】
実施例1において、筐体140には、放射線画像検出器14の取り扱い性能を向上するために、軽量化並びに高剛性化を実現することができる材料が選択される。このような要求に対し、筐体140にはカーボン繊維を絶縁性樹脂によってコーティングしたカーボン繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)が使用されている。絶縁性樹脂には例えばエポキシ樹脂が使用されている。
【0093】
3.フレキシブル基板の構造
図7中、左側に示すように、フレキシブル基板184は、放射線検出パネル142のゲート線110と信号処理基板144に実装されたゲート線ドライバ部200との間を電気的に接続する配線ケーブルである。詳細な図示は省略するが、フレキシブル基板184の一端は放射線検出パネル142の周辺部まで引き出されたゲート線110の外部端子に電気的に接続される。電気的な接続には、例えば異方性導電コネクタ、異方導電性シート、異方導電性フィルム、異方導電性ゴム等の接続媒体を介在し、熱を加えて圧着する熱圧着接続法が使用される。フレキシブル基板184の他端は信号処理基板144の周辺部まで引き出されたゲート線ドライバ部200の外部端子に電気的に接続される。電気的な接続には前述と同様に熱圧着接続法が使用される。図7中、フレキシブル基板184は1本しか図示していないが、実際には放射線検出パネル142の一辺に沿って複数本のフレキシブル基板184が配列されている。
【0094】
フレキシブル基板184の中央部は、放射線検出パネル142の側面及び信号処理基板144の側面から筐体140の側部の内壁に向かってループ状に突出し、フレキシブル性を利用して円弧を描くように湾曲し折り返して引き回される。放射線画像検出器14に外力が生じない状態のとき(静止状態のとき)、フレキシブル基板184は、放射線検出パネル142、補強部材180及び信号処理基板144の側面と筐体140の側部の内壁との間の僅かな隙間において、それらに適度に離間し接触しない。離間寸法は例えば数mmに設定されている。
【0095】
フレキシブル基板184は、少なくともフレキシブル性(可撓性)を有する絶縁性フィルムと、そのフレキシブル性に追従して変形する配線とを備えている。フレキシブル基板184は、単に配線ケーブルとして使用される場合に限らず、半導体素子を実装した場合も含まれる。フレキシブル基板184には例えばテープキャリアパッケージ(TCP:Tape Carrier Package)が使用されている。また、フレキシブル基板184にはチップオンフィルム(COF:Chip On Film)或いはテープオートメイテッドボンディング(TAB:Tape Automated Bonding)を使用することができる。
【0096】
図7中、右側に示すように、フレキシブル基板182は、放射線検出パネル142のデータ線112と信号処理基板144に実装された信号処理部202との間を電気的に接続する配線ケーブルである。詳細な図示は省略するが、フレキシブル基板182の一端は放射線検出パネル142の周辺部まで引き出されたデータ線112の外部端子に電気的に接続される。電気的な接続には熱圧着接続法が使用される。フレキシブル基板182の他端は信号処理基板144の周辺部まで引き出された信号処理部202の外部端子に電気的に接続される。電気的な接続には熱圧着接続法が使用される。図7中、フレキシブル基板182は1本しか図示していないが、実際には放射線検出パネル142の、フレキシブル基板184が配列された一辺に隣り合う他の一辺に沿って複数本のフレキシブル基板182が配列されている。
【0097】
フレキシブル基板182の中央部は、フレキシブル基板184の中央部と同様に、筐体140の内部においてフレキシブル性を利用してループ状に引き回される。放射線画像検出器14に外力が生じない状態のとき、フレキシブル基板182は、放射線検出パネル142、補強部材180及び信号処理基板144の側面と筐体140の側部の内壁との間の僅かな隙間において、それらに適度に離間し接触しない。離間寸法は例えば数mmに設定されている。フレキシブル基板182はフレキシブル基板184と同一のものである。
【0098】
なお、フレキシブル基板182にTCP、COP、TABのいずれかを採用する場合、フレキシブル基板182上に実装される半導体素子(ICチップ)はチャージアンプであることが好ましい。チャージアンプは、データ線112から伝送される放射線画像情報の電荷を放射線画像情報の電圧として増幅する機能を有する。
【0099】
4.導電体の構造
図7に示すように、導電層186は、放射線検出パネル142のフレキシブル基板182、184の一端との接続位置と信号処理基板144のフレキシブル基板182、184の他端との接続位置との間の領域Lにおいて、フレキシブル基板182、184の表面上に配設されている。領域Lは、取り扱いや被検体18との接触に伴い放射線画像検出器14に外力(加減速度又は振動)が加わった場合、最大限に移動(変形)するフレキシブル基板182、184が筐体140の内壁に接触する範囲である。換言すれば、導電体186は、フレキシブル基板182、184の表面の全域に配設されるのではなく、筐体140の内壁に接触する最小限の一部の領域(領域L)において、フレキシブル基板182、184に配設されている。
【0100】
導電体186は、実施例1において、導電体(第1の導電体)186A及び導電体(第2の導電体)186Bを備えている。導電体186Aは筐体140の内壁側においてフレキシブル基板182、184の表面に配設されている。つまり、導電体186Aは、フレキシブル基板182、184の湾曲した外側表面に配設されている。導電体186Bは、筐体140の内壁側とは反対側であって、ここでは補強部材180に接触する領域において、フレキシブル基板182、184の表面(裏面)に配設されている。つまり、導電体186Bは、フレキシブル基板182、184の湾曲した内側表面に配設されている。フレキシブル基板182、184が補強部材180に接触又は擦れを生じない場合、特に導電体186Bを配設する必要はない。
【0101】
フレキシブル基板182、184は前述したように絶縁性フィルム及び配線を有しており、フレキシブル基板182、184の最終表面は通常保護膜である。導電体186は、フレキシブル基板182、184の最終の保護膜までの間に配設されるものではなく、保護膜よりも上層に装着される。つまり、導電体186は、フレキシブル基板182、184の製造プロセス中に装着されるのではなく、製造プロセスが終了した後、別部材として装着されている。
【0102】
図8(A)に示すように、導電体186(導電体186A及び186B)は、実施例1において、帯電した電圧(電荷)が瞬時に無くなる導電性材料により形成されている。また、導電体186は、帯電した物体が接触した場合に激しい静電気放電(ESD:Electro Static Discharge)を生じるほどに高い導電性(低い抵抗値)を有する材料により形成されている。図8(A)において、横軸は時間(sec)、縦軸は電圧(V)である。ここでは、導電体186には表面抵抗率が10Ω/□以下に設定された導電性材料が使用されている。導電体186には例えば導電性材料を含むフィルム(導電性フィルム)、ゴム、コーティングされた塗料等のいずれかを使用することができる。フィルムには、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂により製作された高分子フィルムがフレキシブル性を有している点においても好適である。また、導電体186はアルミニウム箔、めっき等の金属膜であってもよい。導電膜186は、接着機能を有していればその接着機能を使用し、接着機能を有していない場合には別途接着材を使用し、フレキシブル基板182、184の表面上に装着される。帯電した電荷を逃がすために、導電体186には固定電位188が電気的に接続されている。
【0103】
フレキシブル基板182、184がTCPの場合、例えばTCPの基板の厚さは100μmであり、導電体186の機械的強度を考慮しない(導電体186としての導電性を確保する)最低の膜厚は25μmに設定される。また、フレキシブル基板182、184がCOFの場合、例えばCOFの基板の厚さは50μmであり、導電体186の機械的強度を考慮しない最低の膜厚は同様に25μmに設定される。実施例1に係る導電体186は、この最低の膜厚以上の膜厚を有し、フレキシブル基板182、184の機械的強度を補強するようになっている。また、導電体186は、基本的にフレキシブル基板182、184の厚さに対して薄い厚さに設定され、フレキシブル基板182、184のフレキシブル性を損なわずに機械的強度を補強する機能を有する。
【0104】
なお、フレキシブル基板182、184はTCP、COF、TABのいずれの場合であっても半導体素子を実装している。導電体186は、半導体素子の配置位置と筐体140の内壁に接触する領域とが重複していれば、半導体素子を覆うように配設される。
【0105】
導電体186に接続される固定電位188は、その構成を詳細に図示していないが、実施例1においてフレキシブル基板182、184に配設されている固定電位を使用する。この固定電位はフレキシブル基板182、184に配設された回路上の接地(例えば、グランド又は0V電源電位)である。この接地レベルが印加された、フレキシブル基板182、184の配線上の保護膜を取り除き(接続孔又はビアホールを形成し)、配線と導電体186とを接続すれば、簡易に導電体186を固定電位188に接続することができる。配線と導電体186とは、ビス、ボルト等のねじ、ピン等によって電気的に接続してもよい。また、固定電位には回路上の動作電源電位(0Vよりも高い電源電位)を使用することができる。更に、導電体186は、筐体アースとなる場合に筐体140に、信号処理基板144の接地に、放射線検出パネル142の接地に、或いは接地となる場合には補強部材180に接続してもよい。この接続先は導電体186が接続される固定電位188となる。また、固定電位188は、信号処理基板144以外の電子基板の固定電位(接地若しくは0V以外の電位)であってもよい。更に、固定電位188は固定された電位であればマイナス電位であってもよい。
【0106】
導電体186は、実施例1において、基本的にはすべての本数のフレキシブル基板182及び184に配設されている。なお、実施例1に係る放射線画像検出器14において、帯電に起因する放射線Rの誤検出は検出素子100からデータ線112、フレキシブル基板182の配線、信号処理部202のラインにおいて発生する。従って、導電体186はフレキシブル基板182の、筐体140の内壁又は補強部材180に接触する或いは擦れる領域に少なくとも配設されていればよい。
【0107】
[放射線画像撮影装置の動作]
前述の図1に示す放射線画像撮影装置10において、放射線画像の撮影前の取り扱い、或いは撮影中やその直前に被検体18の位置調整や姿勢調整に伴う接触、衝突によって放射線画像検出器14に外力による加減速度や振動が加わる。この加減速度や振動の度合いによって、放射線画像検出器14においては、放射線検出パネル142、信号処理基板144及び筐体140の剛性体の位置変化に対してフレキシブル基板182及び184の位置変化を追従させることができないので、フレキシブル性によってフレキシブル基板182及び184の中央部に移動が生じる。この移動に伴い、フレキシブル基板182及び184は筐体140の側部の内壁に接触し、或いは振動に伴い擦れを生じる。フレキシブル基板182及び184に半導体素子が実装されている場合には、フレキシブル基板182及び184の移動量は増加する。
【0108】
この接触或いは擦れによって、フレキシブル基板182及び184の配線にはカウンター帯電が生じる。図7に示すように、フレキシブル基板182及び184の筐体140に接触する領域Lには導電体186が配設され、導電体186は固定電位188に接続されているので、フレキシブル基板182及び184に帯電した電荷は導電体186を通して固定電位188に吸収される。
【0109】
図8(B)は、放射線Rの照射前後にフレキシブル基板の配線に生じる発生電荷量と、フレキシブル基板に帯電によって生じる発生電荷量との関係を示す。図8(B)中、横軸は時間(msec)、縦軸は発生電荷量である。グラフAは、放射線照射前後において、放射線検出パネル142のデータ線112と信号処理部202とを接続するフレキシブル基板182の配線に生じる電荷量の変化を示す。当然のことながら、放射線照射前に比べて、放射線照射後の電荷量は増加する。グラフBは、放射線照射中やその直前に生じた外力に伴い、フレキシブル基板182と筐体140との接触或いは振動によってフレキシブル基板182の配線に帯電した電荷量の変化を示す。仮に、図8(B)中、破線を引いた値に放射線Rの検出信号の判定を行う閾値Vthを設定すると、フレキシブル基板182の配線が帯電し電荷量が閾値Vthを超えると、放射線Rの誤検出信号が生じる。
【0110】
[放射線画像検出器の筐体の種類]
前述の実施例1に係る放射線画像検出器14の筐体140は、図9(A)に示すように、フレームレスのモノコック構造により構成されている。この種の筐体140は、本来フレームに持たせる機械的強度を表皮(表面、裏面及び側面)に持たせ、軽量化に適している。この筐体140は、外力による全体的な変形を生じ易く、フレキシブル基板182、184の接触が生じ易いので、実施例1に係る固定電位188に接続された導電体186はこのモノコック構造に有効である。
【0111】
図9(B)に示す筐体140は、筐体本体140Cと、その片側においてヒンジを中心に開閉する蓋140Dとを備えている。導電体186はフレキシブル基板182、184の蓋140Dに対向する位置及び蓋部140Dとは反対側であって筐体本体140Cの側部に対向する位置に配設される。
【0112】
図9(C)に示す筐体140は、筐体本体140Cと、その両側において各々差込により開閉する蓋140D及び140Eとを備えている。蓋140D及び140Eのそれぞれから突出するアーム部が筐体本体140Cの内壁に係合して差込位置において固定される。導電体186はフレキシブル基板182、184の蓋140D、140Eに対向する位置に配設される。
【0113】
[実施例1の作用効果]
以上説明したように、実施例1に係る放射線画像撮影装置10においては、外力に伴い移動(変形)したフレキシブル基板182と筐体140の内壁との接触又は擦れによって生じる電荷を導電体186Aによって減少することができる。また、フレキシブル基板182と補強部材180との接触又は擦れによって生じる電荷を導電体186Bによって減少することができる。従って、フレキシブル基板182の帯電に起因するノイズの発生を抑制することができる。加えて、フレキシブル基板182に導電体186を備え、フレキシブル基板182の機械的強度を導電体186によって補い、フレキシブル基板186の外力に伴う移動を抑制することができるので、フレキシブル基板186と筐体140の内壁若しくは補強部材180との接触又は擦れを抑え、帯電すること自体を抑制することができる。更に、フレキシブル基板182は外力が生じないときに導電体186は筐体140から離間されているので、筐体140に偶発的にノイズが発生しても、ノイズがフレキシブル基板182に乗ることを抑制することができる。
【0114】
また、実施例1に係る放射線画像撮影装置10においては、外力に伴い移動したフレキシブル基板182と筐体140の内壁若しくは補強部材180との接触又は擦れによって生じる電荷を導電体186を通じて固定電位188に吸収することができる。
【0115】
また、実施例1に係る放射線画像撮影装置10においては、導電体186はフレキシブル基板182の筐体140の内壁に接触する側に配設されているので、外力に伴い移動したフレキシブル基板182と筐体140の内壁との接触又は擦れによって生じる電荷を導電体186を通じて固定電位188に吸収することができる。
【0116】
また、実施例1に係る放射線画像撮影装置10においては、導電体186はフレキシブル基板182の筐体140の内壁側とは反対側にも配設されているので、外力に伴い移動したフレキシブル基板182と筐体140の内壁側とは反対側のもの(筐体140の一部や内部部品)との接触又は擦れによって生じる電荷も導電体186を通じて固定電位188に吸収することができる。反対側には例えば補強部材180が配設されている。
【0117】
また、実施例1に係る放射線画像撮影装置10においては、フィルム、箔、コーティング、めっきのいずれかにより簡易に導電体186を製作することができる。
【0118】
更に、実施例1に係る放射線画像撮影装置10においては、フレキシブル基板182の厚さに対して導電体186の厚さは薄く設定されているので、フレキシブル基板182のフレキシブル性を損なうことなく、機械的強度を補強することができる。
【0119】
(実施例2)
本発明の実施例2は、前述の実施例1に係る放射線画像撮影装置10の放射線画像検出器14において導電体186の機能を変えた例を説明するものである。
【0120】
[放射線画像検出器の装置構造]
図10に示すように、実施例2に係る放射線画像撮影装置10の放射線画像検出器14は、実施例1に係る放射線画像検出器14と同様に、フレキシブル基板182及び184が移動し、フレキシブル基板182及び184の筐体140の内壁又は補強部材180に接触又は擦れる領域に導電体186を備えている。導電体186は、実施例2において、帯電防止体(第1の導電体)186C及び帯電防止体(第2の導電体)186Dを備えている。帯電防止体186Cは筐体140の内壁側においてフレキシブル基板182、184の表面に配設されている。つまり、帯電防止体186Cは、フレキシブル基板182、184の湾曲した外側表面に配設されている。帯電防止体186Dは、筐体140の内壁側とは反対側であって、ここでは補強部材180に接触する領域において、フレキシブル基板182、184の表面(裏面)に配設されている。つまり、帯電防止体186Dは、フレキシブル基板182、184の湾曲した内側表面に配設されている。フレキシブル基板182、184が補強部材180に接触又は擦れを生じない場合、特に導電体186Dを配設する必要はない。
【0121】
前述の図8(A)に示すように、帯電防止体186C及び186Dは帯電した電圧(電荷)を短時間において減衰させる材料により形成されている。また、帯電防止体186C及び186Dは、自身の帯電をある程度防止可能な導電性を有しつつも、帯電した電荷を瞬時に消散させられる程の導電性を有していない(導電体に対して高い抵抗値を持つ)材料により形成されている。帯電防止体186C及び186Dには表面抵抗率が10Ω/□〜1014Ω/□に設定された材料が使用されている。
【0122】
実施例2において、帯電防止体186C及び186Dには、図8(A)に示す、帯電防止剤をプラスチックに練り込んだフィルムではなく、フィルム自体に帯電防止効果を有する持続型帯電防止体が使用される。この持続型帯電防止体は、例えば金属イオン結合樹脂にメタロセン触媒重合ポリエチレンとポリマーとをブレンドしたフィルムである。持続型帯電防止体は短時間において電荷を減衰させる機能を有する。なお、帯電防止体186C及び186Dは、フィルム構造に限定されるものではなく、帯電防止剤を含む樹脂をコーティングすることにより形成してもよい。
【0123】
帯電防止体186C及び186Dは、フレキシブル基板182、184の配線に帯電した電荷をこの帯電防止体186C及び186D(又は導電体)の面内において均一化し、局部的なノイズ増加を防止し、空気中の水分等に放電する。つまり、帯電防止体186C及び186Dにおいては帯電した電荷を中和することができる。従って、帯電防止体186C及び186Dを固定電位188に接続する必要がないので、固定電位188に接続する構造分、フレキシブル基板182、184に帯電防止体186C及び186Dを配設する構造が簡易になる。
[放射線画像撮影装置の動作]
前述の図10に示す放射線画像撮影装置10において、放射線画像の撮影前の取り扱い、或いは撮影中やその直前に被検体18の位置調整や姿勢調整に伴う接触、衝突によって放射線画像検出器14に外力による加減速度や振動が加わる。この加減速度や振動の度合いによって、放射線画像検出器14においては、フレキシブル基板182及び184は筐体140の側部の内壁に接触し、或いは振動に伴い擦れを生じる。また、フレキシブル基板182及び184は補強部材180に接触し、或いは振動に伴い擦れを生じる。
【0124】
この接触或いは擦れによって、フレキシブル基板182及び184の配線にはカウンター帯電が生じる。図10に示すように、フレキシブル基板182及び184の筐体140に接触する領域Lには導電体186が配設され、導電体186は帯電防止体186C、186Dにより製作されているので、フレキシブル基板182及び184に帯電した電荷を中和することができる。
【0125】
[実施例2の作用効果]
以上説明したように、実施例2に係る放射線画像撮影装置10においては、実施例1に係る放射線画像撮影装置10によって得られる作用効果に加えて、導電体186は帯電防止体186C、186Dにより製作されているので、外力に伴い移動したフレキシブル基板182と筐体140の内壁との接触又は擦れによって生じる電荷を中和することができる。
【0126】
また、実施例2に係る放射線画像撮影装置10においては、導電体186はフレキシブル基板182、184の筐体140の内壁側とは反対側にも配設されているので、外力に伴い移動したフレキシブル基板182、184と筐体140の内壁側とは反対側のものとの接触又は擦れによって生じる電荷も空気中に逃がすことができる。例えば、補強部材180との接触又は擦れによってフレキシブル基板182、184に生じる電荷を中和することができる。
【0127】
更に、実施例2に係る放射線画像撮影装置10においては、導電体168を持続型帯電防止体により製作したので、短時間に帯電した電荷を中和することができる。
(実施例3)
本発明の実施例3は、前述の実施例1又は実施例2に係る放射線画像撮影装置10の放射線画像検出器14において導電体186の構造を変えた例を説明するものである。
【0128】
図11に示すように、実施例3に係る放射線画像撮影装置10の放射線画像検出器14は、実施例1に係る放射線画像検出器14と実施例2に係る放射線画像検出器14とを組み合わせたものであり、導電体186を導電体186A及び帯電防止体186Dにより構成している。導電体186Aは固定電位188に接続されている。帯電防止体186Dは固定電位188には接続されていない。
この実施例3に係る放射線画像撮影装置10においては、実施例1に係る放射線画像撮影装置10に比べて、帯電防止体186Dが固定電位188に接続されていない分、簡易な構造を実現することができる。
【0129】
また、図12に示す、実施例3の変形例に係る放射線画像撮影装置10の放射線画像検出器14は、実施例3に係る放射線画像検出器14の組み合わせとは逆のものであり、導電体186を帯電防止体186C及び導電体186Bにより構成している。帯電防止体186Cは固定電位188に接続されていない。導電体186Bは固定電位188に接続されている。
この実施例3の変形例に係る放射線画像撮影装置10においては、上記実施例3に係る放射線画像撮影装置10と同様の作用効果を奏することができる。
【0130】
(実施例4)
本発明の実施例4は、前述の実施例1に係る放射線画像撮影装置10の放射線画像検出器14において導電体186の構造を変えた例を説明するものである。
【0131】
図13に示すように、実施例4に係る放射線画像撮影装置10の放射線画像検出器14においては、フレキシブル基板182、184の筐体140の内壁側の表面上に配設された導電体186AのサイズL1は筐体140の内壁側とは反対側の表面上に配設された導電体186BのサイズL2に比べて大きく設定されている。フレキシブル基板182、184の延伸方向、具体的には図13中、上下方向(筐体140の厚さ方向)において、導電体186Aと186Bとのサイズに差が形成されている。
【0132】
このように構成される放射線画像撮影装置10においては、実施例1に係る放射線画像撮影装置10によって得られる作用効果に加えて、フレキシブル基板182、184の筐体140の内壁側の表面上に配設された導電体186Aのサイズが大きく設定されているので、筐体140の内壁の広い範囲に渡って接触又は擦れに伴いフレキシブル基板182、184に発生する電荷を抑制することができる。更に、フレキシブル基板182、184の筐体140の内壁側とは反対側の表面上に配設された導電体186Bのサイズが小さく設定されているので、フレキシブル基板182、184の機械的強度を補いつつ、フレキシブル基板182、184を筐体140の内壁側に湾曲し易くなっている。
【0133】
なお、実施例4に係る放射線画像撮影装置10は、前述の実施例2乃至実施例3に係る放射線画像撮影装置10に適用することができる。すなわち、例えば、実施例2に係る放射線画像撮影装置10においては、導電体186の帯電防止体186Cのサイズと帯電防止体186Dのサイズとに差を持たせることができる。
【0134】
(その他の実施例)
以上、本発明を実施例1乃至実施例4を用いて説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0135】
10 放射線画像撮影装置
12 放射線照射装置
14 放射線画像検出器(電子カセッテ)
140 筐体
142 放射線検出パネル
144 信号処理基板
148 蛍光体(シンチレータ)
16 コンソール
100 検出素子
102 TFT
106 光電変換素子
110 ゲート線
112 データ線
180 補強部材
182、184 フレキシブル基板
186 導電体
186A 第1の導電体
186B 第2の導電体
186C 帯電防止体(第1の導電体)
186D 帯電防止体(第2の導電体)
188 固定電位
200 ゲート線ドライバ部
202 信号処理部
204 温度センサ
206 画像メモリ
208 検出器制御部
210 通信部
212 電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を電気信号に変換する光電変換素子を有する放射線検出パネルと、
前記放射線検出パネルに対向して配設され、前記放射線検出パネルによって得られた電気信号に対して信号処理を行う信号処理基板と、
前記放射線検出パネルに一端を電気的に接続し、前記信号処理基板に他端を電気的に接続するフレキシブル基板と、
前記放射線検出パネル及び前記信号処理基板を収納するとともに、前記フレキシブル基板を内壁から離間状態において収納する筐体と、
前記フレキシブル基板の移動によって該フレキシブル基板の前記筐体に接触する領域に配設された第1の導電体と、
を備えた放射線画像撮影装置。
【請求項2】
前記第1の導電体は固定電位に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記第1の導電体は前記筐体の内壁側において前記フレキシブル基板の表面上に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記放射線検出パネルと前記信号処理基板との間に補強部材を備え、前記筐体の内壁側とは反対側において前記フレキシブル基板の移動によって該フレキシブル基板の前記補強部材に接触する領域に第2の導電体が配設されていることを特徴とする請求項3に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項5】
前記第1の導電体は、前記筐体の内壁側において前記フレキシブル基板の表面上に配設され、帯電防止体により製作されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項6】
前記放射線検出パネルと前記信号処理基板との間に補強部材を備え、前記筐体の内壁側とは反対側において前記フレキシブル基板の移動によって該フレキシブル基板の前記補強部材に接触する領域に第2の導電体が配設され、該第2の導電体は帯電防止体により製作されていることを特徴とする請求項5に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項7】
前記帯電防止体は持続型帯電防止体によって製作されていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項8】
前記放射線検出パネルと前記信号処理基板との間に補強部材を備え、前記筐体の内壁側とは反対側において前記フレキシブル基板の移動によって該フレキシブル基板の前記補強部材に接触する領域に第2の導電体が配設され、該第2の導電体は帯電防止体により製作されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項9】
前記放射線検出パネルと前記信号処理基板との間に補強部材を備え、前記筐体の内壁側とは反対側において前記フレキシブル基板の移動によって該フレキシブル基板の前記補強部材に接触する領域に固定電位に接続される第2の導電体が配設されていることを特徴とする請求項5に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項10】
前記フレキシブル基板の延伸方向において前記第1の導電体の長さは前記第2の導電体の長さに比べて大きく設定されていることを特徴とする請求項4、請求項6、請求項8又は請求項9に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項11】
前記第1の導電体又は前記第2の導電体はフィルム、箔、コーティング、めっきのいずれかにより製作されていることを特徴とする請求項4に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項12】
前記フレキシブル基板の厚さに対して前記第1の導電体又は第2の導電体の厚さは薄く設定されていることを特徴とする請求項4、請求項6、請求項8、請求項9又は請求項10に記載の放射線画像撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−88325(P2013−88325A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230076(P2011−230076)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】