説明

放射線画像検出装置の保守方法

【課題】蛍光体の劣化を適切に、かつ容易に検知する。
【解決手段】放射線露光によって蛍光を発する蛍光物質を含有した蛍光体10と、前記蛍光体の放射線入射側に隣設されて該蛍光体によって支持され、前記蛍光体に生じた蛍光を検出する薄膜型のセンサ部11と、を備える放射線画像検出装置1の保守方法であって、下記の構造ノイズ検査、MTF検査、暗電流検査のうち少なくとも一つの検査を定期的に実施して前記蛍光体の劣化を検知する。構造ノイズ検査:放射線画像を取得し、取得された画像及びそれ以前に取得された画像の両画像に表れる前記放射線画像検出装置固有のパターンの変化を検知する。MTF検査:MTFチャートを撮影した放射線画像を取得し、取得された放射線画像のMTFの変化を検知する。暗電流検査:放射線非露光での黒画像を取得し、取得された黒画像に基づいてセンサ部の暗電流の変化を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像検出装置の保守方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放射線画像を検出してデジタル画像データを生成するFPD(Flat Panel Detector)を用いた放射線画像検出装置が実用化されており、従来のイメージングプレートに比べて即時に画像を確認できるといった理由から急速に普及が進んでいる。この放射線画像検出装置には種々の方式のものがあり、その一つとして、間接変換方式のものが知られている。
【0003】
間接変換方式の放射線画像検出装置は、放射線露光によって蛍光を発するCsI(ヨウ化セシウム)などの蛍光物質によって形成されたシンチレータと、薄膜型の複数の光電変換素子及びスイッチ素子が基板上に2次元状に配設されたセンサパネルとを備えている。被写体を透過した放射線は、放射線画像変換パネルのシンチレータによって光に変換され、シンチレータの蛍光は、センサパネルの光電変換素子によって電気信号に変換される。
【0004】
そして、間接変換方式の放射線画像検出装置において、放射線をセンサパネル側から入射させるようにした、いわゆる表面読取型(ISS:Irradiation Side Sampling)の放射線画像検出装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。この放射線画像検出装置によれば、シンチレータのセンサパネル近傍における蛍光の発生量が多くなり、感度の向上が図られる。それにより、放射線画像の検出に必要となる露光量を低減し、被写体の被曝量を低減することができる。
【0005】
また、上記の放射線画像検出装置において、感度の向上を目的とし、CsIなどの蛍光物質の柱状結晶の群によってシンチレータを形成する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。気相堆積法によって形成される柱状結晶は、結合剤等の不純物を含まず、また、そこで発生した蛍光を結晶の成長方向に導光する光ガイド効果を有しており、蛍光の拡散を抑制する。それにより、放射線画像検出装置の感度の向上が図られると共に、画像の鮮鋭度の向上が図られる。
【0006】
ここで、ISS型の放射線画像検出装置において、放射線は、センサパネルの基板を透過してシンチレータに入射する。センサパネルの基板としては典型的にはガラスが用いられているが、ガラスは少なからず放射線を吸収する。そのため、シンチレータに入射する放射線の減衰が懸念される。そこで、特許文献1に記載された放射線画像検出装置においては、センサパネルの基板として、ガラスよりも放射線吸収能の低い樹脂のシートが用いられ、或いは、ガラスであっても数百μm程度の極薄いものが用いられている。
【0007】
また、上記の放射線画像検出装置は、経時劣化等に伴ってその特性が変化する場合があり、経時劣化に関する評価項目としては、例えば変調伝達(MTF:Modulation Transfer Function)やノイズパワースペクトル(NPS:noise power spectrum)が用いられている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−27864号公報
【特許文献2】特開2011−017683号公報
【特許文献3】特表2004−518958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ISS型の放射線画像検出装置において、センサパネルの基板を除去すれば、シンチレータに入射する放射線の減衰を一層抑制することができる。しかしながら、基板が剥離されると、基板による防湿効果がなくなる。それにより、光電変換素子やスイッチ素子を形成するセンサ薄膜に湿気が浸潤し、さらには、センサ薄膜を透過してシンチレータにも湿気が浸潤する可能性がある。シンチレータを形成するCsIは潮解性を有しているため、湿気の浸潤によるシンチレータの劣化が懸念される。
【0010】
さらに、基板がある場合には、湿気の浸潤によるシンチレータの劣化は周縁部から進行するが、基板が剥離されることによって、シンチレータへの湿気の浸潤はその全面に亘り、シンチレータの中央部から劣化が進行する可能性がある。シンチレータの中央部は放射線画像検出に主として用いられるため、放射線画像に基づく診断確度を維持するには、シンチレータの劣化を適切に検知する必要がある。
【0011】
特許文献3に記載された保守方法は、NPSの経時変化を監視して検出装置の劣化を検知するものであるが、NPSは、シンチレータの構造ノイズ、X線量子ノイズ、センサパネルの電気ノイズ、等の種々のノイズの総和である。ここで、シンチレータの劣化は構造ノイズとして表れるが、NPSにおける構造ノイズの寄与は比較的小さい。よって、NPSによる評価では、シンチレータの劣化を適切に検知することは困難である。また、NPSから構造ノイズ成分のみを抽出するには、個々のノイズ成分を区別できるような種々の条件下で取得される多数の画像に対して複雑な解析を行う必要があり、構造ノイズ成分のみを抽出することは困難である。
【0012】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、蛍光体の劣化を適切に、かつ容易に検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
放射線露光によって蛍光を発する蛍光物質を含有した蛍光体と、前記蛍光体の放射線入射側に隣設されて該蛍光体によって支持され、前記蛍光体に生じた蛍光を検出する薄膜型のセンサ部と、を備える放射線画像検出装置の保守方法であって、下記の構造ノイズ検査、MTF検査、暗電流検査のうち少なくとも一つの検査を定期的に実施して前記蛍光体の劣化を検知する放射線画像検出装置の保守方法。
構造ノイズ検査:放射線画像を取得し、取得された画像及びそれ以前に取得された画像の両画像に表れる前記放射線画像検出装置固有のパターンの変化を検知する。
MTF検査:MTFチャートを撮影した放射線画像を取得し、取得された放射線画像のMTFの変化を検知する。
暗電流検査:放射線非露光での黒画像を取得し、取得された黒画像に基づいてセンサ部の暗電流の変化を検知する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、蛍光体の劣化を適切に、かつ容易に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態を説明するための、放射線画像検出装置の一例の構成を模式的に示す図である。
【図2】図1の放射線画像検出装置の検出部の構成を模式的に示す図である。
【図3】図2の検出部の蛍光体の構成を模式的に示す図である。
【図4】図3の蛍光体のIV‐IV断面を示す図である。
【図5】図3の蛍光体のV‐V断面を示す図である
【図6】図2の検出部のセンサ部の構成を模式的に示す図である。
【図7】本発明の実施形態を説明するための、放射線画像検出装置の保守方法の一例を説明するためのフロー図である。
【図8】本発明の実施形態を説明するための、放射線画像検出装置の保守方法の一例を説明するためのフロー図である。
【図9】図8の保守方法の変形例を説明するためのフロー図である。
【図10】本発明の実施形態を説明するための、放射線画像検出装置の保守方法の一例を説明するためのフロー図である。
【図11】図10の保守方法の変形例を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の実施形態を説明するための、放射線画像検出装置の一例の構成を示す。
【0017】
図1に示す放射線画像検出装置1は、可搬型の放射線画像検出装置(以下、カセッテという)である。このカセッテ1は、放射線を検出する検出部2と、検出部2の動作を制御すると共に検出部2によって検出された放射線に基づく放射線画像を生成する制御部3と、検出部2及び制御部3を収納する筐体4とを備えている。
【0018】
筐体4において、検出部2に重なる天板5には、被検体(例えば患者の撮影対象部位)が載置され、被検体に向けて照射された放射線は、天板5を透過して検出部2に入射する。そのため、天板5には、放射線吸収能の低い材料が用いられ、典型的には炭素繊維強化プラスチックやアルミニウムが用いられている。
【0019】
検出部2は、放射線露光によって蛍光を発するシンチレータ(蛍光体)10と、シンチレータ10に生じた蛍光を検出するセンサ部11と、を備えている。
【0020】
シンチレータ10は、センサ部11とは別に構成され、支持体13上に形成されている。そして、シンチレータ10は、センサ部11との間に両者を光学的に結合させる樹脂層14を介在させ、支持体13とは反対側の面をセンサ部11に貼り合わされている。
【0021】
以上のように支持体13、シンチレータ10、センサ部11が重ね合わされて構成された検出部2は、天板5との間に接着層16を介在させ、センサ部11側の面を天板5に貼り合わされている。
【0022】
本例のカセッテ1は、ISS型の放射線画像検出装置であり、検出部2に入射した放射線は、センサ部11を透過してシンチレータ10に入射する。放射線が入射したシンチレータ10において蛍光が発生し、ここで発生した蛍光がセンサ部11によって検出される。蛍光を多く発生させるシンチレータ10の放射線入射側がセンサ部11に隣設されるため、感度が向上する。
【0023】
なお、検出部2全体をパリレン等の保護膜で被覆したうえで、天板5に検出部2を貼り合わせるようにしてもよい。また、検出部2のセンサ部11側の面全体を天板5に接着してもよいが、例えば天板5の交換したい場合などにおけるリワーク性の観点からは、センサ部11側の面において部分的(例えば、中心部及び外周部)に天板5に接着するようにしてもよい。その場合に、検出部2と天板5との間に閉空間が形成されないよう、即ち、外部に連通する空気の逃げ道が設けられるように接着層16を形成することが好ましい。それによれば、気圧や温度の変動、あるいは天板5に荷重が作用しても、検出部2と天板5との間に気泡が溜まりにくくなる。
【0024】
図2は、カセッテ1の検出部2の構成を示し、図3は、検出部2のシンチレータ10の構成を模式的に示す。
【0025】
シンチレータ10を形成する蛍光物質には、例えば、CsI:Tl(タリウム賦活ヨウ化セシウム)、NaI:Tl(タリウム賦活ヨウ化ナトリウム)、CsI:Na(ナトリウム賦活ヨウ化セシウム)、等を用いることができ、なかでも、発光スペクトルがa−Siフォトダイオードの分光感度の極大値(550nm付近)と適合する点で、CsI:Tlが好ましい。
【0026】
シンチレータ10は、支持体13とは反対側に設けられた柱状部34と、支持体13側に設けられた非柱状部36とで構成されている。柱状部34及び非柱状部36は、詳細は後述するが、気相堆積法によって支持体13上で層状に重なって連続的に形成されている。なお、柱状部34及び非柱状部36は同じ蛍光物質により形成されるが、Tl等の賦活剤の添加量は異なっていてもよい。
【0027】
柱状部34は、上記の蛍光物質の結晶が柱状に成長してなる柱状結晶35の群によって形成されている。なお、近隣の複数の柱状結晶が結合して一つの柱状結晶を形成する場合もある。隣り合う柱状結晶35の間には空隙が置かれ、柱状結晶35は互いに独立して存在する。
【0028】
非柱状部36は、蛍光物質の比較的小さい結晶の群によって形成されている。なお、非柱状部36には、上記の蛍光物質の非晶質体が含まれる場合もある。非柱状部36においては、結晶同士が不規則に結合したり重なり合ったりするため、結晶間に明確な空隙は生じ難い。
【0029】
シンチレータ10は、支持体13とは反対側の面、即ち柱状部34の各柱状結晶の先端側の面をセンサ部11に貼り合わされている。従って、シンチレータ10の放射線入射側には、柱状結晶35の群からなる柱状部34が配置される。
【0030】
柱状部34の柱状結晶35に発生した蛍光は、柱状結晶35とその周囲の間隙(空気)との屈折率差に起因して柱状結晶35内で全反射を繰り返すことで拡散を抑制され、センサ部11に導光される。それにより、画像の鮮鋭度が向上する。
【0031】
そして、柱状部34の柱状結晶35に発生した蛍光のうち、センサ部11とは反対側、即ち支持体13側に向かう蛍光については、非柱状部36においてセンサ部11側に向けて反射される。それにより、蛍光の利用効率が高まり、感度が向上する。
【0032】
また、柱状部34の柱状結晶35は、その成長初期においては比較的細く、結晶の成長が進むにつれて太くなる。柱状部34の非柱状部36との接合部分においては、細径の柱状結晶35が林立し、比較的大きい空隙が結晶の成長方向に多数延在しており、空隙率が大きい。一方の非柱状部36は、比較的小さい結晶若しくはその凝集体によって形成され、個々の空隙は比較的小さく、柱状部34に比べて緻密であって空隙率は小さい。支持体13との柱状部34との間に非柱状部36が介在することにより、支持体13とシンチレータ10との密着性が向上し、シンチレータ10が支持体13から剥離することが防止される。
【0033】
図4は、シンチレータ10の図3におけるIV‐IV断面を示す電子顕微鏡写真である。
【0034】
図4に明らかなように、柱状部34においては、柱状結晶35が結晶の成長方向に対しほぼ均一な断面径を示し、且つ、柱状結晶35の周囲に間隙を有し、柱状結晶35が互いに独立して存在することがわかる。柱状結晶35の結晶径(柱径)は、光ガイド効果、機械的強度、そして画素欠陥防止の観点から、2μm以上8μm以下であることが好ましい。柱径が小さすぎると、柱状結晶35の機械的強度が不足し、衝撃等により損傷する懸念があり、柱径が大きすぎると、画素毎の柱状結晶35の数が少なくなり、結晶にクラックが生じた際にその画素が欠陥となる確率が高くなる懸念がある。
【0035】
ここで、柱径は、柱状結晶35の成長方向上面から観察した結晶の最大径を示す。具体的な測定方法としては、柱状結晶35の成長方向上面からSEM(走査型電子顕微鏡)で観察することで柱径を測定する。柱状結晶35が100本から200本観察できる倍率(約2000倍程度)で観察し、1撮影に含まれる結晶全てに対し、柱径の最大値を測定して平均した値を採用している。柱径(μm)は小数点以下2桁まで読み、平均値をJIS Z 8401に従い小数点以下2桁目を丸めた値とする。
【0036】
図5は、シンチレータ10の図3におけるV‐V断面を示す電子顕微鏡写真である。
【0037】
図5に明らかなように、非柱状部36においては、結晶同士が不規則に結合したり重なり合ったりして結晶間の明確な空隙は、柱状部34ほどは認めらない。非柱状部36を形成する結晶の径は、密着性及び光反射の観点から、0.5μm以上7.0μm以下であることが好ましい。結晶径が小さすぎると、空隙が0に近づき、光反射の機能が低下する懸念があり、結晶径が大きすぎると、平坦性が低下し、支持体13との密着性が低下する懸念がある。また、非柱状部36を形成する結晶の形状は、光反射の観点から、略球状であることが好ましい。
【0038】
ここで、結晶同士が結合している場合の結晶径の測定は、隣接する結晶間に生じる窪み(凹)同士を結んだ線を結晶間の境界と見なし、結合した結晶同士を最小多角形となるように分離して柱径および柱径に対応する結晶径を測定し、柱状部34における結晶径と同様にして平均値をとり、その値を採用する。
【0039】
また、柱状部34の厚みは、放射線のエネルギーにもよるが、柱状部34における十分な放射線吸収及び画像の鮮鋭度の観点から、200μm以上700μm以下であることが好ましい。柱状部34の厚みが小さすぎると、放射線を十分に吸収することができず、感度が低下する虞があり、厚みが大きすぎると光拡散が生じ、柱状結晶の光ガイド効果によっても画像の鮮鋭度が低下する懸念がある。
【0040】
非柱状部36の厚みは、支持体13との密着性及び光反射の観点から、5μm以上125μm以下であることが好ましい。非柱状部36の厚みが小さすぎると、支持体13との十分な密着性が得られない虞があり、また厚みが大きすぎると、非柱状部36における蛍光の寄与、及び非柱状部36での光反射による拡散が増大し、画像の鮮鋭度が低下する懸念がある。
【0041】
支持体13としては、その上にシンチレータ10を形成することができる限りにおいて特に限定されないが、例えば、カーボン板、CFRP(carbon fiber reinforced plastic)、ガラス板、石英基板、サファイア基板、鉄、スズ、クロム、アルミニウムなどから選択される金属シート、等を用いることができる。なかでも、シンチレータ10の各柱状結晶に発生した蛍光に対して反射性を有するアルミニウムやアルミニウム合金の金属シートを好適に用いることができる。
【0042】
支持体13にアルミニウムやアルミニウム合金の金属シートを用いた場合に、柱状結晶35に発生した蛍光のうち、センサ部11とは反対側、即ち支持体13側に向かう蛍光をセンサ部11側に向けて反射させることができる。それにより、蛍光の利用効率が高まり、感度が向上する。なお、アルミニウムやアルミニウム合金の金属シート以外のカーボン板等であっても、シンチレータ10が形成される表面にアルミニウムやアルミニウム合金の被膜が形成されたものであれば、同様の効果を奏する。
【0043】
また、シンチレータ10を形成するCsIは、温度上昇によって感度が低下する傾向にある。本例のカセッテ1は、上記の通りISS型であり、その場合に制御部3は、典型的には支持体13の裏側(シンチレータ10とは反対側)に配置され、制御部に発生した熱は支持体13に伝達される。支持体13にアルミニウムやアルミニウム合金の金属シートを用いた場合に、これらは熱伝導率に優れ、上記の制御部から伝達された熱を速やかに拡散させることができるので、シンチレータ10の局所的な温度上昇、それに起因する局所的な感度低下を防止することができる。それにより、画像ムラが発生することを防止することができる。
【0044】
シンチレータ10の非柱状部36及び柱状部34は、例えば気相堆積法によって、支持体13上にこの順に連続して一体に形成される。具体的には、真空度0.01〜10Paの環境下で、CsI:Tlを抵抗加熱式のるつぼに通電するなどの手段で加熱して気化させ、支持体13の温度を室温(20℃)〜300℃としてCsI:Tlを支持体13上に堆積させる。
【0045】
支持体13上にCsI:Tlの結晶相を形成する際、当初は直径の比較的小さい結晶を堆積させて非柱状部36を形成する。そして、真空度及び支持体13の温度の少なくとも一方の条件を変更し、非柱状部36を形成した後に連続して柱状部34を形成する。具体的には、真空度を上げる、及び/又は支持体13の温度を高くすることによって、柱状結晶35の群を成長させる。
【0046】
以上によりシンチレータ10を効率よく、容易に製造することができる。また、この製造方法によれば、真空度や支持体温度を制御することで、簡易に種々の仕様のシンチレータを設計通りに製造することができるという利点をも有する。
【0047】
次に、図2及び図6を参照して、センサ部11について説明する。図6は、検出部2のセンサ部11の構成を示す。
【0048】
センサ部11は、複数の光電変換素子26、及び光電変換素子26の各々に生じた電荷を読み出すための薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)からなる複数のスイッチ素子28を有している。光電変換素子26は、薄膜型の素子であり、シンチレータ10の蛍光を受光することによって電荷を生成する光導電層は、無機若しくは有機の光電変換材料からなる薄膜によって形成されている。これらの光電変換素子26及びスイッチ素子28は、2次元状に配列されている。
【0049】
なお、図示の例において、光電変換素子26のアレイと、スイッチ素子28のアレイとは互いに異なる層に形成されており、シンチレータ10側に光電変換素子26のアレイが配置されている。なお、光電変換素子26のアレイとスイッチ素子28のアレイとが一つの同じ層に形成されていてもよいし、シンチレータ10側から、スイッチ素子28のアレイ、光電変換素子26のアレイの順に形成されていてもよいが、図示の例のように、光電変換素子26のアレイとスイッチ素子28のアレイとが、互いに異なる層に形成されていることによって、各光電変換素子26のサイズを大きくすることができ、また、シンチレータ側から、光電変換素子26のアレイ、スイッチ素子28のアレイの順に形成されていることによって、光電変換素子26を、シンチレータ10により近接して配置することができる。それにより、感度が向上する。
【0050】
光電変換素子26のアレイ上には、これらの光電変換素子26を覆い、その表面を平坦化するための平坦化層23が形成されており、さらに、シンチレータ10とセンサ部11とを貼り合わせるための接着層25が平坦化層23上に形成されている。平坦化層23及び接着層25が上記の樹脂層14を構成する。樹脂層14の厚みは、感度、及び画像の鮮鋭度の観点から、50μm以下であることが好ましく、5μm〜30μmであることがより好ましい。
【0051】
光電変換素子26は、シンチレータ10の蛍光を受光することによって電荷を生成する光導電層20と、この光導電層20の表裏面に設けられた一対の電極とで構成されている。光導電層20のシンチレータ10側の面に設けられた電極22は、光導電層20にバイアス電圧を印加するためのバイアス電極であり、反対側の面に設けられた電極24は、光導電層20で生成された電荷を収集する電荷収集電極である。光電変換素子26の電荷収集電極24は、対応するスイッチ素子28に接続されている。各電荷収集電極24に収集された電荷は、スイッチ素子28を介して読み出される。
【0052】
スイッチ素子28のアレイが形成されている層には、一方向(行方向)に延設され各スイッチ素子28をオン/オフさせるための複数本のゲート線30と、ゲート線30と直交する方向(列方向)に延設されオン状態のスイッチ素子28を介して電荷を読み出すための複数の信号線(データ線)32が設けられている。そして、センサ部11の周縁部には、個々のゲート線30及び個々の信号線32が接続された接続端子部38が配置されている。この接続端子部38は、図2に示すように、接続回路39を介して制御部3に設けられた回路基板(図示せず)に接続される。この回路基板は、ゲートドライバ、及び信号処理部を有する。
【0053】
スイッチ素子28は、ゲートドライバからゲート線30を介して供給される信号により行単位で順にオン状態とされる。そして、オン状態とされたスイッチ素子28によって読み出された電荷は、電荷信号として信号線32を伝送されて信号処理部に入力される。これにより、電荷が行単位で順に読み出され、上記の信号処理部において電気信号に変換され、デジタル画像データが生成される。
【0054】
以上の構成を有するセンサ部11において、光電変換素子26及びスイッチ素子28のアレイは、例えばガラス基板などの絶縁性基板上に、公知の成膜技術を用いて形成される。そして、ガラス基板上に光電変換素子26及びスイッチ素子28のアレイが形成されてなるセンサパネルは、接着層25を介してシンチレータ10に貼り合わされる。
【0055】
そして、シンチレータ10に貼り合わされた上記のセンサパネルから絶縁性基板が剥離され、シンチレータ10には、センサ部11を構成する光電変換素子26及びスイッチ素子28のアレイが残される。これら薄膜型の光電変換素子26及びスイッチ素子28のアレイは、絶縁性基板が剥離された後は、シンチレータ10によって支持される。なお、絶縁性基板上に適宜な剥離層を形成しておき、その上に光電変換素子26及びスイッチ素子28のアレイを形成して上記のセンサパネルを構成しておくことによって、絶縁性基板を容易に剥離することができる。
【0056】
上述したカセッテ1は、放射線像を高感度、高精細に検出しうるため、低放射線照射量で鮮鋭な画像を検出することを要求される、マンモグラフィなどの医療診断用のX線撮影装置をはじめ、様々な装置に組み込んで使用することができる。例えば、工業用のX線撮影装置として非破壊検査に用いたり、或いは、電磁波以外の粒子線(α線、β線、γ線)の検出装置として用いたりすることができ、その応用範囲は広い。
【0057】
次に、カセッテ1の保守方法について説明する。
【0058】
図7は、カセッテ1の構造ノイズに関する検査プロセスを示す。
【0059】
カセッテ1によって取得される放射線画像には、シンチレータ10に起因する構造ノイズが含まれる。構造ノイズは、例えばCsI等の柱状結晶の群によって形成されるシンチレータ10においては、厚み、結晶径、結晶の分布の不均一によって生じ、カセッテ固有の固定パターンとして画像に表れる。
【0060】
ここで、カセッテ1においては、上述の通り絶縁性基板が剥離されており、絶縁性基板による防湿効果がなくなっているため、時間経過に伴って湿気がセンサ部11に浸潤し、さらには、センサ部11を透過してシンチレータ10に浸潤する可能性がある。シンチレータ10を形成するCsI等は潮解性を有しており、例えば、CsI等の柱状結晶の群によって形成されたシンチレータ10においては、吸湿によって柱状結晶構造が崩れる場合がある。柱状結晶構造が崩れると、カセッテ1によって取得される放射線画像に含まれる固定パターンに変化が生じる。そこで、被写体を置かずに撮影した放射線画像を定期的に取得し、画像に表れる固定パターンの変化を監視し、それによって、シンチレータ10の劣化を検知する。
【0061】
まず、カセッテ1の製造時ないし出荷時に放射線画像を取得し、これを基準画像とする。
【0062】
そして、放射線画像を定期的に取得し(ステップS1a)、取得した画像及び基準画像の両画像に表れる固定パターンを比較する(ステップS2a)。
【0063】
固定パターンに変化(例えば、パターンのボケ、にじみ、位置ずれ)がない場合には、次回の検査までカセッテ1の使用が継続される(ステップS3a)。
【0064】
固定パターンに変化が有る場合に、その変化が許容範囲内であるか否かが判定される(ステップS4a)。固定パターンの変化が許容範囲内であるか否かの判定は、例えば視覚による主観的な評価によってなされる。
【0065】
固定パターンの変化が許容範囲外であると判定された場合には、カセッテ1の使用を中止し、シンチレータ10の交換等の適宜な対策がとられる(ステップS5a)。
【0066】
一方、固定パターンの変化が許容範囲内であると判定された場合には、次回の検査までカセッテ1の使用が継続される(ステップS3a)。
【0067】
以上、説明したように、シンチレータ10の構造ノイズは、カセッテ1によって取得された放射線画像に固定パターンとして表れることから、定期的に取得した放射線画像に表れるカセッテ1固有のパターンの変動を監視し、それによって、シンチレータ10の劣化を適切に、かつ容易に検知することができる。
【0068】
図8は、カセッテ1のMTFに関する検査プロセスを示す。
【0069】
CsI等の柱状結晶の群によって形成されたシンチレータ10においては、上述の通り吸湿によって柱状結晶構造が崩れる場合があり、柱状結晶構造が崩れると、柱状結晶の光ガイド効果が低下し、画像の鮮鋭度が低下する。そこで、複数の細線が一次元格子状に配されたMTFチャートを撮影した放射線画像を定期的に取得し、取得した画像のMTFの変化を監視し、それによって、シンチレータ10の劣化を検知する。
【0070】
まず、カセッテ1の製造時ないし出荷時にMTFチャートを撮影した放射線画像を取得し、取得した画像のMTFを求め、これを基準MTFとする。
【0071】
そして、MTFチャートを撮影した放射線画像を定期的に取得し(ステップS1b)、取得した画像のMTFを求め、基準MTFからの低下の有無を判定する(ステップS2b)。
【0072】
求めたMTFについて、基準MTFからの低下がない場合には、次回の検査までカセッテ1の使用が継続される(ステップS3b)。
【0073】
MTFの低下が有る場合に、MTFが許容範囲内であるか否かが、予め定められる許容値との比較によって判定される(ステップS4b)。
【0074】
MTFが許容範囲外である(MTFが許容値よりも小さい)と判定された場合には、カセッテ1の使用を中止し、シンチレータ10の交換等の適宜な対策がとられる(ステップS5b)。
【0075】
一方、MTFが許容範囲内である(MTFが許容値以上)と判定された場合には、次回の検査までカセッテ1の使用が継続される。
【0076】
さらに、図示の例においては、MTFが許容範囲内であると判定された場合に、前回の検査において取得された画像のMTFとの差分Δと、この差分Δついて予め設定される閾値とを比較し(ステップS6b)、差分Δが閾値より大きい場合に、次回のMTF検査までの間隔を短くするようにしている(ステップS7b)。前回の検査において取得された画像のMTFとの差分Δが閾値より大きい場合に、シンチレータ10の劣化が加速傾向にあることが懸念されるが、検査間隔を短くすることによって、シンチレータ10の劣化をより的確に検知し、適時に対策をとることができる。
【0077】
図9は、カセッテ1のMTFに関する検査プロセスの変形例を示す。
【0078】
MTFが許容内であると判定された場合において、予め定められる許容値との差分δと、この差分δについて予め設定される閾値とを比較し(ステップSS6b)、差分δが閾値より小さくなった場合に、次回のMTF検査までの間隔を短くするようにしている(ステップSS7b)。予め定められる許容値との差分δが閾値より小さい場合に、シンチレータ10の劣化が進行しており、シンチレータ10の残存耐用期間が比較的短いことが懸念されるが、検査間隔を短くすることによって、シンチレータ10の劣化をより的確に検知し、適時に対策をとることができる。
【0079】
図10は、カセッテ1の暗電流に関する検査プロセスを示す。
【0080】
カセッテ1によって取得される画像の各画素値には、典型的には、遮光状態であっても光電変換素子26に蓄積される電荷に起因した暗電流成分が含まれる。この暗電流成分は、温度依存性を有しており、典型的には温度の上昇とともに増加する。
【0081】
ここで、カセッテ1においては、上述の通り絶縁性基板が剥離されており、絶縁性基板による防湿効果がなくなっているため、時間経過に伴って湿気がセンサ部11に浸潤し、光電変換素子26が劣化する場合がある。光電変換素子26が劣化すると、遮光状態において光電変換素子26に蓄積される電荷が増加し、カセッテ1によって取得される画像の画素値に含まれる暗電流成分もまた増加する。そして、絶縁性基板が剥離されたことに起因してシンチレータ10に浸潤する湿気は、センサ部11を透過したものであることから、光電変換素子26の劣化と、シンチレータ10の劣化はほぼ同じ位置に生じ得る。そこで、所定の温度条件において放射線を照射せずに撮影した黒画像を定期的に取得し、画像の各画素の暗電流成分の変化を監視し、それによって、シンチレータ10の劣化を検知する。
【0082】
まず、カセッテ1の製造時ないし出荷時に黒画像を取得し、取得した画像の各画素の画素値、即ち暗電流成分を求め、これを各画素の基準値とする。
【0083】
そして、黒画像を定期的に取得し(ステップS1c)、取得した画像の各画素の画素値を求め、基準画素値からの増加の有無を判定する(ステップS2c)。
【0084】
各画素の画素値について、基準値からの増加がない場合には、次回の検査まで、カセッテ1の使用が継続される(ステップS3c)。
【0085】
各画素の画素値について、基準値からの増加が有る場合に、その画素値が許容範囲内であるか否かが、予め定められる許容値との比較によって判定される(ステップS4c)。
【0086】
一つ若しくは複数の画素値、又は平均の画素値が許容範囲外である(画素値が許容値より大きい)と判定された場合には、カセッテ1の使用を中止し、シンチレータ10の交換等の適宜な対策がとられる(ステップS5c)。
【0087】
一方、全ての画素値、又は平均の画素値が許容範囲内である(画素値が許容値以下)と判定された場合には、次回の検査までカセッテ1の使用が継続される。
【0088】
さらに、図示の例においては、全ての画素値、又は平均の画素値が許容範囲内であると判定された場合に、前回の検査において取得された画像の対応画素との画素毎の差分Δと、これについて予め設定される閾値とを比較し(ステップS6c)、画素値の差分Δが閾値より大きい場合に、次回の暗電流検査までの間隔を短くするようにしている(ステップS7c)。前回の検査において取得された画像の対応画素の画素値との差分Δが閾値より大きい場合に、センサ部11の劣化が加速傾向にあり、それに伴ってシンチレータ10の劣化も加速傾向にあることが懸念されるが、検査間隔を短くすることによって、シンチレータ10の劣化をより的確に検知し、適時に対策をとることができる。
【0089】
図11は、カセッテ1の暗電流に関する検査プロセスの変形例を示す。
【0090】
全ての画素値、又は平均の画素値が許容内であると判定された場合において、予め定められる許容値との差分δと、この差分δについて予め設定される閾値とを比較し(ステップSS6c)、差分δが閾値より小さくなった場合に、次回の暗電流検査までの間隔を短くするようにしている(ステップSS7c)。予め定められる許容値との差分δが閾値より小さい場合に、センサ部11の劣化、ひいてはシンチレータ10の劣化が進行しており、シンチレータ10の残存耐用期間が比較的短いことが懸念されるが、検査間隔を短くすることによって、シンチレータ10の劣化をより的確に検知し、適時に対策をとることができる。
【0091】
上述の構造ノイズ検査、MTF検査、暗電流検査は、いずれか一つを単独で実施してもよいが、いずれか二つ、又は全てを組み合わせて実施することが好ましい。複数の検査の結果を総合することによって、カセッテ1の劣化をより適切に検知することができる。複数を組み合わせて実施する場合に、当初から複数の検査を定期的に実施してもよいし、当初はいずれか一つの検査のみを定期的に行い、その検査においてシンチレータ10の劣化の加速傾向又は劣化の進行が認められるようになった後に、その他の検査を併せて行うようにしてもよい。
【0092】
また、上述したMTF検査や暗電流検査において、前回の検査結果との比較に基づいてシンチレータ10又はセンサ部11の劣化が加速傾向にあることを検知しているが、シンチレータ10やセンサ部11の劣化の加速は、シンチレータ10とセンサ部11との密着性の低下、あるいはセンサ部11と天板5との密着性の低下によって生じ得る。そして、シンチレータ10とセンサ部11との密着性の低下や、センサ部11と天板5との密着性の低下は、可搬型の放射線画像検出装置であるカセッテ1においては、例えば落下や被写体の載置によって衝撃が作用することにより生じえる。そこで、カセッテ1に加速度センサ等の衝撃検出手段を設け、所定の閾値を超える衝撃が衝撃検出手段によって検出された場合に、上記の構造ノイズ検査、MTF検査、暗電流検査の間隔を短くするようにしてもよい。
【0093】
以下、センサ部11を構成する各要素に用いることのできる材料について説明する。
【0094】
[光電変換素子]
上述した光電変換素子26の光導電層20(図1参照)としては、例えばアモルファスシリコン等の無機半導体材料が用いられることが多いが、例えば特開2009−32854号公報に記載された有機光電変換(OPC;Organic photoelectric conversion)材料も用いることができる。このOPC材料により形成された膜(以下、OPC膜という)を光導電層20として使用できる。OPC膜は、有機光電変換材料を含み、蛍光体層から発せられた光を吸収し、吸収した光に応じた電荷を発生する。このように有機光電変換材料を含むOPC膜であれば、可視域にシャープな吸収スペクトルを持ち、蛍光体層による発光以外の電磁波がOPC膜に吸収されることがほとんどなく、X線等の放射線がOPC膜で吸収されることによって発生するノイズを効果的に抑制することができる。
【0095】
OPC膜を構成する有機光電変換材料は、蛍光体層で発光した光を最も効率良く吸収するために、その吸収ピーク波長が、蛍光体層の発光ピーク波長と近いほど好ましい。有機光電変換材料の吸収ピーク波長と蛍光体層の発光ピーク波長とが一致することが理想的であるが、双方の差が小さければ蛍光体層から発された光を十分に吸収することが可能である。具体的には、有機光電変換材料の吸収ピーク波長と、蛍光体層の放射線に対する発光ピーク波長との差が、10nm以内であることが好ましく、5nm以内であることがより好ましい。
【0096】
このような条件を満たすことが可能な有機光電変換材料としては、例えば、アリーリデン系有機化合物、キナクリドン系有機化合物、及びフタロシアニン系有機化合物が挙げられる。例えばキナクリドンの可視域における吸収ピーク波長は560nmであるため、有機光電変換材料としてキナクリドンを用い、蛍光体層の材料としてCsI(Tl)を用いれば、上記ピーク波長の差を5nm以内にすることが可能となり、OPC膜で発生する電荷量をほぼ最大にすることができる。
【0097】
バイアス電極22および電荷収集電極24の間に設けられる有機層の少なくとも一部をOPC膜によって構成することができる。この有機層は、より具体的には、電磁波を吸収する部位、光電変換部位、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子ブロッキング部位、正孔ブロッキング部位、結晶化防止部位、電極、及び層間接触改良部位等の積み重ねもしくは混合により形成することができる。
【0098】
上記有機層は、有機p型化合物または有機n型化合物を含有することが好ましい。有機p型半導体(化合物)は、主に正孔輸送性有機化合物に代表されるドナー性有機半導体(化合物)であり、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、ドナー性有機化合物としては、電子供与性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン化合物、スチリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、カルバゾール化合物、ポリシラン化合物、チオフェン化合物、フタロシアニン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、オキソノール化合物、ポリアミン化合物、インドール化合物、ピロール化合物、ピラゾール化合物、ポリアリーレン化合物、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体等を用いることができる。なお、これらに限らず、n型(アクセプター性)化合物として用いた有機化合物よりもイオン化ポテンシャルの小さい有機化合物であればドナー性有機半導体として用いることができる。
【0099】
有機n型半導体(化合物)は、主に電子輸送性有機化合物に代表されるアクセプター性有機半導体(化合物)であり、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。したがって、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含有する5ないし7員のヘテロ環化合物(例えばピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、イソキノリン、プテリジン、アクリジン、フェナジン、フェナントロリン、テトラゾール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、トリアゾロピリダジン、トリアゾロピリミジン、テトラザインデン、オキサジアゾール、イミダゾピリジン、ピラリジン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、ジベンズアゼピン、トリベンズアゼピン等)、ポリアリーレン化合物、フルオレン化合物、シクロペンタジエン化合物、シリル化合物、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体などが挙げられる。なお、これらに限らず、ドナー性有機化合物として用いた有機化合物よりも電子親和力の大きな有機化合物であればアクセプター性有機半導体として用いることができる。
【0100】
p型有機色素又はn型有機色素としては、公知のものを用いることができるが、好ましくは、シアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、メロシアニン色素(ゼロメチンメロシアニン(シンプルメロシアニン)を含む)、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アザメチン色素、クマリン色素、アリーリデン色素、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、スピロ化合物、メタロセン色素、フルオレノン色素、フルギド色素、ペリレン色素、フェナジン色素、フェノチアジン色素、キノン色素、インジゴ色素、ジフェニルメタン色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、フェノキサジン色素、フタロペリレン色素、ポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、金属錯体色素、縮合芳香族炭素環系色素(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)等が挙げられる。
【0101】
1対の電極間に、p型半導体層とn型半導体層とを有し、該p型半導体とn型半導体の少なくともいずれかが有機半導体であり、かつ、それらの半導体層の間に、該p型半導体およびn型半導体を含むバルクヘテロ接合構造層を中間層として有する光電変換膜(感光層)を好適に用いることができる。このように、光電変換膜において、バルクへテロ接合構造層を含ませることにより有機層のキャリア拡散長が短いという欠点を補い、光電変換効率を向上させることができる。なお、上記バルクへテロ接合構造については、特開2005−303266号公報において詳細に説明されている。
【0102】
光電変換膜の厚みは、蛍光体層からの光を吸収する点では膜厚は大きいほど好ましいが、電荷分離に寄与しない割合を考慮すると、30nm以上300nm以下が好ましく、より好ましくは、50nm以上250nm以下、特に好ましくは80nm以上200nm以下である。
上述したOPC膜に関するその他の構成は、例えば、特開2009−32854号公報の記載が参考となる。
【0103】
[スイッチ素子]
スイッチ素子28の活性層としては、例えばアモルファスシリコン等の無機半導体材料が使われることが多いが、例えば特開2009−212389号公報に記載されたように、有機材料を使用することができる。有機TFTはいかなるタイプの構造でもよいが、最も好ましいのは電界効果型トランジスタ(FET)構造である。このFET構造は、絶縁性基板上面の一部にゲート電極を設け、さらに該電極を覆い、かつ電極以外の部分で基板と接するように絶縁体層を設けている。さらに絶縁体層の上面に半導体活性層を設け、その上面の一部に透明ソース電極と透明ドレイン電極とを隔離して配置している。なお、この構成はトップコンタクト型素子と呼ばれるが、ソース電極とドレイン電極とが半導体活性層の下部にあるボトムコンタクト型素子も好ましく用いることができる。また、キャリアが有機半導体膜の膜厚方向に流れる縦型トランジスタ構造であってもよい。
【0104】
(活性層)
ここでいう有機半導体材料とは、半導体の特性を示す有機材料のことであり、無機材料からなる半導体と同様に、正孔(ホール)をキャリアとして伝導するp型有機半導体材料(あるいは単にp型材料、正孔輸送材料とも言う。)と、電子をキャリアとして伝導するn型有機半導体材料(あるいは単にn型材料、電子輸送材料とも言う。)がある。有機半導体材料は一般にp型材料の方が良好な特性を示すものが多く、また、一般に大気下でのトランジスタ動作安定性もp型トランジスタの方が優れているため、ここでは、p型有機半導体材料について説明する。
【0105】
有機薄膜トランジスタの特性の一つに、有機半導体層中のキャリアの動きやすさを示すキャリア移動度(単に移動度とも言う)μがある。用途によっても異なるが、一般に移動度は高い方がよく、1.0×10-7cm2/Vs以上であることが好ましく、1.0×10-6cm2/Vs以上であることがより好ましく、1.0×10-5cm2/Vs以上であることがさらに好ましい。移動度は電界効果トランジスタ(FET)素子を作製したときの特性や飛行時間計測(TOF)法により求めることができる。
【0106】
前記p型有機半導体材料は、低分子材料でも高分子材料でも良いが、好ましくは低分子材料である。低分子材料は、昇華精製や再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの様々な精製法が適用できるため高純度化が容易であること、分子構造が定まっているため秩序の高い結晶構造を取りやすいこと、などの理由から高い特性を示すものが多い。低分子材料の分子量は、好ましくは100以上5000以下、より好ましくは150以上3000以下、さらに好ましくは200以上2000以下である。
【0107】
このようなp型有機半導体材料としては、フタロシアニン化合物又はナフタロシアニン化合物を例示することができ、具体例を以下に示す。なお、Mは金属原子、Buはブチル基、Prはプロピル基、Etはエチル基、Phはフェニル基をそれぞれ表す。
【0108】
【化1】

【0109】
(活性層以外のスイッチ素子の構成要素)
ゲート電極、ソース電極、又はドレイン電極を構成する材料としては、必要な導電性を有するものであれば特に制限はないが、例えば、ITO(インジウムドープ酸化スズ)、IZO(インジウムドープ酸化亜鉛)、SnO2、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、ZnO、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、TiO2、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)などの透明導電性酸化物、PEDOT/PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸)などの透明導電性ポリマー、カーボンナノチューブなどの炭素材料が挙げられる。これらの電極材料は、例えば真空蒸着法、スパッタリング、溶液塗布法等の方法で成膜することができる。
【0110】
絶縁層に用いられる材料としては、必要な絶縁効果を有するものであれば特に制限はないが、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナなどの無機材料、ポリエステル(PEN(ポリエチレンナフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)など)、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、ポリパラキシリレン樹脂、ノボラック樹脂、PVA(ポリビニルアルコール)、PS(ポリスチレン)、などの有機材料が挙げられる。これらの絶縁膜材料は、例えば真空蒸着法、スパッタリング、溶液塗布法等の方法で成膜することができる。
上述した有機TFTに関するその他の構成は、例えば、特開2009−212389号公報の記載が参考となる。
【0111】
また、スイッチ素子28の活性層には、例えば特開2010−186860号公報に記載された非晶質酸化物も使用することができる。ここで、特開2010−186860号に記載された電界効果型トランジスタが有する非晶質酸化物含有の活性層について示す。この活性層は、電子またはホールの移動する電界効果型トランジスタのチャネル層として機能する。
【0112】
活性層は、非晶質酸化物半導体を含んだ構成とされている。この非晶質酸化物半導体は、低温で成膜可能であるために、可撓性のある基板上に好適に形成される。活性層に用いられる非晶質酸化物半導体としては、好ましくはIn、Sn、Zn、又はCdよりなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む非晶質酸化物であり、より好ましくは、In、Sn、Znよりなる群より選ばれる少なくとも1種を含む非晶質酸化物、さらに好ましくは、In、Znよりなる群より選ばれる少なくとも1種を含む非晶質酸化物である。
【0113】
活性層に用いられる非晶質酸化物としては、具体的には、In、ZnO,SnO、CdO,Indium−Zinc−Oxide(IZO)、Indium−Tin−Oxide(ITO)、Gallium−Zinc−Oxide(GZO)、Indium−Gallium−Oxide(IGO)、Indium−Gallium−Zinc−Oxide(IGZO)が挙げられる。
【0114】
活性層の成膜方法としては、酸化物半導体の多結晶焼結体をターゲットとして、気相成膜法を用いるのが好ましい。気相成膜法の中でも、スパッタリング法、パルスレーザー蒸着法(PLD法)が適している。さらに、量産性の観点から、スパッタリング法が好ましい。例えば、RFマグネトロンスパッタリング蒸着法により、真空度及び酸素流量を制御して成膜される。
【0115】
成膜された活性層は、周知のX線回折法によりアモルファス膜であることが確認される。活性層の組成比は、RBS(ラザフォード後方散乱)分析法により求められる。
【0116】
また、この活性層の電気伝導度は、好ましくは10−4Scm−1以上10Scm−1未満であり、より好ましくは10−1Scm−1以上10Scm−1未満である。この活性層の電気伝導度の調整方法としては、公知の酸素欠陥による調整方法や、組成比による調整方法、不純物による調整方法、酸化物半導体材料による調整方法が挙げられる。
上述した非晶質酸化物に関するその他の構成は、例えば、特開2010−186860号公報の記載が参考となる。
【0117】
[平坦化層及び接着層]
シンチレータ10とセンサ部11とを光学的に結合させる樹脂層14としての平坦化層23及び接着層25は、シンチレータ10の蛍光を減衰させることなくセンサ部11に到達させ得るものであれば特に制限はない。平坦化層23としては、ポリイミドやパリレンなどの樹脂を用いることができ、製膜性が良好なポリイミドを用いることが好ましい。接着層25としては、例えば、UV硬化接着剤や加熱硬化型接着剤や室温硬化型接着剤やホットメルト型接着剤などの接着剤、若しくはゴム系粘着剤やシリコン系粘着剤やアクリル系粘着剤などの粘着剤、又はこれらの接着剤や粘着剤が両面に設けられた両面接着/粘着シート、等によって形成することができる。なお、接着剤としては、画像の鮮鋭度を低下させないという観点から、素子サイズに対して十分に薄い接着層を形成し得る低粘度エポキシ樹脂製の接着剤を用いることが好ましい。また、粘着剤としては、光や酸化による劣化が少ないアクリル系粘着剤が好ましい。
【0118】
以上、説明したように、本明細書には、下記(1)から(10)の放射線画像検出装置の保守方法が開示されている。
【0119】
(1) 放射線露光によって蛍光を発する蛍光物質を含有した蛍光体と、前記蛍光体の放射線入射側に隣設されて該蛍光体によって支持され、前記蛍光体に生じた蛍光を検出する薄膜型のセンサ部と、を備える放射線画像検出装置の保守方法であって、下記の構造ノイズ検査、MTF検査、暗電流検査のうち少なくとも一つの検査を定期的に実施して前記蛍光体の劣化を検知する放射線画像検出装置の保守方法。
構造ノイズ検査:放射線画像を取得し、取得された画像及びそれ以前に取得された画像の両画像に表れる前記放射線画像検出装置固有のパターンの変化を検知する。
MTF検査:MTFチャートを撮影した放射線画像を取得し、取得された放射線画像のMTFの変化を検知する。
暗電流検査:放射線非露光での黒画像を取得し、取得された黒画像に基づいてセンサ部の暗電流の変化を検知する。
(2) 上記(1)の放射線画像検出装置の保守方法であって、前記MTF検査を実施する場合に、取得された放射線画像のMTFと前回取得された放射線画像のMTFとの差が所定の閾値を越えた場合に、検査を実施する間隔を短くする放射線画像検出装置の保守方法。
(3) 上記(1)の放射線画像検出装置の保守方法であって、前記MTF検査を実施する場合に、取得された放射線画像のMTFと許容値との差が所定の閾値を越えた場合に、検査を実施する間隔を短くする放射線画像検出装置の保守方法。
(4) 上記(1)〜(3)のいずれか一つの放射線画像検出装置の保守方法であって、前記暗電流検査を実施する場合に、取得された黒画像及び前回取得された黒画像の両画像の対応画素の画素値の差が所定の閾値を越えた場合に、検査を実施する間隔を短くする放射線画像検出装置の保守方法。
(5) 上記(1)〜(3)のいずれか一つの放射線画像検出装置の保守方法であって、前記暗電流検査を実施する場合に、取得された黒画像の各画素の画素値と許容値との差が所定の閾値を越えた場合に、検査を実施する間隔を短くする放射線画像検出装置の保守方法。
(6) 上記(2)〜(4)のいずれか一つの放射線画像検出装置の保守方法であって、検査を実施する間隔を短くした後は、構造ノイズ検査、MTF検査、暗電流検査の全ての検査を実施する放射線画像検出装置の保守方法。
(7) 上記(1)〜(6)のいずれか一つの放射線画像検出装置の保守方法であって、前記放射線画像検出装置は、衝撃検出手段をさらに備え、所定の閾値を超える衝撃が前記衝撃検出手段によって検出された場合に、検査を実施する間隔を短くする放射線画像検出装置の保守方法。
(8) 上記(1)〜(7)のいずれか一つの放射線画像検出装置の保守方法であって、前記蛍光物質は、ヨウ化セシウム若しくはヨウ化ナトリウム、又はそれらに賦活剤が添加された混合物である放射線画像検出装置の保守方法。
(9) 上記(8)の放射線画像検出装置の保守方法であって、前記蛍光体は、前記蛍光物質の結晶が柱状に成長してなる柱状結晶の群によって形成されている放射線画像検出装置の保守方法。
(10) 上記(9)の放射線画像検出装置の保守方法であって、前記放射線画像検出装置は、前記蛍光体及び前記センサ部を収納する筐体をさらに備え、被写体を支持する前記筐体の天板に、前記センサ部の前記蛍光体に対向する面とは反対側の面が貼り付けられている放射画像検出装置の保守方法。
【符号の説明】
【0120】
1 カセッテ(放射線画像検出装置)
2 検出部
3 制御部
4 筐体
5 天板
10 シンチレータ(蛍光体)
11 センサ部
13 支持体
14 樹脂層
16 接着層
20 光導電層
22 バイアス電極
23 平坦化層
24 電荷収集電極
25 接着層
26 光電変換素子
28 スイッチ素子
30 ゲート線
32 信号線
34 柱状部
35 柱状結晶
36 非柱状部
38 接続端子部
39 接続回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線露光によって蛍光を発する蛍光物質を含有した蛍光体と、前記蛍光体の放射線入射側に隣設されて該蛍光体によって支持され、前記蛍光体に生じた蛍光を検出する薄膜型のセンサ部と、を備える放射線画像検出装置の保守方法であって、
下記の構造ノイズ検査、MTF検査、暗電流検査のうち少なくとも一つの検査を定期的に実施して前記蛍光体の劣化を検知する放射線画像検出装置の保守方法。
構造ノイズ検査:放射線画像を取得し、取得された画像及びそれ以前に取得された画像の両画像に表れる前記放射線画像検出装置固有のパターンの変化を検知する。
MTF検査:MTFチャートを撮影した放射線画像を取得し、取得された放射線画像のMTFの変化を検知する。
暗電流検査:放射線非露光での黒画像を取得し、取得された黒画像に基づいてセンサ部の暗電流の変化を検知する。
【請求項2】
請求項1に記載された放射線画像検出装置の保守方法であって、
前記MTF検査を実施する場合に、取得された放射線画像のMTFと前回取得された放射線画像のMTFとの差が所定の閾値を越えた場合に、検査を実施する間隔を短くする放射線画像検出装置の保守方法。
【請求項3】
請求項1に記載された放射線画像検出装置の保守方法であって、
前記MTF検査を実施する場合に、取得された放射線画像のMTFと許容値との差が所定の閾値を越えた場合に、検査を実施する間隔を短くする放射線画像検出装置の保守方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載された放射線画像検出装置の保守方法であって、
前記暗電流検査を実施する場合に、取得された黒画像及び前回取得された黒画像の両画像の対応画素の画素値の差が所定の閾値を越えた場合に、検査を実施する間隔を短くする放射線画像検出装置の保守方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載された放射線画像検出装置の保守方法であって、
前記暗電流検査を実施する場合に、取得された黒画像の各画素の画素値と許容値との差が所定の閾値を越えた場合に、検査を実施する間隔を短くする放射線画像検出装置の保守方法。
【請求項6】
請求項2〜4のいずれか一項に記載された放射線画像検出装置の保守方法であって、
検査を実施する間隔を短くした後は、構造ノイズ検査、MTF検査、暗電流検査の全ての検査を実施する放射線画像検出装置の保守方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載された放射線画像検出装置の保守方法であって、
前記放射線画像検出装置は、衝撃検出手段をさらに備え、
所定の閾値を超える衝撃が前記衝撃検出手段によって検出された場合に、検査を実施する間隔を短くする放射線画像検出装置の保守方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載された放射線画像検出装置の保守方法であって、
前記蛍光物質は、ヨウ化セシウム若しくはヨウ化ナトリウム、又はそれらに賦活剤が添加された混合物である放射線画像検出装置の保守方法。
【請求項9】
請求項8に記載された放射線画像検出装置の保守方法であって、
前記蛍光体は、前記蛍光物質の結晶が柱状に成長してなる柱状結晶の群によって形成されている放射線画像検出装置の保守方法。
【請求項10】
請求項9に記載された放射線画像検出装置の保守方法であって、
前記放射線画像検出装置は、前記蛍光体及び前記センサ部を収納する筐体をさらに備え、
被写体を支持する前記筐体の天板に、前記センサ部の前記蛍光体に対向する面とは反対側の面が貼り付けられている放射画像検出装置の保守方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−189385(P2012−189385A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51773(P2011−51773)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】